JP2016200448A - ハンディタイプの検相・検電器 - Google Patents
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Abstract
Description
この特許文献1のものは、外筐体の先端側へ突出して光伝導部材を設け、光伝導部材の先端部内に検知子を収容し、外筐体内に配置した発光素子の光を光伝導部材にて導き、検知子の周辺部が発光状態となるものである。
検知子の周辺部が発光状態となるために、視認性は向上するが、光伝導部材の必要性と、防水構造にする場合の組み立て構成が複雑化する。
また、検相機能を備えておらず、それに係る表示等は定かでない。
この特許文献2のものは、同相判定結果と相回転検出結果とを外部通知するために、表示ランプによる点灯・点滅表示、スピーカからの音声メッセージを採用している。
しかし、具体的な表示方法は不明であり、表示ランプの配置や、検相器の構成等については不明である。
また、検電機能を備えておらず、それに係る表示等は定かでない。
また、検相・検電器の本体を構成する筒状本体部内への配線基板の収容によって、配線基板の安定保持と、検電及び検相の双方の機能状態を表示する発光部の配置と、配線基板に取り付けたスイッチ部と外部操作するスイッチ操作部との対応配置等が容易に達成できるハンディタイプの検相・検電器を提供する。
更に、組み立て、点検、修理のし易さを考慮したハンディタイプの検相・検電器を提供する。
電路を検知する検知部と、
前記検知部の検知に基づき前記電路のY結線、デルタ結線、V結線のいずれに対しても検相・検電状態を判定する制御部と、
前記制御部の判定結果に応じて異なる発光状態となる発光部と、
前記制御部の動作モードを検相モードと検電モードに切り替えるスイッチ部と、
前記検知部、前記制御部、前記発光部及び前記スイッチ部が電気配線された配線基板と、
電源用電池を有し、
前記発光部を覆う透光カバー部と、前記透光カバー部から前方へ延出し前記検知部を収容する突出部とを先端に備えた片手握持形態をなす合成樹脂製中空筒状本体部を有し、
前記筒状本体部は、前記筒状本体部の長さ方向に沿って前記配線基板が収容支持され、前記配線基板の裏側位置に前記筒状本体部の長さ方向に沿って前記電源用電池が収容され、後面開口に前記電源用電池の後面を弾性押圧する合成樹脂製後キャップ体が着脱自在に取り付けられ、前記スイッチ部に対応し外部操作可能なスイッチ操作部と、検相・検電のモード表示部を有し、
前記制御部は、前記検相モード状態において、3相電路の一つの電路検知から次の電路検知までの検相操作間隔の基準値として所定時間を設定し、前記検相操作間隔が、前記所定時間未満または前記所定時間以内の場合は正規の相順判定を行い、前記所定時間以上または前記所定時間を超えたとき前記発光部が所定のエラー発光状態となる
ことを特徴とする。
請求項1において、
前記発光部は前記配線基板の前部に配置され、前記検知部は、前記配線基板の前端部から前記発光部より更に前方へ棒状または板状に突出するリード部の全体または前記リード部の先端部で構成され、前記突出部は前記検知部を収容するよう前記透光カバー部から前方へ棒状または板状に延出する
ことを特徴とする。
請求項1または請求項2のいずれかにおいて、
前記スイッチ部は、プッシュ操作によって電源ON状態、検相モード状態、及び検電モード状態に切り替わる単一のプッシュスイッチで構成され、
前記モード表示部は、前記検電モード表示部と前記検相モード表示部を有し、
前記電源ON状態で、前記検電モード表示部と前記検相モード表示部の双方が発光状態となり、所定時間後に検電モードまたは検相モードに切り替わる
ことを特徴とする。
請求項1乃至請求項3のいずれかにおいて、
前記発光部は、異なる色で発光する単一または複数の発光素子で構成され、
前記検相モードにおいて、前記電路がY結線、デルタ結線、V結線のいずれに対しても、前記制御部の判定に基づく順(正)相、逆相、同相に応じた報知を、前記発光部による異なる発光パターンにて行う
ことを特徴とする。
請求項1乃至請求項4のいずれかにおいて、
前記検電モードから前記検相モードに切り替わったままの状態が所定時間継続すれば、前記制御部は、自動的に検電モードに切り替えるように構成した
ことを特徴とする。
請求項1乃至請求項5のいずれかにおいて、
前記検相操作間隔が前記所定時間未満または前記所定時間以内である場合の検相操作によって、断線、欠線、接地線等の死線を所定回数検出したとき、前記発光部が所定のエラー発光状態となる
ことを特徴とする。
請求項1乃至請求項6のいずれかにおいて、
前記検相モードにおける前記発光部の発光状態の説明図を、外部から視認可能に前記本体部の長さ方向に設けた
ことを特徴とする。
また、筒状本体部内には、左右支持部に配線基板が筒状本体部の長さ方向に沿って収容支持されるため、筒状本体部内における配線基板の位置が定まり、スイッチ操作部に対する所定位置にスイッチ部を配置でき、安定したスイッチ操作が達成できる。
更に、配線基板の裏側位置に筒状本体部の長さ方向に沿って電源用電池を収容する電池収容部が確保でき、配線基板と電源用電池を所定長さの筒状本体部内にコンパクトに収容できる構成となり、ハンディタイプの検相・検電器として好適な構成となる。
また、本体部の前後が透光カバー部と突出部、及び後キャップ体で塞げば、電気絶縁性の防水構造のハンディタイプの検相・検電器となる。
また、後キャップ体が本体部に着脱自在に結合すれば、本体部からの後キャップ体の取り外しによって、電池交換がし易く、且つ基板の挿入及び引き出しが可能となり、組み立て及び配線基板の点検も容易となる。
また、制御部は、検相モード状態において、3相電路の一つの電路検知から次の電路検知までの検相操作間隔の基準値として所定時間を設定し、検相操作間隔が、前記所定時間未満または前記所定時間以内の場合は正規の相順判定を行い、前記所定時間以上または前記所定時間を超えたとき前記発光部が所定のエラー発光状態となる。このため、制御部に含まれるクロック信号発生部のクロックパルスの精度向上のための対策等が不要となり、低価格で且つ小型化に適し、軽量なハンディタイプの検相・検電器を提供できることとなる。
このため、棒状または板状に延出する突出部内に検知部が収容されるため、配線が混み合う狭い箇所であっても、隣り合う配線に触れることなく正確な検知ができると共に、検知部を収容する突出部によって、検電・検相の作業中における検知部の保護が達成できる。
また、リード部全体を検知部とする場合は、電路に対して突出部の先端以外の箇所による検知も可能となり、検知操作がし易くなる。
また、リード部全体を検知部とする場合は、接地相を検知する際に他相の誘導電圧の影響によって正確な検知ができない場合がある。これの解決のために、リード部は、その先端部以外の部分に電気的シールドを施した状態で突出部内に収容し、先端部のみを検知部とし、この先端部の検知部にて、検相・検電の作業を行うことにより、他相の誘導電圧の影響を受けずに正確な検知が達成できる。
このため、スイッチ部は、プッシュ操作によって、電源ON状態、検相モード状態、及び検電モード状態に切り替わる単一のプッシュスイッチ構成であるため、これらの切り替え操作を片手親指で操作し易いものとなる。また、電源ON状態で、検相モード表示部と検電モード表示部の双方が発光状態となるため、電源スイッチを特別に設けなくても、検相モードと検電モードの双方が動作可能であることを視認させることができる。
検相モードにおいて、電路がY結線、デルタ結線、V結線のいずれに対しても、制御部の判定に基づく順(正)相、逆相、同相に応じた報知を、発光部による異なる発光パターンにて行う。
このため、スイッチ操作部の近傍前方に位置する光拡散性透光カバー部を通して視認できる発光部の
発光パターンによって、作業者は順(正)相、逆相、同相、エラーを確認でき、作業の効率化が図れる。
検相モードは、電圧検知ができない状態である。この状態では作業者は、電路に電圧が印加された活線であるか否かを判断できないため、活線に人体が触れると危険である。
本発明では、検電モードから検相モードに切り替わり、その状態で検相作業に入らずに放置したままの状態が所定時間(例えば、6秒のような数秒間)継続すれば、制御部のタイマ機能により、自動的に検電モードに切り替わり、活線に対して電圧検知ができるため、活線であることが判明され、この危険を回避でき安全性を確保できることとなる。
このため、3相電路の正規の検知操作によって、死線検出が所定の複数回行われたことを把握できることとなる。
電路を電気的非接触にて検知する検知部2と、
検知部2の検知に基づき電路のY結線、デルタ結線、V結線のいずれに対しても検相・検電状態を判定する制御部3と、
制御部3の判定結果に応じて異なる発光状態となる発光部4と、
制御部3の動作モードを検相モードと検電モードに切り替えるスイッチ部6と、
検知部2、制御部3、発光部4及びスイッチ部6が電気配線された配線基板7と、
電源用電池8を有し、
発光部4を覆う透光カバー部15Aと、透光カバー部15Aから前方へ延出し検知部2を収容する突出部15Bとを先端に備えた片手握持形態をなす合成樹脂製中空筒状本体部5を有し、
筒状本体部5は、筒状本体部5の長さ方向に沿って配線基板7が収容支持され、配線基板7の裏側位置に筒状本体部5の長さ方向に沿って電源用電池8が収容され、後面開口に電源用電池8の後面を弾性押圧する合成樹脂製後キャップ体17が着脱自在に取り付けられ、スイッチ部6に対応し外部操作可能なスイッチ操作部10と、検相・検電のモード表示部11を有し、
制御部3は、検相モード状態において、3相電路の一つの電路検知から次の電路検知までの検相操作間隔の基準値として所定時間を設定し、前記検相操作間隔が、前記所定時間未満または所定時間以内の場合は正規の相順判定を行い、前記所定時間以上または前記所定時間を超えたとき前記発光部が所定のエラー発光状態となる構成である。
この検相・検電器1を更に具体化した第1実施形態を図1乃至図6に基づいて説明する。
電路を電気的非接触にて検知する検知部2と、検知部2の検知に基づき前記電路の検相・検電状態を判定する制御部3と、制御部3の判定結果に応じて異なる発光状態となる発光部4と、前後に開口し片手握持形態をなし検相・検電器1の本体を構成する合成樹脂製中空筒状本体部5と、制御部3の動作モードを検相モードと検電モードに切り替えるスイッチ部6と、検知部2、制御部3、発光部4及びスイッチ部6等が電気配線された配線基板7と、電源用電池8を有する。
筒状本体部5の内部に形成した左右支持部9に、配線基板7が筒状本体部5の長さ方向に沿って収容支持され、電源用電池8が配線基板7の裏側位置に筒状本体部5の長さ方向に沿って収容される。
筒状本体部5には、スイッチ部6を外部操作可能なスイッチ操作部10と、スイッチ操作部10の前側に外部から視認可能なモード表示部11を設け、配線基板7の前部には、本体部5の前面開口5Aから前方に突出する位置に発光部4が配置され、配線基板7の前端部から発光部4より更に前方へ突出するリード部14の先端部に検知部2を有する。モード表示部11は、検電モード表示部12と検相モード表示部13を有する。
発光部4を覆う透光カバー部15Aと、透光カバー部15Aから前方へ延出し検知部2を収容する突出部15Bとが一体形成された合成樹脂製光拡散性先端カバー部15が、本体部5の前面開口5Aを塞ぐように取り付けられ、電源用電池8の後面をコイルばね16にて弾性押圧する合成樹脂製後キャップ体17が、本体部5の後面開口5Bを塞ぐように取り付けられた構成である。
片手握持形態の中空の筒状本体部5は、前後に開口5Aと5Bを有し、筒状本体部5の内面には、左右同等位置に支持部9、9が一体形成され、この支持部9、9に前後方向に長尺のプリント配線基板7の左右縁部が支持される。プリント配線基板7の左右幅は、後部領域7Aに比して前部領域7Bが狭くなる寸法でもって、前後に長い長尺の板状形態である。左右支持部9、9は相互に対面する溝9Aを有し、この溝9Aは後端が開口し前端が塞がる形状でもって、この前端の塞がる部分がストッパ9Sとなる。
検知部2は、配線基板7の前端部から前方へ棒状または板状に突出するリード部14の全体を検知部2とするか、リード部14の先端部を検知部2とするかのいずれであっても、突出部15Bは、検知部2を収容するよう透光カバー部15Aから前方へ棒状または板状に延出する形態である。
また、検知部2は、制御部3との関係において、リード部14の先端部に取り付けた検知素子とする形態でもよい。この場合も、突出部15Bは、検知部2を収容するよう透光カバー部15Aから前方へ棒状または板状に延出する形態である。
以下、検知部2が、上記第2の構成において説明する。
上記のように、筒状本体部5内にプリント配線基板7と電源用電池8が収容されて検相・検電器1が動作可能状態となる。この状態は電源OFFであり、第1発光素子4A、第2発光素子4B、検電モード用発光素子12B、及び検相モード用発光素子13Bは、消灯(非発光)状態である。
この検電操作によって、被検電路が所定の電圧が印加されている活電路(電圧印加状態)であれば、発光部4の第1発光素子4Aが赤色発光の点滅状態になると共に、ブザー19が発音する。
また、この検電操作によって、被検電路が所定の電圧が印加されていない死線(断線、欠相、接地線等)であれば、発光部4の第1発光素子4Aと第2発光素子4Bの双方は点灯せず、ブザー19も発音しない。
このようにして、被検電路が活電状態(電圧印加状態)か、断線等の非活電状態かの検電ができる。
この検相モードにおいて、検相作業を行う場合は、スイッチ操作部10を1回押すことにより、検相モード用発光素子13Bの点滅が止み、緑色連続点灯状態になり、検相スタンバイ、即ち、検相作業開始可能状態になったことを報知する。
即ち、クロック信号発生部3Bを安定した周期のクロックパルスを発生する、所謂周期変動が無い精度の高いクロックパルスを発生する基準クロックパルス発生器とすれば、大幅なコストアップとなり、低価格のハンディタイプの検相・検電器には適さないものとなる。
また、そのような高動作能力の基準クロックパルス発生器ではない低コストのクロック信号発生部3Bの場合は、発生するクロックパルスの精度が低下する。特にクロックパルスの発生時間が長くなるほど検相判定精度が低下し、誤差が大きくなる。このため、その補正回路が必要であり、または、標準時刻信号を電波によって受信して、このクロックパルスの誤差を補正する回路構成とする等の補正対策が必要となる。しかし、このような補正対策を講じればコストアップとなり、小型化に適さないものとなる。
このような低コストのクロック信号発生部3Bの場合は、クロックパルスの発生時間が長くなるほど検相判定精度が低下するが、短い時間であればその誤差が許容できるため、本発明は、短時間のうちに検相作業を行うという制限を課すことにより、許容できる判定結果が得られるようにするものである。
この判定基準となる所定時間は短い程、制御部3による判定精度が高くなるが、作業者が的確に検相作業を行うことができる時間の確保と、クロックパルスによる精度誤差を許容できる時間等を考慮して決定することとなる。
その一つとして、前記所定時間を10秒以下の数秒程度に設定することとし、その中でも前記所定時間を2〜3秒のように極力短く設定した検相・検電器をテストしたところ、良好な結果を得ることができた。
なお、誤差の比較的少ないクロックパルスを発生する低コストのクロック信号発生部3Bが今後開発され、且つ、作業者による検相作業を制限した短時間で終わらせるようにすることを考慮すれば、前記所定時間を60秒以内と定める場合でも、本発明の所期の目的を達成することができる。
このため、前記所定時間未満または以内の間隔で3相電路の各電路の検相作業を順次行い、合計3回の検知操作を行うことにより、この検相作業に従って制御部3は、3相電路の相順(位相のずれの順番)を判定する。
実施例では、一つの電路の検知を行い、ブザー19がピー、ピーと所定回数(実施例では4回)発音してから、次の電路の検知を行うまでの時間である検相操作間隔が、制御部3に基準値と定めた所定時間(実施例の3秒)未満または以内の場合は、制御部3はクロック信号発生部3Bが発生するクロックパルスを基準とするタイマ機能により正規の検知操作が行われたものと判定する。一方、検相操作間隔が、所定時間(実施例の3秒)以上または超えたときは、制御部3のタイマ機能によりエラーと判定し、発光部4が所定のエラー発光状態となる。即ち、第1発光素子である赤色の発光ダイオード(LEDという)4Aと第2発光素子である緑色の発光ダイオード(LEDという)4Bは交互点灯状態となり、エラーが報知される。
実施例では、上記所定回数を2回と定めている。このため、上記所定時間と定めた3秒未満または3秒以内の検相操作間隔によって電路の検相が順次行われた場合において、断線、欠線、接地線等の死線の検出が2回あれば、発光部4が上記のように、第1発光素子である赤色の発光ダイオード(LEDという)4Aと第2発光素子である緑色の発光ダイオード(LEDという)4Bは交互点灯状態となり、エラーが報知される。
即ち、
交流の3相電路のR相、S相、T相の各相の対地電圧は、それぞれ120度の位相差である。この3相電路の検相は、検知部2によって順次各相を1回ずつ検知し、計3回の検知操作によって、順相(正相)か、逆相か、同相かの判定を制御部3が行う。このため、進み角判定を行う方式では、例えば、R相、S相、T相を検知部2によって順次検知したときの制御部3の判定結果が、R相がS相より120度の進み角を有し、S相がT相より120度の進み角を有し、T相がR相より120度の進み角を有する場合、制御部3はこれらの相が順相(正相)であると判定し、発光部4は第2発光素子である緑色の発光ダイオード(LEDという)4Bが点灯し、順相(正相)であることを報知する。
もし、制御部3の判定結果が、R相がS相より240度の進み角を有し、S相がT相より240度の進み角を有し、T相がR相より240度の進み角を有する場合、制御部3はこれらの相が逆相であると判定し、発光部4は第1発光素子である赤色の発光ダイオード(LEDという)4Aが点灯し、逆相であることを報知する。
もし、制御部3の判定結果が、R相がS相より120度の遅れ角を有し、S相がT相より120度の遅れ角を有し、T相がR相より120度の遅れ角を有する場合、制御部3はこれらの相が逆相であると判定し、発光部4は第1発光素子である赤色の発光ダイオード(LEDという)4Aが点灯し、逆相であることを報知する。
この場合の検相操作もY結線のときと同様に、各相を1回ずつ検知する合計3回の検知によって相順を判定し、それを発光部4によって報知する。
デルタ結線(三角結線)の場合、その一つがアースEとして接地される。図示の場合、S相が接地された状態である。このため、R相、T相では電圧波形が検知できるが、S相では電圧ゼロであり、電圧波形は検知できない。
具体的には、進み角判定を行う方式では、例えば、R相、S相、T相を検知部2によって順次検知したときの制御部3の判定結果が、S相が接地相(電圧ゼロ)であり、T相がR相より60度の進み角を有する場合、制御部3はこれらの相が順相(正相)であると判定し、発光部4は第2発光素子である緑色の発光ダイオード(LEDという)4Bが点灯し、順相(正相)であることを報知する。
もし、制御部3の判定結果が、S相が接地相(電圧ゼロ)であり、T相がR相より300度の進み角を有する場合、制御部3はこれらの相が逆相であると判定し、発光部4は第1発光素子である赤色の発光ダイオード(LEDという)4Aが点灯し、逆相であることを報知する。
もし、制御部3の判定結果が、S相が接地相(電圧ゼロ)であり、T相がR相より60度の遅れ角を有する場合、制御部3はこれらの相が逆相であると判定し、発光部4は第1発光素子である赤色の発光ダイオード(LEDという)4Aが点灯し、逆相であることを報知する。
この場合の検相操作も上記同様に、各相を1回ずつ検知する合計3回の検知によって相順を判定し、それを発光部4によって報知する。
V結線の場合、180度の位相差を有する。180度の位相差がある電圧波形では、制御部3は二つの相の間に相回転関係を決定することができない。このため、図8(ハ)のように、アースEに対してR相とS相は180度の位相差を有するため、制御部3は、180度の位相差がある二つの相に対する90度差のある相との関係により、位相回転を決定する。
もし、制御部3の判定結果が、R相とS相が180度の位相差を有し、S相がT相より270度の進み角を有し、T相がR相より270度の進み角を有する場合、制御部3はこれらの相が逆相であると判定し、発光部4は第1発光素子である赤色の発光ダイオード(LEDという)4Aが点灯し、逆相であることを報知する。
もし、制御部3の判定結果が、R相とS相が180度の位相差を有し、S相がT相より90度の遅れ角を有し、T相がR相より90度の遅れ角を有する場合、制御部3はこれらの相が逆相であると判定し、発光部4は第1発光素子である赤色の発光ダイオード(LEDという)4Aが点灯し、逆相であることを報知する。
一方、デルタ結線(三角結線)の場合、上記のようにS相が接地されていることにより、この電圧はゼロであり、他の相は電圧波形が検知される。このため、電圧波形が検知されるR相、T相の検知においては、検知中は検相モード用発光素子13Bが赤色点滅状態となり、その点滅が検相モードマーク13Aから視認される。しかし、S相の検知では、電圧波形が検知されないため、検知中は検相モード用発光素子13Bが緑色点滅状態となり、その点滅が検相モードマーク13Aから視認され、接地相であることが判明する。
このため、各相を検知する3回の検知の中で、1回の検知が電圧波形を検知せず、2回の検知が電圧を検知する場合は、作業者は、それによってデルタ結線(三角結線)であることを認識できることとなる。
このように、検相モード用発光素子13Bは、異なる色で発光する構成である。このため、検相モード用発光素子13Bは、赤色及び緑色のように異なる色で発光する単一の発光素子で構成するものでもよく、また、それぞれ異なる発光色の発光素子の複数で構成されるものでもよい。
なお、上記所定時間(例えば、6秒のような数秒間)のブザー19の発音と共に、モード表示部11の検電モード用発光素子12Bと検相モード用発光素子13Bの双方が点滅状態となるようにして、エラーを報知するようにしてもよい。
このように構成する理由は、作業者を保護するためである。即ち、上記のように検相モード用発光素子13Bが赤色点滅状態となる検相モードは、電圧検知ができない状態である。この状態では作業者は、電路に電圧が印加された活線であるか否かを判断できないため、この活線に人体が触れると危険である。
本発明では、これを回避するために、上記のように、検電モードにおいてスイッチ操作部10を押すことにより検相モードに切り替わるが、検相作業に入らずに放置したままの状態が所定時間(例えば、6秒のような数秒間)継続すれば、制御部のタイマ機能により、自動的に検電モードに切り替わる。このため、活線に対して電圧検知ができるため、活線であることが判明され、この危険を回避でき安全性を確保できることとなる。
以下、本発明に係る検相・検電器の第2実施形態を図7に基づいて説明する。
第2実施形態の検相・検電器1は、上記の第1実施形態の検相・検電器1において、発光部4を構成する第1発光素子4Aと第2発光素子4Bの配置が異なる。第2実施形態では、第1発光素子4Aと第2発光素子4Bは、そのリード部14がプリント配線基板7の配線に接続された状態で、プリント配線基板7の前端部に載置される状態である。これによって、第1発光素子4Aと第2発光素子4Bの取り付けが安定した状態となる。
2・・・・・・検知部
3・・・・・・制御部
4・・・・・・発光部
4A・・・・・第1発光素子
4B・・・・・第2発光素子
5・・・・・・筒状本体部
6・・・・・・スイッチ部
7・・・・・・配線基板
7A・・・・・配線基板の後部領域
7B・・・・・配線基板の前部領域
8・・・・・・電源用電池
9・・・・・・左右支持部
9A・・・・・溝
9S・・・・・ストッパ
10・・・・・スイッチ操作部
11・・・・・モード表示部
12・・・・・検電モード表示部
12A・・・・検電モードマーク
12B・・・・検電モード用発光素子
13・・・・・検相モード表示部
13A・・・・検相モードマーク
13B・・・・検相モード用発光素子
15・・・・・先端カバー部
15A・・・・透光カバー部
15B・・・・突出部
16・・・・・コイルバネ
17・・・・・後キャップ体
19・・・・・発音部(ブザー)
23・・・・・発光部の発光状態の説明部
Claims (7)
- 電路を検知する検知部と、
前記検知部の検知に基づき前記電路のY結線、デルタ結線、V結線のいずれに対しても検相・検電状態を判定する制御部と、
前記制御部の判定結果に応じて異なる発光状態となる発光部と、
前記制御部の動作モードを検相モードと検電モードに切り替えるスイッチ部と、
前記検知部、前記制御部、前記発光部及び前記スイッチ部が電気配線された配線基板と、
電源用電池を有し、
前記発光部を覆う透光カバー部と、前記透光カバー部から前方へ延出し前記検知部を収容する突出部とを先端に備えた片手握持形態をなす合成樹脂製中空筒状本体部を有し、
前記筒状本体部は、前記筒状本体部の長さ方向に沿って前記配線基板が収容支持され、前記配線基板の裏側位置に前記筒状本体部の長さ方向に沿って前記電源用電池が収容され、後面開口に前記電源用電池の後面を弾性押圧する合成樹脂製後キャップ体が着脱自在に取り付けられ、前記スイッチ部に対応し外部操作可能なスイッチ操作部と、検相・検電のモード表示部を有し、
前記制御部は、前記検相モード状態において、3相電路の一つの電路検知から次の電路検知までの検相操作間隔の基準値として所定時間を設定し、前記検相操作間隔が、前記所定時間未満または前記所定時間以内の場合は正規の相順判定を行い、前記所定時間以上または前記所定時間を超えたとき前記発光部が所定のエラー発光状態となる
ことを特徴とするハンディタイプの検相・検電器。 - 前記発光部は前記配線基板の前部に配置され、前記検知部は、前記配線基板の前端部から前記発光部より更に前方へ棒状または板状に突出するリード部の全体または前記リード部の先端部で構成され、前記突出部は前記検知部を収容するよう前記透光カバー部から前方へ棒状または板状に延出する
ことを特徴とする請求項1に記載のハンディタイプの検相・検電器。 - 前記スイッチ部は、プッシュ操作によって電源ON状態、検相モード状態、及び検電モード状態に切り替わる単一のプッシュスイッチで構成され、
前記モード表示部は、前記検電モード表示部と前記検相モード表示部を有し、
前記電源ON状態で、前記検電モード表示部と前記検相モード表示部の双方が発光状態となり、所定時間後に検電モードまたは検相モードに切り替わる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のハンディタイプの検相・検電器。 - 前記発光部は、異なる色で発光する単一または複数の発光素子で構成され、
前記検相モードにおいて、前記電路がY結線、デルタ結線、V結線のいずれに対しても、前記制御部の判定に基づく順(正)相、逆相、同相に応じた報知を、前記発光部による異なる発光パターンにて行う
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のハンディタイプの検相・検電器。 - 前記検電モードから前記検相モードに切り替わったままの状態が所定時間継続すれば、前記制御部は、自動的に検電モードに切り替えるように構成した
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のハンディタイプの検相・検電器。 - 前記検相操作間隔が前記所定時間未満または前記所定時間以内である場合の検相操作によって、断線、欠線、接地線等の死線を所定回数検出したとき、前記発光部が所定のエラー発光状態となる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のハンディタイプの検相・検電器。 - 前記検相モードにおける前記発光部の発光状態の説明図を、外部から視認可能に前記本体部の長さ方向に設けた
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のハンディタイプの検相・検電器。
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