以下、電圧の印加開始及び印加終了のシーケンス制御に異常が生じても、この異常に伴う故障を未然に防ぐことができるインクジェットプリンタの実施形態について、図面を用いて説明する。
因みに、本実施形態では、シェアモードタイプのインクジェットヘッド100(図1を参照:以下、ヘッド100と略称する)を用いたインクジェットプリンタを例示する。
はじめに、ヘッド100の構成について、図1乃至図3を用いて説明する。図1は、ヘッド100の一部を分解して示す斜視図、図2は、ヘッド100の前方部における横断面図、図3は、ヘッド100の前方部における縦断面図である。
ヘッド100は、ベース基板9を有する。ヘッド100は、ベース基板9の前方側の上面に第1の圧電部材1を接合し、この第1の圧電部材1の上に第2の圧電部材2を接合する。接合された第1の圧電部材1と第2の圧電部材2とは、図3の矢印で示すように、板厚方向に沿って互いに相反する方向に分極する。
ヘッド100は、接合された圧電部材1、2の先端側から後端側に向けて、多数の長尺な溝3を設ける。各溝3は、間隔が一定でありかつ平行である。各溝3は、先端が開口し、後端が上方に傾斜する。
ヘッド100は、各溝3の側壁及び底面に電極4を設ける。電極4は、ニッケル(Ni)と金(Au)との二層構造となっている。またヘッド100は、各溝3の後端から第2の圧電部材2の後部上面に向けて引出し電極10を設ける。引出し電極10は、前記電極4から延出する。
ヘッド100は、天板6とオリフィスプレート7とを備える。天板6は、各溝3の上部を塞ぐ。オリフィスプレート7は、各溝3の先端を塞ぐ。ヘッド100は、天板6とオリフィスプレート7とで囲まれた各溝3によって、複数の圧力室15を形成する。このような圧力室15は、インク室とも称される。
天板6は、その内側後方に共通インク室5を備える。オリフィスプレート7は、各溝3と対向する位置にノズル8を穿設する。ノズル8は、対向する溝3つまりは圧力室15と連通する。ノズル8は、圧力室15側から反対側のインク吐出側に向けて先細りの形状をなす。ノズル8は、隣り合う3つの圧力室15に対応したものを1セットとし、溝3の高さ方向(図3の紙面の上下方向)に一定の間隔でずれて形成される。
ヘッド100は、ベース基板9の後方側の上面に、導電パターン13が形成されたプリント基板11を接合する。そしてヘッド100は、このプリント基板11に、後述するヘッド駆動回路101が形成されたドライブIC12を搭載する。ドライブIC12は、導電パターン13に接続する。導電パターン13は、各引出し電極10とワイヤボンディングにより導線14で結合する。
ヘッド100が有する圧力室15、電極4及びノズル8の組をチャネルと称する。すなわちヘッド100は、溝3の数Nだけチャネルch.1、ch.2、…、ch.Nを有する。
次に、上記の如く構成されたヘッド100の動作原理について、図4を用いて説明する。
図4の(a)は、中央の圧力室15bと、この圧力室15bに隣接する両隣の圧力室15a、15cとの各壁面にそれぞれ配設された電極4の電位がいずれもグラウンド電位GNDである状態を示している。図4(a)の状態では、圧力室15aと圧力室15bとで挟まれた隔壁16a及び圧力室15bと圧力室15cとで挟まれた隔壁16bは、いずれも何ら歪み作用を受けない。
図4の(b)は、中央の圧力室15bの電極4に負極性の電圧VAANが印加され、両隣の圧力室15a、15cの電極4に正極性の電圧VAAPが印加された状態を示している。因みに、電圧VAANは、電圧値VAAの負極性を示す。電圧VAAPは、電圧値VAAの正極性を示す。すなわち電圧VAANと電圧VAAPとは、電圧値が等しく、極性が反転している。図4(b)の状態では、各隔壁16a、16bに対して、圧電部材1、2の分極方向と直交する方向に電圧VAAの2倍の電界が作用する。この作用により、各隔壁16a、16bは、圧力室15bの容積を拡張するようにそれぞれ外側に変形する。
図4の(c)は、中央の圧力室15bの電極4に正極性の電圧VAAPが印加され、両隣の圧力室15a、15cの電極4に負極性の電圧VAANが印加された状態を示している。図4(c)の状態では、各隔壁16a、16bに対して、図4(b)のときとは逆の方向に電圧VAAの2倍の電界が作用する。この作用により、各隔壁16a、16bは、圧力室15bの容積を収縮するようにそれぞれ内側に変形する。
圧力室15bの容積が拡張または収縮された場合、圧力室15b内に圧力振動が発生する。この圧力振動により、圧力室15b内の圧力が高まり、圧力室15bに連通するノズル8からインク滴が吐出される。
このように、各圧力室15a、15b、15cを隔てる隔壁16a、16bは、当該隔壁16a、16bを壁面とする圧力室15bの内部に圧力振動を与えるためのアクチュエータとなる。つまり各圧力室15は、それぞれ隣接する圧力室15とアクチュエータを共有する。このため、ヘッド駆動回路101は、各圧力室15を個別に駆動することができない。ヘッド駆動回路101は、各圧力室15をn(nは2以上の整数)個おきに(n+1)個のグループに分割して駆動する。本実施形態では、ヘッド駆動回路101が、各圧力室15を2つおきに3つの組に分けて分割駆動する、いわゆる3分割駆動の場合を例示する。なお、3分割駆動はあくまでも一例であり、4分割駆動または5分割駆動などであってもよい。
次に、インクジェットプリンタ200(以下、プリンタ200と略称する)の構成について、図5乃至図8を用いて説明する。図5は、プリンタ200のハードウェア構成を示すブロック図、図6は、ヘッド駆動回路101の具体的構成を示すブロック図、図7は、シーケンス制御回路211(図5を参照)の具体的構成を示すブロック図、図8は、供給/放電回路2112(図7を参照)の具体的構成を示すブロック図である。プリンタ200は、オフィス用プリンタ、バーコードプリンタ、POS用プリンタ、産業用プリンタ等に適用されるものである。
プリンタ200は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、操作パネル204、通信インターフェース205、搬送モータ206、モータ駆動回路207、ポンプ208、ポンプ駆動回路209、電源回路210、シーケンス制御回路211及びヘッド100を備える。またプリンタ200は、アドレスバス、データバスなどのバスライン212を含む。そしてプリンタ200は、このバスライン212に、CPU201、ROM202、RAM203、操作パネル204、通信インターフェース205、モータ駆動回路207、ポンプ駆動回路209、シーケンス制御回路211及びヘッド100の駆動回路101をそれぞれ直接あるいは入出力回路を介して接続する。
CPU201は、コンピュータの中枢部分に相当する。CPU201は、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムに従って、プリンタ200としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。
ROM202は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。ROM202は、上記のオペレーティングシステムやアプリケーションプログラムを記憶する。ROM202は、CPU201が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを記憶する場合もある。
RAM203は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。RAM203は、CPU201が処理を実行する上で必要なデータを記憶する。またRAM203は、CPU201によって情報が適宜書き換えられるワークエリアとしても利用される。ワークエリアは、印刷データが展開される画像メモリを含む。
操作パネル204は、操作部と表示部とを有する。操作部は、電源キー、用紙フィードキー、エラー解除キー等のファンクションキーを配置したものである。表示部は、プリンタ200の種々の状態を表示可能なものである。
通信インターフェース205は、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して接続されるクライアント端末から印刷データを受信する。通信インターフェース205は、例えばプリンタ200にエラーが発生したとき、エラーを通知する信号をクライアント端末に送信する。
モータ駆動回路207は、搬送モータ206の駆動を制御する。搬送モータ206は、印刷用紙などの記録媒体を搬送する搬送機構の駆動源である。搬送モータ206が駆動すると、搬送機構が記録媒体の搬送を開始する。搬送機構は、記録媒体をヘッド100による印刷位置まで搬送する。搬送機構は、印刷を終えた記録媒体を図示しない排出口からプリンタ200の外部に排出する。
ポンプ駆動回路209は、ポンプ208の駆動を制御する。ポンプ208が駆動すると、図示しないインクタンク内のインクがヘッド100に供給される。
ヘッド100は、ヘッド駆動回路101を備える。ヘッド駆動回路101は、印刷データに基づきヘッド100のチャネル群102を駆動する。ヘッド駆動回路101は、図6に示すように、パターンジェネレータ1011、ロジック回路1012、バッファ回路1013及びスイッチ回路1014を含む。
パターンジェネレータ1011は、吐出当該波形、吐出両隣波形、非吐出当該波形、非吐出両隣波形等の波形パターンを生成する。パターンジェネレータ1011で生成された波形パターンのデータは、ロジック回路1012に供給される。
ロジック回路1012は、画像メモリから1ラインずつ読み出される印刷データの入力を受け付ける。またロジック回路1012は、グラウンド電位GNDの電源ラインL1と、正極性電圧VDDの電源ラインL2とを接続する。正極性電圧VDDは、ロジック回路1012の動作電圧である。
ロジック回路1012は、ヘッド100の隣り合う3つのチャネルch.(i-1)、ch.i、ch.(i+1)を1セットとする。そして印刷データが入力されると、ロジック回路1012は、中央のチャネルch.iがインクを吐出する吐出チャネルなのか、インクを吐出しない非吐出チャネルなのかを決定する。
吐出チャネルの場合、ロジック回路1012は、このチャネルch.iに対して吐出当該波形のパターンデータを出力する。またロジック回路1012は、両隣のチャネルch.(i-1)、ch.(i+1)に対して吐出両隣波形のパターンデータを出力する。
非吐出チャネルの場合、ロジック回路1012は、このチャネルch.iに対して非吐出当該波形のパターンデータを出力する。またロジック回路1012は、両隣のチャネルch.(i-1)、ch.(i+1)に対して非吐出両隣波形のパターンデータを出力する。
ロジック回路1012から出力される各パターンデータは、バッファ回路1013に与えられる。
バッファ回路1013は、ヘッド100の各チャネルch.1、ch.2、…、ch.Nにそれぞれ対応したN個のプリバッファを備える。またバッファ回路1013は、正極性電圧VCCの電源ラインL3と、負極性電圧VAANの電源ラインL4とを接続する。正極性電圧VCCと負極性電圧VAANとは、いずれもプリバッファの動作電圧である。
各プリバッファは、ロジック回路1012から与えられるパターンデータの信号レベルに応じて出力が変化する。各プリバッファには、対応するチャネルch.k(1≦k≦N)が吐出チャネルなのか、非吐出チャネルなのか、吐出チャネルまたは非吐出チャネルに隣接するチャネルなのかによって、ロジック回路1012から異なるパターンデータが与えられる。パターンデータの信号レベルがハイレベルのとき、プリバッファは、正極性電圧VCCの信号を出力する。パターンデータの信号レベルがローレベルのとき、プリバッファは、負極性電圧VAANの信号を出力する。各プリバッファから出力される信号は、スイッチ回路1014に与えられる。
スイッチ回路1014は、ヘッド100のチャネルch.1、ch.2、…、ch.Nにそれぞれ対応したN個のドライバを備える。各ドライバは、オン、オフのスイッチング素子として機能する電界効果トランジスタを含む。またスイッチ回路1014は、正極性電圧VCCの電源ラインL3と、正極性電圧VAAPの電源ラインL5と、グラウンド電位GNDの電源ラインL1と、負極性電圧VAANの電源ラインL4とを接続する。正極性電圧VCCは、電界効果トランジスタの動作電圧である。正極性電圧VAAP、グラウンド電位GND及び負極性電圧VAANは、各ドライバの動作電圧である。
各ドライバは、それぞれ対応するチャネルch.1、ch.2、…、ch.Nのアクチュエータを駆動する。すなわち各ドライバは、プリバッファからの信号に応じて、図4で説明したように、対応するチャネルch.1、ch.2、…、ch.Nの電極に正極性電圧VAAP、グラウンド電位GNDまたは負極性電圧VAANを選択的に印加する。
電源回路210は、グラウンド電位GNDに対して正極性の3種類の電圧VAAP、VDD及びVCCと、負極性の1種類の電圧VAANとを生成する。3種類の電圧VAAP、VDD及びVCCの大小関係は、VDD<VAAP<VCCとなる。例えば電圧VDDは、+5Vであり、電圧VAAPは、+18Vであり、電圧VCCは、+24Vである。電圧VAANは、電圧VAAPと同値で逆極性なので、−18Vとなる。電源回路210は、これらの電圧VAAP、VDD、VCC及びVAANを、グラウンド電位GNDとともに、シーケンス制御回路211を含む各部に供給する。
ここに、電圧VAAPを第1の電圧とすると、電圧VAANは、第1の電圧と同値で逆極性の第1の負電圧であり、電圧VDDは、第1の電圧よりも値が小さい同一極性の第2の電圧であり、電圧VCCは、第1の電圧よりも値が大きい同一極性の第3の電圧である。
シーケンス制御回路211は、図7に示すように、シーケンスコントローラ2111と供給/放電回路2112とを含む。
シーケンスコントローラ2111は、4種類の制御信号VAAP_ON、VDD_ON、VCC_ON、VAAN_ONを生成する。シーケンスコントローラ2111は、各制御信号VAAP_ON、VDD_ON、VCC_ON、VAAN_ONを、予め設定されたシーケンスに従い、供給/放電回路2112に出力する。
制御信号VAAP_ONは、ヘッド100に対する電圧VAAPの印加開始及び印加終了を制御する。制御信号VDD_ONは、ヘッド100に対する電圧VDDの印加開始及び印加終了を制御する。制御信号VCC_ONは、ヘッド100に対する電圧VCCの印加開始及び印加終了を制御する。制御信号VAAN_ONは、ヘッド100に対する電圧VAANの印加開始及び印加終了を制御する。
供給/放電回路2112は、電源回路210とヘッド駆動回路101とを結ぶ5種類の電源ラインL1、L2、L3、L4、L5に介在する。電源ラインL1は、グラウンド電位GNDのラインである。電源ラインL2は、正極性電圧VDDのラインである。電源ラインL3は、正極性電圧VCCのラインである。電源ラインL4は、負極性電圧VAANのラインである。電源ラインL5は、正極性電圧VAAPのラインである。具体的には供給/放電回路2112は、図8に示すように、電源ラインL2に介在する電圧VDD用回路300と、電源ラインL4に介在する電圧VAAN用回路400と、電源ラインL3に介在する電圧VCC用回路500と、電源ラインL5に介在する電圧VAAP用回路600とを含む。電源ラインL1は、供給/放電回路2112をスルーする。
電圧VDD用回路300は、制御信号VDD_ONがオンしている間、正極性電圧VDDをヘッド駆動回路101に供給する。制御信号VDD_ONがオフすると、電圧VDD用回路300は、正極性電圧VDDの供給を停止する。
電圧VAAN用回路400は、制御信号VAAN_ONがオンしている間、負極性電圧VAANをヘッド駆動回路101に供給する。制御信号VAAN_ONがオフすると、電圧VAAN用回路400は、負極性電圧VAANの供給を停止する。
電圧VCC用回路500は、制御信号VCC_ONがオンしている間、正極性電圧VCCをヘッド駆動回路101に供給する。制御信号VCC_ONがオフすると、電圧VCC用回路500は、正極性電圧VCCの供給を停止する。
電圧VAAP用回路600は、制御信号VAAP_ONがオンしている間、正極性電圧VAAPをヘッド駆動回路101に供給する。制御信号VAAP_ONがオフすると、電圧VAAP用回路600は、正極性電圧VAAPの供給を停止する。
図9は、インクジェットプリンタ200が、電源立ち上げ時に各電圧VAAP、VDD、VCC、VAANをヘッド駆動回路101に印加する際のシーケンスと、電源オフ時に各電圧VAAP、VDD、VCC、VAANの印加を終了する際のシーケンスとを示すタイミングチャートである。
電源オン時、インクジェットプリンタ200は、先ず、電圧VDDをヘッド駆動回路101に印加する。次いで、インクジェットプリンタ200は、電圧VAANをヘッド駆動回路101に印加する。次いで、インクジェットプリンタ200は、電圧VCCをヘッド駆動回路101に印加する。最後に、インクジェットプリンタ200は、電圧VAAPをヘッド駆動回路101に印加する。
電源オフ時、インクジェットプリンタ200は、先ず、電圧VAAPの印加を終了する。次いで、インクジェットプリンタ200は、電圧VCCの印加を停止する。次いで、インクジェットプリンタ200は、電圧VAANの印加を停止する。最後に、インクジェットプリンタ200は、電圧VDDの印加を停止する。
このような電圧の印加開始、印加終了のシーケンスは、シーケンスコントローラ2111によって制御される。すなわちシーケンスコントローラ2111は、CPU201から電源オンのコマンドを受信すると、先ず、制御信号VDD_ONをオンし、次いで、制御信号VAAN_ONをオンし、次いで、制御信号VCC_ONをオンし、最後に、制御信号VAAP_ONをオンする。一方、CPU201から電源オフのコマンドを受信すると、シーケンスコントローラ2111は、先ず、制御信号VAAP_ONをオフし、次いで、制御信号VCC_ONをオフし、次いで、制御信号VAAN_ONをオフし、最後に、制御信号VDD_ONをオフする。このような各制御信号のオン、オフの切り替えは、シーケンスコントローラ2111に予め設定されたソフトウェアによって制御される。
次に、電圧VDD用回路300、電圧VAAN用回路400、電圧VCC用回路500及び電圧VAAP用回路600の詳細について、図10乃至図13を用いて説明する。
図10は、電圧VDD用回路300の構成を示す回路図である。電圧VDD用回路300は、供給回路301と、放電回路302と、充放電用のコンデンサ303と、10メガオーム程度の抵抗304とを含む。コンデンサ303と抵抗304とは、いずれも供給回路301及び放電回路302よりもヘッド駆動回路101側において、電圧VDDの電源ラインL2とグラウンド電位GNDの端子との間に接続される。
供給回路301は、PMOSトランジスタ3011と、NPNトランジスタ3012とを含む。PMOSトランジスタ3011は、ソース−ドレイン間を電源ラインL2に接続し、ゲートをNPNトランジスタ3012のコレクタに接続する。NPNトランジスタ3012は、エミッタをグラウンド電位GNDの端子に接続し、ベースを制御信号VDD_ONの信号線L11に接続する。
シーケンスコントローラ2111から信号線L11に出力される制御信号VDD_ONがオンすると、供給回路301では、NPNトランジスタ3012がオンし、PMOSトランジスタ3011がオンする。その結果、PMOSトランジスタ3011のソース−ドレイン間を電流が流れるため、電源ラインL2を介してヘッド駆動回路101に電圧VDDが供給される。
制御信号VDD_ONがオフすると、供給回路301では、NPNトランジスタ3012がオフし、PMOSトランジスタ3011がオフする。その結果、PMOSトランジスタ3011のソース−ドレイン間が遮断されるため、ヘッド駆動回路101への電圧VDDの供給が停止する。
ここに、供給回路301のPMOSトランジスタ3011とNPNトランジスタ3012とは、電圧VDDをヘッド駆動回路101に供給するか否かを制御信号VDD_ONに応じて切り替えるスイッチとして機能する。
放電回路302は、放電抵抗3021と、NMOSトランジスタ3022と、NPNトランジスタ3023とを含む。放電抵抗3021は、一端を電源ラインL2の前記PMOSトランジスタ3011よりもヘッド駆動回路101側に接続し、他端をNMOSトランジスタ3022のドレインに接続する。NMOSトランジスタ3022は、ソースをグラウンド電位GNDの端子に接続し、ゲートを電圧VDDの端子とNPNトランジスタ3023のコレクタとの間に接続する。NPNトランジスタ3023は、エミッタをグラウンド電位GNDの端子に接続し、ベースを制御信号VDD_ONの信号線L11に接続する。
シーケンスコントローラ2111から信号線L11に出力される制御信号VDD_ONがオンすると、放電回路302では、NPNトランジスタ3023がオンし、NMOSトランジスタ3022がオフする。その結果、放電抵抗3021に電流が流れない。
制御信号VDD_ONがオフすると、放電回路302では、NPNトランジスタ3023がオフし、NMOSトランジスタ3022がオンする。このとき、PMOSトランジスタ3011により電源ラインL2が遮断されているため、電源ラインL2を介してヘッド駆動回路101から放電抵抗3021に電流が流れ込む。その結果、放電現象が生じ、ヘッド駆動回路101では、電圧VDDがグラウンド電位GNDまで低下する。このときの時定数は、コンデンサ303の容量と放電抵抗3021の抵抗値とによって決まる。
図11は、電圧VAAN用回路400の構成を示す回路図である。電圧VAAN用回路400は、供給回路401と、放電回路402と、充放電用のコンデンサ403と、10メガオーム程度の抵抗404と、アンドゲート405とを含む。コンデンサ403と抵抗404とは、いずれも供給回路401及び放電回路402よりもヘッド駆動回路101側において、電圧VAANの電源ラインL4とグラウンド電位GNDの端子との間に接続される。
供給回路401は、NMOSトランジスタ4011と、PNPトランジスタ4012と、NPNトランジスタ4013とを含む。NMOSトランジスタ4011は、ソース−ドレイン間を電源ラインL4に接続し、ゲートをPNPトランジスタ4012のコレクタに接続する。PNPトランジスタ4012は、エミッタを電圧VDDの端子に接続し、ベースをNPNトランジスタ4013のコレクタに接続する。NPNトランジスタ4013は、エミッタをグラウンド電位GNDの端子に接続し、ベースをアンドゲート405の出力端子に接続する。
アンドゲート405は、第1及び第2の2つの入力端子を備え、第1の入力端子を制御信号VDD_ONの信号線L11に接続し、第2の入力端子を制御信号VAAN_ONの信号線L12に接続する。
シーケンスコントローラ2111から信号線L12に出力される制御信号VAAN_ONがオンすると、信号線L11に出力される制御信号VDD_ONがオンしていることを条件に、アンドゲート405から制御信号VAAN_ONが出力される。
アンドゲート405から制御信号VAAN_ONが出力されると、供給回路401では、NPNトランジスタ4013がオンし、PNPトランジスタ4012がオンし、NMOSトランジスタ4011がオンする。その結果、NMOSトランジスタ4011のソース−ドレイン間を電流が流れるため、電源ラインL4を介してヘッド駆動回路101に電圧VAANが供給される。
制御信号VAAN_ONまたは制御信号VDD_ONがオフすると、アンドゲート405から制御信号VAAN_ONが出力されなくなる。制御信号VAAN_ONが出力されなくなると、供給回路401では、NPNトランジスタ4013がオフし、PNPトランジスタ4012がオフし、NMOSトランジスタ4011がオフする。その結果、NMOSトランジスタ4011のソース−ドレイン間が遮断されるため、ヘッド駆動回路101への電圧VAANの供給が停止する。
ここに、アンドゲート405は、制御信号VDD_ONと制御信号VAAN_ONとの論理積を演算する論理積回路を構成する。供給回路401のNMOSトランジスタ4011と、PNPトランジスタ4012と、NPNトランジスタ4013とは、電圧VAANをヘッド駆動回路101に供給するか否かを、制御信号VDD_ONと制御信号VAAN_ONとの論理積に応じて切り替えるスイッチとして機能する。
放電回路402は、放電抵抗4021と、PMOSトランジスタ4022と、NPNトランジスタ4023と、PNPトランジスタ4024とを含む。放電抵抗4021は、一端を電源ラインL4の前記NMOSトランジスタ4011よりもヘッド駆動回路101側に接続し、他端をPMOSトランジスタ4022のドレインに接続する。PMOSトランジスタ4022は、ソースをグラウンド電位GNDの端子に接続し、ゲートをグラウンド電位GNDの端子とNPNトランジスタ4023のコレクタとの間に接続する。NPNトランジスタ4023は、エミッタを電圧VAANの端子に接続し、ベースをPNPトランジスタ4024のコレクタに接続する。PNPトランジスタ4024は、エミッタを電圧VDDの端子に接続し、ベースをアンドゲート405の出力端子に接続する。
アンドゲート405から制御信号VAAN_ONが出力されると、放電回路402では、PNPトランジスタ4024がオフし、NPNトランジスタ4023がオフし、PMOSトランジスタ4022がオフする。その結果、放電抵抗4021に電流は流れない。
アンドゲート405から制御信号VAAN_ONが出力されなくなると、放電回路402では、PNPトランジスタ4024がオンし、NPNトランジスタ4023がオンし、PMOSトランジスタ4022がオンする。このとき、NMOSトランジスタ4011により電源ラインL4が遮断されているため、電源ラインL4を介してヘッド駆動回路101から放電抵抗4021に電流が流れ込む。その結果、放電現象が生じ、ヘッド駆動回路101では、電圧VAANがグラウンド電位GNDまで上昇する。このときの時定数は、コンデンサ403の容量と放電抵抗4021の抵抗値とによって決まる。
図12は、電圧VCC用回路500の構成を示す回路図である。電圧VCC用回路500は、供給回路501と、放電回路502と、充放電用のコンデンサ503と、10メガオーム程度の抵抗504と、アンドゲート505とを含む。コンデンサ503と抵抗504とは、いずれも供給回路501及び放電回路502よりもヘッド駆動回路101側において、電圧VCCの電源ラインL3とグラウンド電位GNDの端子との間に接続される。
供給回路501は、PMOSトランジスタ5011と、NPNトランジスタ5012とを含む。PMOSトランジスタ5011は、ソース−ドレイン間を電源ラインL3に接続し、ゲートをNPNトランジスタ5012のコレクタに接続する。NPNトランジスタ5012は、エミッタをグラウンド電位GNDの端子に接続し、ベースをアンドゲート505の出力端子に接続する。
アンドゲート505は、第1乃至第3の3つの入力端子を備え、第1の入力端子を制御信号VDD_ONの信号線L11に接続し、第2の入力端子を制御信号VAAN_ONの信号線L12に接続し、第3の入力端子を制御信号VCC_ONの信号線L13に接続する。
シーケンスコントローラ2111から信号線L13に出力される制御信号VCC_ONがオンすると、信号線L11に出力される制御信号VDD_ONと信号線L12に出力される制御信号VAAN_ONとがオンしていることを条件に、アンドゲート505から制御信号VCC_ONが出力される。アンドゲート505から制御信号VCC_ONが出力されると、供給回路501では、NPNトランジスタ5012がオンし、PMOSトランジスタ5011がオンする。その結果、PMOSトランジスタ5011のソース−ドレイン間を電流が流れるため、電源ラインL3を介してヘッド駆動回路101に電圧VCCが供給される。
制御信号VCC_ON、制御信号VAAN_ON、制御信号VDD_ONのうちいずれかの信号がオフすると、アンドゲート505から制御信号VCC_ONが出力されなくなる。アンドゲート505から制御信号VCC_ONが出力されなくなると、供給回路501では、NPNトランジスタ5012がオフし、PMOSトランジスタ5011がオフする。その結果、PMOSトランジスタ5011のソース−ドレイン間が遮断されるため、ヘッド駆動回路101への電圧VCCの供給が停止する。
ここに、アンドゲート505は、制御信号VDD_ONと制御信号VAAN_ONと制御信号VCC_ONとの論理積を演算する論理積回路を構成する。供給回路501のPMOSトランジスタ5011とNPNトランジスタ5012とは、電圧VCCをヘッド駆動回路101に供給するか否かを、制御信号VDD_ONと制御信号VAAN_ONと制御信号VCC_ONとの論理積に応じて切り替えるスイッチとして機能する。
放電回路502は、放電抵抗5021と、NMOSトランジスタ5022と、NPNトランジスタ5023とを含む。放電抵抗5021は、一端を電源ラインL3の前記PMOSトランジスタ5011よりもヘッド駆動回路101側に接続し、他端をNMOSトランジスタ5022のドレインに接続する。NMOSトランジスタ5022は、ソースをグラウンド電位GNDの端子に接続し、ゲートを電圧VDDの端子とNPNトランジスタ5023のコレクタとの間に接続する。NPNトランジスタ5023は、エミッタをグラウンド電位GNDの端子に接続し、ベースをアンドゲート505の出力端子に接続する。
アンドゲート505から制御信号VCC_ONが出力されると、放電回路502では、NPNトランジスタ5023がオンし、NMOSトランジスタ5022がオフする。その結果、放電抵抗5021に電流は流れない。
アンドゲート505から制御信号VCC_ONが出力されなくなると、放電回路502では、NPNトランジスタ5023がオフし、NMOSトランジスタ5022がオンする。このとき、PMOSトランジスタ5011により電源ラインL3が遮断されているため、電源ラインL3を介してヘッド駆動回路101から放電抵抗5021に電流が流れ込む。その結果、放電現象が生じ、ヘッド駆動回路101では、電圧VCCがグラウンド電位GNDまで低下する。このときの時定数は、コンデンサ503の容量と放電抵抗5021の抵抗値とによって決まる。
図13は、電圧VAAP用回路600の構成を示す回路図である。電圧VAAP用回路600は、供給回路601と、放電回路602と、充放電用のコンデンサ603と、10メガオーム程度の抵抗604と、アンドゲート605とを含む。コンデンサ603と抵抗604とは、いずれも供給回路601及び放電回路602よりもヘッド駆動回路101側において、電圧VAAPの電源ラインL5とグラウンド電位GNDの端子との間に接続される。
供給回路601は、PMOSトランジスタ6011と、NPNトランジスタ6012とを含む。PMOSトランジスタ6011は、ソース−ドレイン間を電源ラインL5に接続し、ゲートをNPNトランジスタ6012のコレクタに接続する。NPNトランジスタ6012は、エミッタをグラウンド電位GNDの端子に接続し、ベースをアンドゲート605の出力端子に接続する。
アンドゲート605は、第1乃至第4の4つの入力端子を備え、第1の入力端子を制御信号VDD_ONの信号線L11に接続し、第2の入力端子を制御信号VAAN_ONの信号線L12に接続し、第3の入力端子を制御信号VCC_ONの信号線L13に接続し、第4の入力端子を制御信号VAAP_ONの信号線L14に接続する。
シーケンスコントローラ2111から信号線L14に出力される制御信号VAAP_ONがオンすると、信号線L11に出力される制御信号VDD_ONと信号線L12に出力される制御信号VAAN_ONと信号線L13に出力される制御信号VCC_ONとがオンしていることを条件に、アンドゲート605から制御信号VAAP_ONが出力される。アンドゲート605から制御信号VAAP_ONが出力されると、供給回路601では、NPNトランジスタ6012がオンし、PMOSトランジスタ6011がオンする。その結果、PMOSトランジスタ6011のソース−ドレイン間を電流が流れるため、電源ラインL5を介してヘッド駆動回路101に電圧VAAPが供給される。
制御信号VAAP_ON、制御信号VCC_ON、制御信号VAAN_ON、制御信号VDD_ONのうちいずれかの信号がオフすると、アンドゲート605から制御信号VAAP_ONが出力されなくなる。アンドゲート605から制御信号VAAP_ONが出力されなくなると、供給回路601では、NPNトランジスタ6012がオフし、PMOSトランジスタ6011がオフする。その結果、PMOSトランジスタ6011のソース−ドレイン間が遮断されるため、ヘッド駆動回路101への電圧VAAPの供給が停止する。
ここに、アンドゲート605は、制御信号VDD_ONと制御信号VAAN_ONと制御信号VCC_ONと制御信号VAAP_ONとの論理積を演算する論理積回路を構成する。供給回路601のPMOSトランジスタ6011とNPNトランジスタ6012とは、電圧VAAPをヘッド駆動回路101に供給するか否かを、制御信号VDD_ONと制御信号VAAN_ONと制御信号VCC_ONと制御信号VAAP_ONとの論理積に応じて切り替えるスイッチとして機能する。
放電回路602は、放電抵抗6021と、NMOSトランジスタ6022と、NPNトランジスタ6023とを含む。放電抵抗6021は、一端を電源ラインL5の前記PMOSトランジスタ6011よりもヘッド駆動回路101側に接続し、他端をNMOSトランジスタ6022のドレインに接続する。NMOSトランジスタ6022は、ソースをグラウンド電位GNDの端子に接続し、ゲートを電圧VDDの端子とNPNトランジスタ6023のコレクタとの間に接続する。NPNトランジスタ6023は、エミッタをグラウンド電位GNDの端子に接続し、ベースをアンドゲート605の出力端子に接続する。
アンドゲート605から制御信号VAAP_ONが出力されると、放電回路602では、NPNトランジスタ6023がオンし、NMOSトランジスタ6022がオフする。その結果、放電抵抗6021に電流が流れない。
アンドゲート605から制御信号VAAP_ONが出力されなくなると、放電回路602では、NPNトランジスタ6023がオンし、NMOSトランジスタ6022がオンする。このとき、PMOSトランジスタ6011により電源ラインL5が遮断されているため、電源ラインL5を介してヘッド駆動回路101から放電抵抗6021に電流が流れ込む。その結果、放電現象が生じ、ヘッド駆動回路101では、電圧VAAPがグラウンド電位GNDまで低下する。このときの時定数は、コンデンサ603の容量と放電抵抗6021の抵抗値とによって決まる。
次に、シーケンスコントローラ2111の異常により、通常のシーケンスとは異なる順番でヘッド100に電圧が供給されたり、電圧の供給が停止したりした場合のプリンタ200の動作について、図14乃至図19のタイミングチャートを用いて説明する。
前述したように、ヘッド100に電圧を供給する際の通常のシーケンスは、先ず、電圧VDDを供給し、次いで電圧VAANを供給し、次いで電圧VCCを供給し、最後に電圧VAAPを供給する。ヘッド100に供給されている電圧を停止する際の通常のシーケンスは、先ず、電圧VAAPの供給を停止し、次いで電圧VCCの供給を停止し、次いで電圧VAANの供給を停止し、最後に電圧VDDの供給を停止する。
図14乃至図19において、横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示す。また、時間軸において、時点t1は、通常のシーケンスにおいて、電圧VDDを供給するタイミングであり、時点t2は、通常のシーケンスにおいて、電圧VAANを供給するタイミングであり、時点t3は、通常のシーケンスにおいて、電圧VCCを供給するタイミングであり、時点t4は、通常のシーケンスにおいて、電圧VAAPを供給するタイミングである。同様に、時点t5は、通常のシーケンスにおいて、電圧VAAPの供給を停止するタイミングであり、時点t6は、通常のシーケンスにおいて、電圧VCCの供給を停止するタイミングであり、時点t7は、通常のシーケンスにおいて、電圧VAANの供給を停止するタイミングであり、時点t8は、通常のシーケンスにおいて、電圧VDDの供給を停止するタイミングである。
すなわちシーケンスコントローラ2111は、時点t1において制御信号VDD_ONをオンし、時点t2において制御信号VAAN_ONをオンし、時点t3において制御信号VCC_ONをオンし、時点t4において制御信号VAAP_ONをオンする。またシーケンスコントローラ2111は、時点t5において制御信号VAAP_ONをオフし、時点t6において制御信号VCC_ONをオフし、時点t7において制御信号VAAN_ONをオフし、時点t8において制御信号VDD_ONをオフする。
図14は、制御信号VCC_ONをオンするタイミングが、制御信号VAAP_ONをオンするタイミング(時点t4)よりも遅れた場合である。図14において、時点t11は、制御信号VCC_ONがオンしたタイミングを示す。
図14の例の場合、時点t1では、制御信号VDD_ONがオンするため、電圧VDD用回路300のPMOSトランジスタ3011がオンする。その結果、ヘッド駆動回路101に電圧VDDが供給される。
時点t2では、制御信号VDD_ONがオンしている状態で制御信号VAAN_ONがオンするため、電圧VAAN用回路400のNMOSトランジスタ4011がオンする。その結果、ヘッド駆動回路101に電圧VAANが供給される。
時点t3では、制御信号VDD_ONと制御信号VAAN_ONとがオンしていても制御信号VCC_ONがオンしないため、電圧VCC用回路500のPMOSトランジスタ5011はオフのままである。その結果、ヘッド駆動回路101に電圧VCCは供給されない。
時点t4では、制御信号VDD_ONと制御信号VAAN_ONとがオンしている状態で制御信号VAAP_ONがオンするものの、制御信号VCC_ONがオンしていないため、電圧VAAP用回路600のPMOSトランジスタ6011はオフのままである。また、電圧VCC用回路500のPMOSトランジスタ5011もオフのままである。その結果、電圧VCC及び電圧VAAPはヘッド駆動回路101に供給されない。
時点t11では、制御信号VDD_ON、制御信号VAAN_ON及び制御信号VAAP_ONがオンしている状態で制御信号VCC_ONがオンするため、電圧VAAP用回路600のPMOSトランジスタ6011がオンする。また、制御信号VDD_ON及び制御信号VAAN_ONがオンしている状態で制御信号VCC_ONがオンするため、電圧VCC用回路500のPMOSトランジスタ5011もオンする。その結果、電圧VCCと電圧VAAPとがヘッド駆動回路101に同時に供給される。
図14の例の場合、ヘッド駆動回路101に対して時点t1にて電圧VDDが供給され、時点t2にて電圧VCCNが印加された後、時点t11にて電圧VCCと電圧VAAPとが同時に供給される。このように、制御信号VCC_ONをオンするタイミングが、制御信号VAAP_ONをオンするタイミングよりも遅れたとしても、電圧VCCと電圧VAAPとは同時に供給され、その順序は入れ替わらない。
図15は、制御信号VAAN_ONをオンするタイミングが、制御信号VAAP_ONをオンするタイミングよりも遅れた場合である。図15において、時点t12は、制御信号VAAN_ONがオンしたタイミングを示す。
図15の例の場合、時点t1では、制御信号VDD_ONがオンするため、電圧VDD用回路300のPMOSトランジスタ3011がオンする。その結果、ヘッド駆動回路101に電圧VDDが供給される。
時点t2では、制御信号VDD_ONしているものの制御信号VAAN_ONがオンしないため、電圧VAAN用回路400のNMOSトランジスタ4011はオフのままである。その結果、電圧VAANはヘッド駆動回路101に供給されない。
時点t3では、制御信号VDD_ONがオンしている状態で、制御信号VCC_ONがオンするものの、制御信号VAAN_ONがオンしていないため、電圧VCC用回路500のPMOSトランジスタ5011はオフのままである。また、電圧VAAN用回路400のNMOSトランジスタ4011もオフのままである。その結果、電圧VAAN及び電圧VCCはヘッド駆動回路101に供給されない。
時点t4では、制御信号VDD_ONと制御信号VCC_ONとがオンしている状態で制御信号VAAP_ONがオンするものの、制御信号VAAN_ONがオンしていないため、電圧VAAP用回路600のPMOSトランジスタ6011はオフのままである。また、電圧VCC用回路500のPMOSトランジスタ5011及び電圧VAAN用回路400のNMOSトランジスタ4011もオフのままである。その結果、電圧VAAN、電圧VCC及び電圧VAAPはヘッド駆動回路101に供給されない。
時点t12では、制御信号VDD_ON、制御信号VCC_ON及び制御信号VAAP_ONがオンしている状態で制御信号VAAN_ONがオンするため、電圧VAAP用回路600のPMOSトランジスタ6011がオンする。また、制御信号VDD_ON及び制御信号VCC_ONがオンしている状態で制御信号VAAN_ONがオンするため、電圧VCC用回路500のPMOSトランジスタ5011もオンする。さらに、制御信号VDD_ONがオンしている状態で制御信号VAAN_ONがオンするため、電圧VAAN用回路400のNMOSトランジスタ4011もオンする。その結果、電圧VAANと電圧VCCと電圧VAAPとがヘッド駆動回路101に同時に供給される。
図15の例の場合、ヘッド駆動回路101に対して時点t1にて電圧VDDが供給された後、時点t12にて電圧VAANと電圧VCCと電圧VAAPとが同時に供給される。このように、制御信号VAAN_ONをオンするタイミングが、制御信号VAAP_ONをオンするタイミングよりも遅れたとしても、電圧VAANと電圧VCCと電圧VAAPとは同時に供給され、その順序は入れ替わらない。
図16は、制御信号VDD_ONをオンするタイミングが、制御信号VAAP_ONをオンするタイミングよりも遅れた場合である。図16において、時点t13は、制御信号VDD_ONがオンしたタイミングを示す。
図16の例の場合、時点t1では、制御信号VDD_ONがオンしないため、電圧VDD用回路300のPMOSトランジスタ3011はオフのままである。その結果、電圧VDDはヘッド駆動回路101に供給されない。
時点t2では、制御信号VAAN_ONがオンするものの、制御信号VDD_ONがオフのため、電圧VAAN用回路400のNMOSトランジスタ4011はオフのままである。また、電圧VDD用回路300のPMOSトランジスタ3011もオフのままである。その結果、電圧VDD及び電圧VAANはヘッド駆動回路101に供給されない。
時点t3では、制御信号VAAN_ONがオンしている状態で、制御信号VCC_ONがオンするものの、制御信号VDD_ONがオンしていないため、電圧VCC用回路500のPMOSトランジスタ5011はオフのままである。また、電圧VDD用回路300のPMOSトランジスタ3011及び電圧VAAN用回路400のNMOSトランジスタ4011もオフのままである。その結果、電圧VDD、電圧VAAN及び電圧VCCはヘッド駆動回路101に供給されない。
時点t4では、制御信号VAAN_ONと制御信号VCC_ONとがオンしている状態で制御信号VAAP_ONがオンするものの、制御信号VDD_ONがオンしていないため、電圧VAAP用回路600のPMOSトランジスタ6011はオフのままである。また、電圧VDD用回路300のPMOSトランジスタ3011と、電圧VAAN用回路400のNMOSトランジスタ4011と、電圧VCC用回路500のPMOSトランジスタ5011もオフのままである。その結果、電圧VDD、電圧VAAN、電圧VCC及び電圧VAAPはヘッド駆動回路101に供給されない。
時点t13では、制御信号VAAN_ON、制御信号VCC_ON及び制御信号VAAP_ONがオンしている状態で制御信号VDD_ONがオンするため、電圧VAAP用回路600のPMOSトランジスタ6011がオンする。また、制御信号VAAN_ON及び制御信号VCC_ONがオンしている状態で制御信号VDD_ONがオンするため、電圧VCC用回路500のPMOSトランジスタ5011もオンする。さらに、制御信号VAAN_ONがオンしている状態で制御信号VDD_ONがオンするため、電圧VAAN用回路400のNMOSトランジスタ4011もオンする。また、制御信号VDD_ONがオンするため、電圧VDD用回路300のPMOSトランジスタ3011もオンする。その結果、電圧VDDと電圧VAANと電圧VCCと電圧VAAPとがヘッド駆動回路101に同時に供給される。
図16の例の場合、ヘッド駆動回路101に対して時点t13にて電圧VDDと電圧VAANと電圧VCCと電圧VAAPとが同時に供給される。このように、制御信号VDD_ONをオンするタイミングが、制御信号VAAP_ONをオンするタイミングよりも遅れたとしても、電圧VDDと電圧VAANと電圧VCCと電圧VAAPとは同時に供給され、その順序は入れ替わらない。
図17は、制御信号VCC_ONをオフするタイミングが制御信号VAAP_ONをオフするタイミングよりも早まった場合である。図17において、時点t21は、制御信号VCC_ONがオフしたタイミングを示す。
図17の例の場合、時点t21では、制御信号VCC_ONがオフするため、電圧VCC用回路500のPMOSトランジスタ5011がオフする。また、制御信号VAAP_ONはオンしているものの、制御信号VCC_ONがオフするため、電圧VAAP用回路600のPMOSトランジスタ6011もオフする。その結果、ヘッド駆動回路101に対して電圧VCCの供給が停止すると同時に電圧VAAPの供給も停止する。
時点t5では、制御信号VAAP_ONがオフする。ただし、電圧VAAP用回路600のPMOSトランジスタ6011は、既にオフしているため、ヘッド駆動回路101に供給される電圧に変化はない。
時点t6では、既に制御信号VCC_ONがオフしている。このため、ヘッド駆動回路101に供給される電圧に変化はない。
時点t7では、制御信号VAAN_ONがオフするため、電圧VAAN用回路400のNMOSトランジスタ4011がオフする。その結果、ヘッド駆動回路101に対して電圧VAANの供給が停止する。
時点t8では、制御信号VDD_ONがオフするため、電圧VDD用回路300のPMOSトランジスタ3011がオフする。その結果、ヘッド駆動回路101に対して電圧VDDの供給が停止する。
図17の例の場合、制御信号VAAP_ONがオンであるにも関わらず、時点t21にて制御信号VCC_ONがオフすると、ヘッド駆動回路101に対して電圧VCCと電圧VAAPとの供給が同時に停止する。その後、時点t7にて電圧VAANの供給が停止され、時点t8において電圧VDDの供給が停止される。このように、制御信号VCC_ONをオフするタイミングが、制御信号VAAP_ONをオフするタイミングより早まったとしても、電圧VAAPは電圧VCCと同時に供給が停止され、その順序は入れ替わらない。
図18は、制御信号VAAN_ONをオフするタイミングが制御信号VAAP_ONをオフするタイミングよりも早まった場合である。図18において、時点t22は、制御信号VAAN_ONがオフしたタイミングを示す。
図18の例の場合、時点t22では、制御信号VAAN_ONがオフするため、電圧VAAN用回路400のNMOSトランジスタ4011がオフする。また、制御信号VAAP_ON及び制御信号VCC_ONはオンしているものの、制御信号VAAN_ONがオフするため、電圧VAAP用回路600のPMOSトランジスタ6011及び電圧VCC用回路500のPMOSトランジスタ5011もオフする。その結果、ヘッド駆動回路101に対して電圧VAANの供給が停止すると同時に電圧VCCと電圧VAAPとの供給も停止する。
時点t5では、制御信号VAAP_ONがオフする。ただし、電圧VAAP用回路600のPMOSトランジスタ6011は、既にオフしているため、ヘッド駆動回路101に供給される電圧に変化はない。
時点t6では、制御信号VCC_ONがオフする。ただし、電圧VCC用回路500のPMOSトランジスタ5011は、既にオフしているため、ヘッド駆動回路101に供給される電圧に変化はない。
時点t7では、既に制御信号VAAN_ONがオフしている。このため、ヘッド駆動回路101に供給される電圧に変化はない。
時点t8では、制御信号VDD_ONがオフするため、電圧VDD用回路300のPMOSトランジスタ3011がオフする。その結果、ヘッド駆動回路101に対して電圧VDDの供給が停止する。
図18の例の場合、制御信号VAAP_ON及び制御信号VCC_ONがオンであるにも関わらず、時点t22にて制御信号VAAN_ONがオフすると、ヘッド駆動回路101に対して電圧VAANと電圧VCCと電圧VAAPとの供給が同時に停止する。その後、時点t8において電圧VDDの供給が停止される。このように、制御信号VAAN_ONをオフするタイミングが、制御信号VAAP_ONをオフするタイミングより早まったとしても、電圧VAAP及び電圧VCCは、電圧VAANと同時に供給が停止され、その順序は入れ替わらない。
図19は、制御信号VDD_ONをオフするタイミングが制御信号VAAP_ONをオフするタイミングよりも早まった場合である。図19において、時点t23は、制御信号VDD_ONがオフしたタイミングを示す。
図19の例の場合、時点t23では、制御信号VDD_ONがオフするため、電圧VDD用回路300のPMOSトランジスタ3011がオフする。また、制御信号VAAP_ON、制御信号VCC_ON及び制御信号VAAN_ONはオンしているものの、制御信号VDD_ONがオフするため、電圧VAAP用回路600のPMOSトランジスタ6011、電圧VCC用回路500のPMOSトランジスタ5011及び電圧VAAN用回路400のNMOSトランジスタ4011もオフする。その結果、ヘッド駆動回路101に対して電圧VDDの供給が停止すると同時に電圧VAAN、電圧VCC及び電圧VAAPの供給も停止する。
時点t5では、制御信号VAAP_ONがオフする。ただし、電圧VAAP用回路600のPMOSトランジスタ6011は、既にオフしているため、ヘッド駆動回路101に供給される電圧に変化はない。
時点t6では、制御信号VCC_ONがオフする。ただし、電圧VCC用回路500のPMOSトランジスタ5011は、既にオフしているため、ヘッド駆動回路101に供給される電圧に変化はない。
時点t7では、制御信号VAAN_ONがオフする。ただし、電圧VAAN用回路400のNMOSトランジスタ4011は、既にオフしているため、ヘッド駆動回路101に供給される電圧に変化はない。
時点t8では、既に制御信号VDD_ONがオフしている。このため、ヘッド駆動回路101に供給される電圧に変化はない。
図19の例の場合、制御信号VAAP_ON、制御信号VCC_ON及び制御信号VAAN_ONがオンであるにも関わらず、時点t23にて制御信号VDD_ONがオフすると、ヘッド駆動回路101に対して電圧VDDと電圧VAANと電圧VCCと電圧VAAPとの供給が同時に停止する。このように、制御信号VDD_ONをオフするタイミングが、制御信号VAAP_ONをオフするタイミングより早まったとしても、電圧VAAP、電圧VCC及び電圧VAANは、電圧VDDと同時に供給が停止され、その順序は入れ替わらない。
このように、プリンタ200は、シーケンスコントローラ2111からシーケンスとは異なる順序で電圧の印加開始を制御する信号が出力されると、当該信号よりも先に出力されるべき信号がシーケンスコントローラ2111から出力されるまで当該信号が供給回路401,501,601に出力されるのを阻止するゲート回路(アンドゲート405、505,605)を備えている。このような構成により、図14乃至図16を用いて説明したように、プリンタ200は、電圧オンのシーケンス制御に異常が生じても、ヘッド駆動回路101に供給される電圧の順番が入れ替わることはない。
また、プリンタ200は、シーケンスコントローラ2111からシーケンスとは異なる順序で電圧の印加終了を制御する信号が出力されると、当該信号よりも先に出力されるべき信号がシーケンスコントローラ2111から出力されるまで当該制御信号が放電回路402,502,602に出力されるのを阻止するゲート回路(アンドゲート405、505,605)を備えている。このような構成により、図17乃至図19を用いて説明したように、プリンタ200は、電圧オフのシーケンス制御に異常が生じても、ヘッド駆動回路101への供給が停止される電圧の順番が入れ替わることはない。
したがって本実施形態によれば、電源の立ち上がり時にヘッド100に組み込まれた回路の出力が不安定になったり、半導体素子のラッチアップにより生じる貫通電流で回路が破壊されたりするおそれはない。また電源の遮断時においても、ヘッド100に組み込まれた回路の出力が不安定になったり、半導体素子のラッチアップにより生じる貫通電流で回路が破壊されたりするおそれはない。
ところで、電圧VDDの供給が停止したとき、ヘッド駆動回路101において電圧VDDがゼロボルトまで放電するのに要する時間T1は、放電回路302の時定数、すなわちコンデンサ303の容量と放電抵抗3021の抵抗値とによって決まる。同様に、電圧VAANの供給が停止したとき、ヘッド駆動回路101において電圧VAANがゼロボルトまで放電するのに要する時間T2は、放電回路402の時定数、すなわちコンデンサ403の容量と放電抵抗4021の抵抗値とによって決まる。電圧VCCの供給が停止したとき、電圧VCCがゼロボルトまで放電するのに要する時間T3は、放電回路502の時定数、すなわちコンデンサ503の容量と放電抵抗5021の抵抗値とによって決まる。電圧VAAPの供給が停止したとき、ヘッド駆動回路101において電圧VAAPがゼロボルトまで放電するのに要する時間T4は、放電回路602の時定数、すなわちコンデンサ603の容量と放電抵抗6021の抵抗値とによって決まる。このため、T1>T2>T3>T4の関係が満たされなければ、電圧VDD、電圧VAAN、電圧VCC及び電圧VAAPの供給が同時に停止したときに、シーケンスが入れ替わるおそれがある。
そこで本実施形態では、T1>T2>T3>T4の関係が満たされるように、電圧VDD用回路300、電圧VAAN用回路400、電圧VCC用回路500及び電圧VAAP用回路600の放電抵抗3021、4021、5021、6021の抵抗値と、コンデンサ303、403、503、603の容量とを決定する。ただし、コンデンサ303、403、503、603の容量は、ヘッド駆動回路101の駆動電流から一義的に決まる。このため、T1>T2>T3>T4の関係が満たされるように、放電抵抗3021、4021、5021、6021の抵抗値を決定すればよい。
図20(a)、(b)は、電圧VDD、電圧VAAN、電圧VCCまたは電圧VAAPの供給が同時に停止したときの電圧VDD、電圧VAAN、電圧VCC及び電圧VAAPの計時変化を示すグラフである。図20において、(a)は横軸の時間のスパンを1秒単位としたグラフであり、(b)は0.1秒単位としたグラフである。なお、各電圧の変化を比較しやすいように、電圧VAANに関しては負電圧を正電圧に置き換えて表わしている。
図20のグラフの例は、電圧VDDが+5V、電圧VAAPが+18V、電圧VCCが+24V、電圧VAANが−18Vの場合である。また、コンデンサ303の容量が47μF、コンデンサ403の容量が220μF、コンデンサ503の容量が100μF、コンデンサ603の容量が220μFの場合である。この場合、放電抵抗3021を22kΩとし、放電抵抗4021を680Ωとし、放電抵抗5021を820Ωとし、放電抵抗6021を330Ωとする。そうすると、図20に示すように、先ず、電圧VAAPがゼロボルトとなり、次いで電圧VCCがゼロボルトとなり、次いで電圧VAANがゼロボルトとなり、最後に電圧VDDがゼロボルトとなる。
このように本実施形態によれば、放電抵抗3021,4021,5021,6021の抵抗値を最適化することによって、電圧印加終了時のシーケンスを確実に守ることができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。
例えば前記実施形態では、制御信号VDD_ONと制御信号VAAN_ONとの論理積を演算する論理積回路をアンドゲート405で構成した。また、制御信号VDD_ONと制御信号VAAN_ONと制御信号VCC_ONとの論理積を演算する論理積回路をアンドゲート505で構成した。さらに、制御信号VDD_ONと制御信号VAAN_ONと制御信号VCC_ONと制御信号VAAP_ONとの論理積を演算する論理積回路をアンドゲート605で構成した。これらの論理積回路は、アンドゲートを用いず、トランジスタの配置によっても実現できる。
図21は、制御信号VDD_ONと制御信号VAAN_ONとの論理積を演算する論理積回路をトランジスタの配置によって実現する場合の回路図である。なお、図11と共通する部分には、同一符号を付しており、その詳しい説明は省略する。
供給回路401は、NMOSトランジスタ4011と、PNPトランジスタ4014及び4015と、NPNトランジスタ4016及び4017とを含む。NMOSトランジスタ4011は、ソース−ドレイン間を電源ラインL4に接続し、ゲートをPNPトランジスタ4014のコレクタに接続する。PNPトランジスタ4014は、エミッタをPNPトランジスタ4015のコレクタに接続し、ベースをNPNトランジスタ4016のコレクタに接続する。NPNトランジスタ4016は、エミッタをグラウンド電位GNDの端子に接続し、ベースを制御信号VAAN_ONの信号線L12に接続する。PNPトランジスタ4015は、エミッタを電圧VDDの端子に接続し、ベースをNPNトランジスタ4017のコレクタに接続する。NPNトランジスタ4017は、エミッタをグラウンド電位GNDの端子に接続し、ベースを制御信号VDD_ONの信号線L11に接続する。
放電回路402は、放電抵抗4021と、PMOSトランジスタ4022と、NPNトランジスタ4025及び4027と、PNPトランジスタ4026及び4028とを含む。放電抵抗4021は、一端を電源ラインL4の前記NMOSトランジスタ4011よりもヘッド駆動回路101側に接続し、他端をPMOSトランジスタ4022のドレインに接続する。PMOSトランジスタ4022は、ソースをグラウンド電位GNDの端子に接続し、ゲートをグラウンド電位GNDの端子とNPNトランジスタ4025のコレクタとの間に接続する。NPNトランジスタ4025は、エミッタを電圧VAANの端子に接続し、ベースをPNPトランジスタ4026のコレクタに接続する。PNPトランジスタ4026は、エミッタを電圧VDDの端子に接続し、ベースを制御信号VAAN_ONの信号線L12に接続する。NPNトランジスタ4027は、コレクタをNPNトランジスタ4025のコレクタに接続し、エミッタを電圧VAANの端子に接続し、ベースをPNPトランジスタ4028のコレクタに接続する。PNPトランジスタ4028は、エミッタを電圧VDDの端子に接続し、ベースを制御信号VDD_ONの信号線L11に接続する。
図21の電圧VAAN用回路400において、供給回路401は、VDD_ON信号がオンしている状態で、VAAN_ON信号がオンすると、PNPトランジスタ4014がオンするため、NMOSトランジスタ4011がオンする。その結果、NMOSトランジスタ4011のソース−ドレイン間を電流が流れるため、電源ラインL4を介してヘッド駆動回路101に電圧VAANが供給される。
ところが、VDD_ON信号がオンしていない状態で、VAAN_ON信号がオンしても、PNPトランジスタ4014はオンしない。したがって、VAAN_ON信号が先にオンしても、VDD_ON信号がオンするまではヘッド駆動回路101に電圧VAANが供給されない。
また、放電回路402では、VDD_ON信号とVAAN_ON信号がオンすると、PNPトランジスタ4026がオフし、NPNトランジスタ4025がオフし、PNPトランジスタ4028がオフし、NPNトランジスタ4029がオフし、PMOSトランジスタ4022がオフする。その結果、放電抵抗4021に電流は流れない。VDD_ON信号とVAAN_ON信号のうちいずれかの信号がオフすると、NPNトランジスタ4025またはNPNトランジスタ4029がオンし、PMOSトランジスタ4022がオンする。このとき、NMOSトランジスタ4011により電源ラインL4が遮断されているため、電源ラインL4を介してヘッド駆動回路101から放電抵抗4021に電流が流れ込む。その結果、放電現象が生じ、ヘッド駆動回路101では、電圧VAANがグラウンド電位GNDまで上昇する。このときの時定数は、コンデンサ403の容量と放電抵抗4021の抵抗値とによって決まる。
図22は、制御信号VDD_ONと制御信号VAAN_ONと制御信号VCC_ONとの論理積を演算する論理積回路をトランジスタの配置によって実現する場合の回路図である。なお、図12と共通する部分には、同一符号を付しており、その詳しい説明は省略する。
供給回路501は、NMOSトランジスタ5011と、NPNトランジスタ5013、5014及び5015とを含む。NMOSトランジスタ5011は、ソース−ドレイン間を電源ラインL3に接続し、ゲートをNPNトランジスタ5013のコレクタに接続する。NPNトランジスタ5013は、エミッタをNPNトランジスタ5014のコレクタに接続し、ベースを制御信号VCC_ONの信号線L13に接続する。NPNトランジスタ5014は、エミッタをNPNトランジスタ5015のコレクタに接続し、ベースを制御信号VAAN_ONの信号線L12に接続する。NPNトランジスタ5015は、エミッタをグラウンド電位GNDの端子に接続し、ベースを制御信号VDD_ONの信号線L11に接続する。
放電回路502は、放電抵抗5021と、PMOSトランジスタ5022と、NPNトランジスタ5024、5025及び5026とを含む。放電抵抗5021は、一端を電源ラインL3の前記NMOSトランジスタ5011よりもヘッド駆動回路101側に接続し、他端をPMOSトランジスタ5022のドレインに接続する。PMOSトランジスタ5022は、ソースをグラウンド電位GNDの端子に接続し、ゲートを電圧VDDの端子とNPNトランジスタ5024のコレクタとの間に接続する。NPNトランジスタ5024は、エミッタをNPNトランジスタ5025のコレクタに接続し、ベースを制御信号VCC_ONの信号線L13に接続する。NPNトランジスタ5025は、エミッタをNPNトランジスタ5026のコレクタに接続し、ベースを制御信号VAAN_ONの信号線L12に接続する。NPNトランジスタ5026は、エミッタをグラウンド電位GNDの端子に接続し、ベースを制御信号VDD_ONの信号線L11に接続する。
図22の電圧VCC用回路500において、供給回路501は、VDD_ON信号及びVAAN_ON信号がオンしている状態で、VCC_ON信号がオンすると、PNPトランジスタ5013、5014及び5015がオンするため、NMOSトランジスタ5011がオンする。その結果、NMOSトランジスタ5011のソース−ドレイン間を電流が流れるため、電源ラインL3を介してヘッド駆動回路101に電圧VCCが供給される。
ところが、VDD_ON信号またはVAAN_ON信号がオンしていない状態で、VCC_ON信号がオンしても、PNPトランジスタ5013はオンしない。したがって、VCC_ON信号が先にオンしても、VDD_ON信号及びVAAN_ON信号がオンするまではヘッド駆動回路101に電圧VCCが供給されない。
また、放電回路502は、VAAN_ON信号及びVDD_ON信号のオン、オフに係らず、VCC_ON信号がオフするまでは、PMOSトランジスタ5022がオンしない。したがって、VDD_ON信号またはVAAN_ON信号が先にオフしても、VCC_ON信号がオフするまでは放電現象が生じない。
図23は、制御信号VDD_ONと制御信号VAAN_ONと制御信号VCC_ONと制御信号VAAP_ONとの論理積を演算する論理積回路をトランジスタの配置によって実現する場合の回路図である。なお、図13と共通する部分には、同一符号を付しており、その詳しい説明は省略する。
供給回路601は、NMOSトランジスタ6011と、NPNトランジスタ6013、6014、6015及び6016とを含む。NMOSトランジスタ6011は、ソース−ドレイン間を電源ラインL5に接続し、ゲートをNPNトランジスタ6013のコレクタに接続する。NPNトランジスタ6013は、エミッタをNPNトランジスタ6014のコレクタに接続し、ベースを制御信号VAAP_ONの信号線L14に接続する。NPNトランジスタ6014は、エミッタをNPNトランジスタ6015のコレクタに接続し、ベースを制御信号VCC_ONの信号線L13に接続する。NPNトランジスタ6015は、エミッタをNPNトランジスタ6016のコレクタに接続し、ベースを制御信号VAAN_ONの信号線L12に接続する。NPNトランジスタ6016は、エミッタをグラウンド電位GNDの端子に接続し、ベースを制御信号VDD_ONの信号線L11に接続する。
放電回路602は、放電抵抗6021と、PMOSトランジスタ6022と、NPNトランジスタ6024、6025、6026及び6027とを含む。放電抵抗6021は、一端を電源ラインL5の前記NMOSトランジスタ6011よりもヘッド駆動回路101側に接続し、他端をPMOSトランジスタ6022のドレインに接続する。PMOSトランジスタ6022は、ソースをグラウンド電位GNDの端子に接続し、ゲートを電圧VDDの端子とNPNトランジスタ6024のコレクタとの間に接続する。NPNトランジスタ6024は、エミッタをNPNトランジスタ6025のコレクタに接続し、ベースを制御信号VAAP_ONの信号線L14に接続する。NPNトランジスタ6025は、エミッタをNPNトランジスタ6026のコレクタに接続し、ベースを制御信号VCC_ONの信号線L13に接続する。NPNトランジスタ6026は、エミッタをNPNトランジスタ6027のコレクタに接続し、ベースを制御信号VAAN_ONの信号線L12に接続する。NPNトランジスタ6027は、エミッタをグラウンド電位GNDの端子に接続し、ベースを制御信号VDD_ONの信号線L11に接続する。
図23の電圧VAAP用回路600において、供給回路601は、VDD_ON信号、VAAN_ON信号及びVCC_ON信号がいずれもオンしている状態で、VAAP_ON信号がオンすると、PNPトランジスタ6013、6014、6015及び6016がオンするため、NMOSトランジスタ6011がオンする。その結果、NMOSトランジスタ6011のソース−ドレイン間を電流が流れるため、電源ラインL5を介してヘッド駆動回路101に電圧VAAPが供給される。
ところが、VDD_ON信号、VAAN_ON信号及びVCC_ON信号のうち少なくとも1つの信号がオンしていない状態で、VAAP_ON信号がオンしても、PNPトランジスタ6013はオンしない。したがって、VAAP_ON信号が先にオンしても、VDD_ON信号、VAAN_ON信号及びVCC_ON信号がオンするまではヘッド駆動回路101に電圧VAAPが供給されない。
また、放電回路602は、VCC_ON信号、VAAN_ON信号及びVDD_ON信号のオン、オフに係らず、VAAP_ON信号がオフするまでは、PMOSトランジスタ6022がオンしない。したがって、VCC_ON信号、VDD_ON信号またはVAAN_ON信号が先にオフしても、VAAP_ON信号がオフするまでは放電現象が生じない。
また前記実施形態は、シェアモードタイプのヘッド100を用いたプリンタ20を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば第1の電圧と、この第1の電圧よりも値の小さい第2の電圧と、前記第1の電圧よりも値の大きい第3の電圧との印加により動作するインクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタにも、本実施形態と同様の技術思想を適用できるものである。
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。