JP2016198305A - 眼科装置、眼科装置の制御方法、プログラム - Google Patents
眼科装置、眼科装置の制御方法、プログラム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】被検眼を測定する撮像手段と被検眼との適切な作動距離と、被検眼に投影した指標の角膜反射像が合焦する作動距離とを一致させる眼科装置を提供する。【解決手段】眼底カメラは、被検眼Eを撮像する撮像部78と、被検眼Eと撮像部との作動距離合わせに用いる複数の指標を被検眼Eに投影する指標投影手段L01,L02と合焦した複数の指標の反射像の相対距離から、撮像部78が被検眼Eに合焦する位置までの第1の移動量を算出するとともに複数の指標の角膜反射像が合焦する位置までの第2の移動量を算出し、撮像部78を第1の移動量を移動させ、指標投影手段L01,L02を第2の移動量を移動させる制御手段と、を有する。【選択図】図2
Description
本発明は、眼科装置、眼科装置の制御方法、プログラムに関する。例えば、眼底カメラや、光干渉断層計(OCT)や、共焦点走査型レーザー検眼鏡(SLO)や、補償光学走査型レーザー検眼鏡(AO−SLO)などといった、被検眼を観察または撮像するために用いられる眼科撮像装置や、被検眼の眼底の表面画像および断層画像を撮像する眼底検査装置や、被検眼の眼特性を計測する眼屈折力測定装置などのような眼科装置と、この眼科装置の制御方法と、この眼科装置を制御するためのプログラムに関する。
従来の眼科装置の一種である眼底カメラでは、被検眼と眼科装置の検眼部との光軸方向作動距離(ワーキングディスタンス)を適切な距離になるように位置合わせし、その状態で、被検眼の眼底を撮像する。被検眼と検眼部との位置合わせ方法としては、被検眼の角膜に投影した指標の角膜反射像をモニタ上で観察し、手動で指標を合焦させる方法が知られている。さらに、被検眼角膜に投影した指標の角膜反射像の輝度分布に基づいて検眼部を移動させて位置合わせする方法が知られている。指標を投影して位置合わせをする構成として、特許文献1には、有限距離の有限遠指標と無限遠指標の二種類の指標を被検眼に向けて投影し、有限遠指標と無限遠指標の位置関係から作動距離を算出して適切か否かを判定する構成が開示されている。また、特許文献2には、作動距離が不適切であると投影した指標がずれ、作動距離が適切であると投影した指標が一致するよう光学部材を配置し、指標が一致しているか否かによって作動距離が適切か否かを判定する構成が開示されている。
このように、被検眼と検眼部の位置合わせにおいては、検者等は、被検眼の角膜に投影した指標の角膜反射像をモニタ上で確認し、その角膜反射像の状態に基づいて合焦しているか否かを判断する。そして、検者は、指標の角膜反射像が所定の合焦状態となった場合に、被検眼と検眼部の作動距離が適切であると判断する。しかしながら、被検眼の角膜に投影される指標の角膜反射像は、被検眼の角膜曲率に応じて結像位置が異なる。すなわち、角膜反射像が合焦状態になったとしても、被検眼と検眼部とが適正な作動距離になったとは限らず、被検眼の角膜曲率によってばらつく。例えば、角膜曲率を変化させた被検眼は、指標の角膜反射像が合焦状態となっていても、被検眼と検眼部の作動距離が適切でない場合がある。このため、指標の角膜反射像が合焦状態となっている状態で撮像を実施した場合であっても、被検眼の眼底画像にフレア等の外乱光が混入することがある。
特許文献3には、被検眼の角膜に投影した指標の角膜反射像の相対位置間距離から、角膜曲率に応じた適切な被検眼と装置本体の作動距離を導出する構成が開示されている。そして、角膜反射像の合焦状態の位置から観察撮像光学系を有する光学部全体を所定量ずらした位置を適切な作動距離と判断し、その位置で撮像を許可している。
しかしながら特許文献3の記載の構成では、角膜反射像が合焦状態に無い状態で被検眼を撮像することになり、検者に違和感を与えることになる。本発明が解決しようとする課題は、被検眼の角膜の曲率半径に応じて、被検眼を測定する撮像手段と被検眼との適切な作動距離と、被検眼に投影した指標の角膜反射像が合焦する作動距離とを一致させることである。
前記課題を解決するため、本発明の眼科装置は、被検眼を検査する検眼部と、前記検眼部に設けられ、前記被検眼を撮像する撮像手段と前記被検眼との作動距離を調整するための複数の指標を前記被検眼に投影する指標投影手段と、前記検眼部を前記作動距離の方向に移動させる第1の移動手段と、前記指標投影手段を光軸方向に沿って移動させる第2の移動手段と、前記撮像手段が前記被検眼と合焦する位置までの前記第1の移動手段の第1の移動量を算出するとともに、前記撮像手段が前記被検眼と合焦する位置において前記複数の指標の角膜反射像が合焦する位置までの前記第2の移動手段の第2の移動量を算出する移動量算出手段と、前記第1の移動量に基づいて前記第1の移動手段を制御し、前記第2の移動量に基づいて前記第2の移動手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
本発明により、被検眼の角膜の曲率半径に応じて、被検眼を測定する光学系が被検眼に合焦する距離と、被検眼に投影した指標の角膜反射像が合焦する距離とを一致させることができる。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本発明を適用できる眼科装置として、眼底カメラを示す。ただし、本発明を適用できる眼科装置は、眼底カメラに限定されない。本発明は、被検眼の眼底を観察または撮像するために用いられる眼科撮像装置や、被検眼の眼底の表面画像および断層画像を撮像する眼底検査装置や、被検眼の眼特性を計測する眼屈折力測定装置など、各種の眼科装置に適用できる。
まず、本発明の実施形態に係る眼科装置である眼底カメラ1000の全体構成について、図1を参照して説明する。図1は、眼底カメラ1000の構成例を模式的に示す全体図である。なお、本実施形態では、被検眼Eの眼幅方向(図1においては紙面に直角な方向)をX方向とし、被検眼Eの上下方向をY方向とし、被検眼Eの前後方向(光軸方向)をZ方向とする。
眼底カメラ1000は、基部の例である基台1006と、可動部の例である可動台1005と、上下移動台1004と、検眼部1001と、操作部材1003と、システム制御部1008と、第1の移動手段の例であるX−Z駆動部1009と、Y駆動部1010と、を有する。基台1006には、被検者Mの顎を保持する顎受け台1007が設けられる。可動台1005は、基台1006に、X−Z方向(水平方向)に相対的に移動可能に設けられる。可動台1005には、眼底カメラ1000を操作するための操作部材1003が設けられる。検眼部1001は、被検眼Eの眼底の観察や撮像を行う部分である。検眼部1001には、被検眼Eの眼底の観察や撮像に用いられる光学系と表示部1002が設けられる。光学系の構成については後述する。表示部1002は、検眼部1001が撮像した画像(観察画像)や、眼底カメラ1000を操作するためのメニューなどを表示できる。表示部1002には、液晶表示装置などの各種表示装置や、表示装置とタッチパネルの組合あわせが適用される。上下移動台1004は、可動台1005に設けられ、検眼部1001を可動台1005に対して上下方向(Y方向)に移動可能に支持する。
システム制御部1008は、眼底カメラ1000の各部を制御する。例えば、システム制御部1008は、検者等による操作部材1003の操作に応じて、X−Z駆動部1009とY駆動部1010とを含む眼底カメラ1000の各部を制御する。検者等(使用者)は、操作部材1003を操作することによって、可動台1005をX−Z方向(水平方向)に移動させることができるとともに、上下移動台1004を上下方向に移動させることができる。すなわち、検者等は、操作部材1003を操作することで、被検眼Eと検眼部1001の位置合わせを行うことができる。
システム制御部1008には、例えば、CPUとROMとRAMとを有するコンピュータが適用できる。ROMには、後述する処理を含め、眼底カメラ1000を制御するためのコンピュータプログラムや所定のテーブルや設定が格納されている。CPUは、このコンピュータプログラムをROMから読出し、RAMをワークエリアとして用いて実行する。この際、CPUは、ROMに格納されるテーブル設定を適宜読み出して用いる。これにより、このコンピュータはシステム制御部1008として機能し、後述する処理を含め、眼底カメラ1000の制御が実現する。
X−Z駆動部1009は、システム制御部1008による制御に従い、可動台1005をX−Z方向(水平方向)に移動させる。Y駆動部1010は、システム制御部1008による制御に従い、上下移動台1004をY方向(上下方向)に移動させる。X−Z駆動部1009には、コンピュータ制御可能な2次元ステージなど、公知の各種二次元駆動機構を有する。Y駆動部1010は、コンピュータ制御可能な送りネジ機構など、公知の各種一次元駆動機構が適用できる。
次に、検眼部1001の光学系の構成例について、図2を参照して説明する。図2は、検眼部1001の光学系の構成例を模式的に示す図である。検眼部1001は、撮像光源部O1と、観察光源部O2と、照明光学系O3と、撮像/観察光学系O4と、撮像光学系O5と、内部固視灯部O6とを有する。撮像光源部O1と観察光源部O2のそれぞれから射出された光束(リング照明)は、照明光学系O3と撮像/観察光学系O4を経て、被検眼Eの底部を照明する。その反射光束(すなわち、被検眼Eの眼底像)は、撮像/観察光学系O4と撮像光学系O5を経て、撮像素子31に結像される。撮像素子31は、結像した被検眼Eの光学像を電気信号に変換し、変換した電気信号を被検眼Eの眼底像の画像データとして出力する。撮像素子31から出力された画像データは、AD変換部73においてデジタル形式に変換され、表示部1002に表示される。
撮像光源部O1は、白色光(可視光)のリング照明を作り出す。撮像光源13は、白色光(可視光)を発する光源である。撮像光源13には、例えばキセノン管が適用される。キセノン管は、Xeが封入されたガラス管を有し、電圧を印加することで発光する。キセノン管を用いる構成であれば、撮像時に眼底像を記録するために十分な強度の白色光(可視光)を得ることが可能である。ミラー12は、ガラス板にアルミや銀の蒸着を施したものやアルミ板などで構成される。光量検出手段11は、撮像光源13の光量を検出する。光量検出手段11には、SPCやPDなど既知の光電変換を利用したセンサが適用できる。撮像コンデンサレンズ14は、撮像光源13が発する光束を、被検眼Eの眼底に向けて集光する。撮像コンデンサレンズ14には、一般的な球面レンズが適用される。撮像リングスリット15は、この光束を、被検眼Eの前眼部を通過する際の光束形状がリング状となるように成形する。撮像水晶体バッフル16は、被検眼水晶体へ投影される光束を制限し、眼底像に不要な被検眼の水晶体からの反射光が写りこむことを防ぐ。撮像リングスリット15と撮像水晶体バッフル16は、それぞれ、リング状の開口を持った平板である。
観察光源部O2は、赤外線のリング照明を作り出す。観察光源17は、赤外線を発する。観察光源17は、例えば、ハロゲンランプやLEDなど連続発光可能な光源であり、素子の特性やフィルタによって赤外線を発する。観察コンデンサレンズ18は、観察光源17が発する赤外線を被検眼Eの眼底に向けて集光する。観察コンデンサレンズ18は、一般的な球面レンズである。観察リングスリット19は、この光束を、被検眼Eの前眼部を通過する際の光束形状がリング状となるように成形する。観察水晶体バッフル20は、眼底像への水晶体からの反射光の写りこみを防ぐ。観察リングスリット19と観察水晶体バッフル20は、それぞれ、リング状の開口を持った平板である。
照明光学系O3は、撮像光源部O1と観察光源部O2のそれぞれで作られたリング照明をリレーするとともに、眼底像の焦点合わせのための指標像を造りこむ。ダイクロイックミラー21は、赤外線を透過し、可視光を反射する。撮像光源部O1で作られた白色光(可視光)のリング照明は、ダイクロイックミラー21で反射して照明光学系O3に導光される。観察光源部O2で作られた赤外線のリング照明は、ダイクロイックミラー21を透過して照明光学系O3に導光される。第1照明リレーレンズ22と第2照明リレーレンズ24は、リング照明を被検眼Eに結像する。角膜バッフル25は、眼底像に不要な被検眼の角膜からの反射光の写りこみを防ぐ。
スプリットユニット23は、フォーカス指標光源231と、プリズム232と、フォーカス指標マスク233と、挿抜機構234と、移動機構235とを有する。フォーカス指標光源231は、被検眼Eにフォーカス指標を投影するための光源である。プリズム232は、光路を分割する。フォーカス指標マスク233は、フォーカス指標の外形を示す。挿抜機構234は、フォーカス指標光源231と、プリズム232と、フォーカス指標マスク233とを、観察時には照明光学系O3の光路に挿入し、撮像時には照明光学系O3の光路から退避させる。挿抜機構234は、スプリット挿抜駆動モータM2の駆動力により、フォーカス指標光源231と、プリズム232と、フォーカス指標マスク233とを挿抜駆動する。そして、眼底観察時にはスプリットユニット23を照明光学系O3の光路内に進入させ、観察像の中にスプリット指標を投影する。撮像時には、スプリットユニット23を照明光学系O3の光路から退避させ、観察画像の中にフォーカス指標が写りこまないようにする。移動機構235は、スプリットシフト駆動モータM1の駆動力によってスプリットユニット23を図中矢印方向に移動させる。これにより、フォーカス指標を光軸方向にシフト移動させ、フォーカス指標の焦点を合わせる。スプリット位置センサS1は、その停止位置を検出する。
撮像/観察光学系O4は、被検眼Eの眼底に対してリング照明を投影するとともに、被検眼Eの眼底像を導出する。穴あきミラー26は、外周部がミラーであり中央部に穴が形成される。照明光学系O3から導かれた反射光束は、穴あきミラー26のミラー部分で反射して、対物レンズ27を介して被検眼Eの眼底を照明する。被検眼Eからの反射光束(すなわち眼底像)は、対物レンズ27を戻り、穴あきミラー26の中央部の穴を通過して、撮像光学系O5に導かれる。
また、検眼部1001は、光源部102と複数(本実施形態では2つ)の指標投影手段L01,L02とを有する。光源部102は、位置合わせ用いる指標を被検眼Eに投影するための光源である。ここで、位置合わせには、X−Y方向の位置合わせと、Z方向の位置合わせ(すなわち、作動距離合わせ)が含まれる。複数(2つ)の指標投影手段L01,L02は、光源部102が発する光を位置合わせに用いる指標に形成し、複数(2つ)の指標を被検眼Eに投影する。指標投影手段L01,L02は、光源部102が発する光を導光する導光部材が適用される。図1のDA矢視図に示すように、2つの指標投影手段L01,L02は、穴あきミラー26の近傍にあって、撮像/観察光学系O4の光路中心から各々所定距離を離れた位置(光路中心に関して対称の位置)に配置されている。さらに、検眼部1001は、第2の移動手段の例として、指標投影手段L01,L02を、撮像/観察光学系O4の光軸方向に移動させる移動機構を有する。この移動機構は、駆動力源である指標駆動モータM4を有する電動式の直動アクチュエータが適用される。そして、指標投影手段L01,L02は、図示しない保持部材によって保持されており、指標駆動モータM4(電動式の直動アクチュエータ)は、システム制御部1008の制御に従い、この保持部材を撮像/観察光学系O4の光軸方向に移動させる。なお、第2の移動手段の具体的な構成は限定されない。要は、第2の移動手段は、システム制御部1008の制御にしたがって、指標投影手段L01,L02を撮像/観察光学系O4の光軸方向に移動させることができる構成であればよく、公知の各種直動アクチュエータが適用できる。
光源部102からの光束は、導光部材としての指標投影手段L01,L02と撮像/観察光学系O4を通り、対物レンズ27を介して被検眼Eの角膜に投影される。そして、被検眼Eからの反射光は、対物レンズ27を通過し、穴あきミラー26の中央部の穴を通って撮像光学系O5に導出される。
撮像光学系O5は、被検眼Eの眼底像の焦点調節を行い、被検眼Eの眼底像を撮像素子31に結像させる。フォーカスレンズ29は、穴開きミラー26の中央の穴を通過した反射光束(被検眼Eの眼底像)の焦点調節を行うためのレンズである。フォーカスレンズ29を撮像光学系O5の光路に平行な方向(図中の矢印の方向)に移動させることで、焦点調節を行う。フォーカスレンズ駆動モータM3は、システム制御部1008による制御に従い、フォーカスレンズ29を移動させて焦点を合わせる。フォーカスレンズ位置センサS3は、フォーカスレンズ29の停止位置を検出する。撮像素子31は、フォーカスレンズ29によって結像した反射光束(被検眼Eの眼底像)を光電変換し、被検眼Eの眼底像の画像データを生成する。AD変換部73は、撮像素子31が生成して出力したアナログ形式の画像データを、デジタル形式に変換する。デジタル形式に変換された画像データは、赤外観察時においては表示部1002に表示され、撮像後には不図示の記録媒体や画像メモリ72(図3参照)に記録される。なお、撮像素子31により撮像される被検眼Eの観察画像には、指標投影手段L01,L02により投影された指標の角膜反射像が映り込んでいる。
内部固視灯部O6は、内部固視灯ユニット32を有する。内部固視灯ユニット32は、ハーフミラー30によって撮像光学系O5の光路から割された光路上に、ハーフミラー30に対向するように設けられる。内部固視灯ユニット32は、複数のLEDを有する。検者等が固視灯位置指定部材66(図3参照)によって固視部を選択すると、システム制御部1008の制御に従い、選択された固視部に対応した位置のLEDを点灯させる。点灯したLEDを被検者が固視することで、検者等は所望の向きの眼底像を得ることができる。
上述の光学系は、一つの筺体に保持され、眼底カメラ1000の検眼部1001を構成している。これらの光学系を有する検眼部1001は、上下移動台1004および可動台1005を介して基台1006に対してXYZの各方向に移動できる。このため、検眼部1001をXYZの各方向に移動させることにより、検眼部1001と被検眼Eとの位置合わせができる。特に、検眼部1001をZ方向に移動させることにより、作動距離合わせができる。
次に、眼底カメラ1000の機能構成について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る眼底カメラ1000の構成例を示すブロック図である。なお、本実施形態に係る眼底カメラ1000は、検者等がフォーカス調整を手動で行う手動合焦モードと、眼底カメラ1000が自動でフォーカス調整を行う自動合焦モードとを有するものとする。さらに、本実施形態に係る眼底カメラ1000は、検者等の手動操作により被検眼Eの撮像を行う手動撮像モードと、眼底カメラ1000が被検眼Eの撮像を自動で行う自動撮像モードを有するものとする。
システム制御部1008は、眼底カメラ1000の各部を制御する。システム制御部1008には、前述のとおり、CPUとROMとRAMとを有するコンピュータが適用できる。システム制御部1008は、発光量演算部70と合焦検出部71とを含む。発光量演算部70は、フォーカス調整に適するように定められた観察光源17の発光量を決定する。具体的には、発光量演算部70はフォーカス調整に適するように定められた観察光量の基準値を記憶しており、後述する測光値算出部75が算出(決定)した測光値と基準値とを比較し、観察光量が基準値を超えないように、観察光源17の発光量を決定する。合焦検出部71は、指標投影手段L01、L02が投影した指標の角膜反射像が合焦しているか否かによって、被検眼Eと検眼部1001との作動距離が適正であるか否かを判断する。
撮像部78は、撮像部制御部76と、撮像素子31と、AD変換部73と、表示部1002と、記憶部74と、測光値算出部75と、を有する。撮像部78は、図略のマウント部によって、検眼部1001の筐体に着脱可能に取り付けられている。このため、検眼部1001を移動させることによって、撮像部78と被検眼Eとの位置合わせを行うことになる。撮像部制御部76は、システム制御部1008による制御に従い、撮像部78を制御する。撮像素子31とAD変換部73と表示部1002は、前述のとおりである。記憶部74は、AD変換部73によりデジタル形式に変換された画像データを記録する。測光値算出部75は、記憶部74に記録された画像データの各画素の輝度値のうち、合焦検出範囲に含まれる画素の輝度値の最大値を測光値に決定する。測光値算出部75により決定された測光値は、システム制御部1008の発光量演算部70に出力される。
撮像光源制御部62は、システム制御部1008の制御に従い、撮像光源13の発光量調整・点灯・消灯を行う。また、撮像光源制御部62は、撮像前に撮像光源13を発光するためのエネルギーを充電し、撮像時には充電した電気エネルギーを放電して撮像光源13を発光させる。光量検出手段11は、撮像光源13の発光量を検出する。システム制御部1008は、撮像光源13の発光量が、発光量演算部70により制限される発光量に到達すると、撮像光源制御部62を制御して撮像光源13の発光を停止する。本実施形態では、システム制御部1008が発光量演算部70の機能を包含する構成を示す。観察光源制御部69は、システム制御部1008の制御に従い、観察光源17の発光量調整・点灯・消灯を行う。
焦点操作部材33は、手動合焦モードにおいて、検者等がフォーカス調整のために用いる操作部材である。焦点操作部材位置センサS4は、焦点操作部材33が操作された場合に、その停止位置を検出してシステム制御部1008に送信する。M3駆動部65は、手動合焦モードにおいては、システム制御部1008による制御に従い、フォーカスレンズ駆動モータM3を駆動し、フォーカスレンズ29を焦点操作部材位置センサS4の出力に対応した位置に移動させる。一方、M3駆動部65は、自動合焦モードにおいては、システム制御部1008による制御に従い、合焦検出部71による検出結果に基づいて、フォーカスレンズ駆動モータM3を駆動してフォーカスレンズ29を移動させる。
M2駆動部64は、システム制御部1008の制御に従い、スプリット挿抜駆動モータM2を駆動し、撮像前後においてスプリットユニット23を照明光学系O3の光路に対して挿抜する。M1駆動部63は、システム制御部1008による制御に従い、スプリットシフト駆動モータM1を駆動し、スプリットユニット23を焦点操作部材位置センサS4の出力に対応した位置に移動させる。
電源スイッチ67は、眼底カメラ1000の電源状態を選択するスイッチである。撮像スイッチ68は、眼底カメラ1000で撮像を実行するためのスイッチである。システム制御部1008は、撮像スイッチ68の操作を検出すると、撮像光源制御部62を制御して撮像光源13を発光させ、撮像部78を制御して被検眼Eを撮像する。画像メモリ72は、撮像部78により撮像された画像データを記録する。
ここで、眼底カメラ1000が自動合焦モードであり、かつ、自動撮像モードである場合の動作について説明する。システム制御部1008は、撮像光源制御部62を制御して撮像光源を発光させる前に、合焦検出部71の検出結果に基づいてM4駆動部79を制御して指標駆動モータ80を駆動する。そして、指標投影手段L01,L02を、保持部材とともにZ方向に移動させる。更に、システム制御部1008は、指標駆動モータ80を駆動した後、合焦検出部71の検出結果に基づいてX−Z駆動部を制御してZモータを駆動する。そして、可動台1005を、基台1006に対してZ方向に移動させる。これにより、検眼部1001(撮像部78)の作動距離合わせを行う。すなわち、被検眼Eの角膜に投影される指標を合焦させるとともに、被検眼Eと検眼部1001(撮像部78)との動作距離が適正となる位置に移動させる。
その後、システム制御部1008は、合焦検出部71の検出結果に基づいて、指標投影手段L01,L02の被検眼Eの角膜反射像が合焦しているか(合焦が完了したか)否かを判定する。システム制御部1008は、合焦していると判断した場合には、撮像光源制御部62を制御して撮像光源13を発光させ、撮像を実行する。
撮像素子31は、結像した反射光束を光電変換してアナログ形式の電気信号である画像データを生成し、生成した画像データをAD変換部73に出力する。AD変換部73は、画像データをアナログ形式からデジタル形式に変換する。記憶部74は、デジタル形式に変換された画像データを記録する。また、システム制御部1008は、デジタル形式に変換された画像データを画像メモリ72に記録する。これにより、撮像素子31により撮像された被検眼Eの静止画像が、デジタル形式の画像データとして保存される。
次に、表示部1002に表示される観察画像について、図4を参照して説明する。図4は、表示部1002に表示される観察画像の例を模式的に示す図である。システム制御部1008は、眼底観察時には、撮像部78で得られた観察画像を表示部1002に表示させる。図4に示すように、表示部1002に表示される観察画像には、被検眼Eの眼底像と、指標投影手段L01,L02により投影された指標の角膜反射像L1,L2とが映り込んでいる。さらに、システム制御部1008は、眼底観察時には、この観察画像に重畳して眼底合焦検出範囲77b,77cの枠を表示する。これにより、眼底合焦検出範囲を検者等に提示する。このため、被検眼Eと検眼部1001(撮像部78)の作動距離合わせ以外のアライメントにおける操作性を向上させることができる。システム制御部1008の合焦検出部71は、眼底合焦検出範囲77b,77cの枠内において、角膜反射像L1,L2が合焦されているか否かで、被検眼Eと検眼部1001bの作動距離が適切か否かを判定する。
ここで、被検眼Eの角膜の曲率半径と、被検眼Eに投影される指標の合焦位置との関係について、図5を参照して説明する。図5は、被検眼Eの角膜の曲率と、被検眼Eの角膜に投影される指標の合焦位置との関係を模式的に示す図である。指標投影手段L01,L02から出射される光Mは、対物レンズ27を介して被検眼の角膜に投影される。被検眼Eの角膜の曲率半径がある所定の値(基準値)である場合に、被検眼Eと検眼部1001(撮像部78)との作動距離が被検眼Eの観察に適正な距離となると、指標投影手段L01,L02により投影される指標像は被検眼Eの角膜において合焦する。しかしながら、図5に示すように、被検眼Eの角膜の曲率半径が基準値と異なると、対物レンズ27から被検眼Eの角膜の指標が投影される位置までの距離が変化する。すなわち、角膜の曲率半径が基準値より小さくなると、対物レンズ27から被検眼Eの角膜までの距離が大きくなる。一方、角膜の曲率半径が基準値より大きくなると、対物レンズ27から被検眼Eの角膜までの距離が小さくなる。
前述のとおり、合焦検出部71は、眼底合焦検出範囲77b,77cの枠内において、角膜反射像L1,L2が合焦されているか否かで、被検眼Eと検眼部1001の作動距離が適切か否かを判定する。このため、被検眼Eの角膜の実際の曲率半径が基準値と異なると、指標の角膜反射像L1,L2が合焦していても、作動距離は被検眼Eの観察や撮像に適した距離ではないことになる。逆に、作動距離は被検眼Eの観察や撮像に適した距離では、指標の角膜反射像L1,L2は合焦しないことになる。そこで、本実施形態では、被検眼Eの角膜の曲率半径に応じて、指標投影手段L01,L02の位置を補正するとともに、検眼部1001(撮像部78)と被検眼Eとの位置を補正する。
ここで、指標投影手段L01,L02の位置の補正と、検眼部1001(撮像部78)と被検眼Eとの位置の補正について、図6〜図8を参照して説明する。図6は、指標の角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPを示す図である。本実施形態では、2つの指標の角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPを用いて、指標投影手段L01,L02の位置の補正と、検眼部1001と被検眼Eとの位置の補正を行う。図7は、指標の角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPと第2の移動量の例である指標投影手段L01,L02の移動量(補正量)との関係を表したグラフである。図8は、指標の角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPと第1の移動量の例である可動台1005(検眼部1001)の移動量(補正量)との関係を表したグラフである。
前述のとおり、2つの指標投影手段L01,L02は、被検眼Eの角膜に2つの指標を投影する。このため、撮像素子31により撮像される観察画像には、投影された2つの指標の角膜反射像L1,L2が映り込む。2つの指標の角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPは、被検眼Eの角膜の曲率半径によって変化する。具体的には、被検眼Eの角膜の曲率半径が大きくなると、指標の角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPの値は大きくなる。一方、被検眼Eの角膜の曲率半径が小さくなると、指標の角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPの値は小さくなる。
システム制御部1008は、図7に示すような、指標の角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPと指標投影手段L01,L02の移動量(第2の移動量)との関係を規定する第2のテーブルを有している。そして、システム制御部1008は、この第2のテーブルを用い、指標の角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPに応じて、指標投影手段L01,L02の移動量を変更する。このように、システム制御部1008は、移動量算出手段として機能する。図7に示すように、指標の角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPが所定の値(基準値)P0よりも小さい場合には、指標投影手段L01,L02を被検眼Eに対して接近する方向に移動させる。一方、指標の角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPが所定の値P0よりも大きい場合には、指標投影手段L01,L02を被検眼Eに対して遠ざかる方向に移動させる。
例えば、相対距離ΔPがP1の場合には、システム制御部1008は、M4駆動部79を制御して指標駆動モータ80を駆動し、指標投影手段L01,L02を+Z方向(被検眼Eに接近させる方向)にDP1の距離を移動させる。また、相対距離ΔPがP2の場合には、システム制御部1008は、M4駆動部79を制御して指標駆動モータ80を駆動し、指標投影手段L01,L02を−Z方向(被検眼Eから遠ざかる方向)にDP2の距離を移動させる。
システム制御部1008は、さらに、図8に示すような、指標の角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPと可動台1005(検眼部1001)の移動量(第1の移動量)との関係を規定する第1のテーブルを保持している。そして、システム制御部1008は、この第1のテーブルを用い、指標の角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPに応じて、検眼部1001の移動量を変更する。このように、システム制御部1008は、移動量算出手段として機能する。なお、図8に示す第1のテーブルは、図7に示す第2のテーブルと、指標の角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPに対する移動の向きが反対である。すなわち、図8に示すように、指標の角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPが所定の値(基準値)P0よりも小さい場合には、可動台1005(検眼部1001)を被検眼Eから遠ざかる方向に移動させる。一方、指標の角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPが所定の値P0よりも大きい場合には、可動台1005(検眼部1001)を被検眼Eに対して接近する方向に移動させる。
なお、第1のテーブルは、次のようにして作成できる。図5から明らかなように、指標の角膜反射像L1,L2の相対距離は、被検眼Eの角膜の曲率半径により変化する。具体的には、被検眼Eの角膜の曲率半径が大きくなると、角膜反射像L1,L2の相対距離は大きくなり、曲率半径が小さくなると、角膜反射像L1,L2の相対距離は小さくなる。この被検眼Eの角膜の曲率半径の値は、角膜反射像L1,L2の相対距離から算出できる。すなわち、角膜の曲率半径が所定の既知の基準値である場合の角膜反射像L1,L2の相対距離が既知であれば、指標投影手段L01,L02から出射される光Mと被検眼Eの角膜の曲率との幾何学的な関係に基づき、測定された角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPから被検眼Eの角膜の曲率半径が算出できる。そして、角膜の曲率半径が小さくなると、対物レンズ27から被検眼Eの角膜までの距離が大きくなり、角膜の曲率半径が大きくなると、対物レンズ27から被検眼Eの角膜までの距離が小さくなる。この距離の変化の具体的な値も、被検眼Eの角膜の曲率半径から算出できる。そこで、曲率半径が所定の基準値(設計値)である被検眼Eの角膜に複数の指標を投影し、その場合に複数の指標が合焦した際の指標の角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPを基準値P0とする。そして、角膜の曲率半径が所定の基準値である場合と、角膜反射像L1,L2の相対距離から算出された値である場合との、対物レンズ27から被検眼Eの角膜までの距離の差を算出する。この差を、第1の移動量とする。このように作成された第1のテーブルにおいては、角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPが基準値P0である場合には、第1の移動量は0になる。そして、角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPが基準値P0から離れるにしたがって、第1の移動量が大きくなる。なお、角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPが基準値より大きい場合(角膜の曲率半径が大きい場合)には、対物レンズ27を被検眼Eの角膜に接近させる向きに移動させ、角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPが基準値より小さい場合(角膜の曲率半径が小さい場合)には、対物レンズ27を被検眼Eの角膜に遠ざける向きに移動させるように規定される。
なお、第2のテーブルも、同様にして作成できる。ただし、指標投影手段L01,L02の移動の向きは、対物レンズ27の移動の向きと反対とする。すなわち、第1のテーブルと第2のテーブルは、移動量(第1の移動量と第2の移動量)の絶対値が同じで向きが逆になるという関係を有する。これにより、被検眼Eと眼科装置とが適正な作動距離になった場合に、指標投影手段L01,L02により投影された指標が合焦する。
システム制御部1008は、X−Z駆動部1009を制御してZモータを駆動し、可動台1005を、相対距離ΔPに応じた距離をZ方向に移動させる。例えば、相対距離ΔPがP1である場合には、システム制御部1008は、図8の第1のテーブルに応じて可動台1005を−Z方向(被検眼Eから遠ざかる方向)にDQ1の距離を移動させる。また、相対距離ΔPがP2である場合には、システム制御部1008は、可動台1005を+Z方向(被検眼Eに接近させる方向)にDQ2の距離を移動させる。
なお、図7と図8に示すグラフに相当する第1のテーブルと第2のテーブルは、あらかじめシステム制御部1008が保持している。また、本実施形態では、システム制御部1008が移動量算出手段として機能する構成を示したが、この構成に限定されない。システム制御部1008とは別個に移動量算出手段を有する構成であってもよい。また、撮像部制御部76が移動量算出手段として機能してもよい。
次に、眼底カメラ1000の処理および動作について、図9を参照して説明する。図9は、眼底カメラ1000の処理および動作を示すフローチャートである。なお、この動作および動作の実行開始前に、指標投影手段L01,L02を基準位置に移動させておく。ここでいう基準位置とは、角膜の曲率半径が基準値(設計値)であると、指標投影手段L01,L02により投影される指標が被検眼Eの角膜において合焦する位置であるものとする。
ステップS101においては、システム制御部1008は、X−Z駆動部1009とY駆動部1010を駆動して検眼部1001を3次元方向に移動させ、被検眼Eに対して検眼部1001(撮像部78)を位置合わせ(アライメント)する。具体的には、指標投影手段L01,L02により被検眼Eに投影される指標が、被検眼Eの角膜において合焦する位置に移動させる。さらに、図4に示すように、2つの指標の角膜反射像L1,L2の各々が2つの眼底合焦検出範囲77b,77cの各々の内側に位置し、かつ、2つの指標の角膜反射像L1,L2の中点が観察画像の中心に位置するように、検眼部1001を移動させる。また、このステップでは、システム制御部1008は、フォーカスレンズ駆動モータM3を制御してフォーカス調整を行う。
ステップS102においては、合焦検出部71は、検眼部1001(撮像部78)の位置合わせ(X−Y方向の位置合わせおよび作動距離合わせ)が完了したか否かを判断する。具体的には、合焦検出部71は、被検眼Eに投影された指標の角膜反射像L1,L2が合焦しているか否かを判定する。合焦している場合には、作動距離合わせが完了していると判断する。さらに、合焦検出部71は、2つの指標の角膜反射像L1,L2の各々が2つの眼底合焦検出範囲77b,77cの各々の内側に位置しているか否かを判断する。そして、合焦検出部71は、2つの指標の角膜反射像L1,L2が前述の位置にある場合には、X−Y方向の位置合わせが完了したと判断する。X−Y方向の位置合わせと作動距離合わせの両方が完了した場合には、位置合わせが完了したと判断する。この場合には、ステップS103に進む。そうでない場合には、ステップS101に戻る。
なお、本実施形態では、システム制御部1008がステップS101とS102の動作実行する構成を示したが、この構成に限定されない。例えば、ステップS101とS102に対応する動作を、検者等が手動で実行してもよい。この場合には、検者等は、手動によるアライメントを完了した後、撮像スイッチ68を操作することになる。
前述のとおり、被検眼Eの角膜の曲率半径がある所定の値(基準値)である場合に、指標の角膜反射像L1,L2が合焦する作動距離と、被検眼Eの眼底の観察や撮像に適した作動距離とが一致する。このため、被検眼Eの角膜の実際の曲率半径が基準値と異なると、指標の角膜反射像L1,L2が合焦する作動距離と、被検眼Eの眼底の観察や撮像に適した作動距離とが相違する。したがって、被検眼Eと検眼部1001(撮像部78)との作動距離を、指標の角膜反射像L1,L2が合焦する距離に設定すると、被検眼Eの眼底の観察や撮像に適した距離にならない。一方、被検眼Eと検眼部1001(撮像部78)との作動距離を、被検眼Eの眼底の観察や撮像に適した距離に設定すると、指標の角膜反射像L1,L2が合焦しない。
そこで、本実施形態では、以下のステップS103〜S106において、指標投影手段L01,L02の光軸方向位置と、検眼部1001の光軸方向の位置を補正する。これにより、指標の角膜反射像L1,L2が合焦する作動距離と、被検眼Eの眼底の観察や撮像に適した作動距離とが一致するようにする。
ステップS103においては、合焦検出部71は、2つの指標の角膜反射像L1,L2の相対距離を算出する。なお、システム制御部1008がステップS101とS102を自動で実行した場合には、ステップS102においてアライメントが完了したと判断した場合に、このステップに進む。一方、検者等が手動でステップS101とS102に対応する動作を手動で実行した場合には、合焦検出部71は、撮像スイッチ68の操作を検出した場合に、このステップS103を実行する。
ステップS104においては、システム制御部1008は、合焦検出部71による相対距離の算出結果に基づき、指標投影手段L01,L02の移動量(第2の移動量)と可動台1005(検眼部1001)の移動量(第1の移動量)を決定する。このように、システム制御部1008は、移動量算出手段として機能する。前述のとおり、システム制御部1008は、指標の角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPを図7に示す第2のテーブルに当てはめることにより、指標投影手段L01,L02の移動量(第2の移動量)を決定する。また、システム制御部1008は、指標の角膜反射像L1,L2の相対距離ΔPを図8に示す第1のテーブルに当てはめることにより、可動台1005(検眼部1001)の移動量(第1の移動量)を決定する。
ステップS105においては、システム制御部1008は、M4駆動部79を制御し指標駆動モータ80を駆動し、投影手段L01,L02を、ステップS103で決定した移動量を移動させる。
ステップS106においては、システム制御部1008は、X−Z駆動部1009を駆動し、可動台1005を、ステップS103で決定した移動量をZ方向に移動させる。以上で作動距離合わせの補正が完了である。
このように、本実施形態では、システム制御部1008は、先に、第2の移動手段の例である指標投影手段L01,L02を、第2の移動量に基づいて制御する(ステップS105)。その後に、システム制御部1008は、第1の移動手段の例であるX−Z駆動部1009を、第1の移動量に基づいて制御する(ステップS106)。このように、指標投影手段L01,L02を移動させた後に可動台1005(検眼部1001)を移動させるフローによれば、被検眼Eと検眼部1001の作動距離を調整する検者等の違和感を低減できる。
ステップS107においては、システム制御部1008は、フォーカス調整(自動合焦)を実行する。ステップS106において可動台1005(検眼部1001)をZ方向に移動させると、合焦位置もずれる。このため、可動台1005(検眼部1001)の位置を補正した後、システム制御部1008は、フォーカス調整を再度実行する。フォーカス調整の方法は前述のとおりである。そして、ステップS108に進む。ステップS108においては、システム制御部1008は、フォーカス調整が完了したか否かを判断する。フォーカス調整が完了した場合には、ステップS109に進む。フォーカス調整が完了していない場合には、ステップS105に戻り、フォーカス調整を継続する。
ステップS109においては、システム制御部1008は、撮像光源制御部62を制御して撮像光源13を発光させる。そして撮像部78を制御して被検眼Eの撮像を実行する。
本発明の実施形態によれば、指標投影手段L01,L02により投影される指標が合焦する位置において、被検眼Eの観察や撮像を行うことができる。このため、眼底画像にフレア等の外乱光が混入することを防止でき、被検眼Eの眼底の撮像の成功率を高めることができる。また、被検眼Eの眼底に合焦している状態で、指標の角膜反射像L1,L2も合焦する。このため、検者等が観察画像に違和感を覚えることが防止される。
なお、本実施形態では、ステップS106において、システム制御部1008が第1の移動手段の例であるX−Z駆動部1009を第1の移動量に基づいて制御する構成を示したが、システム制御部1008が自動で行う構成でなくてもよい。すなわち、検者等が検眼部1001を手動で操作して移動させる構成であってもよい。この場合には、システム制御部1008は、ステップS103〜S104で決定した第1の移動量およびその方向(被検眼Eに接近する向きか離れる向きか)を報知する処理を行う構成であることが好ましい。このような報知処理としては、第1の移動量および方向を表示部1002に表示する処理が適用できる。この場合には、検者等は、表示部1002の表示によって検眼部1001の移動量と移動方向を把握し、手動操作によって検眼部1001を移動させる。なお、報知処理は、第1の移動量およびその方向を表示部1002に表示する処理に限定されない。要は、検者等が第1の移動量およびその方向を認識できる処理であればよい。
以上、本発明の各実施形態について、図面を参照して詳細に説明したが、前記各実施形態は、本発明の実施にあたっての具体例を示したに過ぎない。本発明の技術的範囲は、前記各実施形態に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、前記実施形態では、本発明が適用できる眼科装置として眼底カメラを示したが、本発明が適用できる眼科装置は眼底カメラに限定されない。本発明は、例えば、眼底カメラや、光干渉断層計(OCT)や、共焦点走査型レーザー検眼鏡(SLO)や、補償光学走査型レーザー検眼鏡(AO−SLO)などといった、被検眼を観察または撮像するために用いられる眼科撮像装置や、被検眼の眼底の表面画像および断層画像を撮像する眼底検査装置や、被検眼の眼特性を計測する眼屈折力測定装置など、各種眼科装置に適用できる。また、これらを組み合わせた光学系を有する眼科装置にも適用できる。
(その他の実施形態)
以上、実施形態例を詳述したが、本発明は例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体(記憶媒体)等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インタフェース機器、撮像装置、webアプリケーション等)から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
以上、実施形態例を詳述したが、本発明は例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体(記憶媒体)等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インタフェース機器、撮像装置、webアプリケーション等)から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
また、本発明の目的は、以下の構成でも達成できる。即ち、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコード(コンピュータプログラム)を記憶した記憶媒体(または記憶媒体)を、システムあるいは装置に供給する。係る記憶媒体は言うまでもなく、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
Claims (14)
- 被検眼を検査する検眼部と、
前記検眼部に設けられ、前記被検眼を撮像する撮像手段と前記被検眼との作動距離を調整するための複数の指標を前記被検眼に投影する指標投影手段と、
前記検眼部を前記作動距離の方向に移動させる第1の移動手段と、
前記指標投影手段を光軸方向に沿って移動させる第2の移動手段と、
前記撮像手段が前記被検眼と合焦する位置までの前記第1の移動手段の第1の移動量を算出するとともに、前記撮像手段が前記被検眼と合焦する位置において前記複数の指標の角膜反射像が合焦する位置までの前記第2の移動手段の第2の移動量を算出する移動量算出手段と、
前記第1の移動量に基づいて前記第1の移動手段を制御し、前記第2の移動量に基づいて前記第2の移動手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする眼科装置。 - 前記移動量算出手段は、前記複数の指標の反射像が合焦した場合における前記複数の指標の反射像の相対距離から前記第1の移動量と前記第2の移動量とを算出することを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
- 前記移動量算出手段は、前記複数の指標の反射像の相対距離と前記第1の移動量の関係を規定する第1のテーブルと、前記複数の指標の反射像の相対距離と前記第2の移動量の関係を示す第2のテーブルとを有し、前記第1のテーブルを用いて前記第1の移動量を算出し、前記第2のテーブルを用いて前記第2の移動量を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の眼科装置。
- 前記第1のテーブルは、前記複数の指標の反射像の相対距離が所定の値より小さい場合には、前記指標投影手段を前記被検眼に対して近づく方向に移動させ、前記撮像手段を前記被検眼に対して遠ざかる方向に移動させるように前記第1の移動量を規定し、
前記第2のテーブルは、前記複数の指標の反射像の相対距離が所定の値より大きい場合には、前記指標投影手段を前記被検眼に対して離れる方向に移動させ、前記撮像手段を前記被検眼に接近させる方向に移動させるように前記第2の移動量を規定することを特徴とする請求項3に記載の眼科装置。 - 前記制御手段は、前記第2の移動量に基づいて前記第2の移動手段を制御した後に、前記第1の移動量に基づいて前記第1の移動手段を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の眼科装置。
- 前記第1の移動手段は、前記撮像手段が設けられる可動部を基部に対して水平方向に対して移動させる二次元駆動機構であり、
前記第2の移動手段は、前記指標投影手段を前記撮像手段の光軸方向に移動させる直動アクチュエータであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の眼科装置。 - 被検眼を検査する検眼部と、
前記検眼部に設けられ、前記被検眼を撮像する撮像手段と前記被検眼との作動距離を調整するための複数の指標を前記被検眼に投影する指標投影手段と、
前記指標投影手段を光軸方向に沿って移動させる移動手段と、
前記撮像手段が前記被検眼と合焦する位置において前記複数の指標の角膜反射像が合焦する位置までの前記移動手段の移動量を算出する移動量算出手段と、
前記移動量に基づいて前記移動手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする眼科装置。 - 被検眼を検査する検眼部と、前記検眼部に設けられ前記被検眼を撮像する撮像手段と前記被検眼との作動距離を調整するための複数の指標を前記被検眼に投影する指標投影手段と、を有する眼科装置の制御方法であって、
前記検眼部を、前記作動距離の方向に、前記撮像手段が前記被検眼と合焦する位置までの第1の移動量を移動させる第1の移動ステップと、
前記撮像手段が前記被検眼と合焦する位置において、前記指標投影手段を、光軸方向に沿って、前記複数の指標の角膜反射像が合焦する位置までの第2の移動量を移動させる第2の移動ステップと、
を有することを特徴とする眼科装置の制御方法。 - 前記複数の指標の反射像が合焦した場合における前記複数の指標の反射像の相対距離から前記第1の移動量と前記第2の移動量とを算出する移動量算出ステップをさらに有することを特徴とする請求項8に記載の眼科装置の制御方法。
- 前記移動量算出ステップにおいては、前記複数の指標の反射像の相対距離と前記第1の移動量の関係を規定する第1のテーブルを用いて前記第1の移動量を算出し、前記複数の指標の反射像の相対距離と前記第2の移動量の関係を示す第2のテーブルを用いて前記第2の移動量を算出することを特徴とする請求項9に記載の眼科装置の制御方法。
- 前記第1のテーブルは、前記複数の指標の反射像の相対距離が所定の値より小さい場合には、前記指標投影手段を前記被検眼に対して近づく方向に移動させ、前記撮像手段を前記被検眼に対して遠ざかる方向に移動させるように前記第1の移動量を規定し、
前記第2のテーブルは、前記複数の指標の反射像の相対距離が所定の値より大きい場合には、前記指標投影手段を前記被検眼に対して離れる方向に移動させ、前記撮像手段を前記被検眼に接近させる方向に移動させるように前記第2の移動量を規定することを特徴とする請求項10に記載の眼科装置の制御方法。 - 前記第2の移動ステップの後に前記第1の移動ステップを行うことを特徴とする請求項8から11のいずれか1項に記載の眼科装置の制御方法。
- 被検眼を検査する検眼部と、前記検眼部に設けられ前記被検眼を撮像する撮像手段と前記被検眼との作動距離を調整するための複数の指標を前記被検眼に投影する指標投影手段と、を有する眼科装置の制御方法であって、
前記撮像手段が前記被検眼と合焦する位置において前記複数の指標の角膜反射像が合焦する位置までの前記指標投影手段の移動量を算出する移動量算出ステップと、
前記移動量算出ステップにおいて算出した前記移動量に基づいて前記指標投影手段を光軸方向に沿って移動させる移動ステップと、
を有することを特徴とする眼科装置の制御方法。 - 請求項8から13のいずれか1項に記載の眼科装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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JP2015080955A JP2016198305A (ja) | 2015-04-10 | 2015-04-10 | 眼科装置、眼科装置の制御方法、プログラム |
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2015
- 2015-04-10 JP JP2015080955A patent/JP2016198305A/ja active Pending
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