JP2016196946A - 軌道輪 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数を増加させることなく、強度を確保することが可能な軌道輪を提供する。【解決手段】軌道輪(1)は、軌道部材(11)及び外径部(12)を備える。軌道部材は、軌道面(111,112)を有し、金属で構成される。外径部は、軌道部材の外周面に巻き付けられた炭素繊維糸によって構成される。軌道部材の外周面は、径方向外方に突出又は径方向内方に凹む変形部(113)を有する。変形部における軌道輪の軸方向の一方の側の面(113b)及び他方の側の面(113c)には、炭素繊維糸の一部が接する。【選択図】図1
Description
本発明は、車両用軸受が有する軌道輪に関する。
例えば、ハブユニット等に用いられる車両用軸受は、軌道輪としての外輪及び内方部材を備えている。外輪は、筒状をなす。内方部材は、外輪の内側に配置される。外輪の内周面及び内方部材の外周面には、転動体が配置される軌道面が形成されている。ハブユニットの軌道輪の場合、外輪及び内方部材の少なくとも一方は、外周面から径方向外方に突出するフランジを有する。
特許文献1に記載の軌道輪は、径方向外方に延びるフランジを有するハブ輪を有する。当該軌道輪のフランジは、炭素繊維を用いて形成される。具体的には、フランジの一部が、炭素繊維プリプレグの積層体から成る炭素繊維強化樹脂で形成される。
特許文献1には、接着剤によってフランジをハブ輪に固定することが記載されている。しかしながら、接着剤では、フランジとハブ輪との接着強度を十分に確保することができない。このため、例えば、フランジに大きな荷重が作用した場合、フランジとハブ輪との接着状態が強固に維持されない場合がある。
特許文献1には、センターナットによってフランジをハブ輪に固定することも記載されている。しかしながら、センターナットを用いると、部品点数が増加する。
本願は、炭素繊維で形成された部分を含む軌道輪であって、部品点数を増加させることなく、強度を確保することが可能な軌道輪を開示する。
本開示は、車両用軸受に含まれる軌道輪に関する。軌道輪は、軌道部材及び外径部を備える。前記軌道部材は、軌道面を有し、金属で構成される。前記外径部は、前記軌道部材の外周面に巻き付けられた炭素繊維糸によって構成される。前記軌道部材の外周面は、径方向外方に突出又は径方向内方に凹む変形部を有する。前記変形部における前記軌道輪の軸方向の一方の側の面及び他方の側の面には、前記炭素繊維糸の一部が接する。
本開示に係る軌道輪によれば、部品点数を増加させることなく、強度を確保することができる。
実施形態に係る軌道輪は、軌道部材及び外径部を備える。前記軌道部材は、軌道面を有し、金属で構成される。前記外径部は、前記軌道部材の外周面に巻き付けられた炭素繊維糸によって構成される。前記軌道部材の外周面は、径方向外方に突出又は径方向内方に凹む変形部を有する。前記変形部における前記軌道輪の軸方向の一方の側の面及び他方の側の面には、前記炭素繊維糸の一部が接する(第1の構成)。
第1の構成によれば、外径部は、炭素繊維糸を金属の軌道部材の外周面に巻き付けることによって形成される。このため、外径部が軌道部材から外れにくい。さらに、軌道部材の外周面が径方向に突出又は凹む変形部を有する。炭素繊維糸の一部が、変形部の軸方向における両側の面に接するように外周面に巻き付けられる。これにより、外径部が、軌道部材に対して軸方向にずれにくくなる。しかも、締結部材等を用いずに外径部を軌道部材に固定することができる。よって、部品点数を増加させることなく、軌道部材及び外径部の強度を確保することができる。
前記外径部は、前記軌道部材の外周面から径方向外方へ突出するフランジを有してもよい。この場合、前記軸方向において、前記フランジと重なる位置に、前記変形部を設けることができる(第2の構成)。
第2の構成によれば、フランジにかかる軸方向の力の作用点に比較的近い位置に変形部が設けられる。そのため、フランジにかかる力に起因する外径部と軌道部材との軸方向におけるずれに対する強度を、効率的に向上させることができる。
前記変形部は、径方向内方に凹む溝で形成することができる(第3の構成)。第3の構成によれば、溝に炭素繊維糸を巻きつけることができる。これにより、軌道部材と外径部との軸方向のずれに対する強度を向上させることができる。
前記変形部は、径方向外方に突出する凸部で形成することができる(第4の構成)。第4の構成によれば、凸部の軸方向両側の面に炭素繊維糸を接するように巻きつけることができる。これにより、軌道部材と外径部との軸方向のずれに対する強度を向上させることができる。
前記凸部は、前記周方向の少なくとも一部において切り欠きを有してもよい。この場合、前記炭素繊維糸の一部は、前記切り欠きを通って前記外周面に巻き付けられる態様とすることができる(第5の構成)。
第5の構成によれば、炭素繊維糸の一部が周方向の一部における凸部の切り欠きを通って外周面に巻きつけられる。これにより、炭素繊維糸の一部が周方向に交差して配置される。そのため、軌道部材と外径部との周方向におけるずれに対する強度がより向上する。そのため、軌道部材と外径部との結合強度をより向上させることができる。
実施の形態に係る車両用軸受は、軌道面を有する内方部材と、前記内方部材の外周に設けられ、軌道面を有する外輪と、前記内方部材の軌道面と前記外輪の軌道面との間に回転可能な状態で配置される転動体とを備える。前記内方部材又は前記外輪の少なくとも一方は、軌道部材と、外径部とを有する。軌道部材は、軌道面を有し、金属で構成される。外径部は、前記軌道部材の外周面に巻き付けられた炭素繊維糸によって構成される。前記軌道部材の外周面は、径方向外方に突出又は径方向内方に凹む変形部を有する。前記変形部における前記軌道輪の軸方向の一方の側の面及び他方の側の面には、前記炭素繊維糸の一部が接する。
<実施形態>
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。図中同一及び相当する構成については同一の符号を付し、同じ説明を繰り返さない。説明の便宜上、各図において、構成を簡略化又は模式化して示したり、一部の構成を省略して示したりする場合がある。
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。図中同一及び相当する構成については同一の符号を付し、同じ説明を繰り返さない。説明の便宜上、各図において、構成を簡略化又は模式化して示したり、一部の構成を省略して示したりする場合がある。
[実施形態1]
(外輪の構成)
図1は、直線X1を通る平面で実施形態1に係る外輪1を切断した側面断面図である。直線X1は、外輪1の軸心である。外輪1は、一般にハブユニットと称される車両用軸受の一部である。外輪1は、車両用軸受の軌道輪の一例である。外輪1は、車両が有する懸架装置(図示略)に取り付けられる。
(外輪の構成)
図1は、直線X1を通る平面で実施形態1に係る外輪1を切断した側面断面図である。直線X1は、外輪1の軸心である。外輪1は、一般にハブユニットと称される車両用軸受の一部である。外輪1は、車両用軸受の軌道輪の一例である。外輪1は、車両が有する懸架装置(図示略)に取り付けられる。
図1に示す外輪1において、符号A1側の端は車両への取付状態において車体から遠い方の端であり、符号B1側の端は車両への取付状態において車体に近い方の端である。以後、外輪1において、車体からより遠い位置を軸方向の外方、車体により近い位置を軸方向の内方と称する場合がある。
図1に示すように、外輪1は、軌道部材11と、外径部12とを備える。外径部12は、軌道部材11の外周面から径方向に突出するフランジ121を有する。
軌道部材11は、鋼等の金属で構成されている。軌道部材11は、直線X1を軸心とする筒状をなす。軌道部材11の内周面には、軌道面111,112が設けられている。軌道面111,112は、それぞれ、直線X1を軸心とする環状をなす。
軌道部材11には、内方部材(図示略)が挿入される。軌道面111,112と、内方部材の外周面に設けられた2つの軌道面との間各々に、複数の転動体(図示略)が配置される。
軌道部材11の外周面は、径方向に突出する変形部113を有する。変形部113は、軸方向の両側における側面113b,113cと、側面113b,113cの間の上面113aを含む。側面113b,113cは、軸方向に略垂直な面であり、軸方向において互いに対向している。上面113aは、径方向に略垂直な面であり、2つの側面113b,113cに接続される。変形部113は、軌道部材11の外周面において、周方向に延びる稜を形成している。
軌道部材11の外周面には、外径部12が設けられる。言い換えると、外径部12には、軌道部材11が挿入される。すなわち、外径部12の径方向内方には、軌道部材11が配置されている。外径部12は、軌道部材11と同軸に配置される。すなわち、外径部12の軸心は、直線X1である。外径部12の内周面の少なくとも一部は、軌道部材11の外周面に接している。外径部12の内周面と、軌道部材11の外周面の変形部113とは互いに接している。
外径部12は、炭素繊維糸によって構成される。炭素繊維糸は、炭素繊維束を線状に成形した材料である。外径部12は、樹脂に含浸させた炭素繊維糸を軌道部材11の外周面に巻き付けることによって形成される。樹脂が硬化すると、炭素繊維糸は、軌道部材11に対して周方向に巻き付けられた状態で固定される。このように、外径部12は、軌道部材11の外周面に巻きつけられた炭素繊維糸と、炭素繊維糸を固定する樹脂とを含む。すなわち、外径部12は、炭素繊維によって樹脂を強化した複合材料である炭素繊維強化樹脂によって形成される。
炭素繊維強化樹脂の母材となる樹脂としては、例えば、エポキシ、フェノール、ポリイミド等の熱硬化性樹脂又は、ナイロン、ポリプロピレン、ポリカーボネイト等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。
炭素繊維糸の太さ(平均直径)は、面精度の観点から、例えば、5μm〜250μmであることが好ましい。
外径部12を構成する炭素繊維糸の一部は、変形部113の側面113b,113cに接するように軌道部材11に巻き付けられる。これにより、変形部113の軸方向の両側の面に炭素繊維糸が配置される。炭素繊維糸が、軌道部材11の外周面の変形部113を軸方向の両側から挟む構成となる。すなわち、変形部113の軸方向両側の面に炭素繊維糸が掛けられた状態で固定される。
このように、外径部12の内周面は、軌道部材11の外周面の変形部113の軸方向両側の面に対向して、かつ、接する部分を有する。すなわち、変形部113において、軌道部材11の外周面と、外径部12の内周面とが軸方向に係り合う。これにより、外径部12と軌道部材11との結合強度が増す。そのため、外径部12の軌道部材11に対する軸方向のずれが生じ難くなる。
変形部113の側面113b、113cの径方向の高さは、例えば、炭素繊維糸の平均直径の10倍以上とすることができる。これにより、炭素繊維糸を変形部113に十分に絡ませて強度を向上させることができる。変形部113の側面113b、113cの径方向の高さを、例えば、1mm〜3mm程度にすることができ、好ましくは、2mm程度とすることができる。
外径部12は、フランジ121を有する。図1に示す例では、外径部12の、軸方向の一方の端である内方端にフランジ121が設けられる。外径部12は、フランジ121から軸方向の外方(他方端)に向かって延びる筒部を含む。外輪1の軸方向において、外径部12の外方端は、軌道部材11の外方端よりも外方に配置される。
図1に示す例では、軌道部材11の外周面の変形部113は、軸方向において、フランジ121と重なる位置に設けられる。変形部113の軸方向の幅は、フランジ121の軸方向の幅より短い。このように、フランジ121の根元に変形部113を設けることにより、フランジ121の根元の強度を確保することができる。例えば、フランジ121と軸方向において重ならない位置に変形部113を設ける場合に比べて、効率よく強度を向上することができる。なお、本例では、変形部113の全体が、フランジ121と軸方向において重なる位置に配置されるが、変形部113の一部がフランジ121と軸方向において重なる位置に配置されても上記効果を得ることができる。
外径部12の軸方向の外方端部における内径は、軌道部材11の軸方向の外方端部における内径よりも大きい。したがって、外径部12の軸方向の外方端部と軌道部材11の軸方向の外方端部との間には段差が生じている。
外径部12の内周面は、軸方向の外方端部を除き、軌道部材11の外周面に接している。よって、外輪1を径方向内方から見た場合、外輪1の軸方向の外方端部では、外径部12の内周面が軌道部材11から露出している。
図2は、外輪1を軸方向内方から(図1のB1側から)見た図(外輪1の背面図)である。図2に示すように、フランジ121は、軌道部材11の外周面から軌道部材11の径方向外方に突出している。フランジ121には、懸架装置(図示略)が取り付けられる。
フランジ121は、実質的に、直線X1を軸心とする環状をなす。フランジ121は、複数の大径部131と、複数の小径部132と、複数の締結孔133とを有する。フランジ121の周方向において、大径部131及び小径部132は交互に設けられている。各締結孔133は、各大径部131に設けられている。各締結孔133には、懸架装置(図示略)をフランジ121に取り付けるため、ボルト等の締結部材が挿入される。
各大径部131は、各小径部132の径よりも大きい径を有する。外輪1の径方向において、各大径部131の厚みは、各小径部132の厚みよりも小さい。各大径部131の径は、外輪1の径方向において、軌道部材11の中心P11(直線X1)から各締結孔133の中心P133を通過してフランジ121の外縁まで延びる各直線L131の長さである。各小径部132の径は、外輪1の径方向において、隣り合う2つの締結孔133の中央に位置し、且つ軌道部材11の中心P11からフランジ121の外縁まで延びる各直線L132の長さである。
フランジ121は、外径部12の一部として形成されている。したがって、フランジ121は、炭素繊維糸によって構成される。
フランジ121は、樹脂を含浸させた炭素繊維糸を軌道部材11の外周面に巻き付けることによって形成される。フランジ121に含まれる炭素繊維は、複数の方向に配向されている。例えば、外輪1を軸方向から見た場合、フランジ121を構成する炭素繊維糸は、平行に巻かれていない。さらに、径方向から見た場合にも、炭素繊維糸は平行に巻かれていない形態とすることができる。言い換えると、軌道部材11に巻き付けられてフランジ121を構成する炭素繊維糸は、外輪1の軸方向視で平面交差及び/又は立体交差している。
フランジ121に含まれる炭素繊維が複数の方向に配向されていることにより、フランジ121に含まれる炭素繊維が一方向に配向されている場合と比較して、炭素繊維が絡み合う。よって、フランジ121の剛性を高めることができ、フランジ121の強度をより向上させることができる。
図2では、軌道部材11の変形部113の上面113aの位置が点線で示されている。図2に示すように、変形部113は、軌道部材11の外周面において、周方向全体にわたって設けられる。これに対して、後述の具体例のように、周方向において、変形部113の一部に切り欠きが設けられてもよい。
(外輪の製造方法)
次に、外輪1の製造方法について説明する。
次に、外輪1の製造方法について説明する。
外輪1は、フィラメントワインディング法を用いて製造することができる。図3は、フィラメントワインディング装置2の斜視図である。図3に示すように、フィラメントワインディング装置2は、載置台21と、供給部22とを備える。
載置台21には、炭素繊維糸を巻き付けるためのマンドレルが載置される。フィラメントワインディング装置2は、載置台21に載置されたマンドレルを中心軸周りに回転させることができる。フィラメントワインディング装置2は、載置台21を幅方向(x方向)及び奥行方向(y方向)に移動させることができる。
供給部22は、載置台21上のマンドレルに炭素繊維糸を供給する。供給部22は、樹脂に含浸させた後の炭素繊維糸をマンドレルに供給する。フィラメントワインディング装置2は、供給部22を高さ方向(z方向)に移動させることができる。
フィラメントワインディング装置2を用いて外輪1を製造するために、まず、マンドレルを作製する。図4は、本実施形態に係るマンドレル3の分解斜視図である。図4では、説明の便宜上、マンドレル3を半分に分割して示している。マンドレル3の作製に際し、軌道部材11と、冶具4とを準備する。
図4に示すように、冶具4は、基板41と、取付軸42と、複数の巻芯43と、蓋44とを含む。
基板41は、円板状をなす。取付軸42は、基板41の一方の面411から基板41の厚み方向に延びている。取付軸42は、円柱状をなす。取付軸42は、軌道部材11の内径よりも小さい直径D42を有する。取付軸42の直径D42は、軌道部材11の最小内径よりも小さい。取付軸42の軸方向の長さL42は、軌道部材11の軸方向の長さL11よりも大きい。
複数の巻芯43は、基板41の面411に設けられている。各巻芯43は、基板41の面411から取付軸42と同じ方向に延びている。複数の巻芯43は、基板41の面411上において、取付軸42の周囲に配置されている。各巻芯43は、フランジ121の各締結孔133(図2)に対応する位置に配置されている。
図4に示すように、複数の巻芯43は、それぞれ、円柱状の基部431と、円柱状の本体部432とを有する。各基部431は、基板41の面411上に配置される。各本体部432は、各基部431上に配置される。各本体部432は、各基部431の直径よりも小さい直径を有する。すなわち、各巻芯43は、二段円柱状をなす。各本体部432の直径は、フランジ121の各締結孔133(図2)の直径と実質的に等しい。
蓋44は、概略円板状をなす。蓋44の一方の面には、円形状の凹部441が設けられている。蓋44は、取付軸42の直径D42よりも大きい直径D44を有する。蓋44の直径D44は、軌道部材11の内径よりも大きい。より詳細には、蓋44の直径D44は、軌道部材11の軸方向の外方端の内径D11よりも大きい。
冶具4と、軌道部材11とを組み合わせることにより、マンドレル3を作製することができる。具体的には、まず、治具4の取付軸42を軌道部材11に挿入する。このとき、取付軸42の先端が軌道部材11の軸方向の外方端から突出する。軌道部材11から突出した取付軸42の先端を蓋44の凹部441内に押し込み、取付軸42の先端に蓋44を装着する。これにより、マンドレル3が完成する。
次に、図5に示すように、作製したマンドレル3をフィラメントワインディング装置2の載置台21に載置する。そして、樹脂に含浸された炭素繊維糸を供給部22からマンドレル3に供給し、マンドレル3に巻き付ける。
フィラメントワインディング装置2は、載置台21上のマンドレル3を中心軸周りに回転させ、炭素繊維糸にテンションを付与しながら、炭素繊維糸をマンドレル3に巻き付ける。フィラメントワインディング装置2は、炭素繊維糸をマンドレル3に巻き付けながら、供給部22を徐々に上方に移動させる。フィラメントワインディング装置2は、炭素繊維糸をマンドレル3に巻き付けながら、必要に応じて載置台21を幅方向及び/又は奥行方向に移動させる。
フィラメントワインディング装置2は、まず、図1に示すフランジ121に相当する部分(フランジ相当部分)を成形する。フィラメントワインディング装置2は、軌道部材11の外周面に炭素繊維糸を巻き付ける。フィラメントワインディング装置2は、複数の巻芯43の各外周面にも炭素繊維糸を巻き付ける。より具体的には、炭素繊維糸は、複数の巻芯43の各本体部432に巻き付けられる。
炭素繊維糸は、隣り合う2つの巻芯43に掛け渡されることが好ましい。図6及び図7は、隣り合う2つの巻芯43に炭素繊維糸を掛け渡す例を示す図である。
「隣り合う2つの巻芯43に炭素繊維糸を掛け渡す」とは、隣り合う2つの巻芯43のうち、一方の巻芯43から他方の巻芯43まで炭素繊維糸が延びていることをいう。例えば、図6に示すように、隣り合う2つの巻芯43を炭素繊維糸が取り囲むように、2つの巻芯43に炭素繊維糸を巻き付けることができる。また、例えば、いわゆる8の字巻等、隣り合う2つの巻芯43間で炭素繊維糸が交差するように、2つの巻芯43に炭素繊維糸を巻き付けることができる。
炭素繊維糸は、複数種類の巻き方で軌道部材11及び複数の巻芯43に巻き付けられる。例えば、図7に示すように、軌道部材11及び複数の巻芯43の個々に炭素繊維糸10を巻き付けたり、隣り合う2つの巻芯43に炭素繊維糸10を掛け渡したりしながら、フランジ相当部分を成形する。これにより、軌道部材11の外周面上で炭素繊維糸が平面交差及び/又は立体交差する。よって、フランジ相当部分において、炭素繊維が様々な方向に配向される。
フランジ相当部分が成形された後、図1に示す、フランジから軸方向の他方端へ向かって延びる筒部に相当する部分(筒部相当部分)が成形される。すなわち、図5に示すフィラメントワインディング装置2は、軌道部材11及び冶具4の蓋44に炭素繊維糸を巻き付ける。フィラメントワインディング装置2は、まず、軌道部材11の外周面のうちフランジ相当部分が設けられていない部分に炭素繊維糸を巻き付けていく。その後、フィラメントワインディング装置2は、蓋44の外周面に炭素繊維糸を巻き付ける。これにより、炭素繊維糸によって筒部相当部分が成形される。
軌道部材11の外周面への炭素繊維糸の巻き付けにおいて、フィラメントワインディング装置2は、軌道部材11の外周面の変形部113の軸方向両側の側面113b,113cに炭素繊維糸が掛かるように、炭素繊維糸を巻き付けていく。
フランジ相当部分及び筒部相当部分は、連続した1本の炭素繊維糸で成形してもよいし、複数本の炭素繊維糸で成形してもよい。ただし、フランジ121を含む外径部12(図1)の強度の観点から、フランジ相当部分及び筒部相当部分は、連続した1本の炭素繊維糸で構成されていることが好ましい。
フランジ相当部分及び筒部相当部分を成形した後、マンドレル3を載置台21から取り外し、オーブン等で加熱する。これにより、フランジ相当部分及び筒部相当部分が硬化し、フランジ121及び筒部を含む外径部12(図1)が完成する。このようにして製造された外径部12では、炭素繊維糸が軌道部材11と締結孔133とに巻き付けられた状態で固定される。
その後、図8に示すように、マンドレル3から冶具4を取り外す。すなわち、冶具4の蓋44を取付軸42の先端から取り外し、取付軸42を軌道部材11から抜き取る。以上の工程により、外輪1が完成する。
(変形例1)
図9は、外輪1の変形例を示す図である。図9は、変形例における軌道部材11を軸方向から見た場合の構成を示す図である。図9に示す例では、軌道部材11の変形部113は、径方向外方に突出する凸部で形成される。変形部113を形成する凸部は、周方向において切り欠き113dを有する。すなわち、軌道部材11の外周面には、周方向において、変形部113が設けられる部分すなわち凸部と、変形部113が設けられない部分すなわち切り欠き113dとが、交互に配置される。
図9は、外輪1の変形例を示す図である。図9は、変形例における軌道部材11を軸方向から見た場合の構成を示す図である。図9に示す例では、軌道部材11の変形部113は、径方向外方に突出する凸部で形成される。変形部113を形成する凸部は、周方向において切り欠き113dを有する。すなわち、軌道部材11の外周面には、周方向において、変形部113が設けられる部分すなわち凸部と、変形部113が設けられない部分すなわち切り欠き113dとが、交互に配置される。
本例では、変形部113を構成する複数の凸部が、周方向に等間隔で配置される。例えば、変形部113として、軌道部材11の外周面にギヤ又はスプラインを形成することもできる。
軌道部材11の外周面に外径部12が設けられる。図9に示す軌道部材11に外径部12を設けた場合の、軸心X1及び変形部113を含む面における断面の構成は、例えば、図1と同様にすることができる。
外径部12(図9では図示省略)を構成する炭素繊維糸10の一部は、切り欠き113を通って軌道部材11の外周面に巻き付けられる。例えば、炭素繊維糸10の一部は、隣り合う2つの凸部において、一方の凸部の軸方向一方の側の面から、切り欠き113dを通り、他方の凸部の軸方向他方の側の面へ掛け渡される。炭素繊維糸10は、複数の凸部に対して、軸方向一方の側と他方の側を交互に通るように配置される。すなわち、炭素繊維糸10は、複数の凸部の間を縫うように通ることができる。これにより、軸方向に加えて周方向におけるずれに対する強度を高めることができる。そのため、外径部12の軌道部材11に対する抜け止め及び回転止めの強度が向上する。
図9に示す例では、複数の凸部は、軸方向において同じ位置に配置される。これに対して、複数の凸部が、軸方向において異なる位置に配置されてもよい。
また、図9に示す例では、複数の凸部は、いずれも、軸方向に垂直な面と平行でかつ周方向に延びる稜となっている。これに対して、凸部は、軸方向に垂直な面に交差する方向に延びる稜であってもよい。例えば、外周面においてらせん状に凸部を配置することができる。
また、図9に示す例では、変形部113が設けられない箇所を切り欠き113dとしている。これに対して、変形部113の突出度合いが他の部分より小さくなっている部分を切り欠きとすることができる。
(変形例2)
図10は、軸心X1を通る平面で本変形例に係る外輪1を切断した側面断面図である。図10に示す例では、変形部113は、径方向内方に凹む凹部(溝)となっている。この場合も、凸部の場合と同様に、炭素繊維糸の一部が、軸方向に対向する2つの側面113b,113cに接するように軌道部材11に巻き付けられる。このように、軌道部材11に溝を形成し、溝に炭素繊維糸の一部を通すことで、外径部12と軌道部材11の結合強度を確保することができる。
図10は、軸心X1を通る平面で本変形例に係る外輪1を切断した側面断面図である。図10に示す例では、変形部113は、径方向内方に凹む凹部(溝)となっている。この場合も、凸部の場合と同様に、炭素繊維糸の一部が、軸方向に対向する2つの側面113b,113cに接するように軌道部材11に巻き付けられる。このように、軌道部材11に溝を形成し、溝に炭素繊維糸の一部を通すことで、外径部12と軌道部材11の結合強度を確保することができる。
(変形例3)
また、変形部113は、凸部と凹部の組み合わせであってもよい。図11は、凸部と凹部の組み合わせにより変形部113を形成した軌道部材11と外径部12の構成例を治具4とともに示す分解斜視図である。
また、変形部113は、凸部と凹部の組み合わせであってもよい。図11は、凸部と凹部の組み合わせにより変形部113を形成した軌道部材11と外径部12の構成例を治具4とともに示す分解斜視図である。
図11に示す例では、軌道部材11の変形部113は、軸方向に隣接する凸部および凹部で形成される。具体的には、軌道部材11の一方の端部から続く外周面11aに対して径方向外方に突出する凸部が形成される。凸部は、軸方向に互いに対向する2つの側面113b,113cとこれらに挟まれた上面113aとを含む。
凸部の側面113b,113cのうち、軌道部材11の他方端側の側面113cは、凹部の一方端側の側面113cとなっている。凹部は、この側面113cと、この側面113cに軸方向に対向する側面113eと、これらの側面113c,113eに挟まれた底面とで形成される。
凹部の側面113eに接続される径方向に垂直な外周面11bは、凸部の上面113aと径方向の高さが同じになっている。外周面11bは、軌道部材11の他方の端部まで同じ高さで続いている。本例では、軌道部材11の一方の端部から変形部113すなわち凸部までの外周面11aの径方向の高さより、変形部113から軌道部材11の他方端までの外周面11bの径方向の高さの方が高くなっている。そのため、軌道部材11の一方の端部の径より、他方の端部の径の方が大きい。
(実施形態の効果)
実施形態1に係る外輪1において、外径部12は、軌道部材11の外周面に巻き付けられた炭素繊維糸によって構成される。炭素繊維糸は、テンションを付与されながら軌道部材11に巻き付けられる。このため、接着剤や締結部材等を使用しなくても、外径部12を軌道部材11の外周面にしっかりと固定することができる。その結果、接着剤等による外径部12と軌道部材11との接着状態を維持できないという事態が生じることがない。よって、部品点数を増加させることなく、外径部12の強度を確保することができる。
実施形態1に係る外輪1において、外径部12は、軌道部材11の外周面に巻き付けられた炭素繊維糸によって構成される。炭素繊維糸は、テンションを付与されながら軌道部材11に巻き付けられる。このため、接着剤や締結部材等を使用しなくても、外径部12を軌道部材11の外周面にしっかりと固定することができる。その結果、接着剤等による外径部12と軌道部材11との接着状態を維持できないという事態が生じることがない。よって、部品点数を増加させることなく、外径部12の強度を確保することができる。
また、外径部12の炭素繊維糸は、軌道部材11の外周面の変形部113の軸方向に対向する2つの側面113b,113cに掛かるように、巻き付けられる。これにより、外径部12が軌道部材11に対して軸方向にずれにくくなる。そのため、外径部12の抜け止めを防止することができる。
軌道部材11の外周面に設けられた凸部又は溝(凹部)による強度の確保は、上記のように炭素繊維糸を巻き付けて外径部12を形成する形態を採ることで可能となる。
例えば、炭素繊維プリプレグのようなシート状の炭素繊維強化樹脂を積層して外径部12を構成する場合、軌道部材の凸部又は溝に炭素繊維強化樹脂を配置するのが困難になる。すなわち、シート状の炭素繊維強化樹脂を、軌道部材の凸部や凹部に十分な接着力で密着させるのが難しい。そのため、軌道部材と炭素繊維強化樹脂との十分な結合力を得るのが難しい。これに対して、本実施形態では、炭素繊維強化樹脂を、軌道部材11の変形部113に絡ませて、軌道部材11との結合力を十分に得ることができる。
また、本実施形態では、軌道部材11の外周面の変形部113は、フランジ121と軸方向において重なる位置に設けられる。これにより、フランジ121の強度をより効率的に高めることができる。なお、フランジ121と重ならない位置に変形部113を設けた場合も、軌道部材11と外径部12との結合強度を向上する効果を得ることができる。
外輪1を製造する際、炭素繊維糸は、軌道部材11だけでなく、各巻芯43にも巻き付けられる。これにより、フランジ121の本体と同時に各締結孔133を形成することができる。よって、各締結孔を形成するための後加工が不要となり、フランジ121を構成する炭素繊維糸が後加工によって切断されることがない。結果として、フランジ121の強度を確保することができる。
フランジ121を形成する場合、炭素繊維糸は、隣り合う2つの巻芯43に掛け渡される。すなわち、連続する1本の炭素繊維糸が隣り合う2つの巻芯43に巻き付けられる。このため、個々の巻芯43に対して別々に炭素繊維糸を巻き付けてフランジ121を形成する場合と比較して、フランジ121の強度を高めることができる。
外輪1では、軌道部材11の径方向の外方に筒部が設けられるため、金属で構成された軌道部材11が小型化される。よって、外輪1を軽量化することができる。
外輪1の軸方向において、外径部12の外方端部は、軌道部材11の外方端部よりも外方に突出している。外径部12は、フィラメントワインディング法を用いて炭素繊維糸で形成されるため、軸方向の外方端部において高い面精度を有する。外径部12の軸方向の外方端は、シール部材(図12参照)が取り付けられるため、面精度が要求される部分である。
外輪1では、外径部12の軸方向の外方端において高い面精度が得られるため、外径部12の後加工が不要である。すなわち、外径部12を形成した後、外径部12に対して面精度を出すための機械加工を施す必要がない。このため、外径部12を構成する炭素繊維糸が後加工によって切断されることがない。結果として、外径部12の強度を確保することができ、外輪1の強度を向上させることができる。
フランジ121は、大径部131及び小径部132を有している。フランジ121の径方向において、小径部132の厚みは、大径部131の厚みよりも小さい。仮に、フランジ121を炭素繊維シートの積層体等で形成するとすれば、小径部132に圧をかけにくく、炭素繊維シート同士を密着させにくいため、層間剥離が生じるおそれがある。しかしながら、実施形態1では、炭素繊維糸によってフランジ121を構成しているため、小径部132における層間剥離の問題は生じない。すなわち、フランジ121の強度を確保することができる。
[実施形態2]
図12は、実施形態2に係る車両用軸受100の軸心X2を通る平面における断面図である。図12に示す車両用軸受100において、符号A2側の端は車両への取付状態において車体から遠い方の端であり、符号B2側の端は車両への取付状態において車体に近い方の端である。以後、車両用軸受において、車体からより遠い位置を軸方向の外方、車体により近い位置を軸方向の内方と称する場合がある。
図12は、実施形態2に係る車両用軸受100の軸心X2を通る平面における断面図である。図12に示す車両用軸受100において、符号A2側の端は車両への取付状態において車体から遠い方の端であり、符号B2側の端は車両への取付状態において車体に近い方の端である。以後、車両用軸受において、車体からより遠い位置を軸方向の外方、車体により近い位置を軸方向の内方と称する場合がある。
図12に示すように、軸受100は、外輪1と、内方部材5と、複数の転動体31,32とを備える。外輪1及び内方部材5は、軸受100の軌道輪である。図12に示す例では、外輪1は、固定輪であり、内方部材5は、外輪1の内周側に設けられる回転軸(回転輪又は内軸とも称される)である。転動体31,32は、外輪1と内方部材5との間に回転可能な状態で配置される。外輪1は、例えば、上記実施形態1の外輪1と同様の構成とすることができる。
(内方部材5の構成)
内方部材5は、車両が有する車軸に取り付けられる。図12に示すように、内方部材5は、軌道部材51と、内輪52と、フランジ53(外径部の一例)とを備える。フランジ53は、軌道部材51の外周面から軌道部材51の径方向外方に突出している。フランジ53には、ディスクホイール(図示略)やブレーキディスク(図示略)等が取り付けられる。
内方部材5は、車両が有する車軸に取り付けられる。図12に示すように、内方部材5は、軌道部材51と、内輪52と、フランジ53(外径部の一例)とを備える。フランジ53は、軌道部材51の外周面から軌道部材51の径方向外方に突出している。フランジ53には、ディスクホイール(図示略)やブレーキディスク(図示略)等が取り付けられる。
軌道部材51は、鋼等の金属で構成されている。軌道部材51は、直線X2を軸心とする概略円柱状をなす。軌道部材51は、軸方向の外方端に軸方向に凹む凹部511を有する。軌道部材51の外周面には、軌道面512が設けられている。軌道面512は、直線X2を軸心とする環状をなす。
内輪52は、軌道部材51の外周面に固定されている。内輪52は、直線X2を軸心とする環状をなす。すなわち、内輪52は、軌道部材51と同軸に配置される。内輪52の外周面には、軌道面521が設けられている。軌道面521は、直線X2を軸心とする環状をなす。
軌道部材51及び内輪52は、外輪1の内側に配置される。軌道部材51の軌道面512及び内輪52の軌道面521と、外輪1の内周面に設けられた2つの軌道面111,112との間各々に、複数の転動体32,31が配置される。
外輪1の軸方向内方の端部と、内輪52の外周面との間にシール部材71が設けられる。また、外輪の軸方向外方の端部と、軌道部材51の外周面との間にシール部材72が設けられる。ここで、図12に示す例では、外輪1の外径部12の軸方向の外方端部における内周面に、シール部材72が配置される。この場合、外径部12の軸方向外方の端部には、面精度(例えば、真円度、表面粗さ等)が要求される。
軌道部材51の外周面であって、外輪1と対向しない部分には、フランジ53が設けられる。軌道部材51の外周面において、フランジ53と接する部分には、変形部513が設けられる。変形部513は、軌道部材51の外周面において径方向に突出する凸部で形成される。
変形部513の軸方向の幅は、フランジ53の軸方向の幅より小さい。変形部513における軸方向に対向する2つの側面513b,513cは、フランジ53の軸方向に互いに対向する2つの側面の間に配置される。そのため、変形部513の2つの側面513b,513cはいずれも、軸方向においてフランジ53と対向し、かつ接している。
フランジ53は、軸心X2を中心とする概略円環状をなす。フランジ53は、複数の締結孔531を有する。各締結孔531には、ディスクホイール(図示略)やブレーキディスク(図示略)等をフランジ53に取り付けるため、ボルト等の締結部材が挿入される。
フランジ53は、実施形態1に係る外輪1の外径部12と同様に、軌道部材51に巻きつけられた炭素繊維糸及び炭素繊維糸を固定する樹脂によって構成される。フランジ53は、樹脂に含浸させた炭素繊維糸を軌道部材51の外周面に巻き付けることによって形成される。すなわち、フランジ53は、少なくとも炭素繊維及び樹脂を含有している。
フランジ53を構成する炭素繊維糸の一部は、変形部513の側面513b,513cに接するように軌道部材51に巻き付けられる。すなわち、変形部513の軸方向の両側の面513b,513cに炭素繊維糸が配置される。これにより、フランジ53と軌道部材51との結合強度が向上する。なお、変形部513は、径方向に凹む溝で形成されてもよい。この場合も、同様に、フランジ53と軌道部材51との結合強度が向上する。
図13は、内方部材5を軸方向外方から見た図(内方部材5の正面図)である。図13において、変形部513及び炭素繊維糸10の一部を点線で示している。軌道部材51の外周面には、変形部513として、複数の凸部が周方向に交互に配置される。すなわち、変形部513は、周方向において複数の切り欠き513dを有する。凸部と切り欠きが周方向において交互に配置される。複数の凸部は、周方向に等間隔に配置される。
炭素繊維糸10の一部は、変形部513の切り欠き513dを通るように軌道部材51に巻き付けられる。炭素繊維糸10は、複数の凸部に対して、軸方向一方の側と他方の側を交互に通るように配置される。これにより、軸方向及び周方向におけるずれに対する強度を高めることができる。
(内方部材5の製造方法)
内方部材5は、実施形態1に係る外輪1と同様、フィラメントワインディン法を用いて製造することができる。例えば、各締結孔531に対応する位置に設けられる巻芯を有する治具を軌道部材51に取り付けたものをマンドレルとする。マンドレルをフィラメントワインディング装置2(図3)に載置する。そして、樹脂に含浸させた炭素繊維糸をマンドレルに供給し、炭素繊維糸をマンドレルに巻き付ける。巻芯及び軌道部材51に炭素繊維糸を巻き付けることで、フランジ53に対応する部分を形成することができる。
内方部材5は、実施形態1に係る外輪1と同様、フィラメントワインディン法を用いて製造することができる。例えば、各締結孔531に対応する位置に設けられる巻芯を有する治具を軌道部材51に取り付けたものをマンドレルとする。マンドレルをフィラメントワインディング装置2(図3)に載置する。そして、樹脂に含浸させた炭素繊維糸をマンドレルに供給し、炭素繊維糸をマンドレルに巻き付ける。巻芯及び軌道部材51に炭素繊維糸を巻き付けることで、フランジ53に対応する部分を形成することができる。
実施形態1と同様に、炭素繊維糸は、隣り合う2つの巻芯に掛け渡されることが好ましい。すなわち、一の巻芯から、当該一の巻芯の隣に位置する他の巻芯に炭素繊維糸が延びていることが好ましい。
また、フランジ53に相当する部分の成形において、実施形態1と同様、複数種類の炭素繊維糸の巻き方が組み合わせて用いることができる。これにより、軌道部材51の外周面上で、フランジ53を構成する炭素繊維糸が平面交差及び/又は立体交差する構成とすることができる。すなわち、フランジ53において、炭素繊維を様々な方向に配向することができる。
フランジ53に相当する部分を成形した後、マンドレルをオーブン等で加熱する。これにより、フランジ53に相当する部分が硬化し、フランジ53が完成する。その後、冶具を軌道部材51から取り外す。以上の工程により、フランジ53が取り付けられた軌道部材51が得られる。
実施形態2では、内方部材5において、軌道部材51の外周面に変形部513を形成し、炭素繊維糸を変形部513の軸方向の側面に接するように巻き付けることで外径部すなわちフランジ53を形成する。変形部513では、軌道部材51の外周面に対して炭素繊維糸が軸方向から掛かるので、軸方向のずれに対する強度が向上する。また、フランジ53の根元に変形部513が設けられるので、フランジ53に掛かる軸方向の力に対する強度を効率的に確保することができる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
例えば、変形部113,513の側面113b,113c,513b,513cは、軸方向に垂直な面でなくてもよい。また、変形部113,513の側面113b,113c,513b,513cは、平面でなく曲面であってもよい。変形部113,513は、軸方向に並ぶ複数の凸部又は溝を含んでもよい。
上記各実施形態では、フランジに含まれる炭素繊維が様々な方向に配向されている。しかしながら、フランジに含まれる炭素繊維が概ね同じ方向に配向されていてもよい。すなわち、軌道部材に対して炭素繊維糸を一定方向に巻き付けることにより、フランジを形成してもよい。
上記各実施形態では、フランジの成形に際し、隣り合う2つの巻芯に炭素繊維糸を掛け渡している。しかしながら、炭素繊維糸の巻き方は特に限定されるものではない。複数の巻芯のうち一部の巻芯に炭素繊維糸を掛け渡すこともできるし、複数の巻芯に対して別々に炭素繊維糸を巻き付け、巻芯間の炭素繊維糸の掛け渡しを行わなくてもよい。
上記実施形態1では、外径部12は、フランジ121と、フランジ121から軸方向に延びる筒部とを含む。これに対して,外径部12の筒部に相当する部分は、成形されなくてもよい。すなわち、実施形態1に係る外径部12から筒部を排除することもできる。また、上記実施形態2では、外径部12としてフランジ53のみが設けられる。これに対して、実施形態2でもフランジ53から軸方向に延びる筒部を形成することができる。
上記実施形態2では、外輪1及び内方部材5それぞれにおいて、炭素繊維糸を含む外径部12又はフランジ53が設けられる。これに対して、外輪1又は内方部材5のいずれかにおいて、炭素繊維糸を含む外径部が形成される構成であってもよい。
上記実施形態では、外輪1が、固定輪であり、内方部材5が、回転軸である。これに対して、外輪1を回転輪に、内方部材5を固定軸にすることもできる。
1 外輪(軌道輪)
5 内方部材(軌道輪)
11,51 軌道部材
113、513 変形部
113d、513d 切り欠き
12 外径部
121,53 フランジ
4 冶具
42 取付軸
43 巻芯
10 炭素繊維糸
100 軸受
5 内方部材(軌道輪)
11,51 軌道部材
113、513 変形部
113d、513d 切り欠き
12 外径部
121,53 フランジ
4 冶具
42 取付軸
43 巻芯
10 炭素繊維糸
100 軸受
Claims (6)
- 車両用軸受に含まれる軌道輪であって、
軌道面を有し、金属で構成される軌道部材と、
前記軌道部材の外周面に巻き付けられた炭素繊維糸によって構成される外径部とを有し、
前記軌道部材の外周面は、径方向外方に突出又は径方向内方に凹む変形部を有し、
前記変形部における前記軌道輪の軸方向の一方の側の面及び他方の側の面には、前記炭素繊維糸の一部が接する、軌道輪。 - 前記外径部は、前記軌道部材の外周面から径方向外方へ突出するフランジを有し、
前記変形部は、前記軸方向において前記フランジと重なる位置に設けられる、請求項1に記載の軌道輪。 - 前記変形部は、径方向内方に凹む溝で形成される、請求項1又は2に記載の軌道輪。
- 前記変形部は、径方向外方に突出する凸部で形成される、請求項1又は2に記載の軌道輪。
- 前記凸部は、前記周方向の少なくとも一部において切り欠きを有し、
前記炭素繊維糸の一部は、前記切り欠きを通って前記外周面に巻き付けられる、請求項4に記載の軌道輪。 - 軌道面を有する内方部材と、
前記内方部材の外周に設けられ、軌道面を有する外輪と、
前記内方部材の軌道面と前記外輪の軌道面との間に回転可能な状態で配置される転動体とを備える車両用軸受であって、
前記内方部材又は前記外輪の少なくとも一方は、
軌道面を有し、金属で構成される軌道部材と、
前記軌道部材の外周面に巻き付けられた炭素繊維糸によって構成される外径部とを有し、
前記軌道部材の外周面は、径方向外方に突出又は径方向内方に凹む変形部を有し、
前記変形部における前記軌道輪の軸方向の一方の側の面及び他方の側の面には、前記炭素繊維糸の一部が接する、車両用軸受。
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JP2015077851A JP2016196946A (ja) | 2015-04-06 | 2015-04-06 | 軌道輪 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102018200309A1 (de) * | 2018-01-10 | 2019-02-21 | Thyssenkrupp Ag | Wälzlageranordnung und Verfahren |
DE112017005054T5 (de) | 2016-10-05 | 2019-06-19 | AGC Inc. | Schalldämmungsstruktur eines Gürtellinienteils eines Fahrzeugs und Fahrzeugfensterscheibe |
IT201800007973A1 (it) * | 2018-08-08 | 2020-02-08 | Skf Ab | Modulo cuscinetto mozzo ruota per un montante o articolazione di sospensione |
-
2015
- 2015-04-06 JP JP2015077851A patent/JP2016196946A/ja active Pending
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