JP2016195670A - 医療用インプラント及び医療用インプラントの組み立て方法 - Google Patents

医療用インプラント及び医療用インプラントの組み立て方法 Download PDF

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Abstract

【課題】予め人工関節置換術が施された骨に適用可能な医療用インプラント及び該医療用インプラントの組み立て方法を提供する。【解決手段】人工股関節10が設けられた骨の内腔Sに挿入される医療用インプラント1であって、内腔Sで人工股関節10のステム12の遠位側端部12bを把持する把持部2と、把持部2に連結され、且つステム12の遠位側端部12bから前記骨の遠位側端部までの内腔Sに配置される軸部4と、を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、医療用インプラント及び医療用インプラントの組み立て方法に関する。
股関節は、脚の付け根にある関節であり、胴体と脚との間にある。股関節は人が立つとき又は歩くとき等に体重を支える役割を担っており、股関節に対し、歩行時には体重の約3倍、立ち上がりでは体重の約6倍から7倍、さらに床等のやや低い位置からの立ち上がりでは体重の10倍の重さがかかるといわれている。
股関節では、大腿骨の球状部(大腿骨頭)が骨盤の球面座をなす凹部(臼蓋)に嵌合している。関節部分、即ち大腿骨頭の表面は軟骨で覆われ、上述した股関節にかかる重さや力を吸収するとともに、大腿骨頭と臼蓋との動きを円滑にしている。
股関節をなす大腿骨の骨折を治療する治具として、髄内釘が知られている。髄内釘は、例えば棒部材又は中空状の管部材であり、骨折した大腿骨同士を貫通させるように、大腿骨の近位部から内腔に挿入される。
例えば、特許文献1には、大腿骨の骨頭側に配置される近位部と、前記近位部の遠位側に連なり遠位側に向かって小径となるテーパ部と、前記テーパ部の遠位側に連なる遠位部と、大腿骨の骨頭に挿入される固定部材が貫通可能な貫通孔と、を備えている髄内釘が開示されている。特許文献1に記載の髄内釘では、貫通孔の一方の開口端は近位部及びテーパ部の境界を含む表面に開口し、貫通孔の他方の開口端は近位部の表面に開口している。この構成によって、機械的強度を高める必要性から太く形成される近位部にテーパ部を接続可能にするため、髄内釘全体を細く形成することに限界があるという問題が解決され、機械的強度を低下させることなく、全体として細く形成される髄内釘が提供される。
一方、股関節の代表的な病気には、変形性股関節症、関節リウマチ等が挙げられる。これらの病気では、保存療法を行っても股関節痛が軽減しない場合や、症状がかなり進行している場合等には、人工股関節置換術が行われることがある。また、転倒等による大腿骨近位部骨折時にも、人工股関節置換術が行われることがある。
人工股関節置換術とは、すり減った軟骨と傷んだ骨とを切除して、金属製やプラスチック製の人工股関節に置き換える手術である。
人工股関節は、金属製のカップ、骨頭ボール、ステムと呼ばれる部材を備え、カップの内側には軟骨の代わりとなるプラスチック製のライナーが嵌るようになっている。
例えば、特許文献2には、医用インプラント表面に、複数の溝が形成された骨組織侵入固定部を有し、前記骨組織侵入固定部の全部若しくは一部が、前記骨組織侵入固定部以外の前記医用インプラント表面よりも高く盛り上がるように盛り上げ加工されている構成が開示されている。
特許文献1に記載の医用インプラントは、複数の溝が形成された骨組織侵入固定部を有するので、骨との密着固定性に優れると共に、骨組織侵入固定部の全部若しくは一部が盛り上げ加工されているので、強度に優れる。
特開2011−206420号公報 特開2007−296250号公報
近年、人工股関節置換術がなされる件数は増加傾向にあり、人工股関節置換術の増加に伴って、術後に人工股関節の周囲や大腿骨近位部で骨折を起こす患者も急増傾向にある。例えば、人工股関節の置換術を受けた患者の約4%が、人工関節周囲骨折を引き起こすことが報告されている(Neumann et.al, 2012)。
ところが、既に人工股関節が施されている股関節では、人工股関節のステムが大腿骨近位部の内腔に挿入されている。そのため、上記特許文献1に記載の髄内釘をはじめとする従来の髄内釘を大腿骨の内腔に挿入すると、大腿骨近位側の髄内釘が、略尖鋭形状のステムの遠位側端部に当ってしまい、安定しない。また、髄内釘は大腿骨の長さ寸法に合わせて製造されているため、大腿骨の内腔にステムが挿入されている長さ寸法分の、大腿骨遠位部の髄内釘が余り、内腔の大腿骨遠位部から突出する虞がある。
即ち、既に人工股関節が施されている股関節では、従来の髄内釘を大腿骨の内腔に挿入することは困難である。そこで、従来は人工関股関節の周囲の骨折部分をギプスで固定することで、保存的な治療(保存療法)が行われていた。
しかしながら、ギプスを用いる保存療法では、治療が遷延化し、脚全体に施されたギプスの固定期間に数か月を要し、患者の苦痛は長く、且つ大きいものであった。また、治療の遷延化によって、合併症が生じる場合があった。さらに、ギプスの固定期間経過後のリハビリも、患者に大きな苦痛を与えていた。
このように、従来は、既に人工股関節が施された骨に適用可能な髄内釘等の医療用インプラントがなく、保存療法を行ったとしても患者の苦痛が大きいという問題があった。なお、上記では関節の一つとして股関節を例示して説明したが、上述した問題は人工関節で置換可能な関節であって、例えば膝関節、肘関節等の関節でも同様に起こり得る。
発明者らは、人工関節のステムの遠位側端部を把持する機能を有する医療用インプラントを骨の内腔に挿入することで、骨を固定し、患者に苦痛を与えることなく、短期間で骨折した骨の治療が可能になることを発見した。また、人工関節のステムの形状を充分に考慮し、簡易な構成要素でステムの遠位側端部をより安定的に把持し、骨の内腔に芯となる各種部材を挿通させる構成を見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、上記のように人工股関節が施された骨に適用可能な髄内釘等の医療用インプラントがないという問題を解決するためになされたものであって、予め人工関節置換術が施された骨に適用可能な医療用インプラント及び該医療用インプラントの組み立て方法を提供する。
本発明の医療用インプラントは、人工関節が設けられた骨の内腔に挿入される医療用インプラントであって、前記内腔で人工関節のステムの遠位側端部を把持する把持部と、前記把持部に連結可能とされ、且つ前記ステムの遠位側端部から前記骨の遠位側端部までの前記内腔に配置される軸部と、を備えたことを特徴とする。
本発明の医療用インプラントでは、前記把持部は前記ステムの遠位側端部の外周側に、前記ステムの延在方向と軸線を揃えて配置可能な複数の細棒を有し、前記軸部の近位側端部に、前記細棒の遠位側端部を収容可能とされ、且つ前記細棒を介して前記ステムの遠位側端部を挿入可能な連結部を備えていてもよい。
また、前記細棒の断面形状が矩形とされていてもよい。
また、本発明の医療用インプラントの組み立て方法は、上記医療用インプラントを組み立てる方法であって、前記軸部を前記把持部に連結させるとともに、前記人工関節のステムの遠位側端部を前記把持部によって把持し、前記ステムと前記把持部と前記軸部とを一貫して前記内腔の近位側端部から前記内腔に挿入することを特徴とする。
本発明の医療用インプラントでは、把持部によって人工関節のステムの遠位側端部が安定して把持されると共に、把持部が軸部に連結される。そのため、骨の内腔に、人工関節のステムと把持部と軸部が一貫して安定的に挿通可能とされ、且つ内腔から軸部が突出することも容易に防がれる。
また、本発明の医療用インプラントの組み立て方法では、人工関節のステムの遠位側端部を把持部で把持すると共に、把持部の遠位側端部を軸部に連結させることができる。
従って、本発明によれば、予め人工関節置換術が施された骨に適用可能な医療用インプラント及び該医療用インプラントの組み立て方法が提供される。
本発明の一実施形態である医療用インプラントの概略図である。 本発明の一実施形態である医療用インプラントを示す図であり、図1に示すA−A線で矢視した断面図である。 本発明の一実施形態である医療用インプラントの組み立て方法を説明するための概略図である。 本発明の一実施形態である医療用インプラントの組み立て方法を説明するための概略図である。 大腿骨の内腔に挿通された本発明の一実施形態である医療用インプラントの概略図である。 実施例1におけるピンの剛性の理論値及び実測値を示すグラフである。 実施例2において、棒体からのピンの突出量を10mm、15mmとした場合のピンの剛性の実測値を示すグラフである。 実施例3で用いた、医療用インプラントの有限要素モデルの図であって、(a)は前方から見た場合に対応する断面図であり、(b)は外側から見た場合に対応する側面図である。 実施例3で用いた有限要素モデルの図であって、(a)は部分拡大図であり、(b)は負荷をかける条件を示す断面図である。 実施例3の有限要素解析で得られた各モデルにおいて、インプラント直後の応力分布を示す図であって、(a)は部分拡大図であり、(b)はステムと医療用インプラントの接続部分の拡大図である。 実施例3の有限要素解析で得られた各モデルにおいて、インプラント後の安定時の応力分布を示す図であって、(a)は部分拡大図であり、(b)はステムと医療用インプラントの接続部分の拡大図である。 実施例3の有限要素解析で得られた各モデルにおいて、600Nの負荷をかけた場合の応力分布を示す図であって、(a)は部分拡大図であり、(b)はステムと医療用インプラントの接続部分の拡大図である。 実施例3で用いた、医療用インプラントの前方から見た場合に対応する有限要素モデルの断面において、引張及び圧縮を加える様子を示す図である。 図13の領域Qに相当する部分の負荷圧力の分布を示す図であって、(a)はインプラント直後の分布であり、(b)及び(c)はインプラント後の安定時の分布である。 変位倍率を10倍で表示した有限要素モデルにおける変位分布を示す図であり、(a)は正面視した場合に対応する図であり、(b)は側面視した場合に対応する図である。 医療用インプラントのモデルに負荷をかけた際の合力の変位依存性を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態である医療用インプラント及び該医療用インプラントの組み立て方法について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅、及び厚みの比率等は実際のものと同一とは限らず、適宜変更できる。
図1は本発明を適用した一実施形態(以下、本実施形態とする)である医療用インプラント1の概略図である。図2は医療用インプラント1を示す図であり、図1に示すA−A線で矢視した断面図である。
[本実施形態の医療用インプラントの構成]
医療用インプラント1は、人工股関節(人工関節)10が設けられた大腿骨(骨)の内腔Sに挿入される医療用インプラントであって、図1及び図2に示すように、少なくとも把持部2と、軸部4と、を備えている。
人工股関節10は、骨盤(図示略)にある寛骨臼に球面嵌合可能な形状を有するカップ、ライナー、骨頭ボールと、該骨頭ボールにネック部14を介して接続可能なステム12と、を備えている。なお、図1では、カップ、ライナー、骨頭ボールは省略する。
寛骨臼は球面座を形成し、該球面座内側の球面に沿って、カップ、ライナー、骨頭ボールがこの順に嵌合される。この球面嵌合によって、人工股関節10が骨盤に対して回動可能とされている。
ステム12は、人工股関節10において大腿骨の内腔Sに挿入及び固定される部位であり(図5参照)、所定の長さ寸法を有する部材である。図1に示すように、ステム12の近位側端部(即ち、図1に示す上端部)12aには、骨盤に向かってステム12の延在方向から傾斜する方向にネック部14が連設されている。一方、ステム12の遠位側端部(即ち、図1に示す下端部)12bの幅寸法は、先端に向かうに従って小とされている。このような形状を有することによって、ステム12は遠位側端部12bから大腿骨の内腔Sに挿入し易くなっている。
人工股関節10の材質は、特に制限されないが、生体適合性に優れた金属が好ましい。このような金属としては、例えばチタン合金(例えば、Ti−Al−V合金、Ti−Ni合金)、単独のチタン、ステンレス(SUS316等)が挙げられる。
把持部2は、大腿骨の内腔Sでステム12の遠位側端部12bを把持する部位である。
本実施形態の把持部2は、複数の細棒6,…,6を有する。細棒6は、ステム12の遠位側端部12bの延在方向(即ち、図1及び2に示す矢印D1方向)と軸線J6を揃えて配置可能とされている。図2に示すように、把持部2では、細棒6が前記配置とされた状態で、ステム12の遠位側端部12bの外周面に沿って複数並べられている。
細棒6の長さ寸法は、特に制限されず、ステム12の長さ寸法を勘案して適切に設定されている。細棒6の断面形状は、特に制限されず、図2に例示する円形や、矩形、三角形、多角形等であってもよい。なお、細棒6の断面形状は矩形、より好ましくは正方形とされていることが好適である。これにより、ステム12と後述する軸部4との間に細棒6が介在する際に、ステム12と軸部4と当接する辺の長さ寸法がより大きくなり、且つ細棒6の安定性が高まる。細棒6の断面の幅寸法は、特に制限されず、ステム12の外径及び軸部4の内径を勘案して適切に設定されている。
把持部2及び細棒6の材質は、特に制限されないが、生体適合性に優れた金属が好ましい。このような金属としては、人工股関節10を構成する好適な金属と同様に、例えばチタン合金(例えば、Ti−Al−V合金、Ti−Ni合金)、単独のチタン、ステンレス(SUS316等)が挙げられる。
軸部4は、把持部2に連結可能とされ、且つステム12の遠位側端部12bから大腿骨の遠位側端部(図示略)までの内腔Sに配置される部位である。
本実施形態の軸部4は、所定の長さ寸法で形成された棒部材5を有する。
棒部材5の長さ寸法は、特に限定されないが、大腿骨の内腔Sに挿入されたステム12の遠位側の先端から、大腿骨の内腔Sの遠位側の端までの長さ寸法以下とされ、該長さ寸法と略同等であることが好ましい。棒部材5の断面形状は、特に制限されず、図2に例示する円形や、矩形、三角形、多角形等であってもよい。但し、棒部材5の断面形状は、円形とされていることが好適である。これにより、棒部材5が略円形の断面形状を有する大腿骨の内腔Sに円滑に挿入可能となり、且つ内腔Sの壁面に接触した際に該壁面を傷付けることが極めて少ない。棒部材5の断面の幅寸法は、特に制限されず、内腔Sでの髄液等の流動を妨げないように、大腿骨の内腔Sの断面の幅寸法を勘案して適切に設定されている。
図1に示すように、棒部材5の近位側端部5aには、近位側端面5cに開口する凹部(連結部)8が形成されている。
凹部8の深さ寸法は、特に限定されないが、ステム12の遠位側端部12b及びその周囲に配置した複数の細棒6,…,6の長手方向における中心から遠位側の部分が挿入可能な深さ寸法より大とされ、ステム12及び細棒6の長さ寸法を勘案して適切に設定されている。凹部8の開口の幅寸法は、上記同様にステム12の遠位側端部12b及びその周囲に配置した複数の細棒6,…,6が挿入可能とされ、ステム12及び細棒6の径寸法を勘案して適切に設定されている。
凹部8は、細棒6の遠位側端部6bを収容可能とし、且つ細棒6を介してステム12の遠位側端部12bを挿入可能な連結部として機能する。
なお、凹部8は棒部材5を貫通し、棒部材5の遠位側端面5dに開口していてもよい。即ち、棒部材5は中空状の筒体であってもよい。
[本実施形態の医療用インプラントの組み立て方法]
図3及び図4は本実施形態の医療用インプラント1の組み立て方法を説明するための断面図である。
医療用インプラント1を組み立てる際には、先ず、人工股関節10のステム12を一旦、大腿骨から取り出す。
続いて、軸部4の連結部である凹部8に把持部2を連結させる。詳しくは、図3に示すように、棒部材5の近位側端部5aの凹部8に、複数の細棒6,…,6をその軸線方向を棒部材5の延在方向に合わせて充填する。
続いて、ステム12の遠位側端部12bを把持部2によって把持する。詳しくは、凹部8に充填した複数の細棒6,…,6の近位側からステム12の遠位側端部12bを遠位側に進行させる。図4に示すように、ステム12の遠位側端部12bの進行に伴って、凹部8の幅方向中心から外周に向かって複数の細棒6,…,6が順次、遠位側に推し進められる。ステム12の遠位側端部12bが凹部8の側壁面に細棒6を介して係止されるまで、ステム12の遠位側端部12bを遠位側に進行させる。この際、ステム12の遠位側端部12bと棒部材5との間に介在しない細棒6は、凹部8の遠位側端部まで落下し、凹部8が棒部材5の遠位側端面5dに開口している場合には、遠位側端面5dから取り出される。
以上の作業により、図1に示す医療用インプラント1が組み立てられる。
次いで、図1に示す医療用インプラント1を軸部4の遠位側端部4bから大腿骨の内腔Sの近位側端部に挿入し、遠位側に向けて進行させる。
図5は、大腿骨Bの内腔Sに挿通された医療用インプラント1の断面図である。医療用インプラント1を遠位側に向けて進行させることによって、図5に示すように、医療用インプラント1を内腔Sの全長にわたって挿通させる。大腿骨Bが骨折している場合には、ひび等が入った、又は折れて分離した大腿骨B1,B2同士の内腔Sを連結させながら、医療用インプラント1を遠位側に進行させればよい。
この後に、ステム12のネック部14を図示しない人工股関節10の骨頭ボールに接続する。これにより、大腿骨Bの内腔Sへの医療用インプラント1の設置が完了する。
[本実施形態の医療用インプラント及び医療用インプラントの組み立て方法の作用効果]
上記説明した本実施形態の医療用インプラント1によれば、大腿骨の内腔Sの径方向に沿って、ステム12と把持部2によって人工股関節10のステム12の遠位側端部12bが安定して把持される。即ち、棒部材5の凹部8の外壁部とステム12の遠位側端部12bとの間に細棒6が隙間なく介在し、ステム12の遠位側端部12bが係止される。細棒6の姿勢は、ステム12の遠位側端部12bの外周面の形状に合っているため、ステム12の遠位側端部12bが凹部8に安定して把持される。また、細棒6の姿勢は、ステム12の遠位側端部12bの外周面の形状に合わせて可動となっている。そのため、ステム12及び人工股関節10の動きを阻害しない。
また、把持部2と軸部4とが連結可能とされ、これらがステム12の遠位側端部12bから大腿骨Bの遠位側端部までの内腔Sに配置される。即ち、
従って、大腿骨Bの内腔Sに、人工股関節10のステム12と把持部2と軸部4を一貫して安定的に挿通させることができ、且つ内腔Sから軸部4が突出することも容易に防止することができる。
また、上記説明した本実施形態の医療用インプラント1の組み立て方法によれば、ステム12の遠位側端部12bを把持部2によって安定的に把持すると共に、把持部2を軸部4に連結し、医療用インプラント1を組み立てることができる。
本実施形態の医療用インプラント1及び医療用インプラント1の組み立て方法によれば、医療用インプラント1を、予め人工関節置換術が施され、人工股関節10を伴う大腿骨Bにも適用することができる。そして、骨折した大腿骨Bの回復を効果的に促進し、大腿骨Bの回復期間の短縮化に貢献する。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
[本実施形態の医療用インプラントの変形例]
例えば、本実施形態の人工関節はステム12及びステム12に該当する部位を有していれば、人工股関節10に限定されず、人工膝関節、人工肘関節等であってもよく、これら以外の関節に適用可能な医療用インプラント等であってもよい。
また、本実施形態の把持部2は、複数の細棒6,…,6を有する構成に限定されず、ステム12の遠位側端部12bの外周面に当接させることができ、これらを凹部8に挿入できれば、例えば網状の布やスポンジ等の弾性を有する発泡体や樹脂等であってもよい。
次に、本発明を以下の実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
荷重試験器及びセンサ(販売元:日本電産シンポ株式会社)を使用し、細棒6の三点曲げ試験を行った。細棒6として、断面形状が正方形、真円、正三角形のチタン合金製のピンを各一本ずつ用意した。正方形の一辺の長さは0.7mm、真円の半径は0.5mm、正三角形の一辺の長さは0.5mmとした。また、各ピンへの強制変位は10mmとした。
図6に、各断面形状のピンの剛性の理論値と、上記の荷重試験器及びセンサを用いて取得した実測値と、を示す。図6からわかるように、理論値と実測値との僅かな誤差はあるが、実測値の傾向は理論値の傾向に良く一致している。また、断面形状が正方形、真円、正三角形の順に剛性が高いことがわかる。剛性の高さがこのような順になった理由としては、正方形では、面積が大きく、互いに平行をなす二対の辺によってピンにおける応力が最も効率良く分散されるためと考えられる。また、真円では、正方形に次いで面積が大きい。三角形では、面積が比較的小さく、且つ頂角に負荷がかかり易く、該頂角に応力が集中するためと考えられる。
(実施例2)
図1に示す本実施形態の医療用インプラント1のモデルを用意し、このモデルに対して実施例1と同様の荷重試験器及びセンサを使用し、四点曲げ試験を行った。細棒6としては、実施例1と同様の断面形状が正方形、真円、正三角形のチタン合金製のピンをそれぞれ15〜30本ずつ使用した。軸部4としては、端面に開口する凹部を有する棒体を用いた。大腿骨Bの骨折部位の間隔は約10mmとした。また、強制変位を5mmとし、棒体からのピンの突出量(図3及び図4に示す寸法X)を10mm及び15mmとして剛性を比較した。
各ピンに対して、棒体からの突出量を10mmとした場合と、15mmとした場合について、図7に剛性の実測値を示す。
図7からわかるように、断面形状が正方形及び真円である場合には、突出量が10mmから15mmに変更されることで、ピンの剛性は低くなった。一方、断面形状が正三角形である場合には、突出量が10mmから15mmに変更されることで、ピンの剛性は僅かに高くなった。
上記実施形態では、このように細棒6の断面形状及び棒部材5からの突出量によって把持部2の剛性が異なるため、剛性も考慮して細棒6の棒部材5からの突出量が適切に設定されていることが好ましい。
(実施例3)
次に、図1に示す本実施形態の医療用インプラント1と同様の有限要素モデルを構築し、有限要素解析を行った。有限要素解析における要素数は、20000とした。図8(a)には、医療用インプラント1の前方から見た場合に対応する有限要素モデルの断面を示す。図8(b)には、医療用インプラント1の外側から見た場合に対応する有限要素モデルを示す。また、図9(a),(b)に示すように、ピンの遠位側端部を棒体の軸線方向以外の方向で拘束した。そして、図11に示すように、人工股関節のステムのネック部に対応する位置に、医療用インプラント1の長手方向に対して約25°傾斜した方向から600Nの負荷を適宜加えた。さらに、有限要素解析における材料定数と要素の種類は表1のように設定した。
図10から図12には、有限要素解析で得られた各モデルの応力分布を示す。図10(a),(b)は大腿骨の内腔に挿通させた直後(即ち、インプラント直後)の応力分布であり、図11(a),(b)は大腿骨の内腔に挿通させた後の安定時の応力分布であり、図12(a),(b)はネック部に600Nの負荷を加えた場合の応力分布である。
なお、図13には、医療用インプラント1の前方から見た場合に対応する有限要素モデルの断面において、引張及び圧縮を加える様子を説明するための図を示す。図14(a)には、インプラント直後の負荷圧力の分布であって、図13に示す領域Qの拡大図を示す。同様に、図14(b),(c)には、インプラント後の安定時の負荷圧力の分布を医療用インプラントの前方及び後方から見た場合に対応する負荷圧力の分布であって、図13に示す領域Qの拡大図を示す。
図10から図14に示されているように、インプラント直後にはピンの遠位側端部に集中していた応力が、インプラント後の安定時には、医療用インプラント1の長手方向にやや分散されている。また、ネック部に600Nの負荷を加えた場合には、ピン全体に応力が分散されている。これらの結果から、医療用インプラント1では長手方向に安定し、近位側端部からの負荷が一箇所に集中することなく、細棒6や把持部2全体に分散されるといえる。
図15(a),(b)には、変位倍率を10倍で表示した有限要素モデルにおける変位分布の正面視及び側面視した場合に対応する図を示す。図15(a),(b)からわかるように、大腿骨の長手方向の略中央で骨折している場合に、本実施形態の医療用インプラント1が内腔に設けられていれば、変位が中央から近位側に広がり、大腿骨に対して大きな負荷がかからないと考えられる。
(実施例1から実施例3の考察)
以上説明した実施例1から実施例3の結果から、先ず、ステム12の遠位側端部に面積の広い断面を有する細棒6が配置されると、ステム12の固定が安定し、剛性が高くなると考察される。
表2に、断面形状が正方形、真円、正三角形である単純支持梁のそれぞれにおける断面二次モーメントの理論値を示す。また、表3には、これらの単純支持梁の長手方向両端部を支持し、中央に荷重を加えた際の実測値を示す。
上記の表2及び表3を見ても分かるように、それぞれの単純支持梁の剛性の断面形状に関する傾向は、ピンの剛性の断面形状に関する傾向と同様である。これらの結果からも上記の考察が裏付けられたといえる。
また、一般に、チタン合金の降伏応力は1250MPaと報告されている。有限要素解析の結果では、1/10の応力値を示していることから、医療用インプラントの破損は生じないと推察される。
大腿骨Bの骨折に対しては、一般に、医療用インプラント1を設置したと想定した場合の四点曲げ試験の剛性は60000N/mと報告されている。この値も、解析結果の1/10以下であることから、本実施形態の医療用インプラント1は従来の髄内釘と同等か、それ以上の剛性を有していると推察される。
図16には、医療用インプラント1のモデルの実物を用意し、このモデルに荷重試験機(販売元:インストロン)を用いて負荷をかけた際の合力の変位依存性を示す。
以上説明したように、細棒6の断面形状や医療用インプラント1の種々の条件によって、把持部2の剛性や大腿骨B及び医療用インプラント1における応力分布が異なる。そのため、これらの解析結果等を考慮して医療用インプラントの各種の設計パラメータが適切に設定されることが好ましい。
1…医療用インプラント
2…把持部
4…軸部
6…細棒
8…凹部(連結部)
10…人工股関節(人工関節)
12…ステム
12b…遠位側端部
B…大腿骨(骨)
S…内腔

Claims (4)

  1. 人工関節が設けられた骨の内腔に挿入される医療用インプラントであって、
    前記内腔で人工関節のステムの遠位側端部を把持する把持部と、
    前記把持部に連結され、且つ前記ステムの遠位側端部から前記骨の遠位側端部までの前記内腔に配置される軸部と、
    を備えた医療用インプラント
  2. 前記把持部は前記ステムの遠位側端部の外周側に、前記ステムの延在方向と軸線を揃えて配置可能な複数の細棒を有し、
    前記軸部の近位側端部に、前記細棒の遠位側端部を収容可能とされ、且つ前記細棒を介して前記ステムの遠位側端部を挿入可能な連結部を備えた請求項1に記載の医療用インプラント。
  3. 前記細棒の断面形状が矩形とされている請求項2に記載の医療用インプラント。
  4. 請求項1から請求項3に記載の医療用インプラントを組み立てる方法であって、
    前記軸部を前記把持部に連結させるとともに、前記人工関節のステムの遠位側端部を前記把持部によって把持し、前記ステムと前記把持部と前記軸部とを一体化して前記内腔の近位側端部から前記内腔に挿入する医療用インプラントの組み立て方法。

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