JP2016195573A - 柔らかい食感を有する繊維状組織の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な製造工程でマンゴー、桃、メロン等の果肉繊維を想起させるような、柔らかい食感を有する繊維状組織、並びに、柔らかい食感の繊維状組織を含有する飲食品を提供する。【解決手段】(i)タンパク質、及び(ii)キサンタンガムを含有する組成物と、(iii)酸を含有する組成物とを混合して得られるpH5以下の混合物を、5℃を超え55℃未満の条件下で調製することで、柔らかい食感を有する繊維状組織を製造する。また、(ii)キサンタンガム、及び(iii)酸を含有する組成物と、(i)タンパク質を含有する組成物とを混合して得られるpH5以下の混合物を、5℃を超え55℃未満の条件下で調製することで、柔らかい食感を有する繊維状組織を製造する。【選択図】なし

Description

本発明は、マンゴー、桃、メロン等の果肉繊維を想起させる、柔らかい食感を有する繊維状組織の製造方法、及び柔らかい食感の繊維状組織を含有する飲食品の製造方法に関する。
果肉様食感を有する飲食品として、各種飲料やゼリー等が知られている。
例えば、キトサン溶液と、加熱溶解したゲル化剤溶液と、果肉汁溶液を均一に混合して得られる果肉繊維状ゲル入り果汁飲料(特許文献1)や、糖類、果汁、カラギーナン、ジェランガム並びにキサンタンガム及び/又はグルコマンナンを加熱した混合ゾル状物を冷却ゲル化し、これを緩慢凍結し、次いで解凍して得られる、果肉状組織を有する耐熱性ゼリー食品(特許文献2)等が知られている。
また、特許文献3及び4には、キサンタンガムを用いた技術が開示されている。
例えば、特許文献3には、ジェランガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム及び乳清タンパクを含んでなる果肉様ゼリーが記載され、また、特許文献4には、キサンタンガム、ラムダカラギーナン及びグァーガムを含む粉末飲料を、タンパク質含有飲食品に溶解させることで、スムージー様食感を有する飲料を提供できることが開示されている。
特開平07−111882号公報 特開平09−140339号公報 特許第3435079号 特開2012−115207号公報
しかしながら、従来技術では、マンゴー、桃、メロン等の果肉繊維を想起させる、柔らかい食感を有する繊維状組織を提供することができなかった。
例えば、特許文献1に開示された技術は、正に帯電した高分子であるキトサンと、アニオン性高分子の間に生じる分子間力を利用した技術であり、分子間で引き合い、中和された分子が互いに絡み合って、大きなフロック(繊維状ゲル)が形成される。そのため、得られる繊維状ゲルは、硬い食感を有する繊維集合体であり、果肉の繊維のように柔らかくほぐれた状態ではない。したがって、本発明が目的とする、マンゴー、桃、メロン等の果肉繊維を想起させる、柔らかい食感を有する繊維状組織を再現することができない。更には、撹拌時にプロペラ等に過度に巻き付きやすく、収率や作業効率の低下を招くといった問題や、キトサンを必須成分として用いているため、キトサンに起因する収斂味が最終飲食品に与える影響が大きいという問題を有している。
特許文献2に開示された技術は、凍結時に生じる氷結晶をゼリー組織中で適度に成長させることで、ゼリー組織の一部を破壊し、果肉様食感を付与するものである。これにより、内部に粒状食感ゼリーを含有し、部分的に食感が異なる不均一なゼリーを得ることが可能であるが、繊維状物は含まれておらず、本発明が目的とする繊維状組織を得ることができない。更に、制御された条件下で緩慢凍結・解凍を行なわなければならず、製造工程が煩雑となるという問題や、品質が十分に安定しないといった問題も有している。
同様に、特許文献3及び4に開示された技術をもってしても、柔らかい食感を有する繊維状組織を調製することができない。
例えば、特許文献3には、ジェランガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム及び乳清タンパクを含んでなる果肉様ゼリーが開示されているが、ジェランガムを0.03%以上用いているため、塊状の組織が形成され、柔らかい繊維状食感を付与することができない。また、特許文献2に開示された技術と同様に、本技術も、凍結時に生じる氷結晶をゼリー組織中で適度に成長させることで、ゼリー組織の一部を破壊し、果肉様食感を付与する技術であるため、冷凍解凍工程を経なかった場合は、果肉様食感を十分に付与することが難しい。例えば、実施例1には、繊維質組織の外観ができている旨が開示されているが、冷凍解凍工程を経なかった場合は、あたかも繊維質組織様のものが形成されたゼリーを調製することはできるが、実際は単に繊維状組織の模様を有するに過ぎず、繊維状組織として認識される十分な食感を有するものではなかった。
特許文献4に開示された技術は、飲料に粘性を付与し、更に不溶性固形分(加工澱粉、ココア等)を併用することで、スムージー食感を付与する技術である。従って、不溶性固形分を含有しなかった場合は、良好なスムージー食感を付与できないという問題を有していた。例えば、特許文献4の表9に記載された配合4cは、加工澱粉を含まない系であるが、その食感は5段階評価で「2(評価:やや好ましくない)」である。
また、特許文献4には、酸を用いてpHを5以下に調整する技術について何ら開示がない。当該pHに関し、特許文献4の実施例処方の中で、pHが最も低いと考えられる配合14a及び14c(表14参照)について、実際に飲料を調製したところ、そのpHは5.3及び5.6であった。また、得られた飲料は、果肉様の粒状食感を有する飲料であり、飲料中に本発明が目的とする繊維状組織は形成されていなかった。
上記従来技術に鑑み、本発明では、従来技術では達成できなかった、マンゴー、桃、メロン等の繊維質の果肉を想起させる、柔らかい食感の繊維状組織、並びに当該繊維を含有する飲食品を提供することを目的とする。
本発明者らは上記のごとき課題を解決すべく鋭意研究した結果、(i)タンパク質、及び(ii)キサンタンガムを含有する組成物と、(iii)酸を含有する組成物とを混合して得られるpH5以下の混合物を、5℃を超え55℃未満の条件下で調製することで、柔らかい食感を有する繊維状組織を製造できることを見出して本発明に至った。
また、本発明者らは、(ii)キサンタンガム、及び(iii)酸を含有する組成物と、(i)タンパク質を含有する組成物とを混合して得られるpH5以下の混合物を、5℃を超え55℃未満の条件下で調製することで、柔らかい食感を有する繊維状組織を製造できることを見出して本発明に至った。
さらに、本発明者らは、店舗、家庭、自動販売機(ディスペンサー)等で、柔らかい食感を有する繊維状組織を簡便に製造できる以下の組成物1及び2を提供できることを見出して本発明に至った;
(組成物1)タンパク質含有飲食品と、5℃を超え55℃未満の条件下で混合することで、繊維状組織を有する飲食品を調製するための組成物であり、前記組成物が次の成分を含有することを特徴とする組成物;
(ii)キサンタンガム、
(iii)前記タンパク質含有飲食品との混合物のpHが5以下となる量の酸。
(組成物2)5℃を超え55℃未満の条件下で飲食品と混合することで、繊維状組織を有するpH5以下の飲食品を調製するための組成物であり、前記組成物が次の成分を含有することを特徴とする組成物;
(i)タンパク質、
(ii)キサンタンガム。
本発明は、以下の態様を有する、柔らかい食感を有する繊維状組織を製造する方法に関する;
項1.(i)タンパク質、及び(ii)キサンタンガムを含有する組成物と、
(iii)酸を含有する組成物とを混合して得られるpH5以下の混合物を、5℃を超え55℃未満の条件下で調製することを特徴とする、繊維状組織の製造方法。
項2(ii)キサンタンガム、及び(iii)酸を含有する組成物と、
(i)タンパク質を含有する組成物とを混合して得られるpH5以下の混合物を、5℃を超え55℃未満の条件下で調製する、繊維状組織の製造方法。
項3.前記繊維状組織が1mm以上の長径を有するものである、項1又は2に記載の繊維状組織の製造方法。
項4.項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法によって製造される、繊維状組織。
項5.項4に記載の繊維状組織を含有する飲食品。
項6.更に寒天を含有する、項5に記載の飲食品。
項7.タンパク質含有飲食品と、5℃を超え55℃未満の条件下で混合することで、繊維状組織を含有する飲食品を調製するための組成物であり、
前記組成物が以下の成分を含有することを特徴とする組成物;
(ii)キサンタンガム、
(iii)前記タンパク質含有飲食品との混合物のpHが5以下となる量の酸。
項8.5℃を超え55℃未満の条件下で飲食品と混合することで、繊維状組織を含有するpH5以下の飲食品を調製するための組成物であり、
前記組成物が以下の成分を含有することを特徴とする組成物;
(i)タンパク質、
(ii)キサンタンガム。
本発明によれば、簡便な製造工程によって、マンゴー、桃、メロン等の繊維質の果肉を想起させる、柔らかい食感を有する繊維状組織を製造できる。本発明で得られる繊維状組織は、果肉繊維と同等の食感を有するため、当該繊維状組織を各種飲食品に配合することで、果肉が含まれていない場合においても、あたかも果肉繊維が含まれているような食感を飲食品に付与できる。
また、本発明によれば、店舗、家庭、自動販売機(ディスペンサー)等において、繊維状組織を有する飲食品を簡便に調製することが可能な組成物を提供できる。
(原材料)
本発明で用いる主な原材料は、水、(i)タンパク質、(ii)キサンタンガム、及び(iii)酸である。
(水)
本発明において、「水」は、成分(i)タンパク質、(ii)キサンタンガム、及び(iii)酸の溶媒として主に用いられる。
本発明で用いる「水」の種類は特に制限されず、イオン交換水等を用いてもよく、飲食品等に元来含まれる水(例えば、物質や混合物中の構成成分として含まれている水)を用いてもよい。
(タンパク質)
本発明で用いるタンパク質の種類は特に制限されず、飲食品に使用可能なタンパク質を使用できる。例えば、乳タンパク質、大豆タンパク質、小麦タンパク質、米タンパク質、ゼラチン、コラーゲンペプチド、卵タンパク等を使用できる。好ましくは乳タンパク質である。乳タンパク質源としては、例えば、牛乳、濃縮乳、濃縮脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、乳清タンパク質、カゼイン、発酵乳等が挙げられ、大豆タンパク質源としては、例えば豆乳等が挙げられる。
(キサンタンガム)
本発明で用いるキサンタンガムは、キサントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)が菌体外に産生する多糖類であり、D−マンノース、D−グルコース、D−グルクロン酸で構成されている。主鎖はβ−1,4結合しているD−グルコースからなり、この主鎖のアンヒドログルコースにD−マンノース、D−グルクロン酸、D−マンノースからなる側鎖が結合している。
(酸)
本発明で用いる酸の種類は特に制限されず、飲食品に利用可能な、各種の酸を使用できる。例えば、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、酒石酸、グルコン酸、酢酸、リン酸、フマル酸等が挙げられる。本発明では、酸として、上記酸を含む素材(例えば、果汁、ピューレ、酢、ヨーグルト等)を利用することも可能であり、また、水中で酸を生成する物質(例えば、グルコノデルタラクトン等)を利用することも可能である。
1.柔らかい食感を有する繊維状組織の製造方法
本発明は、果肉繊維を想起させる柔らかい食感を有する繊維状組織を製造する方法に関する。本発明の製造方法は、以下の態様を有することができる。
(製造方法A)
成分(i)タンパク質、及び(ii)キサンタンガムを含有する組成物A1と、
成分(iii)酸を含有する組成物A2とを混合して得られるpH5以下の混合物を、5℃を超え55℃未満の条件下で調製することを特徴とする、繊維状組織の製造方法。
(製造方法B)
成分(ii)キサンタンガム、及び(iii)酸を含有する組成物B1と、
成分(i)タンパク質を含有する組成物B2とを混合して得られるpH5以下の混合物を、5℃を超え55℃未満の条件下で調製することを特徴とする、繊維状組織の製造方法。
本発明において、「5℃を超え55℃未満の条件下で調製する」とは、水、(i)タンパク質、(ii)キサンタンガム、及び(iii)酸が均一に混合され、混合物の温度が一定になった時点の温度が、5℃を超え55℃未満となるように混合物を調製することを意味する。
(原材料の好ましい含量)
前記組成物A1及びA2、又はB1及びB2における水の含量は特に制限されない。また、前記混合物における水の含量は特に制限されないが、好ましい含量は50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更により好ましくは75質量%以上である。
前記組成物A1又はB2における(i)タンパク質の含量は特に制限されない。また、前記混合物における(i)タンパク質含量は、目的とする繊維状組織によって適宜調整することが可能であり、特に制限されない。繊維質の果肉を想起させる食感を付与する観点からは、混合物におけるタンパク質含量が0.1〜10質量%であることが好ましく、0.3〜5質量%であることがより好ましく、0.3〜2質量%であることが更に好ましい。前記混合物におけるタンパク質含量が0.1質量%未満では、繊維状の模様は得られるものの、繊維状食感が感じられ難い場合があり、一方で、タンパク質含量が10質量%を超えると、得られる繊維状組織が硬くなり過ぎる場合や、繊維が多すぎて果肉をイメージできる繊維状組織とならない場合がある。
本発明では、混合物に(ii)キサンタンガムを用いることで、繊維状組織を調製することができる。前記組成物A1及びA2、又はB1及びB2における(ii)キサンタンガムの含量は特に制限されず、製造方法Aにおいて組成物A2にキサンタンガムが含まれてもよく、製造方法Bにおいて組成物B2にキサンタンガムが含まれてもよい。また、前記混合物における(ii)キサンタンガム含量は特に制限されないが、好ましいキサンタンガム含量は0.01〜2質量%であり、より好ましくは0.02〜1質量%、更に好ましくは0.02〜0.8質量%、更により好ましくは0.03〜0.5質量%である。
前記組成物A2又はB1における(iii)酸の含量は特に制限されない。また、前記混合物における(iii)酸の含量は、混合物のpHが5以下になる量であれば特に制限されない。混合物のpHが5を上回ると、繊維状組織が形成されない、又は繊維状組織が形成されるものの極微量であり、繊維状食感を感じられない等の不都合が生じる。混合物の好ましいpHは4.5以下である。pHの下限は特に制限されないが、例えばpH2.5が挙げられる。
また、本発明では、水、(i)タンパク質、(ii)キサンタンガム、及び(iii)酸を含有するpH5以下の混合物を、5℃を超え55℃未満の条件下で調製することを特徴とする。上述のとおり、本発明において、「5℃を超え55℃未満の条件下で調製する」とは、水、(i)タンパク質、(ii)キサンタンガム、及び(iii)酸が均一に混合され、混合物の温度が一定になった時点の温度が、5℃を超え55℃未満となるように混合物を調製することを意味する。本発明では、前記混合物を、5℃を超え55℃未満の条件下で調製することで、柔らかく、ほぐれやすい繊維状組織を調製することができる。一方、前記混合物を5℃以下の条件下で調製した場合は、繊維状組織が柔らかくなりすぎ、繊維状食感が感じられない。また、前記混合物を55℃以上の条件下で調製した場合は、繊維状組織が硬くなりすぎ、ギシギシとした食感となる。
前記混合物は5℃を超え55℃未満の条件下で調製されれば、柔らかく、ほぐれやすい繊維状組織を調製することが可能であるが、十分な柔らかさと、しっかりとした繊維状食感を感じる繊維状組織を提供できる観点からは、前記混合物を10〜50℃の条件下で調製することが望ましく、より果肉繊維に近い、柔らかい繊維感を感じる繊維状組織を提供できる観点からは、20〜40℃の条件下で調製することがより望ましい。
本発明では、前記混合物に、本発明の効果を損なわない範囲で各種多糖類、甘味料、乳化剤、香料、果汁、ビタミン類、機能性素材、保存料、色素等を適宜含有させることが可能であるが、前記混合物中に、ジェランガムを含有しない、又はジェランガムを含有する場合は、混合物における含量が0.03質量%未満であることが好ましく、0.02質量%以下であることがより好ましい。前記混合物に含まれるジェランガム含量が0.03質量%以上になると、組織が塊状に形成され、調製された繊維状組織の食感が硬いものとなってしまう場合があるためである。
前記混合物の調製手段(混合手段)は、前記混合物を、5℃を超え55℃未満の条件下で調製できる条件であれば、特に制限されない。例えば、撹拌機を用いた混合や、ノズル充填による混合、スプーンによる手混ぜなど、各種方法を用いることができる。
なお、本発明によれば、前記混合物を調製する際の製造効率を格段に向上することができる。
例えば、繊維状組織を含有する混合物を撹拌機で調製する際に、繊維状組織が硬くしまったものであると、撹拌機に繊維状組織が大量に絡みつき、収率や作業効率の低下を招くという問題や、繊維状組織が絡まりあって大きな塊状組織を形成し、繊維状組織を得ることができないという問題が生じる。かかるところ、本発明では、前記混合物を5℃を超え55℃未満の条件下で調製することで、撹拌機に繊維状組織が多量に絡みつく等の問題を生じることなく、果肉繊維を想起させる、柔らかい繊維状組織を簡便に製造することができる。
また、本発明では、混合手段としてノズル充填を用いることで、撹拌機への繊維状組織の絡みつきをなくし、製造効率を向上することができる。ノズル充填による混合方法は特に制限されず、常法に従って実施できる。例えば、容器又はタンク内に、各々の成分や成分の混合物をノズル充填することで、実施できる。
製造方法Aにおいて、成分(i)タンパク質、及び(ii)キサンタンガムを含む組成物A1、並びに成分(iii)酸を含む組成物A2の温度は、両組成物の混合物を、5℃を超え55℃未満の条件下で調製できる温度であれば特に制限されないが、組成物A1の温度として、例えば1〜90℃が挙げられ、組成物A2の温度として、例えば1〜90℃が挙げられる。
また、製造方法Bにおいて、成分(ii)キサンタンガム、及び(iii)酸を含む組成物B1、並びに成分(i)タンパク質を含む組成物B2の温度は、両組成物の混合物を、5℃を超え55℃未満の条件下で調製できる温度であれば特に制限されないが、組成物B1の温度として、例えば1〜90℃が挙げられ、組成物B2の温度として、例えば1〜90℃が挙げられる。
製造方法Aにおいて、最も好ましくは、以下の態様が挙げられる;
(i)タンパク質、及び(ii)キサンタンガムを含有する水溶液と、
(iii)酸を混合して得られるpH5以下の混合物を、5℃を超え55℃未満の条件下で調製することを特徴とする、柔らかい食感を有する繊維状組織の製造方法。
本製造方法では、前記混合物における(i)タンパク質、(ii)キサンタンガム、及び(iii)酸の含量が、上記「原材料の好ましい含量」に記載した含量になるように、混合物を調製することが望ましい。
製造方法Bにおいて、最も好ましくは、以下の態様が挙げられる;
(ii)キサンタンガム、及び(iii)酸を含有する水溶液と、
(i)タンパク質を混合して得られるpH5以下の混合物を、5℃を超え55℃未満の条件下で調製することを特徴とする、柔らかい食感を有する繊維状組織の製造方法。
本製造方法では、前記混合物における(i)タンパク質、(ii)キサンタンガム、及び(iii)酸の含量が、上記「原材料の好ましい含量」に記載した含量になるように、混合物を調製することが望ましい。
本発明の製造方法においては、前記成分が均一に混合されたpH5以下の混合物を調製する段階で、水が含まれていれば良く、前記組成物A1及びA2、又はB1及びB2は必ずしも水を含むことを要しない。
繊維状食感を十分に感じる繊維状組織を調製する観点からは、少なくともキサンタンガムを含有する組成物が水を含むことが好ましく、より好ましくは前記組成物A1及びA2、又はB1及びB2が共に水を含むことが望ましい。この場合、キサンタンガムは水に溶解していることが好ましい。
2.繊維状組織
上記製造方法(製造方法A及びB)に従って得られる本発明の繊維状組織は、柔らかい食感を有し、果肉繊維を想起させるような繊維状組織であることを特徴とする。
本発明の繊維状組織の長さは特に制限されないが、果肉繊維を想起させる食感を付与する観点からは、1mm以上の長径を有することが好ましく、より好ましい長径は2mm以上であり、更に好ましくは3mm以上である。繊維状組織の長さの上限は特に制限されないが、例えば、70mmが挙げられ、好ましい上限は50mmである。
また、繊維状の模様を外観に付与する技術においては、模様を有する混合物(例えば、ゼリー溶液等)から、繊維状組織そのものを回収することができなかったが、本発明の繊維状組織は、このような従来技術とは異なり、繊維状組織のみを回収することが可能である。
3.組成物
本発明はまた、製造現場にかかわらず、店舗、家庭、自動販売機(ディスペンサー)等においても、柔らかい食感を有する繊維状組織を簡便に製造できる組成物にも関する。
例えば、本発明の組成物の態様として、以下の組成物が挙げられる;
(組成物1)
タンパク質含有飲食品と、5℃を超え55℃未満の条件下で混合することで、繊維状組織を有する飲食品を調製するための組成物であり、
前記組成物が次の成分を含有することを特徴とする組成物;
(ii)キサンタンガム、
(iii)前記タンパク質含有飲食品との混合物のpHが5以下となる量の酸。
(組成物2)
5℃を超え55℃未満の条件下で飲食品と混合することで、繊維状組織を有するpH5以下の飲食品を調製するための組成物であり、
前記組成物が次の成分を含有することを特徴とする組成物;
(i)タンパク質、
(ii)キサンタンガム。
前記組成物1の混合対象である、タンパク質含有飲食品の種類は、特に制限されない。例えば、タンパク質含有飲食品として、乳タンパク質を含有する液状組成物(例えば、牛乳、乳成分を含有する飲料等)、大豆タンパク質を含有する液状組成物(例えば、大豆成分を含有する飲料等)などが挙げられる。好ましくは、乳成分を含有する飲料であり、乳成分を含有する飲料として、好ましい飲料は牛乳である。本発明の組成物1を用いることで、タンパク質含有飲食品と、5℃を超え55℃未満の条件下で混合するという極めて簡便な工程で、繊維状組織を有する飲食品を調製することができる。
本発明の組成物1及びタンパク質含有飲食品の温度は、両者の混合物を、5℃を超え55℃未満の条件下で調製できる温度であれば特に制限されないが、組成物1の温度は、例えば1〜90℃が挙げられ、タンパク質含有飲食品の温度は、例えば1〜90℃が挙げられる。
前記組成物2の混合対象である飲食品の種類は、前記組成物と混合した際のpHが5以下となるものであれば特に制限されず、例えば、液状組成物(例えば、飲料、炭酸飲料、スープ、フルーツソース、ソース類(例えばウスターソース等)、ドレッシング等)などが挙げられる。好ましくは、飲料(例えば、酸、果汁等を含有する非炭酸飲料・炭酸飲料等)である。本発明の組成物2と、前記組成物と混合した際のpHが5以下となる飲食品とを、5℃を超え55℃未満の条件下で混合するという、極めて簡便な工程で、繊維状組織を有する飲食品を調製することができる。
本発明の組成物2、及び前記組成物と混合した際のpHが5以下となる飲食品の温度は、両者の混合物を、5℃を超え55℃未満の条件下で調製できる温度であれば特に制限されないが、組成物2の温度は、例えば1〜90℃が挙げられ、前記組成物2と混合した際のpHが5以下となる飲食品の温度は、例えば1〜90℃が挙げられる。
前記組成物1及び2における成分(i)〜(iii)の含量は、前記組成物と飲食品との混合物における成分含量が、上記「1.柔らかい食感を有する繊維状組織の製造方法」での項目「原材料の好ましい含量」に記載された含量となるように、含有させることが望ましい。
飲食品に対する、本発明の組成物の混合量は特に制限されないが、前記組成物と飲食品との混合物における、成分(i)〜(iii)の含量が、上記「1.柔らかい食感を有する繊維状組織の製造方法」での項目「原材料の好ましい含量」に記載された含量となるように、混合することが望ましい。
本発明の組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、多糖類、甘味料、乳化剤、香料、果汁、ビタミン類、機能性素材、保存料、色素などを含有させることができる。例えば、本発明の組成物中に、多糖類として、寒天などを含有させることで、飲食品との混合により、繊維状組織を有するゲル状飲食品を提供できる。また、本発明の組成物中に、多糖類として、例えば、発酵セルロース、微結晶セルロース、又は澱粉などを含有させることで、繊維状組織の分散性に優れる飲食品を提供できる。なお、本発明の組成物は、多糖類としてジェランガムを含有しないことが好ましく、多糖類としてジェランガムを用いる場合は、組成物と飲食品との混合物におけるジェランガム含量が0.03質量%未満、より好ましくは0.02質量%以下となるように、含量を調整することが好ましい。
4.繊維状組織を含有する飲食品
本発明はまた、上記「1.柔らかい食感を有する繊維状組織の製造方法」に従って得られる繊維状組織を含有する飲食品、及び上記「3.組成物」と飲食品を5℃を超え55℃未満の条件下で混合して得られる繊維状組織を含有する飲食品にも関する。繊維状組織を含有する飲食品の種類は特に制限されず、本発明の技術は、例えば、飲料、炭酸飲料、スープ、ゼリー、プリン、冷菓、ソース類(例えばウスターソース類)、フルーツソース、ドレッシング等の各種飲食品に応用できる。
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。なお、実施例中の「部」「%」は、それぞれ「質量部」「質量%」を意味する。
実験例1 繊維状組織及び繊維状組織を含有する飲食品の調製
表1及び表2の処方に従い、繊維状組織を含有する飲食品(ゼリー)を調製した。
水に砂糖、キサンタンガム、及び寒天を添加し、80℃で10分間加熱撹拌した。次いで、50%クエン酸及び色素を添加し、ゼリー溶液を調製した。ゼリー溶液のpHは2.5であった。
10℃の牛乳に、表2に示す温度まで冷却した前記ゼリー溶液を撹拌しながら添加し、繊維状組織を含有する混合物を調製した。混合物の温度が一定になった時点の温度を表2に示す。なお、上記で調製した水溶液と牛乳を混合した後のpHは3.7であった。次いで、当該混合物を冷却固化することで、繊維状組織を含有する飲食品(ゼリー)を調製した。表1の処方中、寒天はゼリー基材として使用した。
得られた繊維状組織について、食感を評価した結果を表2に示す。
実施例1〜5及び比較例1では、繊維状組織(4mm以上)が形成された。比較例1はしっかりとした繊維状組織が形成されたが、非常に硬く、ギシギシとした食感であった。一方、実施例1〜5は、しっかりとした繊維状組織が形成され、十分な柔らかさと、しっかりとした繊維状食感を有していた。特に、実施例3〜5においては、より果肉繊維に近い、柔らかい繊維状食感を有していた。

Claims (8)

  1. (i)タンパク質、及び(ii)キサンタンガムを含有する組成物と、
    (iii)酸を含有する組成物とを混合して得られるpH5以下の混合物を、5℃を超え55℃未満の条件下で調製することを特徴とする、繊維状組織の製造方法。
  2. (ii)キサンタンガム、及び(iii)酸を含有する組成物と、
    (i)タンパク質を含有する組成物とを混合して得られるpH5以下の混合物を、5℃を超え55℃未満の条件下で調製する、繊維状組織の製造方法。
  3. 前記繊維状組織が1mm以上の長径を有するものである、請求項1又は2に記載の繊維状組織の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法によって製造される、繊維状組織。
  5. 請求項4に記載の繊維状組織を含有する飲食品。
  6. 更に寒天を含有する、請求項5に記載の飲食品。
  7. タンパク質含有飲食品と、5℃を超え55℃未満の条件下で混合することで、繊維状組織を含有する飲食品を調製するための組成物であり、
    前記組成物が以下の成分を含有することを特徴とする組成物;
    (ii)キサンタンガム、
    (iii)前記タンパク質含有飲食品との混合物のpHが5以下となる量の酸。
  8. 5℃を超え55℃未満の条件下で飲食品と混合することで、繊維状組織を含有するpH5以下の飲食品を調製するための組成物であり、
    前記組成物が以下の成分を含有することを特徴とする組成物;
    (i)タンパク質、
    (ii)キサンタンガム。
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