JP2016194125A - 含クロム溶鋼の仕上げ精錬方法 - Google Patents

含クロム溶鋼の仕上げ精錬方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016194125A
JP2016194125A JP2015075068A JP2015075068A JP2016194125A JP 2016194125 A JP2016194125 A JP 2016194125A JP 2015075068 A JP2015075068 A JP 2015075068A JP 2015075068 A JP2015075068 A JP 2015075068A JP 2016194125 A JP2016194125 A JP 2016194125A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molten steel
chromium
slag
mass
containing molten
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015075068A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6600968B2 (ja
Inventor
勝彦 加藤
Katsuhiko Kato
勝彦 加藤
石橋 浩一
Koichi Ishibashi
浩一 石橋
孝幸 小田
Takayuki Oda
孝幸 小田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp filed Critical Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority to JP2015075068A priority Critical patent/JP6600968B2/ja
Publication of JP2016194125A publication Critical patent/JP2016194125A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6600968B2 publication Critical patent/JP6600968B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Abstract

【課題】アルミナ系介在物の生成や吸窒の影響を抑制し、製品品質の向上が可能で、脱酸とクロム酸化物の還元回収を実現できる含クロム溶鋼の仕上げ精錬方法を提供する。【解決手段】吹酸粗脱炭精錬を実施した含クロム溶鋼の仕上げ精錬工程において、減圧下での吹酸脱炭処理後に、窒素を含み真空度が5.3×104Pa以上10.1×104Pa以下の雰囲気下で金属アルミニウムを添加し、含クロム溶鋼の脱酸並びに含クロム溶鋼上のスラグに含まれるクロム酸化物の還元を行う際に、金属アルミニウム添加前のスラグ組成を、スラグ中のCaO濃度とAl2O3濃度の関係が1.2≦(質量%CaO)/(質量%Al2O3)≦2.3、かつ、スラグ中のCr濃度がCr2O3換算で8.0質量%以上、にする。【選択図】なし

Description

本発明は、金属アルミニウムを用いた含クロム溶鋼の仕上げ精錬方法に関する。
含クロム溶鋼の仕上げ精錬工程における吹酸脱炭処理では、吹酸に伴うクロム成分の酸化反応によってクロム酸化物が生成するため、吹酸脱炭処理後に、溶鋼の脱酸処理と共にスラグの還元処理が、一般的に行われている。
上記処理では、通常酸素の親和力の強い金属アルミニウム(金属アルミニウムや金属アルミニウム合金を含む物質)が用いられるが、反応によってアルミナが生成するため、アルミナ系介在物起因による製品品質の悪化を招いている。
加えて、アルミニウムの使用により溶鋼中の酸素ポテンシャルが低下するため、脱酸処理時に雰囲気中の窒素が溶鋼中に溶け込み、溶鋼中の[N]濃度の上昇を招く。特に、含クロム溶鋼においては、溶鋼中の平衡窒素溶解度が高いために、溶鋼中の[N]濃度の上昇が著しく、この[N]濃度に起因した粒界腐食割れを抑制するためのTiやNb等の高価な合金の使用量増を招く結果となる。
なお、金属アルミニウムの代わりにSiやTi等の金属を用いる場合もあるが、Siは脱酸能力が低く、また、Tiは高価であるため、金属アルミニウムを用いる溶鋼脱酸やスラグ還元を実施する前提で、製品品質を向上する技術が望まれている。
例えば、特許文献1には、アルミニウムによる脱酸処理後のスラグ組成として、0.5≦(wt%CaO)/(wt%Al)≦1.7、かつ、15wt%≦(wt%MgO)≦35wt%、が記載されている。
また、特許文献2には、脱炭精錬後に、(wt%CaO)/(wt%SiO):1.2〜2.0、(wt%Al)≦10wt%、を満足する組成のスラグ存在下でSi脱酸し、タンディッシュで使用するフラックスを、(wt%CaO)/(wt%SiO)≦2.5、(wt%Al)≦5wt%として、溶鋼中の介在物量を増加させないことが記載されている。
特開2007−231372号公報 特開2000−063927号公報
しかしながら、前記従来の技術には、未だ解決すべき以下のような問題があった。
特許文献1に記載の方法を含クロム溶鋼の還元に適用すると、本発明者らの知見では、含クロム溶鋼を鋳造し圧延した後の製品において、アルミナ系介在物の顕著な残留や、吸窒起因の粒界腐食割れ性等による製品品質の悪化が発生する場合があった。
また、特許文献2に記載の方法は、脱酸材として、アルミニウムではなくSiを使用することで、アルミナ系介在物の生成を抑制しているが、本発明者らの知見では、Si脱酸の場合、脱酸処理後の溶鋼中の酸素レベルが高く、結果としてアルミナ系介在物の発生を抑制できず、クロム酸化物の還元が不十分になることが課題であった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、アルミナ系介在物の生成や吸窒の影響を抑制し、製品品質の向上が可能で、脱酸とクロム酸化物の還元回収を実現できる含クロム溶鋼の仕上げ精錬方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る含クロム溶鋼の仕上げ精錬方法は、吹酸粗脱炭精錬を実施した含クロム溶鋼の仕上げ精錬工程において、減圧下での吹酸脱炭処理後に、窒素を含み真空度が5.3×10Pa以上10.1×10Pa以下の雰囲気下で金属アルミニウムを添加し、含クロム溶鋼の脱酸並びに含クロム溶鋼上のスラグに含まれるクロム酸化物の還元を行う際に、
前記金属アルミニウム添加前のスラグ組成を、スラグ中のCaO濃度とAl濃度の関係が1.2≦(質量%CaO)/(質量%Al)≦2.3、かつ、スラグ中のCr濃度がCr換算で8.0質量%以上、にする。
本発明に係る含クロム溶鋼の仕上げ精錬方法において、前記金属アルミニウムの添加時に生石灰を添加するに際し、該金属アルミニウム及び該生石灰のいずれか一方又は双方の添加終了までの間のスラグ組成を計算で求め、1.0≦(質量%CaO)/(質量%Al)≦2.3、にすることが好ましい。
本発明に係る含クロム溶鋼の仕上げ精錬方法は、減圧下での吹酸脱炭処理後に、所定の真空度とした窒素雰囲気下で金属アルミニウムを添加し、含クロム溶鋼の脱酸並びにスラグ中のクロム酸化物の還元を行う際に、金属アルミニウム添加前のスラグ組成を、CaO濃度とAl濃度の関係が1.2≦(質量%CaO)/(質量%Al)≦2.3、かつ、Cr濃度がCr換算で8.0質量%以上、にするので、アルミナ系介在物の生成や吸窒の影響を抑制し、製品品質の向上が可能で、脱酸とクロム酸化物の還元回収を実現できる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
本発明の一実施の形態に係る含クロム溶鋼の仕上げ精錬方法は、吹酸粗脱炭精錬を実施した含クロム溶鋼の仕上げ精錬工程(二次精錬工程)において、減圧下での吹酸脱炭処理(以下、仕上げ吹酸脱炭処理ともいう)後に、窒素を含み真空度が5.3×10Pa以上10.1×10Pa以下の雰囲気下で金属アルミニウムを添加し、含クロム溶鋼の脱酸並びに含クロム溶鋼上のスラグに含まれるクロム酸化物の還元を行う方法である。以下、詳しく説明する。
一般に含クロム溶鋼は、転炉やAODにおいて吹酸粗脱炭精錬することで溶製され、その後の仕上げ精錬工程において、吹酸脱炭処理、脱酸処理、クロム酸化物の還元処理、を実施している。なお、吹酸粗脱炭精錬で溶製した含クロム溶鋼は、クロムを5質量%以上含んでおり、上限は通常50質量%程度である。
金属アルミニウムは一般的に、脱酸材や還元材として用いているが、使用にあっては製品品質を維持する課題があるため、本発明の前提としている。なお、金属アルミニウムとは、金属アルミニウム単体のみならず、これを含有するものも指し、例えば、アルミニウム合金やアルミドロス等も含まれる。
仕上げ精錬工程において、減圧下での吹酸脱炭処理後は、本発明者らの知見では、窒素を含む雰囲気であって、比較的真空度が悪い(大気圧に比較的近い)5.3×10Pa(400Torr)以上、大気圧(10.1×10Pa:760Torr)以下の圧力の雰囲気(以下、単に窒素雰囲気ともいう)の場合に、本発明の課題となる程度の吸窒が発生する。なお、この条件(窒素雰囲気)での脱酸処理や還元処理は、仕上げ精錬工程においては、例えば、大気が混入した、真空脱ガス装置、CABやTN等の装置により、一般に行われている。
即ち、上記した構成は、本発明の課題を明示する構成である。
以上のことから、本発明者らは、以下の構成に想到した。
即ち、前記した含クロム溶鋼を脱酸し、含クロム溶鋼上のスラグに含まれるクロム酸化物を還元する際に、金属アルミニウム添加前のスラグ組成を、以下のようにする。
・スラグ中のCaO濃度とAl濃度の関係:1.2≦(質量%CaO)/(質量%Al)≦2.3
・スラグ中のCr濃度:Cr換算で8.0質量%以上
以下、詳しく説明する。なお、「(質量%CaO)/(質量%Al)」は、「C/A」又は「CaO/Al」とも記載する。
<金属アルミニウム添加前のスラグ組成:1.2≦(質量%CaO)/(質量%Al)について>
金属アルミニウムを添加することで、脱酸やクロム酸化物の還元処理ができるが、生成するアルミナ系介在物の好ましい形態を実現するために、(質量%CaO)/(質量%Al)を規定した。なお、アルミナ系介在物とは、CaO−Al系介在物やAl介在物であり、CaOが少ない場合は、Al介在物が生成する。また、このアルミナ系介在物の好ましい形態とは、アルミナ系介在物が生成しても、製品品質に影響を及ぼさない形態を意味する。
一般に、CaO−Al系介在物は、Al濃度が高い(例えば、C/Aが1.0未満)場合、高融点の介在物粒子になり、製品にも粒子が残存し、品質を低下させる傾向がある。このため、脱酸処理後(本発明においては、金属アルミニウムの添加後)のAl濃度や、(質量%CaO)/(質量%Al)を、所定の値とすることが行われている。
しかし、これによっても、製品に粗大なアルミナ系介在物が残存する場合があることに本発明者らは注目した。
この原因は、例えば、金属アルミニウム添加後のスラグ組成が1.0≦C/Aであっても、金属アルミニウム添加前や添加中の時期のスラグ組成がC/A<1.0であれば、この時期に添加された金属アルミニウムによって生成するアルミナ系介在物が高融点の介在物となり、その後に金属アルミニウムを添加して1.0≦C/Aを実現しても、新たに生成するアルミナ系介在物と共に既存の高融点介在物が顕著に残留するためであることを、本発明者らは新たに知見した。
そこで、前記したように、金属アルミニウム添加前のスラグ組成が、1.2≦C/Aであることを必須条件とした。
なお、この要件により、仕上げ吹酸脱炭処理後の脱酸やクロム酸化物の還元を目的とした金属アルミニウム添加量であれば、金属アルミニウム添加後のスラグ組成は、1.0≦C/Aを実現しやすいため、生成するアルミナ系介在物が高融点の粒子となることを回避でき、比較的低融点の介在物とすることができる。この低融点の介在物は、製品板の圧延時に鋼材と共に変形するため、製品欠陥として顕在化することを抑制できる。
また、上記要件によって、金属アルミニウム添加前のアルミナ系介在物を、低融点介在物とすることもでき、製品品質を向上できることはいうまでもない。
<金属アルミニウム添加前のスラグ組成:(質量%CaO)/(質量%Al)≦2.3、(質量%Cr)≧8.0について>
一般に窒素雰囲気下での処理においては、脱酸処理によって溶鋼中の酸素ポテンシャルが低下すると、雰囲気中に存在する窒素が溶鋼中に溶解し易くなるため、溶鋼中の[N]濃度の上昇(以下、吸窒や吸Nともいう)がおこる。
本発明者らは、吹酸粗脱炭精錬後の含クロム溶鋼の吸窒は、仕上げ吹酸脱炭処理後の窒素雰囲気下での精錬処理時に主として発生し、窒素雰囲気下での処理の待ち時間(窒素雰囲気下の処理時間よりも長い窒素雰囲気曝露時間)や、窒素雰囲気下での処理完了後から連続鋳造完了までの時間での吸窒量は僅かであることを知見した。
以上のことから、窒素雰囲気下の処理時間帯での吸窒抑制が、製品の窒素濃度増加の抑制に極めて有効であることがわかった。
そこで、本発明者らは、まず吸窒現象に対する遮断効果として、金属アルミニウム添加前のスラグに対し、滓化性を確保(即ち、C/A≦2.3)することに想到した。
ここで、C/Aが2.3超の場合、スラグの流動性が悪化し、溶鋼と窒素雰囲気の接触を招き易く、吸窒量増加の原因となる。即ち、C/Aを2.3以下(更には、2.0以下)とすることで、窒素雰囲気と溶鋼の接触が遮断できる程度にスラグを滓化でき、金属アルミニウム添加等の、窒素雰囲気と溶鋼の接触が発生し得る窒素雰囲気下の処理時であっても、吸窒を抑制できる。
なお、金属アルミニウムの添加と共にC/Aの値は低下するため、金属アルミニウムの添加開始後は遮断効果が維持される。
更に本発明者らは、金属アルミニウム添加前の溶鋼中の酸素ポテンシャルに着目した。
上記したように、滓化性が確保されたスラグによって窒素雰囲気と溶鋼の接触が抑制されているとはいえ、酸素ポテンシャルが低いと、金属アルミニウム添加等の窒素雰囲気下での精錬処理開始と共に、窒素雰囲気と溶鋼の不可避的な接触が発生し、同時に吸窒が開始するため好ましくない。
そこで、上記吸窒の開始を遅らせるため、酸素ポテンシャルを高位に維持することが必要となるが、ここで本発明者らは、スラグ中のCr等のクロムの酸化物に着目した。
本発明者らの知見では、吸窒開始を遅らせる程度の溶鋼中の酸素ポテンシャルを維持しようとすると、スラグに含まれるCrの濃度がCr換算で8.0質量%以上必要であった。なお、Cr換算とは、スラグに含まれるCrの全てをCrと仮定したものであり、Cr以外のクロムの酸化物についてもCrと仮定することを意味する。
従って、例えば減圧下での吹酸脱炭処理によって生成するCr酸化物中のCr濃度、即ち金属アルミニウム添加前のスラグのCr濃度を、Cr換算で8.0質量%以上(更には、10質量%以上)とした後、金属アルミニウムを添加することで、吸窒を有意に抑制することに、本発明者らは想到した。
なお、金属アルミニウム添加前のスラグのCr濃度の上限は特に規定していないが、通常の減圧下の吹酸脱炭処理を経た溶鋼のスラグであれば、到達できるCr濃度の最大値は、Cr換算で40質量%程度である。
<金属アルミニウム添加中のスラグの狙い組成:1.0≦(質量%CaO)/(質量%Al)≦2.3>
前記した金属アルミニウム添加前の組成が1.2≦(質量%CaO)/(質量%Al)≦2.3であるスラグへの金属アルミニウムの添加時に生石灰を添加するに際し、この金属アルミニウム及び生石灰のいずれか一方又は双方の添加終了までの間のスラグ組成を計算で求め(以下、スラグの狙い組成ともいう)、1.0≦(質量%CaO)/(質量%Al)≦2.3、にすることが好ましい。以下、詳しく説明する。
上記構成は、高融点のアルミナ系介在物の生成の抑制とスラグの滓化性の維持を、より実現するための構成である。
スラグに金属アルミニウムや生石灰を添加するに伴い、スラグ組成であるC/Aの値が変化する。
そこで、添加した生石灰が全て滓化する前提、また、添加した金属アルミニウムが全て溶鋼中の酸素やクロム酸化物と反応して滓化した前提で、添加により変化した後のスラグ組成を、スラグの狙い組成と規定した。つまり、実際の操業においては、金属アルミニウムと生石灰の添加量を考慮したスラグ組成の計算値が、スラグの狙い組成(即ち、1.0以上2.3以下)となるように、金属アルミニウムと生石灰を添加する。
ここで、生石灰の投入量が多く、金属アルミニウム添加期間のスラグの狙い組成であるC/A(以下、狙いC/Aともいう)が2.3を超える場合、吸窒の抑制効果は得られるものの、スラグ層の一部(例えば、生石灰が添加されるスラグ層上層)では、滓化しない場合があり、スラグ滓化による効果を最大限に発揮できない。
なお、実際には、生石灰は添加直後に全て滓化しないため、当初の金属アルミニウム添加前のスラグ組成の効果が残り、直ちに吸窒が開始することはない。
一方、生石灰の投入量が少なく、金属アルミニウム添加期間のスラグの狙い組成であるC/Aが1.0未満の場合、生成しているアルミナ系介在物には、低融点のもの以外に高融点のものが混入することが考えられる。
なお、本発明者らの知見では、減圧下の吹酸脱炭処理時に生成する溶鋼中の酸素を脱酸し、スラグ中のクロム酸化物を還元する程度の金属アルミニウム添加量であれば、生石灰の添加量がゼロであっても、スラグの狙い組成であるC/Aは1.0未満となり難く、高融点のアルミナ系介在物は生成しにくいものであった。この金属アルミニウム添加量は、溶鋼中の酸素のモル数の0.7〜1.5倍に相当する金属アルミニウム量と、スラグ中のCrのモル数の2.0〜4.0倍に相当する金属アルミニウム量の合計量である。
更に、仮に狙いC/Aが1.0を下回る場合であっても、金属アルミニウム添加前のスラグ組成が、1.2≦(質量%CaO)/(質量%Al)≦2.3を充足すれば、優位な低融点介在物が生成しており、金属アルミニウムの添加と共に狙いC/Aが1.0未満となっても、主として前記した低融点介在物を核として介在物の粒径が増大する程度であり、狙いC/Aが1.0未満となった際に直ちに高融点アルミナ系介在物が生成するものではなく、高融点アルミナ系介在物が製品品質に影響する程度に生成しない、と推定できることを知見した。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
1)実験条件
上底吹転炉で吹酸粗脱炭精錬し取鍋に出鋼した16質量%クロム含有鋼の溶鋼(含クロム溶鋼)150トンを用いて、仕上げ精錬工程の実験を行った。
この仕上げ精錬工程では、減圧下で仕上げ吹酸脱炭処理した後に、大気圧下(窒素雰囲気下の一例)で脱酸とクロム酸化物の還元を目的として金属アルミニウムの添加を開始すると共に、溶鋼鍋底部からアルゴンガスを吹込んで溶鋼を撹拌した。
なお、金属アルミニウムは、溶鋼中の酸素のモル数の1.0倍に相当する量と、スラグ中のCrのモル数の2倍に相当する量の合計量以上を添加し、スラグ組成において、所定の狙いC/Aの値とCrの値を得た。また、生石灰を添加する場合は、金属アルミニウムの添加直後から添加した。
2)仕上げ精錬工程の設備
・減圧下(真空処理下)の仕上げ吹酸脱炭処理装置
VOD、RH、DH、REDA(DHの浸漬管の代替として大径直胴浸漬管を用いた装置)等の真空吹酸脱炭処理装置の使用が可能であり、本実験ではREDAを用いた。
・大気圧下の精錬処理装置
上記した真空吹酸脱炭処理装置を、窒素を含み真空度が5.3×10Pa〜10.1×10Paの雰囲気条件で用いることが可能、もしくは、これらに引き続いて行われるCABやTN等のガス撹拌精錬装置の使用が可能である。本実験では、上記したREDAによる仕上げ吹酸脱炭処理に引き続いて、大気圧下でCABを用いた。
3)処理溶鋼
・溶鋼量
150トン/チャージ
・溶鋼成分
表1に示す。
Figure 2016194125
上記した実験条件と実験結果を、表2に示す。
Figure 2016194125
表2中の「金属アルミニウム添加中の狙いCaO/Al」の欄において、「根拠の値」とは、1.0〜2.3の範囲を外れる根拠の最低値又は最大値(計算値)である。
また、「製品の評価」の欄の「製品品質」は、製品である鋼板の表面観察結果から、コイルの全長に対する、介在物起因の表面疵発生長さの割合を求め、以下の基準で判断した。
・コイル長さの0.05%未満:○
・コイル長さの0.05%以上0.1%以下:△(実機適用可)
・コイル長さの0.1%超:×(実機適用不可)
そして、「製品の評価」の欄の「製品[N]」は、前記した表1中の仕上げ吹酸脱炭処理後、CAB処理前の溶鋼中の窒素濃度65ppmに対する増加量で判断した。
・80ppm未満(増加量:15ppm未満):○
・80ppm以上100ppm以下(増加量:15ppm以上35ppm以下):△(実機適用可)
・100ppm超(増加量:35ppm超):×(実機適用不可)
表2に示す実施例1〜4は、大気圧下処理開始前(金属アルミニウム添加前)のスラグ組成について、CaO/Alの関係を適正範囲内(実施例1、3:1.2、実施例2、4:2.3)とし、かつ、Cr換算の濃度を適正範囲内(8.0質量%)とした場合の結果である。
このため、製品の評価は、製品品質と製品[N]のいずれについても、実機に適用可能な「△」以上の評価が得られた。
特に、実施例2、3は、金属アルミニウム添加中の狙い(質量%CaO)/(質量%Al)が最適範囲(1.0以上2.3以下)となるように、金属アルミニウムの添加、更には生石灰の添加を行った場合の結果である。
このため、高融点のアルミナ系介在物の生成の抑制とスラグの滓化性の維持を、より実現でき、製品の評価は、製品品質と製品[N]のいずれについても、「○」の評価が得られた。
一方、比較例1は、実施例1の大気圧下処理開始前のスラグ組成に関し、CaO/Alの関係を適正範囲の下限値未満(1.0)とした場合の結果である。
この場合、生成したCaO−Al系介在物は、高融点の介在物粒子になり、製品にも粒子が残存したため、品質を低下させた(評価:×)。
また、比較例2は、実施例2の大気圧下処理開始前のスラグ組成に関し、CaO/Alの関係を適正範囲の上限値超(2.5)とした場合の結果である。
この場合、スラグの流動性が悪化し、溶鋼と窒素雰囲気の接触を招き易くなり、吸窒量が増加した(評価:×)。
比較例3は、実施例3の大気圧下処理開始前のスラグ組成に関し、Cr換算の濃度を適正範囲の下限値未満(7.2質量%)とした場合の結果である。
この場合、Cr酸化物中のCr濃度が低過ぎて、溶鋼中の酸素ポテンシャルを、吸窒開始を遅らせる程度に維持できず、吸窒量が増加した(評価:×)。
以上のことから、本発明の含クロム溶鋼の仕上げ精錬方法を用いることで、アルミナ系介在物の生成や吸窒の影響を抑制し、製品品質の向上が可能で、脱酸とクロム酸化物の還元回収を実現できることを確認できた。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の含クロム溶鋼の仕上げ精錬方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。

Claims (2)

  1. 吹酸粗脱炭精錬を実施した含クロム溶鋼の仕上げ精錬工程において、減圧下での吹酸脱炭処理後に、窒素を含み真空度が5.3×10Pa以上10.1×10Pa以下の雰囲気下で金属アルミニウムを添加し、含クロム溶鋼の脱酸並びに含クロム溶鋼上のスラグに含まれるクロム酸化物の還元を行う際に、
    前記金属アルミニウム添加前のスラグ組成を、スラグ中のCaO濃度とAl濃度の関係が1.2≦(質量%CaO)/(質量%Al)≦2.3、かつ、スラグ中のCr濃度がCr換算で8.0質量%以上、にすることを特徴とする含クロム溶鋼の仕上げ精錬方法。
  2. 請求項1記載の含クロム溶鋼の仕上げ精錬方法において、前記金属アルミニウムの添加時に生石灰を添加するに際し、該金属アルミニウム及び該生石灰のいずれか一方又は双方の添加終了までの間のスラグ組成を計算で求め、1.0≦(質量%CaO)/(質量%Al)≦2.3、にすることを特徴とする含クロム溶鋼の仕上げ精錬方法。
JP2015075068A 2015-04-01 2015-04-01 含クロム溶鋼の仕上げ精錬方法 Active JP6600968B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015075068A JP6600968B2 (ja) 2015-04-01 2015-04-01 含クロム溶鋼の仕上げ精錬方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015075068A JP6600968B2 (ja) 2015-04-01 2015-04-01 含クロム溶鋼の仕上げ精錬方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016194125A true JP2016194125A (ja) 2016-11-17
JP6600968B2 JP6600968B2 (ja) 2019-11-06

Family

ID=57322746

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015075068A Active JP6600968B2 (ja) 2015-04-01 2015-04-01 含クロム溶鋼の仕上げ精錬方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6600968B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113215475A (zh) * 2021-03-26 2021-08-06 舞阳钢铁有限责任公司 一种高合金钢控氮、控夹杂的生产方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06228629A (ja) * 1993-01-29 1994-08-16 Nippon Steel Corp 高純度ステンレス鋼の精錬方法
JPH10298635A (ja) * 1997-04-22 1998-11-10 Nippon Steel Corp ステンレス溶鋼真空精錬炉用浸漬管の保護方法
JPH10298634A (ja) * 1997-04-24 1998-11-10 Nippon Steel Corp ステンレス鋼の還元精錬方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06228629A (ja) * 1993-01-29 1994-08-16 Nippon Steel Corp 高純度ステンレス鋼の精錬方法
JPH10298635A (ja) * 1997-04-22 1998-11-10 Nippon Steel Corp ステンレス溶鋼真空精錬炉用浸漬管の保護方法
JPH10298634A (ja) * 1997-04-24 1998-11-10 Nippon Steel Corp ステンレス鋼の還元精錬方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113215475A (zh) * 2021-03-26 2021-08-06 舞阳钢铁有限责任公司 一种高合金钢控氮、控夹杂的生产方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6600968B2 (ja) 2019-11-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5151448B2 (ja) 極低硫極低酸素極低窒素鋼の溶製方法
JP6999475B2 (ja) 製造性に優れた高Si含有のオーステナイト系ステンレス鋼
CN116568833A (zh) 表面性状优异的Ni基合金及其制造方法
KR101574446B1 (ko) 열간 가공성 및 표면 성상이 우수한 붕소 함유 스테인리스강
JP6642174B2 (ja) 高炭素溶鋼の連続鋳造方法
JP5605339B2 (ja) 製鋼スラグの資源化方法
JP7010094B2 (ja) ステンレス鋳片の製造方法
JP5891826B2 (ja) 溶鋼の脱硫方法
JP6600968B2 (ja) 含クロム溶鋼の仕上げ精錬方法
JP2010132982A (ja) 溶鋼の脱窒素方法
JP6331881B2 (ja) Cu−Sn共存鋼材およびその製造方法
JP2001026811A (ja) ステンレス鋼の精錬に用いるSi合金鉄およびステンレス鋼の精錬方法
JP5315669B2 (ja) Rh真空脱ガス装置による溶鋼の精錬方法
JP5349074B2 (ja) 高清浄アルミキルド鋼の製造方法
JP6443206B2 (ja) ステンレス鋳片の製造方法
JP7031634B2 (ja) 耐サワー鋼材の製造方法
JP4354026B2 (ja) ステンレス鋼の製造方法
JP5803866B2 (ja) 溶鋼の脱硫剤及びそれを使用した脱硫方法
RU2747083C1 (ru) Способ производства электросварной трубы из низкоуглеродистой стали, стойкой против водородного растрескивания (варианты)
JP5387045B2 (ja) 軸受鋼の製造方法
WO2024106226A1 (ja) 表面性状に優れたNi-Cu合金およびその製造方法
JP4066674B2 (ja) 含マンガン極低炭素鋼の製造方法
JP5200501B2 (ja) 溶鋼の脱酸方法
US20220170124A1 (en) Method for recycling chromium oxide and forming chromium-alloy steel
JP2002294327A (ja) 高清浄度鋼およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171206

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180913

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181009

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190319

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190403

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190910

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190923

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6600968

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151