JP2016194015A - コアシェル構造カーボンブラック、その製造方法、それを用いた電極用合剤、電極および蓄電装置 - Google Patents

コアシェル構造カーボンブラック、その製造方法、それを用いた電極用合剤、電極および蓄電装置 Download PDF

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裕輝 名古
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みか 西川
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峻 園田
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Abstract

【課題】電解液の分解およびガス発生を抑制して蓄電装置を長寿命化でき、かつ優れた導電性が得られるカーボンブラックを提供する。【解決手段】カーボンブラックからなるコアの表面を、導電性を有する物質からなるシェルで被覆してなるコアシェル構造カーボンブラック。好ましくは前記シェルの平均厚さが1〜30nmであることを特徴とする請求項1に記載のコアシェル構造カーボンブラック。好ましくは1.9MPa圧縮下で測定した体積抵抗率が0.01〜1.00Ω・cmであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のコアシェル構造カーボンブラック。【選択図】図1

Description

本発明は、コアシェル構造カーボンブラック、その製造方法、それを用いた電極用合剤、電極および蓄電装置に関する。
リチウムイオンの吸蔵、放出が可能な材料を用いて負極を形成したリチウムイオン二次電池は、金属リチウムを用いて負極を形成したリチウム電池に比べてデンドライドの析出を抑制することができる。そのため、電池の短絡を防止して安全性を高めた上で高容量なエネルギー密度の高い電池を提供できるという利点を有している。
一般に、リチウムイオン二次電池の正極活物質は導電性の乏しい金属酸化物やリン酸塩などが用いられている。そこで、導電性を補う材料として炭素系の導電剤が一般に用いられている。最も多く用いられる導電剤はカーボンブラックである。カーボンブラックは略球形の炭素1次粒子が数珠状に連結した形態(ストラクチャ)を持つ粉末であり、その特異な形態から、接点数が多くなるため少量でも高い伝導性が得られること、および内部に空隙を保持するため電極内部への電解液の浸透性が高まることを特長とする。
近年ではリチウムイオン二次電池の出力密度のさらなる向上が求められている。これを実現するための一つの手段として、従来よりも放電電圧の高い正極活物質を用いることで、小さい電流密度でも高い出力密度を得る方法が検討されている。例えば、スピネル型の結晶構造を持つニッケルマンガン酸リチウム(LiNi0.5Mn1.5)を正極活物質として用いることで、4.5V程度の高い放電電圧を実現することができる。
しかしながら、前記のような高電圧の正極活物質を用いると、正極およびその近傍の電解液が強い酸化環境におかれるため、電解液の酸化分解によるガス発生が進行し、電池寿命が低下するという課題がある。とくに導電剤であるカーボンブラックは電解液との接触面積が大きいことから、酸化分解あるいはガス発生を起こしやすくする原因となっている。酸化分解およびガス発生はカーボンブラック表面に存在する炭素六角網面の端部、欠陥および官能基を起点として発生し、これらの多いカーボンブラックほどガス発生が起こりやすいと考えられている。
電池寿命の改善に、例えば特許文献1では、正極材料表面にハロゲン化物を被覆したリチウムイオン二次電池用正極材料の開示がある。また、特許文献2では、正極集電体表面をフッ素化合物でコートした正極合剤の開示がある。しかしながら、電解液の酸化分解によるガス発生に大きく影響するカーボンブラックに対する改善ではなく、当該技術では効果が不十分である。
また、特許文献3では、リチウムイオン伝導ガラスで被覆した導電剤の開示がある。しかしながら、これは接触抵抗の増大を招き、必ずしも導電剤本来の導電性を保持できないという問題がある。
特開2009−104805号公報 特開2013−69442号公報 特開2003−173770号公報
本発明は、上記問題と実情に鑑み、高電位系リチウムイオン二次電池をはじめとする蓄電装置における電解液の分解あるいはガス発生を抑制し、かつ導電性に優れるコアシェル構造カーボンブラック、その製造方法、並びにそれを用いた耐久性に優れる電極および蓄電装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は上記の課題を解決するために、以下の手段を採用する。
(1)カーボンブラックからなるコアの表面を、炭素単体または炭化物を含む導電性を有する物質からなるシェルで被覆してなるコアシェル構造カーボンブラック。
(2)前記シェルの平均厚さが1〜30nmであることを特徴とする(1)に記載のコアシェル構造カーボンブラック。
(3)1.9MPa圧縮下で測定した体積抵抗率が0.01〜1.00Ω・cmであることを特徴とする(1)または(2)に記載のコアシェル構造カーボンブラック。
(4)BET比表面積が30〜200m/gであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のコアシェル構造カーボンブラック。
(5)JIS K6217−4に定義されるDBP吸収量が100〜280mL/100gであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のコアシェル構造カーボンブラック。
(6)コアシェル構造カーボンブラックを製造する方法であって、カーボンブラックをコアとして化学気相蒸着法によりシェルを形成する工程を含むことを特徴とするコアシェル構造カーボンブラックの製造方法。
(7)コアシェル構造カーボンブラックを製造する方法であって、シェルの原料となる化合物とカーボンブラックを溶媒中で混合する工程、溶媒を乾燥により除去する工程および加熱により原料となる化合物を熱分解させてシェルを形成する工程を含むことを特徴とするコアシェル構造カーボンブラックの製造方法。
(8)(1)〜(5)のいずれかに記載のコアシェル構造カーボンブラックと、活物質および、高分子からなる結着剤とが溶媒中に分散されていることを特徴とする電極用合剤。
(9)(8)に記載の電極用合剤を集電体の片面または両面に塗布・乾燥してなることを特徴とする電極。
(10)(9)に記載の電極を正極または負極の少なくとも一方として用いた蓄電装置。
本発明者らは鋭意研究の結果、本発明のコアシェル構造カーボンブラックを用いた二次電池は、電解液の分解あるいはガス発生を抑制することを見出した。また、本発明のコアシェル構造カーボンブラックは表面を導電性を有するシェルで被覆されているため、導電性が良好となる。また、これらを用いた電極及び蓄電装置は、耐久性に優れるという特長を持つ。
図1は本発明のコアシェル構造カーボンブラックの模式図である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のコアシェル構造カーボンブラックは、カーボンブラックからなるコアの表面を、導電性を有する物質からなるシェルで被覆してなるコアシェル構造カーボンブラックである。
尚、本発明における被覆とは、図1に示すようにシェルを、コアであるカーボンブラック粒子の表面の少なくとも一部分または全面に物理的または化学的に吸着又は付着させることを意味する。
本発明におけるコアとなるカーボンブラックは、一般の電池用導電剤としてのカーボンブラック同様、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどの中から選ばれるものである。中でも、結晶性および純度に優れるアセチレンブラックが最も好ましく、次いでファーネスブラックが好ましい。
本発明におけるシェルは導電性を有し、炭素単体または炭化物を含む。より好ましくは炭素単体を含む。炭素単体とは実質的に炭素原子のみからなる物質であり、例えばグラフェン、ガラス状炭素、ダイヤモンドライクカーボン、非晶質炭素などを含む。また、これらに少量の異元素(ホウ素、窒素、硫黄など)を置換基または固溶の形で含有するものを含む。また、炭化物とは炭素よりも電気陰性度の低い元素と炭素との化合物であり、炭化ケイ素、炭化ホウ素などを含む。これらの材料によってカーボンブラックの表面を被覆することによって、電解液の酸化分解およびガス発生を引き起こしやすい炭素六角網面の端部、欠陥および官能基が電解液に直接接触しなくなるため、ガス発生が抑えられ、蓄電装置の耐久性が向上する。また、シェルが導電性を持つことによって、カーボンブラックが本来持つ導電性を損なわず、導電剤としての機能を発揮することができる。
本発明におけるシェルの平均厚さは1〜30nmが好ましい。平均厚さが1nm未満となると、コアとなるカーボンブラック表面に存在する炭素六角網面の端部、欠陥および官能基を十分に被覆できないため、ガス発生を抑える効果が低下するおそれがある。一方、30nmを超えると、カーボンブラックの特異な形状を変化させてしまい、良好な導電性や電解液の浸透性を損なうおそれがある。
本発明のコアシェル構造カーボンブラックの、1.9MPa圧縮下で測定した体積抵抗率は0.01〜1.00Ω・cmであることが好ましい。この範囲とすることで、電極における導電性が良好となり、蓄電装置の内部抵抗を低く抑えることができる。
本発明のコアシェル構造カーボンブラックのBET比表面積は30〜200m/gであることが好ましい。BET比表面積が大きいほどカーボンブラックの表面が複雑な凹凸を持つため、カーボンブラック粒子同士またはカーボンブラック粒子と活物質粒子との間の接点数が多くなり、電子伝導性が向上する。この観点から、BET比表面積は30m/g以上であることが好ましい。一方、カーボンブラックのBET比表面積が大きくなりすぎると製造時にカーボンブラック粒子が凝集しやすくなり、十分な電池特性が得られなくなる。この観点から、BET比表面積は200m/g以下であることが好ましい。
本発明のコアシェル構造カーボンブラックのJIS K6217−4に定義されるDBP吸収量は100〜280mL/100gであることが好ましい。DBP吸収量はストラクチャの大きさを間接的に表す尺度であり、DBP吸収量が大きいほどストラクチャが長くなるため、電子伝導性が向上する。この観点から、DBP吸収量は100mL/100g以上であることが好ましい。一方、DBP吸収量が大きいカーボンブラックは製造時に活物質、結着剤および溶媒と混合して電極用合剤とした際に、合剤の粘度が高くなり加工性が低下するため、十分な電池特性が得られなくなる。この観点から、DBP吸収量は280mL/100g以下であることが好ましい。
本発明のコアシェル構造カーボンブラックを製造する方法は、本発明の要旨を超えない範囲で特に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラックを基材として化学気相蒸着法によりシェルを形成する工程を含むことを特徴とする方法を用いることができる。化学気相蒸着法の原料ガスとしては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、エチレン、アセチレン、プロピレン、シクロプロパン、シクロブタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、一酸化炭素、メタノール、エタノール、アセトン、ホルムアルデヒドなどの含酸素化合物、アンモニア、アミノメタン、アミノエタンなどの含窒素化合物、四塩化ケイ素、トリクロロシラン、メチルシラン、ビニルシランなどの含ケイ素化合物などから選ばれるガスを用いることができる。また、原料ガスに窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、酸素、二酸化炭素、水などの非原料ガスを混合させて用いてもよい。また、化学気相蒸着法の方式は熱化学気相蒸着法、触媒化学気相蒸着法またはプラズマ化学気相蒸着法などの方法を用いることができる。また、上記の工程に加えて製品または原料を粉砕する工程、分級する工程、洗浄する工程、加熱により不純物を除去する工程などを含んでも良い。
また例えば、シェルの原料となる化合物とカーボンブラックを溶媒中で混合する工程、溶媒を乾燥により除去する工程および加熱により原料となる化合物を熱分解させてシェルを形成する工程を含むことを特徴とする製造方法を用いることもできる。原料となる化合物としては、熱分解により導電性を有する物質が得られる各種材料を用いることができるが、例えば炭素単体を得るための材料として、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂、セルロース、マルトース、フルクトース、マンノース、セルロース、メチルセルロースなどの糖類などを用いることができる。溶媒には特に制限はないが、熱硬化性樹脂を原料として用いる場合には溶解および乾燥の容易さなどから、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトンなどが好ましく、糖類を原料として用いる場合には水、メタノール、エタノールなどが好ましい。熱分解は、不活性雰囲気下または還元性雰囲気下で600℃以上に加熱することが好ましい。また、上記の工程に加えて、熱硬化性樹脂を加熱・硬化させる工程、製品または原料を粉砕する工程、分級する工程、洗浄する工程、再加熱により不純物を除去する工程などを含んでも良い。
本発明のコアシェル構造カーボンブラックを用いて電極を作製する際は、カチオンまたはアニオンの電気的吸脱着および/または挿入/脱挿入に伴う酸化還元反応を生じる活物質と、高分子からなる結着剤と共に溶媒中に分散させ、電極用合剤として使用することができる。カチオンまたはアニオンの電気的吸脱着を生じる活物質としては、活性炭、グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、酸化マンガンナノシートなどが挙げられる。
また、カチオンまたはアニオンの挿入/脱挿入に伴う酸化還元反応を生じる活物質としては、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケルマンガン酸リチウム、チタン酸リチウムなどの金属複合酸化物、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガンリチウム、リン酸鉄マンガンリチウムなどのポリアニオン型構造を持つ金属複合化合物、人造黒鉛、天然黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボンなどの炭素材料、ケイ素、スズなどの異金属と合金化する金属または半金属材料、およびリチウム、ナトリウム、マグネシウムなどのカチオンの還元体である金属材料などが挙げられる。
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリビニルアルコール、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、カルボン酸変性(メタ)アクリル酸エステル共重合体およびその塩、カルボキシメチルセルロースおよびその塩などの高分子が挙げられる。これらの中では、正極に用いる場合は耐酸化性の点でポリフッ化ビニリデンが好ましく、負極に用いる場合は接着力の点でポリフッ化ビニリデンまたはスチレン−ブタジエン共重合体が好ましい。
溶媒としては、水、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。結着剤としてポリフッ化ビニリデンを使用する際は、溶解性の点でN−メチル−2−ピロリドンが好ましく、スチレン−ブタジエン共重合体を使用する際は水が好ましい。
電極用合剤を製造するための混合装置としては、らいかい機、万能混合機、ヘンシェルミキサー若しくはリボンブレンダーなどの混合機、又はビーズミル、振動ミル若しくはボールミルなどの媒体撹拌型混合機を用いて行うことができる。また、製造した電極用合剤は、塗膜に欠陥が生じないようにして平滑性を確保するため、塗工前の段階で真空脱泡を行うことが好ましい。気泡が存在すると、電極に塗布した際に、塗膜に欠陥が生じ、平滑性を損なう原因となる。
また、電極用合剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、コアシェル構造カーボンブラック、活物質、結着剤および溶媒以外の成分を含むことができる。例えば、導電性をさらに向上させる目的で、コアシェル構造カーボンブラック以外にカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、黒鉛、グラフェン、炭素繊維、元素状炭素、グラッシーカーボン、金属粒子などを含んでも良い。また、分散性を向上させる目的でポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、カルボキシメチルセルロースおよびその塩、アセチルセルロースまたはカルボン酸変性(メタ)アクリル酸エステル共重合体およびその塩などを含んでも良い。
前記電極用合剤を集電体の片面または両面に塗布・乾燥することで電極が得られる。集電体は金属箔であることが好ましく、特に正極として用いる場合は酸化環境で不動態を形成することからアルミニウム、負極として用いる場合は耐還元性が高いことから銅が好ましい。
前記電極を正極または負極の少なくとも一方として用い、さらに正極と負極の間を電気的に隔離するセパレータ、アニオンおよび/またはカチオンの移動を媒介する電解質と組み合わせることで蓄電装置が得られる。カチオンまたはアニオンの電気的吸脱着を生じる活物質を用いて作製した蓄電装置はキャパシタ、カチオンまたはアニオンの挿入/脱挿入に伴う酸化還元反応を生じる活物質を用いて作製した蓄電装置は電池となる。両方の活物質を併用することでキャパシタと電池の両方の機能を併せ持つ蓄電装置を製造することも可能である。
以下、実施例及び比較例により、本発明のコアシェル構造カーボンブラックを詳細に説明する。しかし、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(コアシェル構造カーボンブラックの製造)
公知の方法で合成したノボラック型のフェノール樹脂100質量部とヘキサメチレンテトラミン8質量部、エタノール100質量部を混合し、ここにアセチレンブラック(電気化学工業社製、HS100)100質量部を加え、精密分散乳化機(エム・テクニック社製、クレアミックス)を用いて均一分散させた後、40℃の水浴とロータリーエバポレーターを用いてエタノールを除去しつつ硬化反応を進行させた。これを1時間行った後、混合物を取り出して乳鉢で粉砕し、目開き45μmの篩で粗粉を除去し、105℃の温風乾燥機で1晩加熱してフェノール樹脂を十分硬化させた。この粉末を窒素雰囲気下、1100℃で8時間加熱することにより、炭素単体のシェルを持つコアシェル構造カーボンブラックを得た。
(コアシェル構造カーボンブラックの評価)
作製したコアシェル構造カーボンブラックの評価は次のようにして行った。結果を表1に示す。
[シェルの平均厚さ]
シェルの平均厚さは透過電子顕微鏡JEM−2100(日本電子社製)を用いて100万倍の倍率で粒子周縁部を含む画像10枚を撮影し、無作為に抽出した1枚当たり10箇所の粒子周縁部について画像解析によりシェルの厚さを求め、それらの算術平均を算出することによって測定した。
[体積抵抗率]
コアシェル構造カーボンブラック0.5gを量り取り、25±1℃、相対湿度50±2%の環境に24時間静置し、粉体抵抗測定システム(三菱化学アナリテック社製、MCP−PD51型)を用いて、24MPaの荷重下で直径20mmの円盤状に圧縮した状態で体積抵抗率を測定した。
[BET比表面積]
コアシェル構造カーボンブラックのBET比表面積は、窒素吸着比表面積計(マウンテック社製、Macsorb1201)を用い、吸着ガスとして窒素を用いて相対圧p/p=0.30±0.04の条件で測定した。
[DBP吸収量]
DBP吸収量はJIS K6217−4に準拠する方法で測定した。
(電極用合剤および電極の作製)
コアシェル構造カーボンブラック5質量部に、活物質としてスピネル型ニッケルマンガン酸リチウム(LiNi0.5Mn1.5、宝泉社製)を90質量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン溶液(呉羽化学社製、「KFポリマー(登録商標)1120」、固形分濃度12質量%)を溶質量で5質量部、さらに溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(キシダ化学社製)30質量部を加えて自転公転式混合機(シンキー社製、あわとり練太郎ARV−310)を用いて混合し、電極用合剤を得た。この電極用合剤を、ベーカー式アプリケーターを用いて厚さ15μmのアルミニウム箔に塗布、乾燥し、その後、プレス、裁断して、電極を得た。
(二次電池の作製)
前記電極を正極として用いて、次のようにして電池を作製した。
(負極電極の作製)
活物質として黒鉛粉末(日立化成社製 MAG−D)98質量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン溶液を溶質量で2質量部、さらに分散媒としてN−メチル−2−ピロリドン30質量部を加えて自転公転式混合機を用いて混合し、負極用電極用組成物を得た。これをベーカー式アプリケーターを用いて厚さ10μmの銅箔に塗布、乾燥し、その後、プレス、裁断して、負極電極を得た。
(電池の作製)
正極としてコアシェル構造カーボンブラックを用いて作製した電極を縦40mm、横40mmに裁断したもの、負極として前記負極電極を縦44mm、横44mmに裁断したものを用い、これらを電気的に隔離するセパレータとしてオレフィン繊維製不織布、外装としてアルミラミネートフィルムを用いてラミネート型電池とした。電解液にはEC(エチレンカーボネート、Aldrich社製)、DEC(ジエチルカーボネート、Aldrich社製)を体積比で1:2に混合した溶液中に六フッ化リン酸リチウム(LiPF、ステラケミファ社製)を1mol/L溶解したものを用いた。
(電池の評価)
上記で作製した電池について、次のようにして評価を行った。結果を表1に示す。なお特に記載のない場合は、評価値は3個の電池の評価値の算術平均値である。
[クーロン効率]
まず正極の質量から正極上に存在する正極活物質量[g]を求め、これを140で除した値[mA]を電流値「1C」とした。電流を1C、上限電圧を5.0Vとして定電流・定電圧充電を行い、さらに電流を1C、下限電圧を3.0Vとして定電流放電を行い、この際の充電容量[mAh]に対する、放電容量[mAh]の比[%]をクーロン効率とした。尚、クーロン効率が高いほど、電解液の酸化分解等の副反応が少ないことを意味する。
[直流抵抗]
直流抵抗の測定を行う前に、初回充放電に加えてさらに電流を1C、上限電圧を5.0Vとして定電流・定電圧充電を行い、電流を1C、下限電圧を3.0Vとして定電流放電を行うことを3回繰り返した。その後、電流を1Cとして30分間の定電流充電を実施し、完了後の開回路電圧(V[V])を測定した。この状態の電池を、まず電流を1Cとして10秒間放電し、10秒目の電圧(V[V])を測定した後、再び電流1Cで10秒間充電した。同様に、電流値を2C、3C、4C、5Cとして10秒間放電したときの電圧を測定し、それぞれV、V、V、V[V]とした。その後、V〜V[V]を縦軸に、対応する電流値[A]を横軸にとったグラフを作成し、最小二乗法で近似した回帰直線の傾きに−1を乗じたものを直流抵抗[Ω]とした。
[サイクル特性]
直流抵抗の測定後、次の要領でサイクル特性の測定を行った。電流を1C、上限電圧を5.0Vとして定電流・定電圧充電を行ったあと、電流を1C、下限電圧を3.0Vとして定電流を行うことを1サイクルとして、これを200回繰り返した。1回目の放電容量に対する200回目の放電容量の比[%]をサイクル特性値とした。200サイクル未満で放電容量が0となった場合は、その電池のサイクル特性値は0%として3個の電池の算術平均値を計算した。
[ガス発生量]
ガス発生抑制効果の評価として、サイクル特性試験前後の電池の体積変化[mL]をガス発生量として測定した。電池の体積は比重測定装置(島津製作所社製 AUW220D)を用いて25±1℃の恒温室内で測定した。また、200サイクル未満で放電容量が0となった電池については、はじめて放電容量が0となったサイクル後に測定した。
<実施例2〜5>
実施例1のフェノール樹脂の添加量を25質量部、50質量部、150質量部、200質量部と変更した以外は実施例1と同様の方法で炭素単体のシェルを持つコアシェル構造カーボンブラックを製造し、評価を行った。また、これを用いて電極用合剤、電極および二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例6>
実施例1のアセチレンブラックをファーネスブラック(電気化学工業社製、NC−75)に変更した以外は実施例1と同様の方法で炭素単体のシェルを持つコアシェル構造カーボンブラックを製造し、評価を行った。また、これを用いて電極用合剤、電極および二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例7>
実施例1のアセチレンブラックをアセチレンブラック(電気化学工業社製、AB粉状)に変更した以外は実施例1と同様の方法で炭素単体のシェルを持つコアシェル構造カーボンブラックを製造し、評価を行った。また、これを用いて電極用合剤、電極および二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例8>
実施例1のアセチレンブラックをアセチレンブラック(電気化学工業社製、FX35)に変更した以外は実施例1と同様の方法で炭素単体のシェルを持つコアシェル構造カーボンブラックを製造し、評価を行った。また、これを用いて電極用合剤、電極および二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例9>
実施例1のアセチレンブラックをファーネスブラック(電気化学工業社製、SAB)に変更した以外は実施例1と同様の方法で炭素単体のシェルを持つコアシェル構造カーボンブラックを製造し、評価を行った。また、これを用いて電極用合剤、電極および二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2016194015

<実施例10>
アセチレンブラック(電気化学工業社製、HS100)を基材とし、0.1Pa、500℃の環境でビニルシランを原料として5秒間熱化学気相蒸着を行い、炭化ケイ素のシェルを持つコアシェル構造カーボンブラックを得た。これについて実施例1と同様な方法で各評価を実施した。また、これを用いて電極用合剤、電極および二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例11〜13>
実施例10の処理時間を10秒間、20秒間、40秒間に変更した以外は実施例10と同様の方法で炭化ケイ素のシェルを持つコアシェル構造カーボンブラックを製造し、評価を行った。また、これを用いて電極用合剤、電極および二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1のフェノール樹脂の添加量を0に変更した以外は実施例1と同様の方法でカーボンブラックに処理を行い、評価を行った。また、これを用いて電極用合剤、電極および二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
実施例1の1100℃で加熱する工程を行わなかった以外は実施例1と同様の方法でカーボンブラックに処理を行い、フェノール樹脂のシェルを持つコアシェル構造カーボンブラックを得た。これについて実施例1と同様な方法で各評価を実施したまた、これを用いて電極用合剤、電極および二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
表1の結果から、本発明の実施例のコアシェル構造カーボンブラックは導電性に優れ、さらにこれを用いて製造される電池はガス発生が抑制され寿命に優れることが分かった。
以上の結果は、実施例で用いた二次電池正極のほか、同様に作製した二次電池負極、さらにはリチウムイオンキャパシタ用の電極に対しても同様であった。
本発明のコアシェル構造カーボンブラックを利用することで、蓄電装置の内部抵抗を上昇させることなく電解液の分解およびガス発生を抑制することができる。これにより、長寿命かつ低抵抗の蓄電装置を得ることができる。
1 コア(カーボンブラック)
2 シェル
3 コアシェル構造カーボンブラック

Claims (10)

  1. カーボンブラックからなるコアの表面を、炭素単体または炭化物を含む導電性を有する物質からなるシェルで被覆してなるコアシェル構造カーボンブラック。
  2. 前記シェルの平均厚さが1〜30nmであることを特徴とする請求項1に記載のコアシェル構造カーボンブラック。
  3. 1.9MPa圧縮下で測定した体積抵抗率が0.01〜1.00Ω・cmであることを特徴とする請求項1または2に記載のコアシェル構造カーボンブラック。
  4. BET比表面積が30〜200m/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコアシェル構造カーボンブラック。
  5. JIS K6217−4に定義されるDBP吸収量が100〜280mL/100gであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコアシェル構造カーボンブラック。
  6. コアシェル構造カーボンブラックを製造する方法であって、カーボンブラックをコアとして化学気相蒸着法によりシェルを形成する工程を含むことを特徴とするコアシェル構造カーボンブラックの製造方法。
  7. コアシェル構造カーボンブラックを製造する方法であって、シェルの原料となる化合物とカーボンブラックを溶媒中で混合する工程、溶媒を乾燥により除去する工程および加熱により原料となる化合物を熱分解させてシェルを形成する工程を含むことを特徴とするコアシェル構造カーボンブラックの製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のコアシェル構造カーボンブラックと、活物質および、高分子からなる結着剤とが溶媒中に分散されていることを特徴とする電極用合剤。
  9. 請求項8に記載の電極用合剤を集電体の片面または両面に塗布・乾燥してなることを特徴とする電極。
  10. 請求項9に記載の電極を正極または負極の少なくとも一方として用いた蓄電装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113903891A (zh) * 2021-09-03 2022-01-07 北京化工大学 一种含准金属态锂的无定形碳基复合负极材料的制备方法和应用

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