JP2016192055A - タッチパネルの製造方法及びタッチパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】 タッチパネルの製造に際して、低コストに、引き回し配線を集約して配置する。【解決手段】 本発明はタッチパネルの製造方法に関する。この製造方法は、基板20の電極33を有する面上に設けられた感光層をパターン露光及び現像して、PAS層62と複数の隔壁35とを形成するPAS層隔壁形成工程と、互いに隣接する隔壁35どうしの間に区画される溝部36に導電性インク77を吐出させ、引き回し配線38を形成する配線形成工程とを含む。【選択図】 図14
Description
本発明は、基板と電極と引き回し配線とを備えるタッチパネル、及びその製造方法に関する。
例えば多機能携帯電話(スマートフォン)や携帯ゲーム機等の電子機器に備えられるタッチ入力デバイスとして、タッチパネルが広く用いられている。タッチパネルは、例えば特開2013−156655号公報(特許文献1)に開示されているように、基板〔基板20〕と、基板に設けられた電極〔導電パターン2a〕と、電極に接続された引き回し配線〔引き出し線105〕とを備える。タッチパネルは、例えば液晶表示パネルや有機EL表示パネル等の表示装置と重ねて用いられることが多く、この場合、電極は主に表示装置の表示領域と重なるように配置され、引き回し配線はその周縁部(非表示領域)に配置されることが多い。
例えば携帯用の電子機器においては、可搬性の観点から、機器全体を小型化することが一般的に求められる。一方、視認性や操作性の観点から、表示領域を極力大きく確保することも求められる。これらの要求を共に満足させるための方策の1つとして、非表示領域を極力小さく抑えるように設計することが考えられる。つまり、より小さい面積を占める非表示領域に引き回し配線を集約して配置するように設計することが考えられる。
この点に関して、特許文献1のタッチパネルでは、引き回し配線は、導電性粒子を含有する導電ペーストを用いたスクリーン印刷法を利用して形成されている(特許文献1の段落0126を参照)。しかし、スクリーン印刷は、印刷後に滲みが生じる場合も多く、微細配線形成能はあまり高くない。また、引き回し配線等の導電性配線を形成するためにインクジェット印刷法を利用する技術が、例えば特開2010−104977号公報(特許文献2)に開示されている。しかし、インクジェット印刷は、さらに低粘度のインクが用いられることからやはり印刷後に滲みが生じる場合も多く、微細配線形成能が低い。つまり、これらの印刷法では、引き回し配線の配置領域の小面積化には限界がある。
一方、微細配線形成能に優れた方法として、フォトリソグラフィ法を利用して所望のパターンの配線を形成する方法が知られている。このフォトリソグラフィ法を利用して、微細な引き回し配線を形成することも考えられる。しかし、フォトリソグラフィ法は、工程数が多くそれらに応じた設備が必要となるのみならず、歩留まりも低いため、製造コストが高くなってしまう。
そこで、タッチパネルの製造に際して、低コストに、引き回し配線を集約して配置することが望まれる。また、引き回し配線の配置領域が小型化されたタッチパネルの実現が望まれる。
本発明に係る、基板と、前記基板に設けられた電極と、前記基板の前記電極を有する面上に設けられたパッシベーション(PAS)層と、前記電極に接続された引き回し配線と、を備えるタッチパネルを製造するための製造方法の特徴構成は、
前記基板上に設けられた第一感光性樹脂層と導電層との積層体からなる第一感光層をパターン露光及び現像して、前記導電層からなる前記電極を形成する電極形成工程と、
前記基板の前記電極を有する面上に設けられた第二感光性樹脂層からなる第二感光層をパターン露光及び現像して、前記第二感光性樹脂層を主体としてなる前記PAS層と、前記第二感光性樹脂層を主体としてなり少なくとも一部の前記引き回し配線の配設予定領域の両側に配置される複数の隔壁と、を形成するPAS層隔壁形成工程と、
互いに隣接する前記隔壁どうしの間に区画される溝部に導電性インクを吐出させ、前記導電性インクを主体としてなる前記引き回し配線を形成する配線形成工程と、
を含む点にある。
前記基板上に設けられた第一感光性樹脂層と導電層との積層体からなる第一感光層をパターン露光及び現像して、前記導電層からなる前記電極を形成する電極形成工程と、
前記基板の前記電極を有する面上に設けられた第二感光性樹脂層からなる第二感光層をパターン露光及び現像して、前記第二感光性樹脂層を主体としてなる前記PAS層と、前記第二感光性樹脂層を主体としてなり少なくとも一部の前記引き回し配線の配設予定領域の両側に配置される複数の隔壁と、を形成するPAS層隔壁形成工程と、
互いに隣接する前記隔壁どうしの間に区画される溝部に導電性インクを吐出させ、前記導電性インクを主体としてなる前記引き回し配線を形成する配線形成工程と、
を含む点にある。
この特徴構成によれば、フォトリソグラフィ法と吐出印刷法とを組み合わせて、タッチパネルが製造される。PAS層隔壁形成工程において、フォトリソグラフィ法を利用してPAS層を形成するとともに、少なくとも一部の引き回し配線の配設予定領域の両側に隔壁を形成することができる。フォトリソグラフィ法は微細配線形成能に優れるため、隔壁の幅や隔壁間の間隔を狭く形成することができる。隔壁は、その後の配線形成工程において、互いに隣接する隔壁どうしの間に区画される溝部に吐出される導電性インクをせき止めるための一種の“堰”として機能する。よって、吐出印刷法で引き回し配線を形成したとしても、導電性インクの滲みは、隔壁を越えては生じない。また、隔壁の存在によって引き回し配線間の沿面距離を大きく確保できるので、引き回し配線を構成する導電性粒子のマイグレーションによる絶縁不良の発生を抑制しつつ、平面視での線間距離を小さく抑えることができる。従って、限られた大きさの領域に、引き回し配線を集約して配置することができる。
このとき、上記の特徴構成では、PAS層を形成するための工程と隔壁を形成するための工程とが部分的に共通化される。つまり、PAS層を形成するために必要な工程を利用して、それに合わせて隔壁が形成される。このため、別途、フォトリソグラフィ法によって引き回し配線を形成する場合と比較して、工程数を低減することができ、低コスト化を図ることができる。
以下、本発明に係るタッチパネルの製造方法の好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
1つの態様として、互いに隣接する一対の前記配設予定領域に注目した場合に、一方の前記配設予定領域と、他方の前記配設予定領域に対応する前記隔壁のうちの1つとが、平面視で互いに重なる位置関係となるように設計され、前記配線形成工程において、前記隔壁上にも前記導電性インクを吐出させ、前記隔壁上にも前記引き回し配線を形成すると好適である。
この構成によれば、互いに隣接する引き回し配線どうしの平面視での線間距離を実質的にゼロとすることができるので、引き回し配線の配置領域を大幅に小型化することができる。この場合であっても、複数の引き回し配線は互いに隣接する隔壁どうしの間と隔壁上とに交互に配置され、互いに隣接する引き回し配線どうしは、上下方向の異なる位置に配置される。よって、引き回し配線間の空間距離及び沿面距離を確保できるので、マイグレーションによる絶縁不良の発生を抑制することができる。
1つの態様として、前記電極形成工程は、第一基材フィルム上に前記導電層が設けられるとともに前記導電層上に前記第一感光性樹脂層が設けられた第一感光フィルムを、前記第一感光性樹脂層側から前記基板に被着させる被着工程と、前記第一基材フィルムよりも正面側に前記電極のパターンに対応する第一マスクを配置した状態で、前記基材フィルム側から露光する第一露光工程と、前記第一基材フィルムを剥離した状態で、前記正面側又は前記背面側から露光する第二露光工程と、前記第一感光性樹脂層を現像して、前記電極と前記隔壁とをパターニングする現像工程と、を含むと好適である。
この構成によれば、第一基材フィルムによって酸素を遮断した状態で第一露光工程を行うことで、電極パターンに対応させて第一感光性樹脂層の全層を硬化させるとともに、電極パターン以外の部分を未硬化のまま維持させることができる。その後、第一基材フィルムを剥離して酸素存在下で第二露光工程を行うことで、第一露光工程後に未硬化の領域のうち非電極パターンに対応させて、第一感光性樹脂層の深層部分のみを硬化させることができる。よって、その後の現像工程により、電極パターンと非電極パターンとの段差を小さくすることができる。よって、電極のパターン見えが生じるのを抑制することができる。
本発明に係るタッチパネルの特徴構成は、
基板と、
前記基板上に、絶縁層を介して設けられた複数の電極と、
前記基板の前記電極を有する面上に設けられたPAS層と、
前記PAS層と一体的に形成されているとともに、前記周縁部において前記引き回し配線の線幅に応じた間隔を隔てて配置された複数の隔壁と、を備え、
複数の前記引き回し配線が、前記絶縁層上かつ互いに隣接する前記隔壁どうしの間に配置されている点にある。
基板と、
前記基板上に、絶縁層を介して設けられた複数の電極と、
前記基板の前記電極を有する面上に設けられたPAS層と、
前記PAS層と一体的に形成されているとともに、前記周縁部において前記引き回し配線の線幅に応じた間隔を隔てて配置された複数の隔壁と、を備え、
複数の前記引き回し配線が、前記絶縁層上かつ互いに隣接する前記隔壁どうしの間に配置されている点にある。
この特徴構成によれば、基板の周縁部において、基板上に絶縁層を介して複数の隔壁が設けられるとともに、互いに隣接する隔壁どうしの間に引き回し配線が配置されるので、隔壁の存在によって引き回し配線間の沿面距離を大きく確保することができる。よって、引き回し配線を構成する材料のマイグレーションによる絶縁不良の発生を抑制することができる。また、隔壁は、引き回し配線の構成材料をせき止めるための一種の“堰”として機能するので、引き回し配線の構成材料の粘度によらずに、その滲みの発生を抑制することができる。よって、引き回し配線間の平面視での線間距離を小さく抑えることができる。従って、限られた大きさの領域に引き回し配線を集約して配置することができ、引き回し配線の配置領域を小型化することができる。
本発明に係るタッチパネルのもう1つの特徴構成は、
基板と、
前記基板上に、絶縁層を介して設けられた複数の電極と、
前記基板の前記電極を有する面上に設けられたPAS層と、
前記基板の周縁部に設けられ、複数の前記電極にそれぞれ接続された複数の引き回し配線と、
前記PAS層と一体的に形成されているとともに、前記周縁部において前記引き回し配線の線幅に応じた間隔を隔てて配置された複数の隔壁と、をさらに備え、
複数の前記引き回し配線が、前記絶縁層上かつ互いに隣接する前記隔壁どうしの間と、前記隔壁上と、に交互に配置されている点にある。
基板と、
前記基板上に、絶縁層を介して設けられた複数の電極と、
前記基板の前記電極を有する面上に設けられたPAS層と、
前記基板の周縁部に設けられ、複数の前記電極にそれぞれ接続された複数の引き回し配線と、
前記PAS層と一体的に形成されているとともに、前記周縁部において前記引き回し配線の線幅に応じた間隔を隔てて配置された複数の隔壁と、をさらに備え、
複数の前記引き回し配線が、前記絶縁層上かつ互いに隣接する前記隔壁どうしの間と、前記隔壁上と、に交互に配置されている点にある。
この特徴構成によれば、基板の周縁部に配置される複数の引き回し配線どうしが、上下方向の異なる位置に配置されるので、上下方向の高さの差に応じて、引き回し配線間の空間距離及び沿面距離を確保することができる。よって、引き回し配線を構成する材料のマイグレーションによる絶縁不良の発生を抑制することができる。また、上下方向の配置位置を異ならせることによって空間距離及び沿面距離を確保するため、引き回し配線間の平面視での線間距離を実質的にゼロとすることができる。従って、限られた大きさの領域に引き回し配線を集約して配置することができ、引き回し配線の配置領域を小型化することができる。また、隔壁は、引き回し配線の構成材料をせき止めるための一種の“堰”として機能する。よって、引き回し配線の構成材料の粘度によらずに、その滲みの発生を抑制することができる。よって、この点からも、引き回し配線の集約配置が可能となる。
以下、本発明に係るタッチパネルの好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
〔第一の実施形態〕
本発明に係るタッチパネル及びその製造方法の第一の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係るタッチパネル1は、多機能携帯電話(スマートフォン)や携帯ゲーム機等の電子機器に備えられ、タッチ入力デバイスとして機能する。これらの電子機器において、タッチパネル1は、例えば液晶表示パネルや有機EL表示パネル等からなる表示装置と重ねて用いられる。携帯用の電子機器では、機器全体を小型化することや、表示装置の表示領域を大きく確保することが求められる。これらの要求を共に満足させるため、本実施形態に係るタッチパネル1は、非表示領域が極力小さくなるように設計される。このような狭額縁設計のタッチパネル1は、フォトリソグラフィ法と吐出印刷法とを組み合わせた製造方法によって実現される。以下、本実施形態に係るタッチパネルの製造方法、及び当該製造方法によって得られるタッチパネル1について、詳細に説明する。
本発明に係るタッチパネル及びその製造方法の第一の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係るタッチパネル1は、多機能携帯電話(スマートフォン)や携帯ゲーム機等の電子機器に備えられ、タッチ入力デバイスとして機能する。これらの電子機器において、タッチパネル1は、例えば液晶表示パネルや有機EL表示パネル等からなる表示装置と重ねて用いられる。携帯用の電子機器では、機器全体を小型化することや、表示装置の表示領域を大きく確保することが求められる。これらの要求を共に満足させるため、本実施形態に係るタッチパネル1は、非表示領域が極力小さくなるように設計される。このような狭額縁設計のタッチパネル1は、フォトリソグラフィ法と吐出印刷法とを組み合わせた製造方法によって実現される。以下、本実施形態に係るタッチパネルの製造方法、及び当該製造方法によって得られるタッチパネル1について、詳細に説明する。
なお、以下の説明で参照する図面においては、図示の容易化や理解の容易化等の観点から、便宜上、縮尺や上下左右の寸法比率等が実際の製品とは異なる場合がある。また、複数個存在することが予定される各部材に関して、以下の説明で言及されるとともに対応する図面に示される具体的な数は、単なる例示であって、それ以外の個数とすることも当然に可能である。
図1に示すように、本実施形態に係るタッチパネル1は、基板20,40と、電極33,53と、引き回し配線38,58とを備える。また、図2に示すように、タッチパネル1は、第一基板20と、第一電極33を含む第一電極形成部材30と、第一PAS層62と、第一引き回し配線38と、第二基板40と、第二電極53を含む第二電極形成部材50と、第二PAS層82と、第二引き回し配線58と、を備える。第一基板20上に第一電極形成部材30、第一PAS層62及び第一引き回し配線38が設けられ、第二基板40上に第二電極形成部材50、第二PAS層82及び第二引き回し配線58が設けられ、第一基板20を含む積層体上に、第二基板40を含む積層体が配置されている。
第一基板20は、第一電極33を形成するためのベースとなる部材である。第一基板20は、透明性、柔軟性、及び絶縁性等に優れた材料を用いて構成されていることが好ましい。このような要求を満足する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレートやアクリル系樹脂等の汎用樹脂、ポリアセタール系樹脂やポリカーボネート系樹脂等の汎用エンジニアリング樹脂、ポリスルホン系樹脂やポリフェニレンサルファイド系樹脂等のスーパーエンジニアリング樹脂等が例示される。第一基板20の厚みは、例えば、25μm〜100μmとすることができる。本実施形態では、ポリエチレンテレフタレートフィルムにより第一基板20が構成されている。なお、第一基板20は、ガラス基板等を用いて構成されても良い。
第一基板20に設けられた第一電極形成部材30は、第一絶縁層32と、第一電極33とを有する。第一絶縁層32は、第一基板20上に配置されている。第一絶縁層32は、電気的絶縁性に優れた樹脂材料を用いて構成されていることが好ましい。本実施形態では、第一絶縁層32は、後述する感光性樹脂組成物を主体として構成されている。第一絶縁層32上には、複数(本例では5つ)の第一電極33が配置されている。すなわち、第一基板20上に、第一絶縁層32を介して複数の第一電極33が設けられている。図1に示すように、複数の第一電極33は、それぞれ、X軸方向に沿って並んで配置された複数(本例では5つ)の菱形電極をX軸方向に互いに接続して形成されている。第一電極33のそれぞれは、全体として、X軸方向に沿って延在するように形成されている。なお、第一電極33は、例えばストライプ状(一定幅を有する直線状)に形成されても良いし、波状やジグザグ状に形成されても良い。複数の第一電極33は、Y軸方向に並ぶように互いに平行に配置されている。
第一PAS層62は、第一電極形成部材30を全面的に覆い、第一電極33を保護する絶縁性の防錆層として機能している。第一PAS層62は、後述する感光性樹脂組成物を主体として構成されている。
第一電極33は、被検知物(ユーザーの指等の導体)の近接/離間に応じて静電容量が変化する材料を用いて構成されている。なお、「静電容量」とは、自己容量(self capacitance)と相互容量(mutual capacitance)との双方を含む概念である。つまり、第一電極33は、被検知物の近接/離間に応じて、自己容量又は第二電極53との間の相互容量が変化する材料を用いて構成されている。また、第一電極33は、透明性に優れた材料を用いて構成されていることが好ましい。このような要求を満足する材料としては、例えば酸化スズ、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化カドミウム、及びITO(Indium Tin Oxide)等の金属酸化物、銀ナノワイヤー、カーボンナノチューブ、グラフェン、金属メッシュ、導電性ポリマー等が例示される。第一電極33は、これらの材料を用いて構成された透明導電膜である。本実施形態では、ITO薄膜により第一電極33が構成されている。
第一電極33のそれぞれは、引き回し配線38に接続されている。つまり、タッチパネル1は、第一電極33に接続された複数(第一電極33と同数であり、本例では5つ)の第一引き回し配線38を有する。第一引き回し配線38は、金、銀、銅、ニッケル、及びパラジウム等の金属又はカーボン等の導電性粒子を含むインクからなる導電性インクを主体として構成されている。なお、導電性インクを構成する導電性粒子の材料は、単一種類であっても良いし、複数種類の組み合わせであっても良い。本実施形態では、銀ナノ粒子を含む導電性インクを主体として、第一引き回し配線38が構成されている。
第二基板40、第二PAS層82、第二引き回し配線58、並びに第二電極形成部材50を構成する第二絶縁層52及び第二電極53は、第二電極53の形状及び配置に関する具体的構成を除き、第一基板20、第一PAS層62、第一引き回し配線38及び第一電極形成部材30と同様の構成を備えている。図1に示すように、本実施形態では、複数(本例では4つ)の第二電極53は、それぞれ、X軸方向に交差(本例では直交)するY軸方向に沿って並んで配置された複数(本例では6つ)の菱形電極をY軸方向に互いに接続して形成されている。第二電極53のそれぞれは、全体として、Y軸方向に沿って延在するように形成されている。複数の第二電極53は、X軸方向に並ぶように互いに平行に配置されている。
第一電極33を構成する複数(本例では5行5列の計25個)の菱形電極と、第二電極53を構成する複数(本例では6行4列の計24個)の菱形電極とは、平面視(タッチパネル1の延在面に直交する方向に見た状態)で相補的な位置関係で配置されている。つまり、第一電極33を構成する菱形電極の非配置領域に第二電極53を構成する菱形電極が配置され、第二電極53を構成する菱形電極の非配置領域に第一電極33を構成する菱形電極が配置されている。そして、複数の第一電極33と複数の第二電極53とは、これらの全体で、表示装置の表示領域を概ね全面的に覆うように配置されている。表示装置の表示領域に対応する第一電極33及び第二電極53の配置領域は、ユーザーによる入力操作が行われる領域であり、当該領域をここでは“操作領域O”と称する。
なお、本実施形態では、第一絶縁層32に形成される窪み部分には、ITO等の導電性材料は配置されない。このため、タッチパネル1が例えば相互容量方式である場合には、第一電極33以外のITO等の導電性材料によって、第一電極33と第二電極53との間の相互容量が影響を受けることがない。よって、本実施形態に係るタッチパネル1は、透明性に優れ、かつ、高精度である。
第一引き回し配線38は、平面視で第一基板20における周縁部に設けられている。第一引き回し配線38は、複数の第一電極33の配置領域(操作領域O)に対してX軸方向に隣接する領域において、概ね、Y軸方向に沿って互いに平行に延びるように形成されている。本実施形態では、第二引き回し配線58は、平面視で第二基板40における周縁部に設けられている。第二引き回し配線58は、複数の第二電極53の配置領域(操作領域O)に対してY軸方向に隣接する領域において、概ね、X軸方向に沿って互いに平行に延びるように形成されている。操作領域Oの外側に位置することになる第一引き回し配線38及び第二引き回し配線58の配置領域は、表示装置の表示領域とは重ならない領域であり、当該領域をここでは“非操作領域N”と称する。非操作領域NにおけるY軸方向の端部には、各電極33,53を外部の演算処理装置に接続するための複数の外部接続端子60が設けられている。
タッチパネル1の非操作領域Nを小型化するための製造方法は、準備工程(図3及び図4を参照)と、電極形成工程(図5〜図9を参照)と、PAS層隔壁形成工程(図10〜図13を参照)と、配線形成工程(図14を参照)とを含む。また、本実施形態では、電極形成工程はさらに、第一被着工程(図5を参照)と、第一露光工程(図6を参照)と、第二露光工程(図7及び図8を参照)と、第一現像工程(図9を参照)とを含む。また、本実施形態では、PAS層隔壁形成工程はさらに、第二被着工程(図10を参照)と、第三露光工程(図11を参照)と、第二現像工程(図13を参照)とを含む。また、本実施形態では、これらは、第一基板20を含む積層体、並びに第二基板40を含む積層体のそれぞれについて実行される。以下では、第一基板20を含む積層体のみに関して説明し、同様に考えることができる第二基板40を含む積層体に関しては、詳細な説明を省略する。
準備工程は、本実施形態に係る製造方法に適した中間材料を準備する工程である。本実施形態では、絶縁層32,52及び電極33,53の基となる第一感光フィルム10と、基板20,40とが準備される。図3に示すように、第一感光フィルム10は、第一基材フィルム11と第一感光層14とを有する。第一感光層14は、導電層12と第一感光性樹脂層13との積層体である。すなわち、第一感光フィルム10は、第一基材フィルム11と、この第一基材フィルム11上に設けられた導電層12と第一感光性樹脂層13との積層体と、を有する。第一基材フィルム11上に導電層12が設けられ、導電層12上に第一感光性樹脂層13が設けられている。
第一基材フィルム11は、重合体フィルムを用いて構成することができる。第一基材フィルム11としては、耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを好ましく用いることができる。このような重合体フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等を例示することができる。本実施形態では、ポリエチレンテレフタレートフィルムにより、第一基材フィルム11が構成されている。第一基材フィルム11の厚みは、例えば5μm〜300μmとすることができる。なお、第一基材フィルム11は、後述する第二露光工程での第一感光層14からの剥離を容易化するために、離型処理が施されていても良い。
第一感光層14を構成する導電層12は、第一電極33及び第二電極53の基となる層である。導電層12は、例えば酸化スズ、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化カドミウム、及びITO等の金属酸化物、銀ナノワイヤー、カーボンナノチューブ、導電性ポリマー等からなる透明導電層とすることができる。本実施形態では、導電層12としてITO薄膜層が用いられている。導電層12は、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法、及びロールコーター法等により、基材フィルム11上に全面的に形成することができる。導電層12の厚みは、例えば5nm〜5000nmとすることができる。
第一感光層14を構成する第一感光性樹脂層13は、第一絶縁層32及び第二絶縁層52の基となる層である。第一感光性樹脂層13としては、ネガ型及びポジ型のいずれのタイプを用いることもできる。本実施形態では、ネガ型の感光性樹脂層を用いる。第一感光性樹脂層13は、例えばバインダー樹脂と、エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物と、光重合開始剤とを含有する感光性樹脂組成物を用いて形成することができる。バインダー樹脂としては、例えばアクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、アミドエポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応で得られるエポキシアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂と酸無水物の反応で得られる酸変性エポキシアクリレート樹脂等を例示することができる。これらは、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物としては、例えば多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、フタル酸系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等を例示することができる。これらは、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
光重合開始剤としては、例えば芳香族ケトン、ベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン化合物、オキシムエステル化合物、ベンジル誘導体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、アクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物、オキサゾール系化合物等のラジカル重合開始剤が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
第一感光性樹脂層13は、必要に応じて、各種の添加剤をさらに含有しても良い。添加剤としては、可塑剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤等を例示することができる。これらは、それぞれ単独で含有されても良いし、2種以上が組み合わせて含有されても良い。
第一感光性樹脂層13は、例えば溶剤に溶解した感光性樹脂組成物の溶液を第一基材フィルム11上に形成された導電層12上に塗布した後、乾燥することによって形成することができる。ここで、溶剤としては、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を例示することができる。これらは、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上の混合溶剤であっても良い。また、塗布は、例えばロールコート法、コンマコート法、グラビアコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、バーコート法、スプレーコート法等の公知の方法で行うことができる。乾燥は、例えば熱風対流式乾燥機等を用いて行うことができる。第一感光性樹脂層13の厚みは、乾燥後において、例えば1μm〜200μmとすることができる。
本実施形態では、第一感光フィルム10の取り扱いの容易化を図るため、第一感光性樹脂層13上に第一セパレータ16が設けられている。第一セパレータ16は、上述した第一基材フィルム11と同様の材料(例えばポリエチレンテレフタレート等)を用いて構成することができる。
図4に示すように、第一基板20は、その両面に2枚のフィルム22,24が貼付された状態で提供される。第一基板20は、下面にキャリアフィルム22が貼付され、かつ、上面に保護フィルム24が貼付された状態で提供される。キャリアフィルム22及び保護フィルム24は、上述した第一基材フィルム11や第一セパレータ16と同様の材料(例えばポリエチレンテレフタレート等)を用いて構成することができる。
電極形成工程における第一被着工程は、準備工程で準備された第一感光フィルム10と第一基板20とを被着させる工程である。図5に示すように、被着工程では、第一感光フィルム10から第一セパレータ16を剥離して、第一感光性樹脂層13を露出させる。また、2枚のフィルム22,24付きの第一基板20から保護フィルム24を剥離して、第一基板20を露出させる。そして、第一感光フィルム10を、露出した第一感光性樹脂層13側から第一基板20の露出した上面に被着させる。例えば、加熱しながら圧着(熱ラミネート)することにより、第一感光フィルム10を第一基板20に被着させる。被着工程の完了後には、キャリアフィルム22、第一基板20、第一感光性樹脂層13、導電層12、及び第一基材フィルム11は、記載の順に積層される。
電極形成工程における第一露光工程は、第一被着工程後の積層体に対して第一の露光を行う工程である。図6に示すように、第一露光工程では、第一基材フィルム11よりも正面側に第一マスク(第一フォトマスク)71を配置した状態で、第一基材フィルム11側から露光する。具体的には、まず、第一感光性樹脂層13上に第一マスク71を位置決めして固定する。第一マスク71は、第一電極33の平面視での全体形状(図1を参照)に対応する第一電極形成パターンを有している。本実施形態のように第一感光性樹脂層13がネガ型である場合には、第一電極形成パターンは、第一マスク71に形成された窓部(透光部)である。なお、第一マスク71には、第一電極形成パターン以外の窓部は形成されておらず、後述する第一引き回し配線38の配設予定領域S(最終的に第一引き回し配線38が配設されることが予定されている領域;図14を参照)は第一マスク71の遮光部によって完全に覆われる。
第一基材フィルム11上に第一マスク71を固定した後、第一感光性樹脂層13の感光特性に応じた活性光線Lを、第一基材フィルム11よりも正面側から照射する。活性光線Lは、紫外線や可視光等、第一感光性樹脂層13に対して感光作用を及ぼすのに適した光線であれば良い。活性光線Lは、例えば紫外線照射ランプ、水銀灯、高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いて照射することができる。また、活性光線Lは、例えば写真用フラッド電球、太陽ランプ等を用いて照射することもできる。活性光線Lの露光強度及び露光時間は、感光性樹脂層13の感光特性に応じて適宜設定することができる。また、第一露光工程は、空気中で行っても良いし、不活性ガスの存在下で行っても良い。また、真空中で行うことも可能である。
第一露光工程では、第一マスク71を通して活性光線Lを画像状に照射することで、第一電極33の平面視形状に応じたパターンで第一感光性樹脂層13を露光する。これにより、第一感光性樹脂層13のうち活性光線Lに露光した部分を、第一電極33の平面視形状に対応させて硬化させるとともに、それ以外の部分を未硬化のまま維持させることができる(図7を参照)。なお、図7〜9等においては、第一感光性樹脂層13のうちの硬化済みの部分(硬化部分13C)と未だ硬化していない部分(未硬化部分13U)とを、色分け表示している。本実施形態では、第一基材フィルム11を剥離せずに導電層12の表面に配置したままで第一感光性樹脂層13を露光するので、仮に空気環境下であったとしても、酸素の影響を小さくすることができる。よって、第一感光性樹脂層13の露光部分を硬化させやすいという利点がある。第一露光工程で形成される硬化部分13Cは、最終的に、第一絶縁層32のうち第一電極33に接する部分となる(図9を参照)。
電極形成工程における第二露光工程は、第一露光工程後の積層体に対して第二の露光を行う工程である。図7に示すように、第二露光工程では、正面側又は背面側のいずれから露光する。また、本実施形態では、第二露光工程では、第一基材フィルム11を剥離して導電層12を露出させた状態で、背面側から活性光線Lを照射する。本実施形態では、第二露光工程は、空気中で(酸素の存在下で)行われる。
第二露光工程では、活性光線Lを照射することで、第一感光性樹脂層13を露光する。これにより、第一感光性樹脂層13のうち活性光線Lに露光した部分を硬化させることができる(図8を参照)。
本実施形態では、酸素の存在下、第一基材フィルム11を剥離してから第二の露光を行うので、第一感光性樹脂層13における露出側の表層部分において、光重合開始剤から生じる反応種をその近傍に存在する酸素によって失活させることができる。よって、第一感光性樹脂層13における導電層12側の表層部分に未硬化部分13Uを設けることができる(図8を参照)。つまり、第一露光工程の完了時における未硬化部分13Uのうち、第二露光工程において追加で硬化される硬化部分13Cを、第一感光性樹脂層13における第一基板20側(導電層12とは反対側)の深層部分のみとすることができる。なお、第二露光工程で形成される硬化部分13Cは、最終的に、第一絶縁層32のうち第一電極33が形成されない部分となる(図9を参照)。これにより、操作領域Oにおいて、第一電極33が形成された領域とそれ以外の領域との段差を小さくすることができる。よって、第一電極33のパターン見えが生じるのを有効に抑制することができる。
電極形成工程における第一現像工程は、第二露光工程後の積層体に対して現像処理を行う工程である。図9に示すように、現像工程では、第一感光性樹脂層13を現像して、第一電極33をパターニングする。現像工程は、例えば現像液を用いたウェット現像により行うことができる。具体的には、まず、第一感光性樹脂層13の化学的性質に応じた現像液を準備する。例えばアルカリ現像を行う場合には、現像液として炭酸ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、アルカリエチルアミノエタノール、水酸化テトラメチルアンモニウム、ジエタノールアミン等を用いることができる。また、例えば有機現像を行う場合には、現像液としてN−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等の極性溶媒を用いることができる。これらの極性溶媒は、単独で用いても良いし、水、メタノール、エタノール等のその他の溶媒と組み合わせて用いても良い。また、現像方法は、例えばスプレー法、ディップ法、パドル法等によって行うことができる。
第一現像工程では、第二露光工程の完了後もなお未硬化のまま残っている第一感光性樹脂層13の未硬化部分13Uが除去される。すなわち、操作領域Oにおける第一電極33以外の部分の表層部分と、非操作領域Nにおける全ての表層部分とが除去される。これにより、所定のパターンを有する第一電極33が、第一絶縁層32介して第一基板20上に形成される。上述したように、第一電極33が形成された領域とそれ以外の領域との段差は、非常に小さい。
このように、本実施形態では、被着工程、第一露光工程、第二露光工程、及び第一現像工程を含む電極形成工程で、フォトリソグラフィ法によって第一電極33を形成する。すなわち、第一基板20上に設けられた第一感光性樹脂層13と導電層12との積層体からなる第一感光層14が、第一マスク71を介してと、及び第一マスク71を介さずとの2回に分けて露光され、その後、現像される。
本実施形態では、PAS層隔壁形成工程はさらに、第二被着工程(図10を参照)と、第三露光工程(図11を参照)と、第二現像工程(図13を参照)とを含むが、これらは、第一被着工程、第一露光工程、第二露光工程及び第二現像工程を含む電極形成工程と共通する部分も多く、当該共通部分に関しては、以下では、詳細な説明を省略する。
PAS層隔壁形成工程における第二被着工程は、第二基材フィルム81上に第二感光性樹脂層83が設けられた第二感光フィルム80と、電極形成工程により第一電極33の形成された第一基板20とを被着させる工程である。本実施形態では、第二感光フィルム80も、その取り扱いの容易化を図るため、当初、第二感光性樹脂層83上に第二セパレータ86が設けられている(図示せず)。図10に示すように、第二被着工程では、第二感光フィルム83から第二セパレータ86を剥離して、第二感光性樹脂層83を露出させる。そして、第二感光フィルム80を、露出した第二感光性樹脂層83側から第一基板20の第一電極33を有する面に被着させる。例えば、加熱しながら圧着(熱ラミネート)することにより、第二感光フィルム80を第一電極33の形成された第一基板20に被着させる。
第二感光性樹脂層83は、第一PAS層62及び第二PAS層82の基となる層である。第二感光性樹脂層83も、ネガ型及びポジ型のいずれのタイプを用いることもできる。本実施形態では、ネガ型の感光性樹脂層を用いる。第二感光性樹脂層83は、上述した第一感光性樹脂層13と同様の材料を用いて構成することができる。
第二基材フィルム81及び第二セパレータ86は、上述した第一基材フィルム11や第一セパレータ16と同様の材料(例えばポリエチレンテレフタレート等)を用いて構成することができる。
PAS層隔壁形成工程における第三露光工程は、第二被着工程後の積層体に対して第三の露光を行う工程である。図11に示すように、第三露光工程では、第二基材フィルム81よりも正面側に第二マスク(第二フォトマスク)72を配置した状態で、第二基材フィルム81側から露光する。具体的には、まず、第二感光性樹脂層83上に第二マスク72を位置決めして固定する。第二マスク72は、第一引き回し配線38の平面視での全体形状(図1を参照)に対して相補的な第一引き回し配線形成パターンを有している。言い換えれば、第二マスク72は、第一引き回し配線38の平面視での全体形状に対応する遮光部を有している。なお、第二マスク72には、第一引き回し配線38に対応する遮光部以外の遮光部は形成されておらず、第一電極33の配置領域は、第二マスク72によっては覆われていない。
第三露光工程では、第二マスク72を通して活性光線Lを画像状に照射することで、第一引き回し配線38の平面視形状に相補的なパターンで第二感光性樹脂層83を露光する。これにより、第二感光性樹脂層83のうち活性光線Lに露光した第一引き回し配線38の配設予定領域S(図14を参照)以外の部分を硬化させるとともに、配設予定領域Sに対応する部分を未硬化のまま維持させることができる(図12を参照)。
なお、図7〜図14等においては、第二感光性樹脂層83のうちの硬化済みの部分(硬化部分83C)と未だ硬化していない部分(未硬化部分83U)とを、斜線の種類を変更して表示している。本実施形態では、第二基材フィルム81を剥離せずに第二感光性樹脂層83を露光するので、仮に空気環境下であったとしても、酸素の影響を小さくすることができる。よって、第二感光性樹脂層83の露光部分を硬化させやすいという利点がある。
操作領域O(図1を参照)において、第三露光工程で形成される硬化部分83Cは、最終的に、第一電極33を保護する第一PAS層62となる(図13を参照)。また、非操作領域N(図1を参照)において、第一引き回し配線38の配設予定領域S以外の部分に形成される硬化部分83Cは、最終的に、第一引き回し配線38の配設予定領域Sの両側に配置される第一隔壁35となる(図13を参照)。この意味で、上述した第二マスク72は、第一隔壁35の平面視での全体形状に対応する第一隔壁形成パターンを有しているとも言える。
PAS層隔壁形成工程における第二現像工程は、第三露光工程後の積層体に対して現像処理を行う工程である。図13に示すように、第二現像工程では、第二感光性樹脂層83を現像して、第一PAS層62を形成するとともに第一隔壁35をパターニングする。第二現像工程は、上述した電極形成工程における第一現像工程と同様の現像液、現像方法を用いて構成することができる。
第二現像工程では、第三露光工程の完了後もなお未硬化のまま残っている第二感光性樹脂層83の未硬化部分83Uが除去される。すなわち、非操作領域Nにおける第一引き回し配線38の配設予定領域Sの全層が除去される。これにより、第一PAS層62の形成に合わせて、所定のパターンを有する第一隔壁35が上述の電極形成工程により第一電極33の形成された第一基板20上に形成される。このとき、第一PAS層62は操作領域O全体を覆い、第一隔壁35は非操作領域Nにパターニングされる。なお、本実施形態では、第一隔壁35は断面長方形状に形成される。
このように、本実施形態では、第二被着工程、第三露光工程、及び第二現像工程を含むPAS層隔壁形成工程で、フォトリソグラフィ法によって第一PAS層62を形成するのに合わせて、第一隔壁35も形成される。その結果、第二感光性樹脂層83を主体としてなる第一PAS層62と、第二感光性樹脂層83を主体としてなり第一引き回し配線38の配設予定領域Sの両側に配置される複数の第一隔壁35とが、部分的に共通化された工程で形成される。本実施形態では、微細配線形成能に優れたフォトリソグラフィ法を利用するので、第一隔壁35の幅や、互いに隣接する第一隔壁35どうしの間隔を、非常に小さく形成することができる。例えば10μm〜50μm程度、好ましくは20μm〜30μm程度の幅及び間隔を実現することができる。もちろん、50μm以上の幅及び間隔で第一隔壁35が形成されても良いことは言うまでもない。
配線形成工程は、第一電極33と第一PAS層62と第一隔壁35とが形成された第一基板20上に第一引き回し配線38を形成する工程である。本実施形態では、吐出印刷法によって第一引き回し配線38を形成する。具体的には、インクジェット印刷法によって第一引き回し配線38を形成する。図14に示すように、配線形成工程では、吐出装置(本例ではインクジェット装置)75を用いて、吐出ノズル76から導電性インク77の液滴を吐出させる。
導電性インク77は、導電性粒子と、この導電性粒子を分散させる分散媒とを含む分散液からなる。導電性粒子としては、例えば金、銀、銅、ニッケル、及びパラジウム等の金属又はカーボン等の微粒子を例示することができる。導電性粒子の粒径は、例えば1nm〜100nmとすることができる。本例では、導電性インク77は、導電性粒子として銀ナノ粒子を含む。なお、導電性粒子は、その表面が有機物等でコーティングされていても良い。分散媒としては、例えば水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物、極性化合物等を例示することができる。これらは、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上の混合分散媒であっても良い。
導電性インク77の粘度は、吐出ノズル76での目詰まりを抑制する観点から、50mPa・s以下であることが好ましい。また、本実施形態では、例えば1mPa・s〜10mPa・s程度の低粘度の導電性インク77を用いることも可能である。導電性インク77の液滴を吐出するインクジェットの方式としては、例えば加圧振動方式、帯電制御方式、電気機械変換方式、電気熱変換方式、静電吸引方式等を例示することができる。インクジェット法により吐出される導電性インク77の量は、一滴当たり、例えば1pL〜300pLとすることができる。吐出印刷(本例ではインクジェット印刷)は、オンデマンド性が高く、しかも、必要最小限の材料を用いて、対象部材上に高い位置精度で所望量の材料を適切に配置することができるという利点を有する。
導電性インク77の液滴は、第一基板20における、第一引き回し配線38の配設予定領域Sに吐出される。また、導電性インク77の液滴は、互いに隣接する第一隔壁35どうしの間に区画される溝部36に吐出される。このとき、第一隔壁35は、溝部36に吐出される導電性インク77をせき止めるための一種の“堰”として機能する。このため、導電性インク77が吐出印刷法に適した低粘度インクであったとしても、導電性インク77は第一隔壁35によってせき止められ、導電性インク77の滲みは第一隔壁35を越えては生じない。つまり、吐出された導電性インク77の幅は、互いに隣接する第一隔壁35どうしの間隔に一致するように規制される。
その後、第一基板20上に第一絶縁層32を介して配置された導電性インク77を乾燥させて、導電性インク77に含まれる分散媒を蒸発させる。分散媒の蒸発は、例えばホットプレート、オーブン、光源、熱風等を利用した加熱法によって行うことができる。これにより、第一絶縁層32上の配設予定領域Sに導電性インク77を構成する導電性粒子が配置され、第一引き回し配線38が形成される。
上記の説明から明らかなように、第一引き回し配線38の線幅は、互いに隣接する第一隔壁35どうしの間隔に一致する。また、互いに隣接する第一引き回し配線38どうしの間隔(線間距離)は、第一隔壁35の幅に一致する。よって、吐出印刷法によって第一引き回し配線38を形成するにもかかわらず、その線幅を例えば20μm〜30μm程度に抑えることができる。また、線間距離を例えば20μm〜30μm程度に抑えることができる。つまり、“L/S(線幅/線間距離)=20/20〜30/30”程度の微細配線形成を達成することができる。もちろん、タッチパネル1に要求される仕様に応じて、L/S=30/30以上であっても良いことは言うまでもない。
このとき、PAS層隔壁形成工程において、常法に従って第一義的に形成される第一PAS層62と、本実施形態において追加的に形成される第一隔壁35とが、部分的に共通化された工程で形成される。つまり、第一PAS層62を形成するための膜形成工程を利用して、それに合わせて、その後の配線形成工程において“堰”として機能することになる第一隔壁35が形成される。このため、そのような機能を有する第一隔壁35を形成するために必要な追加工程が最小限で済む。
第一基板20上に第一絶縁層32を介して第一隔壁35が形成された後は、吐出印刷法を利用して、実質的に単一工程からなる配線形成工程で、第一引き回し配線38を形成することができる。このとき、微細配線形成能に優れたフォトリソグラフィ法による第一隔壁35の形成と、高い位置精度での印刷が可能なインクジェット印刷法による第一引き回し配線38の形成との組み合わせにより、上述したように微細な配線形成が可能となっている。なお、第一PAS層62の形成とは別に、別途、フォトリソグラフィ法を利用して第一引き回し配線38を形成しても、同様に微細な配線形成は可能である。しかし、そのような方法では、第一引き回し配線38を形成するための工程数が増大してしまう。これに対して、本実施形態に係る製造方法は、微細な配線形成が可能でありながら、第一引き回し配線38の形成のための工程数を低減することができ、非常に低コストである。
本実施形態に係るタッチパネル1は、上述のようにして第一電極33等が形成された第一基板20と、同様にして第二電極53等が形成された第二基板40とが、重ね合わされて製造される(図15を参照)。なお、図15は、外部接続端子60を除く部分の分解斜視図である。本実施形態に係るタッチパネル1は、第一基板20と、第一基板20上に第一絶縁層32を介して設けられた複数の第一電極33と、第一絶縁層32及び第一電極33上に設けられた第一PAS層62と、第一基板20の周縁部に第一絶縁層32を介して設けられ、複数の第一電極33にそれぞれ接続された複数の第一引き回し配線38とを備える。また、タッチパネル1は、第二基板40と、第二基板40上に第二絶縁層52を介して設けられた複数の第二電極53と、第二絶縁層52及び第二電極53上に設けられた第二PAS層82と、第二基板40の周縁部に第二絶縁層52を介して設けられ、複数の第二電極53にそれぞれ接続された複数の第二引き回し配線58とを備える。なお、図15の分解斜視図では、第一PAS層62及び第二PAS層82で覆われる第一電極33及び第二電極53の様子がわかるように、第一PAS層62及び第二PAS層82の一部を省略して描いている。
このような構成において、本実施形態に係るタッチパネル1は、以下の点によって特徴付けられる。第一に、PAS層62,82と一体的に形成されているとともに、基板20,40の周縁部において引き回し配線38,58の線幅に応じた間隔を隔てて配置された複数の隔壁35,55をさらに備える。第二に、複数の第一引き回し配線38が、第一絶縁層32上かつ互いに隣接する第一隔壁35どうしの間の溝部36に配置され、複数の第二引き回し配線58が、第二絶縁層52上かつ互いに隣接する第二隔壁55どうしの間の溝部56に配置されている。
このような構成を備えたタッチパネル1によれば、引き回し配線38,58の配置領域(非操作領域N)の小型化を図ることができる。上述したように、L/S=20/20〜30/30程度を達成することも可能である。また、この場合であっても、隔壁35,55の存在によって、互いに隣接する引き回し配線38,58どうしの間の沿面距離(介在する部材の表面に沿った最小距離)を大きく確保することができる。よって、引き回し配線38,58を構成する導電性粒子のマイグレーションによる絶縁不良の発生を抑制することができる。従って、そのような不具合の発生を抑制しつつ、限られた大きさの領域に引き回し配線38,58を集約して配置することができる。
また本実施形態では、両側に隔壁35,55が存在するため、引き回し配線38,58の厚み(上下方向の厚み)を大きくすることができる。よって、線幅が狭い場合であっても、引き回し配線38,58の断面積を所定以上の大きさに確保することができ、抵抗値を小さく抑えることができる。引き回し配線38,58の厚みは、例えば隔壁35,55の高さの50%〜110%に設定することができる。抵抗値の低減と沿面距離の確保とをバランス良く達成する観点からは、例えば隔壁35,55の高さの70%〜90%が好ましい。また、第一引き回し配線38が第一PAS層62表面よりも下側に設けられ、かつ、その厚みが第一隔壁35の高さよりも小さければ、2つの基板20,40を重ねて接着する際に溝部36に混入し得る気泡を、第一引き回し配線38の位置に留まらせることができる。つまり、その後、気泡が操作領域Oまで移動することを抑制することができ、表示装置の視認性を良好に維持することができる。
図16に示すように、本実施形態では、第一引き回し配線38は、対応する第一電極33との接続部38aとは低段差である第一絶縁層32上に形成される。よって、第一引き回し配線38は、接続部38aの近傍領域Vにおいて、他の領域と同様に一律の厚みを有するように形成されている。なお、第二引き回し配線58に関しても同様である(図15を参照)。
なお、本実施形態では、第一現像工程において、操作領域Oにおける第一電極33以外の部分の感光性樹脂層13の表層部分が除去され、最終的に第一絶縁層32に形成される窪み部分には、ITO等の導電性材料は配置されない。このため、例えばタッチパネル1が互容量方式である場合には、第一電極33と第二電極53との間の相互容量が影響を受けることがない。よって、透明性に優れ、かつ、高精度なタッチパネル1を実現することができる。
〔第二の実施形態〕
本発明に係るタッチパネル及びその製造方法の第二の実施形態について、図面を参照して説明する。図17に示すように、本実施形態に係るタッチパネル1は、第二基板40(図2を参照)を備えていない点で、上記第一の実施形態とは異なる。また、それに付随して、タッチパネル1の製造方法も上記第一の実施形態とは一部異なる。そこで以下では、主に上記第一の実施形態との相違点について説明する。なお、特に明記しない点に関しては、上記第一の実施形態と同様とする。
本発明に係るタッチパネル及びその製造方法の第二の実施形態について、図面を参照して説明する。図17に示すように、本実施形態に係るタッチパネル1は、第二基板40(図2を参照)を備えていない点で、上記第一の実施形態とは異なる。また、それに付随して、タッチパネル1の製造方法も上記第一の実施形態とは一部異なる。そこで以下では、主に上記第一の実施形態との相違点について説明する。なお、特に明記しない点に関しては、上記第一の実施形態と同様とする。
本実施形態では、第二引き回し配線58は、第一引き回し配線38と共に第一基板20に設けられている(図22を参照)。第二引き回し配線58は、複数の第一電極33の配置領域(操作領域O)に対してY軸方向に隣接する領域において、概ね、X軸方向に沿って互いに平行に延びるように形成されている。このため、PAS層隔壁形成工程で用いる第二マスク72は、第一引き回し配線38及び第二引き回し配線58の両方を合わせた平面視形状(図1を参照)に対して相補的な引き回し配線形成パターンを有している。言い換えれば、第二マスク72は、第一引き回し配線38及び第二引き回し配線58の両方を合わせた平面視形状に対応する遮光部を有している。さらに言い換えれば、第二マスク72は、第一隔壁35及び第二隔壁55の両方を合わせた平面視形状に対応する隔壁形成パターンを有している。このため、1層目についてのPAS層隔壁形成工程(第1のPAS層隔壁形成工程)では、第一基板20上に第一隔壁35と共に第二隔壁55が同時に形成される。
その後、本実施形態では、第1のPAS層隔壁形成工程による結果物に対して、2層目についての電極形成工程(第2の電極形成工程)が実行される。より具体的には、まず、第1のPAS層隔壁形成工程で形成された第一PAS層62上に、直接的に2層目の感光フィルム10が被着される(図18を参照)。感光フィルム10は、露出した感光性樹脂層13側から第一PAS層62の露出した上面に被着される。その後、図18に示すように、感光性樹脂層13上に第二電極53の平面視形状に対応する第二電極形成パターンを有する第三マスク73を位置決めした状態で、基材フィルム11よりも正面側から活性光線Lを照射する。その後、図19に示すように、基材フィルム11を剥離して導電層12を露出させた状態で、活性光線Lを照射する。活性光線Lの照射は、図19のように正面側から行っても良いし、背面側から行っても良い。その後、2層目についての現像工程を行うことで、所定のパターンを有する第二電極53が、第二絶縁層52を介して第一電極33上に形成される(図20を参照)。
その後、図21に示すように、第一基板20上に第一絶縁層32を介して形成された第一隔壁35どうしの間の溝部36、及び第二隔壁55どうしの間の溝部56(図22を参照)に、吐出装置75を用いて導電性インク77の液滴を吐出させる。その後、導電性インク77を乾燥させることで、第一引き回し配線38及び第二引き回し配線58が形成される。
本実施形態に係るタッチパネル1でも、上記第一の実施形態と同様に、引き回し配線38,58を構成する導電性粒子のマイグレーションによる絶縁不良の発生が抑制され、かつ、それらの配置領域(非操作領域N)が有効に小型化される。また、本実施形態では、上記第一の実施形態に比べて第二基板40が省略されるので、タッチパネル1の全体の薄型化を図ることができるという利点もある。
本実施形態では、第二引き回し配線58は、対応する第二電極53との接続部58aの近傍領域Vにおいて、接続部58aに近づくに従って厚くなるように形成されている(図22参照)。本実施形態では、所望量の導電性インク77を高い位置精度で吐出可能なインクジェット法を利用して引き回し配線58を形成するので、そのような厚み設定を容易に実現することができる。引き回し配線58の厚みは、図22のように一律の傾きで次第に変化しても良いし、階段状となるように段階的に変化しても良い。このようにすれば、引き回し配線58と対応する電極53との接続箇所における電気的接続の確実性を長期に亘って維持することができる。よって、タッチパネル1としての信頼性を高めることができる。
〔第三の実施形態〕
本発明に係るタッチパネル及びその製造方法の第三の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係るタッチパネル1は、引き回し配線38,58の3次元的な配設位置が、上記第一の実施形態とは異なる。また、それに付随して、タッチパネル1の製造方法も上記第一の実施形態とは一部異なる。そこで以下では、主に上記第一の実施形態との相違点について説明する。なお、特に明記しない点に関しては、上記第一の実施形態と同様とする。
本発明に係るタッチパネル及びその製造方法の第三の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係るタッチパネル1は、引き回し配線38,58の3次元的な配設位置が、上記第一の実施形態とは異なる。また、それに付随して、タッチパネル1の製造方法も上記第一の実施形態とは一部異なる。そこで以下では、主に上記第一の実施形態との相違点について説明する。なお、特に明記しない点に関しては、上記第一の実施形態と同様とする。
図23に示すように、本実施形態では、互いに隣接する一対の配設予定領域Sに注目した場合に、一方の配設予定領域Sと他方の配設予定領域Sとが、隙間を隔てることなく互いに接するように設計されている。そして、一方の配設予定領域Sと、他方の配設予定領域Sに対応する一対の第一隔壁35のうちの1つとが、平面視で互いに重なる位置関係となるように設計されている。つまり、互いに接しつつ並ぶ複数の配設予定領域Sに1つおきに第一隔壁35が形成され、互いに隣接する第一隔壁35どうしの間の領域だけでなく、それぞれの第一隔壁35が占める領域も、配設予定領域Sとなっている。
本実施形態では、配線形成工程において、互いに隣接する第一隔壁35どうしの間に区画される溝部36だけでなく、第一隔壁35上にも導電性インク77を吐出させる。そして、互いに隣接する第一隔壁35どうしの間だけでなく、第一隔壁35上にも第一引き回し配線38を形成する。このようにすれば、第一基板20の延在方向に沿って互いに隣接する第一引き回し配線38どうしの平面視での線間距離を実質的にゼロとすることができる。すなわち、“L/S=20/0〜30/0”等の極微細配線形成を達成することが可能となる。よって、第一引き回し配線38の配置領域(非操作領域N)を大幅に小型化することができる。なお、第二引き回し配線58に関しても同様である。
本実施形態に係るタッチパネル1は、第一基板20と、第一基板20上に第一絶縁層32を介して設けられた複数の第一電極33と、第一基板20の第一電極33を有する面上に設けられた第一PAS層62と、第一基板20の周縁部に設けられ、複数の第一電極33にそれぞれ接続された複数の第一引き回し配線38とを備える。また、第二基板40と、第二基板40上に第二絶縁層52を介して設けられた複数の第二電極53と、第二基板40の第二電極53を有する面上に設けられた第二PAS層82と、第二基板40の周縁部に設けられ、複数の第二電極53にそれぞれ接続された複数の第二引き回し配線58とを備える。このような構成において、本実施形態に係るタッチパネル1は、互いに隣接する第一引き回し配線38どうしが上下方向の異なる位置に配置され、及び/又は、互いに隣接する第二引き回し配線58どうしが上下方向の異なる位置に配置されている点によって特徴付けられる。
このような構成は、具体的には、第一PAS層62と一体的に形成された複数の第一隔壁35と、第二PAS層82と一体的に形成された複数の第二隔壁55とを利用して実現される。複数の第一隔壁35は、第一基板20の周縁部において第一引き回し配線38の線幅に応じた間隔を隔てて配置され、複数の第二隔壁55は、第二基板40の周縁部において第二引き回し配線58の線幅に応じた間隔を隔てて配置されている。そして、複数の第一引き回し配線38が、第一絶縁層32上かつ互いに隣接する第一隔壁35どうしの間と、第一隔壁35上と、に交互に配置されている。また、複数の第二引き回し配線58が、第二基板40の延在方向に沿って、第二絶縁層52上かつ互いに隣接する第二隔壁55どうしの間と、第二隔壁55上と、に交互に配置されている。このような構成でも、第一引き回し配線38間の空間距離及び沿面距離や、第二引き回し配線58間の空間距離及び沿面距離を確保できるので、マイグレーションによる絶縁不良の発生を抑制することができる。
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係るタッチパネル及びその製造方法の、その他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。同様に、上記の各実施形態で開示された個々の構成どうしを、矛盾が生じない範囲内で適宜組み合わせることも可能である。
最後に、本発明に係るタッチパネル及びその製造方法の、その他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。同様に、上記の各実施形態で開示された個々の構成どうしを、矛盾が生じない範囲内で適宜組み合わせることも可能である。
(1)上記の各実施形態では、第一隔壁35及び第二隔壁55が、断面長方形状に形成される構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば一隔壁35及び第二隔壁55の少なくとも一方が、断面台形状に形成されても良い。第一隔壁35の断面形状は、例えば、第一絶縁層32との接合面の幅に比べて上面の幅の方が大きい逆台形状とすることができる。このような断面逆台形状の第一隔壁35とすることで、マイグレーションによる絶縁不良の発生をさらに有効に抑制することができる。また、上記第三の実施形態のように第一隔壁35上にも第一引き回し配線38を形成する場合には、互いに隣接する第一引き回し配線38どうしが、平面視で一部重なるように配置される。よって、第一引き回し配線38の配置領域(非操作領域N)をさらに小型化することができる。さらに、エッジ効果により、吐出される導電性インク77を第一隔壁35上に多く貯留できる。よって、第一隔壁35上に配置される第一引き回し配線38の上下方向の厚みを大きくできるので、抵抗値を小さく抑えることができる。なお、第二隔壁55に関しても同様である。このような断面逆台形状の隔壁35,55は、第三露光工程において、背面側から散乱性の活性光線Lを照射することによって形成することができる。もちろん、隔壁35,55の断面形状は、絶縁層32,52との接合面の幅に比べて上面の幅の方が小さい正台形状であっても良い。
(2)上記の各実施形態で説明した各タッチパネル1において、例えば、第一引き回し配線38及び第一隔壁35を覆う保護層がさらに設けられても良い。保護層を構成する材料としては、例えばカーボン、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂、ニトロセルロース樹脂等を例示することができる。これらの中では、保護層として、カーボン保護層を好ましく用いることができる。このような保護層を備えることで、マイグレーションによる絶縁不良の発生をさらに有効に抑制することができる。なお、保護層は、第二引き回し配線58及び第二隔壁55を覆うようにさらに設けられても良い。
(3)上記第三の実施形態では、第一基板20の延在方向に沿って互いに隣接する第一引き回し配線38どうしが、上下方向の異なる2ヵ所の位置に配置された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、互いに隣接する第一引き回し配線38どうしが、3段階以上に分かれて、上下方向の異なる位置に配置されても良い。第二引き回し配線58に関しても同様である。
(4)上記の各実施形態では、第一電極33等が形成された第一基板20に対して、第一電極33等が形成された側に第二電極53等が配置されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、第一電極33等が形成された第一基板20と第二電極53等が形成された第一基板40とを、基板20、40どうしを背中合わせにして配置することもできる(図25参照)。或いは、タッチパネルが、第二基板40を備えることなく、第一基板20の片面に第一電極33等が形成され、第一電極33等が形成された側とは反対側の面に第二電極53等が形成された両面構成をとってもよい(図26参照)。
ところで、図25、図26に示すような透明基板を中心として、その両面に電極及び引き回し配線を設ける構成では、フォトリソグラフィ法にて感光性樹脂層の硬化パターンをする際に、片面ずつ感光性樹脂層の形成、露光、現像などの工程を経るため、製造工程が煩雑となる。両面同時に露光、現像を行なえれば良いのであるが、透明基板の一方の面側から照射された光のうち、感光性樹脂層に吸収されなかった光が、透明基板の他方の面側の感光性樹脂層に光が到達するため、、基板の両面に異なるパターンの感光性樹脂層を同時に形成することはできない。
そこで、両面同時露光を行なう場合には、基板20、40を光を吸収する層とするとよい。基板20、40を光を吸収する層とすることにより、透明基板の一方の面側から照射された光のうち、感光性樹脂層に吸収されなかった光が、透明基板の他方の面側の感光性樹脂層に光が到達することを防止することができる。光を吸収するために用いられる光吸収材料としては、紫外線吸収剤や紫外線吸収機能を有する樹脂などが挙げられ、透明基板に紫外線吸収剤を添加させたり、透明基板を構成する樹脂と紫外線吸収機能を有する樹脂とを共重合させたりすることができる。
紫外光を吸収するために用いられる光吸収材料としては、紫外線吸収剤や紫外線吸収機能を有する樹脂などが挙げられ、透明基板層に紫外線吸収剤を添加させたり、透明基板層を構成する樹脂と紫外線吸収機能を有する樹脂とを共重合させたりすることができる。
透明基板20、40に含有される紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、サリシレート系、トリアジン系、シアノアクリルレート系などが挙げられる。具体的には、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールなどやこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体などが挙げられる。また、例えばトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジンなどやこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また、複数を混合して使用してもよい。
また、紫外線吸収機能を有する樹脂は、上記で挙げたベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、サリシレート系、トリアジン系、シアノアクリルレート系などの非反応性紫外線吸収剤に、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基などの重合性二重結合を有する官能基や、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基などを導入したものである。これらの樹脂と、透明基板層20、40に含有される樹脂を共重合させて紫外線吸収機能を有する透明基板として用いることができる。
上記で挙げた光吸収材料は、単独で用いるだけでなく複数組み合わせて用いてもよい。例えば、吸収できる光の波長が異なる複数の光吸収材料を用いることで、広い波長領域で不要な光を吸収することができる。光吸収材料の含有量は、透明基板層20、40の一方の面の感光性樹脂層に吸収されなかった光が他方の面の感光性樹脂層に到達することを防止できれば特に限定されない。
(5)上記の各実施形態で説明した各タッチパネル1において、例えば図24に示すように、第一絶縁層32における第一電極33が形成されていない窪み部分に、ダミー電極34がさらに設けられても良い。ダミー電極34は、第一電極33と同様の形状及び配列を有するけれども、外部の演算処理装置には接続されない(演算処理装置とは独立して設けられる)ダミーの電極である。ダミー電極34は、第一電極33と同じ材料を用いて構成されていることが好ましい。ダミー電極34は、適当なパターンを有する第一マスク71を用いて、電極形成工程の実行時に、第一電極33と共にフォトリソグラフィ法によって形成することができる。或いは、ダミー電極34は、電極形成工程(現像工程)の後に、例えば吐出法によって形成することができる。このようなダミー電極34を設けることで、互いに同じ材料で構成される第一電極33及びダミー電極34によって操作領域Oの全体が覆われるので、第一電極33のパターン見えが生じるのをさらに有効に抑制することができる。なお、同様に、第二絶縁層52における第二電極53が形成されていない窪み部分に、ダミー電極54がさらに設けられても良い。このようにすれば、第二電極53のパターン見えが生じるのをさらに有効に抑制することができる。
(6)上記の各実施形態で説明した各タッチパネル1において、例えば、第一絶縁層32及び第一電極33がメッシュ状に設けられても良い。すなわち、第一基板20の上に第一絶縁層32がメッシュ状に設けられ、メッシュ状の第一絶縁層32のそれぞれの凸部分に第一電極33が設けられていても良い。このようにすれば、第一基板20の上に、第一絶縁層32及び第一電極33が形成されていない部分が操作領域Oの全域に亘って略均等に存在することになるので、操作領域Oの透明性を向上させることができる。これにより、タッチパネル1の視認性を向上させることができる。なお、第二絶縁層52及び第二電極53についても、同様に、第二基板40の上にメッシュ状に設けられていても良い。このようにすれば、操作領域Oの透明性をさらに向上させることができ、タッチパネル1の視認性をさらに向上させることができる。
(7)上記の各実施形態では、導電層12を有する第一感光フィルム10を用いてタッチパネル1を製造する例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、導電層12を有さずに基材フィルム11と第一感光層14(第一感光性樹脂層13)とからなる第一感光フィルム10を用いてタッチパネル1を製造しても良い。この場合、上記の各実施形態と同様にして凸状部と凹状部とを有する第一絶縁層32を形成した後、例えば吐出法により、凸状部に第一電極33を形成しても良い。第二電極53の形成に関しても、同様である。
(8)上記の各実施形態では、第一絶縁層32及び第一電極33、並びに第二絶縁層52及び第二電極53を、第一感光フィルム10を用いてフォトリソグラフィ法によって形成する例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。第一絶縁層32及び第一電極33、及び/又は、第二絶縁層52及び第二電極53を、例えば吐出法によって形成しても良い。
(9)上記の各実施形態では、ネガ型の感光性樹脂層13,83を含む感光フィルム10,80を用いる例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、ポジ型の感光性樹脂層13,83を含む感光フィルム10,80を用いても良い。この場合、第一マスク71はポジ型の感光特性に応じた電極形成パターンを有するように形成され、第二マスク72はポジ型の感光特性に応じた隔壁形成パターンを有するように形成される。
(10)上記の各実施形態では、第一露光工程及び第三露光工程において、第一マスク71及び第二マスク72を介してパターン露光を行う例(マスク露光法)について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、レーザ露光法等を用いた直接描画法によってパターン露光を行っても良い。或いは、電極形成工程及びPAS層隔壁形成工程において、第一〜第三露光工程、及び現像工程に代えて、レーザ照射によって直接的に電極33,53や隔壁35,55等のパターニングを行っても良い。
(11)上記(5)の実施形態では、第一絶縁層32における第一電極33が形成されていない窪み部分に、ダミー電極34がさらに設けられているが、ダミー電極の代わりに第二電極53の菱形電極が設けられていても良い。上記の各実施形態と同様に、複数(本例では4つ)の第二電極53は、それぞれ、X軸方向に交差(本例では直交)するY軸方向に沿って並んで配置された複数(本例では6つ)の菱形電極がY軸方向に互いに接続されている(片面XY構成)。この場合、適当なパターンを有する第一マスク71を用いて、電極形成工程の実行時に、第一電極33と共にフォトリソグラフィ法によって第二電極53の菱形電極を形成し、その後、ブリッジにてY軸方向に互いに接続することができる。或いは、第二電極53は、電極形成工程(現像工程)の後に、例えば吐出法によって形成することができる。この場合、第二基板40及び第二基板40に対して行なわれる各工程が不要となる。
(12)上記の各実施形態では、第三露光工程において、第二被着工程で被着した第二感光フィルム80よりも正面側に第二マスク72を配置した状態で正面側から露光する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、第一基板20よりも背面側に第二マスク72を配置した状態で、背面側から露光しても良い。
(13)上記の各実施形態では、各現像工程において、現像液を用いてウェット現像を行う例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、酸素プラズマ等の現像ガスとの接触によって現像処理するドライ現像を行っても良い。
(14)本発明に係るタッチパネル及びその製造方法の適用対象としては、上記の各実施形態で言及した多機能携帯電話や携帯ゲーム機に限定されない。これ以外にも、例えばタブレット、従来型携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯音楽プレイヤー、車載用ナビゲーション装置、PND(Portable Navigation Device)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等にも、本発明を適用可能である。
(15)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。従って、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
本発明は、例えば携帯用電子機器に備えられるタッチパネルに利用することができる。
1 :タッチパネル
10 :第一感光フィルム
11 :第一基材フィルム
14 :第一感光層
12 :導電層
13 :第一感光性樹脂層
20 :第一基板(基板)
32 :第一絶縁層(絶縁層)
33 :第一電極(電極)
35 :第一隔壁(隔壁)
36 :溝部
38 :第一引き回し配線(引き回し配線)
38a :接続部
40 :第二基板(基板)
52 :第二絶縁層(絶縁層)
53 :第二電極(電極)
55 :第二隔壁(隔壁)
56 :溝部
58 :第二引き回し配線(引き回し配線)
58a :接続部
62 :第一PAS層
71 :第一マスク
72 :第二マスク
77 :導電性インク
80 :第二感光フィルム
81 :第二基材フィルム
84 :第二感光層
83 :第二感光性樹脂層
82 :第二PAS層
N :非操作領域
S :配設予定領域
V :近傍領域
10 :第一感光フィルム
11 :第一基材フィルム
14 :第一感光層
12 :導電層
13 :第一感光性樹脂層
20 :第一基板(基板)
32 :第一絶縁層(絶縁層)
33 :第一電極(電極)
35 :第一隔壁(隔壁)
36 :溝部
38 :第一引き回し配線(引き回し配線)
38a :接続部
40 :第二基板(基板)
52 :第二絶縁層(絶縁層)
53 :第二電極(電極)
55 :第二隔壁(隔壁)
56 :溝部
58 :第二引き回し配線(引き回し配線)
58a :接続部
62 :第一PAS層
71 :第一マスク
72 :第二マスク
77 :導電性インク
80 :第二感光フィルム
81 :第二基材フィルム
84 :第二感光層
83 :第二感光性樹脂層
82 :第二PAS層
N :非操作領域
S :配設予定領域
V :近傍領域
Claims (7)
- 基板と、前記基板に設けられた電極と、前記基板の前記電極を有する面上に設けられたPAS層と、前記電極に接続された引き回し配線と、を備えるタッチパネルを製造するための製造方法であって、
前記基板上に設けられた第一感光性樹脂層と導電層との積層体からなる第一感光層をパターン露光及び現像して、前記導電層からなる前記電極を形成する電極形成工程と、
前記基板の前記電極を有する面上に設けられた第二感光性樹脂層からなる第二感光層をパターン露光及び現像して、前記第二感光性樹脂層を主体としてなる前記PAS層と、前記第二感光性樹脂層を主体としてなり少なくとも一部の前記引き回し配線の配設予定領域の両側に配置される複数の隔壁と、を形成するPAS層隔壁形成工程と、
互いに隣接する前記隔壁どうしの間に区画される溝部に導電性インクを吐出させ、前記導電性インクを主体としてなる前記引き回し配線を形成する配線形成工程と、
を含むタッチパネルの製造方法。 - 互いに隣接する一対の前記配設予定領域に注目した場合に、一方の前記配設予定領域と、他方の前記配設予定領域に対応する前記隔壁のうちの1つとが、平面視で互いに重なる位置関係となるように設計され、
前記配線形成工程において、前記隔壁上にも前記導電性インクを吐出させ、前記隔壁上にも前記引き回し配線を形成する請求項1に記載のタッチパネルの製造方法。 - 前記電極形成工程は、
第一基材フィルム上に前記導電層が設けられるとともに前記導電層上に前記第一感光性樹脂層が設けられた第一感光フィルムを、前記第一感光性樹脂層側から前記基板に被着させる被着工程と、
前記第一基材フィルムよりも正面側に前記電極のパターンに対応する第一マスクを配置した状態で、前記基材フィルム側から露光する第一露光工程と、
前記第一基材フィルムを剥離した状態で、前記正面側又は前記背面側から露光する第二露光工程と、
前記第一感光性樹脂層を現像して、前記電極をパターニングする現像工程と、
を含む請求項1又は2に記載のタッチパネルの製造方法。 - 前記PAS層隔壁形成工程は、
第二基材フィルム上に前記第二感光性樹脂層が設けられた第二感光フィルムを、前記第二感光性樹脂層側から前記基板の前記電極を有する面に被着させる被着工程と、
前記第二基材フィルムよりも正面側に前記隔壁のパターンに対応する第二マスクを配置した状態で、前記第二基材フィルム側から露光する露光工程と、
前記第二感光性樹脂層を現像して、前記PAS層を形成するとともに前記障壁をパターニングする現像工程と、
を含む請求項1〜3のいずれかに記載のタッチパネルの製造方法。 - 基板と、
前記基板上に、絶縁層を介して設けられた複数の電極と、
前記基板の前記電極を有する面上に設けられたPAS層と、
前記基板の周縁部に設けられ、複数の前記電極にそれぞれ接続された複数の引き回し配線と、
前記PAS層と一体的に形成されているとともに、前記周縁部において前記引き回し配線の線幅に応じた間隔を隔てて配置された複数の隔壁と、を備え、
複数の前記引き回し配線が、前記絶縁層上かつ互いに隣接する前記隔壁どうしの間に配置されているタッチパネル。 - 基板と、
前記基板上に、絶縁層を介して設けられた複数の電極と、
前記基板の前記電極を有する面上に設けられたPAS層と、
前記基板の周縁部に設けられ、複数の前記電極にそれぞれ接続された複数の引き回し配線と、
前記PAS層と一体的に形成されているとともに、前記周縁部において前記引き回し配線の線幅に応じた間隔を隔てて配置された複数の隔壁と、をさらに備え、
複数の前記引き回し配線が、前記絶縁層上かつ互いに隣接する前記隔壁どうしの間と、前記隔壁上と、に交互に配置されているタッチパネル。 - 互いに隣接する前記隔壁どうしの間に配置された前記引き回し配線が、対応する前記電極との接続部の近傍領域において、前記接続部に近づくに従って厚くなるように形成されている請求項5又は6に記載のタッチパネル。
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