JP2016191822A - 膜応力の評価方法、マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法 - Google Patents

膜応力の評価方法、マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】膜応力の小さくなる薄膜の形成条件を正しく導き出すことができる膜応力の評価方法等を提供する。【解決手段】基板上に下層膜と上層膜を備えるマスクブランクにおける膜応力の評価方法であって、前記下層膜を備える基板を準備し、前記下層膜の表面を測定して前記下層膜の表面形状を取得する工程と、前記下層膜の表面に接して前記上層膜を成膜する工程と、前記上層膜の表面を測定して前記上層膜の表面形状を取得する工程と、前記下層膜の表面形状と前記上層膜の表面形状との間における差分形状を算出し、前記差分形状から前記上層膜の膜応力を評価する工程とを有することを特徴とする膜応力の評価方法。【選択図】なし

Description

本発明は、膜応力の評価方法、マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法等に関する。
一般に、フォトリソグラフィで用いられる転写用マスクは、基板上に転写パターンを形成するための薄膜を備えたマスクブランクから製造される。また、転写用マスクは、マスクブランクの薄膜に対してドライエッチング等で転写パターンを形成することによって製造される。この転写用マスクの薄膜パターンには、設計パターンに対する高い形状精度が求められるだけでなく、設計パターンに対する高い位置精度も同時に求められる。マスクブランクの転写パターンを形成するための薄膜が高い膜応力(薄膜の内部応力)を有していると、その薄膜に転写パターンを形成するドライエッチングを行ったときに、薄膜パターンの周囲の膜応力から解放されることにより、薄膜パターンが基板上で大きな位置ずれを起こす。この薄膜パターンの位置ずれは、転写用マスクにおける転写パターンの位置精度の低下につながる。このため、マスクブランクにおける薄膜の膜応力はできる限り小さくすることが求められている。
マスクブランクの基板上の薄膜の膜応力を評価する場合、特許文献1および特許文献2に開示されているような方法がとられることが多い。特許文献1の膜応力評価方法は、基板上に評価対象の薄膜を成膜した時の基板のそり量と、前記薄膜に閃光ランプを照射した後の基板のそり量とを比較し、膜応力の評価を行うものである。また、特許文献2の膜応力評価方法は、評価対象の薄膜を基板上にスパッタ成膜する前の基板の主表面の表面形状と、その評価対象の薄膜をスパッタ成膜した後の薄膜の表面形状とから差分形状を算出し、その差分形状からPV(peak-to-valley)値(特許文献2では平坦度変化量として表現。)を算出してこのPV値を膜応力の評価基準として用いるものである。
基板の主表面や薄膜の表面の形状の測定は、特許文献3に開示されているような構成の装置が主に用いられている。一方、マスクブランクにおける薄膜の膜応力を評価する別の方法として、特許文献4に開示されている方法がある。特許文献4の膜応力評価方法は、薄膜をエッチング除去(全面剥離)する前の薄膜の表面形状と、薄膜をエッチング除去(全面剥離)した後の表面形状とを比較することによって、膜応力の評価を行うものである。
特開2004−199035号公報 国際公開2014−073389号公報 特表2005−534923号公報 特開2010−237501号公報
マスクブランクには、基板上にそれぞれ異なる機能を有する複数の薄膜が積層した構成を備えている場合が多い。マスクブランクから製造される転写用マスクの薄膜パターンがより高い位置精度で形成されるには、最終的にその転写パターンが形成されている薄膜の膜応力のみ考慮すれば十分というわけではない。その転写パターンが形成される薄膜の上に積層されているその他の薄膜の膜応力も考慮することが望まれる。たとえば、特許文献2に開示されているような位相シフトマスクを製造するためのマスクブランクは、透光性基板上に位相シフト膜、遮光膜が少なくとも積層した構造を備える必要がある。そのマスクブランクから製造された位相シフトマスクは、位相シフト膜に微細な転写パターンが形成されているが、遮光膜には、遮光帯パターンやアライメントマークパターンのような、転写パターンに求められるほどの高い位置精度が求められないパターンが形成される。しかし、このようなマスクブランクであっても、遮光膜の膜応力は小さくすることが望まれる。位相シフト膜に微細な転写パターンをドライエッチングで形成するには、その前段階で、位相シフト膜の上に積層している遮光膜に微細な転写パターンをドライエッチングで形成する必要があるためである。
その遮光膜の膜応力を評価する場合、透光性基板の主表面の表面形状を測定し、その透光性基板の表面形状を測定した側の主表面に直接遮光膜を成膜してから遮光膜の表面形状を測定し、透光性基板の主表面の表面形状と遮光膜の表面形状との間の差分形状を算出し、その差分形状のPV値を取得する手順を行う方が、効率的にかつ精度よく遮光膜の膜応力を評価できると考えるのが一般的である(例えば特許文献4の段落[0028]下から第1〜3行参照)。一方、近年、KrFエキシマレーザー(波長248nm)を露光光に適用する転写用マスクのパターン形成用の薄膜に対しても、膜応力に対する要求が厳しくなってきている。
一般に、微細な回路パターンのレイヤーが積層する半導体デバイスを製造する工程では、ArFエキシマレーザー(波長193nm)を露光光とする露光装置と各レイヤーの転写用マスクのセットが用いられる。しかし、微細な回路パターンのレイヤーが積層された半導体デバイスにおいても、回路パターンが比較的疎なレイヤーが存在している場合がある。この比較的疎なレイヤーの回路パターンを半導体基板上に形成する工程において、半導体基板上のレジスト膜に露光転写するときに用いる露光光をKrFエキシマレーザー光としても問題がないことがある。ただし、このときに用いる転写用マスクおよびマスクブランクは、KrF露光用である必要がある。ArF露光用のマスクブランクでは、遮光膜の光学濃度や位相シフト膜の光学特性がKrF露光光に適合できず、KrF露光用の転写用マスクの求められる所望の特性が得られないためである。
微細な回路パターンのレイヤーの露光転写に用いられる転写用マスクを製造するためのマスクブランクにおいて、位相シフト膜や遮光膜の膜応力は小さいことが求められる。2つの微細な回路パターンのレイヤー間に設けられる比較的疎な回路パターンのレイヤーの露光転写に用いられる転写用マスクを製造するためのマスクブランクにおいても、位相シフト膜や遮光膜の膜応力は小さいことが求められる。回路パターン自体は比較的疎であっても、2つの微細な回路パターンのレイヤー間を接続するパターンも有していることもあり、そのパターンには高い位置精度が求められるためである。KrF露光用のマスクブランクの遮光膜は、ArF露光用の遮光膜よりも高い遮光性能が必要となる。遮光膜の遮光性能を高めるために、金属元素の含有量を多くすることや膜厚を厚くすることが行われる。このため、KrF露光用の遮光膜の膜応力が大きくなる傾向がある。なお、KrF露光用の位相シフト膜の場合においても、ArF露光用の位相シフト膜に比べて膜応力が大きくなる傾向がある。
そこで、KrF露光用の遮光膜の膜応力を低減するために、上記の膜応力の評価方法を用いて遮光膜の膜応力を評価し、マスクブランクに求められる膜応力となる遮光膜の形成条件を選定し、透光性基板上に、十分に膜応力が小さい位相シフト膜を形成した後に、選定された形成条件で遮光膜を形成してマスクブランクを製造することを試みた。しかし、そのマスクブランクから位相シフトマスクを製造してみたところ、位相シフトパターン(転写パターン)が要求される位置精度を満たすことができない現象が発生し、問題となっていた。
本発明者らは上記の技術的課題を解決すべく鋭意研究を行った。位相シフト膜が形成されていない透光性基板と、位相シフト膜が形成されている基板に対し、同じ形成条件で遮光膜をそれぞれスパッタリング法で成膜することを行った。その結果、同じ条件で遮光膜を形成したにも関わらず、透光性基板の上に直接遮光膜を形成し、透光性基板の主表面の表面形状と遮光膜の表面形状との間の差分形状を算出して得られるPV値と、位相シフト膜上に遮光膜を形成し、位相シフト膜の表面形状と遮光膜の表面形状との間の差分形状を算出して得られるPV値との間で「大きな差」が生じることが判明した。この現象は、上記の特許文献1、特許文献2および特許文献4に開示されているような膜応力を低減する処理として、透光性基板の形状が変化するような大きなエネルギーを付与することが行えない材料であるクロム系材料の遮光膜で生じている。
透光性基板上(または位相シフト膜上)にクロム系材料の遮光膜をスパッタリング法で成膜した後、遮光膜の表面形状を測定する前に行われた処理は、耐薬性を向上させることなどを目的とする200℃未満の低温の加熱処理を行った程度である。透光性基板上に直接遮光膜が形成された膜付基板に対し、遮光膜をエッチングで除去して再度露出した透光性基板の主表面の形状を測定し、遮光膜を形成前の主表面の表面形状と比較したところ、基板の表面形状にはエッチングによる影響程度の微差しかなかった。すなわち、特許文献2および特許文献4に開示されているような透光性基板の主表面の表面形状自体が大きく変化しているわけではなかった。
他方、位相シフト膜上に遮光膜を形成された膜付基板に対し、遮光膜をエッチングで除去して再度露出した位相シフト膜の表面形状を測定し、遮光膜を形成前の位相シフト膜の表面形状と比較したところ、位相シフト膜の表面形状にはエッチングによる影響程度の微差しかなかった。よって、この場合も位相シフト膜の膜応力や透光性基板の表面形状が大きく変化しているわけではなかった。
上述した「大きな差」が生じる要因については、現状では解明できていない。遮光膜が形成されるときのスパッタ粒子が堆積する表面(基板の主表面と位相シフト膜の表面)の粗さの相違、そのスパッタ粒子が打ち込まれる表面の構成元素の結合状態、基板のヤング率(縦弾性係数)と位相シフト膜のヤング率(縦弾性係数)の相違、などが考えられる。
これらの検討結果を基にさらに鋭意研究した結果、透光性基板上に形成された下層膜(例えば、位相シフト膜。)とその下層膜の表面に接して形成された上層膜(例えば、遮光膜。)を有するマスクブランクにおけるその上層膜の膜応力を評価する場合には、下層膜の表面形状を測定し、その下層膜に接して評価対象の上層膜を形成してからその上層膜の表面形状を測定し、下層膜の表面形状と上層膜の表面形状から差分形状を取得し、その取得された差分形状(またはその差分形状の最高高さと最低高さの差)を用いて上層膜の膜応力を評価する方法をとることにより、上層膜の膜応力を精度よく評価することができるということに想到した。
さらに、この上層膜の膜応力の評価方法を用いることで、膜応力の小さくなる上層膜の形成条件を正しく導き出すことができ、その形成条件を用いて、透光性基板上に、下層膜と評価対象の上層膜が積層したマスクブランクであって、上層膜の膜応力が十分に小さいマスクブランクが製造することができるという結論に至った。そして、このようなマスクブランクから製造される転写用マスクは、転写パターンの位置精度が高く、露光転写の転写性能が高いものとすることができるという結論にも至った。
本発明は、以下の構成を有する。
(構成1)
基板上に下層膜と上層膜を備えるマスクブランクにおける膜応力の評価方法であって、
前記下層膜を備える基板を準備し、前記下層膜の表面を測定して前記下層膜の表面形状を取得する工程と、
前記下層膜の表面に接して前記上層膜を成膜する工程と、
前記上層膜の表面を測定して前記上層膜の表面形状を取得する工程と、
前記下層膜の表面形状と前記上層膜の表面形状との間における差分形状を算出し、前記差分形状から前記上層膜の膜応力を評価する工程と
を有することを特徴とする膜応力の評価方法。
(構成2)
前記上層膜の膜応力を評価する工程は、前記差分形状の所定領域内における最高高さと最低高さの差で膜応力を評価する工程であることを特徴とする構成1記載の膜応力の評価方法。
(構成3)
前記上層膜を成膜する工程は、上層膜をスパッタリング法によって成膜する工程であることを特徴とする構成1または2に記載の膜応力の評価方法。
(構成4)
前記下層膜は、ケイ素を含有する材料からなり、前記上層膜は、クロムを含有する材料からなることを特徴とする構成1から3のいずれかに記載の膜応力の評価方法。
(構成5)
前記上層膜を成膜する工程の後、かつ前記上層膜の膜応力を評価する工程の前に、加熱処理または光照射処理を行う工程を有することを特徴とする構成1から4のいずれかに記載の膜応力の評価方法。
(構成6)
前記加熱処理および光照射処理は、前記上層膜の膜応力を変化させる処理であることを特徴とする構成5記載の膜応力の評価方法。
(構成7)
構成1から4のいずれかに記載の膜応力の評価方法を用いた、別の基板上に別の下層膜と別の上層膜を備えるマスクブランクの製造方法であって、
前記膜応力の評価方法を用い、前記上層膜の成膜条件と前記差分形状との対応関係から前記別の上層膜の成膜条件をあらかじめ選定する工程と、
別の下層膜を備える別の基板を準備する工程と、
前記別の下層膜の表面に接して別の上層膜をあらかじめ選定された前記成膜条件で成膜する工程とを有する
ことを特徴とするマスクブランクの製造方法。
(構成8)
構成5または6に記載の膜応力の評価方法を用いた、別の基板上に別の下層膜と別の上層膜を備えるマスクブランクの製造方法であって、
前記膜応力の評価方法を用い、前記上層膜に対する加熱処理または光照射処理の処理条件と前記差分形状との対応関係から前記別の上層膜に対して行う加熱処理または光照射処理の処理条件をあらかじめ選定する工程と、
別の下層膜を備える別の基板を準備する工程と、
前記別の下層膜の表面に接して別の上層膜を成膜する工程と、
前記別の上層膜に対してあらかじめ選定された前記処理条件で加熱処理または光照射処理を行う工程と
を有することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
(構成9)
前記下層膜と前記別の下層膜は、同じ構成元素で形成されており、前記上層膜と前記別の上層膜は、同じ構成元素で形成されていることを特徴とする構成7または8に記載のマスクブランクの製造方法。
(構成10)
構成7から9のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクを用いる転写用マスクの製造方法であって、
前記下層膜に形成すべき転写パターンを有するレジスト膜をマスクとするドライエッチングによって前記上層膜に転写パターンを形成する工程と、
前記転写パターンが形成された上層膜をマスクとするドライエッチングによって前記下層膜に転写パターンを形成する工程と
を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
本発明の評価方法によれば、下層膜の表面に接して上層膜が形成される場合において、上層膜の膜応力を精度よく評価することができると共に、膜応力の小さくなる上層膜の形成条件(成膜条件等)を正しく導き出すことができる。また、この形成条件(成膜条件等)を用いることによって、基板上に、下層膜と評価対象の上層膜が積層したマスクブランクであって、上層膜の膜応力が十分に小さいマスクブランクを製造することができる。さらに、このようなマスクブランクから製造される転写用マスクは、転写パターンの位置精度が高く、露光転写の転写性能が高いものとすることができる。
本発明は、基板上に下層膜と上層膜を備えるマスクブランクにおける膜応力の評価方法であって、
前記下層膜を備える基板を準備し、前記下層膜の表面を測定して前記下層膜の表面形状を取得する工程と、
前記下層膜の表面に接して前記上層膜を成膜する工程と、
前記上層膜の表面を測定して前記上層膜の表面形状を取得する工程と、
前記下層膜の表面形状と前記上層膜の表面形状との間における差分形状を算出し、前記差分形状から前記上層膜の膜応力を評価する工程と
を有することを特徴とする膜応力の評価方法である(構成1)。
上記構成1によれば、下層膜上に形成した上層膜の膜応力を精度よく評価することができると共に、上層膜の膜応力が小さくなる上層膜の形成条件を正しく導き出すことができる。しかも評価に際し上層膜の剥離が不要である。評価に際し膜の剥離が不要であることは大きなメリットである。これに対し、上記構成1によらない場合、下層膜上に形成した上層膜の膜応力を精度よく評価することができない場合があり、上層膜の膜応力の小さくなる上層膜の形成条件を正しく導き出すことができない場合がある。このような場合としては、例えば、上述した、上層膜を基板上へ直接成膜した場合に低応力と認められる上層膜の成膜条件で、下層膜上に上層膜を形成した場合が挙げられる。上記構成1においては、前記上層膜が複数である場合が含まれる。これについては後述する。
本発明において、「膜応力」は、薄膜の内部応力のことであり、引張応力と、圧縮応力がある。本発明において、下層膜および上層膜の表面形状は、表面形状解析装置(表面形状測定装置)を用いて測定できる。表面形状解析装置としては、例えば、特許文献3に開示されているような構成の装置を用いることができ、例えば、UltraFLAT 200M(Corning TROPEL社製)を用いることができる。
表面形状の測定領域の大きさは、基板の大きさ及び転写用マスクとして用いる場合のパターンの大きさ等によって、適宜選択することができる。一般に、薄膜の表面形状の測定は、薄膜の表面全体を測定することが好ましい。基板は外周端部が面取り加工されていることが多く、外周近傍の表面は測定誤差が大きくなる傾向がある。このため、例えば、一辺が152mmの四角形の表面を有する基板である場合、外周端から少なくとも1mmを除いた領域、すなわち一辺が150mmの四角形の内側領域で表面形状の測定を行うことが好ましい。また、外周端から2mmを除いた領域、すなわち一辺が148mmの四角形の内側領域で表面形状の測定を行うとより好ましい。
薄膜の表面形状の測定は、一般的に次のような方法により、行うことができる。まず、測定対象の表面上にグリッド状に測定点を配置し、各測定点の高さ情報(この時の基準面は、例えば測定装置の参照平面である。)を、表面形状測定装置により取得する。次に、各測定点の高さ情報に基づいて、最小二乗法により近似した面(最小二乗平面)を算出し、これを基準面とする。次に、上記の各測定点の高さ情報を、その基準面(最小二乗平面)を基準とした各測定点の高さに換算し、その結果を、各測定点における表面形状の情報(表面形状データー)とする。なお、最小二乗平面を算出するために用いられる測定点の領域は、薄膜の表面全体とすることができる。しかしながら、最小二乗平面を算出するために用いられる測定点の領域は、必ずしも薄膜の表面全体でなくてもよい。基板の周囲の近傍では、基板の端部が成膜に及ぼす影響などにより、表面形状に乱れが生じる場合がある。
例えば、一辺が152mmの四角形の表面を有する基板である場合、基準面となる最小二乗平面を算出するための測定点の領域は、基板の周囲から2mm超〜10mmを除いた中央の領域、好ましくは、基板の周囲から3mm〜10mmを除いた中央の領域、具体的には、基板の周囲から5mmを除いた一辺が142mmの四角形の内側領域とすることができる。
本発明においては、前記下層膜の表面形状と前記上層膜の表面形状との間における差分形状を算出する。
この差分形状(差分形状データ)とは、例えば、前記下層膜の表面形状(表面形状データ)と前記上層膜の表面形状(表面形状データ)との間の差分をとった形状のことをいう。差分形状は、例えば、一方の表面形状データから他方の表面形状データを差し引いて得られる仮想の形状である。この差分形状の所定領域内(例えば、一辺が142mmの四角形の内側領域)のPV値(その所定領域内における最高高さと最低高さとの差)が小さいほど、上層膜の形成前後や上層膜の形成前後における他の処理(例えば、熱処理、光照射処理、レジスト塗布、膜除去、他の薄膜の成膜、など)の前後で基板の表面形状の変化が小さいことを示す。
どちらの表面形状(表面形状データ)から他方の表面形状(表面形状データ)を差し引く(引き算する)かは、適宜定めることができる。
本発明においては、前記差分形状から前記上層膜の膜応力を評価する工程を有する。本発明において、前記差分形状から前記上層膜の膜応力を評価する工程は、例えば、前記差分形状の所定領域内における最高高さと最低高さの差で膜応力を評価する工程とすることができる(構成2)。
本発明においては、前記差分形状から前記上層膜の膜応力を評価する工程は、公知の方法を用いて行うことが可能であるが、上層膜の膜応力の数値自体を算出することは必須ではない。その差分形状と上層膜にパターンを形成したときの位置ずれ量との間の相関性が得られればよい。より具体的には、差分形状から算出される所定領域内(例えば、一辺が142mmの四角形の内側領域)におけるPV値と上層膜にパターンを形成したときの位置ずれ量との間の相関関係から、上層膜を形成する好ましい条件を選定すればよい。
本発明においては、前記上層膜を成膜する工程は、上層膜をスパッタリング法によって成膜する工程である場合が含まれる(構成3)。
本発明においては、下層膜上に上層膜がスパッタリング法によって成膜される場合において、上層膜の膜応力の評価方法が特に重要になってくることがあるためである。スパッタガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどを使用できる。スパッタ装置としては、インライン式のスパッタ装置、枚葉式のスパッタ装置などを使用できる。スパッタ装置としては、DCマグネトロンスパッタ装置、RFマグネトロンスパッタ装置などを使用できる。
ガス圧は、一概に言えないが、例えば、0.05Pa〜0.5Paが使用できる。
基板温度は、一概に言えないが、例えば、20℃〜120℃が使用できる。
スパッタ電力は、一概に言えないが、例えば、0.05kW〜5.0kWが使用できる。
本発明においては、前記下層膜は、ケイ素を含有する材料からなり、前記上層膜は、クロムを含有する材料からなる場合が含まれる(構成4)。
本発明においては、上層膜および下層膜がこれらの材料からなる場合に、上層膜の膜応力の評価方法が特に重要になってくることがあるためである。
「ケイ素を含有する材料」としては、例えば、「ケイ素を含む材料」、「ケイ素とケイ素以外の金属とを含む材料」、更にはこれらに酸素、窒素、炭素、水素、及び希ガス(ヘリウム,アルゴン,キセノン、クリプトン等)のうちいずれか1種以上の元素を含む材料等を挙げることができる。ケイ素以外の金属としては、遷移金属、例えば、W、Mo、Ti、Ta、Zr、Hf、Nb、V、Co、Cr、Ni等を例として挙げることができる。このような材料としては、例えば、モリブデンシリサイド酸化物(MoSiO)、モリブデンシリサイド窒化物(MoSiN)、モリブデンシリサイド炭化物(MoSiC)、モリブデンシリサイド酸化窒化物(MoSiON)、モリブデンシリサイド酸化炭化物(MoSiOC)、モリブデンシリサイド酸化窒化炭化物(MoSiONC)等を挙げることができる。
「クロムを含有する材料」としては、クロム金属、クロム酸化物(CrO)、クロム窒化物(CrN)、クロム炭化物(CrC)、クロム酸窒化物(CrON)、クロム酸化炭化物(CrOC)、クロム炭化窒化物(CrCN)、クロム酸窒化炭化物(CrOCN)などが挙げられ、更にはこれらの材料に、水素、及び希ガス(ヘリウム,アルゴン,キセノン、クリプトン等)のうちいずれか1種以上の元素を含む材料等が挙げられる。
本発明においては、前記上層膜を成膜する工程の後、かつ前記上層膜の膜応力を評価する工程の前に、加熱処理または光照射処理を行う工程を有する場合が含まれる(構成5)。
上記構成5によれば、例えば、加工プロセスにおいて上層膜に、加熱処理または光照射処理が施されることがあり、これによる上層膜の膜応力への影響を、これらの処理単独でまたはこれらの処理と上層膜の成膜条件を含めて、評価することができる。上記構成5によれば、下層膜上に形成した上層膜の膜応力をさらに精度よく評価することができると共に、上層膜の膜応力が小さくなる上層膜の形成条件をさらに正しく導き出すことができる。これに対し、上記構成5によらない場合、下層膜上に形成した上層膜の膜応力を精度よく評価することができない場合があり、上層膜の膜応力の小さくなる上層膜の形成条件を正しく導き出すことができない場合がある。
加熱処理の温度は、上層膜の材料や上層膜の成膜条件(上層膜の膜質等)により異なるので一概に言えないが、加熱処理の温度は、100℃以上であることが好ましく、130℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。また、加熱の温度は、300℃未満が好ましく、250℃以下がより好ましい。高温過ぎると、特許文献2および特許文献4に開示されているような基板の主表面の表面形状自体が大きく変化する場合がある。
上記構成5においては、前記加熱処理または光照射処理の条件が複数である場合が含まれる。これについては後述する。
本発明においては、前記上層膜を成膜する工程の後、かつ前記上層膜の膜応力を評価する工程の前に、前記上層膜の膜応力を変化させる目的(積極的目的)で、加熱処理または光照射処理を行う工程を有する場合が含まれる(構成6)。
上記構成6によれば、前記上層膜の膜応力を変化させる目的(積極的目的)で行われる、上層膜への加熱処理または光照射処理による上層膜の膜応力への影響を、これらの処理単独でまたはこれらの処理と上層膜の成膜条件等を含めて、評価することができる。
上記構成6においては、前記加熱処理または光照射処理の条件が複数である場合が含まれる。これについては後述する。
加熱処理の温度は、上記構成5と同様である。
本発明のマスクブランクの製造方法は、前記構成1から4のいずれかに記載の膜応力の評価方法を用いた、別の基板上に別の下層膜と別の上層膜を備えるマスクブランクの製造方法であって、
前記膜応力の評価方法を用い、前記上層膜の成膜条件と前記差分形状との対応関係から前記別の上層膜の成膜条件をあらかじめ選定する工程と、
別の下層膜を備える別の基板を準備する工程と、
前記別の下層膜の表面に接して別の上層膜をあらかじめ選定された前記成膜条件で成膜する工程とを有する
ことを特徴とする(構成7)。
上記構成7によれば、下層膜上に形成した上層膜の膜応力を合理的かつ精度よく評価することができると共に、上層膜の膜応力が小さくなる上層膜の形成条件を合理的かつ正しく評価し選定することができる。これにより、上層膜の膜応力が十分に小さいマスクブランクが製造できる。これに対し、上記構成7によらない場合、下層膜上に形成した上層膜の膜応力を精度よく評価することができない場合があり、上層膜の膜応力の小さくなる上層膜の形成条件を正しく評価し選定できない場合がある。
上記構成7においては、前記上層膜の成膜条件が複数である場合が含まれる。これについては後述する。
なお、「別の基板」、「別の下層膜」、「別の上層膜」としたのは、本発明の膜応力の評価方法で用いた、基板、下層膜、上層膜と、この評価方法の結果に基づいて実施されるマスクブランクの製造方法で使用される基板、下層膜、上層膜とは、各々別のものであることを疑義が生じぬよう明らかにする趣旨である。このことは、以降の構成においても同様である。
本発明のマスクブランクの製造方法は、前記構成5または6に記載の膜応力の評価方法を用いた、別の基板上に別の下層膜と別の上層膜を備えるマスクブランクの製造方法であって、
前記膜応力の評価方法を用い、前記上層膜に対する加熱処理または光照射処理の処理条件と前記差分形状との対応関係から前記別の上層膜に対して行う加熱処理または光照射処理の処理条件をあらかじめ選定する工程と、
別の下層膜を備える別の基板を準備する工程と、
前記別の下層膜の表面に接して別の上層膜を成膜する工程と、
前記別の上層膜に対してあらかじめ選定された前記処理条件で加熱処理または光照射処理を行う工程と
を有することを特徴とする(構成8)。
上記構成8によれば、下層膜上に形成した上層膜に対する加熱処理または光照射処理の処理条件を合理的かつ精度よく評価することができると共に、上層膜に対する加熱処理または光照射処理の処理条件を合理的かつ正しく評価し選定することができる。これにより、上層膜の膜応力が十分に小さいマスクブランクが製造できる。これに対し、上記構成8によらない場合、下層膜上に形成した上層膜に対する加熱処理または光照射処理の処理条件を合理的かつ精度よく評価することができない場合があり、上層膜に対する加熱処理または光照射処理の処理条件を合理的かつ正しく評価し選定できない場合がある。
上記構成8においては、前記上層膜に対する加熱処理または光照射処理の処理条件が複数である場合が含まれる。これについては後述する。
本発明においては、上記構成7に係る発明と、上記構成8に係る発明は、組み合わせて実施できる。
これにより双方の影響を踏まえた、成膜条件および、加熱処理または光照射処理の処理条件を選択することができ、これらの条件の最適化を図ることが可能となる。
上記構成7または8に係る発明においては、前記下層膜と前記別の下層膜は、同じ構成元素で形成されており、前記上層膜と前記別の上層膜は、同じ構成元素で形成されている場合が含まれる(構成9)。
本発明において、前記下層膜と前記別の下層膜は、同じ成膜条件、および/または、同じ加熱処理または光照射処理の処理条件で形成されており、前記上層膜と前記別の上層膜は、同じ成膜条件、および/または、同じ加熱処理または光照射処理の処理条件で形成されている場合が含まれる。
本発明では、例えば、成膜条件を変化させたものに対して、加熱処理または光照射処理の処理条件を変化させて評価を行うことができる。これにより、成膜条件の違いに応じて、加熱処理または光照射処理の処理条件を厳密に制御でき、これらの条件の最適化を図ることが可能となる。
本発明においては、上記構成1に係る「前記差分形状から前記上層膜の膜応力を評価する工程」、または、上記構成7に係る「前記膜応力の評価方法を用い、前記上層膜の成膜条件と前記差分形状との対応関係から前記別の上層膜の成膜条件をあらかじめ選定する工程」は、複数の上層膜のそれぞれについて、前記差分形状から前記上層膜の膜応力を評価し、それらの評価結果を比較する工程(以下、工程Aという)を有するものとすることができる。
この場合、例えば、前記上層膜を除く他の要素の条件を固定し、前記上層膜について複数の上層膜を用意し、複数の上層膜のそれぞれについて、前記差分形状から前記上層膜の膜応力を評価し、それらの評価結果を比較する工程とすることができる。
複数の上層膜は、上層膜の条件を変えた(意図的に変えた)場合が含まれ、上層膜の条件が同じ(意図的に変えていない)場合が含まれる。上層膜の条件としては、例えば、上層膜の成膜条件(例えば、ガス圧、基板温度、スパッタ電力等)、上層膜の成膜装置、上層膜の組成、上層膜の膜厚や、上層膜に施される処理(例えば、熱処理、光やエネルギー等の照射処理、レジスト塗布、上層膜の除去(全面剥離を含む)、他の薄膜の成膜や膜除去(全面剥離を含む)、など)が挙げられる。
この場合、例えば、複数の上層膜のそれぞれについて、上層膜の条件のうちの1つの条件を変化させ、上層膜の条件のうちの他の条件を固定し、複数の上層膜のそれぞれについて、前記差分形状から前記上層膜の膜応力を評価し、それらの評価結果を比較する工程とすることができる。
前記上層膜を除く他の要素としては、基板、下層膜、などが挙げられる。前記上層膜を除く他の要素の条件としては、例えば、下層膜の成膜条件(例えば、ガス圧、基板温度、スパッタ電力等)、下層膜の成膜装置、下層膜の組成、下層膜の膜厚、下層膜に施される処理(例えば、熱処理、光やエネルギー等の照射処理、下層膜の除去(全面剥離を含む)、他の薄膜の成膜や膜除去(全面剥離を含む)、など)や、基板材料(組成)、基板の厚さ、基板のサイズ、基板に施される処理(例えば、成膜、膜除去(全面剥離を含む)、熱処理、光やエネルギー等の照射処理など)、最初に準備する基板の平坦度(基板の3次元形状)、などが挙げられる。
本発明においては、上記工程Aにおいて、例えば、複数の上層膜の条件を意図的に変え、それらの評価結果を比較することで、有益な情報を得ることが可能となる場合がある。
また、本発明においては、上記工程Aにおいて、例えば、複数の上層膜の条件が同じ(意図的に変えていない)場合、それらの評価結果を比較することで、有益な情報を得ることが可能となる場合がある。
また、本発明においては、上記工程Aにおいて、例えば、複数の上層膜のそれぞれについて、上層膜のパターンをマスクとして、下層膜をエッチングし、下層膜のパターン上に上層膜のパターンがある状態でパターンの位置精度を測定し、その後、上層膜のパターンを剥離し、下層膜のパターンだけの状態(下層膜のパターン上に上層膜のパターンがない状態)でパターンの位置精度を測定し、上層膜のパターンの剥離前後での位置ずれをそれぞれ求め、これらの結果と、上記工程Aの評価結果を比較することで、有益な情報を得ることが可能となる場合がある。
本発明においては、下層膜が位相シフト膜または光半透過膜で、上層膜が遮光膜である態様が含まれる。
本発明においては、下層膜が遮光膜または遮光膜の上層(遮光膜が複数層で構成される場合における一番上側の層)で、上層膜がエッチングマスク膜(ハードマスク膜)である態様が含まれる。このとき、エッチングマスク膜に反射防止機能を持たせることにより、下層膜上にエッチングマスク膜を残した状態で転写用マスクを作製する態様が含まれる。
本発明においては、下層膜が位相シフト膜または光半透過膜で、上層膜がエッチングストッパー膜である態様が含まれる。
これらの場合、例えば、下層膜としては、上述した「ケイ素を含有する材料」、「ケイ素を含む材料」、または「ケイ素とケイ素以外の金属とを含む材料」等が挙げられ、上層膜としては、上述した「クロムを含む材料」等が挙げられる。
本発明においては、例えば、下層膜が位相シフト膜(例えばMoSiN膜)であり、上層膜が遮光膜(例えば CrOCN/CrN/CrOCN積層膜)である態様、下層膜が遮光膜(例えばMoSi系膜)または遮光膜の上層(例えばMoSiN膜)であり、上層膜がハードマスク膜(例えばCrN膜)である態様、下層膜が位相シフト膜(例えばMoSiN膜)であり、上層膜がエッチングストッパー膜(例えば CrN膜)である態様、が含まれる。
本発明において、遮光膜は、遮光層と表面反射防止層の2層構造や、さらに遮光層と基板との間に裏面反射防止層を加えた3層構造としたものなどがある。また、遮光膜の膜厚方向における組成が連続的又は段階的に異なる組成傾斜膜としてもよい。
本発明において、下層膜と上層膜の材料としては、互いにエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)材料で構成することが好ましい。
遮光膜の形成には、公知の方法を用いることが可能であるが、スパッタリング法を用いることが好ましく、反応性スパッタリング法を用いることが特に好ましい。スパッタリング法を用いることで、形成される遮光膜をアモルファス構造や微結晶構造とすることができる。また、スパッタリング法で形成される遮光膜は内部応力が高くなる傾向があるため、本発明のマスクブランクの製造方法を好適に用いることができる。
スパッタガス、スパッタ装置、ガス圧、基板温度、スパッタ電力等に関しては、上記構成3に記載のものを使用できる。
本発明では、前記遮光膜に、加熱処理を行う工程を有する場合が含まれる。
本発明では、前記遮光膜に、内部応力を低減するための加熱処理を行う工程を有する場合が含まれる。
下層膜を形成する前の基板の一方の主表面は、高い平坦度を有することが望ましい。132mm四方の内側領域で算出した一方の主表面の平坦度が、0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であるとより好ましく、0.1μm以下であるとさらに好ましい。また、142mm四方の内側領域で算出した一方の主表面の平坦度が、0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であるとより好ましく、0.1μm以下であるとさらに好ましい。なお、一方の主表面に対向する側にある他方の主表面についても、同等以上の平坦度を有することが望ましい。
本発明は、特許文献2および特許文献4に開示されているような基板の主表面の表面形状自体が大きく変化している場合(下層膜を剥離即ち膜応力を除いても基板表面が変形したままで元に戻らない場合)の評価方法としては、適さない。正確な評価の妨げとなるからである。本発明では、上記のような場合でないことを確認した上で、本発明の評価方法を適用することが好ましい。
下層膜および上層膜の除去は、下層膜および上層膜にパターンを形成するときに用いられるドライエッチングと同様の方法で行うことができる。下層膜および上層膜を構成する材料の組成によっては、下層膜および上層膜の除去にウェットエッチングを適用してもよい。
本発明において、基板の材料としては、例えば、合成石英ガラス、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、低熱膨張ガラス(例えばSiO−TiO系ガラス)、β石英固溶体を析出させた結晶化ガラス、CaF基板等のガラス材料を用いることが可能である。
本発明は、基板の材料が合成石英ガラスである場合に適する。合成石英ガラスを用いる場合は、基板の表面形状およびその変形に関する要求が高いためである。
本発明の評価方法およびマスクブランクの製造方法は、露光光を透過させる透過型マスクを作製するための透過型マスクブランク、あるいは、露光光を反射する反射型マスクを作製するための反射型マスクブランクに適用することが可能である。
本発明の評価方法およびマスクブランクの製造方法は、位相シフトマスクを作製するための位相シフトマスクブランクに適用することが可能である。例えば、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクのほかに、エンハンサー型位相シフトマスク用のマスクブランク、レベンソン型位相シフトマスク用のマスクブランクに適用することが可能である。
本発明の評価方法およびマスクブランクの製造方法は、露光光がKrFである転写マスクを作製するためのマスクブランクや、露光光がArFである転写マスクを作製するためのマスクブランク、さらに、ダブルパターニング技術が適用される転写用マスクを作製するためのマスクブランクに適用することが可能である。
本発明における他の発明は、構成7から9のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクを用いる転写用マスクの製造方法であって、
前記下層膜に形成すべき転写パターンを有するレジスト膜をマスクとするドライエッチングによって前記上層膜に転写パターンを形成する工程と、
前記転写パターンが形成された上層膜をマスクとするドライエッチングによって前記下層膜に転写パターンを形成する工程と
を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法である(構成10)。
本発明では、上記製造方法において、下層膜のパターン上に上層膜のパターンがある状態から、前記所定領域内にある上層膜のパターンを剥離し、前記所定領域内では下層膜のパターンだけの状態(下層膜のパターン上に上層膜のパターンがない状態)にする工程を有することができる。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。
[実施例1]
(実験例1)
(工程1:基板の準備および表面形状測定)
まず、主表面の寸法が約152mm×約152mmで、厚さが約6.35mmの合成石英ガラスからなる透光性基板を複数枚準備した。この透光性基板は、主表面を所定の平坦度および表面粗さに研磨され、その後、所定の洗浄処理および乾燥処理を施されたものであった。なお、この透光性基板は、薄膜が形成される側の主表面(以下、一方の主表面という)の142mm四方の内側領域における平坦度は、+0.3μm以下であり、表面形状は凸形状であった(以降、表面形状については、凸形状を正の数値で、凹形状を負の数値でそれぞれ表す。)。また、主表面の表面粗さは、一辺が1μmの四角形内の測定領域での自乗平方根平均粗さRqで0.2nm以下であった。
そして、この透光性基板の一方の主表面形状を、表面形状解析装置(UltraFLAT 200M(Corning TROPEL社製))を用いて測定した(測定領域は、透光性基板の中心を基準とした一辺が150mmの四角形の内側領域。以降、表面形状解析装置で測定している表面形状の測定領域は同じ。)。
(工程2:基板上への上層膜の形成および表面形状測定:上層膜の成膜条件1)
上記工程1と同等の特性(平坦度が+0.3μm、表面形状は凸形状、表面粗さがRqで0.2nm以下)の透光性基板を新たに準備し、この透光性基板の一方の主表面の表面形状を、表面形状解析装置を用いて測定した。
次に、この透光性基板の一方の主表面上に、インライン方式のスパッタ装置を用いて、スパッタターゲットに第1のクロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴンと窒素とヘリウムとの混合ガス雰囲気(ガス圧0.23Pa,ガス流量比 Ar:N:He=52:28:40)で、DC電源の電力を0.6kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrN(下層)を成膜し、連続して、スパッタターゲットに第2のクロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴンとメタンとの混合ガス雰囲気(ガス圧0.40Pa,ガス流量比 Ar:CH=70:3)で、DC電源の電力を0.6kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrC(中間層)を成膜し、さらに連続して、スパッタターゲットに同じ第2のクロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴンとヘリウムと一酸化窒素との混合ガス雰囲気(ガス圧0.40Pa,ガス流量比 Ar:He:NO=70:40:3.4)で、DC電源の電力を0.6kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrON(上層)を成膜し、クロム系材料からなる遮光膜(透光性基板側から、CrN層/CrC層/CrON層が積層した構造の組成傾斜膜であり、3層の合計膜厚が53nm。)を形成した。
そして、遮光膜(上層膜)の表面形状を、上記と同一の表面形状解析装置を用いて測定した。遮光膜(上層膜)を成膜した基板を150℃で5分間熱処理(アニール処理)し、その後遮光膜(上層膜)の表面形状を測定した。
上記で求めた、透光性基板の一方の主表面の表面形状と遮光膜(上層膜)の表面形状(熱処理後)との間の差分形状を算出した。このとき、差分形状の所定領域(透光性基板の中心を基準とした一辺が150mmの四角形の内側領域。以下、PV値を算出する措定領域は同じ。)内における最高高さと最低高さの差(PV値)で膜応力を評価した。この差分形状のPV値は、−0.18[μm]であった。
ちなみに、この膜応力は、上記成膜条件を変化させて得られる膜応力と比べても、相対的に小さいと考えられるため、この膜の成膜条件を遮光膜(上層膜)の成膜条件として選定した。この膜の成膜条件は、遮光膜(上層膜)のエッチングレートが相対的に高く維持できる条件とした。
(工程3:下層膜の形成および表面形状測定)
上記工程1と同等の特性(平坦度が+0.3μm、表面形状は凸形状、表面粗さがRqで0.2nm以下)の透光性基板を新たに準備し、この透光性基板の一方の主表面の表面形状を、表面形状解析装置を用いて測定した。
次に、この透光性基板の一方の主表面上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、スパッタターゲットにモリブデン(Mo)とケイ素(Si)との混合ターゲット(原子%比 Mo:Si=21:79)を用い、アルゴンと窒素の混合ガス雰囲気(ガス圧0.3Pa,ガス流量比 Ar:N=10:80)で、DC電源の電力を3.0kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、MoSiN膜を膜厚93nmで成膜し、KrFエキシマレーザー(波長248nm)用のハーフトーン型位相シフト膜(下層膜)を形成した。このハーフトーン型位相シフト膜は、KrFエキシマレーザーの波長において、透過率が5.5%、位相差が177.1度の光学特性を有していた。
そして、ハーフトーン型位相シフト膜(下層膜)の表面形状を、上記と同一の表面形状解析装置を用いて測定した。
(工程4)
次に、ハーフトーン型位相シフト膜(下層膜)備えた透光性基板を、ホットプレートを用いて、280℃の温度で30分間の加熱処理を行い、ハーフトーン型位相シフト膜(下層膜)の内部応力を低減させる処理を行った。そして、加熱処理後のハーフトーン型位相シフト膜(下層膜)の表面形状を、上記と同一の表面形状解析装置を用いて測定した。
(工程5:下層膜上への上層膜の形成および表面形状測定)
次に、上記工程2と同じ条件で遮光膜(上層膜)をハーフトーン型位相シフト膜(下層膜)上に形成し、透光性基板上にハーフトーン位相シフト膜(下層膜)と遮光膜(上層膜)が積層したマスクブランクを製造した。上記工程2と同じ条件で熱処理(アニール処理)し、その後遮光膜(上層膜)の表面形状を測定した。
上記工程4で求めた加熱処理後のハーフトーン位相シフト膜(下層膜)の表面形状と、工程5で求めた遮光膜(上層膜)の表面形状(熱処理後)との間の差分形状を算出した。このとき、差分形状の上記所定領域内における最高高さと最低高さの差(PV値)で膜応力を評価した。この差分形状のPV値は、−0.42[μm]であり、透光性基板上に接して遮光膜(上層膜)を形成した場合(工程2)の差分形状のPV値よりもかなり大きくなっていた。
(工程6:パターニングおよび位置精度測定)
工程5に続いて、遮光膜上にレジスト膜をスピン塗布法によって250nm厚で形成した。次に、レジスト膜にテストパターン(テストに適したパターンをいう、以下同様)を描画露光し、現像処理等を行い、レジストパターンを形成した。テストパターンが形成されたレジスト膜に対し、パターン位置測定装置(KLA−Tencor社製 LMS IPRO Series)を用いてテストパターンの測定を行った。
続いて、レジストパターンをマスクとしたドライエッチングを行い、遮光膜にテストパターンを形成した。レジスト膜を剥離し、テストパターンが形成された遮光膜に対し、パターン位置測定装置を用いてテストパターンの測定を行った。
そして、パターン位置測定装置で、レジスト膜に形成されたテストパターンと遮光膜に形成されたテストパターンを比較させ、遮光膜に形成されたテストパターンの位置ずれ量を求めたところ、位置ずれは許容範囲内であった。
次に、テストパターンが形成された遮光膜をマスクとしたドライエッチングを行い、ハーフトーン位相シフト膜にテストパターンを形成した。これらの工程により、透光性基板上にテストパターンが形成されたハーフトーン型位相シフト膜と遮光膜の積層構造を有するパターンテスト用の転写用マスクを作製した。この転写用マスクのテストパターンが形成されたハーフトーン型位相シフト膜と遮光膜に対し、パターン位置測定装置を用いてテストパターンの測定を行った。
そして、パターン位置測定装置で、レジスト膜に形成されたテストパターンとハーフトーン型位相シフト膜と遮光膜に形成されたテストパターンを比較させ、ハーフトーン型位相シフト膜に形成されたテストパターンの位置ずれ量を求めたところ、位置ずれは許容範囲内であった。
上記基板上に、再度レジストを塗布し、基板周縁の遮光帯形成領域を保護するレジストパターンを形成し、ドライエッチングを行い、転写パターン形成領域内のハーフトーン型位相シフト膜パターン上の遮光膜パターンを剥離した。
遮光膜パターン剥離後のハーフトーン型位相シフト膜パターンについて、パターン位置測定装置を用いてテストパターンの測定を行った。
そして、パターン位置測定装置で、遮光膜パターン剥離後のハーフトーン型位相シフト膜に形成されたテストパターンとハーフトーン型位相シフト膜と遮光膜に形成されたテストパターンを比較させ、ハーフトーン型位相シフト膜に形成されたテストパターンの位置ずれ量を求めたところ、最大で14〜18nmであった。この位置ずれ量は、従来ArF露光用のハーフトーン型位相シフトマスクを用いていた比較的疎な回路パターンのレイヤーで許容されるパターン位置精度の範囲を超えていた。このため、このKrF露光用のマスクブランクは、上記の比較的疎な回路パターンのレイヤーでも適用することは困難である。
(工程7)
上記工程2を新たに実施した。そして、透光性基板上に直接遮光膜が形成された膜付基板に対し、遮光膜をエッチングで除去して再度露出した透光性基板の一方の主表面の形状を上記と同一の表面形状解析装置を用いて測定し、遮光膜を形成前の主表面の表面形状と比較したところ、基板の表面形状にはエッチングによる影響程度の微差しかなかった。すなわち、特許文献2および特許文献4に開示されているような透光性基板の主表面の表面形状自体が大きく変化しているわけではなかった。
(工程8)
上記工程3〜工程5を新たに実施した。そして、位相シフト膜上に遮光膜を形成された膜付基板に対し、遮光膜をエッチングで除去して再度露出した位相シフト膜の表面形状を上記と同一の表面形状解析装置を用いて測定し、遮光膜を形成前の位相シフト膜の表面形状と比較したところ、位相シフト膜の表面形状にはエッチングによる影響程度の微差しかなかった。よって、この場合も位相シフト膜の膜応力や透光性基板の表面形状が大きく変化しているわけではなかった。
(実験例2)
実験例2においては、上記実験例1の工程2を除き、上記実験例1と同様の工程1、3〜8を実施した。
実験例2においては、上記実験例1の工程2に替えて、以下に示す工程9を実施した。
(工程9:基板上への上層膜の形成および表面形状測定:上層膜の成膜条件2)
上記実験例1の工程1、2と同等の特性(平坦度が+0.3μm、表面形状は凸形状、表面粗さがRqで0.2nm以下)の透光性基板を新たに準備し、この透光性基板の一方の主表面形状を、表面形状解析装置を用いて測定した。
次に、この透光性基板の表面形状を測定した側の主表面上に、枚葉方式のスパッタ装置を用いて、スパッタターゲットにクロム(Cr)を用い、アルゴンと窒素とヘリウムと二酸化炭素の混合ガス雰囲気(ガス圧0.11Pa,ガス流量比 Ar:N:He:CO=15:4.2:26.7:28.8)で、DC電源の電力を1.9kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrOCN(下層)を膜厚30nmで成膜し、続いて、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴンと窒素との混合ガス雰囲気(ガス圧0.51Pa,ガス流量比 Ar:N=16:4)で、DC電源の電力を1.4kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrN(中間層)を膜厚14nmで成膜し、続いて、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴンと窒素とヘリウムと二酸化炭素との混合ガス雰囲気(ガス圧0.14Pa,ガス流量比 Ar:N:He:CO=18:10:32:34)で、DC電源の電力を2.0kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrOCN(上層)を膜厚14nmで成膜し、クロム系材料からなる遮光膜(透光性基板側から、CrOCN層/CrN層/CrOCN層が積層した構造の膜であり、3層の合計膜厚が58nm。)を形成した。
そして、遮光膜(上層膜)の表面形状を、表面形状解析装置を用いて測定した。遮光膜(上層膜)を成膜した基板を200℃で5分間熱処理(アニール処理)し、その後遮光膜(上層膜)の表面形状を測定した。
上記で求めた、透光性基板の一方の主表面の表面形状と遮光膜(上層膜)の表面形状(熱処理後)との間の差分形状を算出した。このとき、差分形状の上記所定領域内における最高高さと最低高さの差(PV値)で膜応力を評価した。この差分形状のPV値は、+0.07[μm]であった。
ちなみに、この膜応力は、上記成膜条件を変化させて得られる膜応力と比べても、相対的に小さいと考えられるため、この膜の成膜条件を遮光膜(上層膜)の成膜条件として選定した。この膜の成膜条件は、上記実験例1の工程2の結果を検討した上で考慮を重ね選定した。この膜の成膜条件は、遮光膜(上層膜)のエッチングレートが相対的に高く維持できる条件とした。
(工程10:下層膜上への上層膜の形成および表面形状測定)
上記実験例1の工程3〜4(下層膜の形成まで)を同じ条件で新たに実施し、続けて、上記工程9と同じ条件で上層膜を下層膜上に形成し、透光性基板上にハーフトーン位相シフト膜(下層膜)と遮光膜(上層膜)が積層したマスクブランクを製造した。上記工程9と同じ条件で熱処理(アニール処理)し、その後遮光膜の表面形状を測定した。
上記実施例1の工程4で求めた加熱処理後の下層膜の表面形状と工程10で求めた遮光膜(上層膜)の表面形状(熱処理後)との間の差分形状を算出した。このとき、差分形状の上記所定領域内における最高高さと最低高さの差(PV値)で膜応力を評価した。この差分形状のPV値は、−0.08[μm]であった。
(工程11:パターニングおよび位置精度測定)
工程10に続いて、上記実施例1の工程6と同じ条件でパターニングおよび位置精度測定を行った。
パターン位置測定装置で、遮光膜パターン剥離後のハーフトーン型位相シフト膜に形成されたテストパターンとハーフトーン型位相シフト膜と遮光膜に形成されたテストパターンを比較させ、ハーフトーン型位相シフト膜に形成されたテストパターンの位置ずれ量を求めたところ、最大で3〜5nmであった。この位置ずれ量は、従来ArF露光用のハーフトーン型位相シフトマスクを用いていた比較的疎な回路パターンのレイヤーで許容されるパターン位置精度の範囲内であった。このため、このKrF露光用のマスクブランクは、上記の比較的疎な回路パターンのレイヤーに適用できる。
なお、実験例2に関し、上記実験例1の工程7、工程8と同様の工程を実施し、上記実験例1の工程7、工程8と同様のことを確認した。
本発明においては、上記工程1〜11の結果に基づいて、上層膜の膜応力を評価する膜応力の評価方法が含まれる。
本発明においては、上記工程1〜11の結果に基づいて、上層膜の成膜条件を選定する工程を有するマスクブランクの製造方法が含まれる。
(マスクブランクの製造工程)
上記工程10を同じ条件で新たに実施することによって、透光性基板上に位相シフト膜(下層膜)を形成し、その位相シフト膜上に遮光膜(上層膜)を形成することにより、KrFエキシマレーザー(波長248nm)用のハーフトーン型位相シフトマスクブランクを製造した。このとき、各工程間で行う表面形状の測定は省略した。
(マスクの製造)
上記マスクブランクの製造工程に続いて、遮光膜上にレジスト膜をスピン塗布によって形成した。そのレジスト膜に、従来はArF露光用位相シフトマスクで形成していた比較的疎な回路パターン(転写パターン)を電子線描画露光し、所定の現像処理等を施してレジストパターンを形成した。そのレジストパターンをマスクとし、酸素含有塩素系ガス(ClとOの混合ガス)によるドライエッチングを行い、遮光膜に転写パターンを形成した。続いて、転写パターンが形成された遮光膜をマスクとし、フッ素系ガス(SFとHeの混合ガス)によるドライエッチングを行い、位相シフト膜に転写パターンを形成した。次に、遮光膜上に、遮光帯を含む遮光パターンを有するレジストパターンを形成した。さらに、そのレジストパターンをマスクとし、酸素含有塩素系ガスによるドライエッチングを行い、遮光膜に遮光帯を含む遮光パターンを形成した。さらに、所定の洗浄等を施し、KrFエキシマレーザー(波長248nm)用のハーフトーン型位相シフトマスクを製造した。このとき、各工程間で行う表面形状の測定は省略した。パターン位置測定装置で、設計パターンと、ハーフトーン型位相シフト膜と遮光膜に形成された各パターンとを比較したところ、従来ArF露光用のハーフトーン型位相シフトマスクを用いていた比較的疎な回路パターンのレイヤーで許容されるパターン位置精度の範囲内に収まっていた。

Claims (10)

  1. 基板上に下層膜と上層膜を備えるマスクブランクにおける膜応力の評価方法であって、
    前記下層膜を備える基板を準備し、前記下層膜の表面を測定して前記下層膜の表面形状を取得する工程と、
    前記下層膜の表面に接して前記上層膜を成膜する工程と、
    前記上層膜の表面を測定して前記上層膜の表面形状を取得する工程と、
    前記下層膜の表面形状と前記上層膜の表面形状との間における差分形状を算出し、前記差分形状から前記上層膜の膜応力を評価する工程と
    を有することを特徴とする膜応力の評価方法。
  2. 前記上層膜の膜応力を評価する工程は、前記差分形状の所定領域内における最高高さと最低高さの差で膜応力を評価する工程であることを特徴とする請求項1記載の膜応力の評価方法。
  3. 前記上層膜を成膜する工程は、上層膜をスパッタリング法によって成膜する工程であることを特徴とする請求項1または2に記載の膜応力の評価方法。
  4. 前記下層膜は、ケイ素を含有する材料からなり、前記上層膜は、クロムを含有する材料からなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の膜応力の評価方法。
  5. 前記上層膜を成膜する工程の後、かつ前記上層膜の膜応力を評価する工程の前に、加熱処理または光照射処理を行う工程を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の膜応力の評価方法。
  6. 前記加熱処理および光照射処理は、前記上層膜の膜応力を変化させる処理であることを特徴とする請求項5記載の膜応力の評価方法。
  7. 請求項1から4のいずれかに記載の膜応力の評価方法を用いた、別の基板上に別の下層膜と別の上層膜を備えるマスクブランクの製造方法であって、
    前記膜応力の評価方法を用い、前記上層膜の成膜条件と前記差分形状との対応関係から前記別の上層膜の成膜条件をあらかじめ選定する工程と、
    別の下層膜を備える別の基板を準備する工程と、
    前記別の下層膜の表面に接して別の上層膜をあらかじめ選定された前記成膜条件で成膜する工程とを有する
    ことを特徴とするマスクブランクの製造方法。
  8. 請求項5または6に記載の膜応力の評価方法を用いた、別の基板上に別の下層膜と別の上層膜を備えるマスクブランクの製造方法であって、
    前記膜応力の評価方法を用い、前記上層膜に対する加熱処理または光照射処理の処理条件と前記差分形状との対応関係から前記別の上層膜に対して行う加熱処理または光照射処理の処理条件をあらかじめ選定する工程と、
    別の下層膜を備える別の基板を準備する工程と、
    前記別の下層膜の表面に接して別の上層膜を成膜する工程と、
    前記別の上層膜に対してあらかじめ選定された前記処理条件で加熱処理または光照射処理を行う工程と
    を有することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
  9. 前記下層膜と前記別の下層膜は、同じ構成元素で形成されており、前記上層膜と前記別の上層膜は、同じ構成元素で形成されていることを特徴とする請求項7または8に記載のマスクブランクの製造方法。
  10. 請求項7から9のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクを用いる転写用マスクの製造方法であって、
    前記下層膜に形成すべき転写パターンを有するレジスト膜をマスクとするドライエッチングによって前記上層膜に転写パターンを形成する工程と、
    前記転写パターンが形成された上層膜をマスクとするドライエッチングによって前記下層膜に転写パターンを形成する工程と
    を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
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