JP2016191822A - 膜応力の評価方法、マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法 - Google Patents
膜応力の評価方法、マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016191822A JP2016191822A JP2015071796A JP2015071796A JP2016191822A JP 2016191822 A JP2016191822 A JP 2016191822A JP 2015071796 A JP2015071796 A JP 2015071796A JP 2015071796 A JP2015071796 A JP 2015071796A JP 2016191822 A JP2016191822 A JP 2016191822A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- layer film
- upper layer
- stress
- lower layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
Abstract
Description
(構成1)
基板上に下層膜と上層膜を備えるマスクブランクにおける膜応力の評価方法であって、
前記下層膜を備える基板を準備し、前記下層膜の表面を測定して前記下層膜の表面形状を取得する工程と、
前記下層膜の表面に接して前記上層膜を成膜する工程と、
前記上層膜の表面を測定して前記上層膜の表面形状を取得する工程と、
前記下層膜の表面形状と前記上層膜の表面形状との間における差分形状を算出し、前記差分形状から前記上層膜の膜応力を評価する工程と
を有することを特徴とする膜応力の評価方法。
(構成2)
前記上層膜の膜応力を評価する工程は、前記差分形状の所定領域内における最高高さと最低高さの差で膜応力を評価する工程であることを特徴とする構成1記載の膜応力の評価方法。
(構成3)
前記上層膜を成膜する工程は、上層膜をスパッタリング法によって成膜する工程であることを特徴とする構成1または2に記載の膜応力の評価方法。
(構成4)
前記下層膜は、ケイ素を含有する材料からなり、前記上層膜は、クロムを含有する材料からなることを特徴とする構成1から3のいずれかに記載の膜応力の評価方法。
(構成5)
前記上層膜を成膜する工程の後、かつ前記上層膜の膜応力を評価する工程の前に、加熱処理または光照射処理を行う工程を有することを特徴とする構成1から4のいずれかに記載の膜応力の評価方法。
(構成6)
前記加熱処理および光照射処理は、前記上層膜の膜応力を変化させる処理であることを特徴とする構成5記載の膜応力の評価方法。
(構成7)
構成1から4のいずれかに記載の膜応力の評価方法を用いた、別の基板上に別の下層膜と別の上層膜を備えるマスクブランクの製造方法であって、
前記膜応力の評価方法を用い、前記上層膜の成膜条件と前記差分形状との対応関係から前記別の上層膜の成膜条件をあらかじめ選定する工程と、
別の下層膜を備える別の基板を準備する工程と、
前記別の下層膜の表面に接して別の上層膜をあらかじめ選定された前記成膜条件で成膜する工程とを有する
ことを特徴とするマスクブランクの製造方法。
(構成8)
構成5または6に記載の膜応力の評価方法を用いた、別の基板上に別の下層膜と別の上層膜を備えるマスクブランクの製造方法であって、
前記膜応力の評価方法を用い、前記上層膜に対する加熱処理または光照射処理の処理条件と前記差分形状との対応関係から前記別の上層膜に対して行う加熱処理または光照射処理の処理条件をあらかじめ選定する工程と、
別の下層膜を備える別の基板を準備する工程と、
前記別の下層膜の表面に接して別の上層膜を成膜する工程と、
前記別の上層膜に対してあらかじめ選定された前記処理条件で加熱処理または光照射処理を行う工程と
を有することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
(構成9)
前記下層膜と前記別の下層膜は、同じ構成元素で形成されており、前記上層膜と前記別の上層膜は、同じ構成元素で形成されていることを特徴とする構成7または8に記載のマスクブランクの製造方法。
(構成10)
構成7から9のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクを用いる転写用マスクの製造方法であって、
前記下層膜に形成すべき転写パターンを有するレジスト膜をマスクとするドライエッチングによって前記上層膜に転写パターンを形成する工程と、
前記転写パターンが形成された上層膜をマスクとするドライエッチングによって前記下層膜に転写パターンを形成する工程と
を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
前記下層膜を備える基板を準備し、前記下層膜の表面を測定して前記下層膜の表面形状を取得する工程と、
前記下層膜の表面に接して前記上層膜を成膜する工程と、
前記上層膜の表面を測定して前記上層膜の表面形状を取得する工程と、
前記下層膜の表面形状と前記上層膜の表面形状との間における差分形状を算出し、前記差分形状から前記上層膜の膜応力を評価する工程と
を有することを特徴とする膜応力の評価方法である(構成1)。
この差分形状(差分形状データ)とは、例えば、前記下層膜の表面形状(表面形状データ)と前記上層膜の表面形状(表面形状データ)との間の差分をとった形状のことをいう。差分形状は、例えば、一方の表面形状データから他方の表面形状データを差し引いて得られる仮想の形状である。この差分形状の所定領域内(例えば、一辺が142mmの四角形の内側領域)のPV値(その所定領域内における最高高さと最低高さとの差)が小さいほど、上層膜の形成前後や上層膜の形成前後における他の処理(例えば、熱処理、光照射処理、レジスト塗布、膜除去、他の薄膜の成膜、など)の前後で基板の表面形状の変化が小さいことを示す。
どちらの表面形状(表面形状データ)から他方の表面形状(表面形状データ)を差し引く(引き算する)かは、適宜定めることができる。
本発明においては、前記差分形状から前記上層膜の膜応力を評価する工程は、公知の方法を用いて行うことが可能であるが、上層膜の膜応力の数値自体を算出することは必須ではない。その差分形状と上層膜にパターンを形成したときの位置ずれ量との間の相関性が得られればよい。より具体的には、差分形状から算出される所定領域内(例えば、一辺が142mmの四角形の内側領域)におけるPV値と上層膜にパターンを形成したときの位置ずれ量との間の相関関係から、上層膜を形成する好ましい条件を選定すればよい。
本発明においては、下層膜上に上層膜がスパッタリング法によって成膜される場合において、上層膜の膜応力の評価方法が特に重要になってくることがあるためである。スパッタガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどを使用できる。スパッタ装置としては、インライン式のスパッタ装置、枚葉式のスパッタ装置などを使用できる。スパッタ装置としては、DCマグネトロンスパッタ装置、RFマグネトロンスパッタ装置などを使用できる。
ガス圧は、一概に言えないが、例えば、0.05Pa〜0.5Paが使用できる。
基板温度は、一概に言えないが、例えば、20℃〜120℃が使用できる。
スパッタ電力は、一概に言えないが、例えば、0.05kW〜5.0kWが使用できる。
本発明においては、上層膜および下層膜がこれらの材料からなる場合に、上層膜の膜応力の評価方法が特に重要になってくることがあるためである。
上記構成5によれば、例えば、加工プロセスにおいて上層膜に、加熱処理または光照射処理が施されることがあり、これによる上層膜の膜応力への影響を、これらの処理単独でまたはこれらの処理と上層膜の成膜条件を含めて、評価することができる。上記構成5によれば、下層膜上に形成した上層膜の膜応力をさらに精度よく評価することができると共に、上層膜の膜応力が小さくなる上層膜の形成条件をさらに正しく導き出すことができる。これに対し、上記構成5によらない場合、下層膜上に形成した上層膜の膜応力を精度よく評価することができない場合があり、上層膜の膜応力の小さくなる上層膜の形成条件を正しく導き出すことができない場合がある。
上記構成5においては、前記加熱処理または光照射処理の条件が複数である場合が含まれる。これについては後述する。
上記構成6によれば、前記上層膜の膜応力を変化させる目的(積極的目的)で行われる、上層膜への加熱処理または光照射処理による上層膜の膜応力への影響を、これらの処理単独でまたはこれらの処理と上層膜の成膜条件等を含めて、評価することができる。
上記構成6においては、前記加熱処理または光照射処理の条件が複数である場合が含まれる。これについては後述する。
加熱処理の温度は、上記構成5と同様である。
前記膜応力の評価方法を用い、前記上層膜の成膜条件と前記差分形状との対応関係から前記別の上層膜の成膜条件をあらかじめ選定する工程と、
別の下層膜を備える別の基板を準備する工程と、
前記別の下層膜の表面に接して別の上層膜をあらかじめ選定された前記成膜条件で成膜する工程とを有する
ことを特徴とする(構成7)。
上記構成7によれば、下層膜上に形成した上層膜の膜応力を合理的かつ精度よく評価することができると共に、上層膜の膜応力が小さくなる上層膜の形成条件を合理的かつ正しく評価し選定することができる。これにより、上層膜の膜応力が十分に小さいマスクブランクが製造できる。これに対し、上記構成7によらない場合、下層膜上に形成した上層膜の膜応力を精度よく評価することができない場合があり、上層膜の膜応力の小さくなる上層膜の形成条件を正しく評価し選定できない場合がある。
上記構成7においては、前記上層膜の成膜条件が複数である場合が含まれる。これについては後述する。
なお、「別の基板」、「別の下層膜」、「別の上層膜」としたのは、本発明の膜応力の評価方法で用いた、基板、下層膜、上層膜と、この評価方法の結果に基づいて実施されるマスクブランクの製造方法で使用される基板、下層膜、上層膜とは、各々別のものであることを疑義が生じぬよう明らかにする趣旨である。このことは、以降の構成においても同様である。
前記膜応力の評価方法を用い、前記上層膜に対する加熱処理または光照射処理の処理条件と前記差分形状との対応関係から前記別の上層膜に対して行う加熱処理または光照射処理の処理条件をあらかじめ選定する工程と、
別の下層膜を備える別の基板を準備する工程と、
前記別の下層膜の表面に接して別の上層膜を成膜する工程と、
前記別の上層膜に対してあらかじめ選定された前記処理条件で加熱処理または光照射処理を行う工程と
を有することを特徴とする(構成8)。
上記構成8によれば、下層膜上に形成した上層膜に対する加熱処理または光照射処理の処理条件を合理的かつ精度よく評価することができると共に、上層膜に対する加熱処理または光照射処理の処理条件を合理的かつ正しく評価し選定することができる。これにより、上層膜の膜応力が十分に小さいマスクブランクが製造できる。これに対し、上記構成8によらない場合、下層膜上に形成した上層膜に対する加熱処理または光照射処理の処理条件を合理的かつ精度よく評価することができない場合があり、上層膜に対する加熱処理または光照射処理の処理条件を合理的かつ正しく評価し選定できない場合がある。
上記構成8においては、前記上層膜に対する加熱処理または光照射処理の処理条件が複数である場合が含まれる。これについては後述する。
これにより双方の影響を踏まえた、成膜条件および、加熱処理または光照射処理の処理条件を選択することができ、これらの条件の最適化を図ることが可能となる。
本発明において、前記下層膜と前記別の下層膜は、同じ成膜条件、および/または、同じ加熱処理または光照射処理の処理条件で形成されており、前記上層膜と前記別の上層膜は、同じ成膜条件、および/または、同じ加熱処理または光照射処理の処理条件で形成されている場合が含まれる。
本発明では、例えば、成膜条件を変化させたものに対して、加熱処理または光照射処理の処理条件を変化させて評価を行うことができる。これにより、成膜条件の違いに応じて、加熱処理または光照射処理の処理条件を厳密に制御でき、これらの条件の最適化を図ることが可能となる。
複数の上層膜は、上層膜の条件を変えた(意図的に変えた)場合が含まれ、上層膜の条件が同じ(意図的に変えていない)場合が含まれる。上層膜の条件としては、例えば、上層膜の成膜条件(例えば、ガス圧、基板温度、スパッタ電力等)、上層膜の成膜装置、上層膜の組成、上層膜の膜厚や、上層膜に施される処理(例えば、熱処理、光やエネルギー等の照射処理、レジスト塗布、上層膜の除去(全面剥離を含む)、他の薄膜の成膜や膜除去(全面剥離を含む)、など)が挙げられる。
この場合、例えば、複数の上層膜のそれぞれについて、上層膜の条件のうちの1つの条件を変化させ、上層膜の条件のうちの他の条件を固定し、複数の上層膜のそれぞれについて、前記差分形状から前記上層膜の膜応力を評価し、それらの評価結果を比較する工程とすることができる。
また、本発明においては、上記工程Aにおいて、例えば、複数の上層膜の条件が同じ(意図的に変えていない)場合、それらの評価結果を比較することで、有益な情報を得ることが可能となる場合がある。
本発明においては、下層膜が遮光膜または遮光膜の上層(遮光膜が複数層で構成される場合における一番上側の層)で、上層膜がエッチングマスク膜(ハードマスク膜)である態様が含まれる。このとき、エッチングマスク膜に反射防止機能を持たせることにより、下層膜上にエッチングマスク膜を残した状態で転写用マスクを作製する態様が含まれる。
これらの場合、例えば、下層膜としては、上述した「ケイ素を含有する材料」、「ケイ素を含む材料」、または「ケイ素とケイ素以外の金属とを含む材料」等が挙げられ、上層膜としては、上述した「クロムを含む材料」等が挙げられる。
本発明においては、例えば、下層膜が位相シフト膜(例えばMoSiN膜)であり、上層膜が遮光膜(例えば CrOCN/CrN/CrOCN積層膜)である態様、下層膜が遮光膜(例えばMoSi系膜)または遮光膜の上層(例えばMoSiN膜)であり、上層膜がハードマスク膜(例えばCrN膜)である態様、下層膜が位相シフト膜(例えばMoSiN膜)であり、上層膜がエッチングストッパー膜(例えば CrN膜)である態様、が含まれる。
本発明において、下層膜と上層膜の材料としては、互いにエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)材料で構成することが好ましい。
スパッタガス、スパッタ装置、ガス圧、基板温度、スパッタ電力等に関しては、上記構成3に記載のものを使用できる。
本発明では、前記遮光膜に、内部応力を低減するための加熱処理を行う工程を有する場合が含まれる。
下層膜および上層膜の除去は、下層膜および上層膜にパターンを形成するときに用いられるドライエッチングと同様の方法で行うことができる。下層膜および上層膜を構成する材料の組成によっては、下層膜および上層膜の除去にウェットエッチングを適用してもよい。
本発明は、基板の材料が合成石英ガラスである場合に適する。合成石英ガラスを用いる場合は、基板の表面形状およびその変形に関する要求が高いためである。
本発明の評価方法およびマスクブランクの製造方法は、位相シフトマスクを作製するための位相シフトマスクブランクに適用することが可能である。例えば、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクのほかに、エンハンサー型位相シフトマスク用のマスクブランク、レベンソン型位相シフトマスク用のマスクブランクに適用することが可能である。
本発明の評価方法およびマスクブランクの製造方法は、露光光がKrFである転写マスクを作製するためのマスクブランクや、露光光がArFである転写マスクを作製するためのマスクブランク、さらに、ダブルパターニング技術が適用される転写用マスクを作製するためのマスクブランクに適用することが可能である。
前記下層膜に形成すべき転写パターンを有するレジスト膜をマスクとするドライエッチングによって前記上層膜に転写パターンを形成する工程と、
前記転写パターンが形成された上層膜をマスクとするドライエッチングによって前記下層膜に転写パターンを形成する工程と
を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法である(構成10)。
本発明では、上記製造方法において、下層膜のパターン上に上層膜のパターンがある状態から、前記所定領域内にある上層膜のパターンを剥離し、前記所定領域内では下層膜のパターンだけの状態(下層膜のパターン上に上層膜のパターンがない状態)にする工程を有することができる。
[実施例1]
(実験例1)
(工程1:基板の準備および表面形状測定)
まず、主表面の寸法が約152mm×約152mmで、厚さが約6.35mmの合成石英ガラスからなる透光性基板を複数枚準備した。この透光性基板は、主表面を所定の平坦度および表面粗さに研磨され、その後、所定の洗浄処理および乾燥処理を施されたものであった。なお、この透光性基板は、薄膜が形成される側の主表面(以下、一方の主表面という)の142mm四方の内側領域における平坦度は、+0.3μm以下であり、表面形状は凸形状であった(以降、表面形状については、凸形状を正の数値で、凹形状を負の数値でそれぞれ表す。)。また、主表面の表面粗さは、一辺が1μmの四角形内の測定領域での自乗平方根平均粗さRqで0.2nm以下であった。
そして、この透光性基板の一方の主表面形状を、表面形状解析装置(UltraFLAT 200M(Corning TROPEL社製))を用いて測定した(測定領域は、透光性基板の中心を基準とした一辺が150mmの四角形の内側領域。以降、表面形状解析装置で測定している表面形状の測定領域は同じ。)。
上記工程1と同等の特性(平坦度が+0.3μm、表面形状は凸形状、表面粗さがRqで0.2nm以下)の透光性基板を新たに準備し、この透光性基板の一方の主表面の表面形状を、表面形状解析装置を用いて測定した。
ちなみに、この膜応力は、上記成膜条件を変化させて得られる膜応力と比べても、相対的に小さいと考えられるため、この膜の成膜条件を遮光膜(上層膜)の成膜条件として選定した。この膜の成膜条件は、遮光膜(上層膜)のエッチングレートが相対的に高く維持できる条件とした。
上記工程1と同等の特性(平坦度が+0.3μm、表面形状は凸形状、表面粗さがRqで0.2nm以下)の透光性基板を新たに準備し、この透光性基板の一方の主表面の表面形状を、表面形状解析装置を用いて測定した。
そして、ハーフトーン型位相シフト膜(下層膜)の表面形状を、上記と同一の表面形状解析装置を用いて測定した。
次に、ハーフトーン型位相シフト膜(下層膜)備えた透光性基板を、ホットプレートを用いて、280℃の温度で30分間の加熱処理を行い、ハーフトーン型位相シフト膜(下層膜)の内部応力を低減させる処理を行った。そして、加熱処理後のハーフトーン型位相シフト膜(下層膜)の表面形状を、上記と同一の表面形状解析装置を用いて測定した。
次に、上記工程2と同じ条件で遮光膜(上層膜)をハーフトーン型位相シフト膜(下層膜)上に形成し、透光性基板上にハーフトーン位相シフト膜(下層膜)と遮光膜(上層膜)が積層したマスクブランクを製造した。上記工程2と同じ条件で熱処理(アニール処理)し、その後遮光膜(上層膜)の表面形状を測定した。
工程5に続いて、遮光膜上にレジスト膜をスピン塗布法によって250nm厚で形成した。次に、レジスト膜にテストパターン(テストに適したパターンをいう、以下同様)を描画露光し、現像処理等を行い、レジストパターンを形成した。テストパターンが形成されたレジスト膜に対し、パターン位置測定装置(KLA−Tencor社製 LMS IPRO Series)を用いてテストパターンの測定を行った。
続いて、レジストパターンをマスクとしたドライエッチングを行い、遮光膜にテストパターンを形成した。レジスト膜を剥離し、テストパターンが形成された遮光膜に対し、パターン位置測定装置を用いてテストパターンの測定を行った。
そして、パターン位置測定装置で、レジスト膜に形成されたテストパターンと遮光膜に形成されたテストパターンを比較させ、遮光膜に形成されたテストパターンの位置ずれ量を求めたところ、位置ずれは許容範囲内であった。
そして、パターン位置測定装置で、レジスト膜に形成されたテストパターンとハーフトーン型位相シフト膜と遮光膜に形成されたテストパターンを比較させ、ハーフトーン型位相シフト膜に形成されたテストパターンの位置ずれ量を求めたところ、位置ずれは許容範囲内であった。
遮光膜パターン剥離後のハーフトーン型位相シフト膜パターンについて、パターン位置測定装置を用いてテストパターンの測定を行った。
そして、パターン位置測定装置で、遮光膜パターン剥離後のハーフトーン型位相シフト膜に形成されたテストパターンとハーフトーン型位相シフト膜と遮光膜に形成されたテストパターンを比較させ、ハーフトーン型位相シフト膜に形成されたテストパターンの位置ずれ量を求めたところ、最大で14〜18nmであった。この位置ずれ量は、従来ArF露光用のハーフトーン型位相シフトマスクを用いていた比較的疎な回路パターンのレイヤーで許容されるパターン位置精度の範囲を超えていた。このため、このKrF露光用のマスクブランクは、上記の比較的疎な回路パターンのレイヤーでも適用することは困難である。
上記工程2を新たに実施した。そして、透光性基板上に直接遮光膜が形成された膜付基板に対し、遮光膜をエッチングで除去して再度露出した透光性基板の一方の主表面の形状を上記と同一の表面形状解析装置を用いて測定し、遮光膜を形成前の主表面の表面形状と比較したところ、基板の表面形状にはエッチングによる影響程度の微差しかなかった。すなわち、特許文献2および特許文献4に開示されているような透光性基板の主表面の表面形状自体が大きく変化しているわけではなかった。
上記工程3〜工程5を新たに実施した。そして、位相シフト膜上に遮光膜を形成された膜付基板に対し、遮光膜をエッチングで除去して再度露出した位相シフト膜の表面形状を上記と同一の表面形状解析装置を用いて測定し、遮光膜を形成前の位相シフト膜の表面形状と比較したところ、位相シフト膜の表面形状にはエッチングによる影響程度の微差しかなかった。よって、この場合も位相シフト膜の膜応力や透光性基板の表面形状が大きく変化しているわけではなかった。
実験例2においては、上記実験例1の工程2を除き、上記実験例1と同様の工程1、3〜8を実施した。
実験例2においては、上記実験例1の工程2に替えて、以下に示す工程9を実施した。
上記実験例1の工程1、2と同等の特性(平坦度が+0.3μm、表面形状は凸形状、表面粗さがRqで0.2nm以下)の透光性基板を新たに準備し、この透光性基板の一方の主表面形状を、表面形状解析装置を用いて測定した。
上記で求めた、透光性基板の一方の主表面の表面形状と遮光膜(上層膜)の表面形状(熱処理後)との間の差分形状を算出した。このとき、差分形状の上記所定領域内における最高高さと最低高さの差(PV値)で膜応力を評価した。この差分形状のPV値は、+0.07[μm]であった。
ちなみに、この膜応力は、上記成膜条件を変化させて得られる膜応力と比べても、相対的に小さいと考えられるため、この膜の成膜条件を遮光膜(上層膜)の成膜条件として選定した。この膜の成膜条件は、上記実験例1の工程2の結果を検討した上で考慮を重ね選定した。この膜の成膜条件は、遮光膜(上層膜)のエッチングレートが相対的に高く維持できる条件とした。
上記実験例1の工程3〜4(下層膜の形成まで)を同じ条件で新たに実施し、続けて、上記工程9と同じ条件で上層膜を下層膜上に形成し、透光性基板上にハーフトーン位相シフト膜(下層膜)と遮光膜(上層膜)が積層したマスクブランクを製造した。上記工程9と同じ条件で熱処理(アニール処理)し、その後遮光膜の表面形状を測定した。
上記実施例1の工程4で求めた加熱処理後の下層膜の表面形状と工程10で求めた遮光膜(上層膜)の表面形状(熱処理後)との間の差分形状を算出した。このとき、差分形状の上記所定領域内における最高高さと最低高さの差(PV値)で膜応力を評価した。この差分形状のPV値は、−0.08[μm]であった。
工程10に続いて、上記実施例1の工程6と同じ条件でパターニングおよび位置精度測定を行った。
パターン位置測定装置で、遮光膜パターン剥離後のハーフトーン型位相シフト膜に形成されたテストパターンとハーフトーン型位相シフト膜と遮光膜に形成されたテストパターンを比較させ、ハーフトーン型位相シフト膜に形成されたテストパターンの位置ずれ量を求めたところ、最大で3〜5nmであった。この位置ずれ量は、従来ArF露光用のハーフトーン型位相シフトマスクを用いていた比較的疎な回路パターンのレイヤーで許容されるパターン位置精度の範囲内であった。このため、このKrF露光用のマスクブランクは、上記の比較的疎な回路パターンのレイヤーに適用できる。
なお、実験例2に関し、上記実験例1の工程7、工程8と同様の工程を実施し、上記実験例1の工程7、工程8と同様のことを確認した。
本発明においては、上記工程1〜11の結果に基づいて、上層膜の成膜条件を選定する工程を有するマスクブランクの製造方法が含まれる。
上記工程10を同じ条件で新たに実施することによって、透光性基板上に位相シフト膜(下層膜)を形成し、その位相シフト膜上に遮光膜(上層膜)を形成することにより、KrFエキシマレーザー(波長248nm)用のハーフトーン型位相シフトマスクブランクを製造した。このとき、各工程間で行う表面形状の測定は省略した。
上記マスクブランクの製造工程に続いて、遮光膜上にレジスト膜をスピン塗布によって形成した。そのレジスト膜に、従来はArF露光用位相シフトマスクで形成していた比較的疎な回路パターン(転写パターン)を電子線描画露光し、所定の現像処理等を施してレジストパターンを形成した。そのレジストパターンをマスクとし、酸素含有塩素系ガス(Cl2とO2の混合ガス)によるドライエッチングを行い、遮光膜に転写パターンを形成した。続いて、転写パターンが形成された遮光膜をマスクとし、フッ素系ガス(SF6とHeの混合ガス)によるドライエッチングを行い、位相シフト膜に転写パターンを形成した。次に、遮光膜上に、遮光帯を含む遮光パターンを有するレジストパターンを形成した。さらに、そのレジストパターンをマスクとし、酸素含有塩素系ガスによるドライエッチングを行い、遮光膜に遮光帯を含む遮光パターンを形成した。さらに、所定の洗浄等を施し、KrFエキシマレーザー(波長248nm)用のハーフトーン型位相シフトマスクを製造した。このとき、各工程間で行う表面形状の測定は省略した。パターン位置測定装置で、設計パターンと、ハーフトーン型位相シフト膜と遮光膜に形成された各パターンとを比較したところ、従来ArF露光用のハーフトーン型位相シフトマスクを用いていた比較的疎な回路パターンのレイヤーで許容されるパターン位置精度の範囲内に収まっていた。
Claims (10)
- 基板上に下層膜と上層膜を備えるマスクブランクにおける膜応力の評価方法であって、
前記下層膜を備える基板を準備し、前記下層膜の表面を測定して前記下層膜の表面形状を取得する工程と、
前記下層膜の表面に接して前記上層膜を成膜する工程と、
前記上層膜の表面を測定して前記上層膜の表面形状を取得する工程と、
前記下層膜の表面形状と前記上層膜の表面形状との間における差分形状を算出し、前記差分形状から前記上層膜の膜応力を評価する工程と
を有することを特徴とする膜応力の評価方法。 - 前記上層膜の膜応力を評価する工程は、前記差分形状の所定領域内における最高高さと最低高さの差で膜応力を評価する工程であることを特徴とする請求項1記載の膜応力の評価方法。
- 前記上層膜を成膜する工程は、上層膜をスパッタリング法によって成膜する工程であることを特徴とする請求項1または2に記載の膜応力の評価方法。
- 前記下層膜は、ケイ素を含有する材料からなり、前記上層膜は、クロムを含有する材料からなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の膜応力の評価方法。
- 前記上層膜を成膜する工程の後、かつ前記上層膜の膜応力を評価する工程の前に、加熱処理または光照射処理を行う工程を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の膜応力の評価方法。
- 前記加熱処理および光照射処理は、前記上層膜の膜応力を変化させる処理であることを特徴とする請求項5記載の膜応力の評価方法。
- 請求項1から4のいずれかに記載の膜応力の評価方法を用いた、別の基板上に別の下層膜と別の上層膜を備えるマスクブランクの製造方法であって、
前記膜応力の評価方法を用い、前記上層膜の成膜条件と前記差分形状との対応関係から前記別の上層膜の成膜条件をあらかじめ選定する工程と、
別の下層膜を備える別の基板を準備する工程と、
前記別の下層膜の表面に接して別の上層膜をあらかじめ選定された前記成膜条件で成膜する工程とを有する
ことを特徴とするマスクブランクの製造方法。 - 請求項5または6に記載の膜応力の評価方法を用いた、別の基板上に別の下層膜と別の上層膜を備えるマスクブランクの製造方法であって、
前記膜応力の評価方法を用い、前記上層膜に対する加熱処理または光照射処理の処理条件と前記差分形状との対応関係から前記別の上層膜に対して行う加熱処理または光照射処理の処理条件をあらかじめ選定する工程と、
別の下層膜を備える別の基板を準備する工程と、
前記別の下層膜の表面に接して別の上層膜を成膜する工程と、
前記別の上層膜に対してあらかじめ選定された前記処理条件で加熱処理または光照射処理を行う工程と
を有することを特徴とするマスクブランクの製造方法。 - 前記下層膜と前記別の下層膜は、同じ構成元素で形成されており、前記上層膜と前記別の上層膜は、同じ構成元素で形成されていることを特徴とする請求項7または8に記載のマスクブランクの製造方法。
- 請求項7から9のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクを用いる転写用マスクの製造方法であって、
前記下層膜に形成すべき転写パターンを有するレジスト膜をマスクとするドライエッチングによって前記上層膜に転写パターンを形成する工程と、
前記転写パターンが形成された上層膜をマスクとするドライエッチングによって前記下層膜に転写パターンを形成する工程と
を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015071796A JP2016191822A (ja) | 2015-03-31 | 2015-03-31 | 膜応力の評価方法、マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015071796A JP2016191822A (ja) | 2015-03-31 | 2015-03-31 | 膜応力の評価方法、マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016191822A true JP2016191822A (ja) | 2016-11-10 |
Family
ID=57246696
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015071796A Pending JP2016191822A (ja) | 2015-03-31 | 2015-03-31 | 膜応力の評価方法、マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016191822A (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003315980A (ja) * | 2002-04-22 | 2003-11-06 | Hoya Corp | フォトマスクブランクの製造方法 |
JP2010237499A (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-21 | Shin-Etsu Chemical Co Ltd | フォトマスクブランク及びフォトマスク |
JP2010237502A (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-21 | Shin-Etsu Chemical Co Ltd | フォトマスクブランク又はその製造中間体の検査方法、高エネルギー線の照射エネルギー量の決定方法、及びフォトマスクブランクの製造方法 |
WO2014073389A1 (ja) * | 2012-11-08 | 2014-05-15 | Hoya株式会社 | マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法 |
US20140170534A1 (en) * | 2009-10-09 | 2014-06-19 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Phase shift masks and methods of forming phase shift masks |
-
2015
- 2015-03-31 JP JP2015071796A patent/JP2016191822A/ja active Pending
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003315980A (ja) * | 2002-04-22 | 2003-11-06 | Hoya Corp | フォトマスクブランクの製造方法 |
JP2010237499A (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-21 | Shin-Etsu Chemical Co Ltd | フォトマスクブランク及びフォトマスク |
JP2010237502A (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-21 | Shin-Etsu Chemical Co Ltd | フォトマスクブランク又はその製造中間体の検査方法、高エネルギー線の照射エネルギー量の決定方法、及びフォトマスクブランクの製造方法 |
US20140170534A1 (en) * | 2009-10-09 | 2014-06-19 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Phase shift masks and methods of forming phase shift masks |
WO2014073389A1 (ja) * | 2012-11-08 | 2014-05-15 | Hoya株式会社 | マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5455147B2 (ja) | フォトマスクブランクの製造方法及びフォトマスクの製造方法、並びに半導体装置の製造方法 | |
JP5296260B2 (ja) | マスクブランク用基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、転写用マスクの製造方法及び半導体デバイスの製造方法 | |
TW201702733A (zh) | 相位移光罩空白片、相位移光罩及相位移光罩空白片的製造方法 | |
EP2657764B1 (en) | Manufacturing method of a photomask blank | |
JP6371221B2 (ja) | マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法 | |
TW201635008A (zh) | 光罩基底、相移光罩、相移光罩之製造方法及半導體裝置之製造方法 | |
US11022875B2 (en) | Mask blank, phase shift mask, and method of manufacturing semiconductor device | |
JP2016004223A (ja) | マスクブランク、位相シフトマスク、位相シフトマスクの製造方法および半導体デバイスの製造方法 | |
US11314161B2 (en) | Mask blank, phase shift mask, and method of manufacturing semiconductor device | |
TW202201116A (zh) | 遮罩基底及轉印用遮罩之製造方法 | |
JP3806711B2 (ja) | 反射型マスクブランク及び反射型マスクの製造方法、並びに半導体装置の製造方法 | |
KR20080025342A (ko) | 그레이톤 블랭크 마스크 및 포토마스크의 제조방법 | |
TWI827878B (zh) | 光罩基底、相偏移光罩及半導體裝置之製造方法 | |
JP2016191822A (ja) | 膜応力の評価方法、マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法 | |
TWI697033B (zh) | 遮罩基底用基板之製造方法、遮罩基底之製造方法、轉印用遮罩之製造方法、半導體元件之製造方法、遮罩基底用基板、遮罩基底及轉印用遮罩 | |
US20230142180A1 (en) | Mask blank, transfer mask, and method of manufacturing semiconductor device | |
JP2014006469A (ja) | マスクブランク、転写用マスク、転写用マスクの製造方法および半導体デバイスの製造方法 | |
JP2022083394A (ja) | 位相シフトマスクブランク、位相シフトマスクの製造方法及び表示装置の製造方法 | |
JP2024004082A (ja) | マスクブランク、転写用マスク、転写用マスクの製造方法、及び表示装置の製造方法 | |
JP2022135927A (ja) | 反射型マスクブランク及び反射型マスク | |
JP6336792B2 (ja) | マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法 | |
JP2024006605A (ja) | マスクブランク、転写用マスク、転写用マスクの製造方法、及び表示装置の製造方法 | |
JP2015045783A (ja) | マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180207 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20181219 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20181226 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20190221 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20190626 |