JP2014006469A - マスクブランク、転写用マスク、転写用マスクの製造方法および半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

マスクブランク、転写用マスク、転写用マスクの製造方法および半導体デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光半透過膜等の第1の膜上に遮光膜等の第2の膜が積層したマスクブランクにおいて、レジストパターンをマスクとして第2の膜に対し、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスでドライエッチングを行っても、微細なパターンを形成することが可能なマスクブランクを提供する。
【解決手段】本発明のマスクブランクは、転写用マスクを作製するために用いられるものであり、基板上に、前記基板側から第1の膜と第2の膜が順に積層した構造を有する。前記第1の膜は、フッ素系ガスによるドライエッチングが可能な材料からなる。前記第2の膜は、下層と上層の積層構造からなる。前記下層は、モリブデンまたはタングステンを含有し、ケイ素の含有量が0at%以上10at%未満である材料からなる。前記上層は、クロムと酸素を含有し、クロムの含有量が50at%未満であり、酸素の含有量が25at%以上である材料からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、マスクブランク、転写用マスク、転写用マスクの製造方法、および半導体デバイスの製造方法に関する。
一般に、半導体デバイスの製造工程では、フォトリソグラフィー法を用いて微細パターンの形成が行われている。この微細パターンの形成には、通常何枚もの転写用マスクと呼ばれている基板が使用される。この転写用マスクは、一般に透光性のガラス基板上に、金属薄膜等からなる微細パターンを設けたものである。この転写用マスクの製造においてもフォトリソグラフィー法が用いられている。
半導体デバイスのパターンを微細化するに当たっては、転写用マスクに形成されるマスクパターンの微細化に加え、フォトリソグラフィーで使用される露光光源の波長の短波長化が必要となる。半導体装置製造の際に用いられる露光光源は、近年ではKrFエキシマレーザー(波長248nm)から、ArFエキシマレーザー(波長193nm)へと短波長化が進んでいる。
転写用マスクの種類としては、従来の透光性基板上にクロム系材料からなる遮光膜パターンを備えたバイナリマスクの他に、ハーフトーン型位相シフトマスクが知られている。このハーフトーン型位相シフトマスクは、透光性基板上に光半透過膜パターンを備えたものである。この光半透過膜(ハーフトーン型位相シフト膜)は、実質的に露光に寄与しない強度で光を透過させ、かつその光半透過膜を透過した光に、同じ距離だけ空気中を通過した光に対して所定の位相差を生じさせる機能を有しており、これにより、いわゆる位相シフト効果を生じさせている。
一般に、転写用マスクにおける転写パターンが形成される領域の外周領域は、露光装置を用いて半導体ウェハ上のレジスト膜に露光転写した際に、外周領域を透過した露光光による影響をレジスト膜が受けないように、所定値以上の光学濃度(OD)を確保することが求められている。通常、転写用マスクの外周領域では、ODが3以上あると望ましいとされており、少なくとも2.8程度は必要とされている。しかし、ハーフトーン型位相シフトマスクの光半透過膜は、露光光を所定の透過率で透過させる機能を有しており、この光半透膜だけでは、転写用マスクの外周領域に求められている光学濃度を確保することが困難である。このため、特許文献1に開示されている位相シフトマスクブランクのように、露光光に対して所定の位相シフト量および透過率を有する半透明膜の上に遮光膜(遮光性膜)を積層し、半透明膜と遮光膜との積層構造で所定の光学濃度を確保することが行われている。
一方、特許文献2に開示されているようなフォトマスクブランクも存在する。このフォトマスクブランクの半透明積層膜は、その膜中を透過する露光光の位相が空気中を同じ距離だけ通過した露光光の位相よりも進む特性を有する位相進行膜と、逆に、その膜中を透過する露光光の位相が遅れる特性を有する位相遅延膜とが積層したものである。このような構成にすることによって、半透明積層膜を透過する露光光は、空気中を同じ距離だけ通過した露光光との間で位相差が生じないようにすることができる。このような特性を有する半透明積層膜も、単独では転写用マスクの外周領域に求められている光学濃度を確保することが困難である。このため、特許文献2に開示されているフォトマスクブランクにおいても、半透明積層膜の上に遮光膜を積層し、半透明積層膜と遮光膜との積層構造で所定の光学濃度を確保するようにしている。
特開2007−033469号公報 特開2006−215297号公報
特許文献1や特許文献2で開示されているような露光光を所定の透過率で透過させるような薄膜(光半透過膜)で転写パターンを形成するタイプの転写用マスクは、光半透過膜の上に遮光膜を積層したマスクブランクを用いて作製される。このマスクブランクから作製される転写用マスクでは、基板上の転写パターンが形成される領域には、遮光パッチ等を形成する必要のある特定領域を除いては、光半透過膜のパターンのみが存在する。一方、所定の光学濃度が必要な外周領域(ブラインドエリア)には、光半透過膜と遮光膜が積層した状態の層(遮光帯)が存在する。このような構成の転写用マスクを作製する必要があるため、光半透過膜と遮光膜が間に他の膜を介さずに積層する構造の場合には、光半透過膜と遮光膜とは互いにエッチング特性の異なる材料で形成する必要がある。
前記のようなマスクブランクから転写用マスクを作製する手順としては、以下の通りである。最初に、遮光膜上に光半透過膜に形成すべきパターンを有する第1のレジストパターンを設ける。次に、第1のレジストパターンをマスクとして、遮光膜をエッチングしてパターンを形成する。次に、第1のレジストパターンを除去する。次に、遮光膜のパターンをマスクとして、光半透過膜をエッチングして光半透過膜パターンを形成する。次に、遮光膜上に、遮光膜に形成すべきパターンを有する第2のレジストパターンを設ける。次に、第2のレジストパターンをマスクとして遮光膜をエッチングして遮光膜パターン(遮光帯)を形成する。最後に第2のレジストパターンを除去し、所定の洗浄工程を経て、転写用マスクが出来上がる。
光半透過膜に形成すべきパターンは、半導体ウェハ上のレジスト膜に露光転写するものであるため、非常に微細なパターンである。しかし、マスクブランクにおける光半透過膜の上には遮光膜が積層しているため、遮光膜に一度、光半透過膜に形成すべきパターンを形成しなければならない。前記のとおり、光半透過膜に対しては、露光光を所定の透過率で透過させること以外の機能を兼ね備えさせる場合が多い。そして、このような特性を光半透過膜に持たせるために、ケイ素を含有する材料や、ケイ素と遷移金属を含有する材料を適用することが多い。これらの材料からなる光半透過膜に微細パターンを形成する場合、フッ素系ガスによるドライエッチングでパターニングすることが望ましい。
光半透過膜をフッ素系ガスによるドライエッチングでパターニングすることを前提として、前記の転写用マスクの作製プロセスを実現するには、遮光膜はフッ素系ガスによるドライエッチングに対して耐性を有する材料である必要がある。それに加え、フッ素系ガス以外のエッチングガスで、光半透過膜に形成すべき微細パターンを遮光膜に形成できることも必要である。これらの条件を同時に満たす遮光膜の材料としては、クロムを含有する材料が挙げられ、従来用いられてきている。クロムを含有する材料からなる遮光膜に微細パターンを形成するために用いられるエッチングガスは、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスである。
しかし、一般に使用される有機系材料で形成されるレジスト膜は、酸素ガスのプラズマに対する耐性が、ほかのガスのプラズマに対する耐性に比べて大幅に低い。このため、クロム系材料の遮光膜を塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスでドライエッチングした場合、レジスト膜の消費量(エッチング中に生じるレジスト膜の減膜量)が多くなる。ドライエッチングによって遮光膜に微細パターンを高い精度で形成するには、遮光膜のパターニング完了時に、所定以上の厚さでレジスト膜が残存している必要がある。しかし、最初にパターンを形成するレジスト膜の膜厚を厚くすると、レジストパターンの断面アスペクト比(パターン線幅に対する膜厚の比率)が大きくなり過ぎるために、レジストパターンが倒壊する現象が発生しやすくなる。この問題を解決する方法として、遮光膜の膜厚をより薄くするか、遮光膜のエッチングレートをより速くすることが考えられる。
クロムを含有する材料からなる薄膜は、膜中の酸素含有量が多くなるに従い、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスでドライエッチングするときのエッチングレートが速くなる傾向がある。また、一般に金属を含有する薄膜は、膜中の酸素含有量が多くなるに従い、光学濃度が低下する傾向がある。クロムを含有する材料からなる遮光膜において、薄い膜厚で所定以上の光学濃度を確保しようとすると、膜中の酸素含有量を減らす必要があるため、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスでのエッチングレートが遅くなってしまい、レジスト膜の膜厚を薄くすることが難しくなる。また、クロムを含有する材料からなる遮光膜において、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスでのエッチングレートを速くしようとすると、膜中の酸素含有量を増やす必要があるため、所定の光学濃度を確保するために必要な遮光膜の膜厚が厚くなってしまい、レジスト膜の膜厚を薄くすることが難しくなる。
このような問題を解決する手段として、クロムを含有する材料からなる遮光膜の上に、ケイ素を含有する材料からなるエッチングマスク膜(ハードマスク膜)を積層したマスクブランクを適用することが考えられている。しかし、このマスクブランクの場合、各層を異なるエッチングガスで交互にエッチングしていくプロセスを適用する必要があるため、転写用マスクの作製プロセスが複雑化するという問題がある。
近年、より微細なパターンを露光転写する技術として、ダブルパターニング技術が適用され始めている。ダブルパターニング技術は、微細な1つの転写パターンを、2つの比較的疎な転写パターンに分割する技術であり、従来のArF露光光を用いたリソグラフィでは実現できなかった微細パターンを露光転写できるようになる技術である。このダブルパターニング技術を適用するリソグラフィの中には、半導体ウェハ上の同じ1つのレジスト膜に対して、ダブルパターニング技術で分割されたパターンが形成された2枚の転写用マスクを用いて順に露光転写を行うダブル露光技術がある。このダブル露光技術を用いた場合、転写用マスクの外周領域を透過する露光光が、半導体ウェハ上のレジストに照射される量は従来の2倍になる。従来は、光半透過膜に比べて光学濃度の高い遮光膜を用いた転写用マスク(バイナリマスク)の場合、転写用マスクの外周領域を透過する露光光による半導体ウェハ上のレジスト膜への影響は考慮する必要はなかった。しかし、このダブル露光技術が適用される場合、光学濃度の比較的高い遮光膜に転写パターンを形成する転写用マスクであっても、外周領域に遮光帯を形成することを考慮する必要が生じる。このため、バイナリマスクの場合であっても、ハーフトーン型位相シフトマスクの場合と同様の問題が生じる場合がある。
そこで、本発明は、従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、光半透過膜等の第1の膜上に遮光膜等の第2の膜が積層したマスクブランクにおいて、レジストパターンをマスクとして第2の膜に対し、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスでドライエッチングを行っても、微細なパターンを形成することが可能なマスクブランクを提供することである。また、このマスクブランクを用いて製造される転写用マスクおよびその製造方法を提供することである。さらに、この転写用マスクを用いた半導体デバイスの製造方法を提供することである。
前記の課題を達成するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
転写用マスクを作製するために用いられるものであり、基板上に、前記基板側から第1の膜と第2の膜が順に積層した構造を有するマスクブランクであって、
前記第1の膜は、フッ素系ガスによるドライエッチングが可能な材料からなり、
前記第2の膜は、下層と上層の積層構造からなり、
前記下層は、モリブデンまたはタングステンを含有し、ケイ素の含有量が0at%以上10at%未満である材料からなり、
前記上層は、クロムと酸素を含有し、クロムの含有量が50at%未満であり、酸素の含有量が25at%以上である材料からなることを特徴とするマスクブランク。
(構成2)
前記下層は、モリブデンまたはタングステンを含有し、ケイ素を含有しない材料からなることを特徴とする構成1記載のマスクブランク。
(構成3)
前記下層は、さらに窒素を含有する材料からなることを特徴とする構成1または2に記載のマスクブランク。
(構成4)
前記第2の膜は、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスによるドライエッチングが可能な材料からなることを特徴とする構成1から3のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成5)
前記第1の膜は、ケイ素を含有する材料、またはケイ素と遷移金属を含有する材料であって、遷移金属の含有量よりもケイ素の含有量の方が多い材料からなることを特徴とする構成1から4のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成6)
前記第1の膜は、第2の膜側の表層に酸化層が形成されていることを特徴とする構成1から5のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成7)
前記上層の表面に接してレジスト膜が100nm以下の膜厚で形成されていることを特徴とする構成1から6のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成8)
前記第1の膜と第2の膜の積層構造は、ArF露光光に対する光学濃度が2.8以上であることを特徴とする構成1から7のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成9)
前記第1の膜は、ArF露光光に対する透過率が1%以上の光半透過膜であることを特徴とする構成1から8のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成10)
基板上に、前記基板側から第1のパターンを有する第1の膜と第2のパターンを有する第2の膜が順に積層した転写用マスクであって、
前記第1の膜は、フッ素系ガスによるドライエッチングが可能な材料からなり、
前記第2の膜は、下層と上層の積層構造からなり、
前記下層は、モリブデンまたはタングステンを含有し、ケイ素の含有量が0at%以上10at%未満である材料からなり、
前記上層は、クロムと酸素を含有し、クロムの含有量が50at%未満であり、酸素の含有量が25at%以上である材料からなることを特徴とする転写用マスク。
(構成11)
前記下層は、モリブデンまたはタングステンを含有し、ケイ素を含有しない材料からなることを特徴とする構成10記載の転写用マスク。
(構成12)
前記下層は、さらに窒素を含有する材料からなることを特徴とする構成10または11に記載の転写用マスク。
(構成13)
前記第2の膜は、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスによるドライエッチングが可能な材料からなることを特徴とする構成10から12のいずれかに記載の転写用マスク。
(構成14)
前記第1の膜は、ケイ素を含有する材料、またはケイ素と遷移金属を含有する材料であって、遷移金属の含有量よりもケイ素の含有量の方が多い材料からなることを特徴とする構成10から13のいずれかに記載の転写用マスク。
(構成15)
前記第1の膜は、第2の膜側の表層に酸化層が形成されていることを特徴とする構成10から14のいずれかに記載の転写用マスク。
(構成16)
前記第1の膜と第2の膜の積層構造は、ArF露光光に対する光学濃度が2.8以上であることを特徴とする構成10から15のいずれかに記載の転写用マスク。
(構成17)
前記第1の膜は、ArF露光光に対する透過率が1%以上の光半透過膜であることを特徴とする構成10から16のいずれかに記載の転写用マスク。
(構成18)
構成1から9のいずれかに記載のマスクブランクを用いる転写用マスクの製造方法であって、
前記第2の膜の表面に接して第1のパターンを有するレジスト膜を形成し、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いるドライエッチングによって、前記第2の膜に第1のパターンを形成する工程と、
前記第1のパターンを有するレジスト膜を剥離した後、第1のパターンを有する第2の膜をマスクとして、フッ素系ガスを用いるドライエッチングによって、第1の膜に第1のパターンを形成する工程と、
前記第2の膜の表面に接して第2のパターンを有するレジスト膜を形成し、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いるドライエッチングによって、前記第2の膜に第2のパターンを形成する工程と
を備えることを特徴とする転写用マスクの製造方法。
(構成19)
前記第1のパターンを有するレジスト膜は、膜厚が100nm以下であることを特徴とする構成18に記載の転写用マスクの製造方法。
(構成20)
構成10から17のいずれかに記載の転写用マスクを用い、半導体基板上のレジスト膜に第1のパターンを露光転写する工程を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
(構成21)
構成18または19に記載の転写用マスクの製造方法で製造された転写用マスクを用い、半導体基板上のレジスト膜に第1のパターンを露光転写する工程を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
本発明のマスクブランクは、基板側から第1の膜と第2の膜が順に積層した構造を有し、第1の膜が、フッ素系ガスによるドライエッチングが可能な材料からなり、第2の膜は、モリブデンまたはタングステンを含有し、ケイ素の含有量が0at%以上10at%未満である材料からなる下層と、クロムと酸素を含有し、クロムの含有量が50at%未満であり、酸素の含有量が25at%以上である材料からなる上層の積層構造を有している。このような構造のマスクブランクとすることにより、膜厚が100nm以下のレジスト膜をマスクとし、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスを用いたドライエッチングを適用した場合においても、第2の膜に、第1の膜に形成すべき微細パターンである第1のパターンを高精度で形成することができる。これにより、第2の膜をマスクとして、第1の膜に微細パターンである第1のパターンを高精度に形成することができる。さらに、第2の膜と第1の膜との積層構造によって転写用マスクの外周領域に求められる所定値以上の光学濃度を確保することができる。
また、このような構造のマスクブランクを用いることにより、第1の膜に微細パターンである第1のパターンが高精度に形成されており、かつ第1の膜と第2の膜との積層構造によって外周領域における光学濃度が所定値以上となっている転写用マスクを作製することができる。さらに、このような構造の転写用マスクを用いて、半導体デバイス上のレジスト膜にパターンを露光転写することにより、半導体デバイス上に高精度でパターンを形成することができる。
本発明の実施形態におけるマスクブランクの構成を示す断面図である。 本発明の実施形態における転写用マスクの製造工程を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明者らは、遮光膜(第2の膜)に適用する材料として、光学濃度が高い材料であり、かつ塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスによるドライエッチングでのエッチングレートが速い材料について鋭意研究を行った。酸素を含有する材料は、光学濃度が低下することを回避することは困難である。このことから、酸素の含有量の少ないあるいは酸素を含有しない材料で、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスによるドライエッチングのエッチングレートが、酸素及びクロムを含有する材料と同等かそれ以上の速さになる材料について探索を行った。その結果、モリブデンやタングステンが前記の条件を満たすものであることが判明した。
表1にクロム(Cr)を含有する材料の薄膜と、モリブデン(Mo)を含有する材料の薄膜について、検証を行った結果を示す。なお、表1における各膜中の元素含有量は、オージェ電子分光分析法(AES)による分析値である。また、検証に使用された各薄膜は、合成石英基板上にスパッタリング法(DCスパッタリング法)によって形成されたものである。
Figure 2014006469
この検証では、No.1〜No.9の各材料の薄膜について、塩素ガスと酸素ガスの混合ガス(ガス流量比 Cl:O=4:1)によるドライエッチングを同条件で行ったときのエッチングレートを算出した。そして、従来、エッチングレートが比較的速い膜とされているNo.1の膜(CrOCN膜)のエッチングレートを基準とした比を、No.1〜No.9の各材料についてそれぞれ算出した。
また、No.1〜No.9の各材料について光学濃度を測定し、光学濃度(OD)が1.9の薄膜を形成するのに必要な膜厚を算出した。そして、No.1の膜(CrOCN膜)の膜厚を基準とした比を、No.1〜No.9の各材料についてそれぞれ算出した。
さらに、上記で算出したOD1.9に必要な膜厚比を、上記で算出したエッチングレート比で除することで、No.1〜No.9の各材料のNo.1の膜(CrOCN膜)に対するエッチングタイムの比を算出した。
なお、No.7の膜(MoSiN膜)は、ハーフトーン位相シフト膜として適用可能な光学特性を有する膜である。
表1の結果のとおり、クロムを含有する材料からなる薄膜は、塩素と酸素の混合ガスに対するエッチングレートを速くすること、及び、所定の光学濃度を確保するための膜厚を薄くすること、という2つの要求を同時に満たすことが容易ではない。これに対して、No.5とNo.6のモリブデンを含有する材料からなる薄膜は、酸素を含有させなくても、塩素と酸素の混合ガスに対するエッチングレートが、クロムを含有する材料からなる薄膜に対して同等以上となっている。加えて、No.5とNo.6のモリブデンを含有する材料からなる薄膜は、エッチングレートの向上のために酸素を含有させる必要がないため、光学濃度が高く、所定の光学濃度を確保するための膜厚も薄くすることができる。なお、No.7の薄膜に対する結果を見れば明らかだが、モリブデンのほかにケイ素を多く含有させてしまうと塩素と酸素の混合ガスに対するエッチングが困難になることも確認されている。
また、No.8とNo.9のタングステンを含有する材料からなる薄膜については、酸素を含有させなくても、塩素と酸素の混合ガスに対するエッチングレートが、クロムを含有する材料からなる薄膜に対して若干遅いか速いという結果が得られている。加えて、No.8とNo.9のタングステンを含有する材料からなる薄膜は、エッチングレートの向上のために酸素を含有させる必要がないため、光学濃度が高く、所定の光学濃度を確保するための膜厚も薄くすることができる。
一方、この検証では、No.1〜No.9の各材料の薄膜について、フッ素系ガス(SFとHeの混合ガス)によるドライエッチングを同条件で行ったときのエッチングレートを算出している。従来、このエッチングガスに対するエッチングレートが比較的速い膜とされているNo.7の膜(MoSiN膜)のエッチングレートを基準とした比を、No.1〜No.9の各材料の薄膜について算出した結果も表1に示している。この結果から明らかなように、モリブデンを含有する材料からなる薄膜およびタングステンを含有する材料からなる薄膜は、フッ素系ガスに対する耐性が、クロムを含有する材料に比べて低い(No.5の薄膜は、フッ素系ガスに対するエッチングレート比がほぼゼロであるが、薄膜の表面が変質してしまうことが確認されている。)。
これらの検証で検討している薄膜は、遮光膜(第2の膜)に用いられるものである。この遮光膜は、その直下に存在する第1の膜に対してフッ素系ガスによるドライエッチングを行って微細パターン(第1のパターン)を形成するときにエッチングマスクとしても機能する必要がある。このため、少なくとも第2の膜の第1の膜とは反対側の表面およびその近傍は、フッ素系ガスのドライエッチングに対してエッチング耐性を有することが求められる。
ここで、基板上に第1の膜と第2の膜が積層したマスクブランクにおいて、第1の膜に微細パターン(第1のパターン)を形成する方法として、第2の膜の表面に接して形成された微細パターンを有するレジスト膜をマスクとして、第2の膜をエッチングしてパターニングした後、レジスト膜を残したままで第1の膜をエッチングして微細パターンを形成する方法が考えられなくもない。しかし、そのような方法を適用するには、第1の膜にパターンを形成し終えるまで、レジスト膜が所定以上の膜厚で残存している必要があり、レジスト膜の膜厚を厚くしなければならなくなる。また、第1の膜をドライエッチングするときに有機系材料のレジスト膜が存在すると、有機物に起因する欠陥が増加する要因になるため、好ましくない。また、第1の膜にパターンを形成するドライエッチングの途上でレジスト膜が消失すると、その前後でエッチングガスのプラズマの状態が変わり、第1の膜のエッチングに悪影響を与えるため、好ましくない。
これらのことを鋭意検討した結果、第2の膜を上層と下層の2層構造とし、下層を塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスによるドライエッチングのエッチングレートが速く、光学濃度の高い材料であるモリブデンまたはタングステンを含有する材料で形成し、第1の膜をエッチングするときにフッ素系ガスのエッチングガスにさらされる上層をフッ素系ガスに対するエッチング耐性が高い、クロムを含有する材料で形成することで、前記の諸問題を解決することができるという発想に至った。また、この構成の場合、第2の膜の下層で薄い膜厚で高い光学濃度を確保できることから、上層を形成するクロムを含有する材料は、光学濃度に係る制約を緩めることができる。このことから、上層は、クロムの含有量を50at%未満としつつ、酸素含有量を25at%以上とすることで、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスによるエッチングレートを速くすることができた。
さらに、モリブデンまたはタングステンを含有する材料からなる下層は、塩素系ガスと酸素ガスによるドライエッチングのエッチングレートを速くする必要がある。エッチングレートを大幅に低下させてしまう要因となるケイ素について、その影響を検討した結果、第2の膜中のケイ素の含有量が10at%未満あれば、エッチングレートに与える影響は小さいという結論に至り、本発明を完成するに至った。以上のように、本発明は、第2の膜の上層を形成する材料と下層を形成する材料の特性が大きく異なる点に特徴があり、上層と下層の積層順が重要である。この積層順が逆であれば、本発明は成り立たない。
以上のように、本発明は、転写用マスクを作製するために用いられるものであり、基板上に、前記基板側から第1の膜と第2の膜が順に積層した構造を有するマスクブランクであって、前記第1の膜は、フッ素系ガスによるドライエッチングが可能な材料からなり、前記第2の膜は、下層と上層の積層構造からなり、前記下層は、モリブデンまたはタングステンを含有し、ケイ素の含有量が0at%以上10at%未満である材料からなり、前記上層は、クロムと酸素を含有し、クロムの含有量が50at%未満であり、酸素の含有量が25at%以上である材料からなることを特徴とするマスクブランクに関するものである。
本発明のマスクブランクは、第2の膜の下層がモリブデンまたはタングステンを含有し、ケイ素を含有しない材料で形成されていることが好ましい。前記のとおり、第2の膜にケイ素を含有していると、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスによるドライエッチングのエッチングレートが低下するためである。ただし、エッチング条件によっては、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスによるドライエッチングにおける下層のエッチングレートが上層のエッチングレートに比べて速くなり過ぎてパターン側壁形状の制御が難しくなるため、このような場合においては、下層に10at%未満の範囲でケイ素を含有させてもよい。
第2の膜の下層を形成するモリブデンまたはタングステンを含有する材料には、モリブデンとタングステンの両方を含有する材料も含まれる。エッチングレートの調整のために、第2の膜の下層を形成する材料に、クロム、ニオブ、及びバナジウムのうち一種以上を添加してもよい。この場合、少なくともモリブデンやタングステンの下層中の含有量よりも少なくする必要があり、45at%以下であると好ましく、30at%以下であるとより好ましい。また、第2の膜の下層における膜応力の調整や結晶性の調整のために、下層を形成する材料に窒素、炭素、酸素、及びホウ素のうち一種以上を含有させてもよい。特に、下層を形成する材料に窒素を含有させることにより、過度な酸化を抑制する効果がある。
なお、下層を形成する材料に酸素を含有させる場合については、光学濃度の低下の観点と、耐薬品性の低下の観点から、含有量を30at%以下とすることが好ましく、20at%以下であるとより好ましい。
第2の膜の下層は、膜厚が5nm以上であることが好ましい。下層の膜厚が5nm未満であると、第2の膜の全体膜厚における下層の膜厚比率が低すぎて、下層を設ける効果がほとんど得られなくなる。第2の膜の下層の膜厚は、35nm以下であることが好ましい。下層の膜厚が35nmよりも大きいと、下層のみで第2の膜に求められる所定値の光学濃度を確保できてしまう。しかし、上層は下層をフッ素系ガスによるドライエッチングから保護するために必要であるため、上層を設ける分、第2の膜が必要以上の光学濃度を有することとなり、また必要以上に膜厚も厚くなるため、好ましくない。
第2の膜の上層は、クロムと酸素を含有する材料で形成されるが、そのような材料の例としては、CrO、CrON、CrOCN、CrBON、CrBOCN等が挙げられる。このほか、前記の材料にスズを含有させてもよい。スズを含有させるとエッチングレートがさらに向上する効果がある。塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスに対するエッチングレートをより速めることを考慮すると、上層中のクロム含有量を45at%以下とすることが好ましく、40at%以下とするとより好ましい。他方、上層はフッ素系ガスに対する耐性が高い必要がある。この点を考慮すると、上層中のクロム含有量は、30at%以上であることが好ましく、35at%以上であるとより好ましい。また、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスに対するエッチングレートをより速めることを考慮すると、上層中の酸素含有量を35at%以上とすることが好ましく、40at%以上とするとより好ましい。
第2の膜の上層は、第2の膜に露光光が当たったときの表面反射を低減する機能を兼ね備えることが望ましい。表面反射の低減の観点から、第2の膜の上層は、酸素含有量が30at%以上であることが好ましく、35at%以上であるとより好ましい。さらに、上層は、窒素を10at%以上含有することが好ましく、15at%以上含有するとより好ましい。
第2の膜の上層は、膜厚が3nm以上であることが好ましい。上層の膜厚が3nm未満であると、第1の膜をフッ素系ガスでドライエッチングしている間に微小にエッチングされることで生じる表面反射率の変化量が大きくなるためである。第2の膜の上層の膜厚は、30nm以下であることが好ましい。上層の膜厚が30nmよりも大きいと、第2の膜の全体膜厚における下層の膜厚の比率が相対的に低下してしまう。これにより、第2の膜全体における塩素系ガスと酸素ガスによるドライエッチングに対するエッチングレートが相対的に低下してしまい、好ましくない。
本発明のマスクブランクにおいて、第2の膜の下層は、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスによるドライエッチングが可能な材料であることが好ましい。前記の下層に好適な材料として挙げられるものは、いずれも塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスによるドライエッチングで十分に速いエッチングレートが得られるものである。
本発明のマスクブランクにおいて、第1の膜はフッ素を含有するエッチングガスによるドライエッチングが可能な材料で形成される。第1の膜は、ハーフトーン型位相シフト膜や、半透明積層膜のような露光光を所定の透過率で透過させる機能を有する膜であることが好ましい。第1の膜がこれらの機能を有する転写用マスクの場合、外周領域に遮光帯を形成する必要があり、本発明の機能を有する第2の膜が必要になるためである。第1の膜がハーフトーン型位相シフト膜や半透明積層膜のような光半透過膜である場合、露光光に対する透過率が1%以上であることが好ましい。また、露光光に対する透過率が1〜20%の範囲になるように調整されているとより好ましい。また、第1の膜は、所定値以上の光学濃度を有する遮光膜であってもよい。特に、前記のダブル露光技術が適用される転写用マスクの場合、外周領域に遮光帯を形成する場合があるため、本発明の機能を有する第2の膜が必要になるためである。第1の膜がバイナリマスク用の遮光膜であり、かつ、露光光にArFエキシマレーザーが適用される場合には、その波長(約193nm)において、第1の膜の光学濃度(OD)が2.3以上になるように調整されている必要があり、2.5以上であると好ましく、2.8以上であるとより好ましい。
本発明のマスクブランクにおいて、第1の膜は、ケイ素を含有する材料、またはケイ素と遷移金属を含有する材料であって、遷移金属(M)の含有量[at%]よりもケイ素(Si)の含有量[at%]の方が多い材料からなることが好ましい。この場合の遷移金属としては、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ハフニウム(Hf)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、ニオブ(Nb)、パラジウム(Pd)等のうちいずれか1つ以上の金属またはこれらの金属の合金が挙げられる。また、第1の膜の材料には、これらの金属に加え、窒素(N)、酸素(O)、炭素(C)、水素(H)、ホウ素(B)等の元素が含まれてもよい。また、第1の膜の材料には、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)等の不活性ガスが含まれてもよい。
これらの材料は、フッ素系ガスに対するエッチングレートが速く、光半透過膜に求められる諸特性を得られやすい。特に、これらの材料は、第1の膜を透過する露光光の位相を厳密に制御する必要があるハーフトーン型位相シフト膜や、位相遅延膜と位相進行膜が積層する半透明積層膜を形成する材料として望ましい。第1の膜がハーフトーン型位相シフト膜や半透明積層膜の場合、膜中の遷移金属(M)の含有量[at%]を、遷移金属(M)とケイ素(Si)の合計含有量[at%]で除して算出した百分率[%](以下、M/M+Si比率という。)が、35%以下であることが好ましく、25%以下であるとより好ましく、20at%以下であるとさらに好ましい。遷移金属は、ケイ素に比べて消衰係数は高いが、屈折率も高い元素である。第1の膜を形成する材料の屈折率が高すぎると、膜厚変動による位相の変化量が大きくなり、位相と透過率の両方を制御することが難しくなる。
このほか、第1の膜を形成する材料として、タンタルを含有する材料も好適である。タンタルを含有する材料は、フッ素系ガスに対するエッチングレートが速く、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスによるドライエッチングに対する耐性が比較的高い材料であり、第1の膜に求められるエッチング特性を満たすことができる。第1の膜に適用可能なタンタルを含有する材料の例としては、タンタル金属や、タンタルに、窒素、酸素、ホウ素および炭素から選ばれる一以上の元素を含有させた材料などが挙げられる。例えば、Ta、TaN、TaON、TaBN、TaBON、TaCN、TaCON、TaBCN、TaBOCNなどが挙げられる。なお、前記のタンタルを含有する材料に、第1の膜に求められるエッチング特性を損なわない範囲であれば、タンタル以外の金属をさらに含有させてもよい。
第1の膜が、ダブル露光技術が適用される転写用マスクにおける遮光膜である場合、単層膜、複数層の積層膜などの構成が適用できる。積層膜の場合、基板側から光学濃度の高い材料で形成される遮光層と、光学濃度の比較的低い材料で形成され、表面反射を低減する機能を有する低反射層とが積層した積層構造とすることが好ましい。遮光層を形成する材料は、光学濃度の高いことが求められるため、前記の第1の膜として好適な各材料から、酸素含有量が10at%未満であり、窒素含有量が25at%以下である材料を選択することが好ましい。また、低反射層は、表面反射を低減するために、露光光をある程度透過させる必要がある。このため、低反射層を形成する材料は、前記の第1の膜として好適な各材料から、酸素含有量が15at%以上である材料、あるいは窒素含有量が30at%以上である材料を選択することが好ましい。
第1の膜を形成する材料は、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスによるドライエッチングに対して耐性を有することが好ましい。第1の膜に微細パターン(第1のパターン)を形成した後、第2の膜に第2のパターンを形成するときに、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスによるドライエッチングが行われる。このとき、第1の膜が塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスによるドライエッチングに対する耐性が低いと、第1の膜の表面やパターン側壁がダメージを受ける恐れがある。ケイ素を含有する材料や、ケイ素と遷移金属を含有する材料であって、遷移金属の含有量よりもケイ素の含有量の方が多い材料は、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスによるドライエッチングに対して耐性が高い。
本発明のマスクブランクにおいて、前記第1の膜は、第2の膜側の表層に酸化層が形成されていることが好ましい。酸化層を設けることにより、第2の膜をドライエッチングする際に用いられる塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスによるエッチングに対する耐性を高めることができる。第1の膜に、ケイ素を含有する材料、又はケイ素と遷移金属を含有する材料が適用される場合、その表層にケイ素の酸化層が形成されていると、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスによるエッチングに対する耐性が大幅に向上する。ケイ素の酸化層は、酸素含有量が45at%以上であると好ましく、50at%であるとより好ましい。また、第1の膜にタンタルを含有する材料が適用される場合、その表層にタンタルの酸化層が形成されていると、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスによるエッチングに対する耐性が大幅に向上する。タンタルの酸化層は、膜中のTa結合の存在比率が高いほどよい。また、タンタルの酸化膜は、膜中の酸素含有量が60at%以上であることが望まれ、66.7at%以上であると好ましく、71.4at%以上であるとより好ましい。
第1の膜の表層に形成される酸化層は、厚さが1nm以上4nm以下であることが好ましい。1nm未満では薄すぎて、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスによるエッチングに対する耐性向上の効果が小さい。4nmを超えると、第1の膜の光学特性(露光光に対する透過率、位相シフト量、光学濃度、EMFバイアス等)に与える影響が大きくなり、好ましくない。酸化層の厚さは、1nm以上3nm以下であることがより好ましい。
本発明のマスクブランクにおいて、前記上層の表面に接してレジスト膜が100nm以下の膜厚で形成されていることが好ましい。本発明の第1の膜と第2の膜の積層構造を備えるマスクブランクであれば、レジスト膜が100nmの膜厚であっても、第1の膜に微細パターンである第1のパターンを形成することができる。DRAM hp32nm世代に対応する微細パターンの場合、第1の膜に形成すべき第1のパターンに、線幅が40nmのSRAF(Sub-Resolution Assist Feature)が設けられることがある。しかし、この場合でも、レジストパターンの断面アスペクト比を1:2.5と低くすることができるので、レジスト膜の現像時、リンス時等にレジストパターンが倒壊や脱離することを抑制できる。なお、レジスト膜は、膜厚が80nm以下であるとより好ましい。
本発明のマスクブランクは、前記第1の膜と第2の膜の積層構造を有している。この積層構造は、ArFエキシマレーザーの露光光に対する光学濃度が2.8以上であることが好ましい。このマスクブランクを用いて転写用マスクを作製する際、その転写用マスクの外周領域に遮光帯を設けることができる。この遮光帯を前記第1の膜と第2の膜の積層構造で形成することによって、遮光帯の光学濃度を2.8以上とすることができる。このような転写用マスクであれば、露光装置を用いて半導体ウェハ上のレジスト膜に露光転写したときに、外周領域を透過した露光光によって、半導体ウェハ上のレジスト膜が影響を受けることを抑制できる。また、前記第1の膜と第2の膜の積層構造の、ArFエキシマレーザーの露光光に対する光学濃度が3.0以上であればより好ましい。さらに、ダブル露光技術が適用される転写用マスクを作製するために用いられるマスクブランクの場合、前記第1の膜と第2の膜の積層構造の、ArFエキシマレーザーの露光光に対する光学濃度が3.3以上であるとより好ましい。
本発明のマスクブランクにおいて、基板の材料の例としては、合成石英ガラスのほか、石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、低熱膨張ガラス(SiO−TiOガラス等)などが挙げられる。合成石英ガラスは、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)に対する透過率が高く、マスクブランクの基板(透光性基板)を形成する材料として特に好ましい。なお、本発明のマスクブランクおよび転写用マスクに適用される露光光については、ArFエキシマレーザー光、KrFエキシマレーザー光、i線光等を用いることが可能であり、特に制約はない。ArFエキシマレーザーを露光光に適用するマスクブランクや転写用マスクは、薄膜で形成される転写パターンの位置精度などの要求レベルが非常に高いため、特に効果的である。
基板と第1の膜との間に、基板および第1の膜に対するエッチング選択性を有する材料(Crを含有する材料、たとえば、Cr、CrN、CrC、CrO、CrON、CrC、等)からなるエッチングストッパー膜やエッチングマスク膜を形成してもよい。
本発明の転写用マスクは、本発明のマスクブランクを用いて作製されるものである。このため、転写用マスクにおける基板、第1の膜、第2の膜に係る諸特性は、本発明のマスクブランクに関して記載した事項と同様である。
本発明のマスクブランクを用いた転写用マスクの製造方法は、第2の膜の表面に接して第1のパターンを有するレジスト膜を形成し、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いるドライエッチングによって、第2の膜に第1のパターンを形成する工程と、第1のパターンを有するレジスト膜を剥離した後、第1のパターンを有する第2の膜をマスクとして、フッ素系ガスを用いるドライエッチングによって、第1の膜に第1のパターンを形成する工程と、第2の膜の表面に接して第2のパターンを有するレジスト膜を形成し、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いるドライエッチングによって、第2の膜に第2のパターンを形成する工程とを備えることを特徴としている。
図1は、本発明におけるマスクブランク100の構成を示す断面図である。また、図2は、そのマスクブランク100を用いた転写用マスク200の製造工程を示す断面図である。このマスクブランク100は、基板1上に、第1の膜2と第2の膜3が積層した構成となっている。第1の膜2は、基板1側とは反対側(第2の膜3側)の表層に酸化層22が形成された構成(酸化層22を除いた第1の膜2は、本体部21)となっている。また、第2の膜3は、下層31と上層32が積層した構成を有している。マスクブランク100の各構成の詳細については、前記のとおりである。以下、図2に示す製造工程にしたがって、転写用マスクの製造方法を説明する。
まず、マスクブランク100における第2の膜3の上層32の表面に接して、レジスト膜4を成膜する(図2(a)参照)。次に、レジスト膜4に対して、第1の膜2に形成すべき転写パターン(微細パターン)である第1のパターンを露光描画し、さらに現像処理等の所定の処理を行い、第1のパターンを有するレジスト膜4(第1のレジストパターン4a)を形成する(図2(b)参照)。続いて、第1のレジストパターン4aをマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスを用いたドライエッチングを行い、第2の膜3(上層32と下層31)に第1のパターンを形成(エッチングマスクパターン3a)する。続いて、第1のレジストパターン4aを除去する(図2(c)参照)。
次に、エッチングマスクパターン3aをマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングを行い、第1の膜2に第1のパターンを形成(第1の膜パターン2a)する(図2(d)参照)。次に、第2の膜3の上層32に接して、レジスト膜5を成膜する。次に、レジスト膜5に対して、第2の膜3に形成すべき転写パターンである第2のパターンを露光描画し、さらに現像処理等の所定の処理を行い、第2のパターンを有するレジスト膜5(第2のレジストパターン5a)を形成する(図2(e)参照)。第2のレジストパターン5aをマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスを用いたドライエッチングを行い、第2の膜3(上層32と下層31)に第2のパターンを形成(第2の膜パターン3b)する(図2(f)参照)。そして、第2のレジストパターン5aを除去し、洗浄等の所定の処理を経て、転写用マスク200を得る(図2(g)参照)。
前記のドライエッチングで使用される塩素系ガスは、Clが含まれるガスであればよく、特に制限はない。塩素系ガスの例として、Cl、SiCl、CHCl、CHCl、CCl、BCl等があげられる。また、前記のドライエッチングで使用されるフッ素系ガスは、Fが含まれるガスであればよく、特に制限はない。フッ素系ガスの例として、CHF、CF、C、C、SF等があげられる。特に、Cを含まないフッ素系ガスは、ガラス基板に対するエッチングレートが比較的低いため、ガラス基板へのダメージをより小さくすることができる。
なお、前記の転写用マスクの製造方法では、第1のレジストパターン4aをマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスを用いたドライエッチングを行うことで、第2の膜の上層32と下層31に第1のパターンを形成している。しかし、これに限らず、第2の膜の上層32のみ、または下層31の膜厚方向の途中まで塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスを用いたドライエッチングを行うに留めてもよい。この場合、第1のレジストパターン4aを除去後、第2の膜の上層32に形成された第1のパターンをマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングを行い、第2の膜の下層31に第1のパターンを形成し、さらに第1の膜に第1のパターンを形成する。このようなプロセスを行うことにより、第1のレジストパターン4aをマスクとし、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスを用いたドライエッチングを行う時間をより短縮することができるため、第1のレジストパターン4aの膜厚をより薄くする(例えば、50nm以下)ことができる。
本発明の半導体デバイスの製造方法は、前記の転写用マスクまたは前記のマスクブランクを用いて製造された転写用マスクを用い、半導体基板上のレジスト膜に第1のパターンを露光転写することを特徴としている。ここで使用される転写用マスクの第1の膜には、微細パターンである第1のパターンが高精度で形成されているため、高い転写精度で半導体基板上のレジスト膜に第1のパターンを形成することができる。
以下、実施例により、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
[マスクブランクの製造]
主表面の寸法が約152mm×約152mmで、厚さが約6.25mの合成石英ガラスからなる基板1を準備した。この基板1は、端面及び主表面を所定の表面粗さに研磨され、その後、所定の洗浄処理および乾燥処理を施されたものであった。
次に、枚葉式DCスパッタ装置内に基板1を設置し、モリブデン(Mo)とケイ素(Si)との混合ターゲット(Mo:Si=12at%:88at%)を用い、アルゴン(Ar)、窒素(N)およびヘリウム(He)との混合ガス雰囲気で反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、基板1上に、モリブデン、ケイ素および窒素からなる第1の膜2(MoSiN膜 Mo:12at%,Si:39at%,N:49at%)を69nmの膜厚で形成した。なお、MoSiN膜の組成は、オージェ電子分光分析(AES)によって得られた結果である。以下、他の膜に関しても同様である。
次いで、上記MoSiN膜(第1の膜2)が形成された基板1に対して、第1の膜2の表層に酸化層22を形成する処理を施した。具体的には、加熱炉(電気炉)を用いて、大気中で加熱温度を450℃、加熱時間を1時間として、加熱処理を行った。加熱処理後の第1の膜2をオージェ電子分光分析(AES)で分析したところ、第1の膜2の表面から約1.5nm程度の厚さで酸化層22が形成されていることが確認され、その酸化層22の酸素含有量は42at%であった。加熱処理後のMoSiN膜(第1の膜2)に対し、位相シフト量測定装置でArFエキシマレーザーの光の波長(約193nm)における透過率と位相差を測定したところ、透過率は6.07%、位相差が177.3度であった。
次に、枚葉式DCスパッタ装置内に基板1を設置し、モリブデン(Mo)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)と窒素(N)との混合ガス雰囲気で反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、第1の膜2の表面に接して、モリブデンおよび窒素からなる第2の膜3の下層31(MoN膜 Mo:64at%,N:36at%)を16nmの膜厚で形成した。
次に、枚葉式DCスパッタ装置内に基板1を設置し、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)、二酸化炭素(CO)、窒素(N)およびヘリウム(He)の混合ガス雰囲気で反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、第2の膜3の下層31の表面に接して、クロム、酸素、炭素および窒素からなる第2の膜3の上層32(CrOCN膜 Cr:34at%,O:39at%,C:11at%,N:16at%)を23nmの膜厚で形成した。
[転写用マスクの製造]
次に、実施例1のマスクブランク100を用い、以下の手順で実施例1の転写用マスク200を作製した。最初に、スピン塗布法によって第2の膜3の上層32の表面に接して、電子線描画用化学増幅型レジストからなるレジスト膜4を膜厚80nmで形成した(図2(a)参照)。次に、レジスト膜4に対して、DRAM hp32nm世代の転写パターン(線幅40nmのSRAFを含んだ微細パターン)を電子線描画し、所定の現像処理および洗浄処理を行い、第1のパターンを有するレジスト膜4(第1のレジストパターン4a)を形成した(図2(b)参照)。次に、第1のレジストパターン4aをマスクとし、塩素と酸素の混合ガス(ガス流量比 Cl:O=4:1)を用いたドライエッチングを行い、第2の膜3に第1のパターン(エッチングマスクパターン3a)を形成した。続いて、第1のレジストパターン4aを除去した(図2(c)参照)。
次に、エッチングマスクパターン3aをマスクとし、フッ素系ガス(SF+He)を用いたドライエッチングを行い、第1の膜(ハーフトーン位相シフト膜)2に第1のパターンを形成(第1の膜パターン2a)した(図2(d)参照)。次に、第2の膜3の上層32に接して、電子線描画用化学増幅型レジストからなるレジスト膜5を膜厚80nmで形成した(図2(e)参照)。
次に、レジスト膜5に対して、第2の膜3に形成すべき転写パターンである第2のパターンを電子線描画し、所定の現像処理および洗浄処理を行い、第2のパターンを有するレジスト膜5(第2のレジストパターン5a)を形成した(図2(e)参照)。次に、第2のレジストパターン5aをマスクとして、塩素と酸素の混合ガス(ガス流量比 Cl:O=4:1)を用いたドライエッチングを行い、第2の膜3(上層32と下層31)に第2のパターンを形成(第2の膜パターン3b)した(図2(f)参照)。最後に、第2のレジストパターン5aを除去し、洗浄等の所定の処理を経て、転写用マスク(ハーフトーン型位相シフトマスク)200を得た(図2(g)参照)。作製した実施例1の転写用マスク(ハーフトーン型位相シフトマスク)200に対してマスク検査装置によってマスクパターンの検査を行ったところ、設計値から許容範囲内で微細パターンが形成されていることが確認できた。
[半導体デバイスの製造]
作製した実施例1の転写用マスク(ハーフトーン型位相シフトマスク)200を、ArFエキシマレーザーを露光光とする露光装置のマスクステージにセットし、半導体デバイス上のレジスト膜に第1の膜パターン2aを露光転写した。露光後の半導体デバイス上のレジスト膜に所定の現像処理を行い、レジストパターンを形成し、そのレジストパターンをマスクとして、下層膜をドライエッチングし、回路パターンを形成した。半導体デバイスに形成した回路パターンを確認したところ、精度不足に起因する回路パターンの配線短絡や断線はなかった。
(比較例1)
[マスクブランクの製造]
実施例1の場合と同様の手順で、主表面の寸法が約152mm×約152mmで、厚さが約6.25mの合成石英ガラスからなる基板を準備した。次に、実施例1の場合と同様の手順で、基板上にMoSiN膜(実施例1の第1の膜2に対応する膜)を形成し、加熱処理を行いMoSiN膜の表層に酸化層を形成した。
次に、枚葉式DCスパッタ装置内に基板1を設置し、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)、二酸化炭素(CO)および窒素(N)の混合ガス雰囲気で反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、第1の膜2の表面に接して、クロム、酸素、炭素および窒素からなるCrOCN膜(Cr:37at%,O:38at%,C:16at%,N:9at%)を30nmの膜厚で形成した。続いて、アルゴン(Ar)および窒素(N)の混合ガス雰囲気で反応性スパッタリングにより、クロムおよび窒素からなるCrN膜(Cr:79at%,N:21at%)を4nmの膜厚で形成した。最後に、アルゴン(Ar)、二酸化炭素(CO)および窒素(N)の混合ガス雰囲気で反応性スパッタリングにより、クロム、酸素、炭素および窒素からなるCrOCN膜(Cr:35at%,O:38at%,C:10at%,N:17at%)を14nmの膜厚で形成した。以上の手順により、第1の膜2の表面に接して、CrOCN膜、CrN膜およびCrOCN膜が順に積層したCr系積層膜(実施例1の第2の膜3に対応する膜)を備えた比較例1のマスクブランクを製造した。
[転写用マスクの製造]
次に、比較例1のマスクブランクを用い、以下の手順で比較例1の転写用マスクを作製した。最初に、スピン塗布法によってCr系積層膜の表面に接して、電子線描画用化学増幅型レジストからなるレジスト膜を膜厚80nmで形成した。次に、レジスト膜に対して、DRAM hp32nm世代の転写パターン(線幅40nmのSRAFを含んだ微細パターン)を電子線描画し、所定の現像処理および洗浄処理を行い、第1のパターンを有するレジスト膜(第1のレジストパターン)を形成した。次に、第1のレジストパターンをマスクとし、塩素と酸素の混合ガス(ガス流量比 Cl:O=4:1)を用いて、Cr系積層膜に第1のパターン(エッチングマスクパターン)を形成するためのドライエッチングを行った。しかし、Cr系積層膜をエッチングしている途中で第1のレジストパターンが消失してしまい、第1のパターンを形成することができなかった。このため、第1のパターンをMoSiN膜に形成することもできなかった。
1 基板
2 第1の膜
21 本体部
22 酸化層
2a 第1の膜パターン
3 第2の膜
31 下層
32 上層
3a エッチングマスクパターン
3b 第2の膜パターン
4,5 レジスト膜
4a 第1のレジストパターン
5a 第2のレジストパターン
100 マスクブランク
200 転写用マスク

Claims (21)

  1. 転写用マスクを作製するために用いられるものであり、基板上に、前記基板側から第1の膜と第2の膜が順に積層した構造を有するマスクブランクであって、
    前記第1の膜は、フッ素系ガスによるドライエッチングが可能な材料からなり、
    前記第2の膜は、下層と上層の積層構造からなり、
    前記下層は、モリブデンまたはタングステンを含有し、ケイ素の含有量が0at%以上10at%未満である材料からなり、
    前記上層は、クロムと酸素を含有し、クロムの含有量が50at%未満であり、酸素の含有量が25at%以上である材料からなることを特徴とするマスクブランク。
  2. 前記下層は、モリブデンまたはタングステンを含有し、ケイ素を含有しない材料からなることを特徴とする請求項1記載のマスクブランク。
  3. 前記下層は、さらに窒素を含有する材料からなることを特徴とする請求項1または2に記載のマスクブランク。
  4. 前記第2の膜は、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスによるドライエッチングが可能な材料からなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマスクブランク。
  5. 前記第1の膜は、ケイ素を含有する材料、またはケイ素と遷移金属を含有する材料であって、遷移金属の含有量よりもケイ素の含有量の方が多い材料からなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のマスクブランク。
  6. 前記第1の膜は、第2の膜側の表層に酸化層が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のマスクブランク。
  7. 前記上層の表面に接してレジスト膜が100nm以下の膜厚で形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のマスクブランク。
  8. 前記第1の膜と第2の膜の積層構造は、ArF露光光に対する光学濃度が2.8以上であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のマスクブランク。
  9. 前記第1の膜は、ArF露光光に対する透過率が1%以上の光半透過膜であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のマスクブランク。
  10. 基板上に、前記基板側から第1のパターンを有する第1の膜と第2のパターンを有する第2の膜が順に積層した転写用マスクであって、
    前記第1の膜は、フッ素系ガスによるドライエッチングが可能な材料からなり、
    前記第2の膜は、下層と上層の積層構造からなり、
    前記下層は、モリブデンまたはタングステンを含有し、ケイ素の含有量が0at%以上10at%未満である材料からなり、
    前記上層は、クロムと酸素を含有し、クロムの含有量が50at%未満であり、酸素の含有量が25at%以上である材料からなることを特徴とする転写用マスク。
  11. 前記下層は、モリブデンまたはタングステンを含有し、ケイ素を含有しない材料からなることを特徴とする請求項10記載の転写用マスク。
  12. 前記下層は、さらに窒素を含有する材料からなることを特徴とする請求項10または11に記載の転写用マスク。
  13. 前記第2の膜は、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスによるドライエッチングが可能な材料からなることを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の転写用マスク。
  14. 前記第1の膜は、ケイ素を含有する材料、またはケイ素と遷移金属を含有する材料であって、遷移金属の含有量よりもケイ素の含有量の方が多い材料からなることを特徴とする請求項10から13のいずれかに記載の転写用マスク。
  15. 前記第1の膜は、第2の膜側の表層に酸化層が形成されていることを特徴とする請求項10から14のいずれかに記載の転写用マスク。
  16. 前記第1の膜と第2の膜の積層構造は、ArF露光光に対する光学濃度が2.8以上であることを特徴とする請求項10から15のいずれかに記載の転写用マスク。
  17. 前記第1の膜は、ArF露光光に対する透過率が1%以上の光半透過膜であることを特徴とする請求項10から16のいずれかに記載の転写用マスク。
  18. 請求項1から9のいずれかに記載のマスクブランクを用いる転写用マスクの製造方法であって、
    前記第2の膜の表面に接して第1のパターンを有するレジスト膜を形成し、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いるドライエッチングによって、前記第2の膜に第1のパターンを形成する工程と、
    前記第1のパターンを有するレジスト膜を剥離した後、第1のパターンを有する第2の膜をマスクとして、フッ素系ガスを用いるドライエッチングによって、第1の膜に第1のパターンを形成する工程と、
    前記第2の膜の表面に接して第2のパターンを有するレジスト膜を形成し、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いるドライエッチングによって、前記第2の膜に第2のパターンを形成する工程と
    を備えることを特徴とする転写用マスクの製造方法。
  19. 前記第1のパターンを有するレジスト膜は、膜厚が100nm以下であることを特徴とする請求項18に記載の転写用マスクの製造方法。
  20. 請求項10から17のいずれかに記載の転写用マスクを用い、半導体基板上のレジスト膜に第1のパターンを露光転写する工程を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
  21. 請求項18または19に記載の転写用マスクの製造方法で製造された転写用マスクを用い、半導体基板上のレジスト膜に第1のパターンを露光転写する工程を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
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