JP2016188287A - 熱伝導性感圧接着剤組成物および熱伝導性感圧接着性シート - Google Patents

熱伝導性感圧接着剤組成物および熱伝導性感圧接着性シート Download PDF

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豊和 伊藤
Toyokazu Ito
豊和 伊藤
亮子 西岡
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亮子 西岡
田中 秀和
Hidekazu Tanaka
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Abstract

【課題】熱伝導性、難燃性および柔軟性に優れ、かつ実用上問題となるようなブリードアウトの発生がない熱伝導性感圧接着性シート、および該シートの製造に好適に用いられる熱伝導性感圧接着剤組成物を提供すること。
【解決手段】アクリル樹脂(A)、熱伝導性フィラー(B)及びトリアリールホスフェート(C)を含む熱伝導性感圧接着剤組成物(D);および該組成物(D)をシート状に成形してなる熱伝導性感圧接着性シート(E)。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導性感圧接着剤組成物、該組成物からなる熱伝導性感圧接着性シート、及び該シートを備える電子部品に関する。
近年、プラズマディスプレイパネル(PDP)、集積回路(IC)チップ等のような電子部品は、その高性能化に伴って発熱量が増大している。その結果、温度上昇による機能障害対策を講じる必要性が生じている。一般的には、金属製のヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体を電子部品等の発熱体に取り付けることにより、放熱させる方法が取られている。発熱体から放熱体への熱伝導を効率よく行うためには、各種熱伝導シートが使用されているが、一般に、発熱体と放熱体とを固定する用途においては熱伝導性感圧接着性シートが必要とされている。
このような熱伝導性感圧接着性シートには、粘着性や熱伝導性に加えて、用途に応じたその他の性能(難燃性、絶縁破壊強さ、柔軟性等)も要求されることがある。熱伝導性感圧接着性シートの性能向上を図る目的で、該シートのもととなる組成物に各種フィラーや可塑剤を含有させることが知られている。例えば、特許文献1には、アクリル系エラストマーからなるバインダー樹脂に高熱伝導性化合物と金属水酸化物系難燃剤とリン酸エステル系可塑剤と架橋剤を配合してなる組成物、及び、該組成物を用いて熱成形するとともに前記バインダー樹脂を架橋することにより得られるシートが開示され、該シートは電子機器における接点不良がなく、柔軟性と形状保持性を併せ持つことが記載されている。
特開2006−176640号公報
上記したように、熱伝導性感圧接着性シートは、用途に応じて粘着性や熱伝導性以外の性能も要求される。具体的には、LED光源や自動車のコンデンサ等へ直接貼り付ける用途に対応するために難燃性が要求されてきている。上記特許文献1では、熱伝導性、難燃性、及び柔軟性を備えるシートが開示されているが、本発明者が検討したところ、リン酸エステル系可塑剤がシート表面にブリードアウトするという問題が明らかになった。
そこで、本発明は、熱伝導性、難燃性および柔軟性に優れ、かつ実用上問題となるようなブリードアウトの発生がない熱伝導性感圧接着性シート、該シートの製造に好適に用いられる熱伝導性感圧接着剤組成物、並びに該シートを備えた電子部品を提供することを課題とする。
本発明者は、熱伝導性感圧接着性シートについて鋭意研究を続けた結果、アクリル樹脂に熱伝導性フィラーと所定の構造を有するトリアリールホスフェートを配合してなる熱伝導性感圧接着剤組成物および該組成物からなるシートによれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1] アクリル樹脂(A)、熱伝導性フィラー(B)及び下記式(1)に示すトリアリールホスフェート(C)を含む熱伝導性感圧接着剤組成物(D)、
〔式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数を表す。また、l、m及びnが、それぞれ2以上である場合、R、R及びRは、それぞれ同一であっても、または相異なっていてもよい。但し、Rの合計炭素数、Rの合計炭素数及びRの合計炭素数の総和は4〜8である。〕
[2] 前記アクリル樹脂(A)が、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の存在下に(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を重合して得られたものである、前記[1]に記載の熱伝導性感圧接着剤組成物(D)、
[3] 前記[1]又は[2]に記載の熱伝導性感圧接着剤組成物(D)をシート状に成形してなる熱伝導性感圧接着性シート(E)、
[4] 前記[3]に記載の熱伝導性感圧接着性シート(E)を備えた電子部品、
[5] (メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含むアクリル樹脂(A)原料組成物と、熱伝導性フィラー(B)と、前記[1]に記載のトリアリールホスフェート(C)と、を混合して混合組成物(M)を得る工程(I)、並びに、前記混合組成物(M)中において、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を重合する工程(II)、を含む、熱伝導性感圧接着剤組成物(D)の製造方法、ならびに
[6] 前記[5]に記載の工程(I)、並びに、前記混合組成物(M)を、シート状に成形しながら、又はシート状に成形した後に、前記混合組成物(M)中において、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を重合する工程(III)、を含む、熱伝導性感圧接着性シート(E)の製造方法、
を、提供する。
本発明によれば、熱伝導性、難燃性および柔軟性に優れ、かつ実用上問題となるようなブリードアウトの発生がない熱伝導性感圧接着性シート、該シートの製造に好適に用いられる熱伝導性感圧接着剤組成物、並びに該シートを備えた電子部品を提供することができる。
1.熱伝導性感圧接着剤組成物(D)、熱伝導性感圧接着性シート(E)
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(D)(以下、組成物(D)という場合がある。)は、アクリル樹脂(A)、熱伝導性フィラー(B)及び前記式(1)に示すトリアリールホスフェート(C)を含む組成物である。
また、本発明の熱伝導性感圧接着シート(E)(以下、シート(E)という場合がある。)は、本発明の組成物(D)をシート状に成形してなるものである。
このような熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)を構成する物質について以下に説明する。
<アクリル樹脂(A)>
本発明に用いるアクリル樹脂(A)は、特に限定されないが、通常、ガラス転移温度が−20℃以下であるものが好適に用いられる。また、アクリル樹脂(A)としては、熱伝導性フィラー(B)の分散性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の存在下に(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を重合して得られたものであるのが好ましい。本発明の組成物(D)は、後述するように、通常、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)と(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)とを含むアクリル樹脂(A)原料組成物に、熱伝導性フィラー(B)、トリアリールホスフェート(C)および所望によりその他の任意成分を添加して混合し、次いで、得られた混合組成物(M)中において、少なくとも前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応を行うことにより製造される。そのようにすることで、前記混合組成物(M)の粘度を低下させることができ、熱伝導性フィラー(B)の分散性を向上させることができる。さらに、本発明の組成物(D)を成形した際、形状保持性を向上できることから、本発明の組成物(D)は、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応に加え、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の単量体単位を含む重合体(以下、(メタ)アクリル酸エステル重合体(α1)という場合がある。)の架橋反応を行って製造するのが好ましい。前記重合反応と架橋反応とは、別々に進行させても、同時に進行させてもよい。アクリル樹脂(A)は、通常、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)と(メタ)アクリル酸エステル重合体(α1)とからなり、両重合体は、混合物として、および/または一部結合して存在する。
〔アクリル樹脂(A)原料組成物〕
前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の配合量は、アクリル組成物(A)原料組成物中、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)が5質量%以上55質量%以下、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)が45質量%以上95質量%以下であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の配合量を上記範囲とすることによって、熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)を成形することが容易になる。
((メタ)アクリル酸エステル重合体(A1))
本発明に用いることができる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は特に限定されないが、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成しうる(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の単量体単位(a1)を含有することが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステル単量体の単量体単位(a1)を与える(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)は特に限定はないが、例えば、アクリル酸エチル(単独重合体のガラス転移温度は、−24℃)、アクリル酸n−プロピル(同−37℃)、アクリル酸n−ブチル(同−54℃)、アクリル酸sec−ブチル(同−22℃)、アクリル酸n−ヘプチル(同−60℃)、アクリル酸n−ヘキシル(同−61℃)、アクリル酸n−オクチル(同−65℃)、アクリル酸2−エチルヘキシル(同−50℃)、アクリル酸2−メトキシエチル(同−50℃)、アクリル酸3−メトキシプロピル(同−75℃)、アクリル酸3−メトキシブチル(同−56℃)、アクリル酸エトキシメチル(同−50℃)、メタクリル酸n−オクチル(同−25℃)、メタクリル酸n−デシル(同−49℃)などを挙げることができる。中でも、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−メトキシエチルが好ましく、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルがより好ましく、アクリル酸2−エチルヘキシルがさらに好ましい。
これらの(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)は、それから導かれる単量体単位(a1)が、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中、好ましくは80質量%以上100質量%以下、より好ましくは100質量%となるような量で重合に使用することが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)の使用量が上記範囲内であると、重合時の重合系の粘度を適正な範囲に保つことが容易になる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、有機酸基を有する単量体単位(a2)をさらに含有していてもよい。有機酸基を有する単量体単位(a2)を与える単量体(a2m)は特に限定されないが、その代表的なものとして、カルボキシル基、酸無水物基〔−C(=O)−O−C(=O)−〕、スルホン酸基などの有機酸基を有する単量体を挙げることができる。また、これらのほか、スルフェン酸基、スルフィン酸基、燐酸基などを含有する単量体も使用することができる。
カルボキシル基を有する単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸や、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸の他、イタコン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノプロピルなどのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸部分エステルなどを挙げることができる。また、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの、加水分解などによりカルボキシル基に誘導することができる基を有するものも同様に使用することができる。
スルホン酸基を有する単量体の具体例としては、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのα,β−不飽和スルホン酸、及び、これらの塩を挙げることができる。
単量体(a2m)としては、上に例示した有機酸基を有する単量体のうち、カルボキシル基を有する単量体がより好ましく、中でも、アクリル酸又はメタクリル酸を有する単量体が特に好ましい。これらの単量体は工業的に安価で容易に入手することができ、他の単量体成分との共重合性も良く、生産性の点でも好ましい。なお、単量体(a2m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
有機酸基を有する単量体(a2m)は、それから導かれる単量体単位(a2)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中、通常、20質量%以下、好ましくは15質量%以下となるような量で重合に使用することが好ましい。有機酸基を有する単量体(a2m)の使用量が上記範囲内であると、重合時の重合系の粘度を適正な範囲に保つことが容易になる。
なお、有機酸基を有する単量体単位(a2)は、前述のように、有機酸基を有する単量体(a2m)の重合によって、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中に導入するのが簡便であり好ましいが、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)生成後に、公知の高分子反応により、有機酸基を導入してもよい。
また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、有機酸基以外の官能基を有する単量体(a3m)から誘導される単量体単位(a3)を含有していてもよい。
上記有機酸基以外の官能基としては、水酸基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、メルカプト基などを挙げることができる。
水酸基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルなどを挙げることができる。
アミノ基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アミノスチレンなどを挙げることができる。
アミド基を有する単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体などを挙げることができる。
エポキシ基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
有機酸基以外の官能基を有する単量体(a3m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
これらの有機酸基以外の官能基を有する単量体(a3m)は、それから導かれる単量体単位(a3)が、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中、通常、10質量%以下となるような量で重合に使用することが好ましい。10質量%以下の単量体(a3m)を使用することにより、重合時の重合系の粘度を適正な範囲に保つことが容易になる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、上述したガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成しうる(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(a1)、有機酸基を有する単量体単位(a2)、及び、有機酸基以外の官能基を有する単量体単位(a3)以外に、上述した単量体と共重合可能な単量体(a4m)から誘導される単量体単位(a4)を含有していてもよい。単量体(a4m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
単量体(a4m)から導かれる単量体単位(a4)の量は、アクリル酸エステル重合体(A1)の10質量%以下が好ましく、より好ましくは、5質量%以下である。
単量体(a4m)は、特に限定されないが、その具体例として、上記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)以外の(メタ)アクリル酸エステル単量体、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸完全エステル、アルケニル芳香族単量体、共役ジエン系単量体、非共役ジエン系単量体、シアン化ビニル単量体、カルボン酸不飽和アルコールエステル、オレフィン系単量体などを挙げることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)以外の(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例としては、アクリル酸メチル(単独重合体のガラス転移温度は、10℃)、メタクリル酸メチル(同105℃)、メタクリル酸エチル(同63℃)、メタクリル酸n−プロピル(同25℃)、メタクリル酸n−ブチル(同20℃)などを挙げることができる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸完全エステルの具体例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジメチルなどを挙げることができる。
アルケニル芳香族単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、ビニルトルエン、及び、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。
共役ジエン系単量体の具体例としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレンと同義)、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエンなどを挙げることができる。
非共役ジエン系単量体の具体例としては、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどを挙げることができる。
シアン化ビニル単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどを挙げることができる。
カルボン酸不飽和アルコールエステルの具体例としては、酢酸ビニルなどを挙げることができる。
オレフィン系単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテンなどを挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)で測定して、標準ポリスチレン換算で10万以上100万以下の範囲にあることが好ましく、15万以上50万以下の範囲にあることが、より好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成しうる(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)および有機酸基を有する単量体(a2m)を必須成分とし、必要に応じて、有機酸基以外の官能基を含有する単量体(a3m)及び以上の単量体と共重合可能な単量体(a4m)を共重合することによって特に好適に得ることができる。
重合の方法は、特に限定されず、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合などのいずれであってもよく、これ以外の方法でもよい。好ましくは、溶液重合であり、中でも重合溶媒として、酢酸エチル、乳酸エチルなどのカルボン酸エステルやベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒を用いた溶液重合がより好ましい。重合に際して、単量体は、重合反応容器に分割添加してもよいが、全量を一括添加するのが好ましい。重合開始の方法は、特に限定されないが、重合開始剤として熱重合開始剤を用いるのが好ましい。熱重合開始剤は、特に限定されず、過酸化物及びアゾ化合物のいずれでもよい。
過酸化物重合開始剤としては、t−ブチルヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシドや、ベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシドのようなペルオキシドの他、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩などを挙げることができる。これらの過酸化物は、還元剤と適宜組み合わせて、レドックス系触媒として使用することもできる。
アゾ化合物重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などを挙げることができる。
重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、単量体100質量部に対して、0.01質量部以上50質量部以下の範囲であるのが好ましい。
これらの単量体のその他の重合条件(重合温度、圧力、撹拌条件など)は、特に制限がない。
重合反応終了後、必要により、得られた重合体を重合媒体から分離する。分離の方法は特に限定されない。例えば、溶液重合の場合、重合溶液を減圧下に置き、重合溶媒を留去することにより、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)を得ることができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の重量平均分子量は、重合の際に使用する重合開始剤の量や、連鎖移動剤の量を適宜調整することによって制御することができる。
((メタ)アクリル酸エステル単量体(α1))
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)は、特に限定されないが、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成しうる(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)を含有するものであることが好ましい。
ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成しうる(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)の例としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の合成に用いる(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)と同様の(メタ)アクリル酸エステル単量体を挙げることができる。(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)における(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)の比率は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは75質量%以上100質量%以下である。(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)における(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)の比率を上記範囲とすることによって、感圧接着性や柔軟性に優れた熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)を得やすくなる。
また、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)及びそれと共重合可能な単量体との混合物としてもよい。
特に好ましい(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)は、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成しうる(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)、及び、これらと共重合可能な有機酸基を有する単量体(a6m)を含むものである。
上記単量体(a6m)の例としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の合成に用いる単量体(a2m)として例示した(メタ)アクリル酸エステル単量体と同様の有機酸基を有する単量体を挙げることができる。単量体(a6m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)における単量体(a6m)の比率は、30質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下である。(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)における単量体(a6m)の比率を上記範囲とすることによって、感圧接着性や柔軟性に優れた熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(E)を得やすくなる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)及び所望により共重合させることができる有機酸基を有する単量体(a6m)の他に、これらと共重合可能な単量体(a7m)との混合物としてもよい。(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)における単量体(a7m)の比率は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
上記単量体(a7m)の例としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の合成に用いる単量体(a3m)、及び単量体(a4m)として例示した(メタ)アクリル酸エステル単量体と同様の単量体を挙げることができる。単量体(a7m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
また、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)及びそれと共重合可能な前記単量体に加え、さらに後述する、多官能性単量体(a8m)として例示する(メタ)アクリル酸エステル単量体を含む混合物としてもよい。なお、多官能性単量体(a8m)として例示する(メタ)アクリル酸エステル単量体は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)に含むものとする。
((メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)と共重合可能な単量体)
本発明に用いられるアクリル樹脂(A)原料組成物には、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)と(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の他、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)と共重合可能な単量体を配合してもよい。当該単量体は特に限定されないが、例えば、前記単量体(a2m)〜(a4m)として例示した単量体のうち(メタ)アクリル酸エステル単量体以外のものや、後述する、多官能性単量体(a8m)として例示する(メタ)アクリル酸エステル単量体以外のものが挙げられる。なお、アクリル樹脂(A)原料組成物中、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)と共重合可能な単量体の配合量としては、通常、15質量%以下、好ましくは8質量%以下である。
前記多官能性単量体(a8m)としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)と共重合可能なものを用いる。また、多官能性単量体(a8m)は重合性不飽和結合を複数有しており、該不飽和結合を末端に有することが好ましい。このような多官能性単量体(a8m)を用いることによって、共重合体に分子内及び/又は分子間架橋を導入して、熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)の感圧接着剤としての形状保持性を高めることができる。
通常、ラジカル熱重合などの重合時には、多官能性単量体(a8m)を用いずとも、ある程度の架橋反応は進行する。しかしながら、より確実にしかも所望の量の架橋構造を形成させるためには、多官能性単量体(a8m)を用いることが好ましい。
多官能性単量体(a8m)としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレートや、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチレン−5−トリアジンなどの置換トリアジンの他、4−アクリルオキシベンゾフェノンのようなモノエチレン系不飽和芳香族ケトンなどを用いることができる。中でも、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートが好ましい。多官能性単量体(a8m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
アクリル樹脂(A)原料組成物中、多官能性単量体(a8m)の配合量としては、0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上8質量%以下であることがより好ましく、0.4質量%以上2質量%以下であることがさらに好ましい。多官能性単量体(a8m)の配合量を上記範囲とすることによって、熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)に感圧接着剤としての適正な形状保持性を付与し易くなる。なお、多官能性単量体(a8m)の配合量をいう場合、当該多官能性単量体(a8m)には(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)としての多官能性単量体を含む。
〔重合開始剤〕
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(D)を得る際に、上記の通り、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を重合するが、当該重合を促進するため、重合開始剤を用いることが好ましい。重合開始剤は、アクリル樹脂(A)原料組成物に配合して用いるのが好ましい。
本発明に用いることができる重合開始剤としては、光重合開始剤、アゾ系熱重合開始剤、有機過酸化物熱重合開始剤などが挙げられる。得られる熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)に優れた接着性を付与する等の観点からは、有機過酸化物熱重合開始剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤としては、公知の各種光重合開始剤を用いることができる。その中でも、アシルホスフィンオキサイド系化合物が好ましい。好ましい光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
アゾ系熱重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などが挙げられる。
有機過酸化物熱重合開始剤としては、t−ブチルヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシドや、ベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、1,6−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンのようなペルオキシドなどを挙げることができる。ただし、熱分解時に臭気の原因となる揮発性物質を放出しないものが好ましい。また、有機過酸化物熱重合開始剤の中でも、1分間半減期温度が100℃以上かつ170℃以下のものが好ましい。
重合開始剤の配合量は、アクリル樹脂(A)原料組成物100質量部に対し、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、0.2質量部以上1質量部以下であることがさらに好ましい。重合開始剤の配合量を上記範囲とすることによって、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合転化率を適正な範囲にし易くなり、熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)に単量体臭が残ることを防止し易くなる。なお、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合転化率は、95質量%以上であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合転化率が95質量%以上であれば、熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)に単量体臭が残ることを防止し易くなる。また、重合開始剤の配合量を上記範囲とすることによって、重合開始剤を添加することにより重合反応の進行を過度に誘発し、その結果、熱伝導性感圧接着性シート(E)が平滑なシート状にならず、材料破壊を起こす事態を防止し易くなる。
<熱伝導性フィラー(B)>
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)には、熱伝導性フィラー(B)を用いる。熱伝導性フィラー(B)は、添加することによって熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)の熱伝導性を向上させることができるフィラーである。
熱伝導性フィラー(B)の具体例としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、シリカ、ガラス繊維、窒化ホウ素及び窒化アルミニウム等を挙げることができる。この中でも、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム及び酸化アルミニウムが、入手が容易で、化学的に安定であり、かつ、多量の配合が可能であることから好ましく、酸化アルミニウム、及び水酸化アルミニウムがより好ましく、水酸化アルミニウムがさらに好ましく、チタネート処理された水酸化アルミニウムが特に好ましい。熱伝導性フィラー(B)は一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)に含有される熱伝導性フィラー(B)の量は、アクリル樹脂(A)100質量部に対して、200質量部以上800質量部以下である。熱伝導性フィラー(B)の含有量の上限は、好ましくは700質量部であり、より好ましくは600質量部である。一方、熱伝導性フィラー(B)の含有量の下限は、好ましくは300質量部であり、より好ましくは400質量部である。熱伝導性フィラー(B)の含有量を上記範囲とすることによって、熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)に高い熱伝導性を付与することができ、かつ、熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)の柔軟性を保つことができる。一方、熱伝導性フィラー(B)の含有量が800質量部を超えると、熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)の素となる混合組成物(M)の粘度が増し、熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)の生産性が低下するとともに、硬度が増大して形状追随性が低下する傾向にある。形状追随性が低下すると、発熱体から放熱体へと熱を伝え難くなる。また、熱伝導性フィラー(B)の含有量が200質量部未満であると、熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)の熱伝導性を向上させる効果が不十分になる虞がある。
<トリアリールホスフェート(C)>
本発明に用いるトリアリールホスフェート(C)は、下記式(1)に示す構造を有する。後に説明するように、トリアリールホスフェート(C)を下記式(1)に示す構造にすることによって、熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)に高い難燃性および柔軟性を付与することができる。
〔式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数を表す。また、l、m及びnが、それぞれ2以上である場合、R、R及びRは、それぞれ同一であっても、または相異なっていてもよい。但し、Rの合計炭素数、Rの合計炭素数及びRの合計炭素数の総和は4〜8である。〕
トリアリールホスフェート(C)の具体例としては、トリキシレニルホスフェート、クレジル−2,6−ジキシレニルホスフェート等を挙げることができる。トリアリールホスフェート(C)は一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
本発明で用いるトリアリールホスフェート(C)は、1分子において芳香環上にあるアルキル基の合計炭素数が4以上8以下であり、5以上7以下であることがより好ましい。また、各芳香環上のアルキル基数は1以上5以下であり、1以上3以下であることが好ましい。さらに、各アルキル基の炭素数は1以上8以下であり、1以上3以下であることが好ましい。なお、これらアルキル基は別々のものであってもよく、同じものであってもよい。アルキル基の前記合計炭素数が3以下の場合、加水分解しやすくなり、熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)の絶縁性を低下させる虞がある。また、アルキル基の前記合計炭素数が9以上の場合、熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)の素となる混合組成物(M)の粘度が増し、熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)の生産性が低下する虞がある。
熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)に含有されるトリアリールホスフェート(C)の量は、アクリル樹脂(A)100質量部に対して、通常、5質量部以上50質量部以下であり、10質量部以上40質量部以下であることが好ましく、20質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。トリアリールホスフェート(C)の含有量を上記範囲とすることによって、熱伝導性フィラー(B)との組み合わせで熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)に熱伝導性と柔軟性、難燃性をバランスよく付与することができる。一方、トリアリールホスフェート(C)の含有量が50質量部を超えると、熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)でブリードアウトが発生するリスクが高くなる虞がある。また、トリアリールホスフェート(C)の含有量が5質量部未満であると、熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)の難燃性を向上させる効果が不十分になる虞がある。
本発明によれば、熱伝導性フィラー(B)及び所定の構造を有するトリアリールホスフェート(C)を所定量で組み合わせて用いることによって、熱伝導性及び柔軟性、難燃性をバランスよく備え、かつブリードアウトが発生するリスクが小さい熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)を得ることができる。
<その他の添加剤>
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)には、上述した成分以外にも、本発明の効果の発現を妨げない範囲で公知の各種添加剤を添加することもできる。公知の添加剤としては、発泡剤(発泡助剤を含む。);ガラス繊維;外部架橋剤;カーボンブラック、二酸化チタンなどの顔料;クレーなどのその他の充填材;フラーレン、カーボンナノチューブなどのナノ粒子;ポリフェノール系、ハイドロキノン系、ヒンダードアミン系などの酸化防止剤;アクリル系ポリマー粒子、微粒シリカ、酸化マグネシウムなど増粘剤;界面活性剤;粘着付与剤;等を挙げることができる。界面活性剤としては、例えば、脂肪酸エステル系界面活性剤等が挙げられ、アクリル樹脂(A)100質量部に対し、通常、10質量部以下であり、5質量部以下であることが好ましい。脂肪酸エステル系界面活性剤の使用量を上記範囲とすることで熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)の素となる混合組成物(M)の粘度が適正となり生産性が向上する。粘着付与剤としては、水素添加ロジンエステル等が挙げられ、アクリル樹脂(A)100質量部に対し、通常、20質量部以下であり、10質量部以下がより好ましい。水素添加ロジンエステルの使用量を上記範囲以上とすると、熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)の形状保持性を損なう虞がある。
2.熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)の製造方法
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(D)は、例えば、上記した材料を混合して混合組成物(M)を得た後、当該混合組成物(M)中において、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応を行うと共に、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の単量体単位を含む重合体の架橋反応を行うことにより得ることができる。
すなわち、本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(D)の製造方法は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含むアクリル樹脂(A)原料組成物と、熱伝導性フィラー(B)と、前記所定の構造を有するトリアリールホスフェート(C)と、を混合して混合組成物(M)を得る工程(I)、並びに、該混合組成物(M)中において、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を重合する工程(II)を含んでなる。
前記工程(I)は、各成分を一度に混合し、一段階で行ってもよいが、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)および重合開始剤などを混合し、アクリル樹脂(A)原料組成物を調製する工程と、得られたアクリル樹脂(A)原料組成物にその他の成分を混合し、混合組成物(M)を調製する工程に分け、二段階で行ってもよい。
工程(II)では、通常、混合組成物(M)中において、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応に加え、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の単量体単位を含む重合体の架橋反応が進行しうる。アクリル樹脂(A)原料組成物が(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)と共重合可能な単量体を含む場合、当該単量体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応の際に、共に重合することになる。
なお、その他に使用できる物質や、各物質の好ましい含有比率等は上述した通りであり、説明を省略する。
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(D)の製造方法において、前記工程(II)を行う際には、加熱することが好ましい。当該加熱には、例えば、熱風、電気ヒーター、赤外線などを用いることができる。このときの加熱温度は、重合開始剤が効率良く分解し、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)や多官能性単量体などの重合が進行する温度が好ましい。温度範囲は、用いる重合開始剤の種類により異なるが、100℃以上200℃以下が好ましく、110℃以上160℃以下がより好ましい。また、加熱は一段階で行っても、または二段階以上で行ってもよい。
本発明の熱伝導性感圧接着性シート(E)は、例えば、上記した材料を混合して混合組成物(M)を得た後、当該混合組成物(M)を、シート状に成形した後に、又はシート状に成形しながら、前記混合組成物(M)中において、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応を行うと共に、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の単量体単位を含む重合体の架橋反応を行うことにより得ることができる。
すなわち、本発明の熱伝導性感圧接着性シート(E)の製造方法は、前記工程(I)、並びに、前記混合組成物(M)を、シート状に成形しながら、またはシート状に成形した後に、前記混合組成物(M)中において、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を重合する工程(III)を含んでなる。工程(III)では、前記工程(II)と同様に、通常、混合組成物(M)中において、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応に加え、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の単量体単位を含む重合体の架橋反応が進行しうる。
なお、その他に使用できる物質や、各物質の好ましい含有比率等は上述した通りであり、説明を省略する。
本発明の熱伝導性感圧接着性シート(E)の製造方法において、前記工程(III)を行う際には、加熱することが好ましい。当該加熱には、例えば、熱風、電気ヒーター、赤外線などを用いることができる。このときの加熱温度は、重合開始剤が効率良く分解し、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)や多官能性単量体などの重合が進行する温度が好ましい。温度範囲は、用いる重合開始剤の種類により異なるが、100℃以上200℃以下が好ましく、110℃以上160℃以下がより好ましい。また、加熱は一段階で行っても、または二段階以上で行ってもよい。
上記混合組成物(M)をシート状に成形する方法は、特に限定されない。好適な方法としては、例えば、混合組成物(M)を、剥離処理したポリエステルフィルムなどの工程紙の上に塗布するキャスト法、混合組成物(M)を、二枚の剥離処理した工程紙間に挟んで、ロールの間を通す方法、及び、押出機を用いて、混合組成物(M)を押出す際にダイスを通して厚さを制御する方法などが挙げられる。
熱伝導性感圧接着性シート(E)の厚さは、例えば、0.5mm以上6mm以下にすることができる。柔軟性の高い熱伝導性感圧接着性シート(E)の厚さを厚くすることによって、熱伝導性感圧接着性シート(E)の取り扱い性を向上することができる。かかる観点から、熱伝導性感圧接着性シート(E)の厚さの下限は、好ましくは1mmである。一方、熱伝導性感圧接着性シート(E)の厚さの上限は、好ましくは4mmである。伝導性感圧接着性シート(E)を4mm以下とすることによって、当該熱伝導性感圧接着性シート(E)を高収率で得られ易くなる。
また、熱伝導性感圧接着性シート(E)は、基材の片面又は両面に成形することもできる。当該基材を構成する材料は特に限定されない。当該基材の具体例としては、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ベリリウム銅などの熱伝導性に優れる金属、及び、合金の箔状物や、熱伝導性シリコーンなどのそれ自体熱伝導性に優れるポリマーからなるシート状物や、熱伝導性添加物を含有させた熱伝導性プラスチックフィルムや、各種不織布や、ガラスクロスや、ハニカム構造体などを挙げることができる。プラスチックフィルムとしては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、芳香族ポリアミドなどの耐熱性ポリマーのフィルムを使用することができる。
3.熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)の用途
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)は、電子部品の一部として用いることができる。その際、放熱体のような基材上に直接的に成形して、電子部品の一部として提供することもできる。当該電子部品の具体例としては、エレクトロルミネッセンス(EL)、発光ダイオード(LED)光源を有する機器における発熱部周囲の部品、自動車等のパワーデバイス周囲の部品、燃料電池、太陽電池、バッテリー、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ノートパソコン、液晶、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、又は集積回路(IC)など発熱部を有する機器や部品を挙げることができる。
なお、本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)の電子機器への使用方法の一例として、LED光源について下記に記述するような使用方法を挙げることができる。すなわちLED光源に直接貼り付ける;LED光源と放熱材料(ヒートシンク、ファン、ペルチェ素子、ヒートパイプ、グラファイトシートなど)との間に挟みこむ;LED光源に接続された放熱材料(ヒートシンク、ファン、ペルチェ素子、ヒートパイプ、グラファイトシートなど)に貼り付ける;LED光源を取り囲む筐体として使用する;LED光源を取り囲む筐体に貼り付ける;LED光源と筐体との隙間を埋める;などの方法である。LED光源の用途例としては、透過型の液晶パネルを有する表示装置のバックライト装置(テレビ、携帯、PC、ノートPC、PDAなど);車両用灯具;工業用照明;商業用照明;一般住宅用照明;などが挙げられる。
また、LED光源以外の具体例としては、以下が挙げられる。すなわち、PDPパネル;IC発熱部;冷陰極管(CCFL);有機EL光源;無機EL光源;高輝度発光LED光源;高輝度発光有機EL光源;高輝度発光無機EL光源;CPU;MPU;半導体素子;などである。
更に本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)の使用方法としては、装置の筐体に貼り付けることなどを挙げることができる。例えば、自動車などに使用される装置では、自動車に備えられる筐体の内部に貼り付ける;自動車に備えられる筐体の外側に貼り付ける;自動車に備えられる筐体の内部にある発熱部(カーナビ/燃料電池/熱交換器)と該筐体とを接続する;自動車に備えられる筐体の内部にある発熱部(カーナビ/燃料電池/熱交換器)に接続した放熱板に貼り付ける;ことなどが挙げられる。
なお、自動車以外にも、同様の方法で本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)を使用することができる。その対象としては、例えばパソコン;住宅;テレビ;携帯電話機;自動販売機;冷蔵庫;太陽電池;表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED);有機ELディスプレイ;無機ELディスプレイ;有機EL照明;無機EL照明;有機ELディスプレイ;ノートパソコン;PDA;燃料電池;半導体装置;炊飯器;洗濯機;洗濯乾燥機;光半導体素子と蛍光体とを組み合わせた光半導体装置;各種パワーデバイス;ゲーム機;キャパシタ;などが挙げられる。
更に、本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(D)及び熱伝導性感圧接着性シート(E)は上記の使用方法に留まらず、用途に応じて他の方法で使用することも可能である。例えば、カーペットや温暖マットなどの熱の均一化のために使用する;LED光源/熱源の封止剤として使用する;太陽電池セルの封止剤として使用する;太陽電池のバックシ−トとして使用する;太陽電池のバックシ−トと屋根との間に使用する;自動販売機内部の断熱層の内側に使用する;有機EL照明の筐体内部に、乾燥剤や吸湿剤と共に使用する;有機EL照明の筐体内部の熱伝導層及びその上に、乾燥剤や吸湿剤と共に使用する;有機EL照明の筐体内部の熱伝導層、放熱層、及びその上に、乾燥剤や吸湿剤と共に使用する;有機EL照明の筐体内部の熱伝導層、エポキシ系の放熱層、及びその上に、乾燥剤や吸湿剤と共に使用する;人や動物を冷やすための装置、衣類、タオル、シートなどの冷却部材に対し、身体と反対の面に使用する;電子写真複写機、電子写真プリンタなどの画像形成装置に搭載する定着装置の加圧部材に使用する;電子写真複写機、電子写真プリンタなどの画像形成装置に搭載する定着装置の加圧部材そのものとして使用する;制膜装置の処理対象体を載せる熱流制御用伝熱部として使用する;制膜装置の処理対象体を載せる熱流制御用伝熱部に使用する;放射性物質格納容器の外層と内装の間に使用する;太陽光線を吸収するソーラパネルを設置したボックス体の中に使用する;CCFLバックライトの反射シートとアルミシャーシの間に使用する;ことなどを挙げることができる。
以下に、実施例にて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、ここで用いる「部」や「%」は、特に断らない限り、質量基準である。
<難燃性>
熱伝導性感圧接着性シートを幅10mm×長さ150mmの大きさに裁断した試験片を5本用意した。ブンゼンバーナーの空気およびガスの流量を調整して高さ20mm程度の青色炎をつくり、垂直に支持した試験片の下端にバーナーの炎をあてて(炎と約10mm交わるように)10秒間保った後、試験片とバーナー炎を離した。その後、試験片の炎が消えれば直ちにバーナー炎を試験片にあて、更に10秒間保持した後、試験片とバーナー炎を離した。1回目と2回目の接炎終了後の有炎及び無炎燃焼持続時間や燃焼滴下物(ドリップ)の有無を評価し、UL−94(難燃性規格)の判定を行った。すなわち、1回目と2回目の接炎終了後の有炎燃焼持続時間、2回目の接炎終了後の有炎燃焼持続時間及び無炎燃焼持続時間の合計、5本の試験片の有炎及び無炎燃焼時間の合計、並びに燃焼滴下物(ドリップ)の有無で、V−0及びV−2のどちらかに相当するのかを判定した。1回目、2回目ともに10秒以内に有炎燃焼を終え、2回目の有炎燃焼持続時間と無炎燃焼時間の合計が30秒以内であって、更に5本の試験片の有炎及び無炎燃焼時間の合計が50秒以内であり、燃焼落下物がないものをV−0とした。また、1回目、2回目ともに30秒以内に有炎燃焼を終え、2回目の有炎燃焼持続時間と無炎燃焼時間の合計が60秒以内であって、更に5本の試験片の有炎及び無炎燃焼時間の合計が250秒以内であり、燃焼落下物があったものをV−2とした。さらに、すべて燃えたものは、規格外とした。その結果を表1に示した。この評価によってV−0の条件を満たしていれば、難燃性に優れていると言える。
<熱伝導率>
熱伝導性感圧接着性シートを幅50mm×長さ110mmの大きさに裁断した試験片を用意した。後に説明するように、試験片の表面には離型処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「離形PETフィルム」という。)が貼合されている。試験片から離形PETフィルムを剥がし、離形PETフィルムを剥がした面に、空気が入らないようにラップフィルムを貼った。このラップフィルムの大きさは、試験片の粘着面より大きいものであれば良い。そして、このラップフィルムを貼った試験片を用いて熱伝導率を測定した。熱伝導率(単位:W/m・K)の測定は、迅速熱伝導率計(京都電子工業株式会社製、商品名「QTM―500」)を用いて、非定常熱線比較法により行った。なお、リファレンスプレートには、シリコーンゴム(電流値:2A)、石英(電流値:4A)、及び、ジルコニア(電流値:6A)をこの順で使用した。その結果を表1に示した。この評価による結果が1.0W/m・Kより大きければ、熱伝導性が優れていると言える。
<硬度(柔軟性)>
熱伝導性感圧接着性シートを30mm×50mmの大きさに切断した試験片を複数枚用意した。それらの試験片から離形PETフィルムを剥がし、厚さが12mm程度になるように試験片を積層し、硬度計(高分子計器株式会社製、商品名「CL−150」)の試料台上に載せた。その後、ダンパーを落として硬度の測定を行った。ダンパーが試料に接してから60秒後の値を測定値として読み取った。測定は23℃雰囲気下で行った。結果を表1に示した。この評価による結果が40未満であれば、柔軟性が優れていると言える。
<ブリード試験>
熱伝導性感圧接着性シートを28mmφの円状に打ち抜き、10cm角に切り出したGTS処理された電解銅箔(古河電工株式会社製、商品名「電解銅箔」)の処理面に乗せ、さらに打ち抜いたシートの上に、ゴム製のワッシャー(外径:20mmφ、内径:10mmφ)と円形のガラス板(30mmφ)、300gの重りを上記順序で乗せた状態で、90℃に加熱したオーブンに24時間保管した。その後、三次元測定機(株式会社ミツトヨ社製、商品名「BH−540」)にて銅箔上に染み出したブリード成分の染み出し面積を求めた。この染み出し面積が800mm2未満であれば「○」、800mm2以上のときは「×」とした。結果を表1に示した。この評価による結果が「○」であれば、ブリードしにくいと言える。
(実施例1)
アクリル酸2−エチルヘキシル単位のみからなる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1−1)(重量平均分子量(Mw):270000、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn):2.4、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフランを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレン換算で求めた。)42部と、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びペンタエリスリトールジアクリレートを60:35:5の割合で混合した多官能性単量体0.7部と、アクリル酸2−エチルヘキシル(表1では、「2EHA」と略記している。)78部と、重合開始剤(1,6−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニルオキシ)ヘキサン(1分間半減期温度は150℃である。))1.0部と、を電子天秤で計量し、混合した。混合には、恒温槽(東機産業株式会社製、商品名「ビスコメイト 150III」)及びホバートミキサー(株式会社小平製作所製、商品名「ACM−5LVT型」、容量:5L)を用いた。ホバート容器の温調は50℃に設定し、回転数目盛を5にして10分間攪拌した。この工程を第1混合工程という。
次に、TXP(大八化学工業株式会社製、製品名「TXP」、成分:トリキシレニルホスフェート、含有量:キシレノール、クレゾール、フェノールの混合ホスフェートとして99%以上)30部と、チタネート処理をした水酸化アルミニウム(日本軽金属株式会社製、製品名「B303T」、平均粒径:30μm)500部と、酸化亜鉛(株式会社アムテック製、パナテトラ WZ−0511)2部と、脂肪酸エステル系界面活性剤(太陽化学株式会社製、製品名「チラバゾールH−818」、含有量:100%)5部と、水素添加ロジンエステル(荒川化学工業株式会社製、製品名「KE−359」)10部と、を計量して上記ホバート容器に投入し、ホバート容器の温調を60℃に設定し、回転数目盛を5にして20分間、−0.1MPaで真空脱泡しながら攪拌した。この工程を第2混合工程という。
次に、上記第1及び第2混合工程を経て得た混合組成物を離型PETフィルム上の厚み3mmの型枠に流し込み、当該混合組成物上にさらに離型PETフィルムを被せた。混合組成物が離型PETフィルムに挟持されたこの積層体を、混合組成物が平らになるよう均した。その後、当該積層体を130℃の熱風炉で10分間、続けて140℃の熱風炉で20分間加熱した。この加熱工程によって、アクリル酸2−エチルヘキシルの重合及び、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1−1)、アクリル酸2−エチルヘキシル、多官能性単量体を架橋反応させ、熱伝導性感圧接着性シート(以下、単に「シート」と表記する。)(E1)を得た。なお、シート(E1)中の残存単量体量から(メタ)アクリル酸エステル単量体の重合転化率を計算したところ、99.9%であった。
(実施例2及び比較例1)
各材料の配合を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、シート(E2及びEC1)を得た。
実施例2、及び比較例1で使用した、これまでに説明していない添加剤は、下記の通りである。
・PX−110(大八化学工業株式会社製、製品名「PX−110」、成分:クレジル−2,6−ジキシレニルホスフェート、含有量:キシレノール、クレゾールの混合ホスフェートとして99%以上)
・DAIGUARD−580(大八化学工業株式会社製、製品名「DAIGUARD−580」、成分:芳香族縮合リン酸エステルとポリオキシアルキレンリン酸エステルの混合物)
表1に示すように、実施例にかかるシート(E1、E2)は、いずれも柔軟性と難燃性、熱伝導性を有し、かつブリードアウトが発生するリスクの小さいシートであった。一方、比較例にかかるシート(EC1)は硬度が高く柔軟性に欠ける上、ブリードリスクの高いシートであった。この時点で難燃性と熱伝導率の評価は行っていない。

Claims (6)

  1. アクリル樹脂(A)、熱伝導性フィラー(B)及び下記式(1)に示すトリアリールホスフェート(C)を含む熱伝導性感圧接着剤組成物(D)。
    〔式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、l、m及びnは、それぞれ独立して1〜5の整数を表す。また、l、m及びnが、それぞれ2以上である場合、R、R及びRは、それぞれ同一であっても、または相異なっていてもよい。但し、Rの合計炭素数、Rの合計炭素数及びRの合計炭素数の総和は4〜8である。〕
  2. 前記アクリル樹脂(A)が、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の存在下に(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を重合して得られたものである、請求項1に記載の熱伝導性感圧接着剤組成物(D)。
  3. 請求項1又は2に記載の熱伝導性感圧接着剤組成物(D)をシート状に成形してなる熱伝導性感圧接着性シート(E)。
  4. 請求項3に記載の熱伝導性感圧接着性シート(E)を備えた電子部品。
  5. (メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含むアクリル樹脂(A)原料組成物と、熱伝導性フィラー(B)と、請求項1に記載のトリアリールホスフェート(C)と、を混合して混合組成物(M)を得る工程(I)、並びに、前記混合組成物(M)中において、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を重合する工程(II)、を含む、熱伝導性組成物(D)の製造方法。
  6. 請求項5に記載の工程(I)、並びに、前記混合組成物(M)を、シート状に成形しながら、又はシート状に成形した後に、前記混合組成物(M)中において、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を重合する工程(III)、を含む、熱伝導性感圧接着性シート(E)の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019198303A1 (ja) * 2018-04-12 2019-10-17 ソニー株式会社 樹脂組成物及び樹脂組成物の製造方法、並びに樹脂成形体の製造方法

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