JP2016187397A - スライディングシート - Google Patents

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Abstract

【課題】滑り性が良くて、少ない力で、かつ安全に被介護者等を移動することができるスライディングシートを提供する。【解決手段】布帛が円筒状または二つ折り状となったスライディングシート1であって、布帛が、一方の面がその面を構成する全繊維100質量%に対してフッ素繊維を60質量%以上含み、一方の面が他方の面よりも静摩擦係数が小さく、布帛の相対的に静摩擦係数の小さい方の面が内側となるように、円筒状または二つ折り状となった、スライディングシート。【選択図】図1

Description

本発明はスライディングシートに関する。
従来、自宅や施設、病院等で寝たきりの被介護者等の衣服の着替えやシーツ交換、褥瘡防止のための体位変更や、検査や治療のためのベッドまたはストレッチャーへの移動をする時など、人手により被介護者等を抱きかかえたり、引きずったり、持ち上げたりして被介護者等を移動させていた。
このような被介護者等の移動にはかなりの力を要し、特に体重の重い被介護者等を持ち上げる場合は更に、複数の人手を必要とするものであった。
また、昨今では自宅で寝たきりの老人の介護を行う介護者も老人である場合やヘルパーの人が力の弱い女性である場合も多く、しかも人手を集めることが困難であり一人で行わなくてはならないものとなっている。従って、被介護者等を移動させることは介護者の体に多大な負担をかけるものであった。
また、被介護者等の側も無理な体勢で移動させられたり、部分的に引っ張られたりすることがあり移動するにも苦痛を伴うものであった。
このような状況の中、介護者や被介護者等の負担・苦痛を和らげ、被介護者等の移動が容易な移動用の補助具として各種織編物やフィルムを用いたスライディングシートが市販されるようになった。
特許文献1においては、被介護者等を移動させることを目的としたスライディングシートが提案されている。たとえば、平滑性布帛と波状布帛、あるいは畝方向の異なる別個の波状布帛同士を重ね、滑り合わせることで、相対するシート面間の摩擦抵抗を軽減させ、被介護者等の移動、回動を容易にしたものが開示されている。また、特許文献2には、平滑シートと凹凸状シート同士を重ね、滑り合わせることで、相対するシート面間における摩擦抵抗を軽減させたものが開示されている。特許文献3では、ポリエチレン等の薄いフィルムを重ねたもの等が提案されている。また、特許文献4および5では、シート本体が円筒状または重ね合わされた織物からなるスライディングシートも提案されている。
特開平7−88134号公報 特開平10−234791号公報 特開2001−17471号公報 特開2005−65901号公報 特開2006−230734号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載された表面形状あるいは断面形状の異なるシート同士を重ね合わせたスライディングシートは、シートを滑らせる方向、あるいは重ね合わせる方向によっては、異なる表面形状同士あるいは断面形状同士の引っかかりにより滑り性が逆に悪くなるという問題がある。
さらに、特許文献3に記載されたフィルムを重ねたスライディングシートは、長期に渡り寝たきりの被介護者等の移動に使用するには、しわになりやすく、滑り性が悪化しやすいという問題に加え、透水性を有さず洗濯性が悪いという問題がある。
また、特許文献4や特許文献5に記載されたスライディングシートは、長繊維平織物からなる移動シートであるが、滑り性や携帯性は改善されているものの十分ではなく、また、移動開始時の抵抗(静摩擦)により、被介護者等がスライディングシートから落ちたりするといった課題がある。
そこで、本発明の目的は、かかる従来技術の課題を考慮し、しわになりにくく、洗濯性にも優れ、動き出しから小さい力で被介護者等を移動させることができ、また、スライディングシート上の被介護者等とスライディングシートとの滑り性が抑制され、被介護者等がスライディングシートから落ちたりするといったことが抑制されたスライディングシートを提供することにある。
上記の課題を解決する本発明のスライディングシートは、布帛が円筒状または二つ折り状となったものであって、この布帛が、一方の面がその面を構成する全繊維100質量%に対してフッ素繊維を60質量%以上含み、この一方の面が、他方の面よりも静摩擦係数が小さく、布帛の相対的に静摩擦係数の小さい方の面が内側となるように円筒状または二つ折り状となっている。
本発明によれば、しわになりにくく、洗濯性にも優れ、動き出しから小さい力で被介護者等を移動させることができ、また、被介護者等の移動中にスライディングシート上の被介護者等が動きにくく、被介護者等がスライディングシートから落ちたりするといったことが抑制されたスライディングシートを提供することができる。
本発明のスライディングシートの一形態の使用形態の一例を示す模式図である。 本発明のスライディングシートに使用される布帛の一例の模式図である。 本発明のスライディングシートに使用される布帛の別の一例の模式図である。 本発明のスライディングシートに使用される布帛の別の一例である朱子織物の織組織の一部を示す模式図である。 従来のスライディングシートに使用される布帛の一例の模式図である。
以下に本発明を実施するための形態を具体的に説明するが、本発明は以下の記載に限定されない。
本発明のスライディングシートは、布帛が円筒状または二つ折り状となったものである。また、その布帛の一方の面は、その面を構成する全繊維100質量%に対して静摩擦係数の低いフッ素繊維を60質量%以上含み、他方の面よりも静摩擦係数が小さいものとなっている。さらに、本発明のスライディングシートでは、上記の布帛の相対的に静摩擦係数の小さい方の面が内側となるように、上記の布帛が円筒状または二つ折り状となっている。すなわち、スライディングシートの内側に相対的に静摩擦係数の小さい方の面があるため、動き出しから小さい力で被介護者等を移動させることができ、また、被介護者等は、スライディングシートを構成する布帛の相対的に静摩擦係数の大きい方の面と接することになるため、被介護者等の移動中にスライディングシート上の被介護者等とスライディングシートとの間での滑りが抑制され、被介護者等がスライディングシートから落ちたりするといったことが抑制されたものである。また、本発明のスライディングシートでは、布帛を用いているため、しわになりにくく、しわになることによる滑り性の悪化が抑制される。さらに、本発明のスライディングシートに用いる布帛は、フィルムと比較し高い透水性を有しているため、本発明のスライディングシートは洗濯性にも優れたものとなる。
図1は本発明のスライディングシートの一形態の使用形態の一例を示す模式図を示す。このスライディングシートは、内側に布帛の相対的に静摩擦係数の小さい方の面(以下、摺動面とする)が配され、および、外側に布帛の相対的に静摩擦係数の大きい方の面(以下、非摺動面とする)が配されるように布帛を筒状にして構成されている。この外側に配された非摺動面の上に被介護者等を寝かして、または、座らせて、そのスライディングシートの内側に配され互いに接する摺動面同士を滑らせることで被介護者等を移動する。
ここで、摺動面は摩擦係数が低いこと、特に静摩擦係数が低いことが重要である。摩擦係数には静摩擦係数と動摩擦係数があるが、静摩擦係数は動き出しのときの抵抗、動摩擦係数は動いているときの抵抗にあたり、動摩擦係数が小さくても静摩擦係数が大きいと、最初に被介護者等を動かすときには大きな力が必要となり、必要以上の力が被介護者等に加わりがちになるため、その力により被介護者等がベッドから落下するなどの危険性がある。静摩擦係数が小さければ、動き出しから小さな力ですむため、被介護者等に必要以上の力が加わることを抑制でき、被介護者等をより安全に移動させることができる。
このように、静摩擦係数を小さくするためには、摺動面を構成する繊維がフッ素繊維を含み、さらに、フッ素繊維の含有量が、その摺動面を構成する全繊維100質量%に対し、60質量%以上であることが重要である。ここで、摺動面を構成する繊維とは、以下のものをいう。上記の布帛が、後述する2重織物または朱子織物の場合には、それらを構成する繊維のうち、非摺動面での露出の割合よりも摺動面での露出の割合が大きい繊維をいう。また、上記の布帛が、後述する、一方の面と他方の面とで種類の異なる不織布が積層されて構成されたものである場合には、摺動面を形成する不織布に含まれる全繊維をいう。また、上記の布帛が、後述するフッ素繊維を有する繊維シート、および、フッ素繊維よりも静摩擦係数の大きい樹脂を有するものである場合には、その繊維シートに含まれる全繊維をいう。また、摺動面の静摩擦係数をより小さいものとし、その摺動性を向上させる観点から、摺動面における前記フッ素繊維の含有量が、前記摺動面を構成する全繊維100質量%に対し、95質量%以上であることが好ましく、98質量%以上であることがより好ましい。
フッ素繊維は、化学繊維の中でも、極めて静摩擦係数が小さい繊維であり、また、高荷重下での摩擦が小さいという特徴がある。このため、被介護者等がスライディングシート上にのった状態でも、摺動面の小さい静摩擦係数を維持でき、スライディングシートを用いての被介護者等の移動を容易にする。フッ素繊維は、特に、静摩擦係数の値が小さく、かつ、その静摩擦係数の値が、その動摩擦係数の値にほぼ等しいので、被介護者等を乗せた状態における動かし始めと、被介護者等を乗せた状態における動かし途中とで、被介護者等を動かすのに必要な力に大きさに大差がないため、安定して被介護者等を押すことができ、瞬間的に必要以上の大きな力が被介護者に加わり、被介護者を押し過ぎて、被介護者等がスライディングシート上から堕ちてしまうなどのトラブルの発生を抑制することができる。
用いるフッ素繊維については特に限定されず、PTFE繊維、FEP繊維、ETFE繊維、PCTFE繊維等の単独または混繊糸を用いることができるが、中でも、PTFE繊維を用いるのが好ましい。また、混繊糸を用いる場合、フッ素繊維単独でもポリエステル繊維、ナイロン繊維等の他の繊維と混繊することもできる。
スライディングシートを構成する布帛については、特に限定されないが、織物、不織布、あるいはこれらの複合構造体を有するものとするのが好ましい。
本発明のスライディングシートにおいては、用いる布帛が、摺動面と非摺動面を有し、摺動面の静摩擦係数が非摺動面の静摩擦係数より低いことが重要である。好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、摺動面の静摩擦係数が、非摺動面の静摩擦係数より低いと好ましい。摺動面の静摩擦係数が小さく、かつ、非摺動面の静摩擦係数が摺動面のそれと比べて大きいと、被介護者等の移動を小さい力で行え、かつ、被介護者がスライディングシート上から滑り落ちるのを抑制することができる。
摺動面と非摺動面を有する布帛としては、特に限定されないが、一例として、フッ素繊維と、フッ素繊維以外のフッ素繊維より静摩擦係数の大きい繊維とを組み合わせて作製したものが挙げられる。その複数の繊維を組み合わせる方法の一つに二重織物がある。二重織物とは織組織で、2種類の糸を、それぞれタテ糸および/またはヨコ糸に用いて表裏面で別組織として、異なる糸がそれぞれの面で多く出るような織方法である。タテ糸を2種類用いる場合をタテ二重織、ヨコ糸を2種類用いる場合をヨコ二重織、両方2種類用いる場合をタテヨコ二重織という。例えば、ヨコ糸にPTFE繊維(フッ素繊維)とポリエステル繊維(フッ素繊維より静摩擦係数の大きい繊維)の2種類を用いて、PTFE繊維がポリエステル繊維よりも多く露出している摺動面と、ポリエステル繊維がPTFE繊維よりも多く露出している非摺動面とを有するヨコ二重織を得ることができ、そのヨコ二重織は本発明のスライディングシートに好適に用いることができる。
別のフッ素繊維と、フッ素繊維より静摩擦係数の大きい繊維を組み合わせる方法としては、朱子織物がある。朱子織物は図4の組織図の例に代表されように、タテ糸とヨコ糸を交互に織り込む平織りと違って、タテ糸が複数本のヨコ糸をまたいで織り込む織方法で、その分タテ糸が一方の表面に多く露出するのが特徴である。ここで、スライディングシートに用いる朱子織物の好ましい形態としては、例えば、朱子織物のタテ糸が、タテ糸を構成する全ての糸100質量%に対しPTFE繊維(フッ素繊維)を60質量%以上含み、朱子織物のヨコ糸が、ヨコ糸を構成する全ての糸100質量%に対しポリエステル繊維(フッ素繊維より静摩擦係数の大きい繊維)を50質量%以上含み、その摺動面にタテ糸がヨコ糸よりも多く露出しており、その非摺動面にヨコ糸がタテ糸よりも多く露出しているものが挙げられる。
さらに別の、フッ素繊維とフッ素繊維よりも静摩擦係数の高い繊維を組み合わせて得られる布帛としては、布帛の一方の面と、布帛の他方の面とで種類の異なる不織布が積層されて構成される布帛が挙げられる。この布帛の一方の面に積層される不織布は、摺動面を構成するものであり、この布帛の他方の面に積層される不織布は、非摺動面を構成するものである。また、摺動面を構成する不織布は、その不織布全体に対してフッ素繊維を60質量%以上含有しており、非摺動面を構成する不織布は、その不織布全体に対してフッ素繊維よりも静摩擦係数の大きい繊維を50質量%以上含有している。
また、不織布を積層する手段としては、ニードルパンチ、ウォータージェットパンチ、あるいは接着剤によるもの等が挙げられる。
ここで用いられる、フッ素繊維より静摩擦係数の高い繊維とは、静摩擦係数の低い繊維として用いられるフッ素繊維よりも静摩擦係数の高いものなら特に限定されず、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、アラミド繊維などの合成繊維や、レーヨン、キュプラといった半合成繊維、またウール、綿、麻等の天然繊維などを単体、あるいは組み合わせて使用することができる。
摺動面と非摺動面を有する布帛を得る別の方法として、フッ素繊維を含有する繊維シートを作製してから、その繊維シートの一方の面に滑り止め加工する方法がある。この場合、繊維シートの滑り止め加工をされた方の面が、布帛の非摺動面を構成し、繊維シートの滑り止め加工をされていない方の面が、布帛の摺動面を構成する。この繊維シートは、この繊維シートを構成する全繊維100質量%に対してフッ素繊維が60質量%以上含まれている。従って、フッ素繊維を特定量含有する繊維シートの滑り止め加工されていない方の面が、布帛の摺動面を構成しているので、その布帛の摺動面の静摩擦係数は、その布帛の非摺動面の静摩擦係数と比較し低いものとなる。また、この布帛の摺動面の静摩擦係数をより低いものとする観点から、繊維シートに含まれるフッ素繊維の含有量は、この繊維シートを構成する全繊維100質量%に対して95質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましい。
ここで、上記の繊維シートは、フッ素繊維に加え、フッ素繊維以外の繊維を含んでいてもよい。
滑り止め加工の方法は特に限定されず、フッ素より静摩擦係数の高い樹脂をコーティング加工したり、ラミネート加工、あるいはスプレー加工したりする方法が挙げられる。コーティング加工の場合、本発明で用いる布帛の片面に、全面コーティングしても、ドット加工のように部分的に加工しても良い。
本発明で用いられるフッ素より静摩擦係数の大きい樹脂は、特に限定されず、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、などのプラスチックや、ブタジエンゴム、アクリルゴム等のゴム材料が用いられる。特にゴム材料のドット加工は、すべり防止の効果が大きく、かつ柔軟であり、また、使用量も最小限とできるので好ましい。加工設備も特に限定されず、ロールコート。、グラビアコート、スプレーコートなど任意のコーティング設備、または熱ラミネート、パウダーラミネートといった任意のラミネート設備を用いることができる。
本発明に用いる繊維シートについては、フッ素繊維以外で、フッ素繊維よりも静摩擦係数の大きい繊維を含んでいてもよく、繊維シートにおけるフッ素繊維よりも静摩擦係数の大きい繊維の含有量は、繊維シートを構成する全繊維100質量%に対し、40質量%未満であることが好ましい。上記の含有量とすることで、布帛が有する摺動面の静摩擦係数がより低いものとなる。
本発明のスライディングシートに用いられる布帛は、防汚加工、および/または消臭加工等を行うことができる。加工方法は特に限定されず、あらかじめ布帛に含まれるフッ素繊維や、それを形成する樹脂中に防汚機能や消臭機能を有する薬剤を練りこむ方法や、布帛形態にしてから、これら薬剤を付与する方法などが挙げられる。特にフッ素繊維は耐喰性に優れており、防汚性、消臭性能に優れるが、防汚性付与剤および/または消臭機能付与剤をフッ素繊維に練りこむことで、フッ素繊維の防汚性および消臭性能がより一層優れたものとなり、より優れた防汚性および消臭性能を持つ布帛が得られるため好ましい。ここで、防汚性付与剤としては、酸化チタンなどの光触媒やフッ素系あるいはシリコン系の撥油加工剤などを挙げることができ、消臭機能付与剤としては、酸化チタンなどの光触媒、ゼオライト、活性炭または一般に用いられる芳香剤などを挙げることができる。
次に、本発明を図面により説明する。図1は本発明のスライディングシートの一形態の使用形態の一例を示す模式図である。このスライディングシート1では、摺動面11と非摺動面12を有する布帛を、摺動面11を内側とし、円筒状としたものである。被介護者等13を円筒外側の非摺動面に乗せて移動すると、摺動面同士の摺動により少ない力で移動することができる。また、非摺動面は摺動面と比べ、その静摩擦係数が大きいため、非摺動面12の上の被介護者等13は、スライディングシート1の上で滑り、動くことなく、被介護者等13を安全に移動させることができる。
図2は、本発明のスライディングシートに使用される布帛の一例の模式図である。この布帛2は、フッ素繊維を有する不織布3と、ポリエステル繊維を有する不織布4を積層した構造をとっている。ここで、不織布3は、不織布3全体に対しフッ素繊維を60質量%以上含有しており、不織布4は、不織布4全体に対しポリエステル繊維を50質量%以上含有している。また、この形態では、フッ素繊維を有する不織布3が摺動面11を構成し、ポリエステル繊維を有する不織布4が非摺動面12を構成する。
図3は、本発明のスライディングシートに使用される布帛の別の一例の模式図である。この布帛2は、フッ素繊維を有する繊維シートである織物5の片面に、フッ素よりも静摩擦係数の大きい樹脂であるアクリル系ゴム6をストライプ状に塗布してすべり止め加工をしている。ここで、上記の繊維シートである織物5は、繊維シートである織物5全体に対しフッ素繊維を60質量%以上含んでいる。滑り止め加工の無い面を摺動面11、滑り止め加工した面を非摺動面12として使用する。
図4は、本発明のスライディングシートに使用される布帛の別の一例である朱子織物の織組織の一部を示す模式図である。すなわち、図4は、フッ素繊維7をタテ糸、ポリエステル繊維8をヨコ糸として作製される朱子織物であって、フッ素繊維7が多く配される朱子織物の摺動面11を示している。
図5は、従来のスライディングシートに使用される布帛の一例の模式図である。この布帛2は、タテ糸、およびヨコ糸にナイロン繊維を用いた平織物9で、その両面の静摩擦係数は、発明のスライディングシートの摺動面の静摩擦係数よりも高く、また、従来のスライディングシートは、裏表とも同じ組織であり、摺動面と非摺動面の区別は無い。
以下本発明を実施例で具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。また、各値の測定は以下のとおり行った。
(1)静摩擦係数測定
JIS P8147:2010の8項:傾斜法に準じて行った。
(実施例1)
タテ糸に440デシテックスのPTFEマルチフィラメント(東レ製、トヨフロン)を、ヨコ糸に440デシテックスのPTFEマルチフィラメントと440デシテックスのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントを用いて、目付け400g/mのヨコ二重織物を作製した。また、このヨコ二重織物では、その摺動面においてはヨコ糸よりもタテ糸の方が多く露出しており、その非摺動面においてはタテ糸よりもヨコ糸の方が多く露出していた。摺動面のPTFEマルチフィラメントの含有量は、摺動面を構成する全繊維100質量%に対し、90質量%であった。摺動面の静摩擦係数は0.13で、非摺動面の静摩擦係数は0.25であった。
(実施例2)
タテ糸に440デシテックスのPTFEマルチフィラメント(東レ製、トヨフロン)を、ヨコ糸に440デシテックスのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントを用いて、図4の織組織で目付け250g/mの5枚の朱子織物を作製した。また、この朱子織物では、その摺動面においてはヨコ糸よりもタテ糸の方が多く露出しており、その非摺動面においてはタテ糸よりもヨコ糸の方が多く露出していた。摺動面のPTFEマルチフィラメントの含有量は、摺動面を構成する全繊維100質量%に対し、80量%であった。摺動面の静摩擦係数は0.15、非摺動面の静摩擦係数は0.30であった。
(実施例3)
3.3デシテックスのPTFE短繊維(繊維長51mm)を用いて、カード、クロスラップ、ニードルパンチ工程を経て、目付け200g/mのニードルパンチ不織布Aを得た。一方、6.6デシテックスのポリエチレンテレフタレート短繊維を用い、同じくカード、クロスラップ、ニードルパンチ工程を経て、目付け150g/mのニードルパンチ不織布Bを得た。次に、ニードルパンチ不織布Bをニードルパンチ不織布Aと重ね合わせて、更にニードルパンチ加工することで両者を絡合して、ニードルパンチ不織布A由来の層とニードルパンチ不織布B由来の層からなる2層積層不織布を得た。このニードルパンチ不織布Aに含まれるフッ素繊維の含有量は、ニードルパンチ不織布A全体に対し95質量%であった。すなわち、布帛の摺動面に含まれるフッ素繊維の含有量は、摺動面を構成する全繊維100質量%に対し、95質量%であった。また、上記のニードルパンチ不織布Bに含まれるポリエチレンテレフタレート短繊維の含有量は、ニードルパンチ不織布B全体に対し95質量%であった。ニードルパンチ不織布Aが形成する摺動面の静摩擦係数は0.20、ニードルパンチ不織布Bが形成する非摺動面の静摩擦係数は0.32であった。
(実施例4)
タテ糸およびヨコ糸に440デシテックスのPTFEマルチフィラメント(東レ製、トヨフロン)を使用して、目付け230g/mの平織物を作製した。この平織物のPTFEマルチフィラメントの含有量は、この平織物を構成する全繊維100質量%に対し100質量%であった。次に、この平織物の片面にフッ素よりも静摩擦係数の小さい樹脂であるアクリル系ゴムを1cm角の格子状に塗布して滑り止め加工を行った。滑り止め加工の無い摺動面の静摩擦係数は0.13、すべり止め加工した非摺動面の静摩擦係数は1.05であった。
(実施例5)
タテ糸に440デシテックスのPTFEマルチフィラメントと440デシテックスのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントを交互に配し、ヨコ糸に440デシテックスのPTFEマルチフィラメント用いて、目付け300g/mの平織物を作製した。この平織物のPTFEマルチフィラメントの含有量は、この平織物を構成する全繊維100質量%に対し75質量%であった。この織物の片面にフッ素よりも静摩擦係数の小さい樹脂であるアクリル系ゴムでピッチ1cmの間隔でドット加工による滑り止め加工を行った。滑り止め加工の無い摺動面の静摩擦係数は0.22、滑り止め加工をした非摺動面の静摩擦係数は0.97であった。
実施例1〜5の布帛を摺動面を内側にしてスライディングシートとして使用したところ、動き出しに大きな力が要らず、安全に、かつ移動中の力も小さく移動することができ、また、被介護者等は非摺動面上にのっているので、移動中に被介護者等がスライディングシートからずれることなく、安全に移動することができた。
(比較例1)
タテ糸およびヨコ糸に200デシテックスのナイロンマルチフィラメント(東レ製、東レナイロン)を使用して、目付け150g/mの平織物を作製した。この平織物の静摩擦係数は両面で差は無く、両面共にその静摩擦係数は、0.30であった。
この平織物の布帛を筒状にしてスライディングシートとして使用したところ、被介護者等を動かし始めるときに、大きな力が必要であり、被介護者等を押し過ぎそうになった。
本発明のスライディングシートは、摺動面と非摺動面を有するので、非摺動面上の被介護者等が滑ることなく、また、摺動面は静摩擦係数の低いフッ素系繊維を用いているので、動き出しに大きな力が必要ないことから、より安全に被介護者等の移動ができ、かつフッ素繊維は動摩擦係数も低いので移動中の力も少なくてよく、介助者の負担も少なくなるため、介護の現場や手術、検査等医療の現場で好適に使用することができる。
1:スライディングシート
2:布帛
3:フッ素繊維を有する布帛
4:ポリエステル繊維を有する布帛
5:織物
6:アクリル系ゴム
7:フッ素繊維
8:ポリエステル繊維
9:平織物
11:摺動面
12:非摺動面
13:被介護者等

Claims (9)

  1. 布帛が円筒状または二つ折り状となったスライディングシートであって、
    前記布帛が、一方の面がその面を構成する全繊維100質量%に対してフッ素繊維を60質量%以上含み、前記一方の面が他方の面よりも静摩擦係数が小さく、
    前記布帛の相対的に静摩擦係数の小さい方の面が内側となるように円筒状または二つ折り状となった、スライディングシート。
  2. 前記布帛の相対的に静摩擦係数の小さい方の面の静摩擦係数が、他方の面の静摩擦係数より0.1以上小さい、請求項1のスライディングシート。
  3. 前記布帛が織物である、請求項1または2のスライディングシート。
  4. 前記布帛が不織布である、請求項1または2のスライディングシート。
  5. 前記布帛がフッ素繊維および前記フッ素繊維より静摩擦係数の大きい繊維を有した二重織物であり、
    前記布帛の相対的に静摩擦係数の小さい方の面に、前記フッ素繊維が前記フッ素繊維よりも静摩擦係数の大きい繊維よりも多く露出しており、
    前記布帛の相対的に静摩擦係数の大きい方の面に、前記フッ素繊維よりも静摩擦係数の大きい繊維が前記フッ素繊維よりも多く露出している、請求項3のスライディングシート。
  6. 前記布帛が朱子織物であり、
    前記布帛のタテ糸が、タテ糸を構成する全ての糸100質量%に対しフッ素繊維を60質量%以上含み、
    前記布帛のヨコ糸が、ヨコ糸を構成する全ての糸100質量%に対し、前記フッ素繊維よりも静摩擦係数の大きい繊維を50質量%以上含み、
    前記布帛の相対的に静摩擦係数の小さい方の面に、前記タテ糸が前記ヨコ糸よりも多く露出しており、
    前記布帛の相対的に静摩擦係数の大きい方の面に、前記ヨコ糸が前記タテ糸よりも多く露出している、請求項3のスライディングシート。
  7. 前記布帛が、一方の面と他方の面とで種類の異なる不織布が積層されて構成されており、
    前記布帛の相対的に静摩擦係数の小さい方の面を構成する不織布が、その不織布全体に対してフッ素繊維を60質量%以上含有し、
    前記布帛の相対的に静摩擦係数の大きい方の面を構成する不織布が、その不織布全体に対して、前記フッ素繊維よりも静摩擦係数の大きい繊維を50質量%以上含有する、請求項4のスライディングシート。
  8. 前記布帛の相対的に静摩擦係数の小さい方の面が繊維シートで構成され、この繊維シートを構成する全繊維100質量%に対してフッ素繊維が60質量%以上含まれており、
    前記布帛の相対的に静摩擦係数の大きい方の面が、前記フッ素繊維よりも静摩擦係数の大きい樹脂で構成された、請求項1または2のスライディングシート
  9. 前記フッ素繊維が、防汚性付与剤および/または消臭機能付与剤を含有する、請求項1〜8のいずれかのスライディングシート。
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