以下、本発明に係る撮影台の実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下では、撮影台が、主にブッキー内に3枚の放射線画像撮影装置を装填可能に構成されている場合について説明するが、前述したように、ブッキー内に並設される複数の放射線画像撮影装置の枚数は必ずしも3枚に限定されず、任意の複数の枚数とすることが可能である。
また、本実施形態では、後述する図1(A)等に示すように、複数の放射線画像撮影装置F1〜F3がブッキー5内で、より下側の放射線画像撮影装置F3、F2の方がより上側の放射線画像撮影装置F2、F1よりも図示しない放射線照射装置や被写体(図29(B)等の103やP参照)に近くなるように配置される撮影台について説明するが、ブッキー5内の複数の放射線画像撮影装置F1〜F3の配置はこれに限定されず、例えば、図29(B)に示したように複数の放射線画像撮影装置F1〜F3)が放射線照射装置や被写体に近い側と遠い側に交互に配置されるように構成されていてもよい。
[撮影台の基本的な構成]
図1は、本実施形態に係る撮影台の基本的な構成を示す図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。なお、以下では、図示しない放射線照射装置や被写体が配置される側、すなわち図1(A)における手前側、図1(B)における左側を前方等とし、放射線照射装置や被写体から離れる側、すなわち図1(A)における奥側、図1(B)における右側を後方等として説明する。また、放射線画像撮影装置F1〜F3を一般的に放射線画像撮影装置Fという場合がある。
図1(A)、(B)に示すように、撮影台1は、主に、支柱2と、サポートユニット3と、ブッキー5とで構成されている。具体的には、撮影台1の支柱2は撮影室等の床面から鉛直方向に立設されており、支柱2には、サポートユニット3が上下方向に移動可能に支持されている。
サポートユニット3には、水平方向に延在するように前方に向けて軸3aが突設されており、軸3aには、軸3aの延在方向α(すなわち水平方向α)に直交する方向で、且つ互いに逆向きに伸びる2本の腕部材4a、4Bを有する腕部4が、軸3a周りに回転自在に取り付けられている。すなわち、別の言い方をすれば、腕部4は、1本の腕部材の中央部分で軸3aに軸支されている。そして、2本の腕部材4a、4bは、端部部分がそれぞれ前方に屈曲されて前方への突出部4aa、4baがそれぞれ形成されている。
なお、後述するようにブッキー5が回転する際に腕部4がサポートユニット3の軸3a周りに回転するが、例えば図1(B)に示すように、このブッキー5や腕部4の回転を補助するアシストモーター7をサポートユニット3等に取り付けるように構成することも可能である。
一方、サポートユニット3や腕部4等の前方に、複数の放射線画像撮影装置F1〜F3を装填可能なブッキー5が、図示しない放射線照射装置から照射される放射線の照射方向α(すなわち水平方向α)に直交する方向に配置されている。そして、ブッキー5をこのように配置することで、ブッキー5に装填された複数の放射線画像撮影装置F1〜F3が、照射される放射線の照射方向αに直交する方向に並べられた状態になる。
また、ブッキー5の背後には略平板状のスタンド6が設けられており、スタンド6の略平板状の本体部6aの長手方向の両端部分には、断面L字状の係合部6b、6cがそれぞれ前側に設けられている。そして、ブッキー5がスタンド6に挿入されると、スタンド6の本体部6aと係合部6b、6cにより、保持されたブッキー5が前方に脱落しないように保持されるようになっている。
なお、本実施形態では、スタンド6には図示しないロック機構が設けられており、スタンド6に挿入されたブッキー5がロック機構でロックすることで、ブッキー5がスタンド6の本体部6aの短辺方向(すなわち図1(A)では左右方向)に動くことができないようにロックされるようになっている。また、ロック機構を解除することで、ブッキー5をスタンド6から取り外すことができるようになっている。
スタンド6の本体部6aの背面には、後方に向けて接続片部6d、6eがそれぞれ突設されており、接続片部6d、6eは、前述した腕部4の突出部4aa、4baにそれぞれ回動可能に取り付けられている。すなわち、接続片部6d、6eは、2つの突出部4aa、4baを結ぶ仮想線β周りに回動することができるように突出部4aa、4baにそれぞれ取り付けられている。本実施形態では、図1(B)に示すように、接続片部6d、6eは,それぞれ2枚の片部でそれぞれ突出部4aa、4baを挟むようにして突出部4aa、4baに軸支されている。
そして、腕部4は、上記の仮想線βが放射線の照射方向αに直交する方向を向くように形成されている。そのため、本実施形態では、スタンド6およびそれに保持されたブッキー5が、サポートユニット3に、腕部4を介して放射線の照射方向αに直交する仮想線βを中心に回動可能に支持されるようになっている。
[作用]
次に、本実施形態に係る撮影台1の作用について説明する。本実施形態では、上記のように、ブッキー5が、スタンド6や腕部4等を介してサポートユニット3により支持されており、また、上記のように、腕部4が放射線の照射方向α(すなわち水平方向α)に延在する軸3a周りに回転可能とされている。そのため、ブッキー5を、放射線の照射方向αを中心に(すなわち放射線の照射方向αを法線ベクトルとする平面内で)回転させることができる。
前述したように、従来の長尺撮影用の撮影台200(図29(B)参照)では、本発明とは異なり、ブッキー201を、放射線の照射方向αを中心に回転させることができなかった。そして、ブッキー201を、その長手方向が上下方向を向く状態のまま(すなわち縦方向の配置のまま)撮影台200の下端まで下げても、ブッキー201の長手方向の長さが長いため、ブッキー201の上端部分の高さは比較的高い位置になる、そのため、例えば患者が車椅子に着座したままブッキー201の上端部に顎を載せようとしても、上端部の高さが高過ぎて顎を載せることができず、胸部正面等の単純撮影を行うことができなかった。
それに対し、本実施形態に係る長尺撮影用の撮影台1では、上記のように、ブッキー5を、例えば図2(A)に示すようにその長手方向が上下方向を向く状態(縦方向の配置)から、図2(B)に示すように長手方向が水平方向を向くよう状態(横方向の配置)に90°回動させる。そして、この状態でサポートユニット3を支柱2に対して下方に移動させることで、ブッキー5を、横向きの状態で適切な高さまで(最大では撮影台1の下端まで)下げることが可能となる。
そのため、ブッキー5内に装填された放射線画像撮影装置F1〜F3を適切な高さまで下げることが可能となり、例えば患者が車椅子に着座したままブッキー5の上端部(この場合はブッキー5の側面部分)に顎を載せることができる高さまでブッキー5や放射線画像撮影装置F1〜F3の高さを下げることが可能となる。そのため、本実施形態では、ブッキー5を横向き(図2(B)参照)の状態に回転させることで、ブッキー5や放射線画像撮影装置Fの高さを適切に下げて、車椅子に着座した状態の患者でも胸部正面等の単純撮影を適切に行うことが可能となる。
[効果]
以上のように、本実施形態に係る撮影台1によれば、上下方向に移動可能に支柱2に支持されているサポートユニット3で、ブッキー5を、放射線の照射方向αを中心に回転可能に支持するように構成したため、ブッキー5を横向き(図2(B)参照)の状態になるように回転させることが可能となる。そして、この状態で、サポートユニット3を支柱2に対して下方に移動させることで、ブッキー5を、横向きの状態で適切な高さまで下げることが可能となる。
そのため、例えば患者が車椅子に着座したままブッキー5の上端部(この場合はブッキー5の側面部分)に顎を載せることができる高さまでブッキー5や放射線画像撮影装置Fを下げ、患者が車椅子に着座した状態でブッキー5に顎を載せて胸部正面等の単純撮影を適切に行うことが可能となる。このように、本実施形態に係る長尺撮影用の撮影台1を用いれば、単純撮影をも的確に実施することが可能となる。
なお、本実施形態に係る撮影台1を用いれば、従来の撮影台200(図29(B)参照)の場合と同様に、ブッキー5内に予め複数の放射線画像撮影装置F1〜F3を並べて配置しておき、それらに対して放射線照射装置から放射線を1回だけ照射して複数枚の放射線画像を撮影すること(すなわち1ショットで長尺撮影を行うこと)が可能であることは改めて説明するまでもない。
また、本実施形態では、上記のように、ブッキー5を保持するスタンド6(図2(A)、(B)では図示省略。図1(A)、(B)参照)を設け、その背面側に接続片部6d、6eを設ける場合について説明したが、例えば、スタンド6を設けずに、ブッキー5の背面側に接続片部を設けて、腕部4の突出部4aa、4baに回動可能に接続するように構成することも可能である。
さらに、本実施形態では、後述するように、ブッキー5を臥位撮影用のポジションに配置することができるように構成するために、サポートユニット3とブッキー5(或いはスタンド6。以下同じ。)との間に腕部4のような構成を設けてブッキー5が仮想線βを中心に回動することができるように構成されている場合について説明した。しかし、ブッキー5を臥位撮影用のポジションに配置することができるように構成する等の必要がない場合には、サポートユニット3の軸3aにブッキー5を直接取り付けて、ブッキー5はサポートユニット3に対して、放射線の照射方向αを中心に回転することができるように構成することも可能である。
さらにまた、図1(B)等では、ブッキー5の、放射線画像撮影装置Fの挿入口51が向かって右側に設けられている場合が示されているが、挿入口51を向って左側に設けるように構成することも可能である。また、図1(B)等では、放射線画像撮影装置Fの挿入口51が塞がれていない状態が示されているが、挿入口51を例えば蓋等で塞ぐように構成することも可能であり、図2(A)、(B)では、ブッキー5の挿入口51が蓋5Aで塞がれている場合が示されている。
[挿入口が下方を向かないように回転させることについて]
例えば、ブッキー5の放射線画像撮影装置Fの挿入口51を蓋5A等で塞がない状態、すなわち例えば図1(A)、(B)に示した状態で、図1(A)の状態から、ブッキー5を時計回りに回転させると、放射線画像撮影装置Fの挿入口51が下向きになる。しかし、このようにブッキー5の放射線画像撮影装置Fの挿入口51が下向きになると、ブッキー5内に装填されている放射線画像撮影装置Fが挿入口51から抜け出して落下してしまう虞れがある。
そこで、上記のようにブッキー5を放射線の照射方向αを中心に回転させる際、ブッキー5を、その放射線画像撮影装置Fの挿入口51が上向き或いは横向きになるように回転させることができるように構成することが可能である。すなわち、ブッキー5を、放射線画像撮影装置Fの挿入口51が下向きになるように回転させることができないように構成することが可能である。
このように構成すれば、ブッキー5を回転させる際に、ブッキー5内に装填されている放射線画像撮影装置Fが挿入口51から抜け出して落下してしまうことを的確に防止することが可能となり、ブッキー5を安全に回転させることが可能となる。
なお、図2(A)、(B)では、ブッキー5を、その放射線画像撮影装置Fの挿入口51が上向き或いは横向きになるように回転させる場合が示されている。また、ブッキー5を回転させる際に放射線画像撮影装置Fの挿入口51が上向き或いは横向きになるようにするために、例えばブッキー5を図2(A)に示した状態から図2(A)における反時計回りに180°まで(すなわちブッキー5の天地が逆になる状態まで)しか回転できず、ブッキー5を図2(A)に示した状態から図2(A)における時計回りに回転させようとしても回転できないようにブッキー5の回転を規制するように構成することも可能である。
[顎載せ部について]
また、前述したように、図1(A)、(B)や図2(A)、(B)に示した長尺撮影用の撮影台1を用いて、例えば胸部正面等の単純撮影を行うことができる。その際、被写体である患者が立位で撮影を行う場合には、例えば図2(A)に示したブッキー5の最上部(すなわち図2(A)におけるF1の位置)に放射線画像撮影装置Fを装填し、ブッキー5の上端部の顎載せ部5Bに患者が顎を載せるようにして胸部正面等の単純撮影を行うことができる。
そのため、図2(A)に示すように、ブッキー5の最上部、すなわちブッキー5の一方側の端部に窪みを設けて顎載せ部5Bを設けるように構成することが可能である。また、ブッキー5の当該端部に、患者が立位の姿勢で胸部正面等を撮影する際に把持するための正面握り棒5Cを設けるように構成することが可能である。
また、上記のように、ブッキー5を回転させて図2(B)に示すように横向きにすれば、患者が車椅子に着座したままで胸部正面等の撮影を行うことができる。しかし、その際、例えばブッキー5の中央の位置(すなわち図2(B)におけるF2の位置)に放射線画像撮影装置Fを装填して撮影を行うように構成すると、車椅子に着座した患者の脚が正面握り棒5Cにぶつかる等の問題が生じ得る。
そこで、図2(B)に示すように、ブッキー5の、正面握り棒5Cが設けられた側の端部とは反対側の端部(すなわち図2(B)におけるF3の位置)の、放射線画像撮影装置Fの挿入口51が形成されている側に(図2(B)の場合は挿入口51を塞ぐ蓋5Aに)窪みを設けて顎載せ部5Dを設けるように構成することが可能である。
このように構成すれば、ブッキー5の、正面握り棒5Cが設けられた側の端部とは反対側の端部に放射線画像撮影装置Fを装填し、ブッキー5の放射線画像撮影装置Fの挿入口51が形成されている側に設けられた顎載せ部5Dに患者が顎を載せるようにして胸部正面等の単純撮影を行うことができる。そのため、車椅子に着座した患者の脚が正面握り棒5Cにぶつかる等の問題が生じることなく単純撮影を的確に行うことが可能となる。
[側面握り棒について]
また、例えば撮影台1のブッキー5を図2(A)に示したように縦方向に配置した状態で、被写体である患者がブッキー5の前方に右向き或いは左向きに立って患者の脊柱や下肢等を側面から長尺撮影したり単純撮影したりする場合がある。その際、図2(A)に示すように、患者が側面撮影を行う際に把持するための側面握り棒5Eを設けるように構成される場合がある。
その際、側面握り棒5Eがブッキー5やスタンド6(図2(A)、(B)では図示省略。図1(A)、(B)参照)から延設されるように構成されていると、上記のようにブッキー5を回転させた場合に、側面握り棒5Eもブッキー5とともに回転してしまい、ブッキー5を例えば図2(B)に示した状態に回転させると、側面握り棒5Eが横方向に突き出した状態になってしまう。
そこで、これを避けるために、図3に示すように、側面握り棒5Eをサポートユニット3に取り付けるように構成することが可能である。サポートユニット3は、上記のようにブッキー5が回転しても回転しないため、図2(B)に示したようにブッキー5を回転させても、側面握り棒5Eは回転しないように構成することが可能となる。
また、側面握り棒5Eとブッキー5が近接していると、ブッキー5を回転させる際に、ブッキー5と側面握り棒5Eとがぶつかる虞れがある。そこで、図3に示すように、ブッキー5を縦方向に(すなわちブッキー5の長手方向が上下方向を向くように)配置した場合に、ブッキー5(或いはスタンド6.以下同じ。)の上端と、ブッキー5の上端の上側に配置される側面握り棒5Eの部分との距離Lが20cm以上になるように、側面握り棒5Eが配置されるように構成されることが望ましい。距離Lが20cm以上であれば、ブッキー5を回転させる際にブッキー5と側面握り棒5Eとがぶつかることを的確に防止することが可能となる。
[ブッキーのチルト動作について]
また、従来の長尺撮影用の撮影台200(図29(B)参照)では、ブッキー201がチルト(tilt)動作を行うことができないという問題がある。
例えば患者の肩等を撮影するような場合に、放射線画像撮影装置Fの放射線入射面(すなわち放射線照射装置103に対向する側の表面)をやや下側に向けた状態で単純撮影が行われる場合がある。そして、例えば図29(A)に示した撮影台100では、ブッキー101の上端を放射線照射装置103に移動させるようにして(或いはブッキー101の下端を放射線照射装置103とは反対側に移動させるようにして)ブッキー101を傾ける(すなわちチルトさせる)ことで、放射線画像撮影装置Fの放射線入射面をやや下側に向けた状態にすることができた。
しかし、図29(B)に示した1ショット長尺撮影用の撮影台200では、ブッキー201内に複数の放射線画像撮影装置Fを装填するため、ブッキー201が上下方向に長くなる。そのため、例えば上記と同様にブッキー201の上端を放射線照射装置103に移動させる等してブッキー201を傾けようとしても、ブッキー201の下端部が支柱202にぶつかってしまい、ブッキー201を十分に傾けることができない。そのため、図29(B)に示した撮影台200では、ブッキー201をチルトさせることができず、放射線画像撮影装置Fの放射線入射面を必要な角度だけ下側に向けることができなかった。
それに対し、本実施形態に係る撮影台1では、上記のように、ブッキー5が、サポートユニット3に対して、放射線の照射方向αを中心に回転可能に支持されている。そして、図1(A)、(B)に示したように、上記のようにサポートユニット3とブッキー5(スタンド6)との間に腕部4を設ける等して、ブッキー5が、サポートユニット3に対して、放射線の照射方向αに直交する仮想線βを中心に回動可能に支持されるように構成されている。
そのため、例えば図2(A)に示した状態から、ブッキー5を、サポートユニット3に対して、放射線の照射方向αを中心に90°回転させて図2(B)に示した状態にする。それを側方から見た図が図4(A)であるが、その際、図1に示した仮想線βは横方向(水平方向ではあるが放射線の照射方向α(図1(B)参照)には直交する方向)になる。
そして、この状態から、図4(B)に示すように、ブッキー5の上側の部分を図示しない放射線照射装置側(図4(B)における左側)に移動させて(或いはブッキー5の下側の部分を放射線照射装置側とは反対側に移動させて)仮想線βを中心にブッキー5を回動させても、ブッキー5の短辺方向の長さは長手方向の長さほど長くないため、ブッキー5の下側の部分が支柱2にぶつかることはない。
そのため、本実施形態では、図4(B)に示すように、ブッキー5を的確にチルトさせることが可能となる。このように、本実施形態に係る撮影台1では、ブッキー5を、放射線の照射方向αを中心に90°回転させ、仮想線βを中心にブッキー5を回動させることで、ブッキー5をチルトさせることが可能となり、放射線画像撮影装置Fの放射線入射面Rを必要な角度だけ下側に向けた状態にすることが可能となる。
なお、本実施形態では、図1(B)等に示したように、腕部4の突出部4aa、4baでスタンド6の接続片部6d、6eを軸支することで、仮想線βを中心としたブッキー5の回動動作を実現したが、この他にも、例えば、ブッキー5(或いはスタンド6)とサポートユニット3や腕部4とを自在継手(universal joint)やフレキシブルアーム等でつなぐ等して、仮想線βを中心としたブッキー5の回動動作を実現するように構成することも可能である。
[臥位撮影用のポジションについて]
一方、図1(A)、(B)や図2(A)に示したように、ブッキー5を、その長手方向が上下方向を向くように(すなわち縦方向に)配置した状態で、その前に被写体である患者を立たせて立位の撮影を行うことができる。そのため、以下、ブッキー5の長手方向が上下方向を向くような配置(すなわち縦方向の配置)を、立位撮影用のポジションという。
そして、この立位撮影用のポジションから、図2(B)や図4(A)に示したようにブッキー5を回転させて横方向に配置し、その状態から、図4(B)とは逆方向、すなわちブッキー5を、仮想線βを中心に、ブッキー5の上側の部分が図示しない放射線照射装置側(図4(A)における左側)とは反対側に移動するように回動させて(すなわち図4(A)において時計回りに回動させて)、放射線画像撮影装置Fの放射線入射面Rが真上を向くように回動させると、ブッキー5の上に患者が横臥する等した状態で臥位の撮影を行うことができる。以下、このようにブッキー5の長手方向が横方向を向き、放射線画像撮影装置Fの放射線入射面Rが真上を向くような配置を、臥位撮影用のポジションという。
しかし、この場合、図4(A)に示した状態では、ブッキー5の、放射線画像撮影装置Fの挿入口51は上向きになっており、その状態で、上記のようにブッキー5の上側の部分が放射線照射装置側とは反対側に移動するように回動させると、放射線画像撮影装置Fの放射線入射面Rが真上を向くような配置にはなるが、放射線画像撮影装置Fの挿入口51が撮影台1の支柱2側に向いてしまう。そのため、放射線画像撮影装置Fのブッキー5への装填やブッキー5からの取り出しがしづらくなる。
そこで、例えば図5(A)〜(C)に示すようにブッキー5を回動させたり回転させたりすることで、立位撮影用のポジションから臥位撮影用のポジションに配置を変えるように構成することが可能である。
すなわち、図5(A)に示す立位撮影用のポジション(すなわちブッキー5の長手方向が上下方向を向くように配置したポジション)から、ブッキー5を、図5(B)に示すように、前述した仮想線βを中心に、放射線画像撮影装置Fの挿入口51が図示しない放射線照射装置側(すなわち図5(B)における手前側)を向くように回動させる。そして、ブッキー5をサポートユニット3に対して放射線の照射方向α(すなわち水平方向α)を中心に回転させることで、図5(C)に示すように、ブッキー5を臥位撮影用のポジションに配置を変えることができる。
このように構成すれば、図5(C)に示すように、ブッキー5を臥位撮影用のポジションに配置を変えても、放射線画像撮影装置Fの挿入口51が前向きになるため(すなわち撮影台1の支柱2側とは反対側を向くため)、臥位撮影用のポジションのブッキー5への放射線画像撮影装置Fの装填やブッキー5からの取り出しを容易に行うことが可能となる。
そして、本実施形態に係る撮影台1では、上記のように構成することで、図5(A)〜(C)に示したようにブッキー5を回動させたり回転させて、臥位撮影用のポジションのブッキー5の放射線画像撮影装置Fの挿入口51を前向きにすることが可能となる。なお、図5(A)〜(C)に示したブッキー5の動作を逆に行わせることで、ブッキー5を臥位撮影用のポジション(図5(C)参照)から立位撮影用のポジション(図5(A)参照)に配置を変えることができることは言うまでもない。
また、図6に示すように、撮影台1のサポートユニット3の軸3a(放射線の照射方向αに延在している。)の先端に傘歯車8Aを固定する。また、スタンド6(或いはブッキー5)の接続片部6d、6eとの間に、仮想線β方向に延在する軸8Bを接続する。そして、軸8Bに、傘歯車8Aと噛合するように傘歯車8Cを固定する。
このように構成すると、例えば図5(A)に示した立位撮影用のポジションから、ブッキー5を図5(A)において時計回りに回転させた場合、ブッキー5の回転が傘歯車8A、8Cを介してブッキー5(或いはスタンド6)に伝達され、ブッキー5が自動的に仮想線β周りに回動して図5(C)に示した臥位撮影用のポジションになる。
そのため、図6に示したように構成することで、放射線技師等がブッキー5を回転させるだけで自動的にブッキー5にチルト動作を生じさせて立位撮影用のポジション(図5(A)参照)から臥位撮影用のポジション(図5(C)参照)に配置が変わるように構成することが可能となる。なお、この場合、ブッキー5の放射線画像撮影装置Fの挿入口51が下向きの状態になるため、放射線画像撮影装置Fが挿入口51から脱落しないようにするための構成が必要になる。
[一般撮影用の撮影台を用いることについて]
なお、本実施形態では、図1(A)、(B)等に示したように、撮影台1が1ショット長尺撮影用に構成されている場合について説明した。すなわち、撮影台1のブッキー5が、その内部に複数の放射線画像撮影装置F1〜F3を並べて装填することができるように構成されている場合について説明した。
しかし、現状では、図7(A)に示すように、ブッキー11内に放射線画像撮影装置F(図7(A)では図示省略)を1枚だけ装填できる一般撮影用の撮影台10が広く普及している。そして、例えば小規模な医院等の施設では、長尺撮影をさほど頻繁に行わない等の理由で、一般撮影用の撮影台10とは別に、1ショット長尺撮影用の撮影台1を新たに導入することが困難に感じられる場合もあり得る。
そこで、例えば図7(B)に示すように、図1(A)、(B)等に示したブッキー5や腕部4等の1ショット長尺撮影用の構成が前面側に形成されたアタッチメント9を設け、それを一般撮影用の撮影台10のブッキー11に取り付けることで、いわば後付けで、1ショット長尺撮影用の撮影台1を形成するように構成することも可能である。
この場合、長尺撮影を行う場合には、長尺撮影用のブッキー5等を備えるアタッチメント9を一般撮影用の撮影台10のブッキー11に取り付けて、1ショットで長尺撮影を行うことで、前述した体動の問題等が発生することを的確に防止することが可能となる。また、上記のようにブッキー5を臥位撮影用のポジションに配置を変えて、臥位の長尺撮影を行うことができるように構成することも可能である。
このように、図7(B)に示したようにアタッチメント9を介して1ショット長尺撮影用のブッキー5等の構成を一般撮影用の撮影台10のブッキー11に取り付けることができるように構成することで、上記の実施形態と同じ機能を有する1ショット長尺撮影用の撮影台1を構成することが可能となり、このように構成する場合も本発明に含まれる。
また、この場合、単純撮影を行う場合には、アタッチメント9を取り外し、一般撮影用の撮影台10のブッキー11に放射線画像撮影装置Fを装填することで単純撮影を行うことができる。このように、上記のように構成することで、一般撮影用の撮影台10を、単純撮影にも1ショット長尺撮影用にも用いることが可能となる。
なお、このように構成する場合、一般撮影用の撮影台10のブッキー11に、1ショット長尺撮影用のブッキー5等のほか、ブッキー5に装填された複数の放射線画像撮影装置F1〜F3の重量がかかることになる。しかし、一般撮影用の撮影台10のブッキー11は、通常、50kg程度の重量がかかっても壊れないように設計されているため、上記のように一般撮影用の撮影台10のブッキー11に、アタッチメント9を介して1ショット長尺撮影用のブッキー5等の構成を取り付けても十分にその重量に耐えることができ、ブッキー11が破損することはない。
[長尺の放射線画像の生成等について]
ところで、上記の撮影台1は、例えば図8に示すように、病院等の施設の撮影室30A内に設置される。そして、撮影室30A内には放射線照射装置31が設置され、放射線照射装置31から、図示しない被写体を介して、撮影台1に装填された複数の放射線画像撮影装置F1〜F3に放射線が1回照射されることで、1ショットの長尺撮影が行われる。
そして、放射線画像撮影装置F1〜F3で得られた放射線画像の画像データD(以下、放射線画像撮影装置F1〜F3で生成された画像データDをそれぞれ画像データD1〜D3という。)が例えば無線方式でそれぞれ転送され、アクセスポイント32や中継器33を経由して、例えば前室(操作室等ともいう。)30Bに設置されたコンソール34にそれぞれ転送される。
コンソール34では、放射線画像撮影装置F1〜F3からそれぞれ転送されてきた画像データD1〜D3と、放射線画像撮影装置F1〜F3でそれぞれ取得されて転送されてきた図示しないオフセットデータ(暗画像データ等ともいう。)とに基づいて真の画像データD*1〜D*3をそれぞれ算出する(図9(A)参照)。なお、図9(A)、(B)では右脚の長尺撮影が行われた場合が示されている。また、以下、真の画像データD*を単に画像データD*という。
そして、コンソール34は、各画像データD*1〜D*3の画像調整等を行った後、それらの端部同士の位置合わせを行い、複数の画像データD*1〜D*3を合成して、1枚の長尺画像データD*longを生成する(図9(B)参照)。なお、各画像データD*1〜D*3の位置合わせや合成処理等については、例えば特開2013−154146号公報等に記載された公知の方法を用いることが可能である。そして、コンソール34は、合成した長尺画像データD*longに所定の画像処理を施して、図10に示すような長尺の放射線画像plongを生成する。
コンソール34では、このようにして、上記の撮影台1に装填された複数の放射線画像撮影装置F1〜F3でそれぞれ得られた複数の画像データD1〜D3(画像データD*1〜D*3)が合成されて長尺の放射線画像plongが生成される。なお、以下、長尺の放射線画像plongを単に長尺画像plongという。
図8に示すように、コンソール34で生成された長尺画像plongは、ネットワークNを介して例えばPACS(Picture Archiving and Communication System)のサーバー装置35に転送され、画像データベース36に記憶される等して管理される。また、サーバー装置35は、医師等が長尺画像plongを含む種々の放射線画像p等を表示させて読影するための読影装置37から転送要求が送信されてくると、要求のあった放射線画像pのデータ等を読影装置37に転送する。そして、医師等は、読影装置37の表示画面37A上に放射線画像p等を表示させて読影等を行う。
このように、撮影台1を用いて撮影された長尺画像plongは、単純撮影の放射線画像p等と同様に、コンソール34の表示画面34A上や、読影装置37の表示画面37A上に表示される。なお、以下、コンソール34や読影装置37のように、上記の撮影台1に装填された複数の放射線画像撮影装置F1〜F3でそれぞれ得られた複数の放射線画像が合成されて生成された長尺画像plongを表示する装置をまとめて画像表示装置40といい、その表示画面を表示画面40Aという。
[長尺画像の表示について]
本実施形態に係る撮影台1では、図1(A)、(B)等に示したように、ブッキー5を、サポートユニット3に対して、放射線の照射方向αを中心に回転させることができるように構成されている。そして、例えば図2(B)では、ブッキー5を90°回転させてブッキー5の長手方向が水平方向を向くよう状態にした場合を示したが、ブッキー5の回転角度θは90°だけでなく任意の角度で回転させることができる。
例えば、パーキンソン病や股関節疾患の患者の立位全脊柱撮影を行うような場合、患者の体動を抑えることが難しい場合が多い。そのため、このような場合には、本実施形態に係る撮影台1を用いて1ショットで長尺撮影を行うことが望ましい。
一方、このような患者の場合、上体が傾斜している場合が多い。そして、例えば、このような患者に対して全脊柱立位側面の撮影を行う場合、従来の1ショット長尺撮影用の撮影台200(図29(B)参照)ではブッキー201を回転させることができないため、傾斜している患者の上体を起こし、患者Pを真っ直ぐ立たせて長尺撮影を行うしかなかった。しかし、これでは、患者の自然な体位、すなわち上体が傾斜した体位を撮影したことにならないという問題があった。
それに対し、本実施形態に係る撮影台1は、上記のようにブッキー5を任意の回転角度θで回転させることができるため、例えば図11(A)に示すように、傾斜している患者Pの体位にあわせてブッキー5を回転させて長尺撮影を行うことができる。そのため、本実施形態に係る撮影台1を用いれば、上体が傾斜している患者Pの全脊柱立位側面の撮影を行うような場合に、患者の上体を無理に起こしたりせず、患者の自然な体位のまま、すなわち上体が傾斜した体位のまま長尺撮影することが可能となるといったメリットがある。
しかし、本実施形態に係る撮影台1を用いれば、上記のようにして、例えば患者Pの上体が傾斜した体位のまま長尺撮影することが可能となるが、撮影された画像データD1〜D3に基づいて図9(A)、(B)や図10に示したようにして長尺画像plongを生成すると、生成された長尺画像plongは、図11(B)に示すように、一見、患者Pの上体が傾斜していないような画像になる。
そのため、このような長尺画像plongをそのまま画像表示装置40の表示画面40A上に表示しただけでは、それを見た医師等が、患者Pの体位が傾斜しているのかどうかを認識することができない場合がある。そこで、以下のようにして、長尺画像plongを見た医師等が、患者Pの体位が傾斜しているかどうかや鉛直上方がどの方向かを認識できるように長尺画像plongを表示させることができる。
[表示方法1]
例えば、図12に示すように、撮影台1において、ブッキー5がサポートユニット3(図12では図示省略)に対して放射線の照射方向αを中心に回転した際の鉛直上方に対する回転角度θを計測する計測手段を備えるように構成することが可能である。
そして、撮影台1や計測手段から、コンソール34に計測した回転角度θの情報を送信する。或いは、撮影台1や計測手段から、ブッキー5に装填されている各放射線画像撮影装置F1〜F3に回転角度θの情報を通知し、各放射線画像撮影装置F1〜F3が各画像データD1〜D3のヘッダー等に回転角度θの情報を書き込み、画像データD1〜D3とともに回転角度θの情報をコンソール34に転送するように構成してもよい。そして、コンソール34は、生成した長尺画像plongのデータのヘッダー等に回転角度θの情報を書き込む。
そして、画像表示装置40は、長尺画像plongを表示画面40A上に表示する際、長尺画像plongのデータのヘッダー等に書き込まれている計測手段が計測した回転角度θの情報に基づいて長尺画像plongにおける鉛直上方を割り出し、例えば図13(A)に示すように、表示画面40A上に表示する長尺画像plong上に、割り出した鉛直上方を示す印41(例えば矢印)を表示するように構成することが可能である。印41を長尺画像plong以外の表示画面40A上に表示するように構成することも可能である。
また、画像表示装置40が、長尺画像plongを表示画面40A上に表示する際、長尺画像plongのデータのヘッダー等に書き込まれている計測手段が計測した回転角度θの情報に基づいて長尺画像plongにおける鉛直上方を割り出し、例えば図13(B)に示すように、割り出した鉛直上方が表示画面40Aの上方向(図13(B)における上方向)と一致するように長尺画像plongを回転角度θだけ自動的に回転させて表示するように構成することも可能である。すなわち、この場合、画像表示装置40は、計測手段が計測した回転角度θだけ長尺画像plongを表示画面40A上で回転させて表示させる。
図13(A)、(B)に示したように構成すれば、医師等が、表示画面40A上に表示された長尺画像plongを見て、患者Pの体位が傾斜しているかどうかや鉛直上方がどの方向かを的確に認識することが可能となる。
なお、図示を省略するが、図13(A)、(B)に示した構成を組み合わせて、鉛直上方が表示画面40Aの上方向と一致するように長尺画像plongを回転させて表示させると同時に、鉛直上方を示す印41を表示するように構成することも可能である。なお、印41は矢印に限定されず、鉛直上方が分かる印であればどのような印であってもよい。
また、ブッキー5の鉛直上方に対する回転角度θを計測する計測手段としては、例えばサポートユニット3や腕部4、アシストモーター7等(図1(B)参照)に、図示しないロータリーエンコーダーやレゾルバー等の回転角センサーや磁気センサー等を取り付けて、それを計測手段として用いることが可能である。
[表示方法2]
また、上記のように、ブッキー5の鉛直上方に対する回転角度θを計測する計測手段を設けなくても、図13(B)に示したように、鉛直方向が画像表示装置40の表示画面40Aの上下方向と一致するように長尺画像plongを回転させて表示するように構成することが可能である。
すなわち、この場合、図11(A)に示したように傾斜している患者Pの体位にあわせてブッキー5を回転させて長尺撮影を行う際に、例えば図14(A)に示すように、鉛等で形成された例えば三角形状や円錐状等の重り42や紐43を、患者Pとともに長尺画像plongに写し込む。
そして、画像表示装置40は、図14(B)に示すように長尺画像plongに写し込まれている鉛直方向を表す印(すなわち重り42や紐43の像)に基づいて画像解析を行って長尺画像plongにおける鉛直方向を割り出す。すなわち上記のブッキー5の回転角度θを割り出す。そして、長尺画像plongを表示画面40A上に表示する際に、割り出した鉛直方向が表示画面40Aの上下方向と一致するように長尺画像plongを回転させて表示するように構成することが可能である。
このように構成すれば、ブッキー5の鉛直上方に対する回転角度θを計測する計測手段を撮影台1に設けなくても、鉛直方向が表示画面40Aの上下方向と一致するように長尺画像plongを自動的に回転させて表示することが可能となり、医師等が、表示画面40A上に表示された長尺画像plongを見て、患者Pの体位が傾斜しているかどうかや鉛直上方がどの方向かを的確に認識することが可能となる。
[ブッキーの急激な上昇や下降に対する対処について]
ところで、図7(A)に示した一般撮影用の撮影台10の場合、よく知られているように、撮影の際に、高さ等が調整されたブッキー11が上下動しないようにするために、撮影台10の上方に設けられた滑車(或いはギヤ等の場合もある。)を介してブッキー11とカウンターウェイトが設けられる。また、カウンターウェイトを設ける代わりに、ブッキー11をバネ等で下側から上方に付勢してブッキー11を下側から支えるように構成される場合もある。
また、上記のように滑車を介してブッキー11とカウンターウェイトとをバランスさせるように構成する場合、例えば図15に示すように、滑車12として、回転半径dA、dBが異なる滑車12A、12Bを同軸に一体的に形成し、滑車12Aがブッキー11に接続されたワイヤー13Aから受けるトルクと、滑車12Bが図示しないカウンターウェイトに接続されたワイヤー13Bから受けるトルクが同じ大きさになるように構成して、ブッキー11とカウンターウェイトとのバランスをとるように構成される場合もある。
そして、本実施形態に係る1ショット長尺撮影用の撮影台1や、従来の1ショット長尺撮影用の撮影台200(図29(B)参照)においても同様に構成される。しかし、従来の1ショット長尺撮影用の撮影台200の場合も同様であるが、本実施形態のように、撮影台1のブッキー5(図1(A)、(B)等参照)に、複数の放射線画像撮影装置F1〜F3を並べて装填することができるように構成する場合には、従来の一般撮影用の撮影台10では大した問題ではなかったブッキー5の上下動が問題になる。
放射線画像撮影装置(Flat Panel Detector)Fは、現状では、1枚あたり3kg前後の重量がある。そして、図7(A)に示した一般撮影用の撮影台10の場合には、1枚の放射線画像撮影装置Fをブッキー11に装填するか否かでブッキー11側の重量が3kg前後変化する。すなわち、ブッキー11に放射線画像撮影装置Fを装填した場合には、ブッキー11に放射線画像撮影装置Fを装填しない場合に比べて、ブッキー11側の重量が3kg前後増加する。
そして、ブッキー11側の重量とカウンターウェイトの重量との差が3kg程度であれば、例えば図示しないブレーキを作動させて上記の滑車12が回転しないようにすることで、ブッキー11がカウンターウェイトとの重量差によって上下方向に動くことを十分に阻止することができる。
しかし、本実施形態に係る撮影台1のように、ブッキー5が複数の放射線画像撮影装置Fを装填可能に構成されている場合、例えばブッキー5内に3枚の放射線画像撮影装置F1〜F3を装填した場合には、ブッキー5側とカウンターウェイトとの間で合計9kg程度の重量差が生じる。そして、この重量差によって回転する滑車12の回転をブレーキで阻止することは容易ではなく、ブッキー5が急激に上昇したり下降したりする虞れがある。
また、ブッキー5内の、装填された各放射線画像撮影装置Fの前側(すなわち放射線照射装置側)に図示しないグリッドがそれぞれ配置されて撮影が行われる場合も少なくないが、その場合にはさらにブッキー5側の重量が重くなるため、カウンターウェイトとの重量差がより大きくなり、ブッキー5が急激に上昇したり降下したりする度合いがより激しくなる虞れがある。
なお、本実施形態に関する上記の説明では、ブッキー5内に複数の放射線画像撮影装置F1〜F3を装填した後でブッキー5の高さ調整等を行うか、或いはブッキー5の高さ調整等を行った後でブッキー5内に複数の放射線画像撮影装置F1〜F3を装填するかについては説明しなかった。そして、この場合の順序は、撮影台1の構成等に基づいて決められるものではなく、病院等の施設で決められている操作手順による。
そして、例えば、ブッキー5内に所定枚数(例えば3枚等)の放射線画像撮影装置Fを装填した後でブッキー5の高さ調整等を行うように操作手順が決められている場合には、ブッキー5内に所定枚数の放射線画像撮影装置Fが装填された状態でバランスをとりながら高さ調整を行うことができるようにするために、カウンターウェイトの重量は、ブッキー5と所定枚数の放射線画像撮影装置F(およびグリッド)との合計の重量とバランスする重量とされる。
そのため、この場合は、上記の滑車12の回転半径dA、dB(図15参照)が仮に同じであり、所定枚数が例えば3枚であれば、所定枚数の放射線画像撮影装置Fを装填する前のブッキー5のみの状態で、カウンターウェイトとの間に9kg程度或いはそれ以上の重量差が生じる。すなわち、カウンターウェイトの方の重量がブッキー5の重量よりも9kg程度或いはそれ以上重い状態になる。そのため、この場合は、ブッキー5に所定枚数の放射線画像撮影装置Fを装填する前や、ブッキー5から所定枚数の放射線画像撮影装置Fを取り外した時点で、ブッキー5が急激に上昇してしまう虞れがある。
また、例えば、ブッキー5の高さ調整等を行った後でブッキー5内に所定枚数の放射線画像撮影装置Fを装填するように操作手順が決められている場合には、所定枚数の放射線画像撮影装置Fが装填されていない状態のブッキー5とバランスをとりながら高さ調整を行うことができるようにするために、カウンターウェイトの重量は、ブッキー5のみの重量とバランスする重量とされる。
そのため、この場合は、上記の滑車12の回転半径dA、dBが仮に同じであれば、ブッキー5のみの重量とカウンターウェイトの重量とが同じになる。そのため、ブッキー5に所定枚数の放射線画像撮影装置Fが装填された状態では、所定枚数が例えば3枚であればカウンターウェイトとの間に9kg程度或いはそれ以上の重量差が生じる。すなわち、ブッキー5に所定枚数の放射線画像撮影装置Fが装填されたブッキー5側の重量が、カウンターウェイトの方の重量よりも9kg程度或いはそれ以上重い状態になる。そのため、この場合は、ブッキー5に所定枚数の放射線画像撮影装置Fを装填した時点で、ブッキー5が急激に下降してしまう虞れがある。
そして、上記のようにブッキー5側とカウンターウェイトとの重量差によってブッキー5が急激に上昇したり下降したりすると、撮影台1や放射線画像撮影装置Fが破損する虞れがあるだけでなく、ブッキー5等を操作する放射線技師等のユーザーが怪我をする等の虞れがある。そこで、撮影台1を以下のように構成することで、ブッキー5側とカウンターウェイトとの重量差によってブッキー5が急激に上昇したり下降したりすることを的確に防止することが可能となる。
[構成1]
ブッキー5に対する放射線画像撮影装置Fの装填の有無やグリッドの配置の有無が予め決められた状態である場合にのみブッキー5を上下動可能とし、それ以外の場合はブッキー5の上下動を禁止するように構成することが可能である。
具体的には、この場合、例えば、病院等の施設で決められている操作手順において、ブッキー5内に所定枚数の放射線画像撮影装置Fを装填した後でブッキー5の高さ調整等を行うように決められている場合は、ブッキー5内に所定枚数の放射線画像撮影装置Fが装填された状態ではブッキー5が上下動し得るが、ブッキー5内に所定枚数の放射線画像撮影装置Fが装填されていない状態ではブッキー5の上下動が禁止されるように構成される。
また、例えば、病院等の施設で決められている操作手順において、ブッキー5の高さ調整等を行った後でブッキー5内に所定枚数の放射線画像撮影装置Fを装填するように決められている場合は、ブッキー5内に放射線画像撮影装置Fが装填されていない状態ではブッキー5が上下動し得るが、ブッキー5内に1枚でも放射線画像撮影装置Fが装填された状態ではブッキー5の上下動が禁止されるように構成される。
このように構成すれば、ブッキー5側(すなわちブッキー5のみ或いは所定枚数の放射線画像撮影装置Fが装填されたブッキー5)の重量とカウンターウェイトの重量とのバランスがとられている場合にのみブッキー5を上下動させることが許容され、それ以外の場合はブッキー5の上下動が禁止されるため、ブッキー5側とカウンターウェイトとの重量差によってブッキー5が急激に上昇したり下降したりすることを的確に防止することが可能となる。
上記のように、病院等の施設で決められている操作手順において、ブッキー5内に所定枚数の放射線画像撮影装置Fを装填した後でブッキー5の高さ調整等を行うように決められている場合には、ブッキー5内に所定枚数の放射線画像撮影装置Fが装填されていない状態ではブッキー5の上下動が禁止され、ブッキー5内に所定枚数の放射線画像撮影装置Fが装填された時点で初めてブッキー5を上下動させることができるように構成される。
そのためのブッキー5の上下動を禁止、許容するための構造としては、例えば図16(A)、(B)に示すように、撮影台1の支柱2の側面に、1本の棒が歯切りされた(すなわち表面に凹凸が付けられた)ラック状の被係合部材14を例えば支柱2の上端から下端まで延在するように取り付け、また、ブッキー5側に、被係合部材14と係合する歯切りされた棒状の係合部15Aを有する係合手段15を取り付けるようにして構成することが可能である。
そして、係合手段15は、ブッキー5に対して揺動可能に取り付けられており、バネ15B等で係合部15Aが被係合部材14と係合する方向に付勢される。また、係合手段15には突出部15Cが設けられており、突出部15Cは、ブッキー5の外側からブッキー5の内部に突出するように形成される。そして、このような係合手段15が、ブッキー5における放射線画像撮影装置Fの各装填位置(図1(A)のF1〜F3参照)に、ブッキー5の放射線画像撮影装置Fの挿入口51が設けられた側面とは反対側の側面にそれぞれ取り付けられる。
このように構成すると、例えばブッキー5が3枚の放射線画像撮影装置F1〜F3を装填可能とされている場合、放射線画像撮影装置F1がブッキー5に装填されると、装填された放射線画像撮影装置F1の端部で係合手段15の突出部15Cが外側に押され、係合手段15が外側に揺動して、係合手段15の係合部15Aが被係合部材14から外れ、係合が解除される。しかし、他の2箇所の係合手段15では係合部15Aと被係合部材14とが係合しているため、ブッキー5は上下動しない。すなわち、この時点ではまだブッキー5の上下動は禁止されている。
そして、同様に、2枚目の放射線画像撮影装置F2がブッキー5に装填されると、それに対応する係合手段15の係合部15Aと被係合部材14との係合が解除される。そして、3枚目(すなわち所定枚数)の放射線画像撮影装置F3がブッキー5に装填されると、それに対応する係合手段15の係合部15Aと被係合部材14との係合が解除され、全ての係合手段15の係合部15Aと被係合部材14との係合が解除される。そのため、この時点で初めてブッキー5の上下動が許容される。
以上のように構成することで、ブッキー5内に所定枚数の放射線画像撮影装置Fが装填されていない状態ではブッキー5の上下動が禁止され、ブッキー5内に所定枚数の放射線画像撮影装置Fが装填された時点で初めてブッキー5を上下動させることができるように構成することが可能となる。そのため、上下動が禁止された状態でブッキー5内に所定枚数の放射線画像撮影装置Fを的確かつ安全に装填した後で、上下動可能となったブッキー5の高さ調整等を的確かつ安全に行うことが可能となる。
一方、上記のように、病院等の施設で決められている操作手順において、ブッキー5の高さ調整等を行った後でブッキー5内に所定枚数の放射線画像撮影装置Fを装填するように決められている場合は、ブッキー5内に放射線画像撮影装置Fが装填されていない状態ではブッキー5が上下動し得るが、ブッキー5内に1枚でも放射線画像撮影装置Fが装填された状態ではブッキー5の上下動が禁止されるように構成される。
そして、そのためのブッキー5の上下動を許容、禁止するための構造としては、図示を省略するが、例えば、上記と同様に撮影台1の支柱2に被係合部材14を取り付け、ブッキー5側に係合手段15を取り付けるが、その際、係合手段15は、ブッキー5に放射線画像撮影装置Fが装填されていない状態で被係合部材14との係合が解除されており、ブッキー5に放射線画像撮影装置Fが装填されると被係合部材14と係合されるように構成することが可能である。
このように構成すると、放射線画像撮影装置Fがブッキー5に装填されていない状態では、係合手段15と被係合部材14との係合が解除されているため、ブッキー5の上下動が許容される。そのため、ブッキー5に放射線画像撮影装置Fが装填されていない状態でブッキー5の高さ調整等を行うことが可能となる。
また、放射線画像撮影装置Fが1枚でもブッキー5に装填されると、それに対応する係合手段15の係合部15Aと被係合部材14とが係合するため、その時点でブッキー5の上下動が禁止される。
以上のように構成することで、ブッキー5に放射線画像撮影装置Fが装填されていない状態ではブッキー5の上下動が許容され、ブッキー5内に1枚でも放射線画像撮影装置Fが装填されると、その時点でブッキー5の上下動が禁止されるように構成することが可能となる。そのため、ブッキー5に放射線画像撮影装置Fが装填されていない状態でブッキー5の高さ調整等を的確かつ安全に行った後で、上下動が禁止された状態でブッキー5内に所定枚数の放射線画像撮影装置Fを的確かつ安全に装填することが可能となる。
[構成1の変形例1]
なお、係合手段15と被係合部材14は、必ずしもブッキー5の側面と支柱2の側面に設ける必要はなく、係合部15Aと被係合部材14との係合および解除を的確に行うことができる位置であれば、どのような位置に取り付けてもよい。例えば、係合手段15をブッキー5の背面に取り付け、被係合部材14をそれと対向する支柱2の前面等に取り付けるように構成してもよい。
また、上記のように、放射線画像撮影装置Fをブッキー5に装填することで機械的に係合手段15の係合部15Aと被係合部材14との係合を解除するように構成する代わりに、図示を省略するが、例えば、係合手段15をソレノイドロックのように係合部15Aと被係合部材14との係合や解除を電気的に行うように構成し、ブッキー5内への放射線画像撮影装置Fの装填を接触(例えばマイクロスイッチ等)或いは非接触(例えばRFID(Radio Frequency IDentification)タグ等のタグとタグリーダー等)で検知する検知手段を設けておくように構成することも可能である。
そして、この場合、係合手段15は、放射線画像撮影装置Fがブッキー5に装填され、検知手段から放射線画像撮影装置Fの装填を検知した検知信号が送信されてきた時点で、係合部15Aと被係合部材14とを係合させたり係合を解除したりするように制御するように構成される。
さらに、上記と同様にして、グリッドの装填に有無によって、係合手段15の係合部15Aと被係合部材14とを係合させたり係合を解除したりするように構成することも可能である。
また、上記のような係合手段15や被係合部材14等を用いる代わりに、図示を省略するが、例えばシートベルトのロック機構(すなわち車両の衝突時にシートベルトに衝撃が加わるとシートベルトがロックされる機構)のような機構を用いて、ブッキー5の上下動を禁止するように構成することも可能である。
[構成1の変形例1−1]
なお、上記のように、放射線画像撮影装置F(やグリッド)のブッキー5への装填の有無を接触式或いは非接触式の検知手段で検知し、その検知信号に応じて係合手段15が係合部15Aと被係合部材14との係合、解除を電気的に行うように構成する場合、検知信号に応じた係合、解除の設定を変えることで、ブッキー5に放射線画像撮影装置Fが装填されていない状態でブッキー5の上下動を許容する場合と、ブッキー5に所定枚数の放射線画像撮影装置Fが装填された時点で初めてブッキー5の上下動を許容する場合等を切り替えて設定することが可能となるといったメリットがある。
この場合、例えば、上記のように病院等の施設で決められている操作手順にあわせてユーザーが設定を切り替えるように構成することができる。なお、その際、上記の切り替えと同時に、カウンターウェイトの重量や滑車12の回転半径dA、dB(図15参照)の比を適宜変えることが必要となる。また、前述したように、カウンターウェイトを設ける代わりに、撮影台1が、ブッキー5をバネ等で下側から上方に付勢してブッキー5を下側から支えるように構成されている場合には、上記の切り替えと同時に、ブッキー5を下側から支えるバネ等のバネ定数等を適宜変えることが必要となることは言うまでもない。
[構成1の変形例2]
一方、ブッキー5に放射線画像撮影装置Fが装填されることを検知する方法としては、以下のように構成することも可能である。例えば、ブッキー5における放射線画像撮影装置Fの各装填位置(例えば図1(A)のF1〜F3参照)にそれぞれ上記のような係合手段15を設けておくとともに、各装填位置に、互いに異なる識別情報が記憶されたドングル(Dongle)Doをそれぞれ配置しておく。そして、放射線画像撮影装置Fをブッキー5に装填する際に、例えば図17に示すように、放射線画像撮影装置Fのコネクターcfに、当該放射線画像撮影装置Fを装填する位置に対応付けられているドングルDoを接続してから装填するようにする。
そして、ドングルDoが接続された時点で放射線画像撮影装置Fがその識別情報を読み取ってコンソール34(図8参照)に送信し、コンソール34から、そのドングルDoすなわち識別情報(すなわち装填位置)に対応する係合手段15に信号を送信して、係合手段15の係合部15Aと被係合部材14とを係合させたり係合を解除させたりするように構成することも可能である。
しかし、この場合、放射線画像撮影装置FにドングルDoが接続された時点、すなわち放射線画像撮影装置Fがブッキー5に装填される前に、係合手段15の係合部15Aと被係合部材14との係合が解除されてしまい、ブッキー5が急激に上下動する場合があるため、撮影台1に、下記の[構成3]で説明する補助機構を設ける等して、ブッキー5に急激な動作が生じないように構成することが必要になる場合がある。
[構成2]
また、例えば、上記のように装填時に放射線画像撮影装置FにドングルDoを接続したり、或いはブッキー5に放射線画像撮影装置Fが装填された際に滑車12やワイヤー13A(図15参照)に加わる力或いはトルクの変化を検出した際に、カウンターウェイトの重量や滑車12の回転半径dA、dB(図15参照)の比等を自動的に最適な重量や比等に変えるように構成することが可能である。
また、前述したように、撮影台1が、ブッキー5をバネ等で下側から上方に付勢してブッキー5を下側から支えるように構成されている場合には、上記の場合に、ブッキー5を下側から支えるバネ等のバネ定数を自動的に変えるように構成することが可能である。
このように構成すれば、上記の[構成1]のように係合手段15や被係合部材14等を設けなくても、ブッキー5が勝手に上下動してしまうことを的確に防止することが可能となる。なお、上記の[構成1]の構成や[構成2]の構成、或いは下記の[構成3]の構成を組み合わせて採用することも可能である。
[構成3]
また、上記の構成1のように係合手段15による被係合部材14との機械的な係合によりブッキー5が上下動を禁止したり係合を解除して上下動を許容したりするように構成する代わりに、或いはそれとともに、ブッキー5が急激に上下動しないようにするための補助機構を撮影台1に設けるように構成することも可能である。
補助機構としては、例えば図18(A)に示すように、撮影台1の支柱2の上部に設けられた滑車12に、ブッキー5や装填された放射線画像撮影装置F(或いはグリッド)等の重量による負荷(およびそれとカウンターウェイトの重量による負荷との差分)と、ブッキー5を上下動させるユーザーの力量との差を検出してアシストするアシストモーター16を取り付け、アシストモーター16を駆動させて、ブッキー5が急激に上下動しないように構成することが可能である。
また、滑車12にアシストモーター16を取り付ける代わりに、或いはそれとともに、滑車12にロータリーダンパー(図示省略)を取り付けたり、或いは図18(B)に示すように、例えば支柱2の上端等とブッキー5やサポートユニット3との間にガススプリング17を設ける等して、オイル(ロータリーダンパー)やエア(ガススプリング17)等の粘性抵抗を利用してブッキー5が急激に上下動しないように構成することも可能である。
さらに、図示を省略するが、例えば車両におけるロードリミッター機構(すなわち車両の衝突時にシートベルトがロックされた後に一定荷重が加わった場合にシートベルトを伸び出させるための機構)のような機構を用いて、ブッキー5が急激に上下動しないように構成することも可能である。
[構成4]
ところで、そもそもブッキー5を上下動可能に構成する理由は、患者の脊柱や全下肢等の撮影部位に対応する位置に複数の放射線画像撮影装置Fを適切に配置することが必要であり、そのためにブッキー5の高さ調整を行うことが必要であるためであった。しかし、この根本的な発想を切り替えて、ブッキー5が上下動しないように構成し(そのためこの場合は撮影台にはカウンターウェイトもブッキー5を下側から支えるバネ等も設けられない。)、ブッキー5内で放射線画像撮影装置Fを任意の高さに装填できるように構成することも可能である。
このように構成すれば、そもそもブッキー5は上下動しないため、ブッキー5が急激に上昇したり下降したりして撮影台1や放射線画像撮影装置Fが破損したり放射線技師等のユーザーが怪我をする等の事態が生じることはない。
この場合、例えば、図19(A)に示すように、上下方向に長い(例えば2m程度)ブッキー5が撮影台1の支柱2に対して上下動できないように固定されて支柱2の前方に設けられる。そして、図19(B)に示すように、ブッキー5の側面の内壁に、上記の被係合部材14(図16(A)参照)と同様の、棒が歯切りされたラック状の被係合部材18を上下方向に延在するように取り付けておく。また、ブッキー5の反対側の側面に設けられた蓋5Aの内壁にも同様に被係合部材18を上下方向に延在するように取り付けておく。
また、放射線画像撮影装置Fを装填する際に、放射線画像撮影装置Fをホルダー19で保持させた状態で装填する。その際、ホルダー19の左右の側面の外壁の部分に、被係合部材18と係合する歯切りされた棒状の係合部19Aをそれぞれ取り付けておく。
そして、ホルダー19で保持された放射線画像撮影装置Fをブッキー5に装填する際に、放射線画像撮影装置Fを適切な高さ方向の位置に装填して、ホルダー19の装填方向奥側(図19(B)では向かって左側)の係合部19Aをブッキー5の被係合部材18と係合させる。そして、その状態でブッキー5の蓋5Aを閉じることで、ホルダー19の装填方向手前側(図19(B)では向かって右側)の係合部19Aがブッキー5の蓋5Aの被係合部材18と係合する。
このようにして、ホルダー19の左右の係合部19Aに被係合部材18を的確に係合させ、左右の係合部19Aを被係合部材18でいわば挟み付けるように構成することで、放射線画像撮影装置Fをブッキー5内の任意の高さに、かつ放射線画像撮影装置Fがブッキー5内で落下する等しない状態で適切に装填することが可能となる。
なお、上記のようにブッキー5内に複数の放射線画像撮影装置Fを装填する場合も上記と同様にして各放射線画像撮影装置Fが装填される。また、上記のように、放射線画像撮影装置Fを保持するホルダー19の装填方向手前側の係合部19Aを、ブッキー5の蓋5Aに取り付けた被係合部材18と係合させてホルダー19や放射線画像撮影装置Fを位置固定する代わりに、例えば図20に示すように、ソレノイドロック20の先端に取り付けた被係合部材18をホルダー19の係合部19Aに押し付けるようにしてホルダー19や放射線画像撮影装置Fを位置固定するように構成することも可能であり、ホルダー19の左右の係合部19Aと被係合部材18とを的確に係合させることが可能な構成であれば、特定の構成に限定されない。
[装填された複数の放射線画像撮影装置のセンターを基準位置に合わせるための構成について]
[構成A]
ところで、図1(A)、(B)に示した撮影台1において、ブッキー5をスタンド6に挿入し、スタンド6でブッキー5を保持するように構成した理由について、まだ説明していなかった。その理由は、ブッキー5に装填された複数の放射線画像撮影装置のセンターを合わせるために図1(A)に示した状態でブッキー5を左右方向に平行移動させることが必要になる場合があるためである。以下、具体的に説明する。
すなわち、例えばブッキー5が17×17インチの放射線画像撮影装置F1〜F3を装填可能に形成されている場合、例えば図21に示すように、ブッキー5に装填された17×17インチの各放射線画像撮影装置FのセンターC(すなわち各放射線画像撮影装置Fにおけるブッキー5の短辺方向の中心)が揃うように構成される。
そして、図示しない放射線照射装置(図21では手前側に配置されている。)は、各放射線画像撮影装置FのセンターCの真正面の位置に配置され、照射する放射線の光軸が、各放射線画像撮影装置FのセンターCを通るように放射線を照射する。そのため、この場合は、ブッキー5に装填された17×17インチの各放射線画像撮影装置FのセンターCの位置が放射線照射の基準位置ということになる。以下、基準位置Cという。
そして、この場合、図示を省略するが、各放射線画像撮影装置Fの前方にグリッドが配置される場合には、グリッドのセンターの位置が基準位置Cに来るようにグリッドが配置される。なお、図21および下記の各図における52は、放射線画像撮影装置Fのコネクターに接続されるブッキー5側の各コネクターを表す。
しかし、例えば図22(A)に示すように、ブッキー5に例えば14×17インチの放射線画像撮影装置F2*が装填され、各放射線画像撮影装置F1、F2*、F3が左揃えの状態になるように装填された場合、横幅が最も狭い14×17インチの放射線画像撮影装置F2*にあわせて照射野IF*が狭められた状態で放射線が照射される。そのため、装填された放射線画像撮影装置F1〜F3が全て17×17インチの場合の照射野IF(図21参照)に比べて照射野IF*が狭くなり、それにあわせて各放射線画像撮影装置F1、F2*、F3のセンターC*の位置が基準位置Cから左側にずれる。
そのため、グリッドのセンターが基準位置Cに来るようにグリッドを配置すると、グリッドのセンターと各放射線画像撮影装置F1、F2*、F3のセンターC*とがずれてしまう。そのため、グリッドを左側にずらしてグリッドのセンターと各放射線画像撮影装置F1、F2*、F3のセンターC*とが重なるようにグリッドを配置すると、今度はグリッドが放射線照射装置の真正面の位置から左側にずれてしまい、グリッドにおける放射線の透過率が低下する等の問題が生じてしまう。
また、グリッドを用いる場合も用いない場合も同様であるが、図22(A)に示すように、各放射線画像撮影装置F1、F2*、F3のセンターC*の位置が左側にずれていると、各放射線画像撮影装置F1、F2*、F3で撮影された長尺画像plong(図10等参照)が右側から放射線が照射されて撮影されたような不自然な画像になる可能性がある。
そこで、本実施形態では、上記のようにスタンド6にブッキー5を挿入可能とし、スタンド6でブッキー5を保持するように構成して、図1(A)に示した状態のブッキー5を左右方向に平行移動させることができるように構成した。
このように構成することで、上記のようにブッキー5にサイズが異なる放射線画像撮影装置Fを左揃え(或いは右揃え)で装填してそれらのセンターC*の位置が基準位置Cから左側(或いは右揃えの場合は右側)にずれる場合であっても、例えば図22(B)に示すように、そのズレ量分だけスタンド6に対してブッキー5を右側(或いは左側)にずらして位置固定することで、サイズが異なる放射線画像撮影装置FのセンターC*の位置を基準位置Cに合わせることが可能となる。
[構成B]
また、サイズが異なる放射線画像撮影装置F(例えば14×17インチと17×17インチ)をブッキー5に装填した場合のセンターC*の位置が基準位置Cに来るようにするための構成としては、上記のように、スタンド6に挿入したブッキー5を左右方向に位置をずらすことができるように構成する代わりに、以下のように構成することも可能である。
例えば、ブッキー5に放射線画像撮影装置Fを装填する際に、例えば図23に示すように、ホルダー53に挿入し、例えばホルダー53ごと図示しないレール上を移動させて装填するように構成することが可能である。この場合、ホルダー53は、例えば上側が開放された断面コ字状に形成され、溝の内部の左右にそれぞれストッパー53A、53Aが設けられている。
ストッパー53A、53Aは、挿入された放射線画像撮影装置Fの左右の側面に当接して、放射線画像撮影装置Fのホルダー53内での左右方向の移動を規制するようになっている。そして、左右のストッパー53A、53Aは、ホルダー53の左右端から図示しないバネ等により互いに接近する方向に付勢されており、かつ、左右のストッパー53A、53Aの移動距離が同じ距離(向きは反対)になるように移動できるようになっている。
そのため、このホルダー53に放射線画像撮影装置Fを挿入すると、放射線画像撮影装置Fがホルダー53の中央に配置される状態になるため、放射線画像撮影装置Fをホルダー53に挿入してブッキー5に装填した場合に各放射線画像撮影装置Fのセンターが基準位置Cに来るように構成することで、例えば図23(B)に示すように、サイズが異なる放射線画像撮影装置F1、F2*、F3をブッキー5に装填した場合にそれらのセンターの位置が基準位置Cに揃うようになる(すなわち中央揃えの状態になる。)。
そのため、このように構成すれば、ブッキー5に同じサイズの放射線画像撮影装置Fを装填した場合はもちろん、サイズが異なる放射線画像撮影装置Fを装填した場合であっても、上記の本実施形態のようにブッキー5を挿入可能なスタンド6のような構成を設けなくても、装填された各放射線画像撮影装置Fのセンターの位置が必ず基準位置Cに来るように(すなわち中央揃えの状態になるように)、各放射線画像撮影装置Fをブッキー5に装填することが可能となる。
なお、図23(B)では、ホルダー53の図示を省略した。また、図22(A)に示すように放射線画像撮影装置Fを例えば左揃えの状態に装填するように構成する場合、例えば図23(A)に示したストッパー53Aのうち右側だけに(右揃えで装填する場合には左側だけに)ストッパー53Aが設けられたようなホルダーに放射線画像撮影装置Fを挿入してブッキー5に装填するように構成することが可能である。
また、ホルダー53に複数の放射線画像撮影装置Fを装填する場合、図1(A)、(B)や図29(B)に示したように、放射線画像撮影装置Fの上端部や下端部が、上側や下側の放射線画像撮影装置Fの下端部や上端部と前後に重なるように各放射線画像撮影装置Fが装填される。
その際、装填された各放射線画像撮影装置Fのブッキー5内での配置が、例えば図24(A)に示すように、前側に装填された放射線画像撮影装置Faを保持するホルダー53が、後側に装填された放射線画像撮影装置Fbで撮影される画像中に写り込んでしまうような配置にならないような配置とされることが望ましい。或いは、放射線画像撮影装置Fを保持するホルダー53の構造を改良して、後側の放射線画像撮影装置Fで撮影される画像中に写り込まないような構造とすることが望ましい。
[ブッキー内での放射線画像撮影装置の配置やマークの表示等について]
この点、本実施形態のように(図1(A)、(B)等参照)、ブッキー5に装填される複数の放射線画像撮影装置F1〜F3が、ブッキー5内で、より下側の放射線画像撮影装置F3、F2の方がより上側の放射線画像撮影装置F2、F1よりも放射線照射装置31(図8参照)に近くなるように配置されるように構成されていれば、図24(B)に示すように、後側の放射線画像撮影装置Fa(すなわちこの場合はより上側の放射線画像撮影装置Fa)を保持するホルダー53が、前側の放射線画像撮影装置Fb(すなわちこの場合は下側の放射線画像撮影装置Fb)の後方に位置するようになる。
そのため、装填された複数の放射線画像撮影装置Fがブッキー5内で本実施形態のように配置されるように構成することで、放射線画像撮影装置Fを保持するホルダー53が、他の放射線画像撮影装置Fで撮影される画像中に写り込むことを的確に防止することが可能となる。
しかし、このように構成しても、前側の放射線画像撮影装置Fの筐体の端部やその部分の内部構造等が後側の放射線画像撮影装置Fで撮影される画像中に写り込むことは避けられない場合がある。
図25(A)は、放射線画像撮影装置Fa、Fbがブッキー5に装填された状態を表す断面図であり、図25(B)は正面図である。なお、図25(B)では、各箇所の高さ関係を分かり易くするため、ブッキー5に装填される放射線画像撮影装置Fのうちの放射線画像撮影装置Fa、Fbがブッキー5からやや引き出された状態が示されているが、放射線画像撮影装置Fは、装填される際に、ブッキー5の奥まで押し込まれることは言うまでもない。
図25(A)に示すように、放射線画像撮影装置Fa、Fb内では、照射される放射線を検出する複数の放射線検出素子da、dbが2次元状に配列されているが、放射線検出素子da、dbは、放射線画像撮影装置Fa、Fbの筐体ha、hbの端部まで形成されているわけではなく、放射線画像撮影装置Fa、Fbの筐体ha、hbの端部には放射線検出素子da、dbは形成されていない。
そして、下側(前側)の放射線画像撮影装置Fbの放射線検出素子dbの上端までの高さをLdb、下側の放射線画像撮影装置Fbの放射線検出素子dbの上端から筐体hbの上端までの距離(すなわち放射線画像撮影装置Fbにおいて放射線検出素子dbが形成されていない部分の距離)をLhbとし、上側(後側)の放射線画像撮影装置Faの放射線検出素子daの下端までの高さをLdaとする。
この場合、下側(前側)の放射線画像撮影装置Fbの放射線検出素子dbの図示しない下端から高さLdbの上端までの範囲は、下側の放射線画像撮影装置Fbで撮影できる。なお、高さLdaから高さLdbまでの範囲は、上側(後側)の放射線画像撮影装置Faでも撮影することができるが、その範囲には下側(前側)の放射線画像撮影装置Fbの放射線検出素子db等が写り込む。そのため、図9等に示したようにして各放射線画像撮影装置Fで撮影された画像データD(或いは真の画像データD*)を合成する場合、高さLdaから高さLdbまでの範囲については、下側(前側)の放射線画像撮影装置Fbで撮影された画像データDが用いられる。
そして、高さLdb以上の範囲については、下側(前側)の放射線画像撮影装置Fbの放射線検出素子dbが存在しないため、上側(後側)の放射線画像撮影装置Faで撮影された画像データDが合成に用いられる。しかし、図25(A)、(B)を見れば分かるように、上側(後側)の放射線画像撮影装置Faで撮影された画像データDの、高さLdbから上側の距離Lhbの範囲には、下側(前側)の放射線画像撮影装置Fbの放射線検出素子dbが形成されていない部分が写り込むことになる。
そこで、コンソール34(図8参照)で、図9や図10に示したように、各放射線画像撮影装置F1〜F3で撮影された画像データD1〜D3から算出した真の画像データD*1〜D*3を合成して1枚の長尺画像データD*longを生成し、それに基づいて長尺画像plongを生成する際に、コンソール34は、後側の放射線画像撮影装置Fで撮影された画像の、上記の距離Lhbに対応する領域Ra(図25(B)の網掛け部分参照。なお、この領域Raは放射線画像撮影装置Faの図中左端側まで続いている。)に写り込んでいる前側の放射線画像撮影装置Fの筐体hやその部分の内部構造等を、画像処理を行って除去して、放射線画像撮影装置Fの筐体h等の写り込みがない長尺画像plongを生成するようになっている。
しかし、仮に、後側の放射線画像撮影装置Fで撮影された画像の、上記の距離Lhbに対応する領域Raに、患者の病変部等の、撮影すべき重要な部分が撮影されていると、上記のように、コンソール34での画像処理で、画像の領域Raに写り込んでいる前側の放射線画像撮影装置Fの筐体hやその部分の内部構造等を除去する際に、撮影されているはずの病変部等が画像中から除去されてしまったり、或いは、病変部等が見えづらい画像になってしまったりする虞れがある。
そこで、図25(B)にも一部示したが、例えば図26(A)に示すように、ブッキー5の表面(すなわち放射線照射装置31に対向する側の面)5mに、ブッキー5に装填された各放射線画像撮影装置Fの放射線検出素子dの端部の位置や、各放射線画像撮影装置Fの筐体hの上端の位置が分かるようにするためのマークML、MTを表示するように構成することが可能である。
この場合、図26(A)に示した、ブッキー5の表面5mの上端側(および図示しない下端側)に表示されたL字状のマークMLは、その横方向に延びた部分で、ブッキー5の最上部(最下部)に装填された放射線画像撮影装置Fの放射線検出素子dの上端(下端)の位置を表し、その縦方向に延びた部分で、最上部(最下部)に装填された放射線画像撮影装置Fの放射線検出素子dの左端や右端の位置を表している。
また、図26(A)に示した、ブッキー5の表面5mの上端や下端の中間の位置に表示された横向きのT字状のマークMTにおいても、その縦方向に延びた直線部分で、その部分に装填された放射線画像撮影装置Fの放射線検出素子dの左端や右端の位置を表している。また、図25(B)を参照して分かるように、マークMTの上端が、下側の放射線画像撮影装置Fの筐体hの上端の位置を表し、マークMTの横方向に延出された部分が、下側の放射線画像撮影装置Fの放射線検出素子dの上端の位置を表し、マークMTの下端が、上側の放射線画像撮影装置Fの放射線検出素子dの下端の位置を表している。
そして、左右のマークMTの間の部分(正確には左右のマークMTの上半分の間の部分)が、前述したように上側(後側)の放射線画像撮影装置Fで撮影された画像中に、下側(前側)の放射線画像撮影装置Fの上端の、放射線検出素子dが存在せず筐体hや内部構造等が写り込む領域Raにあたる。
そのため、上記のように構成することで、放射線技師等は、長尺撮影前に患者に対してブッキー5の上下方向等の位置合わせ(ポジショニング)を行う際に、患者の病変部等の、撮影すべき重要な部分が、上記の左右のマークMTの間の部分に来ず、いずれかの放射線画像撮影装置Fで的確に撮影される位置に来るように位置合わせを行って長尺撮影を行うことができる。そのため、患者の病変部等の、撮影すべき重要な部分が画像処理で除去されることなく画像中に的確に撮影された状態の長尺画像plongを生成することが可能となる。
なお、図26(A)に示したように、ブッキー5の表面5m上に、横向きのT字状のマークMTやL字状のマークMLを表示するように構成する代わりに、或いはそれとともに、例えば図26(B)に示すように、ブッキー5の表面5m上に、装填された各放射線検出素子Fの放射線検出素子dが存在する各範囲が分かるようなマークMを例えば線状に表示するように構成することも可能である。
また、その際、上記の領域Raに対応する部分(図26(B)で網掛けされた領域Ra参照)を例えば着色して表示する等して放射線技師等が視認できるように構成することも可能である。
このように構成すれば、放射線技師等が上記のようにブッキー5と患者との位置合わせを行う際に、装填された各放射線画像撮影装置Fの放射線検出素子dの範囲や、上側(後側)の放射線画像撮影装置Fで撮影された画像中に、下側(前側)の放射線画像撮影装置Fの上端の、放射線検出素子dが存在せず筐体hや内部構造等が写り込む領域Raを的確に認識して位置合わせを行うことが可能となる。
そのため、患者の病変部等の、撮影すべき重要な部分が画像処理で除去されることなく画像中に的確に撮影された、長尺画像plongや単純撮影の放射線画像pを生成することが可能となる。
[ブッキーのコネクターの写り込みについて]
また、図23(A)、(B)に示したように、放射線画像撮影装置Fをホルダー53の中央に配置し、ブッキー5に装填された各放射線画像撮影装置Fのセンターの位置が基準位置Cに来るように構成した場合、例えばサイズが小さい放射線画像撮影装置Fcの下端部がサイズが大きい放射線画像撮影装置Fdの上端部の前側に配置されるように各放射線画像撮影装置Fが装填されると、図27に示すように、前側に装填された放射線画像撮影装置Fcに接続されたブッキー5のコネクター52が、後側に装填された放射線画像撮影装置Fdで撮影される画像中に写り込んでしまうような配置になる場合がある。
そこで、このように、サイズが小さい放射線画像撮影装置Fcが、サイズが大きい放射線画像撮影装置Fdの前側に配置された場合には、それを検出して放射線技師等のユーザーに警告するように構成することが可能である。
この場合、例えば、ブッキー5に装填された放射線画像撮影装置Fのコネクターとブッキー5のコネクター52とが接続された時点で、コネクター52を介して有線方式で、コネクター52の識別情報と接続された放射線画像撮影装置Fの識別情報とをコンソール34(図8参照)に送信する。そして、コンソール34が、送信されてきた放射線画像撮影装置Fの識別情報から放射線画像撮影装置Fのサイズ(例えば14×17インチや17×17インチ)を割り出し、コネクター52の識別情報から、各放射線画像撮影装置Fがブッキー5内のどの位置に装填されたかを割り出して、各放射線画像撮影装置Fが上記の配置になっているか否かを判断する。
そして、コンソール34は、サイズが小さい放射線画像撮影装置Fcが、サイズが大きい放射線画像撮影装置Fdの前側に配置されていると判断した場合に、表示画面34A上に警告する文言等を表示したり、音声で警告したり、或いは、撮影室30A内に設置された図示しない警告装置等でユーザーに警告するように構成することが可能である。
[ブッキーのコネクターについて]
また、例えば図21に示したように、ブッキー5のコネクター52を、ブッキー5の放射線画像撮影装置Fの挿入口51とは反対側に配置しておけば、ブッキー5に放射線画像撮影装置Fを装填する際、放射線画像撮影装置Fのコネクターとブッキー5のコネクター52とが自動的に接続されるようになり好ましい。
その際、例えばブッキー5に17×17インチ等の決まったサイズの放射線画像撮影装置Fしか装填しないように決められている場合(図21参照)や、異なったサイズの放射線画像撮影装置Fを装填する場合でも左揃えの状態で装填されるようになっている場合(図22(A)、(B)参照)には、図21や図22(A)、(B)に示したように、ブッキー5の各コネクター52を、ブッキー5の短辺方向の同じ位置(すなわち例えば17×17インチの放射線画像撮影装置Fを装填した場合に放射線画像撮影装置Fのコネクターと接続される位置)にそれぞれ配置しておくように構成することが可能である。
一方、サイズが異なる放射線画像撮影装置Fを、図23(B)に示したように中央揃えの状態に装填する場合や、図示を省略するが右揃えの状態になるように装填する場合には、ブッキー5の各コネクター52はブッキー5の短辺方向で同じ位置にはならず、横幅が狭い放射線画像撮影装置F(例えば図23(B)では放射線画像撮影装置F2*)に接続されるコネクター52が、ブッキー2の短辺方向でより中央寄りに移動した状態で放射線画像撮影装置Fのコネクターに接続される。
例えば17×17インチの放射線画像撮影装置Fを装填可能なブッキー5に14×17インチの放射線画像撮影装置Fを中央揃えの状態に装填した場合は、14×17インチの放射線画像撮影装置Fと接続するブッキー5のコネクター52は1.5インチ(約3.8cm)右側に移動した状態で放射線画像撮影装置Fのコネクターと接続される。また、14×17インチの放射線画像撮影装置Fを右揃えの状態に装填した場合は、14×17インチの放射線画像撮影装置Fと接続するブッキー5のコネクター52は3インチ(約7.6cm)右側に移動した状態で放射線画像撮影装置Fのコネクターと接続される。
そこで、このように基準のサイズ(例えば17×17インチ)の放射線画像撮影装置Fが装填された場合はもちろん、サイズが異なる放射線画像撮影装置F(例えば14×17インチ)が装填された場合でも放射線画像撮影装置Fのコネクターとブッキー5のコネクター52とが的確に接続されるようにするために、例えば図28(A)に示すように、ブッキー5のコネクター52を横方向(すなわちブッキー5の短辺方向。以下同じ。)に移動可能に設けることが可能である。
図28(B)はブッキー5のコネクター52を背面側から見た図であるが、ブッキー5内に設けられるコネクター52の取付板54の上下に横方向に延在する直線状の開口部54Aを設けておき、各開口部54Aにそれぞれコネクター52から突出させたピン52Aを挿通するように構成する。例えばこのように構成することで、コネクター52が開口部54Aの長さ分だけ横方向に移動することが可能となる。なお、この場合、コネクター52を図示しないバネ等で図28(B)における左方向(図28(A)における右向き)に付勢するように構成することも可能であるが、必ずしもコネクター52を付勢するように構成する必要はない。
このように構成した場合、例えば、図28(A)において右側から放射線画像撮影装置F(図示省略)が装填されると、コネクター52が放射線画像撮影装置Fのコネクター(図示省略)に磁着して接続される。そして、放射線画像撮影装置Fをブッキー5から抜き出す際、コネクター52は磁力により放射線画像撮影装置Fのコネクターに接続された状態で図28(A)における右側に移動できる限界(例えば図28(A)におけるP1の位置)まで移動して放射線画像撮影装置Fのコネクターから外れる。
コネクター52のこの動きは、装填されて抜き出された放射線画像撮影装置Fが17×17インチの場合も14×17インチの場合も同様に生じるため、ブッキー5のコネクター52は、放射線画像撮影装置Fが装填されていない状態では、図28(A)におけるP1の位置に配置された状態になる。
そして、上記のように、例えばブッキー5が17×17インチの放射線画像撮影装置Fと14×17インチの放射線画像撮影装置Fとを装填可能とされている場合、17×17インチの放射線画像撮影装置Fが装填された場合や14×17インチの放射線画像撮影装置Fが左揃えの状態で装填された場合は、ブッキー5のコネクター52は放射線画像撮影装置Fのコネクターに接続された状態で図28(A)におけるP2の位置まで押し込まれる。
また、例えば14×17インチの放射線画像撮影装置Fが右揃えの状態で装填された場合は、ブッキー5のコネクター52は図28(A)におけるP1の位置(或いはP1よりやや左側に押し込まれた位置)で放射線画像撮影装置Fのコネクターに接続される。そのため、ブッキー5のコネクター52は、横方向に少なくとも3インチ(約7.6cm)の範囲で移動できるように構成される。なお、例えば14×17インチの放射線画像撮影装置Fが中央揃えの状態で装填された場合は、ブッキー5のコネクター52は、放射線画像撮影装置Fのコネクターと接続された後、図28(A)におけるP1の位置(或いはP1よりやや左側に押し込まれた位置)から左側に1.5インチ押し込まれた位置まで移動する。
このように、ブッキー5のコネクター52を横方向(すなわちブッキー5の短辺方向。以下同じ。)に移動可能に設けることで、放射線技師等のユーザーが放射線画像撮影装置Fのコネクターとブッキー5のコネクター52とを手動で接続しなくても、放射線画像撮影装置Fをブッキー5に装填するだけで放射線画像撮影装置Fのコネクターとブッキー5のコネクター52とを自動的にかつ的確に接続させることが可能となる。
また、ユーザーが放射線画像撮影装置Fのコネクターからブッキー5のコネクター52を手動で取り外さなくても、放射線画像撮影装置Fをブッキー5から抜き出すだけで放射線画像撮影装置Fのコネクターからブッキー5のコネクター52を自動的にかつ的確に取り外すことが可能となる。
すなわち、上記のように構成すれば、ユーザーが放射線画像撮影装置Fにブッキー5に装填したり抜き出したりするだけで、ブッキー5のコネクター52を放射線画像撮影装置Fのコネクターに自動的にかつ的確に着脱させることが可能となる。
なお、本発明が上記の実施形態等に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。