JP2016186494A - 腎損傷および腎不全の診断および予後のための方法および組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】腎損傷に罹患しているかまたは腎損傷が疑われる被験体における治療レジメンのモニタリング、診断、予後および確定のための方法及び組成物を提供する。
【解決手段】腎損傷における診断および予後用バイオマーカーとしての、可溶性CD44抗原、アンギオポエチン−1、可溶性アンギオポエチン−1受容体、C−X−Cケモカインモチーフ5、可溶性エンドグリン、可溶性腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1、エリスロポエチン、可溶性フラクタルカイン、ヘムオキシゲナーゼ1、可溶性インターロイキン−1受容体II型、可溶性インターロイキン−6受容体サブユニット−アルファ、リンホタクチン、リンホトキシン−アルファ、ストロメリシン−1、C−Cモチーフケモカイン22、C−Cモチーフケモカイン5およびトロンボスポンジン−1からなる群から選択される1つ以上のマーカーを検出する。
【選択図】なし
【解決手段】腎損傷における診断および予後用バイオマーカーとしての、可溶性CD44抗原、アンギオポエチン−1、可溶性アンギオポエチン−1受容体、C−X−Cケモカインモチーフ5、可溶性エンドグリン、可溶性腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1、エリスロポエチン、可溶性フラクタルカイン、ヘムオキシゲナーゼ1、可溶性インターロイキン−1受容体II型、可溶性インターロイキン−6受容体サブユニット−アルファ、リンホタクチン、リンホトキシン−アルファ、ストロメリシン−1、C−Cモチーフケモカイン22、C−Cモチーフケモカイン5およびトロンボスポンジン−1からなる群から選択される1つ以上のマーカーを検出する。
【選択図】なし
Description
本発明は、米国特許仮出願第61/107,287号(2008年10月21日出願);米国特許仮出願第61/117,138号(2008年11月22日出願);米国特許仮出願第61/113,034号(2008年11月10日出願);米国特許仮出願第61/115,050号(2008年11月15日出願);米国特許仮出願第61/113,078号(2008年11月10日出願);米国特許仮出願第61/113,039号(2008年11月10日出願);米国特許仮出願第61/117,143号(2008年11月22日出願);米国特許出願第61/107,307号(2008年10月21日出願);米国特許仮出願第61/113,069号(2008年11月10日出願);米国特許仮出願第61/107,293号(2008年10月21日出願);米国特許仮出願第61/113,059号(2008年11月10日出願);米国特許仮出願第61/115,028号(2008年11月14日出願);米国特許仮出願第61/115,026号(2008年11月14日出願);米国特許仮出願第61/113,093号(2008年11月10日出願);米国特許仮出願第61/115,046号(2008年11月15日出願);米国特許仮出願第61/115,043号(2008年11月15日出願);および米国特許仮出願第61/117,136号(2008年11月22日出願);からの優先権を主張する(これらは各々、全ての表、図および特許請求の範囲を含めたその記載内容が、参照により本明細書中で援用される)。
本発明の背景の以下の考察は、読者が本発明を理解するのを助けるためにのみ提供され、本発明より以前の技術を記載または構成することは許容されない。
腎臓は、身体からの水および溶質排出に関与する。その機能としては、酸−塩基平衡の維持、電解質濃度の調節、血液容積の制御、および血圧の調節が挙げられる。このようなものとして、損傷および/または疾患による腎機能の損失は、実質的罹患率および死亡率を生じる。腎損傷の詳細な考察は、Harrison’s Principles of Internal Medicine, 17th Ed., McGraw Hill, New York, pages 1741-1830(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)で提供されている。腎疾患および/または損傷は、急性または慢性であり得る。急性および慢性腎疾患は、以下のように記載されている(Current Medical Diagnosis & Treatment 2008, 47th Ed, McGraw Hill, New York, pages 785-815(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)から):「急性腎不全は数時間〜数日に亘る腎機能の悪化であり、血中の窒素廃棄物(例えば尿素窒素)およびクレアチニンの保持を生じる。これらの物質の保持はアゾ血症と呼ばれる。慢性腎不全(慢性腎疾患)は、数ヶ月〜数年にわたる腎機能の異常損失に起因する」。
急性腎不全(ARF、急性腎損傷またはAKIとしても知られている)は、糸球体濾過における突然の(典型的には、約48時間〜1週間以内に検出される)低減である。濾過能力のこの損失は、通常は腎臓により排出される窒素廃棄物(尿素およびクレアチニン)および非窒素廃棄物の保持、尿排出量の低減、またはその両方を生じる。ARFは、入院の約5%、心臓肺バイパス手術の4〜15%、および集中治療室入院の30%までを悪化させる、と報告されている。ARFは、因果関係において腎前性、内因性腎性または腎後性として分類され得る。内因性腎疾患は、さらに、糸球体、尿細管、間質性および血管性異常に分けられ得る。ARFの主因は、Merck Manual, 17th ed., Chapter 222(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)から適合される以下の表中に記載されている:
虚血性ARFの場合、疾患の経過は、4つの期に分けられ得る。数時間〜数日持続する開始期の間、腎還流低減は損傷に徐々に発展する。糸球体限外濾過は低減し、濾液の流量は尿細管内の破砕片のために低減され、損傷上皮を通した濾液の漏出が起こる。腎損傷は、この時期の間、腎臓の再還流により媒介され得る。開始期の後には、持続される虚血性損傷および炎症を特徴とし、内皮細胞損害および血管うっ血を伴い得る伸展期が来る。1〜2週間持続する維持期の間、腎細胞損傷が起こり、糸球体濾過および尿排出量が最小に達する。腎上皮細胞が修復され、GFRが漸次回復する回復期が、その次に来る。これにもかかわらず、ARFを有する被験体の生存率は約60%という低さであり得る。
放射線造影剤(造影剤とも呼ばれる)および他の腎毒素、例えばシクロスポリン、抗生物質、例えばアミノグリコシド、および抗癌薬、例えばシスプラチンにより引き起こされる急性腎損傷は、数日〜約1週間の期間に亘って症状発現する。造影剤腎症(CIN、これは、放射線造影剤により引き起こされるAKIである)は、腎内血管狭窄(虚血性損傷に導く)により、ならびに尿細管上皮細胞に対して直接的に有毒である活性酸素種の発生から引き起こされると考えられる。CINは慣行に従って、血中尿素窒素および血清クレアチニンの急性(24〜48時間以内に開始する)であるが、しかし可逆的な(ピークは3〜5日、1週間以内に消散)上昇として存在する。
AKIを限定し、検定するための一般に報告された判定基準は、血清クレアチニンの突然の(典型的には、約2〜7日以内、または入院期間内)上昇である。AKIを限定し、検出するための血清クレアチニン上昇の使用は十分に確立されているが、しかし血清クレアチニン上昇の大きさおよびAKIを限定するためにそれが測定される時間は、出版物間でかなり異なる。伝統的に、100%、200%といったような血清クレアチニンのかなり大きな増大、2mg/dLを上回る値への少なくとも100%の増大、およびその他の定義を用いて、AKIを限定した。しかしながら、近年の傾向は、AKIを限定するためにより小さなクレアチニン上昇を用いてAKIを限定することに傾いてきた。血清クレアチニン上昇、AKIおよび関連健康危険度との間の関係は、Praught and Shlipak, Curr Opin Nephrol Hypertens 14: 265-270, 2005およびChertow et al., J Am Soc Nephrol 16: 3365-3370, 2005(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)で検討されている。これらの出版物に記載されているように、急性悪性化腎機能(AKI)および死亡危険度増大ならびにその他の有害結果は、目下、血清クレアチニンの極小さな増大と関連することが知られている。これらの増大は、相対(パーセント)値または公称値として確定され得る。損傷前値から20%という小さい血清クレアチニンの相対的増大は、急性悪性化腎機能(AKI)および健康危険度増大を示すと報告されているが、しかし、AKIおよび感光危険度増大を限定するためにより一般的に報告されている値は、少なくとも25%という相対的増大である。0.3mg/dL、0.2mg/dLという小さい公称増大値、または0.1mg/dLという値でさえ、悪性化腎機能および死亡危険度増大を示すことが報告されている。血清クレアチニンがこれらの閾値に上がる種々の時間、例えば2日、3日、7日からの範囲の期間、あるいは患者が病院または集中治療室にいる時間として限定される種々の期間を用いて、AKIが限定されてきた。これらの試験は、悪性化腎機能またはAKIに関して特定の閾値血清クレアチニン上昇は認められず、むしろ、結成クレアチニン上昇の大きさの増大に伴って危険度の継続的増大が認められる、ということを示す。
一試験(Lassnigg et al., J Am Soc Nephrol 15: 1597-1605, 2004)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)は、血清クレアチニンにおける増大および低減の両方を調べた。心臓手術後に−0.1〜−0.3mg/dLという血清クレアチニンの軽度の低下を示す患者は、最低死亡率を有した。血清クレアチニンのより大きな低下(−0.4mg/dL以上)または血清クレアチニンの任意の増大を示す患者は、より高い死亡率を有した。これらの知見により、(手術の48時間以内の小クレアチニン変化により検出されるような)腎機能の非常に微細な変化でさえ、患者の結果に重篤な影響を及ぼす、とこの著者は結論づけた。臨床試験において、ならびに臨床的実行において、AKIを限定するために血清クレアチニンを用いるための統一分類系に関するコンセンサスに到達しようと努力して、Bellomo et al., Crit Care. 8(4): R204-12, 2004(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)は、AKI患者を層化するための以下の分類を提案している:
「危険」:血清クレアチニンがベースラインから1.5倍に増大した。または6時間の間の<0.5ml/体重1kg/時間の尿産生;
「損傷」:血清クレアチニンがベースラインから2.0倍に増大した。または12時間の間の<0.5ml/体重1kg/時間の尿産生;
「不全」:血清クレアチニンがベースラインから3.0倍に増大した。またはクレアチニン>355μmol/l(>44の上昇を伴う)、または24時間の間の0.3ml/kg/時より低い尿排出、または少なくとも12時間の間の無尿;
そして以下の2つの臨床結果を包含した:
「損失」:4週間より長い間の腎代替療法の持続的必要性。
「ESRD」:末期腎疾患−3ヶ月より長い間の透析の必要性。
これらの判定基準はRIFLE判定基準と呼ばれ、これは、腎状態を分類するための有用な臨床的ツールを提供する。Kellum, Crit. Care Med. 36: S141-45, 2008およびRicci et al., Kidney Int. 73, 538-546(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)で考察されたように、RIFLE判定基準は、多数の試験で認められたAKIについての一様な定義を提供する。
「危険」:血清クレアチニンがベースラインから1.5倍に増大した。または6時間の間の<0.5ml/体重1kg/時間の尿産生;
「損傷」:血清クレアチニンがベースラインから2.0倍に増大した。または12時間の間の<0.5ml/体重1kg/時間の尿産生;
「不全」:血清クレアチニンがベースラインから3.0倍に増大した。またはクレアチニン>355μmol/l(>44の上昇を伴う)、または24時間の間の0.3ml/kg/時より低い尿排出、または少なくとも12時間の間の無尿;
そして以下の2つの臨床結果を包含した:
「損失」:4週間より長い間の腎代替療法の持続的必要性。
「ESRD」:末期腎疾患−3ヶ月より長い間の透析の必要性。
これらの判定基準はRIFLE判定基準と呼ばれ、これは、腎状態を分類するための有用な臨床的ツールを提供する。Kellum, Crit. Care Med. 36: S141-45, 2008およびRicci et al., Kidney Int. 73, 538-546(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)で考察されたように、RIFLE判定基準は、多数の試験で認められたAKIについての一様な定義を提供する。
さらに近年、Mehta et al., Crit. Care 11: R31 (doi: 10.1186.cc5713),2007(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)は、AKI患者を層化するために、RIFLEから修正された以下の同様の分類を提案している:
「段階I」:0.3mg/dL以上の血清クレアチニンの増大(≧26.4μmol/L)またはベースラインから150%(1.5倍)以上への増大。あるいは6時間より長い間の0.5mL/kg/時間未満の尿排出;
「段階II」:ベースラインから200%(>2.0倍)より大きい血清クレアチニンの増大。あるいは12時間より長い間の0.5mL/kg/時間未満の尿排出;
「段階III」:ベースラインから300%(>3倍)より大きい血清クレアチニンの増大。あるいは血清クレアチニン≧354μmol/L(少なくとも44μmol/Lの急性増大を伴う)。あるいは24時間の間の0.3ml/kg/時未満の尿排出、または12時間の間の無尿。
「段階I」:0.3mg/dL以上の血清クレアチニンの増大(≧26.4μmol/L)またはベースラインから150%(1.5倍)以上への増大。あるいは6時間より長い間の0.5mL/kg/時間未満の尿排出;
「段階II」:ベースラインから200%(>2.0倍)より大きい血清クレアチニンの増大。あるいは12時間より長い間の0.5mL/kg/時間未満の尿排出;
「段階III」:ベースラインから300%(>3倍)より大きい血清クレアチニンの増大。あるいは血清クレアチニン≧354μmol/L(少なくとも44μmol/Lの急性増大を伴う)。あるいは24時間の間の0.3ml/kg/時未満の尿排出、または12時間の間の無尿。
CINコンセンサス作業パネル(McCollough et al., Rev Cardiovasc Med. 2006; 7(4): 177-197;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)は、25%の血清クレアチニン上昇を用いて造影剤腎症(AKIの一型である)を限定する。種々の群はAKIを検出するために血清クレアチニンを用いるためのわずかに異なる判定基準を提案するが、しかしコンセンサスは、例えば0.3mg/dLまたは25%という血清クレアチニンの小変化はAKI(悪性化腎機能)を検出するのに十分であるということ、ならびに血清クレアチニン変化の大きさはAKI重症度および死亡率危険度の一指標であるというものである。
数日間に亘る血清クレアチニンの連続測定はAKIを検出し、診断する許容可能な一方法であり、AKI患者を評価するための最も重要なツールの1つと考えられるが、しかし血清クレアチニンは一般的に、AKI患者の診断、査定およびモニタリングにおけるいくつかの制限を有するとみなされる。AKIの診断に役立つとみなされる値(例えば、0.3mg/dLまたは25%上昇)に血清クレアチニンが上昇する時間は、用いられる定義によって、48時間以上で有り得る。AKIにおける細胞性損傷は数時間の期間に亘って起こり得るため、48時間以上で検出される血清クレアチニン上昇は損傷の後期指標であり得るし、したがって、血清クレアチニンに頼ることは、AKIの診断を遅らせ得る。さらに、血清クレアチニンは、腎機能が急速に変わりつつあるAKIの最急性期中の正確な腎臓状態および治療の必要性についての良好な指標ではない。AKIを有する患者の中には、完全に回復する患者もいるし、(短期間または長期間の)透析を必要とする患者もいるし、他の有害結果、例えば死、大きな悪性心臓事象および慢性腎疾患を有する患者もいる。血清クレアチニンは濾過率のマーカーであるため、それは、AKIの原因(腎前性、内因性腎性、腎後性の閉塞、アテローム塞栓性等)間、あるいは内因性腎疾患(例えば、尿細管、糸球体または間質性で始まる)における損傷の部類または位置を識別しない。尿排出量は、同様に限定される。これらの事柄についての知識は、AKIを有する患者を管理し、治療するに際して、生命維持のための重要性を有し得る。
これらの制限は、特に早期のおよび無症状段階において、しかし、腎臓の回復および修復が起こり得る後期段階においても、AKIを検出し、査定するためのより良好な方法の必要性を強調する。
被験体における腎機能を評価するための方法および組成物を提供することは、本発明の一目的である。本明細書中に記載されるように、可溶性CD44抗原、アンギオポエチン−1、可溶性アンギオポエチン−1受容体、C−X−Cケモカインモチーフ5、可溶性エンドグリン、可溶性腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1、エリスロポエチン、可溶性フラクタルカイン、ヘムオキシゲナーゼ1、可溶性インターロイキン−1受容体II型、可溶性インターロイキン−6受容体サブユニット−アルファ、リンホタクチン、リンホトキシン−アルファ、ストロメリシン−1、C−Cモチーフケモカイン22、C−Cモチーフケモカイン5およびトロンボスポンジン−1(集合的に、「腎損傷マーカー」として本明細書中で言及され、そして「腎損傷マーカー」として独立して言及される)からなる群から選択される1つ以上のマーカーの測定は、腎機能に対する損傷、腎機能低減、および/または急性腎不全(急性腎損傷とも呼ばれる)に罹患しているか、または罹患する危険がある被験体における診断、予後、危険度層化、病期分類、モニタリング、分類、ならびにさらなる診断および治療レジメンの確定のために用いられ得る。
これらの腎損傷マーカーは、危険度層化のために(すなわち、腎機能に対する将来的損傷、腎機能低減への将来的進行、ARFへの将来的進行、腎機能における将来的改善等の危険がある被験体を同定するために);存在する疾患の診断のために(すなわち、腎機能に対する損傷を蒙っている被験体、腎機能低減に進行している被験体、ARFに進行している被験体等を同定するために);腎機能の悪化または改善に関してモニタリングするために;ならびに将来的医療結果、例えば腎機能の改善または悪化、死亡率危険度の低減または増大、被験体が腎代替療法(すなわち、血液透析、腹膜透析、血液濾過および/または腎臓移植)を必要とする危険度の低減または増大、被験体が腎機能に対する損傷から回復する危険度の低減または増大、被験体がARFから回復する危険度の低減または増大、被験体が末期腎疾患に進行する危険度の低減または増大、被験体が慢性腎不全に進行する危険度の低減または増大、被験体が移植腎の拒絶を蒙る危険度の低減または増大等を予測するために、独立して、または複数の腎損傷マーカーを含むパネルで、用いられ得る。
第一の態様において、本発明は、被験体における腎臓状態を評価するための方法に関する。これらの方法は、被験体から得られる体液試料中の本発明の1つ以上の腎損傷マーカーを検出するよう設計される検定方法を実施することを包含する。検定結果(単数または複数)、例えば可溶性CD44抗原、アンギオポエチン−1、可溶性アンギオポエチン−1受容体、C−X−Cケモカインモチーフ5、可溶性エンドグリン、可溶性腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1、エリスロポエチン、可溶性フラクタルカイン、ヘムオキシゲナーゼ1、可溶性インターロイキン−1受容体II型、可溶性インターロイキン−6受容体サブユニット−アルファ、リンホタクチン、リンホトキシン−アルファ、ストロメリシン−1、C−Cモチーフケモカイン22、C−Cモチーフケモカイン5およびトロンボスポンジン−1からなる群から選択される1つ以上のマーカーの測定濃度は、次に、被験体の腎臓状態と相関される。腎臓状態とのこの相関は、検定結果(単数または複数)を、本明細書中に記載されるような被験体の危険度層化、診断、予後、病期分類、分類およびモニタリングのうちの1つ以上と相関させることを包含し得る。したがって、本発明は、腎損傷の評価のために本発明の1つ以上の腎損傷マーカーを利用する。
ある実施形態では、本明細書中に記載される腎臓状態を評価するための方法は、被験体の危険度層化のための方法;すなわち、腎臓状態における1つ以上の将来的変化の尤度を前記被験体に割り当てることである。これらの実施形態では、検定結果(単数または複数)は、1つ以上のこのような将来的変化と相関される。以下は、好ましい危険度層化実施形態である。
好ましい危険度層化実施形態では、これらの方法は、腎臓機能に対する将来的損傷に関して被験体の危険度を確定することを包含し、検定結果(単数または複数)は腎臓機能に対するこのような将来的損傷の尤度と相関される。例えば、測定濃度(単数または複数)は、各々、閾値と比較され得る。「正方向」腎損傷マーカーに関しては、測定濃度が閾値を下回る場合に割り当てられる尤度に比して、測定濃度が閾値を上回る場合に、腎機能に対する将来的損傷を蒙る尤度増大が被験体に割り当てられる。「負方向」腎損傷マーカーに関しては、測定濃度が閾値を上回る場合に割り当てられる尤度に比して、測定濃度が閾値を下回る場合に、腎機能に対する将来的損傷を蒙る尤度増大が被験体に割り当てられる。
他の好ましい危険度層化実施形態では、これらの方法は、腎臓機能の将来的低減に関して被験体の危険度を確定することを包含し、検定結果(単数または複数)はこのような腎臓機能低減の尤度と相関される。例えば、測定濃度は、各々、閾値と比較され得る。「正方向」腎損傷マーカーに関しては、測定濃度が閾値を下回る場合に割り当てられる尤度に比して、測定濃度が閾値を上回る場合に、腎機能の将来的低減を蒙る尤度増大が被験体に割り当てられる。「負方向」腎損傷マーカーに関しては、測定濃度が閾値を上回る場合に割り当てられる尤度に比して、測定濃度が閾値を下回る場合に、腎機能の将来的低減の尤度増大が被験体に割り当てられる。
さらなる他の好ましい危険度層化実施形態では、これらの方法は、腎臓機能における将来的改善に関して被験体の尤度を確定することを包含し、検定結果(単数または複数)は腎臓機能におけるこのような将来的改善の尤度と相関される。例えば、測定濃度(単数または複数)は、各々、閾値と比較され得る。「正方向」腎損傷マーカーに関しては、測定濃度が閾値を上回る場合に割り当てられる尤度に比して、測定濃度が閾値を下回る場合に、腎機能における将来的改善の尤度増大が被験体に割り当てられる。「負方向」腎損傷マーカーに関しては、測定濃度が閾値を下回る場合に割り当てられる尤度に比して、測定濃度が閾値を上回る場合に、腎機能における将来的改善の尤度増大が被験体に割り当てられる。
さらなる他の好ましい危険度層化実施形態では、これらの方法は、ARFへの進行に関して被験体の危険度を確定することを包含し、結果(単数または複数)は、ARFへのこのような進行の尤度と相関される。例えば、測定濃度(単数または複数)は、各々、閾値と比較され得る。「正方向」腎損傷マーカーに関しては、測定濃度が閾値を下回る場合に割り当てられる尤度に比して、測定濃度が閾値を上回る場合に、ARFへの進行の尤度増大が被験体に割り当てられる。「負方向」腎損傷マーカーに関しては、測定濃度が閾値を上回る場合に割り当てられる尤度に比して、測定濃度が閾値を下回る場合に、ARFへの進行の尤度増大が被験体に割り当てられる。
他の好ましい危険度層化実施形態では、これらの方法は、被験体の結果危険度を確定することを包含し、検定結果(単数または複数)は、被験体が蒙る腎損傷に関連する臨床結果の発生の尤度と相関される。例えば、測定濃度(単数または複数)は、各々、閾値と比較され得る。「正方向」腎損傷マーカーに関しては、測定濃度が閾値を下回る場合に割り当てられる尤度に比して、測定濃度が閾値を上回る場合に、急性腎損傷、AKIの悪化段階への進行、死亡率、腎代替療法の要請、腎毒素の離脱の要請、末期腎疾患、心不全、卒中、心筋梗塞、慢性腎疾患への進行等のうちの1つ以上の尤度増大が被験体に割り当てられる。「負方向」腎損傷マーカーに関しては、測定濃度が閾値を上回る場合に割り当てられる尤度に比して、測定濃度が閾値を下回る場合に、急性腎損傷、AKIの悪化段階への進行、死亡率、腎代替療法の要請、腎毒素の離脱の要請、末期腎疾患、心不全、卒中、心筋梗塞、慢性腎疾患への進行等のうちの1つ以上の尤度増大が被験体に割り当てられる。
このような危険度層化実施形態では、好ましくは、割り当てられる尤度または危険度は、体液試料が前記被験体から得られる時点の180日以内に当該事象が多少生じると思われる、というものである。特に好ましい実施形態では、割り当てられる尤度または危険度は、18ヶ月、120日、90日、60日、45日、30日、21日、14日、7日、5日、96時間、72時間、48時間、36時間、24時間、12時間またはそれ未満といったような短期間以内に生じる当該事象に関する。体液試料が被験体から得られる時点の0時間での危険度は、現在状態の診断と等価である。
好ましい危険度層化実施形態では、被験体は、腎前性、内因性腎性、または腎後性ARFに関する1つ以上の既知の危険因子の前記被験体における先在性に基づいた危険度層化に関して選択される。例えば、大血管手術、冠動脈バイパス術または他の心臓手術を受けているかまたは受けたことがある被験体;先在性うっ血性心不全、子癇前症、子癇、真性糖尿病、高血圧症、冠動脈疾患、タンパク尿、腎機能不全、正常範囲を下回る糸球体濾過率、肝硬変、正常範囲を上回る血清クレアチニンまたは敗血症を有する被験体;あるいはNSAID、シクロスポリン、タクロリムス、アミノグリコシド、フォスカルネット、エチレングリコール、ヘモグロビン、ミオグロビン、イフォスファミド、重金属、メトトレキセート、放射線不透過性造影剤またはストレプトゾトシンに曝露された被験体は全て、本明細書中に記載される方法に従って危険度をモニタリングするための好ましい被験体である。このリストは、限定性であるよう意図されない。この文脈における「先在性」とは、体液試料が被験体から得られる時点で危険因子が存在することを意味する。特に好ましい実施形態では、腎機能に対する損傷、腎機能低減またはARFの現存する診断に基づいて、被験体は危険度層化に関して選択される。
他の実施形態では、本明細書中に記載される腎臓状態を評価するための方法は、被験体における腎損傷を診断するための方法である;すなわち、被験体が腎機能に対する損傷、腎機能低減またはARFに罹患しているか、いないかを査定することである。これらの実施形態では、検定結果(単数または複数)、例えば、可溶性CD44抗原、アンギオポエチン−1、可溶性アンギオポエチン−1受容体、C−X−Cケモカインモチーフ5、可溶性エンドグリン、可溶性腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1、エリスロポエチン、可溶性フラクタルカイン、ヘムオキシゲナーゼ1、可溶性インターロイキン−1受容体II型、可溶性インターロイキン−6受容体サブユニット−アルファ、リンホタクチン、リンホトキシン−アルファ、ストロメリシン−1、C−Cモチーフケモカイン22、C−Cモチーフケモカイン5およびトロンボスポンジン−1からなる群から選択される1つ以上のマーカーの測定濃度は、腎臓状態における変化の発生または非発生と相関される。以下は、好ましい診断実施形態である。
好ましい診断実施形態では、これらの方法は、腎臓機能に対する損傷の発生または非発生を診断することを包含し、検定結果(単数または複数)はこのような損傷の発生または非発生と相関される。例えば、測定濃度(単数または複数)の各々は、閾値と比較され得る。正方向マーカーに関しては、(測定濃度が閾値を下回る場合に割り当てられる尤度に比して)測定濃度が閾値を上回る場合に、腎機能に対する損傷の発生の尤度増大が被験体に割り当てられる;代替的には、(測定濃度が閾値を上回る場合に割り当てられる尤度に比して)測定濃度が閾値を下回る場合に、腎機能に対する損傷の非発生の尤度増大が被験体に割り当てられ得る。負方向マーカーに関しては、(測定濃度が閾値を上回る場合に割り当てられる尤度に比して)測定濃度が閾値を下回る場合に、腎機能に対する損傷の発生の尤度増大が被験体に割り当てられる;代替的には、(測定濃度が閾値を下回る場合に割り当てられる尤度に比して)測定濃度が閾値を上回る場合に、腎機能に対する損傷の非発生の尤度増大が被験体に割り当てられ得る。
他の好ましい診断実施形態では、これらの方法は、腎臓機能低減の発生または非発生を診断することを包含し、検定結果(単数または複数)は腎機能低減を引き起こす損傷の発生または非発生と相関される。例えば、測定濃度(単数または複数)の各々は、閾値と比較され得る。正方向マーカーに関しては、(測定濃度が閾値を下回る場合に割り当てられる尤度に比して)測定濃度が閾値を上回る場合に、腎機能低減を引き起こす損傷の発生の尤度増大が被験体に割り当てられる;代替的には、(測定濃度が閾値を上回る場合に割り当てられる尤度に比して)測定濃度が閾値を下回る場合に、腎機能低減を引き起こす損傷の非発生の尤度増大が被験体に割り当てられ得る。負方向マーカーに関しては、(測定濃度が閾値を上回る場合に割り当てられる尤度に比して)測定濃度が閾値を下回る場合に、腎機能低減を引き起こす損傷の発生の尤度増大が被験体に割り当てられる;代替的には、(測定濃度が閾値を下回る場合に割り当てられる尤度に比して)測定濃度が閾値を上回る場合に、腎機能低減を引き起こす損傷の非発生の尤度増大が被験体に割り当てられ得る。
さらに他の好ましい診断実施形態では、これらの方法は、ARFの発生または非発生を診断することを包含し、検定結果(単数または複数)はARFを引き起こす損傷の発生または非発生と相関される。例えば、測定濃度(単数または複数)の各々は、閾値と比較され得る。正方向マーカーに関しては、(測定濃度が閾値を下回る場合に割り当てられる尤度に比して)測定濃度が閾値を上回る場合に、ARFの発生の尤度増大が被験体に割り当てられる;代替的には、(測定濃度が閾値を上回る場合に割り当てられる尤度に比して)測定濃度が閾値を下回る場合に、ARFの非発生の尤度増大が被験体に割り当てられ得る。負方向マーカーに関しては、(測定濃度が閾値を上回る場合に割り当てられる尤度に比して)測定濃度が閾値を下回る場合に、ARFの発生の尤度増大が被験体に割り当てられる;代替的には、(測定濃度が閾値を下回る場合に割り当てられる尤度に比して)測定濃度が閾値を上回る場合に、ARFの非発生の尤度増大が被験体に割り当てられ得る。
さらに他の好ましい診断実施形態では、これらの方法は、腎代替療法を必要としていると被験体を診断することを包含し、検定結果(単数または複数)は腎代替療法に対する必要性と相関される。例えば、測定濃度(単数または複数)の各々は、閾値と比較され得る。正方向マーカーに関しては、(測定濃度が閾値を下回る場合に割り当てられる尤度に比して)測定濃度が閾値を上回る場合に、腎代替療法に対する必要性を生じる損傷の発生の尤度増大が被験体に割り当てられる;代替的には、(測定濃度が閾値を上回る場合に割り当てられる尤度に比して)測定濃度が閾値を下回る場合に、腎代替療法の必要性を生じる損傷の非発生の尤度増大が被験体に割り当てられ得る。負方向マーカーに関しては、(測定濃度が閾値を上回る場合に割り当てられる尤度に比して)測定濃度が閾値を下回る場合に、腎代替療法に対する必要性を生じる損傷の発生の尤度増大が被験体に割り当てられる;代替的には、(測定濃度が閾値を下回る場合に割り当てられる尤度に比して)測定濃度が閾値を上回る場合に、腎代替療法に対する必要性を生じる損傷の非発生の尤度増大が被験体に割り当てられ得る。
さらに他の好ましい診断実施形態では、これらの方法は、腎移植を必要としていると被験体を診断することを包含し、検定結果(単数または複数)は腎移植に対する必要性と相関される。例えば、測定濃度(単数または複数)の各々は、閾値と比較され得る。正方向マーカーに関しては、(測定濃度が閾値を下回る場合に割り当てられる尤度に比して)測定濃度が閾値を上回る場合に、腎移植に対する必要性を生じる損傷の発生の尤度増大が被験体に割り当てられる;代替的には、(測定濃度が閾値を上回る場合に割り当てられる尤度に比して)測定濃度が閾値を下回る場合に、腎移植の必要性を生じる損傷の非発生の尤度増大が被験体に割り当てられ得る。負方向マーカーに関しては、(測定濃度が閾値を上回る場合に割り当てられる尤度に比して)測定濃度が閾値を下回る場合に、腎移植に対する必要性を生じる損傷の発生の尤度増大が被験体に割り当てられる;代替的には、(測定濃度が閾値を下回る場合に割り当てられる尤度に比して)測定濃度が閾値を上回る場合に、腎移植に対する必要性を生じる損傷の非発生の尤度増大が被験体に割り当てられ得る。
さらに他の実施形態では、本明細書中に記載される腎臓状態を評価するための方法は、被験体における腎損傷をモニタリングするための方法である;すなわち、腎機能に対する損傷、腎機能低減、またはARFに罹患している被験体において腎機能が改善されつつあるか悪化しつつあるかを査定することである。これらの実施形態では、検定結果(単数または複数)、例えば可溶性CD44抗原、アンギオポエチン−1、可溶性アンギオポエチン−1受容体、C−X−Cケモカインモチーフ5、可溶性エンドグリン、可溶性腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1、エリスロポエチン、可溶性フラクタルカイン、ヘムオキシゲナーゼ1、可溶性インターロイキン−1受容体II型、可溶性インターロイキン−6受容体サブユニット−アルファ、リンホタクチン、リンホトキシン−アルファ、ストロメリシン−1、C−Cモチーフケモカイン22、C−Cモチーフケモカイン5およびトロンボスポンジン−1からなる群から選択される1つ以上のマーカーの測定濃度は、腎臓状態における変化の発生または非発生と相関される。以下は、好ましいモニタリング実施形態である。
好ましいモニタリング実施形態では、これらの方法は、腎臓機能に対する損傷を蒙っている被験体における腎臓状態をモニタリングすることを包含し、検定結果(単数または複数)は被験体における腎臓状態の変化の発生または非発生と相関される。例えば、測定濃度(単数または複数)は、閾値と比較され得る。正方向マーカーに関しては、測定濃度が閾値を上回る場合に、腎機能の悪化が被験体に割り当てられ得る;代替的には、測定濃度が閾値を下回る場合に、腎機能の改善が被験体に割り当てられ得る。負方向マーカーに関しては、測定濃度が閾値を下回る場合に、腎機能の悪化が被験体に割り当てられる;代替的には、測定濃度が閾値を上回る場合に、腎機能の改善が被験体に割り当てられ得る。
他の好ましいモニタリング実施形態では、これらの方法は、腎臓機能低減を蒙っている被験体における腎臓状態をモニタリングすることを包含し、検定結果(単数または複数)は被験体における腎臓状態の変化の発生または非発生と相関される。例えば、測定濃度(単数または複数)は、閾値と比較され得る。正方向マーカーに関しては、測定濃度が閾値を上回る場合に、腎機能の悪化が被験体に割り当てられ得る;代替的には、測定濃度が閾値を下回る場合に、腎機能の改善が被験体に割り当てられ得る。負方向マーカーに関しては、測定濃度が閾値を下回る場合に、腎機能の悪化が被験体に割り当てられ得る;代替的には、測定濃度が閾値を上回る場合に、腎機能の改善が被験体に割り当てられ得る。
さらに他の好ましいモニタリング実施形態では、これらの方法は、急性腎不全に罹患している被験体における腎臓状態をモニタリングすることを包含し、検定結果(単数または複数)は被験体における腎臓状態の変化の発生または非発生と相関される。例えば、測定濃度(単数または複数)は、閾値と比較され得る。正方向マーカーに関しては、測定濃度が閾値を上回る場合に、腎機能の悪化が被験体に割り当てられ得る;代替的には、測定濃度が閾値を下回る場合に、腎機能の改善が被験体に割り当てられ得る。負方向マーカーに関しては、測定濃度が閾値を下回る場合に、腎機能の悪化が被験体に割り当てられ得る;代替的には、測定濃度が閾値を上回る場合に、腎機能の改善が被験体に割り当てられ得る。
他の付加的な好ましいモニタリング実施形態では、これらの方法は、腎前性、内因性腎性、または腎後性ARFに関する1つ以上の既知の危険因子の先在性のために、腎機能に対する損傷の危険がある被験体における腎臓状態をモニタリングすることを包含し、検定結果(単数または複数)は被験体における腎臓状態の変化の発生または非発生と相関される。例えば、測定濃度(単数または複数)は、閾値と比較され得る。正方向マーカーに関しては、測定濃度が閾値を上回る場合に、腎機能の悪化が被験体に割り当てられ得る;代替的には、測定濃度が閾値を下回る場合に、腎機能の改善が被験体に割り当てられ得る。負方向マーカーに関しては、測定濃度が閾値を下回る場合に、腎機能の悪化が被験体に割り当てられ得る;代替的には、測定濃度が閾値を上回る場合に、腎機能の改善が被験体に割り当てられ得る。
さらに他の実施形態では、本明細書中に記載される腎臓状態を評価するための方法は、被験体における腎損傷を分類するための方法である;すなわち、被験体における腎損傷が腎前性、内因性腎性または腎後性であるか否かを確定すること;および/またはこれらのクラスを、急性尿細管損傷、急性糸球体腎炎、急性尿細管間質性腎炎、急性血管腎症または浸潤性疾患のようなサブクラスにさらに細分すること;および/または被験体が特定のRIFLE段階に進行する尤度を割り当てることである。これらの実施形態では、検定結果(単数または複数)、例えば可溶性CD44抗原、アンギオポエチン−1、可溶性アンギオポエチン−1受容体、C−X−Cケモカインモチーフ5、可溶性エンドグリン、可溶性腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1、エリスロポエチン、可溶性フラクタルカイン、ヘムオキシゲナーゼ1、可溶性インターロイキン−1受容体II型、可溶性インターロイキン−6受容体サブユニット−アルファ、リンホタクチン、リンホトキシン−アルファ、ストロメリシン−1、C−Cモチーフケモカイン22、C−Cモチーフケモカイン5およびトロンボスポンジン−1からなる群から選択される1つ以上のマーカーの測定濃度は、特定のクラスおよび/またはサブクラスと相関される。以下は、好ましい分類実施形態である。
好ましい分類実施形態では、これらの方法は、被験体における腎損傷が腎前性、内因性腎性または腎後性であるか否かを確定すること;および/またはこれらのクラスを、急性尿細管損傷、急性糸球体腎炎、急性尿細管間質性腎炎、急性血管腎症または浸潤性疾患のようなサブクラスにさらに細分すること;および/または被験体が特定のRIFLE段階に進行する尤度を割り当てることを包含し、検定結果(単数または複数)は、被験体に対する損傷分類と相関される。例えば、測定濃度は閾値と比較され、測定濃度が閾値を上回る場合には、特定の分類が割り当てられる;代替的には、測定濃度が閾値を下回る場合には、異なる分類が被験体に割り当てられ得る。
これらの方法に用いるための所望の閾値に達するよう、種々の方法が当業者に用いられ得る。例えば閾値は、正常被験体で測定される腎損傷マーカーの75th、85th、90th、95thまたは99th百分位数を表す濃度を選択することにより、正常被験体の一集団から決定され得る。あるいは、閾値は、被験体の「罹患」集団、例えば損傷を蒙っているかまたは損傷に関する素因(例えば、ARFまたは何らかの他の臨床的結果、例えば死亡、透析、腎移植など)を有する被験体の集団から、このような被験体で測定される腎損傷マーカーの75th、85th、90th、95thまたは99th百分位数を表す濃度を選択することにより、決定され得る。別の代替法では、閾値は、同一被験体における腎損傷マーカーの事前の測定から決定され得る;すなわち、被験体における腎損傷マーカーのレベルの一時的変化を用いて、危険度を被験体に割り当て得る。
しかしながら、前記の考察は、本発明の腎損傷マーカーが対応する個々の閾値と比較されなければならない、ということを暗示するよう意図されない。検定結果を組合せるための方法は、多変量ロジスティック回帰、対数線形モデル、ニューラルネットワーク解析、n−of−m解析、決定木分析、マーカーの算定比率などの使用を包含し得る。このリストは、限定的であることを意味しない。これらの方法では、個々のマーカーを組合せることにより決定される複合体結果は、それがそれ自体マーカーであるよう処置され得る;すなわち、閾値は、個々のマーカーに関して本明細書中に記載されるような複合体結果に関して決定され得るし、この閾値と比較される個々の患者に関する複合体結果に関して決定され得る。
2つの集団を識別する特定試験の能力は、ROC解析を用いて確立され得る。例えば、腎臓状態における1つ以上の将来的変化を受け易い「第一」亜集団、ならびにそれを受け易くない第二亜集団から確立されるROC曲線(複数)は一ROC曲線を算定するために用いられ、その曲線下面積は試験の質の測定値を提供する。好ましくは、本明細書中に記載される試験は、0.5より大きい、好ましくは少なくとも0.6、さらに好ましくは0.7、さらに好ましくは少なくとも0.8、さらに好ましくは少なくとも0.9、最も好ましくは少なくとも0.95のROC曲線面積を提供する。
ある態様において、1つ以上の腎損傷マーカーまたはこのようなマーカーの複合体の測定濃度は、連続変数として処理され得る。例えば、任意の特定の濃度は、被験体に関する腎機能の将来的低減、損傷の発生、分類などの対応する確率に変換され得る。さらに別の代替方法では、「第一」亜集団(例えば、腎臓状態、損傷の発生、分類などの1つ以上の将来的変化を受け易い)、ならびにそれを受け易くない「第二」亜集団のような「bin」に被験体の集団を分ける場合に、許容可能レベルの特異度および敏感度を、閾値が提供し得る。閾値は、試験精度の以下の測定値のうちの1つ以上によりこの第一および第二集団を分けるよう選択される:
1より大きい、好ましくは少なくとも約2以上または約0.5以下、さらに好ましくは少なくとも約3以上または約0.33以下、さらに好ましくは少なくとも約4以上または約0.25以下、さらに好ましくは少なくとも約5以上または約0.2以下、最も好ましくは少なくとも約10以上または約0.1以下のオッズ比;
0.5より大きい、好ましくは少なくとも約0.6、さらに好ましくは少なくとも約0.7、さらに好ましくは少なくとも約0.8、さらに好ましくは少なくとも約0.9、最も好ましくは少なくとも約0.95の特異度であり、対応する敏感度は、0.2より大きく、好ましくは約0.3より大きく、さらに好ましくは約0.4より大きく、さらに好ましくは少なくとも約0.5、さらに好ましくは約0.6、さらに好ましくは約0.7より大きく、さらに好ましくは約0.8より大きく、さらに好ましくは約0.9より大きく、最も好ましくは約0.95より大きい;
0.5より大きい、好ましくは少なくとも約0.6、さらに好ましくは少なくとも約0.7、さらに好ましくは少なくとも約0.8、さらに好ましくは少なくとも約0.9、最も好ましくは少なくとも約0.95の敏感度であり、対応する特異度は、0.2より大きく、好ましくは約0.3より大きく、さらに好ましくは約0.4より大きく、さらに好ましくは少なくとも約0.5、さらに好ましくは約0.6、さらに好ましくは約0.7より大きく、さらに好ましくは約0.8より大きく、さらに好ましくは約0.9より大きく、最も好ましくは約0.95より大きい;
少なくとも約75%の敏感度であり、少なくとも約75%の特異度と組合される;
1より大きい、少なくとも約2、さらに好ましくは少なくとも約3、さらに好ましくは少なくとも約5、最も好ましくは少なくとも約10の陽性尤度比(敏感度/(1−特異度)として算定される);あるいは
1未満、約0.5以下、さらに好ましくは約0.3以下、最も好ましくは約0.1以下の陰性尤度比((1−敏感度)/特異度として算定される)。
上記の測定値のいずれかについての文脈中の「約」という用語は、所定の測定値の+/−5%を指す。
1より大きい、好ましくは少なくとも約2以上または約0.5以下、さらに好ましくは少なくとも約3以上または約0.33以下、さらに好ましくは少なくとも約4以上または約0.25以下、さらに好ましくは少なくとも約5以上または約0.2以下、最も好ましくは少なくとも約10以上または約0.1以下のオッズ比;
0.5より大きい、好ましくは少なくとも約0.6、さらに好ましくは少なくとも約0.7、さらに好ましくは少なくとも約0.8、さらに好ましくは少なくとも約0.9、最も好ましくは少なくとも約0.95の特異度であり、対応する敏感度は、0.2より大きく、好ましくは約0.3より大きく、さらに好ましくは約0.4より大きく、さらに好ましくは少なくとも約0.5、さらに好ましくは約0.6、さらに好ましくは約0.7より大きく、さらに好ましくは約0.8より大きく、さらに好ましくは約0.9より大きく、最も好ましくは約0.95より大きい;
0.5より大きい、好ましくは少なくとも約0.6、さらに好ましくは少なくとも約0.7、さらに好ましくは少なくとも約0.8、さらに好ましくは少なくとも約0.9、最も好ましくは少なくとも約0.95の敏感度であり、対応する特異度は、0.2より大きく、好ましくは約0.3より大きく、さらに好ましくは約0.4より大きく、さらに好ましくは少なくとも約0.5、さらに好ましくは約0.6、さらに好ましくは約0.7より大きく、さらに好ましくは約0.8より大きく、さらに好ましくは約0.9より大きく、最も好ましくは約0.95より大きい;
少なくとも約75%の敏感度であり、少なくとも約75%の特異度と組合される;
1より大きい、少なくとも約2、さらに好ましくは少なくとも約3、さらに好ましくは少なくとも約5、最も好ましくは少なくとも約10の陽性尤度比(敏感度/(1−特異度)として算定される);あるいは
1未満、約0.5以下、さらに好ましくは約0.3以下、最も好ましくは約0.1以下の陰性尤度比((1−敏感度)/特異度として算定される)。
上記の測定値のいずれかについての文脈中の「約」という用語は、所定の測定値の+/−5%を指す。
被験体における腎臓状態を査定するためには、多重閾値も用いられ得る。例えば、腎臓状態、損傷の発生、分類などにおける1つ以上の将来的変化を受け易い「第一」亜集団、ならびにそのように受け易くない「第二」亜集団は、単一群に併合され得る。次いで、この群は、3つ以上の等しい部分に細分される(細分の数によって、三分位数、四分位数、五分位数など)。オッズ比は、それらが入る細分画に基づいて被験体に割り当てられる。三分位数を考えると、最低または最高三分位数は、他の細分の比較のための参照として用いられ得る。この参照細分は、オッズ比1を与えられる。第二の三分位数は、その第一の三分位数に比例するオッズ比を割り当てられる。すなわち、第二の三分位数における誰かは、第一の三分位数における誰かと比較した場合に腎臓状態の1つ以上の将来的変化を3倍以上蒙ると思われる。第三の三分位数も、その第一の三分位数に比例するオッズ比を割り当てられる。
ある実施形態では、検定方法は、イムノアッセイである。このような検定に用いるための抗体は、当該全長腎損傷マーカーを特異的に結合し、それと「関連づけ」られる1つ以上のポリペプチドも結合し得る(その用語は本明細書中で後で定義される)。多数のイムノアッセイフォーマットが、当業者に知られている。好ましい体液試料は、尿、血液、血清、唾液、涙液および血漿からなる群から選択される。
前記方法のステップは、本明細書中に記載される方法における単離に腎損傷マーカー検定結果(単数または複数)が用いられるということを意味すると解釈されるべきでない。むしろ、付加的変数または他の臨床的指数が、本明細書中に記載される方法に含まれ得る。例えば、危険度層化法、診断法、分類法およびモニタリング法などは、人口学的情報(例えば、体重、性別、年齢、人種)、病歴(例えば、家族歴、外科手術の種類、先在性疾患、例えば動脈瘤、うっ血性心不全、子癇前症、子癇、真性糖尿病、高血圧症、冠動脈疾患、タンパク尿、腎機能不全または敗血症、NSAID、シクロスポリン、タクロリムス、アミノグリコシド、フォスカルネット、エチレングリコール、ヘモグロビン、ミオグロビン、イフォスファミド、重金属、メトトレキセート、放射線不透過性造影剤またはストレプトゾトシンのような毒素曝露の型)、臨床的変数(例えば、血圧、温度、呼吸数)、危険度スコア(APACHEスコア、PREDICTスコア、UA/NSTEMIに関するTIMI危険度スコア、フラミンガム危険度スコア)、糸球体濾過率、概算糸球体濾過率、尿産生率、血清または血漿クレアチニン濃度、尿クレアチニン濃度、ナトリウム排泄分画、尿ナトリウム濃度、尿クレアチニン対血清または血漿クレアチニン比、尿比重、尿オスモル濃度、尿中尿素窒素対血漿尿素窒素比、血漿BUN対クレアチニン比、尿ナトリウム/(尿クレアチニン/血漿クレアチニン)として算定される腎不全指数、血清または血漿好中球ゼラチナーゼ(NGAL)濃度、尿NGAL濃度、血清または血漿シスタチンC濃度、血清または血漿心臓トロポニン濃度、血清または血漿BNPの濃度、血清または血漿NTプロBNP濃度、ならびに血清または血漿プロBNP濃度からなる群から選択される被験体に関して測定された1つ以上の変数と、検定結果(単数または複数)を組合せ得る。1つ以上の腎損傷マーカー検定結果(単数または複数)と組合せられ得る腎機能の他の測定法は、本明細書中で後に、ならびにHarrison’s Principles of Internal Medicine, 17th Ed., McGraw Hill, New York, pages 1741-1830およびCurrent Medical Diagnosis & Treatment 2008, 47th Ed, McGraw Hill, New York, pages 785-815(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)に記載されている。
1つ以上のマーカーが測定される場合、個々のマーカーは同時に得られる試料中で測定され得るし、あるいは異なる(例えば、より早いまたはより遅い)時点で得られた試料から決定され得る。個々のマーカーは、同一のまたは異なる体液試料に関しても測定され得る。例えば、ある腎損傷マーカーは血清または血漿試料中で測定され得るし、別の腎損傷マーカーは尿試料中で測定され得る。さらに、尤度の割当は、個々の腎損傷マーカー検定結果を、1つ以上の付加的変数における一過性変化と組合せ得る。
種々の関連態様において、本発明は、本明細書中に記載される方法を実施するための装置およびキットにも関する。適切なキットは、記載された腎損傷マーカーのうちの少なくとも1つに関する検定を実施するために十分な試薬を、記載閾値比較を実施するための使用説明書と一緒に包含する。
ある実施形態では、このような検定を実施するための試薬は検定装置で提供され、このような検定装置は、このようなキットに包含され得る。好ましい試薬は、1つ以上の固相抗体を含み、固相抗体は、固体支持体に結合される意図されたバイオマーカー標的(単数または複数)を検出する抗体を含み得る。サンドイッチイムノアッセイの場合、このような試薬は1つ以上の検出可能的に標識された抗体も含み、検出可能的標識抗体は、検出可能な標識と結合される意図されたバイオマーカー標的(単数または複数)を検出する抗体を含み得る。検定装置の一部として提供され得る付加的な任意の素子は、本明細書中で後述される。
検出可能な標識としては、それ自体検出可能である分子(例えば、蛍光部分、電気化学的標識、ecl(電気化学的発光)標識、金属キレート、コロイド金属粒子など)、ならびに検出可能な反応生成物の産生により(例えば、酵素、例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼなど)、あるいはそれ自体検出可能であり得る特異的結合分子の使用により(例えば、二次抗体、ビオチン、ジゴキシゲニン、マルトース、オリゴヒスチジン、2,4−ジニトロベンゼン、フェニルアルセネート、ssDNA、dsDNAなどと結合する標識化抗体)、間接的に検出され得る分子が挙げられ得る。
シグナル発生素子からのシグナルの生成は、当該技術分野で周知の種々の光学的、音響学的および電気化学的方法を用いて実施され得る。検出モードの例としては、蛍光、放射化学的検出、反射率、吸光度、電流測定、電気伝導力、インピーダンス、干渉測定、偏光解析などが挙げられる。これらの方法のうちのあるものでは、固相抗体は、シグナルの生成のために変換器(例えば、回析格子、電気化学センサーなど)に連結されるが、一方、他のものでは、シグナルは、固相抗体から空間的に離れている変換器により生成される(例えば、励起光源および光学検出器を用いる蛍光計)。この一覧は、限定的であるよう意図されない。抗体ベースのバイオセンサーは、標識化分子の必要性を任意に排除する分析物の存在または量を決定するためにも用いられ得る。
本発明は、1つ以上の腎損傷マーカーの測定による、腎機能に対する損傷、腎機能低減、および/または急性腎不全に罹患しているか、または罹患する危険がある被験体における診断、示差的診断、危険度層化、モニタリング、分類、および治療レジメンの決定のための方法および組成物に関する。種々の実施形態では、可溶性CD44抗原、アンギオポエチン−1、可溶性アンギオポエチン−1受容体、C−X−Cケモカインモチーフ5、可溶性エンドグリン、可溶性腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1、エリスロポエチン、可溶性フラクタルカイン、ヘムオキシゲナーゼ1、可溶性インターロイキン−1受容体II型、可溶性インターロイキン−6受容体サブユニット−アルファ、リンホタクチン、リンホトキシン−アルファ、ストロメリシン−1、C−Cモチーフケモカイン22、C−Cモチーフケモカイン5およびトロンボスポンジン−1からなる群から選択される1つ以上のマーカー、あるいはそれに関連した1つ以上のマーカーの測定濃度が、被験体の腎臓状態と相関される。
この文書の目的のために、以下の定義が適用される:
本明細書中で用いる場合、「腎機能に対する損傷」は、腎臓機能の測定値の突然の(14日以内、好ましくは7日以内、さらに好ましくは72時間以内、さらに好ましくは約48時間以内)測定可能な低減である。このような損傷は、例えば糸球体濾過率または概算GFRの低下、尿排出量の低減、血清クレアチニンの増加、血清シスタチンCの増加、腎臓代替療法の要請などにより確認され得る。「腎機能における改善」は、腎機能の測定値の突然の(14日以内、好ましくは7日以内、さらに好ましくは72時間以内、さらに好ましくは約48時間以内)測定可能な増加である。GFRを測定するおよび/または概算するための好ましい方法は、本明細書中に後述される。
本明細書中で用いる場合、「腎機能低減」は、0.1mg/dL以上(≧8.8μmol/L)の血清クレアチニンの絶対的増加、20%以上(基線の1.2倍)の血清クレアチニンの増加%、または尿排出量の低減(0.5ml/kg/時間未満の実証された乏尿)により確認される腎機能の突然の(14日以内、好ましくは7日以内、さらに好ましくは72時間以内、さらに好ましくは約48時間以内)低減である。
本明細書中で用いる場合、「急性腎不全」または「ARF」は、0.3mg/dL以上(≧26.4μmol/l)の血清クレアチニンの絶対的増加、50%以上(基線の1.5倍)の血清クレアチニンの増加%、または尿排出量の低減(少なくとも6時間の間の0.5ml/kg/時間未満の実証された乏尿)により確認される腎機能の突然の(14日以内、好ましくは7日以内、さらに好ましくは72時間以内、さらに好ましくは約48時間以内)低減である。この用語は、「急性腎損傷」または「AKI」と同義である。
本明細書中で用いる場合、「腎機能に対する損傷」は、腎臓機能の測定値の突然の(14日以内、好ましくは7日以内、さらに好ましくは72時間以内、さらに好ましくは約48時間以内)測定可能な低減である。このような損傷は、例えば糸球体濾過率または概算GFRの低下、尿排出量の低減、血清クレアチニンの増加、血清シスタチンCの増加、腎臓代替療法の要請などにより確認され得る。「腎機能における改善」は、腎機能の測定値の突然の(14日以内、好ましくは7日以内、さらに好ましくは72時間以内、さらに好ましくは約48時間以内)測定可能な増加である。GFRを測定するおよび/または概算するための好ましい方法は、本明細書中に後述される。
本明細書中で用いる場合、「腎機能低減」は、0.1mg/dL以上(≧8.8μmol/L)の血清クレアチニンの絶対的増加、20%以上(基線の1.2倍)の血清クレアチニンの増加%、または尿排出量の低減(0.5ml/kg/時間未満の実証された乏尿)により確認される腎機能の突然の(14日以内、好ましくは7日以内、さらに好ましくは72時間以内、さらに好ましくは約48時間以内)低減である。
本明細書中で用いる場合、「急性腎不全」または「ARF」は、0.3mg/dL以上(≧26.4μmol/l)の血清クレアチニンの絶対的増加、50%以上(基線の1.5倍)の血清クレアチニンの増加%、または尿排出量の低減(少なくとも6時間の間の0.5ml/kg/時間未満の実証された乏尿)により確認される腎機能の突然の(14日以内、好ましくは7日以内、さらに好ましくは72時間以内、さらに好ましくは約48時間以内)低減である。この用語は、「急性腎損傷」または「AKI」と同義である。
これに関しては、イムノアッセイから得られるシグナルは、1つ以上の抗体と標的生体分子(すなわち分析物)、ならびに抗体が結合する必要なエピトープ(単数または複数)を含有するポリペプチド間で形成される複合体の直接的結果である、と当業者は理解するであろう。このような検定は全長バイオマーカーを検出し得るし、検定結果は、当該バイオマーカーの濃度として表され、検定からのシグナルは実際に、試料中に存在するこのような「免疫反応性」ポリペプチド全ての結果である。バイオマーカーの発現は、イムノアッセイ以外の手段、例えばタンパク質測定(例えばドットブロット、ウエスタンブロット、クロマトグラフィー法、質量分光分析など)ならびに核酸測定(mRNA定量)によっても確定され得る。このリストは限定的であるよう意図されない。
最も好ましくは、CD44抗原検定は、1つ以上の可溶型のCD44抗原を検出する。CD44抗原は、大型の細胞外ドメインを有する1回膜貫通型タイプI膜タンパク質であって、このほとんどまたは全部が、膜貫通ドメインの全部または一部を欠く代替的スプライシング事象により、あるいは膜結合型のタンパク質分解により生成された可溶型のCD44抗原中に存在する。イムノアッセイの場合、この細胞外ドメイン内のエピトープと結合する1つ以上の抗体を用いて、これらの可溶型(単数または複数)を検出し得る。以下のドメインが、CD44抗原において同定されている:
残基 長さ ドメインID
1-20 20 シグナル配列
21-742 722 CD44抗原
21-646 629 細胞外
650-670 21 膜貫通
671-742 72 細胞質
さらに、16の代替的スプライス形態のCD44抗原が知られている。各々は、本発明の目的のためのCD44抗原とみなされ、これらの代替的スプライス形態の各々の可溶型は、本発明の目的のための可溶性CD44抗原とみなされる。
残基 長さ ドメインID
1-20 20 シグナル配列
21-742 722 CD44抗原
21-646 629 細胞外
650-670 21 膜貫通
671-742 72 細胞質
さらに、16の代替的スプライス形態のCD44抗原が知られている。各々は、本発明の目的のためのCD44抗原とみなされ、これらの代替的スプライス形態の各々の可溶型は、本発明の目的のための可溶性CD44抗原とみなされる。
本明細書中で用いる場合、「アンギオポエチン−1」という用語は、アンギオポエチン−1前駆体由来の生物学的試料中に存在する1つ以上のポリペプチドを指す(Swiss−Prot Q15389(配列番号2))。
以下のドメインが、アンギオポエチン−1において同定されている:
残基 長さ ドメインID
1-15 15 シグナルペプチド
16-498 483 アンギオポエチン−1
残基 長さ ドメインID
1-15 15 シグナルペプチド
16-498 483 アンギオポエチン−1
本明細書中で用いる場合、「アンギオポエチン−1受容体」という用語は、アンギオポエチン−1受容体前駆体由来の生物学的試料中に存在する1つ以上のポリペプチドを指す(Swiss−Prot Q02763(配列番号3))。
最も好ましくは、アンギオポエチン−1受容体検定は、1つ以上の可溶型のアンギオポエチン−1受容体を検出する。アンギオポエチン−1受容体は、大型の細胞外ドメインを有する1回膜貫通型タイプI膜タンパク質であって、このほとんどまたは全部が、膜貫通ドメインの全部または一部を欠く代替的スプライシング事象により、あるいは膜結合型のタンパク質分解により生成された可溶型のアンギオポエチン−1受容体中に存在する。イムノアッセイの場合、この細胞外ドメイン内のエピトープと結合する1つ以上の抗体を用いて、これらの可溶型(単数または複数)を検出し得る。以下のドメインが、アンギオポエチン−1受容体において同定されている:
残基 長さ ドメインID
1-22 22 シグナルペプチド
23-1124 1102 アンギオポエチン−1受容体
23-745 723 細胞外
746-770 25 膜貫通
771-1124 354 細胞質
残基 長さ ドメインID
1-22 22 シグナルペプチド
23-1124 1102 アンギオポエチン−1受容体
23-745 723 細胞外
746-770 25 膜貫通
771-1124 354 細胞質
本明細書中で用いる場合、「C−X−Cモチーフケモカイン5」という用語は、C−X−Cモチーフケモカイン5前駆体由来の生物学的試料中に存在する1つ以上のポリペプチドを指す(Swiss−Prot P42830(配列番号4))。
以下のドメインが、C−X−Cモチーフケモカイン5において同定されている:
残基 長さ ドメインID
1-36 36 シグナルペプチド
37-114 78 C−X−Cモチーフケモカイン5
さらに、末梢血単球からの分泌後、タンパク質分解的切断により、残基44〜114および45〜114を表す切断形態が産生される。
残基 長さ ドメインID
1-36 36 シグナルペプチド
37-114 78 C−X−Cモチーフケモカイン5
さらに、末梢血単球からの分泌後、タンパク質分解的切断により、残基44〜114および45〜114を表す切断形態が産生される。
最も好ましくは、エンドグリン検定は、1つ以上の可溶型のエンドグリンを検出する。エンドグリンは、大型の細胞外ドメインを有する1回膜貫通型タイプI膜タンパク質であって、このほとんどまたは全部が、膜貫通ドメインの全部または一部を欠く代替的スプライシング事象により、あるいは膜結合型のタンパク質分解により生成された可溶型のエンドグリン中に存在する。イムノアッセイの場合、この細胞外ドメイン内のエピトープと結合する1つ以上の抗体を用いて、これらの可溶型(単数または複数)を検出し得る。以下のドメインが、エンドグリンにおいて同定されている:
残基 長さ ドメインID
1-25 25 シグナルペプチド
26-658 633 エンドグリン
26-586 561 細胞外
587-611 25 膜貫通
612-658 47 細胞質
残基 長さ ドメインID
1-25 25 シグナルペプチド
26-658 633 エンドグリン
26-586 561 細胞外
587-611 25 膜貫通
612-658 47 細胞質
本明細書中で用いる場合、「腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質−1」という用語は、腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1前駆体由来の生物学的試料中に存在する1つ以上のポリペプチドを指す(Swiss−Prot P16422(配列番号6))。
最も好ましくは、腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1検定は、1つ以上の可溶型の腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1を検出する。腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1は、大型の細胞外ドメインを有する1回膜貫通型タイプI膜タンパク質であって、このほとんどまたは全部が、膜貫通ドメインの全部または一部を欠く代替的スプライシング事象により、あるいは膜結合型のタンパク質分解により生成された可溶型の腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1中に存在する。イムノアッセイの場合、この細胞外ドメイン内のエピトープと結合する1つ以上の抗体を用いて、これらの可溶型(単数または複数)を検出し得る。以下のドメインが、腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1において同定されている:
残基 長さ ドメインID
1-23 23 シグナルペプチド
24-314 291 腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1
24-265 242 細胞外
266-288 23 膜貫通
289-314 26 細胞質
残基 長さ ドメインID
1-23 23 シグナルペプチド
24-314 291 腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1
24-265 242 細胞外
266-288 23 膜貫通
289-314 26 細胞質
以下のドメインが、エリスロポエチンにおいて同定されている:
残基 長さ ドメインID
1-27 27 シグナルペプチド
28-193 166 エリスロポエチン
190-193 4 プロペプチド
193-193 1 プロペプチド
残基 長さ ドメインID
1-27 27 シグナルペプチド
28-193 166 エリスロポエチン
190-193 4 プロペプチド
193-193 1 プロペプチド
最も好ましくは、フラクタルカイン検定は、1つ以上の可溶型のフラクタルカインを検出する。フラクタルカインは、大型の細胞外ドメインを有する1回膜貫通型タイプI膜タンパク質であって、このほとんどまたは全部が、膜貫通ドメインの全部または一部を欠く代替的スプライシング事象により、あるいは膜結合型のタンパク質分解により生成された可溶型のフラクタルカイン中に存在する。イムノアッセイの場合、この細胞外ドメイン内のエピトープと結合する1つ以上の抗体を用いて、これらの可溶型(単数または複数)を検出し得る。以下のドメインが、フラクタルカインにおいて同定されている:
残基 長さ ドメインID
1-24 24 シグナルペプチド
25-397 373 フラクタルカイン
25-341 317 細胞外
342-362 21 膜貫通
363-397 35 細胞質
残基 長さ ドメインID
1-24 24 シグナルペプチド
25-397 373 フラクタルカイン
25-341 317 細胞外
342-362 21 膜貫通
363-397 35 細胞質
本明細書中で用いる場合、「ヘムオキシゲナーゼ1」という用語は、ヘムオキシゲナーゼ1前駆体由来の生物学的試料中に存在する1つ以上のポリペプチドを指す(Swiss−Prot P09601(配列番号9))。
以下のドメインが、ヘムオキシゲナーゼ1において同定されている:
残基 長さ ドメインID
1-288 288 ヘムオキシゲナーゼ1
25 1 ヘム軸方向リガンド
残基 長さ ドメインID
1-288 288 ヘムオキシゲナーゼ1
25 1 ヘム軸方向リガンド
本明細書中で用いる場合、「インターロイキン−1受容体II型」という用語は、インターロイキン−1受容体II型前駆体由来の生物学的試料中に存在する1つ以上のポリペプチドを指す(Swiss−Prot P27930(配列番号10))。
最も好ましくは、インターロイキン−1受容体II型検定は、1つ以上の可溶型のインターロイキン−1受容体II型を検出する。インターロイキン−1受容体II型は、大型の細胞外ドメインを有する1回膜貫通型タイプI膜タンパク質であって、このほとんどまたは全部が、膜貫通ドメインの全部または一部を欠く代替的スプライシング事象により、あるいは膜結合型のタンパク質分解により生成された可溶型のインターロイキン−1受容体II型中に存在する。イムノアッセイの場合、この細胞外ドメイン内のエピトープと結合する1つ以上の抗体を用いて、これらの可溶型(単数または複数)を検出し得る。以下のドメインが、インターロイキン−1受容体II型において同定されている:
残基 長さ ドメインID
1-13 13 シグナルペプチド
14-398 385 インターロイキン−1受容体II型
14-343 330 細胞外
344-369 26 膜貫通
370-398 29 細胞質
残基 長さ ドメインID
1-13 13 シグナルペプチド
14-398 385 インターロイキン−1受容体II型
14-343 330 細胞外
344-369 26 膜貫通
370-398 29 細胞質
本明細書中で用いる場合、「インターロイキン−6受容体サブユニットアルファ」という用語は、インターロイキン−6受容体サブユニットアルファ前駆体由来の生物学的試料中に存在する1つ以上のポリペプチドを指す(Swiss−Prot P08887(配列番号11))。
最も好ましくは、インターロイキン−6受容体サブユニットアルファ検定は、1つ以上の可溶型のインターロイキン−6受容体サブユニットアルファを検出する。インターロイキン−6受容体サブユニットアルファは、大型の細胞外ドメインを有する1回膜貫通型タイプI膜タンパク質であって、このほとんどまたは全部が、膜貫通ドメインの全部または一部を欠く代替的スプライシング事象により、あるいは膜結合型のタンパク質分解により生成された可溶型のインターロイキン−6受容体サブユニットアルファ中に存在する。イムノアッセイの場合、この細胞外ドメイン内のエピトープと結合する1つ以上の抗体を用いて、これらの可溶型(単数または複数)を検出し得る。以下のドメインが、インターロイキン−6受容体サブユニットアルファにおいて同定されている:
残基 長さ ドメインID
1-19 19 シグナルペプチド
20-468 449 インターロイキン−6受容体サブユニットアルファ
20-365 346 細胞外
366-386 21 膜貫通
387-468 82 細胞質
残基 長さ ドメインID
1-19 19 シグナルペプチド
20-468 449 インターロイキン−6受容体サブユニットアルファ
20-365 346 細胞外
366-386 21 膜貫通
387-468 82 細胞質
以下のドメインが、リンホタクチンにおいて同定されている:
残基 長さ ドメインID
1-21 21 シグナルペプチド
22-114 93 リンホタクチン
残基 長さ ドメインID
1-21 21 シグナルペプチド
22-114 93 リンホタクチン
本明細書中で用いる場合、「リンホトキシン−アルファ」という用語は、リンホトキシン前駆体由来の生物学的試料中に存在する1つ以上のポリペプチドを指す(Swiss−Prot P01374(配列番号13))。
以下のドメインが、リンホトキシン−アルファにおいて同定されている:
残基 長さ ドメインID
1-34 34 シグナルペプチド
35-205 171 リンホトキシン−アルファ
残基 長さ ドメインID
1-34 34 シグナルペプチド
35-205 171 リンホトキシン−アルファ
以下のドメインが、ストロメリシン−1において同定されている:
残基 長さ ドメインID
1-17 17 シグナルペプチド
18-99 82 プロペプチド
100-477 378 ストロメリシン−1
残基 長さ ドメインID
1-17 17 シグナルペプチド
18-99 82 プロペプチド
100-477 378 ストロメリシン−1
本明細書中で用いる場合、「C−Cモチーフケモカイン22」という用語は、C−Cモチーフケモカイン22前駆体由来の生物学的試料中に存在する1つ以上のポリペプチドを指す(Swiss−Prot O00626(配列番号15))。
以下のドメインが、C−Cモチーフケモカイン22において同定されている:
残基 長さ ドメインID
1-24 24 シグナルペプチド
25-93 69 C−Cモチーフケモカイン22
残基 長さ ドメインID
1-24 24 シグナルペプチド
25-93 69 C−Cモチーフケモカイン22
本明細書中で用いる場合、「C−Cモチーフケモカイン5」という用語は、C−Cモチーフケモカイン5前駆体由来の生物学的試料中に存在する1つ以上のポリペプチドを指す(Swiss−Prot P13501(配列番号16))。
以下のドメインが、C−Cモチーフケモカイン5において同定されている:
残基 長さ ドメインID
1-23 23 シグナルペプチド
24-91 68 C−Cモチーフケモカイン5
残基 長さ ドメインID
1-23 23 シグナルペプチド
24-91 68 C−Cモチーフケモカイン5
さらに、残基26〜91および27〜91を表す形態は、報告によれば、C−Cモチーフケモカイン5の翻訳後切断により形成される。
本明細書中で用いる場合、「トロンボスポンジン−1」という用語は、トロンボスポンジン−1前駆体由来の生物学的試料中に存在する1つ以上のポリペプチドを指す(Swiss−Prot P07996(配列番号17))。
以下のドメインが、トロンボスポンジン−1において同定されている:
残基 長さ ドメインID
1-18 18 シグナルペプチド
19-1170 1152 トロンボスポンジン−1
24-221 198 TSP N末端
316-373 58 VWFC
残基 長さ ドメインID
1-18 18 シグナルペプチド
19-1170 1152 トロンボスポンジン−1
24-221 198 TSP N末端
316-373 58 VWFC
本明細書中で用いる場合、分析物の「量または存在にシグナルを関連づける」という用語は、この解釈を表す。検定シグナルは、典型的には、既知濃度の当該分析物を用いて算定される標準曲線の使用により、分析物の存在または量に関連づけられる。この用語を本明細書中で用いる場合、生理学的に関連する濃度の分析物の存在または量を示す検出可能なシグナルを検定が生じ得るならば、検定は、分析物を「検出するよう設計」される。抗体エピトープは8アミノ酸のオーダーで存在するため、当該マーカーを検出するよう設計されたイムノアッセイは、検定に用いられる単数または複数の抗体と結合するために必要なエピトープ(単数または複数)をポリペプチドが含有する限り、マーカー配列に関連するポリペプチドも検出する。「関連マーカー」という用語は、バイオマーカー、例えば本明細書中に記載される腎損傷マーカーのうちの1つに関して本明細書中で用いる場合、特定のマーカーの1つ以上の断片、変異体などを、あるいはそれ自体マーカーの代用物として、または無関係なバイオマーカーとして検出され得るその生合成親物質を指す。この用語は、結合タンパク質、受容体、ヘパリン、脂質、糖などのような付加的種と複合体形成されるバイオマーカー前駆体から得られる生物学的試料中に存在する1つ以上のポリペプチドを指す。
「正方向」マーカーという用語は、本明細書中で用いる場合、その疾患または症状に罹患していない被験体に比して、疾患または症状に罹患している被験体において増大されたと測定されるマーカーを指す。「負方向」マーカーという用語は、本明細書中で用いる場合、その疾患または症状に罹患していない被験体に比して、疾患または症状に罹患している被験体において低減されたと測定されるマーカーを指す。
「被験体」という用語は、本明細書中で用いる場合、ヒトまたは非ヒト生物体を指す。したがって、本明細書中に記載される方法および組成物は、ヒトおよび獣医学的疾患の両方に適用可能である。さらに、被験体は好ましくは生きている生物体であるが、しかし本明細書中に記載される本発明は、同様に死後分析に用いられ得る。好ましい被験体はヒトであり、最も好ましくは「患者」であって、これは、本明細書中で用いる場合、疾患または症状のために医療を受けている生きたヒトを指す。これは、病変の徴候に関して検査されている限定疾病を有さないヒトを包含する。
好ましくは、分析物は、試料中で測定される。このような試料は、被験体から得られるし、あるいは被験体に提供されるよう意図された生物学的物質から得られる。例えば、試料は、被験体中への考え得る移植に関して評価されている腎臓から得られ、分析物測定値は先在する損害に関して腎臓を評価するために用いられ得る。好ましい試料は、体液試料である。
「体液試料」という用語は、本明細書中で用いる場合、当該被験体、例えば患者または移植ドナーの診断、予後、分類または評価の目的のために得られる体液の試料を指す。ある実施形態では、このような試料は、進行中の症状の結果、または症状に及ぼす治療レジメンの作用を確定する目的のために得られる。好ましい体液試料としては、血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、唾液、痰および胸水が挙げられる。さらに、ある体液試料は、分別または精製手順後、例えば血清または血漿構成成分への全血の分離後、より容易に分析される、と当業者は理解する。
「診断」という用語は、本明細書中で用いる場合、患者が所定の疾患または症状に罹患しているか否かについての確率(「尤度」)を、当業者が概算し、および/または決定し得る方法を指す。本発明の場合、「診断」は、本発明の腎損傷マーカーに関する検定、もっとも好ましくはイムノアッセイの結果を、任意に他の臨床的特性と一緒に用いて、試料が得られ、検定された被験体に関する急性腎損傷またはARFの診断(すなわち、発生または非発生)に至ることを包含する。このような診断が「確定される」ということは、診断が100%正確であることを意味するよう意図されない。多数のバイオマーカーが、多数の症状を示す。熟練臨床医は、情報の真空状態にバイオマーカー結果を用いず、むしろ、試験結果が他の臨床指標と一緒に用いられて、診断に至る。したがって、予定診断閾値の一方の側における測定バイオマーカーレベルは、予定診断閾値の他方の側における測定レベルに比して、被験体における疾患の発生のより大きい尤度を示す。
同様に、予後危険度は、所定の経過または結果が起きるであろう確率(「尤度」)を合図する。罹患率の確率増大(例えば、悪化しつつある腎機能、将来的ARFまたは死亡)と順次関連づけられる予後指標のレベルまたはレベルの変化は、患者における悪い結果の「尤度増大を示す」こととして言及される。
マーカー検定
概して、イムノアッセイは、当該バイオマーカーを含有するか、含有すると思われる試料を、バイオマーカーと特異的に結合する少なくとも1つの抗体と接触させることを包含する。次いで、試料中のポリペプチドと抗体との結合により形成される複合体の存在または量を示すシグナルが生成される。シグナルは、次に、試料中の存在または量と関連づけられる。バイオマーカーの検出および分析のための多数の方法および装置が当業者に周知である。例えば、米国特許第6,143,576号;第6,113,855号;第6,019,944号;第5,985、579号;第5,947,124号;第5,939,272号;第5,922,615号;第5,885,527号;第5,851、776号;第5,824,799号;第5,679,526号;第5,525,524号および第5,480,792号、ならびにThe Immunoassay Handbook, David Wild, ed. Stockton Press, New York, 1994(これらの記載内容は、全ての表、図面および特許請求の範囲を含めて、各々、参照により本明細書中で援用される)を参照されたい。
当該技術分野で既知の検定装置および方法は、種々のサンドイッチ、競合または非競合検定フォーマットで標識化分子を利用して、当該バイオマーカーの存在または量と関連づけられるシグナルを生成し得る。適切な検定フォーマットとしては、クロマトグラフィー法、質量分光分析法およびタンパク質「ブロッティング」法も挙げられる。さらに、ある方法および装置、例えばバイオセンサーおよび光学的イムノアッセイを用いて、標識化分子を必要とせずに、分析物の存在または量を決定し得る。例えば、米国特許第5,631,171号および第5,955,377号(これらの記載内容は、全ての表、図面および特許請求の範囲を含めて、各々、参照により本明細書中で援用される)を参照されたい。ロボット機器、例えばベックマンACCESS(登録商標)、アボットAXSYM(登録商標)、ロッシュELECSYS(登録商標)、デイド・ベーリングSTRATUS(登録商標)システム(これらに限定されない)は、イムノアッセイを実施し得るイムノアッセイ分析器の1つである、ということも当業者は理解する。しかし、任意の適切なイムノアッセイ、例えば酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、競合的結合検定などが利用され得る。
抗体または他のポリペプチドは、検定に用いるために種々の固体支持体上で固定され得る。特異的結合成員を固定するために用いられ得る固相は、固相結合検定における固相として開発され、および/または用いられるものを包含する。適切な固相の例としては、膜フィルター、セルロースベースの紙、ビーズ(例えば、高分子、ラテックスおよび常磁性粒子)、ガラス、ケイ素ウエハー、マイクロ粒子、ナノ粒子、TentaGels、AgroGels、PEGAゲル、SPOCCゲルおよびマルチウェルプレートが挙げられる。検定ストリップは、固体支持体上のアレイ中の抗体または複数の抗体を被覆することにより調製され得る。次いで、このストリップは試験試料中に浸漬され、次に、洗浄および検出ステップを通して迅速に処理されて、測定可能なシグナル、例えば着色スポットを生成する。抗体または他のポリペプチドは、検定装置表面に直接接合することにより、または間接的に結合することにより、検定装置の特定帯域に結合され得る。後者の場合の一例では、抗体または他のポリペプチドは、粒子または他の固体支持体上に固定され、その固体支持体は装置表面に固定され得る。
生物学的検定は検定のための方法を要し、結果の定量のための最も一般的な方法の1つは、試験されている生物学的系における構成成分の1つに対する親和性を有するタンパク質または核酸と検出可能な標識を接合することである。検出可能な標識としては、それ自体検出可能である分子(例えば、蛍光部分、電気化学的標識、金属キレートなど)、ならびに検出可能な反応生成物の産生により(例えば酵素、例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼなど)、またはそれ自体検出可能であり得る特異的結合分子により(例えば、ビオチン、ジゴキシゲニン、マルトース、オリゴヒスチジン、2,4−ジニトロベンゼン、フェニルアルセネート、ssDNA、dsDNAなど)間接的に検出され得る分子が挙げられる。
固相および検出可能な標識接合体の調製は、しばしば、化学的架橋剤の使用を包含する。架橋試薬は、少なくとも2つの反応基を含有し、一般的にホモ官能性架橋剤(同一反応基を含有する)およびヘテロ官能性架橋剤(非同一反応基を含有する)に分けられる。アミン、スルフヒドリルを介して結合するかまたは非特異的に反応するホモ二官能性架橋剤は、多数の商業的供給元から入手可能である。マレイミド、アルキルおよびアリールハロゲン化物、アルファ−ハロアシルおよびピリジルジスルフィドは、チオール反応基である。マレイミド、アルキルおよびアリールハロゲン化物、ならびにアルファ−ハロアシルは、スルフヒドリルと反応してチオールエーテル結合を形成するが、一方、ピリジルジスルフィドはスルフヒドリルと反応して混合ジスルフィドを生成する。ピリジルジスルフィド生成物は、切断可能である。イミドエステルは、タンパク質−タンパク質架橋のためにも非常に有用である。各々が首尾よく接合するために異なる属性を併有する種々のヘテロ二官能性架橋剤は、市販されている。
ある態様において、本発明は、記載された腎損傷マーカーの分析のためのキットを提供する。キットは、腎損傷マーカーを結合する少なくとも1つの抗体を含む少なくとも1つの試験試料の分析のための試薬を含む。キットは、本明細書中に記載される1つ以上の診断および/または予後相関を実施するための装置および使用説明書も包含し得る。好ましいキットは、サンドイッチ検定を実施するための抗体対、または分析物に関する競合検定を実施するための標識種を含む。好ましくは、抗体対は、固相と接合される第一抗体、ならびに検出可能な標識と接合される第二抗体を含み、この場合、第一および第二抗体の各々は腎損傷マーカーを結合する。最も好ましくは、抗体の各々は、モノクローナル抗体である。キットの使用のための、ならびに相関を実施するための使用説明書はラベリングの形態であって、これは、その製造、輸送、販売または使用の間の任意の時点でキットに貼り付けられるか、そうでなければ添えられる任意の書かれたまたは記録されたものを指す。例えば、ラベリングという用語は、宣伝広告用リーフレットおよびパンフレット、包装材、使用説明書、オーディオまたはビデオカセット、コンピューターディスク、ならびにキット上に直接印刷された書き込みを包含する。
抗体
「抗体」という用語は、本明細書中で用いる場合、抗原またはエピトープを特異的に結合し得る単数または複数の免疫グロブリン遺伝子、あるいはその断片に由来するか、その後にモデル化されるか、または実質的にコードされるペプチドまたはポリペプチドを指す。例えば、Fundamental Immunology, 3rd Edition, W.E. Paul, ed., Raven Press, N.Y. (1993);Wilson (1994; J. Immunol. Methods 175: 267-273);Yarmush (1992) J. Biochem. Biophys. Methods 25: 85-97を参照されたい。抗体という用語は、抗原結合部分、すなわち、抗原を結合する能力を保持する「抗原結合部位」(例えば、断片、亜配列、相補性決定領域(CDR))、例えば(i)Fab断片、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片;(ii)F(ab’)2断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFab断片を含む二価断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片;(v)VHドメインからなるdAb断片(Ward et al., (1989) Nature 341: 544-546);ならびに(vi)単離相補性決定領域(CDR)を含む。一本鎖抗体も、参照により「抗体」という用語に含まれる。
本明細書中に記載されるイムノアッセイに用いられる抗体は、好ましくは、本発明の腎損傷マーカーと特異的に結合する。「特異的に結合する」という用語は、上記のように、抗体が結合するエピトープ(単数または複数)を表示する任意のポリペプチドと抗体が結合するため、抗体は専らその意図された標的と結合する、ということを示すよう意図されない。むしろ、抗体は、その意図される標的が、適切なエピトープ(単数または複数)を表示しない非標的分子に対するその親和力と比較した場合に、その意図される標的に対するその親和力が約5倍であるならば、「特異的に結合する」。好ましくは、抗体の親和力は、非標的分子に対するその親和力より、標的分子に対して少なくとも約5倍、好ましくは10倍、さらに好ましくは25倍、さらに好ましくは50倍、最も好ましくは100倍またはそれ以上である。好ましい実施形態では、好ましい抗体は、少なくとも約107M−1、好ましくは約108M−1〜約109M−1、約109M−1〜約1010M−1、または約1010M−1〜約1012M−1の親和力で結合する。
親和力は、Kd=koff/kon(koffは解離速度定数であり、Konは会合速度定数であり、そしてKdは平衡定数である)として算定される。親和力は、種々の濃度(c)での標識化リガンドの結合された分画(r)を測定することにより、平衡で決定され得る。データは、スキャッチャードの式を用いてグラフに示される:r/c=K(n−r):式中、r=平衡での結合リガンドのモル数/受容体のモル数;c=平衡での遊離リガンド濃度;K=平衡会合定数;およびn=受容体分子当たりのリガンド結合部位の数。グラフ解析により、r/cはY軸上にプロットされ、これに対してrはX軸上にプロットされて、スキャッチャード・プロットを生じる。スキャッチャード解析による抗体親和力測定値は、当該技術分野でよく知られている。例えば、van Erp et al., J. Immunoassay 12: 425-43, 1991;Nelson and Griswold, Comput. Methods Programs Biomed. 27: 65-8, 1988を参照されたい。
「エピトープ」という用語は、抗体との特異的結合を可能にする抗原決定基を指す。エピトープは、通常は、アミノ酸または糖側鎖のような分子の化学的に活性な表面基からなり、通常は、特定の三次元構造特性、ならびに比電荷特性を有する。立体配座および非立体配座エピトープは、前者との結合は変性溶媒の存在下で失われるが、後者の場合は失われない、という点で区別される。
多数の出版物が、選択分析物との結合に関してポリペプチドのライブラリーを生成し、スクリーニングするためのファージ表示技法の使用を考察している。例えば、Cwirla et al., P. Natl. Acad. Sci. USA 87, 6378-82, 1990;Devlin et al., Science 249, 404-6, 1990, Scott and Smith, Science 249, 386-88, 1990;および米国特許第5,571,698号(Ladnerら)を参照されたい。ファージ表示法の基本概念は、スクリーニングされるべきポリペプチドをコードするDNAとポリペプチドとの間の物理的会合の確立である。この物理的会合は、ポリペプチドをコードするファージゲノムを取り囲むキャプシドの一部としてポリペプチドを表示するファージ粒子により提供される。ポリペプチドとそれらの遺伝物質との間の物理的会合の確立は、異なるポリペプチドを保有する非常に多くのファージの同時質量スクリーニングを可能にする。標的に対する親和力を有するポリペプチドを表示するファージはその標的と結合し、これらのファージは、標的に対する親和力スクリーニングにより濃化される。これらのファージから表示されるポリペプチドの同一性は、それらのそれぞれのゲノムから決定され得る。これらの方法を用いて、所望の標的に対する結合親和力を有すると同定されたポリペプチドは、次に、慣用的手段により大量に合成され得る。例えば、米国特許第6,057,098号(この記載内容は各々、全ての表、図および特許請求の範囲を含めて、参照により本明細書中で援用される)を参照されたい。
これらの方法により生成される抗体は、次に、当該精製ポリペプチドとの親和性および特異性に関して先ずスクリーニングし、所望により、その結果を、結合から除外されることが望ましいポリペプチドとの抗体の親和性および特異性と比較することにより選択され得る。スクリーニング手順は、微量滴定プレートの別個のウェル中の精製ポリペプチドの固定化を包含し得る。次に、潜在的抗体または抗体の群を含有する溶液は、それぞれの微量滴定ウェル中に入れられて、約30分〜2時間、インキュベートされる。次いで、微量滴定ウェルは洗浄され、標識化第二抗体(例えば、産生される抗体がマウス抗体である場合、アルカリ性ホスファターゼと接合された抗マウス抗体)がウェルに付加されて、約30分間インキュベートされ、次に洗浄される。基質がウェルに付加され、発色反応が出現すると、この場合は、固定化ポリペプチド(単数または複数)に対する抗体が存在する。
そのように同定された抗体は、次いで、選択される検定計画において親和性および特異性に関してさらに分析され得る。標的タンパク質に関するイムノアッセイの開発に際して、精製標的タンパク質は、選択された抗体を用いてイムノアッセイの敏感度および特異度を判断する標準として作用する。種々の抗体の結合親和度は異なり得る;ある抗体対(例えば、サンドイッチ検定において)は互いに立体的に干渉し得るなどが生じるので、抗体の検定性能は、抗体の絶対親和度および特異度より重要な尺度であり得る。
検定相関
検定相関
「相関する」という用語は、バイオマーカーの使用に関して本明細書中で用いられる場合、患者におけるバイオマーカー(単数または複数)の存在または量を、所定の症状に罹患していることが知られているか、またはその危険があることが知られている人における;あるいは所定の症状を有さないことが知られている人における、その存在または量と比較することを指す。しばしば、これは、バイオマーカー濃度の形での検定結果を、疾患の発生または非発生あるいは何らかの将来的結果の尤度を示すために選択される予定閾値と比較するという形を取る。
診断閾値を選択することは、とりわけ、疾患の確率についての考察、異なる試験閾値での真のおよび正しくない診断の分布、ならびに診断に基づいた治療の結果(または治療の失敗)を包含する。例えば、非常に有効であり、低レベルの危険度を有する特定の療法を施すことを考える場合、臨床医は実質的な診断の不確実性を許容し得るため、試験はほとんど必要でない。他方で、治療選択肢が余り有効でなく、危険度がより高い場合、臨床医はしばしば、高度の診断的確実性を必要とする。したがって、費用/便益分析は、診断閾値の選択に関与する。
適切な閾値は、種々の方法で決定され得る。例えば、心臓トロポニンを用いる急性心筋梗塞の診断に関する推奨される一診断閾値は、正常集団に認められる濃度の第97.5百分位数である。別の方法は、同一患者からの連続試料を調べることであり、この場合、前の「基線」結果を用いて、バイオマーカーレベルの一時的変化に関してモニタリングする。
決定閾値を選択するために、集団研究も用いられ得る。受信者動作特性(「ROC」)は、レーダー画像の解析のために第二次大戦中に開発されたシグナル検出理論の分野から生じた。ROC解析は、しばしば、「罹患」亜集団を「非罹患」亜集団と最良に区別し得る閾値を選択するために用いられる。この場合の擬陽性は、ヒトが陽性の評価を得たが、しかし実際には疾患を有さない場合に起こる。一方、擬陰性は、健常であることを示唆する陰性の評価を得たが、実際には疾患を有する場合に生じる。ROC曲線を描くためには、決定閾値は絶えず変更されるので、真の陽性率(TPR)および擬陽性率(FPR)が決定される。TPRは敏感度と等価であり、FPRは1−特異度と等しいため、ROCグラフは、時として、敏感度対(1−特異度)プロットと呼ばれる。完全試験は1.0のROC曲線下面積を有する;無作為試験は、0.5の面積を有する。閾値は、特異度および敏感度の許容可能なレベルを提供するよう選択される。
この文脈では、「罹患」は、ある特性(疾患または症状の存在、あるいは何らかの結果の発生)を有する集団を指すよう意図され、「非罹患」は、その特性を欠く集団を指すよう意図される。単一決定閾値がこのような方法の最も簡単な適用である一方、多重決定閾値が用いられ得る。例えば、第一閾値より下では、疾患の非存在が相対的に高い信頼度で割り当てられ、第二閾値より上では、疾患の存在が相対的に高い信頼度で割り当てられ得る。2つの閾値間は、不確定であるとみなされ得る。これは、本質的にのみ、例として役立つよう意図される。
閾値比較のほかに、検定結果を患者分類(疾患の発生または非発生、結果の尤度など)と相関させるための他の方法としては、決定木、ルールセット、ベイズ法およびニューラルネットワーク法が挙げられる。これらの方法は、被験体が複数の分類のうちの一分類に属する程度を表す確率値を生じ得る。
試験精度の測定値は、Fischer et al., Intensive Care Med. 29: 1043-51, 2003に記載されたように得られ、所定のバイオマーカーの有効性を確定するために用いられ得る。これらの測定値としては、敏感度および特異度、予測値、尤度比、診断オッズ比、およびROC曲線面積が挙げられる。ROCプロットの曲線下面積(「AUC」)は、分類者が、無作為選択陽性例を無作為選択陰性例より高く位置づける確率と等しい。ROC曲線下面積は、その群が連続データを有する場合に考えられる2つの群で得られるスコア間の中央値差に関して試験するマン・ホイットニーU検定と、あるいは順位についてのウィルコクソン検定と等価であると考えられ得る。
上記のように、適切な試験は、これらの種々の測定値に関する以下の結果のうちの1つ以上を示し得る:特異度:0.5より大きい、好ましくは少なくとも0.6、さらに好ましくは少なくとも0.7、さらに好ましくは少なくとも0.8、さらに好ましくは少なくとも0.9、最も好ましくは少なくとも0.95;対応する敏感度:0.2より大きく、好ましくは約0.3より大きく、さらに好ましくは0.4より大きく、さらに好ましくは少なくとも0.5、さらに好ましくは0.6、さらに好ましくは0.7より大きく、さらに好ましくは0.8より大きく、さらに好ましくは0.9より大きく、最も好ましくは0.95より大きい;敏感度:0.5より大きい、好ましくは少なくとも0.6、さらに好ましくは少なくとも0.7、さらに好ましくは少なくとも0.8、さらに好ましくは少なくとも0.9、最も好ましくは少なくとも0.95;対応する特異度:0.2より大きく、好ましくは0.3より大きく、さらに好ましくは0.4より大きく、さらに好ましくは少なくとも0.5、さらに好ましくは0.6、さらに好ましくは0.7より大きく、さらに好ましくは0.8より大きく、さらに好ましくは0.9より大きく、最も好ましくは0.95より大きい;75%敏感度を、少なくとも75%の特異度と組合せる;ROC曲線面積:0.5より大きい、好ましくは少なくとも0.6、さらに好ましくは0.7、さらに好ましくは少なくとも0.8、さらに好ましくは少なくとも0.9、最も好ましくは少なくとも0.95;オッズ比:1でない、好ましくは少なくとも約2以上、または約0.5以下、さらに好ましくは少なくとも約3以上または約0.33以下、さらに好ましくは少なくとも約4以上または約0.25以下、さらに好ましくは少なくとも約5以上または約0.2以下、最も好ましくは少なくとも約10以上または約0.1以下;陽性尤度比(敏感度/(1−特異度)として算定):1より大きい、少なくとも2、さらに好ましくは少なくとも3、さらに好ましくは少なくとも5、最も好ましくは少なくとも10;および/または陰性尤度比((1−敏感度)/特異度として算定)1未満、0.5以下、さらに好ましくは0.3以下、最も好ましくは0.1以下。
付加的臨床指標は、本発明の腎損傷マーカー検定結果(単数または複数)と組合され得る。これらは、腎臓状態と関連する他のバイオマーカーを含む。例としては以下のものが挙げられる(一般バイオマーカー名、その後にそのバイオマーカーまたはその親化合物に関するSwiss−Prot登録番号を記す):アクチン(P68133);アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(DPP4、P27487);アルファ−1−酸糖タンパク質1(P02763);アルファ−1−マイクログロブリン(P02760);アルブミン(P02768);アンギオテンシノゲナーゼ(レニン、P00797);アネキシンA2(P07355);ベータ−グルクロニダーゼ(P08236);B−2−マイクログロブリン(P61679);ベータ−ガラクトシダーゼ(P16278);BMP−7(P18075);脳性ナトリウム利尿ペプチド(プロBNP、BNP−32、NTプロBNP;P16860);カルシウム結合タンパク質ベータ(S100−ベータ、P04271);炭酸脱水酵素(Q16790);カゼインキナーゼ2(P68400);カテプシンB(P07858);セルロプラスミン(P00450);クラステリン(P10909);補体C3(P01024);富システインタンパク質(CYR61、O00622);シトクロムC(P99999);上皮成長因子(EGF、P01133);エンドセリン−1(P05305);エキソソーム・フェチュイン−A(P02765);脂肪酸結合タンパク質、心臓(FABP3、P05413);脂肪酸結合タンパク質、肝臓(P07148);フェリチン(軽鎖、P02793;重鎖、P02794);フルクトース−1,6−ビホスファターゼ(P09467);GRO−アルファ(CXCL1、(P09341);成長ホルモン(P01241);肝細胞成長因子(P14210);インスリン様成長因子I(P01343);免疫グロブリンG;免疫グロブリン軽鎖(カッパおよびラムダ);インターフェロン ガンマ(P01308);ライソザイム(P61626);インターロイキン−1アルファ(P01583);インターロイキン−2(P60568);インターロイキン−4(P60568);インターロイキン−9(P15248);インターロイキン−12p40(P29460);インターロイキン−13(P35225);インターロイキン−16(Q14005);L1細胞接着分子(P32004);ラクテートデヒドロゲナーゼ(P00338);ロイシンアミノペプチダーゼ(P28838);メプリンA−アルファサブユニット(Q16819);メプリンA−ベータサブユニット(Q16820);ミドカイン(P21741);MIP2−アルファ(CXCL2、P19875);MMP−2(P08253);MMP−9(P14780);ネトリン−1(O95631);中性エンドペプチダーゼ(P08473);オステオポンチン(P10451);腎乳頭抗原1(RPA1);腎乳頭抗原2(RPA2);レチノール結合タンパク質(P09455);リボヌクレアーゼ;S100カルシウム結合タンパク質A6(P06703);血清アミロイドP構成成分(P02743);ナトリウム/水素交換体アイソフォーム(NHE3、P48764);スペルミジン/スペルミンN1−アセチルトランスフェラーゼ(P21673);TGF−ベータ1(P01137);トランスフェリン(P02787);トレフォイル因子3(TFF3、Q07654);トル様タンパク質4(O00206);総タンパク質;尿細管間質性腎炎抗原(Q9UJW2);ウロモデュリン(Tamm−Horsfallタンパク質、P07911)。
危険度層化のために、以下のものが、本発明の腎損傷マーカー検定結果(単数または複数)と組合され得る:アディポネクチン(Q15848);アルカリ性ホスファターゼ(P05186);アミノペプチダーゼN(P15144);カルビンディンD28k(P05937);シスタチンC(P01034);8サブユニットのF1FO ATPアーゼ(P03928);ガンマ−グルタミルトランスフェラーゼ(P19440);GSTa(アルファ−グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、P08263);GSTpi(グルタチオン−S−トランスフェラーゼP;GSTクラス−パイ;P09211);IGFBP−1(P08833);IGFBP−2(P18065);IGFBP−6(P24592);内在性膜タンパク質1(Itm1、P46977);インターロイキン−6(P05231);インターロイキン−8(P10145);インターロイキン−18(Q14116);IP−10(10 kDaインターフェロン−ガンマ誘導性タンパク質、P02778);IRPR(IFRD1、O00458);イソバレリル−CoAデヒドロゲナーゼ(IVD、P26440);I−TAC/CXCL11(O14625);ケラチン19(P08727);Kim−1(A型肝炎ウイルス細胞受容体1、O43656);L−アルギニン:グリシンアミジノトランスフェラーゼ(P50440);レプチン(P41159);リポカリン2(NGAL、P80188);MCP−1(P13500);MIG(ガンマ−インターフェロン誘導性モノカインQ07325);MIP−1a(P10147);MIP−3a(P78556);MIP−1ベータ(P13236);MIP−1d(Q16663);NAG(N−アセチル−ベータ−D−グルコサミニダーゼ、P54802);有機イオン輸送体(OCT2、O15244);オステオプロテゲリン(O14788);P8タンパク質(O60356);プラスミノーゲン活性化因子阻害剤1(PAI−1、P05121);プロANP(1−98)(P01160);タンパク質ホスファターゼ1−ベータ(PPI−ベータ、P62140);Rab GDI−ベータ(P50395);腎カリクレイン(Q86U61);内在性膜タンパク質のRT1.B−1(アルファ)鎖(Q5Y7A8);可溶性腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー成員1A(sTNFR−I、P19438);可溶性腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー成員1B(sTNFR−II、P20333);メタロプロテイナーゼ3の組織阻害剤(TIMP−3、P35625);uPAR(Q03405)。
本発明の腎損傷マーカー検定結果(単数または複数)と組合され得る他の臨床的指標としては、人口学的情報(例えば、体重、性別、年齢、人種)、病歴(例えば、家族歴、外科手術の種類、先在性疾患、例えば動脈瘤、うっ血性心不全、子癇前症、子癇、真性糖尿病、高血圧症、冠動脈疾患、タンパク尿、腎機能不全または敗血症、NSAID、シクロスポリン、タクロリムス、アミノグリコシド、フォスカルネット、エチレングリコール、ヘモグロビン、ミオグロビン、イフォスファミド、重金属、メトトレキセート、放射線不透過性造影剤またはストレプトゾトシンのような毒素曝露の型)、臨床的変数(例えば、血圧、温度、呼吸数)、危険度スコア(APACHEスコア、PREDICTスコア、UA/NSTEMIに関するTIMI危険度スコア、フラミンガム危険度スコア)、尿総タンパク質測定値、糸球体濾過率、概算糸球体濾過率、尿産生率、血清または血漿クレアチニン濃度、腎乳頭抗原1(RPA1)測定値;腎乳頭抗原2(RPA2)測定値;尿クレアチニン濃度、ナトリウム排泄分画、尿ナトリウム濃度、尿クレアチニン対血清または血漿クレアチニン比、尿比重、尿オスモル濃度、尿中尿素窒素対血漿尿素窒素比、血漿BUN対クレアチニン比、および/または尿ナトリウム/(尿クレアチニン/血漿クレアチニン)として算定される腎不全指数が挙げられる。腎損傷マーカー検定結果(単数または複数)と組合せられ得る腎機能の他の測定法は、本明細書中で後に、ならびにHarrison’s Principles of Internal Medicine, 17th Ed., McGraw Hill, New York, pages 1741-1830およびCurrent Medical Diagnosis & Treatment 2008, 47th Ed, McGraw Hill, New York, pages 785-815(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)に記載されている。
このようにして検定結果/臨床指標を組合せることは、多変量ロジスティック回帰、対数線形モデル、ニューラルネットワーク解析、n−of−m解析、決定木分析などの使用を包含し得る。このリストは、限定的であることを意味しない。
急性腎不全の診断
上記のように、「急性腎損傷」および「急性腎不全」という用語は、本明細書中で用いる場合、一部は、基線値からの血清クレアチニンの変化に関して定義される。ARFについてのほとんどの定義は、血清クレアチニン、およびしばしば尿排出量を含めて、共通の要素を有する。この比較に用いるための腎機能の利用可能な基線測定なしに、患者は腎機能不全を呈し得る。このような事象においては、患者は最初は正常GFRと有したと推測することにより、基線血清クレアチニン値を概算し得る。糸球体濾過率(GFR)は、腎臓糸球体毛細血管からボーマン嚢中に濾過される単位時間当たりの流体の容積である。糸球体濾過率(GFR)は、血中定常レベルを有し、支障なく濾過されるが、しかし腎臓により再吸収も分泌もされない任意の化学物質を測定することにより算定され得る。GFRは、典型的には、ml/分の単位で表される:
体表面積に対するGFRを正規化することにより、約75〜100ml/分/1.73m2のGFRが推定され得る。したがって測定される率は、血液の算定可能な容積から生じた尿中の物質の量である。
糸球体濾過率(GFRまたはeGFR)を算定するかまたは概算するために用いられるいくつかの異なる技法がある。しかしながら、臨床的実行に際しては、クレアチニンクリアランスを用いて、GFRを測定する。クレアチニンは、天然では、身体により産生される(クレアチニンは、筋肉中に見出されるクレアチンの代謝産物である)。それは糸球体により支障なく濾過されるが、しかしさらにまた、クレアチニンクリアランスが実際のGFRを10〜20%過剰刺激するよう、極少量、腎尿細管により能動的に分泌される。この誤差許容範囲は、クレアチニンクリアランスが測定される容易さを考慮すると、許容可能である。
クレアチニンクリアランス(CCr)は、クレアチニンの尿中濃度(UCr)、尿流量(V)およびクレアチニンの血漿濃度(PCr)が既知である場合、算定され得る。尿中濃度と尿流量の積はクレアチニンの排出率を生じ、クレアチニンクリアランスは、その排出率をその血漿濃度で割った値である、とも言われている:
異なるサイズの人の間の結果の比較を可能にするために、CCrは、しばしば、体表面積(BSA)に関して補正され、平均サイズの男性と比較してml/分/1.73m2で表される。ほとんどの成人が1.7(1.6〜1.9)に近いBSAを有するが、非常に太っているかまたは痩せている患者は、彼等の実際のBSAに関して補正されたCCrを有するべきである:
糸球体濾過率(GFR)が下がると、クレアチニン分泌は増大され、したがって血清クレアチニンの上昇はより少なくなるため、クレアチニンクリアランス測定値の精度は(収集が完全である場合でも)限定される。したがって、クレアチニン排出量は、濾過負荷量より非常に大きく、GFRの潜在的に大きな(2倍差という大きさの)過剰刺激を生じる。しかしながら、臨床目的のために、腎機能が安定しているか、あるいは悪化しつつあるかまたはよくなっているかを確定することは重要である。これは、しばしば、血清クレアチニン単独をモニタリングすることにより確定される。クレアチニンクリアランスと同様に、血清クレアチニンは、ARFの非定常状態症状におけるGFRを正確に反映するものではない。それにもかかわらず、基線からの血清クレアチニン変化への程度は、GFRの変化を反映する。血清クレアチニンは、直ちに且つ容易に測定され、それは腎機能に特異的である。
mL/kg/時間に基づいた尿排出量で尿排出量を決定する目的のためには、毎時間の尿収集および測定が適切である。例えば、累積24時間排出量のみが利用可能であった、そして患者の体重が提供されない場合には、RIFLE尿排出量判定基準の小修正が記載されている。例えば、Bagshaw et al., Nephrol. Dial. Transplant. 23: 1203-1210, 2008は、70kgの平均患者体重を推定し、患者は、以下の:<35mL/時間(危険)、<21mL/時間(損傷)または<4mL/時間(不全)に基づいたRIFLE分類を割り当てられる。
治療レジメンの選択
一旦、診断が得られれば、臨床医は、診断に適合する治療レジメン、例えば腎代替療法を開始すること、腎臓に損害を与えることが知られている化合物の送達を中止すること、腎臓移植、腎臓に損害を与えることが知られている手法を遅延するかまたは回避すること、利尿剤投与を修正すること、目標指向療法を開始することなどを容易に選択し得る。本明細書中に記載される診断の方法に関して考察される多数の疾患のための適切な治療を、当業者は承知している。例えば、Merck Manual of Diagnosis and Therapy, 17th Ed. Merck Research Laboratories, Whitehouse Station, NJ, 1999を参照されたい。さらに、本明細書中に記載される方法および組成物は予後情報を提供するため、本発明のマーカーは治療の経過を監視するために用いられ得る。例えば、予後状態の改善または悪化は、特定の治療が有効であるかまたは有効でない、ということを示し得る。
本発明は、目的を実行するよう良好に適合され、記述された目標および利点、ならびにそこに本来備わっているものを得る、と当業者は容易に理解する。本明細書中で提供される実施例は、好ましい実施形態を代表するものであり、例として役立つものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1:造影剤腎症試料収集
この試料収集試験の目的は、血管内造影剤を受ける前および後に、患者から血漿および尿の試料、ならびに臨床データを収集することである。ヨウ化造影剤の血管内投与を含めた放射線写真/血管造影手法を受けている成人約250人が登録される。試験に登録されるためには、各患者は、以下の組み入れ規準の全てを満たし、以下の除外規準の何れも満たさないようでなければならない:
組み入れ規準
18歳以上の男性および女性;
造影剤の血管内投与を含めて放射線写真/血管造影手法(例えば、CTスキャンまたは冠動脈介入)を受けている;
造影剤投与後、少なくとも48時間の入院が予期される;
試験参加に関するインフォームドコンセント書を提供し、全ての試験手順に同意することが出来るし、異存がない;
除外規準
腎移植レシピエント;
造影手順前に腎機能が急性悪化しつつある;
透析(急性または慢性)を既に受けているか、あるいは登録時に切迫した透析の必要性がある;
大きな外科手術(例えば、心肺バイパス術)、あるいは造影剤投与後48時間以内のさらなる腎侵襲に関する有意の危険を伴う造影剤を用いた付加的画像処理手順を受けることが予期される;
事前の30日以内の実験的療法を伴う介入的臨床試験に参加;
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または肝炎ウイルスによる既知の感染。
組み入れ規準
18歳以上の男性および女性;
造影剤の血管内投与を含めて放射線写真/血管造影手法(例えば、CTスキャンまたは冠動脈介入)を受けている;
造影剤投与後、少なくとも48時間の入院が予期される;
試験参加に関するインフォームドコンセント書を提供し、全ての試験手順に同意することが出来るし、異存がない;
除外規準
腎移植レシピエント;
造影手順前に腎機能が急性悪化しつつある;
透析(急性または慢性)を既に受けているか、あるいは登録時に切迫した透析の必要性がある;
大きな外科手術(例えば、心肺バイパス術)、あるいは造影剤投与後48時間以内のさらなる腎侵襲に関する有意の危険を伴う造影剤を用いた付加的画像処理手順を受けることが予期される;
事前の30日以内の実験的療法を伴う介入的臨床試験に参加;
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または肝炎ウイルスによる既知の感染。
初回造影剤投与直前(および任意の前手順補水後)、EDTA抗凝固血液試料(10mL)および尿試料(10mL)を、各患者から収集する。次に、指標造影手順中の最終造影剤投与後、4(±0.5)、8(±1)、24(±2)、48(±2)および72(±2)時間目に、血液および尿試料を収集する。直接的静脈穿刺により、または他の利用可能な静脈接近手段、例えば現存する大腿鞘、中心静脈ライン、末梢静脈内ラインまたはヘップ・ロックにより、血液を収集する。これらの試験血液試料を臨床現場で血漿に処理して、凍結し、Astute Medical, Inc.,(San Diego, CA)に送る。試験尿試料を凍結し、Astute Medical, Inc.に送る。
初回造影剤投与直前(任意の前手順補水後)、ならびに造影剤の最終投与後、4(±0.5)、8(±1)、24(±2)、48(±2)および72(±2)時間目に(理想的には、試験試料が得られると同時に)、臨床現場で血清クレアチニンを査定する。さらに、付加的血清および尿クレアチニン測定値、透析の必要性、入院状態および悪臨床結果(死亡率を含む)に関して、30日目にずっと、各患者の状態を評価する。
造影剤投与前に、以下の査定に基づいた危険度に各患者を割り当てる:収縮期血圧<80mmHg=5点;動脈内バルーンポンプ=5点;うっ血性心不全(クラスIII〜IVまたは肺水腫の病歴)=5点;年齢>75歳=4点;ヘマトクリットレベル<39%(男性)、<35%(女性)=3点;糖尿病=3点;造影剤容積=各100mLに関して1点;血清クレアチニンレベル>1.5g/dL=4点または概算GFR40〜60mL/分/1.73m2=2点;20〜40mL/分/1.73m2=4点;<20mL/分/1.73m2=6点。割り当てられる危険度を以下に示す:CINおよび透析に関する危険度:総得点5以下=CINの危険度 7.5%、透析の危険度 0.04%;総得点6〜10=CINの危険度 14%、透析の危険度 0.12%;総得点11〜16=CINの危険度 26.1%、透析の危険度 1.09%;総得点>16=CINの危険度 57.3%、透析の危険度 12.8%。
実施例2:心臓手術試料収集
この試料収集試験の目的は、腎機能に対して潜在的に損害を与えることが知られている手法である心臓血管手術を受ける前および後に、患者から血漿および尿の試料、ならびに臨床データを収集することである。このような手術を受けている成人約900人が登録される。試験に登録されるためには、各患者は、以下の組み入れ規準の全てを満たし、以下の除外規準の何れも満たさないようでなければならない:
組み入れ規準
18歳以上の男性および女性;
心臓血管手術を受けている;
少なくとも2の腎代替危険スコアに関するトロント/オタワ予測危険度指標(Wijeysundera et al., JAMA 297: 1801-9, 2007);ならびに
試験参加に関するインフォームドコンセント書を提供し、全ての試験手順に同意することが出来るし、異存がない;
除外規準
妊娠中;
事前の腎移植;
登録前に腎機能が急性悪化しつつある(RIFLE判定基準の任意の範疇);
透析(急性または慢性)を既に受けているか、あるいは登録時に切迫した透析の必要性がある;
別の臨床試験に最近登録された、あるいはAKIに関する薬剤注入または療法的介入を含めた心臓手術の7日以内に別の臨床試験に登録される予定がある;
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または肝炎ウイルスによる既知の感染。
組み入れ規準
18歳以上の男性および女性;
心臓血管手術を受けている;
少なくとも2の腎代替危険スコアに関するトロント/オタワ予測危険度指標(Wijeysundera et al., JAMA 297: 1801-9, 2007);ならびに
試験参加に関するインフォームドコンセント書を提供し、全ての試験手順に同意することが出来るし、異存がない;
除外規準
妊娠中;
事前の腎移植;
登録前に腎機能が急性悪化しつつある(RIFLE判定基準の任意の範疇);
透析(急性または慢性)を既に受けているか、あるいは登録時に切迫した透析の必要性がある;
別の臨床試験に最近登録された、あるいはAKIに関する薬剤注入または療法的介入を含めた心臓手術の7日以内に別の臨床試験に登録される予定がある;
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または肝炎ウイルスによる既知の感染。
初回切開術前3時間以内(および任意の前手順補水後)に、EDTA抗凝固血液試料(10mL)、全血(3mL)および尿試料(35mL)を、各患者から収集する。次に、当該手順後、3(±0.5)、6(±0.5)、12(±1)、24(±2)および48(±2)時間目に、次いで、被験者が依然として入院している場合には3〜7日目に毎日、血液および尿試料を収集する。直接的静脈穿刺により、または他の利用可能な静脈接近手段、例えば現存する大腿鞘、中心静脈ライン、末梢静脈内ラインまたはヘップ・ロックにより、血液を収集する。これらの試験血液試料を、凍結し、Astute Medical, Inc.,(San Diego, CA)に送る。試験尿試料を凍結し、Astute Medical, Inc.に送る。
実施例3:急性疾病被験者試料収集
この試験の目的は、急性疾病患者から試料を収集することである。少なくとも48時間、ICUにいることが予期される成人約900人が登録される。試験に登録されるためには、各患者は、以下の組み入れ規準の全てを満たし、以下の除外規準の何れも満たさないようでなければならない:
組み入れ規準
18歳以上の男性および女性;
試験集団1:以下のうちの少なくとも1つを有する約300人の患者:
ショック(SBP<90mmHg、および/またはMAP>60mmHgを保持するための昇圧補助の必要性、および/または少なくとも40mmHgのSBPの実証された低下);および
敗血症;
試験集団2:以下のうちの少なくとも1つを有する約300人の患者:
登録の24時間以内のコンピューター化医師向けオーダーエントリー(CPOE)でオーダーされるIV抗生物質;
登録24時間以内の造影剤曝露;
急性非代償性心不全を伴う腹腔内圧増大;および
ICU入院のための主な理由としての、ならびに登録後48時間ICUに入院させられると思われる重症外傷;
試験集団3:急性腎損傷に対する既知の危険因子(例えば、敗血症、低血圧/ショック(ショック=収縮期BP<90mmHg、および/またはMAP>60mmHgを保持するための昇圧補助の必要性、および/またはSBP>40mmHgの実証された低下)、大きな外傷、出血または大手術)を有する急性期医療(ICUまたはED)により入院させられると予期される;および/または登録後少なくとも24時間、ICUに入院させられると予期される約300人の患者。
除外規準
妊娠中;
施設に収容された個体;
事前の腎移植;
登録前に腎機能の既知の急性悪化中(例えば、RIFLE判定基準の任意の範疇);
登録前5日以内に透析(急性または慢性)を受けたか、あるいは登録時に切迫した透析の必要性がある;
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または肝炎ウイルスによる既知の感染;
上記の組み入れ規準 SBP<90mmHgのみを満たし、担当医師または主要研究者の見解ではショックを有さない。
組み入れ規準
18歳以上の男性および女性;
試験集団1:以下のうちの少なくとも1つを有する約300人の患者:
ショック(SBP<90mmHg、および/またはMAP>60mmHgを保持するための昇圧補助の必要性、および/または少なくとも40mmHgのSBPの実証された低下);および
敗血症;
試験集団2:以下のうちの少なくとも1つを有する約300人の患者:
登録の24時間以内のコンピューター化医師向けオーダーエントリー(CPOE)でオーダーされるIV抗生物質;
登録24時間以内の造影剤曝露;
急性非代償性心不全を伴う腹腔内圧増大;および
ICU入院のための主な理由としての、ならびに登録後48時間ICUに入院させられると思われる重症外傷;
試験集団3:急性腎損傷に対する既知の危険因子(例えば、敗血症、低血圧/ショック(ショック=収縮期BP<90mmHg、および/またはMAP>60mmHgを保持するための昇圧補助の必要性、および/またはSBP>40mmHgの実証された低下)、大きな外傷、出血または大手術)を有する急性期医療(ICUまたはED)により入院させられると予期される;および/または登録後少なくとも24時間、ICUに入院させられると予期される約300人の患者。
除外規準
妊娠中;
施設に収容された個体;
事前の腎移植;
登録前に腎機能の既知の急性悪化中(例えば、RIFLE判定基準の任意の範疇);
登録前5日以内に透析(急性または慢性)を受けたか、あるいは登録時に切迫した透析の必要性がある;
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または肝炎ウイルスによる既知の感染;
上記の組み入れ規準 SBP<90mmHgのみを満たし、担当医師または主要研究者の見解ではショックを有さない。
インフォームドコンセントを提示後、EDTA抗凝固血液試料(10mL)および尿試料(25〜30mL)を、各患者から収集する。次に、造影剤投与(適用可能な場合)後、4(±0.5)および8(±1)時間目に、その後、被験者が入院している間は7日まで〜14日に毎日、血液および尿試料を収集する。直接的静脈穿刺により、または他の利用可能な静脈接近手段、例えば現存する大腿鞘、中心静脈ライン、末梢静脈内ラインまたはヘップ・ロックにより、血液を収集する。これらの試験血液試料を臨床現場で処理して血漿にして、凍結し、Astute Medical, Inc.,(San Diego, CA)に送る。試験尿試料を凍結し、Astute Medical, Inc.に送る。
実施例4.イムノアッセイフォーマット
標準サンドイッチ酵素イムノアッセイ技法を用いて、分析物を測定する。分析物を結合する第一抗体を、96ウェルポリスチレン微量プレートのウェル中に固定する。分析物標準および試験試料を適切なウェル中にピペット分取して、存在する任意の分析物を固定化抗体により結合する。任意の非結合物質を洗い落とした後、分析物を結合するホースラディッシュペルオキシダーゼ接合第二抗体をウェルに付加し、それにより分析物(存在する場合)および第一抗体とのサンドイッチ複合体を形成する。洗浄して任意の非結合抗体−酵素試薬を除去後、テトラメチルベンジジンおよび過酸化水素を含む基質溶液をウェルに付加する。試料中に存在する分析物の量に比例して、発色する。発色が停止したら、色の強度を540nmまたは570nmで測定する。分析物標準から決定される標準曲線との比較により、分析物濃度を試験試料に割り当てる。
以下の例では、濃度は次のように表される:可溶性CD44抗原−ng/mL、アンギオポエチン−1−pg/mL、可溶性アンギオポエチン−1受容体ng/mL、C−X−Cケモカインモチーフ5−ng/mL、可溶性エンドグリン−pg/mL、可溶性腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1(「上皮細胞接着分子」としても既知である)−pg/mL、エリスロポエチン−pg/mL、可溶性フラクタルカイン−ng/mL、ヘムオキシゲナーゼ1−ng/mL、可溶性インターロイキン−1受容体II型−pg/mL、可溶性インターロイキン−6受容体サブユニット−アルファ−pg/mL、リンホタクチン−ng/mL、リンホトキシン−アルファ−pg/mL、ストロメリシン−1(「マトリックスメタロプロテイナーゼ−3」としても既知である)−ng/mL、C−Cモチーフケモカイン22(「MDC」としても既知である)−pg/mL、C−Cモチーフケモカイン5(「ランテス」としても既知である)−ng/mLおよびトロンボスポンジン−1−ng/mL。
実施例5.外見上健常なドナーおよび慢性疾患患者試料
既知の慢性または急性疾患を有さないドナー(「外見上健常なドナー」)からのヒト尿試料を、2つの売主から購入した(Golden West Biologicals, Inc., 27625 Commerce Center Dr., Temecula, CA 92590およびVirginia Medical Research, Inc., 915 First Colonial Rd., Virginia Beach, VA 23454)。尿試料は出荷され、−20℃より低い温度で凍結保存された。売主は、個々のドナーに関する人口学的情報、例えば性別、人種(黒人/白人)、喫煙状態および年齢を提供した。
種々の慢性疾患、例えばうっ血性心不全、冠動脈疾患、慢性腎疾患、慢性閉塞性肺疾患、真性糖尿病および高血圧症を有するドナー(「慢性疾患患者」)からのヒト尿試料を、Virginia Medical Research, Inc., 915 First Colonial Rd., Virginia Beach, VA 23454から購入した。尿試料は出荷され、−20℃より低い温度で凍結保存された。売主は、年齢、性別、人種(黒人/白人)、喫煙状態およびアルコール使用量、身長、体重、慢性疾患(単数または複数)診断、最新投薬および過去の外科手術を含めた個々のドナーに関する症例報告書を提供した。
実施例6.RIFLE段階0での患者における腎臓状態を評価するための腎損傷マーカー
集中治療室(ICU)からの患者を、腎臓状態により、RIFLE規準によって決定した場合の登録の7日以内に到達される最大段階に従って、非損傷(0)、損傷の危険(R)、損傷(I)および不全(F)として分類した。
2つのコホートを、(コホート1)段階0を超えて進行しなかった患者、および(コホート2)10日以内に段階R、IまたはFに達した患者、と定義した。ICUでの患者内に起こる正常マーカー変動に取り組み、それによりAKI状態をモニタリングするための有用性を査定するために、コホート1に関して収集した尿試料で、マーカーレベルを測定した。コホート2において段階R、IまたはFに達する0時間前、24時間前および48時間前に被験者から収集した尿試料で、マーカー濃度を測定した。下記の表中で、「前最大段階」時点は、+/−12時間である3つの群に入れられた特定の患者がそのコホートに関して定義された最低疾患段階に達する時点に比して、試料が収集される時点を表す。例えば、この実施例(0対R、I、F)に関しては24時間前は、段階R(またはRに試料がない場合はI、またはRまたはIに試料がない場合はF)に達する24時間前(+/−12時間)を意味する。
市販の検定試薬を用いて、標準イムノアッセイ法により、各マーカーを測定した。受信者動作特性(ROC)曲線を各マーカーに関して生成し、各ROC曲線下面積(AUC)を決定した。コホート2の患者も、血清クレアチニン測定値(sCr)に基づいている、尿排出量(UO)に基づいている、あるいは血清クレアチニン測定値または尿排出量のいずれかに基づいているといったような段階R、IまたはFに対する裁定のための理由に従って、分類した。すなわち、血清クレアチニン測定値単独に基づいて段階R、IまたはFに裁定された患者に関して、段階0コホートは、尿排出量に基づいて段階R、IまたはFに裁定された患者を含んだ可能性がある;尿排出量単独に基づいて段階R、IまたはFに裁定された患者に関して、段階0コホートは、血清クレアチニン測定値に基づいて段階R、IまたはFに裁定された患者を含んだ可能性がある;ならびに血清クレアチニン測定値または尿排出量に基づいて段階R、IまたはFに裁定された患者に関して、段階0コホートは、血清クレアチニン測定値および尿排出量の両方に関する段階0の患者のみを含有する。さらにまた、血清クレアチニン測定値または尿排出量に基づいて段階R、IまたはFに裁定された患者に関しては、最も重症のRIFLE段階を生じる裁定方法を用いた。
ROC解析を用いて、コホート1(RIFLE0のままである被験者)をコホート2(RIFLE R、IまたはFに進行している被験者)と識別する能力を決定した。SEはAUCの標準誤差であり、nは試料または個々の患者(「pts」)の数である。Hanley, J.A., and McNeil, B.J., The meaning and use of the area under a receiver operating characteristic (ROC) curve. Radiology (1982) 143: 29-36に記載されたように標準誤差を算定した;p値を両側Z検定で算定した。AUC<0.5は、比較のための負方向マーカーを示し、AUC>0.5は比較のための正方向マーカーを示す。
種々の閾値(または「カットオフ」)濃度を選択し、コホート1をコホート2と区別するための関連敏感度および特異度を決定した。ORは、特定のカットオフ濃度に関して算定されるオッズ比であり、95%CIはオッズ比に関する信頼区間である。
本発明の種々のマーカーに関するこれら3つの分析の結果を、図1に示す。
実施例7.RIFLE段階0およびRでの患者における腎臓状態を評価するための腎損傷マーカー
実施例6に記載したとおりに患者を分類し、分析した。しかしながら、段階Rに達したが、しかし段階IまたはFに進行しなかった患者を、コホート1における非損傷段階0からの患者とともに分類した。この実施例におけるコホート2は、段階IまたはFに進行した患者のみを含んだ。尿試料中のマーカー濃度は、コホート1に関して含まれた。段階IまたはF到達の0、24および48時間以内に収集した尿試料中のマーカー濃度を、コホート2に関して包含した。
ROC解析を用いて、コホート1(RIFLE0またはRのままである被験者)をコホート2(RIFLE IまたはFに進行している被験者)と識別する能力を決定した。
種々の閾値(または「カットオフ」)濃度を選択し、コホート1をコホート2と区別するための関連敏感度および特異度を決定した。ORは、特定のカットオフ濃度に関して算定されるオッズ比であり、95%CIはオッズ比に関する信頼区間である。
本発明の種々のマーカーに関するこれら3つの分析の結果を、図2に示す。
実施例8.段階Rから段階IおよびFに進行している患者における腎臓状態を評価するための腎損傷マーカー
実施例6に記載したとおりに患者を分類し、分析したが、しかし段階Rに達した患者のみをこの実施例に包含した。コホート1は、段階Rに達したがしかし10日以内に段階IまたはFに進行しなかった患者を含有し、コホート2は、段階IまたはFに進行した患者のみを含んだ。段階R到達の12時間以内に収集した尿試料中のマーカー濃度を、コホート1および2の両方に関する分析に包含した。
ROC解析を用いて、コホート1(RIFLE Rのままである被験者)をコホート2(RIFLE IまたはFに進行している被験者)と識別する能力を決定した。
種々の閾値(または「カットオフ」)濃度を選択し、コホート1をコホート2と区別するための関連敏感度および特異度を決定した。ORは、特定のカットオフ濃度に関して算定されるオッズ比であり、95%CIはオッズ比に関する信頼区間である。
本発明の種々のマーカーに関するこれら3つの分析の結果を、図3に示す。
実施例9.RIFLE段階0での患者における腎臓状態を評価するための腎損傷マーカー
実施例6に記載したとおりに患者を分類し、分析した。しかしながら、段階RまたはIに達したが、しかし段階Fに進行しなかった患者を、分析から除外した。非損傷段階0からの患者は、コホート1に含まれる。この実施例におけるコホート2は、段階Fに進行した患者のみを含んだ。尿試料中の最大マーカー濃度は、コホート1における各患者に関して含まれた。段階F到達の0、24および48時間以内に収集した尿試料中の最大マーカー濃度を、コホート2における各患者に関して包含した。
ROC解析を用いて、コホート1(RIFLE0またはRのままである被験者)をコホート2(RIFLE IまたはFに進行している被験者)と識別する能力を決定した。
種々の閾値(または「カットオフ」)濃度を選択し、コホート1をコホート2と区別するための関連敏感度および特異度を決定した。ORは、特定のカットオフ濃度に関して算定されるオッズ比であり、95%CIはオッズ比に関する信頼区間である。
本発明の種々のマーカーに関するこれら3つの分析の結果を、図4に示す。
実施例10.RIFLE段階0での患者における腎臓状態を評価するための腎損傷マーカー
集中治療室(ICU)からの患者を、腎臓状態により、RIFLE規準によって決定した場合の登録の7日以内に到達される最大段階に従って、非損傷(0)、損傷の危険(R)、損傷(I)および不全(F)として分類した。
2つのコホートを、(コホート1)段階0を超えて進行しなかった患者、および(コホート2)10日以内に段階R、IまたはFに達した患者、と定義した。ICUでの患者内に起こる正常マーカー変動に取り組み、それによりAKI状態をモニタリングするための有用性を査定するために、コホート1に関して収集した血液試料の血漿成分で、マーカーレベルを測定した。コホート2において段階R、IまたはFに達する0時間前、24時間前および48時間前に被験者から収集した血液試料の血漿成分で、マーカー濃度を測定した。下記の表中で、「前最大段階」時点は、+/−12時間である3つの群に入れられた特定の患者がそのコホートに関して定義された最低疾患段階に達する時点に比して、試料が収集される時点を表す。例えば、この実施例(0対R、I、F)に関しては24時間前は、段階R(またはRに試料がない場合はI、またはRまたはIに試料がない場合はF)に達する24時間前(+/−12時間)を意味する。
市販の検定試薬を用いて、標準イムノアッセイ法により、各マーカーを測定した。受信者動作特性(ROC)曲線を各マーカーに関して生成し、各ROC曲線下面積(AUC)を決定した。コホート2の患者も、血清クレアチニン測定値(sCr)に基づいている、尿排出量(UO)に基づいている、あるいは血清クレアチニン測定値または尿排出量のいずれかに基づいているといったような段階R、IまたはFに対する裁定のための理由に従って、分類した。すなわち、血清クレアチニン測定値単独に基づいて段階R、IまたはFに裁定された患者に関して、段階0コホートは、尿排出量に基づいて段階R、IまたはFに裁定された患者を含んだ可能性がある;尿排出量単独に基づいて段階R、IまたはFに裁定された患者に関して、段階0コホートは、血清クレアチニン測定値に基づいて段階R、IまたはFに裁定された患者を含んだ可能性がある;ならびに血清クレアチニン測定値または尿排出量に基づいて段階R、IまたはFに裁定された患者に関して、段階0コホートは、血清クレアチニン測定値および尿排出量の両方に関する段階0の患者のみを含有する。さらにまた、血清クレアチニン測定値または尿排出量に基づいて段階R、IまたはFに裁定された患者に関しては、最も重症のRIFLE段階を生じる裁定方法を用いた。
ROC解析を用いて、コホート1(RIFLE0のままである被験者)をコホート2(RIFLE R、IまたはFに進行している被験者)と識別する能力を決定した。SEはAUCの標準誤差であり、nは試料または個々の患者(「pts」)の数である。Hanley, J.A., and McNeil, B.J., The meaning and use of the area under a receiver operating characteristic (ROC) curve. Radiology (1982) 143: 29-36に記載されたように標準誤差を算定した;p値を両側Z検定で算定した。AUC<0.5は、比較のための負方向マーカーを示し、AUC>0.5は比較のための正方向マーカーを示す。
種々の閾値(または「カットオフ」)濃度を選択し、コホート1をコホート2と区別するための関連敏感度および特異度を決定した。ORは、特定のカットオフ濃度に関して算定されるオッズ比であり、95%CIはオッズ比に関する信頼区間である。
本発明の種々のマーカーに関するこれら3つの分析の結果を、図5に示す。
実施例11.RIFLE段階0およびRでの患者における腎臓状態を評価するための腎損傷マーカー
実施例10に記載したとおりに患者を分類し、分析した。しかしながら、段階Rに達したが、しかし段階IまたはFに進行しなかった患者を、コホート1における非損傷段階0からの患者とともに分類した。この実施例におけるコホート2は、段階IまたはFに進行した患者のみを含んだ。血液試料の血漿成分中のマーカー濃度は、コホート1に関して含まれた。段階IまたはF到達の0、24および48時間以内に収集した血液試料の血漿成分中のマーカー濃度を、コホート2に関して包含した。
ROC解析を用いて、コホート1(RIFLE0またはRのままである被験者)をコホート2(RIFLE IまたはFに進行している被験者)と識別する能力を決定した。
種々の閾値(または「カットオフ」)濃度を選択し、コホート1をコホート2と区別するための関連敏感度および特異度を決定した。ORは、特定のカットオフ濃度に関して算定されるオッズ比であり、95%CIはオッズ比に関する信頼区間である。
本発明の種々のマーカーに関するこれら3つの分析の結果を、図6に示す。
実施例12.段階Rから段階IおよびFに進行している患者における腎臓状態を評価するための腎損傷マーカー
実施例10に記載したとおりに患者を分類し、分析したが、しかし段階Rに達した患者のみをこの実施例に包含した。コホート1は、段階Rに達したがしかし10日以内に段階IまたはFに進行しなかった患者を含有し、コホート2は、段階IまたはFに進行した患者のみを含んだ。段階R到達の12時間以内に収集した血液試料の血漿成分中のマーカー濃度を、コホート1および2の両方に関する分析に包含した。
ROC解析を用いて、コホート1(RIFLE Rのままである被験者)をコホート2(RIFLE IまたはFに進行している被験者)と識別する能力を決定した。
種々の閾値(または「カットオフ」)濃度を選択し、コホート1をコホート2と区別するための関連敏感度および特異度を決定した。ORは、特定のカットオフ濃度に関して算定されるオッズ比であり、95%CIはオッズ比に関する信頼区間である。
本発明の種々のマーカーに関するこれら3つの分析の結果を、図7に示す。
実施例13.RIFLE段階0での患者における腎臓状態を評価するための腎損傷マーカー
実施例10に記載したとおりに患者を分類し、分析した。しかしながら、段階RまたはIに達したが、しかし段階Fに進行しなかった患者を、分析から除外した。非損傷段階0からの患者は、コホート1に含まれる。この実施例におけるコホート2は、段階Fに進行した患者のみを含んだ。血液試料の血清成分中の最大マーカー濃度は、コホート1における各患者から含まれた。段階F到達の0、24および48時間以内に収集した血液試料の血漿成分中の最大マーカー濃度を、コホート2における各患者から包含した。
ROC解析を用いて、コホート1(RIFLE0またはRのままである被験者)をコホート2(RIFLE IまたはFに進行している被験者)と識別する能力を決定した。
種々の閾値(または「カットオフ」)濃度を選択し、コホート1をコホート2と区別するための関連敏感度および特異度を決定した。ORは、特定のカットオフ濃度に関して算定されるオッズ比であり、95%CIはオッズ比に関する信頼区間である。
本発明の種々のマーカーに関するこれら3つの分析の結果を、図8に示す。
当業者がそれを作製し、使用するのに十分詳細に本発明を記述し、例示してきたが、本発明の精神および範囲を逸脱しない限り、種々の代替物、修正および改善は明白であろう。本明細書中に提供された実施例は好ましい実施形態を代表するものであり、例として役立つものであって、本発明の範囲を限定するものではない。その修正および他の用途を、当業者は考えつくであろう。これらの修正は、本発明の精神に含まれており、特許請求の範囲により定義される。
本発明の範囲および精神を逸脱しない限り、本明細書中に開示された本発明に対して種々の置換および修正がなされ得ることは、当業者には容易に明らかになるであろう。
本明細書中に記述された特許および出版物は全て、本発明が関連する当該技術分野の当業者のレベルを示している。特許および出版物は全て、各々の個々の出版物が特定的に且つ独立して参照により援用されるべきであるのと同程度に、参照により本明細書中で援用される。
本明細書中に例証的に記載された本発明は、本明細書中に特定的に開示されない任意の単数または複数の素子、単数または複数の制限を伴わずに適切に実行され得る。したがって、例えば本明細書中の各場合において、「〜を含む」、「本質的に〜からなる」および「〜からなる」という用語のいずれかを、他の2つの用語のいずれかと置き換え得る。用いられてきた用語および表現は、説明を有するが、しかし制限を有さない用語として用いられており、このような用語および表現の使用に際して、示され、記述された特徴の任意の等価物またはその一部の除外は意図されず、種々の修正が特許請求された本発明の範囲内で可能であると理解される。したがって、好ましい実施形態および任意の特徴により具体的に本発明を開示してきたが、開示された本明細書中の概念の修正および変更が当業者により用いられ得ると、ならびにこのような修正および変更は添付の特許請求の範囲により定義されるような本発明の範囲内であるとみなされると理解されるべきである。
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内で記述される。
Claims (31)
- 被験体における腎臓状態の1つ以上の将来的変化の尤度の測定方法であって、以下の:
前記被験体から得られる体液試料に関して、トロンボスポンジン−1を含む1以上の腎損傷マーカーを検出するよう設計された1つ以上の検定を実施して、1つ以上の検定結果を提供すること;ならびに
前記検定結果(単数または複数)を、前記被験体の腎臓状態と相関させること
を包含する方法であって、
ここで前記相関ステップが、前記検定結果(単数または複数)に基づいて前記被験体に腎臓状態における1つ以上の将来的変化の尤度を割り当てることを包含し、前記腎臓状態の1つ以上の将来的変化は、腎機能に対する将来的損傷、腎機能の将来的低減、腎機能における将来的改善、および将来的急性腎不全(ARF)のうちの1つ以上を含む、方法。 - 前記相関ステップが、前記検定結果(単数または複数)を、前記被験体の腎臓状態の危険度層化、診断、病期分類、予後、分類およびモニタリングのうちの1つ以上と相関させることを包含する請求項1に記載の方法。
- 前記検定結果(単数または複数)が、以下の:
(i)可溶性CD44抗原の測定濃度、
(ii)アンギオポエチン−1の測定濃度、
(iii)可溶性アンギオポエチン−1受容体の測定濃度、
(iv)C−X−Cケモカインモチーフ5の測定濃度、
(v)可溶性エンドグリンの測定濃度、
(vi)可溶性腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1の測定濃度、
(vii)エリスロポエチンの測定濃度、
(viii)可溶性フラクタルカインの測定濃度、
(ix)ヘムオキシゲナーゼ1の測定濃度、
(x)可溶性インターロイキン−1受容体II型の測定濃度
(xi)可溶性インターロイキン−6受容体サブユニット−アルファの測定濃度、
(xii)リンホタクチンの測定濃度、
(xiii)リンホトキシン−アルファの測定濃度、
(xiv)ストロメリシン−1の測定濃度、
(xv)C−Cモチーフケモカイン22の測定濃度、
(xvi)C−Cモチーフケモカイン5の測定濃度、または
(xvii)トロンボスポンジン−1の測定濃度
のうちの1つ以上を含む請求項1に記載の方法であって、
前記相関ステップが、各検定結果に関して、前記測定濃度を閾値濃度と比較することを、ならびに
正方向マーカーに関して、前記測定濃度が閾値を下回る場合に割り当てられる尤度に比して、前記測定値が閾値を上回る場合に、腎機能に対する将来的損傷、腎機能の将来的低減、将来的ARF、または腎機能における将来的改善を蒙る尤度増大を前記被験体に割り当てること、もしくは、前記測定濃度が閾値を上回る場合に割り当てられる尤度に比して、前記測定値が閾値を下回る場合に、腎機能に対する将来的損傷、腎機能の将来的低減、将来的ARF、または腎機能における将来的改善を蒙る尤度低減を前記被験体に割り当てること、あるいは
負方向マーカーに関して、前記測定濃度が閾値を上回る場合に割り当てられる尤度に比して、前記測定値が閾値を下回る場合に、腎機能に対する将来的損傷、腎機能の将来的低減、将来的ARF、または腎機能における将来的改善を蒙る尤度増大を前記被験体に割り当てること、もしくは、前記測定濃度が閾値を下回る場合に割り当てられる尤度に比して、前記測定値が閾値を上回る場合に、腎機能に対する将来的損傷、腎機能の将来的低減、将来的ARF、または腎機能における将来的改善を蒙る尤度低減を前記被験体に割り当てること
を包含する方法。 - 腎臓状態における前記1つ以上の将来的変化が、前記被験体が蒙る腎損傷に関連した臨床結果を含む請求項1に記載の方法。
- 前記検定結果(単数または複数)が、以下の:
(i)可溶性CD44抗原の測定濃度、
(ii)アンギオポエチン−1の測定濃度、
(iii)可溶性アンギオポエチン−1受容体の測定濃度、
(iv)C−X−Cケモカインモチーフ5の測定濃度、
(v)可溶性エンドグリンの測定濃度、
(vi)可溶性腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1の測定濃度、
(vii)エリスロポエチンの測定濃度、
(viii)可溶性フラクタルカインの測定濃度、
(ix)ヘムオキシゲナーゼ1の測定濃度、
(x)可溶性インターロイキン−1受容体II型の測定濃度
(xi)可溶性インターロイキン−6受容体サブユニット−アルファの測定濃度、
(xii)リンホタクチンの測定濃度、
(xiii)リンホトキシン−アルファの測定濃度、
(xiv)ストロメリシン−1の測定濃度、
(xv)C−Cモチーフケモカイン22の測定濃度、
(xvi)C−Cモチーフケモカイン5の測定濃度、または
(xvii)トロンボスポンジン−1の測定濃度
のうちの1つ以上を含む請求項1に記載の方法であって、
前記相関ステップが、各検定結果に関して、前記測定濃度を閾値濃度と比較することを、ならびに
正方向マーカーに関して、前記測定濃度が閾値を下回る場合に割り当てられる尤度に比して、前記測定値が閾値を上回る場合に、その後の急性腎損傷、AKIの悪化段階、死亡率、腎代替療法の必要性、腎毒素の離脱の必要性、末期腎疾患、心不全、卒中、心筋梗塞または慢性腎疾患の尤度増大を前記被験体に割り当てること、もしくは、前記測定濃度が閾値を上回る場合に割り当てられる尤度に比して、前記測定値が閾値を下回る場合に、その後の急性腎損傷、AKIの悪化段階、死亡率、腎代替療法の必要性、腎毒素の離脱の必要性、末期腎疾患、心不全、卒中、心筋梗塞または慢性腎疾患の尤度低減を前記被験体に割り当てること、あるいは
負方向マーカーに関して、前記測定濃度が閾値を上回る場合に割り当てられる尤度に比して、前記測定値が閾値を下回る場合に、その後の急性腎損傷、AKIの悪化段階、死亡率、腎代替療法の必要性、腎毒素の離脱の必要性、末期腎疾患、心不全、卒中、心筋梗塞または慢性腎疾患の尤度増大を前記被験体に割り当てること、もしくは、前記測定濃度が閾値を下回る場合に割り当てられる尤度に比して、前記測定値が閾値を上回る場合に、その後の急性腎損傷、AKIの悪化段階、死亡率、腎代替療法の必要性、腎毒素の離脱の必要性、末期腎疾患、心不全、卒中、心筋梗塞または慢性腎疾患の尤度低減を前記被験体に割り当てること
を包含する方法。 - 腎臓状態における1つ以上の将来的変化の前記尤度が、体液試料が前記被験体から得られる時点の30日以内に当該事象が多少生じると思われる、ということである請求項1に記載の方法。
- 腎臓状態における1つ以上の将来的変化の前記尤度が、21日、14日、7日、5日、96時間、72時間、48時間、36時間、24時間および12時間からなる群から選択される期間内に当該事象が多少生じると思われる、ということである請求項6に記載の方法。
- 腎前性、内因性腎性、または腎後性ARFに関する1つ以上の既知の危険因子の前記被験体における先在性に基づいた腎臓状態の評価のために前記被験体が選択される請求項1に記載の方法。
- うっ血性心不全、子癇前症、子癇、真性糖尿病、高血圧症、冠動脈疾患、タンパク尿、腎機能不全、正常範囲を下回る糸球体濾過率、肝硬変、正常範囲を上回る血清クレアチニン、敗血症、腎機能に対する損傷、腎機能低減またはARFのうちの1つ以上の現存する診断に基づいた、あるいは大血管手術、冠動脈バイパス術または他の心臓手術を受けることまたは受けたことがあることに基づいた、あるいはNSAID、シクロスポリン、タクロリムス、アミノグリコシド、フォスカルネット、エチレングリコール、ヘモグロビン、ミオグロビン、イフォスファミド、重金属、メトトレキセート、放射線不透過性造影剤またはストレプトゾトシンへの曝露に基づいた腎臓状態の評価のために前記被験体が選択される請求項1に記載の方法。
- 前記相関ステップが、腎機能に対する損傷、腎機能低減またはARFのうちの1つ以上の発生または非発生の診断を、前記検定結果(単数または複数)に基づいて前記被験体に割り当てることを包含する請求項1に記載の方法。
- 前記検定結果(単数または複数)が、以下の:
(i)可溶性CD44抗原の測定濃度、
(ii)アンギオポエチン−1の測定濃度、
(iii)可溶性アンギオポエチン−1受容体の測定濃度、
(iv)C−X−Cケモカインモチーフ5の測定濃度、
(v)可溶性エンドグリンの測定濃度、
(vi)可溶性腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1の測定濃度、
(vii)エリスロポエチンの測定濃度、
(viii)可溶性フラクタルカインの測定濃度、
(ix)ヘムオキシゲナーゼ1の測定濃度、
(x)可溶性インターロイキン−1受容体II型の測定濃度
(xi)可溶性インターロイキン−6受容体サブユニット−アルファの測定濃度、
(xii)リンホタクチンの測定濃度、
(xiii)リンホトキシン−アルファの測定濃度、
(xiv)ストロメリシン−1の測定濃度、
(xv)C−Cモチーフケモカイン22の測定濃度、
(xvi)C−Cモチーフケモカイン5の測定濃度、または
(xvii)トロンボスポンジン−1の測定濃度
のうちの1つ以上を含む請求項10に記載の方法であって、
前記相関ステップが、各検定結果に関して、前記測定濃度を閾値濃度と比較することを、ならびに
正方向マーカーに関して、前記測定値が閾値を上回る場合に、腎機能に対する損傷、腎機能低減またはARFの発生を前記被験体に割り当てること、あるいは前記測定値が閾値を下回る場合に、腎機能に対する損傷、腎機能低減またはARFの非発生を前記被験体に割り当てること、もしくは
負方向マーカーに関して、前記測定値が閾値を下回る場合に、腎機能に対する損傷、腎機能低減またはARFの発生を前記被験体に割り当てること、あるいは前記測定値が閾値を上回る場合に、腎機能に対する損傷、腎機能低減またはARFの非発生を前記被験体に割り当てること
を包含する方法。 - 前記相関ステップが、腎機能に対する損傷、腎機能低減またはARFに罹患している被験体において腎機能が改善しているかまたは悪化しているかを、前記検定結果(単数または複数)に基づいて割り当てることを包含する請求項1に記載の方法。
- 前記検定結果(単数または複数)が、以下の:
(i)可溶性CD44抗原の測定濃度、
(ii)アンギオポエチン−1の測定濃度、
(iii)可溶性アンギオポエチン−1受容体の測定濃度、
(iv)C−X−Cケモカインモチーフ5の測定濃度、
(v)可溶性エンドグリンの測定濃度、
(vi)可溶性腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質1の測定濃度、
(vii)エリスロポエチンの測定濃度、
(viii)可溶性フラクタルカインの測定濃度、
(ix)ヘムオキシゲナーゼ1の測定濃度、
(x)可溶性インターロイキン−1受容体II型の測定濃度
(xi)可溶性インターロイキン−6受容体サブユニット−アルファの測定濃度、
(xii)リンホタクチンの測定濃度、
(xiii)リンホトキシン−アルファの測定濃度、
(xiv)ストロメリシン−1の測定濃度、
(xv)C−Cモチーフケモカイン22の測定濃度、
(xvi)C−Cモチーフケモカイン5の測定濃度、または
(xvii)トロンボスポンジン−1の測定濃度
のうちの1つ以上を含む請求項12に記載の方法であって、
前記相関ステップが、各検定結果に関して、前記測定濃度を閾値濃度と比較することを、ならびに
正方向マーカーに関して、前記測定値が閾値を上回る場合に、腎機能の悪化を前記被験体に割り当てること、もしくは前記測定値が閾値を下回る場合に、腎機能の改善を割り当てること、あるいは
負方向マーカーに関して、前記測定値が閾値を下回る場合に、腎機能の悪化を前記被験体に割り当てること、もしくは、前記測定値が閾値を上回る場合に、腎機能の改善を割り当てること
を包含する方法。 - 前記方法が、前記被験体における腎機能に対する損傷の発生または非発生の測定方法である請求項1に記載の方法。
- 前記方法が、前記被験体における腎機能低減の発生または非発生の測定方法である請求項1に記載の方法。
- 前記方法が、前記被験体における急性腎不全の発生または非発生の測定方法である請求項1に記載の方法。
- 前記方法が、前記被験体における腎代替療法に対する必要性の発生または非発生の測定方法である請求項1に記載の方法。
- 前記方法が、前記被験体における腎臓移植に対する必要性の発生または非発生の測定方法である請求項1に記載の方法。
- 前記方法が、前記被験体における腎機能に対する損傷の将来的発生または非発生の危険度を割り当てる方法である請求項1に記載の方法。
- 前記方法が、前記被験体における腎機能低減の将来的発生または非発生の危険度を割り当てる方法である請求項1に記載の方法。
- 前記方法が、前記被験体における急性腎不全の将来的発生または非発生の危険度を割り当てる方法ある請求項1に記載の方法。
- 前記方法が、前記被験体における腎代替療法に対する必要性の将来的発生または非発生の危険度を割り当てる方法である請求項1に記載の方法。
- 前記方法が、前記被験体における腎臓移植に対する必要性の将来的発生または非発生の危険度を割り当てる方法である請求項1に記載の方法。
- 腎臓状態における前記1つ以上の将来的変化が、前記体液試料が得られる時点の72時間以内の腎機能に対する将来的損傷、腎機能の将来的低減、腎機能における将来的改善、および将来的急性腎不全(ARF)のうちの1つ以上を含む請求項3に記載の方法。
- 腎臓状態における前記1つ以上の将来的変化が、前記体液試料が得られる時点の48時間以内の腎機能に対する将来的損傷、腎機能の将来的低減、腎機能における将来的改善、および将来的急性腎不全(ARF)のうちの1つ以上を含む請求項3に記載の方法。
- 腎臓状態における前記1つ以上の将来的変化が、前記体液試料が得られる時点の24時間以内の腎機能に対する将来的損傷、腎機能の将来的低減、腎機能における将来的改善、および将来的急性腎不全(ARF)のうちの1つ以上を含む請求項3に記載の方法。
- 将来的腎損傷の評価のための、トロンボスポンジン−1の使用。
- 将来的急性腎損傷の評価のための、トロンボスポンジン−1の使用。
- 前記被験体に割り当てられる、その後の急性腎損傷、AKIの悪化段階、死亡率、腎代替療法の必要性、腎毒素の離脱の必要性、末期腎疾患、心不全、卒中、心筋梗塞または慢性腎疾患の、増大されるかまたは低減される尤度が、前記体液試料が前記被験体から得られる時点の30日以内に当該事象が多少は起こると思われるという尤度である請求項5に記載の方法。
- 前記被験体に割り当てられる、その後の急性腎損傷、AKIの悪化段階、死亡率、腎代替療法の必要性、腎毒素の離脱の必要性、末期腎疾患、心不全、卒中、心筋梗塞または慢性腎疾患の、増大されるかまたは低減される尤度が、前記体液試料が前記被験体から得られる時点の72時間以内に当該事象が多少は起こると思われるという尤度である請求項5に記載の方法。
- 前記被験体に割り当てられる、その後の急性腎損傷、AKIの悪化段階、死亡率、腎代替療法の必要性、腎毒素の離脱の必要性、末期腎疾患、心不全、卒中、心筋梗塞または慢性腎疾患の、増大されるかまたは低減される尤度が、前記体液試料が前記被験体から得られる時点の24時間以内に当該事象が多少は起こると思われるという尤度である請求項5に記載の方法。
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