JP2016185177A - 眼科用顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】ステレオ角の変更を好適に行うことが可能な眼科用顕微鏡を提供する。【解決手段】実施形態の眼科用顕微鏡は、照明系と、一対の受光系と、第1機構とを備える。照明系は、被検眼に照明光を照射する。一対の受光系は、第1対物レンズ及び第1撮像素子をそれぞれ含み、互いの対物光軸が非平行に配置され、被検眼に照射された照明光の戻り光をそれぞれの第1対物レンズを介してそれぞれの第1撮像素子に導く。第1機構は、一対の受光系の対物光軸がなす角度を変更するように一対の受光系を相対的に移動する。【選択図】図1

Description

この発明は、眼科用顕微鏡に関する。
眼科分野では眼を拡大観察するために各種の顕微鏡が使用されている。そのような眼科用顕微鏡として、スリットランプ顕微鏡や手術用顕微鏡などがある。眼科用顕微鏡には、眼を撮影するための撮像素子を備えるものや、立体観察のための両眼視差を与える双眼光学系を備えるものがある。
眼科用顕微鏡は、前眼部(角膜、強膜、結膜等)と後眼部(網膜、視神経等)の双方の観察に用いられる。後眼部を観察する際には前置レンズ等の補助光学部材を付加的に使用することが一般的であるが、被検眼が縮瞳している場合や小瞳孔眼である場合には、虹彩によって観察光束が遮断されてしまい、双眼での観察を好適に行えないことが多々あった。この現象は、双眼光学系のステレオ角が大きい場合に生じやすい。一方、特に前眼部を観察する際には奥行き方向の情報が重要であり、立体感のある観察像を得ることが必要であるが、そのためにはステレオ角を十分に大きく取らなければならない。このような事情を考慮し、従来の典型的な眼科用顕微鏡では、観察光路にプリズムを配置してステレオ角を切り替えていた。
特開2008−86435号公報
しかしながら、プリズムを用いてステレオ角を変更する機構は非常に大きいため、眼科用顕微鏡のサイズも大きくならざるを得なかった。また、従来の眼科用顕微鏡には、ステレオ角の変更を好適に行えないという問題があった。たとえば、従来の眼科用顕微鏡においては、ステレオ角の調整可能範囲が狭く、その微調整もできなかった。
この発明の目的は、ステレオ角の変更を好適に行うことが可能な眼科用顕微鏡を提供することにある。
実施形態の眼科用顕微鏡は、照明系と、一対の受光系と、第1機構とを備える。照明系は、被検眼に照明光を照射する。一対の受光系は、第1対物レンズ及び第1撮像素子をそれぞれ含み、互いの対物光軸が非平行に配置され、被検眼に照射された照明光の戻り光をそれぞれの第1対物レンズを介してそれぞれの第1撮像素子に導く。第1機構は、一対の受光系の対物光軸がなす角度を変更するように一対の受光系を相対的に移動する。
実施形態によれば、ステレオ角の変更を好適に行うことが可能である。
実施形態に係る眼科用顕微鏡の構成の一例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科用顕微鏡の構成の一例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科用顕微鏡の構成の一例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科用顕微鏡の作用を示す概略図である。 実施形態に係る眼科用顕微鏡の作用を示す概略図である。 実施形態に係る眼科用顕微鏡の作用を示す概略図である。 変形例に係る眼科用顕微鏡の構成の一例を示す概略図である。 変形例に係る眼科用顕微鏡の構成の一例を示す概略図である。 変形例に係る眼科用顕微鏡の構成の一例を示す概略図である。 変形例に係る眼科用顕微鏡の構成の一例を示す概略図である。 変形例に係る眼科用顕微鏡の構成の一例を示す概略図である。
この発明に係る眼科用顕微鏡の実施形態の例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書において引用された文献の記載内容や任意の公知技術を、以下の実施形態に援用することが可能である。
眼科用顕微鏡は、眼科分野における診療や手術において被検眼の拡大像を観察(撮影)するために使用される。観察対象部位は、患者眼の任意の部位であってよく、たとえば、前眼部においては角膜や隅角や硝子体や水晶体や毛様体などであってよく、後眼部においては網膜や脈絡膜や硝子体であってよい。また、観察対象部位は、瞼や眼窩など眼の周辺部位であってもよい。
[構成]
実施形態に係る眼科用顕微鏡の構成を図1〜図3に示す。図1及び図2は光学系の構成を示す。図1は後眼部を観察するときの光学系を示し、図2は前眼部を観察するときの光学系を示す。図3は処理系の構成を示す。
眼科用顕微鏡1は、照明系10(10L、10R)と、受光系20(20L、20R)と、接眼系30(30L、30R)とを備える。後眼部(網膜等)を観察するときには、被検眼Eの直前に前置レンズ90が配置される。なお、図1に示すような非接触の前置レンズ90の代わりにコンタクトレンズ等を用いることが可能である。また、隅角を観察するときにはコンタクトミラー(三面鏡等)等を用いることができる。
(照明系10)
照明系10は、被検眼Eに照明光を照射する。図示は省略するが、照明系10は、照明光を発する光源や、照明野を規定する絞りや、レンズ系などを含む。照明系の構成は、従来の眼科装置(たとえばスリットランプ顕微鏡、眼底カメラ、レフラクトメータ等)と同様であってよい。
本実施形態の照明系10L及び10Rは、それぞれ受光系20L及び20Rと同軸に構成されている。具体的には、観察者の左眼ELに提示される像を取得するための左受光系20Lには、たとえばハーフミラーからなるビームスプリッタ11Lが斜設されている。ビームスプリッタ11Lは、左受光系20Lの光路に左照明系10Lの光路を結合している。左照明系10Lから出力された照明光は、ビームスプリッタ10Lにより反射され、左受光系20Lと同軸で被検眼Eを照明する。同様に、観察者の右眼ERに提示される像を取得するための右受光系20Rには、右受光系20Rの光路に右照明系10Rの光路を結合するビームスプリッタ11Rが斜設されている。
受光系20L(20R)の光軸に対する照明光の位置を変更可能に構成することができる。この構成は、たとえば、従来の眼科手術用顕微鏡と同様に、ビームスプリッタ11L(11R)に対する照明光の照射位置を変更するための手段を設けることにより実現される。
本例では、対物レンズ21L(21R)と被検眼Eとの間にビームスプリッタ11L(11R)が配置されているが、照明光の光路が受光系20L(20R)に結合される位置は、受光系20L(20R)の任意の位置でよい。
(受光系20)
本実施形態では、左右一対の受光系20L及び20Rが設けられている。左受光系20Lは、観察者の左眼ELに提示される像を取得するための構成を有し、右受光系20Rは、右眼ERに提示される像を取得するための構成を有する。左受光系20Lと右受光系20Rは同じ構成を備える。左受光系20L(右受光系20R)は、対物レンズ21L(21R)と、結像レンズ22L(22R)と、撮像素子23L(23R)とを含む。
なお、結像レンズ22L(22R)が設けられていない構成を適用することも可能である。本実施形態のように結像レンズ22L(22R)が設けられている場合、対物レンズ21L(21R)と結像レンズ22L(22R)との間をアフォーカルな光路(平行光路)とすることができ、フィルタ等の光学素子を配置することや、光路結合部材を配置して他の光学系からの光路を結合することが容易になる(すなわち、光学的構成の自由度や拡張性が向上される)。
符号AL1は、左受光系20Lの対物レンズ21Lの光軸(対物光軸)を示し、符号AR1は、右受光系20Rの対物レンズ21Rの光軸(対物光軸)を示す。左対物光軸AL1と右対物光軸AR1とがなす角θ1は、図1に示す状態におけるステレオ角を示す。受光素子23L(23R)は、たとえばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等のエリアセンサである。
以上は、被検眼Eの後眼部(眼底)を観察するときの受光系20の構成である(図1)。一方、前眼部を観察するときには、図2に示すように、対物レンズ21L(21R)に対して被検眼E側の位置に、フォーカスレンズ24L(24R)とウェッジプリズム25L(25R)とが配置される。本例のフォーカスレンズ24L(24R)は凹レンズであり、対物レンズ21L(21R)の焦点距離を延長するように作用する。ウェッジプリズム25L(25R)は、左受光系20L(右受光系20R)の光路(対物光軸AL1(AR1))を所定角度だけ外側に偏向する(符号AL2及びAR2で示す)。このように、フォーカスレンズ24L及びウェッジプリズム25Lが左受光系20Lに配置され、かつ、フォーカスレンズ24R及びウェッジプリズム25Rが右受光系20Rに配置されることにより、後眼部観察用の焦点位置F1から前眼部観察用の焦点位置F2に切り替えられる。
フォーカスレンズ24L及び24R並びにウェッジプリズム25L及び25Rが配置されることにより偏向された左右の対物光路(対物光軸)AL2及びAR2がなす角θ2は、図2に示す状態におけるステレオ角を示す。つまり、フォーカスレンズ24L及び24R並びにウェッジプリズム25L及び25Rが配置されることにより、一対の受光系20L及び20Rのステレオ角が、後眼部観察用のステレオ角θ1から前眼部観察用のステレオ角θ2に切り替えられる。
フォーカスレンズとして凸レンズを用いることが可能である。その場合、フォーカスレンズは、後眼部観察時に光路に配置され、前眼部観察時に光路から退避される。フォーカスレンズの挿入/退避によって焦点距離を切り替える代わりに、たとえば光軸方向に移動可能なフォーカスレンズを設けることにより焦点距離を連続的又は段階的に変更できるように構成することが可能である。
図2に示す例では、ウェッジプリズム25L(25R)の基底方向は外側である(つまりベースアウト配置である)が、ベースイン配置のウェッジプリズムを用いることができる。その場合、ウェッジプリズムは、後眼部観察時に光路に配置され、前眼部観察時に光路から退避される。ウェッジプリズムの挿入/退避によって光路の方向を切り替える代わりに、プリズム量(及びプリズム方向)が可変なプリズムを設けることにより光路の向きを連続的又は段階的に変更できるように構成することが可能である。
(接眼系30)
本実施形態では、左右一対の接眼系30L及び30Rが設けられている。左接眼系30Lは、左受光系20Lにより取得された被検眼Eの像を観察者の左眼ELに提示するための構成を有し、右接眼系30Lは、右受光系20Lにより取得された被検眼Eの像を右眼ELに提示するための構成を有する。左接眼系30Lと右接眼系30Rは同じ構成を備える。左接眼系30L(右接眼系30R)は、表示部31L(31R)と、接眼レンズ系32L(32R)とを含む。
表示部31L(31R)は、たとえばLCD等のフラットパネルディスプレイである。表示部31L(31R)の表示面のサイズは、たとえば(対角線長)7インチ以下とされる。左右一対の接眼系30L及び30Rに設けられる表示デバイスの画面サイズは、観察者の眼幅(瞳孔間距離等)や、装置のサイズや、装置の設計(光学系や機構の配置等)などに制約を受ける。すなわち、このような制約条件と見掛け視野の広さはトレードオフの関係にある。このような観点から、表示部31L及び31Rの画面サイズの最大値は7インチ程度と考えられる。なお、接眼レンズ系32L及び32Rの構成や機構の配置を工夫することにより、7インチを超える画面サイズの表示部31L及び31Rを適用することができ、或いは、小サイズの表示部31L及び31Rを適用することができる。
後述のように、左接眼系30Lと右接眼系30Rとの間隔を変更することが可能である。それにより、観察者の眼幅に応じて左接眼系30Lと右接眼系30Rとの間隔を調整することができる。また、左接眼系30Lと右接眼系30Rとの相対的向きを変更することが可能である。つまり、左接眼系30Lの光軸と右接眼系30Rの光軸とがなす角度を変更することが可能である。それにより、両眼EL及びERの輻輳を誘発することができ、観察者による立体視を支援することができる。
(制御部100)
制御部100は、眼科用顕微鏡1の各部の制御を実行する(図3参照)。照明系10の制御の例として次のものがある:光源の点灯、消灯、光量調整;絞りの調整;スリット照明が可能な場合にはスリット幅の調整。撮像素子23の制御として、露光調整やゲイン調整や撮影レート調整などがある。
制御部100は、各種の情報を表示部31に表示させる。たとえば、制御部100は、撮像素子23Lにより取得された画像(又はそれを処理して得られた画像)を表示部31Lに表示させ、かつ、撮像素子23Rにより取得された画像(又はそれを処理して得られた画像)を表示部31Rに表示させる。このとき、制御部100は、撮像素子23L(23R)により取得された画像の向きを変更して表示部31L(31R)に表示させることができる。たとえば、本実施形態のように、倒立像を正立像に変換するインバータが受光径に設けられていない場合、制御部100は、撮像素子23L(23R)により取得された画像を反転して正立像として表示部31L(31R)に表示させることができる。また、表示部31L(31R)に表示された画像を反転して左眼EL(右眼ER)に提示するように接眼レンズ系32L(32R)が構成されている場合、制御部100は、表示部31L(31R)に倒立像を表示するように制御を行う。このような構成により、インバータを設ける必要がなくなるため、光学系に含まれる部材の数を減少させることができ、コストダウンや装置の小型化を図ることができる。
更に、制御部100は、各種の機構を制御する。そのような機構としては、ステレオ角変更部20A、合焦部24A、光路偏向部25A、間隔変更部30A、及び向き変更部30Bが設けられている。
ステレオ角変更部20Aは、左受光系20Lと右受光系20Rとを相対的に回転移動する。すなわち、ステレオ角変更部20Aは、互いの対物光軸(たとえばAL1とAR1)がなす角度を変更するように左受光系20Lと右受光系20Rとを相対移動させる。この相対移動は、たとえば、左受光系20Lと右受光系20Rとを反対の回転方向に同じ角度だけ移動させるものである。この移動態様においては、互いの対物光軸(たとえばAL1とAR1)がなす角の二等分線の向きは一定である。一方、当該二等分線の向きが変化するように上記相対移動を行うことも可能である。
ステレオ角変更部20Aを制御することにより図2に示す状態からステレオ角が拡大された状態の例を図4に示す。図4に示すステレオ角θ3は、図2に示すステレオ角θ2より大きい。なお、ステレオ角変更部20Aによりステレオ角が変更されても、左右の接眼系30L及び30Rの相対位置(間隔、相対的向き)は変化しない。また、ステレオ角の変化に対応して、被検眼Eに対する左右の受光系20L及び20Rの距離を調整したり、左右の受光系20L及び20Rの焦点距離を変更したりすることにより、焦点位置が移動しないように制御を行うことができる。
合焦部24Aは、左右のフォーカスレンズ24L及び24Rを光路に対して挿入/退避させる。合焦部24Aは、左右のフォーカスレンズ24L及び24Rを同時に挿入/退避させるように構成されていてよい。他の例において、合焦部24Aは、左右のフォーカスレンズ24L及び24Rを(同時に)光軸方向に移動させることによって焦点位置を変更するように構成されてよく、或いは、左右のフォーカスレンズ24L及び24Rの屈折力を(同時に)変更することによって焦点距離を変更するように構成されてよい。
光路偏向部25Aは、左右のウェッジプリズム25L及び25Rを光路に対して挿入/退避させる。光路偏向部25Aは、左右のウェッジプリズム25L及び25Rを同時に挿入/退避させるように構成されていてよい。他の例において、光路偏向部25Aは、左右のウェッジプリズム25L及び25Rのプリズム量(及びプリズム方向)を(同時に)変更することによって左右の受光系20L及び20Rの光路の向きを変更するように構成されてよい。
間隔変更部30Aは、左右の接眼系30L及び30Rの間隔を変更する。間隔変更部30Aは、互いの光軸の相対的向きを変化させずに左右の接眼系30L及び30Rを相対的に移動するように構成されてよい。
向き変更部30Bは、左右の接眼系30L及び30Rの相対的向きを変更する。向き変更部30Bは、互いの光軸がなす角度を変更するように左接眼系30Lと右接眼系30Rとを相対移動させる。この相対移動は、たとえば、左接眼系30Lと右接眼系30Rとを反対の回転方向に同じ角度だけ移動させるものである。この移動態様においては、互いの光軸がなす角の二等分線の向きは一定である。一方、当該二等分線の向きが変化するように上記相対移動を行うことも可能である。
図5Aは、図1又は図2に示す状態における左右の接眼系30L及び30Rの相対的向きを示す。この状態では、左右の接眼系30L及び30Rの光軸が平行に配置されている(平行視状態)。向き変更部30Bを制御することにより、図5Aに示す状態から左右の接眼系30L及び30Rの相対的向きが変更された状態の例を図5Bに示す。図5Bに示す状態では、左右の接眼系30L及び30Rの光軸が非平行に配置されている(内方視状態)。なお、向き変更部30Bを制御することにより、左右の接眼系30L及び30Rの光軸がなす角度を任意に(連続的又は段階的に)変更することが可能である。
(データ処理部200)
データ処理部200は、各種のデータ処理を実行する。このデータ処理には、たとえば、画像を形成する処理や、画像を加工する処理などが含まれる。また、データ処理部200は、画像や検査結果や測定結果の解析処理や、被検者に関する情報(電子カルテ情報等)に関する処理を実行可能であってよい。データ処理部200には拡大画像形成部210が設けられている。
拡大画像形成部210は、撮像素子23により取得された画像を拡大する。この処理は、いわゆるデジタルズーム処理であり、撮像素子23により取得された画像の一部を切り取る処理と、その部分の拡大画像を作成する処理とを含む。画像の切り取り範囲は、観察者により又は制御部100により設定される。拡大画像形成部210は、左受光系20Lの撮像素子23Lにより取得された画像(左画像)と、右受光系20Rの撮像素子23Rにより取得された画像(右画像)とに対して、同じ処理を施す。それにより、観察者の左眼ELと右眼ELとに同じ倍率の画像が提示される。
なお、このようなデジタルズーム機能に加えて、又はそれの代わりに、いわゆる光学ズーム機能を設けることが可能である。光学ズーム機能は、左右の受光系20L及び20Rのそれぞれに変倍レンズ(変倍レンズ系)を設けることにより実現される。具体例として、変倍レンズを(選択的に)光路に対して挿入/退避する構成や、変倍レンズを光軸方向に移動させる構成がある。光学ズーム機能に関する制御は制御部100によって実行される。
(ユーザインターフェイス300)
ユーザインターフェイス(UI)300は、観察者等と眼科用顕微鏡1との間で情報のやりとりを行うための機能を備える。ユーザインターフェイス300は、表示デバイスと操作デバイス(入力デバイス)とを含む。表示デバイスは、表示部31を含んでよく、それ以外の表示デバイスを含んでもよい。操作デバイスは、各種のハードウェアキー及び/又はソフトウェアキーを含む。操作デバイスの少なくとも一部と表示デバイスの少なくとも一部とを一体的に構成することが可能である。タッチパネルディスプレイはその一例である。
(通信部400)
通信部400は、他の装置に情報を送信する処理と、他の装置から送られた情報を受信する処理とを行う。通信部400は、既定のネットワーク(LAN、インターネット等)に準拠した通信デバイスを含んでいてよい。たとえば、通信部400は、医療機関内に設けられたLANを介して、電子カルテデータベースや医用画像データベースから情報を取得する。また、外部モニタが設けられている場合、通信部400は、眼科用顕微鏡1により取得される画像を、実質的にリアルタイムで外部モニタに送信することができる。
[作用・効果]
本実施形態の眼科用顕微鏡の作用及び効果について説明する。
本実施形態の眼科用顕微鏡は、照明系(10)と、一対の受光系(20L、20R)と、第1機構(ステレオ角変更部20A)を備える。照明系は、被検眼に照明光を照射する。一対の受光部は、第1対物レンズ(21L、21R)及び第1撮像素子(23L、23R)をそれぞれ含み、互いの対物光軸(AL1、AR1)が非平行に配置され、被検眼に照射された照明光の戻り光をそれぞれの第1対物レンズを介してそれぞれの第1撮像素子に導く。第1機構は、一対の受光系の対物光軸がなす角度を変更するように一対の受光系を相対的に移動する。
互いの対物光軸がなす角度(ステレオ角)を変更するために一対の受光系を相対的に移動する構成は、一対の受光系がそれぞれ独立の対物レンズを有することによって実現可能となる。ここで、一対の受光系の相対的移動は、たとえば、一対の受光系のそれぞれの焦点を中心とする回転移動である。或いは、一対の受光系の相対的移動は、任意の位置を中心とする回転移動である。この場合、相対的移動の前後における焦点位置が一致するように、一対の受光系を平行移動するための制御を付加的に実行することが可能である。なお、一対の受光系に共通の対物レンズが設置される従来の構成においてはステレオ角を任意に変更することができない。
このような眼科用顕微鏡によれば、簡易な構成でステレオ角を任意に変更することができ、また、ステレオ角の変更可能範囲を大きくすることができる。典型的には、本構成によれば、大きなステレオ角を実現することができ、立体感のある観察像を得ることが可能である。特に、高倍率での観察時に十分大きなステレオ角を適用することにより、立体感のある観察像を得ることができる。更に、ステレオ角を微調整することも容易である。たとえば、眼底観察時に照明光やその戻り光が虹彩にけられた場合、被検眼の瞳孔サイズに応じてステレオ角を小さくすることができる。
また、プリズムを用いてステレオ角を変更する従来の機構は非常に大きく、眼科用顕微鏡のサイズも大きくならざるを得なかったが、本構成では一対の受光系を移動するための第1機構を設けるだけでよいので、従来のように装置サイズが大きくなることがない。また、実施形態によれば、一対の受光系のそれぞれに対物レンズが設けられており、双方の受光系に共通の大径の対物レンズが使用されていない。したがって、光学設計や機構設計の自由度が向上し、また、装置の小型化を図ることもできる。
実施形態において、一対の受光系の少なくとも一方の撮像素子からの出力に基づく画像を表示手段に表示させる第1制御部(制御部100)が設けられていてよい。表示手段は、眼科用顕微鏡に設けられた表示デバイスを含んでもよいし、眼科用顕微鏡の外部に設けられた表示デバイスを含んでもよい。
この構成によれば、一対の受光系により取得された画像を提示することが可能である。なお、一対の受光系の双方により取得された画像を提示する場合、立体視が可能な態様で一対の画像を提示することが可能である。
表示手段の少なくとも一部が眼科用顕微鏡に設けられる場合の例として、一対の接眼部(接眼系30L、30R)を設けることが可能である。一対の接眼部のそれぞれは、表示手段(表示部31L、31R)と、この表示手段の表示面側に配置された1以上のレンズ(接眼レンズ系32L、32R)とを含む。第1制御部は、一対の受光系の一方(20L)の第1撮像素子(23L)からの出力に基づく画像を一対の接眼部の一方(30L)の表示手段(31L)に表示させ、かつ、一対の受光系の他方(20R)の第1撮像素子(23R)からの出力に基づく画像を一対の接眼部の他方(30R)の表示手段(31R)に表示させる。
この構成によれば、あたかも一般的な双眼アイピースを介して目視観察を行う場合のように、一対の受光系により取得された一対の画像を観察することができる。このような構成を適用する場合、従来の顕微鏡と比較して十分に大きな射出瞳径を実現することができるので、見やすさや疲れにくさが向上する。
実施形態は、一対の接眼部の間隔を変更するための第2機構(間隔変更部30A)を備えていてよい。
この構成によれば、観察者の眼幅(瞳孔間距離等)に応じて一対の接眼部の間隔を調整することが可能となり、双眼での観察を快適に行うことができる。
実施形態は、一対の接眼部の相対的向きを変更するための第3機構(向き変更部30B)を備えていてよい。
この構成によれば、一対の接眼部の互いの光軸が平行に配置された状態(平行視)と、互いの光軸が非平行に配置された状態(内方視)とを、観察者の好み等によって任意に選択することができる。また、互いの光軸がなす角度を調整することにより、観察者の両眼の輻輳を誘発することができ、立体視を支援することができる。また、眼幅調整と輻輳調整とを組み合わせることにより、多少の斜視を有する観察者であっても比較的容易に立体視を行うことが可能である。
実施形態は、第1撮像素子(23L、23R)からの出力に基づく画像の拡大画像を形成する拡大画像形成部(210)を備えていてよい。第1制御部は、拡大画像形成部により形成された拡大画像を表示手段(31L、31R等)に表示させる。
この構成によれば、いわゆるデジタルズーム機能を用いて被検眼の拡大観察を行うことが可能である。デジタルズーム機能は、変倍レンズ等の光学素子を必要としないので、光学系の構成が簡易になるという利点もある。
なお、一対の受光系のそれぞれは変倍レンズを含んでいてもよい。それにより、いわゆる光学ズーム機能を用いて被検眼の拡大観察を行うことができる。光学ズーム機能は、デジタルズーム機能のように画質を劣化させることがないという利点を有する。
実施形態は、デジタルズーム機能及び光学ズーム機能の一方又は双方を備えていてよい。双方を備える場合、一方を優先的に実行することや、双方を組み合わせて実行することが可能である。
実施形態において、一対の受光系のそれぞれは、焦点位置を変更するためのレンズ(フォーカスレンズ24L、24R)を含んでいてよい。更に、これらレンズを連係動作させるための第4機構(合焦部24A)が設けられていてよい。第4機構は、たとえば、これらレンズをともに光路に挿入し、かつ、ともに光路から退避させる。或いは、第4機構は、これらレンズをともに移動させる。
この構成によれば、観察部位に応じた焦点位置の変更を容易に行うことができる。たとえば、従来は、前眼部観察から眼底観察に移行する際に、顕微鏡自体を前後方向に移動させる操作を行う必要があったが、本実施形態によれば、レンズの挿入/退避、又はレンズの移動などによって容易に焦点位置を変更することが可能である。
実施形態において、一対の受光系のそれぞれは、光路を偏向するための偏向部材(ウェッジプリズム25L、25R)を含んでいてよい。更に、これら偏向部材を連係動作させるための第5機構(光路偏向部25A)が設けられていてよい。第5機構は、たとえば、これら偏向部材をともに光路に挿入し、かつ、ともに光路から退避させる。
この構成によれば、観察部位に応じた焦点位置の変更を容易に行うことができる。特に、焦点位置を変更するためのレンズ及びそれらを連係動作させるための第4機構を当該構成と組み合わせることで、焦点位置の移動をより好適に行うことが可能である。
実施形態は、一対の受光系のそれぞれの光路に照明系の光路を結合する光路結合部材(11L、11R)を備えていてよい。つまり、受光系と照明系とを同軸に構成することが可能である。なお、受光系と照明系とを非同軸に構成した例については後述する。
実施形態は、一対の受光系(主たる受光系)と異なる受光系を備えていてよい。特に、主たる受光系と異なる一対の受光系を備えていてよい。このような「他の一対の受光系」は、主たる受光系と同様に、対物レンズ及び撮像素子をそれぞれ含み、互いの対物光軸が非平行に配置されていてよい。そして、他の一対の受光系は、照明系により被検眼に照射された照明光の戻り光をそれぞれの対物レンズを介してそれぞれの撮像素子に導くよう構成される。このような他の一対の受光系は、たとえば助手用顕微鏡として使用される。たとえば手術においては、術者が主たる受光系を利用し、助手が助手用顕微鏡を利用する。助手用顕微鏡により取得された一対の画像は、たとえば、一対の接眼部と同様の構成の他の一対の接眼部を介して提示される。その他、主たる受光系に関する任意の構成や事項を、助手用顕微鏡に対して同様にして適用することが可能である。
[変形例]
上記の実施形態は、本発明を実施するための例示に過ぎない。本発明を実施しようとする者は、本発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加、置換等を施すことが可能である。以下、上記の実施形態における図面を適宜に参照する。
(変形例1)
上記の実施形態において、フォーカスレンズ24L及び24R並びにウェッジプリズム25L及び25Rは、眼底観察時には光路から退避され、前眼部観察時には光路に挿入される。このような動作を自動化することが可能である。実施形態では、被検眼の観察部位を変更するための補助光学部材が使用される。たとえば、眼底観察時には光路に前置レンズ90が配置され、前眼部観察時には光路から退避される。
本変形例の眼科用顕微鏡は、補助光学部材の状態(つまり観察部位の選択)に応じてフォーカスレンズ24L及び24Rの状態を変更する。つまり、制御部100は、補助光学部材による観察部位の変更に応じて、フォーカスレンズ24L及び24Rを連係動作するための第4機構を制御する。同様に、制御部100は、補助光学部材による観察部位の変更に応じて、ウェッジプリズム25L及び25Rを連係動作させるための第5機構を制御する。
具体例を説明する。制御部100は、前置レンズ90が光路から退避されたことを受けて、フォーカスレンズ24L及び24R並びにウェッジプリズム25L及び25Rを光路に挿入するように合焦部24A及び光路偏向部25Aを制御する。逆に、制御部100は、前置レンズ90が光路に挿入されたことを受けて、フォーカスレンズ24L及び24R並びにウェッジプリズム25L及び25Rから退避させるように合焦部24A及び光路偏向部25Aを制御する。
本変形例の眼科用顕微鏡は、補助光学部材の状態(たとえば、前置レンズ90が光路に挿入されているか否か)を示す情報を生成する構成を備えてよい。たとえば、前置レンズ90を保持するアームの配置状態をマイクロスイッチ等のセンサを用いて検出することができる。或いは、前置レンズ90の挿入/退避を制御部100からの信号に基づき行う構成の場合、制御の履歴を参照することによって前置レンズ90の現在の状態を認識することができる。
他の例として、撮像素子23L及び/又は23Rにより取得される画像と、フォーカスレンズ24L及び24R並びにウェッジプリズム25L及び25Rの現在の状態とに基づいて、前置レンズ90が光路に配置されているか否か判定することができる。たとえば、フォーカスレンズ24L等が光路に配置されている状態において取得された画像をデータ処理部200にて解析することにより当該画像のボケ状態を示す量を求める。このボケ量が閾値以上である場合、前置レンズ90が光路に配置されていると判定する。逆に、ボケ量が閾値未満である場合、前置レンズ90は光路から退避されていると判定する。フォーカスレンズ24L等が光路から退避されている状態において取得された画像を解析する場合についても、同様にして前置レンズ90の状態を判定することが可能である。
本変形例によれば、焦点位置を変更するためのレンズ(フォーカスレンズ24L及び24R)の状態や、光路を偏向するための偏向部材(ウェッジプリズム25L及び25R)の状態を、観察部位の切り替えに応じて自動で変更することができる。したがって、操作性の更なる向上を図ることができる。
(変形例2)
上記の実施形態の照明系(10L及び10R)は、一対の受光系(20L及び20R)と同軸に配置されている。本変形例では、一対の受光系に対して非同軸に照明系が配置された構成、つまり、一対の受光系の対物光軸と異なる方向から照明光を照射可能な構成について説明する。本変形例の光学系の構成例を図6に示す。眼科用顕微鏡1Aの照明系10Sは、たとえばスリット光を被検眼に照射可能である。このような眼科用顕微鏡の典型的な例としてスリットランプ顕微鏡がある。本変形例では、スリットランプ顕微鏡のように、照明系10Sと、受光系20L及び20Rとの相対位置を変更可能である。つまり、照明系10Sと、受光系20L及び20Rとが、同一の軸周りに回動可能に構成される。それにより、スリット光で照明されている角膜等の断面を斜め方向から観察することが可能である。
眼科用顕微鏡は、上記実施形態のような同軸照明系と、本変形例のような非同軸照明系との一方又は双方を備えていてよい。双方の照明系を備える場合、たとえば観察部位の切り替えに応じて、使用される照明系の切り替えを行うことができる。
(変形例3)
眼科用顕微鏡は、被検眼を拡大観察するための顕微鏡としての機能に加え、他の眼科装置としての機能を有していてよい。他の眼科装置としての機能の例として、OCT、レーザ治療、眼軸長測定、屈折力測定、高次収差測定などがある。他の眼科装置は、被検眼の検査や測定や画像化を光学的手法で行うことが可能な任意の構成を備える。
本変形例に係る眼科用顕微鏡の構成例を図7〜図10に示す。本変形例の眼科用顕微鏡1Bは、上記実施形態と同様の構成に加え、OCT機能とレーザ治療機能とを備える。具体的には、眼科用顕微鏡1Bは、上記実施形態と同様の照明系10、受光系20及び接眼系30に加え、照射系40、OCT部60及びレーザ治療部80を備える。
照射系40は、前述した「他の眼科装置」としての機能を実現するための光を、受光系20の対物光軸(AL1及びAR1)と異なる方向から被検眼Eに照射する。本例の照射系40は、OCTのための光(測定光)と、レーザ治療のための光(照準光、治療用レーザ光)とを被検眼Eに照射する。
照射系40は、光スキャナ41と、結像レンズ42と、リレーレンズ43と、偏向ミラー44とを含む。光スキャナ41には、OCT部60及びレーザ治療部80からの光が導かれる。
OCT部60からの光(測定光)は、光ファイバ51Aにより導かれ、そのファイバ端面から出射する。このファイバ端面に臨む位置には、コリメートレンズ52Aが配置されている。コリメートレンズ52Aにより平行光束とされた測定光は、OCT用光路とレーザ治療用光路とを結合する部材53に導かれる。一方、レーザ治療部80からの光(照準光、治療用レーザ光)は、光ファイバ51Bにより導かれ、そのファイバ端面から出射する。このファイバ端面に臨む位置には、コリメートレンズ52Bが配置されている。コリメートレンズ52Bにより平行光束とされた測定光は、光路結合部材53に導かれる。
OCTのための波長とレーザ治療のための波長とが異なる場合、光路結合部材53としてダイクロイックミラーを用いることができる。典型的には、OCTための光として1050nm程度の中心波長を備える広帯域光を利用し、かつ、レーザ治療のための光として635nm程度の波長のレーザ光を用いることができる(照準光としてはたとえば任意の可視光を用いることができる)。他方、双方の波長が実質的に同じ場合や近い場合には、光路結合部材53としてハーフミラーを用いることが可能である。他の例として、OCTを行うタイミングとレーザ治療を行うタイミングとが異なる場合には、クイックリターンミラー等の光路切替部材を光路結合部材53として用いることが可能である。図7に示す例では、OCT部60からの測定光は光路結合部材53を透過して光スキャナ41に入射し、レーザ治療部80からの光は光路結合部材53に反射されて光スキャナ41に入射する。
光スキャナ41は、2次元光スキャナであり、水平方向(x方向)へ光を偏向するxスキャナ41Hと、垂直方向(y方向)へ光を偏向するyスキャナ41Vとを含む。xスキャナ41H及びyスキャナ41Vは、それぞれ任意の形態の光スキャナであってよく、たとえばガルバノミラーが使用される。光スキャナ41は、たとえば、コリメートレンズ52A及び52Bのそれぞれの射出瞳位置又はその近傍位置に配置される。更に、光スキャナ41は、たとえば、結像レンズ42の入射瞳位置又はその近傍位置に配置される。
本例のように2つの1次元光スキャナを組み合わせて2次元光スキャナを構成する場合、2つの1次元光スキャナは所定距離(たとえば10mm程度)だけ離れて配置されるので、たとえば、いずれかの1次元光スキャナを上記射出瞳位置及び/又は上記入射瞳位置に配置することができる。
結像レンズ42は、光スキャナ41を通過した平行光束(測定光、照準光、治療用レーザ光)を一旦結像される。更に、この光を被検眼E(眼底、角膜等の観察部位)において再結像させるために、この光をリレーレンズ43によりリレーし、偏向ミラー44により被検眼Eに向けて反射する。
照射系40により導かれてきた光が受光系20の対物光軸(AL1及びAR1、並びにAL2及びAR2)と異なる方向から被検眼Eに照射されるように、偏向ミラー44の位置は予め決定されている。本例では、互いの対物光軸が非平行に配置された左受光系20Lと右受光系20Rとの間の位置に偏向ミラー44が配置されている。このような配置を可能にする要因の一つに、リレーレンズ43を配置したことによる光学的構成の自由度の向上がある。また、たとえば、水平方向の光スキャナ(本例ではxスキャナ41H)と共役な位置と、対物レンズ21L及び21Rとの間の距離を十分に小さく設計することが可能となるため、装置の小型化を図ることができる。
一般に、光スキャナ41によるスキャン可能範囲(スキャン可能角度)は制限されているので、焦点距離が可変な結像レンズ42(又は結像レンズ系)を適用することによってスキャン可能範囲を拡大することが可能である。その他にも、スキャン可能範囲を拡大するための任意の構成を適用することが可能である。
OCT部60は、OCTを実行するための干渉光学系を含む。OCT部60の構成の例を図8に示す。図8に示す光学系は、スウェプトソースOCTの例であり、波長走査型(波長掃引型)光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被検眼Eからの測定光の戻り光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光を検出する。干渉光学系による干渉光の検出結果(検出信号)は、干渉光のスペクトルを示す信号であり、制御部100に送られる。
光源ユニット61は、一般的なスウェプトソースタイプのOCT装置と同様に、出射光の波長を走査(掃引)可能な波長走査型(波長掃引型)光源を含む。光源ユニット61は、人眼では視認できない近赤外の波長帯において、出力波長を時間的に変化させる。
光源ユニット61から出力された光L0は、光ファイバ62により偏波コントローラ63に導かれてその偏光状態が調整され、光ファイバ64によりファイバカプラ65に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。
参照光LRは、光ファイバ66Aによりコリメータ67に導かれて平行光束に変換され、光路長補正部材68及び分散補償部材69を経由し、コーナーキューブ70に導かれる。光路長補正部材68は、参照光LRの光路長(光学距離)と測定光LSの光路長とを合わせるための遅延手段として作用する。分散補償部材69は、参照光LRと測定光LSとの間の分散特性を合わせるための分散補償手段として作用する。
コーナーキューブ70は、参照光LRの進行方向を逆方向に折り返す。コーナーキューブ70は、参照光LRの入射光路及び出射光路に沿う方向に移動可能とされ、それにより参照光LRの光路の長さが変更される。なお、測定光LSの光路の長さを変更するための手段と、参照光LRの光路の長さを変更するための手段のうちのいずれか一方が設けられていればよい。
コーナーキューブ70を経由した参照光LRは、分散補償部材69及び光路長補正部材68を経由し、コリメータ71によって平行光束から集束光束に変換されて光ファイバ72に入射し、偏波コントローラ73に導かれて参照光LRの偏光状態が調整される。更に、参照光LRは、光ファイバ74によりアッテネータ75に導かれて、制御部100の制御の下で光量が調整される。光量が調整された参照光LRは、光ファイバ76によりファイバカプラ77に導かれる。
一方、ファイバカプラ65により生成された測定光LSは、光ファイバ51Aにより導かれてファイバ端面から出射され、コリメータレンズ52Aにより平行光束とされる。平行光束にされた測定光LSは、ダイクロイックミラー53、光スキャナ41、結像レンズ42、リレーレンズ43及び偏向ミラー44を経由して被検眼Eに照射される。測定光LSは、被検眼Eの様々な深さ位置において反射・散乱される。被検眼Eからの測定光LSの戻り光は、反射光や後方散乱光を含み、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ65に導かれ、光ファイバ66Bを経由してファイバカプラ77に到達する。
ファイバカプラ77は、光ファイバ66Bを介して入射された測定光LSと、光ファイバ76を介して入射された参照光LRとを合成して(干渉させて)干渉光を生成する。ファイバカプラ77は、所定の分岐比(たとえば1:1)でこの干渉光を分割することにより、一対の干渉光LCを生成する。ファイバカプラ77から出射した一対の干渉光LCは、それぞれ光ファイバ78A及び78Bにより検出器79に導かれる。
検出器79は、たとえば一対の干渉光LCをそれぞれ検出する一対のフォトディテクタを含み、これらによる検出結果の差分を出力するバランスドフォトダイオード(Balanced Photo Diode)である。検出器79は、その検出結果(検出信号)を制御部100に送る。
本例ではスウェプトソースOCTが適用されているが、他のタイプのOCT、たとえばスペクトラルドメインOCTを適用することが可能である。
レーザ治療部80は、レーザ治療を行うための構成を含む。特に、レーザ治療部80は、被検眼Eに照射される光を発生する。レーザ治療部80は、照準光源81Aと、治療光源81Bと、ガルバノミラー82と、遮光板83とを含む(図9参照)。なお、これら以外の部材をレーザ治療部80に設けることができる。たとえば、光ファイバ51Bの直前位置に、レーザ治療部80により発生された光を光ファイバ51Bの端面に入射させる光学素子(レンズ等)を設けることができる。
照準光源81Aは、レーザ治療を施す部位に照準を合わせるための照準光LAを発生する。照準光源81Aとしては任意の光源が用いられる。本例では、被検眼Eの撮影画像を観察しつつ照準を合わせる構成が適用されるので、撮像素子23(23L及び23R)が感度を有する波長帯の光を発する光源(レーザ光源、発光ダイオード等)が照準光源81Aとして用いられる。なお、目視観察により照準合わせを行う構成が適用される場合には、照準光LAとして可視光が用いられる。照準光LAは、ガルバノミラー82に導かれる。
治療光源81Bは、治療用レーザ光(治療光LT)を発する。治療光LTは、その用途に応じて可視レーザ光でも不可視レーザ光でもよい。また、治療光源81Bは、異なる波長のレーザ光を発する単一のレーザ光源又は複数のレーザ光源であってよい。治療光LTは、ガルバノミラー82に導かれる。
照準光LAと治療光LTは、ガルバノミラー82の反射面の同じ位置に到達するようになっている。なお、照準光LAと治療光LTをまとめて「照射光」と呼ぶことがある。ガルバノミラー82(の反射面)の向きは、少なくとも、照射光を光ファイバ51Bに向けて反射させる向き(照射用向き)と、照射光を遮光板83に向けて反射させる向き(停止用向き)とに変更される。
ガルバノミラー82が停止用向きに配置されている場合、照射光は遮光板83に到達する。遮光板83は、たとえば照射光を吸収する材質及び/又は形態からなる部材であり、遮光作用を有する。
本例では、照準光源81Aと治療光源81Bは、それぞれ連続的に光を発生する。そして、ガルバノミラー82を照射用向きに配置させることで、照射光を被検眼Eに照射させる。また、ガルバノミラー82を停止用向きに配置させることで、被検眼Eに対する照射光の照射を停止させる。他の例において、照準光源81A及び/又は治療光源81Bは、断続的に光を発生可能に構成されてよい。すなわち、照準光源81A及び/又は治療光源81Bは、パルス光を発生可能に構成されてよい。そのためのパルス制御は制御部100により実行される。この構成が適用される場合、ガルバノミラー82及び遮光板83を設ける必要はない。
眼科用顕微鏡1Bの処理系の構成例を図10に示す。以下、上記実施形態(図3参照)との相違点について説明する。制御部100は、光スキャナ41、OCT部60及びレーザ治療部80の制御を行う。また、データ処理部200には、OCT画像形成部220が設けられている。
光スキャナ41の制御としては次のものがある:予め設定されたOCTスキャンパターンに応じた複数の位置に測定光LSが照射されるように、測定光LSを順次に偏向する;予め設定されたレーザ治療パターンに応じた複数の位置に照準光LA及び/又は治療光LTが照射されるように、照準光LA及び/又は治療光LTを順次に偏向する。
OCT部60に含まれる制御対象としては、光源ユニット61、偏波コントローラ63、コーナーキューブ70、偏波コントローラ73、アッテネータ75、検出器79などがある。レーザ治療部80に含まれる制御対象としては、照準光源81A、治療光源81B、ガルバノミラー82などがある。
OCT画像形成部220は、OCT部60の検出器79により得られる干渉光LCの検出結果に基づいて、被検眼得の画像を形成する。制御部100は、検出器79から順次に出力される検出信号をOCT画像形成部220に送る。OCT画像形成部220は、たとえば一連の波長走査毎に(Aライン毎に)、検出器79により得られた検出結果に基づくスペクトル分布にフーリエ変換等を施すことにより、各Aラインにおける反射強度プロファイルを形成する。更に、OCT画像形成部220は、各Aラインプロファイルを画像化することにより画像データを形成する。それにより、Bスキャン像(断面像)やボリュームデータ(3次元画像データ)が得られる。
データ処理部200は、OCT画像形成部220により形成された画像(OCT画像)を解析する機能を備えていてよい。この解析機能としては、網膜厚解析や、正常眼との比較解析などがある。このような解析機能は、公知のアプリケーションを用いて実行される。また、データ処理部200は、受光系20により取得された画像を解析する機能を備えていてよい。また、データ処理部200は、受光系20により取得された画像の解析とOCT画像の解析とを組み合わせた解析機能を備えていてもよい。
1 眼科用顕微鏡
10、10L、10R 照明系
20、20L、20R 受光系
20A ステレオ角変更部
21L、21R 対物レンズ
23、23L、23R 撮像素子
30、30L、30R 接眼系

Claims (16)

  1. 被検眼に照明光を照射する照明系と、
    第1対物レンズ及び第1撮像素子をそれぞれ含み、互いの対物光軸が非平行に配置され、前記被検眼に照射された照明光の戻り光をそれぞれの前記第1対物レンズを介してそれぞれの前記第1撮像素子に導く一対の受光系と、
    前記一対の受光系の対物光軸がなす角度を変更するように前記一対の受光系を相対的に移動するための第1機構と
    を備える眼科用顕微鏡。
  2. 前記一対の受光系の少なくとも一方の前記第1撮像素子からの出力に基づく画像を表示手段に表示させる第1制御部を備えることを特徴とする請求項1に記載の眼科用顕微鏡。
  3. 前記表示手段と、前記表示手段の表示面側に配置された1以上のレンズとをそれぞれ含む一対の接眼部を備え、
    前記第1制御部は、前記一対の受光系の一方の前記第1撮像素子からの出力に基づく画像を前記一対の接眼部の一方の前記表示手段に表示させ、かつ、前記一対の受光系の他方の前記第1撮像素子からの出力に基づく画像を前記一対の接眼部の他方の前記表示手段に表示させる
    ことを特徴とする請求項2に記載の眼科用顕微鏡。
  4. 前記一対の接眼部の間隔を変更するための第2機構を備えることを特徴とする請求項3に記載の眼科用顕微鏡。
  5. 前記一対の接眼部の相対的向きを変更するための第3機構を備えることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の眼科用顕微鏡。
  6. 前記表示手段の前記表示面のサイズは7インチ以下であることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれか一項に記載の眼科用顕微鏡。
  7. 前記第1撮像素子からの出力に基づく画像の拡大画像を形成する拡大画像形成部を備え、
    前記第1制御部は、前記拡大画像形成部により形成された前記拡大画像を前記表示手段に表示させる
    ことを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれか一項に記載の眼科用顕微鏡。
  8. 前記一対の受光系のそれぞれは変倍レンズを含むことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の眼科用顕微鏡。
  9. 前記一対の受光系のそれぞれは、焦点位置を変更するためのレンズを含み、
    前記一対の受光系の前記レンズを連係動作させるための第4機構を備える
    ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の眼科用顕微鏡。
  10. 前記被検眼の観察部位を変更するための補助光学部材と、
    前記補助光学部材による観察部位の変更に応じて前記第4機構を制御する第2制御部と
    を備えることを特徴とする請求項9に記載の眼科用顕微鏡。
  11. 前記一対の受光系のそれぞれは、光路を偏向するための偏向部材を含み、
    前記一対の受光系の前記偏向部材を連係動作させるための第5機構を備える
    ことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の眼科用顕微鏡。
  12. 前記被検眼の観察部位を変更するための補助光学部材と、
    前記補助光学部材による観察部位の変更に応じて前記第5機構を制御する第3制御部と
    を備えることを特徴とする請求項11に記載の眼科用顕微鏡。
  13. 前記一対の受光系のそれぞれの光路に前記照明系の光路を結合する光路結合部材を備えることを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載の眼科用顕微鏡。
  14. 前記照明系は、前記一対の受光系の前記対物光軸と異なる方向から前記照明光を照射可能であることを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載の眼科用顕微鏡。
  15. 第2対物レンズ及び第2撮像素子をそれぞれ含み、互いの対物光軸が非平行に配置され、前記照明系により前記被検眼に照射された照明光の戻り光をそれぞれの前記第2対物レンズを介してそれぞれの前記第2撮像素子に導く第2の一対の受光系を備えることを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の眼科用顕微鏡。
  16. 前記対物光軸と異なる方向から前記照明光と異なる光を前記被検眼に照射する照射系を備えることを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載の眼科用顕微鏡。
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