JP2016181963A - モータ制御装置並びにそれを搭載した電動パワーステアリング装置及び車両 - Google Patents

モータ制御装置並びにそれを搭載した電動パワーステアリング装置及び車両 Download PDF

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Abstract

【課題】多系統でのモータ制御においていずれかの系統に故障が発生した場合、正常系統の電流指令値の調整を柔軟に行うことによりアシストの不連続感を改善し、スムーズなハンドリングを可能にするモータ制御装置並びにそれを搭載した電動パワーステアリング装置及び車両を提供する。
【解決手段】多系統モータ巻線を有するモータに駆動電流を供給する巻線系統毎のモータ駆動回路と、モータを駆動するための巻線系統単位の電流指令値を演算し、いずれかの系統のモータ巻線又はモータ駆動回路に故障が発生したら、正常である系統の電流指令値の特性を、正常時の電流指令値の総和と同等な特性を形成する第1特性に変更する第1変更を実施し、第1変更を実施した後、最大出力値は超えず最大出力値になるまでは第1特性と同等な特性である第2特性に電流指令値の特性を変更する第2変更を実施してモータ駆動回路を制御する制御演算部とを備える。
【選択図】図4

Description

本発明は、多系統モータ巻線を有するモータを駆動制御するモータ制御装置並びにそれを搭載した電動パワーステアリング装置及び車両に関し、特にいずれかの系統に故障が発生したときに正常系統の電流指令値を調整することにより、アシストの不連続感を改善し、スムーズなハンドリングを可能にするモータ制御装置並びにそれを搭載した電動パワーステアリング装置及び車両に関する。
駆動部にモータを搭載した装置として電動パワーステアリング装置(EPS)があり、電動パワーステアリング装置は、車両のステアリング機構にモータの回転力で操舵補助力(アシスト力)を付与するものであり、インバータから供給される電力で制御されるモータの駆動力で、ギア等の伝達機構により、ステアリングシャフト或いはラック軸に操舵補助力を付与する。かかる従来の電動パワーステアリング装置は、操舵補助力のトルクを正確に発生させるため、モータ電流のフィードバック制御を行っている。フィードバック制御は、操舵補助指令値(電流指令値)とモータ電流検出値との差が小さくなるようにモータ印加電圧を調整するものであり、モータ印加電圧の調整は、一般的にPWM(パルス幅変調)制御のデューティの調整で行っており、モータとしては耐久性や保守性に優れ、騒音やノイズも少ないブラシレスモータが一般的に使用されている。
電動パワーステアリング装置の一般的な構成を図1に示して説明すると、ハンドル1のコラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)2は減速部内の減速ギア3、ユニバーサルジョイント4a及び4b、ピニオンラック機構5、タイロッド6a,6bを経て、更にハブユニット7a,7bを介して操向車輪8L,8Rに連結されている。また、コラム軸2には、ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ10及び操舵角θを検出する舵角センサ14が設けられており、ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が減速ギア3を介してコラム軸2に連結されている。電動パワーステアリング装置を制御するコントロールユニット(ECU)30には、バッテリ13から電力が供給されると共に、イグニションキー11を経てイグニションキー信号が入力される。コントロールユニット30は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクTsと車速センサ12で検出された車速Vsとに基づいてアシスト(操舵補助)指令の電流指令値の演算を行い、電流指令値に補償等を施した電圧制御指令値Vrefによって、EPS用モータ20に供給する電流を制御する。
なお、舵角センサ14は必須のものではなく、配設されていなくても良く、また、モータ20に連結されたレゾルバ等の回転位置センサから操舵角を取得することも可能である。
コントロールユニット30には、車両の各種情報を授受するCAN(Controller Area Network)40が接続されており、車速VsはCAN40から受信することも可能である。また、コントロールユニット30には、CAN40以外の通信、アナログ/ディジタル信号、電波等を授受する非CAN41も接続可能である。
コントロールユニット30は主としてCPU(MCU、MPU等も含む)で構成されるが、そのCPU内部においてプログラムで実行される一般的な機能を示すと図2のようになる。
図2を参照してコントロールユニット30の機能及び動作を説明すると、トルクセンサ10で検出された操舵トルクTs及び車速センサ12で検出された(若しくはCAN50からの)車速Vsは、電流指令値Iref1を演算する電流指令値演算部31に入力される。電流指令値演算部31は、入力された操舵トルクTs及び車速Vsに基づいてアシストマップ等を用いて、モータ20に供給する電流の制御目標値である電流指令値Iref1を演算する。電流指令値Iref1は加算部32Aを経て電流制限部33に入力され、最大電流を制限された電流指令値Irefmが減算部32Bに入力され、フィードバックされているモータ電流値Imとの偏差I(Irefm−Im)が演算され、その偏差Iが操舵動作の特性改善のためのPI制御部35に入力される。PI制御部35で特性改善された電圧制御指令値VrefがPWM制御部36に入力され、更に駆動部としてのインバータ37を介してモータ20がPWM駆動される。モータ20の電流値Imはモータ電流検出器38で検出され、減算部32Bにフィードバックされる。インバータ37は駆動素子としてFET(電界効果トランジスタ)が用いられ、FETのブリッジ回路で構成されている。
加算部32Aには補償信号生成部34からの補償信号CMが加算されており、補償信号CMの加算によって操舵システム系の特性補償を行い、収れん性や慣性特性等を改善するようになっている。補償信号生成部34は、セルフアライニングトルク(SAT)34−3と慣性34−2を加算部34−4で加算し、その加算結果に更に収れん性34−1を加算部34−5で加算し、加算部34−5の加算結果を補償信号CMとしている。
このような電動パワーステアリング装置において、モータ故障(異常を含む)が発生しても、モータ動作を継続できる構成の多系統モータ巻線を有するモータが使用されるケースが増加している。例えば2系統のモータ巻線を有するモータは、ステータのコイルが2系統(U1〜W1相とU2〜W2相)に分けられ、1系統が失陥しても残りの1系統でロータを回転させることができ、アシスト制御の継続が可能となる。
かかるモータを搭載したモータ制御装置及び電動パワーステアリング装置において、モータ巻線又はインバータに故障が発生した場合に、電流指令値を調整して対応する方法が提案されている。例えば、特開2013−159165号公報(特許文献1)では、モータコイルを2系統設け、それぞれを駆動制御してアシスト力を付与する電動パワーステアリング装置において、いずれか一方の系統に故障が発生した場合、残りの他の系統に対して正常時の発熱量と同等若しくはそれ以下になるように電流指令値を調整することにより、モータの発熱を抑え、操舵フィーリングを低下させることなくアシストを継続するようにしている。また、特許第5387989号公報(特許文献2)では、多系統の電動機駆動装置(モータ制御装置)において、いずれかの系統にてインバータ又は巻線群が故障したことを判定したら、故障系統のインバータへの電力供給を遮断し、正常系統への電流指令値(電力制御手段への入力値(フィードバック電流)でも良い)を調整することにより、故障系統のインバータが供給していた電力を正常系統のインバータが補うようにしている。そして、故障判定から一定時間経過後、電流指令値を調整し、正常系統のインバータが補う電力を徐々に小さくすることにより、異常発熱を防いでいる。
特開2013−159165号公報 特許第5387989号公報
しかしながら、特許文献1に開示された装置では、いずれか一方の系統に故障が発生した場合に残りの他の系統に設定される電流指令値の最大値は、残りの他の系統の発熱量が正常時の発熱量と同等になるような値で、それより大きい値は設定されないので、故障前と故障後で設定される電流指令値にギャップが生じる可能性があり、そのギャップが操舵フィーリングに影響するおそれがある。また、正常時の発熱量と同等になるような値の決定方法の詳細も不明である。特許文献2に開示された装置では、系統数がN個で故障した系統数がM個の場合、故障判定後に電流指令値をN/(N−M)倍して正常系統のインバータに出力しているので、故障前後で設定される電流指令値のギャップは殆どないと推測される。しかし、電流指令値の調整を乗率により行っており、正常系統のインバータが補う電力を徐々に小さくする漸減処理での電流指令値の調整も乗率や一定値の減算で行っているので、電流指令値の調整を柔軟に行うことができない。例えば、操舵トルクが小さい場合と大きい場合での電流指令値の漸減率を変える等の対応を取ることができない。
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、多系統でのモータ制御においていずれかの系統に故障が発生した場合、正常系統の電流指令値の調整を柔軟に行うことによりアシストの不連続感を改善し、スムーズなハンドリングを可能にするモータ制御装置並びにそれを搭載した電動パワーステアリング装置及び車両を提供することにある。
本発明は、多系統モータ巻線を有するモータを駆動制御するモータ制御装置に関し、本発明の上記目的は、多系統モータ巻線を有するモータに駆動電流を供給する巻線系統毎のモータ駆動回路と、前記モータを駆動するための巻線系統単位の電流指令値を演算し、いずれかの系統の前記モータ巻線又は前記モータ駆動回路に故障が発生したら、正常である系統の前記電流指令値の特性を、正常時の前記電流指令値の総和と同等な特性を形成する第1特性に変更する第1変更を実施し、前記第1変更を実施した後、最大出力は超えず前記最大出力になるまでは前記第1特性と同等な特性である第2特性に前記電流指令値の特性を変更する第2変更を実施して前記モータ駆動回路を制御する制御演算部とを備えることにより達成される。
本発明の上記目的は、前記電流指令値の特性はアシストマップで定義されることにより、或いは前記第1特性から前記第2特性への変更が、時間経過に従って徐々に実施されることにより、或いは前記第1特性から前記第2特性への変更が、予め用意されたアシストマップに所定の時間間隔で切り替えることにより実施されることにより、或いは前記第1特性から前記第2特性への変更が、操舵条件又は走行条件により実施されることにより、或いは前記第1特性から前記第2特性への変更が、操舵トルクがないとき若しくはハンドルがセンター付近にあるとき又は車両が直進しているとき若しくは車両が停止しているときに実施されることにより、或いは前記電流指令値の特性は、少なくとも操舵トルクに応じて変化する特性であることにより、或いは前記モータ巻線又は前記モータ駆動回路に故障が発生した系統は、故障が発生した時に遮断されることにより、より効果的に達成される。
上記モータ制御装置を電動パワーステアリング装置に適用することにより、故障発生時のアシストの不連続感を改善し、スムーズなハンドリングを可能にする信頼性の高い電動パワーステアリング装置を達成でき、かかる電動パワーステアリング装置を車両に搭載することにより、車両の一層の信頼性向上を図ることができる。
本発明に係るモータ制御装置によれば、多系統でのモータ制御においていずれかの系統に故障が発生した場合、電流指令値の特性を故障前と同等な特性になるように変更し、その後、現マップから故障時専用マップに遷移又は切り換えることにより、アシストの不連続感を改善し、また、アシストマップ変更時の操舵トルクの変動を緩和させることができる。
さらに、本発明に係るモータ制御装置を搭載した電動パワーステアリング装置によれば、スムーズなハンドリングを可能にし、かかる電動パワーステアリング装置を車両に搭載することにより、操舵フィーリングの改善を図ることができる。
電動パワーステアリング装置の概要を示す構成図である。 電動パワーステアリング装置のコントロールユニット(ECU)の構成例を示すブロック図である。 正常時のアシストマップの例を示す特性図である。 故障時のアシストマップの例を示す特性図である。 本発明を適用できるモータの構造例を示す断面図である。 本発明を適用できるモータの巻線構造を示す模式図である。 本発明に係るモータ制御装置の構成例(第1実施形態)を示すブロック図である。 第1実施形態の制御演算部の構成例を示すブロック図である。 第1実施形態の電流制御部の構成例を示すブロック図である。 故障時に時間により徐変するアシストマップの例を示す特性図である。 第1実施形態の制御演算部の動作例を示すフローチャートの一部である。 第1実施形態の制御演算部の動作例を示すフローチャートの一部である。 本発明に係るモータ制御装置の構成例(第2実施形態)の制御演算部の動作例を示すフローチャートの一部である。 本発明に係るモータ制御装置の構成例(第3実施形態)の制御演算部の構成例を示すブロック図である。
本発明では、多系統モータ巻線を有するモータのモータ巻線や、インバータ等から成るモータ駆動回路に故障(異常を含む)が発生した場合、モータに供給する電流の制御目標値である電流指令値の特性を故障前と同等な特性になるように変更し、変更後、出力を抑えた特性にさらに変更する。例えば、モータ巻線が2系統で、各系統で使用される電流指令値のアシストマップ(以下、「系統別アシストマップ」と呼ぶ)が図3の実線で示されるような操舵トルクに応じて変化する特性の場合、正常時には2系統が同等の出力でモータを駆動制御するので、全体の電流指令値のアシストマップ(以下、「全体アシストマップ」と呼ぶ)は図3の破線で示されるような特性(以下、「全体特性」と呼ぶ)になる。この状況において、いずれかの系統に故障が発生した場合、正常な系統の系統別アシストマップが全体特性を形成するような特性(第1特性)を有するように、当該系統別アシストマップを変更する。簡単には、全体アシストマップを正常な系統の系統別アシストマップとして使用する。これにより、故障前後での電流指令値のギャップの影響が軽減され、アシストの不連続感を改善することができる。しかし、第1特性の最大値は正常時の1系統当たりの最大出力(以下、単に「最大出力」と呼ぶ)を超えており、第1特性のままだと、モータ巻線への負荷が重くなる可能性があるので、第1特性の最大値が最大出力を超えないように、第1特性に変更後、系統別アシストマップを図4の実線で示されるような特性(第2特性)に変更する。第2特性は、最大出力で飽和し、飽和するまでは第1特性と同等な変化をする特性となっている。これにより、最大出力になるまでは正常時と同等のアシスト力が得られる。但し、急激に第2特性に変更すると、状況によってはアシスト力が急に弱くなり、操舵フィーリングが低下する可能性があるので、時間経過に従って徐々に変更する。これにより、アシストマップ変更時の操舵トルクの変動が緩和されるため、操舵者はハンドルを取られにくくなる。
第2特性への変更を時間による徐変ではなく、電流指令値が極小となる操舵条件や走行条件において実施しても良い。例えば、ハンドルへの操舵トルクがないときに第2特性へ変更すれば、アシストマップ変更前後に操舵者が知覚するモータアシスト力の変動の影響を抑えることができる。
なお、電流指令値は操舵トルクだけではなく、車速やモータ回転数等に基づいて算出することも可能である。例えば、図3で示されるアシストマップを低速、中速及び高速別で用意する等が可能である。また、アシストマップはルックアップテーブルとして用意しても良いし、操舵トルク等を変数とした関数として定義しても良い。ルックアップテーブルとして用意した場合は、電流指令値算出の高速化が図れ、関数として定義した場合は、アシストマップを記憶する領域の低減化が図れる。
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
先ず本発明を適用できる2系統巻線モータの例を、図5及び図6に示して説明する。本発明は電動モータであるが、以下では単に「モータ」として説明する。
3相モータ200は図5に示すように、内周面に内方に突出形成されてスロットSLを形成する磁極となるティースTを有するステータ12Sと、このステータ12Sの内周側にティースTと対向して回転自在に配置された永久磁石PMを表面に配置した8極の表面磁石型のロータ12Rとを有するSPM(Surface Permanent Magnet)モータの構成を有する。ここで、ステータ12SのティースTの数を相数×2n(nは2以上の整数)で、例えばn=2に設定して、8極、12スロットの構成としている。
そして、ステータ12SのスロットSLに、図6に示す2系統で、その各々の同相の磁極がロータ磁石に対し同位相となる多相モータ巻線となる第1の3相モータ巻線L1と第2の3相モータ巻線L2とが巻装されている。第1の3相モータ巻線L1は、U相コイルU1、V相コイルV1及びW相コイルW1の一端が互いに接続されてスター結線とされ、各相コイルU1、V1及びW1の他端がモータ制御装置100に接続され、個別にモータ駆動電流I1u、I1v及びI1wが供給されている。
各相コイルU1、V1及びW1には、それぞれ2つのコイル部U1a,U1b、V1a,V1b及びW1a,W1bが形成されている。これらコイル部U1a,V1a及びW1aは、位置が正三角形を形作るティースT10、T2及びT6に集中巻きで巻装されている。また、コイル部U1b,V1b及びW1bはティースT10、T2及びT6とは時計方向にそれぞれ90°移動した位置にあるティースT1、T5及びT9に集中巻きで巻装されている。
また、第2の3相モータ巻線L2は、U相コイルU2、V相コイルV2及びW相コイルW2の一端が互いに接続されてスター結線とされ、各相コイルU2、V2及びW2の他端がモータ制御装置100に接続され、個別にモータ駆動電流I2u、I2v及びI2wが供給されている。
各相コイルU2、V2及びW2には、それぞれ2つのコイル部U2a,U2b、V2a,V2b及びW2a,W2bが形成されている。これらコイル部U2a,V2a及びW2aは、位置が正三角形を形作るティースT4、T8及びT12に集中巻きで巻装されている。また、コイル部U2b,V2b及びW2bはティースT4、T8及びT12とは、時計方向にそれぞれ90°移動した位置にあるティースT7、T11及びT3に集中巻きで巻装されている。
そして、各相コイルU1〜W1のコイル部U1a,U1b、V1a,V1b及びW1a,W1b及び各相コイルU2〜W2のコイル部U2a,U2b、V2a,V2b及びW2a,W2bは、各ティースTを挟むスロットSLに通電電流の方向が同一方向となるように巻装されている。
このように第1の3相モータ巻線L1の各相コイルU1〜W1のコイル部U1a,U1b、V1a,V1b及びW1a,W1bと、第2の3相モータ巻線L2の各相コイルU2〜W2のコイル部U2a,U2b、V2a,V2b及びW2a,W2bとが、互いに異なる12本のティースに巻装されている。
このような2系統巻線を有する3相モータに対して、個別のインバータから電流を供給し、一方のインバータのスイッチング手段に導通不可となるOFF故障(オープン故障)又はON故障(ショート故障)が生じた場合に、故障が生じたスイッチング手段を特定し、故障スイッチング手段を除くスイッチング手段を制御すると共に、故障スイッチング手段を含む故障インバータ以外の正常インバータを制御する本発明に係るモータ制御装置の構成例(第1実施形態)を図7に示して説明する。
モータ制御装置100は故障検出部111を含み、電流指令値を演算する制御演算部110と、制御演算部110から出力される電圧指令値(電圧制御指令値)V1及びV2が個別に入力されるモータ駆動回路120A及び120Bと、これらモータ駆動回路120A及び120Bの出力側と3相モータ200の第1のモータ巻線L1及び第2のモータ巻線L2との間に介挿されたモータ電流遮断回路130A及び130Bとを備えている。
3相モータ200は、ロータの回転位置を検出するホール素子などの回転位置センサ101を備えており、回転位置センサ101からの検出値がモータ回転角検出回路102に入力され、モータ回転角検出回路102でモータ回転角θmが検出され、モータ回転角θmはモータ回転数演算部105に入力され、モータ回転数演算部105でモータ回転数ωが算出される。制御演算部110には、トルクセンサ10で検出された操舵トルクTs及び車速センサ12で検出された車速Vsが入力されると共に、モータ回転角検出回路102から出力されるモータ回転角θm及びモータ回転数演算部105から出力されるモータ回転数ωが入力される。更に、モータ駆動回路120A及び120B内の電流検出回路121A及び121Bから出力されるモータ200の第1のモータ巻線L1及び第2のモータ巻線L2の各相コイルから出力されるモータ電流I1d及びI2dが制御演算部110に入力されている。また、モータ駆動回路120A及び120Bには、直流電源としてのバッテリ103からノイズフィルタ104を経て直流電流が供給されている。
制御演算部110は、操舵トルクTs、車速Vs及びモータ回転数ωを基にアシストマップを参照して電流指令値Iを算出する。
図8に制御演算部110の構成例を示す。制御演算部110は、トルク制御部112、電流制御部113A,113B及び故障検出部111を備えている。トルク制御部112が、操舵トルクTs、車速Vs及びモータ回転数ωを基にアシストマップを参照して電流指令値Iを算出し、電流制御部113A及び113Bに出力する。
トルク制御部112は、系統別アシストマップとして、正常時には図3の実線で示されるような特性のアシストマップ(以下、「正常時アシストマップ」と呼ぶ)を使用し、故障が発生した後には図10に示されるような特性の複数のアシストマップを使用して電流指令値Iを算出する。即ち、故障発生時は図10の破線で示されるような全体アシストマップと同等な特性(第1特性)のアシストマップ(以下、「第1特性アシストマップ」と呼ぶ)を使用し、故障発生後は図10の一点鎖線で示されるような特性のアシストマップ(以下、「徐変アシストマップ」と呼ぶ)に所定の時間間隔でA,B,Cの順で切り替え、最終的には図10の実線で示されるような特性(第2特性)のアシストマップ(以下、「第2特性アシストマップ」と呼ぶ)を使用する。なお、本構成例では3つの徐変アシストマップを使用するが、使用する徐変アシストマップの数は任意に決定して良く、切り替える時間間隔も任意に決定して良い。第1特性アシストマップから徐変アシストマップに切り替える時間間隔と徐変アシストマップ間での切り替える時間間隔は同じでも異なっても良い。また、図3及び図10の実線で示される系統別アシストマップの特性は操舵トルクTsのみを変数として表現されているが、車速Vsやモータ回転数ωも変数に加えて電流指令値Iを算出しても良い。
電流制御部113Aの構成例を図9に示す。電流制御部113Aは、d−q軸電流指令値算出部114A、2相/3相変換部115A及び電圧指令値演算部116Aを備えている。d−q軸電流指令値算出部114Aは、電流指令値I、モータ回転角θm及びモータ回転数ωに基づいてベクトル制御のd−q座標系のd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqを算出する。2相/3相変換部115Aは、算出されるd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqをモータ回転角θmに従って2相/3相変換してU相電流指令値I1u、V相電流指令値I1v及びW相電流指令値I1wを算出する。電圧指令値演算部116Aは、算出されるU相電流指令値I1u、V相電流指令値I1v及びW相電流指令値I1wと電流検出回路121Aで検出されるモータ電流I1dの相毎の加算値との電流偏差ΔIu、ΔIv及びΔIwを算出し、これら電流偏差ΔIu、ΔIv及びΔIwについてPI制御演算等を行ってモータ駆動回路120Aに対する3相の電圧指令値V1を算出し、算出する3相の電圧指令値V1をモータ駆動回路120Aに出力する。2相/3相変換部115Aが算出するU相電流指令値I1u、V相電流指令値I1v及びW相電流指令値I1wは故障検出部111にも出力される。
電流制御部113Bは電流制御部113Aと同じ構成で、電流指令値I、モータ回転角θm及びモータ回転数ω並びに電流検出回路121Bで検出されるモータ電流I2dを用いて、モータ駆動回路120Bに対する3相の電圧指令値V2を算出し、算出する3相の電圧指令値V2をモータ駆動回路120Bに出力する。電流制御部113Bで算出されるU相電流指令値I2u、V相電流指令値I2v及びW相電流指令値I2wも故障検出部111に出力される。なお、3相の電圧指令値V1及びV2は、モータ制御装置100が正常動作時では互いに同一の値として出力される。
故障検出部111には、U相電流指令値I1u、V相電流指令値I1v及びW相電流指令値I1w並びにU相電流指令値I2u、V相電流指令値I2v及びW相電流指令値I2wに加えて、モータ電流遮断回路130A及び130Bとモータ200の第1モータ巻線L1及び第2モータ巻線L2との間に設けられた故障検出回路131A及び131Bで検出されるモータ電流検出値I1ud、I1vd、I1wd及びI2ud、I2vd、I2wdが入力されている。故障検出部111は、入力されるモータ電流検出値I1ud〜I1wd及びI2ud〜I2wdと各相電流指令値I1u〜I1w及びI2u〜I2wとをそれぞれ比較して、インバータ122A及び122Bを構成するスイッチング素子としての電界効果トランジスタ(FET)Q1〜Q6のオープン故障(OFF故障)及びショート故障(ON故障)を検出する。そして、インバータ122A及び122Bを構成するFETのオープン故障又はショート故障を検出したときに、故障を検出したモータ駆動回路120A又は120Bのゲート駆動回路123A又は123Bに対して故障系統遮断指令SAa又はSAbを出力し、トルク制御部112に対して電流指令値変更指令ISWを出力する。
モータ駆動回路120A及び120Bのそれぞれは、制御演算部110から出力される3相の電圧指令値V1及びV2が入力されてゲート信号を形成すると共に、故障時電流制御部を兼ねるゲート駆動回路123A及び123Bと、これらゲート駆動回路123A及び123Bから出力されるゲート信号が入力されるインバータ122A及び122Bとを備えている。
ゲート駆動回路123A及び123Bのそれぞれは、制御演算部110から電圧指令値V1及びV2が入力されると、これら電圧指令値V1及びV2と三角波のキャリア信号とを基に6つのPWM信号(ゲート信号)を形成し、これらPWM信号をインバータ122A及び122Bに出力する。
また、ゲート駆動回路123Aは、制御演算部110から故障系統遮断指令SAaが入力されていない正常であるときには、モータ電流遮断回路130Aに対してハイレベルの3つのゲート信号を出力すると共に、電源遮断回路124Aに対してハイレベルの2つのゲート信号を出力し、故障系統遮断指令SAaが入力された故障であるときには、モータ電流遮断回路130Aに対してローレベルの3つのゲート信号を同時に出力し、モータ電流を遮断すると共に、電源遮断回路124Aに対してローレベルの2つのゲート信号を同時に出力し、バッテリ電力を遮断する。
同様に、ゲート駆動回路123Bは、制御演算部110から故障系統遮断指令SAbが入力されていない正常であるときには、モータ電流遮断回路130Bに対してハイレベルの3つのゲート信号を出力すると共に、電源遮断回路124Bに対してハイレベルの2つのゲート信号を出力し、故障系統遮断指令SAbが入力された故障であるときには、モータ電流遮断回路130Bに対してローレベルの3つのゲート信号を同時に出力し、モータ電流を遮断すると共に、電源遮断回路124Bに対してローレベルの2つのゲート信号を同時に出力し、バッテリ電力を遮断する。
インバータ122A及び122Bのそれぞれは、ノイズフィルタ104及び電源遮断回路124A及び124Bを介してバッテリ103のバッテリ電流が入力され、入力側に平滑用の電解コンデンサCA及びCBが接続されている。
インバータ122A及び122Bは、6個のスイッチング素子としてのFETQ1〜Q6を有し、2つのFETを直列に接続した3つのスイッチングアーム(インバータ122AではSAu、SAv及びSAw、インバータ122BではSBu、SBv及びSBw)を並列に接続した構成を有する。そして、各FETQ1〜Q6のゲートにゲート駆動回路123A及び123Bから出力されるPWM信号が入力されることにより、各スイッチングアームのFET間からモータ駆動電流であるU相電流I1u,I2u、V相電流I1v,I2v及びW相電流I1w,I2wがモータ電流遮断回路130A及び130Bを介してモータ200の第1巻線L1及び第2巻線L2に入力される。
モータ駆動回路120A及び120B内の電流検出回路121A及び121Bには、図7には図示されていないがインバータ122A及び122Bの各スイッチングアームと接地との間に介挿されたシャント抵抗の両端電圧が入力され、モータ電流I1d及びI2dが検出される。
モータ電流遮断回路130Aは、3つの電流遮断用のFETQA1、QA2及びQA3を有し、モータ電流遮断回路130Bは、3つの電流遮断用のFETQB1、QB2及びQB3を有する。そして、モータ電流遮断回路130A及び130BのFETQA1〜QA3及びQB1〜QB3がそれぞれの寄生ダイオードのカソードをインバータ122A及び122B側として、各々が同一向きに接続されている。
また、電源遮断回路124A及び124Bのそれぞれは、2つのFETQC1,QC2及びQD1,QD2がドレイン同士を接続して寄生ダイオードが逆向きとなる直列回路構成を有する。そして、FETQC1及びQD1のソースが互いに接続されてノイズフィルタ104の出力側に接続され、FETQC2及びQD2のソースがインバータ122A及び122Bの各FETQ1,Q2及びQ3のソースに接続されている。
このような構成において、その動作例について説明する。
動作が開始すると、モータ回転角検出回路102はモータ200のモータ回転角θmを検出し、モータ回転数演算部105、制御演算部110の電流制御部113A及び113Bに出力する。
モータ回転数演算部105は、モータ回転角θmからモータ回転数ωを算出し、制御演算部110のトルク制御部112、電流制御部113A及び113Bに出力する。
制御演算部110の動作例については、図11及び図12のフローチャートを参照して説明する。
トルク制御部112は、モータ回転数ω、トルクセンサ10で検出された操舵トルクTs及び車速センサ12で検出された車速Vsを入力し、アシストマップを用いて電流指令値Iを算出する(ステップS10)。
電流指令値Iの算出では、先ず電流指令値変更指令ISWが入力されているか否かが確認される(ステップS110)。電流指令値変更指令ISWが入力されていないならば、インバータ122A及び122Bを構成するFETの故障が検出されなかったということで、正常時アシストマップを用いて電流指令値Iが算出される(ステップS120)。電流指令値変更指令ISWが入力されていたならば、故障が検出されたということで、入力されてからの経過時間に従ってアシストマップを切り替えて電流指令値Iが算出される。即ち、電流指令値変更指令ISWの入力直後ならば(ステップS130)、第1特性アシストマップに切り替えて電流指令値Iが算出される(ステップS140)。電流指令値変更指令ISWの入力直後でないならば(ステップS130)、所定の時間間隔の経過に従って徐変アシストマップに順番に切り替えて電流指令値Iが算出される(ステップS150)。そして、全ての徐変アシストマップが使用されたら(ステップS160)、第2特性アシストマップに切り替えて電流指令値Iが算出される(ステップS170)。以降は、そのまま第2特性アシストマップを用いて電流指令値Iが算出される。
算出された電流指令値Iは制御演算部110の電流制御部113A及び電流制御部113Bに入力される。
電流制御部113Aでは、電流指令値I、モータ回転角θm及びモータ回転数ωがd−q軸電流指令値算出部114Aに入力される。d−q軸電流指令値算出部114Aは、電流指令値I、モータ回転角θm及びモータ回転数ωに基づいてd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqを算出し、2相/3相変換部115Aに出力する。2相/3相変換部115Aは、d軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqをモータ回転角θmに従って2相/3相変換してU相電流指令値I1u、V相電流指令値I1v及びW相電流指令値I1wを算出する。各相電流指令値I1u、I1v及びI1wは電圧指令値演算部116A及び故障検出部111に出力される。電圧指令値演算部116Aは、各相電流指令値I1u、I1v及びI1wと電流検出回路121Aで検出されたモータ電流I1dの相毎の加算値との電流偏差ΔIu、ΔIv及びΔIwを算出し、算出された電流偏差ΔIu、ΔIv及びΔIwについてPI制御演算又はPID制御演算を行って電圧指令値V1を算出し、モータ駆動回路120Aに出力する(ステップS20)。
電流制御部113Bでも、電流制御部113Aと同様の動作により、電流指令値I、モータ回転角θm、モータ回転数ω及びモータ電流I2dを用いて、各相電流指令値I2u、I2v及びI2w並びに電圧指令値V2が算出され、各相電流指令値I2u、I2v及びI2wは故障検出部111に、電圧指令値V2はモータ駆動回路120Bにそれぞれ出力される(ステップS30)。
各相電流指令値I1u、I1v及びI1w並びにI2u、I2v及びI2wを入力した故障検出部111は、故障検出回路131A及び131Bで検出されたモータ電流検出値I1ud、I1vd及びI1wd並びにI2ud、I2vd及びI2wdも入力し、インバータ122A及び122Bを構成するFETのオープン故障又はショート故障を検出する。各相電流指令値I1u、I1v及びI1wとモータ電流検出値I1ud、I1vd及びI1wdを比較して故障を検出したら(ステップS40)、故障系統遮断指令SAaをモータ駆動回路120Aに出力する(ステップS50)。各相電流指令値I2u、I2v及びI2wとモータ電流検出値I2ud、I2vd及びI2wdを比較して故障を検出したら(ステップS60)、故障系統遮断指令SAbをモータ駆動回路120Bに出力する(ステップS70)。そして、故障系統遮断指令SAa又は/及びSAbを出力していたら(ステップS80)、即ち、インバータ122Aと122Bのいずれか又は両方での故障を検出していたら、トルク制御部112に対して電流指令値変更指令ISWを出力する(ステップS90)。この電流指令値変更指令ISWがステップS110での条件判定に使用される。
モータ駆動回路120Aでは、電圧指令値V1がゲート駆動回路123Aに入力され、故障検出部111が故障系統遮断指令SAaを出力していたら、故障系統遮断指令SAaもゲート駆動回路123Aに入力される。ゲート駆動回路123Aは、電圧指令値V1が入力されたら、電圧指令値V1と三角波のキャリア信号とを基に6つのPWM信号を形成し、PWM信号をインバータ122Aに出力する。そして、故障系統遮断指令SAaが入力されていないときには、ゲート駆動回路123Aはモータ電流遮断回路130A及び電源遮断回路124Aに対してハイレベルのゲート信号を出力する。これにより、モータ電流遮断回路130AのFETQA1、QA2及びQA3がオン状態となり、インバータ122Aとモータ200の第1巻線L1との間が導通状態となり、さらに、電源遮断回路124AのFETQC1及びQC2がオン状態となり、バッテリ103からの直流電流がノイズフィルタ104を介してインバータ122Aに供給される。よって、ゲート駆動回路123Aから出力されたPWM信号がインバータ122AのFETQ1〜Q6のゲートに入力され、各スイッチングアームSAu、SAv及びSAwのFET間からU相電流I1u、V相電流I1v及びW相電流I1wがモータ200の第1巻線L1に入力される。故障系統遮断指令SAaが入力されているときには、ゲート駆動回路123Aはモータ電流遮断回路130A及び電源遮断回路124Aに対してローレベルのゲート信号を出力する。これにより、モータ電流遮断回路130AのFETQA1、QA2及びQA3がオフ状態となり、モータ200の第1巻線L1に対する通電が遮断され、さらに、電源遮断回路124AのFETQC1及びQC2がオフ状態となり、バッテリ103からのインバータ122Aへの直流電流供給が遮断される。
モータ駆動回路120Bにおいても、モータ駆動回路120Aと同様の動作により、モータ200の第2巻線L2に入力される各相電流が制御される。
このように、第1実施形態によると、故障を検出したら系統別アシストマップを第1特性アシストマップに切り替えて電流指令値を算出するので、アシストの不連続感を改善することができる。そして、その後、徐変アシストマップに順次切り替えることによりアシストの不連続感を緩和しつつ、最終的に最大出力になるまでは故障前と同等な特性である第2特性アシストマップに切り替えて電流指令値を算出するので、出力が飽和するまでの範囲では正常時と同等の操舵感を得ることができる。
なお、第1実施形態では、第1特性から第2特性までの変更を徐変アシストマップを使用して行っているが、一定の割合で電流指令値を減少させていくような方法等で行っても良い。例えば、第1特性から第2特性までの変更をK段階(Kは2以上の整数)で行う場合、k段階(kは1以上K未満の整数)で使用する電流指令値Ikを、最大値IkmaxをIfmax−k×(Ifmax−Ismax)/K(Ifmaxは第1特性アシストマップの最大値、Ismaxは第2特性アシストマップの最大値)とし、第1特性アシストマップを用いて算出した電流指令値がIkmaxを超えないときは算出した電流指令値を電流指令値Ikとして、超えたときはIkmaxを電流指令値Ikとすることにより算出する。これにより、徐変アシストマップを記憶する領域を削減することができる。
また、第1実施形態のトルク制御部112において、操舵システム系の特性補償を行い、収れん性や慣性特性等の改善を図っても良い。例えばモータ回転数(モータ角速度)ωに基づいてヨーレートの収れん性を補償する収れん性補償値を算出し、モータ回転数ωから算出されるモータ角加速度αに基づいてモータ200の慣性により発生するトルク相当分を補償して慣性感又は制御応答性の悪化を防止するトルク補償値を算出し、推定若しくは検出したSATに基づいて、モータ200のアシスト力を補償するSAT補償値を算出し、これら補償値を電流指令値Iに加算することにより、特性補償を行う。
さらに、各相電流指令値を個別に算出しているが、1相の電流指令値を他の2相の電流指令値の合計値を基に算出しても良い。これにより、演算量を削減することができる。
第1特性から第2特性への変更を、第1実施形態のように時間による徐変ではなく、操舵条件や走行条件により実施することも可能である。例えば、「操舵トルクがないとき」「ハンドルがセンター付近にあるとき」「車両が直進しているとき」「車両が停止しているとき」等のように電流指令値が極小となるようなタイミングで系統別アシストマップを第1特性アシストマップから第2特性アシストマップに切り替える。
操舵条件や走行条件に応じて第1特性から第2特性への変更を実施する場合の構成例(第2実施形態)は、第1実施形態と同じ構成で、トルク制御部の電流指令値算出の動作が異なる。第2実施形態でのトルク制御部は、系統別アシストマップとして、正常時アシストマップ、第1特性アシストマップ及び第2特性アシストマップを使用する。正常時には正常時アシストマップを使用し、故障発生時には第1特性アシストマップを使用し、故障発生後、初めて上記の操舵条件又は走行条件(以下、纏めて「切替条件」と呼ぶ)を満たしたときは第2特性アシストマップを使用する。その後は第2特性アシストマップを使用し続けて、電流指令値を算出する。
第2実施形態でのトルク制御部の電流指令値算出の動作例を、図13のフローチャートを参照して説明する。
先ず電流指令値変更指令ISWが入力されているか否かが確認される(ステップS111)。電流指令値変更指令ISWが入力されていないならば、インバータ122A及び122Bを構成するFETの故障が検出されなかったということで、正常時アシストマップを用いて電流指令値Iが算出される(ステップS121)。電流指令値変更指令ISWが入力されていたならば、故障が検出されたということで、アシストマップを切り替えて電流指令値Iが算出される。即ち、電流指令値変更指令ISWの入力直後ならば(ステップS131)、第1特性アシストマップに切り替えて電流指令値Iが算出される(ステップS141)。電流指令値変更指令ISWの入力直後でないならば(ステップS131)、第2特性アシストマップに切替済みか否かが確認され(ステップS151)、切替済みでないならば、走行状態及び操舵状態が検出され(ステップS161)、切替済みならば、第2特性アシストマップを用いて電流指令値Iが算出される(ステップS191)。第2特性アシストマップに切替済みならば、切替条件を既に満たしており、系統別アシストマップを切り替える必要がないので、走行状態及び操舵状態を検出する前に切替済みか否かを確認するわけである。走行状態及び操舵状態が検出されたら、検出された走行状態及び操舵状態が切替条件を満たしているか否かが確認され(ステップS171)、切替条件を満たしていたら、系統別アシストマップを第2特性アシストマップに切り替えて(ステップS181)、電流指令値Iが算出される(ステップS191)。切替条件を満たしていなかったら、引き続き、第1特性アシストマップを用いて電流指令値Iが算出される(ステップS141)。第2特性アシストマップに切り替えた後は、そのまま第2特性アシストマップを用いて電流指令値Iが算出される。
このように、第2実施形態によると、アシストマップ変更前後に操舵者が知覚するモータアシスト力の変動の影響を抑えて系統別アシストマップの切替を行うことができる。
第1実施形態の制御演算部は電流制御部を2つ備えているが、電流制御部を1つに纏めた構成としても良い。1つに纏めることにより、装置のコンパクト化が図れる。
制御演算部の電流制御部を1つ纏めた本発明に係るモータ制御装置の構成例(第3実施形態)のブロック図を図14に示す。図8に示される第1実施形態の制御演算部110と比べると、第3実施形態の制御演算部310が備える電流制御部は1つとなっている。電流制御部313は、電圧指令値V1及びV2を出力し、各相電流指令値I1u、I1v及びI1w並びにI2u、I2v及びI2wを出力する。また、モータ駆動回路120A及び120Bが出力するモータ電流I1d及びI2dは電流制御部313に入力される。
第3実施形態の動作は、電流制御部313の動作を除いて、第1実施形態と同じである。電流制御部313の動作は、第1実施形態の電流制御部113Aの動作と電流制御部113Bの動作を合わせたものとなる。即ち、電流制御部313は、トルク制御部が出力した電流指令値I、モータ回転角検出回路102が出力したモータ回転角θm、モータ回転数演算部が出力したモータ回転数ω、モータ駆動回路120Aが出力したモータ電流I1d及びモータ駆動回路120Bが出力したモータ電流I2dを入力し、図11に示されるフローチャート中のステップS20及びS30を実行し、電圧指令値V1、V2、各相電流指令値I1u、I1v、I1w、I2u、I2v及びI2wを出力する。
上述の実施形態(第1実施形態〜第3実施形態)では2系統モータ巻線の3相モータについて説明したが、3系統以上の多系統モータ巻線を有するモータにも同様に適用でき、4相以上の多相モータにも適用できる。なお、M系統モータ巻線(Mは3以上の整数)を有するモータに適用する場合、m個(mは1以上M未満の整数)のモータ巻線が故障したときは、(M−m)個の正常な系統の系統別アシストマップで全体特性を形成することになるので、例えば、全体アシストマップを1/(M−m)倍にしたものを第1特性アシストマップとする。
さらに、上述の実施形態では、検出する故障としてモータ駆動回路のインバータの故障を対象としているが、モータ巻線が故障した場合も本発明は適用できる。また、コイルの結線方法はスター結線であるが、デルタ結線でも良い。
1 ハンドル
2 コラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)
10 トルクセンサ
12 車速センサ
14 舵角センサ
20 モータ
30 コントロールユニット(ECU)
100 モ−タ制御装置
101 回転位置センサ
102 モータ回転角検出回路
103 バッテリ
104 ノイズフィルタ
105 モータ回転数演算部
110、310 制御演算部
111 故障検出部
112 トルク制御部
113A、113B、313 電流制御部
114A d−q軸電流指令値算出部
115A 2相/3相変換部
116A 電圧指令値演算部
120A,120B モータ駆動回路
121A,121B 電流検出回路
122A,122B インバータ
123A,123B ゲート駆動回路
124A,124B 電源遮断回路
130A,130B モータ電流遮断回路
131A,131B 故障検出回路
200 2系統巻線モータ

Claims (10)

  1. 多系統モータ巻線を有するモータに駆動電流を供給する巻線系統毎のモータ駆動回路と、
    前記モータを駆動するための巻線系統単位の電流指令値を演算し、いずれかの系統の前記モータ巻線又は前記モータ駆動回路に故障が発生したら、正常である系統の前記電流指令値の特性を、正常時の前記電流指令値の総和と同等な特性を形成する第1特性に変更する第1変更を実施し、前記第1変更を実施した後、最大出力は超えず前記最大出力になるまでは前記第1特性と同等な特性である第2特性に前記電流指令値の特性を変更する第2変更を実施して前記モータ駆動回路を制御する制御演算部とを備えるモータ制御装置。
  2. 前記電流指令値の特性はアシストマップで定義される請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記第1特性から前記第2特性への変更が、時間経過に従って徐々に実施される請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記第1特性から前記第2特性への変更が、予め用意されたアシストマップに所定の時間間隔で切り替えることにより実施される請求項3に記載のモータ制御装置。
  5. 前記第1特性から前記第2特性への変更が、操舵条件又は走行条件により実施される請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
  6. 前記第1特性から前記第2特性への変更が、操舵トルクがないとき若しくはハンドルがセンター付近にあるとき又は車両が直進しているとき若しくは車両が停止しているときに実施される請求項5に記載のモータ制御装置。
  7. 前記電流指令値の特性は、少なくとも操舵トルクに応じて変化する特性である請求項1乃至6のいずれかに記載のモータ制御装置。
  8. 前記モータ巻線又は前記モータ駆動回路に故障が発生した系統は、故障が発生した時に遮断される請求項1乃至7のいずれかに記載のモータ制御装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載のモータ制御装置でモータ駆動制御され、車両の操舵系にアシスト力を付与する電動パワーステアリング装置。
  10. 請求項9に記載の電動パワーステアリング装置を搭載した車両。
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