JP2016180209A - 外壁通気工法用ラス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】前記外壁通気工法用ラス10(10’)は、ラス材1に、裏打ち材として樹脂製のメッシュシート2、又は樹脂製シート2’が溶着手段3により取り付けられてなる。前記裏打ち材は、ラス材を構成する線材3と直交する方向に設けた当て材8とで当該線材を挟持し、前記線材を避けた部位で前記当て材と溶着することによりラス材に取り付けられている。
【選択図】図2
Description
この外壁通気工法では、前記通気層を形成するべく、モルタル壁の構築に使用するラス材の裏面側に裏打ち材が一体化された外壁通気工法用ラスが多く使用されている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
その証左に、今でも裏打ち材といえば防水紙が安易に採用されるのが実情である。
具体的には、樹脂製シートを裏打ち材に用いることにより、直付け接合を可能とし、もって、部材点数が少なくシンプルな工程で製作でき、スムーズなモルタル塗り作業を実現できる、経済的で施工性に優れた外壁通気工法用ラスを提供することにある。
また、モルタルののりが良く、モルタルの定着性や速乾性に優れた樹脂製のメッシュシートを裏打ち材に用いることにより、クラックの発生を極力抑制し得る、強度(剛性)および品質に優れた外壁通気工法用ラスを提供することにある。
請求項5に記載した発明は、請求項3又は4に記載した外壁通気工法用ラスにおいて、前記当て材の幅寸は、ラス材を構成する線材の配置間隔(ピッチ)よりも小さいことを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、請求項3〜5のいずれか一に記載した外壁通気工法用ラスにおいて、前記当て材は、前記裏打ち材と同素材からなることを特徴とする。
請求項7に記載した発明は、請求項3〜6のいずれか一に記載した外壁通気工法用ラスにおいて、前記当て材は、PPバンドであることを特徴とする。
(1)ラス材と裏打ち材を溶着手段で取り付けて一体化するので、縫着手段よりも自在性に優れ、ラス材に高い製作精度が要求されない利点がある。縫着手段では懸念されるラス材全体の反りも、溶着手段では生じない利点もある。すなわち、溶着手段によれば、簡易な手段で合理的、経済的に製作でき、良好なモルタル塗り作業を行うことができる外壁通気工法用ラスを実現できる。
(2)実施例1にかかる裏打ち材に樹脂製のメッシュシートを用いた場合には、モルタルののりが非常によい上に、当該ラスへモルタルを下塗りした後、余剰水(水分)やセメントノロが裏打ち材の裏側に形成した通気層側へ経時的に染み出すことにより、通気層側からも表面側と同じく乾燥され、モルタルが早期に乾燥するだけでなく、クラック防止効果も期待できる。加えて、帯状の当て材に適正なピッチで溶着手段を実施するので、モルタルが当て材の裏面側にほどよく回り込むことができ、付着強度が高い高強度・高剛性・高品質のモルタル壁を構築することができる。
また、ステープル等の留め付け具を容易に貫通させることができ、かつ、当該貫通孔の亀裂は広がり難いという施工上の利点もある。
(3)実施例2にかかる裏打ち材に樹脂製のメッシュシートよりも硬質の樹脂製シートを用いた場合には、当て材を無用化できるので、部材点数が少なくシンプルな工程で製造でき、経済的である。また、熟練工でなくてもスムーズなモルタル塗り作業を実現でき、ひいては付着強度が高い高強度・高剛性・高品質のモルタル壁を構築することができる。
ちなみに、実施例1では、裏打ち材として樹脂製のメッシュシートを用いている。実施例2では、裏打ち材として樹脂製シートを用いている。
以下、前記外壁通気工法用ラス10の構成要素であるラス材1、樹脂製のメッシュシート2、及び溶着手段3について具体的に説明する。
前記ラス材1は、例えば、ワイヤーメッシュ(溶接金網)、エキスパンドメタル、リブラス等、種々のラス材で実施できるが、本実施例では、製作精度が高いワイヤーメッシュを基本構造とするラス材1を採用した。ただし、エキスパンドメタル、リブラス等、種々のラス材でも同様に実施できる。
本実施例1に係るラス材1は、縦線材11と横線材12とが各交点をスポット溶接により接合して方眼形状の格子状に形成され、一定本数(本実施例では一例として9本)置きの線材には、他の線材よりも太径の縦力骨21および横力骨22が用いられた構成で実施されている。前記一定本数置きに力骨21、22を用いたのは、ラス材1自体の形状を保持するためである。ひいては、剛性が高いモルタル壁を構築するためでもある。本実施例では9本置きに力骨21、22を配設しているがこれに限定されず、所望の剛性や胴縁等の柱材の配置間隔(例えば、図1Bに示すように、胴縁4、5の軸心(又は罫書き)に沿って縦力骨21を配置させる。)等の構造設計に応じて適宜設計変更可能である。
また、線材11、12の径は、一例として0.8mm程度、力骨21、22の径は、一例として1.6mm程度で実施している。さらに、ラス材1全体のサイズは、一例として縦寸が965mm程度、横寸が1875mm程度で実施している。
本実施例では、フィルムを割繊して交差して得られたメッシュシート、具体的には、ポリプロピレンやポリエチレンなどの延伸フィルムから造った割繊網状体を縦横に連続的に積層・熱融着してなる樹脂製のメッシュシート2で実施している。
前記樹脂製のメッシュシート2には、剛性、目合い、又は層数等による厚みの違いに応じて多数のバリエーションがあるが、その中でも剛性が高く、目合いが細かいものが好ましい。厚みについては特に優劣はないが、厚ければ、前記ラス材1との直付けが可能となる利点があり、透視性を有するほどに薄ければ、下地材はもとより下地材に記した罫書きも視認できる等、当該ラス10を下地材に貼り付ける際の作業性が向上する利点がある。
このような構成の樹脂製のメッシュシート2で実施する意義は、網状に編まれているのでモルタルののりが非常によい上に、余剰水やセメントノロが、裏打ち材(樹脂製のメッシュシート2)の裏側に形成した通気層6側へ経時的にほどよく染み出すことにより、通気層6側からも表面7側と同じく乾燥されるので、モルタルが早期に乾燥するだけでなく、クラック防止効果が期待できるからである。一方、骨材を通過させない構造としたのは、いうまでもなく、モルタル外壁の剛性低下(品質低下)を防止するためである。
樹脂製のメッシュシート2の素材を形成する糸は、複数本の糸を寄せ集めて束状にしたもの(束ねて織られたもの)が好ましい。束状にしていないものと比し、より骨材が通過しにくくなるし、ステープル等の留め付け具を取り付ける際に貫通させた孔も広がり難くなるからである。
前記ラス材1と裏打ち材(樹脂製のメッシュシート)2とは、溶着手段(本実施例では熱溶着)3により取り付けられている。
接着剤等による接着手段を採用しない理由は、防水紙と異なり、樹脂製のメッシュシート2では良好な接着状態を保持できないからである。また、糸等による縫着手段を採用しない理由は、縫針がラス材1と接触して破損等する虞があり、高い製作精度のラス材1が要求されるからである。縫着によるラス材1全体の反りを防止する工夫も必要となるからである。
前記当て材8は、帯状に形成され、前記裏打ち材2と断続的に(図示例では、75.5mm程度のピッチで)溶着されている。
前記当て材8は、ラス材1を構成する線材(横線材12)の配置間隔よりも小さい幅寸(6mm程度)で実施されている。
また、前記当て材8は、横力骨22と等ピッチで該横力骨22の直下位置(又は直上位置)に沿って設けているが、これも横力骨22を目印代わりに利用する等、当該ラス10を効率よく製造するために採択したに過ぎない。よって、横力骨22、22同士の中間位置(例えば、中央部)に設けて実施することもできる。
また、前記当て材8に対し、前記溶着手段3を断続的に設けたのは、当て材8の裏面側にモルタルが回り込むスペースを適度に確保するためである。当て材8の裏面側にモルタルが回り込むことにより、適正なかぶり(被り)を出し、ひいてはモルタル外壁の強度・剛性等の品質向上を図ることができる。なお、溶着ピッチは75.5mm程度に限定されず、151mm程度でもよい。要するに、適正なかぶりを出し、モルタル外壁の強度等に悪影響が及ばないことを条件に適宜設計変更可能である。
本実施例にかかる当て材8は、熱融着点が同じで相性が良いという理由から、裏打ち材2と同素材で実施しているが、これに限定されず、例えばPPバンドでも好適に実施できる。
また、ラス材1と裏打ち材2を溶着手段3で取り付けて一体化するので、縫着手段よりも自在性に優れ、ラス材1に高い製作精度が要求されない利点がある。縫着手段では懸念されるラス材1全体の反りも、溶着手段3では生じない利点もある。すなわち、溶着手段3によれば、簡易な手段で合理的、経済的に製作でき、良好なモルタル塗り作業を行うことができる外壁通気工法用ラス10を実現できる。
その他、上述した樹脂製のメッシュシート2は、ステープル等の留め付け具を容易に貫通させることができ、かつ、当該貫通孔の亀裂は広がり難いという施工上の利点もある。
すなわち、上記実施例1にかかる樹脂製のメッシュシート2と比して硬質の樹脂製シートを採用することにより、直付け溶着9が可能となる。
直付けする部位は、当該外壁通気工法用ラス10’の剛性を効率よく高めるべく、横力骨2と所要のピッチ(図示例では、75.5mm程度)で溶着9している。なお、溶着ピッチは上記実施例1と同様に、適正なかぶりを出し、モルタル外壁の強度等に悪影響が及ばないことを条件に適宜設計変更可能である。
なお、本実施例では、熱溶着手段9を採用しているが、これに限定されず、超音波溶着手段でも、高周波溶着手段でも同様に実施できる。要するに、溶着手段9の選定は、被加熱物の種類、形状(厚さ、大きさ)、溶着形状等に応じて適宜決定される。
また、上記実施例1と同様に、ラス材1と裏打ち材2を溶着手段9で取り付けて一体化するので、縫着手段よりも自在性に優れ、ラス材1に高い製作精度が要求されない利点がある。縫着手段では懸念されるラス材1全体の反りも、溶着手段9では生じない利点もある。すなわち、溶着手段9によれば、簡易な手段で合理的、経済的に製作でき、良好なモルタル塗り作業を行うことができる外壁通気工法用ラス10’を実現できる。
例えば、実施例2にかかる樹脂製シート2’を、実施例1にかかる当て材8を用い、溶着手段3によりラス材1に取り付けて外壁通気工法用ラスを製造することも勿論できる。この場合の説明は重複するので割愛する(前記段落[0026]〜[0031]参照)。
2 裏打ち材(樹脂製のメッシュシート)
2’ 裏打ち材(樹脂製シート)
3 溶着手段
4 通気胴縁
5 補助胴縁
6 通気層
7 表面
8 当て材
9 溶着手段
10 外壁通気工法用ラス
10’ 外壁通気工法用ラス
11 縦線材
12 横線材
21 縦力骨
22 横力骨
Claims (12)
- ラス材に、裏打ち材として樹脂製シートが溶着手段により取り付けられてなることを特徴とする、外壁通気工法用ラス。
- 前記裏打ち材として用いる樹脂製シートは、樹脂製のメッシュシートであることを特徴とする、請求項1に記載した外壁通気工法用ラス。
- 前記裏打ち材は、ラス材を構成する線材と直交する方向に設けた当て材とで当該線材を挟持し、前記線材を避けた部位で前記当て材と溶着することによりラス材に取り付けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した外壁通気工法用ラス。
- 前記当て材は、帯状に形成され、前記裏打ち材と断続的に溶着されていることを特徴とする、請求項3に記載した外壁通気工法用ラス。
- 前記当て材の幅寸は、ラス材を構成する線材の配置間隔よりも小さいことを特徴とする、請求項3又は4に記載した外壁通気工法用ラス。
- 前記当て材は、前記裏打ち材と同素材からなることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一に記載した外壁通気工法用ラス。
- 前記当て材は、PPバンドであることを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一に記載した外壁通気工法用ラス。
- 前記裏打ち材として用いる樹脂製のメッシュシートは、余剰水やセメントノロの染み出しを許容するが、骨材は通過させない構造であることを特徴とする、請求項2〜7のいずれか一に記載した外壁通気工法用ラス。
- 前記裏打ち材として用いる樹脂製のメッシュシートの目合いは、5mm以下であることを特徴とする、請求項2〜8のいずれか一に記載した外壁通気工法用ラス。
- 前記裏打ち材として用いる樹脂製のメッシュシートは、透視性を有することを特徴とする、請求項2〜9のいずれか一に記載した外壁通気工法用ラス。
- 前記裏打ち材として用いる樹脂製のメッシュシートは、複数本の糸を束ねて織られていることを特徴とする、請求項2〜10のいずれか一に記載した外壁通気工法用ラス。
- 前記ラス材は、縦線材と横線材とが接合されて格子状に形成され、一定本数置きの線材には、他の線材よりも太径の縦力骨および横力骨が用いられていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一に記載した外壁通気工法用ラス。
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