JP2016179951A - 遺伝子組換え動物血清アルブミン、ヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体、人工血漿増量剤及び人工酸素運搬体 - Google Patents

遺伝子組換え動物血清アルブミン、ヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体、人工血漿増量剤及び人工酸素運搬体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、安全で大量生産可能であるとともに血液由来の動物血清アルブミンと代替可能な、遺伝子組換え動物血清アルブミンを提供することを目的とする。また、本発明は、安全で大量生産可能な、ヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体、人工血漿増量剤及び人工酸素運搬体を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の遺伝子組換え動物血清アルブミンは、ヒトを除く哺乳類動物の血清アルブミンであり、ピキア属酵母由来の細胞を宿主細胞として、遺伝子組換えにより産生されることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、遺伝子組換え動物血清アルブミン、ヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体、人工血漿増量剤及び人工酸素運搬体に関する。
日本では動物用血液バンクが法的に認められておらず、動物用血液を備蓄するシステムが存在しない。そのため、輸血療法が必要な重症動物(事故などで大量出血した動物や貧血の動物)を治療する際には、獣医自身が自力で輸血液を入手しなければならず、多くの動物病院では院内に供血犬、供血猫(ドナー)を飼育している。したがって、動物の輸血療法における最大の課題は、ドナーの確保にある。
しかし、人工的に合成される動物用の血液代替物が開発されれば、ドナーの確保が不要になるばかりでなく、採血コスト、輸血コストを大幅に削減できる。また、長期間保存可能な人工血液であれば、緊急時の対応も万全となる。
臨床利用を目的としたヒト用人工血液の開発は、1970年代から欧米日を中心に展開されてきている。特に、酸素を輸送する機能を代替できる赤血球代替物(人工酸素運搬体)については、これまで多くの製剤が合成され評価されてきたが、いまだ実用化された製剤はない。例えば、米国では、ヒトヘモグロビンを分子内架橋した分子内架橋ヘモグロビン(例えば、特許文献1参照)、ヒトヘモグロビンを架橋剤で結合したヘモグロビン重合体(例えば、特許文献2参照)、ウシヘモグロビンを架橋剤で結合したヘモグロビン重合体(例えば、特許文献3参照)、ヒトヘモグロビンの分子表面に水溶性高分子であるポリ(エチレングリコール)(PEG)を結合させたPEGヘモグロビン(例えば、特許文献4参照)、などが検討され、臨床試験が進められてきた。
これらの中でも、ウシヘモグロビン重合体は、動物用の人工酸素運搬体として米国および英国で製造・販売され、貧血犬の治療に用いられているが、皮膚、粘膜、尿の変色、嘔吐、黒色糞便などの副作用が報告されている。
本願の発明者らは、ヘモグロビンにアルブミンを結合させたコア−シェル型のヘモグロビン−アルブミン複合体を合成し、これが新しい人工酸素運搬体となることを明らかにした(特許文献5参照)。血清アルブミンは、血漿に最も多く含まれる単純タンパク質であり、血液中ではコロイド浸透圧の維持のほか、各種外因性・内因性物質を運搬・貯蔵する役割を担っている。酸素輸送タンパク質であるヘモグロビンを血清アルブミンで包んだ構造のヘモグロビン−血清アルブミン複合体は、分子表面が血清アルブミンと同じように強く負に帯電しているため、生体適合性の高い(例えば、腎排泄や血管からの漏出に伴う血圧亢進などの副作用がない)安全な赤血球代替物として機能する。
ヘモグロビン−血清アルブミン複合体を動物用、特にペット(イヌ、ネコなど)用の赤血球代替物として使用する場合は、解決しなければならない課題がある。ヘモグロビン−血清アルブミン複合体の表面は血清アルブミンで覆われているため、例えば、イヌ用のヘモグロビン−血清アルブミン複合体を製造する場合、イヌ血清アルブミンを成分として用いることが望ましい。イヌ以外の異種アルブミンからなるヘモグロビン−血清アルブミン複合体をイヌに投与すると、抗体が産生され再投与された際、重篤な副作用を引き起こす可能性が否定できない。しかし、原料としてのイヌ血清アルブミンは、イヌの血液(血清)から精製・単離しなければならないため、製造に充分な量を安定確保することは難しい。この問題を解決する方策としては、遺伝子工学的にイヌ血清アルブミンを合成し、ヘモグロビン−血清アルブミン複合体の原料として利用することが考えられる。しかし、遺伝子組換えヒト血清アルブミンの製造技術(例えば、特許文献6参照)が確立されているのに対し、血液由来のイヌ血清アルブミンと同一の物性及び構造を有する遺伝子組換えイヌ血清アルブミンの産生技術は確立されていない。唯一、Rudolf Valentaらは、イヌの肝臓からイヌ血清アルブミンのcDNAを採取し、それをプラスミドに導入し、大腸菌を用いて遺伝子組換えイヌ血清アルブミンを産生している(非特許文献1参照)。しかし、得られる遺伝子組換えイヌ血清アルブミンの量は極微量であり、またその物性及び構造は明らかにされていない。また、遺伝子組換えタンパク質を大腸菌を宿主細胞として用いて得ると、大腸菌由来の毒性のあるリポ多糖(LPS)が残存する懸念もある。
特開平10−306036号公報 特表平11−502821号公報 特表2006−516994号公報 特表2005−515225号公報 国際公開第2012/117688号 国際公開第96/12816号
Dundhi Pandjaitan,Rudolf Valentaら、J.Allergy.Clin.Immunol.,105,279−285(2000)
本発明は、安全で大量生産可能であるとともに血液由来の動物血清アルブミンと代替可能な、遺伝子組換え動物血清アルブミンを提供することを目的とする。また、本発明は、安全で大量生産可能な、ヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体、人工血漿増量剤及び人工酸素運搬体を提供することを目的とする。
本発明の遺伝子組換え動物血清アルブミンは、ヒトを除く哺乳類動物の血清アルブミンであり、ピキア属酵母由来の細胞を宿主細胞として、遺伝子組換えにより産生されることを特徴とする。
本発明の遺伝子組換え動物血清アルブミンは、
(a)質量分析(MALDI−TOFMS)により得られる分子量が、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンと、血液由来の動物血清アルブミンとで同一であり、
(b)等電点電気泳動法により得られる等電点が、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンと、血液由来の動物血清アルブミンとで同一であり、
(c)円偏光二色性スペクトル分析により得られるαへリックス含量が、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンと、血液由来の動物血清アルブミンとで同一である、
ことが好ましい。
本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、コアとしてのヘモグロビンと、前記ヘモグロビンに架橋剤を介して結合されたシェルとしての、本発明の遺伝子組換え動物血清アルブミンと、を有することを特徴とする。
本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、前記ヘモグロビンにおける前記架橋剤との結合部位がリシンであることが好ましい。
本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンにおける前記架橋剤との結合部位がシステイン34であることが好ましい。
本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、前記ヘモグロビンと前記架橋剤との結合がアミド結合であり、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンと前記架橋剤との結合がスルフィド結合及びジスルフィド結合のいずれかであることが好ましい。
本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンの数が1個〜7個であることが好ましい。
本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、前記ヘモグロビンが、ウシヘモグロビン、ブタヘモグロビン、ウマヘモグロビン、イヌヘモグロビン、ネコヘモグロビン、ウサギヘモグロビン及びヒトヘモグロビンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンが、遺伝子組換えイヌ血清アルブミン、遺伝子組換えネコ血清アルブミン、遺伝子組換えウサギ血清アルブミン、及び遺伝子組換えウシ血清アルブミンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンの由来となる動物と、前記ヘモグロビンの由来となる動物とが異なり、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンの由来となる動物用であることが好ましい。
本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、前記ヘモグロビンが、ウシヘモグロビン、ブタヘモグロビンまたはウマヘモグロビンであり、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンが、遺伝子組換えイヌ血清アルブミン、遺伝子組換えネコ血清アルブミンまたは遺伝子組換えウマ血清アルブミンであることが好ましい。
本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、前記架橋剤が、下記一般式(1)〜(3)及び化学式(1)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
Figure 2016179951
一般式(1)中、R1は、水素原子及びSO3 -Na+のいずれかを表し、nは、1〜10の整数を表す。
Figure 2016179951
Figure 2016179951
一般式(2)中、nは、1〜10の整数を表す。
Figure 2016179951
一般式(3)中、R2は、水素原子及びSO3 -Na+のいずれかを表し、nは、1〜10の整数を表す。
本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、前記架橋剤が、下記一般式(4)で表されることが好ましい。
Figure 2016179951
一般式(4)中、R3は、水素原子及びSO3 -Na+のいずれかを表し、R4は、下記一般式(5)〜(6)及び下記化学式(2)〜(4)のいずれかを表す。
Figure 2016179951
一般式(5)中、nは、1〜10の整数を表す。
Figure 2016179951
Figure 2016179951
Figure 2016179951
一般式(6)中、nは、2、4、6、8、10又は12を表す。
Figure 2016179951
本発明の人工血漿増量剤は、本発明の遺伝子組換え動物血清アルブミン及び/または本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体を含むことを特徴とする。
本発明の人工酸素運搬体は、本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体を含むことを特徴とする。
本発明によれば、安全で大量生産可能であるとともに血液由来の動物血清アルブミンと代替可能な、遺伝子組換え動物血清アルブミンを提供することができる。また、本発明によれば、安全で大量生産可能な、ヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体、人工血漿増量剤及び人工酸素運搬体を提供することができる。
図1は、本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体の一実施形態を示す図である。
以下に本発明を実施するための一実施形態を例示する。
(遺伝子組換え動物血清アルブミン)
本発明の遺伝子組換え動物血清アルブミンは、ヒトを除く哺乳類動物の動物血清アルブミンであり、ピキア属酵母由来の細胞を宿主細胞として、遺伝子組換えにより産生される。
<動物血清アルブミン>
上記動物血清アルブミンは、ヒトを除く哺乳類動物の血清アルブミンである。
<<血清アルブミン>>
アルブミン欠乏を伴うヒト患者の治療として、ヒト血清アルブミンが投与されている。血清アルブミンは、血漿において豊富なタンパク質であり、投与にあたり大量に必要となる。また、ヘモグロビン−血清アルブミン複合体の製造においても、血清アルブミンは原料として大量に必要となる。
血清アルブミンを取得する一般的な方法としては、採血した血液の血清分画から精製して得る方法、または、遺伝子組換え技術を用いて、異種の宿主細胞で発現させて得る方法、若しくは無細胞系で発現させて得る方法、などが挙げられる。
本発明の遺伝子組換え動物血清アルブミンは、遺伝子組換え技術を用いて、異種の宿主細胞で発現させて得る動物血清アルブミンである。
<ヒトを除く哺乳類動物>
上記ヒトを除く哺乳類動物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イヌ、ネコ、ウサギ、ウマ、などが挙げられる。
これらの中でも、イヌ、ネコ及びウサギ、特には、イヌ及びネコは、愛玩動物として動物病院での受診頻度が高いことから、潜在的な需要が高く、本発明の遺伝子組換え動物血清アルブミンを好適に適用できる。
<<遺伝子組換えイヌ血清アルブミン>>
本発明の遺伝子組換え動物血清アルブミンは、イヌ用であれば、例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むベクターを用いて、ピキア属酵母由来の細胞を宿主細胞として、遺伝子組換えにより産生されて得られる。配列番号1で表されるアミノ酸配列は、イヌの血清アルブミンをコードしたアミノ酸配列である。
前記遺伝子組換えイヌ血清アルブミンは、配列番号1で表されるアミノ酸配列の血清アルブミンに限定されず、例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性の血清アルブミンを含む。前記配列同一性は、BLASTプログラムに基づいて決定することができる。
<<遺伝子組換えネコ血清アルブミン>>
本発明の遺伝子組換え動物血清アルブミンは、ネコ用であれば、例えば、配列番号2で表されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むベクターを用いて、ピキア属酵母由来の細胞を宿主細胞として、遺伝子組換えにより産生されて得られる。配列番号2で表されるアミノ酸配列は、ネコの血清アルブミンをコードしたアミノ酸配列である。
前記遺伝子組換えネコ血清アルブミンは、配列番号2で表されるアミノ酸配列の血清アルブミンに限定されず、例えば、配列番号2で表されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性の血清アルブミンを含む。前記配列同一性は、BLASTプログラムに基づいて決定することができる。
<<遺伝子組換えウサギ血清アルブミン>>
本発明の遺伝子組換え動物血清アルブミンは、ウサギ用であれば、例えば、配列番号3で表されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むベクターを用いて、ピキア属酵母由来の細胞を宿主細胞として、遺伝子組換えにより産生されて得られる。配列番号3で表されるアミノ酸配列は、ウサギの血清アルブミンをコードしたアミノ酸配列である。
前記遺伝子組換えウサギ血清アルブミンは、配列番号3で表されるアミノ酸配列の血清アルブミンに限定されず、例えば、配列番号3で表されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性の血清アルブミンを含む。前記配列同一性は、BLASTプログラムに基づいて決定することができる。
−配列同一性−
上記配列同一性%は、コンピュータープログラムを用いて決定することができる。斯かるコンピュータープログラムとしては、例えば、BLAST、FASTA(Altschulら、J.Mol.Biol.,215,403−410(1990))、及びClustalW、などがあげられる。特に、BLASTプログラムによる同一性検索の各種条件(パラメーター)は、Altschulら(Nucl.Acids.Res.,25,3389−3402(1997))に記載されたもので、米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)やDNA Data Bank of Japan(DDBJ)のウェブサイトから公的に入手することができる(BLASTマニュアル、Altschulら、NCB/NLM/NIH Bethesda,MD 20894;Altschulら)。
<宿主細胞>
上記宿主細胞としては、ピキア属酵母由来の細胞である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)GS115株、ピキア・パストリスGS190株、ピキア・パストリスPPF1株、ピキア・パストリスKM71株、ピキア・パストリスSMD1168株、野生型ピキア・パストリス、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)GS115株は、ヒスチジン要求性に基づく選択が可能であり、更に収量が高くなる点で特に有利である。
一般的に、遺伝子組換えタンパク質を発現させるための宿主細胞として、大腸菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞、などが用いられている。分子内にジスルフィド結合を有するタンパク質及び/又は高等生物のタンパク質を、大腸菌に発現させる場合には、大腸菌の菌体内で発現したタンパク質が不溶化して封入体を形成することが多い。この場合、変性剤等を用いて封入体からタンパク質を抽出してその後リフォールディングをする方法、ペリプラズムへの分泌産生などを促す方法、が採用される。しかし、一般的にそれらの方法により得られるタンパク質の収量は低い。また、仮に前記リフォールディングを行ったとしても、ネイティブのタンパク質の構造と異なることが多い。動物血清アルブミンは、分子内に複数のジスルフィド結合を有するタンパク質であり、遺伝子組換え動物血清アルブミンを大腸菌を宿主細胞にして得たとしても、得られた遺伝子組換え動物血清アルブミンは、血液由来の血清アルブミンと、物性及び/又は構造が異なる可能性がある。
また、前記昆虫細胞及び動物細胞に発現させる場合には、得られるタンパク質の量の割には高コストとなるため、大量生産には不向きである。
一方、ピキア属酵母に発現させる場合には、得られる遺伝子組換え動物血清アルブミンの物性及び構造は、血液由来の動物血清アルブミンの物性及び構造と実質的に同一となる。
ピキア属酵母で動物血清アルブミンを発現させると、動物血清アルブミンが細胞外へ分泌される。したがって、宿主細胞内のプロテアーゼによる影響を受けにくいため、分解しにくく、血清アルブミンを完全長で得られると考えられる。これにより、遺伝子組換え動物血清アルブミンを、大量に製造可能となっていると考えられる。
また、ピキア属酵母で動物血清アルブミンを発現させると、分子内ジスルフィド結合が形成されて、血液由来の動物血清アルブミンと同じ構造の血清アルブミンが得られると考えられる。
さらに、ピキア属酵母で動物血清アルブミンを発現させると、大腸菌の系を用いないことにより、大腸菌を宿主細胞としたときに問題となる、リポ多糖(LPS)の混入も回避することができる。
<<遺伝子組換え動物血清アルブミンの製造方法>>
上記遺伝子組換え動物血清アルブミンの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、
(a)血清アルブミンをコードする核酸配列を有した発現ベクターを作製する、発現ベクター作製工程と、
(b)前記発現ベクターをピキア属酵母に由来する細胞に導入して、形質転換した酵母を得る、形質転換工程と、
(c)前記形質転換した酵母を培養液中で培養する、培養工程と、
(d)前記酵母が培養された培養液から遺伝子組換え動物血清アルブミンを分離する、分離工程と、
(e)前記分離した遺伝子組換え動物血清アルブミンを精製する、精製工程と、を含む遺伝子組換え動物血清アルブミンの製造方法を挙げることができる。
−発現ベクター作製工程−
上記発現ベクター作製工程は、血清アルブミンをコードする核酸配列を有した発現ベクターを作製する工程である。
前記血清アルブミンをコードする核酸配列は、血清アルブミンをコードする遺伝子(cDNA)から得ることができる。
前記血清アルブミンをコードする遺伝子(cDNA)は、公知の方法、例えば、動物の肝臓cDNAライブラリーを用い、合成核酸をプローブとして用いたハイブリダイゼーション法によって、スクリーニングして得ることができる(例えば、Shuji Mitaら、Biochem.Biophys.Res.Commun.,124,558−564(1984)を参照して作製することができる)。
前記血清アルブミンをコードする遺伝子(cDNA)を鋳型として、PCR法(ポリメラーゼチェーンリアクション法)等により血清アルブミンをコードする核酸配列の断片を増幅し、得られた増幅物を所望のベクターに挿入して、発現ベクターを作製することができる。
−−ベクター−−
上記ベクターとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、染色体外で独立体として存在し、その複製が染色体の複製に依存しない、自己複製可能な発現ベクター、宿主細胞に導入されたときに、その宿主細胞のゲノム中に組み込まれ、それが組み込まれた染色体と共に複製される発現ベクター、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
前記ベクターは、宿主細胞において血清アルブミンを発現するために、上記血清アルブミンをコードする核酸配列の他に、発現を制御する塩基配列、宿主細胞を選択するための遺伝子マーカー、などを含むことが望ましい。
−−−発現を制御する塩基配列−−−
上記発現を制御する塩基配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロモーターをコードする塩基配列、シグナルペプチドをコードする塩基配列、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
前記プロモーターとしては、宿主細胞において転写活性を示すものであれば特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、AOX遺伝子のプロモーターを有するベクターにおいては、血清アルブミン遺伝子を、ピキア・パストリスのAOX遺伝子のプロモーターの下流(3’側)に挿入しておくと、メタノール非依存下で血清アルブミン遺伝子の転写を極めて低く抑えることができ、メタノール存在下で血清アルブミン遺伝子の転写を効率良く誘導できる。このため、メタノールを存在させるか否かで、血清アルブミンの発現タイミングを調節することが可能となる。
前記シグナルペプチドとしては、宿主細胞において、タンパク質の分泌に寄与するものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−−−遺伝子マーカー−−−
上記遺伝子マーカーとしては、発現ベクターを導入した細菌または細胞を選択するためのマーカーである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、栄養要求性を補完する遺伝子、薬剤耐性をコードする遺伝子、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
例えば、ピキア属酵母のピキア・パストリスGS115株は、ヒスチジン合成酵素の遺伝子が変異しており(his4)、ヒスチジン要求性を示すが、発現ベクターに上記栄養要求性を補完する遺伝子として変異のない合成酵素の遺伝子(HIS4)が組み込まれることによって、形質転換した宿主細胞のヒスチジン要求性はなくなる。これにより発現ベクターが導入された宿主細胞を選択可能となる。
また、アンピシリン等の薬剤に対する薬剤耐性をコードする遺伝子を遺伝子マーカーとして用いて、発現ベクターが導入された形質転換した宿主細胞を選択することもできる。
−形質転換工程−
上記形質転換工程は、上記発現ベクターをピキア属酵母に由来する細胞に導入して、形質転換した酵母を得る工程である。
前記酵母の形質転換の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知のスフェロプラスト法、塩化リチウムを用いた方法、エレクトロポレーション法、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
−培養工程−
上記培養工程は、上記形質転換した酵母を培養液中で培養する工程である。
前記形質転換した酵母が、ピキア・パストリスを宿主細胞として得られている場合は、前記培養液に含ませる成分として、酵母エキス、無機塩類、ビタミン、炭素源(グリセロール等)を挙げることができる。
これらの成分の他にも、メタノールを前記培養液に加えることにより、血清アルブミンの発現を調節することも可能である。
−分離工程−
上記分離工程は、上記酵母が培養された培養液から遺伝子組換え動物血清アルブミンを分離する工程である。
前記培養液に分泌された遺伝子組換え動物血清アルブミンを分離する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫酸アンモニウム等を用いた塩析、透析、限外ろ過濃縮、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
−精製工程−
上記精製工程は、上記分離した遺伝子組換え動物血清アルブミンを精製する工程である。
前記分離した遺伝子組換え動物血清アルブミンを精製する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲルろ過分画操作、イオンクロマトグラフィー操作、疎水クロマトグラフィー操作、アフィニティークロマトグラフィー操作、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
<遺伝子組換え動物血清アルブミンの物性及び構造>
本発明の遺伝子組換え動物血清アルブミンの物性及び構造を特定する指標としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(a)質量分析(MALDI−TOFMS)により得られる分子量、(b)等電点電気泳動法により得られる等電点、(c)円偏光二色性スペクトル分析により得られるαへリックス含量、(e)X線結晶構造解析による三次元構造、(f)糖鎖修飾、(g)吸着脂肪酸量、などが挙げられる。
本発明の遺伝子組換え動物血清アルブミンは、
(a)質量分析(MALDI−TOFMS)により得られる分子量が、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンと、血液由来の動物血清アルブミンとで同一であり、
(b)等電点電気泳動法により得られる等電点が、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンと、血液由来の動物血清アルブミンとで同一であり、
(c)円偏光二色性スペクトル分析により得られるαへリックス含量が、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンと、血液由来の動物血清アルブミンとで同一である、
ことが好ましい。
さらに、本発明の遺伝子組換え動物血清アルブミンは、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンの上記物性及び構造が、血液由来の動物血清アルブミンの前記物性及び構造と同一であることが特に好ましい。
<<分子量>>
上記分子量は、質量分析(MALDI−TOFMS)により得られる分子量から判断することができる。
前記分子量が、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンと、血液由来の動物血清アルブミンとで同一であるか否かは、例えば、(遺伝子組換え動物血清アルブミンの質量分析による分子量)/(血液由来の動物血清アルブミンの質量分析による分子量)×100(%)で算出される値が、95%〜105%であるか否かで判断することができ、前記割合が、95%〜105%であると、分子量が同一であるといえる。
−質量分析(MALDI−TOFMS)−
上記質量分析(MALDI−TOFMS)による分子量の測定は、例えばKoich Tanakaraら、Rapid.Commun.Mass.Spectrom.,2,151−153(1988)などに記載の方法に準じて測定することができる。
<<等電点>>
上記等電点は、等電点電気泳動法により得られる等電点から判断することができる。
前記等電点が、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンと、血液由来の動物血清アルブミンとで同一であるか否かは、例えば、(遺伝子組換え動物血清アルブミンの等電点電気泳動法による等電点)/(血液由来の動物血清アルブミンの等電点電気泳動法による等電点)×100(%)で算出される値が、95%〜105%であるか否かで判断することができ、前記割合が、95%〜105%であると、等電点が同一であるといえる。
−等電点電気泳動法−
上記等電点電気泳動法による等電点の測定は、例えばDaiki Tomitaら、Biomacromolecules,14,1816−1825(2013)などに記載の方法に準じて測定することができる。
<<αへリックス含量>>
上記αへリックス含量は、円偏光二色性スペクトル分析により得られるαヘリックス含量から判断することができる。
前記αへリックス含量が、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンと、血液由来の動物血清アルブミンとで同一であるか否かは、例えば、(遺伝子組換え動物血清アルブミンの円偏光二色性スペクトル分析によるαへリックス含量)/(血液由来の動物血清アルブミンの円偏光二色性スペクトル分析によるαへリックス含量)×100(%)で算出される値が、95%〜105%であるか否かで判断することができ、前記割合が、95%〜105%であると、αへリックス含量が同一であるといえる。
−円偏光二色性スペクトル分析−
上記円偏光二色性スペクトル分析によるαへリックス含量の測定は、例えばYee−Hsiung Chenら、Biochem.Biophys.Res.Commun.,44,1285−1291(1971)などに記載の方法に準じて測定することができる。
(ヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体)
本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、コアとしてのヘモグロビンと、前記ヘモグロビンに架橋剤を介して結合されたシェルとしての遺伝子組換え動物血清アルブミンを有し、さらに必要に応じて、その他の部位を有する。
例えば、図1に示すように、本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体100は、コアとしてのヘモグロビン10と、シェルとしての3個の遺伝子組換え動物血清アルブミン20とを有する。図1において、ヘモグロビン10と遺伝子組換え動物血清アルブミン20とは、架橋剤(不図示)を介して結合されている。
<遺伝子組換え動物血清アルブミン>
本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体に用いる遺伝子組換え動物血清アルブミンは、上述した本発明の遺伝子組換え動物血清アルブミンである。
前記遺伝子組換え動物血清アルブミンの等電点は、7よりも低く、生理条件では、分子表面が強く負に帯電しているため、血管内皮細胞の外側にある基底膜(負に帯電)との静電反発により、血管外に漏れ出しにくい。よって、ヘモグロビンを遺伝子組換え血清アルブミンで包んだ構造のヘモグロビン−遺伝子組換え血清アルブミン複合体は、分子表面が遺伝子組換え血清アルブミンと同じように強く負に帯電しているため、生体適合性の高い(例えば、腎排泄や血管からの漏出に伴う血圧亢進などの副作用がない)安全な赤血球代替物として機能する。
本発明の遺伝子組換え動物血清アルブミンは、上述の通り、血液由来の動物血清アルブミンの物性及び構造と実質的に同一であることから、動物に投与したときの副作用のリスクを低減することができる。また、イヌ及びネコの血液からアルブミンを大量に得ることは容易ではないが、上述のように本発明の遺伝子組換え動物血清アルブミンは大量に得ることが可能であることから、ヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体を大量に製造することが可能となる。
<ヘモグロビン>
上記ヘモグロビンの分子は、4つのサブユニットから構成され、各サブユニットは、それぞれ1つのプロトヘムを有する。該プロトヘム内の鉄原子に酸素が結合する。即ち、1つのヘモグロビン分子には、4つの酸素分子が結合する。
前記ヘモグロビンとしては、脊椎動物のものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウシヘモグロビン、ブタヘモグロビン、ウマヘモグロビン、イヌヘモグロビン、ネコヘモグロビン、ウサギヘモグロビン、ヒトヘモグロビン、組換えヒトヘモグロビン、分子内架橋ヘモグロビン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記ヘモグロビンは、赤血球を溶解して得られるヘモグロビン、遺伝子組換え技術により得られるヘモグロビン、これらのヘモグロビンのサブユニットを架橋剤で分子内架橋して得られる分子内架橋ヘモグロビン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ウシヘモグロビン、ブタヘモグロビン、ウマヘモグロビン、特には、ウシヘモグロビン、ブタヘモグロビンは、産業動物のヘモグロビンとして、供給量の観点で入手が容易なため、本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体を大量に製造できるようになる点で有利である。
本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、ヘモグロビンをコアとして、遺伝子組換え動物血清アルブミンがヘモグロビンを覆うように構成される。本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体を動物体内に投与すると、遺伝子組換え動物血清アルブミンが異種由来であると、投与された動物の体内において、免疫反応が生じやすい。したがって、遺伝子組換え動物血清アルブミンは、投与しようとする動物と同種に由来することが望ましい。一方、ヘモグロビンは、ヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体を投与しようとする動物と異種に由来していても、免疫反応が生じにくい。したがって、免疫反応の観点で、ヘモグロビンの由来となる動物は、特に限定されず、本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンの由来となる動物と、前記ヘモグロビンの由来となる動物とが、異なっていてもよい。
食用加工において、ウシ、ブタ及びウマ、特にはウシ及びブタの血液は、多くが廃棄されている。斯かる血液を用いれば、ヘモグロビンの入手が容易となる。したがって、大量生産が可能な本発明の遺伝子組換え動物血清アルブミンと組み合わせて、ウシヘモグロビン、ブタヘモグロビン又はウマヘモグロビンを用いることで、本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は大量生産が可能となる。
したがって、本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、イヌ用であれば、ウシヘモグロビン−遺伝子組換えイヌアルブミン複合体、ブタヘモグロビン−遺伝子組換えイヌアルブミン複合体又はウマヘモグロビン−遺伝子組換えイヌアルブミン複合体が好ましく、ネコ用であれば、ウシヘモグロビン−遺伝子組換えネコアルブミン複合体、ブタヘモグロビン−遺伝子組換えネコアルブミン複合体、又はウマヘモグロビン−遺伝子組換えネコアルブミン複合体が好ましく、ウサギ用であれば、ウシヘモグロビン−遺伝子組換えウサギアルブミン複合体、ブタヘモグロビン−遺伝子組換えウサギアルブミン複合体、又はウマヘモグロビン−遺伝子組換えウサギアルブミン複合体が好ましい。
上記ヘモグロビンに架橋剤を介して結合する遺伝子組換え動物血清アルブミンの数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1個〜7個が好ましい。8個以上は、立体障害のため結合することが困難と考えられる。遺伝子組換え動物血清アルブミンの数が2〜5個であると、ヘモグロビンを十分に囲むことができる点で、有利である。
前記遺伝子組換え動物血清アルブミンの数の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)電気泳動法により測定したヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体全体の分子量と、ヘモグロビンの分子量と、遺伝子組換え動物血清アルブミンの分子量に基づいて算出する方法、(2)シアノメトヘモグロビン法(例えば、アルフレッサファーマ社、ネスコートヘモキットN、No.138016−14)を用いたヘムの定量により算出したヘモグロビンの濃度、及び660nm法(例えば、Pierce社、660nm Protein Assay Kit、No.22662)を用いたタンパク質の定量により算出したタンパク質の濃度に基づいて算出する方法、(3)電子顕微鏡で観察する方法などが挙げられる。
また、遺伝子組換え動物血清アルブミンの数が異なるヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体の混合体から、遺伝子組換え動物血清アルブミンの数が所定の個数であるヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体を単離する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カラムクロマトグラフィーによる単離方法、などが挙げられる。
<架橋剤>
上記架橋剤としては、ヘモグロビンと遺伝子組換え動物血清アルブミンとを連結可能な2官能性架橋剤である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(1)〜(4)及び化学式(1)で表される化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、α−(N−スクシンイミジル)−ω―ピリジルジチオ架橋剤(下記一般式(1)において、R1が水素原子であり、nが5であるもの)、α−(N−スクシンイミジル)−ω―マレイミド架橋剤(下記一般式(4)において、R3が水素原子であり、R4が一般式(5)であるもの、さらには、R3が水素原子であり、R4が一般式(5)であり、かつn=5であるもの、さらには、R3が水素原子であり、R4が化学式(3)であるもの)が好ましい。
Figure 2016179951
一般式(1)中、R1は、水素原子及びSO3 -Na+のいずれかを表し、nは、1〜10の整数を表す。例えば、n=5のものなどが一般的に挙げられる。
Figure 2016179951
Figure 2016179951
一般式(2)中、nは、1〜10の整数を表す。例えば、n=2のものなどが一般的に挙げられる。
Figure 2016179951
一般式(3)中、R2は、水素原子及びSO3 -Na+のいずれかを表し、nは、1〜10の整数を表す。例えば、n=5のものなどが一般的に挙げられる。
Figure 2016179951
一般式(4)中、R3は、水素原子及びSO3 -Na+のいずれかを表し、R4は、下記一般式(5)〜(6)及び下記化学式(2)〜(4)のいずれかを表す。
Figure 2016179951
一般式(5)中、nは、1〜10の整数を表す。
Figure 2016179951
Figure 2016179951
Figure 2016179951
一般式(6)中、nは、2、4、6、8、10又は12の整数を表す。
Figure 2016179951
上記架橋剤におけるスクシンイミジル基と、ヘモグロビンにおけるリシン残基のアミノ基(−NH2)とは、アミド結合(共有結合)を形成する。
前記アミド結合を形成するための方法としては、例えば、ヘモグロビン及び架橋剤を4℃〜30℃で0.2時間〜3時間攪拌すること、などが挙げられる。
前記架橋剤におけるピリジルジチオ基と、遺伝子組換え動物血清アルブミン分子におけるシステイン34(還元型システイン)とは、交換反応により新たなジスルフィド結合(共有結合)を形成する。なお、該ジスルフィド結合は、切断されやすいという特性を有する。
前記ジスルフィド結合を形成するための方法としては、例えば、遺伝子組換え動物血清アルブミン及び架橋剤を4℃〜30℃で1時間〜40時間攪拌すること、などが挙げられる。
前記架橋剤におけるマレイミド基と、遺伝子組換え動物血清アルブミン分子におけるシステイン34(還元型システイン)とは、スルフィド結合(共有結合)を形成する。
前記スルフィド結合を形成するための方法としては、例えば、遺伝子組換え動物血清アルブミン及び架橋剤を4℃〜30℃で1時間〜40時間攪拌すること、などが挙げられる。
遺伝子組換え動物血清アルブミン分子において、システイン34(還元型システイン)は1つしか存在しないため、本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、星型のクラスター構造(例えば、図1の構造)となり、分子構造が明確である。
<その他の部位>
上記その他の部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、遺伝子組換え動物血清アルブミン表面に共有結合により導入されたポリ(エチレングリコール)、遺伝子組換え動物血清アルブミンとともにヘモグロビンに結合されたタンパク質、などが挙げられる。
本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体の等電点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜調整することができるが、4.0〜6.5が好ましく、4.2〜5.5がより好ましい。
以上より、本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、酸素結合サイトがヘモグロビンであるため、安定な酸素化体を形成することが可能であり、体組織に効率良く酸素を供給することができる。また、本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、コアヘモグロビンの周囲が遺伝子組換え動物血清アルブミンで覆われているので、等電点が遺伝子組換え動物血清アルブミンと同程度に低く、腎排泄、血管内皮細胞からの漏出、血管収縮による血圧亢進も惹起しない。また、ヘモグロビン及び遺伝子組換え動物血清アルブミンは生体物質であるため、代謝が良いと考えられる。さらに、本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、調製が比較的容易であるにもかかわらず、三次元構造は明確である。
また、本願発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、ヘモグロビンが酸素結合部位であることにより、酸素結合解離曲線がS字曲線となり、特に、末梢細胞の酸素分圧が低下した場合に、酸素運搬能力が向上するという効果を有することが予測される。
以上より、本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体は、生体適合性の観点及びLPSを含まない観点で安全であり、大量生産が可能であり、酸素運搬能力を備えているといえる。
(人工血漿増量剤)
本発明の人工血漿増量剤は、本発明の遺伝子組換え動物血清アルブミン及び/又は本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体を含むことを特徴とする。なお、前記人工血漿増量剤とは、出血などにより、循環血液量が不足した患者に対して、循環血液量を回復・維持させる目的で投与される輸液剤乃至輸液製剤である。
(人工酸素運搬体)
本発明の人工酸素運搬体は、本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体を含むことを特徴とする。なお、前記人工酸素運搬体とは、酸素分子を運搬可能な物質であり、生体に投与した場合には、赤血球の代替物として機能するものである。
以下、実施例を挙げて本発明の一実施形態をさらに詳しく説明するが、本発明は下記の実施例になんら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
(実施例1、2)
遺伝子組換えイヌ血清アルブミンを下記の通り製造した。
<発現ベクター作製工程>
−調製1:イヌ血清アルブミン(CSA)遺伝子オープンリーディングフレーム(ORF)配列のPCRによる増幅−
イヌ肝臓由来のcDNAを鋳型として、CSA遺伝子のORF配列をPCRにより増幅した。テンプレートのcDNAを0.5μL、10μMのセンス鎖プライマー(5’−TCGAAACGAGGAATTCATGAAGTGGGTAACTTTTATTT−3’)およびアンチセンス鎖プライマー(5’−TGTCTAAGGCGAATTCTCAGACTAAGGCAGCTTGA−3’)を各1μL、Prime STAR Max Premix(Takara社)を0.5μL、滅菌済み超純水22.5μLを混合し、(98℃、10sec→58℃、5sec→72℃、1min)×30cyclesの条件でPCRを行った。反応後、1%アガロース電気泳動で目的のサイズ(約1.8kbp)のDNA断片が増幅されていることを確認した。
−調製2:イヌ血清アルブミン(CSA)発現ベクターの構築と大腸菌へのクローニング−
PCRで増幅したDNA断片をピキア酵母発現ベクターpHIL−D2(Life Technologies社)のEcoRIサイトにIn Fusion反応により組み込んだ。調製例1で得た反応液5μLとCloning Enhancer(TaKaRa社)2μLを混合し、37℃で15分間、さらに80℃で15分間インキュベートした。反応後の溶液2μL、5×In−Fusion Enzyme Premix(TaKaRa社)2μL、制限酵素EcoRIで直鎖状にした15ng/μLのpHIL−D2溶液4μL、及び滅菌済み超純水2μLを混合し、50℃で15分間インキュベートした。
XL10−Goldウルトラコンピテントセル(Agilent Technologies社)100μLにβ−mercaptoethanolを4.0μL加え、氷上で10分間インキュベートした。さらに、上記In Fusion反応後の溶液10μLを加え、氷上で30分間インキュベートした。42℃で30秒間加温後、速やかに氷上で2分間インキュベートすることによりサンプルを急冷し、900μLのLB培養液を加え、37℃、250rpmで1時間振盪培養した。室温、2,000gで3分間遠心分離した後に上清を900μL除去し、残りの溶液で大腸菌を再懸濁した。100μg/mLのアンピシリンを含むLB寒天培地上に、大腸菌懸濁液を全量播種し、37℃で18時間培養することで薬剤耐性クローンのコロニーを形成させた。
アンピシリン(100μg/mL)を含むLB培養液5mLにコロニーを形成した大腸菌を植菌し、37℃、250rpmで18時間振盪培養した。室温、16,000gで1分間遠心分離することにより集菌し、QIAprep Spin Miniprep Kit(QIAGEN社)を用いてプラスミドDNAを抽出した。制限酵素EcoRIまたはXbaI処理によるインサートチェック後、シーケンス解析により遺伝子配列を確認した。
<形質転換工程>
−調製3:ピキア酵母の形質転換−
シーケンス確認後のpHIL−D2−CSAを制限酵素SalI処理により直鎖状とし、QIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN社)を用いて精製した。ピキア酵母GS115株(Agilent Technologies社)をYPD培養液50mL中で濁度OD600が約1.5になるまで30℃、250rpmで振盪培養した。4℃、1,500gで5分間遠心分離した後に上清を除去し、50mLの滅菌済み超純水で再懸濁することでピキア酵母を洗浄した。同様の操作によりピキア酵母を25mLの滅菌済み超純水で再度洗浄した。それを遠心分離し、上清を除去した後、1M Sorbitol溶液2mLでピキア酵母を再懸濁した。さらにそれを遠心分離し、上清を除去した後、1M Sorbitol水溶液を全液量が約100μLとなるように加え、ピキア酵母を再懸濁し、氷上に静置した。氷冷したエレクトロポレーション用キュベットに1M Sorbitol溶液で懸濁したピキア酵母80μLを加え、さらに約1.5μg/μLの直鎖状pHIL−D2−CSAを5μL入れた。MicroPulser(BIO−RAD社)でエレクトロポレーションを行い、速やかに1M Sorbitol溶液1mLを加えた。エレクトロポレーション後のピキア酵母懸濁液600μLを、アミノ酸を含まないMD(Minimal Dextrose)寒天培地上に播種した。30℃で3日間培養することでコロニーを形成させ、ヒスチジン要求性によるピキア酵母rCSA発現株の選別を行った。
<培養工程>
−調製4:ピキア酵母による遺伝子組換えイヌ血清アルブミン(rCSA)の産生−
10mLのBMGY(Buffered Mineral Glycerol−Complex)培養液に、ピキア酵母rCSA発現株を植菌し、30℃、250rpmで回転撹拌しながら、培養液の濁度OD600が10〜20になるまで前培養した。バッフル付三角コルベン(2L容量)に入れたBMGY培養液1Lに、前培養後の酵母懸濁液2mLを加え、濁度OD600が30〜35になるまで再度30℃、200rpmで振盪培養した。培養後に室温、3,000gで10分間遠心分離を行い、上清を除去した。ピキア酵母をBMMY(Buffered Mineral Methanol−Complex)培養液200mLに再懸濁し、バッフル付三角コルベン(2L容量)に移した後、30℃、200rpmで5〜7日間振盪培養した。この間、24時間毎にメタノール2mLを添加した。培養後、4℃、11,000gで15分間遠心分離し、培養上清を回収した。
<分離工程>
−調製5:培養液からの遺伝子組換えイヌ血清アルブミン(rCSA)の分離−
回収した培養上清に硫酸アンモニウムを50%飽和になるまで加え、4℃で30分間静置した。4℃、11,400gで15分間遠心分離した後に褐色の沈殿を除去し、回収した上清にさらに硫酸アンモニウムを90%飽和になるまで加え、4℃で30分間静置した。4℃、11,400gで30分間遠心分離することで得られた沈殿を100mLの純水に溶解し、合計15L以上の純水中で24時間透析を行った。透析後、加圧式限外ろ過(分画分子量50,000)により溶液を約30mLまで濃縮し、セルロースアセテート膜フィルター(DISMIC−25CS、孔径0.2μm、ADVANTEC社、以下DISMICフィルターという)でろ過した。
<精製工程>
濃縮した溶液からのrCSAの精製は、ゲルろ過クロマトグラフィー後に陰イオン交換クロマトグラフィーを組合せた方法(実施例1)または、アフィニティークロマトグラフィーを用いた方法(実施例2)により行った。
−ゲルろ過クロマトグラフィーおよび陰イオン交換クロマトグラフィーによる遺伝子組換えイヌ血清アルブミン(rCSA)の精製(実施例1)−
調製5で分離、濃縮したrCSAを含む水溶液に1M Tris−HCl(pH8.0)緩衝液を加え、50mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝液へと溶媒置換した。まず、ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて、rCSAを含む褐色成分と培養液由来の茶褐色成分を分離した。具体的には、rCSAを含む50mM Tris−HCl(pH8.0)溶液をUV検出器(280nm)及びレコーダーを接続したゲル濾過クロマトグラフィー(Sephacryl S−200(GE Healthcare社)、溶出液:50mM Tris−HCl(pH8.0))にかけ、rCSAを含む成分のみをサンプル瓶に集めた。
必要に応じ、遠心限外ろ過器(VIVA SPIN 20、限外分子量30kDa、Sartorius Stedim Biotech社)に入れ、遠心分離機(Allegra X−15R Centrifuge、BECKMAN COULTER社)を用いて、4,000rpm、30分間、4℃の条件で濃縮した後、イオン交換クロマトグラフィーを用いてrCSAを精製した。具体的には、20mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝液で平衡化したHiTrapQ FFイオン交換カラム(GE Healthcare社)にかけ、100mM NaClを含む20mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝液で洗浄後、300mM NaClを含む20mM Tris−HCl(pH 8.0)緩衝液でrCSAを溶出した。回収したrCSA水溶液は、合計15L以上の純水中で24時間透析を行い、加圧式限外ろ過(分画分子量10,000)による濃縮、10倍リン酸緩衝生理食塩水(PBS(pH7.4))の添加によるPBS(pH7.4)への溶媒置換、およびDISMICフィルター(DISMIC−25CS、孔径0.2μm)によるろ過を行い、4℃で保存した。
−アフィニティークロマトグラフィーによる遺伝子組換えイヌ血清アルブミン(rCSA)の精製(実施例2)−
調製5で分離、濃縮したrCSA水溶液に1M Tris−HCl(pH7.0)緩衝液を加えることで、100mM Tris−HCl(pH7.0)緩衝液へと溶媒置換した。その後、アフィニティークロマトグラフィーを用いてrCSAを精製した。具体的には、100mM Tris−HCl(pH7.0)緩衝液で平衡化したTOYOPEARL AF−Blue HC−650Mカラム(東ソー社)にかけ、100mM Tris−HCl(pH7.0)緩衝液で洗浄後、3M NaClを含む100mM Tris−HCl(pH7.0)緩衝液でrCSAを溶出した。回収したrCSA水溶液は、合計15L以上の純水中で24時間透析を行い、加圧式限外ろ過(分画分子量10,000)による濃縮、10倍PBS(pH7.4)の添加によるPBS(pH7.4)への溶媒置換、およびDISMICフィルター(DISMIC−25CS、孔径0.2μm)でろ過し、4℃で保存した。
(参考例1)
イヌ血液に由来するイヌ血清アルブミン(CSA)を以下に示した方法により得た。
イヌ血漿30mLに硫酸アンモニウムを50%飽和になるまで加え、4℃で30分間静置した。4℃、10,000gで30分間遠心分離することにより得られた上清を回収し、DISMICフィルター(DISMIC−25CS、孔径0.2μm)でろ過した後、合計15L以上の純水中で24時間透析を行った。透析後、DISMICフィルター(DISMIC−25CS、孔径0.2μm)でろ過し、1M リン酸(pH7.0)緩衝液を加えることで、100mM リン酸(pH7.0)緩衝液へと溶媒置換した。得られた水溶液を、100mM リン酸(pH7.0)緩衝液で平衡化したTOYOPEARL AF−Blue HC−650Mカラム(東ソー社)にかけ、100mM リン酸(pH7.0)緩衝液で洗浄後、3M NaCl水溶液でCSAを溶出した。回収したCSA水溶液は、合計15L以上の純水中で24時間透析を行い、加圧式限外ろ過(分画分子量10,000)による濃縮、10倍PBS(pH7.4)の添加によるPBS(pH7.4)への溶媒置換、およびDISMICフィルター(DISMIC−25CS、孔径0.2μm)によるろ過を行い、4℃で保存した。
<遺伝子組換え動物血清アルブミンの評価>
実施例1で得られた遺伝子組換えイヌ血清アルブミン(rCSA)及び参考例1で得られた血液由来イヌ血清アルブミン(CSA)について、それぞれの物性及び構造を比較するために、Native−PAGE、SDS−PAGE、HPLC、質量分析(MALDI−TOFMS)、等電点電気泳動法、円偏光二色性スペクトル分析を実施した。
<Native−PAGE>
Native−PAGE用サンプルバッファー(65.5mM Tris−HCl(pH6.8)、10%(v/v)Glycerol、0.003%(w/v)Bromphenol blue)に溶解したrCSA 500ngを5−10%グラジエントポリアクリルアミドゲルHi−QRAS Gel N(関東化学社)にロードし、Native−PAGE用泳動バッファー(25mM Tris base、192mM Glycine)を用いて30mAで約1時間電気泳動を行った。泳動後、クマシーブリリアントブルー(CBB)染色を行うと、単一のバンドが観測された。そのバンドの移動度が、比較対象として同時に測定したCSAの示すバンドの移動度と一致したことから、rCSAとCSAとは同一の分子量、表面電荷、形状を有することがわかった。
<SDS−PAGE>
SDS−PAGE用サンプルバッファー(65.5mM Tris−HCl(pH6.8)、10%(v/v)Glycerol、0.003%(w/v)Bromphenol blue、2%(w/v)SDS)に溶解したrCSA 500ngを100℃で5分間加熱した。この溶液を5−20%グラジエントポリアクリルアミドゲルHi−QRAS Gel N(関東化学社)にロードし、SDS−PAGE用泳動バッファー(25mM Tris base、192mM Glycine、0.1%(w/v)SDS)を用いて30mAで約1時間電気泳動を行った。泳動後、CBB染色を行うと、単一のバンドが観測され、その移動度から算出した分子量は65.7kDaであった。
そのバンドの移動度と算出した分子量が、比較対象として同時に測定したCSAの示すバンドの移動度と分子量に一致したことから、rCSAとCSAとは同一の分子量を有することがわかった。
rCSAとCSAの分子量(65.7kDa)は、アミノ酸配列より算出した分子量65.7kDaと一致した。
<HPLC>
DISMICフィルター(DISMIC−25CS、口径0.2μm)でろ過したrCSAのPBS(pH7.4)溶液(20μM)20μLを高圧液体クロマトグラフィーシステム[LaChrom Elite、日立ハイテクノロジーズ社、カラム:PROTEIN KW−803HPLC(Shodex社)、溶出液:リン酸緩衝水(50mM PB(pH7.4))、検出波長280nm、流速0.5mL/分]を用いて測定した。rCSAは単一な流出曲線ピークを示し、その保持時間は18.0分であった。そのピーク形状と保持時間が、比較対象として同時に測定したCSAの示すピーク形状と保持時間(18.0分)に一致したことから、rCSAとCSAとは同一の分子量を有することがわかった。
<質量分析(MALDI−TOFMS)>
ターゲットプレート上にMatrix溶液(0.05%トリフルオロ酢酸、0.1%シナピン酸、50%アセトニトリル水溶液)1μLを滴下し、すぐにrCSA水溶液(50μM)1μLを滴下し、空気乾燥させた。マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析装置(Matrix−Assisted Laser Desorption Ionization−Time of Flight Mass Spectrometer(MALDI−TOFMS、Autoflex、Bruker Daltonics社)を用いて質量分析を行った結果、rCSAの分子量は65.6kDaであることがわかった。この値は、アミノ酸配列から見積もったシミュレーション値(65.7kDa)とよく一致した。
また、その分子量が、比較対象として同時に測定したCSAの分子量65.6kDaと同等であったことから、rCSAとCSAとは同一の分子量を有することがわかった。
<等電点電気泳動法>
NOVEX IEFサンプルバッファー pH3−10(Life Technologies社)に溶解したrCSA 500ngをNovex pH3−10 IEF Protein Gel(Life Technologies社)にロードした。陰極側にNovex IEF Cathodeバッファー pH3−10(Life Technologies社)、陽極側にNovex IEF Anodeバッファー(Life Technologies社)を用い、100Vで1時間、200Vで1時間、500Vで30分間泳動を行った。泳動後、CBB染色を行うと、単一のバンドが観測され、その移動度から算出した等電点(pI値)は4.5であった。そのバンドの移動度と算出したpI値が、比較対象として同時に測定したCSAの示すバンドの移動度とpI値に一致したことから、rCSAとCSAとは同一の等電点を有することがわかった。
<円偏光二色性スペクトル分析>
分光用石製セル(1cm)にrCSAのPBS(pH7.4)溶液(0.2μM)2mLを加え、円偏光二色性(CD)スペクトル(200−250nm)を円偏光二色性分光光度計(J−820、日本分光社)を用いて測定した(25℃)。rCSAは208nmと222nmに極小値を持つαへリックス由来のスペクトルパターンを示した。222nmにおける計測楕円率度([θ]obs)から算出したモル楕円率([θ]min)は−22,817 degrees cm2 dmol-1であり、その値から見積もったαへリックス含量は68%であった。
そのスペクトルパターン、[θ]min、αへリックス含量が、比較対照として同時に測定したCSAの示すスペクトルパターン、[θ]min(−22,878 degrees cm2dmol-1)、αへリックス含量(68%)と実質的に同一であったことから、rCSAとCSAとは同一のαヘリックス量を有することがわかった。
(実施例3)
ウシヘモグロビン(HbBv)に遺伝子組換えイヌ血清アルブミン(rCSA)が1、2、3、4つ結合したウシヘモグロビン−遺伝子組換えイヌ血清アルブミン複合体[(HbBv−rCSA1)SMCC、(HbBv−rCSA2)SMCC、(HbBv−rCSA3)SMCC、(HbBv−rCSA4)SMCC]、及び、ウシヘモグロビン(HbBv)に遺伝子組換えイヌ血清アルブミン(rCSA)が平均3つ結合したウシヘモグロビン−遺伝子組換えイヌ血清アルブミン複合体[(HbBv−rCSA平均3)SMCC]を下記の通り製造した。
<調製6:メルカプト遺伝子組換えイヌ血清アルブミン(rCSA−SH)の調製>
遺伝子組換えイヌ血清アルブミン(rCSA)におけるシステイン−34(Cys−34)の残基をチオール基に還元しておくために、以下の操作を行った。
サンプル瓶(30mL容量)にrCSAのPBS(pH7.4)溶液(1mM)10mLを入れ、そこにジチオスレイトール(Dithiothreitol)(和光純薬社)のPBS(pH7.4)溶液(20mM)0.25mL(ジチオスレイトール/rCSA=0.5(mol/mol))を加えてよく振盪し、室温、遮光下で60分間攪拌して反応溶液を得た。
得られた反応溶液をDISMICフィルター(DISMIC−25CS、孔径0.2μm)でろ過した後、ゲル濾過クロマトグラフィー(Sephadex G−25 Superfine、2.5cmφ、溶出液:PBS(pH7.4))にかけ、未反応のジチオスレイトールを除去した。rCSAを含む溶出液を遠心限外ろ過器(VIVA SPIN 20、限外分子量5kDa、Sartorius Stedim Biotech社)に入れ、遠心分離機(Allegra X−15R Centrifuge、BECKMAN COULTER社)を用いて、4,000rpm、30分間、4℃の条件で、10mLまで濃縮することで、メルカプト遺伝子組換えイヌ血清アルブミン(rCSA−SH)を得た。
チオール基とジスルフィド結合の交換反応を利用して、rCSAのメルカプト分率を定量した。4,4’−ジチオピリジン(4,4’−Dithiopyridine)(4,4’−DTP)は遊離チオール(SH)基と反応し、4−チオピリジノン(4−Thiopyridinone)(4−TP)を生じるので、rCSAに4,4’−DTPを加え、生成した4−TPの量を測ることにより、システイン34(Cys−34)におけるチオール基の量を定量した。
まず、分光用石製セル(1cm)にPBS(pH7.4)1.47mLを加え、紫外可視吸収(UV−Vis.)スペクトル(190nm−700nm)を紫外可視分光光度計(紫外可視分光光度計8454、Agilent社)を用いて測定した(ブランク)。
次に、その石英セルにrCSA−SHのPBS(pH7.4)溶液(1mM)30μLを加えてよく振盪し(rCSA濃度=20μM)、紫外可視吸収スペクトル測定を行った。
続いて、4,4’−DTP水溶液(10mM)30μLを添加し[4,4’−DTP/rCSA=10(mol/mol)]、よく振盪した。
30分間静置した後、紫外可視吸収スペクトル測定を行った。324nmの吸光度と4−TPのモル吸光係数(ε324=1.98×104-1cm-1)から、ピリジルジチオ基の濃度を算出した。rCSA濃度で割ることにより、rCSAのメルカプト分率(還元型システイン34の割合)を算出したところ、60%〜80%であった。
<調製7:ウシヘモグロビン−架橋剤結合体(HbBv−SMCC)の調製>
ナス型フラスコ(100mL容量)にCO化ウシヘモグロビン(HbBv)のPBS(pH7.4)溶液(0.1mM)10mLを入れ、撹拌しながら、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(Succinimidyl−4−(N−maleimidomethyl)cyclohexane−1−carboxylate)(SMCC、和光純薬社)のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液(20mM)1mLをゆっくり添加し[SMCC/HbBv=20(mol/mol)]、25℃で3時間撹拌した。得られた反応溶液をDISMICフィルター(DISMIC−25CS、孔径0.2μm)でろ過した後、ゲル濾過クロマトグラフィー(Sephadex G−25 Superfine、2.5cmφ、溶出液:PBS(pH7.4))にかけ、未反応の架橋剤を除去した。得られたウシヘモグロビン−架橋剤結合体(HbBv−SMCC)のPBS(pH7.4)溶液を遠心限外ろ過器(VIVA SPIN20、限外分子量:10kDa)を用いて20mLまで濃縮し、0.1mMとした。
<調製8:ウシヘモグロビン−遺伝子組換えイヌ血清アルブミン複合体(HbBv−rCSAn)SMCCの調製>
調製6で得たメルカプト遺伝子組換えイヌ血清アルブミン(rCSA−SH)のPBS(pH7.4)溶液(1.0mM)10mLをナス型フラスコ(50mL容量)に入れ、撹拌子で撹拌(100rpm)しながら、ウシヘモグロビン−架橋剤結合体(HbBv−SMCC)のPBS(pH7.4)溶液(0.1mM)10mLをゆっくりと滴下し[rCSA−SH/HbBv−SMCC=10(mol/mol)]、4℃、遮光下で14時間反応させ、反応溶液を得た。
該反応溶液をDISMICフィルター(DISMIC−25CS、口径0.2μm)でろ過し、低圧クロマトグラフィーシステム[AKTA prime plus(GEヘルスケア社)、カラム:Superdex 200pg(HiLoad 26/60)、溶出液:50mM PB(pH7.4)]を用いて、4℃にて分離・精製した。溶出液はフラクションコレクターで捕集した。溶出曲線においては、rCSA(Mw:65.7kDa)のピークより早い時間に複数のピークが出現し、高分子量体の生成が示唆された。主要な4つのピークを含む分画について、Native−PAGE電気泳動測定(5−10%グラジエントポリアクリルアミドゲルHi−QRAS Gel N、関東化学社)を行ったところ、Mw:130kDa〜450kDaに明確な4つのバンドが現れたため、それぞれの成分のみを含む分画を単離し、回収した。
単離した各高分子量体について、シアノメトヘモグロビン法(ネスコートヘモキットN、アルフレッサファーマ社)によりHbBv濃度を、また660nm法(660nm Protein Assay Kit、Pierce社)によりタンパク質濃度を定量した。分子量の低い成分から、rCSA/HbBv比が1.1、2.1、3.0、4.0となり、HbBvにrCSAが1、2、3、4つ結合したウシヘモグロビン−遺伝子組換えイヌ血清アルブミン複合体[(HbBv−rCSA1)SMCC、(HbBv−rCSA2)SMCC、(HbBv−rCSA3)SMCC、(HbBv−rCSA4)SMCC]であることがわかった。
<調製9:ウシヘモグロビン−遺伝子組換えイヌ血清アルブミン複合体(HbBv−rCSA平均n)SMCCの調製>
調製6で得たメルカプト遺伝子組換えイヌ血清アルブミン(rCSA−SH)のPBS(pH7.4)溶液(1.0mM)10mLをナス型フラスコ(50mL容量)に入れ、撹拌子で撹拌(100rpm)しながら、ウシヘモグロビン−架橋剤結合体(HbBv−SMCC)のPBS(pH7.4)溶液(0.1mM)10mLをゆっくりと滴下し[rCSA−SH/HbBv−SMCC=10(mol/mol)]、4℃、遮光下で14時間反応させ、反応溶液を得た。
該反応溶液から、ゲルろ過クロマトグラフィー(Gel Filtration Chromatography、GFC)を用いて、未反応のrCSAのみを除去することで、ウシヘモグロビン−遺伝子組換えイヌ血清アルブミン複合体の混合物を得た。具体的には、得られた反応溶液をDISMICフィルター(DISMIC−25CS、孔径0.2μm)でろ過した後、UV検出器(280nm)及びレコーダーを連結したゲル濾過クロマトグラフィー(Superdex 200pg、1L、溶出液:PBS(pH7.4))にかけ、rCSA以外の高分子量成分をサンプル瓶に集めた。必要に応じ、遠心限外ろ過器(VIVASPIN、限外分子量:30kDa)を用いて濃縮した。シアノメトヘモグロビン法(ネスコートヘモキットN、アルフレッサファーマ社)によりHbBv濃度を、また660nm法(660nm Protein Assay Kit、Pierce社)によりタンパク質濃度を定量した。rCSA/HbBv比は3.0となり、HbBvにrCSAが平均3つ結合したウシヘモグロビン−遺伝子組換えイヌ血清アルブミン複合体[(HbBv−rCSA平均3)SMCC]であることがわかった。
(実施例4)
実施例3において、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(Succinimidyl−4−(N−maleimidomethyl)cyclohexane−1−carboxylate)(SMCC、和光純薬社)を用いた代わりに、スルホスクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(Sulfosuccinimidyl−4−(N−maleimidomethyl)cyclohexane−1−carboxylate)(SSMCC、Thermo Scientific社)を用いた以外は、実施例3と同様な方法に従って、HbBvにrCSAが1、2、3、4つ結合した複合体[(HbBv−rCSA1)SSMCC、(HbBv−rCSA2)SSMCC、(HbBv−rCSA3)SSMCC、(HbBv−rCSA4)SSMCC]および(HbBv−rCSA平均3)SSMCCを合成し、単離した。
(実施例5)
実施例3において、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(Succinimidyl−4−(N−maleimidomethyl)cyclohexane−1−carboxylate)(SMCC、和光純薬社)を用いた代わりに、スクシンイミジル−6−(β−マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエート(Succinimidyl−6−(β−maleimidopropionamido)hexanoate)(SMPH、Thermo Scientific社)を用いた以外は、実施例3と同様な方法に従って、HbBvにrCSAが1、2、3、4つ結合した複合体[(HbBv−rCSA1)SMPH、(HbBv−rCSA2)SMPH、(HbBv−rCSA3)SMPH、(HbBv−rCSA4)SMPH]および(HbBv−rCSA平均3)SMPHを合成し、単離した。
(実施例6)
実施例3において、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(Succinimidyl−4−(N−maleimidomethyl)cyclohexane−1−carboxylate)(SMCC、和光純薬社)を用いた代わりに、N−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミドエステル(N−(ε−maleimidocaproyloxy)succinimide ester)(EMCS、Thermo Scientific社)を用いた以外は、実施例3と同様な方法に従って、HbBvにrCSAが1、2、3、4つ結合した複合体[(HbBv−rCSA1)EMCS、(HbBv−rCSA2)EMCS、(HbBv−rCSA3)EMCS、(HbBv−rCSA4)EMCS]および(HbBv−rCSA平均3)EMCSを合成し、単離した。
(実施例7)
実施例3において、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(Succinimidyl−4−(N−maleimidomethyl)cyclohexane−1−carboxylate)(SMCC、和光純薬社)を用いた代わりに、N−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(N−(ε−maleimidocaproyloxy)sulfosuccinimide ester)(SEMCS、Thermo Scientific社)を用いた以外は、実施例3と同様な方法に従って、HbBvに遺伝子組換えrCSAが1、2、3、4つ結合した複合体[(HbBv−rCSA1)SEMCS、(HbBv−rCSA2)SEMCS、(HbBv−rCSA3)SEMCS、(HbBv−rCSA4)SEMCS]および(HbBv−rCSA平均3)SEMCSを合成し、単離した。
(実施例8)
実施例3において、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(Succinimidyl−4−(N−maleimidomethyl)cyclohexane−1−carboxylate)(SMCC、和光純薬社)を用いた代わりに、スクシンイミジル−[(N−マレイミドプロピオンアミド)−ジエチレングリコール]エステル(Succinimidyl−[(N−maleimidopropionamido)−diethyleneglycol]ester)(SM(PEG)2、Thermo Scientific社)を用いた以外は、実施例3と同様な方法に従って、HbBvにrCSAが1、2、3、4つ結合した複合体[(HbBv−rCSA1)SM(PEG)2、(HbBv−rCSA2)SM(PEG)2、(HbBv−rCSA3)SM(PEG)2、(HbBv−rCSA4)SM(PEG)2]、および(HbBv−rCSA平均3)SM(PEG)2を合成し、単離した。
(実施例9)
実施例3において、ウシヘモグロビン(HbBv)を用いた代わりに、ブタヘモグロビン(HbSw)を用いた以外は、実施例3と同様な方法に従って、HbSwにrCSAが1、2、3、4つ結合した複合体[(HbSw−rCSA1)SMCC、(HbSw−rCSA2)SMCC、(HbSw−rCSA3)SMCC、(HbSw−rCSA4)SMCC]および(HbSw−rCSA平均3)SMCCを合成し、単離した。
(実施例10)
実施例3において、ウシヘモグロビン(HbBv)を用いた代わりに、イヌヘモグロビン(HbCn)を用いた以外は、実施例3と同様な方法に従って、HbCnにrCSAが1、2、3、4つ結合した複合体[(HbCn−rCSA1)SMCC、(HbCn−rCSA2)SMCC、(HbCn−rCSA3)SMCC、(HbCn−rCSA4)SMCC]および(HbCn−rCSA平均3)SMCCを合成し、単離した。
(実施例11)
実施例3において、遺伝子組換えイヌ血清アルブミン(rCSA)を用いた代わりに、遺伝子組換えネコ血清アルブミン(rFSA)を用いた以外は、実施例3と同様な方法に従って、HbBvにrFSAが1、2、3、4つ結合した複合体[(HbBv−rFSA1)SMCC、(HbBv−rFSA2)SMCC、(HbBv−rFSA3)SMCC、(HbBv−rFSA4)SMCC]および(HbBv−rFSA平均3)SMCCを合成し、単離した。
(実施例12)
<調製10:ウシヘモグロビン−架橋剤結合体(HbBv−SPDPH)の調製>
ナス型フラスコ(20mL容量)にCO化ウシヘモグロビン(HbBv)のPBS(pH7.4)溶液(0.1mM)2mLを入れ、撹拌しながら、スクシンイミジル−6[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサノエート(Succinimidyl−6[3−(2−pyridyldithio)propionamido]hexanoate)(SPDPH、Thermo Scientific社)のエタノール溶液(20mM)0.2mLをゆっくり添加し[SPDPH/HbBv=20(mol/mol)]、25℃で30分間撹拌した。得られた反応溶液をDISMICフィルター(DISMIC−25CS、孔径0.2μm)でろ過した後、ゲル濾過クロマトグラフィー(Sephadex G−25 Superfine、2.5cmφ、溶出液:PBS(pH7.4))にかけ、未反応の架橋剤を除去した。得られたウシヘモグロビン−架橋剤結合体(HbBv−SPDPH)のPBS(pH7.4)溶液を遠心限外ろ過器(VIVA SPIN20、限外分子量:10kDa)を用いて2mLまで濃縮し、0.1mMとした。
<調製11:ウシヘモグロビン−遺伝子組換えイヌ血清アルブミン複合体(HbBv−rCSAn)SPDPHの調製>
実施例3における調製6で得たメルカプト遺伝子組換えイヌ血清アルブミン(rCSA−SH)のPBS(pH7.4)溶液(1.0mM)2mLをナス型フラスコ(20mL容量)に入れ、撹拌子で撹拌(100rpm)しながら、ウシヘモグロビン−架橋剤結合体(HbBv−SPDPH)のPBS(pH7.4)溶液(0.1mM)2mLをゆっくりと滴下し(rCSA−SH/HbBv−SPDPH=10(mol/mol))、25℃、遮光下で20時間反応させて、反応溶液を得た。
該反応溶液をDISMICフィルター(DISMIC−25CS、口径0.2μm)で濾過し、低圧クロマトグラフィーシステム[AKTA prime plus(GEヘルスケア社)、カラム:Superdex 200pg(HiLoad 26/60)、溶出液:50mM PB(pH7.4)]を用いて、4℃にて分離・精製した。溶出液はフラクションコレクターで捕集した。溶出曲線においては、rCSA(Mw:65.7kDa)のピークより早い時間に複数のピークが出現し、高分子量体の生成が示唆された。主要な4つのピークを含む分画について、Native−PAGE電気泳動測定(5−10%グラジエントポリアクリルアミドゲルHi−QRAS Gel N、関東化学社)を行ったところ、Mw:130kDa〜450kDaに明確な4つのバンドが現れたので、それぞれの成分のみを含む分画を単離し、回収した。
単離した各高分子量体について、シアノメトヘモグロビン法(ネスコートヘモキットN、アルフレッサファーマ社)によりHbBv濃度を、また660nm法(660nm Protein Assay Kit、Pierce社)によりタンパク質濃度を定量した。分子量の低い成分から、rCSA/HbBv比が1.1、2.0、3.0、3.9となり、HbBvにrCSAが1、2、3、4つ結合したウシヘモグロビン−遺伝子組換えイヌ血清アルブミン複合体[(HbBv−rCSA1)SPDPH、(HbBv−rCSA2)SPDPH、(HbBv−rCSA3)SPDPH、(HbBv−rCSA4)SPDPH]であることがわかった。
<調製12:ウシヘモグロビン−遺伝子組換えイヌ血清アルブミン複合体(HbBv−rCSA平均n)SPDPHの調製>
実施例3における調製6で得たメルカプト遺伝子組換えイヌ血清アルブミン(rCSA−SH)のPBS(pH7.4)溶液(1.0mM)2mLをナス型フラスコ(20mL容量)に入れ、撹拌子で撹拌(100rpm)しながら、ウシヘモグロビン−架橋剤結合体(HbBv−SPDPH)のPBS(pH7.4)溶液(0.1mM)2mLをゆっくりと滴下し(rCSA−SH/HbBv−SPDPH=10(mol/mol))、25℃、遮光下で20時間反応させて、反応溶液を得た。
該反応溶液から、ゲルろ過クロマトグラフィー(Gel Filtration Chromatography、GFC)を用いて、未反応のrCSAのみを除去することで、ウシヘモグロビン−遺伝子組換えイヌ血清アルブミンクラスターの混合物を得た。具体的には、得られた反応溶液をDISMICフィルター(DISMIC−25CS、孔径0.2μm)でろ過した後、UV検出器(280nm)及びレコーダーを連結したゲル濾過クロマトグラフィー(Superdex 200pg、1L、溶出液:PBS(pH7.4))にかけ、rCSA以外の高分子量成分をサンプル瓶に集めた。必要に応じ、遠心限外ろ過器(VIVASPIN、限外分子量:30kDa)を用いて濃縮した。シアノメトヘモグロビン法(ネスコートヘモキットN、アルフレッサファーマ社)によりHbBv濃度を、また660nm法(660nm Protein Assay Kit、Pierce社)によりタンパク質濃度を定量した。rCSA/HbBv比は3.0となり、HbBvにrCSAが平均3つ結合したウシヘモグロビン−遺伝子組換えイヌ血清アルブミン複合体[(HbBv−rCSA平均3)SPDPH]が得られた。
(実施例13)
実施例12において、スクシンイミジル−6[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサノエート(Succinimidyl−6[3−(2−pyridyldithio)propionamido]hexanoate)(SPDPH、Thermo Scientific社)を用いた代わりに、スルホスクシンイミジル−6[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサノエート(Sulfosuccinimidyl−6[3−(2−pyridyldithio)propionamido]hexanoate)(SSPDPH、Thermo Scientific社)を用いた以外は、実施例12と同様な方法に従って、HbBvにrCSAが1、2、3、4つ結合した複合体[(HbBv−rCSA1)SSPDPH、(HbBv−rCSA2)SSPDPH、(HbBv−rCSA3)SSPDPH、(HbBv−rCSA4)SSPDPH]および(HbBv−rCSA平均3)SSPDPH)を合成し、それぞれを単離した。
(実施例14)
実施例12において、ウシヘモグロビン(HbBv)を用いた代わりに、ブタヘモグロビン(HbSw)を用いた以外は、実施例12と同様な方法に従って、HbSwにrCSAが1、2、3、4つ結合した複合体[(HbSw−rCSA1)SPDPH、(HbSw−rCSA2)SPDPH、(HbSw−rCSA3)SPDPH、(HbSw−rCSA4)SPDPH]および(HbSw−rCSA平均3)SPDPHを合成し、単離した。
(実施例15)
実施例12において、ウシヘモグロビン(HbBv)を用いた代わりに、イヌヘモグロビン(HbCn)を用いた以外は、実施例12と同様な方法に従って、HbCnにrCSAが1、2、3、4つ結合した複合体[(HbCn−rCSA1)SPDPH、(HbCn−rCSA2)SPDPH、(HbCn−rCSA3)SPDPH、(HbCn−rCSA4)SPDPH]および(HbCn−rCSA平均3)SPDPHを合成し、単離した。
(実施例16)
実施例3における調製6で、遺伝子組換えイヌ血清アルブミン(rCSA)を用いた代わりに、遺伝子組換えネコ血清アルブミン(rFSA)を用いた以外は、実施例3における調製6と同様な方法に従って、メルカプト遺伝子組換えネコ血清アルブミン(rFSA−SH)を調製した。
実施例12において、メルカプト遺伝子組換えイヌ血清アルブミン(rCSA−SH)を用いた代わりに前記メルカプト遺伝子組換えネコ血清アルブミン(rFSA−SH)を用いた以外は、実施例12と同様な方法に従って、HbBvにrFSAが1、2、3、4つ結合した複合体[(HbBv−rFSA1)SPDPH、(HbBv−rFSA2)SPDPH、(HbBv−rFSA3)SPDPH、(HbBv−rFSA4)SPDPH]および(HbBv−rFSA平均3)SPDPH)を合成し、単離した。
(参考例2)
実施例3において、遺伝子組換えイヌ血清アルブミン(rCSA)を用いた代わりに、血液由来のイヌ血清アルブミン(CSA)を用いた以外は、実施例3と同様な方法に従って、HbBvにCSAが1、2、3、4つ結合した複合体[(HbBv−CSA1)SMCC、(HbBv−CSA2)SMCC、(HbBv−CSA3)SMCC、(HbBv−CSA4)SMCC]および(HbBv−CSA平均3)SMCCを合成し、単離した。
<ヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体の評価>
実施例3で得られたウシヘモグロビン−遺伝子組換えイヌ血清アルブミン複合体[(HbBv−rCSA1)SMCC、(HbBv−rCSA2)SMCC、(HbBv−rCSA3)SMCC、(HbBv−rCSA4)SMCC、(HbBv−rCSA平均3)SMCC]、及び参考例2で得られたウシヘモグロビン−イヌ血清アルブミン複合体[(HbBv−CSA1)SMCC、(HbBv−CSA2)SMCC、(HbBv−CSA3)SMCC、(HbBv−CSA4)SMCC、(HbBv−CSA平均3)SMCC]について、等電点電気泳動及び酸素親和性(P50)測定を実施した。
<等電点電気泳動測定>
実施例3で得たウシヘモグロビン−遺伝子組換えイヌ血清アルブミン複合体[(HbBv−rCSA1)SMCC、(HbBv−rCSA2)SMCC、(HbBv−rCSA3)SMCC、(HbBv−rCSA4)SMCC]の等電点電気泳動(NOVEX IEFゲル(Invitrogen社))を測定したところ、各クラスターの等電点(pI値)は、4.8、4.7、4.6、4.6であり、HbBv(pI=7.0)に比べ大幅に減少していることがわかった。rCSAの結合数の増大に伴い、pI値が減少していることからも、HbBvの分子表面にrCSAが結合している構造であることが示された。
また、参考例2で得られた、血液由来のイヌ血清アルブミン(CSA)を用いて調製したウシヘモグロビン−イヌ血清アルブミン複合体[(HbBv−CSA1)SMCC、(HbBv−CSA2)SMCC、(HbBv−CSA3)SMCC、(HbBv−CSA4)SMCC]の各等電点(pI値)は、4.8、4.7、4.6、4.6であり、相当するウシヘモグロビン−遺伝子組換えイヌ血清アルブミン複合体の値と一致した。
<酸素親和性(P50)測定>
実施例3で得たウシヘモグロビン−遺伝子組換えイヌ血清アルブミン複合体[(HbBv−rCSA3)SMCC]のPBS(pH7.4)溶液を窒素で十分に置換することにより、脱酸素化体(デオキシ体)を調製した。このPBS(pH7.4)溶液の紫外可視吸収スペクトルは、λmax:430nm、556nmを示し、HbBvのデオキシ体のスペクトルパターンと一致したことから、(HbBv−rCSA3)SMCCのHbBv部位が酸素を結合していないデオキシ体を形成していることが分かった。
そこへ酸素を通気すると、直ちに酸素化体(オキシ体)のスペクトルが得られ(λmax:413nm、540nm、577nm)、再度窒素を通気すると、デオキシ体のスペクトルパターンとなったことから、(HbBv−rCSA3)SMCCが酸素を可逆的に吸脱着していることが示された。
一方、一酸化炭素を通気すると、きわめて安定な一酸化炭素化体(λmax:420nm、538nm、569nm)を形成した。酸素解離結合曲線記録装置(Hemox−Analyzer、TSC社)を用いて酸素親和性(P50)(酸素結合解離曲線において酸素結合率が50%の時の酸素分圧)を算出したところ、(HbBv−rCSA3)SMCCのP50は9Torr(37℃)であった。
他のウシヘモグロビン−遺伝子組換えイヌ血清アルブミン複合体[(HbBv−rCSA1)SMCC、(HbBv−rCSA2)SMCC、(HbBv−rCSA4)SMCC、(HbBv−rCSA平均3)SMCC]についても同様の実験を行ったところ、P50(37℃)は、いずれも9Torrであった。
上記ウシヘモグロビン−遺伝子組換えイヌ血清アルブミン複合体(HbBv−rCSAn)SMCCの酸素結合解離に伴う紫外可視吸収スペクトル変化およびP50の値は、血液由来のイヌ血清アルブミンを用いて合成したウシヘモグロビン−イヌ血清アルブミン複合体(HbBv−CSAn)SMCCが示す酸素結合解離に伴う紫外可視吸収スペクトル変化およびP50の値とよく一致した。
本発明の遺伝子組換え動物血清アルブミンは、ヒトを除く哺乳類動物においてアルブミンの喪失(熱傷、ネフローゼ症候群など)及びアルブミン合成低下(肝硬変症など)による低アルブミン血症、難治性の腹水、浮腫、肺水腫、出血性ショックの治療に用いることができる。本発明のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体、本発明の人工酸素運搬体及び本発明の人工血漿増量剤は、ヒトを除く動物の生体内に投与する場合も安全度の高い血液代替物として利用でき、移植臓器又は組織の保存液、再生組織の培養液、腫瘍の抗癌治療増感剤、術前血液希釈液、人工心肺などの体外循環回路の補填液、移植臓器の灌流液、虚血部位への酸素供給液(心筋梗塞、脳梗塞、呼吸不全、など)、慢性貧血治療剤、液体換気の灌流液としても利用できる。また、ガス吸着剤、酸化還元触媒、酸素酸化反応触媒、酸素添加反応触媒としても利用できる。
10 ヘモグロビン
20 遺伝子組換え動物血清アルブミン
100 ヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体

Claims (15)

  1. ヒトを除く哺乳類動物の血清アルブミンであり、ピキア属酵母由来の細胞を宿主細胞として、遺伝子組換えにより産生されることを特徴とする、遺伝子組換え動物血清アルブミン。
  2. (a)質量分析(MALDI−TOFMS)により得られる分子量が、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンと、血液由来の動物血清アルブミンとで同一であり、
    (b)等電点電気泳動法により得られる等電点が、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンと、血液由来の動物血清アルブミンとで同一であり、
    (c)円偏光二色性スペクトル分析により得られるαへリックス含量が、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンと、血液由来の動物血清アルブミンとで同一である、
    請求項1に記載の遺伝子組換え動物血清アルブミン。
  3. コアとしてのヘモグロビンと、
    前記ヘモグロビンに架橋剤を介して結合されたシェルとしての、請求項1または2に記載の遺伝子組換え動物血清アルブミンと、
    を有することを特徴とする、ヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体。
  4. 前記ヘモグロビンにおける前記架橋剤との結合部位がリシンである、請求項3に記載のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体。
  5. 前記遺伝子組換え動物血清アルブミンにおける前記架橋剤との結合部位がシステイン34である、請求項3または4に記載のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体。
  6. 前記ヘモグロビンと前記架橋剤との結合がアミド結合であり、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンと前記架橋剤との結合がスルフィド結合及びジスルフィド結合のいずれかである、請求項3から5のいずれか1項に記載のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体。
  7. 前記遺伝子組換え動物血清アルブミンの数が1個〜7個である、請求項3から6のいずれか1項に記載のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体。
  8. 前記ヘモグロビンが、ウシヘモグロビン、ブタヘモグロビン、ウマヘモグロビン、イヌヘモグロビン、ネコヘモグロビン、ウサギヘモグロビン及びヒトヘモグロビンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項3から7のいずれか1項に記載のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体。
  9. 前記遺伝子組換え動物血清アルブミンが、遺伝子組換えイヌ血清アルブミン、遺伝子組換えネコ血清アルブミン、遺伝子組換えウサギ血清アルブミン、及び遺伝子組換えウシ血清アルブミンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項3から8のいずれか1項に記載のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体。
  10. 前記遺伝子組換え動物血清アルブミンの由来となる動物と、前記ヘモグロビンの由来となる動物とが異なる、前記遺伝子組換え動物血清アルブミンの由来となる動物用の、請求項3から9のいずれか1項に記載のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体。
  11. 前記ヘモグロビンが、ウシヘモグロビン、ブタヘモグロビンまたはウマヘモグロビンであり、
    前記遺伝子組換え動物血清アルブミンが、遺伝子組換えイヌ血清アルブミン、遺伝子組換えネコ血清アルブミンまたは遺伝子組換えウマ血清アルブミンである、
    請求項10に記載のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体。
  12. 前記架橋剤が、下記一般式(1)〜(3)及び化学式(1)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項3から11のいずれか1項に記載のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体。
    Figure 2016179951
    一般式(1)中、R1は、水素原子及びSO3 -Na+のいずれかを表し、nは、1〜10の整数を表す。
    Figure 2016179951
    Figure 2016179951
    一般式(2)中、nは、1〜10の整数を表す。
    Figure 2016179951
    一般式(3)中、R2は、水素原子及びSO3 -Na+のいずれかを表し、nは、1〜10の整数を表す。
  13. 前記架橋剤が、下記一般式(4)で表される、請求項3から11のいずれか1項に記載のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体。
    Figure 2016179951
    一般式(4)中、R3は、水素原子及びSO3 -Na+のいずれかを表し、R4は、下記一般式(5)〜(6)及び下記化学式(2)〜(4)のいずれかを表す。
    Figure 2016179951
    一般式(5)中、nは、1〜10の整数を表す。
    Figure 2016179951
    Figure 2016179951
    Figure 2016179951
    一般式(6)中、nは、2、4、6、8、10又は12を表す。
    Figure 2016179951
  14. 請求項1又は2に記載の遺伝子組換え動物血清アルブミン及び/または請求項3〜13のいずれか1項に記載のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体を含むことを特徴とする、人工血漿増量剤。
  15. 請求項3から13のいずれか1項に記載のヘモグロビン−遺伝子組換え動物血清アルブミン複合体を含むことを特徴とする、人工酸素運搬体。
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