JP2010507679A - 酸化窒素ブロック型架橋四量体ヘモグロビン - Google Patents
酸化窒素ブロック型架橋四量体ヘモグロビン Download PDFInfo
- Publication number
- JP2010507679A JP2010507679A JP2009534747A JP2009534747A JP2010507679A JP 2010507679 A JP2010507679 A JP 2010507679A JP 2009534747 A JP2009534747 A JP 2009534747A JP 2009534747 A JP2009534747 A JP 2009534747A JP 2010507679 A JP2010507679 A JP 2010507679A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hemoglobin
- oxygen
- protecting group
- cysteine
- thiol protecting
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K38/00—Medicinal preparations containing peptides
- A61K38/16—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
- A61K38/41—Porphyrin- or corrin-ring-containing peptides
- A61K38/42—Haemoglobins; Myoglobins
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P17/00—Drugs for dermatological disorders
- A61P17/02—Drugs for dermatological disorders for treating wounds, ulcers, burns, scars, keloids, or the like
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P7/00—Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P7/00—Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
- A61P7/06—Antianaemics
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P7/00—Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
- A61P7/08—Plasma substitutes; Perfusion solutions; Dialytics or haemodialytics; Drugs for electrolytic or acid-base disorders, e.g. hypovolemic shock
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P9/00—Drugs for disorders of the cardiovascular system
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P9/00—Drugs for disorders of the cardiovascular system
- A61P9/10—Drugs for disorders of the cardiovascular system for treating ischaemic or atherosclerotic diseases, e.g. antianginal drugs, coronary vasodilators, drugs for myocardial infarction, retinopathy, cerebrovascula insufficiency, renal arteriosclerosis
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K14/00—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
- C07K14/795—Porphyrin- or corrin-ring-containing peptides
- C07K14/805—Haemoglobins; Myoglobins
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/55—Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- Public Health (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Gastroenterology & Hepatology (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Immunology (AREA)
- Diabetes (AREA)
- Epidemiology (AREA)
- Hematology (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Heart & Thoracic Surgery (AREA)
- Cardiology (AREA)
- Urology & Nephrology (AREA)
- Dermatology (AREA)
- Vascular Medicine (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Medicinal Preparation (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Abstract
本発明は、カルボキサミドメチル化架橋ヘモグロビンを含有する組成物を含むものであって、ここでヘモグロビンのシステイン部分はチオール保護基を含み、ヘモグロビンは酸化窒素と結合する能力を低減されている。好ましくは、ヘモグロビンは脱酸素化、エンドトキシン未含有、及び基質未含有である。本発明は、調製の方法、調製のプロセス並びに哺乳類における血液量を補助すること、及び酸素運搬剤が有益である哺乳類の障害を処置すること含む使用の方法も含むものである。
Description
本発明は、酸化窒素ブロック型四量体架橋ヘモグロビンに関するものであり、さらに具体的には、カルボキシアミドメチル化四量体架橋ヘモグロビンであって、酸化窒素(NO)に対し低反応性を有し、生体内(in-vivo)での投与用として、四量体を安定化するために架橋されるものである。調製方法並びに血液容量増加剤及び酸素運搬治療剤としての使用についても開示する。
緊急時における血液使用の限界の1つに、輸血反応のリスクを最小化するための血液の型及び交差適合の要請がある。型及び交差適合は少なくとも10分を要し、完全な型及び交差適合には1時間もかかる場合がある。さらに、HIV感染のリスクは、血液500,000ユニットに1と見積もられ、C型肝炎感染のリスクは3,000ユニットに1と見積もられている。血液提供及び血液手配(logistic)の安全性が発展途上国において深刻な問題となっており、そこでは伝染性疾患の感染のリスク及び期限切れ供給のリスクが比較的高い。血液のうち最大25%が、伝染性疾患の存在が原因で、発展途上国において廃棄されている。それ故、疾患の伝染を回避し、生存機会の向上のための迅速な応答を提供する、代用血液又は人工血液組成物を発見する切迫した要因がある。
臨床的環境における人工血液使用の2つの態様は、容量増大及び酸素治療である。容量増大剤は不活性で単に血液を増量するだけのものであり、すなわち心臓が効果的に流れを押し出すようにする。酸素治療はヒト血液の酸素運搬能を模倣するものである。酸素治療は、運搬メカニズムに基づき2つに分類され、酸素を単純に溶解させるのみの機能を有するパーフルオロカルボン系、及び促進された捕捉及び放出による酸素を運搬するヘモグロビンタンパク質系がある。ヘモグロビン系産物においては、赤血球(RBC)から分離される純(pure)ヘモグロビン(Hb)が多くの理由のために有用でない。その理由としては、例えば不安定性、腎性毒の誘導、及び赤血球からの分離した場合の不適切な酸素運搬及び伝達特性がある。
酸素治療系のヘモグロビンは、動物及びヒトの双方における研究で、様々な度合いの血管作用効果が発生することが示されている(Winslow et al , Adv Drug Del Rev 2000, 40 131 -42, Stowell et al , Transfusion 2001, 41 287-99, Spahn et al , News Physiol Sci 2001, 16 38-41, Spahn et al , Anesth Analg 1994, 78 1000-21, Kasper et al , Anesth Analg 1996, 83 921-7, Kasper et al , Anesth Analg 1998, 87 284-91, Levy et al , J Thome Cardiovasc Surg 2002, 124 35-42)。この血管作用は、細胞内NO結合(Kasper et al , Anesth Analg 1996, 83 921-7, Dietz et al , Anesth Analg 1997, 85 265-273, Schechter et al , N Engl J Med 2003, 348 1483-5)、内皮性放出(Gulati et al , Crit Care Med 1996, 24 137- 47)、又は末梢α−アドレナリン受容体の感化(Gulati et al , J Lab Clin Med 1994, 124 125-33)における当該物質の影響が原因である可能性がある。あるいは、血管収縮効果の増大は、当該物質の投与の後に、RBCよりも高濃度で、酸素放出比率が増加し、結果的に血管収縮となることに起因する可能性がある(Winslow et al , J Intern Med 2003, 253 508-17, McCarthy et al , Biophys Cheni 2001, 92 103-17, Intaglietta et al , Cardiovasc Res 1996, 32 632-43, Vandegiff et al , Transfusion 2003, 43 509-16)。
基質(stroma)未含有のHb溶液が血圧上昇を誘発できることは既に知られている。いくつかの架橋Hb溶液が、用量依存手法における15分以内の投与で、平均動脈圧を25〜30%程度まで上昇させることができ、その効果を5hも持続可能であったことが実証されている。
血管収縮は、治療系ヘモグロビンによるNO除去に起因する可能性もある(Katsuyama et al.,Artif Cells Blood Substit Immobil Biotechnol 1994;22: 1-7; Schultz et al., J Lab Clin Med 1993; 122:301-308, hereby incorporated by reference in its entirety)。血管収縮はリン脂質及びエンドトキシンによるヘモグロビンの汚染により引き起こされることもあり得る。Hb精製の間に残存するリン脂質及びエンドトキシン汚染が血流動態的な効果を引き起こす可能性もあるが(Macdonald et al., Biomater Artif Cells Artif Organs 1990; 18: 263−282)、この汚染は当該産物のいくつかの強力な血管作用効果を説明する主要因ではない可能性が高い。
NOは平滑筋弛緩剤であり、グアニル酸シクラーゼ及びcGMPの産物の活性化を通して、又はカルシウム依存性カリウムチャネルの直接活性化により機能する。遊離Hbの増加はNO結合の増加をもたらすことができる。NO結合の増加は一過性の、及び反復投与の場合は持続的な血流動態変化が、血管作用物質又は血管作用調整物質の欠如に応答することで起こり得る。いくつかの環境においては、酸化窒素の欠如が血圧上昇、長引く場合は、高血圧症を引き起こすこともある。NOがHbの反応性スルフヒドリルに結合して、ヘム基による酸素運搬に類似する方法で組織に及び組織から運搬され得ることが実証されている(Jia et al., Nature 1996; 80:221-226)。
前毛細血管括約筋の運動と同様に酸化窒素は、任意の組織の細動脈かん流の調整剤である。酸化窒素は、細動脈壁内における内皮細胞により合成及び放出され、ここで赤血球中のヘモグロビンと結合することができる。組織が酸素を高レベルで受け取っている場合、酸化窒素は放出されず、血管径をより小さくさせる(すなわちかん流割合を低減させる)細動脈壁筋の収縮が、心臓排出量に変化を引き起こす。酸素増量が望まれる場合は内皮細胞が酸化窒素を放出し、これにより血管拡張が引き起こされる。細動脈かん流の酸化窒素制御は、内皮細胞からの放出後にNOを拡散させる距離にわたって作用する。酸化窒素はある炎症性応答を媒介するために必要でもある。例えば内皮細胞により作製された酸化窒素が血小板の凝集を阻害する。結果として、酸化窒素が無細胞ヘモグロビンに結合すると、血小板の凝集が増加する可能性がある。血小板の凝集に伴い、それは強力な血管収縮物質又はトロンボキサンA2及びセロトニン等の化合物を放出する。この化合物は、ヘモグロビン除去に起因する酸化窒素レベルの低減と共力して作用し、結果として血管収縮をもたらす可能性がある。血小板の凝集の阻害に加え、酸化窒素は、細胞壁に対する好中球性結着を阻害し、これが順番に細胞壁損傷を導く。酸化窒素は赤血球中のヘモグロビンに結合するので、酸化窒素が遊離Hb(基質未含有の架橋四量体Hb)に同様に結合できることが期待される。
多くの製剤において、遊離Hb及び安定化ヘモグロビンの注入は、血管の血管収縮に関連し、極度に高い血圧となるように見える。これら物質のヘモグロビン部分は、血管壁の内膜で拡散することができ、血管壁の通常の調子を維持するために必要なNOの結合及び除去においてシンク(sink)として作用することができる。これは血管壁の平滑筋細胞の血管収縮という結果をもたらし得る。遊離Hb溶液は周囲の組織に漏出する可能性がある。また、それは異なる分子サイズのヘモグロビン系治療の投与後に生じる血管収縮の広がりが、使用される物質の分子サイズと逆の関係を生む。つまりより大きな酸素担体の注入で、血管収縮及び高血圧をより弱めることになる(Sakai, et al. Am J Physiol 2000; 279: H908-15)。Hb分子サイズがより小さいことで、大部分が透過性となり、より高レベルな血管収縮及び高血圧を示す可能性がある(Faivre-Fiorina et al., Am J Physiol Heart Circ Physiol 1999; 276: H766-70)。ウサギモデルにおいては、耳静脈からの遊離Hb輸血が大脳血管系の虚血及び死滅を引き起こす。従って、投与中の動脈系において大半の遊離Hbを投与することの衝撃を最小化することは重要なことである。例えばベラパミル、アテノカード(atenocard)、クエン酸シルデナフィル等の血管作用剤は、遊離Hb注入より前に患者に投与されてもよい。これは注入の間、動脈系の変化を最小限に留める意図がある。酸化窒素及びベラパミルが好ましい血管作用剤である。低速カルシウムチャネルブロッカー(Slow channel calcium blocker)(又はサイクリックグアノシンモノフォスフェート(cGMP)−選択的ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)の選択的阻害剤、たとえばクエン酸シルデナフィル)は、深刻な血管収縮の予防において役立つこともある。但し、量に対する要求が緊急で且つ危機的な場合の外傷患者に関しては、より低速な注入速度は不可能であろう。
ヘモグロビン系治療のNO除去特性を改変するメカニズムの1つとしては、その分子上のNO結合部位のブロッキングがある。ヘモグロビンのシステイン部分上の保護されていないチオールは、NOと結合できる。ヘモグロビン分子におけるチオール又はスルフヒドリル基は、チオール部位でのヘモグロビンに対するNOの結合を阻止する可能性もあり、それ故高血圧反応を引き起こす血管の急性血管作用応答を阻止する可能性がある。治療系のヘモグロビンへのNO結合を阻止することは、この種の治療が投与された場合、通常の血小板凝集障害及び好中球移動を阻止することもある。
したがって、酸素運搬治療系のヘモグロビンのいくつかの望ましい特徴として以下のものが挙げられる。無毒性、有害免疫応答の誘導の欠如、十分な酸素運搬及び送達能、組織の効果的な酸素化を可能にする適切な循環系の持続性、長期の有効期限、室温での貯蔵能、疾患伝達を阻害するウイルス性又は他の病原の不存在、血液型判定必要性の排除、及び第一応答者(例えば救急医療隊員、戦線における衛生兵等)による展開のための能力がある。これらの特徴は、失血に対する急速で安全な対応、及び組織代謝的な要求への迅速な補助、すなわち生存機会の向上をもたらすものである。
本明細書で開示される発明は、組成物、特性及び方法を提供し、方法は、脱酸素化され、エンドトキシン未含有、基質未含有、チオールがブロックされ、架橋された四量体ヘモグロビンで、酸化窒素(NO)と低反応性を有し四量体構造は架橋により安定化されているヘモグロビンを調製するための方法である。具体的には、カルボキサミドメチル化架橋四量体ヘモグロビンが、本発明の安定なNOブロックされた四量体Hb、並びにその製造のための方法として提供される。本発明の安定なNOブロック型四量体Hb調製のプロセス及び方法並びに血液容量拡張剤及び酸素運搬治療剤のとしての使用の方法として開示されるものである。
本発明はタンパク質様鉄含有化合物であって、約60,000ダルトンから約500,000ダルトンの分子量分布を有し、少なくとも1のシステイン部分を有し、ここで前記システイン部分はチオール保護基を含むことにより、タンパク質様化合物が(1又は複数の)システイン部位で酸化窒素と結合する能力を減少させた、タンパク質様鉄含有化合物に関する。ある実施態様によれば、タンパク質様鉄含有化合物は、約20mmHgから約45mmHgのp50で酸素を運搬する。ある態様においては、タンパク質様鉄含有化合物は、(1又は複数の)システイン部位で酸化窒素に結合できない。
本発明の別の態様は、タンパク質様鉄含有化合物を含んでなる組成物に関するものであって、前記化合物は約60,000ダルトンから約500,000ダルトンの分子量分布を有し、少なくとも1のシステイン部分を有し、ここで前記システイン部分はチオール保護基を含むことにより、タンパク質様化合物が(1又は複数の)システイン部位で酸化窒素と結合する能力を減少させた組成物に関する。
本発明のさらに別の態様は、タンパク質様鉄含有化合物を含んでなる組成物に関するものであって、前記化合物は約60,000ダルトンから約500,000ダルトンの分子量分布を有し、少なくとも1のシステイン部分を有し、ここで前記システイン部分はチオール保護基を含むことにより、タンパク質様化合物が(1又は複数の)システイン部位で酸化窒素と結合する能力を減少させた化合物であり、ここで前記化合物は架橋四量体ヘモグロビンである。
本発明の別の態様は、ヘモグロビンのシステイン残基に結合したチオール保護基を有する、四量体ヘモグロビンの調製のためのプロセスに関するものであって、(a)赤血球を含む調製物由来のエンドトキシン及び他のリポ多糖類を除去すること、(b)赤血球を溶解すること、(c)溶解した赤血球からの基質の除去によりヘモグロビンを分離すること、(d)任意に、ヘモグロビンから酸素除去すること、(e)ヘモグロビンのシステインのためのチオール保護基を提供する試薬をヘモグロビン溶液へ添加すること、及び(f)システインに結合したチオール保護基を有するヘモグロビンを分離すること、を含んでなるプロセスである。
本発明の前述の態様のある実施態様において、前記プロセスはさらに、(a)任意に、システインに結合したチオール保護基を有するヘモグロビンから酸素を除去すること、及びヘモグロビンのシステインに結合したチオール保護基を有するヘモグロビンを架橋すること、本発明の安定なNOブロック型四量体Hbで架橋されているものを産生すること、を含んでなる方法である。
本発明の別の態様において、チオール保護基がヘモグロビンのシステインに結合した四量体ヘモグロビンを作製するための方法は、(a)赤血球を含む調製物からエンドトキシンを除去すること、(b)赤血球を溶解すること、(c)溶解した赤血球からの基質の除去によりヘモグロビンを分離すること、(d)任意に、ヘモグロビンから酸素を除去すること、(e)ヘモグロビンのシステインのためのチオール保護基を提供する試薬をヘモグロビン溶液へ添加すること、及び(f)システインに結合されるチオール保護基を有するヘモグロビンを分離すること、を含んでなるプロセスにより提供される方法である。
本発明の別の実施態様によれば、架橋された四量体ヘモグロビンを作製するための方法であって、任意に、四量体ヘモグロビンを作製するための方法の生成物から酸素を除去すること、及び前記生成物を架橋することを含んでなるプロセスにより提供される。
本発明のさらなる別の態様は、チオール保護基がヘモグロビンにおけるシステインに結合した、NOブロック化四量体ヘモグロビンを作製するための方法に関するものであって、(a)ヘモグロビンのシステインのためのチオール保護基を提供する試薬を、ヘモグロビン溶液に添加すること、及び(b)ヘモグロビンのシステインに結合されるチオール保護基を有するヘモグロビンを分離すること、を含んでなるプロセスにより作製する。いくつかの実施態様によれば、ヘモグロビンはさらに架橋されている。
本発明の別の態様は、動物の血液容量を補う方法に関するものであって、タンパク様鉄含有化合物を含んでなる組成物を哺乳類に投与することを含んでなる方法であって、前記化合物は約60,000ダルトンから約500,000ダルトンの分子量分布を有し、少なくとも1のシステイン部分を有し、ここで前記システイン部分はチオール保護基を含むことにより、タンパク質様化合物がシステイン部位で低減された酸化窒素結合能を有する化合物であり、さらに医薬的に許容可能な担体を含んでなる。いくつかの実施態様によれば、タンパク様鉄は架橋された化合物を含んでなる。
本発明の別の実施態様によれば、障害を患う哺乳類を処置する方法であって、タンパク様鉄含有化合物を含む組成物を哺乳類に投与することを含んでなる方法が提供され、前記化合物は約60,000ダルトンから約500,000ダルトンの分子量分布を有し、少なくとも1のシステイン部分を有し、ここで前記システイン部分はチオール保護基を含むことにより、タンパク質様化合物がシステイン部位で低減された酸化窒素結合能を有する化合物である。いくつかの実施態様によれば、タンパク様鉄は架橋された化合物を含んでなる。
本発明の別の実施態様によれば、器官をかん流させるために提供される方法であって、本発明の安定なNOブロック化四量体ヘモグロビンの有効量を投与することを含んでなる方法であり、さらにそれは生体内(in-vivo)又は生体外(ex-vivo)で実施できるものである。
いくつかの実施態様によれば、タンパク様鉄含有化合物は未変性の無細胞ヘモグロビンと比較して酸素除荷能が増加する。いくつかの実施態様によれば、タンパク質様鉄含有化合物は酸素運搬能力が向上する。いくつかの実施態様によれば、架橋された四量体ヘモグロビンは、酸化窒素への結合能が実質的に低下する。いくつかの実施態様によれば、架橋された四量体ヘモグロビンは酸化窒素結合ができない。いくつかの好ましい実施態様によれば、架橋された四量体ヘモグロビンは約20mmHgから約45mmHgのp50で酸素を運搬する。いくつかの実施例においては、タンパク質様鉄含有化合物は約20mmHgから約45mmHgのp50で酸素を運搬する。
本発明のいくつかの実施態様によれば、タンパク質様鉄含有化合物はチオール保護化ヘモグロビンである。いくつかの実施態様によれば、タンパク質様鉄含有化合物は架橋された四量体ヘモグロビンである。いくつかの実施態様によれば、タンパク質様鉄含有化合物はビス3',5'ジブロモサリチルフマレートで架橋されている。いくつかの実施態様によれば、ヘモグロビンはピリドキサル−5'−ホスフェートとの反応により改変されている。いくつかの実施態様によれば、ヘモグロビンは哺乳類のものである。いくつかの実施態様によれば、ヘモグロビンはヒトヘモグロビンである。いくつかの実施態様によれば、ヘモグロビンはウシ(すなわち、bovine(ウシ属)又はbison(バイソン属))又はブタのヘモグロビンである。いくつかの好ましい実施態様によれば、ヘモグロビンは、非発熱性、エンドトキシン未含有、及び基質未含有、酵素未含有であり、並びに陰性の免疫原性反応が低誘導性である。
いくつかの好ましい実施態様によれば、ヘモグロビンのシステインに結合したチオール保護基を有していても、いなくてもよいヘモグロビンから、酸素が除去される。いくつかの実施態様によれば、接触膜技術(contactor membrane technology)により酸素除去される。
本発明の別の態様においては、タンパク質様鉄含有化合物は、長期間安全な保存ができる、チオール保護化基質未含有ヘモグロビンである。このチオールブロック型基質未含有のヘモグロビンは、包装、運送及びさらには本発明の他のヘモグロビン組成物を作製するための操作に耐えられる安定な中間体でもよい。いくつかの実施態様において、安定な中間体はさらに任意に脱酸素化、架橋、及び過剰な試薬及び反応副生成物、例えばジブロモサリチル酸を除去するための精製をしてもよい。いくつかの実施態様によれば、安定なNOブロック化四量体ヘモグロビンは包装されている。
本発明のその他の実施態様によれば、化合物は非発熱性であり、エンドトキシン未含有、及び基質未含有である。本発明のいくつかの実施態様によれば、タンパク質様化合物は低粘度性である。いくつかの実施態様によれば、本発明のタンパク質様化合物は酸素未含有である。
いくつかの実施態様によれば、チオール保護基を提供する試薬は、4−ピリジルメチルクロライド、アルコキシアルキルクロライド、ジメトキシメタン、N−(ヒドロキシメチル)アセトアミド、塩化トリフェニルメチル、塩化アセチル、無水酢酸、ハロアセトアミド、ヨード酢酸、塩化ベンジル、塩化ベンゾイル、ジ−tert−ブチルジカルボネート、p−ヒドロキシフェナシルブロマイド、p−アセトキシベンジルクロライド、p−メトキシベンジルクロライド、2,4−ジニトロフェニルフルオライド、テトラヒドロピラン、アセトアミドヒドロキシメタン、アセトン、ビス−カルボエトキシエテン、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルクロライド、tert−ブトキシカルボニルクロライド、アルキルイソシアネート、及びアルコキシアルキルイソシアネートからなる群から選択される。いくつかの好ましい実施態様によれば、ハロアセトアミドがヨードアセトアミドである。いくつかの実施態様によれば、チオール保護基が、4−ピリジルメチル、アセチルアミノメチル、アルコキシアルキル、トリフェニルメチル、及びカルボキシメチル、カルボキサミドメチル、アセチル、ベンジル、ベンゾイル、tert−ブトキシカルボニル、p−ヒドロキシフェナシル、p−アセトキシベンジル、p−メトキシベンジル、2,4−ジニトロフェニル、イソブトキシメチル、テトラヒドロピラニル、アセトアミドメチル、ベンズアミドメチル、ビス−カルボエトキシエチル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、N−アルキルカルバメート、及びN−アルコキシアルキルカルバメートの誘導体からなる群から選択される。いくつかの実施態様によれば、チオール保護基がカルボキサミドメチル基である。
本発明のいくつかの実施態様は、タンパク質様鉄含有化合物及び医薬的に許容可能な担体を含んでなる組成物を提供する。いくつかの実施態様によれば、本発明のタンパク質様化合物を含んでなる組成物を含む容器を提供し、これは任意に医薬的に許容可能な担体を含んでなる。
いくつかの実施態様によれば、哺乳類は急性貧血、貧血関連症状、低酸素症又は虚血を患う。いくつかの実施態様によれば、哺乳類は酸素運搬のため代用血液の輸血量を必要とする。いくつかの実施態様によれば、哺乳類は外傷を受けた状態であり且つ急性の容積減少に苦しめられている。
本発明の方法のいくつかの実施態様によれば、投与は移植、注入又は輸血によってなされる。
本発明の方法のその他の実施態様によれば、哺乳類は、例えば貧血、貧血関連症状、低酸素症又は虚血の障害を患っている。貧血及び貧血関連症状は、腎不全、糖尿病、AIDS、化学療法、放射線治療、肝炎、G.I.血液欠乏(G.I.blood loss)、鉄欠乏症、又は月経過多が原因となり得る。本発明のいくつかの実施態様によれば、方法はエリスロポエチン投与治療を含む。
本発明の方法のいくつかの実施態様によれば、処置されるべき障害は虚血であり、これは熱傷、脳卒中、新生脳卒中(emerging stroke)、一過性虚血発作、気絶心筋及び冬眠、急性狭心症、不安定狭心症、新生狭心症、又は梗塞により引き起こされる。方法の他の実施態様によれば、障害は一酸化炭素中毒である。
本発明の他の実施態様によれば、哺乳類が処置される障害は、手術後の回復状態である。本発明の方法のいくつか他の実施態様によれば、障害は治療中の糖尿病性創傷である。方法のさらなる他の実施態様によれば、障害は鎌状血球貧血であり、さらに投与は手術より前になされてもよい。本発明の方法の他の実施態様によれば、障害は急性冠不全症候群である。本発明の方法の他の実施態様によれば、障害は心臓性ショックである。
本発明の方法のいくつかの実施態様によれば、タンパク質様鉄含有化合物は輸血の必要な哺乳類に投与される。本発明のいくつかの実施態様によれば、哺乳類は外傷を受けている。方法のいくつかの実施態様によれば、哺乳類が患う障害とは酸素運搬能の欠如で、環境的ストレス又は身体的ストレスにより引き起こされる。
本発明の方法の他の実施態様によれば、タンパク質様鉄含有化合物は、放射線治療法との組み合わせで投与される。本発明のさらに他の実施態様によれば、方法は哺乳類に酸素依存性の医薬剤を投与することを含んでなる。
本発明の方法のいくつかの実施態様によれば、タンパク質様鉄含有化合物を哺乳類に投与することは、視野内の組織の酸素化を維持しながら、生体内の(in-vivo)血管内空間を視覚化させる。
本明細書中で言及する全ての文献及び出願特許は、各個々の文献又は出願特許が個別具体的に参照として組み込まれるものとする、と指示があるのと同様に、参照として本明細書中に組み込まれるものとする。
本発明の新規な特徴は、添付の請求の範囲で具体的に説明する。本発明の本質が使用される事例的実施態様を説明する以下の詳細な説明及び添付の図面の参照により、本発明の特徴及び利点のより深い理解が得られるであろう。
用語「エンドトキシン未含有」又は本明細書中で使用される文法的同等語は、実質的に又は完全に全てのエンドトキシンに対する暴露を減少及び除去するよう処理されたヘモグロビンを意味し、これは非常に感度の高いアッセイ技術、例えば比濁アッセイ(tubidimetric)又は色素形成アッセイにより測定された場合である。かかる方法は、1mL当たり0.05 EU未満の検出が可能である。すなわち、エンドトキシン未含有ヘモグロビンは、注入用の水(WFI)に存在するエンドトキシン量より少量又は同量であり得る。
用語「非発熱性」又は本明細書中で使用される文法的同等語は、IL-8過剰産生、相補的活性化、血小板活性化、炎症性応答又は発熱反応の発生なしに、哺乳類に投与できるヘモグロビンを意味する。
用語「酸素未含有」、「脱酸素化」、又は本明細書中で使用される文法的同等語は、実質的に又は完全に全てのヘムポケット結合酸素を除去するよう処理されたヘモグロビンを意味する。すなわち酸素未含有ヘモグロビンは、実質的又は完全に、高エネルギーな「緊張(tense)」又は「T」構造である。
用語「基質未含有」又は本明細書中で使用される文法的同等語は、実質的に又は完全に全ての基質物質を除去するよう処理又は処置されたヘモグロビンを意味し、これにより調製物は、RBC膜の特性を示す赤血球表面型抗原に対する免疫反応性をもはや提示しなくなる。基質は細胞膜構造のタンパク質であり、基質除去は細胞膜と関連する抗原を除去することにもなる。従って、基質未含有ヘモグロビンは、ヘモグロビンタンパク質の周囲にある脂質膜の特性を有する溶血した赤血球の調製に関連する、毒性及び/又は発熱性特性を実質的又は完全に欠如する。すなわち分子安定化後に、この安定化基質未含有ヘモグロビンは輸血反応毒性又は炎症反応が発生することなく、個々に投与することができる。
用語「NOブロック型四量体Hb」は、本発明のエンドトキシン未含有で、基質未含有のチオールブロック型四量体ヘモグロビンのことを言う。用語「安定なNOブロック型四量体Hb」は、本発明の、架橋されエンドトキシン未含有で、基質未含有のチオールブロック化ヘモグロビンのことを言う。
用語「dNOブロック型四量体Hb」は、本発明の、脱酸素化され、エンドトキシン未含有で、基質未含有のチオールブロック型架橋ヘモグロビンのことを言う。この種の化合物のある実施態様は「dXCMSFH」であり、これは本発明の、脱酸素化され、エンドトキシン未含有で、基質未含有のカルボキサミドメチル化架橋ヘモグロビンの具体例である。
用語「dTBSFH」は、本発明の、脱酸素化され、エンドトキシン未含有で、基質未含有のチオールブロック化、非架橋ヘモグロビンのことを言う。
用語「dCMSFH」は、本発明の、脱酸素化され、エンドトキシン未含有で、基質未含有のカルボキサミドメチル化、非架橋ヘモグロビンのことを言い、dTBSFHの具体例である。
用語「哺乳類」は、ヒト及び非ヒト動物の両方のことを言う。
本発明の組成物及び方法は、チオール保護され、架橋された四量体ヘモグロビン(安定なNOブロック型Hb)に関連し、ここでヘモグロビン分子の少なくとも1のシステイン部分は、チオール保護基、例えばカルボキサミドメチル基を含み、これによりシステイン部分のチオール基は酸化窒素(NO)との結合に利用できない。好ましくは、ヘモグロビン中少なくとも2のシステイン部分が、酸化窒素(NO)との結合に利用できない。本明細書中に開示される当該NOブロック型ヘモグロビンは、投与される場合に血管の血管作用反応を阻む。本発明の安定なNOブロック型四量体ヘモグロビンは、さらに、約20mmHgから約45mmHgのp50で酸素保有能を提供するために架橋され、循環半減期が延長される。好ましくは、当該ヘモグロビンは、非発熱性で、エンドトキシン未含有で、酸素未含有で、及び基質未含有である。従って、本発明のチオール保護架橋ヘモグロビン(安定なNOブロック型四量体Hb)は高い酸素交換能を有し、未変性ヘモグロビンより機能的に優勢である。
I.ヘモグロビン組成物
1.ヘモグロビン源及び分子構造
本発明で使用したヘモグロビン(又は、血液もしくはRBCから単離されたものでもよい)は、多様な哺乳類源、例えばヒト、ウシ(ウシ属)、バイソン(バイソン属)、ヒツジ(ヒツジ属)、ブタ(イノシシ属)源、他の脊椎動物亜門又は遺伝的に作製されたヘモグロビン等から得てよい。あるいは、本発明で使用される基質未含有ヘモグロビンは、細菌、又はより好ましくは、酵母、哺乳類細胞、又は虫細胞発現ベクター系から合成的に作製されてよい(Hoffman, S J et al , 米国特許第5,028,588号、及びHoffman, et al , 国際公開第90/13645号、両方とも参照により本明細書中に組み込まれる)。あるいは、ヘモグロビンは遺伝子組換え動物から得ることができ、かかる動物は非内因性ヘモグロビンの発現をするよう操作できる(Logan, J S et al、PCT出願番号 PCT/US92/05000、Townes, T M et al、PCT出願番号 PCT/US/09624、両方とも参照により本明細書中に組み込まれる)。好ましくは、本発明で使用される基質未含有ヘモグロビンは、バイソン、ウシ又はヒト源から単離される。
1.ヘモグロビン源及び分子構造
本発明で使用したヘモグロビン(又は、血液もしくはRBCから単離されたものでもよい)は、多様な哺乳類源、例えばヒト、ウシ(ウシ属)、バイソン(バイソン属)、ヒツジ(ヒツジ属)、ブタ(イノシシ属)源、他の脊椎動物亜門又は遺伝的に作製されたヘモグロビン等から得てよい。あるいは、本発明で使用される基質未含有ヘモグロビンは、細菌、又はより好ましくは、酵母、哺乳類細胞、又は虫細胞発現ベクター系から合成的に作製されてよい(Hoffman, S J et al , 米国特許第5,028,588号、及びHoffman, et al , 国際公開第90/13645号、両方とも参照により本明細書中に組み込まれる)。あるいは、ヘモグロビンは遺伝子組換え動物から得ることができ、かかる動物は非内因性ヘモグロビンの発現をするよう操作できる(Logan, J S et al、PCT出願番号 PCT/US92/05000、Townes, T M et al、PCT出願番号 PCT/US/09624、両方とも参照により本明細書中に組み込まれる)。好ましくは、本発明で使用される基質未含有ヘモグロビンは、バイソン、ウシ又はヒト源から単離される。
ウシ属は以下の亜属を含むものであり、ボス亜属としてボスタウラス(bos taurus)(西洋ウシ、オックス及びオーロックスがある)及びボスアエジプチアカス(bos aegyptiacus)があり、バイオス亜属としてボスフロンタリス(bos frontalis)(ガウル、ガヤル又はインディアンバイソン)及びボスジャバニカス(bos javanicus)(バンテン)があり、ノビボス(novibos)亜属としてボスサウベー(bos sauveh)(クープレー又はグレーオックス)、並びに、ポエファガス(poephagus)亜属としてボスグルニーンズ(bos grunniens)(ヤク、ボスムタス(bos mutus)も)がある。ボスタウラスには、アフリカ及びアジア由来と類似の種類、例えばボスインディカス(bos indicus)、コブウシ;及びボスプリミジェニウス(bos primigenius)、オーロックスがある。ボスガウルス(bos gaurus)には亜属があり、ボスガウルスラオシエンシス(bos gaurus laosiensis)、いわゆる「インディアンバイソン」とも言われるボスガウルスガウルス(bos gaurus gaurus)(例えばインド、ネパール)、ボスガウルスレアデイ(bos gaurus readei)、ボスガウルスフバッキ(bos gaurus hubbacki)(例えばタイ、マレーシア)、及びボスガウルスフロンタリス(bos gaurus frontalis)、国産ガウル、又はガウル−ウシ(cattle)交配種がある。
バイソンはサブファミリーウシ亜科中に6種含まれる分類学上の属である。バイソンはアジア(例えば水牛(water buffalo))及びアフリカ(例えばアフリカンバッファロー)で、バッファローとも呼ばれる。バイソン属に含まれる種としては、例えばバイソンラチフロン(bison latifron)(ロングホーンバイソン)、バイソンアンチクース(bison antiquus)、バイソンオシデンタルス(bison occidentals)、バイソンプリソンス(bison prisons)、バイソンバイソン(bison bison)、バイソンバイソンバイソン(bison bison bison)、バイソンバイソンアタバスカエ(bison bison athabascae)、バイソンボナサス(bison bonasus)、バイソンボナサスボナサス(bison bonasus bonasus)、バイソンボナサスコーカシクス(bison bonasus caucasicus)、及びバイソンボナサスフンガロラム(bison bonasus hungarorum)がある。本発明のいくつかの実施態様によれば、ヘモグロビンはボス属又はバイソン属由来である。任意の哺乳類種はヘモグロビン源として使用されてよく、それは本発明の範囲内であることは理解されるであろう。
ウシ属のHbはヒトHbよりも入手し易く、またより豊富である。期限切れのRBCから抽出された典型的なヒトHbは、Hb系人工血液の研究のために使用される。しかし、期限切れのRBCは、実行可能性ある酸素運搬治療法又は代用血液用として、大量に作製するための十分な量を入手できない。
動物由来、合成物又は組換え体、いずれかのヘモグロビンは、「天然に存在する」ヘモグロビンタンパク質からなるものでも、一部又は全部が変異導入ヘモグロビンタンパク質からなるものであってもよい。好ましい変異導入ヘモグロビンタンパク質は、例えばその変異導入が、より望ましい酸素の結合/放出特性をもたらすようなものがある。変異導入ヘモグロビンタンパク質の例としては、Hoffman, S. L.等による米国特許第5,028,588号及び5,776,890号、及びAnderson, D. C.等による米国特許第5,844,090号及び5,599,907号により提供されるものがあり、全て参照により本明細書中に組み込まれる。
ヘモグロビン(Hemoglobin又はhaemoglobin (Hb))は、哺乳類又は他の動物の赤血球に酸素を運搬する、分子量約60,000ダルトンのタンパク質様ヘム鉄含有化合物である。ヘモグロビンは、肺から身体の残りの部分へ、例えば筋肉へ酸素を運搬し、そこで酸素積荷(load)の一部を放出する。ヘモグロビン分子は4つの球状タンパク質サブユニットの集合体である。各サブユニットは、非タンパク様ヘム基ときつく結びつくタンパク質の鎖からなる。各々のタンパク質の鎖は、いわゆる「ミオグロビン折りたたみ」配列で共に結ばれた、αへリックス構造セグメントのセットで配列する。これはその配列がヘム/グロビンタンパク質で使われるのと同じ折りたたみモチーフであるためである。この折りたたみパターンは、ヘム基に強固に結合するのに適したポケットを含んでいる。ヘム基は、ポルフィリンとして知られる複素環に保持される鉄原子から構成される。鉄原子は酸素の結合部位である。鉄原子は、環の中心の4つ全ての窒素に同等に結合され、一平面上に位置する。各面においてその平面と垂直な2つの追加的な結合が鉄と共に形成され、一方がタンパク質と強固に結合し、他方が酸素の結合に利用される、第5及び第6の位置を形成するように形成される。鉄原子はFe2+又はFe3+状態のいずれもあり得るが、フェリヘモグロビン(ferrihaemoglobin)(メトヘモグロビン)(Fe3+)は酸素結合ができない。
成人において、主要なヘモグロビン型は四量体(4つのサブユニットタンパク質を含む)のヘモグロビンAと呼ばれるものであり、2つのαサブユニット及び2つのβサブユニット非共有結合からなり、各々141及び146のアミノ酸残基から作られる。これは、α2β2と示される。サブユニットは構造的に類似であり、ほぼ同じサイズである。各サブユニットは分子量約16,000ダルトンであり、四量体の全分子量は約64,000ダルトンである。4つのポリペプチド鎖は、互いに塩橋、水素結合及び疎水的相互作用で結ばれている。α鎖及びβ鎖の間の接触は2種類あり、α1β1及びα1β2である。ただし、成熟したヘモグロビンはδグロビンサブユニットを含んでもいてもよい。δグロビンサブユニットは、βグロビンを置換し、ヘモグロビンA2を形成するα2δ2としてαグロビンと対となる。
ウシHbはヒトHbと構造的に類似している。ウシHbも、2つのα鎖及び2つのβ鎖からなり、類似する分子量分布である。
2.ヘモグロビンのシステインのスルフヒドリル基の保護
ヘモグロビンにおけるシステイン部分のチオール基は、酸化窒素と結合することがあり、血液又は血管作用物質の血流力学特性に、一過的又は持続的な変化をもたらすことや、高血圧性反応を導くことがある。ヘモグロビンにおけるシステイン部分のチオール基を保護することにより、その結果生じたヘモグロビンがNOと結合できなくなり、前記事項の発生を回避することができる。
ヘモグロビンにおけるシステイン部分のチオール基は、酸化窒素と結合することがあり、血液又は血管作用物質の血流力学特性に、一過的又は持続的な変化をもたらすことや、高血圧性反応を導くことがある。ヘモグロビンにおけるシステイン部分のチオール基を保護することにより、その結果生じたヘモグロビンがNOと結合できなくなり、前記事項の発生を回避することができる。
ウシヘモグロビンは、NO結合に関与するチオール基を2つしか含んでいない(各ベータ鎖上のCys93)。従って、好ましくは、両チオール基がウシHbにおいてチオール保護基で保護されている。ヒトヘモグロビンは6つのチオール基(αCys104、βCys93、及びβCys112)を含んでおり、そのうち少なくとも2つ(各β鎖におけるCys93)がNO結合に関与する。好ましくは、当該2つのチオールは保護されており、最大6のチオール基はヒトHbにおいてチオール保護基で保護されていてもよい。
本発明のSFHは、ヘモグロビンのシステイン部分におけるチオール基の保護をもたらすため、種々の試薬での反応が可能である。本発明の範囲を制限することなく、官能基の保護用として当業者に既知の全ての試薬が本発明に含まれ、官能基としては、これに制限されるものではないが、ヒドロキシ、チオール、又はカルボキシルがある。
いくつかの試薬の例としては、制限されるものではないが、4−塩化ピリジルメチル、塩化アルコキシアルキル、ジメトキシメタン、N−(ヒドロキシメチル)アセトアミド、塩化トリフェニルメチル、塩化アセチル、2−クロロ酢酸、無水酢酸、ハロアセトアミド例えばヨードアセトアミド、ブロモアセトアミド、クロロアセトアミド、又はフルオロアセトアミド、塩化ベンジル、塩化ベンゾイル、ジ−tert−ブチルジカルボネート、p−ヒドロキシフェナシルブロミド、p−アセトキシベンジルクロリド、p−メトキシベンジルクロリド、2,4−ジニトロフェニルフルオリド、テトラヒドロピラン、アセトアミドヒドロキシメタン、アセトン、ビス−カルボエトキシエテン、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルクロリド、tert−ブトキシカルボニルクロリド、アルキルイソシアネート、及びアルコキシアルキルイソシアネートがある。好ましい実施態様によれば、試薬はハロアセトアミドである。さらに好ましい実施態様によれば、試薬はヨードアセトアミドである。ヘモグロビンのシステイン部分におけるチオール基のカルボキサミドメチル化のために使用できる、当業界で既知の任意の試薬は、本発明の範囲内であると理解する。
本発明の範囲を制限することなく、官能基の保護のための当業界で既知の全ての保護基が本発明に含まれ、制限されるものではないが、官能基としては例えばヒドロキシル、チオール、又はカルボキシルがある。保護基のいくつかの例としては、制限されるものではないが、4−ピリジルメチル、アセチルアミノメチル、アルコキシアルキル、トリフェニルメチル、カルボキサミドメチル、アセチル、ベンジル、ベンゾイル、tert−ブトキシカルボニル、p−ヒドロキシフェナシル、p−アセトキシベンジル、p−メトキシベンジル、2,4−ジニトロフェニル、イソブトキシメチル、テトラヒドロキシピラニル、アセトアミドメチル、ベンズアミドメチル、ビスーカルボエトキシエチル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、N−アルキルカルバメート、及びN−アルコキシアルキルカルバメートがある。好ましい実施態様は、保護基がカルボキサミドメチルであり、ヘモグロビンのシステイン部分におけるチオール基の保護が、非発熱性で、エンドトキシン未含有で、基質未含有で、カルボキサミドメチル化Hb(CMSFH又は安定なNOブロック型Hb)をもたらす。より一般的には、ヘモグロビンのシステインにおけるチオール基の保護は、非発熱性で、エンドトキシン未含有で、基質未含有のチオールブロック型Hb(TBSFH又はNOブロック型Hb)である。
3.四量体ヘモグロビンにおける架橋による酸素親和性調整及び安定化
ウシHb及びヒトHbは酸素親和性を調整する方法が異なる。通常の成人のヘモグロビンの四量体状態において、酸素結合は協同的なプロセスである。ヘモグロビンの酸素に対する結合親和性は、分子の酸素飽和度により増強される。結果として、ヘモグロビンの酸素結合曲線はシグモイダル、又はS型である。この正の協同的結合は、ヘモグロビンタンパク質複合体の立体的コンフォメーション変化を通して達成されるものでもよい。ヘモグロビンにおける1つのサブユニットタンパク質が酸素化されると、他のサブユニットが増強された酸素親和性を獲得するため、複合体全体における、コンフォメーション又は構造的な変化を誘導する。
ウシHb及びヒトHbは酸素親和性を調整する方法が異なる。通常の成人のヘモグロビンの四量体状態において、酸素結合は協同的なプロセスである。ヘモグロビンの酸素に対する結合親和性は、分子の酸素飽和度により増強される。結果として、ヘモグロビンの酸素結合曲線はシグモイダル、又はS型である。この正の協同的結合は、ヘモグロビンタンパク質複合体の立体的コンフォメーション変化を通して達成されるものでもよい。ヘモグロビンにおける1つのサブユニットタンパク質が酸素化されると、他のサブユニットが増強された酸素親和性を獲得するため、複合体全体における、コンフォメーション又は構造的な変化を誘導する。
ヘモグロビンが酸素に結合すると、高エネルギーの「緊張(tense)」又は「T」(脱酸素化又は酸素未含有)状態から、低エネルギーの「弛緩(relaxed)」又は「R」(酸素化)状態に移行する。ヒトのα及びβグロビン遺伝子は、クローン化及び配列決定されている(Liebhaber et al , Proc Natl Acad Sci (U S A) 77 7054-58 (1980), Marotta et al、J. Biol. Chem. 252 5040-43 (1977)、及びLawn et al , Cell 21-647 (1980), 全てが参照により本明細書中に組み込まれる)。ヒトのT状態脱酸素化ヘモグロビンの四量体構造は、6つのイオン性結合により安定性が増強されており、T状態においては、ヘモグロビンが二量体に分裂することを効果的に抑制している。このコンフォメーションにおいては、脱酸素化ヘモグロビンにおける、2つのベータ鎖間のベータ裂溝接触領域(ベータポケット、ホスフェートポケット、及び2,3−ジホスホグリセレート結合部位として知られる)は、酸素化ヘモグロビンにおけるものとは実質的に異なる。T状態におけるベータ裂溝の変化したコンフォメーションは、2,3−ジホスホグリセレートによって安定化される、低減した酸素親和性を説明するものと考えられる。ヘモグロビンのT状態は安定で、変性に対して抵抗性がある。
赤血球中では、ヒトヘモグロビン中で2,3−ジホスホグリセレートがその結合部位へ結合することにより、ヘモグロビンの酸素親和性を、pH 7.2からpH 7.4の生理的範囲における酸素運搬及び送達に適合するレベルまで減少させる。2,3−ジホスホグリセレートのヘモグロビンへの結合は弱く、ヘモグロビンの酸素親和性を調整するために高濃度(すなわち、1M以上近傍の濃度)を要することもある。例えば、高地に対して急速に順応する人々において、血中の2,3−ジホスホグリセレート(2,3−DGP)濃度は上昇し、これにより個々人は、より低い酸素圧条件下で、組織に対して多量の酸素を放出させることができる。
すなわち、基質未含有ヘモグロビン(SFH)を作製するために赤血球が破壊される場合、2,3−ジホスホグリセレートはヘモグロビンの近傍に留まらず、ヘモグロビンから分裂することもある。結果として、さらなる調整がなされずに、ヒトSFHは、RBCにおけるヘモグロビンよりも、酸素に対するより高い親和性を発現してもよい。未変性の、RBCに結合するヘモグロビンのp50のおよそ27mmHgと比較して、溶液における基質未含有ヒトヘモグロビンのp50はおよそ12〜17mmHgであり得る。SFHの酸素に対する向上した親和性は、生理条件下で、組織への結合酸素を放出する高い能力を阻害する可能性もある。
逆に、ウシHbは、さらに内部塩橋を有しており、酸素への親和性は、局所環境のイオン強度に影響される。ウシヘモグロビンは、酸素のp50を30mmHg〜40mmHgの範囲で維持するために2,3−DPGを必要としない。2,3−DPG結合により誘導される場合と比較して、イオン強度を変えることによる親和性調整の利点は、十分なイオン種濃度が通常血漿中に存在するが、2,3−DPGはRBCにしか含まれていない点である。すなわち、無細胞ウシHbの酸素親和性は、無細胞ヒトHbと比較してより容易に調整可能である。
この一般的なイオン相互作用による親和性の調整の利点が、ピリドキサル−5−ホスフェート(PLP)と反応させることによりヒトHb中に構築できる。PLPは、β鎖の後ろから2番目のヒスチジン残基近傍に負電荷を誘導し、及び同じ鎖のアミノ末端の端で正電荷を除去することによりヒトHbを改変する。この種の変化したヒトHbは、局所環境においてチャージされた種に対してウシHbと非常に類似する応答ができ、酸素親和性に影響を与える2,3−DPGの結合だけに依存しない。
RBCにおいて、その対応するβ鎖とα鎖の結合は、非常に強固で、生理条件下では分裂しない。しかし一方のα/β二量体と他方のα/β二量体との結合はかなり弱く、RBCの外において、2つの二量体は生理条件下ですら分裂することもある。分裂の場合、二量体は糸球体を通して濾過される。腎臓による基質未含有ヘモグロビン(SFH)が急速に除去されるのは、その4つ一組の分子配列のためである。
ヒト及びウシヘモグロビンの、このような除去を回避するため、当業界で既知の種々の手法で、無細胞ヘモグロビンを、結合又は架橋することができる。手法の1つとしては、Hbを例えばポリエチレングリコール(PEG)等の別の分子に結合することで、Hb分子の周囲に親水的遮蔽を形成させ、同時にそのサイズを大きくする、これは次にその循環半減期を増加させる。四量体のαβ二量体への分裂を阻止するため、及び/又は酸素担体のサイズを増加させるため、つまりその循環半減期を増加させるポリマーを形成するためにHbを分子間架橋することもできる。部位特異的架橋剤の使用により、分子内共有結合を形成してもよく、これはHbを安定な四量体に変換し得る、つまりその二量体への分裂を阻止し得る。一方、非特異的架橋剤、例えばグルタルアルデヒドの使用により、アミノ酸残基間及びHb四量体間の非特異的共有結合を誘導してもより。これは、種々の分子量及び酸素親和性のヘモグロビンポリマー(ポリHb)の形成を誘導する。多アルデヒド官能性を有する化学試薬は、架橋剤として使用できる。これらには、グルタルアルデヒド、開環ラフィノース及びデキストラン等の分子がある。アルデヒドの場合は、共有結合性の架橋の形成が、Hb四量体存在下でアミノ基との反応するアルデヒドのカルボニル基により開始されてもよい。より大きな分子内におけるHbの重合が、未変性の四量体HbについてポリHbの血管内半減期を増加させてもよく、Hbのαβ二量体への分裂を阻止してもよい。ポリHbは、腎臓、リンパ系、及び細胞内皮系(RES)を通って、体循環外に完全に濾過されてもよい。
いくつかの他の化学試薬は、ヘモグロビンα/βを架橋するために使用でき、糸球体による尿への濾過を阻止することができ、さらに未変性ヘモグロビンの酸素運搬及び送達特性を維持することができる。ビス−3',5'−ジブロモサリチルフマレート(DBSF)は、ヘモグロビンを架橋するための架橋剤として使用されてきた、活性化フマル酸ジエステルである(Tye、米国特許第4,529,719号、その全体が参照によりここに組み込まれる)。ビス−3',5'−ジブロモサリチルフマレートが、ヘモグロビン中のアスピリンを結合させることが知られている部位とそのサリチル部位を結合させ、及びその後のフマレート活性官能性による、アルファ鎖及びベータ鎖の架橋反応を達成させることにより、この変化を生じさせる。これが、リジン残基での架橋のために、正しい方向で2つの二量体を維持する。ヘモグロビンを形成する四量体の他方の半分の類似鎖との、α鎖又はβ鎖の架橋は、四量体の分裂を阻止でき、約20mmHg〜約45mmHgのp50という酸素保有能(p50試験はCO2不存在下、インビトロで実施)で、本発明の安定なヘモグロビンを産生する。架橋は、対立する二量体の対における非類似鎖の間でも可能である。すなわち架橋するヘモグロビンは、改変されたヘモグロビンのコンフォメーションをT状態で固定することで、酸素親和性の問題と腎臓による急速な濾過の問題の両方に対処することができる。
ヘモグロビンの酸素結合能は、一酸化炭素の存在下で減少してしまうが、これは両方の気体がヘモグロビンの同じ結合部位に対して競合し、一酸化炭素の結合が酸素と比較して優先的であることに起因する。COに対するヘモグロビン結合親和性は、酸素に対するその親和性の200倍大きく、これは少量のCOでもヘモグロビンの酸素運搬能力を低下させ得ることを意味する。ヘモグロビンがCOと結合すると、一酸化炭素ヘモグロビンと呼ばれる非常に鮮明な赤色の化合物を形成する。吸引された空気(すなわち、例えばタバコ喫煙、車、及び加熱炉の周囲環境において)がCOを0.02%位低レベルのCOを含む場合、頭痛及び吐き気が現れることがあり、CO濃度が0.1%まで上昇した場合、無意識状態に陥る可能性がある。ヘビースモーカーは、酸素活性部位の最大20%がCOにブロックされる可能性がある。ヘモグロビンは、一酸化硫黄(SO)、二酸化窒素(NO2)、一酸化窒素(NO)、及び硫化水素(H2S)に対しても競合的結合親和性を有する。ヘム基における鉄原子は、酸素運搬を補助するようなFe2+酸化状態である。Fe3+状態への酸化が、ヘモグロビンを酸素結合できないメトヘモグロビンに変換する。二酸化窒素及び亜酸化窒素はヘモグロビンをメトヘモグロビンに変換することができる。
二酸化炭素は、ヘモグロビンの異なる結合部位を塞ぐ。ヘモグロビンはプロトン及び二酸化炭素に結合できるが、これはタンパク質におけるコンフォメーション変化が原因となり、酸素放出が促進される。プロトンはタンパク質に沿った種々の部位で結合し、二酸化炭素はα−アミノ基で結合し、その結果カルバメートを形成する。反対に、血中(すなわち、肺周辺で)の二酸化炭素レベルが低下すると、二酸化炭素が放出され、タンパク質の酸素親和性が増大する。この、二酸化炭素の結合と放出による、ヘモグロビンの酸素に対する親和性の制御は、ボーア効果として知られている。
上述のように、ヘモグロビンに対するプロトン結合での変化により影響されるコンフォメーション変化は、二酸化炭素濃度が上昇している場合、結果としてpHが低下している場合、組織での酸素除荷を促進する。これは、ヘモグロビンの酸素に対する親和性の協同曲線を左方向へシフトさせ、ヘモグロビンのグラム当たりの酸素運搬においてより大きな効果を生む。改変したヘモグロビンにおけるこのシフトを増強することが、虚弱な心機能を持つ、すなわちより少ない仕事でより効果的な酸素化を提供することが心臓にとって必要な患者のための、効果的な治療的介入をもたらしてもよい。さらに、優れた酸素除荷をもたらすよう改変されたヘモグロビンは、酸素化欠損に関連する機能の影響を受ける患者の処置において有用であり得る。
II.カルボキサミドメチル化架橋ヘモグロビンの作製のための方法
本発明のいくつかの実施態様のためのステップが図1に描かれている。本発明の範囲を制限することなく、かかるステップは、互いに又は交互に独立に機能することができる。1又は複数のステップが、本発明の方法において削除可能である。本発明のヘモグロビンを作製の方法は、赤血球含有調製物から血漿タンパク質及びエンドトキシンを洗浄によって除去することを含んでなるステップ101;赤血球を溶解することを含んでなるステップ102;基質、例えば膜及び白血球を、溶解した赤血球から除去することによりヘモグロビンを分離することを含んでなるステップ103;ヘモグロビンから酸素を除去することを含んでなるステップ104;ヘモグロビンのシステインのためのチオール保護基を提供する試薬を、ヘモグロビン溶液に添加することを含んでなるステップ105;ヘモグロビンのシステイン基に結合したチオール保護基を有するヘモグロビンを分離することを含んでなるステップ106;ヘモグロビンを架橋することを含んでなるステップ107;及び、生物的適合バッファ中のヘモグロビンを平衡化すること、及び非発熱的な、エンドトキシン未含有で、酸素未含有で、基質未含有で、システイン保護化された架橋ヘモグロビンを調製することを含んでなるステップ108、があり得る。本発明の範囲を制限することなしに、ステップの順番は本発明に従うヘモグロビン作製のための要請に応じて変化させてもよい。
本発明のいくつかの実施態様のためのステップが図1に描かれている。本発明の範囲を制限することなく、かかるステップは、互いに又は交互に独立に機能することができる。1又は複数のステップが、本発明の方法において削除可能である。本発明のヘモグロビンを作製の方法は、赤血球含有調製物から血漿タンパク質及びエンドトキシンを洗浄によって除去することを含んでなるステップ101;赤血球を溶解することを含んでなるステップ102;基質、例えば膜及び白血球を、溶解した赤血球から除去することによりヘモグロビンを分離することを含んでなるステップ103;ヘモグロビンから酸素を除去することを含んでなるステップ104;ヘモグロビンのシステインのためのチオール保護基を提供する試薬を、ヘモグロビン溶液に添加することを含んでなるステップ105;ヘモグロビンのシステイン基に結合したチオール保護基を有するヘモグロビンを分離することを含んでなるステップ106;ヘモグロビンを架橋することを含んでなるステップ107;及び、生物的適合バッファ中のヘモグロビンを平衡化すること、及び非発熱的な、エンドトキシン未含有で、酸素未含有で、基質未含有で、システイン保護化された架橋ヘモグロビンを調製することを含んでなるステップ108、があり得る。本発明の範囲を制限することなしに、ステップの順番は本発明に従うヘモグロビン作製のための要請に応じて変化させてもよい。
1.原料及び装置の準備
ウシ源由来の全血は、生存する又は新鮮な食肉処理された供与体から得ることができる。採集の際、典型的には、血液に少なくとも1の抗凝血剤が、血液の凝血を防止するために混合されている。血液のために適切な抗凝血剤は、当業界において従来から既知のもので、例えば、クエン酸ナトリウム、エチレンジアミンテトラ酢酸及びヘパリンがある。血液と混合する場合、抗凝血剤は、例えば粉末等の固体状態、又は水溶性溶液状態でよい。血液溶液源は、新しく採集されたサンプルから、又は古いサンプルからのいずれでも可能であると解される。本発明の方法は、血液バンクからの期限切れのヒト血液の使用のために提供する。さらに、血液溶液は、凍結及び/又は液体状態で事前に維持されていたものでもよい。血液溶液は本方法における使用前に凍結しないことが好ましい。
ウシ源由来の全血は、生存する又は新鮮な食肉処理された供与体から得ることができる。採集の際、典型的には、血液に少なくとも1の抗凝血剤が、血液の凝血を防止するために混合されている。血液のために適切な抗凝血剤は、当業界において従来から既知のもので、例えば、クエン酸ナトリウム、エチレンジアミンテトラ酢酸及びヘパリンがある。血液と混合する場合、抗凝血剤は、例えば粉末等の固体状態、又は水溶性溶液状態でよい。血液溶液源は、新しく採集されたサンプルから、又は古いサンプルからのいずれでも可能であると解される。本発明の方法は、血液バンクからの期限切れのヒト血液の使用のために提供する。さらに、血液溶液は、凍結及び/又は液体状態で事前に維持されていたものでもよい。血液溶液は本方法における使用前に凍結しないことが好ましい。
血液溶液を抗凝血剤に導入する前に、血液溶液中の例えばペニシリンン等の抗生物質レベルを評価してもよい。抗生物質レベルは、血液サンプルの供与体が抗生物質で処置されなかったことを確認することで、血液サンプルが感染生物で汚染されていないとの一定の確信を与えるために決定づけられることもある。あるいは、ウシの処置から、疾患又は抗生物質の存在がないことを、監視し及び保証するための牛群管理プログラムを使用してもよい。血液溶液は、抗凝血のステップの前又は間に濾過してもよく、例えば濾過することで、巨大凝固及び粒子を除去する。150ミクロンフィルタはこの操作のために適した濾過器である。
多様なアッセイ中のいずれかは、本発明の組成物の非発熱性を実証するために使用されてもよく、例えば、限定されるものではないが、インターロイキン−6及び他のサイトカイン誘導(Pool, E. J. et al., J. Immunoassay 19.95-111 (1998)、及びPoole, S. et al , Dev. Biol. Stand. 69- 121-123 (1988));ヒト単球細胞系アッセイ(Eperon, S. et al., J Immunol Meth. 207:135-145 (1997)、及びTaktak, Y. S. et al , J Pharm Pharmacol. 43:578-582 (1991));リムルスアメーバ様細胞溶解質(LAL)試験(Fujiwara, H. et al., Yakugaku Zasshi 110 332-40 (1990)、及びp Martel F. et al., Rev Fr Transfus Immunohematol 28:237-250 (1985))及びウサギ発熱因子試験(Bleeker W. K. et al., Prog Clin Biol Res 189:293-303 (1985); Simon, S. et al , Dev Biol Stand 34.75-84 (1977)、及び; Allison, E S. et al., Clin Sci MoI. Med. 45.449-458 (1973))があり、全ての参考文献はが全体が本明細書中に組み込まれる。ウサギ発熱因子試験は、効果の高められたLAL試験が前者の技術に置き換えられるまで、好ましい発熱アッセイであった。他の発熱因子を除去する方法、例えば濾過、吸着、親和性物質等は当業界で既知であり、本発明の範囲内であると解する。
多様なアッセイ中のいずれかは、本発明の組成物の非発熱性を実証するために使用されてもよく、例えば、限定されるものではないが、インターロイキン−6及び他のサイトカイン誘導(Pool, E. J. et al., J. Immunoassay 19.95-111 (1998)、及びPoole, S. et al , Dev. Biol. Stand. 69- 121-123 (1988));ヒト単球細胞系アッセイ(Eperon, S. et al., J Immunol Meth. 207:135-145 (1997)、及びTaktak, Y. S. et al , J Pharm Pharmacol. 43:578-582 (1991));リムルスアメーバ様細胞溶解質(LAL)試験(Fujiwara, H. et al., Yakugaku Zasshi 110 332-40 (1990)、及びp Martel F. et al., Rev Fr Transfus Immunohematol 28:237-250 (1985))及びウサギ発熱因子試験(Bleeker W. K. et al., Prog Clin Biol Res 189:293-303 (1985); Simon, S. et al , Dev Biol Stand 34.75-84 (1977)、及び; Allison, E S. et al., Clin Sci MoI. Med. 45.449-458 (1973))があり、全ての参考文献はが全体が本明細書中に組み込まれる。ウサギ発熱因子試験は、効果の高められたLAL試験が前者の技術に置き換えられるまで、好ましい発熱アッセイであった。他の発熱因子を除去する方法、例えば濾過、吸着、親和性物質等は当業界で既知であり、本発明の範囲内であると解する。
血清リパーゼ、例えばリパーゼAは、ヘモグロビン分子へのエンドトキシン結合を不活性化しない。従って、ヘモグロビンを代謝する肝細胞により取り込まれる時、エンドトキシンは活性毒状態を維持している。Friedman, H. I.等は、ラットモデルにおける3つのヘパ毒性(hepatoxicity)を、細胞溶解溶液からエンドトキシンを減少又は除去するためのプロセスの理論(Friedman, H. I. et al, Lab Invest 39:167-77 (1978)、及び; Colpan et al., 米国特許第5,747,663号を参照されたい)と同時に報告した。Wainwright等(米国特許第5,627,266号)は、固体支持材に固定したエンドトキシン結合タンパク質について及び溶液からのエンドトキシンの除去におけるこの分子の使用について述べている。
本発明のいつくかの実施態様によれば、エンドトキシン汚染の排除は、本発明の化学的プロセスへのエンドトキシンの誘導を阻止することにより確保することができる。典型的には、エンドトキシン汚染された水の使用、非滅菌技術、又は採集中の細菌暴露の単純なプロセスにより、気付かずにエンドトキシンが添加されてしまう。エンドトキシンの測定は困難であり、標準的なLAL結合アッセイは、初期採集のエンドトキシンがヘモグロビンに強固に結合するため、ヘモグロビンの存在下では機能しない。しかし、比濁アッセイ(tubidimetric)又は色素形成アッセイは、検出限界が非常に低いので、検証ができる。水及び血液採集物は、ほとんどがエンドトキシンを誘導する候補となり得るので、ヘモグロビンの調製におけるステップ数増加が、毒性レベルを上昇させることになる。透析又は濾過法を用いての調製は、エンドトキシンを含有することもある多量の水/バッファにヘモグロビンを曝す可能性がある。膜システムにおいては、エンドトキシンの低減又は排除のために、NaOH又はNaOClで予備処理を行ってもよい。これらの物質は、各種装置から、洗い流し、洗浄することができる。全ての膜、及び本発明のヘモグロビンを作製するために使用される装置は、かかる物質及び装置に存在する可能性のある、エンドトキシンを除去又は排除するために十分な方法で、洗浄されることが好ましい。好ましくは、事前にエンドトキシンの非発生を認められたヘモグロビンの希釈溶液を用いて、本発明のヘモグロビンが接触することになる表面及び装置を予備洗浄することで洗浄を達成する。前記溶液は、エンドトキシンと結合するように働くので、前記膜又は装置上に存在する可能性のある、残余エンドトキシンを除去する。例えば、Tye、米国特許第6,894,150号を参照されたい。洗浄に使用されるヘモグロビンの希釈溶液は、各使用の後に廃棄する。好ましくは、次の生成物におけるエンドトキシンの蓄積を防止するため、逆流透析を使用することで、任意のイオン除去又は緩衝剤平衡化を実施できる。
2.ステップ101:血漿タンパク質及びエンドトキシンを除去するためのRBCの洗浄
血液溶液中のRBCは、任意の適切な方法、例えば膜分離法(diafiltration)により、又は個々の希釈及び濃縮段階の組み合わせにより、少なくとも1の溶液、例えば等張溶液で、細胞外血漿タンパク質、例えば血清アルブミン又は抗体(例えば、免疫グロブリン(IgG)からRBCを分離するために洗浄することができる。RBCは、バッチ中又は連続的な給水方法で洗浄できると解される。許容可能な等張溶液は当業界で周知であり、例えば、クエン酸塩/生理食塩水溶液、又はRBCの細胞膜が破裂しないpH及びオスモル濃度を有するPBSで、全血の血漿部分を置き換える。本発明の方法で使用できる精製水の源としては、蒸留水、脱イオン化水(DI)、注入用水(EFI)及び/又は低ピロゲン(発熱物質)水(LPW)がある。WFIが好ましく、これは脱イオン化蒸留水である。水を精製する具体的な方法は、エンドトキシンを低減する要請と比較して、それほど重要ではない。
血液溶液中のRBCは、任意の適切な方法、例えば膜分離法(diafiltration)により、又は個々の希釈及び濃縮段階の組み合わせにより、少なくとも1の溶液、例えば等張溶液で、細胞外血漿タンパク質、例えば血清アルブミン又は抗体(例えば、免疫グロブリン(IgG)からRBCを分離するために洗浄することができる。RBCは、バッチ中又は連続的な給水方法で洗浄できると解される。許容可能な等張溶液は当業界で周知であり、例えば、クエン酸塩/生理食塩水溶液、又はRBCの細胞膜が破裂しないpH及びオスモル濃度を有するPBSで、全血の血漿部分を置き換える。本発明の方法で使用できる精製水の源としては、蒸留水、脱イオン化水(DI)、注入用水(EFI)及び/又は低ピロゲン(発熱物質)水(LPW)がある。WFIが好ましく、これは脱イオン化蒸留水である。水を精製する具体的な方法は、エンドトキシンを低減する要請と比較して、それほど重要ではない。
本発明で使用される水及び試薬は、実質的にエンドトキシン汚染のないものである。好ましくは、本発明で使用される水及び試薬は、完全にエンドトキシ汚染のないものである。エンドトキシン汚染のリスクを低減する手段としては、ヘモグロビン調製物にさらされる、水及び試薬バッファの量を低減することができる。従って、本発明のいくつかの実施態様において、ヘモグロビン調製物は、バッファの平衡化及び/又は反応性生物の除去のための、逆流(counter-flow)又は逆流(counter-current)透析を使用して作製される。本発明での使用に適する逆流透析法は、市販のものがあり、例えばVariPerm M, bitop, Witten(Schwarz, T. et al, Electrophoresis 15 1118-1119 (1994)を参照されたい)、スペクトラムラボラトリーズ(Spectrum Laboratories, Inc.)、Laguna Hills, Calif,等がある。中空糸技法で、標準的な合成技法と比較してエンドトキシン量が100倍低減した、本発明のヘモグロビン調製物を作製できると推定する。エンドトキシン除去の他の方法は、当業界で既知であり、本発明の範囲内であると解する。
成熟赤血球を採集するために使用される方法としては、血液サンプルを、等張溶液で数回洗浄し、4”直径ボウルに3,000回転で遠心分離することにより分離することができる。好ましくは、使用される等張溶液は、サンプル溶液である。好ましくは、細胞を少なくとも3回洗浄し、各遠心分離の間にすすぎ、等張溶液と同量の最終容量に再懸濁する。あるいは、RBCSの濃度は、接線流膜を通す濾過により到達されるものでもよい。
膜球体(しばしば、「dust」と呼ばれる)を作製する場合、ソニケーターの使用は推奨しない。本発明の使用に適した振とう法は、磁性攪拌子(直径0.25”)及び機械的振動機又は振とう機(容器の使用許容量が1から2リットル)である。この例となるプロトコルは、この点における細胞膜の不所望断片を防止するよう、採集した細胞上に作用させる力の限界を例示するための装置について記載している。
当業界で周知の、他の血液成分からRBCを分離するための方法が使用できると解する。例えば沈殿法があり、ここで当該分離方法は多量のRBC、例えばRBCの約30%未満の細胞膜を破裂させないもので、他の血液成分、例えば白血球(WBC)及び血小板からRBCを分離する前に行う。
白血球は、輸血された濃縮RBCが存在する場合、ヒト受容者において発熱反応を引き起こす。RBCは通すがWBCの数は顕著に減少させることができる、白血球減少(leucoreduction)フィルタを使うことが望ましい。単一のヒトに使用される濃縮細胞の単位より大きな試作品が、白血球減少の評価のために使用される。約12時間の低温処理(prechilling)洗浄したウシ成熟赤血球は、約15分間で白血球減少濾過ができる。結果を表1に示す。例えばコールターカウンター(登録商標)細胞(Coulter Counter Cell)及びパーティクルカウンター等の機器で定量された、WBCの3ログ(log)の減少は、白血球減少フィルタを通す、赤血球懸濁物の通過により達成される。これは方法の選択肢の1つであり、WBC存在下、RBCがWBCの溶解がない状態で選択的に溶解され、その後濾過により除去される方法である。この選択的溶解は以下の部分でより詳細に議論する。
3.ステップ102:成熟赤血球の溶解
種々の溶解方法、例えば機械的溶解、化学的溶解、低張性溶解又は、Hbの酸素を運搬及び放出する能力に大きな損害を与えることなくヘモグロビンを放出する、他の既知の方法が使用できる。ヘモグロビンは、脱イオン化水中で低張性溶解により、成熟赤血球から放出されてもよい。好ましくは、溶解は4から20容量の脱イオン化水で達成される。ある方法によれば、血漿フリー血液細胞はNSで平衡化され、その後4容量の脱イオン化水(DI)中に希釈する。この結果、低張性溶解により血漿フリー血液細胞を粉砕することができる。細胞は水の急速な取り込みにより粉砕される。赤血球は約30秒で溶解できるが、WBCはより耐久性がある。RBCは、RBCが溶解された後にフロープロセスに捕集されるが、WBCはちょうど溶解開始前である。9%の塩溶液の追加容量を、全体として、総濃度が塩成分0.9%に到達するように添加する。このタイミングを調整した塩分の上昇が、WBCの溶解を阻止する。濾過により、基質及びWBCが溶解したEBCから除去される。ヘモグロビンは、0.22μmフィルタによる濾過により除去できるが、残余物(retentate)は、基質、赤血球膜、及び未溶解WBCを集積する。図2は、5分までのWBC溶解耐久性について示す溶解実験の経時変化を描いている。相当量の白血球溶解が発生する前の2分間の間に、成熟赤血球溶解を停止できる。
種々の溶解方法、例えば機械的溶解、化学的溶解、低張性溶解又は、Hbの酸素を運搬及び放出する能力に大きな損害を与えることなくヘモグロビンを放出する、他の既知の方法が使用できる。ヘモグロビンは、脱イオン化水中で低張性溶解により、成熟赤血球から放出されてもよい。好ましくは、溶解は4から20容量の脱イオン化水で達成される。ある方法によれば、血漿フリー血液細胞はNSで平衡化され、その後4容量の脱イオン化水(DI)中に希釈する。この結果、低張性溶解により血漿フリー血液細胞を粉砕することができる。細胞は水の急速な取り込みにより粉砕される。赤血球は約30秒で溶解できるが、WBCはより耐久性がある。RBCは、RBCが溶解された後にフロープロセスに捕集されるが、WBCはちょうど溶解開始前である。9%の塩溶液の追加容量を、全体として、総濃度が塩成分0.9%に到達するように添加する。このタイミングを調整した塩分の上昇が、WBCの溶解を阻止する。濾過により、基質及びWBCが溶解したEBCから除去される。ヘモグロビンは、0.22μmフィルタによる濾過により除去できるが、残余物(retentate)は、基質、赤血球膜、及び未溶解WBCを集積する。図2は、5分までのWBC溶解耐久性について示す溶解実験の経時変化を描いている。相当量の白血球溶解が発生する前の2分間の間に、成熟赤血球溶解を停止できる。
成熟赤血球溶解の他の方法として、例えば「低速低張性溶解」又は「凍結融解」を使用してもよい。Chan et al., J Cell Physiol. 85:47-57 (1975)を参照されたく、この全体が参照として組み込まれるものとする。本発明のいくつかの実施態様によれば、等張食塩水中で、12容量の脱イオン化エンドトキシン未含有水と赤血球を混合し、細胞に穏やかな振とう(agitation)を与えるプロセスによって細胞は溶解される。RBCを溶解する他の方法は当業界において既知であり、これは本発明の範囲内であると解する。
4.ステップ103:ヘモグロビンからの基質の分離
成熟赤血球の構成成分は、純ヘモグロビンが約98.5%で、ほかに数種の少量の他のタンパク質、例えば炭酸脱水酵素がある。赤血球の膜はゴースト又は基質と呼ばれ、全ての血液タイプの抗原を含んでいる。Rabiner等は、溶血する赤血球の毒特性のいくつかは、赤血球の膜(基質)及び関連する脂質に関連することを初めて実証した(Rabiner et al., J Exp Med. 126: 1127 (1967)、その全体で参照として組み込まれる)。膜は凍結により破壊され得るので、血液の貯蔵条件としては制御された冷却環境を必要とする。さらに、輸血を通して伝播する多くのヒトウイルス疾患は、赤血球の基質に結合し得る。すなわち基質未含有ヘモグロビン(「SFH」)は、免疫原特性(例えば炎症、凝集、凝血、免疫介在性捕体応答、血小板活性化)、赤血球の細胞膜、及びウイルス汚染の可能性の観点から有益であり得る。
成熟赤血球の構成成分は、純ヘモグロビンが約98.5%で、ほかに数種の少量の他のタンパク質、例えば炭酸脱水酵素がある。赤血球の膜はゴースト又は基質と呼ばれ、全ての血液タイプの抗原を含んでいる。Rabiner等は、溶血する赤血球の毒特性のいくつかは、赤血球の膜(基質)及び関連する脂質に関連することを初めて実証した(Rabiner et al., J Exp Med. 126: 1127 (1967)、その全体で参照として組み込まれる)。膜は凍結により破壊され得るので、血液の貯蔵条件としては制御された冷却環境を必要とする。さらに、輸血を通して伝播する多くのヒトウイルス疾患は、赤血球の基質に結合し得る。すなわち基質未含有ヘモグロビン(「SFH」)は、免疫原特性(例えば炎症、凝集、凝血、免疫介在性捕体応答、血小板活性化)、赤血球の細胞膜、及びウイルス汚染の可能性の観点から有益であり得る。
有効な基質未含有ヘモグロビン代用血液又は酸素運搬治療は、従来の血液系治療に優るいくつかの利点を提供できる。意義深いことに、基質未含有ヘモグロビン代用血液の使用は、不所望の免疫応答の範囲及び重症度を軽減でき、ウイルス性疾患、例えば肝炎及びHIVの伝播のリスクを軽減できる。さらに、成熟赤血球の限定された貯蔵能力と対照的に、基質未含有ヘモグロビン代用血液又は酸素運搬治療は、保管期限の延長をもたらすことができ、環境的に厳密に制御された貯蔵施設の必要性が少ない。
基質は、細胞構成成分は保持しヘモグロビンは通過させる0.65ミクロンフィルタを通す、溶血血液の限外濾過により除去されてもよい。あるいは、細胞残屑は、続く濾過により、0.22ミクロンフィルタ又は300,000ダルトン分子量フィルタを通して除去してもよい。本発明の使用に適する限外濾過膜は、市販品であり、例えばミリポア社から購入できる。溶解されたRBC相からHbを分離するための他の方法が使用でき、例えば沈降法、沈殿法(Tye、米国特許第4,529,719号)、遠心分離法又は精密濾過法がある。基質を除去する他の方法は当業界で既知であり、本発明の範囲内であると解する。
炭酸脱水素酵素
炭酸脱水素酵素は、赤血球膜が溶解してから膜分離を通して除去することができ、これは本方法中、数箇所で使用する。例えば、膜分離及びバッファ交換を、架橋前、架橋中、架橋後に行う。炭酸脱水素の存在はELISAにより定量してもよい。
炭酸脱水素酵素は、赤血球膜が溶解してから膜分離を通して除去することができ、これは本方法中、数箇所で使用する。例えば、膜分離及びバッファ交換を、架橋前、架橋中、架橋後に行う。炭酸脱水素の存在はELISAにより定量してもよい。
10mLのスピンしたサンプルの顕微鏡分析からは、細胞残屑はまったく現れていない。
リン脂質レベルの減少
本発明の安定なNOブロック化四量体ヘモグロビンの別の主要素としては、リン脂質の存在レベルの低さがある。リン脂質は、赤血球の表面脂質層、ヘモグロビンの源由来である。上記の処理のステップは、不要な脂質を除去する、すなわちその存在に関係のある問題を排除するものである。リン脂質アッセイは、当業者に周知のHPLC及び/又はELISAにより測定できる。ホスファチジルコリンは、検出限界未満でしか発見されない。
本発明の安定なNOブロック化四量体ヘモグロビンの別の主要素としては、リン脂質の存在レベルの低さがある。リン脂質は、赤血球の表面脂質層、ヘモグロビンの源由来である。上記の処理のステップは、不要な脂質を除去する、すなわちその存在に関係のある問題を排除するものである。リン脂質アッセイは、当業者に周知のHPLC及び/又はELISAにより測定できる。ホスファチジルコリンは、検出限界未満でしか発見されない。
ヘモグロビン濃度14%溶液
前記処理後、基質未含有溶血血液は、ヘモグロビンの通過させない膜により濃縮される。好ましくは、基質未含有溶血血液は、1%〜25%(g/L)溶液に濃縮される。さらに好ましくは、基質未含有溶血血液は、約5%〜約20%(g/L)に濃縮される。最も好ましくは、基質未含有溶血血液は、約6%〜約10%(g/L)に濃縮される。濃縮された溶液はバッファで平衡化され、pHを調整することができる。好ましくは、pHは7.40に調整する。ただし、約6.5〜約8.5の間のpHは、本発明で使用できる。
前記処理後、基質未含有溶血血液は、ヘモグロビンの通過させない膜により濃縮される。好ましくは、基質未含有溶血血液は、1%〜25%(g/L)溶液に濃縮される。さらに好ましくは、基質未含有溶血血液は、約5%〜約20%(g/L)に濃縮される。最も好ましくは、基質未含有溶血血液は、約6%〜約10%(g/L)に濃縮される。濃縮された溶液はバッファで平衡化され、pHを調整することができる。好ましくは、pHは7.40に調整する。ただし、約6.5〜約8.5の間のpHは、本発明で使用できる。
濃縮されたHb溶液は、その後1又は複数の平行なクロマトグラフィのカラムに任意に投入でき、他の汚染、例えば抗体、エンドトキシン、リン脂質及び酵素及びウイルスから高機能液体クロマトグラフィによりヘモグロビンをさらに分離できる。適切な媒体の例としては、陰イオン交換媒体、陽イオン交換媒体、疎水性相互作用媒体及び親和性媒体がある。クロマトグラフィのカラムは、非ヘモグロビンタンパク質からHbを分離するのに適した陰イオン交換媒体を含有してもよい。好適な陰イオン交換媒体としては、例えばシリカ、アルミナ、チタンゲル、架橋デキストリン、アガロース又は誘導体化部分、例えばポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチル−メタクリレート又はスチレンジビニルベンゼンがあり、これらは陽イオン性化学官能基(例えばジエチルアミノエチル基又は4級アミノエチル基)で誘導体化される。溶解されたRBC相にあることが多い、他のタンパク質及び夾雑物と比較して、選択的なHbの吸着及び脱離のために、好適な陰イオン交換媒体及び対応する溶離液は、当業者により容易に決定できる。
リン酸イオンの除去
Bucci等は、有機リン酸塩、例えば2,3−ジホスホグリセレートの除去がヒトの溶血血液に必要であり、その原因は架橋反応部位がヘモグロビンの2,3−ジホスホグリセレートにより占有されるのと同じ部位であることによると報告している(米国特許第5,290,919号)。本発明のいくつかの実施態様によれば、基質未含有のヒトHb溶液には、実質的に無機リン酸塩がない。従って、本発明のいくつかの実施態様によれば、フィルタを通過した基質未含有のヒトHb(架橋前)は、その後リン酸塩を塩化物に交換するよう処理してもよい。この目的のために、基質未含有のヒトHbは、酸素の不存在下又は存在下で、事前に準備され塩化物で平衡化されたイオン交換カラムを通過させる。このステップの効果は、全無機リン酸塩分析により測定してよい。好適なイオン樹脂は、市販されており、本発明の範囲内である。イオン樹脂はDBSFとの反応中にアスピリンが結合する部位を争う可能性のある、リン酸塩を除去する。溶液はその後所望の範囲に濃縮できる。この操作はウシHbの場合には必要ない。
Bucci等は、有機リン酸塩、例えば2,3−ジホスホグリセレートの除去がヒトの溶血血液に必要であり、その原因は架橋反応部位がヘモグロビンの2,3−ジホスホグリセレートにより占有されるのと同じ部位であることによると報告している(米国特許第5,290,919号)。本発明のいくつかの実施態様によれば、基質未含有のヒトHb溶液には、実質的に無機リン酸塩がない。従って、本発明のいくつかの実施態様によれば、フィルタを通過した基質未含有のヒトHb(架橋前)は、その後リン酸塩を塩化物に交換するよう処理してもよい。この目的のために、基質未含有のヒトHbは、酸素の不存在下又は存在下で、事前に準備され塩化物で平衡化されたイオン交換カラムを通過させる。このステップの効果は、全無機リン酸塩分析により測定してよい。好適なイオン樹脂は、市販されており、本発明の範囲内である。イオン樹脂はDBSFとの反応中にアスピリンが結合する部位を争う可能性のある、リン酸塩を除去する。溶液はその後所望の範囲に濃縮できる。この操作はウシHbの場合には必要ない。
5.ステップ104:酸素の除去
チオールブロック化基質未含有Hb、又はより具体的にCMSFHは、調製物中に存在する酸素を除去するのに十分な条件下で処理できる。本発明のある態様は、CMSFH調製物から酸素を除去するために、改良されたプロセスに関するものである。本発明の範囲を限定することなく、かかる脱酸素化は本明細書記載のいずれのステップの前又は後に実施可能である。例えば、脱酸素化ステップは、基質除去のステップ、エンドトキシン除去のステップ、チオール保護のステップ、リン酸塩除去のステップ、RBCの溶解のステップ、又はヘモグロビン架橋のステップの、前又は後に実施可能である。ある実施態様によれば、脱酸素化は本発明のヘモグロビンのシステイン部分中のチオール基の保護の前に実施される。本発明の別の実施態様によれば、脱酸素化は、ヘモグロビンの架橋の前に実施される。本発明のいくつかの実施態様によれば、当該方法のステップは、完結するまでより多くの時間を要することもある。かかる場合、脱酸素化条件が好まれる。
チオールブロック化基質未含有Hb、又はより具体的にCMSFHは、調製物中に存在する酸素を除去するのに十分な条件下で処理できる。本発明のある態様は、CMSFH調製物から酸素を除去するために、改良されたプロセスに関するものである。本発明の範囲を限定することなく、かかる脱酸素化は本明細書記載のいずれのステップの前又は後に実施可能である。例えば、脱酸素化ステップは、基質除去のステップ、エンドトキシン除去のステップ、チオール保護のステップ、リン酸塩除去のステップ、RBCの溶解のステップ、又はヘモグロビン架橋のステップの、前又は後に実施可能である。ある実施態様によれば、脱酸素化は本発明のヘモグロビンのシステイン部分中のチオール基の保護の前に実施される。本発明の別の実施態様によれば、脱酸素化は、ヘモグロビンの架橋の前に実施される。本発明のいくつかの実施態様によれば、当該方法のステップは、完結するまでより多くの時間を要することもある。かかる場合、脱酸素化条件が好まれる。
脱酸素化の程度は、ガスクロマトグラフィ、ジルコニウム系検出器(例えば、「MOCON」アナライザー(Mocon, Minneapolis, Minn.))により、pO2の測定により又は脱酸素ヘモグロビン構造に特徴的なスペクトルシフトの測定により、測定することができる。
ヘモグロビン中の酸素は、減圧により、又は減圧遠心分離により除去することができる。使用されるCMSFHは、基質(希釈)除去物、又は限外濾過でヘモグロビンをおよそ10%(w/v)に濃縮させる第二段階の限外濾過からの残余物(retentate)から、限外濾過液により得られる。得られたCMSFHの溶液は、その溶液の温度での水の分圧と同程度に十分に減圧することにより、容易に脱酸素化が可能であるが、溶液はその表面張力より大きな力を生むのに十分なスピードで遠心分離できる。これは一般的に低速度であり、予備の遠心分離で、又は連続的なフローの変動により対処可能である。ガスが交換するために適切な表面が存在し、及び温度が維持でき且つ溶液が凍結しないことを保証するため、CMSFHの容器の形状を考慮することは望ましい。
接触器膜技術は、Hb溶液からO2を除去するために使用できる。接触器膜技術は、酸素ガスを窒素ガスの代わりに使える場合、酸素化のためにも使用できる。かかる膜の3つ又は4つは、より高いスループット用に連続して取り付けられ、脱酸素化又は酸素化されたヘモグロビン溶液の商品のために使用できる。Hb濃度は、溶解したO2が除去される割合に影響を与える。Hb濃度が低くなるにつれて、O2除去率は向上する。実験ではO2濃度を<100ppbより下げなくてよい。ただし試験は、系を気密にさせる無酸素のグローブボックスで実施できる。グローブボックスは非常に低酸素レベル(<5ppb)環境を維持できる。このグローブボックス環境は、ヘモグロビンにより再吸着されるO2が無いことを確保することが要求されるO2障壁を提供できる。28.5”より大のHg真空条件(<50mmHg)は、最適なO2除去のために使用できる。
上述の手順で調製した、脱酸素化、エンドトキシン未含有、基質未含有、カルボキサミドメチル化Hb(dCMSFH)は、好ましくは不活性環境を維持し、調製物のpHは好ましくは6.0〜9.5、より好ましくは8.3〜8.4の間に調節できる。溶液のpHは1.0N酢酸又は1.0N NaOHを使用して調節してよい。他の目的のために希釈、懸濁、又は水(バッファ等を含む)の添加を所望の場合は、水を脱酸素化及びエンドトキシンの無い状態にしてもよい。全ての続くステップは、酸素不存在条件下で行い、任意の所望の手段で維持してよい。上に示したように、好ましい方法は、周囲が窒素陽圧であるグローブボックスの使用を含むものであるが、窒素の代わりに、他の同様な不活性ガス(例えばアルゴン)を使用してもよい。
6.ステップ105:ヘモグロビンの(1又は複数の)システインのスルフヒドリルの保護
チオール保護基でヘモグロビンのシステインを保護するステップは、架橋ステップの前又は架橋ステップの後に実施してよい。本発明のある実施態様によれば、システイン部部のチオール基を保護するステップは、架橋ステップの前に実施される。本発明の別の実施態様によれば、ヘモグロビンの脱酸素化ステップは、システイン部分におけるチオール基の保護のステップ前に実施される。本発明のいくつかの実施態様によれば、脱酸素化はヘモグロビンのスルフヒドリル基の保護の前には実施されない。官能基、限定されるものではないが、例えばヒドロキシル、チオール、又はカルボキシルの保護用として当業界で既知の全ての試薬が本発明に含まれる。
チオール保護基でヘモグロビンのシステインを保護するステップは、架橋ステップの前又は架橋ステップの後に実施してよい。本発明のある実施態様によれば、システイン部部のチオール基を保護するステップは、架橋ステップの前に実施される。本発明の別の実施態様によれば、ヘモグロビンの脱酸素化ステップは、システイン部分におけるチオール基の保護のステップ前に実施される。本発明のいくつかの実施態様によれば、脱酸素化はヘモグロビンのスルフヒドリル基の保護の前には実施されない。官能基、限定されるものではないが、例えばヒドロキシル、チオール、又はカルボキシルの保護用として当業界で既知の全ての試薬が本発明に含まれる。
前記試薬のいくつかの例としては、限定されるものではないが、4−ピリジルメチルクロライド、アルコキシアルキルクロライド、ジメトキシメタン、N−(ヒドロキシメチル)アセトアミド、塩化トリフェニルメチル、塩化アセチル、2−クロロ酢酸、無水酢酸、ハロアセトアミド、例えばヨードアセトアミド、ブロモアセトアミド、クロロアセトアミド、又はフルオロアセトアミド、ハロアセテート、例えばヨードアセテート、ブロモアセテート、クロロアセテート、又はフルオロアセテート、塩化ベンジル、塩化ベンゾイル、ジ−tert−ブチルジカルボネート、p−ヒドロキシフェナシルブロマイド、p−アセトキシベンジルクロライド、p−メトキシベンジルクロライド、2,4−ジニトロフェニルフルオライド、テトラヒドロピラン、アセトアミドヒドロキシメタン、アセトン、ビス−カルボエトキシエテン、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルクロライド、tert−ブトキシカルボニルクロライド、アルキルイソシアネート、及びアルコキシアルキルイソシアネートがある。本発明のスルフヒドリル保護されたヘモグロビンの具体例としては、試薬はヨードアセトアミドである。当業界で既知の任意の試薬がカルボキサミドメチル化のために使用できると解する。
ヨードアセトアミド(IAM)との反応の最適化
ヨードアセトアミド反応は、副産物の1つがヨウ化イオンであるため、ヨウ化物特異的電極でその後処理する。1等量のスルフヒドリル基当たり2M超使うことができる。表2は、IAM反応において使用されるIAM試薬のモルに対するウシHbのヨードアセトアミド反応の経時変化の表を示す。結果は、Hbのモル当たり遊離のスルフヒドリルの量を示し、ウシHbに対して等M(モル濃度)で与えられる。
ヨードアセトアミド反応は、副産物の1つがヨウ化イオンであるため、ヨウ化物特異的電極でその後処理する。1等量のスルフヒドリル基当たり2M超使うことができる。表2は、IAM反応において使用されるIAM試薬のモルに対するウシHbのヨードアセトアミド反応の経時変化の表を示す。結果は、Hbのモル当たり遊離のスルフヒドリルの量を示し、ウシHbに対して等M(モル濃度)で与えられる。
7.ステップ106:反応物からのチオール保護化ヘモグロビンの分離
観察されたヨウ化物発生(evolution)割合により決定される反応の完了後、過剰IAMはリンガーアセテートで平衡化及び膜分離により除去される。
観察されたヨウ化物発生(evolution)割合により決定される反応の完了後、過剰IAMはリンガーアセテートで平衡化及び膜分離により除去される。
8.ステップ107:DBSFでの架橋及びPLPとの反応
基質未含有Hbは、四量体のα、β二量体への分裂を阻止するための分子内架橋により、α、β二量体への分裂を阻止でき、すなわちその循環半減期を増加することができる。これはHbをT状態に制限し、結果的に親和性を改変でき、従ってHbの酸素運搬特性を改変するものである。
基質未含有Hbは、四量体のα、β二量体への分裂を阻止するための分子内架橋により、α、β二量体への分裂を阻止でき、すなわちその循環半減期を増加することができる。これはHbをT状態に制限し、結果的に親和性を改変でき、従ってHbの酸素運搬特性を改変するものである。
好適な架橋剤の例としては、Hbタンパク質を架橋するであろう多官能性試薬があり、例えばグルタルアルデヒド、スクシンジアルデヒド、ポリオキシエチレン及びデキストランの活性状態、α−ヒドロキシアルデヒド、例えばグリコルアルデヒド、N−マレイミド−6−アミノアプロイル−(2'−ニトロ,4'−スルホン酸)−フェニルエステル、m−マレイミド安息香酸−N−ヒドロキシスクシンイミエステル、スクシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、スルホスクシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキスクシンイミドエステル、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル、N−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート、スルホスクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート、スクシンイミジル 4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート、スルホスクシンイミジル 4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N'−フェニレンジマレイミド、及びビスイミデート種、アシルジアジド種又はアリールジハライド種等に属する化合物がある。サッカライドは架橋剤として使用できる。サッカライドの例としては、制限されるものではないが、モノサッカライド(ガラクトース、グルコース、メチルグルコピラノシド、及びマンニトール)、ジサッカライド(ラクトース、マルトース、セロビオース、スクロース、及びトレハロース)、トリサッカライド(ラフィノース)及びポリサッカライド(分子量が15,000及び71,000Daのデキストラン)がある。
ヘモグロビンの架橋は、酸素の不存在下で実施されてもよい。ヘモグロビン分子に強固に結合し架橋反応を妨げる無機リン酸は、生成物を増加させるために除去してもよい。エンドトキシンは、ヘモグロビン分子に強固に結合し、ヘモグロビンが代謝されると肝性毒になるもので、ヘモグロビンに接触させないようにする。
架橋剤の好適な量は、分子内架橋でHbを安定化し、及び分子内架橋でHbのポリマーを形成させる量であってよく、その結果、管内滞留物を増加させる。本発明の範囲を制限することなく、望ましい分子量分布及び酸素結合特性で、様々な戦略がHb架橋のために使用できる。架橋剤及び消光剤の双方の種類及び濃度、架橋/重合反応の持続時間、及び還元剤(reducing agent)の利用は、全て変動可能であり、これらの反応において、分子量分布、酸素結合特性、及び架橋されたHb分布におけるメトHbのレベルを操作するために改変することができる。
pH制御及び過剰の架橋剤を使用することによる架橋の最適化
表3は、架橋剤(DBSF)のモル比に対する、2時間以上上昇するpHの表を示す。結果は、2時間の期間の終わりに、異なるpH、及び(モルにおいて)同等のDBSFで未反応のままのα鎖のパーセンテージを示す。pHは、NaOHとの反応により作製される酸の滴定で一定値を維持する。2時間後、酸の反応性生物は停止まで時間を要する。架橋の結果は、ゲル電気泳動分離を用いて、未架橋のアルファ鎖を探すことで決定される。本発明の安定なNOブロック化四量体ヘモグロビンの製造の標準的な方法によれば、2等量のDBSFを用いることで、98%以上架橋が達成される。
表3は、架橋剤(DBSF)のモル比に対する、2時間以上上昇するpHの表を示す。結果は、2時間の期間の終わりに、異なるpH、及び(モルにおいて)同等のDBSFで未反応のままのα鎖のパーセンテージを示す。pHは、NaOHとの反応により作製される酸の滴定で一定値を維持する。2時間後、酸の反応性生物は停止まで時間を要する。架橋の結果は、ゲル電気泳動分離を用いて、未架橋のアルファ鎖を探すことで決定される。本発明の安定なNOブロック化四量体ヘモグロビンの製造の標準的な方法によれば、2等量のDBSFを用いることで、98%以上架橋が達成される。
本発明のいくつかの実施態様によれば、dCMSFHはビス3',5'ジブロモサリチルフマレート(DBSF)で架橋される(Tye、米国特許第4,529,719号、全体で参照としてここに組み込まれる)。架橋剤DBSFは、dCMSFH調製物を攪拌しながら添加してよく、ここでDBSF架橋剤:dCMSFHのモル比が1:1より大である。好ましくは、DBSF架橋剤:dCMSFHのモル比は、2:1である。添加の前に、dCMSFH調製物のpHを8.4に調節し、反応中8.4を維持する。反応混合物のpHは、溶液は緩衝されていないので、酸又は塩基の添加により慎重に維持する。反応は完了するまで行ってよい。
SDSゲル電気泳動の使用による架橋程度の決定
SDSは、中性pHでカルボキシル基の負電荷により覆われる長い棒を形成するように、タンパク質を変性できる。タンパク質は、SDSによる過剰な負電荷の多様体が、未変性タンパク質の電荷不均一性を小さくできるために、電極を用いてサイズ排除を用いることで分離できる。ベックマンコールターPA−800(登録商標)は、ペプチド結合の216nmでの吸収を用いることでゲル電気泳動の迅速な記録を提供する。標準タンパク質混合物は、注目の分子量の範囲のために、本件の場合は、10KDaと100kDaの間でカラムをキャリブレートし、結果を図3に示す。
SDSは、中性pHでカルボキシル基の負電荷により覆われる長い棒を形成するように、タンパク質を変性できる。タンパク質は、SDSによる過剰な負電荷の多様体が、未変性タンパク質の電荷不均一性を小さくできるために、電極を用いてサイズ排除を用いることで分離できる。ベックマンコールターPA−800(登録商標)は、ペプチド結合の216nmでの吸収を用いることでゲル電気泳動の迅速な記録を提供する。標準タンパク質混合物は、注目の分子量の範囲のために、本件の場合は、10KDaと100kDaの間でカラムをキャリブレートし、結果を図3に示す。
SDSゲル電気泳動で泳動される未変性ヘモグロビンは、2つのピークで示され、それら2つの間の間隔は、ほぼベースラインにある。第一のピークはヘモグロビンのアルファ鎖、第二のピークはベータ鎖を示している。それらは、分子において鎖が同数であるように、ほとんど同量で現れる。これは図4Aに図示しており、これは図4Bに示す重ねられた電気泳動図の拡大領域である。未変性ヘモグロビンは、破線(保持時間(rt)l3.98及び保持時間l4.14)として表され、本発明による架橋ヘモグロビン(dXCMSFH)は、実線で表され、及びサイズ標準分離は点線である。図4Aに示される重ねられた電気泳動図は視認を容易にするため、わずかに差し引いたものである。図示された拡大領域は、20KDaのサイズ標準近傍に集積しており、これは未変性ヘモグロビンのアルファ及びベータサブユニットの注目の領域である。ここで架橋物質として示される実験は、プロセスにおける中間点から採取されており、アルファ鎖の大部分が既に架橋されているが、多量のベータ鎖が未反応状態の場合である。
図4Bにおいて、全幅電気泳動図の重ね合わせが示され、ここで再び未変性ヘモグロビンは破線、架橋実験は実線、及びサイズ標準分離は点線である。2つのアルファ鎖のフマリル架橋が、共につながれたペプチドの対を産出する、すなわち未反応ベータ鎖よりも後の溶出時間で出現することになる。約36,000〜45,000 KDaの分子量より高い位置での3つの新たな主要産物ピークの組は、図4Bで保持時間16〜17分に見られる。生成物ピークは、サイズ標準が全て単一のペプチド鎖であり、本反応の二量化産物の定量には拡張できないので、定量できない。ただし、3つのより高い分子量生成物が形成されたことは確認できる。
α−α架橋に加えて、β−β架橋の形成がある。90,000KDaに少量の物質があり、少量の分子間架橋の形成を示すことができる。
PLPとヒトHbの反応
ピリドキサル−5−ホスフェート(PLP)は、多くのヘモグロビンを改変する能力を有する。ヒトヘモグロビン由来のdXCMSFHのペプチドはピリドキサル−5−ホスフェート反応からの利益を得るが、ウシヘモグロビン由来のdXCMSFHにはこの段階は必要ない。PLPは、β鎖の最後から二番目のヒスチジン残基付近の負電荷を誘導すること、及び同鎖のアミノ末端の正電荷を除去することにより、ヒトヘモグロビンを改変する。これらの電荷変化は、ヘモグロビン−DPG(ジホスホグリセレート)複合体に類似する、新規な分子の立体配置を安定化する。意義深いことに、この新規な立体配置のヘモグロビンは、赤血球中の未変性ヘモグロビンのものと類似する酸素親和性を有する。生成物は、四量体当たりに結合した1又は2のPLP分子を有してもよい。先のPLP−ヘモグロビン調製物において、脈管内保持時間は当該調製物を再生流動として許容させるためには短過ぎた。さらに、それらは浸透性利尿を引き起こすことが明らかになった。
ピリドキサル−5−ホスフェート(PLP)は、多くのヘモグロビンを改変する能力を有する。ヒトヘモグロビン由来のdXCMSFHのペプチドはピリドキサル−5−ホスフェート反応からの利益を得るが、ウシヘモグロビン由来のdXCMSFHにはこの段階は必要ない。PLPは、β鎖の最後から二番目のヒスチジン残基付近の負電荷を誘導すること、及び同鎖のアミノ末端の正電荷を除去することにより、ヒトヘモグロビンを改変する。これらの電荷変化は、ヘモグロビン−DPG(ジホスホグリセレート)複合体に類似する、新規な分子の立体配置を安定化する。意義深いことに、この新規な立体配置のヘモグロビンは、赤血球中の未変性ヘモグロビンのものと類似する酸素親和性を有する。生成物は、四量体当たりに結合した1又は2のPLP分子を有してもよい。先のPLP−ヘモグロビン調製物において、脈管内保持時間は当該調製物を再生流動として許容させるためには短過ぎた。さらに、それらは浸透性利尿を引き起こすことが明らかになった。
従って、ヒトヘモグロビンを使用する場合は、架橋反応が完了した後、ピリドキサル−5−ホスフェート(PLP)を、脱酸素化、エンドトキシン未含有、基質未含有、カルボキサミドメチル化架橋ヒトHb(dXCMSFH)調製物に添加する。PLPはdXCMSFHと反応し、その後Benesch等により記載される方法(Benesch et al., Biochemistry 11:3576 (1972) 及びその中の参考文献; Benesch et al. Proc. Natl. Acad Sci. 70 (9): 2595-9 (1974); Benesch et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 63(4): 1123-9 (1975); Benesch et al., Methods Enzymol. 76:147-59 (1981); Benesch et al., J. Biol. Chem. 257(3):13204 (1982); Schnackerz et al.; 及び、J. Biol. Chem.258(2):872-5(1983)、これら参考文献のすべては、全体が参照として本明細書に組み込まれる)に、変更点として、全ての試薬にはエンドトキシン及び酸素がなく、反応は酸素府存在下で行うという点を加えた方法で、dXCMSFH−ピリドキサル−5'−ホスフェート(dXCMSFH-PLP)を形成するために水素化ホウ素ナトリウムで還元する。この処置はウシHbの場合は必要ない。
残存未架橋ヘモグロビンの決定
高機能液体クロマトグラフィ(HPLC)サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)は、全架橋Hbのパーセント、架橋四量体のパーセント、又は、Hb/ポリHb分散の、架橋されたより高次元種のパーセントを決定付けるために使用できる。MgCl2等の塩は、任意の非架橋四量体Hbをα−β二量体に分離させるために働くことができるが、架橋四量体Hbは影響を受けないままである。それ故、非架橋Hbは分子内架橋Hbから離れたピークで溶出し得る。
高機能液体クロマトグラフィ(HPLC)サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)は、全架橋Hbのパーセント、架橋四量体のパーセント、又は、Hb/ポリHb分散の、架橋されたより高次元種のパーセントを決定付けるために使用できる。MgCl2等の塩は、任意の非架橋四量体Hbをα−β二量体に分離させるために働くことができるが、架橋四量体Hbは影響を受けないままである。それ故、非架橋Hbは分子内架橋Hbから離れたピークで溶出し得る。
0.5M MgCl2溶液をバッファとして使用する、あるいはヘモグロビンの二次構造を変性させない条件下で、バイオラッドBio-Sil(登録商標)SEC-12.5-5カラムでの、反応混合物のサイズ排除HPLCを、未反応物質の量を調べるために使用してもよい。当該条件下での平衡化は、本実験において観察されるいずれのピークよりも長い保持時間が予想される、分子量32 KDaのアルファ ベータ二量体に有利に働く。図5に見られるように、HPLC波形(trace)は、64KDaで主要なピークを示しており、128KDaに小さいピークがある。後の溶出時間には物質がなく、従ってより低分子量の物質はない。この実験は、完全な未反応ヘモグロビンは存在しないことを実証し、物質の大部分は分子量64KDaのHbの安定化四量体であることを示している。
9.ステップ108:平衡化によるヘモグロビン溶液の調製
脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、具体的にはdXCMSFHは、リンガーの乳酸塩又はリンガーの酢酸塩溶液で平衡化でき、これは膜分離の条件下で、過剰なDBSF及び反応の副産物を除去するものであり、例えばジブロモサリチル酸がある。好ましくは、任意のイオン除去又はバッファ平衡化は、続く生成物におけるエンドトキシンの蓄積を防止するために、逆流透析を用いて行われる。平衡化後、溶液は適切な注入容器に無菌濾過され入れられる。本発明の使用に適する注入容器は、限定されるものではないが、無菌IVバッグがある。好ましい注入容器は、ガス交換を予防してもよく(即ち、酸素不透過性)、dXCMSFHを酸素不存在下で貯蔵できる。これはメトヘモグロビンを形成するヘムの酸素化を予防することを期待するものである。
脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、具体的にはdXCMSFHは、リンガーの乳酸塩又はリンガーの酢酸塩溶液で平衡化でき、これは膜分離の条件下で、過剰なDBSF及び反応の副産物を除去するものであり、例えばジブロモサリチル酸がある。好ましくは、任意のイオン除去又はバッファ平衡化は、続く生成物におけるエンドトキシンの蓄積を防止するために、逆流透析を用いて行われる。平衡化後、溶液は適切な注入容器に無菌濾過され入れられる。本発明の使用に適する注入容器は、限定されるものではないが、無菌IVバッグがある。好ましい注入容器は、ガス交換を予防してもよく(即ち、酸素不透過性)、dXCMSFHを酸素不存在下で貯蔵できる。これはメトヘモグロビンを形成するヘムの酸素化を予防することを期待するものである。
改変ヘモグロビンによる酸素親和性の決定
ヘモグロビンは、系における酸素分圧の機能に従い、酸素を結合及び放出する能力を有する。本発明のヘモグロビン誘導体の酸素親和性は、ヘモックス−アナライザー(Hemox-Analyzer)(TCS社製)又はDolman et al., Anal. Biochem. 87:127 (1978)(全体が参照として組み込まれる)に記載されるジルセル(gill cell)を用いて測定できる。
ヘモグロビンは、系における酸素分圧の機能に従い、酸素を結合及び放出する能力を有する。本発明のヘモグロビン誘導体の酸素親和性は、ヘモックス−アナライザー(Hemox-Analyzer)(TCS社製)又はDolman et al., Anal. Biochem. 87:127 (1978)(全体が参照として組み込まれる)に記載されるジルセル(gill cell)を用いて測定できる。
ヘモックス−アナライザー(TCS社製)は、ヘモグロビン酸素解離曲線の決定付けが可能である。ヘモグロビン酸素解離曲線を得るための他の方法は、再生可能でなく、正確でなく及び操作容易でない。ヘモグロビン酸素解離曲線は、pH変化、温度、CO2濃度、ヘモグロビン種、ヒトヘモグロビンの変異体、溶血ヘモグロビン等により変化し得る。曲線の形状及び曲線のX軸方向のシフトは、インビボ(in vivo)のインビトロ(in vitro)試験として、血液及び改変ヘモグロビンを調べるのに有用であり得る。ヘモグロビンが酸素を積載及び除荷する能力を測定できる。全ヘモグロビン解離曲線の簡潔な記載は、O2のp50という、酸素で半分飽和されるヘモグロビンを生じ得る、Hgのmmで示す酸素の分圧により与えられる。
ヘモグロビンの化学修飾体又はヘモグロビンの遺伝的変異体は、p50の低下を引き起こし得る、即ち任意の与えられる酸素圧でより緊密に酸素を結合し得る。インビボにおいて、これはかん流される組織への酸素不足を意味する。
ヘモックス−アナライザーは、動脈(酸素化された、赤)及び静脈(酸素化不足の、青)という、血液(ヘモグロビン)の色の変化及び酸素電極に頼るものである。少量の希釈サンプルを、特別な分光測光セル中で調製するが、そのセルは底部に小さな開口部を有し、これは精製されるガスが、攪拌される溶液を通ってゆっくりと泡立ち、酸素電極に適合可能とするためのものである。セル全体は、体温と同じ37℃で精密に温度制御される。分光光度計及び酸素電極の出力は、解析及びプロットされる。プロットのはじめにおいて、サンプルは、酸素飽和度が空気中の酸素率(21%)より大きくなるまで、サンプルを通る泡立つ純酸素により十分に酸素化され、その後ガスバブラーが窒素に変換され、酸素除去を開始する。すなわち酸素平衡化曲線が作り出される。
RBCにおけるヒトヘモグロビンのp50は、約28である。RBCが、酸素親和性を低下させる赤血球中の塩橋を形成する2,3DPGから分離されると、p50は約14に落ちる。赤血球中であろうと遊離(free)溶液中であろうと、ウシヘモグロビンのp50は、pH及びCO2濃度に依存して約25〜約40である。図6は、ウシ全血、基質未含有Hb、本発明の架橋dXCMSFH、及び新鮮なヒト血液の酸素親和性曲線を示す。架橋ヘモグロビンにおいては、架橋がヘモグロビンを緊張(tense)状態にロックし、シグモイド曲線を消失させる。低pO2では、O2が組織から運搬されると、架橋ヘモグロビンが、ウシ全血、基質未含有Hb、及び新鮮なヒト血液の代わりとしてより多くの酸素を運搬する。架橋ヘモグロビンのp50は、ヒトヘモグロビン、及びウシヘモグロビンのそれよりも高い。ウシ全血のp50は、24.37mmHg、基質未含有Hbは21.20mmHg、新鮮なヒト血液は23.72mmHg、及びdXCMSFHは32.43mmHgであり、ヒトRBCのそれより非常に高い。従って、本発明の安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはXCMSFHは、ヘモグロビングラム当たりの酸素運搬の効率がより大きいことが実証され得る。本明細書で測定されるこれらの数は、文献値と同じではないが(すなわち、ここで報告した23.72mmHgと比較して、ヒト血液p50の文献値は27mmHg)、本明細書における値は、酸素除荷機能の良好な相対的測定である。
本発明の、脱酸素化、エンドトキシン未含有、基質未含有、カルボキサミドメチル化架橋Hb(dXCMSFH)は、緊張又はT状態に固定されるウシヘモグロビンの四量体を安定化し、図6に示すように、通常のヒト赤血球内と同等又はそれ以上のp50を有する。すなわち、同量のヒト赤血球由来のヘモグロビン及びdXCMSFH由来のヘモグロビンは、同量の肺に置く酸素を運ぶことができる。ただし、図6に示すデータに基づくと、dXCMSFHは静脈逆流の前に、わずかにより多くの酸素を運ぶことができる。
III. 分析
1.本発明の安定なNOブロック型四量体ヘモグロビンの物理的特徴
本発明の安定なNOブロック型四量体ヘモグロビンは、分子量分布が約65kDaであり、p50が20〜45mmHg、浸透圧が290〜310m Osm/Kg、10〜22℃でpH6.0〜7.9である。本発明の改変されたヘモグロビンは、全部でヘモグロビンを6.0〜20g/dLを有し、メトヘモグロビンのレベルは5%以下、オキシヘモグロビンのレベルは10%以下である。本発明の改変されたヘモグロビンは、エンドトキシンのレベルが0.02EU/mL以下であり、無菌テストを行った場合、ホスファチジルコリンのレベルは検出限界未満であり、及び外部生物は低レベルである。本発明の改変されたヘモグロビンは、ナトリウムイオンレベルが125〜160mmol/Lであり、カリウムイオレベルが3.5〜5.5mmol/L、塩化物イオンレベルが105〜120mmol/L、及びカルシウムイオンレベルが0.5〜1.5mmol/Lである。本発明の改変されたヘモグロビンは、N-アセチルシステインのレベルが0.22%以下である。
1.本発明の安定なNOブロック型四量体ヘモグロビンの物理的特徴
本発明の安定なNOブロック型四量体ヘモグロビンは、分子量分布が約65kDaであり、p50が20〜45mmHg、浸透圧が290〜310m Osm/Kg、10〜22℃でpH6.0〜7.9である。本発明の改変されたヘモグロビンは、全部でヘモグロビンを6.0〜20g/dLを有し、メトヘモグロビンのレベルは5%以下、オキシヘモグロビンのレベルは10%以下である。本発明の改変されたヘモグロビンは、エンドトキシンのレベルが0.02EU/mL以下であり、無菌テストを行った場合、ホスファチジルコリンのレベルは検出限界未満であり、及び外部生物は低レベルである。本発明の改変されたヘモグロビンは、ナトリウムイオンレベルが125〜160mmol/Lであり、カリウムイオレベルが3.5〜5.5mmol/L、塩化物イオンレベルが105〜120mmol/L、及びカルシウムイオンレベルが0.5〜1.5mmol/Lである。本発明の改変されたヘモグロビンは、N-アセチルシステインのレベルが0.22%以下である。
2.分析方法
物理化学的分析
脱酸素化された安定なNOブロック化四量体Hb、及び具体的にdXCMSFHは、本明細書中に開示するように、それを作製するプロセスの任意のステップにおいて分析することができる。例えばヘモグロビンは、限定されるものではないが、基質の除去後、エンドトキシンの除去後、溶解後、酸素除去後、システイン部分のチオール基の保護後、又は架橋後等において分析できる。ヘモグロビンは、純度、吸収、構造、p50、酸化窒素結合能力、白血球(WBC)数、ヘモグロビン溶液中での微生物生育、架橋、アミノ酸分析、タンパク質分析、又は冷却もしくは貯蔵の影響について分析が可能である。種々の分析技術が、当業者に既知であり、本発明の範囲内にその全てが含まれる。いくつかの分析技術の例を本明細書に示すが、本発明の範囲を限定するものではない。
物理化学的分析
脱酸素化された安定なNOブロック化四量体Hb、及び具体的にdXCMSFHは、本明細書中に開示するように、それを作製するプロセスの任意のステップにおいて分析することができる。例えばヘモグロビンは、限定されるものではないが、基質の除去後、エンドトキシンの除去後、溶解後、酸素除去後、システイン部分のチオール基の保護後、又は架橋後等において分析できる。ヘモグロビンは、純度、吸収、構造、p50、酸化窒素結合能力、白血球(WBC)数、ヘモグロビン溶液中での微生物生育、架橋、アミノ酸分析、タンパク質分析、又は冷却もしくは貯蔵の影響について分析が可能である。種々の分析技術が、当業者に既知であり、本発明の範囲内にその全てが含まれる。いくつかの分析技術の例を本明細書に示すが、本発明の範囲を限定するものではない。
A. 質量分析(MS)
広範な分析を可能にする多種の質量分析及びサンプル導入技術があり、それら全てが本明細書に含まれる。本発明の好ましいいくつかの実施態様によれば、使用される技術は質量分析である。質量分析装置は、3つの異なる部分からなり、イオン化装置、イオン分析器、及び検出器である。イオン化法は、限定されるものではないが、例えば、電子衝撃(EI)、化学イオン化(CI)、電子スプレー(ESI)、高速原子衝撃(FAB)、及びマトリクス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)がある。分析器としては、限定されるものではないが、例えば、四重極、セクター(磁性及び/又は静電気)、飛行時間(TOF)、及びイオンサイクロトロン応答(ICR)がある。他の関連する技術としては、例えばイオン移動度分光分析/質量分析(IMS/MS)、タンデム質量分析(MS/MS)、Orbitrap質量分析、FTICR質量分析、一段又は二段リフレクトロン(RETOF-MS、TOF-MSとのラダーシーケンシング(ladder sequencing))、RETOF-MS MALDIでのポストソース分解、TOF-MSでのインソース分解、及び表面活性化レーザー脱離イオン化−飛行時間(SELDI-TOF)がある。質量分析はLC又はGCと組み合わせてもよい。
広範な分析を可能にする多種の質量分析及びサンプル導入技術があり、それら全てが本明細書に含まれる。本発明の好ましいいくつかの実施態様によれば、使用される技術は質量分析である。質量分析装置は、3つの異なる部分からなり、イオン化装置、イオン分析器、及び検出器である。イオン化法は、限定されるものではないが、例えば、電子衝撃(EI)、化学イオン化(CI)、電子スプレー(ESI)、高速原子衝撃(FAB)、及びマトリクス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)がある。分析器としては、限定されるものではないが、例えば、四重極、セクター(磁性及び/又は静電気)、飛行時間(TOF)、及びイオンサイクロトロン応答(ICR)がある。他の関連する技術としては、例えばイオン移動度分光分析/質量分析(IMS/MS)、タンデム質量分析(MS/MS)、Orbitrap質量分析、FTICR質量分析、一段又は二段リフレクトロン(RETOF-MS、TOF-MSとのラダーシーケンシング(ladder sequencing))、RETOF-MS MALDIでのポストソース分解、TOF-MSでのインソース分解、及び表面活性化レーザー脱離イオン化−飛行時間(SELDI-TOF)がある。質量分析はLC又はGCと組み合わせてもよい。
B. 光吸収分光法(UV-vis.)
本発明のいくつかの実施態様によれば、光吸収分光法(UV/VIS)は、ヘモグロビンの吸収幅を決定するために使用される。US/VISは、例えばタンパク質などの高分子の濃度を決定する機能がある。有機色素は、吸収を増強し、可視領域にそれをシフトさせるために使用できる(例えばクマシーブルー試薬)。タンパク質の互いの相互作用を支配する力を理解することが、巨大分子集合体で、シャペロン支援的なタンパク質フォールディング及びタンパク質転移のようなプロセスの理解において役立つ。共鳴ラマン分光法(RRS)は、分子の構造及び動力学の研究をするために利用できる道具である。共鳴ラマン分散は、電子吸収帯における励起を必要とし、分散の増大をもたらす。この方法は、異なる励起波長を使用することで高分子の特異的な部分を調べるために役に立つ。
本発明のいくつかの実施態様によれば、光吸収分光法(UV/VIS)は、ヘモグロビンの吸収幅を決定するために使用される。US/VISは、例えばタンパク質などの高分子の濃度を決定する機能がある。有機色素は、吸収を増強し、可視領域にそれをシフトさせるために使用できる(例えばクマシーブルー試薬)。タンパク質の互いの相互作用を支配する力を理解することが、巨大分子集合体で、シャペロン支援的なタンパク質フォールディング及びタンパク質転移のようなプロセスの理解において役立つ。共鳴ラマン分光法(RRS)は、分子の構造及び動力学の研究をするために利用できる道具である。共鳴ラマン分散は、電子吸収帯における励起を必要とし、分散の増大をもたらす。この方法は、異なる励起波長を使用することで高分子の特異的な部分を調べるために役に立つ。
C. 液体クロマトグラフィ(LC)
液体クロマトグラフィは、複合混合物からタンパク質、ペプチド、及び他の分子を単離するための道具である。本発明のいくつかの実施態様によれば、LCは、ヘモグロビン及び本発明の製剤において使用されるヘモグロビン及び賦形剤の、分離、精製及び分析のために使用される。LCの例としては、アフィニティクロマトグラフィ、ダイオードアレイ-LC及び高機能液体クロマトグラフィ(HPLC)及びアフィニティ及びサイズ排除クロマトグラフィHPSECがある。
液体クロマトグラフィは、複合混合物からタンパク質、ペプチド、及び他の分子を単離するための道具である。本発明のいくつかの実施態様によれば、LCは、ヘモグロビン及び本発明の製剤において使用されるヘモグロビン及び賦形剤の、分離、精製及び分析のために使用される。LCの例としては、アフィニティクロマトグラフィ、ダイオードアレイ-LC及び高機能液体クロマトグラフィ(HPLC)及びアフィニティ及びサイズ排除クロマトグラフィHPSECがある。
ゲル濾過クロマトグラフィ及びHPSECクロマトグラフィは、サイズに基づいて、タンパク、及びペプチドを分離する。ゲル濾過クロマトグラフィは、分子サイズの分析のため、混合物中の構成成分の分離のため、又は高分子調製物からの塩除去またはバッファ交換のために使用されてもよい。
アフィニティクロマトグラフィは、生物選択的な(bioselective)吸着、及びその後の固定されたリガンドから化合物の回復のプロセスである。
イオン交換クロマトグラフィは、タンパク質の全体的な電荷の間の差異に基づいて分子を分離する。タンパク質精製に使用されるのが一般的であるが、ペプチド又の荷電分子の精製に用いてもよい。溶出は、イオン性相互作用を解消するためにイオン強度上昇させること、又はタンパク質のpHを変化させることにより達成することができる。
HPLCは、本発明のヘモグロビンの分離、精製及び検出に使用できる。逆相クロマトグラフィ(RPC)の使用は、タンパク質構造決定のプロセスにおいて利用できる。本プロセスの通常の手順として、1)タンパク質分解又は化学的開裂による断片化、2)精製、及び3)配列決定があり得る。一般的なペプチドのRPC用移動相は、例えば、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)添加の水から、0.1%TFA添加の適切な有機溶媒(タンパク質/ペプチドの可溶化のために用いる、例えばアセトニトリル)へのグラジエントで、およそ230〜240nmでの検出が可能であり、またタンパク質/ペプチドから容易に(即ち蒸発により)除去可能である。
サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)及びイオン交換クロマトグラフィ(IEC)の使用は、本発明のヘモグロビンの構造を決定するために使用できる。クロマトグラフィに供した後の活性の完全な回復が達成できる可能性があり、またSECカラムは10〜1000キロダルトンの断片を使用できる。IECカラムでのグラジエント溶出の使用が好まれるのは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)と同等の解像度、及びSECと比較して増大したローディング能力のためである。液体親和性クロマトグラフィ(LAC)相互作用は、基質、受容体等の模倣によるタンパク質の結合に基づくものでもよい。タンパク質は、競合的に結合する試薬又は解離を促進し得る代替のタンパク質を導入することにより溶出させてもよい。HPLCはMSと組み合わせてもよい。
D.電気泳動
電気泳動は、本発明のヘモグロビンの分析に使用できる。電気泳動は、ゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動があり得る。
電気泳動は、本発明のヘモグロビンの分析に使用できる。電気泳動は、ゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動があり得る。
ゲル電気泳動
ゲル電気泳動は、タンパク質を分離するために使用できる技術である。巨大分子(高分子)の分離は、2つの力、電荷と質量に依存する。電気泳動の場合、電流が印加されると高分子は孔を通って動かされる。電場を通り抜ける移動度は、電場の強さ、分子のサイズ及び形状、サンプルの相対的な疎水性、並びに分子が動いているバッファのイオン強度及び温度に依存する。この技術を用いることで、アミノ酸1つ分だけ異なるタンパク質分子を、分離及び識別することが可能である。また、ゲル電気泳動は、例えば等電点及びおよその分子量等のタンパク質の重大な特性の決定も可能である。焦点電気泳動又は等電点電気泳動は、その電荷の違いにより異なる分子を分離するための技術で、分子の電荷はその周囲のpH変化に従って変化するという事実をうまく利用するものである。
ゲル電気泳動は、タンパク質を分離するために使用できる技術である。巨大分子(高分子)の分離は、2つの力、電荷と質量に依存する。電気泳動の場合、電流が印加されると高分子は孔を通って動かされる。電場を通り抜ける移動度は、電場の強さ、分子のサイズ及び形状、サンプルの相対的な疎水性、並びに分子が動いているバッファのイオン強度及び温度に依存する。この技術を用いることで、アミノ酸1つ分だけ異なるタンパク質分子を、分離及び識別することが可能である。また、ゲル電気泳動は、例えば等電点及びおよその分子量等のタンパク質の重大な特性の決定も可能である。焦点電気泳動又は等電点電気泳動は、その電荷の違いにより異なる分子を分離するための技術で、分子の電荷はその周囲のpH変化に従って変化するという事実をうまく利用するものである。
キャピラリー電気泳動
キャピラリー電気泳動は、分離を達成するために、バッファを充填したキャピラリーに高電圧かける装置を含む、多様な分離技術の集積である。バリエーションとしては、検体間のサイズ及び電荷の違いに基いた分離(キャピラリーゾーン電気泳動(CZE)又は自由溶液CE(FSCE)と呼ばれる)、ゲルネットワークを通して溶質を篩い分けして(キャピラリーゲル電気泳動、GCE)、界面活性剤ミセルを使用する中性化合物の分離(ミセル電気動力学(micellar electrokinetic)キャピラリークロマトグラフィ(MECC)又はMEKCと言われることもある)、電気泳動移動度に基づく陽イオン(又は陰イオン)の分離(キャピラリー等速電気泳動、CATP)、及びpH勾配中での両性イオン性溶質の分離(キャピラリー等電点電気泳動、CIEF)がある。キャピラリー電気クロマトグラフィ(CEC)は、シリカゲル固定相を充填されたキャピラリーに電圧を印加することが必要な、関連する電気動力学的な分離技術である。CECにおける分離選択性は、電気泳動及び電気クロマトグラフィ双方の組み合わせで可能となる。CE分離技術の多くは、検出器に対して溶質を送り込むためのキャピラリー内で、電気的に導かれる溶液の流れ(電気浸透流、EOF)の存在に依存するものである。GCE及びCTEFは、タンパク質等の生体分子の分離のために重要である。
キャピラリー電気泳動は、分離を達成するために、バッファを充填したキャピラリーに高電圧かける装置を含む、多様な分離技術の集積である。バリエーションとしては、検体間のサイズ及び電荷の違いに基いた分離(キャピラリーゾーン電気泳動(CZE)又は自由溶液CE(FSCE)と呼ばれる)、ゲルネットワークを通して溶質を篩い分けして(キャピラリーゲル電気泳動、GCE)、界面活性剤ミセルを使用する中性化合物の分離(ミセル電気動力学(micellar electrokinetic)キャピラリークロマトグラフィ(MECC)又はMEKCと言われることもある)、電気泳動移動度に基づく陽イオン(又は陰イオン)の分離(キャピラリー等速電気泳動、CATP)、及びpH勾配中での両性イオン性溶質の分離(キャピラリー等電点電気泳動、CIEF)がある。キャピラリー電気クロマトグラフィ(CEC)は、シリカゲル固定相を充填されたキャピラリーに電圧を印加することが必要な、関連する電気動力学的な分離技術である。CECにおける分離選択性は、電気泳動及び電気クロマトグラフィ双方の組み合わせで可能となる。CE分離技術の多くは、検出器に対して溶質を送り込むためのキャピラリー内で、電気的に導かれる溶液の流れ(電気浸透流、EOF)の存在に依存するものである。GCE及びCTEFは、タンパク質等の生体分子の分離のために重要である。
E.核磁気共鳴(NMR)
NMRは、本発明のヘモグロビンの分析のために使用できる。NMR分光法は、原子分解でヘモグロビンの構造を決定することができる。さらに、NMRで時間依存現象の研究が可能であり、例えば高分子における動力学、反応速度論、分子認識又はタンパク質フォールディングがある。15N、13C及び2Hのようなヘテロ核は、均一な又は選択的な同位体標識によりタンパク質中に組み込むことができる。当該サンプルのスペクトルは、大幅に単純化できる。さらに、高分子の構造及び動力学についての新たないくつかの情報が当該方法を用いて決定できる。
NMRは、本発明のヘモグロビンの分析のために使用できる。NMR分光法は、原子分解でヘモグロビンの構造を決定することができる。さらに、NMRで時間依存現象の研究が可能であり、例えば高分子における動力学、反応速度論、分子認識又はタンパク質フォールディングがある。15N、13C及び2Hのようなヘテロ核は、均一な又は選択的な同位体標識によりタンパク質中に組み込むことができる。当該サンプルのスペクトルは、大幅に単純化できる。さらに、高分子の構造及び動力学についての新たないくつかの情報が当該方法を用いて決定できる。
F.X線結晶学
X線結晶学は、本発明のヘモグロビンの分析に使用できる。X線結晶学は、結晶において密集した原子格子を通してX線の回折により作られるパターンを記録し、その格子の性質を明らかにするための分析をする技術である。これは一般的に、ある物の物質及び分子構造の理解をもたらす。結晶格子における間隔は、ブラッグの法則を用いて決定できる。原子の周囲の電子は、原子核それ自身よりもむしろ、入来するX線光子と物理的相互作用をする構成要素である。この技術は、本発明のヘモグロビンの構造を決定するために使用できる。X線回折は一般的に物質の単一結晶を用いて行うが、これらが入手できない場合は、異なる装置を必要とする微晶質粉末化サンプルを使用してもよい。
X線結晶学は、本発明のヘモグロビンの分析に使用できる。X線結晶学は、結晶において密集した原子格子を通してX線の回折により作られるパターンを記録し、その格子の性質を明らかにするための分析をする技術である。これは一般的に、ある物の物質及び分子構造の理解をもたらす。結晶格子における間隔は、ブラッグの法則を用いて決定できる。原子の周囲の電子は、原子核それ自身よりもむしろ、入来するX線光子と物理的相互作用をする構成要素である。この技術は、本発明のヘモグロビンの構造を決定するために使用できる。X線回折は一般的に物質の単一結晶を用いて行うが、これらが入手できない場合は、異なる装置を必要とする微晶質粉末化サンプルを使用してもよい。
G.アレイ
アレイは、本発明のヘモグロビンの分析のために使用できる。アレイには、既知のタンパク質標的に対する複合的なサンプルの平行分析を行うことが含まれる。種々のマイクロアレイ基盤の発展が、細胞又は組織におけるタンパク質存在量、局在、及び相互作用の決定付けを可能にし、加速させ得る。マイクロアレイは、特徴付けされたタンパク質、抗体、又はペプチドのセットに対するタンパク質の相互作用又は機能を識別することができる基盤を提供する。タンパク質系チップアレイは小さな表面上にタンパク質を配列し、蛍光系画像化を用いて組織におけるタンパク質のレベルを直接的に測定することができる。タンパク質は、固体平面相又はキャピラリー系中(マイクロ流体アレイ)のいずれに配列することも可能であり、様々な異なるタンパク質をそのアレイに適用することが可能である。非特異的なタンパク質の染色は、結合したタンパク質を検出するために使用することができる。
アレイは、本発明のヘモグロビンの分析のために使用できる。アレイには、既知のタンパク質標的に対する複合的なサンプルの平行分析を行うことが含まれる。種々のマイクロアレイ基盤の発展が、細胞又は組織におけるタンパク質存在量、局在、及び相互作用の決定付けを可能にし、加速させ得る。マイクロアレイは、特徴付けされたタンパク質、抗体、又はペプチドのセットに対するタンパク質の相互作用又は機能を識別することができる基盤を提供する。タンパク質系チップアレイは小さな表面上にタンパク質を配列し、蛍光系画像化を用いて組織におけるタンパク質のレベルを直接的に測定することができる。タンパク質は、固体平面相又はキャピラリー系中(マイクロ流体アレイ)のいずれに配列することも可能であり、様々な異なるタンパク質をそのアレイに適用することが可能である。非特異的なタンパク質の染色は、結合したタンパク質を検出するために使用することができる。
H.アミノ酸分析
いくつかの実施態様によれば、アミノ酸分析(AAA)は本発明のヘモグロビンの分析において使用される技術である。AAAは、タンパク質中の各個別のアミノ酸の量を決定付けるプロセスである。アミノ酸分析には4つの段階があり得て、加水分解、誘導体化、誘導化アミノ酸の分離、並びにデータ解釈及び計算がある。
いくつかの実施態様によれば、アミノ酸分析(AAA)は本発明のヘモグロビンの分析において使用される技術である。AAAは、タンパク質中の各個別のアミノ酸の量を決定付けるプロセスである。アミノ酸分析には4つの段階があり得て、加水分解、誘導体化、誘導化アミノ酸の分離、並びにデータ解釈及び計算がある。
加水分解の段階においては、内部標準(ノルロイシン)の既知量をサンプルに添加してもよい。サンプルは、各アミノ酸を少なくとも5nモルずつ(即ち10μgのタンパク質)含んでおり、その後加水分解管に移し、減圧下で乾燥する。管はHCl及び少量のフェノールを含むバイアル中に置き、タンパク質は減圧下でHCl蒸気により加水分解される。加水分解は、約110℃で24時間実施する。加水分解の後、サンプルを乾燥する。
誘導体化は、遊離アミノ酸を塩基性条件下、例えばフェニルイソチオシアネート(PITC)でフェニルチオカルバミル(PTC)を作製するように反応させることで、アミノ酸分析機で自動的に行うことができる。既知量(500pmol)の一般的な17の遊離アミノ酸を含む標準溶液は、別々のアミノ酸分析機のサンプルスポット上にロードされ、誘導体化される。これはサンプルのアミノ酸含有量を決定するために使用する、キャリブレーションファイルを作るために使用できる。誘導体化後、PTCアミノ酸を含むメタノール溶液を、分離用の逆相C18シリカカラムを用いる、狭い口径のHPLC系に移動させる。分離用に用いるバッファ系は、例えば50mM酢酸ナトリウムでpH5.45をバッファAとして、70%アセトニトリル/32mMリン酸ナトリウムでpH6.1をバッファBとすることができる。プログラムはバッファA及びバッファBのグラジエントを用いて実行できる。クロマトグラフィのピーク領域は、アミノ酸分析機システムに結合したデータ解析システムを用いて同定及び定量できる。
あるいは、ニンヒドリンを用いるムーア及びステインの従来のアミノ酸分析法を用いてもよい。
臨床化学分析法
A.酸素運搬
CO−酸素濃度計は、飽和状態、不飽和状態及びメトヘモグロビンレベルを実証するための総合的なヘモグロビン分析のために使用される。紫外線照度は、酸素運搬試験、例えば、本発明のヘモグロビンにおける脱酸素化ヘモグロビン(HHb)、酸素化ヘモグロビン(O2Hb)、メトヘモグロビン(MetHb)、カルボキシヘモグロビン(COHb)、全ヘモグロビン(tHb)、酸素飽和度(SO2%)、酸素含量(O2Ct)、及び酸素許容量(O2Cap)レベルの試験のために使用される。ある好適な機器は、Nova Biomedical Instrumentationにより製造される。
A.酸素運搬
CO−酸素濃度計は、飽和状態、不飽和状態及びメトヘモグロビンレベルを実証するための総合的なヘモグロビン分析のために使用される。紫外線照度は、酸素運搬試験、例えば、本発明のヘモグロビンにおける脱酸素化ヘモグロビン(HHb)、酸素化ヘモグロビン(O2Hb)、メトヘモグロビン(MetHb)、カルボキシヘモグロビン(COHb)、全ヘモグロビン(tHb)、酸素飽和度(SO2%)、酸素含量(O2Ct)、及び酸素許容量(O2Cap)レベルの試験のために使用される。ある好適な機器は、Nova Biomedical Instrumentationにより製造される。
B.電解質
電解質、例えばカリウム、カルシウム、塩化ナトリウム、及びその他のものは、標準的な電解質/化学分析機を用いて測定する。好適な機器は、Nova Biomedical、ヒタチ、ロシュ、その他により製造される。
電解質、例えばカリウム、カルシウム、塩化ナトリウム、及びその他のものは、標準的な電解質/化学分析機を用いて測定する。好適な機器は、Nova Biomedical、ヒタチ、ロシュ、その他により製造される。
C.浸透圧
本発明のヘモグロビンの浸透圧も測定される。凝固点降下は、この本発明の生物適合容量増加及び酸素運搬試薬を作製するために、分析を実施するのに使用される方法論である。好適な機器は、Advanced Instruments Inc.から入手可能であり、全ての浸透圧活性溶液は、0〜4000 mオスモル/kgH2Oの範囲ないで測定可能である。
本発明のヘモグロビンの浸透圧も測定される。凝固点降下は、この本発明の生物適合容量増加及び酸素運搬試薬を作製するために、分析を実施するのに使用される方法論である。好適な機器は、Advanced Instruments Inc.から入手可能であり、全ての浸透圧活性溶液は、0〜4000 mオスモル/kgH2Oの範囲ないで測定可能である。
D.炭酸脱水酵素
炭酸脱水酵素は、二重サンドイッチELISAにより検出してもよく、ここで、サンプル中でCAが結合するはずのポリスチレン補助材はウサギ抗−ウシCAで被覆される。酵素基質反応は、反応産物の可視吸光度により定量する。
炭酸脱水酵素は、二重サンドイッチELISAにより検出してもよく、ここで、サンプル中でCAが結合するはずのポリスチレン補助材はウサギ抗−ウシCAで被覆される。酵素基質反応は、反応産物の可視吸光度により定量する。
E.リン脂質還元レベル
リン脂質アッセイは、HPLC及び/又はELISAで測定できる。ELISAの検証プロトコルは、ホスファチジルコリンの存在を決定付けるための定量的アッセイである、最新のUSP指針カテゴリーIIに従って設計される。プロトコルには、例えば直線性/幅、正確性及び的確性の検証がある。
リン脂質アッセイは、HPLC及び/又はELISAで測定できる。ELISAの検証プロトコルは、ホスファチジルコリンの存在を決定付けるための定量的アッセイである、最新のUSP指針カテゴリーIIに従って設計される。プロトコルには、例えば直線性/幅、正確性及び的確性の検証がある。
F.エンドトキシンのためのアッセイ
注入のための最終生成物は、エンドトキシン未含有でなければならない。エンドトキシンは、実質的には細菌の細胞壁由来の物質で、低用量では、受容者における発熱の開始に関与するが、より高いレベルでは、より深刻な一連の症状を開始する。LAL(リムルス変形細胞溶解物(Limulus Amoebocyte Lysate))速度論的混濁(kinetic-turbidometric)アッセイは、他のアッセイ、例えば色素生産性及びゲルクロットより優先的に選ばれたものであり、これはその再生産可能な結果物及び高度な検出感度があるからである。
注入のための最終生成物は、エンドトキシン未含有でなければならない。エンドトキシンは、実質的には細菌の細胞壁由来の物質で、低用量では、受容者における発熱の開始に関与するが、より高いレベルでは、より深刻な一連の症状を開始する。LAL(リムルス変形細胞溶解物(Limulus Amoebocyte Lysate))速度論的混濁(kinetic-turbidometric)アッセイは、他のアッセイ、例えば色素生産性及びゲルクロットより優先的に選ばれたものであり、これはその再生産可能な結果物及び高度な検出感度があるからである。
定常的に試験するために使用される、コントロール標準エンドトキシン(CSE)の力価は、参照スタンダードエンドトキシン(RSE)(EC5, Lot F、USPCにより製造)との比較により決定する。定常的試験において、参照されるエンドトキシン以外のエンドトキシンを、スパイク及び曲線を作るために使用する場合はいつでもこの比較を実施する必要がある。これは、異なるCSEのロットは、明らかに異なる力価を有するという事実の結果である。RSE/CSE比較は、同ロットのCSEの4つのバイアルに対してRSEの1つのバイアルを比較し、平均力価を計算することにより実施する。標準曲線は、適合性のために要請される−0.98未満の相関係数で、3重に検査される。多数のCSE標準曲線が描かれ、1の標準曲線が後の試験のために保存される。阻害剤/促進剤の研究が、LALアッセイで試験されるべき全ての産物で行われる。LALアッセイはAssociates of Cape Cod, Falmouth Technology Park, East Falmouth MA 02536-4445のプロトコルを用い、Associates of Cape Cod. i. Reagent and Equipment Preparation 製のPyros Kinetix(登録商標)Incubating Tube Readerを用いて実施する。
i.試薬及び装置の準備
速度論的混濁アッセイ用の全ての試薬は、以下の2つの例外を加え、他は特定の製造業者の指示に従い使用する。1)LALは、LAL Reagent Waterの代わりに、Pyrosol(商標)再構成バッファの5mLで再構成し、2)CSEは、正確に5mLのLAL Reagent Waterで再構成しない。バッファでのLALの再構成は、純ヘモグロビン溶液によるLALアッセイの極端な促進を克服するために実施する。CSEは、最終溶液濃度を1000 EU/mlにする量の水で再構成する。加えるべき量は、USPC RSEに対抗してCSEを規格化することにより決定し、Associates of Cape Cod推奨の5mLより多くても少なくてもよい。これが、一定なCSE溶液濃度にし、CSEのロット変化ごとにエンドトキシンスパイクの再計算を予防する。他の全ての試薬は指示通りに使用する。
速度論的混濁アッセイ用の全ての試薬は、以下の2つの例外を加え、他は特定の製造業者の指示に従い使用する。1)LALは、LAL Reagent Waterの代わりに、Pyrosol(商標)再構成バッファの5mLで再構成し、2)CSEは、正確に5mLのLAL Reagent Waterで再構成しない。バッファでのLALの再構成は、純ヘモグロビン溶液によるLALアッセイの極端な促進を克服するために実施する。CSEは、最終溶液濃度を1000 EU/mlにする量の水で再構成する。加えるべき量は、USPC RSEに対抗してCSEを規格化することにより決定し、Associates of Cape Cod推奨の5mLより多くても少なくてもよい。これが、一定なCSE溶液濃度にし、CSEのロット変化ごとにエンドトキシンスパイクの再計算を予防する。他の全ての試薬は指示通りに使用する。
全てのガラス製品は180℃で4時間加熱することにより、脱発熱物質化する。全ての希釈及び溶液運搬は、クラス100の層流フード下で行う。全ての使用するピペットチップは無菌化及び発熱物質フリーである。
ii.CSE力価の決定
RSEの1つのバイアル(定義により、10,000 EU/バイアル)をLAL Reagent Water 5mLで再構成し、2,000 EU/mlの溶液を得る。2つのRSE曲線を、電流Q.C.試験の全領域を覆うよう描かれた。中間的領域の曲線は、以下の濃度(EU/ml)、1.0、0.5、0.25、0.125、0.0625、及び0.03125を含むものであった。低領域曲線は、以下の濃度(EU/ml)、0.004、0.002、0.001、0.0005、0.00025、及び0.0001からなるものであった。これら曲線は二重に描かれ、曲線の傾き及びY切片を決定するために直線回帰が行われ、曲線をCSE曲線との比較目的のために保存した。
RSEの1つのバイアル(定義により、10,000 EU/バイアル)をLAL Reagent Water 5mLで再構成し、2,000 EU/mlの溶液を得る。2つのRSE曲線を、電流Q.C.試験の全領域を覆うよう描かれた。中間的領域の曲線は、以下の濃度(EU/ml)、1.0、0.5、0.25、0.125、0.0625、及び0.03125を含むものであった。低領域曲線は、以下の濃度(EU/ml)、0.004、0.002、0.001、0.0005、0.00025、及び0.0001からなるものであった。これら曲線は二重に描かれ、曲線の傾き及びY切片を決定するために直線回帰が行われ、曲線をCSE曲線との比較目的のために保存した。
RSE曲線を描いた後、CSEの4つのバイアル(500 ng/バイアル)を、1000 EU/各の最終溶液濃度を得る水量で再構成した。各バイアルの希釈は、少なくとも3濃度のCSE曲線が直接RSE曲線に重なるよう、2つの領域の各々において調製した。中間的領域曲線は、以下の濃度(ng/ml)、0.1、0.05、0.025、0.0125、0.00625及び0.003125を含めた。低領域曲線には、以下の濃度(ng/ml)、0.004、0.002、0.001、0.0005、0.00025、及び0.0001からなるものであった。これら曲線は二重に描かれ、開始時間を対応するRSE曲線から外挿した。
EU/mlで表される各CSE標準用のエンドトキシン濃度を、ng/mlで表される対応する濃度で除した。RSE曲線に直接重ならない任意の開始時間は、アスタリスクで生データ上に示し、計算に含めなかった。各標準として得られたEU/ng力価は、各領域においてCSE力価を決定するために利用した。その後、2つの領域の力価は、1.0〜0.001 EU/mlの全領域を通してCSEの力価を決定するために利用した。その後、1000 EU/ml溶液を得るため、以下の計算式に従い当該ロット中の各CSEバイアルに添加されるべきLAL Reagent Waterの量を計算するために、全体CSE力価を使用した。
iii.試験方法
100μlのLALを、400μlのサンプルを含有している、脱発熱物質化した10×75mm培養管に添加する。管をおよそ2秒間穏やかにボルテックスし、LAL装置のインキュベーションモジュールに置く。各管は、個別に当該手順で添加される。タイミングは、管の底部が機械的スイッチを作動させ、管毎に開始される。管は試験を通して、37.0±0.5℃でインキュベートする。最初の60秒間は読み込みを行わないが、これは管内の内容物を温度に到達させ、気泡を分散させるための時間を与えるものである。管挿入後60〜120秒の間に、各ウェルにおける光検出器が10秒間隔で7回の読み込みを行う。読み込みは、その後平均化され、100%の透過度(transmittance)を示すよう取りこまれる。このゼロ調整の期間は、管の欠陥及びサンプルの色又は内因性混濁によるデータエラーを除去する。続く読み込みは、10秒ごとに取り込まれ、透過度、及びその後吸光度(OD)に変換される。400〜550秒で、収集されたOD値を平均化し、その後全ての続く試験のOD値から減算する。(このベースライン補正は、バックグラウンドのODとして相殺する)。
100μlのLALを、400μlのサンプルを含有している、脱発熱物質化した10×75mm培養管に添加する。管をおよそ2秒間穏やかにボルテックスし、LAL装置のインキュベーションモジュールに置く。各管は、個別に当該手順で添加される。タイミングは、管の底部が機械的スイッチを作動させ、管毎に開始される。管は試験を通して、37.0±0.5℃でインキュベートする。最初の60秒間は読み込みを行わないが、これは管内の内容物を温度に到達させ、気泡を分散させるための時間を与えるものである。管挿入後60〜120秒の間に、各ウェルにおける光検出器が10秒間隔で7回の読み込みを行う。読み込みは、その後平均化され、100%の透過度(transmittance)を示すよう取りこまれる。このゼロ調整の期間は、管の欠陥及びサンプルの色又は内因性混濁によるデータエラーを除去する。続く読み込みは、10秒ごとに取り込まれ、透過度、及びその後吸光度(OD)に変換される。400〜550秒で、収集されたOD値を平均化し、その後全ての続く試験のOD値から減算する。(このベースライン補正は、バックグラウンドのODとして相殺する)。
開始時間Toは、サンプルを設置してから、ウェルをインキュベーションする間の秒数として定義され、20mAUの吸光度の変化がある。エンドトキシンレベルは、開始時間とlog10(既知のエンドトキシン濃度)に対するlog10(To)の保存された標準曲線とを比較することにより決定する。
小さなプログラムを組んだコンピュータを、LAL装置からデータを収集するために使用する。LAL装置ソフトウェアは、OD値をファイルに保存し、例えば開始時間補正、標準上での直線回帰、及びエンドトキシン濃度決定等のコマンドでデータ解析を行う。
プロセス中の全サンプルは、二重に試験され、4つのラムダスパイク(ラムダは標準曲線上の最低標準と同じである)で、非スパイク及びスパイク化される。さらに、LAL Reagent Waterにおける4つのラムダスパイク及び非スパイク化LAL Reagent Waterを試験する。全ての最終生成サンプルは、非スパイク化及びスパイク化について、三重に試験する。
結果
dXCMSFHにおけるエンドトキシンのレベルは、1 EU per/ml未満である。当該プロセスの好ましい実施態様によれば、エンドトキシン除去のレベルで0.01 EU未満が達成されると、複合体としての使用及びより大容量での使用が可能である。これは、読み込みにおいて0.1 EU/mlから0.02 EU/ml未満となる。
プロセス中の全サンプルは、二重に試験され、4つのラムダスパイク(ラムダは標準曲線上の最低標準と同じである)で、非スパイク及びスパイク化される。さらに、LAL Reagent Waterにおける4つのラムダスパイク及び非スパイク化LAL Reagent Waterを試験する。全ての最終生成サンプルは、非スパイク化及びスパイク化について、三重に試験する。
結果
dXCMSFHにおけるエンドトキシンのレベルは、1 EU per/ml未満である。当該プロセスの好ましい実施態様によれば、エンドトキシン除去のレベルで0.01 EU未満が達成されると、複合体としての使用及びより大容量での使用が可能である。これは、読み込みにおいて0.1 EU/mlから0.02 EU/ml未満となる。
V.製剤
1.医薬組成物の賦形剤、投薬経路及び容量
脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び、具体的には本発明のdXCMSFHは、従来の医薬製剤(例えば、注入可能な溶液)で、その必要性に応じて処置する哺乳類に使用するためのものに組み込まれてもよい。医薬組成物は、皮下、静脈、又は筋肉注入により、又はより大容量の非経口用溶液等として投与することができる。いくつかの実施態様によれば、本発明のdXCMSFHはリポソーム中にHbを封入することにより製剤化してもよい。リポソーム封入は、封入される治療剤の毒性を低減するため、及び薬物の半減期を延長するための薬物送達においてよく使用される。リポソーム封入化ヘモグロビン(LEHb)は、RBCと生理学的に類似する構造中にHbを包含し、すなわち、血流中におけるHbの解離及びその急速な浄化を予防している。LEHb分散の半減期は、二層膜の表面化学、並びに二層膜表面の電荷及びベシクルサイズ分布に依存する。したがって、ベシクルサイズの縮小及びベシクル表面の改変は、その循環寿命を顕著に延長できる。ポリエチレングリコール(PEG)でのリポソームの表面接合は、半減期の延長を可能とする。網内皮系(RES)の過剰積載は免疫系に損傷を与えるため、RESによるリポソームの取り込みは、安全に投与し得るLEHb濃度に影響を及ぼす。
1.医薬組成物の賦形剤、投薬経路及び容量
脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び、具体的には本発明のdXCMSFHは、従来の医薬製剤(例えば、注入可能な溶液)で、その必要性に応じて処置する哺乳類に使用するためのものに組み込まれてもよい。医薬組成物は、皮下、静脈、又は筋肉注入により、又はより大容量の非経口用溶液等として投与することができる。いくつかの実施態様によれば、本発明のdXCMSFHはリポソーム中にHbを封入することにより製剤化してもよい。リポソーム封入は、封入される治療剤の毒性を低減するため、及び薬物の半減期を延長するための薬物送達においてよく使用される。リポソーム封入化ヘモグロビン(LEHb)は、RBCと生理学的に類似する構造中にHbを包含し、すなわち、血流中におけるHbの解離及びその急速な浄化を予防している。LEHb分散の半減期は、二層膜の表面化学、並びに二層膜表面の電荷及びベシクルサイズ分布に依存する。したがって、ベシクルサイズの縮小及びベシクル表面の改変は、その循環寿命を顕著に延長できる。ポリエチレングリコール(PEG)でのリポソームの表面接合は、半減期の延長を可能とする。網内皮系(RES)の過剰積載は免疫系に損傷を与えるため、RESによるリポソームの取り込みは、安全に投与し得るLEHb濃度に影響を及ぼす。
脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb及び、具体的に本発明のdXCMSFHは、他の人工血液及び酸素運搬治療用の製剤に製剤化することも可能である。かかる製剤は、dXCMSFHに加えて他の構成成分を含むこともできる。例えば、非経口治療組成物は無菌等電的な塩溶液を含んでなる。製剤は、直接投与に適する形態でも、投与前に希釈を要する濃縮物の形態であってもよい。すなわち本発明の製剤は、dXCMSFHを0.001%と90% (w/v)の間で含むことができる。本発明のいくつかの実施態様によれば、本発明のdXCMSFH細胞外ヘモグロビン溶液は、約5%〜約20%、約5%〜約17%、約8%〜約14%、及び約10%のヘモグロビン溶液(% 重量/容量)で含まれてよい。本発明のいくつかの実施態様によれば、dCMSFHの細胞外ヘモグロビン溶液は、溶液中に約5%〜約7%(% w/v)で含まれてよい。本発明のいくつかの実施態様によれば、dCMSFHを含んでなる溶液は、約6.4%のヘモグロビンを含んでいる。ヘモグロビンパーセントの選択は、選ばれたヘモグロビン産物の腫脹特性に依存する。本発明において使用のために製剤化されたヘモグロビン溶液は、正常腫脹から高脹性であってもよい。ヘモグロビンパーセントは、各指示における所望の膠質浸透圧(oncotic pressure)を得るために調整されてもよい。
本発明のdXCMSFHは、酸素運搬用の赤血球を使用する任意の哺乳類において、代用血液及び酸素送達治療として有益な組成物中で使用することができる。哺乳類には、限定されるものではないが、ヒト、家畜、例えばウシ、ネコ、ウマ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ブタ等がある。本発明のいくつかの実施態様によれば、哺乳類はヒトである。
本発明のdXCMSFHの用量は、患者の体重のキログラム当たり、ヘモグロビン約1〜約15,000mgで、最初の用量からでも、反復の用量のいずれからでも適切な時間をかけて行うことができる。酸素運搬組成物として、又は血液容量補助剤として使用する場合、投薬は100〜7500 mg/kg患者体重、500〜5000 mg/kg体重、又は700〜3000 mg/kg体重の範囲でよい。すなわち、ヒト患者のための用量は、1グラム〜1000グラムを超えるまであり得る。各投薬形態の個々の用量に含まれる活性成分の構成単位は、それ自身の中で有効量を構成する必要はなく、必要な有効量が、多くの個々の用量の投与により到達得ること、と理解されるであろう。投薬の選択は、利用される投薬形態、処置される条件、及び当業者の決定により到達すべき具体的な目的に依存する。
本発明での使用のために、脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的に本発明のdXCMSFHは、生理的許容可能な溶液中に、透析又は限外濾過による交換を行うことができる。本発明のdXCMSFHは、50〜150 g/1の濃度で製剤化されてもよい。溶液は、全血と等浸透圧性の生理的に適合可能な電解質運搬体(vihicle)を含んでなるものでもよく、これが可逆的な酸素運搬及びヘモグロビンの運搬特性を維持してもよい。生理的に許容可能な溶液は、例えば生理食塩水、食塩−グルコース混合物、リンガーの酢酸塩、リンガー溶液、乳酸塩リンガー溶液、ロック−リンガー溶液、クレブス−リンガー溶液、ハルトマン平衡食塩水、ヘパリン化クエン酸ナトリウム−クエン酸−デキストロース溶液、及び重合化血漿代用物、例えばポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール及びエチレンオキシド−ポリエチレングリコール縮合物がある。
本発明に従う各製剤は、不活性構成物、例えば医薬的に許容可能な担体、希釈剤、増量剤、塩、及び他の当業界で周知の物質を追加的に含んでもよく、その選択は、利用される投薬形態、処置される状態、当業者の決定に従って到達されるべき具体的な目的、及びその添加剤の特性に依存する。例えば、dXCMSFHに加えて本発明のヘモグロビン溶液は、0〜200 mMの1又は複数の生理的バッファ、0〜200 mMの1又は複数の炭水化物、0〜200 mMの1又は複数のアルコールもしくはポリアルコール、0〜200 mMの1又は複数の生理的許容可能な塩、及び0〜1%の1又は複数の界面活性剤、0〜20 mMの還元剤を含んでもよい。dXCMSFHに加えて本発明のヘモグロビン溶液は、0〜50 mMのグルコン酸ナトリウム、0〜50 mMの1又は複数の炭水化物(例えば、グルコース、マンニトール、ソルビトール又は他の当業界で既知のもの)、0〜300 mMの1又は複数の塩化物塩並びに、随意に0〜0.5%の界面活性剤、例えばTween.TM(ポリソルベート80)、及び/又は0〜20 mMのN−アセチルシステインを含んでもよい。
本発明のdXCMSFHの投与は、ヘモグロビン使用の目的に応じて、秒単位から時間単位で(seconds to hours)行うことができる。例えば、深刻な出血の処置のための酸素担体として使用する場合、一般的な投与の時間的経過は、可能な限り迅速である。容量増大剤又は酸素治療としてのヘモグロビン溶液のための典型的な注入速度は、例えば、約100ml/h〜約3000 ml/h、約1ml/kg/h〜約300ml/kg/h、又は約1ml/kg/h〜約25ml/kg/hである。本発明のいくつかの実施態様によれば、投与速度はより速くてよい。
好適な組成物は、0〜200mMの1又は複数のバッファ(例えば、酢酸塩バッファ、リン酸塩バッファ、クエン酸塩バッファ、重炭酸塩バッファ、又はグッドバッファ)を含むこともできる。塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムは、本発明の組成物中に含むこともできる。塩は、0〜2Mの濃度が可能である。
さらに、本発明の組成物は、1又は複数の炭水化物(例えば、還元炭水化物で、例えばグルコース、マルトース、ラクトース、又は非還元炭水化物で、例えばスクロース、トレハロース、ラフィノース、マンニトール、イソスクロース又はスタキオース)及び1又は複数のアルコール又はポリアルコール(例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、デキストラン、又はポリオール)を含むことができる。炭水化物又はアルコールの濃度は、0〜2Mが可能である。
本発明のdXCMSFHは、1又は複数の界面活性剤及び0〜200 mMの1又は複数のキレート剤(例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、エチレングリコール−ビス(ベータ−アミノエチルエーテル)N,N,N',N'-テトラ酢酸(EGTA)、オフェナントロリン(ophenanthroline)、ジエチルアミントリアミンペンタ酢酸(DTPD、当業界でペンタ酢酸としても知られる)等、を含むこともできる。界面活性剤は組成物の0.005〜1%で可能である。本発明の組成物は、pHが約6.0〜9.5の可能性がある。いくつかの実施態様によれば、組成物は0〜150mMのNaCl、0〜10mMのリン酸ナトリウム、0.01〜0.1%の界面圧制剤、及び/又は0〜50μMの1又は複数のキレート剤で、pHが6.0〜9.5であり得る。製剤は、5mMのリン酸ナトリウム、150mMのNaCl、0.025%〜0.08%のポリソルベート80、及び/又は25μMのEDTAで、pH6.0〜9.5である。
製剤のための追加的な添加剤は、抗細菌試薬、腫脹圧剤(例えば、アルブミン又はポリエチレングリコール)及び他の製剤的に許容可能な塩、糖及び他の当業界で既知の賦形剤がある。本発明に従う各製剤は、担体、希釈剤、増量剤、塩、及び他の当業者に周知の物質を追加的に含んでなることができ、その選択は、達成すべき具体的な目的、及び当業者により容易に決定できる、その添加剤の特性に依存する。製剤方法としては、例えば、単純混合、連続的な添加、乳化、膜分離等がある。
2.本発明のNOブロック型四量体Hb、例えば安定化(架橋化)及び不安定化(非架橋)のHbの両方の、包装及び貯蔵。
本発明のNOブロック型四量体Hbの多様な実施態様は、dXCMSFH、dCMSFH、及びdTBSFHが従来の、及び好ましくは酸素不透過性の容器(例えば、ステンレス製タンク、ガラス容器、酸素不透過性プラスティックバッグ、又は酸素低透過性プラスティックバッグで覆われたプラスティックバッグで、酸素除去剤が内部のプラスティックバッグと覆ったプラスティクバッグの間に置かれるもの)で保存してよい。いくつかの好ましい実施態様によれば、本発明のdXCMSFH、dCMSFH、又はdTBSFHは使用前に酸素化してもよく、ほんの一例としては、心臓治療用のカテーテル中での使用前に酸素化する。いくつかの実施態様によれば、dXCMSFH、dCMSFH、又はdTBSFHは、酸素透過又は酸素不透過(「無酸素性の」)容器において、酸素制御した環境下で保存することができる。酸素制御された環境は、例えば、グローブボックス、グローブバッグ、インキュベータ等がある。好ましくは酸素制御された環境の酸素含量は、大気の酸素濃度(Kandler, R L. et al.、米国特許第5,352,773号を参照されたく、参照としてここに組み込まれる)よりも低い。本発明のいくつかの実施態様によれば、本発明のdXCMSFH、dCMSFH、又はdTBSFHは、親水化し、及び粉末として貯蔵することができる。調製物は、室温又は昇温で(Kandler et al.、PCT公報、国際公開第92/02239号、PCT公報、国際公開第92/08478号、両方とも参照として本明細書に組み込まれる)、又はより好ましくは冷却下で貯蔵してもよい。いくつかの実施態様によれば、dCMSFH又はdTBSFHは、運送及びさらなる扱いを容易にするために、HyClone BioProcess Containers(商標)に貯蔵してもよい。
本発明のNOブロック型四量体Hbの多様な実施態様は、dXCMSFH、dCMSFH、及びdTBSFHが従来の、及び好ましくは酸素不透過性の容器(例えば、ステンレス製タンク、ガラス容器、酸素不透過性プラスティックバッグ、又は酸素低透過性プラスティックバッグで覆われたプラスティックバッグで、酸素除去剤が内部のプラスティックバッグと覆ったプラスティクバッグの間に置かれるもの)で保存してよい。いくつかの好ましい実施態様によれば、本発明のdXCMSFH、dCMSFH、又はdTBSFHは使用前に酸素化してもよく、ほんの一例としては、心臓治療用のカテーテル中での使用前に酸素化する。いくつかの実施態様によれば、dXCMSFH、dCMSFH、又はdTBSFHは、酸素透過又は酸素不透過(「無酸素性の」)容器において、酸素制御した環境下で保存することができる。酸素制御された環境は、例えば、グローブボックス、グローブバッグ、インキュベータ等がある。好ましくは酸素制御された環境の酸素含量は、大気の酸素濃度(Kandler, R L. et al.、米国特許第5,352,773号を参照されたく、参照としてここに組み込まれる)よりも低い。本発明のいくつかの実施態様によれば、本発明のdXCMSFH、dCMSFH、又はdTBSFHは、親水化し、及び粉末として貯蔵することができる。調製物は、室温又は昇温で(Kandler et al.、PCT公報、国際公開第92/02239号、PCT公報、国際公開第92/08478号、両方とも参照として本明細書に組み込まれる)、又はより好ましくは冷却下で貯蔵してもよい。いくつかの実施態様によれば、dCMSFH又はdTBSFHは、運送及びさらなる扱いを容易にするために、HyClone BioProcess Containers(商標)に貯蔵してもよい。
包装が酸素不透過性フィルムである場合、容器は種々の物質、例えばポリマーフィルム(例えば、本来的に酸素不透過性ポリエステル、エチレンビニルアルコール(EVOH)、又はナイロン)、及びその積層板から製造することができる。容器が、酸素不透過性の覆いである場合、容器は種々の物質、例えばポリマーフィルム(例えば、本来的に酸素不透過性ポリエステル、エチレンビニルアルコール(EVOH)、又はナイロン)及び積層板、例えば透明積層板(例えばシリコン酸化物又はEVOH含有積層板)又は金属箔積層板(例えば、銀又はアルミニウム箔積層板)から製造することができる。ポリマーは、多様な重合物質であってよく、例えばポリエステル層(例えばa48ゲージ(guage)ポリエステル)、ナイロンもしくはポリオレフィン層、例えばポリエチレン、エチレンビニルアセテート、又はポリプロピレンもしくはその共重合体がある。
容器は多様な構造があり得て、例えばバイアル、シリンダー、箱等がある。好ましい実施態様によれば、容器はバッグの形状である。好適なバッグは、その(1又は複数の)周囲で、1又は複数の(例えば2つの)シートを、きつく閉じられ、酸素不透過性で、充填可能な中心を有する構造を形成するため、連続的に結合することにより形成することができる。層がポリオレフィン、例えば線状の低密度、低密度、中程度又は高密度のポリエチレンもしくはポリプロピレン、及びその共重合体を含んでなる層である場合、バッグの周囲は、熱を使用することで結合させ又は密封させてもよい。バッグの形状、及びきつく閉じられた、酸及び/又は湿気不透過性構成物を作るための適切な温度の決定は、当業者に周知である。容器が例えばポリエステルフィルム等のフィルムである場合、多数の適切な方法により、フィルムを基本的に酸素不透過性の状態にすることができる。フィルムは、薄板化することができ、又はそうでない場合、酸素透過性を低減又は除去するために処理することができる。
いくつかの実施態様によれば、1又は複数の抗酸化物質、例えばアスコルベート(Wiesehahn, G. P.等、米国特許第4,727,027号、及びKerwin, B. D.等、米国特許第5,929,031号)、グルタチオン、N−アセチルシステイン、メチオニン、トコフェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、又はフェノール性化合物(Osterber等、PCT公報、国際公開第94/26286号、及びKerwin, B. D.等、米国特許第5,929,031号)を、さらなる安定化のために、dXCMSFH、dCMSFH、及びdTBSFHに添加してもよい(全ての参考文献は、参照として明細書中に組み込まれる)。あるいは、さらに好ましくは、本発明のdXCMSFHは、親水化し、及び粉末として貯蔵することができ、又は密封したタイベック(Tyvek)、又はマイラー(Mylar)(ポリエチレンテレフタレート)バッグもしくは小袋に包装することができる。包装は例えばKerwin, B. D.等の米国特許第5,929,031号が、参照として本明細書に組み込まれる。いくつかの実施態様によれば、前記貯蔵容器中のdXCMSFH、dCMSFH、及びdTBSFHは、組成物の消費期限を延長するのに十分な、照射又は他の無菌処置にさらしてもよい。酸素スカベンジャー、例えばn−アセチル−システインを製剤中に含んでもよい。
本発明のdXCMSFH、dCMSFH、及びdTBSFHは、好適な貯蔵温度で、2年以上の期間貯蔵してもよく、好ましい期間は、低酸素環境下で貯蔵した場合2年以上である。1年以上の貯蔵のための好適な貯蔵温度は、約0℃と約40℃の間である。好ましい貯蔵温度範囲は、約0℃と約25℃の間である。本発明のdXCMSFH、dCMSFH、及びdTBSFHを作製するためのプロセスは、微生物の生育、又は生物汚染度を最小限に抑えるために十分な条件下でのプロセスの段階を維持すること、例えば少なくとも約20℃未満かつ約0℃より大の温度で維持することが挙げられる。
VI.使用方法
本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHは、受容者に、例えば注入により、静脈又は動脈内注入により、又は他の手段により投与される医薬組成物を形成するために使用してもよい。本発明のdXCMSFH製剤は、代用血液、血液容量中の容量増量剤、及び酸素かん流剤として有益な組成物中で、赤血球が使用される任意の投薬(application)において使用できる。ある投薬は、本発明の組成物を、血液容量が不足し、流量と酸素運搬能力の両方を元に戻すべき場合に、出血の処置のために使用する。さらに、本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHは、医薬的に許容可能に作られること可能であるため、本発明の製剤は、酸素を運搬できるだけでなく、巨大ヘモグロビンタンパク質分子の存在に起因して、膠質浸透圧を提供する、単純な容量増加剤として作用することもできる。本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHは、すなわち患者の血液が除去され、手術の最後又は回復の間に再輸液のために残されるような、外科手術の手技(例えば、急性の定容量性の血液希釈又は血液増量等)の間に除去される血液のための置き換えとして使用できる。
本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHは、受容者に、例えば注入により、静脈又は動脈内注入により、又は他の手段により投与される医薬組成物を形成するために使用してもよい。本発明のdXCMSFH製剤は、代用血液、血液容量中の容量増量剤、及び酸素かん流剤として有益な組成物中で、赤血球が使用される任意の投薬(application)において使用できる。ある投薬は、本発明の組成物を、血液容量が不足し、流量と酸素運搬能力の両方を元に戻すべき場合に、出血の処置のために使用する。さらに、本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHは、医薬的に許容可能に作られること可能であるため、本発明の製剤は、酸素を運搬できるだけでなく、巨大ヘモグロビンタンパク質分子の存在に起因して、膠質浸透圧を提供する、単純な容量増加剤として作用することもできる。本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHは、すなわち患者の血液が除去され、手術の最後又は回復の間に再輸液のために残されるような、外科手術の手技(例えば、急性の定容量性の血液希釈又は血液増量等)の間に除去される血液のための置き換えとして使用できる。
本発明の脱酸素化した安定なNOブロック化四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHの、代用血液としての典型的な容量は、患者の体重のキログラム当たり、細胞外ヘモグロビンが10mg〜7グラム以上である。すなわち、ヒト患者のための典型的な容量は、数グラム〜350グラムより大であってよい。各投薬形態の個々の用量に含まれる活性成分の構成単位は、必要な有効量は注入等による大量投与の投与により達成され得るため、それ自身の中で有効量を構成する必要はないと理解されるであろう。投薬の選択は、利用される投薬形態、処置される条件、及び当業者の決定により到達すべき具体的な目的に依存する。
本発明のいくつかの実施態様によれば、本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、例えばdXCMSFHの溶液は、哺乳類に投与するため、質量で約5%〜約25%のdXCMSFHを含むことができる。本発明のいくつかの好ましい実施態様によれば、dXCMSFHの溶液は、哺乳類に投与するめ、質量で約7%〜約15%のdXCMSFHを含むことができる。本発明のいくつかの他の好ましい実施態様によれば、dXCMSFHの溶液は、哺乳類の投与のためにdXCMSFHの質量で10%である。本発明のいくつかの実施態様によれば、哺乳類に投与するべき用量は、約7%のdXCMSFHを含んでなる。本発明のいくつかの実施態様によれば、哺乳類に投与すべき用量は、脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHの約1gを含んでなる。本発明のいくつかの実施態様によれば、治療用の設定における使用のための産物の典型的な単位は、dXCMSFHの0.5mmol溶液(約64g/L、又は溶液中の質量で約6.4%)の500mLが入った容器である。より大きな溶液単位は、多数の治療的介入における、血液の置き換え用又は酸素運搬の増大用に使用してもよい。より小さい溶液単位は、標識及び診断の目的、及び治療的介入のために使用してよもよい。より小さな溶液単位は、好ましい実施態様によれば、dXCMSFHの溶液を、dXCMSFH の質量で、4%, 5%, 6%, 7%, 8%, 9%, 10%, 11%, 12%, 13%, 14%, 15%, 16%, 17%, 18%, 19%, 20%, 21%, 22%, 23%, 24%、又は最大25%で含んでもよい。別の実施態様によれば、溶液は、dXCMSFH の質量で、2%,3%, 4%, 5%, 6%, 7%, 8% 9%, 10%, 11%, 12%, 13%又は14%と同程度に低い濃度で含んでもよい。
本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHの投与は、ヘモグロビン使用の目的に応じて、秒単位から時間単位で行うことができる。例えば、用量増大治療として、通常の投与の時間的経過は可能な限り迅速である。酸素運搬/かん流剤又は用量増大剤としてのヘモグロビン溶液の典型的な注入速度は、約100ml〜3000 ml/hがあり得る。ただし、刺激性の造血に使用される場合、投与はより低速にさせることができ、従って投与速度は、本発明の脱酸素化した安定なNOブロック化四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHの投薬が、出血の処置のために必要である投薬よりかなり少量でよいために、より低速にすることができる。
いくつかの実施態様によれば、本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHは、貧血を患う哺乳類において、追加的な酸素運搬能力を提供することで、並びに造血を刺激し、RBC産生を補助する有効な鉄を提供し、及びエリスロポエチン治療の補助剤として機能することにより、腎性疾患、糖尿病、AIDS、化学療法、放射線療法、肝炎、G.I.失血、鉄欠乏症、月経過多等が原因となる貧血を処置するために使用することができる。
同様に、本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHは、追加的酸素運搬能力を所望する哺乳類(例えば、運動選手、兵士、登山家、飛行士、喫煙者等)に対して、追加的な酸素運搬能力を提供するために使用できる。かかる追加的な酸素運搬能力は、環境的ストレス(即ち、例えば高度の高い又は煙吸入)又は身体的ストレス(即ち、例えば急激な機能の要求)を克服するために使用できる。本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHは、即ち一酸化炭素中毒並びにそれと共に発生する低酸素症及び虚血を処置するのに役立ち、一酸化炭素に結合された細胞ヘモグロビンが除去されている間に、本発明の化合物及び組成物が、組織に酸素を供給することができ、すなわち新たなRBCが産生されるまで患者の酸素不足を埋め合わせる。
本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHは、本発明のヘモグロビンが低容量でしか投与されないような場面と同様に、哺乳類への高容量のヘモグロビンの投与を必要とする投薬のために使用できる。本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHは、通常大容量の血液が失われる外科手術の間の投薬において、又は大容量の血液を失った外傷被害者の治療において使用することができる。これは、一般人の事故及び軍事的な状況の両方があり得る。
本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHは、代用血液として、獣医学的臨床投薬において使用してもよい。
さらに、本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHの血管にわたる分布は、粘性又は赤血球のサイズにより制限されないため、本発明の組成物を、赤血球が浸透できない領域に酸素を運搬するために使用することができる。当該領域としては、赤血球の流れに対して閉塞の下流に位置する任意の組織領域があり、例えば、血栓、鎌状細胞閉塞、動脈閉塞、血管形成術用バルーン、外科手術機器、酸素飢餓に又は低酸素症に陥っている組織等の下流領域である。
さらに、組織虚血の全種類、例えば脳における虚血事象は、本発明の方法を用いて処置することができる。前記組織虚血としては、例えば、脳卒中、新生脳卒中、一過性虚血発作、気絶心筋及び冬眠、急性狭心症、不安定狭心症、新生狭心症、又は梗塞等がある。例えば火傷等の身体的損傷からの組織の回復は、本発明のヘモグロビンでの予備処置により加速することもでき、これは注入リスクを低減することもでき、組織のかん流及び酸素化を促進させる。本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hbの使用は、小さいキャピラリー内でより小さい分子の良好な分布のために、肺における良好な酸素取り込みを可能にするであろう。
美容外科の手術中及び手術後に、微細組織床は微小循環の崩壊を受け、RBCの流れを失う。本発明の安定NOブロック型四量体Hbの使用は、組織の代謝及び再生のために良好な酸素化を提供し、血管新生不足に伴う瘢痕を減少させる。
美容外科の手術中及び手術後に、微細組織床は微小循環の崩壊を受け、RBCの流れを失う。本発明の安定NOブロック型四量体Hbの使用は、組織の代謝及び再生のために良好な酸素化を提供し、血管新生不足に伴う瘢痕を減少させる。
本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHは、鎌状細胞貧血患者の治療のために使用できる。血流閉塞発作の発症状態である鎌状細胞貧血患者は、現在希釈と組み合わせた赤血球の輸血及び疼痛処理により処置されている。本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHは、酸素を運搬するだけでなく、さらなる(赤血球の)鎌状化を予防し、より良好な痛みの緩和及び組織損傷の最小化をさせるよう、既に変形赤血球で塞がれた血管を貫通させてもよい。また、頻繁な鎌状細胞貧血の個体群における輸血は、本発明のヘモグロビンの使用により回避される有害影響である、赤血球及び血小板に対する同種免疫をもたらすことがある。本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHは、血管収縮を低レベルに又は全く無い状態に導くため、鎌状細胞貧血患者の処置において重要な治療的優位性を提供する。これは、血流閉塞発作の処置において優位性があり、血流閉塞発作の突然発症のリスクがあるような状況において、鎌状細胞貧血患者に対するその他の処置においても優位性がある。例えば、本発明のdXCMSFHは知覚麻痺のリスクを最小化するため、鎌状細胞貧血患者の手術前輸血のため、濃縮赤血球の代わりに使用してもよい。本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHは、脳卒中のリスクを最小化するため、周期的に投与してもよい。
本発明の安定NOブロック型四量体Hb、すなわち再酸素化されたXCMSFHは、そのサイズのためにかん流を可能にし、また嵩高く巨大な赤血球のかん流不良のために、通常拡散のみに依存していた組織層への酸素運搬を可能にする。例えば、本発明の化合物及び組成物は、急性冠状症候群(ACS)及び移植手術において組織防御として使用でき、ここで障害の領域又は摘出された器官は、流れを停止した(stopped flow)状況でかん流される。これは、その後の通常の循環により、創傷の再かん流を予防し、並びにかん流される組織の救助及び保存をさせる。さらに、移植の手技において、器官を本発明の化合物及び組成物で洗浄することにより、摘出のために準備してもよく、これは、除去の前に未変性血液剤及び構成成分を除去し、及び上記の通り組織の生育能力を補助するために続けることを目的とする。
不十分な血管新生化される領域において、分子量及び酸素運搬能力が優れたかん流を発生させる場合、本発明の化合物及び組成物は、創傷治療剤として使用してもよい。場面としては例えば、糖尿病による脚損傷、癌の再かん流療法からの回復及び手術後の回復、すなわち、例えば、美容外科手術又は癌切除乳房再生があり、ここで、RBCはサイズ又は硬さのために十分にかん流されない可能性がある。本発明の安定なNOブロック型四量体Hbの別の投薬は、本発明の適切な使用が酸素圧を上昇させ、及び放射線治療のより効果的な使用及び医薬剤に依存する酸素上昇をさせる場合、癌細胞の、不十分な血管新生腫瘍組織層になされてもよい。
本発明の、本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHは、心臓性ショックのための酸化窒素の低分子阻害剤として使用してもよい。心臓性ショックは、急性心筋梗塞の症状を呈する非常に多くの患者を悩ますもので、循環系の停止が梗塞の後に起こる。カテーテル又はバイパス移植での介入にもかかわらず、死亡率は約50%である。本発明の化合物又は組成物の使用は、心臓及び血管に、酸化窒素の過剰生成を未然に予防するような酸素レベルを提供してもよく、梗塞の期間の後の、危険な初期30日を越えて生存することを補助してもよい。生存はこの時点の後に飛躍的に上昇する。
本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHは、鉄を含んでなり、及び例えば、MRI(磁気共鳴映像法)を用いて検出してもよい。すなわち、いくつかの実施態様によれば、本発明は、造影剤として本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHの使用を考慮してもよい。
本発明は、移植可能な運搬装置(例えばカートリッジ、インプラント等)も考慮しており、それは本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHを含んでなり、及び例えばそれは、酸素運搬能力増大の必要性が検知され、その応答の循環においてdXCMSFHを放出することができるものである。いくつかの実施態様によれば、当該装置は、例えば一定の割合で、赤血球生成を促進するよう、dXCMSFHを運搬できる(単独でも、エリスロポエチンとの組み合わせでもよい)。いくつかの実施態様によれば、当該装置は、本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hbを、患者の酸素運搬能力の要請に相応する割合で運搬するよう、検出手段によって制御することができる。かかる検出手段は、それ自身が移植可能でも、もしくは移植可能な装置の一部であってもよく、又は体外に置いてもよい。いくつかの実施態様によれば、当該装置は個々の血液診断を達成又は促進するために使用してもよい。
本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHは、非医薬組成物を形成するために使用してもよく、これは例えば、分析機器類が必要とする参照基準、試薬溶液、細胞培養のガス含有量の制御(例えばインビトロでの、細胞培養への酸素運搬、及び溶液からの酸素除去による)等の参照基準として使用できる。さらに、本発明のdXCMSFHを、運搬において、提供される組織及び器官に酸素化するために使用してもよい。
本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはdXCMSFHは、表面又は液体からエンドトキシンを取り除くために使用してもよい。すなわち本発明は、本発明の脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hbを含む装置、例えばカートリッジ、フィルタ、ビーズ、カラム、管等を考慮に入れている。液体、例えば水、生理食塩水、培養培地、アルブミン溶液等は、液体に存在する可能性のあるエンドトキシンを除去するため、又は液体に存在するエンドトキシンの濃度を低減するために、かかる装置を通して処理してもよい。いくつかの実施態様によれば、脱酸素化した安定なNOブロック型四量体Hbは、その処理された液体を添加するビーズに結合し、その後除去する(濾過、又は親和性固定化により)。いくつかの実施態様によれば、そのビーズは強磁性体又は常磁性体から作製されていてよく、又はそれ自体が磁性体であってよく、それにより、磁性手段により処理した液体から容易に分離できる。
架橋及び未架橋双方の、脱酸素化チオールブロック型Hb(即ちdCMSFH、dTBSFH、及びdXCMSFH)は、酸素除去が要請されている溶液から酸素を除去するために使用することができ、分析アッセイ及び機器のための参照基準として使用することもできる。架橋及び未架橋双方の、脱酸素化チオールブロック化Hb(即ちdCMSFH、dTBSFH、及びdXCMSFH)は、酸素レベルを維持することにより細胞培養における細胞成育を増強するためのインビトロで使用できる。
本発明の再酸素化された安定なNOブロック型四量体Hb、及び具体的にはXCMSFHは、脈管内空間を可視化する場合に使用できる。血管壁の観察のための現代の光学技術は、赤血球輸血の効果が不透明であることが原因で、非光学的技術に委ねられている。本発明の安定なNOブロック型四量体Hb、すなわちXCMSFHは、酸素を運搬しその結果虚血を予防するだけでなく、光学的に視覚が不透明な領域に、組織層のインサイツ(in situ)における病理的決定(例えば癌、不安定プラーク、脂質損傷、ステント留置等)のための可視化を可能にするために存在してもよい。方法としては、赤色波長帯における可視光を用い、例えば、標的の特徴部分(feature)に照射して使用する。光コヒーレンストモグラフィの使用は、本発明の安定なNOブロック型四量体Hbを使用することにより拡張してもよい。間欠性の生理食塩水洗浄が、一過性の視覚的インビトロ領域を創出するために現在使用されるが、局所に酸素化を継続できる本発明の安定なNOブロック型Hbの使用により、より優位な可視化及び持続的な実験が可能となり得る。
実施例1
全血を最初に処理する2法の比較
全血を最初に処理する2法の比較
原材料:ウシ血液採集
ウシ血液を1ガロン採集容器に採集し、これを100mLの6%エチレンジアミンテトラ酢酸ナトリウム(EDTA)溶液にし、氷中で冷却する。
ウシ血液を1ガロン採集容器に採集し、これを100mLの6%エチレンジアミンテトラ酢酸ナトリウム(EDTA)溶液にし、氷中で冷却する。
ウシ全動脈血液をバッチA及びバッチBに分ける。バッチAは全血の2200mLからなり、血小板、凝固因子、細胞外カリウム、抗凝固剤、及び細胞基質のない濃縮赤血球を得るために、ヘモネティクスセルセーバー5(haemonetics Cell Saver 5)中で洗浄する(方法A)。バッチBは全血の1800mLからなり、ミリポア0.65μmフィルタで洗浄する(方法B)。
方法A:血漿タンパク質のセルセーバー5除去
ヘモネティクス製のセルセーバー5は、新たに採集された抗凝固化ウシ血液における他の構成成分から成熟赤血球を濃縮するために使用する。この時点で、白血球か成熟赤血球のいずれか一方が破損しないようにすることが望ましい。
ヘモネティクス製のセルセーバー5は、新たに採集された抗凝固化ウシ血液における他の構成成分から成熟赤血球を濃縮するために使用する。この時点で、白血球か成熟赤血球のいずれか一方が破損しないようにすることが望ましい。
150μmの粗濾過を通した後、細胞を225mLの濃縮赤血球を入れたスピンボウルで洗浄し、3リットルの生理食塩水で、ボウル外端から中央に向かって逆流で洗浄する。遠心分離は穏やかで、WBCのいくつかは洗浄で溶出するが、これは望ましいことである。表4は、500mL増分での血清タンパク質除去の進行を示す。連続的フロー技術である。表4のサンプルは、ボウルに入れたサンプル容量である。進行は、その後分光光度法で280nmでのタンパク質濃度を読み、ASA280単位(290nmでの吸収単位)で与えられる値である。表4中のデータ点は、洗浄プロセスの間の指示された点で取る。結果は、赤血球の全ボウルが3リットルのNSで洗浄される場合、血清タンパク質における3ログ超の減少があることが示される。これは、ウイルス、プリオン等、赤血球膜に結合しないものにおいても、3ログ超の減少であることを暗示する。表4の全ての値は、希釈のために補正する。
方法B:血漿タンパク質のミリポア0.65μmフィルタ除去
バッチBを、150μmフィルタに通す。その後物質を、血漿タンパク質は通過させるが細胞構成成分、例えば白血球及び成熟赤血球は残す、接線流膜で濾過する。接線流膜濾過は、低速だが、無人で実行できるためわずかな労力しか必要としない。これはスケールアップにより適している。大スケール遠心分離の他の種類を用いてもよい。この連続的膜分離法の結果を表5に示しており、ここで全ての結果は希釈のために補正される。この方法は、血漿タンパク質における3ログ超の減少を示しており、ウイルス、プリオン等において同様なログの減少も暗示する。
バッチBを、150μmフィルタに通す。その後物質を、血漿タンパク質は通過させるが細胞構成成分、例えば白血球及び成熟赤血球は残す、接線流膜で濾過する。接線流膜濾過は、低速だが、無人で実行できるためわずかな労力しか必要としない。これはスケールアップにより適している。大スケール遠心分離の他の種類を用いてもよい。この連続的膜分離法の結果を表5に示しており、ここで全ての結果は希釈のために補正される。この方法は、血漿タンパク質における3ログ超の減少を示しており、ウイルス、プリオン等において同様なログの減少も暗示する。
白血球消失/除去の評価
ヘモグロビンの調製の間、ヘモグロビン溶液から顆粒球(granulocyte)タンパク質分解性酵素を除去するために、任意のWBCを除去することが望まれる。すなわち、血漿タンパク質除去の段階で、溶解を引き起こさずにWBCを除去することが望まれる。セルセーバー5の技術は、遠心分離の間浮かんでいる軟膜において、いくつかのWBCを除去できる。ただし、観察されるWBCの消失は、WBCの細胞溶解が発生したことを意味するので、接線流膜は全WBCをそのまま保持してよい。表6は、セルセーバー5又はミリポア0.65μmフィルタで濾過後、WBC保存の評価を示す。量を適正に補正した場合、両方の方法はRBC存在下で、白血球溶解からの十分な保護を与えられる。
ヘモグロビンの調製の間、ヘモグロビン溶液から顆粒球(granulocyte)タンパク質分解性酵素を除去するために、任意のWBCを除去することが望まれる。すなわち、血漿タンパク質除去の段階で、溶解を引き起こさずにWBCを除去することが望まれる。セルセーバー5の技術は、遠心分離の間浮かんでいる軟膜において、いくつかのWBCを除去できる。ただし、観察されるWBCの消失は、WBCの細胞溶解が発生したことを意味するので、接線流膜は全WBCをそのまま保持してよい。表6は、セルセーバー5又はミリポア0.65μmフィルタで濾過後、WBC保存の評価を示す。量を適正に補正した場合、両方の方法はRBC存在下で、白血球溶解からの十分な保護を与えられる。
バッチA及びBはその後8時間冷却し、両バッチをウイルス性物質も除去するバクスター白血球減少(Baxter leuko-reducing)フィルタに通す。バッチAは1500mLのRBCを得るが、バッチBは1200mLのRBCを得る。サンプルは洗浄コースの間中、各バッチから抽出される。
細胞分解及び基質除去
バッチA由来の1500mLのRBCは、6000mLのDI水で希釈する。細胞を45秒間溶解させた後、任意の存在白血球の溶解を最小化するために、750mLの9% N食塩水(NS)を溶液に添加する。バッチB由来の1200mLのRBCは、4800mLのDI水で溶解する。この時点ではバッチBに食塩水を添加しない。次に、両バッチを0.22ミクロンペリコン(Pellicon)フィルタに通す。一度ヘモグロビンを濾過し別々のフラスコに集めてから、第二の10Kダルトンペリコンフィルタに通す。これは廃棄される生理食塩水を濾出する。純ヘモグロビンはもとのフラスコに再循環され、所望のパーセンテージ、例えば13.5%(w/v)に濃縮される。
バッチA由来の1500mLのRBCは、6000mLのDI水で希釈する。細胞を45秒間溶解させた後、任意の存在白血球の溶解を最小化するために、750mLの9% N食塩水(NS)を溶液に添加する。バッチB由来の1200mLのRBCは、4800mLのDI水で溶解する。この時点ではバッチBに食塩水を添加しない。次に、両バッチを0.22ミクロンペリコン(Pellicon)フィルタに通す。一度ヘモグロビンを濾過し別々のフラスコに集めてから、第二の10Kダルトンペリコンフィルタに通す。これは廃棄される生理食塩水を濾出する。純ヘモグロビンはもとのフラスコに再循環され、所望のパーセンテージ、例えば13.5%(w/v)に濃縮される。
ヨードアセトアミド(IAM)でのヘモグロビンのスルフヒドリルのブロッキング
サンプルが13.5%Hbに濃縮された後、酸素を前述のように除去し、0.1Mリン酸ナトリウムバッファでpHを7.4に調整する。残存酸素は<10ppbである。dSFH1モル当たりIAM2M等量を添加し、反応を1時間進行させる。反応の進行は、ヨウ化物電極でモニターする。PBSを使用する限外濾過により未反応IAMを除去する。ヨウ化物が除去されると、中間体dCMSFHは安定であり、酸素バリア容器に包装されてもよく、室温で安全に貯蔵できる。
サンプルが13.5%Hbに濃縮された後、酸素を前述のように除去し、0.1Mリン酸ナトリウムバッファでpHを7.4に調整する。残存酸素は<10ppbである。dSFH1モル当たりIAM2M等量を添加し、反応を1時間進行させる。反応の進行は、ヨウ化物電極でモニターする。PBSを使用する限外濾過により未反応IAMを除去する。ヨウ化物が除去されると、中間体dCMSFHは安定であり、酸素バリア容器に包装されてもよく、室温で安全に貯蔵できる。
脱酸素化及び架橋
安定な中間産物であるdCMSFHを再び無酸素(<10ppm)環境に置き、溶解酸素を0.010ppm未満のレベルまで除去する。膜接触技術は、酸素レベル10ppm未満で制御した雰囲気下で、ヘモグロビンを脱酸素化するために使われる方法である。初期の酸素飽和測定値は、ポーラログラフ的な溶解された酸素プローブを用いて両バッチから得られる。バッチAの初期測定値は4mg/Lである。バッチBの初期測定値は7mg/Lである。ぜん動性ポンプを用いて流速600mL/minで、>28.5 in/Hgで減圧して、ヘモグロビンを押し出し、膜接触機を再循環させる。両バッチの最終酸素飽和レベルは、<0.01ppmである。バッチはその後架橋のために、0.5M NaOHでpHを8.4に調整する。pH調整後、2.94gのビス−3,5−ジブロモサリチルフマレート(DBSF)をバッチA(スルフヒドリル当たり2M等量)に添加し、他方1.47gをバッチB(スルフヒドリル当たり2M等量)に添加する。架橋が完了したら、0.5M クエン酸を用いてpH調整を行って7.4に戻し、バッチを冷却装置内で気密容器中に貯蔵する。
安定な中間産物であるdCMSFHを再び無酸素(<10ppm)環境に置き、溶解酸素を0.010ppm未満のレベルまで除去する。膜接触技術は、酸素レベル10ppm未満で制御した雰囲気下で、ヘモグロビンを脱酸素化するために使われる方法である。初期の酸素飽和測定値は、ポーラログラフ的な溶解された酸素プローブを用いて両バッチから得られる。バッチAの初期測定値は4mg/Lである。バッチBの初期測定値は7mg/Lである。ぜん動性ポンプを用いて流速600mL/minで、>28.5 in/Hgで減圧して、ヘモグロビンを押し出し、膜接触機を再循環させる。両バッチの最終酸素飽和レベルは、<0.01ppmである。バッチはその後架橋のために、0.5M NaOHでpHを8.4に調整する。pH調整後、2.94gのビス−3,5−ジブロモサリチルフマレート(DBSF)をバッチA(スルフヒドリル当たり2M等量)に添加し、他方1.47gをバッチB(スルフヒドリル当たり2M等量)に添加する。架橋が完了したら、0.5M クエン酸を用いてpH調整を行って7.4に戻し、バッチを冷却装置内で気密容器中に貯蔵する。
反応は、キャピラリーゲル電気泳動分析で監視され、これは標準サンプル調製物を用い、ベックマンコールターPA-800(登録商標)プロテオミクス機器を使用して実施し、反応の経時変化を監視し、架橋の程度を決定する。反応は、95%以上の四量体が架橋されたところで完了する(データは示さない)。サンプルは、ヘモックスアナライザによる二波長分光測定に基づく血液酸素平衡曲線の記録からも評価される。
全体での方法A及び方法Bの比較
方法A及び方法Bの精製は、基質の除去及び白血球の溶解を予防する場合、放出における効率を比較するために並行して実施される。一方の方法が許容可能な品質の精製物質を提供する可能性があり、及び両方の方法が許容可能な品質の精製物質を提供する可能性があり、及び両方法の組合せが本発明の方法において使用されることを想定してもよい。
方法A及び方法Bの精製は、基質の除去及び白血球の溶解を予防する場合、放出における効率を比較するために並行して実施される。一方の方法が許容可能な品質の精製物質を提供する可能性があり、及び両方の方法が許容可能な品質の精製物質を提供する可能性があり、及び両方法の組合せが本発明の方法において使用されることを想定してもよい。
実施例2
白血球の分解
白血球の分解
WBCの溶解の相対時間の決定を実証する。WBCと比較してRBCは優先的に溶解するため、溶解されたWBCからのプロテアーゼを誘導することもなく、最大量のヘモグロビンを得るための赤血球溶解の最適化が可能である。
手法
全血の2000mLをセルセーバー5の100μ貯蔵(reservoir)フィルタだけに通す。その後7つのビーカーを200mLの血液で満たす。1つのビーカーは、コントロールとする。その後他の6つのビーカーは、溶解のための特定時間を30秒、及びその後1、2、3、4、及び5分で割り当てる。コントロールビーカーは開始されると、910mLの0.9%食塩水溶液が添加される。30秒、1、2、3、4、及び5分の時点で、10mLサンプルを白血球分析に供す。
全血の2000mLをセルセーバー5の100μ貯蔵(reservoir)フィルタだけに通す。その後7つのビーカーを200mLの血液で満たす。1つのビーカーは、コントロールとする。その後他の6つのビーカーは、溶解のための特定時間を30秒、及びその後1、2、3、4、及び5分で割り当てる。コントロールビーカーは開始されると、910mLの0.9%食塩水溶液が添加される。30秒、1、2、3、4、及び5分の時点で、10mLサンプルを白血球分析に供す。
残った6つのビーカーに対して、800mLのDI水を添加する。30秒後、110mLの9%食塩水を溶解停止のため最初のビーカーに添加する。およそ30秒間攪拌させた後、10mLのサンプルを白血球分析に供する。1分後、110mLの9%食塩水を第二のビーカーに添加する。再び30秒間攪拌させた後、10mLのサンプルを取る。残りの4つのビーカーに対して、110mLの9%食塩水を、2、3、4及び5分の時点で溶解停止のために添加する。各時間経過の後、各々からの10mLサンプルを、標準WBC定量を用いる白血球分析に供する。
結論
図2に示すように、白血球の溶解は2分と3分の間で起こり得る。従って、赤血球溶解を最適化するために、分解は2分で停止することができる。DI水及び食塩水の添加のために、容量を増加させる。表7に示す結果は、希釈のために補正されている。
結論
図2に示すように、白血球の溶解は2分と3分の間で起こり得る。従って、赤血球溶解を最適化するために、分解は2分で停止することができる。DI水及び食塩水の添加のために、容量を増加させる。表7に示す結果は、希釈のために補正されている。
実施例3
ウサギ安全性試験
ウサギ安全性試験
原材料
家兎を飼育し、標準的な動物管理に従って処置する。IVアクセスは、dXCMSFH注入のために、剃毛され、典型的には麻酔処理された耳静脈に、22又は24ゲージカテーテルで行うよう定められる。IV注入はシリンジポンプで定量され、通常45〜60分に渡って全容量を与える。血液がウサギから除去される場合は、20〜22ゲージカテーテルを他方の耳の動脈に挿入することにより行う。処置及び注入は、ベルクロ(登録商標)布ラップタイプ拘束を用いて行う。
家兎を飼育し、標準的な動物管理に従って処置する。IVアクセスは、dXCMSFH注入のために、剃毛され、典型的には麻酔処理された耳静脈に、22又は24ゲージカテーテルで行うよう定められる。IV注入はシリンジポンプで定量され、通常45〜60分に渡って全容量を与える。血液がウサギから除去される場合は、20〜22ゲージカテーテルを他方の耳の動脈に挿入することにより行う。処置及び注入は、ベルクロ(登録商標)布ラップタイプ拘束を用いて行う。
方法:プロトコルA
ウサギを上記の通り注入用に準備する。投与すべきdXCMSFHを、37℃、pH7.40バッファ化NS中、TCSヘモックスアナライザで決定された、O2のp50を28〜32とし、本発明の改変ヘモグロビンを12% w/vとする。注入すべきdXCMSFHの量は、ウサギの推定血液容量の10%に基づく(56 ml/kg)。この量をシリンジに移し、45〜60分にわたりポンプで注入する。その後、IVカテーテルをウサギの耳から除去し、ウサギを観察用のケージに戻す。コントロールのウサギは、NOブロックなしの化学修飾Hbを受ける。
ウサギを上記の通り注入用に準備する。投与すべきdXCMSFHを、37℃、pH7.40バッファ化NS中、TCSヘモックスアナライザで決定された、O2のp50を28〜32とし、本発明の改変ヘモグロビンを12% w/vとする。注入すべきdXCMSFHの量は、ウサギの推定血液容量の10%に基づく(56 ml/kg)。この量をシリンジに移し、45〜60分にわたりポンプで注入する。その後、IVカテーテルをウサギの耳から除去し、ウサギを観察用のケージに戻す。コントロールのウサギは、NOブロックなしの化学修飾Hbを受ける。
プロトコルB
静脈及び動脈アクセスを上記の通り準備する。大量のウサギ血液、54〜75ccを、動脈カテーテルから除去し、一方で、同時に同量のdXCMSFHを、静脈アクセスを通して注入する。この処置は全部で12〜20分で完了する。その後の2日目及び3日目に、15ccのdXCMSFHを、ヘパリンロックされた静脈カテーテルを通して、1日2回4時間で、注入の間に30分以上の間隔をとって注入する。
結果
表8に示す通り、25匹のウサギがプロトコルAに従っておよそ1時間以上注入を受ける。このウサギのうちの全部が72時間を超えて75日まで、いずれも死ぬことなく生存する。3匹のウサギはNOブロックなしの化学修飾Hbを注入されている。表9に示す通り、これらのウサギは全て、注入開始後7〜12分以内に死亡している。表10に示す通り、4匹のウサギがプロトコルBに従って、大量のdXCMSFHを受けている。これらのウサギの全てが生存し、2週間以上元気で、いずれも続いて死ぬことがない。プロトコルAでもBでも、dXCMSFHで処置されたウサギは100%生き残り、病死の明らかな兆候は観察されない。従って、650〜7500 mg/kg のXCMSFHを受けている実験の被検者は、実験的プロトコルA及びBに耐性があり、さらなる改変を行わず、125〜160 mg/kgのレベルで無細胞Hbを受けている処置群は、最初の投与で死亡してしまう。
静脈及び動脈アクセスを上記の通り準備する。大量のウサギ血液、54〜75ccを、動脈カテーテルから除去し、一方で、同時に同量のdXCMSFHを、静脈アクセスを通して注入する。この処置は全部で12〜20分で完了する。その後の2日目及び3日目に、15ccのdXCMSFHを、ヘパリンロックされた静脈カテーテルを通して、1日2回4時間で、注入の間に30分以上の間隔をとって注入する。
結果
表8に示す通り、25匹のウサギがプロトコルAに従っておよそ1時間以上注入を受ける。このウサギのうちの全部が72時間を超えて75日まで、いずれも死ぬことなく生存する。3匹のウサギはNOブロックなしの化学修飾Hbを注入されている。表9に示す通り、これらのウサギは全て、注入開始後7〜12分以内に死亡している。表10に示す通り、4匹のウサギがプロトコルBに従って、大量のdXCMSFHを受けている。これらのウサギの全てが生存し、2週間以上元気で、いずれも続いて死ぬことがない。プロトコルAでもBでも、dXCMSFHで処置されたウサギは100%生き残り、病死の明らかな兆候は観察されない。従って、650〜7500 mg/kg のXCMSFHを受けている実験の被検者は、実験的プロトコルA及びBに耐性があり、さらなる改変を行わず、125〜160 mg/kgのレベルで無細胞Hbを受けている処置群は、最初の投与で死亡してしまう。
実施例4
ブタ安全性試験
原料及び方法
重量10〜16キログラムの12匹の子ブタについて研究した。研究に入る前に、2D心エコー図により、心臓奇形及び大動脈径測定のための非侵襲性スクリーニングを行った。XCMDFH溶液の最大負荷(top loading)を開始する前に、ラシックス(Lasix)40mg/ml濃度の5mgを、IVの設定後すぐに各子ブタに投与した。XCMSFH溶液は酸素のp50が32で、12グラムパーセントの濃度(120 mg XCMSFH/ml)である。各子ブタは1200mg XCMSFH/kg体重を受けた。
ブタ安全性試験
原料及び方法
重量10〜16キログラムの12匹の子ブタについて研究した。研究に入る前に、2D心エコー図により、心臓奇形及び大動脈径測定のための非侵襲性スクリーニングを行った。XCMDFH溶液の最大負荷(top loading)を開始する前に、ラシックス(Lasix)40mg/ml濃度の5mgを、IVの設定後すぐに各子ブタに投与した。XCMSFH溶液は酸素のp50が32で、12グラムパーセントの濃度(120 mg XCMSFH/ml)である。各子ブタは1200mg XCMSFH/kg体重を受けた。
非侵襲性心臓データは、後肢上で血圧計カフを使用することで得た。ドップラー超音波法(USCOM)を、注入間中、様々な時間で心拍間隔の心拍出量を測定するために使用した。分析のために選択されたデータは、任意の時点で得られた最良の超音波形で表された。研究物質の添加を最大負荷することは、うっ血性心不全を作り出す流体の上限により制限された。
計算血液容量の14.3パーセント(70 ml血液/ kg体重)相当量を、1時間の過程にわたって末梢IVを通して注入した。被検ブタには、麻酔、沈静、又は侵襲性の監視を施さなかった。
結果
図7A〜Dは、順に心拍出量、全身静脈耐性、収縮期血圧及び拡張期血圧を、XCMSFH注入された機能として、体重で補正したものを表す。全ての子ブタは注入に十分な耐性があり、被検体の死亡はなかった。補正変数の最小二乗法を、データを評価するために用い、傾きと切片を示している。XCMSFH注入量を除き、いずれのパラメータのデータにおいても大きな変動があることが容易にわかる。これは被検体が沈静化されず、拘束もされなかった事実と関連がある。任意の実験の開始前でさえ、被検体のパラメータの間大きな変動があったが、覚醒、排泄、及び操作が、変動の大部分の原因であると思われる。
図7A〜Dは、順に心拍出量、全身静脈耐性、収縮期血圧及び拡張期血圧を、XCMSFH注入された機能として、体重で補正したものを表す。全ての子ブタは注入に十分な耐性があり、被検体の死亡はなかった。補正変数の最小二乗法を、データを評価するために用い、傾きと切片を示している。XCMSFH注入量を除き、いずれのパラメータのデータにおいても大きな変動があることが容易にわかる。これは被検体が沈静化されず、拘束もされなかった事実と関連がある。任意の実験の開始前でさえ、被検体のパラメータの間大きな変動があったが、覚醒、排泄、及び操作が、変動の大部分の原因であると思われる。
この研究の結果は、これらの指数の平均(最大、最小)でそれぞれ、心拍出量 1.12 L/min (2.7, 0.45)、全身静脈抵抗性 7008 ダイン 秒/cm5 (21590-3364)、収縮期血圧 156.69 mmHg (193-130)、及び拡張期血圧 95.75 mmHg (113-72)を表した。ベースラインはそれぞれ、心拍出量 1.26 L/min (1.62, 0.72)、全身静脈抵抗性 9588ダイン 秒/cm5(12662-4991)、収縮期血圧 140 mmHg (159-123)、及び拡張期血圧 84.25 mmHg (111-72)である。心拍出量はわずかな減少が観察され(< 5%)、全身抵抗はおよそ30%まで上昇した。収縮期及び拡張期の両血圧は、注入の間わずかに上昇した(それぞれ12及び14%)。XCMSFHの種々の過負荷用量と血流動力学的事象との関連は、図7A〜Dに表される。これらのXCMSFHの効果はわずかであるが、この効果は運搬される過負荷容量%に依存すると思われる。
この研究において、全てのパラメータについて、注入されたXCMSFH量に明らかに依存した、重要な変動が明らかになった。これらの心的パラメータにおけるごく少量の変化は、過負荷された検体での、血液容量、本質的には流動性の増大によるものである。この研究の結果は、本実験で全ての検体が生き残り、血管作用性と関連する心的パラメータにおけるわずかな変化が観察されたことを示す。
プリオン安全性
本発明のHbがプリオン未含有であることを保証するために多くの測定がなされている。適切な動物の選択が、第一の段階であり、動物性タンパク質を給餌されたことがなく、抗生物質を与えられておらず、及び30月齢未満である、閉じた群からの動物だけを選択するものある。汚染予防のための第二の点は、血液への脳内物質の混合を回避する慎重な注意である。「マッシュルーム・スタナー(mushroom stunner)」手段の犠牲的な方法は、脳内物質汚染の可能性を排除するため、すなわち採集された血液中の物質が持つ、プリオンの導入の可能性を排除するために選択される。さらに、Hbが処理される場合、血漿タンパク質を除去するための洗浄プロセスがプリオンの除去もできる。追加的に、Hbが30,000Da分子量フィルタを通して濾過される場合、任意のプリオンを排除することができる。最後に本発明のHbは、白血球を除去するために、ポール(Pall)フィルタを通す処理をされる。この点で、例えばプリオン及びウイルス等の小さく形成された物体は、除去できる。これらの予防策の全てが、ヒト治療での使用のため、及び緊急の処置のために、本発明のHbの安全性を確実にするために施される。
本発明のHbがプリオン未含有であることを保証するために多くの測定がなされている。適切な動物の選択が、第一の段階であり、動物性タンパク質を給餌されたことがなく、抗生物質を与えられておらず、及び30月齢未満である、閉じた群からの動物だけを選択するものある。汚染予防のための第二の点は、血液への脳内物質の混合を回避する慎重な注意である。「マッシュルーム・スタナー(mushroom stunner)」手段の犠牲的な方法は、脳内物質汚染の可能性を排除するため、すなわち採集された血液中の物質が持つ、プリオンの導入の可能性を排除するために選択される。さらに、Hbが処理される場合、血漿タンパク質を除去するための洗浄プロセスがプリオンの除去もできる。追加的に、Hbが30,000Da分子量フィルタを通して濾過される場合、任意のプリオンを排除することができる。最後に本発明のHbは、白血球を除去するために、ポール(Pall)フィルタを通す処理をされる。この点で、例えばプリオン及びウイルス等の小さく形成された物体は、除去できる。これらの予防策の全てが、ヒト治療での使用のため、及び緊急の処置のために、本発明のHbの安全性を確実にするために施される。
脱酸素化及び酸素化状態
本発明の、NOブロック型及び安定なNOブロック型四量体ヘモグロビンは、貯蔵及び脱酸素化種の運搬のために包装される。多くの治療手段のために、改変されたヘモグロビンは脱酸素化状態で使用される。かん流が必要とされる場合、例えば、観察のための生組織領域の清浄、虚血領域のかん流、又は移植前の生体外での組織維持のための手段として、改変されたヘモグロビンは、再酸素か状態で組織機能を補助するために使用されてもよい。
本発明の、NOブロック型及び安定なNOブロック型四量体ヘモグロビンは、貯蔵及び脱酸素化種の運搬のために包装される。多くの治療手段のために、改変されたヘモグロビンは脱酸素化状態で使用される。かん流が必要とされる場合、例えば、観察のための生組織領域の清浄、虚血領域のかん流、又は移植前の生体外での組織維持のための手段として、改変されたヘモグロビンは、再酸素か状態で組織機能を補助するために使用されてもよい。
本発明の好ましい実施態様は明細書中に示し、記載したが、当該実施態様は、単に実施例という方法で提供されているだけであることは、当業者であれば明らかであろう。本発明から逸脱しない範囲で、当業者は多くのバリエーション、変更、及び代替に思い至るであろう。本明細書で記載した発明の実施態様についての多様な代替案は、本発明を実施する中で使用されてもよい。以下の請求は本発明の範囲を定義づけ、請求の範囲及びそれと同意義の範囲内の方法及び構造は、その範囲に含まれるものである。
Claims (125)
- タンパク質様鉄含有化合物であって、約60,000ダルトンから約500,000ダルトンの分子量を有し、少なくとも1のシステイン部分を有し、ここで前記システイン部分はチオール保護基を含むことにより、タンパク質様化合物がシステイン部位で低減された酸化窒素結合能を有する、タンパク質様鉄含有化合物。
- 前記化合物が、架橋された四量体ヘモグロビンである、請求項1記載のタンパク質様鉄含有化合物。
- 前記ヘモグロビンが、非発熱性であり、エンドトキシン未含有で、及び基質未含有である、請求項1記載のタンパク質様鉄含有化合物。
- 前記ヘモグロビンが、酸素未含有である、請求項1記載のタンパク質様鉄含有化合物。
- 前記ヘモグロビンが、3',5'−ジブロモサリチルフマレートで架橋された、請求項2記載のタンパク質様鉄含有化合物。
- 前記ヘモグロビンが、ピリドキサル−5'−ホスフェートとの反応により改変された、請求項2記載のタンパク質様鉄含有化合物。
- 前記ヘモグロビンが、ヒトヘモグロビンである、請求項1記載のタンパク質様鉄含有化合物。
- 前記ヘモグロビンが、ウシ又はブタのヘモグロビンである、請求項1記載のタンパク質様鉄含有化合物。
- 前記チオール保護基が、4−ピリジルメチル、アセチルアミノメチル、アルコキシアルキル、トリフェニルメチル、カルボキサミドメチル、アセチル、ベンジル、ベンゾイル、tert−ブトキシカルボニル、p−ヒドロキシフェナシル、p−アセトキシベンジル、p−メトキシベンジル、2,4−ジニトロフェニル、イソブトキシメチル、テトラヒドロピラニル、アセトアミドメチル、ベンズアミドメチル、ビス−カルボエトキシエチル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、N−アルキルカルバメート、及びN−アルコキシアルキルカルバメート、からなる群から選択される、請求項1記載のタンパク質様鉄含有化合物。
- 前記チオール保護基が、カルボキサミドメチル基である、請求項1記載のタンパク質様鉄含有化合物。
- 前記化合物が、酸素運搬能を増大させる、請求項1記載のタンパク質様鉄含有化合物。
- 前記化合物が、約20mmHgから約45mmHgのp50で酸素を運搬する、請求項1記載のタンパク質様鉄含有化合物。
- 前記請求項1のタンパク質様鉄含有化合物及び医薬的に許容可能な担体を含んでなる組成物。
- 請求項1の前記タンパク質様鉄含有化合物を含んでなる組成物を含有する容器。
- タンパク質様鉄含有化合物であって、約60,000ダルトンから約500,000ダルトンの分子量を有し、少なくとも1のシステイン部分を有し、ここで前記システイン部分はチオール保護基を含み、化合物は約20mmHgから約45mmHgのp50で酸素を運搬する、タンパク質様鉄含有化合物。
- 前記化合物が架橋された四量体ヘモグロビンである、請求項15記載のタンパク質様鉄含有化合物。
- 前記ヘモグロビンが、非発熱性であり、エンドトキシン未含有で、及び酸素未含有である、請求項15記載のタンパク質様鉄含有化合物。
- 前記ヘモグロビンが、3',5'−ジブロモサリチルフマレートで架橋された、請求項16記載のタンパク質様鉄含有化合物。
- 前記ヘモグロビンが、ピリドキサル−5'−ホスフェートとの反応により改変された、請求項16記載のタンパク質様鉄含有化合物。
- 前記ヘモグロビンが、ヒトヘモグロビンである、請求項15記載のタンパク質様鉄含有化合物。
- 前記ヘモグロビンが、ウシ又はブタのヘモグロビンである、請求項15記載のタンパク質様鉄含有化合物。
- 前記チオール保護基が、4−ピリジルメチル、アセチルアミノメチル、アルコキシアルキル、トリフェニルメチル、カルボキサミドメチル、アセチル、ベンジル、ベンゾイル、tert−ブトキシカルボニル、p−ヒドロキシフェナシル、p−アセトキシベンジル、p−メトキシベンジル、2,4−ジニトロフェニル、イソブトキシメチル、テトラヒドロピラニル、アセトアミドメチル、ベンズアミドメチル、ビス−カルボエトキシエチル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、N−アルキルカルバメート、及びN−アルコキシアルキルカルバメート、からなる群から選択される、請求項15記載のタンパク質様鉄含有化合物。
- 前記チオール保護基が、カルボキサミドメチル基である、請求項16記載のタンパク質様鉄含有化合物。
- 前記化合物が、低減された酸化窒素結合能を有する、請求項15記載のタンパク質様鉄含有化合物。
- 請求項1のタンパク質様鉄含有化合物を含んでなる組成物。
- 前記化合物が、非発熱性で、エンドトキシン未含有で、及び基質未含有である、請求項25記載の組成物。
- 前記化合物が、酸素未含有である、請求項25記載の組成物。
- 医薬的に許容可能な担体をさらに含んでなる、請求項28記載の組成物。
- 前記組成物が、包装を含んでなる請求項28記載の組成物。
- 請求項2のタンパク質様鉄含有化合物を含んでなる組成物。
- 前記化合物が、非発熱性であり、エンドトキシン未含有で、及び基質未含有である、請求項30記載の組成物。
- 前記化合物が、酸素未含有である、請求項30記載の組成物。
- 前記組成物が、ジブロモサリチル酸未含有である、請求項30記載の組成物。
- 医薬的に許容可能な担体をさらに含んでなる、請求項30記載の組成物。
- 前記組成物が、緩衝化される、請求項30記載の組成物。
- 前記組成物が、包装を含んでなる、請求項30記載の組成物。
- 哺乳類の血液を補う方法であって、タンパク質様鉄含有化合物、及び医薬的に許容可能な担体を含んでなる組成物を、哺乳類に投与することを含んでなり、前記化合物が、約60,000ダルトンから約500,000ダルトンの分子量を有し、少なくとも1のシステイン部分を有し、ここで前記システイン部分はチオール保護基を含むことにより、タンパク質様化合物がシステイン部位で低減された酸化窒素結合能を有する、方法。
- 前記タンパク質様鉄含有化合物が架橋された四量体ヘモグロビンである、請求項37記載の方法。
- 前記ヘモグロビンが、非発熱性、エンドトキシン未含有、酸素未含有及び基質未含有である、請求項38記載の方法。
- 前記ヘモグロビンが、ビス−3',5'−ジブロモサリチルフマレートで架橋された、請求項38記載の方法。
- 前記ヘモグロビンが、ピリドキサル−5'−ホスフェートとの反応により改変された、請求項38記載の方法。
- 前記ヘモグロビンが、ヒトヘモグロビンである、請求項38記載の方法。
- 前記ヘモグロビンが、ウシ又はブタのヘモグロビンである、請求項38記載の方法。
- 前記チオール保護基が、4−ピリジルメチル、アセチルアミノメチル、アルコキシアルキル、トリフェニルメチル、カルボキサミドメチル、アセチル、ベンジル、ベンゾイル、tert−ブトキシカルボニル、p−ヒドロキシフェナシル、p−アセトキシベンジル、p−メトキシベンジル、2,4−ジニトロフェニル、イソブトキシメチル、テトラヒドロピラニル、アセトアミドメチル、ベンズアミドメチル、ビス−カルボエトキシエチル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、N−アルキルカルバメート、及びN−アルコキシアルキルカルバメート、からなる群から選択される、請求項37記載の方法。
- 前記チオール保護基が、カルボキサミドメチル基である、請求項37記載の方法。
- 前記化合物が、酸素運搬能力を増大させる、請求項37記載の方法。
- 前記化合物が、20mmHgから約45mmHgのp50で酸素を運搬する請求項37記載の方法。
- 前記投与が、移植、注入又は輸血により投与される、請求項37記載の方法。
- 前記哺乳類が、貧血、貧血関連状態、低酸素又は虚血を患う、請求項37記載の方法。
- 前記哺乳類が、輸血を必要とする、請求項37記載の方法。
- 前記哺乳類が、外傷を負っている、請求項37記載の方法。
- 架橋されたヘモグロビンの調製のためのプロセスであって、前記ヘモグロビンはヘモグロビンのシステインに結合したチオール保護基を有しており、
(a)赤血球含有調製物からエンドトキシンを除去すること、
(b)前記赤血球を溶解すること、
(c)前記溶解した赤血球から基質を除去することによりヘモグロビンを分離すること、
(d)任意に、前記ヘモグロビンから酸素を除去すること、
(e)前記ヘモグロビンのシステインのためのチオール保護基を提供する試薬をヘモグロビン溶液に添加すること、及び
(f)前記ヘモグロビンのシステインに結合したチオール保護基を有するヘモグロビンを分離すること、
を含んでなるプロセス。 - 前記試薬が、4−ピリジルメチルクロライド、アルコキシアルキルクロライド、ジメトキシメタン、N−(ヒドロキシメチル)アセトアミド、塩化トリフェニルメチル、塩化アセチル、無水酢酸、ハロアセトアミド、ヨード酢酸、塩化ベンジル、塩化ベンゾイル、ジ−tert−ブチルジカルボネート、p−ヒドロキシフェナシルブロマイド、p−アセトキシベンジルクロライド、p−メトキシベンジルクロライド、2,4−ジニトロフェニルフルオライド、テトラヒドロピラン、アセトアミドヒドロキシメタン、アセトン、ビス−カルボエトキシエテン、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルクロライド、tert−ブトキシカルボニルクロライド、アルキルイソシアネート、及びアルコキシアルキルイソシアネートからなる群から選択される、請求項52記載のプロセス。
- 前記ハロアセトアミドが、ヨードアセトアミドである、請求項53記載のプロセス。
- 前記チオール保護基が、4−ピリジルメチル、アセチルアミノメチル、アルコキシアルキル、トリフェニルメチル、カルボキサミドメチル、アセチル、ベンジル、ベンゾイル、tert−ブトキシカルボニル、p−ヒドロキシフェナシル、p−アセトキシベンジル、p−メトキシベンジル、2,4−ジニトロフェニル、イソブトキシメチル、テトラヒドロピラニル、アセトアミドメチル、ベンズアミドメチル、ビス−カルボエトキシエチル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、N−アルキルカルバメート、及びN−アルコキシアルキルカルバメート、からなる群から選択される、請求項52記載のプロセス。
- 前記チオール保護基が、カルボキサミドメチルである、請求項52記載のプロセス。
- 前記プロセスが、
(a)任意に、前記ヘモグロビンのシステイン基に結合したチオール保護基を有するヘモグロビンから酸素を除去すること、及び
(b)前記ヘモグロビンのシステインに結合したチオール保護基を有するヘモグロビンを架橋すること、
をさらに含んでなる、請求項52記載のプロセス。 - 前記酸素が、接触機膜技術により除去される、請求項52記載のプロセス。
- 前記四量体ヘモグロビンが、非発熱性で、エンドトキシン未含有で、酸素未含有及び基質未含有である、請求項52又は57記載のプロセス。
- 前記ヘモグロビンのシステイン基に結合したチオール保護基を有するヘモグロビンが、ビス3',5'−ジブロモサリチルフマレートで架橋される、請求項52記載のプロセス。
- 前記ヘモグロビンのシステインに結合したチオール保護基を有するヘモグロビンが、ピリドキサル−5'−ホスフェートとの反応により改変される、請求項52記載のプロセス。
- 前記赤血球が、ヒト赤血球である、請求項52又は57記載のプロセス。
- 前記赤血球が、ウシ又はブタの赤血球である、請求項52又は57記載のプロセス。
- 前記四量体ヘモグロビンが、酸化窒素に結合できない、請求項52又は57記載のプロセス。
- 前記四量体ヘモグロビンが、酸素運搬能力を増大させる、請求項52又は57記載のプロセス。
- 前記四量体ヘモグロビンが、約20mmHgから約45mmHgのp50で酸素を運搬する、請求項52又は57記載のプロセス。
- 四量体ヘモグロビンを作製するための方法であって、前記ヘモグロビンのシステインにチオール保護基が結合しており、以下の、
(a)赤血球含有調製物からエンドトキシンを除去すること、
(b)前記赤血球を溶解すること、
(c)前記溶解した赤血球から基質を除去することによりヘモグロビンを分離すること、
(d)任意に、前記ヘモグロビンから酸素を除去すること、
(e)前記ヘモグロビンのシステインのためのチオール保護基を提供する試薬をヘモグロビン溶液に添加すること、及び
(f)前記ヘモグロビンのシステインに結合したチオール保護基を有するヘモグロビンを分離すること、
を含んでなるプロセスによる、方法。 - 前記試薬が、4−ピリジルメチルクロライド、アルコキシアルキルクロライド、ジメトキシメタン、N−(ヒドロキシメチル)アセトアミド、塩化トリフェニルメチル、塩化アセチル、無水酢酸、ハロアセトアミド、ヨード酢酸、塩化ベンジル、塩化ベンゾイル、ジ−tert−ブチルジカルボネート、p−ヒドロキシフェナシルブロマイド、p−アセトキシベンジルクロライド、p−メトキシベンジルクロライド、2,4−ジニトロフェニルフルオライド、テトラヒドロピラン、アセトアミドヒドロキシメタン、アセトン、ビス−カルボエトキシエテン、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルクロライド、tert−ブトキシカルボニルクロライド、アルキルイソシアネート、及びアルコキシアルキルイソシアネートからなる群から選択される、請求項67記載の方法。
- 前記試薬が、ヨードアセトアミドである、請求項68記載の方法。
- 前記チオール保護基が、4−ピリジルメチル、アセチルアミノメチル、アルコキシアルキル、トリフェニルメチル、カルボキサミドメチル、アセチル、ベンジル、ベンゾイル、tert−ブトキシカルボニル、p−ヒドロキシフェナシル、p−アセトキシベンジル、p−メトキシベンジル、2,4−ジニトロフェニル、イソブトキシメチル、テトラヒドロピラニル、アセトアミドメチル、ベンズアミドメチル、ビス−カルボエトキシエチル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、N−アルキルカルバメート、及びN−アルコキシアルキルカルバメート、からなる群から選択される、請求項67記載の方法。
- 前記チオール保護基が、カルボキサミドメチルである、請求項67記載の方法。
- 前記プロセスが、
(a)任意に、前記ヘモグロビンのシステイン基に結合したチオール保護基を有するヘモグロビンから酸素を除去すること、及び
(b)前記ヘモグロビンのシステインに結合したチオール保護基を有するヘモグロビンを架橋すること、
をさらに含んでなる、請求項67記載の方法。 - 前記酸素が、接触機膜技術により除去される、請求項67記載の方法。
- 前記四量体ヘモグロビンが、非発熱性で、エンドトキシン未含有で、酸素未含有及び基質未含有である、請求項67又は72記載の方法。
- 前記ヘモグロビンのシステイン基に結合したチオール保護基を有するヘモグロビンが、ビス3',5'−ジブロモサリチルフマレートで架橋される、請求項72記載の方法。
- 前記ヘモグロビンのシステインに結合したチオール保護基を有するヘモグロビンが、ピリドキサル−5'−ホスフェートとの反応により改変される、請求項72記載の方法。
- 前記赤血球が、ヒト赤血球である、請求項67又は72記載の方法。
- 前記赤血球が、ウシ又はブタの赤血球である、請求項67又は72記載の方法。
- 前記四量体ヘモグロビンが、酸化窒素に結合できない、請求項67又は72記載の方法。
- 前記四量体ヘモグロビンが、酸素運搬能力を増大させる、請求項67記載の方法。
- 前記四量体ヘモグロビンが、約20mmHgから約45mmHgのp50で酸素を運搬する、請求項67記載の方法。
- ヘモグロビンを作製するための方法であって、前記ヘモグロビンのシステインはチオール保護基が結合しており、
(a)前記ヘモグロビンのシステインのためのチオール保護基を提供する試薬を、ヘモグロビン溶液に添加すること、及び
(b)ヘモグロビンのシステイン基に結合したチオール保護基を有するヘモグロビンを分離すること、
を含んでなるプロセスによる、方法。 - 架橋された四量体ヘモグロビンを作製するための方法であって、
(a)任意に、前記ヘモグロビンのシステイン基に結合したチオール保護基を有するヘモグロビンから酸素を除去すること、及び
(b)前記ヘモグロビンを架橋すること、
を含んでなるプロセスによる、方法。 - 前記ヘモグロビンのシステインに結合したチオール保護基を有する四量体ヘモグロビンが、非発熱性で、エンドトキシン未含有で、及び基質未含有である、請求項83記載の方法。
- 前記架橋された四量体ヘモグロビンから、ジブロモサリチル酸を除去することをさらに含んでなる、請求項83記載の方法。
- 追加するバッファをさらに含んでなる、請求項83記載の方法。
- 前記架橋された四量体ヘモグロビンを包装することをさらに含んでなる、請求項83記載の方法。
- 請求項83、84、又は85記載の方法で得られる生成物を含有する包装。
- 請求項2記載の生成物の有効量を投与することにより、赤血球を必要とする哺乳類を、処置するための方法。
- 哺乳類の、貧血、貧血関連状態、低酸素症、又は虚血を処置するための、請求項89記載の方法。
- 対象物の失血による外傷を処置するための、請求項89記載の方法。
- 障害を患う哺乳類を処置する方法であって、タンパク質様鉄含有化合物、及び医薬的に許容可能な担体を含んでなる組成物を、哺乳類に投与することを含んでなる方法であって、前記化合物が、約60,000ダルトンから約500,000ダルトンの分子量を有し、少なくとも1のシステイン部分を有し、ここで前記システイン部分はチオール保護基を含むことにより、タンパク質様化合物がシステイン部位で低減された酸化窒素結合能を有する、方法。
- 前記タンパク質様鉄含有化合物が、架橋された四量体ヘモグロビンである、請求項92記載の方法。
- 前記ヘモグロビンが、非発熱性で、エンドトキシン未含有で、酸素未含有及び基質未含有である、請求項92記載の方法。
- 前記ヘモグロビンが、ビス3',5'−ジブロモサリチルフマレートで架橋されている、請求項92記載の方法。
- 前記ヘモグロビンが、ピリドキサル−5'−ホスフェートとの反応により改変されている、請求項92記載の方法。
- 前記ヘモグロビンが、ヒトヘモグロビンである、請求項92記載の方法。
- 前記ヘモグロビンが、ウシ又はブタのヘモグロビンである、請求項92記載の方法。
- 前記チオール保護基が、4−ピリジルメチル、アセチルアミノメチル、アルコキシアルキル、トリフェニルメチル、カルボキサミドメチル、アセチル、ベンジル、ベンゾイル、tert−ブトキシカルボニル、p−ヒドロキシフェナシル、p−アセトキシベンジル、p−メトキシベンジル、2,4−ジニトロフェニル、イソブトキシメチル、テトラヒドロピラニル、アセトアミドメチル、ベンズアミドメチル、ビス−カルボエトキシエチル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、N−アルキルカルバメート、及びN−アルコキシアルキルカルバメート、からなる群から選択される、請求項92記載の方法。
- 前記チオール保護基が、カルボキサミドメチル基である、請求項92記載の方法。
- 前記化合物が、酸素運搬能力を増大させる、請求項92記載の方法。
- 前記化合物が、約20mmHgから約45mmHgのp50で酸素を運搬する、請求項92記載の方法。
- 前記投与が、移植、注入又は輸血による、請求項92記載の方法。
- 前記障害が、貧血、貧血関連状態、低酸素症及び虚血からなる群より選択される、請求項92記載の方法。
- 前記貧血及び貧血関連状態が、腎不全、糖尿病、AIDS、化学療法、放射線治療、肝炎、G.I.失血、鉄欠乏症、又は月経過多が原因となっている、請求項104記載の方法。
- エリスロポエチン治療を哺乳類に投与することをさらに含んでなる、請求項104記載の方法。
- 前記虚血が、熱傷、脳卒中、新生脳卒中(emerging stroke)、一過性虚血発作、気絶心筋及び冬眠、急性狭心症、不安定狭心症、新生狭心症、又は梗塞が原因となっている、請求項104記載の方法。
- 前記障害が、一酸化炭素中毒である、請求項92記載の方法。
- 前記障害が、外科手術後の回復状態である、請求項92記載の方法。
- 前記障害が、治療中の糖尿病性創傷である、請求項92記載の方法。
- 前記障害が、鎌状血球貧血である、請求項92記載の方法。
- 前記投与が、外科手術の前である、請求項111の方法。
- 前記障害が、急性冠不全症候群である、請求項92記載の方法。
- 前記哺乳類が、輸血を必要とする、請求項92記載の方法。
- 前記哺乳類が、外傷を負う、請求項92記載の方法。
- 前記障害が、環境ストレス又は物理的ストレスが原因の酸素運搬能の欠如である、請求項92記載の方法。
- 前記障害が、心臓性ショックである、請求項92記載の方法。
- 前記投与が、放射線治療との組合せで実施される、請求項92記載の方法。
- 前記哺乳類に、酸素依存性医薬材を投与することを含んでなる、請求項92記載の方法。
- 哺乳類に対する前記投与が、インビボ(生体内)における脈管内の可視化をさせる、請求項92記載の方法。
- 哺乳類への投与前に、タンパク質様鉄含有化合物を再酸素化することを含んでなる、請求項120の方法。
- 請求項2の生成物の有効量を投与することを含んでなる、器官にかん流させるための方法。
- 前記投与が、インビボ(生体内)で行われる、請求項122記載の方法。
- 前記投与が、エクスビボ(生体外)で行われる、請求項122記載の方法。
- 請求項2の生成物を再酸素化することを含んでなる、請求項122記載の方法。
Applications Claiming Priority (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US85396806P | 2006-10-23 | 2006-10-23 | |
US11/586,312 US7494974B2 (en) | 2006-10-24 | 2006-10-24 | Carboxymethylated cross-linked tetrameric hemoglobin |
US11/713,195 US7504377B2 (en) | 2006-10-23 | 2007-03-01 | Nitric oxide-blocked cross-linked tetrameric hemoglobin |
PCT/US2007/080337 WO2008051689A2 (en) | 2006-10-23 | 2007-10-03 | Nitric oxide-blocked cross-linked tetrameric hemoglobin |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010507679A true JP2010507679A (ja) | 2010-03-11 |
JP2010507679A5 JP2010507679A5 (ja) | 2011-12-08 |
Family
ID=39325230
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009534747A Withdrawn JP2010507679A (ja) | 2006-10-23 | 2007-10-03 | 酸化窒素ブロック型架橋四量体ヘモグロビン |
Country Status (9)
Country | Link |
---|---|
US (3) | US7504377B2 (ja) |
EP (1) | EP2094292B1 (ja) |
JP (1) | JP2010507679A (ja) |
KR (1) | KR20090120453A (ja) |
AU (1) | AU2007309303A1 (ja) |
CA (1) | CA2667332A1 (ja) |
DK (1) | DK2094292T3 (ja) |
IL (1) | IL198216A0 (ja) |
WO (1) | WO2008051689A2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012006910A (ja) * | 2010-06-23 | 2012-01-12 | Bing Lou Wong | 熱安定性酸素キャリアを含有する医薬組成物の調製方法 |
JP2012526859A (ja) * | 2010-05-27 | 2012-11-01 | ビン・ロウ・ウォン | 高温安定性酸素担体を含む医薬組成物の製造方法およびその使用 |
JP2019089789A (ja) * | 2012-03-29 | 2019-06-13 | ウィリアム・シンドラーWilliam Schindler | ジアスピリン架橋pegヘモグロビン |
JP2020533416A (ja) * | 2017-09-12 | 2020-11-19 | メディカル・テクノロジー・アソシエイツ・ザ・セカンド・インコーポレイテッドMedical Technology Associates Ii, Inc. | エンドトキシンフリーヘモグロビン系薬物物質を製造するためのシステム及び方法、並びに、エンドトキシンフリータンパク質の精製方法 |
Families Citing this family (21)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7494974B2 (en) * | 2006-10-24 | 2009-02-24 | Ikor, Inc. | Carboxymethylated cross-linked tetrameric hemoglobin |
US7504377B2 (en) * | 2006-10-23 | 2009-03-17 | Ikor, Inc. | Nitric oxide-blocked cross-linked tetrameric hemoglobin |
US7975699B2 (en) * | 2007-10-30 | 2011-07-12 | The Invention Science Fund I, Llc | Condoms configured to facilitate release of nitric oxide |
US20090110933A1 (en) * | 2007-10-30 | 2009-04-30 | Searete Llc, A Limited Liability Corporation Of The State Of Delaware | Systems and devices related to nitric oxide releasing materials |
US20110190604A1 (en) * | 2006-12-22 | 2011-08-04 | Hyde Roderick A | Nitric oxide sensors and systems |
US20110182970A1 (en) * | 2007-10-30 | 2011-07-28 | Hyde Roderick A | Nitric oxide sensors and systems |
US20090112055A1 (en) * | 2007-10-30 | 2009-04-30 | Searete Llc, A Limited Liability Corporation Of The State Of Delaware | Sleeves configured to facilitate release of nitric oxide |
US8980332B2 (en) | 2007-10-30 | 2015-03-17 | The Invention Science Fund I, Llc | Methods and systems for use of photolyzable nitric oxide donors |
US20090112193A1 (en) * | 2007-10-30 | 2009-04-30 | Searete Llc, A Limited Liability Corporation Of The State Of Delaware | Systems and devices that utilize photolyzable nitric oxide donors |
US8877508B2 (en) * | 2007-10-30 | 2014-11-04 | The Invention Science Fund I, Llc | Devices and systems that deliver nitric oxide |
EP2564204B1 (en) * | 2010-04-27 | 2016-11-09 | Samir Sofer | Immune and oxygen system measuring and drug screening apparatus |
US20110319332A1 (en) * | 2010-06-23 | 2011-12-29 | Bing Lou Wong | Treatment methods using a heat stable oxygen carrier-containing pharmaceutical composition |
US8048856B1 (en) | 2010-06-23 | 2011-11-01 | Billion King, Ltd. | Treatment methods using a heat stable oxygen carrier-containing pharmaceutical composition |
US8084581B1 (en) | 2011-04-29 | 2011-12-27 | Bing Lou Wong | Method for removing unmodified hemoglobin from cross-linked hemoglobin solutions including polymeric hemoglobin with a high temperature short time heat treatment apparatus |
US20130052232A1 (en) * | 2011-08-31 | 2013-02-28 | Bing Lou Wong | Method for the preparation of a heat stable oxygen carrier-containing composition facilating beta-beta cross-linking |
US20130274245A1 (en) * | 2012-04-11 | 2013-10-17 | Jan BLUMENSTEIN | Composition For Prevention of Vasoactivity in the Treatment of Blood Loss and Anemia |
CN109475511A (zh) * | 2016-05-19 | 2019-03-15 | 高等教育联邦系统-匹兹堡大学 | 还原态氧载体及其用于治疗碳氧血红蛋白血症的用途 |
AU2018304174A1 (en) | 2017-07-18 | 2020-02-06 | VirTech Bio, Inc. | Blood substitutes comprising hemoglobin and methods of making |
CN110146646A (zh) * | 2019-06-21 | 2019-08-20 | 辛星 | 一种全自动氟氯测定仪 |
CA3149234A1 (en) * | 2019-08-29 | 2021-03-04 | Kwok Chu Butt | Thiosuccinyl-crosslinked hemoglobin analogs and methods of use and preparation thereof |
US11857605B2 (en) * | 2021-03-01 | 2024-01-02 | Billion King International Limited | Thiosuccinyl-crosslinked hemoglobin conjugates and methods of use and preparation thereof |
Family Cites Families (41)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4727027A (en) * | 1983-05-02 | 1988-02-23 | Diamond Scientific Co. | Photochemical decontamination treatment of whole blood or blood components |
US4473494A (en) * | 1983-05-04 | 1984-09-25 | The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Army | Preparation of stroma-free, non-heme protein-free hemoglobin |
US4529719A (en) * | 1983-05-04 | 1985-07-16 | Tye Ross W | Modified crosslinked stroma-free tetrameric hemoglobin |
GB8328917D0 (en) * | 1983-10-28 | 1983-11-30 | Fisons Plc | Blood substitute |
US5281579A (en) * | 1984-03-23 | 1994-01-25 | Baxter International Inc. | Purified virus-free hemoglobin solutions and method for making same |
DE3675588D1 (de) * | 1985-06-19 | 1990-12-20 | Ajinomoto Kk | Haemoglobin, das an ein poly(alkenylenoxid) gebunden ist. |
US5084558A (en) * | 1987-10-13 | 1992-01-28 | Biopure Corporation | Extra pure semi-synthetic blood substitute |
US5753616A (en) * | 1986-11-10 | 1998-05-19 | Biopure Corporation | Method for producing a stable polymerized hemoglobin blood-substitute |
US5189146A (en) * | 1987-05-05 | 1993-02-23 | Her Majesty The Queen In Right Of Canada, As Represented By The Minister Of National Defence | Pasteurizable, freeze-driable hemoglobin-based blood substitute |
US5449759A (en) * | 1987-05-16 | 1995-09-12 | Somatogen, Inc. | Hemoglobins with intersubunit desulfide bonds |
GB8711614D0 (en) * | 1987-05-16 | 1987-06-24 | Medical Res Council | Proteins |
US5594113A (en) * | 1988-06-23 | 1997-01-14 | Associates Of Cape Cod, Inc. | Endotoxin binding and neutralizing protein and uses thereof |
US5599907A (en) * | 1989-05-10 | 1997-02-04 | Somatogen, Inc. | Production and use of multimeric hemoglobins |
ES2204926T3 (es) | 1989-05-10 | 2004-05-01 | Baxter Biotech Technology S. .R.L. | Procedimiento de preparacion de hemoglobina y derivados de hemoglobina a partir de manipulacion de bacterias y levaduras. |
US5844090A (en) * | 1994-05-09 | 1998-12-01 | Somatogen, Inc. | Modified hemoglobin-like compounds |
US5386014A (en) * | 1989-11-22 | 1995-01-31 | Enzon, Inc. | Chemically modified hemoglobin as an effective, stable, non-immunogenic red blood cell substitute |
US5234903A (en) * | 1989-11-22 | 1993-08-10 | Enzon, Inc. | Chemically modified hemoglobin as an effective, stable non-immunogenic red blood cell substitute |
SE9001378D0 (sv) * | 1990-04-18 | 1990-04-18 | Kabivitrum Ab | A method for the preparation of pyridoxylated hemoglobin |
DK0495047T3 (da) | 1990-08-06 | 1995-12-27 | Baxter Int | Stabil hæmoglobinbaseret komposition og fremgangsmåde til opbevaring deraf |
US5352773A (en) * | 1990-08-06 | 1994-10-04 | Baxter International Inc. | Stable hemoglobin based composition and method to store same |
WO1992008478A1 (en) | 1990-11-20 | 1992-05-29 | Enzon, Inc. | Method of enhancing long-term storage stability of hemoglobin products |
EP0668909B1 (en) | 1990-12-20 | 2001-10-10 | The University Of Alabama Research Foundation | Transgenic, cross-linked hemoglobin |
JPH06508035A (ja) | 1991-06-14 | 1994-09-14 | ディーエヌエックス コーポレーション | トランスジェニックブタにおけるヒトヘモグロビンの生産 |
EP0611306B1 (en) | 1991-11-08 | 1998-07-08 | Somatogen, Inc. | Hemoglobins as drug delivery agents |
US5290919A (en) * | 1992-08-28 | 1994-03-01 | The University Of Maryland Baltimore | Hemoglobin intramolecularly cross-linked with trivalent reagents |
DK145092D0 (ja) * | 1992-12-03 | 1992-12-03 | Novo Nordisk As | |
WO1994021682A1 (en) * | 1993-03-16 | 1994-09-29 | Hemosol Inc. | Selective crosslinking of hemoglobins by oxidized, ring-opened saccharides |
SE9301581D0 (sv) | 1993-05-07 | 1993-05-07 | Kabi Pharmacia Ab | Protein formulation |
IS4198A (is) * | 1993-08-13 | 1995-02-14 | Somatogen, Inc | Meðferð vegna aukaverkana sem tengjast gjöf á utanfrumublóðrauða |
US5840701A (en) * | 1993-08-16 | 1998-11-24 | Hsia; Jen-Chang | Compositions and methods utilizing nitroxides in combination with biocompatible macromolecules |
TW381022B (en) * | 1993-08-16 | 2000-02-01 | Hsia Jen Chang | Compositions and methods utilizing nitroxides to avoid oxygen toxicity, particularly in stabilized, polymerized, conjugated, or encapsulated hemoglobin used as a red cell substitute |
WO1995021179A1 (de) * | 1994-02-07 | 1995-08-10 | Qiagen Gmbh | Verfahren zur abreicherung oder entfernung von endotoxinen |
US5929031A (en) * | 1995-05-02 | 1999-07-27 | Baxter Biotech Technology Sarl | Storage stable hemoglobin solutions |
US6627738B2 (en) * | 1995-09-15 | 2003-09-30 | Duke University | No-modified hemoglobins and uses therefor |
US5733869A (en) * | 1995-10-06 | 1998-03-31 | Baxter International, Inc. | Therapeutic administration of hemoglobin in cardiac arrest |
AU7529796A (en) * | 1995-11-13 | 1997-06-05 | Brigham And Women's Hospital | S-nitroso-hemoglobin and therapeutic uses thereof |
US6894150B1 (en) * | 1999-10-01 | 2005-05-17 | Ross Walden Tye | Non-pyrogenic, endotoxin-free, stroma-free tetrameric hemoglobin |
AU2002320628A1 (en) * | 2001-07-19 | 2003-03-03 | Albert Einstein College Of Medecine Of Yeshiva University | Size enhanced hemoglobins: surface decoration and crosslinking of the protein with polyoxy akylene glycols |
US20030153491A1 (en) * | 2002-01-11 | 2003-08-14 | Winslow Robert M. | Methods and compositions for oxygen transport comprising a high oxygen affinity modified hemoglobin |
US7504377B2 (en) | 2006-10-23 | 2009-03-17 | Ikor, Inc. | Nitric oxide-blocked cross-linked tetrameric hemoglobin |
US7494974B2 (en) * | 2006-10-24 | 2009-02-24 | Ikor, Inc. | Carboxymethylated cross-linked tetrameric hemoglobin |
-
2007
- 2007-03-01 US US11/713,195 patent/US7504377B2/en not_active Expired - Fee Related
- 2007-10-03 WO PCT/US2007/080337 patent/WO2008051689A2/en active Application Filing
- 2007-10-03 DK DK07843765.4T patent/DK2094292T3/da active
- 2007-10-03 KR KR1020097010566A patent/KR20090120453A/ko not_active Application Discontinuation
- 2007-10-03 AU AU2007309303A patent/AU2007309303A1/en not_active Abandoned
- 2007-10-03 CA CA002667332A patent/CA2667332A1/en not_active Abandoned
- 2007-10-03 JP JP2009534747A patent/JP2010507679A/ja not_active Withdrawn
- 2007-10-03 EP EP07843765.4A patent/EP2094292B1/en not_active Revoked
-
2008
- 2008-10-10 US US12/287,558 patent/US8129338B2/en not_active Expired - Fee Related
-
2009
- 2009-04-19 IL IL198216A patent/IL198216A0/en unknown
-
2012
- 2012-03-06 US US13/412,620 patent/US20120220529A1/en not_active Abandoned
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012526859A (ja) * | 2010-05-27 | 2012-11-01 | ビン・ロウ・ウォン | 高温安定性酸素担体を含む医薬組成物の製造方法およびその使用 |
JP2012006910A (ja) * | 2010-06-23 | 2012-01-12 | Bing Lou Wong | 熱安定性酸素キャリアを含有する医薬組成物の調製方法 |
JP2019089789A (ja) * | 2012-03-29 | 2019-06-13 | ウィリアム・シンドラーWilliam Schindler | ジアスピリン架橋pegヘモグロビン |
JP2020533416A (ja) * | 2017-09-12 | 2020-11-19 | メディカル・テクノロジー・アソシエイツ・ザ・セカンド・インコーポレイテッドMedical Technology Associates Ii, Inc. | エンドトキシンフリーヘモグロビン系薬物物質を製造するためのシステム及び方法、並びに、エンドトキシンフリータンパク質の精製方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2008051689A2 (en) | 2008-05-02 |
US20080096805A1 (en) | 2008-04-24 |
EP2094292A4 (en) | 2011-11-30 |
US20120220529A1 (en) | 2012-08-30 |
AU2007309303A1 (en) | 2008-05-02 |
EP2094292B1 (en) | 2014-07-09 |
IL198216A0 (en) | 2011-08-01 |
EP2094292A2 (en) | 2009-09-02 |
DK2094292T3 (da) | 2014-10-13 |
WO2008051689A3 (en) | 2008-12-11 |
US20100035797A1 (en) | 2010-02-11 |
CA2667332A1 (en) | 2008-05-02 |
US7504377B2 (en) | 2009-03-17 |
KR20090120453A (ko) | 2009-11-24 |
US8129338B2 (en) | 2012-03-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2010507679A (ja) | 酸化窒素ブロック型架橋四量体ヘモグロビン | |
US7494974B2 (en) | Carboxymethylated cross-linked tetrameric hemoglobin | |
RU2475252C1 (ru) | Способ приготовления лекарственного препарата, содержащего переносчик кислорода, стабильного при высоких температурах, и его применение | |
Riess | Oxygen carriers (“blood substitutes”) raison d'être, chemistry, and some physiology blut ist ein ganz besondrer saft | |
KR100964604B1 (ko) | 산소 친화도가 높은 개질된 헤모글로빈을 포함하는 산소 전달용 조성물 및 방법 | |
AU2011201619B8 (en) | A method for the preparation of a heat stable oxygen carrier-containing pharmaceutical composition | |
JP6148673B2 (ja) | β‐β架橋を容易にする熱安定性酸素担体含有組成物の調製方法 | |
US20110319332A1 (en) | Treatment methods using a heat stable oxygen carrier-containing pharmaceutical composition | |
US8048856B1 (en) | Treatment methods using a heat stable oxygen carrier-containing pharmaceutical composition | |
US8742073B2 (en) | Method for the preparation of a high-temperature stable oxygen-carrier-containing pharmaceutical composition and the use thereof | |
KR20070069154A (ko) | 산소 운반 조성물을 사용하여 혈역학적 안정성을향상시키는 방법 | |
CN101168565A (zh) | 一氧化氮阻断的交联四聚体血红蛋白 | |
US20110319858A1 (en) | Method for the preparation of a heat stable oxygen carrier-containing pharmaceutical compositions and the use thereof |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20101004 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20101004 |
|
A072 | Dismissal of procedure [no reply to invitation to correct request for examination] |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A073 Effective date: 20120214 |
|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20120306 |