JP2016179716A - 制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハイブリッド車両に搭載される制御装置であって、走行中において蓄電装置の蓄電率が低下し過ぎてしまうことを防止することのできる制御装置を提供する。【解決手段】この制御装置10は、エンジン110とモーター150、及び当該モーター150に電力を供給する蓄電装置160、を備えた車両HCに搭載される制御装置であって、蓄電装置160における蓄電率(SOC)を計測する蓄電率計測部11と、回生制御を行う回生制御部12と、を備える。回生制御は、エンジン110における駆動力の発生が停止している間に、蓄電率が所定の下限値SCLを下回ることが無いように行われる。【選択図】図1

Description

本発明は、ハイブリッド車両に搭載される制御装置に関する。
内燃機関と回転電機の両方を備え、それぞれの駆動力によって走行することのできるハイブリッド車両が開発されており、既にその普及が始まっている。ハイブリッド車両では、制動時において生じた回生電力を蓄電装置に蓄えておき、当該電力を後の走行に利用することができる。つまり、制動時に蓄えられた運動エネルギーを、走行のために再利用することが可能となっている。このため、従来の車両に比べて高い燃費性能を実現することができる。
しかしながら、回転電機において回生電力を発生させる際には、どうしても電力の損失が生じてしまう。このため、ハイブリッド車両の走行状態によっては、上記のように回生電力を蓄えておくような制御を行うことが、燃費性能を向上させるための最良の手段ではない場合もある。
例えば、走行速度の変化が比較的緩やかとなるような状況においては、回生電力を生じさせて蓄えるよりも、コースティング制御を行った方が、燃費性能をより向上させることができる場合がある。コースティング制御とは、内燃機関における駆動力の発生を停止させた状態で、ハイブリッド車両を惰性で走行させる制御である(例えば、下記特許文献1を参照)。
コースティング制御が行われているときには、車両の運動エネルギー及び位置エネルギーが、車両の走行のために直接利用されることとなる。更に、内燃機関のアイドリングによる無駄な燃料の消費もなくなる。従って、コースティング制御を適切に実施することで、ハイブリッド車両の燃費性能をさらに向上させることができる。
許第4079077号
ところで、コースティング制御が行われているときにおいても、ハイブリッド車両が備える各種補機(例えばエアコンやヘッドライト等の電力使用機器)では電力が消費される。このとき、内燃機関は停止した状態なので、発電機は駆動されず、発電機から蓄電装置への電力の供給は行われない。その結果、コースティング制御が行われている間は、補機の電力消費に伴い、蓄電装置の蓄電率(SOC)が次第に低下して行くこととなる。
蓄電装置の蓄電率が低下し過ぎてしまうのは好ましくない。このため、コースティング制御中において蓄電率が所定の下限値に到達した場合には、内燃機関を強制的に駆動させて、発電機から蓄電装置への電力供給を行わなければならない。この場合には、ハイブリッド車両の燃費性能は抑制されてしまうこととなる。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハイブリッド車両に搭載される制御装置であって、走行中において蓄電装置の蓄電率が低下し過ぎてしまうことを防止することのできる制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る制御装置は、内燃機関と回転電機、及び当該回転電機に電力を供給する蓄電装置、を備えたハイブリッド車両に搭載される制御装置であって、蓄電装置における蓄電率を計測する蓄電率計測部と、回転電機で回生電力を発生させ、当該回生電力を蓄電装置に供給する制御である回生制御を行う回生制御部と、を備える。回生制御は、内燃機関における駆動力の発生が停止している間に、蓄電率が所定の閾値を下回ることが無いように行われる。
このような制御装置では、回生制御部による回生制御が、内燃機関の停止中に蓄電率が所定の閾値を下回ることが無いように行われる。例えば、回生制御が開始されるタイミングや実行期間の長さ、及び回生制御中における回生電力の目標値等のそれぞれが、蓄電率を閾値以上に保つための適切な値に設定される。
これにより、蓄電率の低下に伴う内燃機関の強制的な駆動がコースティング制御中に生じることを防止することができ、ハイブリッド車両の燃費性能を向上させることができる。
本発明によれば、ハイブリッド車両に搭載される制御装置であって、走行中において蓄電装置の蓄電率が低下し過ぎてしまうことを防止することのできる制御装置が提供される。
本発明の実施形態に係る制御装置、及び、当該制御装置を搭載した車両の構成を模式的に示す図である。 コースティング制御中における車両の状態変化を示すグラフである。 制御装置で実行される処理の流れを示すフローチャートである。 車両に搭載された蓄電装置の、蓄電率の変化を示すグラフである。 制御装置で実行される処理の流れを示すフローチャートである。 車両に搭載された蓄電装置の、蓄電率の変化を示すグラフである。 制御装置で実行される処理の流れを示すフローチャートである。 車両におけるモーター回転数の変化と、蓄電装置の蓄電率の変化を示すグラフである。 モーターの回生効率について説明するためのグラフである。 コースティング制御中における回生電力の変化を示すグラフである。 コースティング制御中における、本発明の比較例に係る車両の状態変化を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
本発明の実施形態に係る制御装置10は、車両HCに搭載されており、当該車両HCの走行を制御するための制御装置として構成されている。制御装置10の構成や実行される制御の説明に先立ち、車両HCの構成について先ず説明する。
図1に示されるように、車両HCは、エンジン110(内燃機関)とモーター150(回転電機)とを備えており、それぞれの駆動力によって走行することが可能となっている。すなわち、車両HCは所謂ハイブリッド車両として構成されている。
エンジン110の駆動力は、変速機120及びディファレンシャル130を介して駆動輪140に伝達され、車両HCの走行力となる。尚、図1においては、車両HCが備える車輪のうち2つの駆動輪140のみが図示されており、他の車輪については図示が省略されている。
モーター150は、3相の交流電力によって駆動される回転電機である。モーター150の駆動力は、やはり変速機120及びディファレンシャル130を介して駆動輪140に伝達され、車両HCの走行力となる。尚、モーター150は、上記のように駆動力を生じさせるほか、車両HCの運動エネルギーを回生電力に変換することも可能となっている。
車両HCは、エンジン110の駆動力のみにより走行することも、モーター150の駆動力のみにより走行することもできる。また、エンジン110の駆動力とモーター150の駆動力とを同時に生じさせ、これらの駆動力によって走行することもできる。
車両HCは、モーター150に電力を供給するための構成として、蓄電装置160と、インバータ170とを備えている。蓄電装置160は、モーター150に供給される電力を蓄えておくための装置であって、蓄電池(バッテリ)及び蓄電池の充放電を制御する制御回路を内部に備えている。
インバータ170は、蓄電装置160から出力された直流電力を3相の交流電力に変換し、モーター150に供給するための電力変換器である。また、インバータ170は、モーター150で生じた回生電力を直流電力に変換して、蓄電装置160に供給することも可能となっている。インバータ170の動作(電力変換)は、制御装置10によって制御される。
図1に示される補機180は、車両HCに搭載される電力消費機器のうち、比較的消費電力の大きいもの(例えばエアコン等)の一群を単一のブロックとして示したものである。蓄電装置160に蓄えられた電力は、補機180に対しても供給され消費される。
蓄電装置160と補機180とを繋ぐ電力経路の途中には、電流計181と、電圧計182が備えられている。電流計181は、補機180に供給される電力の電流を計測するためのセンサである。電圧計182は、補機180に供給される電力の電圧を計測するためのセンサである。電流計181で計測された電流値、及び電圧計182で計測された電圧値は、それぞれ制御装置10に入力される。
蓄電装置160に対する電力の供給は、モーター150からインバータ170を介して行われるほか、発電機190からも行われる。発電機190は、エンジン110の駆動力によって発電を行う装置である。発電機190で発電された電力は、蓄電装置160に供給され蓄えられる。また、発電機190で発電された電力を補機180に直接供給することも可能となっている。
図1に示される補機210は、車両HCに搭載される電力消費機器のうち、比較的消費電力の小さいもの(例えばヘッドライト等)の一群を単一のブロックとして示したものである。
車両HCは、補機210に電力を供給するための構成として、コンバータ200と、バッテリ220とを備えている。コンバータ200は、発電機190で発電された電力、又は蓄電装置160から出力された電力を、電圧変換して補機210に供給するための電力変換器である。バッテリ220は、補機210に対する電力供給を補助的に行うための蓄電池である。
コンバータ200と補機210とを繋ぐ電力経路の途中には、電流計211と、電圧計212が備えられている。電流計211は、補機210に供給される電力の電流を計測するためのセンサである。電圧計212は、補機210に供給される電力の電圧を計測するためのセンサである。電流計211で計測された電流値、及び電圧計212で計測された電圧値は、それぞれ制御装置10に入力される。
制御装置10の構成について説明する。制御装置10は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェースを備えたコンピュータシステムとして構成されている。制御装置10は、機能的な制御ブロックとして、蓄電率計測部11と、回生制御部12とを備えている。
蓄電率計測部11は、蓄電装置160の制御回路と通信を行うことにより、蓄電装置160におけるSOC(蓄電率)を計測する部分である。蓄電率計測部11は、現時点におけるSOCの値を、所定の周期で繰り返し計測している。
回生制御部12は、モーター150で回生電力を発生させ、当該回生電力を蓄電装置160に供給する制御(以下、このような制御を「回生制御」とも称する)を行う部分である。回生制御部12は、インバータ170におけるスイッチング動作等を制御することにより、モーター150から取り出される回生電力の大きさ等を調整する。
車両HCには、既に説明した電流計181や電圧計182の他、各種のセンサが配置されている。制御装置10には、それぞれのセンサの測定値が入力されている。例えば、エンジン110のクランクシャフトの回転数(以下、「エンジン回転数」とも称する)や、モーター150のモーターシャフトの回転数(以下、「モーター回転数」とも称する)等が、それぞれセンサにより測定され、制御装置10に入力されている。
制御装置10で実行される制御について説明する前に、本発明の比較例(従来例)に係る制御装置で実行されていた制御について、図11を参照しながら説明する。
尚、この場合の制御対象である車両の構成は、図1に示された車両HCの構成と同一である。従って、当該車両についても以下では「車両HC」と表記する。また、車両HCを構成する各装置(蓄電装置160など)についても、図1に示されたものと同一の符号を付して表記する。
図11(A)は、車両HCの走行速度(以下、「車速」という)の変化を示すグラフである。図11(B)は、エンジン回転数の変化を示すグラフである。図11(C)は、蓄電装置160におけるSOCの変化を示すグラフである。図11(D)は、補機180及び補機210で消費される電力の合計(以下、「補機電力」と称する)の変化を示すグラフである。図11(E)は、モーター150で生じ蓄電装置160に供給される回生電力の変化を示すグラフである。
図11に示される例では、時刻t10までの期間においては、車両HCではエンジン110の運転が行われており、車両HCはエンジン110の駆動力によって走行している。このとき、車速は概ね一定の速度V0となっており(図11(A))、エンジン回転数も一定の値R0となっている(図11(B))。
また、蓄電装置160に蓄えられた電力は補機180等により消費されるのであるが、時刻t10以前では発電機190による発電が行われ、当該発電による電力が蓄電装置160に供給されている。このため、蓄電装置160のSOCは概ね一定の値SC0となっている(図11(C))。
補機電力は、図11(D)に示される期間の全体において一定(値PA0)であるとする。また、モーター150においては回生電力が生じておらず、回生電力の値は常に0であるとする。
時刻t10から時刻t20までの期間においては、車両HCの燃費性能を向上させる(燃費を低減する)ためにコースティング制御が実行される。コースティング制御とは、エンジン110における駆動力の発生を停止させた状態で、車両HCを惰性で走行させる制御である。本実施形態におけるコースティング制御は、車両HCの車速が、予め設定された下限値VLとなるまで継続される。つまり、図2の時刻t20は、車両HCの車速が下限値VLまで低下したときの時刻である。尚、コースティング制御は、本比較例に係る制御装置とは別のECU(不図示)によって実行されるのであるが、本比較例に係る制御装置で実行されてもよい。
時刻t10以降においては、回生電力は0であり、回生に伴う制動力は生じていないので、車両HCは惰性による走行を続けることができる。ただし、車両HCは路面からの抵抗力や空気抵抗を受けるので、車速は速度V0から次第に低下して行く(図11(A))。
エンジン110は停止しているので、時刻t10以降におけるエンジン回転数は0となっている(図11(B))。また、エンジン110の停止に伴い、発電機190による発電も停止した状態となっている。このため、補機180等の電力消費により、蓄電装置160のSOCは値SC0から次第に低下して行く(図11(C))。
蓄電装置160のSOCが低下し過ぎてしまうことは好ましくない。そこで、SOCについては下限値SCLが設定されており、SOCが下限値SCLを下回ることのないように制御が行われる。具体的には、SOCが低下して当該下限値SCLとなった場合には、停止していたエンジン110を強制的に駆動させ、発電機190による発電を開始するような制御が実行される。
図11に示される例では、時刻t16において、SOCが下限値SCLまで低下している(図11(C))。このため、時刻t16以降は、エンジン110が強制的に駆動された状態となっており、その回転数が再び値R0となっている(図11(B))。また、蓄電装置160には発電機190で発電された電力が供給されるので、蓄電装置160のSOCは次第に上昇していく(図11(C))。
このように、図11に示される比較例においては、燃費性能を向上させるためにコースティング制御が行われるのであるが、蓄電装置160のSOCの低下に伴い、途中でエンジン110を強制的に駆動させる必要が生じている。時刻t16以降においてはエンジン110で燃料が消費されてしまうこととなるので、車両HCの燃費性能は抑制されてしまうこととなる。
以上に説明したような従来の問題点を解決するために、本実施形態に係る制御装置10では、エンジン110が停止している状態において回生制御部12が回生制御を行い、これにより蓄電装置160におけるSOCの低下を抑制することとしている。回生制御の概要について、図2を参照しながら説明する。尚、図2の各グラフに示されているそれぞれの項目(車速やエンジン回転数等)は、図11の各グラフに示されているそれぞれの項目と同じである。
図2に示される例、すなわち、本実施形態に係る制御装置10による制御が行われる場合の例でも、時刻t10までの期間においては、車両HCはエンジン110の駆動力によって走行している。このとき、車速は概ね一定の速度V0となっており(図2(A))、エンジン回転数も一定の値R0となっている(図2(B))。つまり、時刻t10までの期間においては、車両HCの状態は図11に示されたものと同一となっている。
時刻t10においてエンジン110が停止されると、制御装置10(回生制御部12)は、同時にモーター150において一定の回生電力(値PR0)を発生させている(図2(E))。すなわち、回生制御を開始している。図2の例は、この点において図11の例と異なっている。
図2の例でも、時刻t10以降において車速は次第に低下して行く(図2(A))。モーター150で上記のような回生電力が生じていることにより、車速の低下速度は、図11(A)に示される場合よりも僅かに大きくなっている。図2(A)に示される点線DLは、図11(A)のグラフと同一形状の点線である。
モーター150で生じた回生電力は、蓄電装置160に供給されている。このため、回生制御が開始された時刻t10以降は、蓄電装置160のSOCは次第に上昇していく。その後、SOCが、予め定められた目標値SC1まで上昇すると、回生制御が停止される(時刻t15)。尚、目標値SC1を定めるための具体的な方法については後述する。
回生制御が停止された時刻t15以降は、蓄電装置160のSOCは次第に低下して行く。しかしながら、SOCは目標値SC1まで一旦上昇しているので、エンジン110の駆動力が再び生じる(コースティング制御が終了する)時刻t20におけるSOCは、下限値SCLよりも大きい。換言すれば、エンジン110が停止している期間においてSOCが下限値SCLを下回ることの無いように、車速が高いときにおいて回生制御部12による回生制御が行われている。このため、図11の例のように、コースティング制御中にエンジン110が強制的に駆動されてしまうことがなく、その結果車両HCの燃費性能が抑制されてしまうことはない。
図3を主に参照しながら、制御装置10で実行される具体的な処理内容について説明する。図3に示される処理は、制御装置10により所定の周期で繰り返し実行されている。
最初のステップS01では、減速中の消費電力量、すなわち、エンジン110が停止している時刻t10から時刻t20までの期間(減速中)において、補機180及び補機210で消費されるであろう電力量の合計(以下、「補機電力量」とも称する)が算出される。
減速中の消費電力量を算出する方法の例について、図4を参照しながら説明する。図4には、回生制御が仮に行われなかったとした場合における、蓄電装置160のSOCの変化が示されている。この場合、図11(C)のグラフと同様に、SOCは値SC0から次第に低下して行く。ここで、コースティング制御が終了する直前(時刻t20)におけるSOCの値を「値SC2」とする
既に述べたように、時刻t10以降におけるSOCの低下は、補機電力が消費されることにより生じるものである。従って、ステップS01で算出される「減速中の消費電力量」は、値SC0から値SC2を差し引いて得られるSOCの減少量を、蓄電装置160から出力(放電)される電力量に換算したものに等しい。
本実施形態では、このようなSOCの減少量を予め算出(予測)し、当該減少量を電力量に換算することにより「減速中の消費電力量」を算出する。
SOCの減少量の算出は、例えば、時刻t10以降におけるSOCの変化率(サンプリング周期毎のSOCの変化量を、サンプリング周期で除したもの)に対し、エンジン110が停止していると予測される期間の長さを掛けることにより行われる。尚、ここでいう「エンジン110が停止していると予測される期間の長さ」とは、時刻t10における車速(V0)が、下限値VLまで低下するのに要すると予測される時間のことである。当該時間を算出するためには車両HCの減速度が必要であるが、当該減速度は、車両HCの重量や、走行抵抗の値等に基づいて求めることが可能である。
図3に戻って説明を続ける。ステップS01に続くステップS02では、閾電力量が算出される。閾電力量とは、仮に回生制御が行われないとした場合において、エンジン110が停止した時刻t10以降、エンジン110が強制的に駆動されるまでの間に消費される補機電力量のことである。
このような閾電力量は、時刻t10におけるSOC(値SC0)から下限値SCLを差し引き、これにより得られた値を、蓄電装置160から出力(放電)される電力量に換算することにより算出することができる。
ステップS02に続くステップS03では、減速中の消費電力量が、閾電力量よりも大きいか否かが判定される。減速中の消費電力量が閾電力量よりも大きい場合には、ステップS04に移行する。減速中の消費電力量が閾電力量以下である場合には、エンジン110が停止している期間(時刻t10から時刻t20まで)に、SOCが下限値SCLまで低下することはなく、エンジン110の強制的な駆動が行われることはない。このため、回生制御を行うことなく、図3に示される一連の処理を終了する。
このように、制御装置10では、回生制御を実行するか否かの判定が、減速中の消費電力量と、閾電力量とに基づいて行われる。これらはいずれも、車速の変化である減速度や、SOCの実測値に基づいて算出される電力量である。従って、回生制御を実行するか否かの判定は、車速及びSOCに基づいて行われる、ということができる。
ステップS04では、目標電力量が算出される。目標電力量とは、蓄電装置160に供給すべき回生電力の電力量のことである。本実施形態では、エンジン110の強制的な駆動を回避するために必要かつ最低限の電力量が、目標電力量として算出される。具体的には、減速中の消費電力量から閾電力量を差し引いて得られる電力量が、目標電力量として算出される(図4を参照)。
つまり、目標電力量は、減速中の消費電力量と、閾電力量とに基づいて算出される。これらはいずれも、車速の変化である減速度や、SOCの実測値に基づいて算出される電力量である。従って、目標電力量は車速及びSOCに基づいて算出される、ということができる。算出された目標電力量は、回生制御における電力量の目標値として設定される。
ステップS04に続くステップS05では、回生制御によってSOCを上昇させる際の目標値、すなわち、既に説明した目標値SC1の値が設定される。目標値SC1の値は、例えば、ステップS04で算出された目標電力量をSOCの上昇量に換算し、当該上昇量を、時刻t10におけるSOCの値(SC0)に加算することで算出される。
ステップS05に続くステップS06では、回生制御が実行される。回生制御において、制御装置10(回生制御部12)により行われる具体的な処理内容の一例を、図5及び図6を参照しながら説明する。
図5は、回生制御のために行われる処理の流れを示されるフローチャートである。図5に示される一連の処理は、回生制御部12により所定の周期で繰り返し実行される。図6(A)は、回生制御が行われている期間(時刻t10以降の期間)における、SOCの変化の例を示すグラフである。図6(B)は、時刻t10におけるSOCが目標値SC1よりも大きかった場合における、SOCの変化の例を示すグラフである。
図5に示される最初のステップS11では、現時点におけるSOCが、目標値SC1以下であるか否かが判定される。SOCが目標値SC1以下である場合には、ステップS12に移行する。
ステップS12では、ステップS11の判定処理が行われたのが、時刻t10以降における初回であったか否かが判定される。初回であれば、ステップS13に移行する。ステップS13では、モーター150からの回生電力の取出し(つまり回生制御)が行われる。
ステップS12において、ステップS11の判定処理が行われたのが初回でなかった場合、すなわち、時刻t10以降、既にステップS11の処理が2回以上行われていたのであれば、ステップS14に移行する。
ステップS14では、図5に示される一連の処理が前回実行されたときにおいて、モーター150からの回生電力の取出しが行われたかどうか(ステップS13の処理が行われたかどうか)が判定される。前回も回生電力の取出しが行われていた場合には、ステップS13に移行する。すなわち、モーター150からの回生電力の取出しが今回も継続される。
ステップS14において、前回は回生電力の取出しが行われていなかった場合には、ステップS15に移行する。ステップS15では、回生電力の取出しが停止される。この場合は、回生電力の取出しが停止されている状態が継続される。ステップS11において、SOCが目標値SC1を超えている場合にも、ステップS15に移行する。
例えば図6(A)のように、時刻t10の時点におけるSOCが目標値SC1よりも低い場合には、ステップS11、ステップS12、ステップS13の処理が順に行われて、モーター150からの回生電力の取出しが開始される。これにより、SOCは次第に上昇し、目標値SC1に近づいて行く。
次回以降は、ステップS11、ステップS12、ステップS14、ステップS13の処理が順に実行されて、モーター150からの回生電力の取出しが継続される。回生電力の取出しは、SOCが目標値SC1に到達するまで継続されることとなる。
SOCが上昇して目標値SC1以上になると、ステップS11、ステップS15の処理が順に行われて、モーター150からの回生電力の取出しが停止される(図6の時刻t15)。これにより、SOCは次第に低下して行き、再び目標値SC1よりも低い値となる。以降は、ステップS11、ステップS12、ステップS14、ステップS15の処理が順に行われて、モーター150からの回生電力の取出しが停止している状態が継続される。
ところで、時刻t10の時点で、SOCが既に目標値SC1よりも大きい場合には、初回にはステップS11、ステップS15の処理が順に行われ、モーター150からの回生電力の取出しは行われない。また、次回以降においては、ステップS11、ステップS12、ステップS14、ステップS15の処理が順に行われ、やはりモーター150からの回生電力の取出しは行われない。
その結果、図6(B)に示されるように、SOCは上昇することなく低下し続けることとなる。しかしながら、この場合には、SOCが下限値SCLまで低下することはないため、時刻t20よりも前にエンジン110の強制的な駆動が行われることはない。
図3のステップS06で行われる回生制御の更に具体的な処理内容について、図7乃至図9を参照しながら説明する。図7は、モーター150からの回生電力の取出を開始するタイミングを決定するための一連の処理を示すフローチャートである。
最初のステップS21では、SOCが、予め定められた値SCH以下であるか否かが判定される。SOCが値SCH以下であれば、ステップS22に移行する。ステップS22では、図2等を参照しながらこれまで説明した処理と同様に、エンジン110が停止し車両HCが減速し始めると同時(時刻t10)に、モーター150からの回生電力の取出しが開始される。
ステップS21において、SOCが値SCHを超えていればステップS23に移行する。ステップS23では、モーター回転数が所定の回転数MRTまで低下するのを待ってから、モーター150からの回生電力の取出しが開始される。
図8には、このときのモーター回転数、及びSOCの変化がそれぞれ示されている。図8(A)はモーター回転数の変化を示すグラフであり、図8(B)はSOCの変化を示すグラフである。
時刻t10の時点でSOCが値SCHを超えており、且つモーター回転数が回転数MRTを超えている場合には、上記のように、モーター150からの回生電力の取出しは直ちには開始されない。時刻t10以降は、車速が次第に低下して行くことに伴い、モーター回転数も次第に低下して行く。また、補機180及び補機210における電力消費に伴い、SOCも次第に低下して行く。
その後、モーター回転数が回転数MRT以下になると、この時点(時刻t17)で、モーター150からの回生電力の取出しが開始される。これにより、時刻t17以降はSOCが上昇する。既に述べたように、回生電力の取出しはSOCが目標値SC1となるまで継続される。
図9には、モーター回転数と、回生電力の発生効率(以下、「回生効率」と称する)との関係が示されている。図9に示されるそれぞれの線(G1、G2、G3、G4)は、回生電力の値(電力値)を一定としたときにおける、モーター回転数と回生効率との関係を示すグラフである。線G1は、回生電力の値が比較的大きい場合のグラフであり、線G4は、回生電力の値が比較的小さい場合のグラフである。
図9の各グラフに示されるように、回生効率は、モーター回転数が所定の回転数となったところで最大となる。本実施形態では、回生効率が最大となるようなモーター回転数の値が、回転数MRTとして設定されている。図9に示される、モーター回転数と回生効率との関係は、制御装置10が備える記憶装置に予め記憶されている。
つまり、図7のステップS23で行われる処理は、エンジン110における駆動力の発生を停止させた後、回生効率が最も高くなる値(MRT)までモーター回転数が低下したタイミングで、モーター150からの回生電力の取出しを開始する処理、ということができる。ただし、SOCが所定の閾値(SCH)以下である場合には、エンジン110における駆動力の発生を停止させると同時(時刻t10)に、モーター150からの回生電力の取出しが開始される。
モーター150からの回生電力の取出しを開始する際のモーター回転数(MRT)が上記のように決まると、回生制御時における回生電力値(単位:ワット)も決まることとなる。また、回生制御時における目標電力量は、図3のステップS04で既に算出されている。
このため、目標電力量と回生電力値に基づけば、回生制御を行うべき時間(以下、「回生時間」とも称する)を算出することができる。例えば、回生時間が経過するまでにおける回生電力値の積分値が、目標電力量に等しいことを示す方程式を、回生時間について解けばよい。
以上のように、本実施形態に係る制御装置10では、回生制御の実行タイミング、実行期間(回生時間)、及び回生電力値がそれぞれ適切に設定される。その結果、エンジン110の強制的な駆動を回避しながら、より効率の高い回生電力の回収を行うことが可能となっている。
図2(E)を参照しながら説明したように、制御装置10では、回生制御中における回生電力の値PR0は、当初から常に一定の値(回生電力値)とされている。
このような態様に替えて、回生制御が開始された直後においては、回生電力の値が徐々に増加するように調整されてもよい。図10のグラフには、このように回生電力の値を変化させる例が示されている。
図10の例では、コースティング制御が開始される時刻t10になると、回生制御部12が行う制御により、モーター150において回生電力が発生し始める。ただし、その時の回生電力の値PR1は、最終的な目標値(回生電力値)である値PR0よりも(絶対値において)小さくなっている。その後、時間が経過するに従って回生電力の値(絶対値)は次第に大きくなり、時刻t10よりも後の時刻t11において値PR0となる。つまり、モーター150から取り出される回生電力の値(又は回生トルクの値)が当初は制限されており、当該制限が徐々に解除されている。
回生電力の値がこのように変化するように調整されることにより、車両HCの運転者に違和感を与えることなく、回生電力を発生させることが可能となる。
時刻t10における回生電力の値PR1、及び、回生電力が値PR1からPR0となるまでに要する時間の長さは、それぞれ運転者に違和感を与えることのない適切な値となるよう、調整されることが望ましい。尚、時刻t10における回生電力の値PR1は、0であってもよい。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
10:制御装置
11:蓄電率計測部
12:回生制御部
HC:車両
110:エンジン
150:モーター
160:蓄電装置
180,210:補機

Claims (6)

  1. 内燃機関(110)と回転電機(150)、及び当該回転電機に電力を供給する蓄電装置(160)、を備えたハイブリッド車両(HC)に搭載される制御装置(10)であって、
    前記蓄電装置における蓄電率を計測する蓄電率計測部(11)と、
    前記回転電機で回生電力を発生させ、当該回生電力を前記蓄電装置に供給する制御である回生制御を行う回生制御部(12)と、を備え、
    前記回生制御は、
    前記内燃機関における駆動力の発生が停止している間に、前記蓄電率が所定の閾値(SCL)を下回ることが無いように行われることを特徴とする制御装置。
  2. 前記回生制御を実行するか否かの判定が、前記ハイブリッド車両の走行速度、及び前記蓄電率に基づいて行われることを特徴とする、請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記回生電力の電力量の目標値である目標電力量が、前記ハイブリッド車両の走行速度、及び前記蓄電率に基づいて算出されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の制御装置。
  4. 前記内燃機関における駆動力の発生を停止させた後、
    前記回転電機の回転数が、前記回生電力の発生効率が最も高くなる回転数(MRT)まで低下したタイミングで、前記回生制御が開始されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の制御装置。
  5. 前記蓄電率が所定の閾値(SCH)以下である場合には、前記内燃機関における駆動力の発生を停止させると同時に前記回生制御が開始されることを特徴とする、請求項4に記載の制御装置。
  6. 前記回生制御が開始された直後においては、前記回生電力の大きさが徐々に大きくされることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の制御装置。
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