(実施形態1)
以下では、本実施形態の電気機器の収納装置10について、図1ないし図4を参照しながら説明する。本実施形態の電気機器の収納装置10に収納される電気機器は、電力変換装置9とも称する。電力変換装置9は、図5および図6を用いて説明する。図中においては、同じ部材に対し、同じ番号を付して重複する説明を省略する。各図面が示す部材の大きさや位置関係は、説明を明確にするために誇張していることがある。以下の説明において、本実施形態を構成する各要素は、複数の要素を一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、一の部材の機能を複数の部材で分担して実現してもよい。
本実施形態の電気機器の収納装置10は、図1ないし図4に示すように、ケース1と、カバー2と、固定具3と、を備えている。ケース1は、建屋内の壁材50aに埋め込まれる。カバー2は、ケース1に取り付けられる。固定具3は、箱状の電力変換装置9における前面9aaが壁材50aの壁面50aaより前方に突出するように、電力変換装置9をケース1の内部に固定する。カバー2は、正面視において、第1開口部2aaを介して、鉛直方向の上方に配置される第2開口部2baと、鉛直方向の下方に配置される第3開口部2caとが、設けられている。第1開口部2aaは、電力変換装置9の前面9aaを露出させる。ケース1は、箱状の電力変換装置9における鉛直方向の上方、下方および背面9ab側と、ケース1の内壁面1ccとの間に通風路10aを形成する。ケース1は、第2開口部2baと第3開口部2caとに通風路10aが連なるように構成されている。ケース1は、直流電力を交流電力に電力変換させるスイッチング素子9a1の熱を放熱させるヒートシンク9d(図3を参照)を背面9ab側に有する電力変換装置9の背面9abと対向する内壁面1ccに、防音材1mを有している。
本実施形態の電気機器の収納装置10は、建屋内の壁材50aに埋め込まれるケース1が、電力変換装置9の背面9abと対向する内壁面1ccに防音材1mを有していることで、スイッチング素子9a1の動作で生ずる動作音を低減させることができる。
最初に、本実施形態の電気機器の収納装置10に収納される電力変換装置9について、図5および図6を用いて簡単に説明する。
電力変換装置9は、太陽電池51からの直流電力を、所定の交流電力に電力変換する。太陽電池51は、複数の太陽電池モジュールを並べたアレイ状の構造としている。電力変換装置9は、電力変換した交流電力を分電盤12に出力する。電力変換装置9は、分電盤12を介して、たとえば、照明器具、テレビジョンなどの負荷機器に交流電力を供給できるように構成されている。電力変換装置9は、分電盤12を介して、交流電力を電力系統へ逆潮流させることができる。この場合、太陽電池51で発電された電力の内、建屋内の負荷機器で消費されなかった余剰電力が売電されることになる。電力変換装置9は、太陽電池51と電気的に接続させる構成だけに限られず、蓄電池ユニット、風力発電設備、燃料電池システムなどの直流電源設備と電気的に接続する構成としてもよい。
尚、電力変換装置9から出力される交流電力を分電盤12へ出力せず直接電力系統へ逆潮流させて太陽電池51の発電電力の全量を売電するように構成することもできる。
電力変換装置9は、内部に電力変換器9zを収納する箱体9cを備えている。電力変換器9zは、図6に示す、第1のノイズフィルタ部9sと、昇圧回路部9iと、インバータ回路部9pと、制御部9bと、ローパスフィルタ回路部9rと、第2のノイズフィルタ部9tと、系統接続部9uとを備えている。電力変換器9zは、さらに、表示部9kと、直流スイッチ9eと、ACコンセント9fと、直流用リアクトル9gと、平滑コンデンサ9qと、を有している。
箱体9cは、正面パネル9c1と、背面パネル9c2と、平面パネル9c3と、底面パネル9c4と、第1側面パネル9c5と、第2側面パネル9c6とによって、内部が空洞な直方体状の外形形状をしている。正面パネル9c1は、外部に表示部9kを露出させる露出孔9ceが設けられている。表示部9kは、太陽電池51が発電した発電電力量の表示を行うことができるように、制御部9bと電気的に接続されている。底面パネル9c4は、第1通気孔9caと第1通気スリット9cbとが厚み方向に貫通するように形成されている。平面パネル9c3は、第2通気孔9ccと第2通気スリット9cdとが厚み方向に貫通するように形成されている。背面パネル9c2には、螺子により、ヒートシンク9dが固定されている。ヒートシンク9dは、複数の平板状のフィン9d1が並んで設けられている。複数のフィン9d1は、鉛直方向に沿って、延びるように配置される。第1側面パネル9c5には、直流スイッチ9eと、ACコンセント9fと、が設けられている。直流スイッチ9eは、太陽電池51との電気的な接続をオンとオフとで切り替える。たとえば、電力変換装置9のメンテナンスを行う場合、直流スイッチ9eは、太陽電池51との電気的な接続をオフにすることができる。ACコンセント9fは、たとえば、商用交流電源の停電時において、電力変換装置9から直接に交流電力を出力できるように構成されている。箱体9cの内部には、昇圧回路部9iやインバータ回路部9pと電気的に接続される端子台9wが設けられている。端子台9wは、直流電力を入力する端子と、交流電力を出力する端子とを有している。底面パネル9c4は、端子台9wと電気的に接続させる配線を挿通させるため、底面パネル9c4の厚み方向に貫通する貫通孔を、ノックアウトで形成できる溝9cnを有している。
制御部9bは、複数の電子部品が実装された第1基板9m1を用いて構成されている。第1基板9m1は、直流電力を交流電力に電力変換するため、直流用リアクトル9gと交流用リアクトル9hとスイッチング素子9a1とを電気的に接続させて、昇圧回路部9iやインバータ回路部9pやローパスフィルタ回路部9rを構成している。スイッチング素子9a1は、第2基板9m2に実装され、スイッチング部9aを構成している。第2基板9m2は、ヒートシンク9d上に配置されている。ヒートシンク9dは、スイッチング素子9a1のオンの時に生ずる熱をフィン9d1から放熱できるように構成されている。第1基板9m1と第2基板9m2とは、所定の間隔を隔てて、配置されている。表示部9kは、第3基板9m3を用いて構成されている。第3基板9m3は、板状のシャーシ9vに配置される。
電力変換器9zは、第1のノイズフィルタ部9sを介して入力された太陽電池51からの直流電力を、昇圧回路部9iに入力させる。第1のノイズフィルタ部9sは、直流電力のノイズを低減させるコモンモードフィルタを用いることができる。昇圧回路部9iは、太陽電池51からの直流電力の電圧を昇圧する。昇圧回路部9iは、DC/DCコンバータを構成している。DC/DCコンバータは、スイッチング素子9a1と、直流用リアクトル9gと、平滑コンデンサ9qと、を備えたチョッパー型の昇圧回路である。スイッチング素子9a1のオンとオフの動作により直流用リアクトル9gに電流が断続的に流れ、この直流用リアクトル9gの巻き線が振動する。昇圧回路部9iで電圧が昇圧された直流電力は、インバータ回路部9pに入力される。インバータ回路部9pは、昇圧回路部9iが電圧を昇圧した直流電力を交流電力に電力変換する。インバータ回路部9pは、制御部9bによりオンとオフとの動作が制御された複数のスイッチング素子9a1の組み合わせで、入力された直流電力を周期的にチョッピングして疑似正弦波を生成する。インバータ回路部9pは、ローパスフィルタ回路部9rを介して、第2のノイズフィルタ部9tと電気的に接続されている。ローパスフィルタ回路部9rは、2つの交流用リアクトル9hと、フィルター用コンデンサ9jとで構成されている。電力変換器9zは、インバータ回路部9pからの疑似正弦波の高周波成分を、ローパスフィルタ回路部9rで減衰または取り除いて、正弦波状の交流電力を得ることができる。電力変換器9zでは、インバータ回路部9pでの直流電力のチョッピングにより、交流用リアクトル9hに断続的に電流が流れ、交流用リアクトル9hの巻き線が振動する。第2のノイズフィルタ部9tは、交流電力のノイズを低減させるコモンモードフィルタを用いることができる。第2のノイズフィルタ部9tは、系統接続部9uと電気的に接続されている。系統接続部9uは、複数のリレー9u1を備えている。系統接続部9uは、分電盤12を介して、系統側となる商用交流電源と太陽電池51との電気的な接続と遮断とを行うことができるように構成されている。
制御部9bは、昇圧回路部9iとインバータ回路部9pとを制御して、太陽電池51からの直流電力を所定の交流電力に電力変換させる。所定の交流電力は、たとえば、商用交流電源の商用交流電力と同じ周波数を有し、商用交流電力と同期可能な交流電力が挙げられる。昇圧回路部9iやインバータ回路部9pは、主として、第1基板9m1、第2基板9m2や第3基板9m3に実装された電子部品を用いて構成することができる。昇圧回路部9iやインバータ回路部9pには、スイッチング素子として、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が用いられている。昇圧回路部9iやインバータ回路部9pは、たとえば、電力用半導体素子であるIPM(Intelligent Power Module)で構成することができる。
ところで、電力変換装置9は、スイッチング素子9a1の動作に伴って生じた熱を、ヒートシンク9dを介して放熱される。電力変換装置9は、鉛直方向の下側の第1通気スリット9cbから入った空気が、ヒートシンク9dのフィン9d1の長手方向に沿って流れ、鉛直方向の上側の第2通気スリット9cdから外へ出るように構成されている。
本実施形態の電気機器の収納装置10では、ヒートシンク9dのフィン9d1の長手方向に沿って、鉛直方向の下方から鉛直方向の上方に空気が流れるように、カバー2に設けた第3開口部2caから第2開口部2baに空気を放出させることができる。図3に示す点線の矢印の向きは、空気の流れる方向を例示している。
電力変換装置9は、直流電力を交流電力に電力変換する場合、インバータ回路部9pのスイッチング素子9a1のオンとオフとを動作させる際の周波数を高くすれば、疑似正弦波の分解能が高くなり、電力変換された交流電力の正弦波に対する波形歪が小さくなる。電力変換装置9は、周波数の高周波化にともない、より正弦波に近い高品質の交流電力を出力することができる。電力変換装置9は、スイッチング素子9a1のオンとオフとを動作させる際の周波数を高くする場合、スイッチング素子9a1のオンとオフとの回数が増加することで、スイッチングロスが増加する傾向にある。電力変換装置9では、スイッチング素子9a1のスイッチング周波数が20kHzまで高くなると、スイッチングロスに伴う電力変換効率の低下が生ずる傾向にある。電力変換装置9は、波形歪の大きさとスイッチングロスの大きさとがトレードオフの関係にあることから、波形歪とスイッチングロスとの兼ね合いを考慮して、できるだけ高いスイッチング周波数が選択される傾向にある。
電力変換装置9では、スイッチング素子9a1を動作させる周波数に応じて、交流用リアクトル9hに電流が断続的に流れる。電力変換装置9は、電流の増減で交流用リアクトル9hなどが振動する。電力変換装置9は、交流用リアクトル9hが取り付けられる箱体9cが、交流用リアクトル9hの振動に共鳴し、周囲に高周波音となって放出される場合がある。
特に、電力変換装置9は、スイッチング素子9a1の高性能化に伴うスイッチングロスの減少で、スイッチング素子9a1のオンとオフとを動作させる周波数をより高くさせる傾向にある。電力変換装置9は、電力変換効率が大きく低下しない程度にスイッチング素子9a1のオンとオフとの動作の周波数を高くさせる場合、電力変換に伴って、一般にモスキート音と称される高周波音が発生する場合がある。モスキート音は、人に不快感を与える場合がある。電力変換装置9では、たとえば、15kHzの周波数あたりからモスキート音が発生する場合がある。電力変換装置9では、およそ17kHzの周波数のモスキート音が顕著に表れることもある。高調波は、20kHzの周波数を超えると可聴域を超えるので人には聞き取れない傾向にある。本実施形態の電気機器の収納装置10は、建屋内の壁材50aに電力変換装置9を埋め込ませることで、壁材50aの壁面50aaに電力変換装置9が取り付けられる場合と比較して、人に高周波音による不快感を生じさせることを少なくさせることができる。
電気機器の収納装置10は、壁材50aに埋め込まれたケース1に電力変換装置9を取り付けることで、電力変換装置9のスイッチング素子9a1の動作に伴う高周波音の放射を抑制することができる。電力変換装置9は、背面9ab側にヒートシンク9dが設けられており、このヒートシンク9dが交流用リアクトル9hの振動に共鳴し基本的に背面9ab側から音が出てくる傾向にある。電気機器の収納装置10は、スイッチング素子9a1のスイッチングする周波数で生ずる高周波音を低減させる防音材1mをケース1の内壁面1ccに設けることで、電力変換装置9で生ずる高周波音を低減させることができる。
本実施形態の電気機器の収納装置10では、電力変換装置9から高周波音が出てくる背面9ab側に対応して防音材1mが設けられていることにより、電力変換装置9の騒音を小さくさせることができる。
以下では、本実施形態の電気機器の収納装置10における各構成について説明する。
ケース1は、図1ないし図3に示すように、背板1aと、第1側板1bと、第2側板1cと、平板1dと、底板1eと、を有している。背板1aは、正面視において、長方形状としている。ケース1は、長方形状の背板1aにおける対向する長辺から、平板1dと、底板1eと、が突出するように設けられている。ケース1は、長方形状の背板1aにおける対向する短辺から、第1側板1bと、第2側板1cと、が突出するように設けられている。ケース1は、背板1aと第1側板1bと第2側板1cと平板1dと底板1eとで、有底角筒状の外形形状をしている。ケース1は、金属板の折り曲げ加工によって、形成することができる。ケース1は、それぞれ平板状に形成された、背板1a、第1側板1b、第2側板1c、平板1dや底板1eを、溶接や螺子止めなどにより一体的な構造に形成してもよい。ケース1の材料としては、たとえば、板金やステンレスを用いることができる。ケース1の材料は、これらに限られず、アルミニウム合金などの金属材料を用いることができる。ケース1の材料は、金属材料だけに限られず、樹脂材料を用いてもよい。
ケース1は、台座部1fを有していることが好ましい。台座部1fは、底板1eと、平板1dとにそれぞれ対向して設けられている。台座部1fは、長尺板状の外形形状をしている。台座部1fは、背板1a側から開口1aa側に向かって延びるように設けられている。台座部1fは、底板1eや平板1dに溶接などで固定されている。台座部1fは、ケース1の奥行き方向に沿って、所定の間隔で、複数の螺子孔が設けられている。台座部1fは、固定具3の保持板4を取り付けることができるように構成されている。
ケース1は、電力変換装置9の背面9abと対向する背板1aの表面に、防音材1mを設けている。ケース1は、防音材1mが背板1aにだけ設けられる構造に限られず、背板1aに加え、第1側板1bと第2側板1cと平板1dと底板1eの少なくとも1つに防音材1mが設けられていてもよい。言い換えれば、ケース1は、少なくとも電力変換装置9の背面9abと対向する内壁面1ccに防音材1mを設けていればよい。防音材1mは、電力変換装置9のスイッチング素子9a1の動作で生ずる高周波音を低減できればよい。
防音材1mとしては、吸音材と、遮音材とが挙げられる。吸音材としては、たとえば、スポンジを用いることができる。吸音材は、スポンジだけに限られず、ガラスの短繊維を綿状にしたグラスウールや玄武岩、鉄炉スラグなどに石灰などを混合して高温で溶解して生成させた人造鉱物繊維のロックウールを用いてもよい。遮音材の材料としては、たとえば、発泡ウレタンなどを利用することができる。防音材1mは、スイッチング素子9a1の動作で生じる音のうち、低減させたい周波数や音量に応じて、材質や厚みなどを適宜に調整すればよい。
ケース1は、電力変換装置9を壁材50aに埋込配置させる場合、建屋の梁50bの上に載せ置かれせることが好ましい。電力変換装置9は、たとえば、約14kgもの質量を有する場合もある。電気機器の収納装置10は、壁材50aに埋め込まれるケース1を梁50bの上に載せ置くことで、電力変換装置9の荷重を支えることが容易となる。ケース1は、固定螺子6cを用いて、梁50bに固定することができる。
カバー2は、図4に示すように、正面視において、矩形枠状の外形形状をしている。カバー2は、厚み方向に貫通する第1開口部2aaを備えている。カバー2は、第1開口部2aaから電力変換装置9の前面9aa側が外部に突出できるように構成されている。カバー2の第1開口部2aaは、正面視において、電力変換装置9の外形形状よりも若干大きく形成されている。カバー2は、螺子などを用いて、ケース1と取り外し自在に固定できるように構成されている。カバー2は、埋込穴50abの周部の壁面50aaを覆うことができるように構成されている。カバー2は、埋込穴50abの周部の壁面50aaを覆う周縁部2aを備えることで、電気機器を収納する収納装置10の見栄えを良くすることができる。カバー2は、第1開口部2aaの内周縁に電力変換装置9からの振動が伝わることを抑制する弾性材を設けてもよい。カバー2は、樹脂を用いて形成することができる。カバー2の材料は、樹脂材料だけに限られず、焼き付け塗装した鉄、ステンレスなどの金属材料を用いてもよい。
固定具3は、保持板4と、取付板5と、を備えている。保持板4は、平板1dと、底板1eとに渡って、取り付けられる。保持板4は、長板4aと、第1突出板4bと、第2突出板4cと、を備えている。長板4aは、長尺板状の外形形状をしている。第1突出板4bは、長板4aの一端部から長板4aと直交する方向に沿って突出している。第2突出板4cは、長板4aの一端部と反対の他端部から長板4aと直交する方向に沿って突出している。第1突出板4bと第2突出板4cとは、長板4aから同じ方向に突出しており、対向して配置されている。第1突出板4bは、厚み方向に貫通する第1貫通孔を備えている。第2突出板4cは、厚み方向に貫通する第2貫通孔を備えている。保持板4は、ケース1の台座部1fに固定される。保持板4は、ボルト6aを第1突出板4bの第1貫通孔に挿通させて、台座部1fの螺子孔に螺子止めできるように構成されている。保持板4は、第1突出板4bとは別途に、ボルト6aを第2突出板4cの第2貫通孔に挿通させて、台座部1fの螺子孔に螺子止めできるように構成されている。一対の保持板4は、ケース1の内壁面1ccと平行に鉛直方向に沿って配置されている。
取付板5は、主部5aと、引掛部5bと、固定部5cと、を備えている。主部5aは、矩形平板状の外形形状をしている。主部5aは、正面視において、長方形の長手方向の一辺に沿って、2つの引掛部5bが配置されている。引掛部5bは、図3に示すように、側面視において、主部5aからL字状に突出している。取付板5は、厚み方向に貫通するビス穴が主部5aに設けられている。取付板5は、主部5aのビス穴に挿通させた取付螺子6bを保持板4に螺子止めすることで、取付板5と保持板4とを固定している。取付板5は、引掛部5bの先端が鉛直方向の上向きとなるように、保持板4に取り付けられる。主部5aは、正面視において、引掛部5bが突出す長方形の一辺と対向する長手方向の一辺の端部に固定部5cを突出させている。固定部5cは、主部5aの表面と直交する取付板5の厚み方向に沿って突出している。言い換えれば、固定部5cは、ケース1に挿入される電力変換装置9に向かって突出する平板状の外形形状をしている。固定部5cは、電力変換装置9と固定するための螺子孔5c1を備えている。固定部5cは、電力変換装置9の穴部に取付板5の引掛部5bを引き掛けた後、固定部5cと電力変換装置9とを螺子止めすることで、電力変換装置9を取付板5に取り付けることができるように構成されている。
電力変換装置9は、ケース1に設けた取付板5に取り付けることで固定される。電力変換装置9は、エアコンディショナなどと比較して、重量が大きい。ケース1や取付板5は、電力変換装置9の荷重に耐えられるように形成されていることが好ましい。
電力変換装置9は、ケース1が埋め込まれる、壁材50aの厚みと、電力変換装置9の重心との位置関係から壁面50aaの前方に突出させる突出位置に限界がある。交流用リアクトル9hは、周波数50Hzまたは60Hzの低周波数の交流に対して、高周波のチョッピングノイズが取り除けるようなローパスフィルタ回路部9rを構成するため、比較的リアクタンスが大きい。直流用リアクトル9gおよび交流用リアクトル9hは、電力変換装置9の中で専有容積が大きく、電力変換装置9を構成する部品の中で、比較的に重い傾向にある。直流用リアクトル9gおよび交流用リアクトル9hは、電力変換装置9の出力が4kW〜6kW程度の場合、2〜3kg程度の重量を有している場合がある。電気機器の収納装置10は、たとえば、直流用リアクトル9gや交流用リアクトル9hなどの重量物の重心がケース1の内部に収まるように、電力変換装置9を配置することが好ましい。
本実施形態の電気機器の収納装置10では、固定具3は、ケース1の前後方向に沿ったケース1の所定の位置に固定可能に構成されている。固定具3は、電力変換装置9を引っ掛けて保持できることが好ましい。
電気機器の収納装置10は、固定具3がケース1の前後方向に沿ったケース1の所定の位置に固定可能に構成されていることで、ケース1に対する電力変換装置9の相対的な位置を、電力変換装置9の重心がケース1の内部になる位置に設けることができる。
電気機器の収納装置10は、取付板5をケース1の背板1a側に設けると、収納される電力変換装置9によっては、電力変換装置9の背面9abとケース1との間に通風路10aのスペースを十分に確保できない場合もある。電気機器の収納装置10は、固定具3がケース1の前後方向に沿ったケース1の所定位置に固定可能に構成させることで、電力変換装置9の厚みや構造にかかわらず、ケース1の背板1aから離間して取付板5を取り付けることができる。すなわち、電気機器の収納装置10は、電力変換装置9の内部にヒートシンク9dを備えた構成だけでなく、背面9abから後方にフィン9d1が突出する電力変換装置9にも利用することができる。電気機器の収納装置10は、電力変換装置9の背面9abから後方へ突出するフィン9d1を備えている場合、背面9abとケース1の内壁面1ccとの間に通風路10aが形成される。電気機器の収納装置10は、電力変換装置9の内部にヒートシンク9dを備える場合、主として、電力変換装置9の内部に通風路10aの一部が形成される。電力変換装置9の背面9ab側とケース1の内壁面1ccとの間に形成される通風路10aは、内部にヒートシンク9dを備える電力変換装置9内の背面9ab側の通風路だけに限られない。電力変換装置9の背面9ab側とケース1の内壁面1ccとの間に形成される通風路10aとは、外部にヒートシンク9dを備える電力変換装置9の外側の通風路も含む意味である。
電気機器の収納装置10は、固定具3がケース1の前後方向に沿ったケース1の所定位置に固定可能に構成されることで、壁面50aaから部分的に突出させた電力変換装置9を半埋込状態でケース1に取り付けることができる。電気機器の収納装置10は、固定具3がケース1の前後方向に沿ったケース1の所定位置に固定可能に構成させることで、突出した電力変換装置9の側面に、直流スイッチ9eと、ACコンセント9fとが露出できるように、固定具3の位置を調整できる。
以下では、電気機器の収納装置10の設置工程について説明する。
電気機器の収納装置10の設置工程では、電力変換装置9が分電盤12と並んで配置できるように、壁材50aに予め埋込穴50abが設けられる。ケース1は、分電盤12と並ぶように、電力変換装置9を壁面50aaに配置することができる。電力変換装置9は、電力変換した交流電力を分電盤12に出力するため、電力変換装置9と分電盤12とを並べて配置することにより、電力変換装置9と分電盤12とを接続する配線の距離を短くすることができる。
壁材50aの埋込穴50abは、正面視において、ケース1の外形形状より若干大きな矩形状としている。埋込穴50abは、建造物の梁50bの上にケース1が載せ置かれる位置に設けられている。ケース1には、太陽電池51からの直流電力が入力される配線と、分電盤12へ交流電力を出力させる配線とを、ケース1の内部に引き込む貫通口を、たとえば、平板1dの厚み方向に適宜に貫通されていればよい。設置工程では、配線をケース1の内部に挿入させた状態で、壁材50aに設けられた埋込穴50abに収納される。ケース1は、底板1eの貫通孔1eaを貫通する固定螺子6cにより梁50bに固定される。
次に、設置工程では、電力変換装置9を固定具3に取り付ける。ケース1には、予め固定具3が取り付けられている。ケース1は、ボルト6aにより、保持板4が台座部1fに固定されている。保持板4は、ケース1の前後方向に沿った適宜の位置にボルト6aにより固定される。保持板4には、取付螺子6bにより取付板5が取り付けられる。電力変換装置9は、取付板5の引掛部5bを、電力変換装置9の背面9abに設けた穴部に挿通させて、取付板5に引っ掛けられる。
設置工程では、取付板5の引掛部5bに電力変換装置9を引っ掛けた後、電力変換装置9の箱体9cの内部において、螺子を固定部5cの螺子孔5c1に螺子止めさせる。設置工程では、平板1dの貫通口から内部に引き込ませた配線と、ケース1に収納される電力変換装置9とが電気的に接続される。
設置工程では、固定具3に固定した電力変換装置9の前面9aa側からケース1にカバー2を被せるように配置する。電力変換装置9は、カバー2の第1開口部2aaから突出するようにカバー2が被せられる。ケース1とカバー2とは、螺子などで固定することができる。ケース1とカバー2とは、嵌め合わせて固定してもよい。電力変換装置9は、壁面50aaからの突出量が壁面50aaに設けた分電盤12の厚みと略一致するように、予め固定具3を調整してケース1に配置させている。電気機器の収納装置10は、壁面50aaから突出する電力変換装置9の突出量と、分電盤12の壁面50aaからの厚みとが略一致するように固定具3の位置を調整することで、分電盤12と電力変換装置9との見栄えがよく見えるように設置できる。
本実施形態の電気機器の収納装置10は、電力変換装置9の背面9abと対向する収納装置10のケース1の内壁面1ccに防音材1mを備えることで、電力変換装置9で生ずる動作音を低減させることが可能となる。
(実施形態2)
図7に示す本実施形態の電気機器の収納装置10は、実施形態1の収納装置10に電力変換装置9を強制的に冷却可能な送風機7を備えた点が相違する。
本実施形態の電気機器の収納装置10は、図7に示すように、通風路10aに空気を送風する送風機7を備えている。送風機7は、図8に示すように、翼と、翼を駆動させる駆動部7bと、駆動部7bを制御する駆動制御部7cと、ケース1内の温度を検出する温度センサ7aと、を有している。駆動制御部7cは、温度センサ7aが検出したケース1内の温度が所定の値以上の場合、駆動部7bを動作させるように構成されている。
本実施形態の電気機器の収納装置10は、通風路10aに空気を送風する送風機7を備えた構成とすることで、電力変換装置9を強制的に冷却することができる。
電力変換装置9は、壁材50aに埋め込まれたケース1に固定されることで、見栄えを良くすることができるものの、電力変換に伴って生ずる熱がケース1内にこもる場合がある。電力変換装置9は、ケース1の内部に熱がこもると、電力変換効率が低下する虞がある。
電気機器の収納装置10は、通風路10aに空気を送風する送風機7を備えることで、電力変換装置9を強制的に冷却させて、電力変換効率の低下を抑制することができる。電力変換装置9は、直流電力から交流電力への電力変換効率が、たとえば、95%以上にできる場合もあるが、送風機7の駆動電力の消費に伴い電力変換装置9の電力変換効率が1%以上も低下するおそれもある。本実施形態の電気機器の収納装置10は、温度センサ7aが検出したケース1内の温度が所定の値以上の場合に、駆動部7bを動作させることで、電力変換装置9から送風機7に給電させても、電力変換装置9の電力変換効率が低下することを抑制できる。
送風機7は、カバー2に取り付けることができる。送風機7は、カバー2に取り付ける構成だけに限られず、ケース1に取り付けてもよいし、電力変換装置9に取り付けてもよい。温度センサ7aは、たとえば、サーミスタなどの感温素子を備えた構成とすることができる。駆動部7bは、翼を駆動させるモータを用いることができる。駆動制御部7cは、比較部を備えている。駆動制御部7cは、コンピュータなどによって適宜に構成することができる。送風機7は、駆動制御部7cを動作させる動作プログラムなどを記憶させた記憶部7dを有している。記憶部7dは、駆動部7bを駆動させるケース1内の所定の温度が記憶されていてもよい。駆動制御部7cは、温度センサ7aで検知されたケース1内の温度が予め記憶部7dに記憶させている所定の温度よりも大きいか小さいかを比較部で検出する。駆動制御部7cは、ケース1内の温度が予め設定された所定の温度よりも大きい場合、駆動部7bを駆動させる。送風機7は、駆動部7bの駆動により翼を回転させて、フィン9d1を冷却するようにケース1の通風路10aに強制的に送風する。送風機7は、電力変換装置9から給電するように電気的に接続させてもよいし、分電盤12から電力が給電できるように構成されていてもよい。電気機器の収納装置10では、たとえば、電力変換装置9の出力が、たとえば、5.5kW程度と大きい場合、送風機7により強制的に冷却させることが好ましい。
送風機7は、クロスフローファンを用いることができる。クロスフローファンは、翼として、羽根車7fを備えている。クロスフローファンは、羽根車7f内を通り抜ける貫流により、羽根車7fの円周に沿って空気を送風することができる。電気機器の収納装置10は、クロスフローファンを用いることで、電力変換装置9とケース1の内壁面1ccとの隙間を小さくすることができる。電気機器の収納装置10では、たとえば、直径が3cm程度の羽根車7fを備えたクロスフローファンを用いることができる。電気機器の収納装置10は、送風機7から強制的に送風させることで、スイッチング素子9a1で生じた熱を、通風路10aを通してケース1の外部に排熱させて電力変換効率の低下を抑制させることが可能となる。
クロスフローファンは、羽根車7fと、ケーシング7eとを備えている。羽根車7fは、多数の前方湾曲翼7f1を持った延伸型の外形形状をしている。前方湾曲翼7f1は、ブレードが湾曲した所定の角度となっている。ケーシング7eは、羽根車7fを囲むように構成される。クロスフローファンは、羽根車7fの外周における一方の側となる第2通気スリット9cdから空気を流入させ、羽根車7f内を流して再び羽根車7fの反対側の第2開口部2baから出す。クロスフローファンは、正面視において、電力変換装置9の第2通気スリット9cdが設けられた領域より若干長い羽根車7fを備えた構成とすることで、通風効率を高めることが可能となる。クロスフローファンは、遠心ファンや軸流ファンと比較して、羽根車7fの外径を小さくできるものの、比較的に音が大きくなる傾向にある。
送風機7は、電力変換装置9とケース1との間にスペースを十分に確保できる場合、クロスフローファンだけに限られず、プロペラファン、ブロワを用いることもできる。プロペラファンは、プロペラの回転により、回転軸方向に送風することができる。ブロワは、円筒状に配したランナーの遠心力により、回転軸と垂直方向に沿った旋回流で送風することができる。
本実施形態の電気機器の収納装置10では、送風機7の駆動に伴う駆動音を、ケース1とカバー2と電力変換装置9との間に閉じ込めやすくさせ、防音材1mを用いることで、より静音性を高めることも可能となる。