JP2016176877A - 光学式センサおよび光学式センサを用いた測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】センサチップに励起光を長期間連続照射を行なえる光学式センサを提供する。
【解決手段】センサチップ140に励起光を照射して測定を行なう光学式センサ150であって、センサチップの退色を防ぐ為に励起光の照射スポットを、センサチップの領域内で移動させる移動制御部153を備える。
【選択図】図1
【解決手段】センサチップ140に励起光を照射して測定を行なう光学式センサ150であって、センサチップの退色を防ぐ為に励起光の照射スポットを、センサチップの領域内で移動させる移動制御部153を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、センサチップに励起光を照射して測定を行なう光学式センサおよび光学式センサを用いた測定方法に関する。
医薬製造等における細胞培養工程においては、培養液のpH、培養液中の溶存酸素濃度、栄養成分濃度、培養液温度等を細胞の育成に最適な条件に維持するために、これらの値を継続的に測定することが重要である。
細胞培養を行なう培養容器としては、ガラス製フラスコまたはステンレス製タンクが一般的であったが、近年ではシングルユースの細胞培養バッグが広く用いられるようになっている。細胞培養バッグは、滅菌された状態で市販されており、取り扱いが容易、ガス透過性が高い、効率の良い高密度培養が可能等の特性を有している。
培養液を対象とした測定について、細胞培養バッグ内の培養液のpH測定を例に図8を参照して説明する。ここでは、光学式のpHセンサを用いるものとする。
光学的にpHを測定する場合には、pH測定用のセンサチップを培養液中に配置しておく。そして、励起光をセンサチップに照射し、センサチップから発せられる燐光または蛍光を受光する。培養液のpH値に応じて、受光信号の位相が励起光の位相より遅れ、また受光信号の強度が減少するため、照射する励起光を、正弦波等で変調し、受光信号の位相遅れあるいは強度を測定することで、培養液中のpH値を得ることができる。
本図において、細胞培養バッグ310には、培地である培養液320が収容されている。また、細胞培養バッグ310には培養液320中の酸素濃度分布等を均一にするために撹拌翼330が用いられており、モータにより所定の回転速度で回転している。
細胞培養バッグ310の内側には、pH測定用のセンサチップ340が貼付されている。光学式センサ350は、信号処理部351と光学系352とを備えており、光学系352は、正弦波等で変調した励起光をセンサチップ340に照射する励起光学系と、センサチップ340が発する燐光または蛍光を受光し電気信号に変換する受光光学系とを含んでいる。信号処理部351は、受光光学系から取得した電気信号に対して所定の信号処理を行ない、pH値に対応した電気信号に変換する。
本図の例では、酸素濃度分布等を均一にするために、撹拌翼330を用いているが、図9に示すように、揺動駆動機構410を用いて培養液を収容した細胞培養容器400を揺らしたり、図10に示すように、回転駆動機構430を用いて細胞培養容器410を回転させることで、酸素濃度分布等を均一化することも行なわれている。前者はウェーブ方式と呼ばれ、後者はオービタルシェイク方式と呼ばれている。一般に、オービタルシェイク方式では、正回転と逆回転とが交互に行なわれる。
センサチップは、励起光の照射により退色してSN比が低下していく特性を有している。このため、センサチップに励起光を照射して測定を行なう光学式センサでは、励起光によるセンサチップの退色が問題となっている。
従来は、なるべく退色の少ない材料を選択し、励起光の波長と強度を適切に設定することで退色を回避する手法が用いられていた。しかし、長期間の細胞の培養に用いられる光学式センサ、例えば、2週間程度の動物細胞の培養に用いられるpHセンサでは、この手法を用いても退色を回避させることが困難である。このため、励起光の連続照射を行なわず、例えば、1〜5分間隔で励起光を照射して、間欠的に測定することで長期間測定におけるセンサチップの退色を防いでいる。
しかしながら、間欠的な励起光の照射では、pHの急激な変化を即座に検出することができない。このため、センサチップの退色を回避しつつ励起光の長期間連続照射を行なえる技術の開発が望まれている。
そこで、本発明は、センサチップに励起光を照射して測定を行なう光学式センサにおいて、センサチップの退色を防いで励起光の長期間連続照射を行なえるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様である光学式センサは、センサチップに励起光を照射して測定を行なう光学式センサであって、前記励起光の照射スポットを、前記センサチップの領域内で移動させる移動制御部を備えたことを特徴とする。
ここで、前記移動制御部は、前記光学式センサが取り付けられた平面制御機構を制御することで前記励起光の照射スポットを、前記センサチップの領域内で移動させることができる。
また、前記センサチップ内の照射スポット位置に応じた補正係数を取得しておき、測定値を前記補正係数により補正する信号処理部をさらに備えてもよい。
また、前記移動制御部は、前記照射スポットの軌跡が前記センサチップ内で重ならないように前記照射スポットを移動させることが望ましい。
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である光学式センサを用いた測定方法は、センサチップに励起光を照射して測定を行なう光学式センサを用いた測定方法であって、前記励起光の照射スポットを、前記センサチップの領域内で移動させるステップ、測定するステップ、を有することを特徴とする。
ここで、前記移動制御部は、前記光学式センサが取り付けられた平面制御機構を制御することで前記励起光の照射スポットを、前記センサチップの領域内で移動させることができる。
また、前記センサチップ内の照射スポット位置に応じた補正係数を取得しておき、測定値を前記補正係数により補正する信号処理部をさらに備えてもよい。
また、前記移動制御部は、前記照射スポットの軌跡が前記センサチップ内で重ならないように前記照射スポットを移動させることが望ましい。
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である光学式センサを用いた測定方法は、センサチップに励起光を照射して測定を行なう光学式センサを用いた測定方法であって、前記励起光の照射スポットを、前記センサチップの領域内で移動させるステップ、測定するステップ、を有することを特徴とする。
本発明によれば、センサチップに励起光を照射して測定を行なう光学式センサにおいて、センサチップの退色を防いで励起光の長期間連続照射を行なえるようになる。
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の光学式センサシステムの第1実施例を示す図である。本実施例では、光学センサとして、光学式のpHセンサを例に説明するが、本発明は、励起光をセンサチップに照射して測定する光学式センサ全般に適用することができる。このような光学式センサとしては、例えば、溶存酸素、グルコース、乳酸、グルタミン、グルタミン酸、アンモニア、二酸化炭素等の濃度や温度等を検出対象としたセンサが挙げられる。
本図において、細胞培養バッグ110には、培地である培養液120が収容されている。また、細胞培養バッグ110には培養液120中の酸素濃度分布等を均一にするために撹拌翼130が用いられており、モータにより所定の回転速度で回転している。細胞培養バッグ110の内側には、pH測定用のセンサチップ140が貼付されている。
光学式センサ150は、平面移動機構であるXYステージ160に取り付けられており、センサチップ140に正対する面でXY方向に移動できるようになっている。光学式センサ150は、信号処理部151と光学系152と移動制御部153とを備えている。
光学系152は、正弦波等で変調した励起光をセンサチップ140に照射する励起光学系と、センサチップ140が発する燐光または蛍光を受光し電気信号に変換する受光光学系とを含んでいる。信号処理部151は、受光光学系から取得した電気信号に対して所定の信号処理を行ない、pH値に対応した電気信号に変換する。信号処理部151と光学系152については従来と同様の構成とすることができる。
移動制御部153は、あらかじめ定められた移動スケジュールにしたがってXYステージ160を制御し、光学式センサ150を移動させる。移動スケジュールは、例えば、光学式センサ150の光学系152による照射スポットがセンサチップ140内の各領域を、予定される培養期間で移動するように定められる。
図2に一例を示すように、照射スポットの軌跡Aは、センサチップ140の領域内をなるべく重複せずに網羅できる線を描くことが望ましい。ただし、本図に示す軌跡Aは例示であり、他の形状であってもよい。
光学式センサ150は、センサチップ140に正対する面でXY方向に移動するため、光学式センサ150の光学系152とセンサチップ140との距離は、軌跡A内のいずれの位置においても一定である。
移動制御部153が制御するXYステージ160により、光学式センサ150がセンサチップ140に対して移動するため、励起光の照射スポットがセンサチップ140の特定の一点だけを照射するのではなく、照射スポットがセンサチップ140内を移動するため、長期間励起光が照射し続けることによるセンサチップ140の退色を防ぐことができる。なお、光学系152だけが移動する構成としてもよい。
図1に示す第1実施例の光学式センサシステムによれば、励起光の長期間連続照射を行なえるようになり、光学式センサの長期間連続測定が可能となる。なお、センサチップ140は、照射スポットの大きさ、照射スポットの移動速度、培養期間等に応じて適切な大きさを選択することができる。
図3は、本発明の光学式センサシステムの第2実施例を示す図である。第2実施例は、ウェーブ方式で攪拌を行なう細胞培養容器200に本発明の光学式センサシステムを適用した場合である。本図において、培養液を収容した細胞培養容器200の底面にpH測定用のセンサチップ140が貼付されている。また、細胞培養容器200は、揺動駆動機構210の揺動部分である支柱220に搭載されている。
支柱220には、さらに光学式センサ150を搭載したXYステージ160が取り付けられており、光学式センサ150からの照射光がセンサチップ140に照射するようになっている。第1実施例と同様に、光学式センサ150は、XYステージ160により、センサチップ140に正対する面でXY方向に移動できる。
センサチップ140、XYステージ160、光学式センサ150は、いずれも支柱220に搭載されているため、揺動駆動機構210により同じ動きを与えられる。従って、XYステージ160で光学式センサ150を、照射スポットがセンサチップ140内の各領域を、予定される培養期間で移動するように移動させることで、第1実施例と同じ効果を得ることができる。
図4は、本発明の光学式センサシステムの第3実施例を示す図である。第3実施例は、オービタルシェイク方式で攪拌を行なう細胞培養容器270に本発明の光学式センサシステムを適用した場合である。本図において、培養液を収容した細胞培養容器270の底面にpH測定用のセンサチップ140が貼付されている。
細胞培養容器270は、回転駆動機構280により回転する。これにより、細胞培養容器270内の培養液が撹拌される。なお、センサチップ140は、回転軸以外の底部に添付する。また、センサチップ140を貼付する細胞培養容器270の底面は、湾曲せずに平面状とする。
センサチップ140の近傍には、光学式センサ350が固定機構290により固定されている。第3実施例の光学式センサ350は、移動制御部が不要であり、従来と同様に信号処理部351と光学系352とを有していれば足りる。
第3実施例では、センサチップ140が添付された細胞培養容器270が回転するため、センサチップ140自体が移動することになる。このため、照射スポットがセンサチップ140内に収まる位置で光学式センサ150を固定機構290で固定しておくと、照射スポットは、センサチップ140上で、例えば、図5に示すような軌跡Bを描くことになる。
この結果、励起光の照射スポットがセンサチップ140の特定の一点だけを照射するのではなく、照射スポットがセンサチップ140内を移動するため、長期間励起光が照射し続けることによるセンサチップ140の退色を防ぐことができる。
ところで、上述の各実施例において、センサチップ140は、必ずしも全面で均一感度ではなく、感度分布の特性を有していることが多い。このため、同一のpH状態で、同一強度の励起光を照射しても、照射位置によって燐光や蛍光の強度が異なる場合がある。
そこで、図6に示すように、センサチップ140を複数個のブロックに区分し、信号処理部151が、ブロック単位で光量の補正を行なうようにしてもよい。図7は、光量補正の手順を示すブロック図である。
まず、実際の測定に先立ち、各ブロックに順次同一強度の励起光を照射し、受光量を測定する(S101)。このとき、各ブロックとも同じpHの同一条件で測定を行なうものとする。センサチップ140のどのブロックに励起光が照射されているかは、XYステージ160の座標、あるいは揺動駆動機構210の状態により判断することができる。
そして、測定された光量に基づいて、ブロック毎に補正係数を算出する。補正係数は、測定された値の逆数に基づく値とすることができる。補正係数は、例えば、中心のブロックが1となるように調整してもよい。
実際の測定を開始すると(S103)、照射光が照射されている測定ブロックを特定し(S104)、得られた測定値を、あらかじめ算出しておいたその測定ブロックの補正係数を用いて補正する(S105)。補正係数を用いた補正は、測定値に補正係数を乗じればよい。
以上の補正処理を、測定が終了するまで繰り返すことにより(S106)、センサチップ140の感度分布特性の測定値への影響を防ぐことができる。
以上各実施例で説明したように、本発明によれば、センサチップに励起光を照射して測定を行なう光学式センサにおいて、センサチップの退色を防いで励起光の長期間連続照射を行なえるようになる。
110…細胞培養バッグ、120…培養液、130…撹拌翼、140…センサチップ、150…光学式センサ、151…信号処理部、152…光学系、153…移動制御部、160…XYステージ、200…細胞培養容器、210…揺動駆動機構、220…支柱、270…細胞培養容器、280…回転駆動機構、290…固定機構、350…光学式センサ
Claims (5)
- センサチップに励起光を照射して測定を行なう光学式センサであって、
前記励起光の照射スポットを、前記センサチップの領域内で移動させる移動制御部を備えたことを特徴とする光学式センサ。 - 前記移動制御部は、前記光学式センサが取り付けられた平面制御機構を制御することで前記励起光の照射スポットを、前記センサチップの領域内で移動させることを特徴とする請求項1に記載の光学式センサ。
- 前記センサチップ内の照射スポット位置に応じた補正係数を取得しておき、測定値を前記補正係数により補正する信号処理部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の光学式センサ。
- 前記移動制御部は、前記照射スポットの軌跡が前記センサチップ内で重ならないように前記照射スポットを移動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学式センサ。
- センサチップに励起光を照射して測定を行なう光学式センサを用いた測定方法であって、
前記励起光の照射スポットを、前記センサチップの領域内で移動させるステップ、
測定するステップ、
を有することを特徴とする測定方法。
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