JP2016176454A - 電動式過給機 - Google Patents

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Abstract

【課題】過給機において、回転体の質量増加を抑えつつ、かつ、現状の仕様を大幅に変更することなく、回転体の剛性を高めて軸共振の周波数を高める。
【解決手段】過給機1によれば、シャフト4の一端側の部分を他の部分よりも小径にして一端側小径部4aにすることで段18を設けるとともに、孔7内に設けた突き当て部19に段18を突き当てることで、シャフト4に対する回転翼3の軸方向の位置を決める。さらに、シャフト4の内、孔7の開口20よりも軸方向の一端側の部分の質量と回転翼3の質量との合計に対する重心Gよりも、段18および突き当て部19の位置を、軸方向の一端側に設定する。これにより、孔7内に、他端側大径部4bを入り込ませて、回転翼3を他端側大径部4bで支持することができるので、回転体16の剛性を高めて軸共振の周波数を高めることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、電動式過給機(以下、略して過給機と呼ぶことがある。)に関する。
従来から、内燃機関に吸入される吸入空気を、電動機が発生するトルクを利用して圧縮する電動式過給機が周知となっている(例えば、特許文献1、2参照。)。
この過給機は、例えば、以下のような回転翼、シャフトおよびベアリングを備える。すなわち、回転翼は、回転による遠心力を利用して吸入空気を圧縮する部分である。また、シャフトは、電動機が発生するトルクにより回転駆動される部分であり、回転翼に設けた孔に一端が挿入されて回転翼とネジ締結等され、電動機のトルクを回転翼に伝達して回転翼を回転させる。また、ベアリングは、シャフトを回転自在に支持するものであり、回転翼およびシャフトを含む回転体を支えている。
そして、シャフトの内、孔から軸方向の他端側に突き出た部分にベアリングによる支持位置を設定する。また、シャフトの内、ベアリングによる支持位置よりも軸方向の一端側の部分を小径にすることで段を設け、この段を利用してシャフトに対する回転翼の軸方向の位置を決める。すなわち、段に回転翼の他端を突き当てたり、段と回転翼の他端との間にカラーを配置するとともにカラーの他端を段に突き当て、さらに回転翼の他端をカラーの一端に突き当てたりすることで回転翼の位置を決めている。
ところで、電動式過給機では、回転体の内、ベアリングよりも軸方向一端側の部分の剛性を高めて軸共振の周波数を高める要求がある。
しかし、この部分の剛性を上げるために単純にシャフトの径を大きくすると、同時に質量も大きくなってしまい、電動機において、回転翼の回転加速度を同じ値まで引き上げるのに要する消費電力が大きくなってしまう。また、回転体の質量を大きくするには、電動機およびその他の機器における各種の仕様を大幅に変更する必要があり、現状品からの改造も容易ではない。
そこで、回転体の質量増加を抑えつつ、かつ、現状の仕様を大幅に変更することなく、回転体の剛性を高めて軸共振の周波数を高めることができる構造が求められている。
特許第4043947号公報 特許第5433643号公報
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、電動機が発生するトルクを利用して回転翼を回転させることで吸入空気を圧縮する電動式過給機において、回転体の質量をさほど大きくすることなく、かつ、現状の仕様を大幅に変更することなく、回転体の剛性を高めて軸共振の周波数を高めることにある。
本願の第1発明によれば、電動式過給機(過給機)は、以下の回転翼、シャフト、ベアリングを備える。
まず、回転翼は、内燃機関に吸入される吸入空気を圧縮するものであり、シャフトは、電動機が発生するトルクにより回転駆動され、回転翼に設けた孔に軸方向一端側の部分が挿入されて回転翼と締結される。また、ベアリングは、シャフトを回転自在に支持する。そして、回転翼をベアリングの軸方向一端側でシャフトに取り付ける。
また、シャフトの内、孔に挿入される部分の中で、更に軸方向一端側の部分を他の部分よりも小径にすることで段を設けるとともに、孔内に設けた突き当て部に段を突き当てることで、シャフトに対する回転翼の軸方向の位置を決める。さらに、シャフトの内、孔の開口よりも軸方向の一端側の部分の質量と回転翼の質量との合計に対する重心(以下、翼部重心と呼ぶことがある。)よりも、段および突き当て部の位置を、軸方向の一端側に設定する。
これにより、孔内に、段よりも軸方向他端側の部分(つまり、大径の部分)を入り込ませることができるので、回転翼をシャフトの太い部分で支持することができる。このため、回転体の内、回転翼近傍の剛性を局所的に高めることができるので、電動式過給機において、回転体の質量増加を抑えつつ、かつ、現状の仕様を大幅に変更することなく、回転体の剛性を高めて軸共振の周波数を高めることができる。
本願の第2発明によれば、回転翼は、孔が設けられるボディを有し、回転翼の羽根は、ボディの軸方向の一端側の表面に複数設けられている。また、羽根が設けられる表面は軸方向他端側ほど径が大きくなるテーパ状であり、吸入空気は、軸方向他端側に向って流れて回転翼に到達した後、羽根同士の隙間を径方向外側、かつ軸方向他端側に向って流れる。そして、羽根の内、羽根同士の隙間に形成される流れの上流端となる部分はボディの軸方向一端よりも軸方向の一端側に存在する。
これにより、羽根同士の隙間の流路(つまり、吸入空気に遠心力を与えて圧縮するための流路)の長さを確保しつつ、回転翼を扁平に設けることができる。このため、翼部重心を、より一層、ベアリングによる支持位置に近づけることができるので、更に、軸共振の周波数を高めることができる。
本願の第3発明によれば、段を突き当て部に突き当てたときにシャフトの一端が孔から軸方向の一端側に突き出るように設定するとともに、シャフトの内、孔から軸方向の一端側に突き出る部分にネジを設ける。そして、ネジにナットを螺合させ、回転翼の一部をナットと段とにより挟むことで、シャフトと回転翼とを締結する。
これにより、シャフトと回転翼とをバランス取りした後、軽量なナットにより、締結することができる。このため、締結後のバランスの低下を抑制することができる。
本願の第4発明によれば、ナットは袋ナットである。
これにより、例えば、吸入空気に排気ガスを還流する場合のように、吸入空気が腐食性を有する場合に、シャフトの腐食を抑制することができる。すなわち、シャフトの素材は、高精度に仕上げる必要性から耐食性よりも加工性を優先して選択される。そこで、袋ナットを耐食性に優れる素材で設けて、シャフトの一端を袋ナットで封止する。このため、シャフトの素材を耐食性よりも加工性を優先して選択しても、袋ナットによってシャフトの腐食を抑制することができる。
電動式過給機の全体を示す断面図である(実施例1)。 電動式過給機の要部を示す部分断面図である(実施例1)。 電動式過給機の要部を示す部分断面図である(実施例2)。
実施形態の電動式過給機を、以下の実施例に基づき説明する。なお、実施例は具体例を開示するものであり、本願発明が実施例に限定されないことは言うまでもない。
〔実施例1の構成〕
実施例1の電動式過給機(以下、過給機1と呼ぶ。)の構成を、図1および図2を用いて説明する。
過給機1は、内燃機関に吸入される吸入空気を、電動機2が発生するトルクを利用して圧縮するものであり、以下の回転翼3、シャフト4、ベアリング5を備える。
回転翼3は、回転による遠心力を利用して吸入空気を圧縮するものである。また、回転翼3は、シャフト4との締結に利用される孔7が設けられるボディ8を有し、回転翼3の羽根9は、ボディ8の軸方向の一端側の表面に複数設けられている。また、羽根9が設けられる表面は軸方向他端側ほど径が大きくなるテーパ状であり、吸入空気は、軸方向他端側に向って流れて回転翼3に到達した後、羽根9同士の隙間を径方向外側、かつ軸方向他端側に向って流れる。これにより、吸入空気は、羽根9同士の隙間を通過する間に、遠心力を与えられて圧縮される。
なお、回転翼3は、ハウジング10に回転可能に収容されており、吸入空気は、軸方向他端側に向かうようにハウジング10に吸引された後、羽根9同士の隙間において圧縮され、ハウジング10から流出する。
シャフト4は、電動機2が発生するトルクにより回転駆動されるものであり、孔7に軸方向一端側の部分が挿入されて回転翼3と締結され、電動機2のトルクを回転翼3に伝達して回転翼3を回転させる。ここで、電動機2は、例えば、インバータにより通電制御されるコイル12を具備するステータ13と、永久磁石14を具備するロータ15とを有する周知の3相交流モータであり、シャフト4は、永久磁石14が装着されてロータ15を構成するとともに、電動機2の出力軸をなす。そして、シャフト4は、回転翼3や永久磁石14等とともに過給機1における回転体16を形成し、回転体16の質量および剛性が決まるとともに、軸共振の周波数が決まる。
また、シャフト4では、孔7に挿入される部分の中で、更に軸方向一端側の部分を他の部分よりも小径にすることで段18を設けるとともに、孔7内に設けた突き当て部19に段18を突き当てることで、シャフト4に対する回転翼3の軸方向の位置を決める。ここで、シャフト4は、円柱の棒体として設けられており、段18は、軸方向一端側からシャフト4を視ると円環として視える。すなわち、シャフト4では、段18よりも軸方向一端側の小径の部分(以下、一端側小径部4aと呼ぶことがある。)と、段18よりも軸方向他端側の大径の部分(以下、他端側大径部4bと呼ぶことがある。)とは同軸であり、両方とも円柱である。なお、軸方向一端側から視た段18の形状は、必ずしも円環にする必要はなく、様々な形状に設けることができる。
また、孔7は、ボディ8において回転翼3の軸と同軸に設けられており、突き当て部19は、段18と同じ形状である。さらに、孔7において、突き当て部19よりも軸方向一端側の小径の部分(以下、一端側小径孔7aと呼ぶことがある。)と、段18よりも軸方向他端側の大径の部分(以下、他端側大径孔7bと呼ぶことがある。)とは同軸であり、両方とも円筒である。
さらに、シャフト4の内、孔7の軸方向他端側の開口20よりも軸方向の一端側の部分(つまり、他端側大径部4bの内、孔7の軸方向他端側の開口20よりも軸方向の一端側の部分、および、一端側小径部4a)の質量と、回転翼3の質量との合計に対する重心(翼部重心)Gよりも、段18および突き当て部19の位置は、軸方向の一端側に設定されている。
また、孔7は軸方向一端側でも開口しており、一端側小径部4aは、段18を突き当て部19に突き当てたときに孔7から軸方向の一端側に突き出る。また、一端側小径部4aの外周にはネジが設けられており、ネジの部分が孔7から軸方向の一端側に突き出ている。そして、ネジにナット21を螺合させ、ボディ8の内の一端側小径孔7aを形成する部分をナット21と段18とにより挟むことで、シャフト4と回転翼3とを締結する。
また、ナット21は袋ナットであり、ナット21の外側表面は、ハウジング10に吸引されて軸方向他端側に向かう吸入空気の流れに対して流線形をなす。なお、ナット21は、例えば、SUS303、SUS304またはSUS430のように耐食性に優れる素材を用いて設けられている。
ベアリング5は、シャフト4を回転自在に支持するものであり、回転体16を支えている。そして、回転翼3は、ベアリング5の軸方向一端側でシャフト4に取り付けられている。
なお、ベアリング5は、例えば、ハウジング10に装着されるボール軸受である。また、シャフト4の内、永久磁石14が装着された部分の軸方向他端側にも、ボール軸受からなるベアリング22が装着されており、シャフト4は2つのベアリング5、22により軸方向に関して2位置で支持されている。
〔実施例1の効果〕
実施例1の過給機1によれば、シャフト4の軸方向一端側の部分を他の部分よりも小径にして一端側小径部4aにすることで段18を設けるとともに、孔7内に設けた突き当て部19に段18を突き当てることで、シャフト4に対する回転翼3の軸方向の位置を決める。さらに、シャフト4の内、孔7の開口20よりも軸方向の一端側の部分の質量(つまり、他端側大径部4bの内、開口20よりも軸方向の一端側の部分、および、一端側小径部4aの合計質量)と回転翼3の質量との合計に対する重心(翼部重心)Gよりも、段18および突き当て部19の位置を、軸方向の一端側に設定する。
これにより、孔7内に、他端側大径部4bを入り込ませて、回転翼3を他端側大径部4bで支持することができる。このため、回転体16の内、回転翼3近傍の剛性を局所的に高めることができるので、過給機1において、回転体16の質量増加を抑えつつ、かつ、現状の仕様を大幅に変更することなく、回転体16の剛性を高めて軸共振の周波数を高めることができる。
また、一端側小径部4aにネジを設け、一端側小径部4aの内、孔7から軸方向の一端側に突き出た部分にナット21を螺合させ、回転翼3の一部をナット21と段18とにより挟むことで、シャフト4と回転翼3とを締結する。
これにより、シャフト4と回転翼3とをバランス取りした後、軽量なナット21により、締結することができる。このため、締結後のバランスの低下を抑制することができる。
さらに、ナット21は袋ナットである。
これにより、例えば、吸入空気に排気ガスを還流する場合のように、吸入空気が腐食性を有する場合に、シャフト4の腐食を抑制することができる。すなわち、シャフト4の素材は、高精度に仕上げる必要性から耐食性よりも加工性を優先して選択される。そこで、ナット21を袋ナットにして耐食性に優れる素材で設け、シャフト4の一端を袋ナットで封止する。このため、シャフト4の素材を耐食性よりも加工性を優先して選択しても、シャフト4の腐食を抑制することができる。
〔実施例2〕
実施例2の過給機1によれば、図3に示すように、羽根9の軸方向一端に位置する尖り端9aは、ナット21の締結座面8aよりも軸方向一端側に存在する。ここで、尖り端9aは、羽根9の内、羽根9同士の隙間に形成される流れの上流端となる部分であり、締結座面8aはボディ8の軸方向一端をなす。
これにより、羽根9同士の隙間の流路(つまり、吸入空気に遠心力を与えて圧縮するための流路)の長さを確保しつつ、回転翼3を扁平に設けることができる。このため、翼部重心Gを、より一層、ベアリング5による支持位置に近づけることができるので、更に、軸共振の周波数を高めることができる。
〔変形例〕
過給機1の態様は実施例に限定されず、種々の変形例を考えることができる。例えば、実施例の過給機1によれば、ナット21は、袋ナットであったが、例えば、ナット21として六角ナットを採用してもよい。
また、実施例の過給機1によれば、一端側小径部4aにネジを設け、このネジにナット21を螺合させて、回転翼3の一部をナット21と段18とにより挟むことで、シャフト4と回転翼3とを締結していたが、シャフト4と回転翼3との締結構造は、この態様に限定されない。例えば、一端側小径孔7aの内周にネジを設け、このネジにボルトの軸部を螺合させて、回転翼3の一部をボルトの頭部と段18とにより挟むことで、シャフト4と回転翼3とを締結してもよい。
1 過給機(電動式過給機) 2 電動機 3 回転翼 4 シャフト 5 ベアリング 7 孔 18 段 19 突き当て部 20 開口 G 翼部重心(重心)

Claims (4)

  1. 内燃機関に吸入される吸入空気を圧縮する回転翼(3)と、
    電動機(2)が発生するトルクにより回転駆動され、前記回転翼(3)に設けた孔(7)に軸方向一端側の部分が挿入されて前記回転翼(3)と締結されるシャフト(4)と、
    このシャフト(4)を回転自在に支持するベアリング(5)とを備え、
    前記回転翼(3)を前記ベアリング(5)の軸方向一端側で前記シャフト(4)に取り付けた電動式過給機(1)において、
    前記シャフト(4)の内、前記孔(7)に挿入される部分の中で、更に軸方向一端側の部分を他の部分よりも小径にすることで段(18)を設けるとともに、前記孔(7)内に設けた突き当て部(19)に前記段(18)を突き当てることで、前記シャフト(4)に対する前記回転翼(3)の軸方向の位置を決め、
    前記シャフト(4)の内、前記孔(7)の開口(20)よりも軸方向の一端側の部分の質量と前記回転翼(3)の質量との合計に対する重心(G)よりも、前記段(18)および前記突き当て部(19)の位置を、軸方向の一端側に設定したことを特徴とする電動式過給機(1)。
  2. 請求項1に記載の電動式過給機(1)において、
    前記回転翼(3)は、前記孔(7)が設けられるボディ(8)を有し、
    前記回転翼(3)の羽根(9)は、前記ボディ(8)の軸方向の一端側の表面に複数設けられ、
    前記羽根(9)が設けられる表面は軸方向他端側ほど径が大きくなるテーパ状であり、吸入空気は、軸方向他端側に向って流れて前記回転翼(3)に到達した後、前記羽根(9)同士の隙間を径方向外側、かつ軸方向他端側に向って流れ、
    前記羽根(9)の内、前記羽根(9)同士の隙間に形成される流れの上流端となる部分(9a)は前記ボディ(8)の軸方向一端よりも軸方向の一端側に存在することを特徴とする電動式過給機(1)。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電動式過給機(1)において、
    前記段(18)を前記突き当て部(19)に突き当てたときに前記シャフト(4)の一端が前記孔(7)から軸方向の一端側に突き出るように設定するとともに、前記シャフト(4)の内、前記孔(7)から軸方向の一端側に突き出る部分にネジを設け、
    このネジにナット(21)を螺合させ、前記回転翼(3)の一部を前記ナット(21)と前記段(18)とにより挟むことで、前記シャフト(4)と前記回転翼(3)とを締結することを特徴とする電動式過給機(1)。
  4. 請求項3に記載の電動式過給機(1)において、
    前記ナット(21)は袋ナットであることを特徴とする電動式過給機(1)。
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