JP2016176020A - エポキシエマルション、エポキシエマルション組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Abstract
【課題】貯蔵安定性に優れ、硬化物を作製する場合における硬化剤の選択性の自由度が高いエポキシエマルション、これを含むエポキシエマルション組成物、及びその硬化物を提供すること。【解決手段】下記式(1)で表されるエポキシ化合物(A)が、界面活性剤によって水性媒体中に分散され乳化したエポキシエマルション、これを含むエポキシエマルション組成物、その硬化物である。界面活性剤は、HLBが12〜20のポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル、及び/又はポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテルの硫酸塩からなる。【化1】(式(1)においてnは1以上の整数である。)【選択図】なし
Description
本発明は、エポキシ化合物が水性媒体中で乳化したエポキシエマルション、これを含むエポキシ組成物、及びその硬化物に関する。
エポキシ樹脂は、接着性、耐熱性、耐薬品性などの優れた特性を持ち、塗料、接着剤、架橋剤、繊維収束剤等の幅広い産業分野で用いられている。一方、エポキシ樹脂は、硬くて脆いという欠点もある。そこで、様々な方法により、エポキシ樹脂に可とう性を付与する取り組みが検討されている。
例えば特許文献1では、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルと多価フェノール化合物と芳香族エポキシ樹脂を反応させて得られるエポキシ樹脂が提案されている。このようなエポキシ樹脂は、可とう性には優れるものの、粘度が高いため有機溶媒による希釈が必要になる。しかし、有機溶剤は気化して作業環境を悪化させ、作業者の健康を害したり、さらには地球環境に悪影響をおよぼしたりすることから、使用が規制されるようになった。このため、無溶剤のエポキシ樹脂やエポキシ樹脂を水に分散させた、水系エポキシ樹脂の使用が望まれている。
そこで、特許文献2では、ビスフェノール型ポリアルキレングリコールエポキシ化合物を非イオン型界面活性剤で分散した水性サイジング剤が提案されている。また、特許文献3では、ポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテルと、ビスフェノール型エポキシ樹脂とを、過剰ポリアミンで反応させて得られる自己乳化型活性有機アミン硬化剤を含む水性エポキシ樹脂硬化性組成物が提案されている。
しかしながら、特許文献2のように、ビスフェノール型ポリアルキレングリコールエポキシ化合物を非イオン型界面活性剤で分散した水性サイジング剤においては、エマルションの凝集が起こりやすく、貯蔵安定性が低く、長期間の貯蔵ができないという問題がある。また、特許文献3のような、水性エポキシ樹脂硬化性組成物は、硬化剤がアミンに限定されるため、硬化剤の選択の自由がなくなり、物性や用途の選択性が狭められる。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、貯蔵安定性に優れ、硬化物を作製する場合における硬化剤の選択性の自由度が高いエポキシエマルション、これを含むエポキシエマルション組成物、及びその硬化物を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、下記式(1)で表されるエポキシ化合物(A)が、HLBが12〜20のポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル、及び/又はポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテルの硫酸塩からなる界面活性剤によって水性媒体中に分散され乳化していることを特徴とするエポキシエマルションにある。
(式(1)においてnは1以上の整数である。)
本発明の他の態様は、上記エポキシエマルションを含有し、2種類以上のエポキシ化合物を含有することを特徴とするエポキシエマルション組成物にある。
本発明のさらに他の態様は、上記エポキシ組成物を硬化してなることを特徴とする硬化物にある。
上記エポキシエマルションは、貯蔵安定性に優れ、製造後長期間にわたって、エマルションの状態を維持することができる。それ故、製造後長期間にわたって、初期の特性を維持することができる。また、上記エポキシエマルションにおいては、特に特定の硬化剤が含有されておらず、上記エポキシエマルションを用いて硬化物を作製する場合において、例えば上記エポキシエマルションを配合する他の樹脂の種類や、要求物性等に応じて硬化剤を適宜選択することができる。即ち、硬化剤の選択性の自由度が高い。
エポキシエマルション組成物は、上記エポキシエマルションを含有し、少なくとも2種類以上のエポキシ化合物を含有する。上記硬化物は、エポキシエマルション組成物を硬化させてなる。このようなエポキシエマルション組成物を用いることにより、付着性及び耐溶剤性に優れた硬化物の形成が可能になる。
次に、上記エポキシエマルション、エポキシエマルション組成物、及びその硬化物について、好ましい実施形態を説明する。エポキシエマルションにおいては、エポキシ化合物(A)が界面活性剤によって水等の水性媒体中に分散されて乳化している。エポキシエマルションにおいては、少なくともエポキシ化合物(A)が分散されていればよく、該エポキシ化合物(A)と共に、他のエポキシ化合物(以下、適宜「エポキシ化合物(C)」という場合がある)が分散されていてもよい。エポキシ化合物(C)としては、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型、脂環型、グリシジルアミン型、水添ビスフェノールA型、トリグリシジルイソシアヌレート等を用いることができ、これらは比較的低分子の化合物であっても、高分子の樹脂であってもよい。即ち、エポキシエマルションにおいては、エポキシ化合物(A)が単独で水性媒体に分散されて乳化していてもよいが、エポキシ化合物(A)と他のエポキシ化合物(C)が分散されて乳化していてもよい。換言すると、エポキシ化合物(A)と他のエポキシ化合物とを含むエマルション粒子が分散されたエポキシエマルションであってもよい。
好ましくは、エポキシエマルションにおいては、エポキシ化合物(A)が単独で分散されて乳化していることがよい。この場合には、エポキシエマルションの貯蔵安定性を向上させることができる。さらに、この場合には、上述のエポキシエマルションと、他のエポキシ化合物やエポキシ樹脂とを混合してエポキシエマルション組成物を作製することにより、その硬化物のはく離強度を向上させることができる。なお、単独で分散させる場合においても、上述の式(1)で表されるエポキシ化合物(A)としては、1種又は2以上を用いることは可能である。
エポキシ化合物(A)は、上記式(1)で表される化合物であり、式(1)においてnは1以上の整数である。エポキシ化合物(A)は、低分子の化合物及び高分子のエポキシ樹脂を含む概念である。なお、エマルション化が困難になるという観点や、硬化性が低下するという観点から、式(1)におけるnは50以下であることが好ましい。エポキシ化合物(A)は、例えばポリテトラメチレングリコールとエピクロルヒドリンをルイス酸で付加したのち、水酸化ナトリウムを用いて脱塩酸を行うことにより得られる。エポキシ化合物(A)としては、例えばポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等がある。
エポキシエマルションにおいて、エポキシ化合物(A)は、平均粒子径2μm以下で上記水性媒体中に分散されていることが好ましい。この場合には、エポキシエマルションの貯蔵安定性をより向上させることができる。同様の観点から、平均粒子径は1μm以下であることがより好ましく、0.8μm以下であることがさらに好ましい。
界面活性剤としては、HLBが12〜20のノニオン系界面活性剤であるポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテルを用いることができる。HLBが12未満の場合には、エポキシエマルションの貯蔵安定性が不十分になるおそれがある。HLBの値は、グリフィン法によって算出される。具体的には、下記の式(I)に基づいて算出される。
HLB=20×親水基の分子量/界面活性剤の分子量 ・・・(I)
HLB=20×親水基の分子量/界面活性剤の分子量 ・・・(I)
ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテルとしては、例えばオキシアルキレン鎖の炭素数が150以下のものを用いることができる。好ましくは、オキシアルキレン鎖の炭素数は100以下である。ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテルは、例えば親水性基を、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドをそれぞれ単独、あるいはランダム又はブロック重合してなるアルキレンオキサイド部位によって形成し、疎水性基を、スチレンモノマー、ノネン、又はプロペニル基をフェノールに付加してなる部位によって形成することができる。
また、界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤であるポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテルの硫酸塩を用いることもできる。硫酸塩としては、例えばアンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等を用いることができる。ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテルの硫酸塩は、上述のポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテルの末端をスルホン酸塩化することにより得ることができる。
界面活性剤としては、1種類又は2種類以上の物質を用いることができる。好ましくは、界面活性剤としては、HLBが12〜20のポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテルを少なくとも用いることがよい。この場合には、エポキシエマルションの貯蔵安定性をより向上させることができる。エポキシエマルションにおける界面活性剤の含有量は、例えば0.1〜30質量%の範囲で調整することができる。これにより、エポキシ化合物を水性媒体中に十分に分散させて乳化させることができる。貯蔵安定性をより向上させるという観点からは、界面活性剤の含有量は1〜10質量%であることがより好ましく、2〜8質量%であることがさらに好ましく、3〜7質量%であることがさらにより好ましい。
エポキシエマルションは、例えば高速攪拌機などを用いて、水等の水性媒体中で界面活性剤と共にエポキシ化合物を乳化させることにより得ることができる。乳化方法は、汎用の方法を採用することができる。
次に、エポキシエマルション組成物の好ましい実施形態について説明する。エポキシエマルション組成物は、上述のエポキシエマルションを含有し、2種類以上のエポキシ化合物を含有する。ここでいう2種類以上のエポキシ化合物としては、エポキシエマルション中に含まれる上述のエポキシ化合物(A)の他、エポキシ化合物(A)と共にエポキシエマルション中に含まれる上述のエポキシ化合物(C)、後述のエポキシ分散液中に含まれるエポキシ化合物(B)等がある。
エポキシエマルション組成物は、用途に応じて、様々な硬化剤により硬化が可能であり、種々の硬化剤を含有することができる。具体的には、硬化剤としては、ポリアミン類、ポリアミドポリアミン類、三級アミン類、アミンアダクト類、イミダゾール類、フェノール樹脂、ポリメルカプタン類、多価カルボン酸、酸無水物等を用いることができる。また、硬化剤としては、ルイス酸アミン錯体類、ルイス酸金属塩類、ルイス酸オニウム塩類などのカチオン系硬化剤を用いることもできる。硬化剤としては、ポリアミン類、ポリアミドポリアミン類、3級アミン類、ルイス酸アミン錯体類、ルイス酸金属塩類を用いることが好ましい。ポリアミン類、ポリアミドポリアミン類、3級アミン類を用いた場合には、接着性を向上させることができ、ルイス酸アミン錯体類、ルイス酸金属塩類を用いた場合には、着色の少ない透明性に優れた硬化物を得ることができる。
また、エポキシエマルション組成物は、さらにエポキシ分散液を含有することができる。具体的には、エポキシエマルション組成物は、上記エポキシ化合物(A)を除く他のエポキシ化合物(B)が水性媒体中に分散されたエポキシ分散液と、上記エポキシエマルションとの混合物であってもよい。この場合には、硬化剤による硬化反応によって、エポキシ化合物(A)とエポキシ化合物(B)とを構成成分とする硬化物を得ることができる。
エポキシ分散液は、エポキシ化合物(B)が水性媒体中に分散された分散液である。エポキシ分散液は、エマルションであってもよいが、エポキシ化合物(B)からなる固形物(固体)が水性媒体中に分散された分散液であってもよい。エポキシ化合物(B)は、低分子の化合物及び高分子のエポキシ樹脂を含む概念である。好ましくは、エポキシ分散液は、エマルションであることがよい。この場合には、エポキシエマルション組成物の硬化物の剥離強度を向上させることができる。
エポキシ化合物(B)及び液状エポキシ樹脂としては、汎用のエポキシ化合物(エポキシ樹脂)を用いることができる。具体的には、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型、脂環型、グリシジルアミン型、水添ビスフェノールA型、トリグリシジルイソシアヌレート等のエポキシ化合物(エポキシ樹脂)を用いることができる。これらは、単独で又は2種以上の混合物で用いることができる。
エポキシ化合物(B)は、ビスフェノール型であることが好ましく、液状エポキシ樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂からなることが好ましい。この場合には、上記エポキシエマルション組成物の硬化物の改質が可能になる。例えばビスフェノール型エポキシ成分を構成成分とする樹脂の硬化物の可とう性を向上させることが可能になる。
また、エポキシエマルション組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、レベリング剤等の添加剤を含有することができる。
エポキシエマルション組成物は、塗料、接着剤等に用いることができる。また、エポキシエマルション組成物は、カーボンファイバ、ガラスファイバ等の繊維状物質の結着材(繊維収束剤)として用いることもできる。
[第1の実施形態]
次に、エポキシエマルションの実施形態について説明する。本実施形態においては、実施例、比較例にかかるエポキシエマルションを作製し、貯蔵安定性の評価を行う。
次に、エポキシエマルションの実施形態について説明する。本実施形態においては、実施例、比較例にかかるエポキシエマルションを作製し、貯蔵安定性の評価を行う。
(製造例1)
まず、以下のようにしてエポキシ化合物(A)として、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテルを製造した。具体的には、攪拌機、滴下装置、及び還流冷却器が取り付けられた反応器内に、数平均分子量650のポリテトラメチレングリコール(三菱化学(株)製のPTMG#650)240質量部と、三フッ化ホウ素エーテル錯体1質量部とを加え、70〜80℃の温度を保ちながら反応器内にエピクロルヒドリン75質量部を3時間かけて滴下することにより、反応させた。次に、70〜80℃の温度で、濃度48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液83質量部及びイオン交換水90質量部を反応器内に添加し、8時間攪拌を行った。反応終了後、反応器の内容物を静置することにより上層と下層に分離させ、上層である有機相を採取した。次に、圧力4kPa、温度120℃の条件で有機相の脱水を2時間行った。次いで、有機相をセライトでろ別することにより、エポキシ当量439のテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ化合物(A))256質量部を得た。
まず、以下のようにしてエポキシ化合物(A)として、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテルを製造した。具体的には、攪拌機、滴下装置、及び還流冷却器が取り付けられた反応器内に、数平均分子量650のポリテトラメチレングリコール(三菱化学(株)製のPTMG#650)240質量部と、三フッ化ホウ素エーテル錯体1質量部とを加え、70〜80℃の温度を保ちながら反応器内にエピクロルヒドリン75質量部を3時間かけて滴下することにより、反応させた。次に、70〜80℃の温度で、濃度48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液83質量部及びイオン交換水90質量部を反応器内に添加し、8時間攪拌を行った。反応終了後、反応器の内容物を静置することにより上層と下層に分離させ、上層である有機相を採取した。次に、圧力4kPa、温度120℃の条件で有機相の脱水を2時間行った。次いで、有機相をセライトでろ別することにより、エポキシ当量439のテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ化合物(A))256質量部を得た。
(製造例2)
下記の変更点を除いては、製造例1と同様にしてテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ化合物(A))を製造した。ポリテトラメチレングリコールとして、数平均分子量が2000のものを採用し、その使用量を1800質量部に変更し、三フッ化ホウ素エーテル錯体の使用量を5質量部に変更した。また、濃度48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液の使用量を200質量部に変更し、イオン交換水の使用量を250質量部に変更した。さらに脱水時間を3時間に変更した。その他は上述の製造例1と同様の方法を実施することにより、エポキシ当量1090のテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル1723質量部を得た。
下記の変更点を除いては、製造例1と同様にしてテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ化合物(A))を製造した。ポリテトラメチレングリコールとして、数平均分子量が2000のものを採用し、その使用量を1800質量部に変更し、三フッ化ホウ素エーテル錯体の使用量を5質量部に変更した。また、濃度48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液の使用量を200質量部に変更し、イオン交換水の使用量を250質量部に変更した。さらに脱水時間を3時間に変更した。その他は上述の製造例1と同様の方法を実施することにより、エポキシ当量1090のテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル1723質量部を得た。
(実施例1)
本例においては、上述の製造例1で得られたエポキシ化合物(エポキシ当量439のテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル)を用いてエポキシエマルションを作製する。具体的には、まず、製造例1のエポキシ化合物50質量部と、界面活性剤5質量部とを混合した。界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル(第一工業製薬(株)製のノイゲンEA−167(HLB=14.8)を採用した。次に、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製のTKオートホモミキサー)を用いて、温度20℃、回転速度2300rpmの条件で混合物を攪拌しながら、混合物にイオン交換水を少しずつ滴下した。イオン交換水の滴下途中に、転相点付近で粘度の上昇が見られた。転相点を越えたあともイオン交換水を滴下し、最終的に45質量部のイオン交換水を加えた。このようにして、エポキシエマルションを製造した。
本例においては、上述の製造例1で得られたエポキシ化合物(エポキシ当量439のテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル)を用いてエポキシエマルションを作製する。具体的には、まず、製造例1のエポキシ化合物50質量部と、界面活性剤5質量部とを混合した。界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル(第一工業製薬(株)製のノイゲンEA−167(HLB=14.8)を採用した。次に、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製のTKオートホモミキサー)を用いて、温度20℃、回転速度2300rpmの条件で混合物を攪拌しながら、混合物にイオン交換水を少しずつ滴下した。イオン交換水の滴下途中に、転相点付近で粘度の上昇が見られた。転相点を越えたあともイオン交換水を滴下し、最終的に45質量部のイオン交換水を加えた。このようにして、エポキシエマルションを製造した。
(実施例2)
本例においては、界面活性剤の量を1質量部に変更し、イオン交換水の量を49質量部に変更した点を除いては、実施例1と同様にしてエポキシエマルションを製造した。
本例においては、界面活性剤の量を1質量部に変更し、イオン交換水の量を49質量部に変更した点を除いては、実施例1と同様にしてエポキシエマルションを製造した。
(実施例3)
本例においては、界面活性剤の量を8質量部に変更し、イオン交換水の量を42質量部に変更した点を除いては、実施例1と同様にしてエポキシエマルションを製造した。
本例においては、界面活性剤の量を8質量部に変更し、イオン交換水の量を42質量部に変更した点を除いては、実施例1と同様にしてエポキシエマルションを製造した。
(実施例4)
本例においては、界面活性剤をポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル(第一工業製薬(株)製のノイゲンEA−207D(HLB=18.7)に変更した点を除いては、実施例1と同様にしてエポキシエマルションを製造した。
本例においては、界面活性剤をポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル(第一工業製薬(株)製のノイゲンEA−207D(HLB=18.7)に変更した点を除いては、実施例1と同様にしてエポキシエマルションを製造した。
(実施例5)
本例においては、エポキシ化合物として、製造例1のエポキシ化合物25質量部と、製造例2のエポキシ化合物25質量部とを併用した点を除いては、実施例1と同様にしてエポキシエマルションを製造した。
本例においては、エポキシ化合物として、製造例1のエポキシ化合物25質量部と、製造例2のエポキシ化合物25質量部とを併用した点を除いては、実施例1と同様にしてエポキシエマルションを製造した。
(実施例6)
本例においては、界面活性剤として、ノニオン系界面活性剤であるポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル(第一工業製薬(株)製のノイゲンEA−167(HLB=14.8))4質量部と、アニオン系界面活性剤であるポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム(第一工業製薬(株)製のハイテノールNF−17)1質量部とを併用した点を除いては、実施例1と同様にしてエポキシエマルションを製造した。
本例においては、界面活性剤として、ノニオン系界面活性剤であるポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル(第一工業製薬(株)製のノイゲンEA−167(HLB=14.8))4質量部と、アニオン系界面活性剤であるポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム(第一工業製薬(株)製のハイテノールNF−17)1質量部とを併用した点を除いては、実施例1と同様にしてエポキシエマルションを製造した。
(比較例1)
本例においては、界面活性剤をポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル(第一工業製薬(株)製のノイゲンEA−87(HLB=10.6)に変更した点を除いては、実施例1と同様にしてエポキシエマルションを製造した。
本例においては、界面活性剤をポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル(第一工業製薬(株)製のノイゲンEA−87(HLB=10.6)に変更した点を除いては、実施例1と同様にしてエポキシエマルションを製造した。
(比較例2)
本例においては、界面活性剤をポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル(第一工業製薬(株)製のノイゲンXL−100(HLB=14.7)に変更した点を除いては、実施例1と同様にしてエポキシエマルションを製造した。
本例においては、界面活性剤をポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル(第一工業製薬(株)製のノイゲンXL−100(HLB=14.7)に変更した点を除いては、実施例1と同様にしてエポキシエマルションを製造した。
(比較例3)
本例においては、界面活性剤をポリオキシアルキレントリデシルエーテル(第一工業製薬(株)製のノイゲンTDS−120(HLB=14.8)に変更した点を除いては、実施例1と同様にしてエポキシエマルションを製造した。
本例においては、界面活性剤をポリオキシアルキレントリデシルエーテル(第一工業製薬(株)製のノイゲンTDS−120(HLB=14.8)に変更した点を除いては、実施例1と同様にしてエポキシエマルションを製造した。
(比較例4)
本例においては、エポキシ化合物として、エポキシ当量307のビスフェノールAエチレンオキサイド4モル付加物ジグリシジルエーテル(BisA4EO−DEP)を用いた点を除いては、実施例1と同様にしてエポキシエマルションを製造した。
本例においては、エポキシ化合物として、エポキシ当量307のビスフェノールAエチレンオキサイド4モル付加物ジグリシジルエーテル(BisA4EO−DEP)を用いた点を除いては、実施例1と同様にしてエポキシエマルションを製造した。
(実施例1〜6及び比較例1〜4の比較)
各実施例及び比較例のエポキシエマルションについて、下記のようにしてエマルション粒子の平均粒子径を調べる共に、貯蔵安定性を調べた。
各実施例及び比較例のエポキシエマルションについて、下記のようにしてエマルション粒子の平均粒子径を調べる共に、貯蔵安定性を調べた。
「平均粒子径」
各エポキシエマルションの製造直後における平均粒子径を、レーザ回折式粒子径分布測定装置((株)島津製作所製のSALD−2200)を用いて測定した。平均粒子径は、レーザ回折・散乱法によって求めた粒度分布における数平均粒子径を意味し、(株)島津製作所製のSALDシリーズのマニュアル中に規定された対数スケールに基づいた粒子径の平均値である。その結果を表1に示す。
各エポキシエマルションの製造直後における平均粒子径を、レーザ回折式粒子径分布測定装置((株)島津製作所製のSALD−2200)を用いて測定した。平均粒子径は、レーザ回折・散乱法によって求めた粒度分布における数平均粒子径を意味し、(株)島津製作所製のSALDシリーズのマニュアル中に規定された対数スケールに基づいた粒子径の平均値である。その結果を表1に示す。
「貯蔵安定性の評価」
製造直後の各エポキシエマルションを温度25℃で静置し、エマルション粒子の凝集や沈降、水の分離が目視で確認されるまでの日数を調べた。その結果を表1に示す。なお、60日を超えても凝集や沈降、水の分離が確認されず、エマルションの状態を安定に保っていた場合には、評価結果を「60超」とした。
製造直後の各エポキシエマルションを温度25℃で静置し、エマルション粒子の凝集や沈降、水の分離が目視で確認されるまでの日数を調べた。その結果を表1に示す。なお、60日を超えても凝集や沈降、水の分離が確認されず、エマルションの状態を安定に保っていた場合には、評価結果を「60超」とした。
表1より知られるごとく、下記式(1)で表されるエポキシ化合物(A)が、HLBが12〜20のポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル、及び/又はポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテルの硫酸塩からなる界面活性剤によって水性媒体中に分散され乳化したエポキシエマルション(実施例1〜実施例6)は、貯蔵安定性に優れ、製造後長期間にわたって、エマルションの状態を維持することができる。それ故、製造後長期間にわたって、初期の特性を維持することができる。
一方、比較例1においては、界面活性剤として用いられるポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテルのHLBが低い。そのため、比較例1のエポキシエマルションは、24時間未満でエマルションが不安定になり、貯蔵安定性が不十分であった。また、比較例1においては、エマルション粒子の平均粒子径が比較的大きくなっていた。
比較例2においては、界面活性剤としてポリオキシアルキレン分岐デシルエーテルが用いられている。この場合には、2日程度でエマルションが不安定になり、貯蔵安定性が不十分であった。また、比較例2においては、エマルション粒子の平均粒子径が比較的大きくなっていた。
比較例3においては、界面活性剤として、ポリオキシアルキレントリデシルエーテルが用いられている。この場合には、24時間未満でエマルションが不安定になり、貯蔵安定性が不十分であった。
比較例4においては、エポキシ化合物として、ビスフェノールAエチレンオキサイド4モル付加物ジグリシジルエーテル(BisA4EO−DEP)が用いられている。この場合にも、24時間未満でエマルションが不安定になり、貯蔵安定性が不十分であった。
したがって、実施例1〜実施例6のように、特定のエポキシ化合物と界面活性剤とを選択的に組み合わせることにより、貯蔵安定性に優れたエポキシエマルションの実現が可能になる。また、上記エポキシエマルションにおいては、特に特定の硬化剤は含有されておらず、例えば上記エポキシエマルションを配合する他の樹脂の種類や、要求物性等に応じて硬化剤を適宜選択することができる。即ち、硬化剤の選択性の自由度が高い。
[第2の実施形態]
本実施形態は、上述のエポキシ化合物(A)と共に他のエポキシ化合物が分散され乳化したエポキシエマルションの例である。換言すれば、エポキシ化合物(A)と他のエポキシ化合物とを含むエマルション粒子が分散されたエポキシエマルションの例である。以下、本実施形態の具体例(実施例7)について説明する。
本実施形態は、上述のエポキシ化合物(A)と共に他のエポキシ化合物が分散され乳化したエポキシエマルションの例である。換言すれば、エポキシ化合物(A)と他のエポキシ化合物とを含むエマルション粒子が分散されたエポキシエマルションの例である。以下、本実施形態の具体例(実施例7)について説明する。
(実施例7)
具体的には、エポキシ化合物として、製造例1のエポキシ化合物10質量部と、エポキシ当量186のビスフェノールAジグリシジルエーテル(三菱化学(株)製のjER828)40質量部とを併用し、界面活性剤として、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル(第一工業製薬(株)製のノイゲンEA−177(HLB=15.6)5質量部を用いた点を除いては、実施例1と同様にしてエポキシエマルションを製造した。このようにして、エポキシ当量439のテトラメチレングリコールジグリシジルエーテルと、エポキシ当量186のビスフェノールAジグリシジルエーテルとを含むエマルション粒子が乳化分散されたエポキシエマルションを作製した。
具体的には、エポキシ化合物として、製造例1のエポキシ化合物10質量部と、エポキシ当量186のビスフェノールAジグリシジルエーテル(三菱化学(株)製のjER828)40質量部とを併用し、界面活性剤として、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル(第一工業製薬(株)製のノイゲンEA−177(HLB=15.6)5質量部を用いた点を除いては、実施例1と同様にしてエポキシエマルションを製造した。このようにして、エポキシ当量439のテトラメチレングリコールジグリシジルエーテルと、エポキシ当量186のビスフェノールAジグリシジルエーテルとを含むエマルション粒子が乳化分散されたエポキシエマルションを作製した。
本実施形態におけるエポキシエマルションについて、エマルション粒子の平均粒子径を調べた。測定方法は上述の通りである。その結果、本実施形態のエポキシエマルションの平均粒子径は0.5μmであった。また、本実施形態におけるエポキシエマルションについて、上述の方法と同様にして貯蔵安定性を調べた。その結果、上述の実施形態1における実施例1〜6に比べると、貯蔵安定性は低下したものの、比較例1〜4に比べると十分に高い貯蔵安定性を示した。
本実施形態によれば、エポキシエマルションにおいては、エポキシ化合物(A)と共に他のエポキシ化合物が分散されて乳化していてもよいことがわかる。
[第3の実施形態]
次に、エポキシエマルション組成物及びその硬化物の実施形態について説明する。本実施形態においては、実施例(応用実施例)及び比較例(応用比較例)にかかるエポキシエマルション組成物及び硬化物を作製し、これらを比較評価する。
次に、エポキシエマルション組成物及びその硬化物の実施形態について説明する。本実施形態においては、実施例(応用実施例)及び比較例(応用比較例)にかかるエポキシエマルション組成物及び硬化物を作製し、これらを比較評価する。
(応用実施例1)
まず、エポキシ分散液として、濃度50質量%のビスフェノールA型エポキシエマルション(エポキシ当量378)を調整した。このエポキシ分散液を、以下適宜「分散液A」という。次いで、実施例1のエポキシエマルション20質量部と、分散液A80質量部と、硬化剤としての2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール1.75質量部とを混合することにより、エポキシエマルション組成物を作製した。なお、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを以下適宜「硬化剤A」という。次いで、バーコーターを用いて、本例のエポキシエマルション組成物をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布した。その後、温度80℃で2時間保持し、次いで温度120℃に昇温しこの温度120℃で2時間保持し、さらに温度160℃に昇温しこの温度160℃で2時間保持することにより、組成物を硬化させた。このようにして、厚さ13μmの硬化物(エポキシ樹脂塗膜)を得た。
まず、エポキシ分散液として、濃度50質量%のビスフェノールA型エポキシエマルション(エポキシ当量378)を調整した。このエポキシ分散液を、以下適宜「分散液A」という。次いで、実施例1のエポキシエマルション20質量部と、分散液A80質量部と、硬化剤としての2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール1.75質量部とを混合することにより、エポキシエマルション組成物を作製した。なお、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを以下適宜「硬化剤A」という。次いで、バーコーターを用いて、本例のエポキシエマルション組成物をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布した。その後、温度80℃で2時間保持し、次いで温度120℃に昇温しこの温度120℃で2時間保持し、さらに温度160℃に昇温しこの温度160℃で2時間保持することにより、組成物を硬化させた。このようにして、厚さ13μmの硬化物(エポキシ樹脂塗膜)を得た。
(応用実施例2)
実施例4のエポキシエマルションを用いた点を除いては、上述の応用実施例1と同様にしてエポキシエマルション組成物、及びその硬化物(厚さ10μm)を作製した。
実施例4のエポキシエマルションを用いた点を除いては、上述の応用実施例1と同様にしてエポキシエマルション組成物、及びその硬化物(厚さ10μm)を作製した。
(応用実施例3)
実施例5のエポキシエマルションを用いた点を除いては、上述の応用実施例1と同様にしてエポキシエマルション組成物、及びその硬化物(厚さ15μm)を作製した。
実施例5のエポキシエマルションを用いた点を除いては、上述の応用実施例1と同様にしてエポキシエマルション組成物、及びその硬化物(厚さ15μm)を作製した。
(応用実施例4)
実施例6のエポキシエマルションを用いた点を除いては、上述の応用実施例1と同様にしてエポキシエマルション組成物、及びその硬化物(厚さ13μm)を作製した。
実施例6のエポキシエマルションを用いた点を除いては、上述の応用実施例1と同様にしてエポキシエマルション組成物、及びその硬化物(厚さ13μm)を作製した。
(応用実施例5)
実施例7のエポキシエマルション100質量部と、硬化剤A1.75質量部とを混合することにより、エポキシエマルション組成物を作製した。次いで、本例のエポキシエマルション組成物を用いて応用実施例1と同様にして、硬化物(厚さ12μm)を作製した。
実施例7のエポキシエマルション100質量部と、硬化剤A1.75質量部とを混合することにより、エポキシエマルション組成物を作製した。次いで、本例のエポキシエマルション組成物を用いて応用実施例1と同様にして、硬化物(厚さ12μm)を作製した。
(応用実施例6)
エポキシエマルションとして、実施例5のエポキシエマルション40質量部を用い、エポキシ分散液として、濃度50質量%のビスフェノールA型エポキシ分散液(エポキシ当量1040)60質量部を用いた点を除いては、上述の応用実施例1と同様にしてエポキシエマルション組成物、及びその硬化物(厚さ15μm)を作製した。なお、本例において用いた濃度50質量%のビスフェノールA型エポキシ分散液を以下適宜「分散液B」という。分散液Bは、水に固形のビスフェノールA型エポキシが分散された分散液である。
エポキシエマルションとして、実施例5のエポキシエマルション40質量部を用い、エポキシ分散液として、濃度50質量%のビスフェノールA型エポキシ分散液(エポキシ当量1040)60質量部を用いた点を除いては、上述の応用実施例1と同様にしてエポキシエマルション組成物、及びその硬化物(厚さ15μm)を作製した。なお、本例において用いた濃度50質量%のビスフェノールA型エポキシ分散液を以下適宜「分散液B」という。分散液Bは、水に固形のビスフェノールA型エポキシが分散された分散液である。
(応用実施例7)
エポキシエマルションとして、エポキシ分散液として分散液B20質量部を用い、硬化剤として、トリエチレンテトラアミン2.43質量部を用いた点を除いては、上述の応用実施例1と同様にしてエポキシエマルション組成物、及びその硬化物(厚さ13μm)を作製した。なお、本例において用いたトリエチレンテトラアミンを以下適宜「硬化剤B」という。
エポキシエマルションとして、エポキシ分散液として分散液B20質量部を用い、硬化剤として、トリエチレンテトラアミン2.43質量部を用いた点を除いては、上述の応用実施例1と同様にしてエポキシエマルション組成物、及びその硬化物(厚さ13μm)を作製した。なお、本例において用いたトリエチレンテトラアミンを以下適宜「硬化剤B」という。
(応用実施例8)
エポキシエマルションとして、実施例6のエポキシエマルション15質量部を用い、エポキシ分散液として、分散液A85質量部を用い、硬化剤として、テトラフルオロホウ酸亜鉛2質量部を用いた点を除いては、上述の応用実施例1と同様にしてエポキシエマルション組成物、及びその硬化物(厚さ12μm)を作製した。なお、本例において用いたテトラフルオロホウ酸亜鉛を以下適宜「硬化剤C」という。
エポキシエマルションとして、実施例6のエポキシエマルション15質量部を用い、エポキシ分散液として、分散液A85質量部を用い、硬化剤として、テトラフルオロホウ酸亜鉛2質量部を用いた点を除いては、上述の応用実施例1と同様にしてエポキシエマルション組成物、及びその硬化物(厚さ12μm)を作製した。なお、本例において用いたテトラフルオロホウ酸亜鉛を以下適宜「硬化剤C」という。
(応用比較例1)
比較例4のエポキシエマルション100質量部と、硬化剤A1.75質量部とを混合することにより、エポキシエマルション組成物を作製した。次いで、本例のエポキシエマルション組成物を用いて応用実施例1と同様にして、硬化物(厚さ18μm)を作製した。
比較例4のエポキシエマルション100質量部と、硬化剤A1.75質量部とを混合することにより、エポキシエマルション組成物を作製した。次いで、本例のエポキシエマルション組成物を用いて応用実施例1と同様にして、硬化物(厚さ18μm)を作製した。
(応用比較例2)
分散液A100質量部と硬化剤A1.75質量部とを混合することにより、エポキシ組成物を作製した。次いで、本例のエポキシエマルション組成物を用いて応用実施例1と同様にして、硬化物(厚さ15μm)を作製した。
分散液A100質量部と硬化剤A1.75質量部とを混合することにより、エポキシ組成物を作製した。次いで、本例のエポキシエマルション組成物を用いて応用実施例1と同様にして、硬化物(厚さ15μm)を作製した。
(応用比較例3)
分散液B100質量部と硬化剤A1.75質量部とを混合することにより、エポキシ組成物を作製した。次いで、本例のエポキシエマルション組成物を用いて応用実施例1と同様にして、硬化物(厚さ15μm)を作製した。
分散液B100質量部と硬化剤A1.75質量部とを混合することにより、エポキシ組成物を作製した。次いで、本例のエポキシエマルション組成物を用いて応用実施例1と同様にして、硬化物(厚さ15μm)を作製した。
(応用比較例4)
分散液B100質量部と硬化剤B2.34質量部とを混合することにより、エポキシ組成物を作製した。次いで、本例のエポキシエマルション組成物を用いて応用実施例1と同様にして、硬化物(厚さ13μm)を作製した。
分散液B100質量部と硬化剤B2.34質量部とを混合することにより、エポキシ組成物を作製した。次いで、本例のエポキシエマルション組成物を用いて応用実施例1と同様にして、硬化物(厚さ13μm)を作製した。
(応用比較例5)
比較例4のエポキシエマルション100質量部と、硬化剤C2質量部とを混合することにより、エポキシエマルション組成物を作製した。次いで、本例のエポキシエマルション組成物を用いて応用実施例1と同様にして、硬化物(厚さ10μm)を作製した。
比較例4のエポキシエマルション100質量部と、硬化剤C2質量部とを混合することにより、エポキシエマルション組成物を作製した。次いで、本例のエポキシエマルション組成物を用いて応用実施例1と同様にして、硬化物(厚さ10μm)を作製した。
(応用比較例6)
分散液A100質量部と硬化剤C2質量部とを混合することにより、エポキシ組成物を作製した。次いで、本例のエポキシエマルション組成物を用いて応用実施例1と同様にして、硬化物(厚さ13μm)を作製した。
分散液A100質量部と硬化剤C2質量部とを混合することにより、エポキシ組成物を作製した。次いで、本例のエポキシエマルション組成物を用いて応用実施例1と同様にして、硬化物(厚さ13μm)を作製した。
(応用実施例1〜8と、応用比較例1〜6との比較)
各応用実施例及び応用比較例のエポキシエマルション組成物の硬化物について、下記のようにして付着性評価及び耐溶剤性評価を行うと共に、T形剥離強度を測定した。
各応用実施例及び応用比較例のエポキシエマルション組成物の硬化物について、下記のようにして付着性評価及び耐溶剤性評価を行うと共に、T形剥離強度を測定した。
「付着性評価」
JIS K 5400−5−6に準拠して付着性試験(クロスカット法)を行った。即ち、各硬化物(塗膜)に幅1mmの切り目をつけて、5×5の格子パターンを形成した。これに付着テープ(セロハンテープ)を貼り付け、はがした際の塗膜の様子により評価を行った。評価結果をJIS K 5400−5−6に規定に従って、分類0〜5の6段階に分類した。分類0が最も良好であり、分類5が最も不良である。その結果を表2及び表3に示す。
JIS K 5400−5−6に準拠して付着性試験(クロスカット法)を行った。即ち、各硬化物(塗膜)に幅1mmの切り目をつけて、5×5の格子パターンを形成した。これに付着テープ(セロハンテープ)を貼り付け、はがした際の塗膜の様子により評価を行った。評価結果をJIS K 5400−5−6に規定に従って、分類0〜5の6段階に分類した。分類0が最も良好であり、分類5が最も不良である。その結果を表2及び表3に示す。
「耐溶剤性評価」
アセトンを浸漬させたガーゼによって、各硬化物(塗膜)の表面をこすり、その後の塗膜の変化を調べた。変化がない場合を「A」とし、塗膜表面の光沢がなくなった場合を「B」とし、塗膜が剥がれた場合を「C」として評価した。その結果を表2及び表3に示す。
アセトンを浸漬させたガーゼによって、各硬化物(塗膜)の表面をこすり、その後の塗膜の変化を調べた。変化がない場合を「A」とし、塗膜表面の光沢がなくなった場合を「B」とし、塗膜が剥がれた場合を「C」として評価した。その結果を表2及び表3に示す。
「T形剥離強度」
JIS K−6854−3(1999)に準拠して、T形剥離強度を調べることにより、各硬化物(塗膜)の接着強度を調べた。0.5mm×25mm×200mmの板状の試験片を準備した。試験片は、鋼板(SPCC−SD;JIS G 3141(2011)規格)からなる。この試験片の表面における面積25×150mmの領域に、応用実施例及び応用比較例の各組成物を塗布し、組成物を塗布した試験片同士を貼り合わせた。そして、上述の応用実施例1と同様の加熱硬化条件で組成物を硬化させた。その後、引っ張り速度50mm/minで接着した試験片を引き離し、はく離した時の強度を測定した。その結果を表2及び表3に示す。
JIS K−6854−3(1999)に準拠して、T形剥離強度を調べることにより、各硬化物(塗膜)の接着強度を調べた。0.5mm×25mm×200mmの板状の試験片を準備した。試験片は、鋼板(SPCC−SD;JIS G 3141(2011)規格)からなる。この試験片の表面における面積25×150mmの領域に、応用実施例及び応用比較例の各組成物を塗布し、組成物を塗布した試験片同士を貼り合わせた。そして、上述の応用実施例1と同様の加熱硬化条件で組成物を硬化させた。その後、引っ張り速度50mm/minで接着した試験片を引き離し、はく離した時の強度を測定した。その結果を表2及び表3に示す。
表2及び表3より知られるように、実施例のエポキシエマルションを用いて作製した応用実施例1〜8のエポキシエマルション組成物の硬化物は、付着性及び耐溶剤性に優れていた。応用実施例1〜8のエポキシ組成物の硬化物は、はく離強度についても、同様の硬化剤を用いた応用比較例に比べて向上しており、塗料、接着剤、又は繊維状物質の結着材等の用途として実用上十分な値を示した。はく離強度をより向上させるという観点からは、応用実施例1〜4のように、エポキシ化合物(A)が単独で分散されて乳化したエポキシエマルションを用いることがいることがよい。さらに、同様の観点から、エポキシエマルション組成物は、上述のエポキシ化合物(A)を含有するエポキシエマルションと、エポキシ化合物(B)を含有するエマルション状のエポキシ分散液とを混合してなることが好ましい。
これに対し、比較例4のエポキシエマルションを用いて作製した応用比較例1及び5の組成物の硬化物は、付着性には優れるものの、溶剤に対する耐久性が不十分であった。また、汎用の液状エポキシを水に分散してなるエマルションを用いた応用比較例2及び応用比較例6、汎用の固形のエポキシを水に分散してなる分散液を用いた応用比較例3及び応用比較例4においては、組成物の硬化物のはく離強度が、同条件の応用実施例に比べてはく離強度が低下していた。さらに応用比較例6においては、付着性も不十分であった。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。
Claims (8)
- 上記エポキシ化合物(A)は、平均粒子径2μm以下で上記水性媒体中に分散されていることを特徴とする請求項1に記載のエポキシエマルション。
- 請求項1又は2に記載のエポキシエマルションを含有し、2種類以上のエポキシ化合物を含有することを特徴とするエポキシエマルション組成物。
- 上記エポキシエマルション組成物は、上記エポキシエマルションと、上記エポキシ化合物(A)を除く他のエポキシ化合物(B)が水性媒体中に分散されたエポキシ分散液とを混合してなることを特徴とする請求項3に記載のエポキシエマルション組成物。
- 上記エポキシ化合物(B)は、ビスフェノール型であることを特徴とする請求項4に記載のエポキシエマルション組成物。
- 上記エポキシ分散液は、エマルションであることを特徴とする請求項4又は5に記載のエポキシエマルション組成物。
- 上記エポキシエマルション組成物が、硬化剤を含有することを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載のエポキシエマルション組成物。
- 請求項3〜7のいずれか1項に記載のエポキシ組成物を硬化してなることを特徴とする硬化物。
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