JP2016173052A - 回転圧縮機用ベーン - Google Patents

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知広 佐藤
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光男 前田
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英浩 古▲高▼
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Abstract

【課題】強度、摺動性、耐熱性及び寸法安定性のすべてに優れる、樹脂成形体を用いた新規の回転圧縮機用ベーンの提供。
【解決手段】少なくとも一部が、樹脂組成物を成形して得られた成形体からなり、樹脂組成物は、ガラス転移温度が150℃以上である非晶性樹脂と、鱗片状グラファイトと、炭素繊維とを含有し、樹脂組成物において、鱗片状グラファイトの含有量が、非晶性樹脂の含有量100質量部に対して、5〜40質量部であり、樹脂組成物において、炭素繊維の含有量が、非晶性樹脂の含有量100質量部に対して、5〜60質量部である、回転圧縮機用ベーン13。
【選択図】図1

Description

本発明は、少なくとも一部が樹脂組成物からなる回転圧縮機用ベーンに関する。
ベーン式の回転圧縮機、いわゆるコンプレッサーは、典型的には、ベーンを備えたロータと、吸入ポート及び吐出ポートを備え、前記ロータを回転可能に内部に配置するシリンダと、を有して構成される。ベーンは、ロータの回転時にロータから突出して、その先端部がシリンダの内壁に接触し、このときロータ、ベーン及びシリンダの内壁によって圧縮室が形成され、ロータの回転によって、吸入ポートから吸入された気体、液体等の流体が、圧縮室内で圧縮された後、吐出ポートから吐出される。ベーン式の回転圧縮機については、後ほどさらに詳しく説明するが、ベーンは形状が平板状で、ロータの内部及びシリンダの内壁上で摺動する部材である。
ベーンは上記のような役割から、強度及び摺動性に優れることが求められ、また、流体の圧縮に伴って高温条件下に置かれることから、耐熱性及び寸法安定性に優れることが求められる。
これに対して、従来のベーンとしては、金属製のものが主に利用されていた。しかし、金属製のベーンは、重量が重いことにより、運動性に劣り、ロータの回転に多くの電力を消費し、さらに、作動時の音が大きいなどの問題点を有していた。
このような問題点を解決できるものとして、樹脂成形体を用いたベーンが検討されており、例えば、強化用繊維を配合したエンジニアリングプラスチックで形成され、強化用繊維がベーンの長手方向に配向されており、曲げ強さが所定の値以上であるベーンが開示されている(特許文献1参照)。
特開2009−275531号公報
しかし、特許文献1に記載のベーンは、必ずしも強度、摺動性、耐熱性及び寸法安定性のすべてにおいて優れている訳ではなく、樹脂成形体を用いた新規のベーンの開発が望まれていた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、強度、摺動性、耐熱性及び寸法安定性のすべてに優れる、樹脂成形体を用いた新規の回転圧縮機用ベーンを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、少なくとも一部が、樹脂組成物を成形して得られた成形体からなる回転圧縮機用ベーンであって、前記樹脂組成物は、ガラス転移温度が150℃以上である非晶性樹脂と、鱗片状グラファイトと、炭素繊維とを含有し、前記樹脂組成物において、前記鱗片状グラファイトの含有量が、前記非晶性樹脂の含有量100質量部に対して、5〜40質量部であり、前記樹脂組成物において、前記炭素繊維の含有量が、前記非晶性樹脂の含有量100質量部に対して、5〜60質量部である、回転圧縮機用ベーンを提供する。
本発明の回転圧縮機用ベーンにおいて、前記非晶性樹脂は、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアリレート及びポリアリーレンエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種であるものが好ましい。
本発明の回転圧縮機用ベーンにおいて、前記樹脂組成物は、さらに液晶ポリエステルを含有するものでもよい。
本発明の回転圧縮機用ベーンにおいて、前記樹脂組成物での前記液晶ポリエステルの含有量は、前記非晶性樹脂の含有量100質量部に対して、5〜50質量部であるものが好ましい。
本発明の回転圧縮機用ベーンにおいて、前記樹脂組成物は、さらに前記鱗片状グラファイト以外の板状充填材を含有するものでもよい。
本発明の回転圧縮機用ベーンにおいて、前記樹脂組成物での前記板状充填材の含有量は、前記非晶性樹脂の含有量100質量部に対して、5〜50質量部であるものが好ましい。
本発明の回転圧縮機用ベーンにおいて、前記板状充填材は、タルク及びマイカからなる群から選ばれる少なくとも1種であるものが好ましい。
本発明によれば、強度、摺動性、耐熱性及び寸法安定性のすべてに優れる、樹脂成形体を用いた新規の回転圧縮機用ベーンが提供される。
本発明の回転圧縮機用ベーンと、このベーンを備えたベーン式の回転圧縮機の一実施形態を模式的に示す断面図である。 図1に示す回転圧縮機のうち、ベーンとこれを備えたロータとを模式的に示す斜視図である。
<<回転圧縮機用ベーン>>
本発明の回転圧縮機用ベーン(以下、単に「ベーン」ということがある。)は、少なくとも一部が、樹脂組成物を成形して得られた成形体からなる回転圧縮機用ベーンであって、前記樹脂組成物は、ガラス転移温度が150℃以上である非晶性樹脂と、鱗片状グラファイトと、炭素繊維とを含有し、前記樹脂組成物において、前記鱗片状グラファイトの含有量が、前記非晶性樹脂の含有量100質量部に対して、5〜40質量部であり、前記樹脂組成物において、前記炭素繊維の含有量が、前記非晶性樹脂の含有量100質量部に対して、5〜60質量部のものである。
本発明の回転圧縮機用ベーンは、その一部又はすべての構造が、前記成形体からなることで、強度、摺動性、耐熱性及び寸法安定性のすべてに優れる。
本発明の回転圧縮機用ベーンは、その一部又はすべての構造が、上述の特定の組成を有する樹脂組成物を成形して得られた成形体からなる点以外は、従来の回転圧縮機用ベーンと同様のものである。
図1は、本発明の回転圧縮機用ベーンと、このベーンを備えたベーン式の回転圧縮機の一実施形態を模式的に示す断面図であり、図2は、図1に示す回転圧縮機のうち、ベーンとこれを備えたロータとを模式的に示す斜視図である。なお、図1及び2は、例えば、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1に示す回転圧縮機1は、シリンダ11及びロータ12を備える。ロータ12は、略円柱状であり、その中心軸を回転軸として、シリンダ11の内部空間110において回転可能に配置されている。シリンダ11は、その内壁(ロータ12の外表面12aに接触又は対向する内壁)11aと、前記内壁11aに対して直交する方向に広がる一対の隔壁11b(図1は断面図であるため、隔壁11bは一方のみ示している)と、によって囲まれて形成された内部空間110を有する。シリンダ11の内部空間110は、ここに示す断面(シリンダ11の中心軸に対して直交する方向における断面)において開口部の形状が非円形状となるものである。ここでは、シリンダ11の内部空間110の中心軸と、ロータ12の中心軸とが一致する様に、ロータ12は前記内部空間110に配置されている。なお、前記開口部の非円形の形状の例としては、楕円形状や、円がその径に対して直交する方向に、外周はそのままで、この径を境にして引き伸ばされた形状等が挙げられるが、これらに限定されない。
図1及び2に示すように、ロータ12には、その中心軸方向に渡って、その内部の中心軸側の部位と外表面12aとを結ぶ方向に延びる、スリット120が5個形成されている。これら5個のスリット120は、隣り合うもの同士の距離がすべて同じとなるように配置されている。そして、これらスリット120には、本発明の回転圧縮機用ベーン13が挿入されている。ベーン13は略平板状であって、例えば、ロータ12の回転時に受ける遠心力等の外部から加えられる力によって、ロータ12の内部の中心軸側の部位と外表面12aとを結ぶ方向(図1及び2中の矢印Bの方向)において、スリット120内を移動する往復運動が可能となっている。すなわち、ベーン13は、外力によってスリット120内を摺動する。
ベーン13は、ロータ12の回転時にロータ12から突出し、その先端部13aがシリンダ11の内壁11aに接触しながら、ロータ12と共に回転する。このとき、ロータ12の外表面12a、ベーン13、シリンダ11の内壁11a、及びシリンダ11の隔壁11bによって隔離空間110aが形成される。図1中の矢印Aは、ロータ12の回転方向を示している。
一方、シリンダ11は、シリンダ11の外部とシリンダ11の内部空間110との間を、気体、液体等の流体が行き来できるように結ぶ吸入ポート14を備え、吸入ポート14の近傍に、シリンダ11の内部空間110と回転圧縮機1の外部とを、流体が行き来できるように結ぶ吐出ポート15を備えている。回転圧縮機1は、この吸入ポート14及び吐出ポート15の組み合わせを、合計で2組備えている。
したがって、ロータ12が回転することにより、ベーン13のロータ12からの突出距離が変化し、前記隔離空間110aはその容積が変化して、吸入ポート14から隔離空間110aへ吸入された流体は、隔離空間110aが圧縮室として機能することで圧縮され、吐出ポート15から吐出される。
このように、ベーン13は、スリット120においてはロータ12と摺動し、シリンダ11の内壁11aにおいては、シリンダ11と摺動する。
ただし、ここに示す回転圧縮機1は、本発明の回転圧縮機用ベーンを備えたものの一実施形態を例示したものに過ぎず、回転圧縮機は、これに限定されず、一部構成が追加、省略又は変更されたものであってもよい。
例えば、図1では、ベーンの数は5個であるが、2個以上であればよく、2〜4個又は6個以上等、5個以外でもよい。
また、図1では、吸入ポート及び吐出ポートの組み合わせは2組であるが、1組以上であればよく、1組又は3組以上等、2組以外であってもよい。
また、図1では、スリットは、隣り合うもの同士の距離がすべて同じであるが、すべて異なっていてもよいし、一部のみ異なっていてもよい。
本発明の回転圧縮機用ベーンのうち、一部の構造が前記成形体からなるものとは、基材の目的とする部位に前記成形体が取り付けられ、基材にこの成形体が取り付けられたものが全体として、回転圧縮機用ベーンとなるものである。このような、一部の構造が前記成形体からなるベーンしては、回転圧縮機において少なくとも他の部材上を摺動する部位が前記成形体で構成されているものが好ましい。ここで、上部をベーンが摺動する他の部材としては、例えば、ロータ(図1においてはロータ12)、シリンダの内壁(図1においてはシリンダ11の内壁11a)が挙げられる。
このような、一部の構造が前記成形体からなるベーンでより好ましいものの例としては、前記成形体以外のものからなる、ベーンと同様の平板状の基材の表面全面が、前記成形体で被覆されてなるもの、少なくとも他の部材と接触して摺動する表面が前記成形体で被覆されてなるものが挙げられる。前記成形体以外の材質の例としては、銅、アルミニウム、マグネシウム等の金属やそれらを含む合金(以下、これらを合わせて「金属」ということがある。)が挙げられる。このような、金属製の基材と前記成形体からなる被覆層とを備えたベーンは、金属と樹脂成形体の両方の長所を有するものとなる。
本発明の回転圧縮機用ベーンは、少なくとも表面全面が前記成形体からなるものが好ましい。
本発明の回転圧縮機用ベーンの大きさは特に限定されず、これを用いる回転圧縮機の大きさを考慮して適宜設定すればよい。ただし、通常は、厚さが1〜15mmであることが好ましく、2〜10mmであることがより好ましい。厚さが前記下限値以上であることで、ベーンは強度がより向上する。また、厚さが前記上限値以下であることで、ベーンは摺動時の動き易さがより向上する。
本発明の回転圧縮機用ベーンは、公知の方法で製造できる。
すべての構造が前記成形体からなるベーンは、例えば、前記樹脂組成物を射出成形法等で成形する方法や、前記樹脂組成物を押出又は圧縮したブロック材から切削加工する方法で製造できる。
また、一部の構造が前記成形体からなるベーン、例えば、基材を金型内に装着した後に前記樹脂組成物を射出成形して被覆させるインサート成形法や、前記樹脂組成物を射出成形法等で成形して得られた所望の形状の成形体を、融着等により前記基材に取り付ける方法で製造できる。前記基材は、例えば、金属製である場合にはダイキャスト法、切削法等、公知の方法によって作製できる。
<樹脂組成物>
前記樹脂組成物は、ガラス転移温度(Tg)が150℃以上である非晶性樹脂と、鱗片状グラファイトと、炭素繊維とを含有する。以下、各成分について説明する。
[非晶性樹脂]
前記非晶性樹脂のガラス転移温度は、通常150℃以上であり、好ましくは170℃以上であり、より好ましくは190℃以上である。ガラス転移温度が150℃以上であることで、非晶性樹脂の耐熱性が向上する。なお、本明細書において、「ガラス転移温度」とは、特に断りのない限り、JIS K7121:1987に従って示差走査熱量測定(DSC)により求められる中間点ガラス転移温度のことである。
前記非晶性樹脂を用いることにより、前記成形体は高温での強度に優れる。
前記非晶性樹脂の例としては、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアリレート及びポリアリーレンエーテル等が挙げられる。
前記非晶性樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。前記非晶性樹脂を2種以上併用する場合、例えば、前記非晶性樹脂としてポリスルホンを用いる場合であれば、ポリスルホン以外の非晶性樹脂を用いずに、2種以上のポリスルホンを併用してもよいし、ポリスルホン以外の1種以上の非晶性樹脂と、1種以上のポリスルホンとを併用してもよい。ここでは、ポリスルホンを用いる場合について説明したが、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアリレート、ポリアリーレンエーテル等のポリスルホン以外の非晶性樹脂を用いる場合も同様である。
前記非晶性樹脂は、ポリスルホンであることが好ましい。
(ポリスルホン)
前記ポリスルホンは、典型的には、2価の芳香族基、すなわち芳香族化合物から、その芳香環に結合した水素原子を2個除いてなる残基と、スルホニル基と、酸素原子と、を含む繰返し単位を有する樹脂(芳香族ポリスルホン)である。
前記ポリスルホンは、耐熱性や耐薬品性が向上する点から、下記一般式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」ということがある。)を1種以上有することが好ましい。前記ポリスルホンは、さらに、下記一般式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」ということがある。)や、下記一般式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」ということがある。)等の他の繰返し単位を1種以上有していてもよい。
(1)−Ph−SO−Ph−O−
(式中、Ph及びPhは、それぞれ独立に、フェニレン基を表す。前記フェニレン基中の1個以上の水素原子は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。)
(2)−Ph−R−Ph−O−
(式中、Ph及びPhは、それぞれ独立に、フェニレン基を表す。前記フェニレン基中の1個以上の水素原子は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。Rは、アルキリデン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。)
(3)−(Ph−O−
(式中、Phは、フェニレン基を表す。前記フェニレン基中の1個以上の水素原子は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。nは、1〜3の整数を表す。nが2以上である場合、複数個存在するPhは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
Ph〜Phのいずれかで表されるフェニレン基は、p−フェニレン基であってもよいし、m−フェニレン基であってもよいし、o−フェニレン基であってもよいが、ポリスルホンの耐熱性、強度が向上する観点から、p−フェニレン基であることが好ましい。
前記フェニレン基中の水素原子を置換していてもよいアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基及びn−デシル基等が挙げられ、その炭素数は、1〜10であることが好ましい。
前記フェニレン基中の水素原子を置換していてもよいアリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基等の単環式芳香族基;1−ナフチル基、2−ナフチル基等の縮環式芳香族基が挙げられ、その炭素数は、6〜20であることが好ましい。
前記フェニレン基中の水素原子を置換していてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
前記フェニレン基中の水素原子がこれらのアルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されている場合、フェニレン基が有する置換基の数は、特に限定されないが、前記フェニレン基毎に、それぞれ独立に、好ましくは1個又は2個であり、より好ましくは1個である。
Rで表されるアルキリデン基の例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、1−ブチリデン基、1−ペンチリデン基等が挙げられ、その炭素数は、1〜5であることが好ましい。
前記ポリスルホンは、繰返し単位(1)〜(3)を、それぞれ独立に、2種以上有してもよい。なかでも前記ポリスルホンは、ポリスルホンの全繰返し単位の合計モル量に対して、繰返し単位(1)を50〜100モル%有することが好ましく、80〜100モル%有することがより好ましく、繰返し単位として実質的に繰返し単位(1)のみを有する(繰返し単位(1)を100モル%有する)ことがさらに好ましい。
前記ポリスルホンは、例えば、前記ポリスルホンを構成する繰返し単位に対応するジハロゲノスルホン化合物と、ジヒドロキシ化合物と、を重縮合させることにより、製造できる。
例えば、繰返し単位(1)のみを有するポリスルホンは、ジハロゲノスルホン化合物として下記一般式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)」ということがある。)を用い、ジヒドロキシ化合物として下記一般式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」ということがある。)を用いることにより、製造できる。
(4)X−Ph−SO−Ph−X
(式中、Xは及びXは、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表す。Ph及びPhは、前記と同義である。)
(5)HO−Ph−SO−Ph−OH
(式中、Ph及びPhは、前記と同義である。)
また、繰返し単位(1)と繰返し単位(2)とを有するポリスルホンは、ジハロゲノスルホン化合物として前記化合物(4)を用い、ジヒドロキシ化合物として下記一般式(6)で表される化合物(以下、「化合物(6)」ということがある。)を用いることにより、製造できる。
(6)HO−Ph−R−Ph−OH
(式中、Ph、Ph及びRは、前記と同義である。)
また、繰返し単位(1)と繰返し単位(3)とを有するポリスルホンは、ジハロゲノスルホン化合物として前記化合物(4)を用い、ジヒドロキシ化合物として下記一般式(7)で表される化合物(以下、「化合物(7)」ということがある。)を用いることにより、製造できる。
(7)HO−(Ph−OH
(式中、Ph及びnは、前記と同義である。)
前記重縮合は、炭酸のアルカリ金属塩を用いて、溶媒中で行われることが好ましい。炭酸のアルカリ金属塩は、正塩である炭酸アルカリ(アルカリ金属の炭酸塩)であってもよいし、酸性塩である重炭酸アルカリ(炭酸水素アルカリ、アルカリ金属の炭酸水素塩)であってもよいし、両者(炭酸アルカリ及び重炭酸アルカリ)の混合物であってもよい。
好ましい前記炭酸アルカリの例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが挙げられる。
好ましい前記重炭酸アルカリの例としては、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムが挙げられる。
重縮合に用いる好ましい溶媒の例としては、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリドン、スルホラン(1,1−ジオキソチラン)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン等の有機極性溶媒が挙げられる。
前記ポリスルホンの還元粘度は、0.25〜0.60dL/gであることが好ましい。ポリスルホンの還元粘度が前記下限値以上であることで、得られる成形体の機械的強度や耐薬品性がより向上し、発生ガス成分がより低減される。また、ポリスルホンの還元粘度が前記上限値以下であることで、ポリスルホンの溶融粘度の上昇が抑制されて、成形時の流動性がより向上する。
前記ポリスルホンの還元粘度は、機械的強度や耐薬品性、発生ガス等の成形体の物性、及び成形体の物性の安定性と加工性のバランスを考慮すると、0.30〜0.55dL/gであることがより好ましく、0.35〜0.55dL/gであることがさらに好ましい。
前記重縮合において、仮に副反応が生じなければ、ジハロゲノスルホン化合物とジヒドロキシ化合物とのモル比が1:1に近いほど、炭酸のアルカリ金属塩の使用量が多いほど、重縮合時の温度が高いほど、そして、重縮合の時間が長いほど、得られるポリスルホンの重合度が高くなり易く、還元粘度が高くなり易い。
しかし実際には、副生するアルカリ金属の水酸化物である水酸化アルカリ等により、ハロゲノ基のヒドロキシ基への置換反応や解重合等の副反応が生じ、この副反応により、得られるポリスルホンの重合度が低下し易く、還元粘度が低下し易い。
したがって、この副反応の度合いも考慮して、所望の還元粘度を有するポリスルホンが得られるように、ジハロゲノスルホン化合物とジヒドロキシ化合物とのモル比、炭酸のアルカリ金属塩の使用量、重縮合時の温度及び重縮合の時間を調整することが好ましい。
[鱗片状グラファイト]
前記樹脂組成物は、鱗片状グラファイトを含有する。
前記鱗片状グラファイトは、天然鱗片状グラファイトであってもよいし、人造鱗片状グラファイトであってもよい。
鱗片状グラファイトは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
鱗片状グラファイトにおいて、その固定炭素分が高く、酸化ケイ素等の灰分が少なく、結晶性が高いものが好ましい。
鱗片状グラファイトの体積平均粒径は、好ましくは5〜100μm、より好ましくは5〜80μm、さらに好ましくは5〜60μmである。鱗片状グラファイトの体積平均粒径は、レーザー回折散乱法により測定できる。
鱗片状グラファイトの数平均アスペクト比(数平均板面径(面積円相当径)/数平均板厚)は、好ましくは5〜200、より好ましくは10〜100である。鱗片状グラファイトの数平均板面径及び数平均板厚は、電子顕微鏡観察により測定できる。
前記樹脂組成物において、鱗片状グラファイトの含有量は、前記非晶性樹脂の含有量100質量部に対して、5〜40質量部であり、好ましくは5〜35質量部である。鱗片状グラファイトの前記含有量が5質量部以上であることで、前記成形体の摺動時の滑り性が向上し、また、前記成形体の成形収縮率が低減される。鱗片状グラファイトの前記含有量が40質量部以下であることで、前記成形体の摺動時の耐摩耗性が向上する。
[炭素繊維]
前記樹脂組成物は、炭素繊維を含有する。
前記炭素繊維は、ポリアクリロニトリルを原料とするPAN系炭素繊維であってもよいし、石炭タールや石油ピッチを原料とするピッチ系炭素繊維であってもよいし、ビスコースレーヨンや酢酸セルロース等を原料とするセルロース系炭素繊維であってもよいし、炭化水素等を原料とする気相成長系炭素繊維であってもよい。
また、前記炭素繊維は、チョップド炭素繊維であってもよいし、ミルド炭素繊維であってもよい。
前記炭素繊維は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記炭素繊維の数平均繊維径は、好ましくは5〜20μm、より好ましくは5〜15μmである。
また、前記炭素繊維の数平均アスペクト比(数平均繊維長/数平均繊維径)は、好ましくは10〜200、より好ましくは20〜100である。
前記炭素繊維の数平均繊維径及び数平均繊維長は、電子顕微鏡観察により測定できる。なお、前記樹脂組成物を溶融混練で製造する場合には、通常、前記炭素繊維は折損するので、例えば、数平均アスペクト比が500以上の長い炭素繊維を原料として用い、これを溶融混練時に折損させて、そのアスペクト比を前記範囲内としてもよい。
前記樹脂組成物において、前記炭素繊維の含有量は、前記非晶性樹脂の含有量100質量部に対して、5〜60質量部であり、好ましくは10〜50質量部、より好ましくは10〜40質量部である。炭素繊維の前記含有量が5質量部以上であることで、前記成形体の摺動時の耐摩耗性が向上し、炭素繊維の前記含有量が60質量部以下であることで、前記成形体による摺動対象材の傷付きが抑制される。
前記樹脂組成物において前記鱗片状グラファイト及び炭素繊維を用いることにより、前記成形体は、摺動性及び寸法安定性に優れると共に、高温で高い強度及び剛性を有する。
[液晶ポリエステル]
前記樹脂組成物は、溶融流動性が向上する点から、さらに液晶ポリエステルを含有することが好ましい。
前記液晶ポリエステルは、溶融状態で液晶性を示す液晶ポリエステルであり、450℃以下の温度で溶融するものが好ましい。なお、液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルアミドであってもよいし、液晶ポリエステルエーテルであってもよいし、液晶ポリエステルカーボネートであってもよいし、液晶ポリエステルイミドであってもよい。液晶ポリエステルは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリエステルであることが好ましい。
前記液晶ポリエステルの典型的な例としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸と、芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重合及び/又は重縮合させてなるもの、複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させてなるもの、芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重合させてなるもの、並びにポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと、芳香族ヒドロキシカルボン酸と、を重合させてなるものが挙げられる。ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンは、それぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、重合可能な誘導体が用いられてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシ基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるエステル結合を有するもの、カルボキシ基をハロホルミル基に変換してなる酸ハロゲン化物、及びカルボキシ基をアシルオキシカルボニル基に変換してなる酸無水物等が挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシ基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるアシル化物が挙げられる。
芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるアシル化物が挙げられる。
前記液晶ポリエステルは、下記一般式(I)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(I)」ということがある。)を有することが好ましく、繰返し単位(I)と、下記一般式(II)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(II)」ということがある。)と、下記一般式(III)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(III)」ということがある。)と、を有することがより好ましい。
(I)−O−Ar−CO−
(II)−CO−Ar−CO−
(III)−X−Ar−Y−
(式中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記一般式(IV)で表される基を表す。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基(−NH−)を表す。Ar、Ar又はArで表される前記基中の1個以上の水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(IV)−Ar−Z−Ar
(式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
Ar、Ar又はArで表される前記基中の1個以上の水素原子と置換可能なハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
Ar、Ar又はArで表される前記基中の1個以上の水素原子と置換可能なアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基及びn−デシル基等が挙げられ、その炭素数は、1〜10であることが好ましい。
Ar、Ar又はArで表される前記基中の1個以上の水素原子と置換可能なアリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基等のような単環式芳香族基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基等のような縮環式芳香族基が挙げられ、その炭素数は、6〜20であることが好ましい。
Ar、Ar又はArで表される前記基中の1個以上の水素原子がこれらの基で置換されている場合、その置換数は、Ar、Ar又はArで表される前記基毎に、それぞれ独立に、好ましくは1個又は2個であり、より好ましくは1個である。
前記アルキリデン基の例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、n−ブチリデン基及び2−エチルヘキシリデン基等が挙げられ、その炭素数は1〜10であることが好ましい。
繰返し単位(I)は、所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位である。
繰返し単位(I)としては、Arがp−ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位である1,4−フェニレン基であるもの、及びArが6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位である2,6−ナフチレン基であるものが好ましい。
繰返し単位(II)は、所定の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位である。
繰返し単位(II)としては、Arがテレフタル酸に由来する繰返し単位である1,4−フェニレン基であるもの、Arがイソフタル酸に由来する繰返し単位である1,3−フェニレン基であるもの、Arが2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位である2,6−ナフチレン基であるもの、及びArがジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸に由来する繰返し単位であるジフェニルエーテル−4,4’−ジイル基であるものが好ましい。
繰返し単位(III)は、所定の芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシルアミン又は芳香族ジアミンに由来する繰返し単位である。
繰返し単位(III)としては、Arがヒドロキノン、p−アミノフェノール又はp−フェニレンジアミンに由来する繰返し単位である1,4−フェニレン基であるもの、及びArが4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル又は4,4’−ジアミノビフェニルに由来する繰返し単位である4,4’−ビフェニリレン基であるものが好ましい。
前記液晶ポリエステルの繰返し単位(I)の含有量は、全繰返し単位の合計量(液晶ポリエステルを構成する各繰返し単位の質量をその各繰返し単位の式量で割ることにより、各繰返し単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは30〜80モル%、さらに好ましくは40〜70モル%、特に好ましくは45〜65モル%である。
前記液晶ポリエステルの繰返し単位(II)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10〜35モル%、さらに好ましくは15〜30モル%、特に好ましくは17.5〜27.5モル%である。
前記液晶ポリエステルの繰返し単位(III)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10〜35モル%、さらに好ましくは15〜30モル%、特に好ましくは17.5〜27.5モル%である。
前記液晶ポリエステルは、繰返し単位(I)の含有量が多いほど、溶融流動性や耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、あまり多いと、溶融温度や溶融粘度が高くなり易く、成形に必要な温度が高くなり易い。
前記液晶ポリエステルにおいて、繰返し単位(II)の含有量と繰返し単位(III)の含有量との割合は、[繰返し単位(II)の含有量]/[繰返し単位(III)の含有量](モル/モル)で表して、好ましくは0.9/1〜1/0.9、より好ましくは0.95/1〜1/0.95、さらに好ましくは0.98/1〜1/0.98である。
なお、前記液晶ポリエステルは、繰返し単位(I)〜(III)を、それぞれ独立に、1種のみ有していてもよいし、2種以上有してもよい。また、前記液晶ポリエステルは、繰返し単位(I)〜(III)以外の繰返し単位を1種のみ有していてもよいし、2種以上有してもよいが、その含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは0〜10モル%、より好ましくは0〜5モル%である。
前記液晶ポリエステルは、繰返し単位(III)として、X及びYがそれぞれ酸素原子であるものを有すること、すなわち、所定の芳香族ジオールに由来する繰返し単位を有することが、溶融粘度が低くなり易いので好ましく、繰返し単位(III)として、X及びYがそれぞれ酸素原子であるもののみを有することが、より好ましい。
前記液晶ポリエステルは、これを構成する繰返し単位に対応する原料モノマーを溶融重合させ、得られたプレポリマーである重合物をさらに固相重合させることにより、製造することが好ましい。これにより、耐熱性や強度・剛性が高い高分子量の液晶ポリエステルを操作性よく製造できる。溶融重合は触媒の存在下で行ってもよく、前記触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物や、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1−メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物が挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましい。
前記液晶ポリエステルの流動開始温度は、好ましくは270℃以上、より好ましくは270〜400℃、さらに好ましくは280〜380℃である。前記液晶ポリエステルの流動開始温度が高いほど、液晶ポリエステルは耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、あまり高いと、溶融温度や溶融粘度が高くなり易く、その成形に必要な温度が高くなり易い。
なお、流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kgf/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、(株)シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
前記樹脂組成物において、前記液晶ポリエステルの含有量は、前記非晶性樹脂の含有量100質量部に対して、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは5〜50質量部である。液晶ポリエステルの含有量が多いほど、前記樹脂組成物の溶融流動性が向上し易いが、あまり多いと、前記成形体のMD方向(Machine Direction:成形時の流れ方向)の成形収縮率が低減し易く、また、前記成形体のTD方向(Transverse Direction:成形時の流れ方向に垂直な方向)の成形収縮率が上昇し易い。
[板状充填材]
前記樹脂組成物は、前記成形体の滑り性がさらに向上し、成形収縮率がより低減される点から、さらに前記鱗片状グラファイト以外の板状充填材を含有することが好ましい。
前記板状充填材は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記板状充填材は、板状無機充填材であることが好ましく、その好ましい例としては、マイカ及びタルクが挙げられる。
前記板状充填材の体積平均粒径は、好ましくは5〜100μm、より好ましくは5〜80μm、さらに好ましくは5〜60μmである。前記板状充填材の体積平均粒径は、レーザー回折散乱法により測定できる。
前記板状充填材の数平均アスペクト比(数平均板面径(面積円相当径)/数平均板厚)は、好ましくは5〜200、より好ましくは10〜100である。前記板状充填材の数平均板面径及び数平均板厚は、電子顕微鏡観察により測定できる。
前記樹脂組成物において、前記板状充填材の含有量は、前記非晶性樹脂の含有量100質量部に対して、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは5〜50質量部である。板状充填材の前記含有量が前記下限値以上であることで、前記成形体の滑り性がより向上し、また、前記成形体の成形収縮率がより低減される。板状充填材の前記含有量が前記上限値以下であることで、前記成形体の摺動時の耐摩耗性がより向上する。
[他の成分]
前記樹脂組成物は、必要に応じて、前記非晶性樹脂、鱗片状グラファイト、炭素繊維、液晶ポリエステル及び板状充填材のいずれにも該当しない他の成分を含有していてもよい。
前記他の成分の例としては、前記非晶性樹脂及び液晶ポリエステル以外の樹脂、前記炭素繊維及び板状充填材以外の充填材、並びに酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤、難燃剤、着色剤等の添加剤が挙げられる。
前記他の成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂組成物において、前記他の成分の含有量(他の成分が2種以上の場合にはこれらの合計含有量)は、前記非晶性樹脂の含有量100質量部に対して、好ましくは10質量部以下である。
前記樹脂組成物は、前記非晶性樹脂、鱗片状グラファイト、炭素繊維、及び必要に応じて用いられるこれら以外の成分を混合し、得られた混合物を、押出機を用いて溶融混練し、ストランド状に押し出し、ペレット化することにより調製することが好ましい。
前記押出機としては、シリンダと、前記シリンダ内に配置された1本以上のスクリュウと、前記シリンダに設けられた1箇所以上の供給口とを有するものが好ましく、さらに前記シリンダに設けられた1箇所以上のベント部を有するものがより好ましい。
溶融混練時の温度は、特に限定されないが、好ましくは200〜400℃であり、より好ましくは250〜360℃である。
<成形体>
本発明の回転圧縮機用ベーンを構成する前記成形体は、前記樹脂組成物を成形することで得られる。
前記樹脂組成物の成形方法は、前記成形体の形状に応じて、適宜公知の方法から選択すればよい。前記成形方法は、通常、先の説明のように、射出成形法であることが好ましい。
成形時の温度は特に限定されないが、例えば、射出成形機を用いる場合には、シリンダー温度を好ましくは250〜420℃、より好ましくは280〜380℃とし、金型温度を好ましくは80〜190℃、より好ましくは120〜180℃として、成形するとよい。
前記成形体の厚さは、本発明の回転圧縮機用ベーンを構成している部位や、ベーンが装着される回転圧縮機の大きさ等に応じて、適宜調節すればよいが、1〜15mmであることが好ましく、2〜10mmであることがより好ましい。前記成形体の厚さが前記下限値以上であることで、本発明のベーンを用いたことによる効果がより顕著に発現する。また、前記成形体の厚さが前記上限値以下であることで、ベーンの機能がより向上する。
一方、前記成形体の主たる面の面積は、特に限定されず、本発明の回転圧縮機用ベーンを構成している部位や、ベーンが装着される回転圧縮機の大きさ等に応じて、適宜調節すればよい。
前記樹脂組成物を成形して得られた成形体を用いることにより、本発明の回転圧縮機用ベーンは、強度、摺動性、耐熱性及び寸法安定性のすべてに優れる。また、本発明の回転圧縮機用ベーンは、前記成形体を用いることにより、従来の金属製のベーンよりも軽量であり、運動性が高く、回転圧縮機の稼働エネルギーを低減でき、作動時の音も低減できる。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
なお、本実施例においては、各樹脂のガラス転移温度及び融点を、それぞれ下記方法で測定した。また、成形体について、曲げ強度、曲げ弾性率、荷重たわみ温度、線膨張係数及び成形収縮率を、それぞれ下記方法で測定し、摩擦摩耗試験を下記方法で行った。
<樹脂のガラス転移温度及び融点の測定>
JIS K7121:1987に従って測定した。
<成形体の曲げ強度及び曲げ弾性率の測定>
射出成形により作製した127mm×12.7mm×6.4mmの平板状試験片を使用し、ASTM D790に従って測定した。
<成形体の荷重たわみ温度の測定>
射出成形により作製した127mm×12.7mm×6.4mmの平板状試験片を使用し、ASTM D648に従い、荷重1.82MPaの条件で測定した。
<成形体の線膨張係数の測定>
射出成形により作製したASTM D638 Type−IV試験片から、6mm(MD)×6mm(TD)×2.5mm(厚さ)の大きさの試験片をさらに切り出した。
なお、本明細書において、「MD」は樹脂の流動方向に平行な方向を意味し、「TD」はMDに対して垂直な方向を意味する。
熱機械分析装置((株)リガク製「TMA8310」)を用い、切り出して得られた前記試験片について、昇温速度5℃/分の条件で線膨張係数を測定し、50〜150℃での測定値の平均値を算出して、成形体の線膨張係数とした。
<成形体の成形収縮率の測定>
射出成形により作製した64mm(MD)×64mm(TD)×3mmの平板状試験片について、MDの2辺の長さを測定し、その平均値を求め、この平均値と、金型キャビティのMDの長さとから、下記式により、MDの収縮率を算出した。また、得られた成形体について、TDの2辺の長さを測定し、その平均値を求め、この平均値と、金型キャビティのTDの長さとから、下記式により、TDの収縮率を算出した。結果を表2に示す。
[MDの収縮率(%)]=([金型キャビティのMDの長さ(μm)]−[成形体のMDの2辺の長さの平均値(μm)])/[金型キャビティのMDの長さ(μm)]×100
[TDの収縮率(%)]=([金型キャビティのTDの長さ(μm)]−[成形体のTDの2辺の長さの平均値(μm)])/[金型キャビティのTDの長さ(μm)]×100
<成形体の摩擦摩耗試験>
得られた成形体の中央部から、さらに10mm×10mm×3mmの試験片を切り出し、この試験片について、HEIDON表面性試験機TYPE14DR(新東科学(株)製)を用いて、PPC用紙((株)大塚商会製「TANOSEE(登録商標) PPCPW−A4)を相手材として、速度5m/分、荷重100g、移動距離50mm(往復100mm)×1000往復の条件で摩擦摩耗試験を行い、試験片の減少質量を測定すると共に、相手材の汚染、すなわち相手材への試験片からの脱落物の移着の度合いと、相手材の荒れの度合いとを目視観察した。結果を表2に示す。
<液晶ポリエステルの製造>
[製造例1]
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸(994.5g、7.2モル)、テレフタル酸(299.0g、1.8モル)、イソフタル酸(99.7g、0.6モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(446.9g、2.4モル)、無水酢酸(1347.6g、13.2モル)及び1−メチルイミダゾール(0.2g)を入れ、反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、攪拌しながら、室温から150℃まで30分かけて昇温し、150℃で1時間還流させた。次いで、1−メチルイミダゾール(0.9g)を加えた後、副生した酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、150℃から320℃まで2時間50分かけて昇温し、トルクの上昇が認められた時点で、反応器から内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粉砕して、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から285℃まで5時間かけて昇温し、285℃で3時間保持することにより、固相重合を行った。次いで、固相重合物を冷却して、粉末状の液晶ポリエステルを得た。
得られた液晶ポリエステルの流動開始温度は、327℃であった。
<成形体の製造及び評価>
[実施例1]
非晶性樹脂としてポリエーテルスルホン(住友化学(株)製「スミカエクセル(登録商標)」PES 3600P、ガラス転移温度225℃)を用い、表1に示すように、この非晶性樹脂(100質量部)、鱗片状グラファイト(日本黒鉛(株)製「CSP」)(7質量部)、及び炭素繊維(三菱レイヨン(株)製「パイロフィル(登録商標) TR03M」)(36質量部)を、タンブラーを用いて混合した後、二軸押出機((株)池貝製「PCM−30」)を用いて、340℃で溶融混練し、ペレット化した。得られた樹脂組成物であるペレットを、温風循環式乾燥機を用いて、180℃で12時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業(株)製「PS40E−5ASE型」)を用いて、シリンダ温度370℃、金型温度150℃の条件で射出成形し、試験片である2種類の成形体を得た。これら2種類の成形体はそれぞれ、127mm×12.7mm×6.4mmの平板状のものと、64mm(MD)×64mm(TD)×3mmの平板状のものであり、いずれもベーンと同様の形状を有する。
得られた上記2種類の成形体について、前者を使用して曲げ強度、曲げ弾性率、荷重たわみ温度を測定し、後者を使用して成形収縮率の測定、及び摩擦摩耗試験を行って、その特性を評価した。また、線膨張係数については別途成形したASTM D638 Type−IV試験片を使用して測定を行った。結果を表1及び2に示す。なお、表中、「PES」はポリエーテルスルホンを、「鱗片状G」は鱗片状グラファイトを、それぞれ意味する。また、含有成分の欄の「−」は、その成分を含有しない、すなわちその成分の含有量が0質量%であることを意味する。
[実施例2]
表1に示すように、鱗片状グラファイト及び炭素繊維の使用量を変更した点以外は、実施例1と同じ方法で、成形体を製造した。
得られた成形体について、曲げ強度、曲げ弾性率、荷重たわみ温度、及び線膨張係数を測定し、その特性を評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
結晶性樹脂としてポリフェニレンサルファイド(DIC(株)製「DIC(登録商標). PPS T−4G、融点280℃)を用い、表1に示すように、この結晶性樹脂(100質量部)、鱗片状グラファイト(日本黒鉛(株)製「CSP」)(7質量部)、及び炭素繊維(三菱レイヨン(株)製「パイロフィル(登録商標) TR03M」)(36質量部)を、タンブラーを用いて混合した後、二軸押出機((株)池貝製「PCM−30」)を用いて、300℃で溶融混練し、ペレット化した。得られた樹脂組成物であるペレットを、温風循環式乾燥機を用いて、150℃で12時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業(株)製「PS40E−5ASE型」)を用いて、シリンダ温度320℃、金型温度150℃の条件で射出成形し、試験片である成形体を得た。この成形体は、実施例1の場合と同様に平板状で、ベーンと同様の形状を有する。
得られた成形体を実施例2と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。なお、表中、「PPS」はポリフェニレンサルファイドを意味する。
[比較例2]
表1に示すように、鱗片状グラファイト及び炭素繊維の使用量を変更した点以外は、比較例1と同じ方法で、成形体を製造及び評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
結晶性樹脂としてポリアミド(ユニチカ(株)製「ユニチカ(登録商標)ナイロン6 A1020BRL」、融点225℃)を用い、表1に示すように、この結晶性樹脂(100質量部)、鱗片状グラファイト(日本黒鉛(株)製「CSP」)(7質量部)、及び炭素繊維(三菱レイヨン(株)製「パイロフィル(登録商標) TR03M」)(36質量部)を、タンブラーを用いて混合した後、二軸押出機((株)池貝製「PCM−30」)を用いて、240℃で溶融混練し、ペレット化した。得られた樹脂組成物であるペレットを、温風循環式乾燥機を用いて、120℃で12時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業(株)製「PS40E−5ASE型」)を用いて、シリンダ温度260℃、金型温度120℃の条件で射出成形し、試験片である成形体を得た。この成形体は、実施例1の場合と同様に平板状で、ベーンと同様の形状を有する。
得られた成形体を実施例2と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。なお、表中、「PA」はポリアミドを意味する。
[比較例4]
表1に示すように、鱗片状グラファイト及び炭素繊維の使用量を変更した点以外は、比較例3と同じ方法で、成形体を製造及び評価した。結果を表1に示す。
[実施例3〜5]
表2に示すように、鱗片状グラファイト及び炭素繊維の使用量を変更した点以外は、実施例1と同じ方法で成形体を得た。
得られた成形体について、成形収縮率を測定し、摩擦摩耗試験を行って、その特性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例6]
非晶性樹脂としてポリエーテルスルホン(住友化学(株)製「スミカエクセル(登録商標)」PES 3600P、ガラス転移温度225℃)を用い、表2に示すように、この非晶性樹脂(100質量部)、鱗片状グラファイト(日本黒鉛(株)製「CSP」)(15質量部)、炭素繊維(三菱レイヨン(株)製「パイロフィル(登録商標) TR03M」)(23質量部)、及び製造例1で得られた液晶ポリエステル(15質量部)を、タンブラーを用いて混合した後、二軸押出機((株)池貝製「PCM−30」)を用いて、340℃で溶融混練し、ペレット化した。得られた樹脂組成物であるペレットを、温風循環式乾燥機を用いて、180℃で12時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業(株)製「PS40E−5ASE型」)を用いて、シリンダ温度370℃、金型温度150℃の条件で射出成形し、試験片である成形体を得た。この成形体は、64mm(MD)×64mm(TD)×3mmの平板状で、ベーンと同様の形状を有する。
得られた成形体を実施例3と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。なお、表中、「LCP」は液晶ポリエステルを意味する。
[実施例7]
非晶性樹脂としてポリエーテルスルホン(住友化学(株)製「スミカエクセル(登録商標)」PES 3600P、ガラス転移温度225℃)を用い、表2に示すように、この非晶性樹脂(100質量部)、鱗片状グラファイト(日本黒鉛(株)製「CSP」)(15質量部)、炭素繊維(三菱レイヨン(株)製「パイロフィル(登録商標) TR03M」)(23質量部)、及びマイカ((株)ヤマグチマイカ製「AB25S」)(15質量部)を、タンブラーを用いて混合した後、二軸押出機((株)池貝製「PCM−30」)を用いて、340℃で溶融混練し、ペレット化した。得られた樹脂組成物であるペレットを、温風循環式乾燥機を用いて、180℃で12時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業(株)製「PS40E−5ASE型」)を用いて、シリンダ温度370℃、金型温度150℃の条件で射出成形し、試験片である成形体を得た。この成形体は、64mm(MD)×64mm(TD)×3mmの平板状で、ベーンと同様の形状を有する。
得られた成形体を実施例3と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
[実施例8]
非晶性樹脂としてポリエーテルスルホン(住友化学(株)製「スミカエクセル(登録商標)」PES 3600P、ガラス転移温度225℃)を用い、表2に示すように、この非晶性樹脂(100質量部)、鱗片状グラファイト(日本黒鉛(株)製「CSP」)(18質量部)、炭素繊維(三菱レイヨン(株)製「パイロフィル(登録商標) TR03M」)(27質量部)、製造例1で得られた液晶ポリエステル(9質量部)、及びマイカ((株)ヤマグチマイカ製「AB25S」)(27質量部)を、タンブラーを用いて混合した後、二軸押出機((株)池貝製「PCM−30」)を用いて、340℃で溶融混練し、ペレット化した。得られた樹脂組成物であるペレットを、温風循環式乾燥機を用いて、180℃で12時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業(株)製「PS40E−5ASE型」)を用いて、シリンダ温度370℃、金型温度150℃の条件で射出成形し、試験片である成形体を得た。この成形体は、64mm(MD)×64mm(TD)×3mmの平板状で、ベーンと同様の形状を有する。
得られた成形体を実施例3と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
[比較例5〜6]
表2に示すように、鱗片状グラファイト及び炭素繊維の使用量を変更した点以外は、実施例3と同じ方法で成形体を製造及び評価した。結果を表2に示す。
Figure 2016173052
Figure 2016173052
表1から明らかなように、樹脂としてガラス転移温度が225℃であるポリエーテルスルホンを用いた実施例1〜2の成形体は、曲げ強度、曲げ弾性率、荷重たわみ温度及び線膨張係数のすべてが良好であり、強度、耐熱性及び寸法安定性に優れていた。
これに対して、樹脂としてポリフェニレンサルファイドを用いた比較例1〜2の成形体、及び樹脂としてポリアミドを用いた比較例3〜4の成形体はいずれも、曲げ強度、曲げ弾性率、荷重たわみ温度及び線膨張係数の少なくともいずれかが劣っており、強度、耐熱性及び寸法安定性のいずれかが劣っていた。
また、表2から明らかなように、樹脂組成物として鱗片状グラファイトの含有量が特定の範囲にあるものを用いた実施例1及び3〜8の成形体は、成形収縮率及び摩擦摩耗試験の結果がいずれも良好であり、摺動性及び寸法安定性に優れていた。
これに対して、樹脂組成物として鱗片状グラファイトを含有していないものを用いた比較例5の成形体は、成形収縮率が劣っており、寸法安定性に劣っていた。そして、樹脂組成物として鱗片状グラファイトの含有量が多いものを用いた比較例6の成形体は、摩擦摩耗試験の結果が劣っており、摺動性に劣っていた。
本発明は、ベーン式の回転圧縮機で利用可能である。
1・・・回転圧縮機、11・・・シリンダ、11a・・・シリンダの内壁、11b・・・シリンダの隔壁、110・・・シリンダの内部空間、110a・・・シリンダの隔離空間、12・・・ロータ、12a・・・ロータの外表面、120・・・スリット、13・・・回転圧縮機用ベーン、13a・・・回転圧縮機用ベーンの先端部、14・・・吸入ポート、15・・・吐出ポート

Claims (7)

  1. 少なくとも一部が、樹脂組成物を成形して得られた成形体からなる回転圧縮機用ベーンであって、
    前記樹脂組成物は、ガラス転移温度が150℃以上である非晶性樹脂と、鱗片状グラファイトと、炭素繊維とを含有し、
    前記樹脂組成物において、前記鱗片状グラファイトの含有量が、前記非晶性樹脂の含有量100質量部に対して、5〜40質量部であり、
    前記樹脂組成物において、前記炭素繊維の含有量が、前記非晶性樹脂の含有量100質量部に対して、5〜60質量部である、回転圧縮機用ベーン。
  2. 前記非晶性樹脂が、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアリレート及びポリアリーレンエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の回転圧縮機用ベーン。
  3. 前記樹脂組成物が、さらに液晶ポリエステルを含有する、請求項1又は2に記載の回転圧縮機用ベーン。
  4. 前記樹脂組成物において、前記液晶ポリエステルの含有量が、前記非晶性樹脂の含有量100質量部に対して、5〜50質量部である、請求項3に記載の回転圧縮機用ベーン。
  5. 前記樹脂組成物が、さらに前記鱗片状グラファイト以外の板状充填材を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転圧縮機用ベーン。
  6. 前記樹脂組成物において、前記板状充填材の含有量が、前記非晶性樹脂の含有量100質量部に対して、5〜50質量部である、請求項5に記載の回転圧縮機用ベーン。
  7. 前記板状充填材が、タルク及びマイカからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項5又は6に記載の回転圧縮機用ベーン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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