JP2016172818A - 潤滑油組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】極圧性、耐摩耗性および省燃費性を長期間維持できる潤滑油組成物を提供する。
【解決手段】100℃における動粘度が10mm2/s以下のワックス異性化基油を70質量%以上99.5質量%以下、および100℃における動粘度が1mm2/s以上20mm2/s以下で、粘度指数が130以上のエステル系基油を0.5質量%以上30質量%以下含有する混合基油と、重量平均分子量3万以上40万以下の分散型ポリメタクリレート系粘度指数向上剤を組成物全量基準0.5質量%以上20質量%以下含有する潤滑油組成物。
【選択図】なし
【解決手段】100℃における動粘度が10mm2/s以下のワックス異性化基油を70質量%以上99.5質量%以下、および100℃における動粘度が1mm2/s以上20mm2/s以下で、粘度指数が130以上のエステル系基油を0.5質量%以上30質量%以下含有する混合基油と、重量平均分子量3万以上40万以下の分散型ポリメタクリレート系粘度指数向上剤を組成物全量基準0.5質量%以上20質量%以下含有する潤滑油組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は潤滑油組成物に関し、特にギヤ油組成物として好適な潤滑油組成物に関する。
駆動系油の省燃費化技術として近年よく適用される技術としては、製品粘度の低粘度化により攪拌損失および引きずりトルクを低減することで省燃費化を図る手法が取られている(例えば特許文献1、2)。
しかしながら、低粘度化の背反性能として、油膜厚さ低下に起因して極圧性、耐摩耗性の低下を生じてしまうという問題がある。
しかしながら、低粘度化の背反性能として、油膜厚さ低下に起因して極圧性、耐摩耗性の低下を生じてしまうという問題がある。
本発明は、以上のような事情に鑑み、省燃費化(低粘度化)に対応し、潤滑油の劣化やせん断による動粘度の低下を防止することで極圧性、耐摩耗性および省燃費性を長期間維持できる潤滑油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題について鋭意研究した結果、ワックス異性化基油を主成分とするエステル系基油との混合基油を用い、所定の分散型ポリメタクリレート系粘度指数向上剤を所定量含有し、所定の要件を具備した潤滑油組成物が、省燃費性と極圧性、耐摩耗性とを両立することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、100℃における動粘度が10mm2/s以下のワックス異性化基油を70質量%以上99.5質量%以下、および100℃における動粘度が1mm2/s以上20mm2/s以下で、粘度指数が130以上のエステル系基油を0.5質量%以上30質量%以下含有する混合基油と、重量平均分子量3万以上40万以下の分散型ポリメタクリレート系粘度指数向上剤を組成物全量基準0.5質量%以上20質量%以下含有する潤滑油組成物である。
さらに本発明は、前記潤滑油組成物であって、下記式(1)を満たすことを特徴とする潤滑油組成物である。
0.8≦[動粘度比×5/せん断損失率]≦1.2 (1)
[ここで、せん断損失率は、「(製品粘度−せん断試験後粘度)/(製品粘度−基油粘度)×100」により算出される。なお、せん断試験後粘度は、せん断試験(sonic,10kHz,28μm,1hr)後の100℃動粘度である。また、動粘度比は、「酸化安定性試験(ISOT,150℃×96h)後の100℃動粘度/新油100℃動粘度」である。]
0.8≦[動粘度比×5/せん断損失率]≦1.2 (1)
[ここで、せん断損失率は、「(製品粘度−せん断試験後粘度)/(製品粘度−基油粘度)×100」により算出される。なお、せん断試験後粘度は、せん断試験(sonic,10kHz,28μm,1hr)後の100℃動粘度である。また、動粘度比は、「酸化安定性試験(ISOT,150℃×96h)後の100℃動粘度/新油100℃動粘度」である。]
本発明によれば、潤滑油の劣化やせん断による動粘度の低下を防止することで極圧性、耐摩耗性および省燃費性を長期間維持することができる。
以下、本発明について詳述する。
本発明に係る潤滑油基油は、ワックス異性化基油およびエステル系基油との混合基油である。
ワックス異性化基油とは、石油系あるいはフィッシャートロピッシュ合成油等のワックスを異性化したものを広く意味し、本発明においては下記性状を満たす限りいずれのワックス異性化基油を用いることができる。またワックス異性化基油は混合物であってもよい。
本発明に係るワックス異性化基油の100℃における動粘度(以下、100℃動粘度とも記す。)は、10mm2/s以下であることが必要であり、8mm2/s以下が好ましく、5mm2/s以下がより好ましい。ワックス異性化基油の100℃動粘度を10mm2/s以下にすることで、低温粘度特性に優れた潤滑油組成物を得ることができる。
一方、ワックス異性化基油の100℃動粘度の下限については特に限定されないが、1mm2/s以上であることが好ましく、3mm2/s以上がより好ましい。ワックス異性化基油の100℃動粘度を1mm2/s以上にすることで、十分な潤滑性を確保でき、また潤滑油基油の蒸発損失を抑制することができる。
一方、ワックス異性化基油の100℃動粘度の下限については特に限定されないが、1mm2/s以上であることが好ましく、3mm2/s以上がより好ましい。ワックス異性化基油の100℃動粘度を1mm2/s以上にすることで、十分な潤滑性を確保でき、また潤滑油基油の蒸発損失を抑制することができる。
本発明に係るワックス異性化基油の粘度指数は、120以上が好ましく、130以上がより好ましく、140以上がさらに好ましい。粘度指数を120以上とすることによって、低温から高温にわたり良好な粘度特性を示す組成物を得ることができる。
一方、上限については特に制限はないが、通常200以下であり、160以下が好ましい。粘度指数が高すぎると低温時の粘度が高くなる傾向があり好ましくない。
一方、上限については特に制限はないが、通常200以下であり、160以下が好ましい。粘度指数が高すぎると低温時の粘度が高くなる傾向があり好ましくない。
ワックス異性化基油の含有量は、基油全量基準で、70質量%以上99.5質量%以下であり、75質量%以上95質量%以下が好ましい。
エステル系基油としては、通常基油として使用されるものが使用でき、モノエステル、ジエステル、ポリオールエステルが挙げられる。
エステル系基油を構成するアルコールとしては一価アルコールでも多価アルコールでもよく、またエステル系基油を構成する酸としては一塩基酸でも多塩基酸であってもよい。
一価アルコールとしては、炭素数1〜24、好ましくは1〜12のものが用いられ、直鎖のものでも分枝のものでもよく、また飽和のものであっても不飽和のものであってもよい。かかる一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール等が挙げられる。
多価アルコールとしては、通常2〜10価、好ましくは2〜6価のものが用いられる。かかる多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン等が挙げられる。
多価アルコールとしては、通常2〜10価、好ましくは2〜6価のものが用いられる。かかる多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン等が挙げられる。
一塩基酸としては、通常炭素数2〜24の脂肪酸が用いられ、直鎖のものでも分枝のものでもよく、また飽和のものでも不飽和のものでもよい。かかる一塩基酸としては、例えば、メタン酸、エタン酸(酢酸)、プロパン酸(プロピオン酸)、ブタン酸(酪酸、イソ酪酸等)、ペンタン酸(吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸等)、ヘキサン酸(カプロン酸等)、ヘプタン酸、オクタン酸(カプリル酸等)、ノナン酸(ペラルゴン酸等)、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸等)、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸等)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸等)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸等)、ノナデカン酸、イコサン酸、ヘンイコサン酸、ドコサン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸、ペンタコサン酸、ヘキサコサン酸、ヘプタコサン酸、オクタコサン酸、ノナコサン酸、トリアコンタン酸等の飽和脂肪酸;プロペン酸(アクリル酸等)、プロピン酸(プロピオール酸等)、ブテン酸(メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等)、ペンテン酸、ヘキセン酸、へプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデセン酸、オクタデセン酸(オレイン酸等)、ノナデセン酸、イコセン酸、ヘンイコセン酸、ドコセン酸、トリコセン酸、テトラコセン酸、ペンタコセン酸、ヘキサコセン酸、ヘプタコセン酸、オクタコセン酸、ノナコセン酸、トリアコンテン酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。
多塩基酸としては炭素数2〜16の、例えばエタン二酸(シュウ酸)、プロパン二酸(マロン酸等)、ブタン二酸(コハク酸、メチルマロン酸等)、ペンタン二酸(グルタル酸、エチルマロン酸等)、ヘキサン二酸(アジピン酸等)、へプタン二酸(ピメリン酸等)、オクタン二酸(スベリン酸等)、ノナン二酸(アゼライン酸等)、デカン二酸(セバシン酸等)、プロペン二酸、ブテン二酸(マレイン酸、フマル酸等)、ペンテン二酸(シトラコン酸、メサコン酸等)、ヘキセン二酸、ヘプテン二酸、オクテン二酸、ノネン二酸、デセン二酸等二塩基酸、およびトリメリット酸等の三塩基酸が用いられ、直鎖のものでも分枝のものでもよく、また飽和のものでも不飽和のものでもよい。
多塩基酸としては炭素数2〜16の、例えばエタン二酸(シュウ酸)、プロパン二酸(マロン酸等)、ブタン二酸(コハク酸、メチルマロン酸等)、ペンタン二酸(グルタル酸、エチルマロン酸等)、ヘキサン二酸(アジピン酸等)、へプタン二酸(ピメリン酸等)、オクタン二酸(スベリン酸等)、ノナン二酸(アゼライン酸等)、デカン二酸(セバシン酸等)、プロペン二酸、ブテン二酸(マレイン酸、フマル酸等)、ペンテン二酸(シトラコン酸、メサコン酸等)、ヘキセン二酸、ヘプテン二酸、オクテン二酸、ノネン二酸、デセン二酸等二塩基酸、およびトリメリット酸等の三塩基酸が用いられ、直鎖のものでも分枝のものでもよく、また飽和のものでも不飽和のものでもよい。
本発明に係るエステル系基油としては、アルコール成分として多価アルコールを用いた場合、多価アルコール中の水酸基全てがエステル化された完全エステルでもよいし、水酸基の一部がエステル化されず水酸基のまま残存する部分エステルでもよい。また、酸成分として多塩基酸を用いた場合に得られる有機酸エステルは、多塩基酸中のカルボキシル基全てがエステル化された完全エステルでもよいし、あるいはカルボキシル基の一部がエステル化されずカルボキシル基のままで残っている部分エステルであってもよい。
本発明に用いられるエステル系基油は上記したエステル化合物1種類のみから構成されるものであってもよいし、また2種以上の混合物から構成されるものであってもよい。
本発明に係るエステル系基油の100℃における動粘度は、1mm2/s以上であることが必要であり、1.5mm2/s以上が好ましく、2mm2/s以上がより好ましい。1mm2/s以上にすることで極圧性及び耐摩擦性に優れる性能を得ることができる。
一方、100℃における動粘度は、20mm2/s以下であることが必要であり、15mm2/s以下が好ましく、10mm2/s以下がより好ましい。20mm2/s以下にすることで、低温粘度特性に優れた潤滑油組成物を得られる。
一方、100℃における動粘度は、20mm2/s以下であることが必要であり、15mm2/s以下が好ましく、10mm2/s以下がより好ましい。20mm2/s以下にすることで、低温粘度特性に優れた潤滑油組成物を得られる。
本発明に係るエステル系基油の粘度指数は、130以上であることが必要であり、140以上が好ましく、150以上がより好ましい。粘度指数を130以上とすることによって、低温から高温にわたり良好な粘度特性を示す組成物を得ることができる。
一方、エステル系基油の粘度指数の上限については特に制限はないが、通常200以下であることが好ましく、180以下がより好ましい。粘度指数が高すぎると低温時の粘度が高くなる傾向があり好ましくない。
一方、エステル系基油の粘度指数の上限については特に制限はないが、通常200以下であることが好ましく、180以下がより好ましい。粘度指数が高すぎると低温時の粘度が高くなる傾向があり好ましくない。
エステル系基油の含有量は、基油全量基準で、0.5質量%以上30質量%以下であり、5質量%以上25質量%以下が好ましい。エステル系基油の含有量を0.5質量%以上にすることで、極圧性、耐摩耗性及び省燃費性に優れる傾向にある。また、エステル系基油が30質量%を超えると酸化安定性に悪影響を与えるため好ましくない。
本発明に係る潤滑油基油は上記基油以外の基油を含有していても良いが、本発明の潤滑油組成物の性状を確保する観点から、その含有量は、基油全量基準で、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、分散型ポリメタクリレート系粘度指数向上剤を含有する。
分散型ポリメタクリレート系粘度指数向上剤としては、通常、潤滑油組成物の添加剤として使用されるものが使用できる。具体的には、一般式(1)で表されるモノマー(M−1)と、一般式(2)および(3)から選ばれる1種以上のモノマー(以下、モノマー(M−2)という。)との共重体が例示できる。
分散型ポリメタクリレート系粘度指数向上剤としては、通常、潤滑油組成物の添加剤として使用されるものが使用できる。具体的には、一般式(1)で表されるモノマー(M−1)と、一般式(2)および(3)から選ばれる1種以上のモノマー(以下、モノマー(M−2)という。)との共重体が例示できる。
一般式(1)〜(3)中、R1、R3、R5は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜750の直鎖状又は分枝状の炭化水素基を示し、R4は炭素数1〜18のアルキレン基を示し、E1、E2は窒素原子を1〜2個、酸素原子を0〜2個含有するアミン残基又は複素環残基を示し、aは0又は1である。
R2で表される炭素数1〜750のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、及びテトラコシル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい。)、さらにはブチレンやブタジエン、イソプレン等の重合物の水素化物等が例示できる。
R4で表される炭素数1〜18のアルキレン基としては、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、及びオクタデシレン基(これらアルキレン基は直鎖状でも分枝状でもよい。)等が例示できる。
E1、E2で表される基としては、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、アニリノ基、トルイジノ基、キシリジノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、モルホリノ基、ピロリル基、ピロリノ基、ピリジル基、メチルピリジル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、キノニル基、ピロリドニル基、ピロリドノ基、イミダゾリノ基、及びピラジノ基等が例示できる。
モノマー(M−1)とモノマー(M−2)との共重合体の共重合モル比については特に制限はないが、モノマー(M−1):モノマー(M−2)=80:20〜99:1程度が好ましく、より好ましくは98:2〜85:15、さらに好ましくは95:5〜90:10である。また共重合方法も任意であり、例えば、ベンゾイルパーオキシド等の重合開始剤の存在下でモノマー(M−1)とモノマー(M−2)をラジカル溶液重合させることにより容易に共重合体を得ることができる。
モノマー(M−2)の好ましい例としては、具体的には、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−メチル−5−ビニルピリジン、モルホリノメチルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレート、N−ビニルピロリドン及びこれらの混合物等が例示できる。
本発明に係る分散型ポリメタクリレート系粘度指数向上剤の重量平均分子量は、3万以上であることが必要であり、3.5万以上が好ましく、4万以上がより好ましい。3万以上にすることで粘度指数を向上させることができる。
一方、重量平均分子量は、40万以下であることが必要であり、30万以下が好ましく、20万以下がより好ましい。40万以下にすることでせん断安定性に優れた性能を得ることができる。
一方、重量平均分子量は、40万以下であることが必要であり、30万以下が好ましく、20万以下がより好ましい。40万以下にすることでせん断安定性に優れた性能を得ることができる。
本発明に係る分散型ポリメタクリレート系粘度指数向上剤の含有量は、組成物全量基準で0.5質量%以上20質量%以下であることが必要であり、1質量%以上10質量%以下が好ましい。含有量を上記範囲にすることで、粘度指数を向上させるとともにせん断安定性に優れた性能を得ることができる。
本発明の潤滑油組成物は、さらに性能を高める目的で、必要に応じて潤滑油の分野で従来使用される任意の添加剤を配合することができる。かかる潤滑油添加剤としては、具体的には、極圧剤、酸化防止剤、摩擦調整剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤などが挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
極圧剤としては、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩、塩素化リン酸エステル、亜リン酸エステル及びホスフォロチオネート等のリン系極圧剤、硫化エステル、硫化オレフィン、ジヒドロカルビルポリスルフィド、ジチオカーバメート類、チアゾール類、チアジアゾール類、硫化鉱油、単体硫黄などの硫黄系極圧剤が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系等の無灰酸化防止剤、銅系、モリブデン系等の金属系酸化防止剤が挙げられる。
摩擦調整剤としては、脂肪酸エステル系、脂肪族アミン系、脂肪酸アミド系等の無灰摩擦調整剤、モリブデンジチオカーバメート、モリブデンジチオホスフェート等の金属系摩擦調整剤等が挙げられる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、イミダゾール系化合物等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、又は多価アルコールエステル等が挙げられる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、又はポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、又はβ−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、25℃における動粘度が0.1〜100mm2/s未満のシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリチレートとo−ヒドロキシベンジルアルコール等が挙げられる。
これらの添加剤を本発明の潤滑油組成物に含有させる場合には、その含有量は組成物全量基準で、それぞれ0.001〜20質量%が好ましい。
本発明の潤滑油組成物の100℃における動粘度は、5.0mm2/s以上であることが好ましく、7.0mm2/s以上がより好ましく、7.5mm2/s以上がさらに好ましく、8.0mm2/s以上が特に好ましく、8.5mm2/s以上が最も好ましい。潤滑油組成物の100℃動粘度を5.0mm2/s以上にすることで耐久信頼性に優れた性能を得ることができる。
一方、100℃における動粘度は、15mm2/s以下であることが好ましく、12mm2/s以下がより好ましく、10.5mm2/s以下がさらに好ましく、10.0mm2/s以下がさらにより好ましく、9.5mm2/s以下が特に好ましく、9.0mm2/s以下が最も好ましい。潤滑油組成物の100℃動粘度を15mm2/s以下にすることで、低温粘度特性に優れた潤滑油組成物を得ることができる。
一方、100℃における動粘度は、15mm2/s以下であることが好ましく、12mm2/s以下がより好ましく、10.5mm2/s以下がさらに好ましく、10.0mm2/s以下がさらにより好ましく、9.5mm2/s以下が特に好ましく、9.0mm2/s以下が最も好ましい。潤滑油組成物の100℃動粘度を15mm2/s以下にすることで、低温粘度特性に優れた潤滑油組成物を得ることができる。
本発明の潤滑油組成物の動粘度比は、5.5以下であることが好ましく、5.0以下がより好ましく、4.5以下がさらに好ましく、4.0以下が特に好ましい。動粘度比を5.5以下にすることで動粘度の増加を防止することができ、耐久信頼性を維持することができる。
なお、本発明で言う動粘度比は、「酸化安定性試験(ISOT,150℃×96h)後の100℃動粘度/新油100℃動粘度」により算出される。なお、新油100℃動粘度とは潤滑油組成物の製造時または酸化安定性試験前の状態における100℃動粘度であり、酸化安定性試験後の100℃動粘度とは該組成物の酸化安定性試験後における100℃動粘度である。
なお、本発明で言う動粘度比は、「酸化安定性試験(ISOT,150℃×96h)後の100℃動粘度/新油100℃動粘度」により算出される。なお、新油100℃動粘度とは潤滑油組成物の製造時または酸化安定性試験前の状態における100℃動粘度であり、酸化安定性試験後の100℃動粘度とは該組成物の酸化安定性試験後における100℃動粘度である。
本発明の潤滑油組成物のせん断損失率は、50.0%以下であることが好ましく、40.0%以下がより好ましく、30.0%以下がさらに好ましく、25.0%以下が特に好ましい。せん断損失率を50.0%以下にすることで耐久信頼性を維持できる。一方、せん断損失率は、2.0%以上であることが好ましく、5.0%以上がより好ましく、8.0%以上がさらに好ましい。せん断損失率を2.0%以上にすることで動粘度の変化を抑えることができる。
なお、本発明で言うせん断損失率とは、「(製品粘度−せん断試験後粘度)/(製品粘度−基油粘度)×100」により算出される。製品粘度とは潤滑油組成物の製造時またはせん断試験前の状態における100℃動粘度であり、せん断試験後粘度とは該組成物のせん断試験(sonic,10kHz,28μm,1hr)後における100℃動粘度であり、基油粘度は該組成物の潤滑油基油組成物の100℃動粘度である。
なお、本発明で言うせん断損失率とは、「(製品粘度−せん断試験後粘度)/(製品粘度−基油粘度)×100」により算出される。製品粘度とは潤滑油組成物の製造時またはせん断試験前の状態における100℃動粘度であり、せん断試験後粘度とは該組成物のせん断試験(sonic,10kHz,28μm,1hr)後における100℃動粘度であり、基油粘度は該組成物の潤滑油基油組成物の100℃動粘度である。
本発明の潤滑油組成物は、下記式(1)を満たすことが好ましい。
0.8≦[動粘度比×5/せん断損失率]≦1.2 (1)
すなわち、本発明の潤滑油組成物の動粘度比とせん断損失率との比([動粘度比]×5/[せん断損失率])は、0.8以上であることが好ましく、0.85以上がより好ましく、0.9以上がさらに好ましい。一方、1.2以下であることが好ましく、1.15以下がより好ましく、1.1以下がさらに好ましい。[動粘度比]×5/[せん断損失率]を上記範囲内に制御することによって、動粘度を維持することができ、極圧性、耐摩耗性および省燃費性を長期間維持することができる。
0.8≦[動粘度比×5/せん断損失率]≦1.2 (1)
すなわち、本発明の潤滑油組成物の動粘度比とせん断損失率との比([動粘度比]×5/[せん断損失率])は、0.8以上であることが好ましく、0.85以上がより好ましく、0.9以上がさらに好ましい。一方、1.2以下であることが好ましく、1.15以下がより好ましく、1.1以下がさらに好ましい。[動粘度比]×5/[せん断損失率]を上記範囲内に制御することによって、動粘度を維持することができ、極圧性、耐摩耗性および省燃費性を長期間維持することができる。
本発明の潤滑油組成物の酸化安定性試験(ISOT,150℃×96h)後の酸価増加は、組成物の酸化安定性の観点から、1.00mgKOH/g以下であることが好ましく、0.5mgKOH/g以下がより好ましく、0.3mgKOH/g以下がさらに好ましい。
本発明の潤滑油組成物の用途は、特に限定されないが、特にギヤ油組成物として好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜7、比較例1〜7)
表1に示す組成の潤滑油組成物を調製した。基油の割合(質量%)は基油全量基準、各添加剤の添加量(質量%)は組成物全量基準である。各潤滑油組成物の性状について下記の各種試験により評価し、その結果を表1に併記した。
表1に示す組成の潤滑油組成物を調製した。基油の割合(質量%)は基油全量基準、各添加剤の添加量(質量%)は組成物全量基準である。各潤滑油組成物の性状について下記の各種試験により評価し、その結果を表1に併記した。
(1)せん断安定性試験
JPI−5S−29−88に準拠し、照射時間1時間でソニックテストを行い、ソニックテスト前後の100℃動粘度から、その低下率を測定した。本試験においては、低下率が小さいものほどせん断安定性に優れていることを意味する。
(2)酸化安定性試験
JIS K 2514 4.(内燃機関用潤滑油酸化安定度試験方法)に準拠して以下の条件で実施し、酸価増加を測定した。本試験においては、酸価増加が小さいほど酸化安定性に優れていることを意味する。
油温:150℃
試験時間:96時間
(3)疲労寿命試験
FZG試験機を用いて以下の条件で運転を行い、歯車にピッチングが発生するまでのギヤの疲労寿命を評価した。
荷重ステージ:12
油温:120℃
回転数:650rpm
(4)耐摩耗性試験
ASTM D4172に準拠し低下の条件で実施し、摩耗痕径(mm)を測定して耐摩耗性を評価した。本試験においては、摩耗痕径が小さいほど耐摩耗性に優れていることを意味する。
荷重:392N
回転数:1800rpm
油温:80℃
試験時間:30分間
(5)ファレックス試験
ASTM D 3233に準拠して以下の条件で実施し、焼付き荷重を評価した。本試験においては、焼付き荷重が大きければ大きいほど、極圧性が良好とした。
回転数:290rpm
油温:110℃
(6)DF単体効率試験
DF単体を用いて以下の条件で運転を行い、伝達効率を評価した。
油温:60℃
入力トルク:50Nm
入力回転数:1500rpm
JPI−5S−29−88に準拠し、照射時間1時間でソニックテストを行い、ソニックテスト前後の100℃動粘度から、その低下率を測定した。本試験においては、低下率が小さいものほどせん断安定性に優れていることを意味する。
(2)酸化安定性試験
JIS K 2514 4.(内燃機関用潤滑油酸化安定度試験方法)に準拠して以下の条件で実施し、酸価増加を測定した。本試験においては、酸価増加が小さいほど酸化安定性に優れていることを意味する。
油温:150℃
試験時間:96時間
(3)疲労寿命試験
FZG試験機を用いて以下の条件で運転を行い、歯車にピッチングが発生するまでのギヤの疲労寿命を評価した。
荷重ステージ:12
油温:120℃
回転数:650rpm
(4)耐摩耗性試験
ASTM D4172に準拠し低下の条件で実施し、摩耗痕径(mm)を測定して耐摩耗性を評価した。本試験においては、摩耗痕径が小さいほど耐摩耗性に優れていることを意味する。
荷重:392N
回転数:1800rpm
油温:80℃
試験時間:30分間
(5)ファレックス試験
ASTM D 3233に準拠して以下の条件で実施し、焼付き荷重を評価した。本試験においては、焼付き荷重が大きければ大きいほど、極圧性が良好とした。
回転数:290rpm
油温:110℃
(6)DF単体効率試験
DF単体を用いて以下の条件で運転を行い、伝達効率を評価した。
油温:60℃
入力トルク:50Nm
入力回転数:1500rpm
Claims (4)
- 100℃における動粘度が10mm2/s以下のワックス異性化基油を70質量%以上99.5質量%以下、および100℃における動粘度が1mm2/s以上20mm2/s以下で、粘度指数が130以上のエステル系基油を0.5質量%以上30質量%以下含有する混合基油と、重量平均分子量3万以上40万以下の分散型ポリメタクリレート系粘度指数向上剤を組成物全量基準0.5質量%以上20質量%以下含有する潤滑油組成物。
- 下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の潤滑油組成物。
0.8≦[動粘度比×5/せん断損失率]≦1.2 (1)
[ここで、せん断損失率は、「(製品粘度−せん断試験後粘度)/(製品粘度−基油粘度)×100」により算出される。なお、せん断試験後粘度は、せん断試験(sonic,10kHz,28μm,1hr)後の100℃動粘度である。また、動粘度比は、「酸化安定性試験(ISOT,150℃×96h)後の100℃動粘度/新油100℃動粘度」である。] - 前記動粘度比が5.5以下であることを特徴とする請求項2に記載の潤滑油組成物。
- 前記せん断損失率が2〜50%であることを特徴とする請求項2または3に記載の潤滑油組成物。
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JP2015053413A JP2016172818A (ja) | 2015-03-17 | 2015-03-17 | 潤滑油組成物 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012124189A1 (ja) * | 2011-03-16 | 2012-09-20 | Jx日鉱日石エネルギー株式会社 | ギヤ油組成物 |
WO2013128748A1 (ja) * | 2012-02-28 | 2013-09-06 | Jx日鉱日石エネルギー株式会社 | 潤滑油組成物 |
JP2014177605A (ja) * | 2013-03-15 | 2014-09-25 | Idemitsu Kosan Co Ltd | 潤滑油組成物 |
-
2015
- 2015-03-17 JP JP2015053413A patent/JP2016172818A/ja active Pending
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WO2013128748A1 (ja) * | 2012-02-28 | 2013-09-06 | Jx日鉱日石エネルギー株式会社 | 潤滑油組成物 |
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