JP2016172281A - 摩擦撹拌接合装置 - Google Patents

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邦崇 真崎
孝二 根崎
Koji Nezaki
孝二 根崎
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維史 金山
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聡 山中
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Abstract

【課題】 角隅部の接合対象となるワークの長さの制限をなくす。
【解決手段】 架台1に、固定式ショルダを有する一対の摩擦撹拌接合ツール3a,3bを備えた接合装置本体2を定置する。架台1の表面には、ボトムガイドローラとサイドガイドローラとトップガイドローラとを備えたテーブル移動経路を、一方向に延びるように設ける。テーブル移動経路には、ワークテーブル5の裏面のラック17に噛合するピニオンギア21を備えた移動機構7を設ける。水平な第1のワークW1と、その上側に垂直に配置された第2のワークW2は、ワークテーブル5に保持させた状態で、テーブル移動経路に沿って接合装置本体2へ送って各角隅部の摩擦撹拌接合を行わせる。ワークテーブル5が架台1よりはみ出す場合は、架台1の外に配置したテーブル支持台26で支持させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、接合すべきワーク同士の角隅部の接合に用いられる摩擦撹拌接合装置に関するものである。
摩擦撹拌接合装置に用いられる摩擦撹拌接合ツール(摩擦撹拌接合用工具)としては、プローブと一体に回転する回転式ショルダを備えた形式のものと、回転するプローブと非回転の固定式ショルダとを備えた形式のものが知られている。
固定式ショルダを備える摩擦撹拌接合ツールとしては、接合すべきワーク同士の角隅部(内隅部)を摩擦撹拌接合するために、固定式ショルダが角隅部を形成する両ワーク表面に当接する面を備える形状としたものが知られている。
前記のような角隅部接合用の摩擦撹拌接合ツールを用いる摩擦撹拌接合装置としては、基台の上に、水平なワーク(水平部材)と、その上に立設されたワーク(立設部材)とを配置し、各ワーク同士の突き合わせにより形成された2つの角隅部を、各角隅部に沿って移動させる一対の摩擦撹拌接合ツールによって摩擦撹拌接合する装置が、従来提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
又、固定式ショルダを備えた摩擦撹拌接合ツールによる角隅部の摩擦撹拌接合を行う際に、フィラーを加えて、接合後の角隅部にR(肉盛りによるフィレット)を形成させるようにしたAdStirと云われる手法も、従来提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。
特開2013−166159号公報
福田哲夫,角張隆男、「TWIの最新FSWプロセス開発状況とパテント情報」、溶接技術、産報出版株式会社、2011年6月、59巻、6号、p.57−60
ところが、特許文献1に示されたものは、一度に接合可能な長さが摩擦撹拌接合ツールの移動ストロークに依存するため、摩擦撹拌接合を連続的に行って接合可能なワークの長さには制限が生じてしまう。
なお、非特許文献1には、摩擦撹拌接合ツールと、接合対象となる角隅部を有するワークとを、角隅部の延びる方向に相対的に移動させるための手段について具体的な構成は示されていない。
そこで、本発明は、一対の摩擦撹拌接合ツールを用いてワーク同士の2つの角隅部の摩擦撹拌接合を行う場合に、接合対象とするワークの長さに制限を受けることのない摩擦撹拌接合装置を提供しようとするものである。
本発明は、前記課題を解決するために、第1のワークと、該第1のワークの面に対して交わる角度姿勢で端縁を接して配置される第2のワークとで形成される該第2のワークの両側の角隅部を、摩擦撹拌接合ツールにより、前記各角隅部の延びる方向に沿って摩擦撹拌接合する摩擦撹拌接合装置であって、前記摩擦撹拌接合ツールを備えて定置された接合装置本体と、前記接合装置本体で接合する前記第1のワークと第2のワークとを前記各角隅部が形成された接合姿勢で配置するワークテーブルと、前記ワークテーブルを、前記各角隅部の延びる方向に移動させる移動機構とを備えた構成を有する摩擦撹拌接合装置とする。
前記ワークテーブルは、該ワークテーブルに配置した前記第1のワークと前記第2のワークの各角隅部の摩擦撹拌接合を実施するときに進行させる方向の後部側に、前記各角隅部の摩擦撹拌接合を行う前記第2のワークを接合時ワーク進行方向へ押す終端側端部押さえ部材を備える構成としている。
前記終端側端部押さえ部材は、前記第2のワークを接合姿勢で保持するための保持具を備える構成としている。
前記ワークテーブルは、前記第1のワークを配置する領域の一側に備えた段差部と、前記第1のワークを配置する領域の他側に備えて前記段差部に当てて配置した前記第1のワークを保持するクランプとを有する構成としている。
前記接合装置本体を定置する架台を備え、前記架台は、テーブル移動経路を備え、前記テーブル移動経路には、前記移動テーブルの移動をガイドするガイドローラが備えられている構成としている。
前記ワークテーブルは、該ワークテーブルの移動方向に延びるラック又はチェーンラックを備え、前記移動機構は、前記ラックに噛合するピニオンギア、又は、前記チェーンラックに噛合するスプロケットを回転駆動可能に備える構成としている。
前記移動機構は、前記ピニオンギア又はスプロケットを、前記テーブル移動経路であって、前記各角隅部の摩擦撹拌接合時に各摩擦撹拌接合ツールを各角隅部へ押圧する荷重が前記第1のワークに対し垂直な方向に作用する位置とは異なる位置に備えている構成としている。
本発明の摩擦撹拌接合装置によれば、一対の摩擦撹拌接合ツールを用いてワーク同士の2つの角隅部の摩擦撹拌接合を行う場合に、接合対象とするワークの長さに制限を受けなくすることができる。
摩擦撹拌接合装置の第1実施形態を示す概略側面図である。 第1実施形態の概略平面図である。 図1のA−A方向矢視図である。 第1実施形態における摩擦撹拌接合ツールの部分を拡大して示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B方向矢視図である。 第1実施形態におけるワークテーブルを拡大して示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図である。 第1実施形態におけるテーブル移動経路を示す概略平面図である。 第1実施形態における接合装置本体を摩擦撹拌接合の進行方向に沿って見た拡大図である。 接合装置本体の軸直交方向移動ユニットを示す一部切断図である。 図8のC−C方向矢視図である。 接合装置本体の軸方向移動ユニットを示す一部切断図である。 図10のD−D方向矢視図である。 ワーク保持手段のワーククランプユニットを拡大して示す側面図である。 図12のE−E方向矢視図である。 摩擦撹拌接合装置の第2実施形態としてワークテーブルの変形例を示す平面図である。 摩擦撹拌接合装置の第3実施形態としてワークテーブルの別の変形例を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図である。
本発明の摩擦撹拌接合装置について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1は、摩擦撹拌接合装置の第1実施形態を示す概略側面図である。図2は図1の概略平面図、図3は図1のA−A方向矢視図である。図4は、摩擦撹拌接合ツールの部分を拡大して示すもので、図4(a)は平面図、図4(b)は図4(a)のB−B方向矢視図である。図5は、ワークテーブルを拡大して示すもので、図5(a)は平面図、図5(b)は側面図である。図6はワーク移動経路を示す概略平面図である。図7は接合装置本体を摩擦撹拌接合の進行方向に沿って見た拡大図である。図8は接合装置本体の軸直交方向移動ユニットを示す一部切断図である。図9は図8のC−C方向矢視図である。図10は接合装置本体の軸方向移動ユニットを示す一部切断図である。図11は図10のD−D方向矢視図である。図12はワーク保持手段のワーククランプユニットを拡大して示す側面図である。図13は図12のE−E方向矢視図である。
本実施形態の摩擦撹拌接合装置は、図4(b)に示すように、第1のワークW1と、第1のワークW1の面P1に対し交差する角度姿勢で端縁が突き合わされた第2のワークW2とにより形成される2つの角隅部(内隅部)c1,c2を、摩擦撹拌接合の対象とするものである。本実施形態では、一例として、第1のワークW1の面P1が水平に配置され、第2のワークW2が鉛直な姿勢で第1のワークW1の面P1に対して上方から突き合わされている場合について説明する。
なお、説明の便宜上、図4(a)(b)に示すように、角隅部c1,c2の延びる方向をx軸方向、x軸方向に垂直な平面内で第1のワークW1の面P1に平行な方向をy軸方向、x軸方向及びy軸方向の双方に直交する方向をz軸方向とする3次元直交座標系を設定して、方向や姿勢の説明を行う。本実施形態では、第1のワークW1の面P1に沿うxy平面が水平面となるので、z軸方向が鉛直方向となり、第2のワークW2は鉛直面であるxz平面に沿って配置されている。なお、本明細書では、xy平面は、x軸方向とy軸方向に沿う平面を示し、xz平面は、x軸方向とz軸方向に沿う平面を示し、yz平面は、y軸方向とz軸方向に沿う平面を示すものであって、位置が特定された平面を意味するものではない。
本実施形態の摩擦撹拌接合装置は、図1乃至図3に示すように、架台1の表面に定置された接合装置本体2を備えている。接合装置本体2は、図4(a)(b)に示すように、各角隅部c1,c2に配置するための固定式ショルダ4a,4bを備えた一対の摩擦撹拌接合ツール3a,3bを備えている。更に、本実施形態の摩擦撹拌接合装置は、第1のワークW1と第2のワークW2とを前述した接合姿勢で配置するためのワークテーブル5と、架台1表面でワークテーブル5をx軸方向に延びるテーブル移動経路6(図6参照)に沿って移動させる移動機構7とを備えている。なお、角隅部c1,c2の摩擦撹拌接合を実施するときにワークテーブル5と共に各ワークW1,W2を進行(移動)させる向きは、図1、図2に矢印Fで示す向きとする(以下、この向きは接合時ワーク進行方向Fという、以降の図も同様である)。
ワークテーブル5は、図5(a)(b)に示すように、x軸方向に第1のワークW1及び第2のワークW2よりも長い寸法を備えている。
ワークテーブル5の表面には、図5(a)、図7に示すように、第1のワークW1を配置する領域8が設定されている。領域8のy軸方向の一側には、第1のワークW1のy軸方向の一端面を突き当てて位置決めするための段差部9が設けられている。領域8のy軸方向の他側には、端面クランプ10と表面クランプ11が、x軸方向に沿ってある間隔で交互に配列して設けられている。
端面クランプ10は、第1のワークW1のy軸方向の他側の端面に押し当てて、第1のワークW1をy軸方向に沿って段差部9との間に挟んで固定するためのものである。
表面クランプ11は、第1のワークW1のy軸方向の他端縁側で面P1(図4(b)参照)に押し当てて、第1のワークW1をz軸方向に沿ってワークテーブル5の表面との間に挟んで固定するためのものである。
更に、ワークテーブル5は、接合時ワーク進行方向Fの後端側(図5(a)(b)では左側)となるx軸方向の一端側の表面に、終端側端部押さえ部材12が設けられている。終端側端部押さえ部材12は、各角隅部c1,c2の摩擦撹拌接合の実施時に接合処理の終端側(処理終了側)に位置する第1のワークW1と第2のワークW2の端部を突き当てて配置するためのものである。
又、ワークテーブル5は、接合時ワーク進行方向Fの前端側(図5(a)(b)では右側)となるx軸方向の他端側の表面に、始端側端部押さえ部材13が設けられている。始端側端部押さえ部材13は、各角隅部c1,c2の摩擦撹拌接合の実施時に、接合処理の始端側(処理開始側)に位置する第1のワークW1と第2のワークW2の端部を突き当てて配置するためのものである。
終端側及び始端側の各端部押さえ部材12,13は、たとえば、第1のワークW1と同様の厚み寸法を備えた横板部14に、第2のワークW2と同様の厚み寸法を備えた縦板部15が、第1のワークW1に対する第2のワークW2の突き合わせ角度と同様の角度で突き合わされて一体化された構成とされている。本実施形態では、各端部押さえ部材12,13は、横板部14に縦板部15が垂直な配置で突き合わされて一体化された逆T字形の構造となっている。
各端部押さえ部材12,13は、横板部14及び縦板部15が共にx軸方向に沿う姿勢で、横板部14が、ワークテーブル5の表面に取り付けられている。
なお、始端側端部押さえ部材13は、ワークテーブル5に対するx軸方向の取り付け位置を、変更可能としてあることが好ましい。このようにすれば、摩擦撹拌接合の対象となる第1のワークW1及び第2のワークW2のx軸方向の寸法が変化する場合は、始端側端部押さえ部材13のワークテーブル5に対する取り付け位置を変更することにより、第1のワークW1と第2のワークW2のx軸方向の両端部を、終端側及び始端側の各端部押さえ部材12,13の双方に突き当てて配置させることができる。そのため、ワークテーブル5は、x軸方向の寸法が異なる第1のワークW1及び第2のワークW2の摩擦撹拌接合を行う場合であっても、共通のものを使用することができる。
各端部押さえ部材12,13の縦板部15には、第2のワークW2のx軸方向の端縁をy軸方向の両側から挟んで保持するための保持具16が設けられている。
ワークテーブル5は、裏面におけるy軸方向の両端側に、ワークテーブル5の移動方向となるx軸方向に延びる2条のラック17が全長に亘り設けられている。
架台1には、図6に二点鎖線で示すように、y軸方向の中央部に、ワークテーブル5(図2、図5(a)(b)参照)をx軸方向に移動させるためのテーブル移動経路6が設定されている。
テーブル移動経路6は、ワークテーブル5のx軸方向の移動をガイドするガイド手段として、テーブル移動経路6に沿って配置されたボトムガイドローラ18と、サイドガイドローラ19と、トップガイドローラ20とを備えた構成とされている。
ボトムガイドローラ18は、図7に示すように、テーブル移動経路6(図6参照)に沿ってx軸方向に移動するワークテーブル5の裏面を、各ラック17と干渉しない位置で受けるためのものである。ボトムガイドローラ18は、図6に示すように、架台1の表面のテーブル移動経路6に沿う領域の内側に、x軸方向及びy軸方向に、たとえば千鳥配置で多数設けられている。更に、ボトムガイドローラ18は、接合装置本体2の各摩擦撹拌接合ツール3a,3bが配置されている個所(図1、図2参照)の下方では、その他の部分よりも配列密度が大となっていることが好ましい。これは、以下の理由による。
すなわち、各角隅部c1,c2の摩擦撹拌接合を行うときには、図4(a)(b)に示すように、各角隅部c1,c2に対して各摩擦撹拌接合ツール3a,3bが押圧される。そのため、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bに付与された押圧荷重の鉛直方向(z軸方向)の成分が、第1のワークW1を介してワークテーブル5に下向きに作用する(図7参照)。
ところで、一般に、固定式ショルダを備えた形式の摩擦撹拌接合ツールは、固定式ショルダではワークとの摩擦熱を発生させることができないため、ワークに対する押圧荷重が、回転式ショルダを備えた形式の摩擦撹拌接合ツールのワークに対する押圧荷重に比して大とされる。
したがって、接合装置本体2では、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bに比較的大きな押圧荷重を付与する必要があることから、この押圧荷重の鉛直方向の成分を、より多くのボトムガイドローラ18で受けることを目的として、ボトムガイドローラ18の配列密度が前記のように設定されることが好ましい。
サイドガイドローラ19は、図2、図3に示すように、ワークテーブル5のy軸方向の両側面を受けるためのものである。サイドガイドローラ19は、図6に示すように、テーブル移動経路6のy軸方向の両側位置に、x軸方向にある間隔で配列して設けられている。
トップガイドローラ20は、図2、図3に示すように、ワークテーブル5の表面のy軸方向の両端縁部に当接させるためのものである。トップガイドローラ20は、図6に示すように、テーブル移動経路6のy軸方向の両側位置であって、且つx軸方向における接合装置本体2の各摩擦撹拌接合ツール3a,3bが配置されている個所(図2参照)を挟んだ両側位置に、x軸方向にある間隔を隔てた2つずつの組として設けられている。このようにトップガイドローラ20を2つずつの組で設けるのは、ワークテーブル5のz軸方向への傾きをより確実に防止するためである。なお、トップガイドローラ20は、2つずつの組以外の配置で設けてもよいことは勿論である。
これにより、テーブル移動経路6では、各ボトムガイドローラ18、各サイドガイドローラ19、及び、各トップガイドローラ20により、ワークテーブルのz軸方向、及び、y軸方向への変位が拘束された状態で、ワークテーブル5のx軸方向への移動がガイドされる。
なお、テーブル移動経路6のy軸方向の一側に設けられたサイドガイドローラ19とトップガイドローラ20は、y軸方向の位置が固定されたものとする一方、テーブル移動経路6のy軸方向の他側に設けられたサイドガイドローラ19とトップガイドローラ20は、y軸方向の設置位置を調整できるようにしてあることが好ましい。これは、各サイドガイドローラ19と各トップガイドローラ20とを、実際に使用するワークテーブル5の寸法に合わせて配置するためである。
移動機構7は、図1、図3、図6に示すように、架台1に設定されているテーブル移動経路6の下方位置に、ワークテーブル5の各ラック17と噛合可能な一対のピニオンギア21を備えている。なお、各ピニオンギア21は、図1に示すように、x軸方向にて、接合装置本体2の各摩擦撹拌接合ツール3a,3bが配置されている個所の真下からずれた位置に配置されていることが好ましい。
これは、ボトムガイドローラ18の配列密度の設定理由で前述したように、接合装置本体2は、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bに比較的大きな押圧荷重を付与するが、この押圧荷重の鉛直方向の成分が各ラック17とピニオンギア21との噛み合い個所に作用すると、各ピニオンギア21の各ラック17とのクリアランス(頂げき)が変化する虞があるためである。このような各ピニオンギア21と各ラック17とのクリアランスに変化が生じた場合は、各ピニオンギア21の回転による各ラック17の送り動作が円滑に行われなくなる虞や、送り量が変化するといった負の影響が生じる虞がある。
一方、各ピニオンギア21は、前記のような負の影響が生じない範囲で、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bになるべく近い位置に配置されていることが好ましい。これは、各角隅部c1,c2の各摩擦撹拌接合ツール3a,3bによる摩擦撹拌接合の実施時に、ワークテーブル5に対し、摩擦撹拌接合の実施個所になるべく近い位置で、x軸方向接合時ワーク移動の駆動力を付与できるようにするためである。このようにすれば、ワークテーブル5の駆動力が付与される個所から各角隅部c1,c2の摩擦撹拌接合の実施個所までの間でワークテーブル5に生じる歪みや変形を抑えることができるため、ワークテーブル5に配置された各ワークW1,W2の歪みや変形の抑制に有効である。
各ピニオンギア21は、軸受22に支持されたy軸方向の回転軸23により連結されている(図6参照)。回転軸23の一端側は、架台1の内部に設けられた減速機24の出力側に連結され、減速機24には、サーボモータ等の駆動モータ25が接続されている。
以上の構成としてある移動機構7では、駆動モータ25により減速機24を介して回転軸23と共に各ピニオンギア21を回転駆動させると、ワークテーブル5は、各ピニオンギア21に噛合した各ラック17と一体に、テーブル移動経路6に沿ってガイドされながらx軸方向に移動する。更に、移動機構7は、駆動モータ25の回転方向を切り替えることにより、ワークテーブル5を、テーブル移動経路6にて、接合時ワーク進行方向Fと、その逆方向に往復動させることができるようにしてある。
これにより、ワークテーブル5と移動機構7では、ワークテーブル5のx軸方向の長さ寸法が架台1のx軸方向の寸法よりも大となる場合であっても、ワークテーブル5は、テーブル移動経路6に沿って移動できる。
そのために、本実施形態の摩擦撹拌接合装置は、図1、図2に示すように、ワークテーブル5の架台1からはみ出す部分を支持するテーブル支持台26を備えている。
テーブル支持台26は、架台1の外側にテーブル移動経路6(図6参照)の延長線上に配置して用いるものである。テーブル支持台26は、上端側に、ワークテーブル5の裏面をラック17と干渉しない位置で受けるためのボトムガイドローラ27と、ワークテーブル5のy軸方向の両側面を受けるためのサイドガイドローラ28とを備えた構成とされている。
ワークテーブル5の架台1よりはみ出す部分がテーブル支持台26で支持される構成とした場合は、ワークテーブル5、及び、ワークテーブル5に保持させた各ワークW1,W2に、自重によるz軸方向の撓みや変形、y軸方向の変形や蛇行が生じることを抑制することができる。
更に、テーブル支持台26は、使用状況に応じた設置と撤去とを容易にするために、底部に走行輪29と昇降式の支持脚30とを備えた構成とされている。
支持脚30は、走行輪29の下端よりも下方に突出するように下降させた状態と、走行輪29の下端よりも上方に上昇させた状態とに、配置を変更できるものとしてある。
支持脚30の昇降機構は、たとえば、支持脚30にねじが切られた支柱31を備え、テーブル支持台26にはナット部材32を備えた構成とすればよい。この構成によれば、ナット部材32に対して支柱31を回転させることで、支持脚30をテーブル支持台26を基準として相対的に昇降させることができる。
なお、図1、図2では、図示する便宜上、テーブル支持台26は架台1の接合時ワーク進行方向Fの上流側に2台配置された構成しか示していないが、テーブル支持台26を架台1よりも接合時ワーク進行方向Fの下流側に配置してもよいことは勿論である。又、架台1よりワークテーブル5がはみ出す量に応じて、テーブル支持台26の数は1台又は3台以上としてもよいことは勿論である。
接合装置本体2は、図4(a)(b)に示すように、2つの角隅部c1,c2のうち、第2のワークW2の一方の側面P2a側の角隅部c1の接合用の第1の摩擦撹拌接合ツール3aと、他方の側面P2b側の角隅部c2の接合用の第2の摩擦撹拌接合ツール3bとを備えている。
第1の摩擦撹拌接合ツール3aは、回転駆動可能なプローブ33aと、プローブ33aの基端側の外周に配置された固定式ショルダ4aとを備えた構成とされている。プローブ33aは、軸心方向がyz平面内で角隅部c1の角度の二等分線に平行となる角度姿勢に配置されていることが好ましい。本実施形態では、角隅部c1が直角であるため、プローブ33aの軸心方向は、yz平面内で第2のワークW2に沿うz軸方向(鉛直方向)から一方の側面P2a側へ45度傾斜させた斜め下向きの角度姿勢に配置されている。固定式ショルダ4aは、プローブ33aの先端寄りに配置される端部が、角隅部c1を形成させる第1のワークW1の面P1と第2のワークW2の側面P2aとに接触させる2つのワーク接触面34aを備えた山形(V字形状)とされている。
第1の摩擦撹拌接合ツール3aは、図7に示すように、プローブ33aの回転駆動手段36aを備えた第1の主軸ユニット35aの先端側に取り付けられた状態で使用される。
第2の摩擦撹拌接合ツール3bは、図4(a)(b)に示すように、回転駆動可能なプローブ33bと、プローブ33bの基端側の外周に配置された固定式ショルダ4bとを備えた構成とされている。プローブ33bは、軸心方向がyz平面内で角隅部c2の角度の二等分線に平行となる角度姿勢に配置されていることが好ましい。本実施形態では、角隅部c2が直角であるため、プローブ33bの軸心方向は、yz平面内で第2のワークW2に沿うz軸方向(鉛直方向)から他方の側面P2b側へ45度傾斜させた斜め下向きの角度姿勢に配置されている。固定式ショルダ4bは、プローブ33bの先端寄りに配置される端部が、角隅部c2を形成させる第1のワークW1の面P1と第2のワークW2の側面P2bとに接触させる2つのワーク接触面34bを備えた山形(V字形状)とされている。
第2の摩擦撹拌接合ツール3bは、図7に示すように、プローブ33bの回転駆動手段36bを備えた第2の主軸ユニット35bの先端側に取り付けられた状態で使用される。
本実施形態では、図4(a)に示したように、第1の摩擦撹拌接合ツール3aと第2の摩擦撹拌接合ツール3bは、固定式ショルダ4a,4b同士、及び、プローブ33a,33b同士が第2のワークW2を挟んでx軸方向の同位置に配置されている。
第1の摩擦撹拌接合ツール3aと第2の摩擦撹拌接合ツール3bは、図4(b)に示すように、第2のワークW2の両面側で角隅部c1と角隅部c2の摩擦撹拌接合を同時に行うときに、各角隅部c1,c2に没入させるプローブ33a,33b同士、更には、各プローブ33a,33bによる各角隅部c1,c2の撹拌領域s1,s2同士に干渉が生じる虞がないように、プローブ33a,33bの固定式ショルダ4a,4bからの突出量が設定されている。
これにより、第1のワークW1と第2のワークW2は、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bによる各角隅部c1,c2の摩擦撹拌接合が、各プローブ33a,33bによる撹拌領域s1,s2同士が互いに干渉しない部分撹拌接合として行われる。このため、接合後の第1のワークW1と第2のワークW2では、撹拌領域s1,s2での撹拌によって接合された部分同士の間に、互いの当接面が一部残っている。
各プローブ33a,33bの角隅部c1,c2への挿入量は、従来、角隅部の摩擦撹拌接合として一般的に行われている、各角隅部に配置されるプローブによる撹拌領域同士が相互に干渉する全撹拌接合を行う場合に比して低減させることができる。
これにより、各プローブ33a,33bを各角隅部c1,c2に没入させた状態で移動させるときに、各プローブ33a,33bが受ける反力は、全撹拌接合を行う場合にプローブが受ける反力に比して小さくすることができる。そのため、摩擦撹拌接合の施工速度は、全撹拌接合を行う場合に比して高速化を図ることができる。又、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bの長寿命化が図られる。
更に、個々のプローブ33a,33bで発生させる摩擦熱によって各ワークW1,W2における各プローブ33a,33bの没入個所の周辺に局所的に入熱される熱量は、全撹拌接合を行う場合に比して軽減される。そのため、ワークW1,W2の熱によるひずみや変形については、その発生を抑制することができる。
又、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bの前記配置によれば、第1の摩擦撹拌接合ツール3aに対し角隅部c1に向けた押圧荷重を作用させる位置と、第2の摩擦撹拌接合ツール3bに対し角隅部c2に向けた押圧荷重を作用させる位置が、x軸方向の同じ位置、すなわち、第2のワークW2を間に挟んで同一のyz平面内に位置している。このため、各押圧荷重に起因して各ワークW1,W2や、ワークテーブル5にxy平面内で回転モーメントが生じることはない。
又、各角隅部c1,c2について、第2のワークW2の両面側から摩擦撹拌接合の同時施工を行うようにしてあるために、各ワークW1,W2は、x軸方向の一つの位置で各プローブ33a,33bで発生させる摩擦熱による加熱が行われる。そのため、角隅部c1と角隅部c2をx軸方向の異なる位置に配置されたプローブで発生させる摩擦熱により加熱する場合に比して、各ワークW1,W2の加熱は、より効率よく行われる。したがって、角隅部c1と角隅部c2との摩擦撹拌接合については、高入熱による摩擦撹拌接合の安定化を図ることができる。
前記のように各ワークW1,W2の加熱の効率が向上することに伴い、各プローブ33a,33bにより撹拌される撹拌領域s1,s2は軟化しやすくなる。このことによっても、摩擦撹拌接合の施工速度の高速化が図られる。又、各プローブ33a,33bは、回転駆動させる際の抵抗が軽減されるので、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bの長寿命化を図ることができる。
更に、角隅部c1と角隅部c2をx軸方向の異なる位置に配置されたプローブで発生させる摩擦熱により加熱する場合は、角隅部c1と角隅部c2のいずれか一方が先行して加熱され、他方が後から加熱されることになるため、入熱の条件が均等にならない場合が生じるが、各プローブ33a,33bをx軸方向の同じ位置に配置した構成によれば、各角隅部c1,c2に対する入熱の均等化を図ることができる。
接合装置本体2は、図1、図2に示すように、y軸方向に沿ってテーブル移動経路6(図6参照)を跨ぐように架台1の表面に配置された門形のフレーム37を備えている。フレーム37のy軸方向の一端側には、図2、図3、図7に示すように、第1の主軸ユニット35aが、たとえば、第1の軸直交方向移動ユニット38及び第1の軸方向移動ユニット39を介して取り付けられている。フレーム37のy軸方向の他端側には、第2の主軸ユニット35bが、たとえば、第2の軸直交方向移動ユニット40及び第2の軸方向移動ユニット41を介して取り付けられている。
第1の軸直交方向移動ユニット38は、図7、図8、図9に示すもので、第1の主軸ユニット35aを、yz平面内でプローブ33a(図4参照)の軸心方向に沿う方向(以下、p軸方向という)に対して直交する方向(以下、q軸方向という)に移動させるものである。
そのため、第1の軸直交方向移動ユニット38は、図8、図9に示すように、フレーム37に取り付けられたベースプレート42と、q軸方向に延びるようにベースプレート42に設けられたガイドレール43と、ガイドレール43にガイドブロック44を介してスライド自在に取り付けられた移動テーブル45と、移動テーブル45をガイドレール43の長手方向に沿って移動させるq軸方向の直動機構として、たとえば、ボールねじ機構46とを備えた構成とされている。
ボールねじ機構46は、サーボモータ47と、その出力側に連結されたねじ軸48と、ねじ軸48に取り付けられたナット部材49とを備えた構成とされている。
更に、ボールねじ機構46は、ベースプレート42の表面に、ねじ軸48がガイドレール43と平行に延びる姿勢で設置され、ナット部材49が、ロードセル50と取付部材51とを介して移動テーブル45に取り付けられている。
以上の構成としてある第1の軸直交方向移動ユニット38は、サーボモータ47の駆動力によってねじ軸48を回転駆動することにより、移動テーブル45を、ナット部材49と一緒に、ガイドレール43に沿わせてq軸方向に移動させることができるようになっている。
又、第1の軸直交方向移動ユニット38は、サーボモータ47による駆動力を停止した状態では、移動テーブル45がガイドレール43に沿って無制御で移動できるようになっている。
更に、第1の軸直交方向移動ユニット38には、移動テーブル45の自重及び移動テーブル45に作用する重量のガイドレール43に沿う方向の成分を支持する機械的な重力補償機構(自重補償機構、重量補償機構とも称する)として、たとえば、q軸方向に沿って配置されたガススプリング52が備えられている。
ガススプリング52は、一端側がベースプレート42側の固定個所に取り付けられ、他端側が移動テーブル45に取り付けられている。移動テーブル45に作用する重量とは、ナット部材49、ロードセル50、取付部材51、第1の軸方向移動ユニット39及び第1の主軸ユニット35aの重量である。
第1の軸方向移動ユニット39は、図7、図10、図11に示すもので、第1の主軸ユニット35aを、p軸方向に移動させるものである。
そのため、第1の軸方向移動ユニット39は、第1の軸直交方向移動ユニット38の移動テーブル45に取り付けられたベースプレート53と、p軸方向に延びるようにベースプレート53に設けられたガイドレール54と、ガイドレール54にガイドブロック55を介してスライド自在に取り付けられた移動テーブル56と、移動テーブル56をガイドレール54の長手方向に沿って移動させるp軸方向の直動機構として、たとえば、ボールねじ機構57とを備えた構成とされている。
ボールねじ機構57は、サーボモータ58と、その出力側に接続された減速機59と、減速機59の出力側に連結されたねじ軸60と、ねじ軸60に取り付けられたナット部材61とを備えた構成とされている。
更に、ボールねじ機構57は、ベースプレート53の表面に、ねじ軸60がガイドレール54と平行に延びる姿勢で設置され、ナット部材61が、ロードセル62と取付部材63とを介して移動テーブル56に取り付けられている。
以上の構成としてある第1の軸方向移動ユニット39は、サーボモータ58の駆動力により減速機59を介してねじ軸60を回転駆動することにより、移動テーブル56を、ナット部材61と一緒に、ガイドレール54に沿わせてp軸方向に移動させることができるようになっている。
移動テーブル56には、図7に示すように、第1の主軸ユニット35aが取り付けられている。
第2の軸直交方向移動ユニット40は、図7、図8に示すもので、第2の主軸ユニット35bを、yz平面内でプローブ33b(図4参照)の軸心方向に沿う方向(以下、r軸方向という)に対して直交する方向(以下、s軸方向という)に移動させるものである。
そのため、第2の軸直交方向移動ユニット40は、フレーム37に取り付けられたベースプレート64と、s軸方向に延びるようにベースプレート64に設けられたガイドレール65と、ガイドレール65にガイドブロック66を介してスライド自在に取り付けられた移動テーブル67と、移動テーブル67をガイドレール65の長手方向に沿って移動させるs軸方向の直動機構として、たとえば、ボールねじ機構68とを備えた構成とされている。
ボールねじ機構68は、サーボモータ69と、その出力側に連結されたねじ軸70と、ねじ軸70に取り付けられたナット部材71とを備えた構成とされている。
更に、ボールねじ機構68は、ベースプレート64の表面に、ねじ軸70がガイドレール65と平行に延びる姿勢で設置され、ナット部材71が、ロードセル72と取付部材73とを介して移動テーブル67に取り付けられている。
以上の構成としてある第2の軸直交方向移動ユニット40は、サーボモータ69の駆動力によってねじ軸70を回転駆動することにより、移動テーブル67を、ナット部材71と一緒に、ガイドレール65に沿わせてs軸方向に移動させることができるようになっている。
又、第2の軸直交方向移動ユニット40は、サーボモータ69による駆動力を停止した状態では、移動テーブル67がガイドレール65に沿って無制御で移動できるようになっている。
更に、第2の軸直交方向移動ユニット40には、移動テーブル67の自重及び移動テーブル67に作用する重量のガイドレール65に沿う方向の成分を支持する機械的な重力補償機構として、たとえば、s軸方向に沿って配置されたガススプリング74が備えられている。
ガススプリング74は、一端側がベースプレート64側の固定個所に取り付けられ、他端側が移動テーブル67に取り付けられている。移動テーブル67に作用する重量とは、ナット部材71、ロードセル72、取付部材73、第2の軸方向移動ユニット41及び第2の主軸ユニット35bの重量である。
第2の軸方向移動ユニット41は、図7、図10に示すもので、第2の主軸ユニット35bを、r軸方向に移動させるものである。
そのため、第2の軸方向移動ユニット41は、第2の軸直交方向移動ユニット40の移動テーブル67に取り付けられたベースプレート75と、r軸方向に延びるようにベースプレート75に設けられたガイドレール76と、ガイドレール76にガイドブロック77を介してスライド自在に取り付けられた移動テーブル78と、移動テーブル78をガイドレール76の長手方向に沿って移動させるr軸方向の直動機構としてのボールねじ機構79とを備えた構成とされている。
ボールねじ機構79は、サーボモータ80と、その出力側に接続された減速機81と、減速機81の出力側に連結されたねじ軸82と、ねじ軸82に取り付けられたナット部材83とを備えた構成とされている。
更に、ボールねじ機構79は、ベースプレート75の表面に、ねじ軸82がガイドレール76と平行に延びる姿勢で設置され、ナット部材83が、ロードセル84と取付部材85とを介して移動テーブル78に取り付けられている。
以上の構成としてある第2の軸方向移動ユニット41は、サーボモータ80の駆動力により減速機81を介してねじ軸82を回転駆動することにより、移動テーブル78を、ナット部材83と一緒に、ガイドレール76に沿わせてr軸方向に移動させることができるようになっている。
移動テーブル78には、図7に示すように、第2の主軸ユニット35bが取り付けられている。
したがって、接合装置本体2によれば、第1の主軸ユニット35aに取り付けられている第1の摩擦撹拌接合ツール3aは、q軸方向に関する位置の調整と力の制御が、第1の軸直交方向移動ユニット38によって行われる。又、第1の摩擦撹拌接合ツール3aは、p軸方向に関する位置の調整と力の制御が、第1の軸方向移動ユニット39によって行われる。
同様に、第2の主軸ユニット35bに取り付けられている第2の摩擦撹拌接合ツール3bは、s軸方向に関する位置の調整と力の制御が第2の軸直交方向移動ユニット40によって行われる。又、第2の摩擦撹拌接合ツール3bは、r軸方向に沿う方向に関する位置の調整と力の制御が第2の軸方向移動ユニット41によって行われる。
したがって、接合装置本体2では、第1の摩擦撹拌接合ツール3aの角隅部c1に対する押圧荷重はp軸方向に作用させるものであるため、その制御は、ロードセル62の検出結果を基に、第1の軸方向移動ユニット39の出力のみの制御で実施することができる。第1の摩擦撹拌接合ツール3aのq軸方向の位置の調整は、押圧荷重の制御に関与することなく第1の軸直交方向移動ユニット38により実施することができる。
同様に、接合装置本体2では、第2の摩擦撹拌接合ツール3bの角隅部c2に対する押圧荷重はr軸方向に作用させるものであるため、その制御は、ロードセル84の検出結果を基に、第2の軸方向移動ユニット41の出力のみの制御で実施することができる。第2の摩擦撹拌接合ツール3bのs軸方向の位置の調整は、押圧荷重の制御に関与することなく第2の軸直交方向移動ユニット40により実施することができる。
このため、接合装置本体2を用いて各角隅部c1,c2の摩擦撹拌接合を行う場合は、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bの押圧荷重の制御性の向上化を図ることができる。
本実施形態の摩擦撹拌接合装置は、更に、図1、図2に示すように、接合装置本体2の各摩擦撹拌接合ツール3a,3bが配置されている個所の付近で、ワークテーブル5と一緒に移動する第1のワークW1と第2のワークW2との接合姿勢を保持するワーククランプユニット86を備えている。
ワーククランプユニット86は、図12、図13に示すもので、図1、図2に示した接合装置本体2よりも接合時ワーク進行方向Fの上流側に配置されたフレーム87を備えている。
フレーム87は、図13に示すように、y軸方向に沿ってテーブル移動経路6(図6参照)を跨ぐように配置された門形部88を備え、図12に示すように、門形部88の接合装置本体2に臨む面側には、突出部89が設けられている。この突出部89は、図2に示すように、第1の主軸ユニット35aと第2の主軸ユニット35bとの間に形成される空間に挿入して配置可能な形状とされている。
フレーム87は、門形部88のy軸方向の両端側が、架台1のy軸方向の両端寄りとなる個所にx軸方向に沿って設けられた一対のガイドレール90に、ガイドブロック91を介してスライド可能に支持されている。これにより、フレーム87は、ガイドレール90に沿って、図2に実線で示したように突出部89が第1の主軸ユニット35aと第2の主軸ユニット35bとの間の空間に挿入された状態となる配置と、図2に二点鎖線で示すように突出部89が第1の主軸ユニット35a及び第2の主軸ユニット35bから離れた状態になる退避配置との間で移動可能となっている。
更に、図示しないが、フレーム87と架台1との間には、フレーム87を図2に実線で示した配置で解除可能に位置固定するためのフレーム固定手段が備えられている。
門形部88の内側には、図12、図13に示すように、z軸方向の二個所に、第2のワークW2の両側面P2a,P2b(図4(a)(b)参照)に接触させるためにy軸方向に沿って対向配置された一対のサイドクランプローラ92a,92bと、一対のサイドクランプローラ92c,92dが備えられている。
一対のサイドクランプローラ92a,92bと、一対のサイドクランプローラ92c,92dは、たとえば、y軸方向の一側に配置されている各サイドクランプローラ92a,92cが、門形部88に位置固定されている。一方、y軸方向の他側に配置されている各サイドクランプローラ92b,92dは、y軸方向に沿って配置された押圧手段としての油圧シリンダ93を介して門形部88に取り付けられている。これにより、サイドクランプローラ92a,92cと、サイドクランプローラ92b,92dとの間に第2のワークW2が配置された状態で油圧シリンダ93を伸長作動させることにより、第2のワークW2の両側面P2a,P2bには、サイドクランプローラ92a,92cと、サイドクランプローラ92b,92dとが両側から押し付けられる。このため、第2のワークW2は、y軸方向の位置が保持される。
更に、門形部88の内側には、架台1から離反する端部側に、第2のワークW2の第1のワークW1側とは反対側の端部に押し当てるためのトップクランプローラ94aが備えられている。トップクランプローラ94aは、yz平面内で第2のワークW2の面に沿う方向、すなわち、本実施形態ではz軸方向に配置された押圧手段としての油圧シリンダ95を介して門形部88に取り付けられている。これにより、トップクランプローラ94aは、第2のワークW2の端部に接するように配置された状態で油圧シリンダ95を伸長作動させると、第2のワークW2が、第1のワークW1に対して押し付けられるようになっている。第1のワークW1は、この第2のワークW2から受ける押し付け力により、ワークテーブル5に押し付けられる。このため、第1のワークW1と第2のワークW2は、z軸方向の位置が保持される。
突出部89には、一対のサイドクランプローラ92e,92f及びトップクランプローラ94bが設けられている。一対のサイドクランプローラ92e,92fは、門形部88の一対のサイドクランプローラ92a,92bと同様の構成としてあり、サイドクランプローラ92fは、突出部89に図13に示したと同様の油圧シリンダ93を介して支持されている。又、トップクランプローラ94bは、門形部88のトップクランプローラ94aと同様の構成としてあり、突出部89に、図13に示したと同様の油圧シリンダ95を介して支持されている。一対のサイドクランプローラ92e,92fとトップクランプローラ94bは、突出部89が図2に示すように第1の主軸ユニット35aと第2の主軸ユニット35bとの間の空間に挿入された配置となるときに、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bの上方に配置されることが好ましい。
なお、各サイドクランプローラ92a〜92fと各トップクランプローラ94a,94bは、x軸方向に並べて配置された2連のローラ本体を備えた構成としてあることが好ましい。これは、第2のワークW2のx軸方向に沿う角度姿勢からy軸方向やz軸方向へのずれをより確実に防止させるためである。
以上の構成としてあるワーククランプユニット86は、各ワークW1,W2の角隅部c1,c2の摩擦撹拌接合を行うときには、フレーム87を、図2に実線で示した状態に配置させる。この状態で、ワーククランプユニット86は、摩擦撹拌接合が行われる個所の付近で、摩擦撹拌接合に供される第2のワークW2の位置のy軸方向への変位を防止することができると共に、第1のワークW1及び第2のワークW2の位置のz軸方向への変位を防止することができる。
各主軸ユニット35a,35bが支持されている接合装置本体2のフレーム37は、摩擦撹拌接合を行うときに、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bに作用させる押圧荷重の反力の影響を受ける。これに対し、ワーククランプユニット86は、接合装置本体2のフレーム37とは別体のフレーム87を備えているため、ワーククランプユニット86による各ワークW1,W2の位置の保持が、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bに作用させる押圧荷重の反力の影響を受けることはない。
又、ワーククランプユニット86は、摩擦撹拌接合を実施していないときには、フレーム固定手段(図示せず)による位置固定を解除して、図2に二点鎖線で示したように接合装置本体2から離れた退避配置となるように移動させることができる。この状態では、突出部89が露出されるため、サイドクランプローラ92e,92fやトップクランプローラ94bに対して作業者が容易に近づいて点検や保守作業を行うことができる。又、この状態では、第1の主軸ユニット35aと第1の摩擦撹拌接合ツール3a、及び、第2の主軸ユニット35bと第2の摩擦撹拌接合ツール3bの近傍にはワーククランプユニット86が存在しなくなるため、これらの機器に作業者が容易に近づいて点検や保守作業を行うことができる。
次に、本実施形態の摩擦撹拌接合装置を用いて行う摩擦撹拌接合について説明する。
摩擦撹拌接合の開始前に、作業者が、ワークテーブル5に、第1のワークW1と第2のワークW2を配置する。
この作業は、先ず、ワークテーブル5の領域8(図5、図7参照)に、第1のワークW1を、接合時ワーク進行方向Fの後端側に配置される端部を終端側端部押さえ部材12の横板部14に突き当て、y軸方向の一端部を段差部9に突き当てて配置する。次に、第1のワークW1は、端面クランプ10と表面クランプ11とを用いてワークテーブル5に保持させる。次いで、図4(a)(b)に示した接合姿勢となるように、第1のワークW1の面P1に対し、第2のワークW2の端縁を突き当てて配置する。この状態で、第2のワークW2は、接合時ワーク進行方向Fの後端側に配置された端部を、終端側端部押さえ部材12の縦板部15に突き当てて配置し、縦板部15に保持具16を介して保持させる。又、ワークテーブル5には、第1のワークW1と第2のワークW2の接合時ワーク進行方向Fの前端側に配置された端部に突き当てるようにして始端側端部押さえ部材13を取り付けて、その縦板部15に、保持具16を介して第2のワークW2の対応する個所を保持させる。
このワークテーブル5に各ワークW1,W2を配置して保持させる作業は、ワークテーブル5をx軸方向に適宜移動させて、接合装置本体2及びワーククランプユニット86と干渉しない位置に配置させた状態で行うようにすればよい。更に、この際、ワークテーブル5は、テーブル支持台26を適宜使用して架台1よりはみ出す位置、更には、架台1から外れた位置に配置させた状態としてもよい。
各ワークW1,W2をワークテーブル5に保持させた後、ワークテーブル5は、移動機構7によりテーブル移動経路6に沿って移動させて、各ワークW1,W2の角隅部c1,c2の摩擦撹拌接合の始端側を、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bと同じyz平面内に配置する。
その後、接合装置本体2では、各軸直交方向移動ユニット38,40と各軸方向移動ユニット39,41により、摩擦撹拌接合ツール3a,3bのプローブ33a,33bが各角隅部c1,c2に近接して配置されるように各主軸ユニット35a,35bの位置調整を行う。
次に、ワーククランプユニット86は、図1、図2に示すように、接合装置本体2に近接配置させて位置を固定する。次いで、ワーククランプユニット86は、各サイドクランプローラ92a〜92f及び各トップクランプローラ94a,94bにより、ワークテーブル5に保持された各ワークW1,W2を接合姿勢で保持する。これにより、第2のワークW2のy軸方向及びz軸方向への変位と、第1のワークW1のz軸方向への変位は防止される。
この状態で、接合装置本体2は、各主軸ユニット35a,35bの回転駆動手段36a,36bを起動してプローブ33a,33bの回転駆動を開始する。その後、接合装置本体2は、各軸方向移動ユニット39,41により、各主軸ユニット35a,35bをプローブ33a,33bの軸心方向(p軸方向、r軸方向)に沿って移動して、回転駆動状態の各プローブ33a,33bを、各角隅部c1,c2に没入させる。更に、固定式ショルダ4aのワーク接触面34aは、第1のワークW1の面P1と第2のワークW2の一方の側面P2aに接触させ、固定式ショルダ4bのワーク接触面34bは、第1のワークW1の面P1と第2のワークW2の他方の側面P2bに接触させる。
これにより、第2のワークW2を挟んだ対称位置の各角隅部c1,c2には、没入された各プローブ33a,33bによる撹拌領域s1,s2が、互いに干渉しない状態で形成される。
次いで、移動機構7は、ワークテーブル5の移動を開始する。ワークテーブル5が移動すると、その移動に伴われて移動する各角隅部c1,c2は、定置された接合装置本体2の各摩擦撹拌接合ツール3a,3bと相対移動するため、各角隅部c1,c2に沿った摩擦撹拌接合は同時に開始される。
このようにして摩擦撹拌接合が開始されると、接合装置本体2は、各軸方向移動ユニット39,41について、各軸方向移動ユニット39,41により各摩擦撹拌接合ツール3a,3bを各角隅部c1,c2に対して押圧する荷重が、予め設定された目標値に一致するようにする制御を開始する。
同時に、接合装置本体2は、各軸直交方向移動ユニット38,40について、各サーボモータ47,69の制御と動力とを遮断する。これにより、第1の軸直交方向移動ユニット38では、移動テーブル45に第1の軸方向移動ユニット39を介して保持した第1の主軸ユニット35aの位置が、q軸方向に作用する外力に応じて自在に変化するようになる。又、第2の軸直交方向移動ユニット40では、移動テーブル67に第2の軸方向移動ユニット41を介して保持した第2の主軸ユニット35bの位置が、s軸方向に作用する外力に応じて自在に変化するようになる。
その結果、接合装置本体2では、たとえば、各角隅部c1,c2に位置ずれが生じた場合は、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bの各角隅部c1,c2に対する押圧荷重は、各軸方向移動ユニット39,41によって一定に保持させながら、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bの位置は、各固定式ショルダ4a,4bが第1のワークW1の面P1に沿って滑ることで、各角隅部c1,c2の位置ずれに追従するようになる。
このため、各角隅部c1,c2に沿う摩擦撹拌接合が行われるときには、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bの位置を、各角隅部c1,c2に倣わせることができる。
以上のようにして、摩擦撹拌接合ツール3a,3bによる摩擦撹拌接合が各角隅部c1,c2の終端側の予め設定されている個所まで進行すると、移動機構7はワークテーブル5の移動を停止する。
次いで、各軸直交方向移動ユニット38,40は、それぞれのサーボモータ47,69による制御を再開し、各軸直交方向移動ユニット38,40と各軸方向移動ユニット39,41とにより、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bを各角隅部c1,c2より離反する方向に移動する。これにより、各プローブ33a,33bは、各角隅部c1,c2より抜き出されるので、その後、各主軸ユニット35a,35bによる各プローブ33a,33bの回転駆動を停止する。
ワーククランプユニット86は、その後、各ワークW1,W2の保持を解除させてから、退避配置まで移動させるようにすればよい。
しかる後、ワークテーブル5は、移動機構7により接合装置本体2及びワーククランプユニット86と干渉しない位置まで移動させてから、各ワークW1,W2の接合体を取り出すようにする。
このように、本実施形態の摩擦撹拌接合装置によれば、一対の摩擦撹拌接合ツール3a,3bを用いて、各ワークW1,W2間の各角隅部c1,c2の摩擦撹拌接合を行うことができる。
この摩擦撹拌接合を行う際、本実施形態の摩擦撹拌接合装置は、各角隅部c1,c2が形成される接合姿勢とした各ワークW1,W2は、ワークテーブル5と一緒に、架台1に定置された接合装置本体2に対して移動させるようにしてある。このため、本実施形態の摩擦撹拌接合装置は、各ワークW1,W2の長さに応じたワークテーブル5を使用することで、接合装置本体2により摩擦撹拌接合する各ワークW1,W2の長さに制限を受けなくすることができる。
ワークテーブル5は、接合時ワーク進行方向Fの後端側に終端側端部押さえ部材12を設けた構成として、ワークテーブル5に配置する各ワークW1,W2は、共に各角隅部c1,c2の摩擦撹拌接合処理の終端側に位置する端部を終端側端部押さえ部材12に突き当てて配置できるようにしてある。このため、ワークテーブル5を接合時ワーク進行方向Fへ移動させるときには、ワークテーブル5に端面クランプ10と表面クランプ11を介して直接保持された第1のワークW1のみならず、第2のワークW2も、終端側端部押さえ部材12によって接合時ワーク進行方向Fへ押すことにより、接合装置本体2に対して確実に相対移動させることができる。したがって、本実施形態の摩擦撹拌接合装置では、第1のワークW1と第2のワークW2とのx軸方向のずれを防止した状態で、各角隅部c1,c2の各摩擦撹拌接合ツール3a,3bによる摩擦撹拌接合を実施することができる。
又、ワークテーブル5は、第1のワークW1を配置する領域8のy軸方向の一側に段差部9を設けた構成としてあるため、この段差部9に第1のワークW1のy軸方向の一端面を突き当てることで、ワークテーブル5に第1のワークW1を毎回同じ位置、同じ姿勢で配置する作業を容易なものとすることができる。
更に、摩擦撹拌接合の実施時は、第1のワークW1とワークテーブル5は、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bを各角隅部c1,c2に対して押圧する荷重の鉛直方向の成分をx軸方向の一個所で受ける。しかし、ワークテーブル5は、端面クランプ10と表面クランプ11によって第1のワークW1の保持を行うようにしてあるため、第1のワークW1のy軸方向への変位に加えて、第1のワークW1がワークテーブル5から離反するような変位も防止することができる。
[第2実施形態]
図14は、摩擦撹拌接合装置の第2実施形態として、ワークテーブルの変形例を示す平面図である。
なお、図14において、図5(a)(b)に示したものと同一のものには同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態におけるワークテーブル5は、図5(a)(b)に示したと同様の構成において、第1のワークW1を配置する領域8のy軸方向の一側に、段差部9を備える構成に代えて、図14に示すように、y軸方向の一側に、y軸方向の他側と同様の端面クランプ10と表面クランプ11とを交互配置で備えた構成としたものである。
摩擦撹拌接合装置の構成は、ワークテーブル5以外は第1実施形態と同様である。
本実施形態におけるワークテーブル5を使用する場合は、領域8に第1のワークW1を配置した後、y軸方向の両側に設けられている各端面クランプ10により、第1のワークW1のy軸方向の位置決めと固定とを行わせるようにし、その後、各表面クランプ11により、第1のワークW1をz軸方向に沿ってワークテーブル5の表面との間に挟んで固定するようにすればよい。
前記ワークテーブル5を用いる本実施形態の摩擦撹拌接合装置は、ワークテーブル5に配置する第1のワークW1のy軸方向の位置決めと固定の点を除いて、第1実施形態と同様に使用して、同様の効果を得ることができる。
[第3実施形態]
図15は、摩擦撹拌接合装置の第3実施形態として、ワークテーブルの別の変形例を示すもので、図15(a)は平面図、図15(b)は側面図である。
なお、図15(a)(b)において、図5(a)(b)に示したものと同一のものには同一の符号を付してその説明を省略する。摩擦撹拌接合装置の構成は、ワークテーブル5以外は第1実施形態と同様である。
本実施形態におけるワークテーブル5は、図15(a)(b)に示すように、図5(a)(b)に示したと同様の構成において、接合時ワーク進行方向Fの後端側(図15(a)(b)では左側)となるx軸方向の一端側の表面に、逆T字形の終端側端部押さえ部材12を設ける構成に代えて、ブロック形状の終端側端部押さえ部材12aを設けた構成としたものである。
この終端側端部押さえ部材12aは、ワークテーブル5の表面からz軸方向に、第2のワークW2における各角隅部c1,c2の摩擦撹拌接合処理の終端側に位置する端部の第1のワークW1寄りの部分を突き当てることができる寸法で突出した構成を備えている。
更に、ブロック形状としてある終端側端部押さえ部材12aのz軸方向の寸法は、たとえば、図12、図13に示したワーククランプユニット86の最も架台1寄りに配置されているサイドクランプローラ92c,92d、及び、その支持構造に干渉しないように設定されていることが好ましい。
ところで、摩擦撹拌接合処理を行うときには、ワークテーブル5に直接保持された第1のワークW1のみならず、第2のワークW2も接合装置本体2に対して確実に相対移動させることが必要とされる。そのために、終端側端部押さえ部材12は、第1のワークW1と第2のワークW2を接合時ワーク進行方向Fへ押すという機能を果たす点で重要度が高い。これに対し、第1実施形態に示した始端側端部押さえ部材13は、第1のワークW1と第2のワークW2の摩擦撹拌接合処理の始端側に位置する端部の位置を定めるという点では有効であるが、第1のワークW1と第2のワークW2を接合時ワーク進行方向Fへ押すという機能には関与していない。
この点に鑑みて、本実施形態では、ワークテーブル5は、始端側端部押さえ部材は省略した構成としてある。
更に、本実施形態の摩擦撹拌接合装置は、第1実施形態と同様に、図12、図13に示したワーククランプユニット86を備えていることを前提としている。そのため、ワークテーブル5に配置された第1のワークW1と第2のワークW2との接合姿勢は、ワーククランプユニット86によって保持することができる。そこで、本実施形態で用いるワークテーブル5の終端側端部押さえ部材12aは、ワークテーブル5に配置された第2のワークW2を接合姿勢で保持するための保持具を備えない構成としてある。
なお、摩擦撹拌接合装置に備えてワークテーブル5に配置された第1のワークW1と第2のワークW2との接合姿勢を保持するための手段は、ワーククランプユニット86に限らず、別の接合姿勢保持手段であってもよく、この場合も、終端側端部押さえ部材12aは、保持具を省略した構成としてよい。
本実施形態におけるワークテーブル5を使用する場合は、ワークテーブル5に、先ず、第1実施形態の場合と同様に第1のワークW1を配置して固定する。
その後、図4に示した接合姿勢となるように、ワークテーブル5に保持された第1のワークW1の面P1に、第2のワークW2の端縁を突き当てて配置する。
更に、第2のワークW2は、各角隅部c1,c2の摩擦撹拌接合処理の終端側に位置する端部を、終端側端部押さえ部材12aに突き当てて配置する。
この状態で、ワークテーブル5に配置した各ワークW1,W2は、第1実施形態の場合と同様に、別の接合姿勢保持手段であるワーククランプユニット(図12,図13参照)によって接合姿勢を保持させるようにすればよい。
その後は、第1実施形態の場合と同様の手順で摩擦撹拌接合処理を行う事により、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は、前記各実施形態にのみ限定されるものではなく、ワークテーブル5の裏面に設けるラック17は、ピンラックであってもよい。この場合、移動機構7に備えるピニオンギア21は、前記ピンラックに噛合する形式とすればよい。更に、ワークテーブル5は、裏面にラック17に代えてチェーンラックを設け、移動機構7には、ピニオンギア21に代えて前記チェーンラックに噛み合うスプロケットを備えた構成としてもよい。
又、ワークテーブル5がその移動方向に延びるラック17又はチェーンラックを備え、移動機構7がワークテーブル5のラック17に噛合するピニオンギア21、又は、チェーンラックに噛合するスプロケットを回転駆動可能に備えていれば、ラック17とピニオンギア21、又は、チェーンラックとスプロケットは、ワークテーブル5の側方や上方に配置されていてもよい。
ワークテーブル5に設ける終端側端部押さえ部材12,12aは、第1のワークW1と第2のワークW2の各角隅部c1,c2の摩擦撹拌接合処理の終端側に位置する端部を突き当てて配置することができれば、図5(a)(b)及び図14(a)(b)に示した如き逆T字形や、図15(a)(b)に示したブロック形状以外の任意の形状、構造としてもよい。
更に、ワークテーブル5に、第1のワークW1が、各クランプ10,11等による保持によって各角隅部c1,c2の摩擦撹拌接合時にもワークテーブル5とx軸方向のずれを生じないように固定される場合は、終端側端部押さえ部材12,12aは、必ずしも第1のワークW1に接していなくてもよい。したがって、この場合、終端側端部押さえ部材12,12aは、第2のワークW2に接して第2のワークW2を接合時ワーク進行方向Fへ押すことができる形状や構造を備えていればよい。
第1実施形態にて図5(a)(b)に示したワークテーブル5と、第2実施形態の図14に示したワークテーブル5は、始端側端部押さえ部材13を省略した構成としてもよい。更に、ワーククランプユニット86のような別の接合姿勢保持手段が存在していることを前提として、終端側端部押さえ部材12は、保持具16を備えない構成としてもよい。
ワークテーブル5に第1のワークW1を保持するためのクランプは、図示した端面クランプ10及び表面クランプ11以外の任意の形式のクランプを採用してもよい。
本発明の摩擦撹拌接合装置は、第1のワークW1と、その面P1に対して90度以外の角度姿勢で端縁が突き合わされた第2のワークW2とにより形成される2つの角隅部(内隅部)c1,c2を、摩擦撹拌接合の対象としてもよい。この場合は、図4(b)に示したと同様の構成において、第1のワークW1の面P1と第2のワークW2の側面P2aとの間の角度が90度以外となるため、角隅部c1の摩擦撹拌接合に用いる第1の摩擦撹拌接合ツール3aの固定式ショルダ4aが、前記角度に応じた山形の端部を有する構成とすればよい。同様に、第1のワークW1の面P1と第2のワークW2の側面P2bとの間の角度が90度以外となるため、角隅部c2の摩擦撹拌接合に用いる第2の摩擦撹拌接合ツール3bは、固定式ショルダ4bが、前記角度に応じた山形の端部を有する構成とすればよい。
又、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bは、各プローブ33a,33bが、各固定式ショルダ4a,4bの端部の山形の角度の二等分線の方向に沿って配置された構成とすればよい、
更に、この場合、ワークテーブル5の終端側端部押さえ部材12,12aと、必要に応じてワークテーブル5に設ける始端側端部押さえ部材13は、ワークテーブル5に保持させた第1のワークW1に対して90度以外の角度姿勢で配置される第2のワークW2の端部に突き当てることが可能な形状を備えるようにすればよい。
図6に示したテーブル移動経路6におけるボトムガイドローラ18、サイドガイドローラ19、トップガイドローラ20のサイズと数と配置は一例であり、テーブル移動経路6の長さ(x軸方向の寸法)や幅(y軸方向の寸法)、各角隅部c1,c2の摩擦撹拌接合時に各摩擦撹拌接合ツール3a,3bに付与する押圧荷重の大きさ等に応じて、各ガイドローラ18,19,20のサイズや数や配置は適宜変更してもよい。
接合装置本体2は、ワークテーブル5に配置された第1のワークW1と第2のワークW2とによって形成される各角隅部c1,c2に、図4(a)(b)に示したような固定式ショルダ4a,4bを備えた形式の一対の摩擦撹拌接合ツール3a,3bを配置して、各角隅部c1,c2の摩擦撹拌接合を行うことができるようにしてあれば、図示した以外の構成を備えていてもよい。たとえば、接合装置本体2は、フレーム37と第1の主軸ユニット35aとの間に介装した第1の軸直交方向移動ユニット38と第1の軸方向移動ユニット39とのx軸方向の配置(順序)を入れ替え、フレーム37と第2の主軸ユニット35bとの間に介装した第2の軸直交方向移動ユニット40と第2の軸方向移動ユニット41とのx軸方向の配置(順序)を入れ替えた構成としてもよい。
又、各軸直交方向移動ユニット38,40は、直動機構として、ラックアンドピニオン方式や、アクチュエータ等、ボールねじ機構46,68以外の直動機構を使用してもよい。又、直動機構の配置、ガイドレール43,65の数や配置、ガイドブロック44,66の数や配置、ベースプレート42,64や移動テーブル45,67の形状、ガススプリング52,74の配置等については、自在に変更してもよい。各軸直交方向移動ユニット38,40の重力補償機構は、定荷重ばねやその他のばね、シリンダ、カウンターウェイト等、ガススプリング52,74以外の任意の形式の重力補償機構を採用してもよい。
各軸方向移動ユニット39,41は、直動機構として、ラックアンドピニオン方式や、アクチュエータ等、ボールねじ機構57,79以外の直動機構を使用してもよい。又、直動機構の配置、ガイドレール54,76の数や配置、ガイドブロック55,77の数や配置、ベースプレート53,75や移動テーブル56,78の形状等については、自在に変更してもよい。
各角隅部c1,c2に配置する一対の摩擦撹拌接合ツール3a,3bは、x軸方向の位置を互いにずらした配置としてもよい。又、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bを各角隅部c1,c2に配置させると共に、各角隅部c1,c2に向かう押圧力を付与するための機構は、たとえば、y軸方向に移動するテーブルを備えた移動ユニットと、z軸方向に移動するテーブルを備えた移動ユニットとのテーブル移動量及び出力を組み合わせる形式としてあってもよい。
本発明の摩擦撹拌接合装置は、図12、図13に示した如きワーククランプユニット86を備えることが好ましいが、接合装置本体2が各摩擦撹拌接合ツール3a,3bの付近で第1のワークW1と第2のワークW2の接合姿勢を保持させるためのクランプローラ等の接合姿勢保持手段を備えている場合は、ワーククランプユニット86を省略した構成としてもよい。
各摩擦撹拌接合ツール3a,3bは、各プローブ33a,33bの軸心方向が、それぞれ接合対象となる角隅部c1,c2の角度の二等分線の方向に必ずしも一致していなくてもよい。
各摩擦撹拌接合ツール3a,3bは、各プローブ33a,33bの軸心方向が、yz平面に沿う方向から接合時ワーク進行方向F(x軸方向)に傾斜していてもよい。
各固定式ショルダ4a,4bは、接合対象の各角隅部c1,c2の両側の各ワークW1,W2の面に接触させるワーク接触面34a,34bが山形となっていれば、その他の部分は図示した以外の形状としてもよい。
第1のワークW1の面P1を配置するxy平面は水平面でなく、傾斜していてもよい。この場合は、前述した装置構成の説明に用いた3次元直交座標系を、xy平面を基準に角度を変更すればよい。
摩擦撹拌接合を行うときに、非特許文献1に示されたAdStirと云われる手法を適用してもよい。
この場合は、各摩擦撹拌接合ツール3a,3bを、図4(a)(b)に示したと同様の構成において、各固定式ショルダ4a,4bのワーク接触面34a,34bにより形成されている山形の頂部に、プローブ33a,33bよりも接合時ワーク進行方向Fの上流側(図4(a)では下側)となる部分には、フィラーを挿入するための切欠部を備え、プローブ33a,33bよりも接合時ワーク進行方向Fの下流側(図4(a)では上側)となる部分には、接合後の角隅部c1,c2に形成を所望するフィレットに応じた形状の切欠部を備えた構成とすればよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
1 架台、2 接合装置本体、3a 第1の摩擦撹拌接合ツール(摩擦撹拌接合ツール)、3b 第2の摩擦撹拌接合ツール(摩擦撹拌接合ツール)、4a,4b 固定式ショルダ、5 ワークテーブル、6 テーブル移動経路、7 移動機構、8 領域、9 段差部、10 端面クランプ(クランプ)、11 表面クランプ(クランプ)、12,12a 終端側端部押さえ部材、16 保持具、17 ラック、18 ボトムガイドローラ(ガイドローラ)、19 サイドガイドローラ(ガイドローラ)、20 トップガイドローラ(ガイドローラ)、21 ピニオンギア、33a,33b プローブ、W1 第1のワーク、W2 第2のワーク、c1,c2 角隅部

Claims (7)

  1. 第1のワークと、該第1のワークの面に対して交わる角度姿勢で端縁を接して配置される第2のワークとで形成される該第2のワークの両側の角隅部を、摩擦撹拌接合ツールにより、前記各角隅部の延びる方向に沿って摩擦撹拌接合する摩擦撹拌接合装置であって、
    前記摩擦撹拌接合ツールを備えて定置された接合装置本体と、
    前記接合装置本体で接合する前記第1のワークと第2のワークとを前記各角隅部が形成された接合姿勢で配置するワークテーブルと、
    前記ワークテーブルを、前記各角隅部の延びる方向に移動させる移動機構とを備えること
    を特徴とする摩擦撹拌接合装置。
  2. 前記ワークテーブルは、該ワークテーブルに配置した前記第1のワークと前記第2のワークの各角隅部の摩擦撹拌接合を実施するときに進行させる方向の後部側に、前記各角隅部の摩擦撹拌接合を行う前記第2のワークを接合時ワーク進行方向へ押す終端側端部押さえ部材を備えること
    を特徴とする請求項1記載の摩擦撹拌接合装置。
  3. 前記終端側端部押さえ部材は、前記第2のワークを接合姿勢で保持するための保持具を備えること
    を特徴とする請求項2記載の摩擦撹拌接合装置。
  4. 前記ワークテーブルは、
    前記第1のワークを配置する領域の一側に備えた段差部と、
    前記第1のワークを配置する領域の他側に備えて前記段差部に当てて配置した前記第1のワークを保持するクランプとを有すること
    を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の摩擦撹拌接合装置。
  5. 前記接合装置本体を定置する架台を備え、
    前記架台は、テーブル移動経路を備え、
    前記テーブル移動経路には、前記移動テーブルの移動をガイドするガイドローラが備えられていること
    を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の摩擦撹拌接合装置。
  6. 前記ワークテーブルは、該ワークテーブルの移動方向に延びるラック又はチェーンラックを備え、
    前記移動機構は、前記ラックに噛合するピニオンギア、又は、前記チェーンラックに噛合するスプロケットを回転駆動可能に備えること
    を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の摩擦撹拌接合装置。
  7. 前記移動機構は、前記ピニオンギア又はスプロケットを、前記テーブル移動経路であって、前記各角隅部の摩擦撹拌接合時に各摩擦撹拌接合ツールを各角隅部へ押圧する荷重が前記第1のワークに対し垂直な方向に作用する位置とは異なる位置に備えていること
    を特徴とする請求項6記載の摩擦撹拌接合装置。
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