JP2016171182A - インプリント用モールドおよびその製造方法、並びに微細構造の製造方法 - Google Patents

インプリント用モールドおよびその製造方法、並びに微細構造の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レジスト材に対して優れた離型性を示すインプリント用モールドおよびその製造方法、並びに微細構造の製造方法を提供することである。【解決手段】微細パターン2を表面1aに有する表面層1と、表面層1の裏面1bを支持する支持層5と、を備え、表面層1が、少なくとも炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートを重合させることによって得られる側鎖結晶性ポリマーと、紫外線硬化性官能基を有する化合物とを反応させることによって得られる紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーからなり、前記側鎖結晶性ポリマーが、反応性フッ素化合物をさらに重合させることによって得られる共重合体からなる、インプリント用モールド10およびその製造方法である。モールド10を用いて微細構造を製造する方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、インプリントリソグラフィーに好適なインプリント用モールドおよびその製造方法、並びに微細構造の製造方法に関する。
近時、微細パターンを基板表面に効率よく形成してスループットを高めることが可能なインプリントリソグラフィーが注目されている(例えば、非特許文献1参照)。インプリントリソグラフィーは、基板表面にレジスト材からなる被膜(皮膜)を形成し、モールドを被膜に接触させて加圧し、加圧状態を維持しつつ被膜を硬化させることによってモールドの微細パターンを被膜に転写し、微細パターンを基板表面に形成する方法である。インプリントリソグラフィーは、例えば光学用フィルムの表面に微細パターンを形成したモスアイフィルム等の製造に利用されている。
インプリントリソグラフィーで形成される微細パターンは、使用するモールドの微細パターンに対応するため、インプリントリソグラフィーにおけるモールドの重要性は高い。本出願人は、先に特許文献1に記載のモールドを開発した。特許文献1に記載のモールドは、結晶状態において離型性を有する紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーで構成されている。このモールドの離型性は、モールドを製造する際に使用するマスター型に対しては十分であるが、レジスト材に対しては必ずしも十分ではなかった。
特開2012−91463号公報
松井 真二、外3名、"ナノインプリント技術の現状"、[online]、[平成26年10月30日検索]、インターネット<URL:http://www.tech-jam.com/academy/kennkyuu/01/jyouonnanoinpurinto.pdf>
本発明の課題は、レジスト材に対して優れた離型性を示すインプリント用モールドおよびその製造方法、並びに微細構造の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)微細パターンを表面に有する表面層と、前記表面層の前記表面と反対の裏面を支持する支持層と、を備え、前記表面層が、少なくとも炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートを重合させることによって得られる側鎖結晶性ポリマーと、紫外線硬化性官能基を有する化合物とを反応させることによって得られる紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーからなるインプリント用モールドであって、前記側鎖結晶性ポリマーが、反応性フッ素化合物をさらに重合させることによって得られる共重合体からなる、インプリント用モールド。
(2)前記紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーは、融点未満の温度で結晶化し、かつ前記融点以上の温度で流動性を示すとともに、紫外線照射によって硬化する、前記(1)に記載のインプリント用モールド。
(3)前記反応性フッ素化合物が、下記一般式(I)または(II)で表される化合物である、前記(1)または(2)に記載のインプリント用モールド。
Figure 2016171182
[式中、R1は基:CH2=CHCOOR2−またはCH2=C(CH3)COOR2−(式中、R2はアルキレン基を示す。)を示す。nは0〜5の整数を示す。]
(4)紫外線照射によって硬化した後の表面エネルギーが、25mJ/m2以下である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のインプリント用モールド。
(5)前記微細パターンに離型処理が施されていない、前記(1)〜(4)のいずれかに記載のインプリント用モールド。
(6)前記微細パターンが、ナノないしマイクロメートルスケールである、前記(1)〜(5)のいずれかに記載のインプリント用モールド。
(7)少なくとも炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートおよび反応性フッ素化合物の共重合体からなる側鎖結晶性ポリマーと、紫外線硬化性官能基を有する化合物とを反応させることによって得られる紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーからなる表面層と、前記表面層の裏面を支持するフィルム状の支持層と、を備える、インプリント用モールド作製テープ。
(8)少なくとも炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートおよび反応性フッ素化合物の共重合体からなる側鎖結晶性ポリマーと、紫外線硬化性官能基を有する化合物とを反応させることによって得られる紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーからなる表面層を、支持層上に積層する第1工程と、前記表面層の表面を、微細パターンを有するマスター型によって、前記紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーの融点以上の温度で加圧する第2工程と、前記表面層の温度を前記紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーの融点未満の温度にして前記紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーを結晶化させた後、前記表面層の表面から前記マスター型を剥離し、前記マスター型の微細パターンを前記表面層の表面に転写する第3工程と、を備え、前記第2工程後か、または前記第3工程後に、紫外線を照射して前記紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーを硬化させる、インプリント用モールドの製造方法。
(9)前記第2工程後に紫外線を照射して前記紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーを硬化させる、前記(8)に記載のインプリント用モールドの製造方法。
(10)前記マスター型の微細パターンに離型処理が施されていない、前記(8)または(9)に記載のインプリント用モールドの製造方法。
(11)前記(1)〜(6)のいずれかに記載のインプリント用モールドを使用して微細構造を製造する方法であって、前記インプリント用モールドで、硬化性樹脂組成物からなる被膜の表面を加圧し、前記インプリント用モールドの微細パターンを前記被膜の表面に転写する工程と、前記被膜を硬化させた後、前記被膜の表面から前記インプリント用モールドを剥離して微細構造を得る工程と、を備える、微細構造の製造方法。
(12)前記硬化性樹脂組成物が、紫外線硬化性樹脂組成物からなり、前記紫外線硬化性樹脂組成物からなる被膜の表面を前記インプリント用モールドで加圧して前記微細パターンを前記被膜の表面に転写した後、紫外線を照射して前記微細パターンが表面に転写された前記被膜を硬化させる、前記(11)に記載の微細構造の製造方法。
本発明によれば、モールドを製造する際に使用するマスター型のみならずレジスト材に対しても優れた離型性を示すことができ、転写精度よく微細構造を製造できるという効果がある。
本発明の一実施形態に係るインプリント用モールドを示す概略側面図である。 (a)〜(d)は、図1に示すインプリント用モールドの製造方法を示す工程図である。 (a)〜(d)は、本発明の一実施形態に係る微細構造の製造方法を示す工程図である。
<インプリント用モールド>
以下、本発明の一実施形態に係るインプリント用モールド(以下、「モールド」と言うことがある。)について、図1を参照して詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態のモールド10は、微細パターン2を表面1aに有する表面層1と、表面層1の裏面1bを支持する支持層5と、を備えている。
本実施形態の表面層1は、紫外線硬化性官能基を有する側鎖結晶性ポリマー、すなわち紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーからなる。紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーは、融点を有するポリマーであり、融点未満の温度で結晶化し、かつ融点以上の温度で流動性を示す。すなわち、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーは、温度変化に対応して結晶状態と流動状態とを可逆的に起こす感温性を有する。そして、結晶状態にある紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーは、離型性を有する。
また、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーが有する紫外線硬化性官能基は、紫外線照射によって硬化する官能基である。したがって、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーに紫外線を照射すると硬化し、耐熱性が向上する。
紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーは、側鎖結晶性ポリマーと紫外線硬化性官能基を有する化合物とを反応させることによって得られる。具体的に説明すると、側鎖結晶性ポリマーは、少なくとも炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートを重合させることによって得られる。
炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートは、その炭素数16以上の直鎖状アルキル基が紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーにおける側鎖結晶性部位として機能する。すなわち、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーは、側鎖に炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する櫛形のポリマーであり、この側鎖が分子間力等によって秩序ある配列に整合されることにより結晶化するのである。このような炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えばセチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の炭素数16〜22の線状アルキル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートのことを意味するものとする。
ここで、本実施形態の側鎖結晶性ポリマーは、上述した炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートに加えて、反応性フッ素化合物をさらに重合させることによって得られる共重合体からなる。これにより、結晶化することによる離型性に加えて、フッ素化合物に起因する離型性も加わることから、本実施形態の紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーは後述するマスター型20のみならず、レジスト材に対しても優れた離型性を示すことが可能となる。具体的には、本実施形態によれば、紫外線照射によって硬化した後のモールド10の表面エネルギーを、25mJ/m2以下、好ましくは20〜25mJ/m2にすることができる。表面エネルギーは、後述する実施例に記載の方法で測定して得られる値である。
反応性フッ素化合物とは、反応性を示す官能基を有するフッ素化合物のことを意味するものとする。反応性を示す官能基としては、例えばビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のエチレン性不飽和二重結合を有する基;エポキシ基(グリシジル基およびエポキシシクロアルキル基を含む)、メルカプト基、カルビノール基、カルボキシル基、シラノール基、フェノール基、アミノ基、水酸基等が挙げられる。
反応性フッ素化合物の具体例としては、上述した一般式(I)または(II)で表される化合物等が挙げられる。一般式(I)および(II)中、R1は基:CH2=CHCOOR2−またはCH2=C(CH3)COOR2−(式中、R2はアルキレン基を示す。)を示し、アルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素数1〜6の直鎖または分枝したアルキレン基等が挙げられる。また、一般式(II)中、nは0〜5の整数を示す。
一般式(I)または(II)で表される化合物の具体例としては、下記式(Ia),(Ib),(IIa),(IIb)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2016171182
上述した反応性フッ素化合物は、市販品を用いることができる。市販の反応性フッ素化合物としては、例えばいずれも大阪有機化学工業社製の「ビスコート3F」、「ビスコート3FM」、「ビスコート4F」、「ビスコート8F」、「ビスコート8FM」、共栄社化学(株)製の「ライトエステルM−3F」等が挙げられる。
一方、本実施形態の側鎖結晶性ポリマーは、上述した炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートおよび反応性フッ素化合物に加えて、炭素数1〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレートをさらに重合させることができる。
炭素数1〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレートを共重合させると、側鎖結晶性ポリマーにヒドロキシアルキル基を導入することができる。本実施形態において、ヒドロキシアルキル基は、後述する紫外線硬化性官能基を有する化合物と反応する官能基として機能する。
上述した各モノマーは、例えば炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートを20〜99重量部、好ましくは30〜70重量部、炭素数1〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを0〜70重量部、好ましくは20〜50重量部、ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレートを0〜20重量部、好ましくは5〜15重量部、反応性フッ素化合物を1〜30重量部、好ましくは10〜25重量部とする割合で重合させるのがよい。また、側鎖結晶性ポリマーは、単量体単位として反応性フッ素化合物を1〜40重量%の割合で含むのが好ましく、5〜20重量%の割合で含むのがより好ましい。
重合方法としては、特に限定されるものではなく、例えば溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が採用可能である。溶液重合法を採用する場合には、上述した各モノマーを溶剤に混合し、重合開始剤を加えて40〜90℃程度で2〜10時間程度攪拌すればよい。
側鎖結晶性ポリマーの重量平均分子量としては、100,000以上が好ましく、400,000〜800,000がより好ましく、450,000〜650,000がさらに好ましい。重量平均分子量があまり小さいと、微細パターン2の強度が低下して損傷するおそれがある。また、重量平均分子量があまり大きいと、紫外線硬化性官能基を有する化合物との反応性が低下するおそれがある。重量平均分子量は、側鎖結晶性ポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、得られた測定値をポリスチレン換算した値である。
一方、紫外線硬化性官能基を有する化合物において紫外線硬化性官能基とは、紫外線照射によって硬化する官能基のことを意味するものとする。紫外線硬化性官能基としては、例えば(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、グリシジル基等が挙げられ、例示したこれらの官能基のうち(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましい。
紫外線硬化性官能基を有する化合物としては、上述したヒドロキシアルキル基と反応するうえで、イソシアナート化合物が好ましく、例えば下記式(i)で表される2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナート、下記式(ii)で表される2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート、下記式(iii)で表される1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアナート等が挙げられる。
Figure 2016171182
また、式(i)〜(iii)以外の他の紫外線硬化性官能基を有するイソシアナート化合物としては、例えば2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアナート、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルイソシアナート、(メタ)アクリロイルイソシアナート、1−(4−ビニルフェニル)−1−メチルエチルイソシアナート等が挙げられ、例示したこれらのイソシアナート化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
側鎖結晶性ポリマーと紫外線硬化性官能基を有する化合物との反応は、両者を所定の割合で混合した後、重合禁止剤、触媒、酸化防止剤等を必要に応じて加えて窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、40〜80℃程度で1〜6時間程度攪拌して行うのが好ましい。なお、本実施形態では、側鎖結晶性ポリマーと紫外線硬化性官能基を有する化合物との反応が、側鎖結晶性ポリマーにおけるヒドロキシアルキル基と、イソシアナート化合物におけるイソシアナート基との反応であるが、側鎖結晶性ポリマーと紫外線硬化性官能基を有する化合物との反応は、両者が反応可能な限り、これに限定されるものではない。
側鎖結晶性ポリマーと紫外線硬化性官能基を有する化合物との混合割合としては、例えば側鎖結晶性ポリマー100重量部に対して、紫外線硬化性官能基を有する化合物を1〜180重量部の割合とするのが好ましく、5〜50重量部の割合とするのがより好ましく、5〜20重量部とするのがさらに好ましい。また、側鎖結晶性ポリマーの含有量は、紫外線硬化性官能基を有する化合物の含有量よりも多いのが好ましい。
紫外線硬化性官能基の硬化には、光重合開始剤を用いる。光重合開始剤としては、紫外線硬化性官能基の組成に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。また、光重合開始剤は、市販品を用いることができる。市販の光重合開始剤としては、例えばいずれもチバ・ジャパン社製の「IRGACURE 184」、「IRGACURE 500」等が挙げられる。
得られる紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーの重量平均分子量としては、100,000以上が好ましく、400,000〜800,000がより好ましく、550,000〜650,000がさらに好ましい。重量平均分子量があまり小さいと、微細パターン2の強度が低下して損傷するおそれがある。また、重量平均分子量があまり大きいと、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーを融点以上の温度にしても流動性を示し難くなるので、後述する熱インプリントし難くなる。重量平均分子量は、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーをGPCによって測定し、得られた測定値をポリスチレン換算した値である。
上述した紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーにおいて、その融点とは、ある平衡プロセスにより、最初は秩序ある配列に整合されていた重合体の特定部分が無秩序状態になる温度であり、示差熱走査熱量計(DSC)によって10℃/分の測定条件で測定して得られる値のことを意味するものとする。
本実施形態のモールド10は、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーが結晶状態にある融点未満の温度で使用する。それゆえ、融点としては30℃以上が好ましく、50〜60℃がより好ましい。融点があまり低いと、モールド10を使用可能な温度範囲が狭くなるので好ましくない。また、モールド10の微細パターン2は、後述するように熱インプリントで成形する。そのため、融点があまり高いと、熱インプリントし難くなるので好ましくない。融点を所定の値とするには、上述した側鎖結晶性ポリマーの組成等を変えることによって任意に行うことができる。
なお、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーの融点は、紫外線照射前後で変化しない傾向にある。すなわち、紫外線硬化後の融点は、紫外線硬化前の融点と実質同じになることが多い。
また、紫外線硬化後の紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーは、融点未満の温度で結晶化し、かつ融点以上の温度で相転移して流動性を示す。つまり、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーは、紫外線照射前および紫外線照射後のいずれの状態においても、温度変化に対応して結晶状態と流動状態とを可逆的に起こす。
紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーには、例えば老化防止剤、架橋剤等の各種の添加剤を添加することができる。架橋剤を添加する場合には、架橋剤と架橋反応する架橋成分として極性モノマーを側鎖結晶性ポリマーに共重合させるのが好ましい。極性モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基を有するエチレン不飽和単量体等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
上述した紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーからなる表面層1の厚さとしては、0.01〜1,000μm程度が適当である。表面層1の厚さとは、表面1aに対して鉛直な方向において、表面1aと、表面1aと反対の裏面1bとの間の距離が最も大きくなる寸法のことを意味するものとする。また、微細パターン2は、ナノないしマイクロメートルスケールであるのが好ましい。微細パターン2の形状は、特に限定されるものではなく、所望のものが採用可能である。本実施形態の紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーは、上述のとおり優れた離型性を示すことから、微細パターン2に対する離型処理を省略しても、レジスト材に対して優れた離型性を示すことができる。
一方、支持層5は、表面層1の裏面1bを支持するものであり、モールド10に剛性を付与するものである。支持層5を構成する材料としては、例えばポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンポリプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂が挙げられる。支持層5の厚さとしては、10〜1,000μm程度が適当である。
また、表面層1を支持する支持層5の表面5aには、表面処理を施すのが好ましい。これにより、表面5aが粗面化され、支持層5と表面層1との密着性を向上させることができる。表面処理としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、ブラスト処理、ケミカルエッチング処理、プライマー処理等が挙げられる。
上述した紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーからなる表面層1は、通常、紫外線透過性を有することから、インプリントリソグラフィーを紫外線硬化性樹脂組成物に対して行う場合には、紫外線透過性を有する材料で支持層5を構成するのが好ましい。これにより、モールド10全体が紫外線透過性を有するようになることから、モールド10を介して紫外線硬化性樹脂組成物に紫外線を照射することができる。
<インプリント用モールドの製造方法>
次に、本発明の一実施形態に係るインプリント用モールドの製造方法について、上述したモールド10を製造する場合を例にとって、図2を参照して詳細に説明する。
まず、図2(a)に示すように、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーからなる表面層1を支持層5上に積層する(第1工程)。表面層1が積層される支持層5の表面5aは、表面層1との密着性を向上させるうえで、表面処理を施し粗面化するのが好ましい。
積層は、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーを溶剤に加えた塗布液を、支持層5上に塗布して乾燥させることによって行うことができる。塗布は、一般的にベーカー式アプリケーター等のアプリケーター、ナイフコーター、ロールコーター、カレンダーコーター、コンマコーター等により行うことができる。また、塗工厚みや塗布液の粘度によっては、グラビアコーター、ロッドコーター、スピンコーター等により行うこともできる。
表面層1の積層は、上述した塗布に代えて、例えば押し出し成形やカレンダー加工等によってシート状ないしフィルム状に成形した表面層1を支持層5上に積層することによって行うこともできる。
なお、表面層1を支持層5上に積層した形態は、いわゆるテープの形態である。したがって、上述した形態は、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーからなる表面層1と、表面層1の裏面を支持するフィルム状の支持層5と、を備える、インプリント用モールド作製テープとして使用することができる。
支持層5上に表面層1を積層した後、図2(b)に示すように、表面層1上方にマスター型20を配置する。マスター型20を構成する材料としては、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーに対する親和性の低い材料が好ましく、例えばシリコン、シリコーン、(SiO2)ガラス等が挙げられる。また、マスター型20を介して表面層1に紫外線を照射可能とするうえで、マスター型20を構成する材料には、紫外線透過性を有するものを採用するのが好ましい。
表面層1の表面1aと対向するマスター型20の表面20aには、微細パターン21が形成されている。微細パターン21の逆パターンが、モールド10の微細パターン2になる。したがって、微細パターン21の形状は、所望の微細パターン2と逆パターンのものを採用する。微細パターン21は、ナノないしマイクロメートルスケールが好ましく、電子ビーム(EB:electron beam)リソグラフィー等によって形成することができる。
マスター型20を矢印A方向に動かして、図2(c)に示すように、表面層1の表面1aをマスター型20で加圧する(第2工程)。加圧は、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーの融点以上の温度で行う。これにより、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーが流動状態になり、マスター型20の微細パターン21を表面層1の表面1aに転写する熱インプリントが可能になる。
加圧温度としては、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーの融点+10℃〜融点+30℃の温度が好ましい。これにより、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーが適度な流動状態になり、マスター型20による転写精度が向上し、比較的低温での熱インプリントが達成される。これに対し、加圧温度があまり低いと、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーの流動状態が低く、マスター型20による転写精度が低下するおそれがある。また、加圧温度があまり高いと、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーを必要以上に加熱することになり、熱エネルギーを多く要するなど経済的に不利となる。
加圧温度の調整は、例えばマスター型20の表面20aと反対の裏面20bにヒーター等の加熱手段を配設してマスター型20の表面温度を所定温度に加熱するか、雰囲気温度を紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーの融点以上の温度に調整することなどにより行うことができる。その他の加圧条件としては、圧力0.1〜100MPa程度、加圧時間5〜300秒程度が好ましい。
また、表面層1の表面1aをマスター型20で加圧した状態で表面層1に紫外線を照射し、表面層1を形成する紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーを硬化させるのが好ましい。これにより、微細パターン2を寸法精度よく形成することができる。
紫外線照射方向としては、表面層1に紫外線を照射可能な限り、特に限定されない。すなわち、支持層5が紫外線透過性を有している場合には、支持層5の裏面5b側から表面層1に対して紫外線を照射すればよい。また、マスター型20が紫外線透過性を有する材料で構成されている場合には、マスター型20を介して表面層1に紫外線を照射してもよい。その他の紫外線照射条件としては、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーを紫外線硬化させることができる限り、特に限定されない。
紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーを紫外線硬化させた後、ファン等の冷却手段を用いて表面層1の温度を紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーの融点未満の温度にまで冷却する。これにより、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーが結晶状態になる。
そして、図2(d)に示すように、マスター型20を矢印B方向に動かして、結晶状態の紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーで形成された表面層1の表面1aからマスター型20を剥離する(第3工程)。このとき、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーは、上述のとおり、高い離型性を有している。したがって、マスター型20の微細パターン21に離型処理を施さなくても、マスター型20を表面層1から剥離することができ、生産性を高めることができる。
マスター型20を表面層1から剥離すると、マスター型20の微細パターン21が表面層1の表面1aに転写され、微細パターン21と逆パターンの微細パターン2を有するモールド10が得られる。さらに、マスター型20を用いて上述した各工程を繰り返し行えば、モールド10を簡単に再現することができる。
なお、本実施形態では、表面層1の表面1aをマスター型20で加圧した状態で表面層1に紫外線を照射し、表面層1を形成する紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーを硬化させる場合を例に挙げて説明した。すなわち、本実施形態では、紫外線を照射して紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーを硬化させる工程を第2工程後に行う場合を例に挙げて説明したが、この工程は第3工程後、すなわちマスター型20を表面層1から剥離した後に行ってもよい。
<微細構造の製造方法>
次に、本発明の一実施形態に係る微細構造の製造方法について、上述したモールド10を使用するとともに、レジスト材である硬化性樹脂組成物に紫外線硬化性樹脂組成物を用いた場合を例にとって、図3を参照して詳細に説明する。
まず、図3(a)に示すように、基板51表面に被膜52を形成する。基板51を構成する材料としては、例えばシリコン、(SiO2)ガラス等の他、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンポリプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂が挙げられる。基板51はフレキシブル性を有するのが好ましく、その厚さとしては、例えば50〜900μm、好ましくは300〜700μm、より好ましくは400〜600μmである。
被膜52は、紫外線硬化性樹脂組成物からなる。紫外線硬化性樹脂組成物は、紫外線が照射されることによって硬化するレジスト材であり、各種の公知のものが採用可能である。被膜52の形成は、例えば紫外線硬化性樹脂組成物を所定の溶剤に加えて塗布液を得、この塗布液を基板51表面に塗布して乾燥させればよい。塗布は、例えばスピンコーティング(スピンコート)、スリットコーティング、スプレーコーティング、ローラーコーティング等により行うことができる。未硬化の被膜52の厚さは、例えば0.01〜1000μm、好ましくは0.01〜500μm程度である。
基板51表面に被膜52を形成した後、図3(b)に示すように、被膜52上方にモールド10を配置する。この配置は、モールド10の微細パターン2が被膜52と対向するように行う。次に、モールド10を矢印C方向に動かして、図3(c)に示すように、被膜52表面をモールド10で加圧する。これにより、モールド10の微細パターン2が被膜52に転写される。
加圧条件としては、圧力が0.1〜100MPa程度であり、加圧時間が5〜300秒程度である。微細パターン2が転写された被膜52の硬化は、被膜52表面をモールド10で加圧した状態、すなわち図3(c)に示す状態の被膜52に対して紫外線を照射することにより行う。このとき、紫外線照射によって被膜52を硬化させると発熱するが、微細パターン2は、紫外線硬化された紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーからなり、耐熱性に優れているので、その形状を保持することができる。
紫外線照射方向としては、被膜52に紫外線を照射可能な限り、特に限定されない。すなわち、基板51が紫外線透過性を有している場合には、基板51の裏面側から被膜52に対して紫外線を照射すればよい。また、モールド10の支持層5が紫外線透過性を有する材料で構成されている場合には、上述のとおり、モールド10全体が紫外線透過性を有するようになるので、モールド10を介して被膜52に紫外線を照射することができる。
次に、図3(d)に示すように、モールド10を矢印D方向に動かして、硬化被膜53からモールド10を剥離する。このとき、モールド10の微細パターン2には離型処理が施されていないが、微細パターン2は上述した理由から高い離型性を有しているので、モールド10剥離時に硬化被膜53にかかる負荷は小さい。したがって、硬化被膜53からモールド10を剥離すると、寸法精度よく微細パターン2が転写された硬化被膜53と、基板51とからなる微細構造50が得られる。なお、硬化被膜53の厚さとしては、例えば0.01〜1000μm、好ましくは0.01〜500μm程度である。
得られた微細構造50は、その残膜54を、例えば酸素リアクティブイオンエッチング等によって除去し、隣接する硬化被膜53,53間から基板51表面を露出させた後、硬化被膜53をマスクとしてエッチング処理を行うか、アルミ等をリフトオフ加工して配線等に利用することができる。
なお、本実施形態では、レジスト材である硬化性樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を例に挙げて説明したが、他の硬化性樹脂組成物として、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)等の熱可塑性樹脂組成物を用いることもできる。また、本実施形態では、微細パターンが転写された被膜の硬化を、モールドにより加圧した状態で行う場合について説明したが、被膜の硬化は、モールドを剥離した後に行うこともできる。
以下、合成例および実施例を挙げて本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の合成例および実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明で「部」は重量部を意味する。
<合成例>
まず、ベヘニルアクリレートを38部、メチルアクリレートを35部、2−ヒドロキシエチルアクリレートを9部、上述した式(IIa)で表される1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート(大阪有機化学工業社製の反応性フッ素化合物「ビスコート8F」)を18部、および重合開始剤として日油社製の「パーブチルND」を0.3部の割合で混合し、これらを酢酸エチル:ヘプタン=7:3(重量比)の混合溶媒によって固形分量が27部になるように調整し、混合液を得た。
次に、得られた混合液を55℃で4時間撹拌した後、重合開始剤として日油社製の「パーブチルPV」を0.5部の割合でさらに添加し、80℃で2時間撹拌することによって各モノマーを重合させ、側鎖結晶性ポリマーの溶液を得た。
そして、得られた側鎖結晶性ポリマーの溶液を固形分換算で100部、上述した式(i)で表される2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナート(昭和電工(株)製の紫外線硬化性官能基を有する化合物「カレンズMOI」)を13部、重合禁止剤としてp−ベンゾキノンを0.02部、および触媒としてジラウリン酸ジ−n−ブチルスズ(DBTDL)を0.05部の割合で混合し、窒素ガス雰囲気下、60℃で4時間撹拌して反応させ、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーを溶液の状態で得た。得られた紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーの重量平均分子量は60万、融点は52℃であった。
<比較合成例1>
ベヘニルアクリレートを43部、メチルアクリレートを47部、2−ヒドロキシエチルアクリレートを10部にし、反応性フッ素化合物を添加しなかった以外は、上述した合成例と同様にして混合液を得、各モノマーを重合させて側鎖結晶性ポリマーの溶液を得た。
そして、得られた側鎖結晶性ポリマーの溶液を使用した以外は、上述した合成例と同様にして2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナート(昭和電工(株)製の「カレンズMOI」)と反応させ、紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーを溶液の状態で得た。得られた紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーの重量平均分子量は70万、融点は52℃であった。
<比較合成例2>
ベヘニルアクリレートを45部、メチルアクリレートを50部にし、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよび反応性フッ素化合物を添加せず、アクリル酸を5部添加した以外は、上述した合成例と同様にして混合液を得、各モノマーを重合させて側鎖結晶性ポリマーを溶液の状態で得た。得られた側鎖結晶性ポリマーの重量平均分子量は70万、融点は53℃であった。
合成例および比較合成例1,2の各ポリマーを表1に示す。なお、重量平均分子量は、ポリマーをGPCで測定し、得られた測定値をポリスチレン換算することによって得た。融点は、ポリマーをDSCで10℃/分の測定条件で測定することによって得た。
Figure 2016171182
[実施例および比較例1,2]
<インプリント用モールドの製造>
まず、合成例および比較合成例1,2で得た各ポリマーの溶液を使用して塗布液を調製した。塗布液の調製方法は、以下のとおりである。
実施例および比較例1:合成例および比較合成例1で得た紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーの溶液に、固形分換算でチバ・ジャパン社製の光重合開始剤「IRGACURE 500」を2部添加し、塗布液を得た。
比較例2:比較合成例2で得た側鎖結晶性ポリマーの溶液に、固形分換算でトリエチルアミンを9部、架橋剤として日本触媒社製のアジリジン化合物「ケミタイトPz−33」を0.5部添加し、塗布液を得た。
次に、得られた塗布液を支持層の表面に塗布して乾燥させ、厚さ40μmの表面層を支持層の表面に積層したインプリント用モールド作製テープを得た。使用した支持層、塗布条件、乾燥条件は、以下のとおりである。
支持層:表面をコロナ処理した厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートからなるフィルム状の支持層を使用した。
塗布条件:塗布液を、支持層のコロナ処理面にベーカー式アプリケーターによって厚さ12milで塗布した。
乾燥条件:110℃の乾燥機内で10分間乾燥した。
得られたインプリント用モールド作製テープを使用し、図2に示すようにして、インプリント用モールドを製造した。使用した各部材は、以下のとおりである。
マスター型:350nm〜10μmスケールの微細パターン(L&S、ドットおよびホールパターン)を有するNTT−AT社製の石英モールド「NIM−PH350」を使用した。マスター型の微細パターンには、離型処理を施さなかった。
インプリント装置:明昌機工社製のナノインプリント装置「NM901−HB」を使用した。
加圧温度:80℃
圧力:10MPa
加圧時間:60秒
実施例および比較例1では、マスター型で加圧されている状態の表面層に対して紫外線を照射した。紫外線照射条件は、以下のとおりである。
紫外線照射装置:HOYA CANDEO OPTRONICS社製のUV−LED「EXECURE−H−1VC」を使用した。
紫外線:60mW/cm2
紫外線照射時間:60秒
備考:紫外線は、マスター型を介して表面層の全面に向けて雰囲気温度80℃で照射した。
最後に、雰囲気温度を80℃から23℃(室温)に冷却し、雰囲気温度23℃でマスター型を表面層から剥離し、マスター型の微細パターンが転写された表面層および支持層からなるインプリント用モールドを得た。
<微細構造の製造>
得られたインプリント用モールドを使用し、図3に示すようにして、微細構造を製造した。まず、基板表面に被膜を形成した。使用した基板、被膜、塗布条件は、以下のとおりである。
基板:厚さ500μmのシリコン基板を使用した。
被膜:紫外線硬化性樹脂組成物として、ダイセル社製の光カチオン硬化系レジスト材「NICT825」を使用した。
塗布条件:紫外線硬化性樹脂組成物をスピンコートによって厚さ3μmで基板に塗布した。
次に、マスター型に代えて、得られたインプリント用モールドを使用した以外は、上述したインプリント用モールドの製造と同様にして、被膜に対してインプリントを行い、モールドで加圧されている状態の被膜に対して紫外線を照射し、モールドを被膜から剥離することによって、微細パターンが転写された硬化被膜および基板からなる微細構造を得た。なお、インプリント用モールドの微細パターンには、離型処理を施さなかった。
<評価>
インプリント用モールドの表面エネルギー、マスター型の離型性および転写精度、並びに光カチオン硬化系レジスト材に対する離型性を評価した。各評価方法を以下に示すとともに、その結果を表2に示す。
(インプリント用モールドの表面エネルギー)
まず、協和界面科学社製の接触角計「CA−S 150型」を使用して接触角を測定した。具体的には、インプリント用モールドを水平な測定台の上に固定し、液滴調整器を用いて直径2mm以下の極性溶媒および非極性溶媒の各液滴をインプリント用モールドの表面層の表面のうちマスター型の微細パターンが転写されていない平坦な部分に滴下した。極性溶媒はイオン交換水を、非極性溶媒はn−デカンを使用した。次に、滴下した液滴を表面層の表面に沿って見たとき、液滴のうち最も左側(または右側)に位置している端部と表面層の表面との接点と、液滴の頂点とを結ぶ直線が、表面層の表面に対してなす角の角度θを読み取った。この角度θを計5回測定し、その平均値を接触角とした。そして、この接触角を用いてFowkesの式、Youngの式より表面(自由)エネルギーを算出した。
(マスター型の離型性)
上述したインプリント用モールドを製造する過程において、マスター型を表面層から剥離したときの離型性を官能評価した。評価基準は、以下のように設定した。
○:抵抗なく表面層から離型可能。
△:若干の抵抗はあるものの表面層から離型可能。
×:表面層から離型不可。
(マスター型の転写精度)
上述したインプリント用モールドを製造する過程において、マスター型を表面層から剥離した後の表面層を光学顕微鏡およびSEMで観察することによって評価した。評価基準は、以下のように設定した。
○:350nm幅の微細パターンが転写可能。
△:500nm幅以下の微細パターンが転写不可。
×:1μm幅以下の微細パターンが転写不可。
(光カチオン硬化系レジスト材に対する離型性)
上述した微細構造を製造する過程において、インプリント用モールドを被膜から剥離したときの離型性を官能評価した。評価基準は、以下のように設定した。
○:被膜から離型可能。
△:全被膜のうち一部分で離型可能。
×:被膜から離型不可。
Figure 2016171182
表2から明らかなように、実施例は、マスター型のみならずレジスト材に対しても優れた離型性を示しているのがわかる。
1 表面層
1a,20a 表面
1b,20b 裏面
2,21 微細パターン
5 支持層
10 インプリント用モールド
20 マスター型
50 微細構造
51 基板
52 被膜
53 硬化被膜
54 残膜

Claims (12)

  1. 微細パターンを表面に有する表面層と、
    前記表面層の前記表面と反対の裏面を支持する支持層と、を備え、
    前記表面層が、少なくとも炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートを重合させることによって得られる側鎖結晶性ポリマーと、紫外線硬化性官能基を有する化合物とを反応させることによって得られる紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーからなるインプリント用モールドであって、
    前記側鎖結晶性ポリマーが、反応性フッ素化合物をさらに重合させることによって得られる共重合体からなる、インプリント用モールド。
  2. 前記紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーは、融点未満の温度で結晶化し、かつ前記融点以上の温度で流動性を示すとともに、紫外線照射によって硬化する、請求項1に記載のインプリント用モールド。
  3. 前記反応性フッ素化合物が、下記一般式(I)または(II)で表される化合物である、請求項1または2に記載のインプリント用モールド。
    Figure 2016171182
    [式中、R1は基:CH2=CHCOOR2−またはCH2=C(CH3)COOR2−(式中、R2はアルキレン基を示す。)を示す。nは0〜5の整数を示す。]
  4. 紫外線照射によって硬化した後の表面エネルギーが、25mJ/m2以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のインプリント用モールド。
  5. 前記微細パターンに離型処理が施されていない、請求項1〜4のいずれかに記載のインプリント用モールド。
  6. 前記微細パターンが、ナノないしマイクロメートルスケールである、請求項1〜5のいずれかに記載のインプリント用モールド。
  7. 少なくとも炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートおよび反応性フッ素化合物の共重合体からなる側鎖結晶性ポリマーと、紫外線硬化性官能基を有する化合物とを反応させることによって得られる紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーからなる表面層と、
    前記表面層の裏面を支持するフィルム状の支持層と、を備える、インプリント用モールド作製テープ。
  8. 少なくとも炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートおよび反応性フッ素化合物の共重合体からなる側鎖結晶性ポリマーと、紫外線硬化性官能基を有する化合物とを反応させることによって得られる紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーからなる表面層を、支持層上に積層する第1工程と、
    前記表面層の表面を、微細パターンを有するマスター型によって、前記紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーの融点以上の温度で加圧する第2工程と、
    前記表面層の温度を前記紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーの融点未満の温度にして前記紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーを結晶化させた後、前記表面層の表面から前記マスター型を剥離し、前記マスター型の微細パターンを前記表面層の表面に転写する第3工程と、を備え、
    前記第2工程後か、または前記第3工程後に、紫外線を照射して前記紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーを硬化させる、インプリント用モールドの製造方法。
  9. 前記第2工程後に紫外線を照射して前記紫外線硬化型側鎖結晶性ポリマーを硬化させる、請求項8に記載のインプリント用モールドの製造方法。
  10. 前記マスター型の微細パターンに離型処理が施されていない、請求項8または9に記載のインプリント用モールドの製造方法。
  11. 請求項1〜6のいずれかに記載のインプリント用モールドを使用して微細構造を製造する方法であって、
    前記インプリント用モールドで、硬化性樹脂組成物からなる被膜の表面を加圧し、前記インプリント用モールドの微細パターンを前記被膜の表面に転写する工程と、
    前記被膜を硬化させた後、前記被膜の表面から前記インプリント用モールドを剥離して微細構造を得る工程と、
    を備える、微細構造の製造方法。
  12. 前記硬化性樹脂組成物が、紫外線硬化性樹脂組成物からなり、
    前記紫外線硬化性樹脂組成物からなる被膜の表面を前記インプリント用モールドで加圧して前記微細パターンを前記被膜の表面に転写した後、紫外線を照射して前記微細パターンが表面に転写された前記被膜を硬化させる、請求項11に記載の微細構造の製造方法。
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