以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
(実施の形態1)
以下、図1〜図13を用いて、実施の形態1を説明する。
[1−1.構成]
[1−1−1.光学装置]
図1は、実施の形態1に係る光学装置として例示するデジタルカメラの概略構成を模式的に示す説明図である。図1に示すように、デジタルカメラ1は、カメラ本体2と、レンズ鏡筒3とを備えている。
ここで、図1に示すように、本実施の形態では、3次元直交座標系を設定する。Z軸方向は、後述する光学系4の光軸5と一致している。ここで、Z軸方向正側とは、光軸方向における被写体側を意味し、その逆側を負側とする。X軸方向は、光軸5に直交する平面内のデジタルカメラ1の幅方向に一致している。Y軸方向は、光軸5に直交する平面内のデジタルカメラ1の高さ方向に一致している。
レンズ鏡筒3は、光学系4と、ズーム用駆動部31と、フォーカス用駆動部32と、ズームエンコーダ33と、フォーカスエンコーダ34と、光学系駆動装置100と、を備えている。
光学系4は、第1レンズ群41と、第2レンズ群42と、第3レンズ群43とを備えている。
第1レンズ群41は、光軸5に沿って移動することによって、ズームの倍率を可変とする。第2レンズ群42は、光軸5に対する姿勢が制御されることによって、光学系4の収差を補正する。第3レンズ群43は、光軸5に沿って被写体像のフォーカス状態を調整する。
ズーム用駆動部31は、第1レンズ群41を光軸5に沿って移動させる、例えばステッピングモータが挙げられる。
フォーカス用駆動部32は、第3レンズ群43を光軸5に沿って移動させる、例えばステッピングモータが挙げられる。
ズームエンコーダ33は、第1レンズ群41のズーム位置(変倍位置)を検出し、カメラ本体2の制御部22(後述)に出力する。
フォーカスエンコーダ34は、第3レンズ群43の合焦位置を検出し、カメラ本体2の制御部22に出力する。
光学系駆動装置100は、光軸5に対する第2レンズ群42の姿勢を制御する。光学系駆動装置100は、支持機構110(図2参照)と、収差補正用駆動部120と、発光部131と、光検出器132と、レンズ制御部36と、を備える。
収差補正用駆動部120は、光軸5に対して第2レンズ群42を移動させる。
発光部131及び光検出器132は、第2レンズ群42の位置を検出する。
レンズ制御部36は、レンズ鏡筒3の中枢をつかさどる制御装置である。レンズ制御部36は、レンズ鏡筒3に搭載された各部に接続されており、レンズ鏡筒3の各種のシーケンス制御を行う。レンズ制御部36は、制御回路を含むCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えている。レンズ制御部36は、ROMに格納されたプログラムがCPUに読み込まれることで、様々な機能を実現することができる。
支持機構110は、第2レンズ群42を移動可能に支持する。
光学系駆動装置100の詳細については後述する。
カメラ本体2は、撮像素子21と、制御部22とを備える。
撮像素子21は、レンズ鏡筒3の光学系4により形成される光学的な像を電気的な信号に変換する例えばCCD(Charge Coupled Device)である。撮像素子21は、タイミング信号により駆動制御される。なお、撮像素子21は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサでもよい。
制御部22は、カメラ本体2の中枢をつかさどる制御装置である。制御部22は、シャッターボタンやズームレバーなどの操作部からの操作信号にもとづいて、デジタルカメラ1の各部を制御する。具体的には、制御部22は、CPU、ROM、RAMなどを備えている。ROMに格納されたプログラムがCPUに読み込まれることで、制御部22は様々な機能を実現することができる。例えば、ズームエンコーダ33からズーム位置が入力され、フォーカスエンコーダ34から合焦位置が入力されると、制御部22は、このズーム位置と合焦位置とに基づいて第2レンズ群42の位置補正値を算出し、当該位置補正値をレンズ制御部36に出力する。レンズ制御部36は、位置補正値と、光検出器132から出力された受光信号とに基づいて、収差補正用駆動部120を制御することで、第2レンズ群42の姿勢を制御する。
[1−1−2.光学系駆動装置]
次に、光学系駆動装置100について説明する。
図2は、実施の形態1に係る光学系駆動装置100の斜視図である。図3は、実施の形態1に係る光学系駆動装置100の正面図である。図4は、実施の形態1に係る光学系駆動装置100の側面図である。図5は、実施の形態1に係る光学系駆動装置100の背面図である。
図2〜図5に示すように、光学系駆動装置100は、支持機構110と、収差補正用駆動部120と、発光部131と、光検出器132と、を備える。
支持機構110は、レンズ保持部140と、光透過部150と、規制部160とを備える。
レンズ保持部140は、少なくとも3自由度に移動可能な移動体の一例である。ここで自由度とは、一つの系の変位しうる度合いのことである。3次元直交座標系の場合では、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、X軸周りの回転方向、Y軸周りの回転方向、Z軸周りの回転方向の6つの移動方向のうち、移動可能な方向の総数を自由度として表す。例えば、1つの移動方向にのみ移動可能な場合は「1自由度」、2方向に移動可能な場合は2自由度と表す。
レンズ保持部140は、第2レンズ群42のうち、2つのレンズ42a,42bを保持している。本実施の形態では、レンズ保持部140が2つのレンズ42a,42bを保持した場合を例示しているが、1つのレンズだけを保持しても、3つ以上のレンズを保持してもよい。
レンズ保持部140は、同軸上に並んだ2つのレンズ42a,42bの周囲を囲んで保持する。レンズ保持部140のY軸方向の両端部には、Y軸方向に沿って外側に向かって突出した第1片部141及び第2片部142がそれぞれ設けられている。また、レンズ保持部140のX軸方向の両端部には、X軸方向に沿って外側に向かって突出した第3片部143及び第4片部144がそれぞれ設けられている。第1片部141、第2片部142及び第3片部143には、光透過部150が取り付けられている。
レンズ保持部140の周囲における各片部141,142,143,144の間には、平面視略矩形状の枠体145,146,147,148がそれぞれ設けられている。枠体145,146,147,148は、それぞれ磁石ユニット170を保持している。また、各磁石ユニット170のZ軸方向の正側には、レンズ保持部140をX軸方向及びY軸方向に移動させるための第1コイル181が配置されている。各磁石ユニット170のZ軸方向負側には、レンズ保持部140をZ軸方向に移動させるための一対の第2コイル182が配置されている。
図6は、実施の形態1に係る光学系駆動装置100の磁石ユニット170、第1コイル181及び第2コイル182の概略構成を示す側面図である。
図6に示すように、磁石ユニット170は、大きさの等しい2つの平面視長方形状の板状磁石171,172から構成されている。板状磁石171,172のZ軸方向で対向する一対の主面は、枠体145,146,147,148から露出しており、それぞれレンズ42a,42bの光軸に直交する平面に平行となっている。板状磁石171,172はそれぞれ厚み方向に異なる磁極が形成されるようにして磁化されている。板状磁石171,172は互いに異なる磁極を上方向(Z軸方向正側)に向けて隣接して配置されている。本実施の形態では、磁石ユニット170は板状磁石171,172の2枚の磁石を使用した場合を例示しているが、1つの板状磁石に着磁を行ったものを用いてもよい。
第1コイル181は、板状磁石171,172のZ軸方向正側の主面に対向するように配置されている。第1コイル181は、全体として実質的な楕円形状に巻かれており、その長軸方向が板状磁石171,172の長手方向に沿っている。また、第1コイル181は、2つの板状磁石171,172にまたがるように配置されている。さらに、第1コイル181における対向する一対の長手方向部分は、それぞれ板状磁石171,172の幅方向の実質的な中央部に対向するように配置されている。このため、板状磁石171,172のZ軸方向正側の主面に対して垂直な磁場M1が第1コイル181の長手方向部分のコイルと鎖交する。第1コイル181が給電されることで発生する電流は磁場M1と鎖交するため、X−Y平面内での推力(X−Y平面に平行な方向の推力)が発生することになる。すなわち、磁石ユニット170に対する第1コイル181の電流を制御することで、磁石ユニット170をX−Y平面内で(X−Y平面に平行な方向へ)移動させることが可能となっている。
他方、一対の第2コイル182は、板状磁石171,172のZ軸方向負側の主面に対向するように配置されている。第2コイル182は、全体として実質的な楕円形状に巻かれており、その長軸方向が板状磁石171,172の長手方向に沿っている。一対の第2コイル182は、それぞれ2つの板状磁石171,172に対向するように配置されている。さらに一対の第2コイル182の長手方向部分は、板状磁石171,172の幅方向の両端部に対向するように配置されている。このため、板状磁石171,172のZ軸方向負側の主面に対して平行な磁場M2が第2コイル182の長手方向部分のコイルと鎖交する。第2コイル182が給電されることで発生する電流は、磁場M2と鎖交するため、Z軸方向への推力が発生することになる。
すなわち、磁石ユニット170に対する一対の第2コイル182の電流を制御することで、磁石ユニット170をZ軸方向に移動させることができる。
そして、全ての磁石ユニット170における第1コイル181及び一対の第2コイル182の電流を複合的に制御すれば、レンズ保持部140のZ軸に対する姿勢を制御することが可能である。具体的には、レンズ保持部140は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、X軸周りの回転方向、Y軸周りの回転方向、Z軸周りの回転方向の6自由度で移動することができる。
磁石ユニット170、第1コイル181及び第2コイル182は、収差補正用駆動部120を構成する。
図7は、実施の形態1に係る光学系駆動装置100の各片部に取り付けられた光透過部150を示す斜視図である。図7においては、光透過部150のみを示している。光透過部150は、光を集光する集光体である。例えばシリンドリカルレンズである。本実施の形態では凸型のシリンドリカルレンズを例示して説明する。しかし、光を集光するのであれば、凹型のシリンドリカルレンズを用いることも可能である。第1片部141に取り付けられた光透過部(第1光透過部150a)は、その軸心151がY軸方向に沿っており、凸面152がZ軸方向負側を向いている。また、第1光透過部150aにおける凸面152とは反対側の平面153は、レンズ42a,42bの光軸に直交する平面に平行となっている。第2片部142に取り付けられた光透過部(第2光透過部150b)においても同じである。
第3片部143に取り付けられた光透過部(第3光透過部150c)は、その軸心151がX軸方向に沿っており、凸面152がZ軸方向負側を向いている。第3光透過部150cにおける凸面152とは反対側の平面153は、レンズ42a,42bの光軸に直交する平面に平行となっている。
図2〜図5に示すように、第4片部144は、レンズ保持部140の周縁部からX軸方向に沿って突出している。第4片部144は、レンズ鏡筒3に固定された規制部160に係合されている。
図8は、実施の形態1に係る光学系駆動装置100の第4片部144と規制部160とを示す斜視図である。図9は、実施の形態1に係る光学系駆動装置100の第4片部144と規制部160とを示す正面図である。
第4片部144は、本体部155と、アーム部156と、軸部157とを備えている。
本体部155は、レンズ保持部140の端部からX軸方向に沿って突出している。アーム部156は、本体部155の先端部から外方に向けて延び出ている。アーム部156は、本体部155よりもY軸方向の幅が狭く形成されている。軸部157は、実質的な球状に形成された突部であり、アーム部156の先端部に設けられている。軸部157の直径は、アーム部156のY軸方向の幅よりも広い。また、アーム部156のY軸方向の中心は、軸部157の中心に重なっている。これにより、軸部157のY軸方向の両端部は、アーム部156から同じ幅だけ突出している。
規制部160は、レンズ保持部140の移動可能な自由度のうち、一つの自由度の移動を規制する。具体的には、規制部160は、Z軸周りの回転方向におけるレンズ保持部140の移動を規制する。これにより、レンズ保持部140は、5自由度に移動可能となる。
規制部160は、レンズ保持部140の近傍であって、第4片部144に対向する位置に固定されている。規制部160は、基部161と、支持部162とを備える。基部161は、レンズ鏡筒3内の支持体(図示省略)からZ軸方向に沿って立設している。支持部162は、基部161の先端部からレンズ保持部140に向けてX軸方向に沿って延在している。支持部162は、軸部157を収容する収容凹部163を有する。収容凹部163は、支持部162のX軸方向正側の先端面からX軸方向負側に向けて凹んでおり、Z軸方向に対しても開放されている。収容凹部163をなす、Y軸方向に対向する一対の平面164,165は、互いに平行であり、それぞれZ−X平面に平行である。つまり、収容凹部163においてはY軸方向の幅Hがほぼ全体にわたって一様である。一対の平面164,165は、互いにY軸方向で軸部157を点接触で挟む。対向する一対の平面164,165は、当該軸部157に当接するように幅Hで離間している。つまり、軸部157は、外表面をなす球面が一対の平面164,165を摺動することにより、一対の平面164,165内であれば、X軸方向とZ軸方向とに並進することができる。さらに、3次元直交座標系の基準を軸部157の中心とした場合、軸部157は、外表面をなす球面が一対の平面164,165を摺動することにより、一対の平面164,165に挟まれた状態でX軸周りの回転方向、Y軸周りの回転方向、Z軸周りの回転方向に移動することができる。
つまり、3次元直交座標系の基準を軸部157の中心とした場合、軸部157は、X軸方向、Z軸方向、X軸周りの回転方向、Y軸周りの回転方向、Z軸周りの回転方向の5自由度で移動可能である。
ここでは軸部157の移動可能な自由度を説明した。しかし、レンズ保持部140に保持されたレンズ42a,42bから見ると、移動可能な自由度は異なる。軸部157のY軸方向への移動が規制部160によって規制されているために、3次元直交座標系の基準をレンズ42aの中心とした場合、レンズ保持部140は光軸(Z軸)周りの回転ができない。また、軸部157のY軸方向の移動が規制されていたとしても、軸部157を基準としたZ軸周りでレンズ保持部140を回転させつつ、軸部157をX軸方向に移動させると、レンズ保持部140をY軸方向に移動させることができる。
このように、3次元直交座標系の基準をレンズ42aの中心とした場合、レンズ保持部140は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、X軸周りの回転方向、Y軸周りの回転方向の5自由度で移動することができる。
なお、図示しないが、収容凹部163内から軸部157が外れないように、レンズ鏡筒3内には、軸部157の収容凹部163からの抜けを防止する規制片が設けられている。
また、軸部157は、全体が球状でなくともよく、少なくとも一対の平面164,165が当接可能な範囲だけ球面に形成されていればよい。
発光部131は、光透過部150に向けて光を照射するものであり、例えばレーザー光を照射するレーザーダイオードである。発光部131は、図2〜図4に示すように、3つ備えられている。発光部131の各々は、光透過部150のZ軸方向正側で、光透過部150に向けて光を照射するように配置されている。なお、発光部131としてはLED(Light Emitting Diode)を用いることも可能である。
光検出器132は、発光部131から照射され、光透過部150を通った光を受光し、受光した光に基づく受光信号を出力する。光検出器132は、例えば4分割式のフォトディテクタであり、各分割領域で受光した光の光量を電圧に変換してその電圧を受光信号として外部に出力する。受光信号は、光があたった面積が大きいほど大きな値となる。光検出器132は、発光部131と組をなすように、3つ設けられている。各光検出器132は、光透過部150を介して発光部131に対向して配置されている。各光検出器132の受光面には、発光部131から照射されて光透過部150を通った光のスポットが形成される。
発光部131及び光検出器132は、レンズ鏡筒3内の支持体(図示省略)に固定されており、互いの相対的な位置関係は変動しない。他方、光透過部150と、発光部131及び光検出器132との位置関係は変動する。
図10は、実施の形態1に係る光学系駆動装置100の各光検出器132の配置例を模式的に示す正面図である。
各光検出器132は、分割境界線L1,L2を備える。分割境界線L1,L2は、受光面の中央で直交するように設けられて、受光面を均等に4分割している。
図10に示すように、光検出器132は、分割境界線L1と分割境界線L2とがそれぞれX軸とY軸とに対し45度ずれるように、配置されている。
図11Aは、実施の形態1に係る光学系駆動装置100の第1光透過部150a(図7)がZ軸方向に移動することにより、第1光透過部150aを透過した光のスポットが光検出器132の受光面でどのように変化したかを示す説明図である。図11Bは、同第1光透過部150aがZ軸方向の基準位置に移動することにより、第1光透過部150aを透過した光のスポットが光検出器132の受光面でどのように変化したかを示す説明図である。図11Cは、同第1光透過部150aがZ軸方向正側に移動することにより、第1光透過部150aを透過した光のスポットが光検出器132の受光面でどのように変化したかを示す説明図である。
図11Bに示すように、第1光透過部150aがZ軸方向の基準位置にいる場合には、第1光透過部150aを透過した光は、受光面で実質的な円のスポットPを形成する。第1光透過部150aは、その軸心151がY軸方向に沿ったシリンドリカルレンズであるために、X軸方向の焦点位置とY軸方向の焦点位置がずれて非点収差が発生する。よって、スポットPの形状は光軸(Z軸方向)の距離によって変化する。具体的に、第1光透過部150aがZ軸方向負側に移動した場合、つまり、光検出器132に近づいた場合には、スポットPは図11Aのような楕円形状となる。他方、Z軸方向正側に第1光透過部150aが移動した場合、つまり、光検出器132から遠ざかった場合には、スポットPは図11Cのような楕円形状となる。第1光透過部150aが基準位置からZ軸方向の正側若しくは負側に移動するかによって、スポットPの楕円形状の長手方向が90度ずれる。
そして、図7に示す第1光透過部150aがY軸方向に移動したり、X軸周りに回転したとしても、第1光透過部150aの軸心151がY軸方向に沿っているために、スポットPの位置及び形状に変動はない。第1光透過部150aがX軸方向に移動したり、Y軸周りに回転した場合には、スポットPの位置がX軸方向に移動する。これは、第2光透過部150bを透過し、第2光検出器132bの受光面に形成されるスポットにおいても同様である。
また、図7に示す第3光透過部150cは、その軸心151がX軸方向に沿っているために、第3光透過部150cがX軸方向に移動したり、Y軸周りに回転したとしても、スポットの位置及び形状に変動はない。第3光透過部150cがY軸方向に移動したり、X軸周りに回転した場合には、スポットの位置がY軸方向に移動する。
これらのことから、以下の式(1)〜式(6)の関係が成り立つ。
具体的には、図10に示すように、a1,b1,c1,d1は、第1光透過部150a(図7)に対向する第1光検出器132aの各分割領域の受光信号(電圧値)である。a2,b2,c2,d2は、第2光透過部150b(図7)に対向する第2光検出器132bの各分割領域の受光信号である。a3,b3,c3,d3は、第3光透過部150c(図7)に対向する第3光検出器132cの各分割領域の受光信号である。
また、以下において、xはレンズ42a,42bの中心のX座標を示す変数である。yはレンズ42a,42bの中心のY座標を示す変数である。zはレンズ42a,42bの中心のZ座標を示す変数である。θxはレンズ42a,42bの中心のX軸周りの角度を示す変数である。θyはレンズ42a,42bの中心のY軸周りの角度を示す変数である。また、α1,α2,α3,β11,β12,β21,β22,γ1,γ2は、補正係数である。補正係数は、種々の実験、シミュレーション等によって適切な値が求められている。
PD11=a1−d1=α1×x+β21×θy・・・(1)
PD12=a1+d1−(b1+c1)=α3×z+β12×θx・・・(2)
PD21=a2−d2=α1×x+β21×θy・・・(3)
PD22=a2+d2−(b2+c2)=α3×z−β12×θx・・・(4)
PD31=c3−b3=α2×y+β11×θx・・・(5)
PD32=a3+d3−(b3+c3)=α3×z+β22×θy・・・(6)
これら式(1)〜式(6)を解くと以下の式(7)〜式(11)の関係が導き出される。
θx=γ1×(PD12−PD22)・・・(7)
θy=γ2×(PD32−(PD12+PD22/2))・・・(8)
x=PD11−β2×θy=(PD11−β21×γ2×(PD32−(PD12+PD22/2)))/α1・・・(9)
y=PD31−β1×θx=(PD31−β11×γ1×(PD12−PD22))/α2・・・(10)
z=(PD12+PD22)/(2×α3)・・・(11)
レンズ制御部36は、各光検出器132から出力された受光信号と、上述の関係式(1)〜(11)とに基づいて演算し、レンズ保持部140の各自由度の位置を検出する。レンズ制御部36は各自由度の位置を演算する演算部である。また、発光部131と、光検出器132と、レンズ制御部36とにより検出部200が構成される(図1参照)。
[1−2.動作]
以上のように構成されたデジタルカメラ1について、その動作を以下に説明する。
図12は、実施の形態1に係るデジタルカメラ1の制御部22が実行する撮影処理の流れを示すフローチャートである。
図12に示すように、制御部22は、ズームレバーからズーム操作が行われると、その操作の間、レンズ制御部36を介してズーム用駆動部31を制御し、第1レンズ群41を光軸に沿って移動させる(ステップS1)。制御部22は、ズーム操作が完了した際のズームエンコーダ33からの出力結果に基づいて、第1レンズ群41のズーム位置を認識し、記憶する(ステップS2)。
次いで、制御部22は、シャッターボタンからオートフォーカス操作が行われると、その操作の間、レンズ制御部36を介してフォーカス用駆動部32を制御し、第3レンズ群43を光軸に沿って移動させる(ステップS3)。制御部22は、フォーカスエンコーダ34からの出力結果に基づいて、第3レンズ群43の合焦位置を認識し、記憶する(ステップS4)。
次いで、制御部22は、第1レンズ群41のズーム位置と、第3レンズ群43の合焦位置とから、第2レンズ群42の位置補正値を算出する(ステップS5)。
次いで、制御部22は、第2レンズ群42の位置補正値をレンズ制御部36に出力し、レンズ制御部36に姿勢制御処理を実行させる(ステップS6)。
図13は、実施の形態1に係る光学系駆動装置100のレンズ制御部36が実行する姿勢制御処理の流れを示すフローチャートである。
図13に示すように、レンズ制御部36は、制御部22から取得した位置補正値に基づいて、全ての磁石ユニット170における第1コイル181及び第2コイル182の電流を制御する(ステップS61)。具体的には、レンズ制御部36は、位置補正値から、5自由度のそれぞれの補正値を求め、その各自由度の補正値から全ての磁石ユニット170における第1コイル181及び第2コイル182の電流値を決定する。
これにより、レンズ保持部140が、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、X軸周りの回転方向、Y軸周りの回転方向の5自由度で移動する(ステップS62)。
次いで、レンズ制御部36は、レンズ保持部140の各自由度の位置を検出する(ステップS63)。具体的には、レンズ制御部36は、各発光部131を発光させて、各発光部131から各光透過部150を介して各光検出器132に光を照射する。これにより、各光検出器132から各分割領域の受光信号がレンズ制御部36に出力される。レンズ制御部36は、この受光信号と上述の関係式とに基づいて演算し、レンズ保持部140の各自由度の位置を検出する。
次いで、レンズ制御部36は、検出したレンズ保持部140の各自由度の位置が、位置補正値に基づく各自由度の位置と一致しているか否かを判定する(ステップS64)。
ステップS64で一致していると判定した場合(ステップS64でYes)には、レンズ制御部36は、姿勢制御処理を終了して、図12に示すステップS7に移行する。
ステップS64で一致していないと判定した場合(ステップS64でNo)には、レンズ制御部36は、検出したレンズ保持部140の各自由度の位置から新たな位置補正値を算出し(ステップS65)、ステップS61に移行する。
図12に示すように、ステップS7では、制御部22はシャッターボタンが完全に押下されれば撮像を実行する。
[1−3.効果等]
以上のように、本実施の形態によれば、少なくとも3自由度に移動可能な移動体であるレンズ保持部140に対して光透過部150が一体的に設けられているため、当該光透過部150はレンズ保持部140とともに移動する。これにより、光透過部150は、レンズ保持部140と同じ自由度で移動する。光透過部150がレンズ保持部140とともに移動すればその移動に応じて、光透過部150を通って光検出器132上でなす光のスポットPの形状、強度、分布の少なくとも1つは変化する。光検出器132は、受光した光に基づく受光信号を出力する。したがって、この受光信号を用いれば、レンズ保持部140の各自由度の位置を高精度に求めることができる。
したがって、少なくとも3自由度に移動可能な移動体の各自由度における位置を検出することができ、高精度な位置調整が可能になる。
また、各自由度の位置を検出するための光透過部150がレンズ保持部140と一体化されることにより、光透過部150がレンズ保持部140とともに同じ自由度で移動することができる。したがって、簡素な構成で少なくとも3自由度の位置を検出することが可能である。
また、光透過部150が集光体であるので、光透過部150を通った光を集光させて光検出器132に照射することができる。光検出器132上では集光によって光の強度が増幅されることになるので、光の変動を確実に検出することができる。
また、集光されることで光のスポットも小さくなるために、小型の光検出器132を用いることも可能となる。
また、集光体がシリンドリカルレンズであるので、非点収差法を用いた正確な位置検出が可能となる。
また、発光部131と、光検出器132とが3組設けられているので、3つの光検出器132の受光信号を組み合わせて用いれば、4自由度以上(本実施の形態では5自由度)のレンズ保持部140の位置を検出することができる。
以上のように、本実施の形態の光学系駆動装置100は、少なくとも3自由度に移動可能なレンズ保持部140に相当する移動体と、移動体と一体的に設けられ、移動体とともに移動する光透過部150とを備える。また、少なくとも3自由度のそれぞれに対して、移動体を移動させる収差補正用駆動部120に相当する駆動部と、少なくとも3自由度のそれぞれの移動体の位置を検出する検出部200と、を備える。また、検出部200は、光透過部150に向けて光を照射する発光部131と、発光部131から照射され、光透過部150を通った光を受光し、受光した光に基づく受光信号を出力する光検出器132とを有する。また、光検出器132の受光信号に基づいて、少なくとも3自由度のそれぞれの位置を検出する。これにより、少なくとも3自由度に移動可能な移動体の各自由度における位置を検出することができ、高精度な位置調整が可能である。
また、光透過部150は、光を集光する集光体としてもよい。これにより、光検出器132が、光の変動を確実に検出することができる。
また、集光体は、シリンドリカルレンズとしてもよい。これにより、非点収差法を用いた正確な位置検出が可能となる。
また、検出部200は、発光部131及び光検出器132を3組以上有してもよい。これにより、4自由度以上の移動体の位置を検出することができる。
また、移動体は、少なくとも5自由度に移動可能としてもよい。これにより、移動体の5自由度の位置を検出することができる。したがって、部品点数の削減を図ることができる。
また、検出部200は、5自由度のそれぞれの移動体の位置を検出してもよい。これにより、部品点数の削減を図ることができる。
また、本実施の形態の光学装置1は、光学系駆動装置100と、複数のレンズからなる光学系4と、を備えてもよい。また、複数のレンズのうち少なくとも一つは移動体に保持されていてもよい。これにより、移動体の高精度な位置調整が可能となる。
また、本実施の形態の光学装置1は、光学系駆動装置100と、複数のレンズからなる光学系と、を備えてもよい。また、複数のレンズのうち少なくとも一つは移動体に保持され、光透過部150は、移動体に保持されたレンズであってもよい。これにより、移動体の高精度な位置調整が可能となる。
(実施の形態2)
[2−1.構成]
以下、図14、図15A及び図15Bを用いて、実施の形態2を説明する。なお、実施の形態1と同様の構成については同じ符号を付し、同様の構成及び動作については説明を省略する場合がある。
図14は、本実施の形態に係る光学系駆動装置100Aの斜視図である。
図14に示すように、光学系駆動装置100Aにおけるレンズ保持部140Aの第4片部144Aには、光透過部150(第4光透過部150d)が取り付けられている。図15Aに示すように、第4光透過部150dは、例えば凸型のシリンドリカルレンズであり、その軸心151がX軸方向に沿っていて、凸面152がZ軸方向負側を向いている。
第1片部141A、第2片部142A、第3片部143A、第4片部144Aには、Z軸方向負側の主面に例えばバネなどの弾性体167が設けられている。弾性体167はZ軸方向に平行に延在しており、一端部が各片部141A,142A,143A,144AのZ軸方向負側の主面に取り付けられ、他端部がレンズ鏡筒3内の支持体(図示省略)に取り付けられている。レンズ保持部140Aは、これらの弾性体167によって、どの自由度の移動も規制されておらず、なおかつ揺動自在に保持されている。つまり、レンズ保持部140Aは、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、X軸周りの回転方向、Y軸周りの回転方向、Z軸周りの回転方向の6自由度で移動することができる。
第4光透過部150dを挟んでZ軸方向に対向するように、発光部131及び光検出器132が設けられている。
図15Bは、実施の形態2に係る光学系駆動装置100Aの各光検出器132の配置例を模式的に示す正面図である。
図15Bに示すように、光検出器132は、分割境界線L1と分割境界線L2とがそれぞれX軸とY軸とに対し45度ずれるように、配置されている。
第1光透過部150a、第2光透過部150b及び第3光透過部150cは、図10で例示したものと同じ配置である。
また、第4光透過部150dは、その軸心151がX軸方向に沿っているために、第4光透過部150dがX軸方向に移動したり、Y軸周りに回転したとしても、スポットPの位置及び形状に変動はない。第4光透過部150dがY軸方向に移動したり、X軸周りに回転した場合には、スポットPの位置がY軸方向に移動する。
これらのことから、以下の式(12)〜式(19)の関係が成り立つ。
具体的には、図15Bに示すように、a1,b1,c1,d1は、第1光透過部150aに対向する第1光検出器132aの各分割領域の受光信号(電圧値)である。a2,b2,c2,d2は、第2光透過部150bに対向する第2光検出器132bの各分割領域の受光信号である。a3,b3,c3,d3は、第3光透過部150cに対向する第3光検出器132cの各分割領域の受光信号である。a4,b4,c4,d4は、第4光透過部150dに対向する第4光検出器132dの各分割領域の受光信号である。
また、以下において、xはレンズ42a,42bの中心のX座標を示す変数である。yはレンズ42a,42bの中心のY座標を示す変数である。zはレンズ42a,42bの中心のZ座標を示す変数である。θxはレンズ42a,42bの中心のX軸周りの角度を示す変数である。θyはレンズ42a,42bの中心のY軸周りの角度を示す変数である。θzはレンズ42a,42bの中心のZ軸周りの角度を示す変数である。また、α1,α2,α3,β11,β12,β21,β22,β3は、補正係数である。補正係数は、種々の実験、シミュレーション等によって適切な値が求められている。
PD11=a1−d1=α1×x+β21×θy+β3×θz・・・(12)
PD12=a1+d1−(b1+c1)=α3×z+β12×θx・・・(13)
PD21=a2−d2=α1×x+β21×θy−β3×θz・・・(14)
PD22=a2+d2−(b2+c2)=α3×z−β12×θx・・・(15)
PD31=c3−b3=α2×y+β11×θx+β3×θz・・・(16)
PD32=a3+d3−(b3+c3)=α3×z+β22×θy・・・(17)
PD41=c4−b4=α2×y+β12×θx−β3×θz・・・(18)
PD42=a4+d4−(b4+c4)=α3×z−β22×θy・・・(19)
これら式(12)〜式(19)を解くと以下の式(20)〜式(25)の関係が導き出される。
θx=(PD12−PD22)/(2×α3)・・・(20)
θy=(PD32−PD42)/(2×α3)・・・(21)
θz=(PD11−PD21+PD31−PD41)/(4×β3)・・・(22)
x=((PD11+PD21)−β21×(PD32−PD42)/α3)/(2×α3)・・・(23)
y=((PD31+PD41)−(PD11−PD21+PD31−PD41)/2)/(2×α3)・・・(24)
z=(PD12+PD22+PD32+PD42)/4・・・(25)
レンズ制御部36は、各光検出器132から出力された受光信号と、上述の式(12)〜(25)とに基づいて演算し、レンズ保持部140の各自由度の位置を検出する。レンズ制御部36は、実施の形態1(図13)と同様に取得した位置補正値に基づいて、全ての磁石ユニット170における第1コイル181及び第2コイル182の電流を制御する。これにより、レンズ保持部140Aが、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、X軸周りの回転方向、Y軸周りの回転方向、Z軸周りの回転方向の6自由度で移動する。
[2−2.効果等]
以上のように、本実施の形態によれば、発光部131と、光検出器132とが4組設けられているので、4つの光検出器132の受光信号を組み合わせて用いれば、6自由度の位置を検出することができる。これにより、精度な位置調整が可能である。
(実施の形態3)
[3−1.構成]
以下、図16〜図19を用いて、実施の形態3を説明する。なお、実施の形態1と同様の構成については同じ符号を付し、同様の構成及び動作については説明を省略する場合がある。
図16は、実施の形態3に係る光学系駆動装置100Bの斜視図である。
図16に示すように、光学系駆動装置100Bに係るレンズ保持部140Bには、第1片部141〜第3片部143が設けられておらず、軸部157を有する第4片部144のみが設けられている。軸部157のY軸方向の移動が規制部160によって規制されているために、実施の形態1と同じく、レンズ保持部140Bは、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、X軸周りの回転方向、Y軸周りの回転方向の5自由度で移動することができる。
図17は、図16における17−17切断線からレンズ保持部140Bを見た断面図である。具体的には、17−17切断線はX軸に平行な、レンズ42a,42bの中心を通過する線である。
図17に示すように、レンズ42aのX軸方向正側の外方には、発光部131Bが設けられている。発光部131Bは、レンズ42aのX軸方向正側の端部に向けてX軸方向に沿う光を照射する。発光部131Bから照射された光の一部は、レンズ42aのX軸方向正側の端部表面で反射する。このレンズ42aの表面で反射した光の光路上に光検出器132Bが配置されている。
また、発光部131Bから照射された光の一部は、レンズ42a内に進入し、何回(本実施の形態では3回)かレンズ42aの境界面で全反射してから、レンズ42aのX軸方向負側の端部表面からレンズ42a外に出射する。このレンズ42aから出射した光の光路上に光検出器132Bが配置されている。
このように、発光部131Bから照射された光は、レンズ42aを通って(反射又は透過)して光検出器132Bに到達する。つまり、レンズ42aが光透過部として機能している。
同様に、Y軸方向においても1つの発光部131Bと、一対の光検出器132Bとが設けられている。Y軸方向に設けられた発光部131Bは、レンズ42aのY軸方向正側の外方に配置されている。この発光部131Bから照射された光の光路上に一対の光検出器132Bが配置されている。Y軸方向においても、発光部131Bから照射された光は、レンズ42aを通って(反射又は透過)して光検出器132Bに到達する。
図18は、実施の形態3に係る光学系駆動装置100Bの各光検出器132の配置例を模式的に示す正面図である。
図18に示すように、光検出器132Bは、分割境界線L1がY軸に沿って、分割境界線L2がX軸方向に沿うように配置されている。
図18において、a1,b1,c1,d1は、Y軸方向正側に配置された光検出器(第1光検出器132Ba)の各分割領域の受光信号である。a2,b2,c2,d2は、Y軸方向負側に配置された光検出器(第2光検出器132Bb)の各分割領域の受光信号である。a3,b3,c3,d3は、X軸方向正側に配置された光検出器(第3光検出器132Bc)の各分割領域の受光信号である。a4,b4,c4,d4は、X軸方向負側に配置された光検出器(第4光検出器132Bd)の各分割領域の受光信号である。
図19は、実施の形態3に係る光学系駆動装置100Bのレンズ保持部140Bの姿勢により、第3光検出器132Bcの受光信号と、第4光検出器132Bdの受光信号との違いを示すグラフである。
図19に示すように、レンズ保持部140BがZ軸方向正側に変動した場合には、第3光検出器132Bcの受光信号は正に大きな値となり、第4光検出器132Bdの受光信号は0に近い値となっている。レンズ保持部140BがZ軸方向負側に変動した場合には、第3光検出器132Bcの受光信号は負に大きな値となり、第4光検出器132Bdの受光信号は0に近い値となっている。
レンズ保持部140BがX軸周りに正側に変動した場合には、第3光検出器132Bcの受光信号は正に小さな値となり、第4光検出器132Bdの受光信号は負に小さな値となっている。レンズ保持部140BがX軸周りに負側に変動した場合には、第3光検出器132Bcの受光信号は負に小さな値となり、第4光検出器132Bdの受光信号は正に小さな値となっている。
レンズ保持部140BがY軸方向正側に変動した場合には、第3光検出器132Bcの受光信号は0に近い値となり、第4光検出器132Bdの受光信号は負に大きな値となっている。レンズ保持部140BがY軸方向負側に変動した場合には、第3光検出器132Bcの受光信号は0に近い値となり、第4光検出器132Bdの受光信号は正に大きな値となっている。このようにZ軸方向の変動、Y軸方向の変動、及びX軸周りの回転に対する光検出器132Bへの受光信号の感度が異なるように、発光部131と光検出器132Bを配置している。
同様に、第1光検出器132Baの受光信号と、第2光検出器Bbの受光信号との違いも求める。これらのことから以下の式(26)〜式(39)の関係が成り立つ。
以下において、xはレンズ42a,42bの中心のX座標を示す変数である。yはレンズ42a,42bの中心のY座標を示す変数である。zはレンズ42a,42bの中心のZ座標を示す変数である。θxはレンズ42a,42bの中心のX軸周りの角度を示す変数である。θyはレンズ42a,42bの中心のY軸周りの角度を示す変数である。また、α1,α2,α3,β1,β2は、補正係数である。補正係数は、種々の実験、シミュレーション等によって適切な値が求められている。
PD11=(a1+b1)−(c1+d1)=α3×z・・・(26)
PD12=(a1+c1)−(b1+d1)=α1×x+β1×θx・・・(27)
PD21=(a2+b2)−(c2+d2)=α2×y・・・(28)
PD22=(a2+c2)−(b2+d2)=α1×x+β1×θx・・・(29)
PD31=(a3+c3)−(b3+d3)=α3×z・・・(30)
PD32=(a3+b3)−(c3+d3)=α2×y+β2×θy・・・(31)
PD41=(a4+c4)−(b4+d4)=α1×x・・・(32)
PD42=(a4+b4)−(c4+d4)=α2×y+β2×θy・・・(33)
PD12=PD22・・・(34)
PD32=PD42・・・(35)
PD11−PD21=α3×z−α2×y・・・(36)
PD12−PD31=α1×x−α3×z・・・(37)
PD31−PD41=α3×z−α1×x・・・(38)
これら式(26)〜式(38)を解くと以下の式(39)〜式(43)の関係が導き出される。
x=α1×PD31・・・(39)
y=α2×PD21・・・(40)
z=α3×(PD11+PD31)/2・・・(41)
θx=(PD12−α1×PD31)/β1・・・(42)
θy=(PD32−α2×PD21)/β2・・・(43)
レンズ制御部36は、各光検出器132から出力された受光信号と、上述の式(26)〜(44)とに基づいて演算し、レンズ保持部140の各自由度の位置を検出する。レンズ制御部36は、実施の形態1(図13)と同様に取得した位置補正値に基づいて、全ての磁石ユニット170における第1コイル181及び第2コイル182の電流を制御する。これにより、レンズ保持部140Aが、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、X軸周りの回転方向、Y軸周りの回転方向の5自由度で移動する。
[3−2.効果等]
以上のように、本実施の形態によれば、実施の形態1及び2と同様の効果に加えて、以下の効果を奏する。すなわち、レンズ保持部140Bに保持されたレンズ42aが光透過部であるので、位置検出専用の光透過部を別途設けなくとも、レンズ保持部140Bの移動可能な各自由度の位置を検出することができる。したがって、部品点数の削減を図ることができる。
さらに、1つの発光部131Bに対して2つの光検出器132Bが対応しているので、発光部131Bと光検出器132Bとを一つずつ対応付けした形態よりも発光部131Bの設置個数を減らすことができ、部品点数を削減することができる。
(実施の形態4)
[4−1.構成]
以下、図20と図21A〜図21Gを用いて、実施の形態4を説明する。
図20は、実施の形態4に係る光学系駆動装置100Cの斜視図である。なお、実施の形態1と同様の構成については同じ符号を付し、同様の構成及び動作については説明を省略する場合がある。
図20に示すように、光学系駆動装置100Cに係るレンズ保持部140Cには、第1片部141と第2片部142が設けられておらず、第3片部143と、軸部157を有する第4片部144のみが設けられている。軸部157のY軸方向の移動が規制部160によって規制されているために、実施の形態1と同じく、レンズ保持部140Cは、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、X軸周りの回転方向、Y軸周りの回転方向の5自由度で移動することができる。
第3片部143には、実質的な円盤状の集光レンズなどの光透過部150Cが取り付けられている。発光部131は、光透過部150CのZ軸方向正側で、光透過部150Cに向けて光を照射するように配置されている。また、光透過部150Cを介して発光部131に対向する位置には、光検出器132Cが設けられている。光検出器132Cは、例えばCCDなどの撮像素子である。撮像素子は、スポットPを撮像して画素毎に光を電圧に変換して受光信号として出力する。撮像素子は、4分割式のフォトディテクタよりも多数の受光面(画素)を備えているため、スポットPの形状、強度、分布をより高精細に検出することができる。
発光部131から照射されて光透過部150Cを透過した光のスポットPは、レンズ保持部140Cが移動するとその変化量、移動方向に応じて光検出器132Cの受光面で変化する。
図21Aは、実施の形態4に係る光学系駆動装置100Cのレンズ保持部140Cが基準位置から移動していない場合、光透過部150Cを透過した光のスポットPが光検出器132Cの受光面でどのように変化したかを示す説明図である。なお、図21A〜図21Gにおいて左右方向がX軸方向であり、上下方向がY軸方向である。図21Bは、実施の形態4に係る光学系駆動装置100Cのレンズ保持部140CがX軸方向正側に移動した場合、光透過部150Cを透過した光のスポットPが光検出器132Cの受光面でどのように変化したかを示す説明図である。図21Cは、同レンズ保持部140CがY軸方向正側に移動した場合、光透過部150Cを透過した光のスポットPが光検出器132Cの受光面でどのように変化したかを示す説明図である。図21Dは、同レンズ保持部140CがZ軸方向正側に移動した場合、光透過部150Cを透過した光のスポットPが光検出器132Cの受光面でどのように変化したかを示す説明図である。図21Eは、同レンズ保持部140CがZ軸方向負側に移動した場合、光透過部150Cを透過した光のスポットPが光検出器132Cの受光面でどのように変化したかを示す説明図である。図21Fは、同レンズ保持部140CがX軸周りに回転した場合、光透過部150Cを透過した光のスポットPが光検出器132Cの受光面でどのように変化したかを示す説明図である。図21Gは、同レンズ保持部140CがY軸周りに回転した場合、光透過部150Cを透過した光のスポットPが光検出器132Cの受光面でどのように変化したかを示す説明図である。
図21Aでは、スポットPの中心が光検出器132Cの中心と一致している。図21Bでは、レンズ保持部140CがX軸方向に移動すると、その移動量に応じてスポットPもX軸方向に移動する。図21Cでは、レンズ保持部140CがY軸方向に移動すると、その移動量に応じてスポットPもY軸方向に移動する。図21Dでは、レンズ保持部140CがZ軸方向正側に移動すると、その移動量に応じてスポットPは大きくなり全体として光が弱まる。図21Eでは、レンズ保持部140CがZ軸方向負側に移動すると、その移動量に応じてスポットPは小さくなり全体として光が強まる。図21Fでは、レンズ保持部140CがX軸周りに回転すると、その回転量に応じてスポットPのY軸方向正側若しくは負側が発散する。図21Gでは、レンズ保持部140CがY軸周りに回転すると、その回転量に応じてスポットPのX軸方向正側若しくは負側が発散する。
これらの関係を複合的に解析することによって、光検出器132CでスポットPを撮像し、取得した多数画素の受光信号からレンズ保持部140Cの各自由度の位置を検出することができる。
[4−2.効果等]
以上のように、本実施の形態によれば、実施の形態1及び2と同様の効果に加えて、以下の効果を奏する。すなわち、光検出器132Cが撮像素子であるので、スポットPの形状、強度、分布をより高精細に検出することができる。よって、光検出器132Cが1つであってもレンズ保持部140Cの各自由度の位置を検出することができる。また、光検出器132Cが1つならば、発光部131も1つでよくなり、部品点数をより削減することができる。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1〜4を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態1〜4で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
実施の形態1〜4では、光学系駆動装置100がレンズを移動させる場合を例示して説明したが、その他の光学素子を移動させることに用いることも可能である。レンズ以外の光学素子としては鏡、導光板などが挙げられる。
また、実施の形態1〜4では、光学装置としてデジタルカメラ1などの撮像装置を例示して説明したが、その他の光学装置であってもよい。その他の光学装置としては、プロジェクタなどの投影装置が挙げられる。
また、実施の形態1〜4では、駆動部として、磁石ユニット170、第1コイル181及び第2コイル182を備えた収差補正用駆動部120を例示して説明した。駆動部は、移動可能な自由度に対してレンズ保持部140(移動体)を移動させるものであればよい。例えば、モータを用いた多自由度アクチュエータを駆動部として用いてもよい。
また、実施の形態1〜4では、移動体であるレンズ保持部140が5自由度或いは6自由度で移動可能な場合を例示した。しかし、レンズ保持部140は少なくとも3自由度で移動可能であればよい。
実施の形態4では、光検出器の一例である撮像素子としてCCDを例示した。撮像素子は、光のスポットを撮像して各画素毎に光を電圧に変換して受光信号として出力するものであればよい。したがって、撮像素子は、CCDに限定されない。ただし、撮像素子としてCCDを用いれば、安価に撮像素子を入手可能である。また、CMOSイメージセンサを撮像素子として用いてもよい。撮像素子としてCMOSイメージセンサを用いれば、消費電力の抑制に有効である。
実施の形態1〜4では、演算部の一例としてレンズ制御部36を説明した。演算部は、光検出器132の受光信号から各自由度の位置を検出することができるものであれば、物理的にどのように構成してもよい。また、演算部として、プログラム可能なマイクロコンピュータを用いれば、プログラムの変更により処理内容を変更できるので、演算部の設計の自由度を高めることができる。また、演算部は、ハードロジックで実現してもよい。演算部をハードロジックで実現すれば、処理速度の向上に有効である。演算部は、1つの素子で構成してもよいし、物理的に複数の素子で構成してもよい。複数の素子で構成する場合、特許請求の範囲に記載の各制御を別の素子で実現してもよい。この場合、それらの複数の素子で一つの演算部を構成すると考えることができる。また、演算部と別の機能を有する部材とを1つの素子で構成してもよい。
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面及び詳細な説明を提供した。
したがって、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。