JP2016169167A - ポリフェノール含有リポソームおよびその製造方法 - Google Patents

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敏光 中吉
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Abstract

【課題】 ヒトの腸管吸収に適した形態かつ濃度でポリフェノール類を提供することができるポリフェノール含有リポソームおよびその製造方法を提供すること。【解決手段】 本発明のポリフェノール含有リポソームは、ポリフェノールの含有率が、全体重量を基準として25重量%から40重量%である。このようなリポソームは、リン脂質に水を添加して脂質水和物を含む調製液を得、そして脂質水和物を含む調製液にマイクロバブルの存在下でポリフェノールを添加して乳化することにより製造され得る。本発明のポリフェノール含有リポソームは、ヒトの腸管を介したポリフェノールの吸収に有用である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリフェノール含有リポソームおよびその製造方法に関し、より詳細には、ヒトの腸管を介してポリフェノールを吸収させるのに適したポリフェノール含有リポソームおよびその製造方法に関する。
近年、菱の実から得られた抽出物が、キサンチンオキシダーゼ活性を阻害することにより、例えば、血中尿酸値の改善を期待することができる点で特に注目されている(非特許文献1)。ここで、このような活性阻害に影響する有効成分は、タンニンなどのポリフェノール類であることが予想されている。このため、菱の実抽出物について、医薬品、健康食品等への応用が期待されている。
一方、当該ポリフェノール類はヒトなどの生体において充分な腸管吸収が困難な物質であることも明らかにされている。例えば、上記ポリフェノール類に包含されるタンニンは水溶性を示すため、水溶性タンニンは腸管からの吸収が悪いことが知られている。
このように、水溶性タンニン等のポリフェノール類についてヒトへの吸収性を向上させる開発が所望されている。
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、ヒトの腸管吸収に適した形態かつ濃度でポリフェノール類を提供することができるポリフェノール含有リポソームおよびその製造方法を提供することにある。
本発明は、ポリフェノールを含有するリポソームであって、該ポリフェノールの含有率が、全体重量を基準として25重量%から40重量%である、リポソームである。
1つの実施形態では、上記ポリフェノールはタンニンである。
1つの実施形態では、上記ポリフェノールは菱由来ポリフェノールである。
本発明はまた、ポリフェノール含有リポソームの製造方法であって、
リン脂質に水を添加して脂質水和物を含む調製液を得る工程;および
該脂質水和物を含む調製液にマイクロバブルの存在下でポリフェノールを添加して乳化する工程;
を包含する、方法である。
1つの実施形態では、上記ポリフェノールはタンニンである。
1つの実施形態では、上記ポリフェノールは菱由来ポリフェノールである。
1つの実施形態では、上記リン脂質は、天然リン脂質、合成リン脂質、および水素添加リン脂質からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。
1つの実施形態では、上記マイクロバブルは不活性ガスで構成されるバブルである。
本発明はまた、上記ポリフェノール含有リポソームを有効成分として含有する、血中尿酸値低減剤である。
本発明はまた、上記ポリフェノール含有リポソームを有効成分として含有する、キサンチンオキシダーゼ阻害剤である。
本発明によれば、ヒトの腸管を介したポリフェノールの吸収に有用なリポソームを提供することができる。さらに、このようなリポソームを所定の粒度分布にてより均質に製造することができる。本発明のリポソームはまた、煩雑な製造工程を必要とせず、安全かつ容易に製造され得る。
実施例1および比較例1でそれぞれ作製されたリポソームに含まれるタンニンの封入率を比較するためのグラフである。 実施例3ならびに比較例2で行った摘出小腸を用いたポリフェノール吸収実験の結果を示すグラフである。 実施例5で行われた、通常群(作製例1で得られた菱由来ポリフェノール抽出物を摂取する群)と、リポソーム群(実施例2で得られた菱由来ポリフェノール抽出物含有リポソームを摂取する群)との間の摂取前および摂取後2週間の各被験者の血中尿酸値の結果を示すグラフである。 実施例5で行われた、通常群(作製例1で得られた菱由来ポリフェノール抽出物を摂取する群)と、リポソーム群(実施例2で得られた菱由来ポリフェノール抽出物含有リポソームを摂取する群)との間の摂取前および摂取後2週間の各被験者の血中尿酸値の結果のうち、摂取前の尿酸値が6.0mg/dLであった被験者の結果のみを集計したグラフである。
以下、本発明について詳述する。
(ポリフェノール含有リポソーム)
本発明のリポソームはポリフェノールを含有する。
本発明において、リポソーム自体は所定のリン脂質から構成されている。リン脂質は、リン酸残基を含む複合脂質であって、天然リン脂質、合成リン脂質、および水素添加リン脂質ならびにこれらの組合せが挙げられる。なお、水素添加リン脂質とは、天然由来のリン脂質の不飽和炭素鎖を水素により飽和させたものである。本発明においては、リポソームは天然のリン脂質から構成されていることが好ましい。
リポソームを構成するリン脂質の具体的な例としては、必ずしも限定されないが、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、卵黄レシチン、大豆レシチンなどの天然リン脂質;ジラウロイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、パルミトイル・オレオイルホスファチジルコリンなどの合成リン脂質; 水素添加大豆レシチン、水素添加卵黄レシチン、水素添加ホスファチジルコリン、水素添加ホスファチジルセリンなどの水素添加リン脂質;が挙げられる。上記リン脂質は単独または組み合わせて使用され得る。本発明においては、汎用性に富み、適用する生体への安全性を考慮して、大豆レシチンおよび/または卵黄レシチンを用いることが好ましい。
本発明を構成するポリフェノールは、例えば、フラボノイド系ポリフェノール、フェノール酸系ポリフェノール、およびリグナン系ポリフェノール、ならびにこれらの組合せが挙げられる。フラボノイド系ポリフェノールの例としては、タンニン、カテキン、アントシアニン、ルチンおよびイソフラボンが挙げられる。フェノール酸系ポリフェノールの例としては、クロロゲン酸が挙げられる。リグナン系ポリフェノールの例としては、セサミンが挙げられる。本発明において、ポリフェノールは、生体に対して薬理効果を奏するものであることが好ましい。好ましいポリフェノールの例としては、タンニンが挙げられる。
このようなポリフェノールは、天然由来のもの、あるいは化学的に合成されたもののいずれであってもよい。さらに天然由来のポリフェノールは、種々の植物抽出物に含まれるものであってもよい。例えば、タンニンは、天然由来のポリフェノールとして、菱の実から抽出することができる。
なお、本発明において、ポリフェノール含有リポソームとは、例えば、上記リン脂質から構成されるリポソームに所定のポリフェノールが含まれているものであって、リン脂質内に当該ポリフェノールが完全に封入されたもの、一部封入されたもの、リン脂質の周囲に化学的または物理的に付与したもののいずれをも包含する。
本発明のポリフェノール含有リポソームは、全体重量を基準として25重量%から40重量%、好ましくは28重量%〜35重量%の上記ポリフェノールを含有する。リポソーム中のこのようなポリフェノール含有量は、従来と比較して高濃度なものである。
本発明のポリフェノール含有リポソームはまた、上記ポリフェノール以外に他の成分を含有していてもよい。他の成分の例としては、特に限定されないが、リン脂質を含まない脂質(他の膜構成脂質)、膜安定化剤、酸化防止剤、防腐剤、香料、非イオン界面活性剤、pH調製剤、および精製水これらの組合せが挙げられる。ここで、他の膜構成脂質の例としては、任意の脂肪酸が挙げられる。膜安定化剤は、膜流動性を低下させる物質であり、例えば、スクロースなどの糖類、コレステロール、およびグリセロールが挙げられる。酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸、ビタミンEなどが挙げられる。
本発明において、上記他の成分の含有量は、特に限定されず、リポソーム構造を保持し得る範囲において任意の含有量が当業者により選択され得る。
本発明のポリフェノール含有リポソームはまた、10nm以下の粒子径を有するものが含まれていないことが好ましい。
本発明のリポソームは、医薬品、医薬部外品、化粧品、飲食物(例えば、特定保健用食品、特別用途食品、健康食品、その他一般食品を包含する)の有効成分または材料として使用され得る。例えば、本発明のリポソームは、例えば、ポリフェノールとしてタンニンを選択した場合、生体内のキサンチンオキシダーゼの活性を阻害するための任意の用途におけるキサンチンオキシダーゼ阻害剤として、あるいはヒトなどの生体内の血中の尿酸濃度を低下させ得る血中尿酸値低減剤の有効成分として機能し得る。
例えば、本発明のポリフェノール含有リポソームが医薬品の有効成分として使用される場合、当該医薬品の例としては、経皮、皮下、経静脈、経口のいずれの医薬品であってもよい。剤形または形状は限定されず、固体、半固体や液状が挙げられ、注射剤(例えば、液剤や用時溶解用乾燥製剤)、外用剤(例えば、貼付剤、軟膏、硬膏、ローション、乳液、液剤、懸濁剤)、経口製剤(例えば、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤(懸濁剤、乳剤などを含む))が挙げられる。
医薬品として使用する場合は、上記ポリフェノール含有リポソーム以外に、任意成分(例えば、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、賦型剤、着色剤、着香剤、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保湿剤、およびpH調整剤)が配合されていてもよい。この場合、当該成分の含有量は当業者によって任意の含有量が設定され得る。
化粧料として使用する場合は、上記ポリフェノール含有リポソーム以外に、任意成分(例えば、エステル油、ロウ、高級脂肪酸、高級アルコールなどの油性成分;アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤;多価アルコールなどの保湿剤;水、低級アルコール、シリコーンなどのベース成分;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;香料;およびpH調整剤)が配合されていてもよい。この場合、当該成分の含有量は、当業者によって任意の含有量が設定され得る。化粧料には、化粧水、乳液、ファンデーション、アイシャドー、アイライン、頬紅などが挙げられる。
飲食物として使用する場合は、上記ポリフェノール含有リポソーム以外に、第三成分として、任意の食品材料、活性成分、および/または当該分野にて通常使用され得る添加剤(例えば、デキストリン、デンプン、糖類、リン酸カルシウムなどの賦形剤、溶剤、香料、香油など)が含有されていてもよい。この場合、当該第三成分の含有量は、当業者によって任意の含有量が設定され得る。本発明において、上記ポリフェノール含有リポソームが含有される飲食物には、加工食品、麺類、菓子、飲料、調味料、粉ミルク、健康食品、サプリメントなどが例示される。
(ポリフェノール含有リポソームの製造方法)
本発明のポリフェノール含有リポソームは、例えば、以下のようにして製造され得る。
本発明においては、まず、リン脂質および必要に応じて上記他の成分に水が添加され脂質水和物を含む調製液が形成される。
ここで、リン脂質と上記他の成分とが組み合わされる場合、これらは、所定の有機溶媒中で混合されたものが使用されてもよい。使用可能な有機溶媒の例としては、アルコールが挙げられる。エタノール、メタノール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ベンジルアルコール、モノアセチレン、ジアセチレン等が挙げられる。生体への安全性や汎用性に富むという理由からエタノールが好ましい。脂質水和物の形成前に、当該有機溶媒は当業者に公知の方法を用いて適切に留去され得る。
脂質水和物の形成のために添加される水は、例えば、蒸留水、イオン交換水、水道水である。添加される水の量は、必ずしも限定されないが、例えば、上記リン脂質および必要に応じて組み合わされる他の成分の合計重量とほぼ同量が添加され得る。
このようにして脂質水和物を含む調製液が形成される。
次いで、当該脂質水和物を含む調製液に、マイクロバブルの存在下でポリフェノールが添加され乳化が行われる。
脂質水和物を含む調製液とポリフェノールとの乳化は、通常、所定の容器(例えば、反応槽)内で行われる。マイクロバブルは、例えば、このような容器の内側に設けられた散気管から所定の気体を容器内に供給することにより提供される。マイクロバブルとして提供され得る気体は、脂質水和物およびポリフェノールに対して影響のない気体(不活性ガス)であり、例えば窒素ガスである。本発明において、散気管は、脂質水和物を含む調製液とポリフェノールとの混合液で、例えば、直径がマイクロメートルオーダーの気泡を形成するように複数の排気孔が設けられていることが好ましい。本発明において散気管から排出される気泡の平均直径は、好ましくは5μm〜20μmである。散気管から排出される気体は、必ずしも限定されないが、好ましくは乳化の間、容器に含まれる脂質水和物とポリフェノールとの混合溶液全体に行き渡る程度の量が当業者によって適宜選択され得る。
このようにして、本発明のポリフェノール含有リポソームが製造され得る。
なお、得られたポリフェノール含有リポソームは、必要に応じて当業者に公知の方法を用いて、精製が行われてもよい。
その後、本発明のポリフェノール含有リポソームは、上述したような各種成分または材料と混合され、医薬品、医薬部外品、化粧品、飲食物などの任意の製品に加工され得る。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1:マイクロバブルを用いたタンニン含有リポソームの作製)
150gの大豆レシチン(和光純薬工業株式会社製)、70gのコレステロール(和光純薬工業株式会社製)および40gのステアリン酸(和光純薬工業株式会社製)をフラスコに添加し、80℃にてこれらの合計と同量(260g)のエタノールを添加して溶解させた。次いで、これを撹拌容器内に投入し、80℃の温度にて風乾しながらストレートパドル型撹拌機(10rpm)にて60分間撹拌した。秤量しながら、混合物中のエタノール残量が撹拌開始前の重量に対して5重量%となるまでエタノールを留去した。エタノールの留去後、80℃にて、さらに260gの滅菌水を仕込み、容器を密閉し、80℃にて60rpmの撹拌機回転数で30分間撹拌することにより、脂質水和物を含む調製液を得た。
上記で得られた脂質水和物を含む調製液を、撹拌容器内で冷却し、50℃に達した時点で、タンニン酸(米山化学工業株式会社製)を用いて4℃に保たれた100gのタンニン水溶液(濃度0.1g/g)を添加し、60rpmにてさらに撹拌し混合した。その後、この混合液を撹拌容器内で冷却しながら、適宜水酸化ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)水溶液を滴下して、混合液のpHを調整した。
次いで、この混合液を、高速撹拌機(エム・テクニック株式会社製;CLM−9W/15W)を用い、ローター回転数6000rpmにて20℃〜25℃の温度範囲に保持したまま30秒間の高速撹拌を2回行って混合液の乳化を行った。なお、この混合液の乳化の際に、混合液を含む容器の底に配置されたセラミック散気管(φ20mm×φ12mm×L300mm;株式会社美鈴工業製CT−1)から、窒素ガスによるバブリングを行い、混合液内に平均直径約10μmの気泡を発生させ、混合液内に均一に分散させた。
上記高速撹拌後、混合液を濾過して乳化物を取り出し、得られた乳化物100gに生理食塩水を添加して2リットルの分散液を得た。次いで、当該分散液を、孔径0.8μmのザルトクリーンGF(ザルトリウス社製)でプレフィルター処理し、クロスフロー装置(ザルトリウス社製;ザルトコンスライス)に設置した孔径0.45μmのクロスフロー膜(ザルトリウス社製ハイドロザルト)を通過させた。最終的にクロスフロー装置に設置したポリエーテルスルホン(ザルトリウス社製)でフリータンニンの除去および濃縮を行い、生理食塩水にて希釈してタンニン含有リポソームを溶液の形態で得た。
上記で得られたタンニン含有リポソームについて、光散乱回折式粒度分布装置(ベックマンコールター株式会社製LS230)を用い、PIDS(偏光散乱強度差測定)にて、水を分散媒とし、サンプル濃度45%〜55%の範囲になるよう水和した脂質を添加し、粒度分布を測定した。
この分析により、粒子の分布は50nm〜300nmの分布となり、上記で得られたタンニン含有リポソームには、平均直径が10nm以下の粒子が含まれていないことを確認した。
また、上記で得られたタンニン含有リポソームの溶液を24,000gで遠心分離し、上清のタンニン濃度を測定することにより、当該リポソームに含まれるタンニン量を算出した。その後、タンニン封入率(%)を「タンニン封入率(%)={(仕込み量(g)−上清量(g))/仕込み量(g)}×100」から算出した。得られた結果を図1に示す。
(比較例1:タンニン含有リポソームの作製)
撹拌容器内で散気管からマイクロバブルを発生させなかったこと以外は、実施例1と同様にしてタンニン含有リポソームを作製した。得られたタンニン含有リポソームについて、実施例1と同様にしてタンニン封入率(%)を算出した。得られた結果を図1に示す。
図1に示すように、実施例1で得られたタンニン含有リポソームは、比較例1で得られたリポソームに対し、タンニン封入率が高く、1つのリポソーム内に多くのタンニン分子が含まれていることがわかる。
(作製例1:菱由来ポリフェノール抽出物の作製)
オニビシの実(福岡県柳川市産)を充分に清浄水で洗浄した後、ミキサーで粉砕した。次いで、この粉砕した実に該実の質量の5倍の質量に相当する純水を加え、5分間超音波処理した。超音波処理後、これを95℃以上に加熱して沸騰させ、その後加熱を1時間続けた。次いで、これを室温まで冷却した。これを3000rpmにて20分間遠心分離し、生じた上清を採取し、13mm Millexフィルター(日本ミリポア株式会社製)に通した後に凍結乾燥した。これにより、菱由来ポリフェノール抽出物を得た。
(実施例2:マイクロバブルを用いた菱由来ポリフェノール抽出物含有リポソームの形成)
タンニン水溶液の代わりに、製造例1で得られた菱由来ポリフェノール抽出物を10重量%の濃度で含有する水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、菱由来ポリフェノール抽出物含有リポソームを得た。
(実施例3:摘出小腸を用いたポリフェノール吸収実験)
安楽死させたラットを開腹し、小腸を途中で切らないように注意しながら摘出して、生理食塩水で血液および汚物を洗い流した。次いで、洗浄した小腸の一端を木綿糸で縛り、縛った部分を起点にしてこれを切断し、反転して反転腸管を得た。その後、この反転腸管内にKrebs−Ringerリン酸緩衝液(KRPB液)1mlを注入し、さらに開放端を木綿糸で縛って反転小腸を得た。
100mlの三角フラスコに、実施例2で得られたリポソーム(菱由来ポリフェノール抽出物含有リポソーム)を菱由来ポリフェノール抽出物の重量として5重量%の濃度で含有するKRPB溶液(外液)5mlを加え、さらに上記で得られた反転小腸2本を入れて、30℃にて30分間振盪した。その後、フラスコから反転小腸を除去し、フラスコ内に残存する液体(外液)をスピッツ管に取り出した。取り出した外液についてタンパク質の除去を行い、充分に遠心分離し、得られた液体のポリフェノール含量をFolin−Denis法により測定して、反転小腸を入れて振盪する前後の外液におけるポリフェノールの減少量から、摘出小腸によるポリフェノール吸収率(%)を以下の式により算出した。
ポリフェノール吸収率(%)=100−[反転小腸を入れる前の外液のポリフェノール濃度(重量%)−反転小腸を入れて振盪後の外液のポリフェノール濃度(重量%)]/[反転小腸を入れる前の外液のポリフェノール濃度(重量%)]
得られた結果を図2に示す。
(比較例2)
実施例2で得られたリポソームを含有するKRPB溶液の代わりに、作製例1で得られた菱由来ポリフェノール抽出物を5重量%の濃度で含有するKRPB溶液(外液)5mlを用いたこと以外は実施例3と同様にして、フラスコ内で反転小腸とともに振盪し、当該外液におけるポリフェノールの減少量から、摘出小腸によるポリフェノール吸収率を算出した。得られた結果を図2に示す。
図2に示すように、摘出小腸のポリフェノール吸収は、作製例1のような菱由来ポリフェノール抽出物を、実施例2に記載のようなリポソームの形態とした場合の方が、抽出物そのものを使用する場合(比較例2)よりも高い値を示していたる。このことから、本発明のリポソームは生体におけるポリフェノールの吸収効率を向上させることがわかる。
(実施例4:ラットを用いた安全性試験)
6週齢のSprague−Dawley系ラット(12匹の雄)を1週間かけて馴化飼育し、これらを無作為抽出法にて、1群あたり3匹を(1)コントロール群(急性毒性群対応、亜急性毒性群対応)、(2)急性毒性群、および(3)亜急性毒性群にそれぞれ振り分けた。
次いで、(1)コントロール群を除く、(2)急性毒性群および(3)亜急性毒性群のラットに、実施例2で得られた菱由来ポリフェノール抽出物含有リポソームをラット用ゾンデを用いて胃内に強制投与した。投与量は、最も近い時点で測定した各ラットの体重を基礎として、個体別に(2)急性毒性群では投与量5g/体重kg、(3)亜急性毒性群では投与量1g/体重kgとなるように調整した。一方、コントロール群のラットには当該投与を行わなかった。
なお、上記投与にあたり、(2)急性毒性群のラットでは、1回の投与で1週間の経過観察を行い、(3)亜急性毒性群では1日当たり1回の投与を14日間連続して行い、当該14日間の経過観察を行った。
経過観察期間を通じて、(2)急性毒性群のラットでは、一般状態、体重および摂餌量・摂水量のいずれについても異常は認められなかった。さらに、(2)急性毒性群のラットについて、経過観察終了後の血液生化学検査、ならびに肝臓および腎臓を摘出した臓器重量を、それぞれコントロール群のものと比較したところ、特に異常は認められなかった。
また、経過期間中を通じて、(3)亜急性毒性群のラットでは、一般状態、体重および摂餌量・摂水量のいずれについても異常は認められなかった。さらに、(3)亜急性毒性群のラットについて、経過観察終了後の血液生化学検査、ならびに肝臓および腎臓を摘出した臓器重量を、それぞれコントロール群のものと比較したところ、特に異常は認められなかった。
以上のことから、実施例2で得られた菱由来ポリフェノール抽出物含有リポソームは、生体に対し安全性に優れたものであることがわかる。
(実施例5:高尿酸血症に関するヒト治験)
公知の高尿酸血症治療薬Febuxostat(TMX−67)に関する論文「Febuxostat(TMX-67), a Novel, Non-Purine, Selective Inhibitor of Xanthine Oxidase, Is Safe and Decreases Serum Urate in Healthy Volunteers. Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids 23(8-9), 1111-1116(2004)」を参考にして以下のプロトコールを組み立てた。
1日当たりの菱抽出物摂取量を1gとして、被験者を作製例1で得られた菱由来ポリフェノール抽出物を摂取する群(通常群)と、実施例2で得られた菱由来ポリフェノール抽出物含有リポソームを摂取する群(リポソーム群)に分けて、2週間摂取後の各被験者の血中尿酸値によって、その効果を評価した。
具体的には、被験者として健常な(投薬等治療を行っていない)成人男女17名(年齢37.6±11.5歳,男性平均36.4±12.2歳,女性平均43.3±5.5歳)をエントリーして実施した。エントリーされた被験者は、本治験開始前日は激しい運動等を行わないこととし、開始12時間前から、絶食(自由飲水)を行い、安静にさせた。
治験開始当日、各被験者に検診(身長、体重、血圧および問診)を行って、排除規定の疾患歴および服薬歴がないことを確認した。その後、被験者をエントリー順に無作為に上記通常群またはリポソーム群の2群(通常群9名およびリポソーム群8名)に割り付け、各群共に事前採血(試験開始前採血)を行い、血中尿酸値(mg/dL)を測定した。その後、毎日2回(朝晩)に分けてそれぞれ菱由来ポリフェノールの重量を基準として500mgの被験物質(すなわち、作製例1で得られた菱由来ポリフェノール抽出物、または実施例2で得られた菱由来ポリフェノール抽出物含有リポソーム)を摂取させた。
2週間摂取後、各被験者に対し、開始時と同じように最終日前日から絶食・自由飲水とし、最終日に採血(試験終了後採血)し、血中尿酸値(mg/dL)を測定した。
各群の被験者の試験開始前および試験終了後の採血から得られた血中尿酸値の統計解析の結果を図3に示す。また、これらの結果のうち、通常群およびリポソーム群の両方において、摂取前の尿酸値が6.0mg/dL以上であった被験者の結果を改めて集計した。これらの結果を図4に示す。
図3および図4に示すように、作製例1で得られた菱由来ポリフェノール抽出物および実施例2で得られた菱由来ポリフェノール抽出物含有リポソームのいずれを摂取した被験者も試験開始前と比較して試験終了後の血中尿酸値が低下しており、当該抽出物およびリポソームは、血中尿酸値低減剤として有用であることがわかる。特に、摂取前の尿酸値が6.0mg/dL以上であった被験者の結果を集計した図4において、実施例2で得られた菱由来ポリフェノール抽出物含有リポソームを摂取した被験者の尿酸値が統計的に有意に低下していたことがわかる。
本発明によれば、所定の薬理効果を有するポリフェノールをヒトの腸管を介して高濃度で効果的に吸収させることができる。本発明のリポソームはまた、医薬品、食品工業等の技術分野において有用である。

Claims (10)

  1. ポリフェノールを含有するリポソームであって、該ポリフェノールの含有率が、全体重量を基準として25重量%から40重量%である、リポソーム。
  2. 前記ポリフェノールがタンニンである、請求項1に記載のリポソーム。
  3. 前記ポリフェノールが菱由来ポリフェノールである、請求項1に記載のリポソーム。
  4. ポリフェノール含有リポソームの製造方法であって、
    リン脂質に水を添加して脂質水和物を含む調製液を得る工程;および
    該脂質水和物を含む調製液にマイクロバブルの存在下でポリフェノールを添加して乳化する工程;
    を包含する、方法。
  5. 前記ポリフェノールがタンニンである、請求項4に記載の方法。
  6. 前記ポリフェノールが菱由来ポリフェノールである、請求項4に記載の方法。
  7. 前記リン脂質が、天然リン脂質、合成リン脂質、および水素添加リン脂質からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項4から6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記マイクロバブルが、不活性ガスで構成されるバブルである、請求項4から7のいずれかに記載の方法。
  9. 請求項1から3のいずれかに記載のポリフェノール含有リポソームを有効成分として含有する、血中尿酸値低減剤。
  10. 請求項1から3のいずれかに記載のポリフェノール含有リポソームを有効成分として含有する、キサンチンオキシダーゼ阻害剤。
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