以下に、第1の実施の形態について、図1乃至図9を参照して説明する。なお、実施形態に係る構成要素や、当該要素の説明について、複数の表現を併記することがある。当該構成要素及び説明について、記載されていない他の表現がされることは妨げられない。さらに、複数の表現が記載されない構成要素及び説明について、他の表現がされることは妨げられない。
図1は、第1の実施の形態に係るIDカード10を示す平面図である。IDカード10は、記録媒体の一例であり、例えば、情報記録媒体、印刷媒体、媒体、カード、及び被印刷物とも称され得る。
IDカード10は、表面11と、ICチップ12とを有する。表面11に、画像や文字のような種々の情報が記録される。ICチップ12は、例えば、IDカード10に埋め込まれる。ICチップ12は、IDカード10に対応する画像情報のデータのような種々の情報を電気的に記憶、受信、及び送信する。
IDカード10は、第1の記録領域21と、第2の記録領域22と、第3の記録領域23とを有する。第1の記録領域21は、第1の領域の一例である。第2の記録領域22は、第1の記録領域21に対する第2の領域の一例であるとともに、第3の記録領域23に対する第1の領域の一例である。第3の記録領域23は、第2の領域の一例である。第1乃至第3の記録領域21〜23は、例えば、部分及び範囲とも称され得る。
図1において、第2及び第3の記録領域22,23は、二点鎖線によって囲まれて示される。第1乃至第3の記録領域21〜23は、互いに離間し、重ならない領域である。なお、第1乃至第3の記録領域21〜23は、互いに接しても良い。
第1の記録領域21に、第1の情報25が記録される。第1の情報25は、第1の領域に記録される情報、及び第1の情報の一例である。第1の情報25は、例えば、カラー写真のような画像である。なお、第1の情報25はこれに限らず、モノクロ(単色)写真や、カラー又はモノクロのイラストのような他の情報であっても良い。
第2の記録領域22に、第2の情報26が記録される。第2の情報26は、第1の領域に記録される情報、第2の領域に記録される情報、第1の情報、及び第2の情報の一例である。第2の情報26は、例えば、黒色の文字である。なお、第2の情報26はこれに限らず、カラー又はモノクロのイラストのような画像や、他の色の文字のような他の情報であっても良い。
第3の記録領域23に、第3の情報27が記録される。第3の情報27は、第2の領域に記録される情報及び第2の情報の一例である。第3の情報27は、例えば、黒色の文字である。第3の情報27の文字の大きさ(フォントサイズ)は、第2の情報26の文字の大きさよりも大きい。なお、第3の情報27はこれに限らず、カラー又はモノクロのイラストのような画像や、他の色の文字のような他の情報であっても良い。
図2は、第1の実施形態のIDカード10を図1のF2−F2線に沿って示す断面図である。図2は、第1の記録領域21及び第2の記録領域22を形成する部分を二点鎖線で区切って示す。図2に示すように、IDカード10は、基材31と、第1の発色層32と、第1の断熱層33と、第2の発色層34と、第2の断熱層35と、第3の発色層36と、保護層37とを有する。第1乃至第3の発色層32,34,36は、発色部の一例であり、例えば、被記録部、被印刷部、変色部、及び層とも称され得る。
基材31は、例えば、紙、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリカーボネートのような種々の材料によって作られる。基材31は、第1の面31aと第2の面31bとを有する。
基材31の第1の面31aに、例えば、IDカード10の背景が形成される。なお、第1の面31aはこれに限らない。第2の面31bは、第1の面31aの反対側に位置する。第2の面31bは、表面11の反対側に位置するIDカード10の裏面を形成する。
第1の発色層32は、基材31の第1の面31aを覆う。第1の発色層32は、加熱されることで、当該加熱された部分がシアン(C)に発色する層である。第1の発色層32は、例えば、第1の温度に達すると、当該第1の温度に達した部分が発色する。
第1の断熱層33は、第1の発色層32を覆う。第1の断熱層33は、第1乃至第3の発色層32,34,36よりも熱伝導率が低い。第1の断熱層33は、例えば、透明な合成樹脂によって作られる。なお、第1の断熱層33はこれに限らない。
第2の発色層34は、第1の断熱層33を覆う。第2の発色層34は、加熱されることで、当該加熱された部分がマゼンタ(M)に発色する層である。第2の発色層34は、例えば、第2の温度に達すると、当該第2の温度に達した部分が発色する。第2の温度は、第1の温度よりも高い。
第2の断熱層35は、第2の発色層34を覆う。第2の断熱層35は、第1乃至第3の発色層32,34,36よりも熱伝導率が低い。第2の断熱層35は、例えば、透明な合成樹脂によって作られる。なお、第2の断熱層35はこれに限らない。
第3の発色層36は、第2の断熱層35を覆う。第3の発色層36は、加熱されることで、当該加熱された部分がイエロー(Y)に発色する層である。第3の発色層36は、例えば、第3の温度に達すると、当該第3の温度に達した部分が発色する。第3の温度は、第2の温度よりも高い。
保護層37は、第3の発色層36を覆う。保護層37は、第1乃至第3の発色層32,34,36よりも熱伝導率が低い。保護層37は、例えば、透明な合成樹脂によって作られる。なお、保護層37はこれに限らない。保護層37は、IDカード10の表面11を形成する。
第1乃至第3の発色層32,34,36に、例えば、ロイコ染料及び顕色剤を有するマイクロカプセルが分散される。第1乃至第3の発色層32,34,36は、所定の温度まで加熱されると、ロイコ染料が顕色剤と結合することで、当該ロイコ染料に応じた色を発色する。なお、第1乃至第3の発色層32,34,36はこれに限らない。
IDカード10は、例えば、基材31、第1の発色層32、第1の断熱層33、第2の発色層34、第2の断熱層35、第3の発色層36、及び保護層37を圧着することにより製造される。なお、IDカード10の製造方法はこれに限られない。
図2に示すように、基材31の第1の面31a、第1の発色層32、第1の断熱層33、第2の発色層34、第2の断熱層35、第3の発色層36、及び保護層37が、第1の記録領域21、第2の記録領域22、及び第3の記録領域23を形成する。なお、他の部分が第1乃至第3の記録領域21〜23を形成しても良い。
図3は、第1の実施形態の第1の記録領域21の一部を拡大して示す平面図である。図3に示すように、第1の記録領域21に形成される第1の情報25は、複数の第1のドット41を有する。第1のドット41は、発色された部分及び第1の発色された部分の一例であり、例えば、画点とも称され得る。
複数の第1のドット41は、第1の記録領域21に形成された、種々の色を有する円形の部分である。なお、第1のドット41はこれに限らず、楕円形、四角形、及び多角形のような他の形状の部分であっても良い。
本実施形態では、第1の記録領域21において、単位長さLの1/10の長さの間隔(ピッチ)で第1のドット41が形成される。言い換えると、単位長さL当たりに10個の第1のドット41が印刷される。このように、第1の記録領域21に複数の第1のドット41が形成されることにより、第1の記録領域21に第1の情報25が記録される。
第1の記録領域21に形成される第1のドット41は、例えば、複数種類の第1のドット41A,41B,41Cを含む。図3は、第1のドット41A,41B,41Cに、互いに異なるハッチングを付す。第1のドット41A,41B,41Cは、互いに異なる色を有する。このように、異なる色を有する複数の第1のドット41A,41B,41Cが組み合わされることにより、カラー写真である第1の情報25が記録される。
第1のドット41の直径は、第1のドット径Dd1である。第1のドット径Dd1は、単位長さLの1/10の長さである。このため、第1のドット径Dd1は、第1のドット41が形成される間隔(ピッチ)に等しい。なお、第1のドット径Dd1はこれに限らない。さらに、それぞれの第1のドット41の直径は、第1のドット径Dd1に対して僅かに異なっても良い。
図4は、第1の実施形態の第2の記録領域22の一部を拡大して示す平面図である。図4に示すように、第2の記録領域22に形成される第2の情報26は、複数の第2のドット42を有する。第2のドット42は、発色された部分、第1の発色された部分、及び第2の発色された部分の一例であり、例えば、画点とも称され得る。
複数の第2のドット42は、第2の記録領域22に形成された、黒色の円形の部分である。すなわち、複数の第2のドット42の色は、互いに共通である。なお、それぞれの第2のドット42の色は、黒色に対して僅かに異なっても良い。また、第2のドット42の形状は、楕円形、四角形、及び多角形のような他の形状であっても良い。
本実施形態では、第2の記録領域22において、単位長さLの1/5の長さの間隔(ピッチ)で、第2のドット42が形成され得る。言い換えると、単位長さL当たりに5個の第2のドット42が印刷され得る。このように、第2の記録領域22に複数の第2のドット42が形成されることにより、第2の記録領域22に第2の情報26が記録される。
第2のドット42の直径は、第2のドット径Dd2である。第2のドット径Dd2は、単位長さLの1/5の長さよりも大きい。言い換えると、第2のドット径Dd2は、第2のドット42が印刷される間隔(ピッチ)よりも大きい。また、第2のドット径Dd2は、第1のドット径Dd1よりも大きい。すなわち、第2のドット42は、第1のドット41よりも大きい。なお、第2のドット径Dd2はこれに限らない。さらに、それぞれの第2のドット42の直径は、第2のドット径Dd2に対して僅かに異なっても良い。
第2のドット径Dd2は、例えば、第2の情報26に含まれる文字の線幅に等しい。すなわち、第2の情報26に含まれる文字の線幅と等しい第2のドット径Dd2を有する複数の第2のドット42により、第2の情報26が形成される。なお、第2のドット径Dd2は、第2の情報26に含まれる文字の線幅より小さくても良い。
図5は、第1の実施形態の第3の記録領域23の一部を拡大して示す平面図である。図5に示すように、第3の記録領域23に形成される第3の情報27は、複数の第3のドット43を有する。第3のドット43は、発色された部分及び第2の発色された部分の一例であり、例えば、画点とも称され得る。
複数の第3のドット43は、第3の記録領域23に形成された、黒色の円形の部分である。すなわち、複数の第3のドット43の色は、互いに共通である。なお、それぞれの第3のドット43の色は、黒色に対して僅かに異なっても良い。また、第3のドット43の形状は、楕円形、四角形、及び多角形のような他の形状であっても良い。
本実施形態では、第3の記録領域23において、単位長さLの1/2.5の長さの間隔(ピッチ)で、第3のドット43が形成され得る。言い換えると、単位長さL当たりに2.5個の第3のドット43が印刷され得る。このように、第3の記録領域23に複数の第3のドット43が形成されることにより、第3の記録領域23に第3の情報27が記録される。
第3のドット43の直径は、第3のドット径Dd3である。第3のドット径Dd3は、単位長さLの1/2.5の長さよりも大きい。言い換えると、第3のドット径Dd3は、第3のドット43が印刷される間隔(ピッチ)よりも大きい。また、第3のドット径Dd3は、第2のドット径Dd2よりも大きい。すなわち、第3のドット43は、第2のドット42よりも大きい。なお、第3のドット径Dd3はこれに限らない。さらに、それぞれの第3のドット43の直径は、第3のドット径Dd3に対して僅かに異なっても良い。
第3のドット径Dd3は、例えば、第3の情報27に含まれる文字の線幅に等しい。すなわち、第3の情報27に含まれる文字の線幅と等しい第3のドット径Dd3を有する複数の第3のドット43により、第3の情報27が形成される。なお、第3のドット径Dd3は、第3の情報27に含まれる文字の線幅より小さくても良い。
上述のように、カラー写真である第1の情報25を形成する第1のドット41の第1のドット径Dd1は、第2のドット径Dd2よりも小さく、且つ第3のドット径Dd3よりも小さい。第1のドット径Dd1は、小さく設定されることで、第1の情報25であるカラー写真の濃淡を形成する。
図6は、第1の実施形態のカード製造装置100を概略的に示す図である。カード製造装置100は、記録装置の一例であり、例えば、画像形成装置、印刷装置、及び印字装置とも称され得る。
図6に示すように、カード製造装置100は、搬送部101と、記録部102と、第1の移動部103と、第2の移動部104と、IC読取部105とを有する。記録部102は、例えば、画像形成部、印刷部、及び印字部、とも称され得る。第1及び第2の移動部103,104は、変更部の一例である。図6は、記録部102を二点鎖線により概略的に示される。
搬送部101は、第1乃至第3の情報25〜27が記録されるIDカード10を搬送する。搬送部101は、ベルト111と、複数のローラ112と、ステージ113と、支持部114とを有する。
IDカード10は、ベルト111に載置されて搬送される。複数のローラ112は、ベルト111を挟持するとともに、例えばモータによって駆動されることでベルト111を搬送する。ステージ113は、ベルト111に沿う板状に形成され、ベルト111を支持する。このように、ベルト111、ローラ112、及びステージ113が、IDカード10の搬送経路を形成する。支持部114は、ローラ112を回転可能に支持するとともに、ステージ113を支持する。
記録部102は、IDカード10の第1乃至第3の記録領域21〜23に、第1乃至第3の情報25〜27を記録する。記録部102は、レーザ発振器121と、コリメートレンズ122と、減衰器123と、集光レンズ124と、偏向器125と、を有する。
レーザ発振器121は、例えば、半導体レーザやYAGレーザのようなレーザ装置である。レーザ発振器121は、コリメートレンズ122に向かってレーザビームLBを発する。レーザビームLBは、コリメートレンズ122で平行光線に変換されるとともに、減衰器123でパワーを調整される。さらに、レーザビームLBは、集光レンズ124によって集光される。偏向器125は、例えばガルバノミラーを有する。偏向器125は、集光されたレーザビームLBを偏向させ、ステージ113に向かって照射させる。
図7は、第1の実施形態のレーザビームLBが照射されるIDカード10を示す断面図である。図7に示すように、記録部102は、レーザビームLBを、ステージ113の上に位置するIDカード10に照射する。記録部102は、レーザビームLBをIDカード10に照射することで、当該IDカード10に第1乃至第3の情報25〜27を記録する。なお、記録部102はこれに限らない。
図6に示す第1の移動部103は、例えばアクチュエータ、モータ、ギア、及びベルトのような種々の部品を有する機構を備え、図6に矢印で示すように、集光レンズ124を移動させる。これにより、第1の移動部103は、レーザビームLBの経路における、集光レンズ124とステージ113との間の距離を変化させる。言い換えると、第1の移動部103は、レーザビームLBの焦点の位置を変化させる。
第2の移動部104は、例えばアクチュエータ、モータ、ギア、及びベルトのような種々の部品を有する機構を備え、図6に矢印で示すように、支持部114を移動させる。これにより、第2の移動部104は、支持部114に支持されたローラ112及びステージ113と、ローラ112及びステージ113に支持されたベルト111とを、一体的に移動させる。第2の移動部104は、ベルト111、ローラ112、及びステージ113と、記録部102との間の距離を変化させる。
IC読取部105は、例えば、ステージ113の下に配置される。IC読取部105は、ステージ113を介して、当該ステージ113の上に位置するIDカード10のICチップ12との間で、情報の読み取り及び書き込みを行う。
図8は、第1の実施形態のカード製造装置100を機能的に示すブロック図である。図8に示すように、カード製造装置100は、制御部131と、記憶部132とをさらに有する。
制御部131は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を含んで構成される。制御部131は、搬送部101、記録部102、第1の移動部103、第2の移動部104、及びIC読取部105を制御する。
図8において、本実施形態に係る制御部131内に実現される機能的構成が示される。図8に示す制御部131内の各構成は、例えば、制御部131内のCPUが、ROM内に格納された印刷プログラムを実行することで実現される。
図8に示されるように、制御部131は、上記印刷プログラムを実行することで、データ入力部141と、搬送制御部142と、条件選択部143と、解像度変換部144と、印刷制御部145と、焦点制御部146と、ステージ制御部147とを実現する。
記憶部132は、例えば、RAMや、HDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)のようなストレージによって実現される。記憶部132は、種々の情報を電気的に記憶するとともに、制御部131により当該情報の読み出しや書き込みが行われる。
データ入力部141は、IDカード10に印刷される第1乃至第3の情報21〜23を含む画像情報のデータを、例えば外部のコンピュータや記憶装置から取得する。すなわち、画像情報のデータは、IDカード10に記録される第1乃至第3の情報25〜27に対応する情報である。記録部102は、当該画像情報のデータに基づいて、IDカード10の第1乃至第3の記録領域21〜23に、第1乃至第3の情報25〜27を記録する。
画像情報のデータは、例えば、ビットマップ画像のような画像データとしてデータ入力部141に入力される。画像情報のデータは、これに限らず、フォントサイズのような種々の情報を含む文字列データを有しても良い。本明細書において、画像は、写真、イラスト、及び図形のみならず、文字、数字、及び記号を含む。
データ入力部141は、画像情報のデータを、記憶部132に記憶させる。さらに、データ入力部141は、画像情報のデータを、搬送制御部142と、条件選択部143と、印刷制御部145とにそれぞれ出力する。
搬送制御部142は、搬送部101を制御し、IDカード10を搬送させる。例えば、搬送制御部142は、ローラ112を回転させることで、ベルト111に載置されたIDカード10を搬送させる。
条件選択部143は、記録部102がIDカード10に第1乃至第3の情報25〜27を記録するための条件(以下、記録条件と称する)を選択する。条件選択部143は、例えば、記憶部132に予め記憶された記録条件を読み出して選択する。なお、記録条件は、IDカード10のICチップ12に記憶され、IC読取部105が当該ICチップ12から取得しても良い。当該記録条件は、例えば、図7に示すレーザビームLBのスポット径Dsについての条件と、画像情報のデータの解像度についての条件とを含む。スポット径Dsは、記録部が記録媒体を加熱する部分の大きさの一例である。
図8に示すように、条件選択部143は、選択した記録条件を、解像度変換部144と、焦点制御部146と、ステージ制御部147とに出力する。解像度変換部144は、例えば、条件選択部143が選択した記録条件に応じて、画像情報のデータの解像度を変換する。
印刷制御部145は、画像情報のデータ及び条件選択部143が選択した記録条件に基づいて、記録部102を制御し、IDカード10に第1乃至第3の情報25〜27を記録する。例えば、印刷制御部145は、レーザ発振器121を駆動させてレーザビームLBを発させ、減衰器123を制御してレーザビームLBのパワーを調整し、偏向器125を制御してレーザビームLBの照射位置を移動させる。
焦点制御部146は、第1の移動部103を制御する。例えば、焦点制御部146は、条件選択部143が選択した記録条件に基づいて、第1の移動部103を制御し、集光レンズ124を移動させる。
ステージ制御部147は、第2の移動部104を制御する。例えば、ステージ制御部147は、条件選択部143が選択した記録条件に基づいて、第2の移動部104を制御し、支持部114を移動させる。
以下、カード製造装置100によりIDカード10に第1乃至第3の情報25〜27を記録する方法の一部について例示する。なお、IDカード10に第1乃至第3の情報25〜27を記録する方法は以下の方法に限らず、他の方法を用いても良い。
図9は、第1の実施形態の第1乃至第3の情報25〜27の記録方法の一例を示すフローチャートである。図9に示すように、まず、搬送制御部142が搬送部101に、第1乃至第3の情報25〜27が記録される前の(ブランクの)IDカード10を、当該IDカード10がステージ113の上に配置される位置まで搬送させる(S11)。当該位置において、IDカード10の端部は、ローラ112によって挟持される。なお、IDカード10が搬送される位置はこれに限らない。
次に、条件選択部143は、第1の記録領域21に印刷するか否かを判断する(S12)。言い換えると、条件選択部143は、第1の記録領域21への第1の情報25の記録が完了しているか否かを判断する。
第1の記録領域21へ印刷する場合(S12:Yes)、条件選択部143は、記憶部132から、予め当該記憶部132に記憶された、第1の記録領域21に対応した記録条件(以下、第1の記録条件と称する)を取得する(S13)。第1の記録条件は、第1の記録領域21に第1の情報25を印刷するための条件である。
次に、条件選択部143が取得した第1の記録条件に基づき、例えば、焦点制御部146が第1の移動部103を制御し、集光レンズ124を移動させる(S14)。これにより、第1の移動部103は、レーザビームLBの焦点を移動させることで、IDカード10に照射されるレーザビームLBのスポット径Dsを変化させる。
図7に示すように、スポット径Dsは、IDカード10の表面11の、レーザビームLBが照射された部分(スポットS)の直径である。スポットSは、記録部が記録媒体を加熱する部分の一例である。レーザビームLBの焦点が表面11から遠ざかるに従って、スポット径Dsは大きくなる。レーザビームLBの焦点が表面11に近づくに従って、スポット径Dsは小さくなる。
第1の記録条件として記憶されるスポット径Dsは、例えば、第1のドット径Dd1に等しい。このため、焦点制御部146は、スポット径Dsが第1のドット径Dd1となるよう、第1の移動部103を制御する。言い換えると、焦点制御部146は、記録部102が第1の記録領域21に第1の情報25を記録する場合、第1の移動部103に、スポット径Dsを第1のドット径Dd1に設定させる。このように、第1のドット径Dd1は、第1の大きさの一例である。なお、第1の記録条件として記憶されるスポット径Dsと、第1のドット径Dd1とが異なっても良い。
レーザビームLBのスポット径Dsは、ステージ制御部147によって変化させられても良い。例えば、条件選択部143が取得した第1の記録条件に基づき、ステージ制御部147が、支持部114を移動させる。これにより、レーザビームLBの焦点と、IDカード10の表面11との相対的な位置が変化し、IDカード10に照射されるレーザビームLBのスポット径Dsが変化する。このように、焦点制御部146とステージ制御部147との少なくとも一方によって、IDカード10に照射されるレーザビームLBのスポット径Dsが変化させられる。
図9に示すように、次に、解像度変換部144は、条件選択部143が取得した第1の記録条件に基づき、画像情報のデータの解像度を変更するか否かを判断する(S15)。例えば、記憶部132に記憶された画像情報のデータの解像度が、第1の記録条件として記憶される解像度と異なると判断した場合(S15:Yes)、解像度変換部144は、画像情報のデータの解像度を変更する(S16)。第1の記録条件として記憶される解像度は、第1の解像度の一例である。
図3に示すように、第1の記録条件として記憶される解像度は、単位長さL当たりに10個の第1のドット41が印刷される解像度である。第1の記録条件として記憶される解像度によって規定されるドット(ピクセル)の幅である第1のピクセル幅Dp1は、第1のドット径Dd1に等しい。なお、第1のピクセル幅Dp1と、第1のドット径Dd1とが異なっても良い。
記録部102が第1の記録領域21に第1の情報25を記録する場合に、解像度変換部144は、画像情報のデータの解像度を、第1の記録条件として記憶される解像度に変換する。なお、図9に示すように、記憶部132に記憶された画像情報のデータの解像度が、第1の記録条件として記憶される解像度と同一であると判断した場合(S15:No)、解像度変換部144は、画像情報のデータの解像度を変更しない。
次に、印刷制御部145は、画像情報のデータに基づいて印刷を行う(S17)。すなわち、印刷制御部145は、記録部102を制御し、IDカード10の第1の記録領域21に、画像情報のデータに基づいて第1の情報25を記録する。
ここで、図7を参照し、IDカード10に第1乃至第3のドット41〜43を形成する方法の一例について説明する。図7に示すように、記録部102は、IDカード10の表面11に、レーザビームLBを照射する。表面11のレーザビームLBが照射された部分(スポットS)は、レーザビームLBによって加熱される。すなわち、記録部102は、レーザビームLBを照射することで、IDカード10の一部を加熱する。
図7の複数の二点鎖線で示すように、表面11の熱は、スポットSから、保護層37、第3の発色層36、第2の断熱層35、第2の発色層34、第1の断熱層33、及び第1の発色層32に順次伝わり得る。レーザビームLBによって生じた熱により第1の温度に達した第1の発色層32の一部は、シアンに発色する。さらに、第2の温度に達した第2の発色層34の一部はマゼンタに発色し、第3の温度に達した第3の発色層36の一部はイエローに発色する。
印刷制御部145は、IDカード10に記録する第1乃至第3のドット41〜43の色に応じて、例えば、レーザビームLBのパワー及びパルス幅と、印刷速度とを変化させる。印刷制御部145は、レーザビームLBを照射する位置に応じて、レーザビームLBのパワー及びパルス幅と、印刷速度と変化させることで、種々の色のドットを形成する。
例えば、マゼンタのドットを形成する場合、印刷制御部145は、第1の発色層32の温度が第1の温度より低くなり、第2の発色層34の温度が第2の温度より高くなり、第3の発色層36の温度が第3の温度より低くなるように、レーザビームLBのパワー及びパルス幅と、印刷速度とを設定する。
具体的に例示すれば、印刷制御部145は、レーザビームLBのパワーを、スポットSの温度が第3の温度より低くなるように設定する。これにより、第3の発色層36の温度は、当該第3の発色層36が発色する第3の温度よりも、低く抑えられる。
さらに、印刷制御部145は、スポットSから広がる熱が第1の発色層32に伝わる前に、レーザビームLBの照射が終了するように、レーザビームLBのパルス幅(加熱時間)を設定する。これにより、第1の発色層32の温度が、当該第1の発色層32が発色する第1の温度に達する前に、レーザビームLBの照射が終了する。
一方、レーザビームLBのパワーは、スポットSの温度が第2の温度より高くなるように設定される。さらに、レーザビームLBのパルス幅は、スポットSから広がる熱が第2の発色層34に伝わるように設定される。このため、第2の発色層34の温度は、第2の温度よりも高くなる。
印刷制御部145は、このように設定されたレーザビームLBを記録部102に照射させることで、第2の発色層34に、発色部分Pを形成する。発色部分Pは、発色された部分の一例である。第2の発色層34にのみ発色部分Pが形成されると、当該位置に、マゼンタのドットが形成される。
第1乃至第3の発色層32,34,36のそれぞれに形成された発色部分Pが組み合わされることで、種々の色のドットが形成される。例えば、第1の発色層32のシアン(C)の発色部分Pと、第2の発色層34のマゼンタ(M)の発色部分Pと、第3の発色層36のイエロー(Y)の発色部分Pとが重ねられることで、黒色のドットが形成される。
印刷制御部145は、記録部102を制御することで、画像情報のデータの各ピクセルに対応する第1乃至第3の記録領域21〜23の各位置に、レーザビームLBを照射する。これにより、第1乃至第3の記録領域21〜23に、複数の第1乃至第3のドット41〜43が形成され、当該複数の第1乃至第3のドット41〜43により、第1乃至第3の情報25〜27が形成される。
以上説明したように、記録部102は、IDカード10の表面11の一部(スポットS)をレーザビームLBによって加熱することで、第1乃至第3の発色層32,34,36の一部に発色部分Pを形成する。記録部102は、第1乃至第3の発色層32,34,36に第1乃至第3のドット41〜43を形成する複数の発色部分Pを形成することで、第1乃至第3の記録領域21〜23に第1乃至第3の情報25〜27を記録する。
第1乃至第3のドット41〜43の第1乃至第3のドット径Dd1〜Dd3は、当該第1乃至第3のドット41〜43を形成するために照射されたレーザビームLBのスポット径Dsに大よそ等しい。すなわち、スポット径Dsが大きくなるに従って、記録部102によって形成される第1乃至第3のドット41〜43の第1乃至第3のドット径Dd1〜Dd3も大きくなる。このため、例えば焦点制御部146が、スポット径Dsの大きさを変更することで、第1乃至第3のドット径Dd1〜Dd3の大きさを変更可能である。なお、第1乃至第3のドット径Dd1〜Dd3と、当該第1乃至第3のドット41〜43を形成するために照射されるレーザビームLBのスポット径Dsとが異なっても良い。
上述のように、記録部102が第1の記録領域21に第1の情報25を記録する場合、焦点制御部146は、第1の移動部103に、スポット径Dsを第1のドット径Dd1に設定させる。これにより、第1の記録領域21に、直径が第1のドット径Dd1である第1のドット41が形成されるとともに、当該第1のドット41によって第1の情報25が形成される。
図9に示すように、次に、印刷制御部145は、IDカード10の印刷が終了したか否かを判断する(S18)。第1乃至第3の情報25〜27の記録が完了していない場合(S18:No)、条件選択部143は、第1の記録領域21に印刷するか否かの判断に戻る(S12)。
第1の記録領域21へ印刷しない場合(S12:No)、条件選択部143は、第2の記録領域22に印刷するか否かを判断する(S19)。第2の記録領域22へ印刷する場合(S19:Yes)、条件選択部143は、記憶部132から、予め当該記憶部132に記憶された、第2の記録領域22に対応した記録条件(以下、第2の記録条件と称する)を取得する(S20)。第2の記録条件は、第2の記録領域22に第2の情報26を印刷するための条件である。
次に、焦点制御部146は、条件選択部143が取得した第2の記録条件に基づいて第1の移動部103を制御し、レーザビームLBのスポット径Dsを変化させる(S14)。なお、ステージ制御部147が第2の移動部104を制御することで、レーザビームLBのスポット径Dsが変化させられても良い。
第2の記録条件として記憶されるスポット径Dsは、例えば、第2のドット径Dd2に等しい。このため、焦点制御部146は、スポット径Dsが第2のドット径Dd2となるよう、第1の移動部103を制御する。言い換えると、焦点制御部146は、記録部102が第2の記録領域22に第2の情報26を記録する場合、第1の移動部103に、スポット径Dsを第2のドット径Dd2に設定させる。上述のように、第2のドット径Dd2は、第1のドット径Dd1よりも大きい。このように、第2のドット径Dd2は、第2の大きさの一例である。なお、第2の記録条件として記憶されるスポット径Dsと、第2のドット径Dd2とが異なっても良い。
次に、解像度変換部144は、条件選択部143が取得した第2の記録条件に基づき、画像情報のデータの解像度を変更するか否かを判断する(S15)。記憶部132に記憶された画像情報のデータの解像度が、第2の記録条件として記憶される解像度と異なると判断した場合(S15:Yes)、解像度変換部144は、画像情報のデータの解像度を変更する(S16)。第2の記録条件として記憶される解像度は、第2の解像度の一例である。
図4に示すように、第2の記録条件として記憶される解像度は、単位長さL当たりに5個の第2のドット42が印刷される解像度である。第2のドット径Dd2は、第2の記録条件として記憶される解像度によって規定されるドット(ピクセル)の幅である第2のピクセル幅Dp2よりも大きい。第2のピクセル幅Dp2は、第2のドット42が印刷される間隔(ピッチ)に等しい。このため、第2のドット42の一部は、隣り合う第2のドット42の一部に重ねられる。なお、第2のピクセル幅Dp2と、第2のドット径Dd2とが同一であっても良い。
記録部102が第2の記録領域22に第2の情報26を記録する場合に、解像度変換部144は、画像情報のデータの解像度を、第2の記録条件として記憶される解像度に変換する。第2の記録条件として記憶される解像度によって規定される第2のピクセル幅Dp2は、第1のピクセル幅Dp1よりも大きい。このため、第2の記録条件として記憶される解像度は、第1の記録条件として記憶される解像度よりも低い。
図9に示すように、次に、印刷制御部145は、画像情報のデータに基づいて印刷を行う(S17)。すなわち、印刷制御部145は、記録部102を制御し、IDカード10の第2の記録領域22に、画像情報のデータに基づいて第2の情報26を記録する。
第2の情報26は黒色の文字であるため、記録部102は、第1乃至第3の発色層32,34,36のそれぞれに互いに重なる発色部分Pを形成することで、黒色の第2のドット42を形成する。記録部102は、このような第2のドット42を形成することで、第2の記録領域22に第2の情報26を記録する。
上述のように、記録部102が第2の記録領域22に第2の情報26を記録する場合、焦点制御部146は、第1の移動部103に、スポット径Dsを第2のドット径Dd2に設定させる。これにより、第2の記録領域22に、直径が第2のドット径Dd2である第2のドット42が形成されるとともに、当該第2のドット42によって第2の情報26が形成される。
次に、印刷制御部145は、IDカード10の印刷が終了したか否かを再度判断する(S18)。第3の情報27の記録が完了していないため(S18:No)、条件選択部143は、第1の記録領域21に印刷するか否かの判断に戻る(S12)。
第1及び第2の記録領域21,22へ印刷しない場合(S12:No、S19:No)、条件選択部143は、記憶部132から、予め当該記憶部132に記憶された、第3の記録領域23に対応した記録条件(以下、第3の記録条件と称する)を取得する(S21)。第3の記録条件は、第3の記録領域23に第3の情報27を印刷するための条件である。
次に、焦点制御部146は、条件選択部143が取得した第3の記録条件に基づいて第1の移動部103を制御し、レーザビームLBのスポット径Dsを変化させる(S14)。なお、ステージ制御部147が第2の移動部104を制御することで、レーザビームLBのスポット径Dsが変化させられても良い。
第3の記録条件として記憶されるスポット径Dsは、例えば、第3のドット径Dd3に等しい。このため、焦点制御部146は、スポット径Dsが第3のドット径Dd3となるよう、第1の移動部103を制御する。言い換えると、焦点制御部146は、記録部102が第3の記録領域23に第3の情報27を記録する場合、第1の移動部103に、スポット径Dsを第3のドット径Dd3に設定させる。上述のように、第3のドット径Dd3は、第2のドット径Dd2よりも大きい。このように、第3のドット径Dd3は、第2の大きさの一例である。なお、第3の記録条件として記憶されるスポット径Dsと、第3のドット径Dd3とが異なっても良い。
次に、解像度変換部144は、条件選択部143が取得した第3の記録条件に基づき、画像情報のデータの解像度を変更するか否かを判断する(S15)。記憶部132に記憶された画像情報のデータの解像度が、第3の記録条件として記憶される解像度と異なると判断した場合(S15:Yes)、解像度変換部144は、画像情報のデータの解像度を変更する(S16)。第3の記録条件として記憶される解像度は、第2の解像度の一例である。
図5に示すように、第3の記録条件として記憶される解像度は、単位長さL当たり2.5個の第3のドット43が印刷される解像度である。第3のドット径Dd3は、第3の記録条件として記憶される解像度によって規定されるドット(ピクセル)の幅である第3のピクセル幅Dp3よりも大きい。第3のピクセル幅Dp3は、第3のドット43が印刷される間隔(ピッチ)に等しい。このため、第3のドット43の一部は、隣り合う第3のドット43の一部に重ねられる。なお、第3のピクセル幅Dp3と、第3のドット径Dd3とが同一であっても良い。
記録部102が第3の記録領域23に第3の情報27を記録する場合に、解像度変換部144は、画像情報のデータの解像度を、第3の記録条件として記憶される解像度に変換する。第3の記録条件として記憶される解像度によって規定される第3のピクセル幅Dp3は、第1のピクセル幅Dp1よりも大きく、第2のピクセル幅Dp2よりも大きい。このため、第3の記録条件として記憶される解像度は、第1の記録条件として記憶される解像度よりも低く、第2の記録条件として記憶される解像度よりも低い。
図9に示すように、次に、印刷制御部145は、画像情報のデータに基づいて印刷を行う(S17)。すなわち、印刷制御部145は、記録部102を制御し、IDカード10の第3の記録領域23に、画像情報のデータに基づいて第3の情報27を記録する。
第3の情報27は黒色の文字であるため、記録部102は、第1乃至第3の発色層32,34,36のそれぞれに互いに重なる発色部分Pを形成することで、黒色の第3のドット43を形成する。記録部102は、このような第3のドット43を形成することで、第3の記録領域23に第3の情報27を記録する。
上述のように、記録部102が第3の記録領域23に第3の情報27を記録する場合、焦点制御部146は、第1の移動部103に、スポット径Dsを第3のドット径Dd3に設定させる。これにより、第3の記録領域23に、直径が第3のドット径Dd3である第3のドット43が形成されるとともに、当該第3のドット43によって第3の情報27が形成される。
次に、印刷制御部145は、IDカード10の印刷が終了したか否かを再度判断する(S18)。第1乃至第3の情報25〜27の記録が完了したと判断されると(S18:Yes)、搬送制御部142は、IDカード10を搬送する(S22)。印刷が完了したIDカード10は、例えば、カード製造装置100の外部にスタックされる。以上により、IDカード10の印刷が完了する。
第1の実施の形態に係るカード製造装置100において、制御部131は、記録部102が第1の記録領域21に第1の情報25を記録する場合、焦点制御部146及びステージ制御部147の少なくとも一方に、記録部102がIDカード10を加熱する部分の大きさ(スポット径Ds)を第1のドット径Dd1に設定させる。一方、制御部131は、記録部102が第2の記録領域22に第2の情報26を記録する場合、焦点制御部146及びステージ制御部147の少なくとも一方に、スポット径Dsを第1のドット径Dd1よりも大きい第2のドット径Dd2に設定させる。さらに、制御部131は、記録部102が第3の記録領域23に第3の情報27を記録する場合、焦点制御部146及びステージ制御部147の少なくとも一方に、スポット径Dsを第2のドット径Dd2よりも大きい第3のドット径Dd3に設定させる。このように、第1乃至第3の記録領域21〜23のそれぞれに記録される第1乃至第3の情報25〜27に応じて、スポット径Dsが変更される。スポット径Dsが大きくなるに従って、記録部102が形成するドットの大きさが大きくなり、情報を記録するための時間(印刷時間)が短縮される。従って、IDカード10への第1乃至第3の情報25〜27の記録時間が短縮されるとともに、第1の記録領域21に記録される第1乃至第3の情報25〜27の画質の低下が抑制される。
制御部131は、記録部102が第1の記録領域21に第1の情報25を記録する場合、画像情報のデータの解像度を、第1の記録条件として記憶された解像度に設定する。一方、制御部131は、記録部102が第2の記録領域22に第2の情報26を記録する場合、画像情報のデータの解像度を第1の記録条件として記憶された解像度よりも低い、第2の記録条件として記憶された解像度に設定する。さらに、制御部131は、記録部102が第3の記録領域23に第3の情報27を記録する場合、画像情報のデータの解像度を第2の記録条件として記憶された解像度よりも低い、第3の記録条件として記憶された解像度に設定する。解像度が変更された画像情報のデータに基づいて、記録部102がIDカード10に第1乃至第3の情報25〜27を記録する。これにより、複雑な制御をすることなく、第1のドット径Dd1を有する第1のドット41によって形成された第1の情報25を第1の記録領域21に記録することができ、第2のドット径Dd2を有する第2のドット42によって形成された第2の情報26を第2の記録領域22に記録することができ、第3のドット径Dd3を有する第3のドット43によって形成された第3の情報27を第3の記録領域23に記録することができる。
第2のドット径Dd2は、第2の記録条件として記憶される解像度によって規定されるドットの大きさである第2のピクセル幅Dp2よりも大きい。このため、記録部102によって第2の記録領域22に形成される第2のドット42は、隣り合う第2のドット42と部分的に重なる。したがって、複数の第2のドット42によって形成される第2の情報26の外形線がより滑らかになる。同じく、第3のドット径Dd3は、第3の記録条件として記憶される解像度によって規定されるドットの大きさである第3のピクセル幅Dp3よりも大きい。このため、複数の第3のドット43によって形成される第3の情報27の外形線がより滑らかになる。
焦点制御部146及びステージ制御部147の少なくとも一方は、スポット径Dsを変更することで、記録部102がIDカード10を加熱する部分(スポットS)の大きさを変更可能である。これにより、焦点制御部146及びステージ制御部147の少なくとも一方は、より容易に、記録部102がIDカード10を加熱する部分の大きさを変更することができ、記録部102が形成するドット(第1乃至第3のドット41〜43)の大きさを変更することができる。
制御部131は、第1の記録領域21に第1の情報25を記録し、第2の記録領域22に第2の情報26を記録し、そして第3の記録領域23に第3の情報27を記録する。これにより、スポット径Dsを変更する回数が増大することが抑制される。
以下に、第2の実施の形態について、図10を参照して説明する。なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
図10は、第2の実施の形態に係る第2の記録領域22の一部を拡大して示す平面図である。図10に示すように、第2の実施形態の第2の情報26は、複数の線51を有する。線51は、発色された部分、第1の発色された部分、及び第2の発色された部分の一例である。
複数の線51は、第2の記録領域22に形成された、黒色の線である。すなわち、複数の線51の色は、互いに共通である。図10における線51は直線状に延びるが、線51は曲線状に延びても良い。
本実施形態では、第2の記録領域22において、単位長さLの1/5の長さの間隔(ピッチ)で、線51が形成され得る。言い換えると、単位長さL当たりに5本の線51が印刷され得る。例えば、第2の記録領域22に、複数の線51と、第1の実施形態の複数の第2のドット42とが形成されることにより、第2の記録領域22に第2の情報26が記録される。
線51の幅は、第2のドット径Dd2である。すなわち、線51の幅は、第2のドット42が形成される間隔(ピッチ)よりも大きい。なお、線51の幅はこれに限らない。さらに、それぞれの線51の幅は、第2のドット径Dd2に対して僅かに異なっても良い。
線51の幅は、例えば、第2の情報26に含まれる文字の線幅に等しい。すなわち、第2の情報26に含まれる文字の線幅と等しい幅を有する複数の線51により、第2の情報26が形成される。なお、線51の幅は、第2の情報26に含まれる文字の線幅より小さくても良い。
上記のような線51は、例えば、以下のように形成される。記録部102が第2の記録領域22に第2の情報26を記録する場合に、第1の実施形態と同じく、記録部102は、IDカード10にレーザビームLBを照射する。レーザビームLBのスポット径Dsは、焦点制御部146及びステージ制御部147の少なくとも一方により、第2のドット径Dd2に設定される。
印刷制御部145は、記録部102がレーザビームLBによりIDカード10の一部を加熱する状態で、偏向器125を制御することによりレーザビームLBを偏向させる。これにより、IDカード10に照射されるレーザビームLBのスポットSが移動する。
第1乃至第3の発色層32,34,36の、レーザビームLBが照射された部分は、発色部分Pを形成する。当該第1乃至第3の発色層32,34,36に形成された発色部分Pが重ねられることで、線51の一部が形成される。スポットSが移動することで、発色部分Pが移動するスポットSに従って連続的に形成され、線51が形成される。
線51は、第2の記録領域22に限らず、第3の記録領域23に形成されても良い。第3の記録領域23に形成される線51の幅は、例えば、第3のドット幅Dd3に等しい。複数の線51と、複数の第3のドット43とにより、第3の記録領域23に第3の情報27が記録される。
第2の実施形態のカード製造装置100において、制御部131は、記録部102が第2の記録領域22に第2の情報26を記録する場合に、記録部102がIDカード10の一部をレーザビームLBにより加熱する状態で、記録部102にスポットSを移動させる。このため、記録部102によって加熱された第1乃至第3の発色層32,34,36の一部である発色部分Pは、線51を形成する。このように、記録部102によって第2の記録領域22に形成された線51によって、第2の記録領域22に第2の情報26が記録されるため、第2の記録領域22に記録された第2の情報26の外形線がより滑らかになる。
以下に、第3の実施の形態について、図11を参照して説明する。図11は、第3の実施の形態に係るIDカード10を示す断面図である。図11に示すように、第3の実施形態のIDカード10は、第4の発色層61をさらに有する。第4の発色層61は、発色部の一例であり、例えば、被記録部、被印刷部、変色部、及び層とも称され得る。
第4の発色層61は、基材31の第1の面31aを覆う。第4の発色層61は、例えば、加熱されることで、当該加熱された部分が黒色に発色する発色剤を含む、ポリカーボネートによって作られる。なお、第4の発色層61は他の材料によって作られても良い。第4の発色層61は、例えば、第4の温度に達すると、当該第4の温度に達した部分が発色する。
基材31の第1の面31a、第1の発色層32、第1の断熱層33、第2の発色層34、第2の断熱層35、第3の発色層36、及び保護層37が、第1の記録領域21を形成する。一方、基材31の第1の面31a及び第4の発色層61が、第2及び第3の記録領域22,23を形成する。
IDカード10のICチップ12に、第1の記録領域21が第1乃至第3の発色層32,34,36を含むとともに、第2及び第3の記録領域22,23が第4の発色層61を含むことを示す情報が、予め記憶される。ICチップ12はこれに限らず、例えば、第1の記憶領域21に種々の色の発色部分Pを形成するためのレーザビームLBのパワー及びパルス幅についての情報と、第2及び第3の記憶領域22,23に黒色の発色部分Pを形成するためのレーザビームLBのパワー及びパルス幅についての情報とが記憶されても良い。すなわち、ICチップ12に、第1の記録領域21と、第2及び第3の記録領域22,23とに発色部分Pを形成するための条件についての情報(以下、条件情報と称する)が、記憶される。
第3の実施形態においてカード製造装置100がIDカード10に第1乃至第3の情報25〜27を記録する場合、データ入力部141は、IC読取部105により、IDカード10のICチップ12から条件情報を取得する。データ入力部141は、当該条件情報を印刷制御部145に出力する。印刷制御部145は、取得した条件情報に基づいて、IDカード10の第1乃至第3の記録領域21〜23のそれぞれに照射するレーザビームLBのパワー及びパルス幅を設定する。
第3の実施形態のIDカード10において、第4の発色層61が第2及び第3の記録領域22,23を形成する。これにより、IDカード10の製造コストが低減するとともに、IDカード10に第2及び第3の情報26,27を形成するためのレーザビームLBのパワー及びパルス幅のような条件が単純化される。
上記複数の実施形態において、記録条件は、記憶部132に予め記憶される。しかし、記憶条件は、データ入力部141に入力される画像情報のデータに含まれても良い。さらに、記録部102は、レーザビームLBに限らず、例えば、サーマルヘッドによってIDカード10の一部を加熱しても良い。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、制御部は、変更部に、記録部が第1の領域に情報を記録する場合に当該記録部が記録媒体を加熱する部分の大きさを第1の大きさに設定させ、記録部が第2の領域に情報を記録する場合に当該記録部が記録媒体を加熱する部分の大きさを第1の大きさよりも大きい第2の大きさに設定させる。これにより、情報の記録時間を短縮できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。