JP2016168268A - 医療用長尺部材、および医療器具 - Google Patents

医療用長尺部材、および医療器具 Download PDF

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Abstract

【課題】生体器官内に存在する異物に起因して医療装置の損傷や機能の低下といった問題が発生するのを防止できる医療用長尺部材、および当該医療用長尺部材を備える医療器具を提供する。
【解決手段】挿入具100が備える本体部110は、生体器官内に導入可能に構成された可撓性を備える医療用長尺部材により構成されており、軸方向に延在するルーメン111と、ルーメンの先端側および基端側にそれぞれ形成された先端開口部113aおよび基端開口部115aと、を有し、ルーメンに面する壁部117の表面の少なくとも一部に、軸方向に沿って基端側に所定の長さだけ剥離可能な剥離部130が形成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、医療用長尺部材、および生体器官内で行われる各種の処置を行う際に使用される医療器具に関する。
従来から、内視鏡や吸引デバイス等の医療装置を生体器官(例えば、食道、気道、腸、尿管などの体腔、その他の臓器等)内へ導入し、これらの医療装置を使用して生体器官に生じた病変部を治療したり、生体器官内に存在する各種の異物を除去等したりする処置が行われている。
生体器官内へ医療装置を導入する際には、可撓性を備える長尺状の挿入部(長尺部材)が設けられたカテーテルデバイスやアクセスシース等の公知の医療器具が一般的に使用される。医療装置は、医療器具の挿入部のルーメンを介して、生体器官内の所望の位置へ送達される。
治療対象部位等や疾患の症状等に応じて、生体器官内には種々の異物が存在することがある。異物の性状(粘性等)や形状、寸法等によっては、異物が医療器具の挿入部内に進入して、そのまま挿入部内に留まってしまうことがある。また、このような状態で、医療装置を挿入部内へ挿入すると、医療装置が異物に接触(干渉)したり、医療装置に異物が付着したりすることがあり、異物の影響により、医療装置の損傷や医療装置の機能が十分に発揮され難くなるといった問題が生じる虞がある。一例として、除去対象となる結石を除去に先立って破砕することで結石破砕片を形成し、その後に抽石を行う尿路結石症の治療方法においては(下記特許文献1を参照)、治療の最中に、比較的硬質、かつ、小さな結石破砕片が医療器具の挿入部内に容易に進入し得るため、結石破砕片との接触や擦れ等により内視鏡等の医療装置に損傷が発生し易くなる。
特表2001−512355号公報
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、生体器官内に存在する異物に起因して医療装置の損傷や機能の低下といった問題が発生するのを防止できる医療用長尺部材、および当該医療用長尺部材を備える医療器具を提供することを目的とする。
本発明に係る医療用長尺部材は、生体器官内に導入可能に構成された可撓性を備える医療用長尺部材であって、軸方向に延在するルーメンと、前記ルーメンの先端側および基端側にそれぞれ形成された先端開口部および基端開口部と、を有し、前記ルーメンに面する内壁の表面の少なくとも一部に、軸方向に沿って基端側に所定の長さだけ剥離可能な剥離部が形成されている。
また、本発明に係る医療器具は、生体器官内に導入可能に構成された可撓性を備える長尺状の本体部、および前記本体部の基端部に配置されたハブを有する挿入具と、前記本体部に挿入および抜去可能に構成された挿通具と、を有する医療器具であって、前記挿入具の本体部は、軸方向に延在するルーメンと、前記ルーメンの先端側および基端側にそれぞれ形成された先端開口部および基端開口部と、を有し、前記ルーメンに面する内壁の表面の少なくとも一部に、軸方向に沿って基端側に所定の長さだけ剥離可能な剥離部が形成されている。
本発明の医療用長尺部材によれば、当該医療用長尺部材のルーメンに面する壁部(内壁)の表面に形成された剥離部を剥離することにより、ルーメン内に進入した異物を当該医療用長尺部材の外部へ排出することができる。このため、ルーメン内に挿入される各種の医療装置が異物と接触するのを防止することができ、医療装置の損傷や機能の低下といった問題が発生するのを防止できる。
図1は、第1実施形態に係る医療器具(尿管アクセスシース)を示す図であり、(A)は、医療器具が備える挿入具(ガイドシース)と挿通具(ダイレーター)を組み付ける前の状態を示す斜視図、(B)は、挿入具と挿通具を組み付けた状態の医療器具を示す斜視図である。 図2は、第1実施形態に係る挿入具を示す図であり、(A)は、挿入具を示す斜視図、(B)は、図2(A)に示す2B−2B線に沿う断面図である。 医療器具を使用して行われる処置の適用対象となる患者(生体)を模式的に示す図である。 第1実施形態に係る挿入具の作用を説明するための図であって、生体の尿管内に挿入具を挿入した状態を模式的に示す斜視断面図である。 第1実施形態に係る挿入具の作用を説明するための図であって、生体の尿管内に挿入具を挿入した状態を模式的に示す斜視断面図である。 第1実施形態に係る挿入具の作用を説明するための図であって、生体の尿管内に挿入具を挿入した状態を模式的に示す斜視断面図である。 図7は、第1実施形態の変形例1に係る医療用長尺部材を示す図であって、(A)は、医療用長尺部材を示す斜視図、(B)は、図7(A)に示す矢印7B方向から見た医療用長尺部材の正面図である。 図8は、第1実施形態の変形例2に係る医療用長尺部材を示す図であって、(A)は、医療用長尺部材を示す斜視図、(B)は、図8(A)に示す矢印8B方向から見た医療用長尺部材の正面図である。 図9は、第1実施形態の変形例3に係る医療用長尺部材を示す図であって、(A)は、医療用長尺部材を示す斜視図、(B)は、図9(A)に示す矢印9B方向から見た医療用長尺部材の正面図である。 図10は、第2実施形態に係る医療用長尺部材を示す図であって、(A)は、医療用長尺部材を示す斜視図、(B)は、図10(A)に示す矢印10B方向から見た医療用長尺部材の正面図である。 第2実施形態の変形例1に係る医療用長尺部材を示す斜視図である。 図12は、第2実施形態の変形例1に係る医療用長尺部材を示す図であって、(A)は、図11に示す矢印12A方向から見た医療用長尺部材の正面図、(B)は、医療用長尺部材の展開図である。 第2実施形態の変形例2に係る医療用長尺部材を示す斜視図である。 図14は、第2実施形態の変形例2に係る医療用長尺部材を示す図であって、(A)は、図13に示す矢印14A方向から見た医療用長尺部材の正面図、(B)は、医療用長尺部材の展開図である。
以下、各図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
<第1実施形態>
図1および図2は、第1実施形態に係る医療器具の各部の構成を示す図であり、図3は、医療器具を使用した処置の適用対象となる生体(患者)を模式的に示す図、図4〜図6は、医療器具の使用例および作用の説明に供する図である。
実施形態の説明では、尿路結石症の治療に適用した例を通じて実施形態に係る医療用長尺部材および医療器具を説明する。
まず、図3を参照して、尿路結石症およびその治療方法について説明する。
尿路結石は、腎臓の腎盂腎杯540、尿管530、膀胱520、尿道510などの尿路に存在する結石である。尿路結石は、腎臓や尿管530に存在する上部尿路結石と、膀胱520から尿道510の出口(外尿道口)の間に存在する下部尿路結石とに大別される。
尿路結石症とは、腎臓(腎盂腎杯540)内に形成された尿路結石が尿管530に移動して、尿路結石が尿管530の内面を傷つけることで痛みや血尿が生じたり、尿路結石が尿管530を閉塞することで一過性の水腎症状態が引き起こされて、腰背から側腹部にかけて激しい痛み(疝痛)が生じたりする疾患である。尿路結石症の症状の緩和や治療を図る方法として、尿路結石を除去することが有効な手段とされており、近年は、外科的な処置で積極的に尿路結石の除去を図る積極的除去法が利用されている。
積極的除去法には、主として、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、経尿道的結石破砕術(TULまたはURS)、および経皮的結石破砕術(PNLまたはPCNL)がある。また、TULには硬性腎盂尿管鏡(以下、「硬性鏡」とする)を用いるr−TUL(またはr−URS)と、軟性腎盂尿管鏡(以下、「軟性鏡」とする)を用いるf−TUL(またはf−URS)がある。
上記のTULでは、硬性鏡や軟性鏡を用いて尿路結石を破砕する装置(例えば、レーザ破砕装置等)を、尿道510、膀胱520、尿管530を経由させて、尿管530内や腎盂腎杯540内の尿路結石に到達させて、生体内で尿路結石を直接的に破砕することができ、その後の抽石作業も効率よく行うことができる。このため、TULを採用することにより、ESWLやPNLを採用する場合と比較して、尿管530や腎臓等へのダメージを抑えると共に、高い結石除去率(stone free rate)を実現することが可能になる。
ただし、尿路結石を破砕した後は、腎盂腎杯540や尿管530内に結石破砕片が存在することになる。そのため、破砕後に引き続き抽石作業を行う際に、この結石破砕片により内視鏡(硬性鏡、軟性鏡)や抽石装置といった各種の医療装置の破損や機能の低下が招かれる虞がある。本実施形態に係る医療器具10は、このような問題の発生を未然に防止することを可能にするものである。なお、以下の説明では、上部尿路結石、およびその破砕片を結石破砕片Kと称する。
医療器具10について説明する。
図1(A)、(B)を参照して、医療器具10は、腎盂腎杯540や尿管530等の生体器官内に各種の医療装置を導入するための尿管アクセスシースとして構成している。医療器具10は、生体器官内に導入可能に構成された可撓性を備える長尺状の本体部(「医療用長尺部材」に相当する)110および本体部110の基端部115に配置されたハブ120を有する挿入具100と、挿入具100の本体部110に挿入および抜去可能に構成された挿通具200と、を有している。
挿入具100は、生体外部から生体内の所望の部位へ医療装置を送達するアクセス経路を確保するために使用されるものであり、医療分野において一般的にガイドシースと称される。挿通具200は、挿入具100を尿道510や尿管530内へ導入する際に、その導入を補助するためのものであり、医療分野において一般的にダイレーターと称される。
明細書の説明においては、挿入具100の生体内に挿入される側を先端側と称し、挿入具100の手元側(ハブ120が配置される側)を基端側と称する。また、図中に示すX1軸は、挿入具100の本体部110の奥行き方向を示し、Y1軸は、挿入具100の本体部110の軸方向(延伸方向)を示し、Z1軸は、挿入具100の本体部110の高さ方向を示す。なお、先端部および先端側は、先端端部から基端側に亘る所定の範囲を意味するものであり、先端端部のみを意味するものではない。同様に、基端部および基端側は、基端端部から先端側に亘る所定の範囲を意味するものであり、基端端部のみを意味するものではない。
図1(A)、図2(A)、図2(B)に示すように、挿入具100の本体部110は、軸方向に延在するルーメン111と、ルーメン111の先端側および基端側にそれぞれ形成された先端開口部113aおよび基端開口部115aと、を有している。そして、ルーメン111に面する壁部117の表面(本体部110の内壁面)の少なくとも一部には、本体部110の軸方向に沿って基端側に所定の長さだけ剥離可能な剥離部130が形成されている。
剥離部130は、本体部110のルーメン111内に進入した結石破砕片Kを、ルーメン111の外部へ排出する機能を有している。図4〜図6に示すように、剥離部130は、ルーメン111内に結石破砕片Kが進入した状態で、本体部110の基端側へ所定の長さだけ剥離されることにより、結石破砕片Kを本体部110の先端部113側から本体部110の基端開口部115aまで移動させる。
図2(B)に示すように、剥離部130は、本体部110の壁部117の表面(表層)の一部により構成している。つまり、剥離部130は、本体部110と一体的に形成している。本実施形態においては、壁部117の表面に剥離部130を形成する方法として、壁部117の分子量を調整して壁部117の一部を剥離可能にする方法を採用している。分子量の調整は、例えば、壁部117に対して放射線照射(例えば、ガンマ線照射や電子線照射)により行うことができる。
壁部117の表面に剥離部130を形成する方法は上記の方法に限定されず、例えば、剥離部130を形成する部材を物理的に剥離し得るように壁部117に固着させる方法を採用することも可能である。一例として、壁部117の表面に剥離部130を構成する薄膜状の部材を熱融着や接着して取り付けたり、縫合糸等の部材を使用して取り付けたりする方法を採用することができる。また、剥離部130を形成する他の方法として、例えば、複数の層を備えるように本体部110を構成し、壁部117の表面に形成した切れ目(スリット)に沿って表層部分を剥離可能に構成する方法を採用することもできる。
なお、剥離部130の先端部133は、後述する操作部140を介して引っ張り力が伝えられる初期段階に剥離の起点を形成するように、当該剥離部130の他の部位よりも剥離し易く構成することができる。
本体部110は、可撓性を有する中空状の部材(医療用長尺部材)で構成されている。本体部110を構成する材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種の軟質または硬質樹脂、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマーを使用することができる。
剥離部130を本体部110の壁部117と別部材で構成する場合(別部材を壁部117に固着させる場合)、剥離部130を構成する材料として、例えば、上記の各材料と同様の材料を用いることが可能である。
図2(A)に示すように、剥離部130は、本体部110の軸方向に所定の長さを有するように延在している。剥離部130の先端部133は、本体部110の先端部113付近に配置されており、剥離部130の基端部135は、本体部110の基端開口部115aの周辺に配置されている。
適用対象となる生体器官が腎臓や尿管530である場合、本体部110の各部の寸法は、例えば、以下のように設定することが可能である。本体部110の長さ(軸方向の長さ)は、例えば、100〜700mmに、より好ましくは250〜550mmに形成することができる。本体部110の外径は、例えば、3.3〜6.6mmに、より好ましくは4.3〜5.5mmに形成することができる。本体部110の内径は、例えば、2.3〜6.4mmに、より好ましくは3.1〜4.6mmに形成することができる。剥離部130の長さ(軸方向の長さ)は、例えば、100〜700mmに、より好ましくは250〜550mmに形成することができ、厚みは、0.05〜2.0mmに、より好ましくは0.1mm〜0.4mmに形成することができる。また、剥離部130の先端部133は、本体部110の先端端部(先端面)から250mm離間した位置の間で形成することができる。
剥離部130の先端部133および基端部135の位置は特に限定されず、例えば、後述する変形例において示すように、先端部133を本体部110の先端開口部113a付近に配置することも可能である(図7(A)等を参照)。
図2(B)に示すように、剥離部130は、本体部110の軸直交断面(Y1−Z1断面)における底部119側に位置する部分に形成することができる。本体部110の底部119とは、本体部110を生体器官内に導入した際に、当該本体部110に作用する重力方向の下流側に位置する部分である。
本体部110の上部(上面)、底部(下面)119、側部(側面)は、挿入具100を使用する際の使用者の手の向きや把持の仕方などにより適宜入れ替わるが、本実施形態においては、図2(A)や図4に示すように、通常の使用状態(生体内に導入した状態)において重力が作用して結石破砕片Kが保持される部分を底部119と定義する。例えば、図2(B)に示すように、軸直交断面上の0°〜−180°の範囲(θ1の範囲)を底部119として、このような範囲に亘って剥離部130を形成することができ、−45°〜−135°の範囲(θ2の範囲)を底部119として、このような範囲に亘って剥離部130を形成することがより好ましい。
使用者が挿入具100を使用する際に、手元側に配置されるハブ120により、剥離部130が形成された周方向の位置を確認することができるようにするために、例えば、ハブ120に剥離部130の位置を示す目印(マーカーや突起)を設けることができる。
図2(A)、図4に示すように、挿入具100には、剥離部130を剥離する作業を、使用者が手元の操作で実施するのを可能にする操作部140を設けている。
操作部140は、剥離部130に取り付けられる取り付け部143と、取り付け部143から基端側へ延在し、本体部110のルーメン111を介して基端開口部115aの外部へ導出される延在部145と、を備えている。
操作部140は、本体部110の軸方向に延在した長尺状の部材により構成している。操作部140の取り付け部143は、剥離部130の先端部133に固着している。固着方法は、操作部140および剥離部130の材質等を考慮した上で、接着や融着等の公知の方法を採用することができる。図4に示すように、操作部140の取り付け部143は、剥離部130に対して固着する部分の面積がある程度確保されるようにするために、先端側に向けて幅方向(Y1方向)に広がるテーパー形状に形成している。
延在部145は、剥離部130の剥離を開始する前の状態で本体部110から導出されており、剥離を開始する際に使用者が手指Hにより把持することが可能に構成される。延在部145の長さ(軸方向の長さ)、つまり、剥離を開始する前の状態で本体部110から導出される部分の長さは、例えば、図1(A)に示すように、挿入具100のハブ120から所定の長さだけ導出されるように設定することができる。例えば、延在部145の長さは、20〜100mmに形成することができる。
図4および図5に示すように、使用者は、剥離部130の剥離を開始する際、操作部140の延在部145を手指Hで軸方向の基端側へ向けて引っ張る(牽引する)操作を行う(図中の矢印Pを参照)。この操作を行うことにより、剥離部130において操作部140の取り付け部143が固着された部分(先端部133)を起点にして、剥離部130を捲り上げながら、基端部115側へ剥離することが可能になる。なお、剥離部130は、操作部140を軸方向に直線状に引っ張る操作以外の操作で剥離を開始するように構成することができ、例えば、手元で操作部140を捻って回転させることで剥離を開始したり、操作部140を先端部133側へ向けて押し込むことで剥離を開始したりするように構成してもよい。
操作部140を構成する材料としては、手元側で操作した際の操作力を取り付け部143側へ伝達することが可能であれば特に限定されないが、例えば、塩化ビニル、ポリウレタンエラストマー、ポリスチレンエラストマー、スチレンーエチレンーブチレンースチレン共重合体(SEBS)、スチレンーエチレンープロピレンースチレン共重合体(SEPS)などの熱可塑性エラストマー、ナイロン、PETなどの熱可塑性樹脂、またはゴム、シリコーンエラストマーなどの熱硬化性樹脂、絹糸、木綿糸、セルロースファイバーなどの繊維材、SUS線、銅線、チタン線、ナイチノール線などの金属材、または、これらを適宜組み合わせたものを使用することができる。
図4に示すように、操作部140は、剥離部130を剥離させる際に付与される力により固定を解除する仮固定部150を介して、壁部117の表面に固定することができる。
仮固定部150は、操作部140を介して不用意に伝達される外力によって剥離部130の剥離が意図せずに開始されるのを防止する。また、仮固定部150は、操作部140が本体部110内でばたつくことにより使用時の取扱いが煩雑になったり、医療装置をルーメン111内に挿入する際に操作部140が医療装置と干渉して撓んだり、位置ずれしたりするのを防止する。図4に示すように、仮固定部150は、例えば、操作部140の取り付け部143側の複数箇所に設けることができるが、その設置数や設置位置等は特に限定されるものではない。
仮固定部150は、例えば、接着や融着等の公知の固定方法により、操作部140を本体部110の壁部117に対して直接的に固定した部分で構成することが可能である。また、公知の樹脂材料を紐状に加工した部材を操作部140に対して固定し、この固定した部分によって構成することも可能であるし、壁部117に喰い込むことで操作部140を機械的に固定する係止部材や縫合により固定力を作用させる縫合糸などを利用して仮固定部150を構成することも可能である。
操作部140を基端側へ引っ張る操作により、仮固定部150による固定の解除と、剥離部130の剥離の開始とが順になされるようにするために、「剥離部130の剥離を開始するのに要する引っ張り力>仮固定部150の固定を解除するのに要する引っ張り力」の関係が満たされるように仮固定部150の固定力を調整することができる。
図1および図2(A)に示すように、挿入具100が備えるハブ120は、内部が中空に形成されており、操作部140の延在部145が挿通して配置される。ハブ120は、使用者が挿入具100や医療器具10を使用する際に、手指等により把持することが可能に構成される。
図1(A)に示すように挿通具200は、本体部210の基端部215側に配置されたハブ220を有している。図1(B)に示すように、挿入具100と挿通具200は、一体的に組み付けた状態で使用することができる。組み付けを行う際は、挿入具100の本体部110のルーメン111内に挿通具200の本体部210を挿通させる。各ハブ120、220同士は、上記の組み付け作業により機械的に着脱可能に固定される。
挿通具200の本体部210は、その先端部213が先端側に向けて先細るテーパー形状に形成されている。図1(B)に示すように、挿入具100の本体部110に挿通具200の本体部210を挿通させると、挿通具200の本体部210の先端部213が所定の長さだけ挿入具100の本体部110から露出して配置される。挿通具200の先端部213により、生体内への導入および生体内での移動がガイドされるため、挿入具100および挿通具200を組み付けて一体化させることにより、挿入具100の先端部113を生体内の所望の位置へ円滑に送達することが可能になる。さらに一体化させることにより、挿入具100および挿通具200からなる全体の剛直性が増すため、挿入具100の先端部113を生体内の所望の位置へ円滑に送達することが可能になる。挿入具100の先端部113を所望の位置へ送達した後、挿通具200を挿入具100から分離して取り外すと、挿入具100の本体部110のルーメン111を介して、各種の医療装置等を生体内へ導入することが可能になる。
挿入具100のハブ120の構成、挿通具200のハブ220の構成、挿通具200の各部を構成する材料の材質、特に説明のなかった他の構成等は、例えば、公知の尿管アクセスシースと同様に構成することができる。
次に、挿入具100の使用例および作用について説明する。
ここでは、尿路結石症に罹患した患者500において、硬性鏡で到達可能な尿管530の下部尿管にあたる領域に結石が存在し、かつ、硬性鏡では到達困難であるが、尿管530の軟性鏡では到達可能な上部尿管にあたる領域にも結石が存在する患者500に対する処置例を説明する。このような症例では、先に下部尿管の結石を除去した後、上部尿管の結石を除去することが行われる。なお、図5においては、下部尿管の結石を除去した後、上部尿管の結石を除去する際の状況を模式的に示している。
まず、図3に示す尿路結石症に罹患した患者500に対して、泌尿器系で一般的に用いられる膀胱鏡(軟性鏡または硬性鏡)を使用して、医療分野において広く知られたガイドワイヤを、尿道510および膀胱520を介して尿管530または腎盂腎杯540に導入する。
次に、硬性鏡を挿入して、尿管530の内壁や尿管530内の結石を観察する。この際、硬性鏡とともにバスケット鉗子等の公知の抽石装置を併用して、結石を除去することが可能である。
また、硬性鏡とともにホルミウム・ヤグレーザー等の破砕装置を併用して、比較的大きく除去が困難な結石を破砕して、結石破砕片Kを形成することができる。結石破砕片Kは、例えば、バスケット鉗子等を使用して除去することができる。その後、硬性鏡を生体内から適宜抜去する。
次に、ガイトワイヤを介して、医療器具(尿管アクセスシース)10を、尿道510および膀胱520を経由させて尿管530または腎盂腎杯540に導入する。医療器具10は、導入に先立って挿入具(ガイドシース)100と挿通具(ダイレーター)200とを組み付けた状態で準備しておく。
挿入具100の本体部110の先端部113が除去対象となる結石破砕片K付近まで導入された後、挿入具100と挿通具200とを分離させて、挿通具200を生体外へ抜去する。そして、挿入具100の本体部110のルーメン111を介して生体内に軟性鏡を挿入し、結石の観察を行う。ガイドワイヤは、適宜抜去してもよい。
ここで、図4に示すように、挿入具100を尿管530内に導入した状態で、挿入具100の本体部110のルーメン111から挿通具200を抜去すると、ルーメン111が空の状態となるため、本体部110の先端開口部113aを介して結石や結石破砕片Kが進入することがある。
特に、尿路結石症の治療時には、本体部110の開口部113が生体の上部側(腎盂腎杯540側)に向くように配置されるうえに、尿管530内には尿道510へ向けて流下する尿が存在するため、結石破砕片Kがルーメン111内に進入し易い。また、術中に軟性鏡や硬性鏡等の内視鏡から尿路内に供給された灌流水は、内視鏡外側面と、尿路内壁面や尿管アクセスシース内壁面間の隙間が狭いことから、内視鏡を尿路や尿管アクセスシースに挿入した状態では排出されにくく、尿路内に溜まった状態となる。このような場合、尿路の容積や、腎盂腎杯540の拡張能が限られていることから、内視鏡を尿路や尿管アクセスシースから引き抜いた際に、溜まった灌流水が腎盂腎杯540から尿道510へ向けて流下する。この流れによっても、結石破砕片Kがルーメン111内に進入し易い。ルーメン111内に結石破砕片Kが進入した状態で、軟性鏡等の医療装置をルーメン111内に挿入すると、医療装置が結石破砕片Kと接触して、医療装置に傷やリーク等の破損が生じる虞がある。また、治療時には、患者の症状や処置の内容に応じて、軟性鏡、硬性鏡、抽石装置、破砕装置等の医療装置を複数回に亘って使用することがあるため、これらの医療装置を本体部110のルーメン111内で繰り返し移動させたり、ルーメン111内外への出し入れを繰り返し行ったりすると、結石破砕片Kが医療装置と擦れる可能性が高くなる。また、尿管530内などに血餅が生じている場合、この血餅がルーメン111内に入り込み、ルーメン111内に挿入される医療装置に付着して、医療装置の機能を低下させる虞がある。例えば、粘性のある比較的軟質な血餅が膀胱鏡(軟性鏡、硬性鏡)の先端に位置する撮像面に付着して撮像視野が狭められたり、血餅がバスケット鉗子に付着してバスケット鉗子の把持動作が円滑に行われ難くなったり、破砕装置のレーザ出射部に血餅が付着して十分な出力エネルギーを得ることができないなどの問題が発生し得る。
図5に示すように、本実施形態に係る挿入具100においては、剥離部130を剥離する作業を行うことで、結石破砕片Kや血餅等の異物をルーメン111の外部へ排出することができる。使用者が、ハブ120の外部に導出された操作部140の延在部145を基端側へ向けて引っ張ると、剥離部130の剥離が開始される。剥離部130は、その先端部133の側から捲り上げられるようにして剥離される。この際、剥離部130の剥離された部分と本体部110の壁部117との間には、結石破砕片Kを保持しながら結石破砕片Kを基端側へ移動させる保持部138が形成される。血餅が本体部110のルーメン111内に存在する場合、剥離部130により、結石破砕片Kとともに血餅も基端側へ移動させることができる。
図6に示すように、剥離部130を基端側へ引っ張り続けると、結石破砕片Kが本体部110の基端開口部115aを介してルーメン111の外部へ排出される。結石破砕片Kは、本体部110からハブ120内へ移送される。ハブ120には、例えば、結石破砕片Kを一時的に収容する着脱可能な容器を付加したり、結石破砕片Kをハブ120の外部へ取り出すための開口部を付加したりすることが可能である。また、ハブ120自体を本体部110から着脱可能に構成して、ハブ120を結石破砕片Kを一時的に保管する容器として利用してもよい。
剥離部130を使用して、手元の操作で異物を除去することができるため、異物の除去に際して挿入具100の本体部110を生体の外部へ取り出す必要がない。このため、挿入具100の本体部110のルーメン111内に進入した結石破砕片Kや血餅等の異物を除去した後、処置を引き続き継続して実施することができる。また、本体部110に形成した剥離部130は、本体部110内に進入した結石等の異物を除去する、つまり、生体外へ異物を排出する機能を有しているため、剥離部130を剥離させる操作を行うことにより、手技時間の短縮化を図ることも可能になる。
挿入具100を介して生体内に導入した軟性鏡を使用して観察を行った結果、挿入具100を挿通することが困難な大きさの結石が発見された場合、軟性鏡とホルミウム・ヤグレーザー等の破砕装置を併用して、結石を破砕して、結石破砕片Kを再び形成する。結石破砕片Kは、バスケット鉗子等の抽石装置を使用して除去する。
以上説明した一連の処置を適宜繰り返し実施することにより、結石の除去を完了させる。なお、本実施形態に係る尿路結石症の治療方法において、「結石および結石破砕片Kを除去する処置」には、これらの結石を、生体内の発生した部位(腎盂腎杯540、尿管530)から生体外へ直接的に取り出す処置や、生体内の発生した部位から生体内の他の部位へ移動させる処置(リポジショニング)を含み得る。また、リポジショニングとしては、例えば、異なる腎盂腎杯540間での移動や、腎盂腎杯540および尿管530から膀胱520への移動が含まれる。
上述した尿路結石症の治療方法は、(i)除去対象となる尿路結石を破砕して結石破砕片を形成し、(ii)医療器具の本体部の先端開口部を結石破砕片付近まで送達し、(iii)医療器具の本体部のルーメンを介して医療装置を導入し、(iv)医療装置による処置を実施し、(v)医療器具の本体部のルーメン内に進入した結石破砕片を、本体部の内壁に形成された剥離可能な剥離部を剥離することにより、ルーメンの外部へ排出する、ことを含む。また、上記(iii)における医療装置には、軟性鏡、硬性鏡、破砕装置、および抽石装置のうちの少なくとも一つが含まれ、上記(iv)における処置には、軟性鏡による生体内の観察、硬性鏡による生体内の観察、破砕装置による結石の破砕、および抽石装置による結石の除去のうちの少なくとも一つが含まれる。
以上、本実施形態に係る挿入具100が備える本体部(医療用長尺部材)110によれば、当該本体部110のルーメン111に面する壁部(内壁)117の表面に形成された剥離部130を剥離することにより、ルーメン111内に進入した結石破砕片K等の異物を当該本体部110の外部へ排出することができる。このため、ルーメン111内に挿入される各種の医療装置が異物と接触するのを防止することができ、医療装置の損傷や機能の低下、また生体組織の損傷といった問題が発生することを防止できる。
また、剥離部130に取り付けられる取り付け部143と、取り付け部143から基端部115側へ延在し、本体部110のルーメン111を介して基端開口部115aの外部へ導出される延在部145と、を備える操作部140を有するため、手指等により操作部140を引っ張る簡単な操作で剥離部130の剥離を実施することができ、剥離部130による異物の除去を簡単かつ迅速に行うことが可能になる。
また、剥離部130は、その基端部135が本体部110の基端開口部115aの周辺に位置するように軸方向に延在しており、操作部140は、剥離部130を剥離させる際に付与される力により固定を解除する仮固定部150を介して壁部117の表面に固定されているため、使用前の段階で剥離部130の剥離が意図せずに開始されたり、操作部140が本体部110内でばたつくことにより使用時の取扱いが煩雑になったり、医療装置をルーメン111内に挿入する際に操作部140が医療装置と干渉して撓んだり、位置ずれしたりすることを防止することができる。
また、剥離部130は、軸直交断面における底部119側に位置する部分に形成されているため、使用時に作用する重力の影響により、壁部117において剥離部130が形成された位置に異物が集まり易くなる。このため、剥離部130による異物の除去をより一層効率良く実施することが可能になる。
また、医療装置を生体内に導入する際、医療装置と異物との接触により、医療装置の破損や機能の低下が招かれるのを防止する医療器具(尿管アクセスシース)100を提供することができる。
<変形例>
次に、上述した第1実施形態の変形例を説明する。変形例の説明においては、既に説明した部材と同一の部材、また同様に構成し得る点についてはその説明を適宜省略する。
図7には、第1実施形態の変形例1に係る医療用長尺部材310を示す。図7(A)は、医療用長尺部材310の斜視図、図7(B)は、図7(A)に示す矢印7B方向から見た矢視図である。
医療用長尺部材310においては、軸直交断面における0°〜−180°の範囲(θ1の範囲)を底部119として、この範囲に亘って剥離部130を形成している。医療用長尺部材310の周方向の比較的広い範囲に亘って剥離部130を形成しているため、剥離による異物の除去をより一層効率良く実施することが可能になる。また、使用時には、重力の影響により、多くの異物が剥離部130が形成された部分に集まることになるため、異物をルーメン111内に残留させることなく、ルーメン111の外部へ排出させることが可能になる。
図8には、第1実施形態の変形例2に係る医療用長尺部材320を示す。図8(A)は、医療用長尺部材320の斜視図、図8(B)は、図8(A)に示す矢印8B方向から見た矢視図である。
医療用長尺部材320においては、剥離部130が、剥離の起点となる先端部133側から基端部135側へ向けて面積が徐々に大きくなるように形成されている。したがって、剥離部130を剥離させる際に、剥離される部分の面積が基端側へ向かうに連れて徐々に広がるため、結石破砕片K等の異物を巻き込みながら基端側へ移動させることができる。ルーメン111内での異物の移動が円滑に行われるようになるため、異物の除去をより一層効率良く実施することが可能になる。
図9には、第1実施形態の変形例3に係る医療用長尺部材330を示す。図9(A)は、医療用長尺部材330の斜視図、図9(B)は、図9(A)に示す矢印9B方向から見た矢視図である。
医療用長尺部材330においては、壁部117の肉厚方向に層状に重ねて配置された複数の剥離片130a、130bを有するように剥離部130が構成されている。また、各剥離片130a、130bは、それぞれが個別に剥離可能に構成されている。壁部117において表層側に配置された剥離片は第1剥離片130aと称し、第1剥離片130aの表面に重ねて配置された剥離片は第2剥離片130bと称する。
各剥離片130a、130bは、それぞれが剥離部130と同様の機能を備えている。つまり、本体部110の軸方向に沿って各剥離片130a、130bを剥離することにより、本体部110のルーメン111内に進入した各種の異物をルーメン111の外部へ排出することができる。また、各剥離片130a、130bが個別に剥離可能であるため、一度の手技中に複数回に亘って剥離を行うことが可能になり、異物の除去をより一層効率良く実施することが可能になる。なお、各剥離片130a、130bは、前述した剥離部130の形成方法と同様の方法で形成することが可能である。
図示例においては、剥離部130が二つの剥離片130a、130bを有するように構成しているが、剥離部130に備えられる剥離片の個数は特に限定されない。例えば、三つ以上の剥離片を備えるように剥離部を構成することが可能である。また、各剥離片は、例えば、図示するように互いに同一の位置や形状に形成されていなくてもよく、剥離片ごとに位置や形状を異ならせることが可能である。
また、例えば、各剥離片130a、130bの剥離を前述した操作部140により操作可能に構成する場合は、各剥離片130a、130bの先端部の位置を軸方向に異ならせるように配置し、第1剥離片130aの先端部を第2剥離片130bから露出するように配置する。この露出した部分に操作部140を取り付けて、操作部140を本体部110から引き出して配設することにより、第2剥離片130bよりも内層側に位置する第1剥離片130aの剥離を手元の操作で実施することが可能になる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る医療用長尺部材を説明する。第2実施形態の説明においては、既に説明した部材と同一の部材、また同様に構成し得る点等についてはその説明を適宜省略する。
図10には、第2実施形態に係る医療用長尺部材340を示す。図10(A)は、医療用長尺部材340の斜視図、図10(B)は、図10(A)に示す矢印10B方向から見た矢視図である。
医療用長尺部材340には、ルーメン111内に挿通される医療装置450を壁部117から離間させるガイド部410が設けられている。
ガイド部410は、壁部117に形成した凹状の溝部により構成している。ガイド部410は、内視鏡等の医療装置450がルーメン111内に挿入された際に、医療装置450と壁部117との間に隙間部(クリアランス)gを形成する。この隙間g内に結石等の異物が保持されるため、医療装置450と異物とが接触するのを防止することができる。なお、医療装置をルーメン111内で軸方向に移動させる操作を行うことで、異物を隙間g内へ積極的に誘導させることも可能である。この際、溝部は医療用長尺部材340において重力が作用する方向に配置されているため、医療装置450と結石等の異物との物理的な接触や、医療装置450のルーメン111内への出し入れによって形成される、ルーメン111内に存在する流体の対流によって、結石等の異物を隙間g内に誘導することができる。
剥離部130は、隙間部gに臨む位置(隙間部gに面する位置)に形成している。図示例では、ガイド部410を構成する溝部の表面に剥離部130を形成している。剥離部130を剥離させる操作を行うことで、隙間部g内に保持された異物を効率良く除去することが可能になる。さらに、剥離部130を剥離させる際に、ガイド部410を構成する溝部の側面が障壁となり、異物が隙間gから飛び出てルーメン111内に散乱するのを防止することができるため、ルーメン111内に異物が残留するのを好適に防止することができる。
なお、ガイド部410を構成する溝部の数は、特に限定されず、例えば、医療用長尺部材340の周方向に沿って複数形成することも可能である。
<変形例>
次に、上述した第2実施形態の各変形例を説明する。変形例の説明においては、既に説明した部材と同一の部材、また同様に構成し得る点についてはその説明を適宜省略する。
図11、図12には、第2実施形態の変形例1に係る医療用長尺部材350を示す。図11は、医療用長尺部材350の斜視図、図12(A)は、図11に示す矢印12A方向から見た矢視図、図12(B)は、医療用長尺部材350の展開図である。
医療用長尺部材350においては、ガイド部420を構成する溝部が、軸方向に沿って螺旋状に延在している。このように溝部が螺線状に延在していると、医療装置450をルーメン111内で移動させた際に、異物が溝部内で軸方向に容易に移動するため、溝部の各部に異物を誘導することができる。つまり、溝部全体に行き渡らせるようにして異物を保持させることが可能になるため、ルーメン111に異物が溢れ出るのを防止することが可能になる。
図12(A)、(B)に示すように、剥離部130は、隙間部gに臨むように、螺旋状に形成された溝部の表面に形成している。このため、剥離部130を剥離させる操作を行うことで、隙間部g内に保持された異物を効率良く除去することが可能になる。
図13、図14には、第2実施形態の変形例2に係る医療用長尺部材360を示す。図13は、医療用長尺部材360の斜視図、図14(A)は、図13に示す矢印13A方向から見た矢視図、図14(B)は、医療用長尺部材360の展開図である。
医療用長尺部材360においては、壁部117から突出する凸部により、ルーメン111内に挿通される医療装置450を壁部117から離間させるガイド部430を構成している。
ガイド部430を構成する凸部は、壁部117から径方向の内方に向けて突出した形状を有しており、先端部113から基端部115に沿って軸方向に延在している。また、凸部は、壁部117の周方向に沿って互いに均等な間隔(周方向に120°の位相)を空けて三つ設置している。
図14(A)に示すように、ルーメン111内に医療装置450を挿入すると、ガイド部430を構成する凸部により、医療装置450が壁部117から離隔して配置される。また、隣接する凸部の間には、異物を保持可能な溝状の隙間部gが区画される。隙間部g内に異物が保持されることにより、医療装置450と異物とが接触するのを防止することが可能になる。
図14(A)、図14(B)に示すように、剥離部130は、隙間部gに臨む位置、具体的には、各凸部の間に延在する壁部117の表面に設けている。剥離部130は、各凸部で周方向に区切られており、各凸部間に位置する剥離部130は、それぞれが個別に剥離可能に構成されている。つまり、剥離部130は、壁部117の周方向に沿って三つ設けられている。
剥離部130を剥離させる操作を行うことで、隙間部g内に保持された異物を効率良く除去することが可能になる。また、剥離部130を剥離させる際に、異物が隙間gから飛び出てルーメン111内に散乱することを防止することができるため、ルーメン111内に異物が残留することを好適に防止することができる。
さらに、剥離部130が周方向に沿って複数設けられているため、比較的広い範囲に亘って剥離部130による異物の除去を行うことが可能になる。また、医療用長尺部材360を使用する際に、回転させる操作を行うことで、周方向の各部に配置された剥離部130を底部119側に適宜配置することが可能になるため、重力の作用により異物を剥離部130に容易に誘導することが可能になり、異物の除去を効率良く行うことができる。
なお、ガイド部430を構成する凸部の個数、各凸部間の間隔、形状、寸法等、周方向に配置された剥離部130の個数等は、本変形例において図示により説明したものに限定されることはない。また、ガイド部430と周方向に分割された剥離部130の両方が設けられた医療用長尺部材360を例示したが、ガイド部430および周方向に分割された剥離部130のいずれか一方のみを有する医療用長尺部材を構成することも可能である。また、ガイド部430は、前述したガイド部420と同様に軸方向に螺旋状に延在するように構成することも可能である。また、ガイド部を構成する溝部と、ガイド部を構成する凸部を一つの医療用長尺部材に備えさせることも可能である。
以上、複数の実施形態および変形例を通じて本発明に係る医療用長尺部材および医療器具を説明したが、本発明は実施形態において説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
例えば、本発明に係る医療用長尺部材および医療器具は、実施形態において説明した用途のみに限定されることはなく、腎臓や尿管以外の他の生体器官(例えば、食道、気道、腸、膵管、胆管、耳などの体腔)に医療装置を導入するためのカテーテルデバイス等にも転用することが可能である。また、対象となる医療装置も実施形態において説明したものに限定されず、例えば、バルーンカテーテルや穿刺具、その他生体内で処置を行うことを目的とする種々の医療器具がその適用対象に含まれる。
また、各実施形態および各変形例において説明した各構成は、その機能が損なわれない限りにおいて、他の実施形態や他の変形例に係る医療用長尺部材および医療器具に適宜組み合わせることが可能である。
10 医療器具、
100 挿入具、
110、310、320、330、340、350、360 挿入具の本体部(医療用長部材)、
111 ルーメン、
113a 先端開口部、
115a 基端開口部、
117 壁部、
119 底部、
120 ハブ、
130 剥離部、
130a 第1剥離片、
130b 第2剥離片、
133 剥離部の先端部、
135 剥離部の基端部、
140 操作部、
143 取り付け部、
145 延在部、
150 仮固定部、
200 挿通具、
210 挿通具の本体部、
410、420 溝部(ガイド部)、
430 凸部(ガイド部)
500 患者(生体)、
510 尿道、
520 膀胱、
530 尿管、
540 腎盂腎杯、
H 手指、
g 隙間部。

Claims (11)

  1. 生体器官内に導入可能に構成された可撓性を備える医療用長尺部材であって、
    軸方向に延在するルーメンと、前記ルーメンの先端側および基端側にそれぞれ形成された先端開口部および基端開口部と、を有し、
    前記ルーメンに面する壁部の表面の少なくとも一部に、軸方向に沿って基端側に所定の長さだけ剥離可能な剥離部が形成されてなる、医療用長尺部材。
  2. 前記剥離部の剥離を操作するための操作部をさらに有し、
    前記操作部は、前記剥離部に取り付けられる取り付け部と、前記取り付け部から基端部側へ延在し、前記ルーメンを介して前記基端開口部の外部へ導出される延在部と、を有する請求項1に記載の医療用長尺部材。
  3. 前記剥離部は、基端部が前記基端開口部の周辺に位置するように軸方向に延在しており、
    前記操作部は、前記剥離部を剥離させる際に付与される力により固定を解除する仮固定部を介して前記壁部に固定されている、請求項2に記載の医療用長尺部材。
  4. 前記剥離部は、軸直交断面における底部側に位置する部分に少なくとも形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用長尺部材。
  5. 前記剥離部は、剥離の起点となる先端部側から基端部側へ向けて面積が徐々に大きくなるように形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医療用長尺部材。
  6. 前記剥離部は、前記壁部の肉厚方向に層状に重ねて配置された複数の剥離片を有し、
    複数の前記剥離片は、それぞれが個別に剥離可能に構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療用長尺部材。
  7. 前記剥離部は、前記壁部の周方向に沿って複数設けられている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医療用長尺部材。
  8. 前記ルーメン内に挿通される医療器具を前記壁部から離間させるガイド部をさらに有し、
    前記剥離部は、前記壁部と前記医療器具との間に形成される隙間部に臨む位置に少なくとも形成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医療用長尺部材。
  9. 前記ガイド部は、前記壁部に形成された凹状の溝部および/または前記壁部から突出した凸部を有する請求項8に記載の医療用長尺部材。
  10. 前記ガイド部は、軸方向に沿って螺旋状に延在する、請求項8または請求項9に記載の医療用長尺部材。
  11. 生体器官内に導入可能に構成された可撓性を備える長尺状の本体部、および前記本体部の基端部に配置されたハブを有する挿入具と、
    前記挿入具の本体部に挿入および抜去可能に構成された挿通具と、を有する医療器具であって、
    前記挿入具の本体部は、
    軸方向に延在するルーメンと、前記ルーメンの先端側および基端側にそれぞれ形成された先端開口部および基端開口部と、を有し、前記ルーメンに面する壁部の表面の少なくとも一部に、軸方向に沿って基端側に所定の長さだけ剥離可能な剥離部が形成されてなる、医療器具。
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