JP2016167394A - リチウムイオン電池 - Google Patents

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千恵子 荒木
心 高橋
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Abstract

【課題】本発明の目的は、電極の厚さを薄くした場合であっても、容量が高く、また、電池の充放電全域において抵抗が低く高出力な電池を提供することにある。【解決手段】本発明の特徴は、例えば、以下の通りである。正極と負極を有するリチウム二次電池において、前記正極は、正極活物質としてNiとCoとMnとを含むリチウム酸化物有し、前記負極は、炭素材料とSi系活物質とを有し、前記正極の開始電圧は4.4〜4.2V、終止電圧は3.7V〜3.6Vであり、前記負極の開始電圧は0.01〜0.1V、終止電圧は0.7V〜1.5Vであることを特徴とするリチウム二次電池。【選択図】図3

Description

本発明は、リチウムイオン電池に関する。
環境保護、省エネルギーの観点から、エンジンとモーターとを動カ源として併用したハイブリッド自動車が開発,製品化されている。また、将来的には、燃料電池をエンジンの替わりに用いる燃料電池ハイブリッド自動車の開発も盛んになっている。
このハイブリッド自動車のエネルギー源として電気を繰返し充電放電可能な二次電池は必須の技術である。なかでも、リチウムイオン電池は、その動作電圧が高く、高い出力を得やすい高エネルギー密度の特徴を有する電池であり、今後、ハイブリッド自動車の電源として益々重要性が増している。電気自動車へのハイブリッド自動車の用途では、高出力化が重要な課題である。
特許文献1のように電極の厚さを薄くすることにより、電極内のLiイオン拡散経路を短くし、出力向上させている。
特開平9−97625号
しかし、特許文献1のように、電極の厚さを薄くする場合、その分の容量を補填するために、例えば正極活物質としてNi、Co、Mnを有する正極活物質、特にNiの含有量が高い正極活物質が用いられる。これら正極活物質は、電池の電圧3.5V以下で用いると、抵抗が高いため、部分的に高出力化が難しい領域が存在する。
本発明の目的は、電極の厚さを薄くした場合であっても、容量が高く、また、電池の充放電全域において抵抗が低く高出力な電池を提供することにある。
本発明の特徴は、例えば、以下の通りである。正極と負極を有するリチウム二次電池において、前記正極は、正極活物質としてNiとCoとMnとを含むリチウム酸化物有し、前記負極は、炭素材料とSi系活物質とを有し、前記正極の開始電圧は4.4〜4.2V、終止電圧は3.7V〜3.6Vであり、前記負極の開始電圧は0.01〜0.1V、終止電圧は0.7V〜1.5Vであることを特徴とするリチウム二次電池。
負極として炭素材料とSi系活物質とを用い、電圧を上記範囲にすることで、正極の抵抗が高い範囲を用いることがないため、容量が高く、また、電池の充放電全域において抵抗が低く高出力な電池を提供することができる。
本発明により、電極の厚さを薄くした場合であっても、容量が高く、また、電池の充放電全域において抵抗が低く高出力な電池を提供することができる。
リチウムイオン二次電池の概略図 正極の内部抵抗と正極の電位の関係 正極と負極、電池の作動電位の関係 ある充電状態における負極電位とSi含有量との関係を示す図 電池を構成する電極体の構成例を示す図 電極体をシートの間に挟み込む様子を示す図 シートを熱溶着した様子を示す図 シートを熱溶着した様子を示す図
以下、図面等を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。
<リチウムイオン二次電池>
図1は、本発明の一実施形態に係る電池の内部構造を模式的に表す図である。図1に示す本発明の一実施形態に係る電池1は、正極10、セパレータ11、負極12、電池容器(即ち電池缶)13、正極集電タブ14、負極集電タブ15、内蓋16、内圧開放弁17、ガスケット18、正温度係数(Positive temperature coefficient;PTC)抵抗素子19、及び電池蓋20、軸心21から構成される。電池蓋20は、内蓋16、内圧開放弁17、ガスケット18、及びPTC抵抗素子19からなる一体化部品である。また、軸心21には、正極10、セパレータ11及び負極12が捲回されている。
セパレータ11を正極10及び負極12の間に挿入し、軸心21に捲回した電極群を作製する。軸心21は、正極10、セパレータ11及び負極12を担持できるものであれば、公知の任意のものを用いることができる。電極群は、図1に示した円筒形状の他に、短冊状電極を積層したもの、又は正極10と負極12を扁平状等の任意の形状に捲回したもの等、種々の形状にすることができる。電池容器13の形状は、電極群の形状に合わせ、円筒形、偏平長円形状、扁平楕円形状、角形等の形状を選択してもよい。
電池容器13の材質は、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼製等、非水電解質に対し耐食性のある材料から選択される。また、電池容器13を正極10又は負極12に電気的に接続する場合は、非水電解質と接触している部分において、電池容器13の腐食やリチウムイオンとの合金化による材料の変質が起こらないように、電池容器13の材料の選定を行う。
電池容器13に電極群を収納し、電池容器13の内壁に負極集電タブ15を接続し、電池蓋20の底面に正極集電タブ14を接続する。電解液は、電池の密閉の前に電池容器内部13に注入する。電解液の注入方法は、電池蓋20を解放した状態にて電極群に直接添加する方法、又は電池蓋20に設置した注入口から添加する方法がある。
その後、電池蓋20を電池容器13に密着させ、電池全体を密閉する。電解液の注入口がある場合は、それも密封する。電池を密閉する方法には、溶接、かしめ等公知の技術がある。
<正極>
正極10は、正極合剤と、正極集電体とを備え、正極活物質及び結着材を含む正極合剤が、アルミニウム箔などの正極集電体に塗布されることにより形成される。電子抵抗の低減のため更に正極合剤層に導電剤を加えても良い。
正極合剤の厚さを薄くすることにより、電解液を介した活物質粒子表面へのLiイオンの供給がより容易となるため、高レートにおいても放電可能となり、電池1の出力を上げることができる。出力向上の観点から、正極合剤層の厚さは5〜40μmの範囲、さらに15〜30μmの範囲であることが好ましい。しかし、正極合剤の厚さを薄くすることで、電池体積当たりの合剤料が低下することから容量が低下する傾向にある。この為、正極合剤層を薄くした場合、容量の大きい正極活物質を用いることが好ましい。
正極活物質としては、組成式LiαMnxM1yM2z2(式中、M1は、Co,Niから選ばれる少なくとも1種、M2は、Co,Ni,Al,B,Fe,Mg,Crから選ばれる少なくとも1種であり、x+y+z=1,0<α<1.2,0.2≦x≦0.8,0.1≦y≦0.4,0.05≦z≦0.4)で表されるリチウム複合酸化物が好ましい。その中でも、M1がNi又はCoであって、M2がCo又はNiであることが好ましく、LiMn1/3Ni1/3Co1/32であればさらに好ましい。Niを多くすると容量が大きく取れ、Coを多くすると低温での出力が向上でき、Mnを多くすると材料コストを抑制できる。また、添加元素は、サイクル特性を安定させるのに効果がある。この場合、特にM1としてNiを用い、0.5≦x≦0.8の範囲で用いることが好ましい。
図2は、正極の電圧と抵抗の関係を示した図である。
正極活物質としてLiMn1/3Ni1/3Co1/32を用いた場合、正極の3.6V以下の低電位側で図1に示すように内部抵抗が急激に増加することがわかる。したがって、正極の作動電位を3.6V以上になるように正極と負極を組み合わせることが重要であり、特に正極の開始電圧は4.4〜4.2V、終止電圧は3.7V〜3.6Vとすることが好ましい。このように電池を作製することで、放電終了時の抵抗は低くなり、出力が向上することができる。
正極合剤に添加する結着材としては、正極を構成する材料と正極用集電体を密着させるものであればよく、例えば、フッ化ビニリデン,四フッ化エチレン,アクリロニトリル,エチレンオキシドなどの単独重合体又は共重合体,スチレン−ブタジエンゴムなどを挙げることができる。導電剤は、例えば、カーボンブラック,グラファイト,カーボンファイバー及び金属炭化物などのカーボン材料であり、それぞれ単独でも混合して用いても良い。
<負極>
正極の抵抗が高い部分を使用しないようにするために、負極活物質としては、黒鉛などの炭素材料と、リチウムと合金を形成することでリチウムを吸蔵する材料を混合して用いることが好ましい。リチウムと合金を形成することでリチウムを急増する材料は、例えば、Si(シリコン)、Sn(スズ)、Al(アルミニウム)、Mg(マグネシウム)、P(リン)、Sb(鉛)などを用いることができる。また、Fe23(酸化鉄(III))、NiO(酸化ニッケル(II))などのリチウムと化合物を形成する材料を用いることが好ましい。これらの活物質は、黒鉛と比較するとリチウム吸蔵に伴う体積変化は大きいが、リチウム吸蔵量が大きく、リチウムイオン二次電池の容量を増加させることができる。
正極の抵抗が高い部分を使用しないようにするためは、この中で特にSiを含むSi系負極活物質を用いることが好ましい。Si系負極活物質は理論容量密度が約4200mAh/gと、これらの中でも最大であるため、容量の観点からもSi又はSi化合物を負極活物質に用いることが好ましい。
Si系負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵、放出するものであれば特に限定されることはないが、例えば、SiOx(酸化ケイ素)、SiNx(窒化ケイ素)などの酸化物、窒化物や、SiNixなどの遷移金属化合物を用いることができる。
負極活物質として炭素材料とSi系負極活物質との混合物を用いることで、正極の終止電圧を3.6〜3.7にすることができる。
図3は、正極の抵抗が高い部分(3.6V以下)を用いないようにした電池1の電圧とSOCとの関係を示した図である。
電池の開始電圧は4.3〜4.1V、終止電圧は3.0V〜2.0Vと設定した場合、正極は正極活物質としてNiとCoとMnとを有する リチウム酸化物を用い、負極活物質として炭素材料とSi系活物質とを有し、負極の開始電圧は0.01〜0.1V、終止電圧は0.7V〜1.5Vになるように、正極と負極を組み合わせる。このようにすることで、正極の開始電圧は4.4〜4.2V、終止電圧は3.7V〜3.6Vの範囲で充放電する電池が提供可能である。図3中C1は、正極の開始電圧であり4.4〜4.2Vの範囲である。C2は、正極の終止電圧であり3.7V〜3.6Vの範囲である。A1は負極の使用開始電圧であり、0.01〜0.1Vの範囲である。A2は負極の終止電圧であり0.7V〜1.5Vの範囲である。B1は、電池の開始電圧、B2は電池の終止電圧である。
図4にSi系活物質に酸化シリコンSiOを用い、黒鉛と混合させた場合の電圧とSi混合比率との関係を示す。充電状態SOC(StateOf Charge)が50%、30%における負極電位をそれぞれ示した。SOC50%の場合、SiOの混合比率が15%までは0.1Vで変わらないが、15%以上になると負極電位が上昇しはじめる。SOC30%の場合、SiOの混合比率が増加すると、負極電位も増加し、SiOの混合比率が15%で0.4Vを超え、SiOからLiが駆動することになる。SiOを繰り返し膨張収縮すると、劣化が早く進行してしまうため、サイクル試験の際にはSiOを駆動させないようにするのがよい。仮に中心SOC50%、ΔSOC20%でサイクル試験を実施するのであれば、SiOの混合量は全体の負極活物質量に対して10%wt以内にするのが望ましい。
炭素材料とSi系負極との混合率は、炭素材料とSi系負極との総量に対してSi系負極の比率を2wt%以上、10wt%以下、好ましくは、5〜10wt%の範囲とすることが好ましい。Si比率が2wt%以下の場合、電池電圧の調節および容量確保が難しくなる可能性がある。
負極合剤中に用いるバインダ樹脂(結着剤)は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴム、ポリアルギン酸、ポリアクリル酸等を用いることができる。Si系活物質は活物質にLiが挿入脱離する時、活物質が膨張収縮する。その際、活物質同士の結着、または活物質と集電体との結着が欠落してしまい、容量が劣化してしまう。容量劣化を防ぐためには、バインダの強度を大きくすることが好ましい。その指標として、バインダ膜の引っ張り強度が上げられる。Si系活物質より、Liが挿入脱離しても、容量が劣化しない、バインダの引っ張り強度は100MPa以上が望ましい。ポリイミド、ポリアミドイミドは強度を向上させるために、分子量を5000〜500000の範囲とし、さらに、真空中での熱処理を行うことが好ましい。この熱処理の温度、分子量等の調節によって、バインダの強度を変えることができ、バインダの引っ張り強度を100MPa以上とすることが可能である。
<正極と負極の容量比>
負極12と正極10とを組み合わせることにより本発明のリチウムイオン電池が構成されるが、正極10に含まれる正極活物質の容量に対する負極12に含まれる負極活物質の容量の比(負極容量/正極容量)が、1.0〜1.2となるようそれぞれの電極の容量が調整することが好ましい。正極と負極の容量比をこの範囲とすると、放電末期の電池の電圧変化は負極の電圧変化が反映され、かつ負極規制の電池となるため、正極は3.6V以下の急激に抵抗が上昇する部分を使用しないよう調節することができる。このため、正極の抵抗が高い部分を使用しなくなるため、抵抗が低減し、高出力の電池を提供することが可能である。電池の開始電圧、終止電圧を調節するためには、上記のように容量比を調節することが好ましい。容量比は、正負極の活物質量、またはSi系負極の比率等を調節することにより変更することができる。Si系負極の不可逆容量は大きいため、負極の容量が減り、正極の電位が高くなり、負極の電位も高くなる結果となる。

<電解液>
電解液は、リチウムイオンを含む化合物を電解質として含む非水溶媒である。電解液に使用される非水溶媒としては、低温特性、負極電極上の被膜形成の観点から、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)等が例示され、ビニレンカーボネート(VC)等の添加物を加えてもよい。
電解液に用いるリチウム塩としては、特に限定はないが、無機リチウム塩では、LiP
6,LiBF4,LiClO4,LiI,LiCl,LiBr等、また、有機リチウム塩では、LiB[OCOCF34,LiB[OCOCF2CF34,LiPF4(CF32,LiN(SO2CF32,LiN(SO2CF2CF32等を用いることができる。特に、LiPF6は、品質の安定性から好適な材料であり、民生用電池で多く用いられている。また、LiB[OCOCF34は、解離性,溶解性が良好で、低い濃度で高い導電率を示すので有効である。
<セパレータ>
正負極の短絡を防止するセパレータ11として、公知のリチウムイオン電池に使用されているセパレータを用いることができ、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン製の微孔性フィルムや不織布などが挙げられる。電池の高出力化の観点からは、セパレータの厚みは、20μm以下とすることが好ましく、18μm以下とすることがより好ましい。このような厚みのセパレータを用いることで、電池の体積あたりの容量を大きくすることができる。しかし、セパレータを薄くしすぎると、取り扱い性が損なわれたり、正負極間の隔離が不十分となって短絡が生じ易くなったりするため、厚みの下限は10μmであることが好ましい。
次に、実施例を挙げて本実施形態をより具体的に説明する。実施例1では、正極の開始電圧を4.3V、終止電圧は3.61Vとし、負極の開始電圧を0.1V、終止電圧を1.11Vとした。
<リチウムイオン二次電池の作製>
ロッキングチェア型のリチウムイオン二次電池を作製した。
<正極>
正極活物質としての層状LiMO2(Mは、Ni0.3Co0.3Mn0.3を表す)と、導電材としてアセチレンブラックと、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とが重量比で93:4:3となるようにN−メチルピロリドン(NMP)を溶媒として混合した。そして、N−メチルピロリドン(NMP;溶媒)にこの混合物を混合し、正極合剤スラリーを調製した。そして、この正極合剤スラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔に塗布し、大気中で乾燥した。乾燥して得られた正極をロールプレスにより成型し、45mm×70mmに集電箔露出部(図5を参照しながら後記する)を加えた形状に切断して正極を作製した。
<負極>
黒鉛と、SiOと、導電材、結着材としてのポリイミド(PI)が重量比で81:9:5:5となるようにNMPを溶媒として混合した。炭素材料とSi系負極との総量に対するSi系負極の比率は、10%である。
溶媒であるNMPにこの混合物を混合し負極合剤スラリーを調製した。そして、この負極合剤スラリーを厚さ10μmの銅箔に塗布し、真空中で乾燥した。乾燥して得られた負極をロールプレスにより成型し、45mm×70mmに集電箔露出部を加えた形状に切断して負極を作製した。
<セパレータ>
セパレータとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンが3層に積層された総厚み0.03mmのセパレータを用いた。2枚のセパレータで正極を挟み込み、周辺3辺を熱溶着させて袋状にして用いた。のセパレータを用いた。
<電解液>
電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)を体積比1:2:2で混合した有機溶媒 に、1.0mol/Lになるようにリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF6)を溶解させたものを用いた。
<正極と負極の容量比>
前正極の容量に対する負極の容量の比(負極容量/正極容量)が、1.0になるよう設定した。
<二次電池の作製>
図5に電極体104の概念図を示す。袋状セパレータ103に収納された正極101及び負極102を挿入し、これらを積層して積層体を得た。そして、この積層体において、外部に露出している正極101及び負極102の部分(集電箔露出部)に、それぞれ、正極端子105及び負極端子106を超音波溶接にて接続し電極体104を得た。
次に、図6に示すように、2枚の熱溶着可能なシート107の間に電極体104を配設し、シート107の電解液注入箇所以外の部分を熱溶着させることで、図7に示す電極配設容器109を得た。
そして、この電極配設容器109内に前記の電解液を注入した。電解液注入後、開口部を熱溶着することで図8に示す電池11を作製した。そして、封止後8時間の電解液含浸時間を設け、その後、4.2V−2.5Vの電圧範囲を0.2Aの電流値で3サイクル充放電させて、以下の試験に供する電池1011を完成させた。
<電池容量評価方法>
電池を定電流0.5Aで4.2Vまで充電し、30分の運転休止の後、0.5Aで2.5Vまで放電した。比較例1を1とし、容量比を算出した。測定結果を表1に示す。
<出力評価方法>
電池を定電流0.5AでSOC50%まで充電し、30分の運転休止の後、30Aで2.5Vまで放電した。比較例1を1とし、容量比を算出した。測定結果を表1に示す。
実施例2では、正極の容量に対する負極の容量の比(負極容量/正極容量)が、1.2になるよう設定した。実施例2では、正極の開始電圧を4.3V、終止電圧は3.6Vとし、負極の開始電圧を0.1V、終止電圧を1.11Vとした。
<負極>
黒鉛と、SiOと、導電材、結着材としてのポリイミド(PI)と、とが重量比で81:9:5:5となるようにNMPを溶媒として混合した。そして、NMPにこの混合物を混合し(負極合剤スラリーを調製した。そして、この負極合剤スラリーを厚さ10μmの銅箔に塗布し、真空中で乾燥した。乾燥して得られた負極をロールプレスにより成型し、45mm×70mmに集電箔露出部を加えた形状に切断して負極を作製した。
<正極と負極の容量比>
前正極の容量に対する負極の容量の比(負極容量/正極容量)が、1.2になるよう設定した。
(比較例1)
比較例1では、Siを用いない電池を作製し評価した。正極の開始電圧は4.3V、終止電圧は3.2V、負極の開始電圧を0.1V、終止電圧は0.2Vである。
<負極>
黒鉛と、導電材、結着材としてのポリイミド(PI)とが重量比で90:5:5となるようにNMPを溶媒として混合した。そして、NMPにこの混合物を混合し(負極合剤スラリーを調製した。そして、この負極合剤スラリーを厚さ10μmの銅箔に塗布し、真空中で乾燥した。乾燥して得られた負極をロールプレスにより成型し、45mm×70mmに集電箔露出部を加えた形状に切断して負極を作製した。
<正極と負極の容量比>
正極の容量に対する負極の容量の比(負極容量/正極容量)が、1.5になるよう設定した。
(評価結果)
実施例1、2、比較例1の評価結果を表に示す。実施例1の電池容量は比較例1と同等であった。実施例1の出力は比較例1よりも大きくなった。また、実施例2では正極と負極の容量比を1にすることで出力は実施例1よりも劣るが、電池容量は1よりも高くなり、かつ、比較例1よりも出力、容量が大きい。したがって、実施例の電池では容量を落とさずに出力向上が可能であることがわかった。
図1:電池1、正極10、セパレータ11、負極12、電池容器(電池缶)13、正極集電タブ、14、負極集電タブ15、内蓋16、内圧開放弁17、ガスケット18、正温度係数抵抗素子19、電池蓋20、軸心21
図5、図6:電池1011、正極101、負極102、セパレータ103、電極体104、正極端子105、負極端子106、シート107、熱溶着部108

Claims (5)

  1. 正極と負極を有するリチウム二次電池において、
    前記正極は、正極活物質としてNiとCoとMnとを含むリチウム酸化物有し、
    前記負極は、炭素材料とSi系活物質とを有し、
    前記正極の開始電圧は4.4〜4.2V、終止電圧は3.7V〜3.6Vであり、
    前記負極の開始電圧は0.01〜0.1V、終止電圧は0.7V〜1.5Vであることを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 請求項1において、
    前記負極と前記正極の容量比(負極容量/正極容量)は、1.0〜1.2の範囲であることを特徴とするリチウム二次電池。
  3. 請求項2において、
    前記負極中の前記Si系負極活物質の割合は、10wt%以下であることを特徴とするリチウム二次電池。
  4. 請求項3において、
    前記負極は、結着剤を有し、
    前記結着剤の引っ張り強度は100MPa以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  5. 請求項4において、
    前記結着材は、ポリイミド、ポリアミドイミドのいずれか少なくとも一種であり、
    分子量は5000〜500000の範囲であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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WO2023059074A1 (ko) * 2021-10-05 2023-04-13 주식회사 엘지에너지솔루션 리튬 이차 전지

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