以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、一実施形態における案内システム5の利用環境の一例を概略的に示す。案内システム5は、スポーツイベント会場における案内システムとして利用される。案内システム5は、案内装置100a、案内装置100b及び案内装置100cと、固定案内端末160と、汎用端末170と、ユーザ端末180と、連携サーバ40と、看板190とを備える。なお、案内システム5は、行動サポートシステムの一例である。案内装置100a、案内装置100b及び案内装置100cは、行動サポート装置の一例である。
案内システム5は、ユーザ10a、ユーザ10b、ユーザ10c、ユーザ10d及びユーザ10eを案内する。案内システム5は、一例として、ユーザ10aが希望する行先に、ユーザ10aを案内する。同様に、案内システム5は、ユーザ10b、ユーザ10c、ユーザ10d及びユーザ10eがそれぞれ希望する行先に、ユーザ10b、ユーザ10c、ユーザ10d及びユーザ10eのそれぞれを案内する。なお、ユーザ10a、ユーザ10b、ユーザ10c、ユーザ10d及びユーザ10eは、案内対象の複数のユーザの一例である。案内システム5は、1以上の任意の数のユーザを案内対象とすることができる。なお、ユーザ10a、ユーザ10b、ユーザ10c、ユーザ10d及びユーザ10eを、ユーザ10と総称する場合がある。また、案内装置100a、案内装置100b及び案内装置100cを、案内装置100と総称する場合がある。
案内装置100aは、ユーザ10を行先に誘導するためのマーク90a、マーク90b、マーク90c、マーク90d及びマーク90eを、ユーザ10の近傍の地面上にレーザ光の軌跡によって描画する。案内装置100aは、マーク90a、マーク90c、マーク90d及びマーク90eを行先に向けて地面上を移動させることにより、ユーザ10a、ユーザ10c、ユーザ10d及びユーザ10eを案内する。また、案内装置100aは、移動経路を示す直線又は曲線部分を含むマーク90bを地面上に描画することにより、ユーザ10bを行先に案内する。
なお、案内装置100aは、ユーザ10のジェスチャを解析することにより、ユーザ10の行先を特定する。例えば、案内装置100aは、行先の施設を選択するためのオブジェクトを地面上にレーザ光の軌跡によって描画して、ユーザ10にオブジェクトを選択させることにより、行先を特定する。また、案内装置100aは、施設に関する情報を看板190にレーザ光の軌跡によって描画して、ユーザ10bが行先の施設を確定する動作をしたことを検出すると、描画している施設をユーザ10bの行先として特定する。
なお、案内装置100は、ユーザ端末180、固定案内端末160及び汎用端末170を通じて、ユーザ10が行先として希望する施設を取得できる。ユーザ端末180、固定案内端末160及び汎用端末170は、ネットワーク20を介して、ユーザ10が行先として希望する施設を案内装置100に送信する。なお、ユーザ端末180は、携帯電話等の、ユーザ10cが所持する携帯型の電子機器である。また、固定案内端末160は、例えば、地面に対して固定して設けられた端末である。また、汎用端末170は、例えば、地面に対して移動可能な端末である。汎用端末170は、自走型のロボットであってよい。
なお、案内装置100b及び案内装置100cは、案内装置100aと同様に、ユーザ10を案内する。具体的には、案内装置100b及び案内装置100cのそれぞれは、案内装置100aとは独立に、マーク90a、マーク90b、マーク90c、マーク90d及びマーク90eを描画する。すなわち、例えばマーク90aは、案内装置100a、案内装置100b及び案内装置100cによって、独立に描画される。なお、複数の案内装置100によって同じマーク90が異なる位置に描画されないよう、案内装置100が各マーク90を描画する位置は、案内装置100の間で共有されている。このように、1つのマーク90を複数の案内装置100で描画するので、ある1つの案内装置100からの描画光が物体で遮られてしまってマーク90の一部分を描画できなくても、その部分を他の案内装置100で描画できる場合がある。なお、各案内装置100は、案内装置100間の相互の設置位置の誤差情報を取得し、取得した誤差情報に基づいてマーク90の描画位置を補正することにより、他の案内装置100による描画位置と略同じ位置にマーク90を描画するよう制御してよい。例えば、案内装置100bが決定した描画位置Pにマーク90を描画する場合、案内装置100aは、案内装置100bとの間の既定の設置位置情報と、案内装置100bとの間の設置位置の誤差情報とに基づいて、案内装置100bが決定した描画位置Pに対して補正するべき描画位置のズレ量を算出し、描画位置Pから当該ズレ量だけずらした位置にマーク90を描画するよう制御することで、案内装置100bによる描画位置と略同じ位置にマーク90を描画するようにしてよい。
なお、複数の案内装置100で1つのマーク90を描画する場合、複数の案内装置100は、マーク90の明るさの和が略一定になるように、出力するレーザ光の強度を互いに調整してよい。例えば、案内装置100aが1つのマーク90を描画する時に、案内装置100aが描画できないマーク90の部分の予測情報を瞬時に案内装置100bに伝えて代わりに描画させても良い。
案内装置100は、ネットワーク20を通じて他の案内装置100と通信する。例えば、案内装置100aは、通信相手となる他の案内装置100のアドレスを、連携サーバ40を通じて取得して、他の案内装置100と通信する。例えば、案内装置100aは、ユーザ10aを案内対象のユーザとして特定した場合に、ユーザ10aの位置を示す情報を連携サーバ40に送信して、ユーザ10aを案内できる位置に設けられた他の案内装置100のアドレスを、連携サーバ40から取得する。また、例えば、案内装置100aは、案内装置100aがユーザ10aを案内できなくなる場合に、ユーザ10aの位置を示す情報を連携サーバ40に送信して、ユーザ10aの案内を引き継ぐことができる他の案内装置100のアドレスを、連携サーバ40から取得する。連携サーバ40は、案内装置100が設けられている位置と、案内装置100のアドレスを管理しており、通知された位置に対応する案内装置100のアドレスを返す機能を有する。また、連携サーバ40を用いない方法では、一般的な分散共有型メモリーキャッシュ技術で複数台の案内装置100が共有同期する共有メモリー情報を用いて制御しても良い。
案内システム5によれば、ユーザ10は、希望する目的地に容易に行くことができる。この場合に、ユーザ10は、携帯電話等を用いて目的地への経路を自ら検索する必要がない。
図2は、案内装置100aが有する構成の一例を模式的に示す。案内装置100aは、カメラ210aと、レーザ描画装置220aと、測距装置230aと、案内制御装置240aと、スピーカ250aと、雲台290aとを備える。カメラ210a、レーザ描画装置220a、測距装置230a、案内制御装置240a及びスピーカ250aは、雲台290aに設けられる。案内制御装置240aは、カメラ210a、レーザ描画装置220a、測距装置230a及びスピーカ250a及び雲台290aを制御する。
カメラ210aは、ズーム機能及びオートフォーカス機能を有する。案内制御装置240aは、ユーザ10のジェスチャを解析する場合に、カメラ210aのズーム機能を制御して、ユーザ10を狭角撮影させる。案内制御装置240aは、雲台290aを制御することによって、カメラ210aの撮像方向を制御する。
雲台290aは、例えば2軸雲台である。例えば、雲台290aは、カメラ210aの撮像光軸212をパン方向及びチルト方向について制御できる。したがって、案内制御装置240aは、カメラ210aの向きを、パン方向及びチルト方向について可変に制御できる。
また、案内制御装置240aは、カメラ210aによって、太陽等の様々な照明条件下における画像の背景色を取得する。なお、カメラ210aは、反射光や雨の影響を抑制するために、偏光レンズ機能及びワイパー機能を有してよい。
レーザ描画装置220aは、レーザ光を出力する。レーザ描画装置220aは、描画用の光を出力する発光部の一例である。レーザ描画装置220aは、雲台290aが固定されている状態において、レーザ光を出射する方向を可変に制御できる。レーザ光の出射方向を変えることで、レーザ光の到達点が照らされることによって、光の軌跡が生じる。案内制御装置240aは、光の軌跡を制御することによって、マーク90や文字等のオブジェクトを描画させる。なお、案内制御装置240aは、雲台290aを制御することによって、レーザ描画装置220aの向きを可変させる。これにより、レーザ描画装置220aは、広い範囲にオブジェクトや文字等を描画できる。
測距装置230aは、空間に存在する物体までの距離を測定してよい。測距装置230aは、例えばレーザ測距装置である。測距装置230aは、レーザ描画装置220aを兼ねてよい。案内制御装置240aは、測距装置230aによって測定された物体までの距離に基づき、空間内に存在する物体の構造情報を特定する。これにより、案内制御装置240aは、建物や道路等の構造物3次元的な構造情報を特定する。
スピーカ250aは、特定の範囲内に存在する人物にのみ認識できる音声を提供する。例えば、スピーカ250aは、指向性を有する音波を出力することにより、特定の範囲内に存在する人物にのみ認識できる音声を提供してよい。
なお、案内装置100b及び案内装置100cは、案内装置100aと同様の構成を有する。カメラ210a、案内装置100bが有するカメラ及び案内装置100cが有するカメラを、カメラ210と総称する場合がある。また、レーザ描画装置220a、案内装置100bが有するレーザ描画装置及び案内装置100cが有するレーザ描画装置を、レーザ描画装置220と総称する場合がある。また、測距装置230、案内装置100bが有する測距装置及び案内装置100cが有する測距装置を、測距装置230と総称する場合がある。また、スピーカ250a、案内装置100bが有するスピーカ及び案内装置100cが有するスピーカを、スピーカ250と総称する場合がある。更に、案内装置100は、互いに補完する為、カメラ210、レーザ描画装置220、測距装置230、スピーカ250は別の雲台に設置されていてもよいし、独立した固定装置であってもよい。
図3は、案内制御装置240aの機能ブロック構成の一例を模式的に示す。案内制御装置240aは、処理部392と、データ格納部390とを有する。
データ格納部390は、案内装置100aの位置を表す位置情報及び経路探索用の経路情報を格納している。位置情報は、緯度、経度及び高度の情報を含む座標情報であってよい。データ格納部390は、ハードディスク、メモリ等の記憶媒体で実現される。
処理部392は、CPU等のプロセッサで実現される。処理部392は、解析部300、位置特定部310、行先特定部330、光制御部340、撮像制御部342、送受信部350、停止判断部360、経路決定部370、光到達位置算出部380、音声制御部344及び雲台制御部346を有する。
解析部300は、カメラ210aで撮像することにより得られた画像データ、測距装置230aで測定された距離を表す距離データ、及び、雲台290の向きを表す向きデータを取得する。また、解析部300は、他の案内装置100が有するカメラが撮像することにより得られた画像データを、送受信部350を通じて取得する。
解析部300は、構造物の測量情報及び色情報を含む構造情報を生成する。具体的には、解析部300は、データ格納部390が格納している位置情報と、取得した画像データ、距離データ及び向きデータとに基づいて、空間内の構造を解析する。具体的には、解析部300は、データ格納部390が格納している位置情報と、取得した距離データ及び向きデータに基づいて、構造物の位置座標を特定する。また、解析部300は、データ格納部390が格納している位置情報と、画像データ及び向きデータに基づいて、構造物の各位置座標における色を特定する。解析部300は、異なる複数の時刻で構造物の測量及び色の測定を行い、得られた構造物の位置座標及び色を、構造情報としてデータ格納部390に格納する。解析部300は、統計的解析や周辺座標の情報との相関関係から取り得ない情報を除去し、構造物の画像における影の位置を、太陽の位置及び測量結果に基づいて特定して、特定した影の位置に基づいて、構造物本来の色を特定してよい。
構造情報には構造物の位置座標だけでなく構造物の色の情報が含まれるので、画像上における人物の背景となる背景色を特定することができる。そのため、構造物の色を背景色として画像から除去することで、ユーザ10を抽出することが容易になる。なお、解析部300は、現在の時刻、季節及び天候と、構造情報に含まれる色情報とに基づいて、現在の背景色を特定してよい。
なお、解析部300は、案内装置100がユーザ10を案内していない時間帯に、構造情報を取得してよい。また、解析部300は、定期的に構造情報を取得してよい。なお、構造物の測定は、一般的な3Dスキャナーで用いられている測量法を用いてもよい。例えば、スイープレーザスキャンの様にラインレーザ光と画像データを用いて3D測定を行ってよい。この場合、他のカメラ210で得られた画像データを用いてよい。
また、解析部300は、異なる天候または異なる時刻における構造物の画像から、光反射率及び光透過率の少なくとも一方を特定して、特定した光反射率及び光透過率の少なくとも一方の情報を構造情報に付加情報として含めて、データ格納部390に格納してよい。また、解析部300は、構造物の画像から、構造物からの発光状態を特定して、特定した発光状態を表す発光情報を構造情報に付加情報として含めてデータ格納部390に格納してよい。解析部300は、構造情報に含まれる付加情報に更に基づいて、背景色を特定してよい。
また、解析部300は、取得した画像データ及び構造情報に基づいて、ユーザ10の抽出及びユーザ10のジェスチャ等を解析する。例えば、解析部300は、データ格納部390に格納されている構造情報に基づいて、画像から背景色を除去する。例えば、解析部300は、画像と背景色との差分を算出する。そして、解析部300は、背景色が除去された画像を2値化する。そして、解析部300は、画素値1の画素で形成される連続領域を、人物候補オブジェクトとして抽出する。これにより、解析部300は、人物抽出用の1以上の人物候補オブジェクトを抽出する。なお、解析部300は、予め定められた数より少ない画素を含むオブジェクトについては、人物候補オブジェクトとして抽出しない。更に、取り出した連続領域を用いて、再度、オリジナル画像から同範囲を人物候補オブジェクトとして再抽出してもよい。人物候補オブジェクトをオリジナル画像から再抽出することで、2値化した画像から人物候補オブジェクトを抽出する場合より、高い精度で抽出できる。
そして、解析部300は、人物候補オブジェクトに人物の骨格モデルを当てはめて、骨格情報を抽出する。解析部300は、人物の骨格モデルに予め定められた適合度以上の適合度で当てはまる人物候補オブジェクトを、人物のオブジェクトとみなす。解析部300は、国際公開第2007/010893号に記載された姿勢検出技術を用いてよい。
解析部300は、骨格情報に基づいて、抽出された人物の腕の動き、指の動き、頭部の動き等の動作を抽出する。なお、解析部300は、案内装置100a以外のカメラ210の画像データから得られた骨格情報を用いて、動作を抽出してよい。また、解析部300は、他の案内装置100で解析された骨格情報の各関節に関する座標や角速度の動作情報を受信して、多数決の原理で動作を決定してもよいし、異なる位置に設けられた他の案内装置100で得られた情報を用いて3次元的に解析することで、動作を正確に特定してもよい。
また、解析部300は、骨格情報に基づいて、人物が片腕を指差しに用いているかどうかを判断する。解析部300は、各々腕の左右を分けて解析して、人物が片腕を指差しに用いているかどうかを判断してよい。肘から手までベクトルと肘から肩までのベクトルが平行に近いほど指差しをしているとしてもよい。しかし、解析部300は、その指差す先が足元などの近傍である場合や、更に極端な背後方向を指差している場合は、指差しているとの判断から除外してもよい。進行方向をとるケースの多い骨格正面や、足の繰り出し方で体の正面と背面を判断してもよい。また腕の指し示す先に対象となりうるマーク90や看板190などが存在する時は指差していると看做してもよい。また更に一定時間以上同じ方向で腕を止めているときは指差していると看做してもよいし、それを決定の意思表示としてもよい。また、レーザ描画装置220は、指先が向いている方向の構造物にポインターマークを表示してもよい。更に人物以外でも、犬などの動物の骨格を認識し、首から頭部、鼻への骨格ラインの角度を引数に動物自身が指し示していると認識しやすい角度を算出し、指先が向いている方向と看做して同様な制御をしてもよい。
解析部300は、人物のオブジェクトが抽出された画像上の位置を示す人物位置情報及び骨格情報を、位置特定部310及び行先特定部330に出力する。
位置特定部310は、カメラ210aで撮影された画像に基づいて、人物の位置を特定する。例えば、位置特定部310は、カメラ210aで撮影された画像に基づいて、案内の対象となるユーザ10の位置を特定する。具体的には、解析部300から出力された人物位置情報及び骨格情報に基づいて、手を挙げている人物の位置をユーザ10の位置として特定する。なお、ユーザ10の位置とは、実空間内の位置、例えばユーザ10が立っている場所の緯度、経度及び高度の情報を含む位置座標であってよい。
行先特定部330は、ユーザ10の行先を特定する。例えば、行先特定部330は、ユーザ10が指差す方向に基づいて、ユーザ10の行先を特定する。行先特定部330による行先の特定方法については後述する。
経路決定部370は、位置特定部310が特定した位置から、行先特定部330が特定した行先までの経路を特定する。経路決定部370は、データ格納部390が格納している経路情報と、位置特定部310が特定した位置とに基づいて、行先までの経路を特定する。なお、経路決定部370は、天候に応じて経路を決定してよい。例えば、雨が降っている場合は、雨に濡れない経路を、他の経路より優先して決定してよい。
光制御部340は、レーザ描画装置220aを制御する。例えば、光制御部340は、レーザ描画装置220aからの光の向きを制御することにより、位置特定部310が特定したユーザの位置の近傍に、案内用のオブジェクトをレーザ描画装置220aからの光で描画させる。例えば、光制御部340は、ユーザ10が立っている面上におけるユーザ10の立ち位置の近傍に、レーザ描画装置220aからの光でオブジェクトを描画させる。ここで、ユーザ10が立っている面とは、例えば地面、道路の面、建造物の床面等である。なお、光制御部340がオブジェクトを描画する描画対象には、地面、道路の面、建造物の床面等の他に、建造物等の壁や天井、空中内に浮遊する浮遊物等が含まれる。浮遊物には、煙の粒子や塵埃等の粒子、水蒸気等を含んでよい。
ここで、光制御部340は、ユーザ10の位置から行先へユーザ10が移動するためにユーザ10が進むべき向き及び距離の少なくとも一方を示すオブジェクトを、レーザ描画装置220aからの光で描画させる。マーク90は、案内用のオブジェクトの一例である。例えば、光制御部340は、ユーザ10aが立っている面上に、ユーザ10aの位置から行先に向けて移動するマーク90aを、レーザ描画装置220aからの光で描画させる。また、光制御部340は、ユーザ10bの位置とユーザ10bの行先とを結ぶ線を含むマーク90bを、レーザ描画装置220aからの光で描画させる。一例として、光制御部340は、ユーザ10bが立っている面上に、マーク90bを描画させる。また、処理部392は、ユーザの現在位置から行先までの距離を算出し、光制御部340は、算出された距離を表す文字等のオブジェクトを描画させてよい。
なお、光制御部340は、カメラ210aが撮像した画像に基づいて、レーザ描画装置220aからの光によるオブジェクトの描画位置に向かう光の経路中に物体が存在すると判断した場合に、マーク90の描画を停止してもよい。ここでいう物体とは、人物、車等の移動物体や、描画される像が崩れるような構造物の一部又は全部(例えば、柱や壁等)等を含む。例えば、光制御部340は、位置特定部310が特定した人物の位置と、レーザ描画装置220aの向きとに基づいて、レーザ描画装置220aからの光の経路中に人物が存在するか否かを判断する。そして、光制御部340は、光の経路中に人物が存在すると判断した場合に、レーザ描画装置220aからの光による描画を一時的に停止させ、光の経路中に人物が存在しないと判断した場合に、レーザ描画装置220aからの光による描画を継続させる。
なお、光制御部340は、レーザ描画装置220aの光の到達先までの距離が短いほど、光の強度を低下させてよい。例えば、光制御部340は、レーザ光のパルス出力間隔を長くしてよい。また、光制御部340は、マーク90の描画位置の背景色に応じて、マーク90の色または光強度を変化させてよい。例えば、光制御部340は、マーク90の描画位置の背景色とは異なる色の光で、マーク90を描画させてよい。例えば、マーク90の描画位置の背景が青い場合、青を弱めて赤と緑を強めた光でマーク90を描画してよい。また、光制御部340は、マーク90の描画位置が暗いほど、マーク90を描画する光の強度を低下させてよい。
撮像制御部342は、カメラ210aを制御する。撮像制御部342は、カメラ210aのズーミング及びフォーカシングを制御する。雲台制御部346は、雲台290を制御する。雲台制御部346は、雲台290の雲台の向きを制御することにより、カメラ210aの撮像方向、レーザ描画装置220aによるマーク90等の描画位置、測距装置230aによる測距対象の位置を制御する。
例えば、雲台制御部346は、ユーザ10の動作の解析を行う場合に、雲台290の向きを制御して、動作の解析対象となるユーザ10に撮像光軸212を合わせる。もし近接する複数人のユーザ10を同時に解析対象とする場合は、ズームアウトし複数対象を含めて撮影してもよい。また、撮像制御部342は、動作の解析対象となるユーザ10をカメラ210aに狭角撮影を行わせる。また、雲台制御部346は、マーク90によって案内中のユーザ10をカメラ210aで撮像できるように、雲台290の向きを制御する。また、撮像制御部342は、マーク90によって案内中の全ユーザ10をカメラ210aで撮像できるように、カメラ210aの画角を制御する。
停止判断部360は、ユーザ10の位置を含む空間をカメラ210aが撮像することを停止するか否かを判断する。具体的には、停止判断部360は、マーク90によってユーザ10を案内している場合において、カメラ210aからユーザ10までの距離が予め定められた距離を超えることが予測される場合に、ユーザ10の位置を含む空間をカメラ210aが撮像することを停止すると判断する。ここで、予め定められた距離とは、カメラ210aで得られた画像からユーザ10を認識できることが保証された最大距離であってよい。この保証値は方向別に算出されてよく、構造物情報から死角や距離限界、カメラ210の配置データなどから自身のカメラ210の担当する空間範囲を決定してよい。
送受信部350は、停止判断部360が、ユーザ10の位置を含む空間をカメラ210aが撮像することを停止させると判断した場合に、カメラ210aが設けられた位置とは異なる位置に設けられた他のカメラ210aにユーザ10の位置を含む空間を撮像することを依頼する情報を送信する。例えば、送受信部350は、他の案内装置100にユーザ10の案内を引き継ぐことを依頼する依頼情報を送信する。送受信部350は、引き継ぎ対象のユーザ10の位置を示す情報とともに、依頼情報を送信してよい。例えば、送受信部350は、引き継ぎ対象のユーザ10の位置を示す情報とともに、依頼情報を連携サーバ40に送信してよい。連携サーバ40は、受信したユーザ10の位置を撮像できるカメラ210を有する案内装置100を検索して、検索された案内装置100に、ユーザ10の案内を依頼する旨を送信してよい。
光到達位置算出部380は、レーザ描画装置220aの位置及びレーザ描画装置220aからのレーザ光の向きに基づいて、レーザ光が物体に到達する到達先の位置を算出する。例えば、光到達位置算出部380は、データ格納部390が格納している構造情報、レーザ描画装置220aの位置及びレーザ描画装置220aからのレーザ光の向きに基づいて、レーザ光が構造物に到達する到達先の位置を算出する。また、光到達位置算出部380は、測距装置230aによって測定された距離、レーザ描画装置220aの位置及びレーザ描画装置220aからのレーザ光の向きに基づいて、レーザ光が構造物に到達する到達先の位置を算出してよい。ここで、レーザ光の到達先の位置とは、レーザ光が到達する緯度、経度及び高度を含む座標情報であってよい。光制御部340は、光到達位置算出部380が算出した位置を示す位置情報等の情報を、レーザ描画装置220aからのレーザ光に埋め込む。例えば、光制御部340は、レーザ光のパルス高又はパルス間隔、光波長多重技術を用いて、位置情報や関連情報などをレーザ光に埋め込んでよい。また、光制御部340は、レーザ光に同一の位置情報を複数回にわたって繰り返し埋め込んでよい。なお、レーザ光に埋め込む関連情報には、商品情報や広告情報等、行動をサポートするための様々な情報が含まれる。これにより、特定の位置にいる特定の対象に、特定の情報を送信することができる。
光制御部340は、ユーザ10の行先をユーザ10から取得する汎用端末170に向けて、位置情報が埋め込まれたレーザ光を発光させる。これにより、汎用端末170は、受光したレーザ光から、埋め込まれた位置情報を抽出することにより、自身の現在位置を特定する。汎用端末170は、ユーザ10dの案内を案内装置100aに依頼する場合に、ユーザ10の行先と、特定した現在位置を示す情報を案内装置100aに送信する。案内装置100aにおいては、送受信部350がユーザ10の行先及び汎用端末170の現在位置を汎用端末170から受信すると、光制御部340は、汎用端末170から受信した現在位置の近傍に、移動案内装置から取得したユーザ10の行先にユーザ10を案内するオブジェクトを描画させる。これにより、速やかにユーザ10の案内を開始することができる。更に汎用端末170は、レーザ光より関連情報も受信し活用することができる。
音声制御部344は、案内対象のユーザ10の近傍においてのみ認識できる音声を、スピーカ250aから出力させる。音声制御部344は、例えば「行先を選んでください」等の音声を、スピーカ250aから出力させる。これにより、案内装置100aは、他のユーザ10の迷惑にならないように、案内対象のユーザ10とコミュニケーションをとることができる。
図4は、案内装置100aがユーザ10aの案内を受け付ける場面を模式的に示す。ユーザ10aは、手を挙げることによって、案内情報を要求する。
光制御部340は、マーク480a、マーク480b及びマーク480cを、地面上に移動させながら描画させている。ここで、マーク480a、マーク480b及びマーク480cは、それぞれ互いに異なる施設を表す。例えば、マーク480aは、トイレを表す。マーク480bは、水泳競技場を表す。マーク480cは、バス乗り場を表す。マーク480a、マーク480b及びマーク480cによって表される施設は、案内制御装置240aが案内できる範囲内に存在する施設である。
なお、マーク480a、マーク480b及びマーク480cのそれぞれの施設は、マーク480a、マーク480b及びマーク480cの形状及び色の少なくとも一方で表される。したがって、ユーザ10aは、マーク480a、マーク480b及びマーク480cが示す施設を、それぞれのマークによって識別できる。
なお、案内制御装置240aは、各マークが表す施設を、ユーザ10のリクエストから抽出してよい。例えば、案内制御装置240aは、ユーザ10の投稿を携帯電話等から受け付ける機能を有しており、トイレの場所に関する投稿の数が一定数に達した場合に、トイレを表すマーク480aを描画させてよい。また、携帯電話等が、GPSなどで位置情報を取得できる場合は、その位置情報付近にマーク480aを描画させてよい。
ユーザ10aは、手を挙げることによって、案内情報を要求する。解析部300は、カメラ210aが撮像した画像を連続的に解析して、手を挙げたユーザ10aが存在するか否かを連続的に検出している。例えば、解析部300は、腕及び人差し指の方向が直立方向に沿っているユーザ10aが存在するか否かを検出する。なお、手を挙げる動作は、案内情報を要求する動作の一例である。
解析部300が手を挙げたユーザ10aの存在を検出すると、位置特定部310は、ユーザ10aが存在する位置を特定する。そして、光制御部340は、位置特定部310が特定した位置に向けて、マーク480a、マーク480b及びマーク480cの描画位置を移動させる。光制御部340は、マーク480a、マーク480b及びマーク480cが重ならないように、レーザ描画装置220aが各マークを描画する位置を制御する。
図5は、案内装置100aがユーザ10aの行先を特定する場面を模式的に表す。撮像制御部342は、カメラ210aのズーム機能を制御して、カメラ210aにユーザ10aを狭角撮影させる。解析部300は、カメラ210aが狭角撮影によって得られた画像に基づき、ユーザ10aの指先が指し示す位置を特定する。行先特定部330は、解析部300が特定した位置が、マーク480aの描画位置を指し示していると判断した場合、ユーザ10aが希望する行先がトイレであると判断する。
なお、解析部300は、カメラ210aのみが撮像した画像データに基づいて、ユーザ10aの指先が指し示す位置を特定してよい。しかし、案内制御装置240aは、案内制御装置240bが備えるカメラ210が撮像した画像データ及び案内制御装置240cが備えるカメラ210が撮像した画像データの少なくとも一方を取得して、取得した画像データ及びカメラ210aが撮像した画像データのうちの少なくとも2つの画像データに基づいて、ユーザ10aの指先が指し示す位置を特定してよい。解析部300は、異なる位置に設けられた案内装置100のカメラ210によって得られた複数の画像データを解析することによって、3次元の解析を行うことができる。これにより、ユーザ10aの指先が指し示す位置を正確に特定できる。
また、解析部300は、ユーザ10aの足の先が指し示す位置を特定してよい。そして、行先特定部330は、解析部300が特定した位置が、マーク480aの描画位置を指し示していると判断した場合、ユーザ10aが希望する行先がトイレであると判断してよい。この決定判断には、対象を一定時間以上指し示したりジャンプしたりしたことを条件としてもよい。
図6は、案内制御装置240aがユーザ10aを案内する場面を模式的に表す。行先特定部330がユーザ10aの行先を特定すると、経路決定部370は、ユーザ10aの現在位置から行先までの経路を探索する。光制御部340は、レーザ描画装置220aからの光によって、マーク480aに代えて行先案内用のマーク90aを、ユーザ10aの足元近傍に描画させる。そして、光制御部340は、経路決定部370が探索した経路上に沿って、マーク90aの描画位置を移動させる。
なお、光制御部340は、解析部300によるジェスチャ解析によって、ユーザ10aが案内を開始する旨の予め定められた動作をしたことが検出された場合に、マーク90aの描画位置の移動を開始させてよい。ユーザ10aが案内を開始する旨の予め定められた動作としては、ジャンプ動作等を例示できる。
そして、撮像制御部342は、カメラ210aのズーム機能を制御して、カメラ210aの画角をジェスチャ解析時の画角より広げて、カメラ210aに撮像させる。位置特定部310は、解析部300によるカメラ210aで撮像された画像の解析結果に基づいて、ユーザ10aを追跡して、ユーザ10aの位置の変化を検出する。光制御部340は、ユーザ10aの位置の変化速度に追従して、マーク90aの描画位置の移動速度を調整する。また、光制御部340は、ユーザ10aの位置の変化に基づいて移動ベクトルを算出して、移動ベクトルに基づいてマーク90aの描画位置を移動させる方向を調整してよい。これにより、案内装置100aは、ユーザ10aが希望する施設まで、ユーザ10aを案内することができる。
なお、解析部300は、ユーザ10aの画像から特徴量を抽出して、抽出した特徴量の一致度に基づいてユーザ10aを追跡してよい。特徴量としては、顔の特徴量、抽出された色の特徴量を例示できる。色を抽出する部位としては、頭部付近、上半身、下半身及び膝下等を例示できる。色の特徴量としては、色の分布割合を例示できる。例えば、画像において占める面積が大きい2色の比率を、色の特徴量として適用してよい。また、身長、重心位置、歩幅、足を動かす周期、移動速度等を、特徴量として利用してよい。また、上述した特徴量の一致度を、優先度に基づく重み係数で重み付け加算して得られた値に基づいて、ユーザ10aを追跡してよい。
また、マーク480aは人間が見て行先を理解できる形状又は色を有するが、マーク90aは人間が見ても行先を理解できない形状又は色を有する。これにより、ユーザ10aがマーク90aで案内されている場合に、ユーザ10aの行先を他の人から秘匿することができる。
以上に説明したように、光制御部340は、ユーザ10の位置の近傍に、行先候補を表すマーク480a、マーク480b及びマーク480cを、レーザ描画装置220aからの光で描画させる。ここで、マーク480a、マーク480b及びマーク480cは、行先候補を表すオブジェクトの一例である。そして、解析部300は、カメラ210aで撮影された画像に基づいて、ユーザ10aの体が指し示す位置を特定する。そして、行先特定部330は、解析部300によって特定された位置の近傍に光制御部340が描画させているマーク480aが表す行先候補を、ユーザ10aの行先として特定する。そして、光制御部340は、行先特定部330が特定した行先へ移動するためにユーザ10が進むべき向きを示すマーク90aを、レーザ描画装置220aからの光で描画させる。
なお、光制御部340は、位置特定部310が特定したユーザ10の位置に基づいてマーク90aを描画する場合、位置特定部310が特定した位置にユーザ10が存在していた時点からマーク90aが実際に描画される時点までの時間遅れを考慮して、ユーザ10の所定時間後の位置を予測してマーク90aの描画位置を決定してよい。例えば、光制御部340は、位置特定部310が直近に特定した複数の位置に基づいて、ユーザ10の所定時間後の位置を予測して、予測した位置の近傍に、マーク90aを描画させる。ここで、光制御部340は、ユーザ10の位置を予測するための複数のロジックを有してよい。例えば、光制御部340は、ユーザが移動する典型的な軌跡データを地点毎に有してよい。一例として、光制御部340は、ユーザが移動方向を転換可能な地点毎に軌跡データを有してよい。例えば、光制御部340は、ユーザの進行方向に沿って左右に分かれる三叉路の地点に対応づけて、ユーザが左折する場合の軌跡データと、ユーザが右折する場合の軌跡データとを有してよい。そして、光制御部340は、位置特定部310が直近に特定した複数の位置に基づいてユーザ10が左折したと判断した場合、ユーザ10の現在位置が表す地点に対応づけられている左折の軌跡データを用いて、マーク90aの描画位置を移動させてよい。
図7は、案内装置100aがユーザ10bの案内を受け付ける他の場面を模式的に示す。ユーザ10bは、看板190を指差すことによって、案内情報を要求する。
解析部300は、カメラ210aが撮像した画像を連続的に解析して、看板190を指差したユーザ10が存在しないかを連続的に検出している。例えば、解析部300は、ユーザ10bの人差し指が差している方向の先に看板190がある場合に、ユーザ10bを、看板190を指差したユーザとして検出する。なお、看板190を指差す動作は、案内情報を要求する動作の一例である。
解析部300によって看板190を指差したユーザ10bの存在が検出されると、光制御部340は、レーザ描画装置220aを制御して、ユーザ10bが指差した看板190に行先を尋ねる情報を描画させる。例えば、光制御部340は、「トイレ」、「競技場」及び「乗り場案内」等の施設のジャンルを表す文字を、レーザ描画装置220aに描画させる。例えば、光制御部340は、看板190に「トイレ」の文字を描画させる。また、光制御部340は、看板190の縁を光で照らして、看板190がアクティブになったことをユーザ10bに通知してよい。
そして、光制御部340は、ユーザ10bのジェスチャに応じて、描画内容を変更させる。具体的には、看板190を指差したユーザ10bの存在が検出されると、撮像制御部342は、カメラ210aのズーム機能を制御して、カメラ210aでユーザ10bを狭角撮影させる。そして、解析部300は、ユーザ10bのジェスチャの検出を開始する。解析部300は、カメラ210aが狭角撮影することによって得られた画像に基づき、ユーザ10bが肯定動作をしたか否定動作をしたかを判断する。例えば、解析部300は、ユーザ10bの頭部が首を縦に振る動作をしたと判断した場合に、ユーザ10bが肯定動作をしたと判断する。解析部300は、ユーザ10bの頭部が首を横に振る動作をしたと判断した場合に、ユーザ10bが否定動作をしたと判断する。また、解析部300は、ユーザ10bの腕の動きが、肯定を表す予め定められた動きにマッチすると判断した場合に、ユーザ10bが肯定動作をしたと判断する。また、解析部300は、ユーザ10bの腕の動きが、否定を表す予め定められた動きにマッチすると判断した場合に、ユーザ10bが否定動作をしたと判断する。否定動作としては、その他に、手を払う動作やジャンプ動作、一定時間に渡って動きを止める動作、しゃがむ動作、回る動作、手を左右に振る動作等を例示することができる。
図8は、案内制御装置240aが看板190に描画させる内容を更新した場面を模式的に表す。例えば、看板190に「トイレ」の文字を描画させている状態で、解析部300によってユーザ10bが否定動作をしたと判断された場合、光制御部340は、次の行先候補を看板190に描画させる。例えば、光制御部340は、「競技場」の文字を看板190に描画させる。
看板190に「競技場」の文字を描画させている状態で、解析部300によってユーザ10bが肯定動作をしたと判断された場合、光制御部340は、「競技場」のジャンルに属する施設の候補を、レーザ描画装置220aに予め定められた順番で描画させる。例えば、「水泳競技場」及び「陸上競技場」等の施設を表す文字を、予め定められた順番で描画させる。
図9は、案内制御装置240aがユーザ10bを案内する場面を模式的に表す。「水泳競技場」の文字が看板190に描画させている状態で、解析部300によってユーザ10bが肯定動作をしたと判断された場合、行先特定部330は、看板190に描画されている文字が表す水泳競技場を、ユーザ10bの希望する行先として特定する。
行先特定部330が行先を特定すると、経路決定部370は、ユーザ10bの現在位置から水泳競技場までの経路を探索する。経路決定部370によって探索された経路の全体をユーザ10bの現在位置から見通せる場合、光制御部340は、レーザ描画装置220aからの光によって、線によって経路を表す行先案内用のマーク90bを、ユーザ10bの足元近傍から水泳競技場まで描画させる。このように、ユーザ10bが行先までの経路を見通せる場合は、光制御部340は、経路を線で描画してユーザ10bを誘導する。
なお、位置特定部310は、カメラ210aによって得られた画像に基づいてユーザ10bを追跡する。光制御部340は、ユーザ10bの位置の変化に追従して、マーク90bを描画し直す。例えば、ユーザ10bの位置が変化すると、経路決定部370は経路を再探索して、マーク90bを再描画する。これにより、案内装置100aは、最初に提示した経路からユーザ10aが外れても、希望する施設までユーザ10bを案内することができる。
以上に説明したように、解析部300は、カメラ210aで撮影された画像に基づいて、ユーザ10bの体が指し示す位置を特定する。光制御部340は、解析部300が特定した位置に、行先候補を表すオブジェクトを描画させる。そして、解析部300は、カメラ210aで撮影された画像に基づいて、ユーザ10が行先を選択するための予め定められた動作をしたか否かを判断する。行先特定部330は、解析部300によってユーザ10が予め定められた動作をしたと判断された場合に、光制御部340が描画させているオブジェクトが表す行先候補を、ユーザ10の行先として特定する。
なお、行先候補のオブジェクトは、看板190に限られず、様々な描画対象に描画されてよい。行先候補のオブジェクトは、地面等のユーザが立っている場所や、構造物の壁面に描画されてよい。また、光制御部340は、看板190等の描画対象に動画を表示させてもよい。また、看板190に変えて、液晶等のディスプレイによって、行先候補をユーザ10に提示してよい。また、看板190にオブジェクトを描画して行先を特定する場合を取り上げて説明したが、提示内容が固定された看板を用いて行先を特定してもよい。例えば、解析部300によって看板を指差しているユーザ10が検出された場合、撮像制御部342は当該看板をカメラ210aで撮像させてよい。そして、解析部300は、カメラ210aによって撮像された画像に対してOCR処理等をすることによって、当該看板で表されている文字を抽出してよい。行先特定部330は、抽出した文字で表される行先を、ユーザ10の行先として特定してよい。なお、光制御部340は、看板190a等に行先候補のオブジェクトを描画させている場合、行先に誘導するためのマーク90等のオブジェクトの描画を停止してよい。また、看板190a等の描画対象に描画されるオブジェクトは、案内用のウェブページ等の画像に基づく線画像であってよい。例えば、処理部392は、案内用のウェブページ画像をエッジ抽出等によって線画像に変換して、得られた線画像内の線をレーザ光で描画させてよい。
また、解析部300のジェスチャ解析によって、ユーザ10bが耳に手を当てる動作をしたことが検出された場合、音声制御部344は、スピーカ250aからの音波によって、行先候補をユーザ10bの位置に音声で提供してよい。
なお、ユーザを案内中にユーザが上述した否定動作を行ったと解析部300が判断した場合には、処理部392はユーザの案内を停止してよい。また、解析部300は、ユーザがジャンプする等の特定動作を行ったと判断した場合、処理部392は、ユーザが特定動作を行った位置をデータ格納部390に格納してよい。そして、ユーザが特定動作を繰り返したと解析部300が判断した場合、経路決定部370はユーザの現在位置からデータ格納部390に格納されている位置までの経路を決定して、決定した経路を表すマークを光制御部340に描画させてよい。例えば、特定動作を2回繰り返したと判断された場合、一つ前のまでの経路を描画させ、特定動作を3回繰り返したと判断された場合、二つ前のまでの経路を描画させてよい。
また、データ格納部390は、ユーザを案内した経路を記憶してよい。そして、光制御部340は、案内開始位置からユーザの現在位置まで案内してきた経路を、ユーザに提示してよい。例えば、処理部392は、ユーザが体の向きを反転して案内開始位置に戻る方向にユーザの体が向いたと判断した場合に、案内開始位置からユーザの現在位置までのこれまでの経路を、マーク90bと同様に光制御部340に描画させてよい。処理部392は、提示した当該経路に沿ってユーザが進んだ後に、ユーザが再び体の向きを反転したと判断した場合に、経路決定部370にユーザの現在位置から行先までの経路を再探索させ、再探索によって決定された経路を、光制御部340に描画させてよい。
また、光制御部340は、マーク480やマーク90内に、近くの店の宣伝や広告等の情報を描画させてよい。また、処理部392は、マーク90による案内中に、ユーザが行先へのルートどおりに進んでいるか否かを判断して、経路決定部370で決定された経路どおりに進んでいない場合に、ユーザの現在位置から行先までの最適ルートを再検索して、ユーザに通知してよい。
図10は、案内装置100aがユーザ10cの案内を受け付ける他の場面を模式的に示す。具体的には、ユーザ10cがユーザ端末180を用いて、案内情報を要求する場面を示す。
ユーザ端末180は、ユーザ10cがメニュー操作やユーザ10bの声等を通じて、ユーザ10cが希望する行先を特定する。例えば、ユーザ10cが「バス乗り場」を行先として選択すると、ユーザ端末180は、バス乗り場を示す行先情報を、案内制御装置240aに送信する。このとき、ユーザ端末180は、ユーザ端末180の現在の位置を示す位置情報と共に、行先情報を案内制御装置240aに送信する。
案内制御装置240aにおいて送受信部350がユーザ端末180から行先情報及び位置情報を受信すると、光制御部340は、位置情報が示す位置の近傍の地面に、行先案内用のマーク90cを描画させる。マーク90cの形状や色等は、案内制御装置240aにおいて決定される。また、案内制御装置240aが決定したマーク90cの形状や色等を表すマーク画像は、送受信部350からユーザ端末180に送信される。ユーザ端末180は、マーク画像を受信すると、ユーザ端末180の画面上にマーク画像を表示する。これにより、案内制御装置240aは、ユーザ10cを行先に案内するためのマーク90cを、ユーザ10cに通知することができる。
ここで、光制御部340がマーク90cを描画させた後、解析部300は、カメラ210aにより得られた画像を連続的に解析して、マーク90cを描画した位置の近傍において、手を挙げたユーザ10が存在しないかを連続的に検出する。解析部300が手を挙げたユーザ10cの存在を検出すると、光制御部340は、位置特定部310によって特定された位置に向けて、マーク90cの描画位置を移動させる。
光制御部340は、マーク90cをユーザ10cの足元に描画した後、バス乗り場に向けてマーク90cの描画位置の移動を開始する。ここで、マーク90cによってユーザ10cを案内するための案内装置100における動作は、マーク90aによってユーザ10aを案内する場合の動作と同様であるので、説明を省略する。
ユーザ端末180を用いた案内方法によれば、ユーザ10cは、ユーザ端末180を用いて行先を指定することで、ユーザ端末180にマークが表示される。ユーザ10cは、ユーザ端末180に表示されたマークに一致するマーク90cを発見すると、手を挙げる等の予め定められた動作をすることで、マーク90cを足元に呼び寄せることができる。そのため、ユーザ端末180を用いて複雑な操作をする必要がない。また、ユーザ端末180が高い位置検出精度を有する必要がない。また、マーク90cは行先を表す形状及び色を有していないので、ユーザ10cの行先を他の人から秘匿することができる。
図11は、案内制御装置240aがユーザ10dの案内を受け付ける他の場面を模式的に示す。具体的には、ユーザ10dが汎用端末170を用いて、案内情報を要求する場面を示す。
汎用端末170は、ユーザ10dの操作やユーザ10dの声等を通じて、ユーザ10dが希望する行先を特定する。汎用端末170は、ユーザ10dが希望する行先を特定すると、その行先を示す行先情報を、汎用端末170の現在の位置を示す位置情報と共に、案内制御装置240aに送信する。
案内制御装置240aは、汎用端末170から行先情報及び位置情報を受信すると、受信した位置情報で表される位置の近傍の地面に、マーク90dを描画する。その後、案内制御装置240aは、マーク90aによってユーザ10aを案内する場合の動作と同様の制御によって、ユーザ10dを行先まで案内する。
なお、上述したように、汎用端末170は、レーザ描画装置220aからの光が当たった場合に、受光した光に基づいて、汎用端末170の現在位置を特定する。例えば、汎用端末170は、レーザ描画装置220aからの光を検出した場合に、当該光に埋め込まれている位置情報が表す位置を、汎用端末170の現在位置として記憶する。汎用端末170がその後に移動した場合、汎用端末170の移動方向及び移動量に応じて、現在位置を更新する。このため、汎用端末170から送信される現在位置の精度は比較的に高い。そのため、案内制御装置240aは、汎用端末170から受信した位置情報が示す位置の近傍にマーク90dを描画することで、ユーザ10dの足元近くにマーク90dを速やかに描画することができる。
なお、ユーザ10は、固定案内端末160を用いて案内情報を要求することもできる。具体的には、固定案内端末160は、ユーザ10eの操作やユーザ10eの声等を通じて、ユーザ10eが希望する行先を特定する。固定案内端末160は、ユーザ10eが希望する行先を特定すると、その行先を示す行先情報を、固定案内端末160の現在の位置を示す位置情報と共に、案内制御装置240aに送信する。案内制御装置240aは、固定案内端末160から行先情報及び位置情報を受信すると、受信した位置情報で表される位置の近傍の地面に、マーク90dを描画する。その後、案内制御装置240aは、マーク90aによってユーザ10aを案内する場合の動作と同様の制御によって、ユーザ10eを案内する。
図12は、案内制御装置240aが動的に案内を行う場面を示す。図12は、ユーザ10aの行先の施設の入り口から人の行列が発生している場面を示す。また、人の行列が、マーク1200で表される規定のバス乗り場まで延びている場面を示す。
案内制御装置240aにおいて解析部300は、カメラ210aで得られた画像を解析することによって、ユーザ10の行先から続く行列を抽出する。解析部300がユーザ10aの行先から続く行列を抽出すると、行先特定部330は、ユーザ10の行先を、行列の最後尾の位置に修正する。光制御部340は、行先特定部330によって修正された位置までマーク90aを移動することによって、ユーザ10aを案内する。
また、解析部300がカメラ210aで得られた画像を解析することによって、バス乗り場まで行列が発生していることが検出された場合、光制御部340は、レーザ描画装置220aを制御することによって、新たなバス乗り場を表すマーク1210を、行列から外れた位置に描画させる。このように、案内制御装置240aは、状況に応じて人を適切に案内することができる。なお、案内制御装置240aは、バス乗り場の位置を変更することを示す指示を取得した場合においても同様に、バス乗り場を表すマークの位置を、指示された位置に変更して描画させてよい。
このように、案内システム5によれば、ユーザを案内するための様々な情報を、光によって地面や床に描画することができる。そのため、ユーザ10は、所持する端末を用いて複雑な操作をすることなく、案内サービスを受けることができる。
以上に説明したように、マーク480や看板190を指差したり、ユーザ端末180を用いることで、案内を要求する形態を説明した。その他、処理部392は、光制御部340によって、壁や地面上に光でメニューを描画させてよい。処理部392は、メニューに対するユーザ操作を、解析部300によるユーザのジェスチャ解析によって取得してよい。
また、処理部392は、カメラ210で得られた画像に基づいて、一人でいる子供を検出して、検出した子供の画像及び子供の位置を示すデータを、迷子者情報として警察や案内所等に提供してよい。処理部392は、身長が低い人物、歩行方向が時間的に安定しない人物を、子供として検出してよい。また、処理部392は、カメラ210で得られた画像に基づいて、酔っ払いや不審者の人物を検出して、検出した人物の近傍に、警告情報を光で描画させてよい。処理部392は、身長が高く、かつ、歩行方向が時間的に安定しない人物を、酔っ払いや不審者として検出してよい。
図13は、斜面にマーク90aを描画する場合を模式的に示す。簡単のため、マーク90aが、斜面Sの傾斜方向に長さLを有する場合を取り上げて説明する。図13に示す例では、傾き角θが大きいほど、マーク90aを描画するためにレーザ描画装置220aの向きを変える角度範囲を小さくする。具体的には、描画面の法線と、レーザ描画装置220aからの光の向きとがなす角が大きいほど、レーザ描画装置220aが描画する角度を小さくする。
このように、光制御部340は、マーク90やマーク480等のマークを描画させる描画面の傾きに基づいて、描画面上においてマークの形状が予め定められた形状になるように、レーザ描画装置220aからの光の向きを制御する。具体的には、光制御部340は、描画面の傾き角θ等の構造情報、レーザ描画装置220aの位置、及びマーク描画位置に基づいて、描画面上においてオブジェクトの形状が予め定められた一定の形状になるように、レーザ描画装置220aからの光の向きを制御する。これにより、ユーザ10を案内するマークの形状を、場所によらず略一定に保つことができる。
なお、光制御部340は、地面、道路の面、建造物の床面等以外に、ユーザ10の手のひらにマークを描画させてよい。この場合、光制御部340は、レーザ描画装置220aの出力を弱めて出力することが望ましい。
また、案内システム5の適用対象は、スポーツイベント会場に限られない。例えば、案内システム5と同様の構成の案内システムを街中に設けることができる。案内システムを街中に設けた場合の案内先は、店舗や公共施設等であってよい。また、本実施形態における「案内」とは、行先の案内に限られない。例えば、本実施形態における「案内」とは、店舗の安売り情報等の様々な情報を提供する概念を含むものである。
上記の説明において、案内制御装置240aの動作として説明した処理の少なくとも一部は、プロセッサがプログラムに従ってコンピュータが有する各ハードウェア(例えば、ハードディスク、メモリ等)を制御することにより実現できる。このように、案内制御装置240aの処理の少なくとも一部は、プロセッサがプログラムに従って動作して各ハードウェアを制御することにより、プロセッサ、ハードディスク、メモリ等を含む各ハードウェアとプログラムとが協働して動作することにより実現できる。すなわち、案内制御装置240aの処理を、いわゆるコンピュータによって実現することができる。コンピュータは、上述した処理の実行を制御するプログラムを読み込み、読み込んだプログラムに従って動作して、当該処理を実行してよい。コンピュータは、当該プログラムを記憶しているコンピュータ読取可能な記録媒体から当該プログラムを読み込むことができる。また、当該プログラムは通信回線を通じてコンピュータに供給され、コンピュータは、通信回線を通じて供給されたプログラムを読み込んでよい。同様に、案内制御装置240b及び案内制御装置240cの動作として説明した処理は、プロセッサがプログラムに従ってコンピュータが有する各ハードウェアを制御することにより実現できる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。