JP2016166266A - 平版印刷インキ組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒートセット型平版印刷において印刷品質の向上と印刷作業性の向上、及び耐摩擦性、光沢、着肉性に優れ、パイリングを低減でき、更には、CO2排出量という観点から環境負荷の低減に貢献するインキの提供。【解決手段】ミツロウと、バインダー樹脂と、植物油類とを含有する平版印刷インキ組成物。平版印刷インキ組成物不揮発分全量中、ミツロウを0.25〜3重量%含有する上記平版印刷インキ組成物。上記平版印刷インキを、基材に印刷してなる印刷物。【選択図】なし

Description

本願発明は、書籍、チラシ、カタログ、ポスター等を印刷する平版印刷に使用されるヒートセット型平版印刷インキ組成物(以下、「インキ」と略す。)に関するものであり、特に、印刷品質の向上と印刷作業性の向上に関するものであり、さらには、耐摩擦性、光沢、着肉性に優れ、パイリングを低減できるインキに関するものである。
近年、ヒートセット型平版印刷では生産性向上を目的として印刷速度が益々高速化し、古紙の再利用率の向上、輸入紙の増加等印刷用紙が多様化しており、印刷機上並びに印刷後の擦れの低減が求められている。
オフセット印刷では、インキがインキ壷から複数のローラーを経由して版面に供給され、版面からブランケットを介して用紙に転移し、画像が再現される。ヒートセット輪転印刷の場合、ドライヤーを通過する際、180〜230℃位の熱風を受けて溶剤が蒸発する事により乾燥し、ガイドローラー、ターンバー、三角板等を経て、折り機にて折られ、結束される事が一般的であるが、ドライヤー通過後の複数のローラーを経由する間に、紙面が擦れる不具合が発生する事がある。特に近年、再生紙の活用率が向上するに伴い、紙面強度が弱い用紙が増加し、擦れが以前よりも発生し易くなっている状況がある。擦れを低減する対策としては、インキ中にワックスを適量配合する事が一般的であり、紙面上のインキ皮膜の厚みを超過する粒子径のワックスが、擦れを低減する作用を有する。
そのような耐摩擦性の問題を解決する方法として、特許文献1では溶融系ワックス、分散系ワックスの複数種のワックスを添加することで、印刷機上、印刷後の耐摩擦性を付与している。その一つであるマイクロクリスタリンはドライヤー通過後のクーリングローラーへの付着やガイドロール残りを抑制する。
同様に特許文献2には融点が70〜85℃のイソパラフィンおよびまたはシクロパラフィンを用いたワックスの添加について示されているが、これらはクーリングローラーへのインキの付着、およびガイド残りを抑制する効果を示すものである。
このようなパラフィン系炭化水素系のワックスは、非常に安価に供給されるため、インキにとどまらず、様々な品種で用いられているが、パラフィン系炭化水素系のワックスは、原油中から目的とする画分を蒸留などの操作で取り出すため、幅広い融点を有する成分から構成され、必要としない成分も含有される。
中でも先述したようにインキで一般的に用いられているパラフィンワックスは、原油を減圧蒸留々出油から分離され、炭素数20〜40、分子量は約300〜550、約90重量%がノルマルパラフィンとなっている。このため、パラフィンワックスは混合物となっており、主たる融点を有する炭素数36の炭化水素化合物の他、炭素数が5〜10異なる夾雑物を含んでいる。
一方で、近年印刷業界では、印刷時の省人、省力化、自動化、高速化の要求が高まってきている事に合わせて、様々な印刷条件下に於いてトラブルレスで長時間安定して高品位な印刷物が得られる印刷用インキが望まれており、インキメーカーでは種々の改良を実施してきている。
特にドットの小さいFMスクリーン、また印刷物の精細さの向上、および印刷メーカー自体のインキ使用量削減の観点からAMスクリーンの高精細化が急速に普及している。そのため、先刷りインキである墨・藍インキが後刷り用のブランケットに付着して徐々に堆積していく後胴残りなどインキのセット性に依存する印刷トラブルへのインキ面からの対応が求められている。
また、セット性が速く、ガイドローラーに付着・堆積し、印刷物への汚れの発生するガイド残り、引きずり汚れといったセット性に依存する印刷トラブルがある。
こうした後胴残り・ガイド残りなどの問題に対してはインキのセット性を遅くすることが、対応策の一つとなっている。セット性を遅くするためには、植物油などに代表される溶解性の高い素材を用いて、樹脂との相溶性を上げることが有用な方法の一つとして挙げられる。しかし、特にヒートセットオフセット印刷では、ドライヤー部での短時間の通過での蒸発乾燥性が要求されるが、揮発性の低い植物油が多く添加されると乾燥性が不利になる。そのため、お互いトレードオフの関係にあるセット性と乾燥性のバランスを考慮し、植物油量も大幅に上げられないのが現状である。
特許文献3では、植物油脂由来の脂肪族アルコールから誘導される220〜310℃を沸点にもつジアルキルエーテルをワニス中の溶剤として使用している。しかし、このような高溶解溶剤をワニス中に用いた場合、樹脂の溶解性が大幅に向上し、プリンティングタックが大幅に上昇し、高速印刷時での紙剥けやミスチングといった印刷トラブルにつながる恐れがある。
また、セット性を遅くする方法としては一般的には樹脂の溶解性を上げる方法がある。オフセット印刷用に一般的に用いられるロジンフェノール樹脂ではアルキルフェノールの配合比を調整し樹脂自体の溶解性を上げることでセット性を遅くすることが可能である。しかし、インキの粘弾性はロジンフェノール樹脂の分子量、溶解性の設計に大きく依存するため、目的のセット性、インキの粘弾性を達成できる樹脂設計は容易ではない。
さらに、一方で、現在、環境負荷低減を目的として、印刷インキにおいても脱石化素材の採用並びにVOC成分の低減の取り組みがなされており、天然由来の原料を調達することは環境面の点からも好ましい。
特開2007−254629号公報 特開2003−221536号公報 特開2005−60693号公報
本願発明は、このような従来の技術における問題点を解決する為になされたものであり、その課題とするところは、特に、印刷品質の向上と印刷作業性の向上、および耐摩擦性、光沢、着肉性に優れ、パイリングを低減できるインキに関するものである。さらに、CO2排出量という観点から環境負荷の低減に貢献するインキに関するものである。
バインダー樹脂、ワックス、石油系溶剤および植物油を含有する平版印刷インキ組成物において、ある一定範囲の融点を有するミツロウを一定量含有し、耐摩擦性、光沢、着肉性に優れ、パイリングを低減できる事を特徴とする平版印刷インキ組成物を発明するに至った。
すなわち、本願発明は、ミツロウと、バインダー樹脂と、植物油類とを含有することを特徴とする平版印刷インキ組成物に関する。
さらに、本願発明は、平版印刷インキ組成物不揮発分全量中、ミツロウを0.25〜3重量%含有することを特徴とする上記平版印刷インキ組成物に関する。
さらに、本願発明は、上記平版印刷インキを、基材に印刷してなる印刷物に関する。
従来は、高速印刷条件下で印刷機のクーリングローラーへのインキの付着やガイド残り低減するために溶融系の炭化水素ワックスを添加するのが一般的であった。また、従来では、後胴残りなどのトラブル回避のためにインキのセット性を遅延するためには樹脂自体の高溶解化、ワニス用溶剤の高溶解化が行われてきた。しかし、ともにインキの粘弾性の大幅な変化などの問題をはらんでいた。本願発明によって、ミツロウを添加することで、クーリングローラーへの付着や後胴残りといったトラブルを一挙に解決することが可能となった。
本願発明で使用されるバインダー樹脂とはロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂および石油樹脂等であり、それらは任意に単独または2種類以上を組み合わせて使用でき、好ましくは、ロジン変性フェノール樹脂を使用することが望ましい。
バインダー樹脂であるロジン変性フェノール樹脂の重量平均分子量は、20000〜200000の範囲が望ましく、より好ましくは25000〜160000、さらに好ましくは30000〜120000の範囲であることが望ましい。20000未満では弾性が低くなりミスチングを増大させる懸念があり、200000を超える重量平均分子量では流動性や着肉性を劣化させる懸念がある。
本願発明に関するロジン変性フェノール樹脂は、ノルマルパラフィン白濁温度が40〜160℃の範囲が望ましく、さらに好ましくは50〜130℃の範囲である。本願発明において、ノルマルパラフィン白濁温度とは、樹脂10重量%と14〜16の炭素数を有するノルマルパラフィン90重量%を加熱混合した際に、白濁する下限の温度をいう(それ以上の温度では白濁が観察されない。)。40℃未満では樹脂の溶解性が高すぎるのでインキのタックが高くなり、160℃を超える白濁温度では樹脂の溶解性が低すぎるので溶剤が離脱し易く機上でインキが締まり易くなる。
ミツロウを含め、本願発明におけるワックスとは耐摩擦剤とも言われ、平版印刷インキ組成物に添加することによって、印刷面の擦れを抑制する性質を付与するものである。
ワックスは主に分散系ワックスと溶融系ワックスに大別される。一つ目の分散系ワックスとは、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられ、1〜10μmの微粒子である。分散系ワックスは、印刷面から微粒子の一部が突出してその滑らかな表面に被接触物が接触することで印刷面に滑り性を与え、印刷面が被接触物と直接接触することによる印刷面の傷つきを防止する。
二つ目の溶融系ワックスとは、一般にパラフィンやマイクロクリスタリンなどの100oC未満の融点をもつ溶融系の炭化水素ワックスは印刷面への表面コーティングとして使用されることが多い。枚葉印刷方式で行われる場合、ワックス粒子は溶融することなく印刷面に付着するか印刷面から突出した状態として存在し、被接触物と接触すると摩擦により溶融し滑り性を付与し印刷面を保護する。
パラフィンやマイクロクリスタリンなどの100oC未満の融点をもつ炭化水素系ワックスは、熱乾燥を伴うヒートセットオフセット型オフ輪印刷方式においても使用され、紙面温度が100oC以上に達するドライヤー通過後、溶融したワックスが印刷面を被覆し、クーリングローラーで冷やされ、再凝固することで、インキのクーリング取られを低減する効果を示す。しかしながら、パラフィンやマイクロクリスタリンなどの炭化水素は極性基を有していないためにセット遅延効果は乏しく、後胴残りやガイド残りなどセット遅延性に由来するトラブルの完全な解決には至らない。
本願発明におけるミツロウは後者の溶融系ワックスに該当し、100oC未満の融点をもつ炭化水素系ワックスに変わるものである。ヒートセット印刷方式においては炭化水素系ワックスと同様にクーリング取られ対策に加え、後胴残りやガイド残りなどセット遅延性に由来するトラブル解決のために必須の構成である。ミツロウは、孵化後12〜20日程度の働きハチが蝋分泌線より分泌された巣の構成材料である。原蝋は花粉やプロポリス、幼虫とその排出物を含んでいるため、一般に脱色、脱臭工程を経て精製ミツロウとなる。この精製ミツロウは融点55〜65℃程度とされており、本願発明ではこの融点範囲のものを用いるのが好ましい。融点55℃未満では融点が低く、再融解し、ブロッキング発生の恐れがある。
一方で、ミツバチを大別すると西洋ミツバチと東洋ミツバチがあり、西洋ミツバチから得られるミツロウは酸価が17〜22と高く、東洋ミツバチから得られるミツロウは酸価が5〜9と低い値を示す。本願発明では下記の通り、添加量を制限すれば、特に酸価は制限されず、併用して用いてもよい。
精製ミツロウの成分は多岐に渡り、主成分はセロチン酸 CH3(CH2)24COOH 、パルミチン酸ミリシルと言われている。詳細にはエステル約67〜75%、遊離脂肪酸約低酸価のもので5〜9%、高酸価のもので13〜16%、C24〜32の遊離アルコール1〜2%、C21〜C35の炭化水素10〜21%である。ミツロウは,このように複数の混合物であるが、非極性化合物である炭化水素系ワックスと比較し、極性基を持つ化合物が多いことが特徴である。このため、インキ中にて樹脂の溶解性を高め、光沢や後胴残り、クーリング取られ、ガイド残りなどの印刷適性に優れているため、本願発明において必須の構成である。
本願発明におけるミツロウは全インキ組成不揮発分中の0.25〜3重量%であることが好ましく、0.25重量%未満では、ドライヤー通過後の印刷物面の十分被覆できずにクーリング取られやガイド残りの発生の低減が十分ではない場合がある。3重量%を越えるとパイリング、さらにミツロウの酸価が高い場合は汚れの発生などの問題が発生する可能性がある。
本願発明のミツロウを含めた上記の耐摩擦剤はそのまま粉体または分散液として使用することも可能であるが、あらかじめインキ用ワニス、溶剤に分散し、コンパウンド化したものを使用しても良い。
本願発明のミツロウを含めた耐摩擦剤の添加方法としては、従来の印刷インキ製造工程におけるいずれの工程でも添加可能である。すなわち、顔料とミツロウを共にワニスに分散、混練を行ったものをインキ化しても、また分散、混練工程を経たものに耐摩擦剤を混合してインキ化しても良いが、ワックスの最大の効果を発揮するためには後者が好ましい。また製品となった印刷インキにワックスを混合しても同様の効果が得られる。
また、平版印刷インキ組成物中にはその他添加剤として、耐摩擦、ブロッキング防止、スベリ、スリキズ防止を目的とする各種添加剤を使用することができ、必要に応じて、レベリング剤、界面活性剤、消泡剤、等を添加してもよいが、パイリングを誘発する懸念があるため、全インキ組成中の6重量%未満であることが望ましい。
本願発明における植物油類とは植物油および植物油由来の化合物であり、グリセリンと脂肪酸とのトリグリセリドにおいて、少なくとも1つの脂肪酸が炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有する脂肪酸であるトリグリセリドと、それらのトリグリセリドから飽和または不飽和アルコールとをエステル反応させてなる脂肪酸モノエステル、あるいは植物油の脂肪酸とモノアルコールを直接エステル反応させた脂肪酸モノエステル、エーテル類が挙げられる。
植物油として代表的ものは、アサ実油、アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ油、カポック油、カヤ油、カラシ油、キョウニン油、キリ油、ククイ油、クルミ油、ケシ油、ゴマ油、サフラワー油、ダイコン種油、大豆油、大風子油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ニガー油、ヌカ油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ヘントウ油、松種子油、綿実油、ヤシ油、落花生油、脱水ヒマシ油などが挙げられる。
脂肪酸モノエステルは上記植物油とモノアルコールとをエステル交換したものや植物油の脂肪酸とモノアルコールを直接エステル反応させた脂肪酸モノエステルである。モノアルコールの代表的なものは、メタノール、エタノール、n−またはiso−プロパノール、n,secまたはtert−ブタノール、ヘプチノール、2−エチルヘキサノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール等の飽和アルコール、オレイルアルコール、ドデセノール、フイセテリアルコール、ゾンマリルアルコール、ガドレイルアルコール、11−イコセノール、11−ドコセノール、15−テトラコセノール等の不飽和脂肪族系アルコールが挙げられる。
エーテル類として代表的なものは、ジ−n−オクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジへプチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジデシルエーテル、ノニルへキシルエーテル、ノニルヘプチルエーテル、ノニルオクチルエーテル等が挙げられる。
本願発明において顔料を使用することが出来る。顔料を使用しなければ、クリアインキとして使用できる。
本願発明において使用される顔料としては、一般的な無機顔料および有機顔料を示すことができる。無機顔料としては黄鉛、亜鉛黄、紺青、硫酸バリウム、カドミムレッド、酸化チタン、亜鉛華、弁柄、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、群青、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム粉、などを示すことができる。有機顔料としては、アゾ系として、C系(βナフトール系)、2B系および6B系(βオキシナフトエ系)などの溶性アゾ顔料、βナフトール系、βオキシナフトエ酸アニリド系、モノアゾイエロー系、ジスアゾイエロー系、ピラゾロン系などの不溶性アゾ顔料、アセト酢酸アリリド系などの縮合アゾ顔料、フタロシアニン系として、銅フタロシアニン(αブルー、βブルー、εブルー)、塩素、臭素などのハロゲン化銅フタロシアン、金属フリーのフタロシアニン顔料、多環顔料としてペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系顔料を挙げることができる。顔料の添加量は、印刷インキ組成物の全量に対して0〜30重量%である。
本願発明における石油系溶剤としては、芳香族炭化水素の含有率が1重量%以下で、アニリン点が60〜130℃、沸点が230〜400℃の石油系溶剤であり、好ましくはアニリン点が80〜100℃、沸点が240〜310℃である。平版印刷インキ全量中、石油系溶剤を0〜30重量%含有するのが好ましく、5〜15重量%含有するのがさらに好ましい。石油系溶剤のアニリン点が60〜130℃の場合には、樹脂を溶解させる能力が好適であり、インキのセット性、光沢、着肉等の点で好ましい。このような非芳香族系石油溶剤としては、JX日鉱日石エネルギー株式会社製AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号等がある。
本願発明の平版印刷インキ組成物を製造するには、従来公知の方法で実施する事が出来る。一例としてバインダー樹脂、石油系溶剤、植物油類、必要に応じてゲル化剤を加えて、190℃1時間のクッキング条件でワニスを製造する。次いで、例えば、前記のワニスに顔料、石油系溶剤、植物油類、顔料分散剤または顔料分散樹脂を加え、ビーズミルや3本ロール等で分散する事により印刷インキ用ベースを得る事が出来る。次いで、石油系溶剤、植物油類、その他の添加剤を加え、所定粘度に調整し印刷インキ組成物を得る事が出来る。インキの種類としては、ヒートセット輪転印刷機用インキが主なものであるが、枚葉インキ、ヒートセット輪転印刷機用インキなどこれに限定されるものではない。
本願発明の平版印刷インキ組成物の組成の一例としては、
・顔料0〜30重量%
・バインダー樹脂20〜40重量%
・石油系溶剤0〜45重量%
・植物油類7〜20重量%
・ミツロウ0.25〜3重量%
・その他添加剤1〜5重量%
などが好ましい組成として挙げられる。
本願発明に使用される基材としてはコート紙やアート紙に代表される塗工紙や、上質紙および低級紙に代表される非塗工紙等のような一般的な印刷用紙が挙げられる。
以下に、実施例により本願発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本願発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、本願発明において、特に断らない限り、「部」は、「重量部」を表し、「%」は「重量%」を表す。
本願発明において、重量平均分子量は、東ソー(株)製ゲルパーミネイションクロマトグラフィ(HLC−8020)で測定した。検量線は標準ポリスチレンサンプルにより作成した。溶離液はテトラヒドロフランを、カラムにはTSKgelSuperHM−M(東ソー(株)製)3本を用いた。測定は流速0.6ml/分、注入量10μl、カラム温度40℃で行った。さらに、本願発明において、特に断らない限り、「分子量」とは、重量平均分子量を示す。
(ロジン変性フェノール樹脂製造例)
反応容器中でガムロジン1500部に、予めキシレン溶媒中でターシャリーブチルフェノール100部とオクチルフェノール500部と92重量%のパラホルムアルデヒド210部を水酸化ナトリウム触媒下で100℃で4時間反応させ、水分除去したフェノール樹脂を150℃で滴下し2時間反応させた。さらに、ペンタエリスリトール160部を添加し、触媒として酸化カルシウム1.5部を使用して250℃で12時間反応させた。反応の過程で順次取り出す事により、ロジン変性フェノール樹脂A(重量平均分子量70000)を得た。
(ヒートセットオフセット印刷インキ用ゲルワニスの製造)
撹拌機、リービッヒ冷却管、温度計付4つ口フラスコに樹脂A(重量平均分子量70000)44重量部、大豆油5重量部、AFソルベント7号(JX日鉱日石エネルギー株式会社製50重量部を仕込み、190℃に昇温、同温で30分間攪拌した後、放冷し、ゲル化剤としてエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド1重量部(川研ファインケミカル株式会社製ALCH、以下ALCHと称す)を仕込み、190℃で30分間攪拌してヒートセット型オフセット印刷インキ用ゲルワニス(以ゲルワニスと称す)を得た。
(ミツロウコンパウンド:ワックスコンパウンドA製造例)
撹拌機、リービッヒ冷却管、温度計付4つ口フラスコに購入した精製蜜蝋高酸価タイプ(株式会社セラリカNODA製、酸価22mg/KOH)のフレークを100重量部、再生大豆油(ヨウ素価117)を300重量部仕込み、100℃に昇温、同温で30分間攪拌した後、攪拌しながら自然冷却を行い、ワックスコンパウンドAを得た。
(ミツロウコンパウンド:ワックスコンパウンドB製造例)
撹拌機、リービッヒ冷却管、温度計付4つ口フラスコに購入した精製蜜蝋高酸価タイプ(株式会社セラリカNODA製、酸価22mgKOH/g)のフレークを50重量部、精製蜜蝋低酸(株式会社セラリカNODA製、酸価5mgKOH/g)のフレークを50重量部、再生大豆油(ヨウ素価117)を300重量部仕込み、100℃に昇温、同温で30分間攪拌した後、攪拌しながら自然冷却を行い、ワックスコンパウンドBを得た。
(ミツロウコンパウンド:ワックスコンパウンドC製造例)
撹拌機、リービッヒ冷却管、温度計付4つ口フラスコに購入した精製蜜蝋低酸価タイプ(株式会社セラリカNODA製、酸価5mgKOH/g)のフレークを100重量部、再生大豆油(ヨウ素価117)を300重量部仕込み、100℃に昇温、同温で30分間攪拌した後、攪拌しながら自然冷却を行い、ワックスコンパウンドCを得た。
(パラフィンワックスコンパウンド:ワックスコンパウンドD製造例)
撹拌機、リービッヒ冷却管、温度計付4つ口フラスコに購入したパラフィンワックス140(日本精蝋株式会社製)の白色ビーズ100重量部、再生大豆油(ヨウ素価117)を300重量部仕込み、100℃に昇温、同温で30分間攪拌した後、攪拌しながら自然冷却を行い、ワックスコンパウンドDを得た。
(マイクロクリスタリンワックスコンパウンド:ワックスコンパウンドE製造例)
撹拌機、リービッヒ冷却管、温度計付4つ口フラスコに購入したマイクロクリスタリンワックス Hi-Mic-2045(日本精蝋株式会社製)の白色ビーズ100重量部、再生大豆油(ヨウ素価117)を300重量部仕込み、100℃に昇温、同温で30分間攪拌した後、攪拌しながら自然冷却を行い、ワックスコンパウンドDを得た。
(ヒートセットオフセット印刷インキ組成物実施例1)
カーボンブラック(三菱化学株式会社製、DBP吸油量72ml/100g、BET比表面積99m2/g)を20重量、ゲルワニスを70重量部、再生大豆油(ヨウ素価117)を9.5重量部を仕込み、常法に従い三本ロールを用いてベースインキを作成し、ワックスコンパウンドAを0.5重量部(ミツロウ0.125重量部)を添加しヒートセットオフセット印刷インキ組成物の実施例1を得た。
実施例1と同様の方法で表1に示す配合割合で実施例2〜6、比較例1〜10を得た。なお、ワックスコンパウンドの固形分は全て25重量%である。
<性能評価試験(1)融点ピーク>
高感度示差走査熱量計(DSC-6200、セイコーインスツルメンツ(SII)製)を用いてワックス試料5mgを20℃から10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱量(△H)カーブから観測されるピークのピークトップの融点(Tm)表1に算出した。
(性能評価試験(1)後胴残り適性試験)
後胴残り適性試験は、ヒートセット型オフセット印刷機としてLITHOPIABT2−800NEO(三菱重工株式会社)にて、FMの網点チャート(20ミクロン)、ベタチャートを含む絵柄、一般的な濃度にて以下の印刷条件にて実施し、先刷りインキの黄のブランケットへの付着の程度を、以下の評価基準に基いて5段階の相対評価を実施した。
用紙:パールコートN(65.5g/m2)(三菱製紙株式会社)
(測色値:L*:97.43、a*:0.07、b*:-2.14)
印刷速度:600rpm
ドライヤー通過後紙面温度:105℃
版:CTP版(富士フィルム(株))
印刷部数:2万部
湿し水:アクワユニティWKK20KGGN(東洋インキ株式会社)
1:黄胴への墨インキの固着が極めて多い
2:黄胴への墨インキの固着が多い
3:黄胴への墨インキの固着が通常程度である(実用範囲である)
4:黄胴への墨インキの固着があまりない
5:黄胴への墨インキの固着が極めて少ない
「3」以上が実用レベルである。
<性能評価試験(2)クーリング取られ>
上記、印刷条件にて印刷終了後、第3クーリングに透明なテープを張り、一定の力で剥がし、その際のインキの付着量を目視で確認し、以下の基準で確認した。実用レベルは「3」以上である。
1:インキの付着が明らかに多い。
2:インキの付着が多い
3:通常程度の付着である
4;わずかにインキの付着がある
5:全くインキの付着はない
「3」以上が実用レベルである。
<性能評価試験(3)光沢>
光沢評価試験は、得られた印刷物のベタ部分について村上色彩研究所製光沢計GM26Dにて測定した。実用レベルは「70」以上である。
以上の性能評価試験結果を表1に示す。
実施例2〜6、8〜12、14〜18の添加量範囲であれば、後胴残り、クーリング取られ、光沢ともに実用範囲内である。実施例1、7、13は添加量が少なく、後胴残り、クーリング取られ、光沢ともに実用範囲内に達していない。一方で、比較例1は全てにおいて実用範囲内に達していない。パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスの比較例2〜7は後胴残、光沢が実用レベルに達しておらず、ミツロウの有効性は顕著である。
なお、物性上の課題と、「CO2排出量という観点から環境負荷の低減」という課題を両立するためには、天然物由来であるミツロウを使用することが必須である。

Claims (3)

  1. ミツロウと、バインダー樹脂と、植物油類とを含有することを特徴とする平版印刷インキ組成物。
  2. 平版印刷インキ組成物不揮発分全量中、ミツロウを0.25〜3重量%含有することを特徴とする請求項1記載の平版印刷インキ組成物。
  3. 請求項1または2記載の平版印刷インキを、基材に印刷してなる印刷物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2019039449A1 (ja) * 2017-08-23 2019-11-14 Dicグラフィックス株式会社 酸化重合乾燥型オフセット印刷インキ組成物および印刷物

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