JP2016165733A - 2ワイヤ溶接のクレータ制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】2ワイヤ溶接のクレータ制御において、溶け落ちを発生させることなく、クレータ部を健全な形状に整形すること。【解決手段】定常期間中は溶接ワイヤと母材との間にアークを発生させると共に、このアークによって形成された溶融池にフィラーワイヤを送給して行う2ワイヤ溶接のクレータ制御方法において、時刻t1に溶接トーチがクレータ制御開始位置に到達すると、溶接トーチの移動及びフィラーワイヤFsの送給を継続したままで、溶接ワイヤの送給速度Wsを定常期間中よりも早くし、かつ、給電チップ・母材間距離Ltを定常期間中よりも長くしてクレータ制御を行う。これにより、クレータ制御期間Tc中のワイヤ溶着量を増加させ、溶融池への入熱量を一定に保持することができるので、溶け落ちを発生させることなく健全なクレータ部を形成することができる。【選択図】 図2

Description

本発明は、定常期間中は、溶接トーチを溶接線に沿って移動させ、給電チップから送給される溶接ワイヤと母材との間にアークを発生させると共に、このアークによって形成された溶融池にフィラーワイヤを送給して行う2ワイヤ溶接のクレータ制御方法に関するものである。
先行する消耗電極アークによって形成された溶融池に、斜め後方からフィラーワイヤを接触させながら送給して行う2ワイヤ溶接方法は、消耗電極アークの溶接ワイヤとフィラーワイヤとの2つのワイヤを使用するために高速溶接性及び高溶着性に優れている。特に、2ワイヤ溶接方法によって高速溶接を行うときには、ハンピングビードになるのを防止するために、フィラーワイヤを消耗電極アークよりも後方から溶融池に接触させて送給することが重要である。これは、フィラーワイヤを消耗電極アークの発生部内に送給して溶融すると、溶融池の冷却効果が小さくなり、かつ、フィラーワイヤによって溶融池の後半部の盛り上がりを抑えることもできないためにハンピングビードを抑制する効果はほとんどないからである。これに対して、フィラーワイヤをアークの発生部外の溶融池の後半部に接触させて送給し、溶融池の熱によって溶融するようにすれば溶融池が効率よく冷却され、かつ、フィラーワイヤによって溶融池後半部が抑えられてハンピングビードの形成を抑制することができる。以下の説明においては、消耗電極アークのワイヤを溶接ワイヤと記載し、フィラーワイヤとは区別することにする。消耗電極アークを発生させる溶接法としては、炭酸ガスアーク溶接法、マグ溶接法、ミグ溶接法、パルスマグ溶接法、パルスミグ溶接法、消耗電極交流パルスアーク溶接法等が使用される。
2ワイヤ溶接の溶接終了時は、溶接トーチを停止させた状態で、フィラーワイヤの送給を停止して消耗電極アークによってクレータ制御を行う。クレータ制御期間中にフィラーワイヤの送給を停止する理由は、以下のとおりである。クレータ制御期間中は、健全なクレータ部を形成するために、溶接ワイヤの送給速度を定常期間よりも40〜70%程度に遅くする。この結果、消耗電極アークを通電する溶接電流の値も小さくなるので、溶融池の温度も定常期間よりも低下する。このために、クレータ制御期間中にフィラーワイヤを溶融池に送給すると充分に溶融することができずに、溶融不良となってしまう場合があるからである。したがって、2ワイヤ溶接では、クレータ制御期間中はフィラーワイヤの送給を停止して、消耗電極アークのみによってクレータ制御を行うのが一般的であった。
これに対して、特許文献1の発明では、クレータ制御期間中は溶接ワイヤとフィラーワイヤとのワイヤ間距離を短くすることによって、クレータ制御期間中もフィラーワイヤの送給を継続しても溶融状態を安定化することができる。ここで、クレータ制御とは、溶接終了前に、消耗電極アークの圧力によって窪んだ状態にある溶融池に溶接ワイヤ及びフィラーワイヤを充填して健全なビード部を形成することである。
2ワイヤ溶接は、高溶着溶接が可能であるために、1.5m/min以上の高速溶接で使用されることが多い。高速溶接において、溶融地からの熱によってフィラーワイヤを安定して溶融するためには、アークに大電流を通電して大きな溶融池を形成する必要がある。このために、溶融池は消耗電極アークからの圧力によって大きく窪んだ状態となる。このような状態において、溶接終了時に、上述した従来技術のクレータ制御によって溶融池の大きな窪みを整形すると、溶け落ち又は不完全な整形が発生する場合があった。これは、クレータ制御期間中の溶接電流が大きいと溶け落ちが発生し、小さいと整形が不完全になるためである。
特開2013−75303号公報
そこで、本発明では、2ワイヤ溶接によって高速溶接を行うときに、溶け落ちを発生させることなく、クレータ部を健全な形状に整形することができる2ワイヤ溶接のクレータ制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
定常期間中は、溶接トーチを溶接線に沿って移動させ、給電チップから送給される溶接ワイヤと母材との間にアークを発生させると共に、このアークによって形成された溶融池にフィラーワイヤを送給して行う2ワイヤ溶接のクレータ制御方法において、
前記溶接トーチが予め定めたクレータ制御開始位置に到達すると、前記溶接トーチの移動及び前記フィラーワイヤの送給を継続したままで、前記溶接ワイヤの送給速度を前記定常期間中よりも早くし、かつ、給電チップ・母材間距離を前記定常期間中よりも長くしてクレータ制御を行う、
ことを特徴とする2ワイヤ溶接のクレータ制御方法である。
請求項2の発明は、前記クレータ制御の期間中は、前記溶接ワイヤの送給速度に応じて前記給電チップ・母材間距離を設定する、
ことを特徴とする請求項1記載の2ワイヤ溶接のクレータ制御方法である。
請求項3の発明は、前記クレータ制御の期間中は、時間経過に伴って前記溶接ワイヤの送給速度を次第に早くし、前記給電チップ・母材間距離を次第に長くする、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の2ワイヤ溶接のクレータ制御方法である。
本発明によれば、クレータ制御の期間中のワイヤ溶着量を増加させ、かつ、溶融池への入熱量を定常期間から一定に保持することができるので、溶融池の窪んだ部分を埋めて整形することができ、かつ、溶け落ちを防止することができる。このために、本発明では、2ワイヤ溶接によって高速溶接を行うときに、溶け落ちを発生させることなく、クレータ部を健全な形状に整形することができる。
本発明の実施の形態1に係る2ワイヤ溶接のクレータ制御方法を実施するための溶接装置の構成図である。 本発明の実施の形態1に係る2ワイヤ溶接のクレータ制御方法を説明するための図1における各信号のタイミングチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
実施の形態1の発明は、2ワイヤ溶接のクレータ制御方法において、溶接トーチが予め定めたクレータ制御開始位置に到達すると、溶接トーチの移動及びフィラーワイヤの送給を継続したままで、溶接ワイヤの送給速度を定常期間中よりも早くし、かつ、給電チップ・母材間距離を定常期間中よりも長くしてクレータ制御を行うものである。
図1は、本発明の実施の形態1に係る2ワイヤ溶接のクレータ制御方法を実施するための溶接装置の構成図である。以下、同図を参照して、各構成物について説明する。
本溶接装置は、破線で囲まれた溶接トーチWT、溶接電源PS、ロボット制御装置RC及びロボット(図示は省略)を備えている。
溶接トーチWTは、溶接ワイヤ1aに給電するための給電チップ4a、フィラーワイヤ1bを挿入位置にガイドするための送給ガイド4bを備えている。
溶接トーチWTの先端からは炭酸ガス、炭酸ガスとアルゴンガスとの混合ガス等のシールドガス(図示は省略)が噴出している。溶接トーチWTは、ロボット(図示は省略)によって保持されて、ロボット制御装置RC内に記憶されている作業プログラムに従って、溶接線に沿って移動される。したがって、溶接トーチWTの移動に伴い溶接ワイヤ1a及びフィラーワイヤ1bが共に移動する。以下の説明において、溶接トーチWTの移動と溶接ワイヤ1a及びフィラーワイヤ1bの移動とは同じことを意味している。
溶接ワイヤ1aは、溶接ワイヤ用送給モータWMに結合された溶接ワイヤ用送給ロール5aの回転によって溶接トーチWT内を溶接ワイヤ送給速度Wsで送給されて、母材2との間で消耗電極アーク3aが発生する。フィラーワイヤ1bは、フィラーワイヤ用送給モータFMに結合されたフィラーワイヤ用送給ロール5bの回転によって送給ガイド4b内をフィラーワイヤ送給速度Fsで送給されて、溶融池2aの後半部に接触された状態で挿入される。同図の溶接部は、定常期間の状態を示している。
溶接ワイヤ1aと母材2との間には溶接電圧Vwwが印加されており、消耗電極アーク3a中を溶接電流Iwwが通電している。同図では、溶接方向は左方向となっている。先行する消耗電極アーク3aによって溶融池2aが形成される。フィラーワイヤ1bと母材2との間には電圧は印加されておらず、電流も通電していない。フィラーワイヤ1bは、溶融池2aの後半部に接触した状態で挿入されており、溶融池2aからの熱によって溶融される。フィラーワイヤ1bは、消耗電極アーク3aの発生部外を送給される。これは、上述したように、フィラーワイヤ1bが消耗電極アーク3aによって直接溶融されることを防止するためである。溶接ワイヤ1aの前進角は、0〜30°程度の範囲であり、同図では面直(0°)の場合である。フィラーワイヤ1bの前進角は、20〜50°の範囲である。すなわち、フィラーワイヤ1bは、斜め前方方向に挿入されることになる。
溶接ワイヤ1aの送給方向を示す中心線を一点鎖線で示しており、この中心線が母材2表面と交わる点が、溶接狙い位置aとなる。フィラーワイヤ1bの挿入位置は、挿入位置bとなっている。この挿入位置bは、消耗電極アーク3aの発生部よりも後方で、かつ、溶融池2aの後方端部よりも前方となる範囲に設定される。溶接狙い位置aと挿入位置bとの距離がワイヤ間距離Lw(mm)となる。ここで、溶接中の溶接トーチWTの位置は、上記の溶接狙い位置aとなる。
溶接電源PSは、給電チップ4aを介して溶接ワイヤ1aと母材2との間に、溶接電圧Vwwを印加することにより、溶接電流Iwwを通電して消耗電極アーク3aを発生させるための電源である。溶接電源PSからは、溶接ワイヤ用送給モータWMに対して溶接ワイヤ送給制御信号Wcが送られ、溶接ワイヤ送給速度Wsが制御されると共に、フィラーワイヤ用送給モータFMに対してフィラーワイヤ送給制御信号Fcが送られ、フィラーワイヤ送給速度Fsが制御される。溶接電源PSから給電チップ4aを介して溶接電圧Vwwが印加されるときは、溶接ワイヤ1aが+側とされる。給電チップ4aの先端と溶接狙い位置aとの距離が給電チップ・母材間距離Lt(mm)となる。溶接電源PSは、通常と同様に定電圧特性の電源である。したがって、溶接電流(平均値)Iwwは、溶接ワイヤ送給速度Ws及び給電チップ・母材間距離Ltによってその値が定まる。
ロボット制御装置RCは、起動信号On及びクレータ制御期間信号Tcsを上記の溶接電源PSに出力する。起動信号Onは、定常期間及びクレータ制御期間の間Highレベルになり、溶接電源の出力及び送給を制御する。クレータ制御期間信号Tcsは、溶接トーチが予め教示された溶接線上のクレータ制御開始位置に到達するとHighレベルになり、溶接トーチが予め教示された溶接終了位置に到達するとLowレベルに戻る。
図2は、本発明の実施の形態1に係る2ワイヤ溶接のクレータ制御方法を説明するための図1における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は起動信号Onの時間変化を示し、同図(B)はクレータ制御期間信号Tcsの時間変化を示し、同図(C)は給電チップ・母材間距離Ltの時間変化を示し、同図(D)は溶接ワイヤ送給速度Wsの時間変化を示し、同図(E)は溶接電流Iwwの時間変化を示し、同図(F)はフィラーワイヤ送給速度Fsの時間変化を示す。フィラーワイヤ1bには、定常期間及びクレータ制御期間の両期間共に電圧は印加しておらず、電流も通電していない。以下、同図を参照して説明する。
同図において、時刻t1以前は定常期間であり、溶接トーチWTは予め定めた溶接速度で溶接線に沿って移動しながら、後述するように定常溶接が行われる。時刻t1〜t2の期間がクレータ制御期間Tcであり、後述するようにクレータ制御が行われる。時刻t2の後に、溶接ワイヤの溶着を防止するための50ms程度の短いアンチスティック処理を行う期間があるが、このアンチスティック処理については従来と同様であり、本発明とは直接には関係しないので、ここでは省略している。
(1)時刻t1以前の定常期間
時刻t1以前の期間中は、同図(A)に示すように、起動信号OnはHighレベル(起動)であり、かつ、同図(B)に示すように、クレータ制御期間信号TcsはLowレベルであるので、定常期間となる。この期間中は、溶接トーチWTは予め定めた溶接速度で溶接線に沿って移動している。さらに、同図(C)に示すように、給電チップ・母材間距離Ltは予め教示された値Lt1となり、同図(D)に示すように、溶接ワイヤ送給速度WsはWs1となっている。同図(E)に示すように、溶接電流Iwwは、給電チップ・母材間距離Lt1及び溶接ワイヤ送給速度Ws1によって定まる値I1となる。同図(F)に示すように、フィラーワイヤ送給速度Fsは予め定めた値Fs1となっている。フィラーワイヤ送給速度Fs1は、溶接ワイヤ送給速度Ws1の20〜40%程度である。
(2)時刻t1〜t2のクレータ制御期間Tc
時刻t1において、溶接トーチWTが予め教示されたクレータ制御開始位置に到達すると、同図(B)に示すように、クレータ制御期間信号TcsがHighレベルに変化し、クレータ制御期間Tcとなる。クレータ制御期間Tc中も、溶接トーチWTは溶接線に沿って移動している。この移動速度(溶接速度)は、定常期間中と同一又は遅い値である。クレータ制御期間Tcになると、同図(D)に示すように、溶接ワイヤ送給速度Wsは定常期間中のWs1からWs2へと早くなる。溶接ワイヤ送給速度Wsが早くなると溶接電流Iwwが定常期間中よりも大きくなる。これを防ぐために、ロボットが上方向に移動することによって、同図(C)に示すように、給電チップ・母材間距離Ltを定常期間中のLt1よりも長い予め教示されたLt2へと長くする。Lt2の値は、同図(E)に示すように、クレータ制御期間Tc中の溶接電流I2が定常期間中のI1と略同一となるように設定される。同図(F)に示すように、クレータ制御期間Tc中のフィラーワイヤ送給速度Fsは、定常期間中と同一又は遅い値に設定される。上記のWs2はWs1の120〜150%程度に設定される。上記のLt2は、Lt1よりも5〜10mm程度長い値となる。
時刻t2において、溶接トーチWTが予め教示された溶接終了位置に到達すると、ロボットは移動を停しするので、溶接トーチWTの移動は停止する。同時に、同図(A)に示すように、起動信号OnはLowレベルに変化するので、同図(B)に示すように、クレータ制御期間信号TcsはLowレベルに変化し、クレータ制御期間Tcが終了する。起動信号OnがLowレベルになると、溶接電源PSは出力を停止するので、同図(D)に示すように、溶接ワイヤ送給速度Wsは0となり送給は停止し、同図(D)に示すように、溶接電流Iwwは0となり、通電は停止して消耗電極アーク3aは消弧する。同時に、同図(F)に示すように、フィラーワイヤ送給速度Fsも0となり、送給を停止する。同図(C)に示すように、給電チップ・母材間距離LtはLt2のままで溶接を終了する。このために、溶接が終了した時点でのワイヤ突出し長が定常期間中よりも長くなっているので、溶接ワイヤを後退送給してワイヤ突出し長を短くした上で、次の溶接を開始することが望ましい。
上記のクレータ制御開始位置は、上記の溶接終了位置の10〜30mm程度溶接線に沿って手前の位置である。したがって、クレータ制御期間Tcは、0.5〜1.5秒程度となる。クレータ制御開始位置は、定常期間中の溶融池の長さを基準として、その50〜150%程度として設定される。
上述したように、定常期間中の溶融池の窪んだ部分の体積に応じて、クレータ制御期間中の溶接ワイヤ送給速度Wsの加速量を決める。そして、この加速量に応じて給電チップ・母材間距離Ltを長くする距離を設定する。給電チップ・母材間距離Ltを長くする距離は、定常期間中とクレータ制御期間中とで溶接電流Iwwの値が略変化しないように設定する。このようにすると、より確実に溶け落ちの発生を防止することができる。
同図においては、時刻t1にクレータ制御期間Tcを開始した時点で、溶接ワイヤ送給速度Ws及び給電チップ・母材間距離Ltをステップ状に変化させている。これに対して、クレータ制御期間Tc中は、時間経過に伴って溶接ワイヤ送給速度Wsを次第に早くし、この変化に対応して、給電チップ・母材間距離Ltを次第に長くするようにしても良い。このようにすると、クレータ制御期間Tc中のアーク発生状態の安定性が向上する。
上述したように、時刻t1以前の定常期間中は、溶融池は大きく窪んだ形状となっている。クレータ制御期間Tc中は、溶接トーチWTの移動及びフィラーワイヤの送給を継続したままで、溶接ワイヤ送給速度Wsを定常期間中よりも早くし、かつ、給電チップ・母材間距離Ltを定常期間中よりも長くする。これにより、溶接ワイヤの送給速度Wsが早くなっているので、ワイヤ溶着量が多くなり、溶融池の窪んだ部分を埋めることになる。このときに、溶接電流Iwwの値は、定常期間と略同一となるので、溶融池への入熱量は定常期間と略同一となり、フィラーワイヤの溶融状態を安定に維持すると共に、溶融池への適正な入熱状態を保持するので溶け落ちを防止することができる。この結果、健全な形状のクレータ部を形成することができる。
上述したように、フィラーワイヤ1bは、先行する消耗電極アーク3aの後方から前進角を有して送給される。このために、クレータ制御期間Tc中に給電チップ・母材間距離Ltを長くするために溶接トーチWTが上方向に移動すると、溶接トーチWTと一体化されているフィラーワイヤ1bも上方向に移動することになる。この結果、ワイヤ間距離Lwが定常期間中よりも短くなる。すなわち、クレータ制御期間Tc中は、フィラーワイヤの挿入位置bが消耗電極アーク3aに近づくことになる。このようになると、溶融池の窪んだ部分の中心に近い位置にフィラーワイヤ1bが挿入されることになり、クレータ部の整形がより円滑になる効果が生じる。
上述した実施の形態1によれば、溶接トーチが予め定めたクレータ制御開始位置に到達すると、溶接トーチの移動及びフィラーワイヤの送給を継続したままで、溶接ワイヤの送給速度を定常期間中よりも早くし、かつ、給電チップ・母材間距離を定常期間中よりも長くしてクレータ制御を行う。これにより、本実施の形態では、クレータ制御期間中のワイヤ溶着量を増加させ、かつ、溶融池への入熱量を定常期間中から一定に保持することができるので、溶融池の窪んだ部分を埋めて整形することができ、かつ、溶け落ちを防止することができる。このために、本実施の形態では、2ワイヤ溶接によって高速溶接を行うときに、溶け落ちを発生させることなく、クレータ部を健全な形状に整形することができる。
1a 溶接ワイヤ
1b フィラーワイヤ
2 母材
2a 溶融池
3a (消耗電極)アーク
4a 給電チップ
4b 送給ガイド
5a 溶接ワイヤ用送給ロール
5b フィラーワイヤ用送給ロール
a 溶接狙い位置
b 挿入位置
Fc フィラーワイヤ送給制御信号
FM フィラーワイヤ用送給モータ
Fs フィラーワイヤ送給速度
Iww 溶接電流
Lt 給電チップ・母材間距離
Lw ワイヤ間距離
On 起動信号
PS 溶接電源
RC ロボット制御装置
Tc クレータ制御期間
Tcs クレータ制御期間信号
Vww 溶接電圧
Wc 溶接ワイヤ送給制御信号
WM 溶接ワイヤ用送給モータ
Ws 溶接ワイヤ送給速度
WT 溶接トーチ

Claims (3)

  1. 定常期間中は、溶接トーチを溶接線に沿って移動させ、給電チップから送給される溶接ワイヤと母材との間にアークを発生させると共に、このアークによって形成された溶融池にフィラーワイヤを送給して行う2ワイヤ溶接のクレータ制御方法において、
    前記溶接トーチが予め定めたクレータ制御開始位置に到達すると、前記溶接トーチの移動及び前記フィラーワイヤの送給を継続したままで、前記溶接ワイヤの送給速度を前記定常期間中よりも早くし、かつ、給電チップ・母材間距離を前記定常期間中よりも長くしてクレータ制御を行う、
    ことを特徴とする2ワイヤ溶接のクレータ制御方法。
  2. 前記クレータ制御の期間中は、前記溶接ワイヤの送給速度に応じて前記給電チップ・母材間距離を設定する、
    ことを特徴とする請求項1記載の2ワイヤ溶接のクレータ制御方法。
  3. 前記クレータ制御の期間中は、時間経過に伴って前記溶接ワイヤの送給速度を次第に早くし、前記給電チップ・母材間距離を次第に長くする、
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の2ワイヤ溶接のクレータ制御方法。
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