JP2016165697A - エチレンオキシド製造用触媒及びそれを用いたエチレンオキシドの製造方法 - Google Patents

エチレンオキシド製造用触媒及びそれを用いたエチレンオキシドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】反応初期より触媒活性が高く、触媒性能を安定的に保持し、反応初期より長期間、反応温度の極度の上昇を伴うことなく、良好な反応特性が得られるエチレンオキシド製造用触媒を提供する。
【解決手段】担体、銀及びレニウムを含むエチレンオキシド製造用触媒であって、
該担体が担体中にケイ素をSiO換算で0.01重量%〜1.0重量%含み、水銀圧入法により測定される細孔分布において、細孔直径0.01μm〜100μmの範囲に、ログ微分細孔容積の極大値が0.2ml/g以上のピークが少なくとも二つ存在し、該ピークの少なくとも一つが4.0μm〜20μmの範囲に存在する担体である、エチレンオキシド製造用触媒。
【選択図】図1

Description

本発明は、エチレンからエチレンオキシドを製造するための触媒及びそれを用いたエチレンオキシドの製造方法に関する。
エチレンを分子状酸素により気相接触酸化して工業的にエチレンオキシドを製造する際に使用される触媒は銀触媒である。エチレンオキシドを効率よく生産するために、この銀触媒の改良の要請が強く、反応初期から持続的に高選択性を保持する触媒の出現が望まれている。このため、従来から種々の検討が行われている。
例えば、特許文献1には、特定の比表面積、特定の細孔径分布を有する担体に銀を担持させた触媒が記載されている。特許文献2には、特定の比表面積、特定吸水率、特定の細孔径分布を有する触媒用担体が記載されている。また、特許文献3には、細孔分布において少なくとも二つのピークを有する担体からなる触媒が記載されている。特許文献4には、特定の細孔容積を有する触媒用担体が記載されている。さらに、特許文献5には、二峰性細孔径分布を有する担体及び銀、レニウム等の触媒成分を含む触媒が記載されている。
特表2008−545533号公報 特表2005−518275号公報 特開2008−86877号公報 特表2010−537807号公報 特表2010−537993号公報
しかしながら、従来技術により得られる触媒は、反応初期には触媒性能が良好であっても、長時間反応を継続した場合、触媒性能の低下を生じさせるものであった。
尚、該触媒性能を補填するために、反応温度を上昇させることが試みられてはいるが、温度上昇は熱効率を悪化させ、より触媒寿命を短縮するものである。
本発明は上記従来の問題点を解決し、反応初期より触媒活性が高く、触媒性能を安定的に保持し、反応温度の極度の上昇を伴うことなく、反応初期より長期間、良好な反応特性が得られるエチレンオキシド製造用触媒を提供することを目的とする。
本発明者らは、研究を重ねた結果、担体、銀及びレニウムを含むエチレンオキシド製造用触媒において、該担体が担体中にケイ素を特定量含み、ログ微分細孔容積のピークが少なくとも二つ存在し、該ピークの少なくとも一つが特定範囲にある担体であるエチレンオキシド製造用触媒とすることにより、前記課題を解決したのである。
すなわち、本発明の要旨は下記[1]〜[5]に存する。
[1]担体、銀及びレニウムを含むエチレンオキシド製造用触媒であって、
該担体が担体中にケイ素をSiO換算で0.01重量%〜1.0重量%含み、水銀圧入法により測定される細孔分布において、細孔直径0.01μm〜100μmの範囲に、ログ微分細孔容積の極大値が0.2ml/g以上のピークが少なくとも二つ存在し、該ピー
クの少なくとも一つが4.0μm〜20μmの範囲に存在する担体である、エチレンオキシド製造用触媒。
[2]前記担体の比表面積が0.9m/g〜1.8m/gである、[1]に記載のエチレンオキシド製造用触媒。
[3]前記担体の吸水率が45重量%以上である、[1]又は[2]に記載のエチレンオキシド製造用触媒。
[4]前記担体が更にナトリウムを含み、ナトリウム含有量が担体中にNaO換算で10重量ppm〜1500重量ppmである[1]乃至[3]のいずれかに記載のエチレンオキシド製造用触媒。
[5]下記式(1)にて算出されるQ値が0.98〜1.20の範囲内である[1]乃至[4]のいずれかに記載のエチレンオキシド製造用触媒。
Figure 2016165697
(上記式中、担体の細孔容積は水銀圧入法により得られた値である。)
[6]前記[1]乃至[5]のいずれかに記載のエチレンオキシド製造用触媒の存在下、エチレンを酸化しエチレンオキシドとする、エチレンオキシドの製造方法。
本発明のエチレンオキシド製造用触媒を用いてエチレンからエチレンオキシドを製造すると、触媒性能の低下が少ないことより、反応開始より長時間に渡り、温度を安定的に保ちながら、エチレンオキシドを高選択率で製造することができる。
実施例1で使用した担体Aの細孔分布(ログ微分細孔容積)を示すグラフである 実施例1で使用した担体Aの細孔分布(積算細孔容積)を示すグラフである 比較例1で使用した担体Bの細孔分布(ログ微分細孔容積)を示すグラフである 比較例1で使用した担体Bの細孔分布(積算細孔容積)を示すグラフである
以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明は、エチレンからエチレンオキシドを製造するためのエチレンオキシド製造用触媒の発明である。
(担体)
本発明のエチレンオキシド製造用触媒(以下「触媒」と称する場合がある。)に含まれる担体は、エチレンからエチレンオキシドを製造するための触媒成分を担持するための担体であり、多孔性担体が好ましい。この多孔性担体としては、アルミナ、炭化ケイ素、チタニア、ジルコニア、マグネシア等の多孔性耐火物が挙げられる。この中でも、アルミナを含むことが好ましく、αアルミナを含むことがより好ましい。
前記担体は、セラミック成分を含む原料を焼成することにより製造される。このセラミック成分には、αアルミナ構造を有するアルミナ原粉(以下、単に「アルミナ原粉」と称する場合がある。)やαアルミナの前駆物質等が含まれる。このαアルミナ構造を有するアルミナ原粉とは、焼結後もαアルミナ構造を保持するαアルミナの粉をいう。また、前記αアルミナの前駆物質とは、焼成することによりαアルミナとなるものをいい、アルミナの水和物等があげられる。
前記αアルミナ構造を有するアルミナ原粉(アルミナ原粉)は、特定のαアルミナ構造を有するアルミナ原粉(以下、「特定アルミナ原粉」と称する場合がある。)を含有する。
前記特定アルミナ原粉は、前記αアルミナ構造を有するアルミナ原粉全体に対し、50重量%以上含有することが好ましく、70重量%以上含有することがより好ましく、80重量%以上含有することがさらに好ましく、90重量%以上含有することが特に好ましい。50重量%未満だと、得られた担体や触媒が工業的に使用可能な圧壊強度が得られないという問題点を生じる場合がある。一方、前記原料に含まれるセラミック成分の全量が前記アルミナ原粉であってもいいので、含有割合の上限は100重量%である。
また、この特定アルミナ原粉の一次粒子が凝集した二次粒子の平均粒子径は、1.0μm以上が好ましく、1.5μm以上がより好ましい。1.0μmより小さいと、得られる担体中に微細な細孔が存在し、工業的に使用するのに十分な機械的強度が得られなくなるという問題点を生じる場合がある。一方、該平均粒子径の上限は10μmが好ましく、7.5μmがより好ましい。10μmより大きいと、得られる担体は工業的に使用するのに十分な機械的強度が得られなくなるという問題点を生じる場合がある。
前記原料中には、セルロース、クルミ、デンプン、ワセリン等の有機物質等を含有させることが担体成形の容易性の点で好ましく、中でもセルロースがより好ましい。この有機物質の含有量は、前記原料に対し、60重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましい。60重量%より多いと、工業的に使用するのに十分な機械的強度が得られなくなるという問題点を生じる場合がある。
前記担体は水銀圧入法により測定される細孔分布において、細孔直径0.01μm〜100μmの範囲に、ログ微分細孔容積の極大値が0.2ml/gを超えるピークが少なくとも二つ存在する。
該細孔直径の範囲は好ましくは0.05μm〜50μm、より好ましくは0.1μm〜40μm、さらに好ましくは0.1μm〜30μmである。前記範囲とすることにより高選択的にエチレンオキシドを製造する触媒となる可能性がある。
更に、存在するピークとそのピークの最も近傍にあるピークとの間隔は好ましくは0.01μm〜30μm、より好ましくは0.05μm〜30μm、さらに好ましくは0.1μm〜20μmである。前記範囲とすることにより触媒性能の低下が抑制された触媒となる可能性がある。
更に加えて、ピーク間の極小値と該極小値を形成するピークの極大値との差は0.02ml/g以上であることが好ましく、0.05ml/g以上であることがより好ましく、0.1ml/g以上であることが更に好ましい。
尚、本発明において、担体の細孔分布は水銀圧入法により測定することができる。該水銀圧入法では、細孔はすべて円筒形、細孔径は直径D、細孔容積はVで表現するものと仮定して細孔径を測定する。また、「ログ微分細孔容積分布」とは、広い範囲の細孔分布を表現するのに適しており、差分細孔容積dVを細孔径の対数扱いの差分値d(logD)
で割った値を求め、これを各区分の平均細孔径に対してプロットしたものである。なお、「差分細孔容積dV」とは、測定ポイント間の細孔容積の増加分をいう。例えば、図1のように、横軸が細孔直径(対数目盛り)を示し、縦軸がログ微分細孔容積を示す。また、積算細孔容積分布とは、横軸に細孔径、縦軸に細孔容積ΣVをプロットしたものである。例えば、図2のように、横軸が細孔直径(対数目盛り)を示し、縦軸が積算細孔容積を示す。なお、細孔分布を得るための水銀圧入法の具体的な手法としては、後述する実施例に記載の手法を採用するものとする。
水銀圧入法により測定される細孔分布において、「ピーク」とは、ログ微分細孔容積の極大値が0.2ml/g以上となるものであり、極大値が0.2ml/g未満のものは「ピーク」には含まれないものとする。
前記担体は、細孔直径0.01μm〜100μmの範囲に、ログ微分細孔容積の極大値が0.2ml/g以上のピークのうちの少なくとも一つが4.0μm〜20μmの範囲に存在する。
該範囲は好ましくは4.5μm〜20μm、より好ましくは5.0μm〜20μm、さらに好ましくは5.5μm〜20μmである。前記範囲とすることにより長期間の使用に伴うエチレンオキシド選択率の低下が抑制された触媒となる可能性がある。
前記担体のログ微分細孔容積の極大値が0.2ml/g以上のピークは前記範囲以外に存在していてもよく、好ましくは0.01μm〜4.0μmの範囲であり、より好ましくは0.1μm〜4.0μmの範囲であり、さらに好ましくは0.3μm〜3.5μmの範囲である。
前記担体の比表面積は0.9m/g〜1.8m/gであることが好ましく、0.9m/g〜1.7m/gであることがより好ましく、1.0m/g〜1.7m/gであることがさらに好ましく、1.3m/g〜1.7m/gであることが特に好ましい。比表面積が小さすぎると、触媒成分として銀を担体に担持する場合に、担持した銀の粒子が大きくなり過ぎ、エチレンの転化率を上げるための反応温度の上昇が必要になり、結果としてエチレンオキシド選択率が低下する可能性がある。一方、大きすぎると、担体の細孔径が小さくなり、物質移動や放熱の面で不利になり、エチレンオキシド選択率が低下するおそれがある。
前記担体の吸水率は45重量%以上であることが好ましく、48重量%以上であることがより好ましく、50重量%以上であることが更に好ましい。吸水率が小さすぎると、一度に担持できる触媒成分量が少なくなり、後述する触媒成分含浸工程の回数が増加するおそれがある。尚、上限は70重量%であることが好ましい。
前記担体中のケイ素含有量は、SiO換算で0.01重量%〜1.0重量%であり、0.01重量%〜0.9重量%が好ましく、0.01重量%〜0.8重量%がより好ましく、0.01重量%〜0.5重量%がさらに好ましい。ケイ素含有量が多すぎると、エチレンオキシド選択率が低下する可能性があり、またケイ素含有量が小さすぎるとエチレンの転化率を上げるために反応温度の上昇が必要となり、結果としてエチレンオキシド選択率が低下する可能性がある。
尚、触媒用担体中のケイ素含有量は誘導結合プラズマ発光分光分析法により測定することができる。
又、前記担体中のナトリウム含有量は、NaO換算で10重量ppm〜1500重量ppmが好ましく、10重量ppm〜1000重量ppmがより好ましく、50重量ppm〜1000重量ppmがさらに好ましく、210重量ppm〜800重量ppmが特に好ましい。前記範囲とすることにより、高いエチレンオキシド選択率を持つ触媒となる可
能性がある。
尚、担体中のナトリウム含有量は原子吸光分光法により測定することができる。
更に、担体の吸水率、担体の細孔容積から算出して求められるQ値が0.98〜1.20の範囲内であることが好ましく、下限は0.99であることがより好ましく、1.00であることが更に好ましい。上限は1.19であることがより好ましく、1.18であることが更に好ましい。前記範囲内であることにより触媒性能の安定性が高まる可能性がある。
尚、Q値は前記式(1)により求めることができる。
(触媒成分)
本発明のエチレンオキシド製造用触媒は担体に担持する触媒成分として銀及びレニウムを含む。
前記エチレンオキシド製造用触媒全体に対する、銀の含有量は、5.0重量%〜30.0重量%が好ましく、10.0重量%〜30.0重量%がさらに好ましく、11.0重量%〜27.0重量%がさらに好ましい。銀の含有量が少ないと、触媒性能が低下する傾向がある。
銀を供与する化合物としては、酸化銀、硝酸銀、炭酸銀、シュウ酸銀等の各種化合物が使用できる。これらの中でも、シュウ酸銀が特に好ましい。
前記エチレンオキシド製造用触媒全体に対する、レニウムの含有量は、10重量ppm〜1000重量ppmが好ましく、100重量ppm〜900重量ppmがより好ましく、200重量ppm〜800重量ppmがさらに好ましい。レニウムの含有量が少なすぎると、十分な選択率が得られ難い傾向がある。一方、レニウムの含有量が多すぎるとエチレンの転化率を上げるために反応温度の上昇が必要となり、結果としてエチレンオキシド選択率が低下する可能性がある。
レニウムを供与する化合物としては、過レニウム酸化合物、酸化レニウム、塩化レニウム等があげられる。これらの中でも、過レニウム酸アンモニウムが好ましい。
本発明のエチレンオキシド製造用触媒には、銀及びレニウム以外に、長周期型周期表第1族の元素を含むことが高いエチレンオキシド選択率を得る点で好ましく、中でもセシウム、リチウムがより好ましい。
前記エチレンオキシド製造用触媒全体に対する、セシウムの含有量は、10重量ppm〜2000重量ppmが好ましく、100重量ppm〜1500重量ppmがより好ましく、300重量ppm〜1200重量ppmがさらに好ましい。セシウムの含有量が少なすぎると、十分な選択率が得られ難い傾向がある。一方、セシウムの含有量が多すぎると、エチレンの転化率を上げるために反応温度の上昇が必要となり、結果としてエチレンオキシド選択率が低下する可能性がある。
セシウムを供与する化合物としては、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、塩化物、酸化物、シュウ酸塩等の各種化合物が挙げられる。これらの中でも、水酸化物が好ましい。
前記エチレンオキシド製造用触媒全体に対する、リチウムの含有量は、10重量ppm〜1000重量ppmが好ましく、20重量ppm〜800重量ppmがより好ましく、50重量ppm〜500重量ppmがさらに好ましい。リチウムの含有量が少なすぎると、十分な選択率が得られ難い傾向がある。一方、リチウムの含有量が多すぎると、エチレンの転化率を上げるために反応温度の上昇が必要となり、結果としてエチレンオキシド選
択率が低下する可能性がある。
リチウムを供与する化合物としては、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、塩化物、酸化物、シュウ酸塩等の各種化合物が挙げられる。これらの中でも、水酸化物が好ましい。
(触媒の製造方法)
前記触媒成分を前記担体に担持する際、適当な溶媒に前記触媒成分を溶解させて、触媒成分含有溶液を調製し、使用されることが好ましい。この溶媒としては、取扱いの容易さから通常水が選択されるが、メタノール、エタノール等のアルコール類や水とアルコールの混合溶液も使用可能である。
前記触媒成分含有溶液では、溶液中の銀濃度は高い方が、担体に含浸させた際の銀濃度が高くなるために好ましい。そのため、触媒成分が前記溶媒に溶解し易くなるように、錯体形成剤を使用することが好ましい。錯体形成剤としては、銀と錯体を形成しやすく、得られた錯体が前記溶媒に溶解し易い化合物が好ましい。
このような錯体形成剤としては、アミン化合物等をあげることができる。このアミン化合物の具体例としては、アンモニア、ピリジン、アセトニトリル、ブチルアミン等の炭素数1〜6のモノアミン、エタノールアミン等の炭素数1〜6のアルカノールアミン、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン等の炭素数1〜6のポリアミン等があげられ、これらの中でも、アンモニア、ピリジン、ブチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン等が好ましく、エチレンジアミン及び1,3−プロパンジアミンから選ばれる1種の使用、又は2種の混合使用がより好ましい。上記の各成分の濃度は、各成分毎の含有量に合わせて適宜決定される。
前記担体には、そのまま前記触媒成分含有溶液を含浸させてもよいが、前記触媒成分含有溶液を含浸させる前に、イオン交換水を用いて担体を洗浄するか、又は触媒成分の一部であるリチウム、又はリチウム及びセシウムを担体に担持させる(担体処理)と、触媒の寿命向上につながり、好ましい。
前記担体処理に使用するリチウム化合物、セシウム化合物は、前記触媒成分含有溶液を担体に含浸する際、再溶出が少ないことから、触媒成分含有溶液への溶解度が低いものが好ましい。具体的には、リチウム化合物、セシウム化合物は、いずれも炭酸塩であることが最適である。また、リチウム化合物、セシウム化合物を溶解する溶媒としては、取扱いの容易さから水が好ましい。
担体洗浄に使用するイオン交換水の温度は、0℃〜100℃が好ましく、60℃〜100℃がより好ましく、80℃〜100℃が更に好ましい。担体洗浄1回当たりに使用するイオン交換水の重量は担体重量に対して等量以上が好ましく、2倍以上がより好ましく、3倍以上が更に好ましい。担体洗浄は3回以上が好ましく、5回以上がより好ましい。
前記の担体処理を行った後、担体と余剰のリチウム化合物とセシウム化合物の含有溶液を分離し、その後、減圧乾燥や、加熱処理等の乾燥処理が行われる。この加熱処理は、好ましくは100℃〜300℃、更に好ましくは110℃〜220℃での空気、窒素等の不活性ガス、過熱水蒸気を利用して行う。特に好ましいのは過熱水蒸気を利用する方法である。
(触媒成分担持工程)
次に、触媒成分を担体に担持する工程(触媒成分担持工程)について説明する。この触媒成分担持工程は、前記触媒成分含有溶液を担体あるいは担体処理を施した担体に含浸さ
せ(触媒成分含浸工程)、次いで、少なくとも不活性ガスを含む雰囲気下で加熱する(予備加熱工程)、更に酸素含有雰囲気下で加熱する(加熱処理工程)を含む工程である。
前記触媒成分含浸工程としては、担体あるいは担体処理を施した担体に触媒成分含有溶液を浸漬する方法や、担体あるいは担体処理を施した担体に触媒成分含有溶液をスプレー状に吹き付ける方法があげられる。さらに、必要に応じて、減圧処理を組み合わせることも可能である。この触媒成分含浸工程によって、触媒成分含浸担体が得られる。
前記予備加熱工程における雰囲気ガスは、窒素、水蒸気等の不活性ガスであることが好ましいが、酸素を含んでいてもよい。酸素源としては、高純度酸素又は空気が使用できるが、安全性及び経済性の観点から空気の方が好ましい。
酸素濃度の測定は、酸素計又はガスクロマトグラフを使って実施することが可能である。後述するように、予備加熱工程の雰囲気が酸素又は空気と水蒸気との混合ガスである場合は、雰囲気ガスをサンプリングし、冷却によって水蒸気を液化することで、残った気相部体積と冷却前の体積比から、酸素又は空気の予備加熱雰囲気中の濃度を求めることが簡便である。
前記予備加熱工程の温度、時間は、析出する銀粒子の大きさが適当となるように選択される。特に、予備加熱温度が析出する銀粒子の大きさに大きく影響する。予備加熱温度は、下限は100℃が好ましく、125℃がより好ましく、150℃がさらに好ましい。予備加熱温度が100℃より低いと十分に銀粒子の析出が生じない可能性がある。これは低温のため金属銀粒子を析出することに要する熱量が十分に供給されにくいためと考えられる。一方、予備加熱温度の上限は、300℃が好ましく、200℃がより好ましい。予備加熱温度が300℃より高くなると、エチレンの転化率が低下し、エチレンオキシドの収率が低下する傾向がある。これは、析出する金属銀の粒子が大きくなりすぎたためと考えられる。
予備加熱工程の時間は、5分間〜60分間が好ましく、10分間〜30分間がより好ましい。
予備加熱工程で使用する装置では、雰囲気ガスを、所定量、連続供給し、装置外に排気する。環境悪化抑制、効率化の観点から、装置外に排出するのは、雰囲気ガスの一部とし、残りを循環させるのが好ましい。雰囲気ガスの排気割合は、5%〜30%が好ましい。
前記予備加熱工程において、ガス線速は、0.5m/sec〜5m/secが好ましく、1m/sec〜3m/secがより好ましい。ガス線速が前記範囲より小さい場合、含浸担体に含まれる水分や錯体形成剤又はその分解物が十分に除去されない場合がある。一方、前記範囲より大きい場合は、ガス線速を増大させたことによる効果はほとんどないことから、5m/sec程度で十分である。
工業的には、触媒成分含浸担体は、予備加熱装置に連続的に供給され、一定時間装置内に滞留し、装置外に排出されるのが好ましい。装置としては、触媒成分含浸担体を水平に移動するバンドに積載し移動させて加熱するもの(バンド乾燥機)、又は傾斜回転円筒内に積載し、斜め下方に移動させて加熱するもの(回転乾燥機)があげられる(「化学工学便覧(改訂5版)」1988年、(社)化学工学協会編、丸善(株)、昭和63年3月18日発行、p674〜683)。これらのうち、含浸担体と雰囲気ガスとの接触の容易さから、加熱した雰囲気ガスを通気させるバンド乾燥機(通気バンド乾燥機)を使用するのが好ましい。
前記加熱処理工程で、前記予備加熱工程で得られた触媒成分を担持した担体は、更に酸
素含有雰囲気下で加熱し、銀化合物を金属銀に変化させ、エチレンオキシド製造用触媒とする。加熱処理温度は275℃〜450℃の範囲が好ましく、下限温度はエチレンオキシド選択率を高くすることが可能であるので335℃がより好ましく、また上限温度はエネルギー効率や経済性の観点から385℃がより好ましい。
前記加熱処理工程における酸素濃度は5体積%〜30体積%であることが好ましく、15体積%〜25重量%であることがより好ましい。その他の気体成分としては窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等や、これらの混合物が好ましいが、本願発明の目的及び効果を阻害しない限り特に限定されない。加熱処理工程に使用する気体は、簡便性から空気を使用するのが好ましい。
前記加熱処理工程の加熱処理の時間は、1時間〜50時間が好ましい。エチレンオキシド選択率を高くすることが可能であるので、1.2時間以上がより好ましく、2時間以上が更に好ましい。又、エネルギー効率や経済性の観点からは、20時間以下がより好ましく、10時間以下が更に好ましく、5時間以下が最も好ましい。なお、加熱処理の時間とは、上記所定の温度範囲に保持した時間である。加熱処理は複数回に分けて実施してもよいが、この場合においても、好ましい下限温度である275℃及び好ましい上限温度である450℃を外れた時間を、加熱処理の時間の5%以下とすることが好ましく、3%以下とすることがより好ましい。上記所定の温度範囲を外れる時間が長くなると触媒の賦活化が十分に行えない場合がある。
加熱処理工程で使用する装置は、マッフル炉等一般的な電気炉が使用できる。工業的には、連続生産の観点から、ローラーハースキルンが適当である。
前記エチレンオキシド製造用触媒中のナトリウム含有量は、NaO換算で1500重量ppm以下が好ましく、1000重量ppm以下がより好ましく、800ppm重量以下がさらに好ましく、500重量ppm以下が特に好ましい。1500重量ppmより多いと、高いエチレンオキシド選択率を示す触媒とならない可能性がある。
尚、エチレンオキシド製造用触媒中のナトリウム含有量は原子吸光分光法により測定することができる。
また、前記エチレンオキシド製造用触媒中のシリコンの含有量は、SiO換算で1重量%以下が好ましく、0.8重量%以下がより好ましく、0.8重量%以下がさらに好ましく、0.5重量%以下が特に好ましい。1重量%より多いと、エチレンオキシド選択率が低下する可能性がある。
尚、エチレンオキシド製造用触媒中のシリコン含有量は誘導結合プラズマ発光分光分析法により測定することができる。
(エチレンオキシド製造用触媒を用いた反応)
本発明のエチレンオキシド製造用触媒を用いて、エチレンをエチレンオキシドに転換する反応は、一般に知られた方法で実施できる。反応圧力は、通常、0.1MPa〜3.6MPa(0〜35kg/cmG)であり、反応温度は、通常、180℃〜350℃、好ましくは200℃〜300℃である。反応原料ガスの組成は、一般に、エチレンが1体積%〜40体積%、分子状酸素が1体積%〜20体積%の混合ガスが用いられ、また、一般に希釈剤、例えばメタンや窒素等の不活性ガスを一定割合、例えば1体積%〜70体積%で存在させることができる。分子状酸素含有ガスとしては、通常、空気あるいは工業用酸素が用いられる。更に、反応改変剤として、例えばハロゲン化炭化水素を0.1ppm〜50ppm程度、反応原料ガスに加えることにより触媒中のホットスポットの形成を防止でき、且つ触媒の性能、殊に触媒選択性を大幅に改善させることができる。
以下実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。まず、分析・測定及び測定方法、原材料について、説明する。
<分析、測定及び評価方法>
(1)担体の細孔容積、ログ微分細孔容積分布、積算細孔容積分布の算出
マイクロメリテックス社製・オートポアIV 9520型を用いて、担体サンプルを減
圧下(50μmHg以下)で10分間減圧処理をした後、水銀圧入退出曲線を測定し、該水銀圧入退出曲線より担体の細孔容積、ログ微分細孔容積分布、積算細孔容積分布を算出した。
(2)担体の比表面積の測定
前処理(250℃、15分間窒素ガスフロー)を行った担体サンプルを、マウンテック社製、マックソーブ HM Model-1201を用い、BET1点法(吸着ガス:窒
素)にて担体比表面積を測定した。
(3)担体中のシリカ含量の測定
担体サンプルに炭酸ナトリウムとホウ酸を加え加熱溶融させたのち、塩酸、純水にてシリカ成分を抽出しICP発光法にて測定した。
(4)担体中のナトリウム含有量の測定
担体を粉砕したサンプルに硫酸、リン酸およびふっ化水素酸を加え加熱抽出した後、その抽出液を原子吸光法にて測定した。
(5)担体の吸水率の測定
担体サンプルの重量(α)を測定し、該担体サンプルに十分な量の水を加え、エバポレーター中で減圧下40℃にて加温、3分保持した後、これを取り出し、担体の重量(β)を測定した。下記式にて吸水率を算出した。
Figure 2016165697
(6)エチレンオキシドの選択率の測定
エチレンオキシドの選択率は、消費したエチレンのモル数に対する生成したエチレンオキシドのモル数の割合で示した。
(7)反応温度の調整
反応温度は、触媒1L、1時間当たりのエチレンオキシド生産量(STY)が目標値となるように調整した。
(8)Q値の算出
前記測定した担体の吸水率(重量%)、前記担体の細孔容積(μl/g)より前記式(1)によりQ値を算出した。
(実施例1)
(触媒の調製)
(担体処理工程)
表1に示す担体A 100gを、300mlの沸騰している脱イオン水中に20分間浸
漬し、該脱イオン水から担体を取り出し、脱イオン水で洗浄とした。この操作を5回繰り返した。次いで、5回浸漬−洗浄操作を繰り返した担体を150℃の過熱水蒸気にて20分間、2m/秒の流速で加熱乾燥し、洗浄担体A 100gを得た。
(銀錯体溶液の調製)
硝酸銀(AgNO)2590 gを脱イオン水9240mlに溶解して硝酸銀水溶液
とし、50℃に温度を調節した。この硝酸銀水溶液に、50℃に保った水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム633g、脱イオン水3570ml)を滴下し、水酸化銀の沈殿物を得た。上澄み液を脱イオン水で置換し、上澄み液のpHが10以下かつ導電率が45μΩ/cm以下となるまで、水酸化銀の沈殿物を洗浄した。水酸化銀の沈殿物に、脱イ
オン水2290ml、シュウ酸2水和物961gを加えると、pHは9.8となり、水酸化銀の沈殿物がシュウ酸銀沈殿物となった。尚、シュウ酸2水和物の添加中、温度は50℃以下になるように調節した。シュウ酸銀沈殿物をろ別後、脱イオン水で洗浄し、シュウ酸銀スラリー(含水率 23.0重量%)を得た。該シュウ酸銀スラリー262gをエチ
レンジアミン72.8g、1,3−ジアミノプロパン20.0g、及び水92.9gより成る水溶液に徐々に添加して溶解させ、銀錯体溶液を調製した。この銀錯体溶液の比重は、1.57g/mlであった。
(1回目含浸の触媒成分含有溶液の調製)
上記操作により得られた銀錯体溶液16.7gに、脱イオン水3.8mlを添加し、1回目含浸の触媒成分含有溶液を得た。
(1回目の触媒成分含浸担体、触媒中間体の調製)
前記触媒成分含有溶液を、前記洗浄担体A30gに含浸し、エバポレーター中で減圧下40℃に加温した。こうして得た1回目の触媒成分含浸担体を、200℃の過熱水蒸気中15分間、2m/secの流速で焼成した。次いで空気雰囲気下にて加熱炉中で300℃、2時間加熱し、触媒中間体を得た。
(2回目含浸の触媒成分含有溶液の調製)
比重1.57g/mlの銀錯体溶液14.6gに、水酸化セシウム一水和物(CsOH・HO)濃度13.0重量%の水溶液0.3ml、過レニウム酸アンモニウム(NHReO)濃度4.9重量%の水溶液0.6ml、硫酸リチウム一水和物(LiSO・HO)濃度3.4重量%の水溶液0.3ml、メタタングステン酸アンモニウム(H264012・xHO)濃度2.0重量%の水溶液0.3ml、炭酸リチウム(LiCO)0.02g、及び脱イオン水3.1mlを添加し、2回目含浸の触媒成分含有溶液を得た。
(2回目の触媒成分含浸担体、触媒前駆体の調製)
2回目含浸の触媒成分含有溶液を、前記触媒中間体35.6gに含浸し、エバポレーター中で減圧下40℃に加温した。こうして得た2回目の触媒成分含浸担体を、200℃の過熱水蒸気中15分間、2m/secの流速で焼成し、触媒前駆体を得た。
(加熱処理工程)
得られた触媒前駆体を、次いで空気雰囲気下にて加熱炉中で370℃、2時間加熱し、次いで、室温まで冷却し触媒を得た。エチレンオキシド製造用触媒の担体の物性を表1に示す。
(エチレンオキシドの製造)
得られた触媒を6〜10メッシュに砕き、その3mlを内径7.5mmのSUS製反応管に充填し、反応ガス(エチレン30体積%、酸素8.5体積%、二酸化炭素3.0体積
%、残り窒素)をGHSV4300hr−1、圧力0.7MPaゲージで流した。また反応改変剤として、塩化ビニルを反応ガス中に添加した。反応改変剤の濃度はエチレンオキシド選択率が最大となるように調整した。反応温度は、触媒1L、1時間当たりのエチレンオキシド生産量(STY)が、0.2kg−EO/L−cat・hとなるように調整した。この反応結果を表2に示す。
(比較例1)
(触媒の調製)
(担体処理工程)
表1に示す担体B 13000gを、39000mlの沸騰している脱イオン水中に2
0分間浸漬し、脱イオン水から担体を取り出し、担体洗浄とした。この操作を繰り返し、合計5回の担体洗浄を実施した。次いで、この担体を150℃の過熱水蒸気にて20分間、2m/secの流速で加熱乾燥し、洗浄担体B 13000gを得た。
(1回目含浸の銀錯体溶液の調製)
酸化銀(AgO)2310 gを脱イオン水13000mlに溶解し、50℃に温度
を調節した。これに、シュウ酸2水和物1256gを加え、pHは9.7になった。シュウ酸2水和物の添加中、温度は50℃以下になるように調節した。こうしてシュウ酸銀沈殿物を得た。沈殿物をろ別後、脱イオン水で洗浄し、シュウ酸銀スラリー(含水率 21
.3重量%)を得た。こうして得たシュウ酸銀スラリー3846gをエチレンジアミン1095g、1,3−ジアミノプロパン300g、及び水1396gより成る水溶液に徐々に添加して溶解させ、銀錯体溶液を調製した。この銀錯体溶液の比重は、1.61g/mlであった。
(1回目含浸の触媒成分含有溶液の調製)
上記操作で得られた銀錯体溶液6570gに、脱イオン水426mlを添加し、1回目含浸の触媒成分含有溶液を得た。
(1回目の触媒成分含浸担体、触媒中間体の調製)
得られた触媒成分含有溶液を、上記洗浄担体A12000gに含浸し、エバポレーター中で減圧下40℃に加温した。こうして得た1回目の触媒成分含浸担体を、200℃の過熱水蒸気中15分間、2m/secの流速で焼成し、触媒中間体を得た。
(2回目含浸の銀錯体溶液の調製)
酸化銀(AgO)2029 gを脱イオン水11500mlに溶解し、50℃に温度
を調節した。これに、シュウ酸2水和物1103gを加え、pHは9.5になった。シュウ酸2水和物の添加中、温度は50℃以下になるように調節した。こうしてシュウ酸銀沈殿物を得た。沈殿物をろ別後、脱イオン水で洗浄し、シュウ酸銀スラリー(含水率 18
.1重量%)を得た。こうして得たシュウ酸銀スラリー3246gをエチレンジアミン961g、1,3−ジアミノプロパン264g、及び水1226gより成る水溶液に徐々に添加して溶解させ、銀錯体溶液を調製した。この銀錯体溶液の比重は、1.63g/mlであった。
(2回目含浸の触媒成分含有溶液の調製)
上記操作で得られた銀錯体溶液5648gに、水酸化セシウム一水和物(CsOH・HO)濃度13.0重量%の水溶液120ml、過レニウム酸アンモニウム(NHReO)濃度4.9重量%の水溶液240ml、硫酸リチウム一水和物(LiSO・H
O)濃度3.4重量%の水溶液120ml、メタタングステン酸アンモニウム(H264012・xHO)濃度2.0重量%の水溶液120ml、水酸化リチウム(LiOH)濃度6.4重量%の水溶液120ml、及び脱イオン水100mlを添加し、2回目含浸の触媒成分含有溶液を得た。
(2回目の触媒成分含浸担体、触媒前駆体の調製)
こうして得た2回目含浸の触媒成分含有溶液のうち5434gに脱イオン水180mlを添加した後、上記触媒中間体11692gに含浸し、エバポレーター中で減圧下40℃に加温した。こうして得た2回目の触媒成分含浸担体を、200℃の過熱水蒸気中15分間、2m/secの流速で焼成し、触媒前駆体を得た。
(加熱処理工程)
得られた触媒前駆体を、次いで空気雰囲気下にて加熱炉中で370℃、2時間加熱し、次いで、室温まで冷却し触媒を得た。エチレンオキシド製造用触媒の担体の物性を表1に示す。
(エチレンオキシドの製造)
比較例1で得られた触媒を用いた以外は、実施例1と同様にしてエチレンオキシドを製造した。反応結果を表2に示す。
Figure 2016165697
Figure 2016165697
表1及び表2に示す結果から、本発明によれば、触媒活性の低下が少なく、反応初期より長時間それほど温度を上げることなくエチレンオキシドを高選択率で製造することができるエチレンオキシド製造用触媒が提供されうる。

Claims (6)

  1. 担体、銀及びレニウムを含むエチレンオキシド製造用触媒であって、
    該担体が担体中にケイ素をSiO換算で0.01重量%〜1.0重量%含み、水銀圧入法により測定される細孔分布において、細孔直径0.01μm〜100μmの範囲に、ログ微分細孔容積の極大値が0.2ml/g以上のピークが少なくとも二つ存在し、該ピークの少なくとも一つが4.0μm〜20μmの範囲に存在する担体である、エチレンオキシド製造用触媒。
  2. 前記担体の比表面積が0.9m/g〜1.8m/gである、請求項1に記載のエチレンオキシド製造用触媒。
  3. 前記担体の吸水率が45重量%以上である、請求項1又は2に記載のエチレンオキシド製造用触媒。
  4. 前記担体が更にナトリウムを含み、ナトリウム含有量が担体中にNaO換算で10重量ppm〜1500重量ppmである請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエチレンオキシド製造用触媒。
  5. 下記式(1)にて算出されるQ値が0.98〜1.20の範囲内である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエチレンオキシド製造用触媒。
    Figure 2016165697
    (上記式中、担体の細孔容積は水銀圧入法により得られた値である。)
  6. 前記請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエチレンオキシド製造用触媒の存在下、エチレンを酸化しエチレンオキシドとする、エチレンオキシドの製造方法。
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