JP2016165247A - 核酸増幅検査装置および核酸増幅検査方法 - Google Patents

核酸増幅検査装置および核酸増幅検査方法 Download PDF

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Narimasa Iwamoto
成正 岩本
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Abstract

【課題】簡素化された高精度位置決め機構によりPCR特性を正確に取得できる核酸増幅検査装置等を提供する。
【解決手段】核酸増幅検査装置200は、反応溶液に含まれる標的核酸がPCR増幅する核酸反応部110を有するPCRプレート3と、光照射部221、受光部222および光学走査部223を有する検出部220とを備え、PCRプレート3は、照射領域上の光学走査領域において、PCRプレート3におけるPCR増幅の基準位置の指標となるピッチ変調部30を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、核酸増幅検査装置およびこれを用いた核酸増幅検査方法に関する。
近年、試料に含まれる標的核酸を短時間で増幅可能なPCR(Polymerase Chain Reaction)法が一般的に利用されている。PCR増幅中の標的核酸量をリアルタイムに測定しそれを解析して検体中の標的核酸量を定量化する方法としてリアルタイムPCR法がある。
リアルタイムPCR法では、例えば、標的核酸を含む反応溶液(反応流体)に所望の温度変化を繰り返し与えることによって標的核酸を増幅させるマイクロ流体デバイス(PCRプレート)が用いられる。具体的には、マイクロ流体デバイスには、複数の異なる温度領域が設けられ、反応溶液が各温度領域を繰り返して通過するように蛇行した流路(蛇行流路)が設けられている。この温度変化が与えられたマイクロ流体デバイスの流路内を流れる反応溶液を光学測定することにより、標的核酸の増幅特性を高速に取得でき、検体中の標的核酸量を定量化することが可能となる。
特許文献1には、PCRプレートの上方に光学ヘッドを移動可能に配置し、PCRプレートのマイクロ流路中を流れる反応溶液からの蛍光を任意のPCRサイクル回数の段階において測定可能なPCR装置が開示されている。
また、特許文献2には、温度が繰り返しパターンで変化する流路に流し、当該流路を流れる標的核酸を含む反応溶液の状態の変化を、当該流路の複数箇所で光学的検出する構成が開示されている。具体的には、上記流路が、回転駆動されるディスク上の試料分析領域に配置され、当該ディスクに対峙して設けられた光情報検出手段によって、流路内の反応溶液の情報が同時連続的かつ継続的に検知される。
特開2007−300896号公報 特開2005−295877号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたPCR装置の場合、PCRプレートは測定ごとに交換されるが、PCRプレート外形とマイクロ流路との位置精度は成形品ごとにばらつく。このため、マイクロ流路の検出開始点近傍では、蛍光強度が小さいこともあり、検出開始点の位置検出精度の低下が懸念される。従って、PCRプレートを加熱冷却部に高精度で取り付けるだけではマイクロ流路の位置を高精度に検出することができず、画像処理等を用いた高精度位置決め機構が必要となり、装置が大型化および煩雑化してしまう。
また、特許文献2に開示された光学検出機構では、流路の回転駆動を実現するため、加熱冷却機構部の断熱機構および温度制御機構を回転駆動する構造が大型化および煩雑化してしまう。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、簡素化された位置決め機構によりPCR特性を高精度に取得できる核酸増幅検査装置及び核酸増幅検査方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る核酸増幅検査装置の一態様は、標的核酸を含む反応溶液が供給されることにより当該標的核酸がPCR増幅する核酸反応部を有するPCRプレートと、前記PCRプレートに照明光を照射する光照射部、前記照明光が照射された前記PCRプレートの照射領域からの光を検出する受光部、ならびに、前記PCRプレート上で前記光照射部および前記受光部に前記照射領域を光学走査させる光学走査部を有する光学検出機構とを備え、前記PCRプレートは、前記照射領域のうち光学走査される領域である光学走査領域において、前記PCRプレートにおける前記PCR増幅の基準位置の指標となる位置指標部を有する。
また、本発明に係る核酸増幅検査装置の一態様において、前記PCRプレートは、前記反応溶液が流れるマイクロ流路を有し、前記光学走査領域と前記マイクロ流路とが、前記PCRプレートの平面視において重なる領域である反応溶液走査領域を3箇所以上含み、前記位置指標部は、3箇所以上の前記反応溶液走査領域のピッチと異なるピッチを有する隣り合う反応溶液走査領域の間に配置されたピッチ変調部である、としてもよい。
また、本発明に係る核酸増幅検査装置の一態様において、前記ピッチ変調部が配置された前記隣り合う反応溶液走査領域の前記ピッチの長さは、前記ピッチ変調部以外のピッチの長さの2倍以上であり、且つ、整数倍でない、としてもよい。
また、本発明に係る核酸増幅検査装置の一態様において、前記位置指標部の光学特性は、前記光学走査領域のうち前記位置指標部以外の領域の光学特性と異なる、としてもよい。
また、本発明に係る核酸増幅検査装置の一態様において、前記位置指標部は、前記反応溶液が流れない部分に形成されている、としてもよい。
また、本発明に係る核酸増幅検査装置の一態様において、前記位置指標部は、前記PCRプレートの内部、または、表面上に形成されている、としてもよい。
また、本発明に係る核酸増幅検査装置の一態様において、前記位置指標部は、反射膜により形成されている)、としてもよい。
また、本発明に係る核酸増幅検査装置の一態様において、前記PCRプレートは、前記反応溶液が流れるマイクロ流路を有し、前記光学走査領域と前記マイクロ流路とが、前記PCRプレートの平面視において重なる領域である反応溶液走査領域を3箇所以上含み、前記位置指標部は、前記3箇所以上の反応溶液走査領域のいずれかを含み、前記位置指標部に含まれる前記反応溶液走査領域における流路断面積は、前記位置指標部に含まれない前記反応溶液走査領域における流路断面積よりも大きい、としてもよい。
また、本発明に係る核酸増幅検査装置の一態様において、前記PCRプレートは、前記反応溶液が流れるマイクロ流路を有し、前記マイクロ流路は、複数の折返し点を有する蛇行流路である、としてもよい。
また、本発明に係る核酸増幅検査装置の一態様において、前記PCRプレートは、前記光学走査領域と前記マイクロ流路とが、前記PCRプレートの平面視において重なる領域である反応溶液走査領域を3箇所以上含み、隣り合う前記反応溶液走査領域の間の前記マイクロ流路の長さは、前記位置指標部の配置にかかわらず一定である、としてもよい。
また、本発明に係る核酸増幅検査装置の一態様において、前記PCRプレートは、複数の前記位置指標部を有する、としてもよい。
また、本発明に係る核酸増幅検査装置の一態様において、前記PCRプレートには、前記標的核酸を検出するための色素物質を含む前記反応溶液が供給される、としてもよい。
また、本発明に係る核酸増幅検査装置の一態様において、前記色素物質は、蛍光色素である、としてもよい。
また、本発明に係る核酸増幅検査装置の一態様において、前記PCRプレートは、前記光学走査領域に、前記反応溶液が前記核酸反応部を経由して流れ込むことで前記反応溶液の送液が完了したことを検出する送液完了検出部を有する、としてもよい。
また、本発明に係る核酸増幅検査方法の一態様は、標的核酸を含む反応溶液を、当該標的核酸がPCR増幅する核酸反応部を有するPCRプレートに供給する供給ステップと、前記PCRプレートに光を照射する光照射部と、前記光が照射された前記PCRプレートの照射領域からの光を受光する受光部とを、前記PCRプレート上で光学走査する走査ステップと、前記PCRプレートに前記光を前記光照射部から照射し、前記照射領域からの光を前記受光部で検出する光検出ステップと、前記供給ステップの後、前記照射領域のうち光学走査される領域である光学走査領域に配置された、前記PCRプレートにおける前記PCR増幅の基準位置の指標となる位置指標部を前記受光部で検出する位置検出ステップと、を含む。
また、本発明に係る核酸増幅検査方法の一態様において、前記PCRプレートは、前記光学走査領域に、前記反応溶液が前記核酸反応部を経由して流れ込むことで前記反応溶液の送液が完了したことを検出する送液完了検出部を有し、さらに、前記走査ステップの前に、前記送液完了検出部を前記照射領域に設定した状態で、前記送液完了検出部に前記反応溶液が到達したことにより前記送液完了検出部の前記反応溶液からの光を検出する送液完了検出ステップを含み、前記送液完了検出ステップの終了タイミングに基づいて、前記走査ステップおよび前記光検出ステップを開始する、としてもよい。
また、本発明に係る核酸増幅検査方法の一態様において、前記PCRプレートは、前記反応溶液が流れるマイクロ流路と、複数の前記位置指標部とを有し、前記光学走査領域と前記マイクロ流路とが、前記PCRプレートの平面視において重なる領域である反応溶液走査領域を3箇所以上含み、前記走査ステップおよび前記光検出ステップでは、前記複数の位置指標部のそれぞれに隣接する前記反応溶液走査領域からの光のみを前記受光部で仮検出し、前記仮検出された前記反応溶液走査領域の検出データに基づいて、前記送液完了検出部および複数の前記位置指標部で区切られた前記光学走査領域の区間うち、特定の前記区間において前記光照射部と前記受光部とを前記PCRプレート上で光学走査する、としてもよい。
本発明に係る核酸増幅検査装置または核酸増幅検査方法よれば、PCRプレート中に位置指標部が設けられているので、簡素化された位置決め機構を用いてもPCR法により増幅された標的核酸の増幅特性を高精度に取得することが可能となる。
実施の形態1に係る核酸増幅検査装置の構成を示す図である。 実施の形態1に係る核酸増幅デバイスの斜視図である。 実施の形態1に係る核酸増幅デバイスの分解斜視図である。 実施の形態1に係る核酸増幅デバイスの平面図である。 実施の形態1に係る核酸増幅検査装置により測定された標的核酸の光検出データを示すグラフである。 実施の形態1に係る主流路毎の蛍光発光ピークをプロットしたPCRカーブを表すグラフである。 比較例に係る核酸増幅デバイスの平面図である。 比較例に係る核酸増幅デバイスを用いて測定された標的核酸の光検出データを示すグラフである。 比較例に係る核酸増幅デバイスを用いて検出された蛍光発光ピークをプロットしたPCRカーブを表すグラフである。 反応溶液走査領域の流路内が泡噛みした場合のPCRプレートの平面外略図である。 実施の形態1に係るピッチ変調部近傍におけるPCRプレートの平面外略図である。 実施の形態2に係る核酸増幅デバイスの平面図である。 実施の形態2に係る核酸増幅検査装置により測定された標的核酸の光検出データを示すグラフである。 実施の形態2に係る主流路毎の蛍光発光ピークをプロットしたPCRカーブを表すグラフである。 実施の形態2に係る光学反射部の第1の形成位置を表すPCRプレートの断面概略図である。 実施の形態2に係る光学反射部の第2の形成位置を表すPCRプレートの断面概略図である。 実施の形態2に係る光学反射部の第3の形成位置を表すPCRプレートの断面概略図である。 実施の形態2の変形例に係る光学反射部を含む流路の平面図および断面図である。 実施の形態2に係る核酸増幅検査方法を説明する動作フローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ及びステップの順序などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
(実施の形態1)
[1.核酸増幅検査装置の構成]
実施の形態1に係る核酸増幅検査装置200について、図1〜図4を用いて説明する。
図1は、実施の形態1に係る核酸増幅検査装置の構成を示す図である。本実施の形態における核酸増幅検査装置200は、核酸増幅デバイス1と、核酸増幅デバイス1における核酸反応部110の温度を制御するための温度制御部210と、標的核酸の核酸増幅度を検出するための検出部220とを備える。この構成により、高速かつ高精度に標的核酸のPCR特性を検出することが可能となる。以下、核酸増幅デバイス1、温度制御部210および検出部220について詳細に説明する。
[1−1.核酸増幅デバイスの構成]
図2は、実施の形態1に係る核酸増幅デバイスの斜視図であり、図3は、同核酸増幅デバイスの分解斜視図であり、図4は、同核酸増幅デバイスの平面図である。
本実施の形態に係る核酸増幅デバイス1は、試料となる標的核酸を増幅させるためのデバイス(デバイスチップ)であって、PCRプレート3と、ヒータ部140とを備える。PCRプレート3は、少なくとも標的核酸を含む反応溶液が導入される導入部(インレット)120と、導入部120に導入された反応溶液に含まれる標的核酸を増幅させるための核酸反応部110と、核酸反応部110で増幅された標的核酸を含む反応溶液を排出するための排出部(ドレイン)130とを備える。ヒータ部140は、標的核酸を含む反応溶液を加熱する。
核酸反応部110は、さらに、導入された反応溶液を毛管力により送液するための毛管力運搬機構を有する流路100を有する。流路100は、反応溶液が一方通行的に流れる反応流路であって、少なくとも核酸反応部110を通るように設けられている。
核酸反応部110では、反応溶液が流路100内を毛管力(キャピラリ力)により送液されながら反応溶液に含まれる標的核酸が増幅する。反応溶液は、少なくとも試料となる標的核酸を含む溶液であり、本実施の形態では、標的核酸と標的核酸を増幅させるための反応試薬とを含む水溶液である。なお、反応溶液には、ある種のアルコールや界面活性剤等が含まれていてもよい。
本実施の形態では、核酸増幅デバイス1を用いてPCR(ポリメラーゼ連鎖反応:Polymerase Chain Reaction)法を実施し、当該PCR法により増幅された標的核酸の増幅特性を検出する場合について説明する。PCR法は、標的核酸(ターゲットDNA)を温度サイクルにより増幅させる技術である。反応溶液(反応流体)には、ターゲットDNAの他に、PCRプライマやポリメラーゼ酵素、バッファー等が含まれている。このような反応溶液に温度サイクルを付与することで、ターゲットDNAを増幅することができる。増幅したDNAの増幅量は、反応検出機構によって検出することができる。
なお、反応溶液には、標的核酸を検出するための色素物質を含むことが好ましい。特に、本実施の形態では、後述する検出部220により反応溶液からの蛍光を検出するため、反応溶液に含まれる色素物質は、蛍光色素であることが好ましい。
これにより、PCR増幅された標的核酸の増幅量を、光学測定系により高精度に測定することが可能となる。なお、本実施の形態では、反応溶液のレーザ励起光を照射し、当該反応溶液からの蛍光を検出しているが、これに限らず、蛍光以外の反射光、または、透過光などを検出してもよい。
核酸増幅デバイス1は、具体的には、図2〜図4に示すように、第1基板10と、第2基板20と、ヒータ部140とによって構成されている。また、ヒータ部140は、設定温度が異なる第1ヒータブロック141と第2ヒータブロック142とを備える。
本実施の形態における核酸増幅デバイス1は、マイクロ流路(流路100)を有するマイクロ流体デバイスである。核酸増幅デバイス1の外形は、例えば縦の長さが40mmで横の長さが20mmの略矩形状である。
以下、核酸増幅デバイス1の各構成部材の詳細構成について、図2〜図4を用いて詳述する。
[1−1−1.第1基板]
図3に示すように、第1基板10は、導入部120の一部を構成する第1凹部11と、排出部130の一部を構成する第2凹部12と、流路100を構成する溝部13とを備える。第1基板10としては、例えばシリコン基板を用いることができる。
溝部13(流路100)は、第1凹部11と第2凹部12とをつなぐように形成されている。溝部13(流路100)には反応溶液が流れる。具体的には、第1凹部11(導入部120)に反応溶液が導入されると、当該反応溶液は、第2凹部12(排出部130)に向かって溝部13(流路100)内を進行する。
図4に示すように、流路100は、複数の折返し点を有する蛇行流路であり、第1ヒータブロック141(第1温度領域)と第2ヒータブロック142(第2温度領域)とを交互に繰り返して通過するように構成されている。
具体的に、核酸反応部110における流路100は、ライン状の流路を所定間隔毎に折り曲げながら連続的に折り返すように(往復するように)形成されている。核酸反応部110における流路100の折り返し回数は、例えば20〜70サイクル程度である。
本実施の形態における流路100は、ライン状の複数の主流路100aと、対向する各行の主流路100aの端部同士を接続する副流路100bとを有する。主流路100aおよび副流路100bは、核酸反応部110に設けられる。
ここで、流路100が蛇行形成された核酸反応部110には、ピッチ変調部30が複数箇所、形成されている。ピッチ変調部30とは、光学走査領域に設けられた、PCRプレート3におけるPCR増幅の基準位置の指標となる位置指標部である。なお、光学走査領域とは、後述する検出部220の光照射部221が光を照射するPCRプレート3上の照射領域のうち光学走査される領域であり、第1ヒータブロック141と第2ヒータブロック142との境界上の領域である。
また、本実施の形態では、PCRプレート3は、光学走査領域と主流路100aとが、PCRプレート3の平面視において重なる領域である反応溶液走査領域40を3箇所以上含んでいる。図4に示すように、反応溶液走査領域BからCおよび反応溶液走査領域DからEの反応溶液走査領域は等間隔に配置されている。これに対して、ピッチ変調部30は、反応溶液走査領域BからCおよび反応溶液走査領域DからEのピッチである主流路100aの通常の蛇行ピッチと異なるピッチを有している。具体的には、ピッチ変調部30は、反応溶液走査領域AとBとの間、CとDとの間、およびEとFとの間に配置されている。つまり、ピッチ変調部30は、3箇所以上の反応溶液走査領域40のピッチと異なるピッチを有する隣り合う反応溶液走査領域40の間に配置されており、反応溶液が流れない部分に形成されている。
また、隣り合う反応溶液走査領域40の間の流路100の長さは、ピッチ変調部30の配置にかかわらず一定である。これにより、隣り合う反応溶液走査領域40間での標的核酸の増幅環境を均一とすることができ、反応溶液走査領域40上を光学走査することにより取得されるPCRカーブを高精度に評価することが可能となる。
主流路100aは、第1ヒータブロック141と第2ヒータブロック142とを跨ぐように、第1ヒータブロック141及び第2ヒータブロック142の長手方向に略直交させて設けられている。副流路100bは、第1ヒータブロック141及び第2ヒータブロック142の長手方向に略平行するように設けられている。
なお、流路100は、さらに、反応溶液を導入部120から核酸反応部110に導くための流路である導入流路100cと、反応溶液を核酸反応部110から排出部130までに導くための排出流路100dとを有する。
このように構成される流路100はマイクロ流路であり、例えば断面形状は矩形状である。この場合、流路100を構成する溝部13の流路幅(溝幅)は、例えば20〜300μm程度であり、溝部13の深さは50〜150μm程度である。流路100が蛇行形状を有するマイクロ流路であることにより、簡易的な温度制御機構を用いて、小型でありながら標的核酸の増幅密度が高いPCRプレートを形成することが可能となる。
なお、溝部13の断面形状は、矩形に限らず、半円形又は逆三角形とすることができる。また、第1凹部11及び第2凹部12は、例えば円形開口の凹部とすることができる。また、第1基板10の材料はシリコンに限らず、樹脂又はガラスであってもよい。
[1−1−2.第2基板]
図3に示すように、第2基板20は、第1基板10を覆う蓋部であり、第1基板10上に配置される。第2基板20としては、例えばガラス基板を用いることができる。第2基板20には、導入部120の一部として、第2基板20を貫通する第1貫通孔21が設けられている。また、第2基板20には、排出部130の一部として、第2基板20を貫通する第2貫通孔22が設けられている。第1貫通孔21および第2貫通孔22は、例えば円形開口を有する貫通孔である。
図2に示すように、第1基板10上に第2基板20を載置することによって、溝部13の開口部分が塞がれて全方位が密閉された流路100が構成される。これにより、流路100は、反応溶液の送液方向(進行方向)に垂直な断面における壁面全周が閉じられた構成となり、かつ、導入部120及び排出部130においてのみ外部空間と繋がる構成となる。このように、流路100の全方位を封止することによって、流路100における毛管力を増強させることができるとともに、送液中に反応溶液が揮発することを抑制できる。
なお、第2基板20の材料はガラスに限らず、樹脂又はシリコンであってもよい。
[1−1−3.ヒータ部および温度制御部]
図2〜図4に示すように、ヒータ部140は、少なくとも核酸反応部110に配置されており、核酸反応部110の流路100に送液される反応溶液は、ヒータ部140によって所定の温度が付与される。
本実施の形態において、核酸反応部110には、ヒータ部140として、所定の異なる温度に設定された第1ヒータブロック141および第2ヒータブロック142が配置される。つまり、核酸反応部110には、第1ヒータブロック141及び第2ヒータブロック142の2つのヒータブロックによって所定の異なる温度に設定された2つの温度領域が存在する。
なお、第1ヒータブロック141および第2ヒータブロック142は、例えば直方体のアルミニウムやステンレス等の金属からなる金属ブロックを用いたヒータである。ヒータ部140としては、ヒータブロック以外に、ガラス基板上に金属薄膜を印刷等により形成した金属薄膜ヒータ等を用いることもできる。
本実施の形態では、第1ヒータブロック141の温度が第2ヒータブロック142の温度よりも高くなるように設定されている。つまり、第1ヒータブロック141が配置された領域は高温領域であり、第2ヒータブロック142が配置された領域は低温領域である。
高温領域である第1ヒータブロック141の温度は、例えば93℃〜98℃であり、本実施の形態では、核酸増幅反応の変性反応温度である約95℃としている。一方、低温領域である第2ヒータブロック142の温度は、例えば50℃〜75℃であり、本実施の形態では、アニール・伸長反応温度である約60℃としている。
図4に示すように、ヒータ部140は温度制御部210に接続されている。これにより、第1ヒータブロック141及び第2ヒータブロック142の各温度は、温度制御部210によって制御することができる。
第1ヒータブロック141および第2ヒータブロック142は所定の隙間をあけて並べられている。第1ヒータブロック141および第2ヒータブロック142の上には第1基板10が配置される。具体的には、流路100における主流路100aが第1ヒータブロック141と第2ヒータブロック142とを跨ぐようにして第1基板10がヒータ部140に載置される。これにより、流路100は、2つの温度領域を複数サイクルで往復するように構成される。
この構成により、導入部120から反応溶液を導入したときに、反応溶液は核酸反応部110における2つの温度領域(第1ヒータブロック141および第2ヒータブロック142)を交互に繰り返して通過して排出部130に送液される。つまり、流路100を流れる反応溶液に対してヒートサイクルを付与することができる。
以上、本実施の形態に係る核酸増幅検査装置200の構成により、核酸増幅デバイス1は、標的核酸の二本鎖を解離させる変性反応温度と、変性された一本鎖がアニーリングを開始すると共に伸長するアニール・伸長反応温度との間で加熱冷却を繰り返すPCRサイクルを繰り返しながら、反応溶液に含まれる標的核酸を増幅させる。そして検出部220は、流路100における標的核酸を含む反応溶液の蛍光強度を測定する。
また、流路100の毛管力運搬機構による毛管力によって反応溶液を送液することができるので、シリンジポンプ等の外部ポンプを用いることなく反応溶液を流路内に進行させることができる。
[1−1−4.検出部]
検出部220は、光学検出機構であり、図1に示すように、核酸増幅デバイス1の照射領域に光を照射する光照射部221と、核酸増幅デバイス1に照射された光の反射光を受光する受光部222と、核酸増幅デバイス1の光学走査領域に上記光を走査させるための光学走査部223とを備える。
光照射部221は、青色光を発するレーザ素子を備えており、例えば中心波長が488nmのレーザ光を出力する。受光部222は、例えば光電子増倍管(PMT)である。なお、検出部220は、その他に、励起カットフィルタ224およびダイクロイックミラー225等の光学素子を備える。
本実施の形態では、青色光のレーザ光を反応溶液に照射することによって、青色光を励起光として蛍光発光した緑色光が反射光として戻ってくるように構成されている。この緑色光(反射光)の蛍光量は、核酸の増幅量に応じて変化する。したがって、緑色光の蛍光量を測定することで核酸の増幅量を算出することができる。
本実施の形態に係る核酸増幅検査装置200は、加熱・冷却系(ヒータ部140)と光学検出系(検出部220)とが一体化された評価装置である。このように加熱・冷却系と検出系とを一体化することで、簡便な検出装置を実現できる。また、検出系を光学検出方式とすることにより非接触で核酸の増幅量を検出することができる。
なお、本実施の形態では、検出部220は、光照射部221から出射されたレーザ光がPCRプレート3で反射された光または、反応溶液から発せられた蛍光を受光部222にて観測する。このため、検出部220の光照射部221および受光部222を、PCRプレート3の片側に設置することが可能となる。これにより、光学測定系の配置構成を簡素化でき、省スペース化を実現できる。
上記構成によれば、検出部220は、核酸増幅デバイス1に導入した反応溶液における標的核酸の増幅量を検出する場合、図1に示すように、主流路100aと交差する方向にレーザ光を走査するとともに反射光を受光する。つまり、蛇行形成された流路100を横切るようにレーザ光を走査することにより、各主流路100aにおける蛍光強度をPCRサイクルの回数に対応させて測定することができる。これにより、PCRサイクルを、ある特定の回数付与したときの蛍光強度のみではなく、0回からPCRサイクル終了に至るまでの蛍光強度に基づいて標的核酸の増幅特性であるPCRカーブを描かせることができる。つまり、第1ヒータブロック141と第2ヒータブロック142とを往復する流路100のサイクルに応じた標的核酸の増幅曲線を取得することができる。
なお、標的核酸を検出する色素物質として特定の波長の光を吸収するが蛍光は発しない色素物質を用いた場合、光検出機構としては、光照射部221と受光部222はPCRプレート3を間に挟んだ状態で対向して設置することが好ましい。このような構成にすることにより、光照射部221で照射された光のうち反応溶液中の色素物質で吸収されなかった光を受光部222で検出することができる。
[2.実施例に係る核酸増幅検査]
上記構成を有する核酸増幅検査装置200を用いて、標的核酸の増幅量を検出する手順を説明する。
まず、反応溶液をPCRプレート3の導入部120に流し込む。反応溶液は、流路100内をキャピラリ力で自走しながら、ヒータ部140により変性温度とアニーリング温度との間で加熱冷却を繰り返し、標的核酸を増幅させる。
次に、反応溶液が排出部130に到達した後に、流路100を横切るように長手方向に沿って、受光部222、励起カットフィルタ224及びダイクロイックミラー225で構成された光学検出機構を、核酸反応部110上に走査させる。このとき、核酸反応部110における反応溶液走査領域40の光検出強度(蛍光強度)を流路100のサイクルに対応させて測定する。
図5Aは、実施の形態1に係る核酸増幅検査装置により測定された標的核酸の光検出データを示すグラフである。同図において、横軸は、光学検出機構が核酸反応部110上を走査した場合のPCRサイクル数を表す。言い換えると、横軸は、上記光学検出機構の核酸反応部110上における走査変位を表す。また、縦軸は、光照射部221から出射されるレーザ励起光を核酸反応部110に照射することにより核酸反応部110から出射された蛍光を受光部222で検出した場合の光検出強度を表す。光照射部221から出射されるレーザ励起光と受光部222で検出される蛍光の波長とを異ならせることで、励起光の反射光である背景蛍光とPCR反応による蛍光との強度差を強調することができる。具体的には、流路100以外の核酸反応部110上を測定した場合には、背景蛍光による低い光検出強度が測定される。一方、流路100上では、標的核酸の増加量に応じて、背景蛍光より高い蛍光発光強度が測定される。また、標的核酸が増加するほど、標的核酸からの蛍光発光と背景蛍光との強度差は大きくなる。
図5Aに示すように、光学検出機構の走査により光検出強度の増減が繰り返される。この光検出強度の繰り返しピッチは、走査レーザ光が主流路100aを横切るピッチを表している。ここで、ピッチ変調部30に隣接していない主流路100a(図4中のB−C間およびE−F間)のピッチは等間隔となっており、図5Aのグラフにおける光検出強度の繰り返しピッチに対応している。一方、光検出強度の繰り返しピッチが変化している箇所(図5A中のA−B間、C−D間およびE−F間)は、ピッチ変調部30での光検出強度に対応している。ピッチ変調部30は、主流路100aの間であって反応溶液が流れない部分に形成されているため、ピッチ変調部30での蛍光強度は、ピッチ変調部30以外の反応溶液走査領域40での蛍光強度と異なる。このピッチ変調部30での蛍光強度の変化を図5Aのグラフから読み取ることにより、核酸反応部110の基準位置を特定することが可能となる。これにより、加熱・冷却系(ヒータ部140)および光学系(検出部220)に対してPCRプレート3の取付け位置がずれている場合、または、PCRプレート3上における核酸反応部110の形成位置がずれている場合であっても、流路100における基準位置を特定できる。よって、この基準位置に基づいて、PCRサイクル数を正確に測定することが可能となる。つまり、PCRプレート3中に位置指標部が設けられているので、簡素化された位置決め機構によりPCR特性を高精度に取得することが可能となる。
なお、ピッチ変調部30を、標的核酸の増加が進行し蛍光強度が高くなっている反応溶液走査領域40の近傍(図5AのE−F間)に設けることで、蛍光検出による光検出強度のS/N比(標的核酸からの蛍光発光と背景蛍光との強度比)を、より大きく確保できる。
図5Bは、主流路毎の蛍光発光ピークをプロットしたPCRカーブを表すグラフである。図5Bに示すように、PCRサイクル数の増加に従って標的核酸の増幅量が増加することがわかる。このPCRカーブから、標的核酸の評価指標の一つである閾サイクル数を求めることができる。ここで、閾サイクル数とは、光検出強度が蛍光閾強度に到達するPCRサイクル数である。例えば、閾サイクル数を、光検出強度の最大値(飽和値)の10%程度となるサイクル数として求めることにより、標的核酸の初期濃度を定量することが可能となる。
[3.比較例に係る核酸増幅検査]
ここで、比較例に係る核酸増幅検査装置を用いた核酸増幅検査について説明する。
図6は、比較例に係る核酸増幅デバイスの平面図である。本比較例に係る核酸増幅デバイス501は、PCRプレート503と、ヒータ部540とを備える。PCRプレート503は、導入部520と、核酸反応部510と、排出部530とを備える。ヒータ部540は、標的核酸を含む反応溶液を加熱する。
核酸反応部510は、さらに、流路500を有する。流路500は、反応溶液が一方通行的に流れる反応流路であって、核酸反応部510を通るように設けられている。
図6示すように、流路500は、蛇行するように形成された蛇行流路であり、第1ヒータブロック541(第1温度領域)と第2ヒータブロック542(第2温度領域)とを交互に繰り返して通過するように構成されている。核酸反応部110における流路500は、ライン状の流路を所定間隔毎に折り曲げながら連続的に折り返すように(往復するように)形成されている。核酸反応部510における流路500の折り返し回数は、例えば20〜70サイクル程度である。流路500は、ライン状の複数の主流路500aと、対向する各行の主流路500aの端部同士を接続する副流路500bとを有する。主流路500a及び副流路500bは、核酸反応部510に設けられる。ここで、本比較例に係る核酸増幅デバイス501では、全ての主流路500aのピッチは等間隔となっている。
主流路500aは、第1ヒータブロック541と第2ヒータブロック542とを跨ぐように、第1ヒータブロック541及び第2ヒータブロック542の長手方向に略直交させて設けられている。副流路500bは、第1ヒータブロック541及び第2ヒータブロック542の長手方向に略平行するように設けられている。流路500は、さらに、反応溶液を導入部520から核酸反応部510に導くための流路である導入流路500cと、反応溶液を核酸反応部510から排出部530までに導くための排出流路500dとを有する。
図7Aは、比較例に係る核酸増幅デバイスを用いて測定された標的核酸の光検出データを示すグラフである。同図において、横軸は、上記光学検出機構が核酸反応部510上を走査した場合のPCRサイクル数を表す。また、縦軸は、レーザ励起光を核酸反応部510に照射することにより核酸反応部510から出射された蛍光を検出した場合の光検出強度を表す。図7Aに示すように、光検出強度の繰り返しピッチは、走査レーザ光が主流路500aを横切るピッチを表している。ここで、核酸増幅デバイス501の全ての主流路500aのピッチは等間隔となっており、図7Aのグラフにおける光検出強度の繰り返しピッチに対応している。
図7Bは、比較例に係る核酸増幅デバイスを用いて検出された蛍光発光ピークをプロットしたPCRカーブを表すグラフである。図7Bに示すように、PCRサイクルの増加に従って標的核酸の増幅量が増加することがわかる。このPCRカーブから、標的核酸の評価指標の一つである閾サイクル数を求めることができる。
しかしながら、PCRプレート503は測定ごとに交換されるが、PCRプレート503の外形と流路500との位置精度は成形品ごとにばらつく。このため、流路500の検出開始点近傍では、蛍光強度が小さいこともあり、光学系により検出される核酸増幅開始点の位置精度の低下が懸念される。従って、PCRプレート503を加熱冷却部に高精度に取り付けたとしても、流路500の検出基準位置を高精度に検出することができない。
一例として、比較例に係るPCRプレート503の流路幅は、0.1mm〜0.5mm程度であり、主流路500aのピッチは、0.2mmから1mm程度である。また、PCRプレート503の外形と流路500との位置精度は、成形品の収縮や張り合わせ公差により±0.2mm程度である。PCRプレート503は、測定ごとに交換されるため、結局、±0.2mm程度の取り付け公差を必要とする。このため、流路500の検出開始点近傍では、位置測定精度の低下が懸念される。
図7Bには、2つのPCRカーブが示されており、各PCRカーブを基にして閾サイクル数が求められている。この閾サイクル数の大小により、標的核酸の解析が可能であるが、本比較例に係る核酸増幅デバイス501を用いた場合、例えば、核酸増幅開始点の位置精度が低下する。閾サイクル数は、核酸増幅開始点から蛍光閾強度に到達したPCRサイクルまでのサイクル数であるが、核酸増幅開始点の位置精度の低下のため、閾サイクル数の算出精度も低下する。これにより、異なるPCRプレートを用いて測定された2つの閾サイクル数を高精度に比較することが困難となる。この閾サイクル数の算出精度を向上させるため、比較例に係る核酸増幅デバイス501を用いて測定する場合には、例えば、画像処理等を用いた高精度位置決め機構が必要となり、装置が大型化および煩雑化してしまう。
上述した比較例に係る核酸増幅デバイスを用いた核酸増幅検査と比較して、本実施の形態に係る核酸増幅検査装置200によれば、加熱・冷却系(ヒータ部140)および光学系(検出部220)に対してPCRプレート3の取付け位置がずれている場合、または、PCRプレート3上における核酸反応部110の形成位置がずれている場合であっても、検出部220がピッチ変調部30からの反射光(蛍光)を高精度に検出できる。これにより、流路100における基準位置を特定できる。よって、PCRサイクル数を正確に測定することが可能となる。つまり、PCRプレート3中に位置指標部が設けられているので、簡素化された位置決め機構によりPCR特性を高精度に取得することが可能となる。
また、光学測定系および加熱・冷却系と核酸増幅デバイスとの位置関係に依存せず、流路100における基準位置を特定できるので、PCRプレート3を容易に交換できる。よって、短時間で高密度なPCR測定を実現できる。
[4.実施例に係る核酸増幅検査装置のその他の構成]
図8Aは、反応溶液走査領域の流路内が泡噛みした場合のPCRプレートの平面外略図である。同図に示すように、導入部120に反応溶液を注入する際に、流路100内へ微小気泡が流れ込む場合がある。この状態で、上記微小気泡が加熱されると、突沸等で気泡が大きく成長する。この成長した気泡が、反応溶液走査領域40に滞留した状態で、検出部220が当該反応溶液走査領域40を光学検出する場合が想定される。この場合、検出部220は、背景蛍光と同等の蛍光強度を測定してしまうため、当該反応溶液走査領域40をピッチ変調部30であるものと誤認識してしまう可能性がある。
これに対して、本実施の形態に係る核酸増幅デバイス1では、ピッチ変調部30に隣接する2つの反応溶液走査領域40のピッチを、ピッチ変調部30に隣接しない反応溶液走査領域40のピッチの長さの2倍以上であり、且つ、整数倍でないこととしてもよい。
図8Bは、ピッチ変調部近傍におけるPCRプレートの平面外略図である。本実施の形態では、同図に示すように、ピッチ変調部30に隣接する2つの反応溶液走査領域40のピッチN2と、ピッチ変調部30に隣接しない反応溶液走査領域40のピッチN1との関係が、2N1<N2<3N1となるように、N2が設定されている。
これにより、反応溶液走査領域40の流路内が泡噛みするなどにより検出された蛍光強度と、ピッチ変調部30での蛍光強度とを、隣接する反応溶液走査領域40から検出される蛍光強度ピークの間隔を確認することにより識別することが可能となる。よって、基準位置であるピッチ変調部30を、正確に特定できる。よって、PCRサイクル数を正確に測定することが可能となる。
また、本実施の形態に係るPCRプレート3は、複数のピッチ変調部30を有している。これにより、一つのピッチ変調部30からの蛍光検出、または、当該ピッチ変調部30に隣接する反応溶液走査領域40からの蛍光検出のノイズレベルが高いなどにより、当該ピッチ変調部30を識別できない場合であっても、他のピッチ変調部30によりPCRサイクル数を正確に測定することが可能となる。
[5.核酸増幅検査方法]
なお、本発明は、上述した特徴的な構成を備える核酸増幅検査装置200として実現することができるだけでなく、核酸増幅検査方法として実現することができる。以下、本実施の形態に係る核酸増幅検査方法について説明する。
まず、標的核酸を含む反応溶液を、導入部120からPCRプレート3に供給する(供給ステップ)。
次に、PCRプレート3に光を照射する光照射部221と、PCRプレート3の照射領域からの光を受光する受光部222とを、PCRプレート3上で光学走査する(走査ステップ)。
次に、上記走査ステップを実行しながら、PCRプレート3にレーザ光を光照射部221から照射し、照射領域からの光を受光部222で検出する(光検出ステップ)。
次に、上記光検出ステップにおいて、照射領域のうち光学走査される領域である光学走査領域に配置された、PCRプレート3におけるPCR増幅の基準位置の指標となるピッチ変調部30を受光部222で検出する(位置検出ステップ)。なお、ピッチ変調部30は、PCRプレート3におけるPCR増幅の基準位置の指標となる位置指標部であって、主流路100aの通常の蛇行ピッチと異なるピッチを有している。
これにより、加熱・冷却系(ヒータ部140)および光学系(検出部220)に対してPCRプレート3の取付け位置がずれている場合、または、PCRプレート3上における核酸反応部110の形成位置がずれている場合であっても、流路100における基準位置を特定できる。よって、PCRサイクル数を正確に測定することが可能となる。つまり、PCRプレート3中に位置指標部が設けられているので、簡素化された位置決め機構によりPCR特性を高精度に取得することが可能となる。
また、PCRプレート3は、図1〜4に示すように、排出部130を有している。ここで、排出部130は、反応溶液が核酸反応部110を経由して流れ込むことで当該反応溶液の送液が完了したことを検出する送液完了検出部である。
なお、検出部220が核酸反応部110を光学走査する前に、排出部130を照射領域に設定した状態で、排出部130に上記反応溶液が到達したことにより排出部130の反応溶液からの光を検出し(送液完了検出ステップ)、当該検出タイミングに基づいて上記走査ステップおよび上記光検出ステップを開始してもよい。
反応溶液の粘性、およびPCRプレート3の流路寸法のばらつきなどにより、反応溶液が排出部130に到達するまでの送液時間はばらつくことが想定される。このため、導入部120に反応溶液を注入後、送液時間のばらつきを考慮した安定時間の経過後、検出部220により光学走査を開始する必要があり、測定時間が長くなってしまう。また、この安定時間の経過中に、流路100内で反応溶液の拡散が生じ、蛍光強度が変化する可能性がある。
これに対して、排出部130の配置により、および、上記送液完了検出ステップを実行することにより、測定時間の短縮および安定化を図ることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態に係る核酸増幅デバイス2は、PCRプレート4におけるPCR増幅の基準位置の指標となる位置指標部を有する。本実施の形態に係る核酸増幅デバイス2は、実施の形態1に係る核酸増幅デバイス1と比較して、上記位置指標部の構成が異なる。以下、本実施の形態に係る核酸増幅検査装置について、実施の形態1に係る核酸増幅検査装置200と同じ構成は説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
[6.核酸増幅デバイスの構成]
図9は、実施の形態2に係る核酸増幅デバイスの平面図である。本実施の形態に係る核酸増幅デバイス2は、標的核酸を増幅させるためのデバイスであって、PCRプレート4と、ヒータ部140とを備える。PCRプレート4は、反応溶液が導入される導入部120と、核酸反応部310と、排出部130とを備える。
核酸反応部310は、流路100を有する。核酸反応部310では、反応溶液が流路100内を毛管力により送液されながら反応溶液に含まれる標的核酸が増幅する。
本実施の形態では、核酸増幅デバイス2を用いてPCR法を実施し、当該PCR法により増幅された標的核酸の増幅特性を検出する場合について説明する。
流路100が蛇行形成された核酸反応部310には、光学反射部35が複数箇所、形成されている。光学反射部35は、光学走査領域に設けられた、PCRプレート4におけるPCR増幅の基準位置の指標となる位置指標部である。光学反射部35の光学特性は、光学走査領域のうち光学反射部35以外の領域の光学特性と異なる。より具体的には、光学反射部35の光反射強度は、光学走査領域のうち光学反射部35以外の反応溶液走査領域40の蛍光強度よりも高い。この光学特性を実現するため、光学反射部35は、例えば、金属からなる反射膜で形成されている。これにより、流路100を加工することなく、主流路100aの間に簡易的な形成方法で光学反射部35を形成でき、高い反射光強度を確保することが可能となる。なお、光学反射部35は、金属反射膜で形成されていなくてもよく、蛍光発光部材などで形成されていてもよい。
また、本実施の形態では、PCRプレート4は、光学走査領域と主流路100aとが、PCRプレート4の平面視において重なる領域である反応溶液走査領域40を3箇所以上含んでいる。
本実施の形態では、図9に示すように、光学反射部35は、主流路100aの通常の蛇行ピッチと異なるピッチを有している。つまり、光学反射部35は、3箇所以上の反応溶液走査領域40のピッチと異なるピッチを有する隣り合う反応溶液走査領域40の間に配置されている。
なお、光学反射部35が形成された領域は、本実施の形態のように、主流路100aの通常の蛇行ピッチと異なるピッチを有していなくてもよい。つまり、光学反射部35が形成された領域に隣接する反応溶液走査領域40のピッチは、主流路100aの通常の蛇行ピッチと同じであってもよい。実施の形態1では、ピッチ変調部30の位置は、光検出強度のピーク間隔に基づいて特定される。これに対して、実施の形態2では、光学反射部35の位置は光検出強度の大きさに基づいて特定されるが、さらに、これを補足すべく光検出強度のピーク間隔が利用される。よって、光学反射部35の光検出強度が、他の反応溶液走査領域40の蛍光強度と比較して十分大きく設定されている場合には、光学反射部35が形成された近傍のピッチを、主流路100aの通常の蛇行ピッチと異ならせる必要はない。
また、隣り合う反応溶液走査領域40の間の流路100の長さは、光学反射部35の配置にかかわらず一定である。
なお、ヒータ部140、温度制御部210および検出部220の構成は、実施の形態1に係るそれらと同じであるため、本実施の形態ではそれらの説明を省略する。
[7.実施例に係る核酸増幅検査]
上記構成を有する核酸増幅検査を用いて、標的核酸の増幅量を検出する手順を説明する。
まず、反応溶液をPCRプレート4の導入部120に流し込む。反応溶液は、流路100内をキャピラリ力で自走しながら、ヒータ部140により変性温度とアニーリング温度との間で加熱冷却を繰り返し、標的核酸を増幅させる。
次に、反応溶液が排出部130に達した後に、流路100を横切るように長手方向に沿って光学検出機構を、核酸反応部310上に走査させる。このとき、核酸反応部310における反応溶液走査領域40の光検出強度(蛍光強度)を流路100のサイクルに対応させて測定する。
図10Aは、実施の形態2に係る核酸増幅検査装置により測定された標的核酸の光検出データを示すグラフである。同図において、横軸は、上記光学検出機構が核酸反応部310上を走査した場合のPCRサイクル数を表す。また、縦軸は、光照射部221から出射されるレーザ励起光を核酸反応部310に照射することにより核酸反応部310から出射された蛍光を受光部222で検出した場合の光検出強度を表す。なお、本実施の形態では、光学反射部35からの反射光は、蛍光ではなく、光照射部221から出射されるレーザ励起光と同波長の反射光を検出している。
図10Aに示すように、光学検出機構の走査により光検出強度の増減が繰り返される。この光検出強度の繰り返しピッチは、実施の形態1の図7Aと同様に、走査レーザ光が主流路100aを横切るピッチを表している。
なお、本実施の形態における光学走査の方向は、実施の形態1における光学走査の方向と逆方向であり、図9における排出部130→光学反射部35(G)→光学反射部35(H)→光学反射部35(J)の方向である。よって、図10Aのグラフにおいて、PCRサイクル数の増加方向に対して、光検出強度が減少する方向となっている。
ここで、光学反射部35に隣接していない主流路100aのピッチは等間隔となっており、図10Aのグラフにおける光検出強度の繰り返しピッチに対応している。一方、光検出強度が反応溶液走査領域40からの蛍光強度よりも大きい箇所は、光学反射部35での光検出強度を示している。つまり、光学反射部35での光反射強度は、光学反射部35以外の反応溶液走査領域40での蛍光強度と異なる。この光学反射部35での蛍光強度の変化を図10Aのグラフから読み取ることにより、核酸反応部310の基準位置を特定することが可能となる。これにより、加熱・冷却系(ヒータ部140)および光学系(検出部220)に対してPCRプレート4の取付け位置がずれている場合、または、PCRプレート4上における核酸反応部310の形成位置がずれている場合であっても、流路100における基準位置を特定できる。よって、PCRサイクル数を正確に測定することが可能となる。つまり、PCRプレート4中に位置指標部が設けられているので、簡素化された位置決め機構によりPCR特性を高精度に取得することが可能となる。
なお、光学反射部35を、標的核酸の増加が進行していない(蛍光強度が低い)反応溶液走査領域40の近傍(図10AのHまたはJ)に設けることで、光検出強度のS/N比(光学反射部35からの反射強度と反応溶液走査領域40からの蛍光強度との強度比)を、より大きく確保できる。
図10Bは、主流路毎の蛍光発光ピークをプロットしたPCRカーブを表すグラフである。図10Bに示すように、PCRサイクルの増加に従って光検出強度が減少することがわかる。このPCRカーブから、標的核酸の評価指標の一つである閾サイクル数を求めることができる。
[8.光学反射部の形成]
次に、光学反射部35の形成位置について説明する。光学反射部35は、PCRプレート4の貼り合わせ面、表面、および裏面のいずれに設けてもよい。
図11A、図11Bおよび図11Cは、それぞれ、実施の形態2に係る光学反射部の第1の形成位置、第2の形成位置および第3の形成位置を表すPCRプレートの断面概略図である。図11A〜11Cには、PCRプレート4の主流路100aと交差する面で切断した断面図が表され、流路100が形成された第1基板が上方に表され、第1基板を覆う蓋部である第2基板が下方に表されている。つまり、PCRプレート4の表面側が下方に、また、裏面側が上方に表されている。
図11Aでは、光学反射部35は、第1基板と第2基板とが貼りあわされる境界部に形成されている。このように、光学反射部35は、PCRプレート4の内部に形成されていることが好ましい。
なお、光学反射部35を、流路100が形成されていない第2基板に形成する場合は、基板の貼り合せの精度のばらつきにより、流路100に対する光学反射部35の位置精度が低くなる。よって、図11Aに示すように、光学反射部35は、PCRプレート4の内部であって流路100が形成される第1基板に形成されることが好ましい。
なお、図11Cに示すように、光学反射部35は、PCRプレート4の表面側(第1基板上)に形成されてもよい。
また、図11Bに示すように、光学反射部35がPCRプレート4の裏面に形成された場合、PCRプレート4の裏面がヒータ部140と密着するため、光学反射部35の反射膜が剥がれる可能性がある。
以上より、光学反射部35は、PCRプレート4の内部、または、表面上に形成されていることが好ましい。
これにより、光学反射部35を、高精度かつ安定に配置することが可能となる。
なお、光学反射部は、上述した光学反射部35のように主流路100aの間に配置されなくてもよく、主流路100a内に形成されてもよい。
図12は、実施の形態2の変形例に係る光学反射部を含む流路の平面図および断面図である。同図には、主流路100aと光学走査領域とが重複する領域が拡大表示されている。図12の上方には、並行する3本の主流路100aが表されているが、中央に位置する主流路100aには光学反射部36が形成されている。具体的には、光学反射部36の流路断面積は、光学反射部36に含まれない反応溶液走査領域40における流路断面積よりも大きい。これにより、光学反射部36において、流路の体積が大きくなる。流路の体積が大きくなると、レーザ励起光が照射される体積が増加し、蛍光発光強度が大きくなる。具体的には、例えば、図12に示すように、主流路100aの深さを、反応溶液走査領域40における主流路100aの深さよりも大きくした箇所を光学反射部36とする。これにより、流路100における基準位置を特定できる。よって、PCRサイクル数を正確に測定することが可能となる。
なお、光学反射部36の流路容積が、光学反射部36に含まれない反応溶液走査領域40における流路容積よりも大きくなるように構成されていてもよい。
[9.核酸増幅検査方法]
反応溶液の粘性、およびPCRプレート4の流路寸法のばらつきなどにより、反応溶液が排出部130に到達するまでの送液時間はばらつくことが想定される。このため、導入部120に反応溶液を注入後、送液時間のばらつきを考慮した安定時間の経過後、検出部220により光学走査を開始する必要があり、測定時間が長くなってしまう。また、この安定時間の経過中に、流路100内で反応溶液の拡散が生じ、蛍光強度が変化する可能性がある。
また、受光部222は送液が完了するまでは排出部130における背景蛍光を検出するが、当該背景蛍光の強度は低いため、検出部220により排出部130の位置検出をすることが困難な場合がある。さらに、排出部130が小面積である場合、PCRプレート4の位置ずれによって、送液完了を検出できない場合も想定される。
また、検出部220により蛍光強度を計測する場合には、光学検出機構の計測安定時間および光学検出機構の振動抑制期間を考慮する必要があるため、光学検出機構の移動を低速にする必要があり、流路全体のPCR測定に時間がかかってしまう。
これに対して、本実施の形態に係る核酸増幅検査方法を実行することにより、PCR測定時間を大幅に短縮することが可能となる。以下、本実施の形態に係る核酸増幅検査方法について説明する。
図13は、実施の形態2に係る核酸増幅検査方法を説明する動作フローチャートである。
まず、標的核酸を含む反応溶液を、当該標的核酸がPCR増幅する核酸反応部310を有するPCRプレート4に供給する(供給ステップ)。
一方、受光部222により、排出部130に隣接する光学反射部35Zの反射光を検出することにより、排出部130の位置を特定する(S10)。これにより、光学検出機構を排出部130に精度よく合わせることが可能となる。また、光学検出機構を排出部130上に待機させ、反応溶液が排出部130に到達して蛍光強度が変化したことを検出したことをきっかけとしてPCR測定を開始することで、測定時間の短縮と測定の安定化を図ることができる。
次に、光学検出機構を排出部130に合わせた状態で、排出部130に反応溶液が到達したことにより排出部130の反応溶液からの光を検出する(S20)。
次に、複数の光学反射部35G、35Hおよび35Jのそれぞれに隣接する反応溶液走査領域40からの蛍光を受光部222で仮測定する(S30)。つまり、排出部130に反応溶液が到着した後、光学反射部35Gへ計測なしで光学検出機構を高速移動させ、光学反射部35Gを検出後、光学反射部35Gに隣接する仮測定点である反応溶液走査領域40で仮測定を行う。次に、光学反射部35Hへ計測なしで光学検出機構を高速移動させ、光学反射部35Hを検出後、光学反射部35Hに隣接する仮測定点である反応溶液走査領域40で仮測定を行う。次に、光学反射部35Jへ計測なしで光学検出機構を高速移動させ、光学反射部35Jを検出後、光学反射部35Jに隣接する仮測定点である反応溶液走査領域40で仮測定を行う。
次に、仮測定された複数の上記反応溶液走査領域40の蛍光強度と蛍光閾強度とを比較する(S40)。具体的には、排出部130および複数の光学反射部(35G、35H、35J)で区切られた光学走査領域の区間うち、蛍光閾強度を跨る区間を特定する。図13の例では、光学反射部35Hと35Gとの間の区間において、蛍光閾強度を跨っている。
次に、仮検出された反応溶液走査領域40の検出データより、蛍光閾強度を跨る区間が存在した場合には(S40のY)、蛍光閾強度を跨る区間を本測定区間と決定し、また、光学走査方向を決定する(S50)。
最後に、ステップS50で決定された本測定区間および光学走査方向に従い、光照射部221と受光部222とをPCRプレート4上で光学走査して、PCR本測定を実行する(S60)。
上記核酸増幅検査方法によれば、排出部130に隣接する光学反射部35Zにより、排出部130での光検出強度が低くても、また、排出部130が小面積であっても、排出部130の位置を、正確に特定することが可能となる。
また、複数の光学反射部35の光検出強度およびこれらに隣接する反応溶液走査領域40の蛍光強度を仮測定し、当該仮測定された蛍光強度と蛍光閾強度とを比較することにより、詳細にPCR測定すべき区間を限定することができる。これにより、光学検出機構によるPCR計測時間を大幅に短縮することが可能となる。
(その他)
以上、本発明に係る核酸増幅検査装置及び核酸増幅検査方法について、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態及び変形例に限定されるものではない。
例えば、実施の形態2で説明した核酸増幅検査方法は、光学反射部35を有する核酸増幅デバイス2に対して適用されるだけでなく、実施の形態1に係るピッチ変調部30を有する核酸増幅デバイス1に対しても適用可能である。具体的には、上記ステップS30において、複数のピッチ変調部30のそれぞれに隣接する反応溶液走査領域40からの蛍光のみを受光部222で仮測定し、当該仮測定された蛍光強度と蛍光閾強度とを比較することにより、詳細にPCR測定すべき区間を限定することができる。これにより、光学検出機構によるPCR計測時間を大幅に短縮することが可能となる。
例えば、上記実施の形態及び変形例では、核酸反応部110における流路100を蛇行流路として標的核酸を含む反応溶液に温度変化を繰り返し与えるフローPCRとしたが、フローPCRとせずに標的核酸を含む反応溶液に温度変化を繰り返し与えるようなPCRとしてもよい。但し、上記実施の形態のようにフローとした方が効率良くPCRを実施することができる。
また、上記実施の形態及び変形例では、流路100を蛇行流路としたが、これに限らない。例えば、平面上に形成された渦巻き状の流路であって、当該流路が高温領域(95℃)と低温領域(60℃)とを交互に通過するように構成してもよい。
また、上記実施の形態及び変形例では、ヒータ部140は2つの温度領域としたが、3つ以上の温度領域としてもよい。この場合、流路は、反応溶液が異なる複数の温度領域を周期的に通過するように構成されていればよい。
また、上記実施の形態及び変形例では、複数の温度領域の各温度の設定は、ヒータブロックで行ったが、ペルチェ素子等の他の温度制御部材を用いて温度設定してもよい。
また、上記実施の形態1および2では、毛管力によって反応溶液を送液したが、これに限るものではない。例えば、流路にシリンジポンプをつないで反応溶液を送液してもよいし、毛管力以外の方法で反応溶液を自送液させてもよい。
その他、各実施の形態及び変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
3、4 PCRプレート
30 ピッチ変調部
35、35G、35H、35J、35Z、36 光学反射部
40 反応溶液走査領域
100、500 流路(マイクロ流路)
110、310 核酸反応部
130 排出部(送液完了検出部)
200 核酸増幅検査装置
220 検出部(光学検出機構)
221 光照射部
222 受光部
223 光学走査部

Claims (17)

  1. 標的核酸を含む反応溶液が供給されることにより当該標的核酸がPCR増幅する核酸反応部を有するPCRプレートと、
    前記PCRプレートに照明光を照射する光照射部、前記照明光が照射された前記PCRプレートの照射領域からの光を検出する受光部、ならびに、前記PCRプレート上で前記光照射部および前記受光部に前記照射領域を光学走査させる光学走査部を有する光学検出機構とを備え、
    前記PCRプレートは、
    前記照射領域のうち光学走査される領域である光学走査領域において、前記PCRプレートにおける前記PCR増幅の基準位置の指標となる位置指標部を有する
    核酸増幅検査装置。
  2. 前記PCRプレートは、前記反応溶液が流れるマイクロ流路を有し、前記光学走査領域と前記マイクロ流路とが、前記PCRプレートの平面視において重なる領域である反応溶液走査領域を3箇所以上含み、
    前記位置指標部は、3箇所以上の前記反応溶液走査領域のピッチと異なるピッチを有する隣り合う反応溶液走査領域の間に配置されたピッチ変調部である
    請求項1に記載の核酸増幅検査装置。
  3. 前記ピッチ変調部が配置された前記隣り合う反応溶液走査領域の前記ピッチの長さは、前記ピッチ変調部以外のピッチの長さの2倍以上であり、且つ、整数倍でない
    請求項2に記載の核酸増幅検査装置。
  4. 前記位置指標部の光学特性は、前記光学走査領域のうち前記位置指標部以外の領域の光学特性と異なる
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の核酸増幅検査装置。
  5. 前記位置指標部は、前記反応溶液が流れない部分に形成されている
    請求項4に記載の核酸増幅検査装置。
  6. 前記位置指標部は、前記PCRプレートの内部、または、表面上に形成されている
    請求項4または5に記載の核酸増幅検査装置。
  7. 前記位置指標部は、反射膜により形成されている
    請求項4〜6のいずれか1項に記載の核酸増幅検査装置。
  8. 前記PCRプレートは、前記反応溶液が流れるマイクロ流路を有し、前記光学走査領域と前記マイクロ流路とが、前記PCRプレートの平面視において重なる領域である反応溶液走査領域を3箇所以上含み、
    前記位置指標部は、前記3箇所以上の反応溶液走査領域のいずれかを含み、前記位置指標部に含まれる前記反応溶液走査領域における流路断面積は、前記位置指標部に含まれない前記反応溶液走査領域における流路断面積よりも大きい
    請求項1に記載の核酸増幅検査装置。
  9. 前記PCRプレートは、前記反応溶液が流れるマイクロ流路を有し、
    前記マイクロ流路は、複数の折返し点を有する蛇行流路である
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の核酸増幅検査装置。
  10. 前記PCRプレートは、前記光学走査領域と前記マイクロ流路とが、前記PCRプレートの平面視において重なる領域である反応溶液走査領域を3箇所以上含み、
    隣り合う前記反応溶液走査領域の間の前記マイクロ流路の長さは、前記位置指標部の配置にかかわらず一定である
    請求項9に記載の核酸増幅検査装置。
  11. 前記PCRプレートは、複数の前記位置指標部を有する
    請求項1〜10のいずれか1項に記載の核酸増幅検査装置。
  12. 前記PCRプレートには、前記標的核酸を検出するための色素物質を含む前記反応溶液が供給される
    請求項1〜11のいずれか1項に記載の核酸増幅検査装置。
  13. 前記色素物質は、蛍光色素である
    請求項12に記載の核酸増幅検査装置。
  14. 前記PCRプレートは、
    前記光学走査領域に、前記反応溶液が前記核酸反応部を経由して流れ込むことで前記反応溶液の送液が完了したことを検出する送液完了検出部を有する
    請求項1〜13のいずれか1項に記載の核酸増幅検査装置。
  15. 標的核酸を含む反応溶液を、当該標的核酸がPCR増幅する核酸反応部を有するPCRプレートに供給する供給ステップと、
    前記PCRプレートに光を照射する光照射部と、前記光が照射された前記PCRプレートの照射領域からの光を受光する受光部とを、前記PCRプレート上で光学走査する走査ステップと、
    前記PCRプレートに前記光を前記光照射部から照射し、前記照射領域からの光を前記受光部で検出する光検出ステップと、
    前記供給ステップの後、前記照射領域のうち光学走査される領域である光学走査領域に配置された、前記PCRプレートにおける前記PCR増幅の基準位置の指標となる位置指標部を前記受光部で検出する位置検出ステップと、を含む
    核酸増幅検査方法。
  16. 前記PCRプレートは、前記光学走査領域に、前記反応溶液が前記核酸反応部を経由して流れ込むことで前記反応溶液の送液が完了したことを検出する送液完了検出部を有し、
    さらに、
    前記走査ステップの前に、前記送液完了検出部を前記照射領域に設定した状態で、前記送液完了検出部に前記反応溶液が到達したことにより前記送液完了検出部の前記反応溶液からの光を検出する送液完了検出ステップを含み、
    前記送液完了検出ステップの終了タイミングに基づいて、前記走査ステップおよび前記光検出ステップを開始する
    請求項15に記載の核酸増幅検査方法。
  17. 前記PCRプレートは、
    前記反応溶液が流れるマイクロ流路と、
    複数の前記位置指標部とを有し、
    前記光学走査領域と前記マイクロ流路とが、前記PCRプレートの平面視において重なる領域である反応溶液走査領域を3箇所以上含み、
    前記走査ステップおよび前記光検出ステップでは、前記複数の位置指標部のそれぞれに隣接する前記反応溶液走査領域からの光のみを前記受光部で仮検出し、
    前記仮検出された前記反応溶液走査領域の検出データに基づいて、前記送液完了検出部および複数の前記位置指標部で区切られた前記光学走査領域の区間うち、特定の前記区間において前記光照射部と前記受光部とを前記PCRプレート上で光学走査する
    請求項15または16に記載の核酸増幅検査方法。
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