以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、以下の説明において、湯水とはあらゆる温度の温水及び冷水を含む概念である。さらに、以下の説明において、温水は冷水よりも温度が高ければよいものであり(冷水は温水よりも温度が低ければよいものであり)、温水及び冷水はその温度範囲が限定されるものではない。
図1は、第1実施形態に係る太陽熱利用給湯システム1を示す構成図である。図1に示すように、第1実施形態に係る太陽熱利用給湯システム1は、給湯設備10の上流側に複数(2台)の太陽熱集熱ユニット20を接続したものであり、例えば特別養護老人ホームや、介護老人保健施設などの介護施設に設置されるものである。このような太陽熱利用給湯システム1は、給湯設備10及び複数台の太陽熱集熱ユニット20に加えて、集合配管31等を備えている。
給湯設備10は、熱源機11と、貯湯タンク(第1貯湯槽)12と、配管13a〜13dと、第1及び第2ポンプ14a,14bとによって構成されている。熱源機11は例えばボイラである。貯湯タンク12は、熱源機11によって加熱された湯水を貯湯するものである。
ボイラ行き配管13aは、貯湯タンク12から熱源機11に湯水を供給するための配管であり、ボイラ戻り配管13bは、熱源機11によって加熱された湯水を貯湯タンク12に戻すための配管である。第1ポンプ14aは、ボイラ戻り配管13b上に設けられている。このような構成であるため、第1ポンプ14aが動作すると、ボイラ行き配管13a、熱源機11、ボイラ戻り配管13b及び貯湯タンク12の順に湯水が循環することとなり、この循環の過程において熱源機11により湯水が加熱される。
給湯行き配管13cは、貯湯タンク12から需要者側(例えば浴槽に温水を供給する複数個の蛇口等)に湯水を供給するための配管であり、給湯戻り配管13dは、需要者側から戻ってくる湯水を受け入れるための配管である。第2ポンプ14bは、給湯行き配管13c上に設けられている。このような構成であるため、第2ポンプ14bが動作すると、給湯行き配管13c、需要者側、給湯戻り配管13d及び貯湯タンク12の順に湯水が循環することとなる。
なお、給湯行き配管13cと給湯戻り配管13dとを接続する需要者側の配管には、複数の蛇口等が連続して設けられており、どの蛇口等を操作しても貯湯タンク12からの湯水が出湯されるようになっている。
複数の太陽熱集熱ユニット20は、それぞれ集熱ユニット21と、集熱ユニット21によって加熱された湯水を貯湯する貯湯槽(第2貯湯槽)22とを備えている。集熱ユニット21は、太陽熱を利用して冷水を加熱するものであり、集熱パネル21aと、熱交換器21bと、循環配管21cと、第3ポンプ21dとから構成されている。集熱パネル21aは、太陽熱を利用して熱媒を加熱するものであって、例えば屋根の上などの太陽光を受光し易い位置に設置されるものである。熱交換器21bは、貯湯槽22の内側下部に設けられ、集熱パネル21aによって加熱された熱媒を導入し、貯湯槽22の下部の湯水と熱交換することにより湯水を加熱するものである。
循環配管21cは、集熱パネル21aと熱交換器21bとの間で熱媒を循環させる配管である。第3ポンプ21dは、循環配管21c上に設けられ、集熱パネル21aと熱交換器21bとの間で熱媒を循環させる動力を発生させるものである。
このような構成であるため、第3ポンプ21dが動作すると、熱媒は、循環配管21cを通じて集熱パネル21aと熱交換器21bとの間で循環することとなる。すなわち、熱媒は、集熱パネル21aにて加熱され、熱交換器21bによって湯水と熱交換されることとなり、貯湯槽22内の湯水は加熱されることとなる。
さらに、それぞれの太陽熱集熱ユニット20は、水道配管50に接続される冷水導入配管23と、貯湯槽22内の湯水を出湯するための個別出湯配管24とを備えている。冷水導入配管23は、一端が水道配管50に接続され、他端が貯湯槽22の下部に接続されており、水道配管50からの冷水を導入する配管である。個別出湯配管24は、一端が貯湯槽22の上部に接続され、他端側が以下に示す集合配管31に接続されており、貯湯槽22の湯水を集合配管31に向けて出湯するものである。
集合配管31は、それぞれの太陽熱集熱ユニット20の個別出湯配管24から出湯される湯水を集合させるものであり、複数(2つ)の分岐部31aと、1つの集合部31bとから構成されている。複数の分岐部31aは、複数の個別出湯配管24に接続されている。集合部31bは、複数の分岐部31aにて導入した湯水を集合させるものであって、給湯設備10の貯湯タンク12に接続されている。よって、複数の太陽熱集熱ユニット20にて得られた湯水は、複数の個別出湯配管24から出湯された後、集合配管31によって集合されて貯湯タンク12に供給されることとなる。
さらに、太陽熱利用給湯システム1は、冷水管32と、切替弁40とを備えている。冷水管32は、一端が水道配管50に接続され、他端が切替弁40に接続される配管であり、水道配管50からの冷水を切替弁40まで導くものである。切替弁40は、集合配管31の集合部31b上に設けられる三方弁である。この切替弁40は、複数の太陽熱集熱ユニット20の貯湯槽22に貯湯される湯水と水道配管50からの冷水とのいずれか一方を貯湯タンク12に導くように切替可能となっている。
このため、切替弁40を切り替えることにより、水道配管50からの冷水を直接貯湯タンク12に導くことも可能となっている。
次に、本実施形態に係る太陽熱利用給湯システム1の動作を説明する。図1に示した太陽熱利用給湯システム1では、上記の如く切替弁40を備えるため、大量の温水が使用される前の時間帯と、大量の温水が使用される時間帯とで切替弁40を切り替えることで、湯切れの可能性を低減することができる。
図2及び図3は、第1実施形態に係る太陽熱利用給湯システム1の動作を示す図であって、図2は大量の温水が使用される前の時間帯における湯水の流れを示し、図3は大量の温水が使用される時間帯における湯水の流れを示している。なお、図2及び図3において太線で示す配管部分には湯水が流れていることを示し、細線で示す配管部分には湯水が流れていないことを示している。
まず、図2に示すように、大量の温水が使用される前の時間帯(例えば前日の日中)においては、切替弁40が操作されて水道配管50から冷水が貯湯タンク12に供給される状態となっている。このため、太陽熱集熱ユニット20の個別出湯配管24から湯水が出湯されることがなく、水道配管50の冷水が太陽熱集熱ユニット20の貯湯槽22に供給されることがない。
一方、この状態においても集熱パネル21aにおいて集熱が行われており、貯湯槽22内の湯水は加熱されている。よって、貯湯槽22内には、比較的多くの量の高温の温水が確保されることとなる。
なお、この場合において、需要側にて温水を使用することがあっても、その量は熱源機11の加熱で賄える程度の量(貯湯タンク12内の湯量で充分賄える量)であり、湯切れは発生しないこととなる。
その後、図3に示すように、大量に温水が使用される時間帯(例えば午前9時から10時であって入浴介護が行われる時間帯)においては、切替弁40が操作されて太陽熱集熱ユニット20の貯湯槽22に貯湯されている比較的多くの量且つ高温の温水が貯湯タンク12に供給される。これにより、大量に温水が使用される時間帯において、比較的多くの量且つ高温の温水を貯湯タンク12に供給して湯切れの可能性を低減するようにしている。
なお、上記の切替弁40は、手動により切り替えられてもよいし、タイマー等を利用して自動で切り替えられてもよい。
このようにして、第1実施形態に係る太陽熱利用給湯システム1によれば、太陽熱集熱ユニット20の貯湯槽22に貯湯される湯水と水道配管50からの冷水とのいずれか一方を給湯設備10の貯湯タンク12に供給させる切替弁40を備えるため、例えば、冷水を給湯設備10の貯湯タンク12に供給する状態とすれば、太陽熱集熱ユニット20においては湯水を貯湯タンク12に供給することなく加熱し続けることができ、貯湯槽22において比較的多くの量の高温の湯水を確保することができる。その後、例えば、大量に温水を使用する時間帯に太陽熱集熱ユニット20に貯湯される湯水を給湯設備10の貯湯タンク12に供給すれば、熱源機11による加熱が間に合わず湯切れを起こしてしまう可能性を低減することができる。
また、切替弁40は集合配管31の集合部31b上に設けられているため、たとえ太陽熱集熱ユニット20を複数備える場合であっても、集合部31b上に設けられる1つの切替弁40を動作させれば、太陽熱集熱ユニット20に貯湯される湯水と水道配管50からの冷水とのいずれか一方を給湯設備10の貯湯タンク12に供給させることができる。
さらに、貯湯槽22において数日分の高温の湯水を確保することができる場合には、集熱があまりできない曇りや雨の日に備えて、図2に示す運転を行うことで、このような日にも湯切れの可能性を低減することができる。さらに、太陽熱を利用して熱源機11の運転を補助できるため、熱源機11の容量を小さくすることもできる。また、湯切れの可能性を低減できることから、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの給湯量が多い物件でデイサービスなどのお客様を増やすことができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る太陽熱利用給湯システムは第1実施形態のものと同様であるが、構成が一部異なっている。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
図4は、第2実施形態に係る太陽熱利用給湯システム2を示す構成図である。図4に示すように、第2実施形態に係る太陽熱利用給湯システム2は、冷水管32と切替弁40とが、複数の太陽熱集熱ユニット20内にそれぞれ内蔵された状態となっている。
すなわち、冷水管32は、一端が太陽熱集熱ユニット20の冷水導入配管23に接続され、他端が切替弁40に接続されている。また、切替弁40は太陽熱集熱ユニット20の個別出湯配管24上に設けられている。
図5及び図6は、第2実施形態に係る太陽熱利用給湯システム2の動作を示す図であって、図5は大量の温水が使用される前の時間帯における湯水の流れを示し、図6は大量の温水が使用される時間帯における湯水の流れを示している。なお、図5及び図6において太線で示す配管部分には湯水が流れていることを示し、細線で示す配管部分には湯水が流れていないことを示している。
まず、図5に示すように、大量の温水が使用される前の時間帯(例えば前日の日中)においては、切替弁40が操作されて冷水導入配管23、冷水管32、及び個別出湯配管24というルートが確保される。この結果、水道配管50から冷水が貯湯タンク12に供給されることとなる。このとき、太陽熱集熱ユニット20の貯湯槽22から湯水が出湯されず、冷水導入配管23の冷水が太陽熱集熱ユニット20の貯湯槽22に供給されることがない。ゆえに、集熱パネル21aの集熱によって、貯湯槽22内には、比較的多くの量の高温の温水が確保されることとなる。なお、この場合において、需要側にて温水を使用することがあっても、その量は熱源機11の加熱で賄える程度の量(貯湯タンク12内の湯量で充分賄える量)であり、湯切れは発生しないこととなる。
その後、図6に示すように、大量に使用される時間帯(例えば午前9時から10時であって入浴介護が行われる時間帯)においては、切替弁40が操作されて太陽熱集熱ユニット20の貯湯槽22に貯湯されている比較的多くの量且つ高温の温水が貯湯タンク12に供給される。これにより、大量に温水が使用される時間帯において、比較的多くの量且つ高温の温水を貯湯タンク12に供給して湯切れの可能性を低減することとなる。
なお、上記の複数の切替弁40は、手動により切り替えられてもよいし、タイマー等を利用して自動で切り替えられてもよい。特に、第2実施形態では太陽熱集熱ユニット20に切替弁40が内蔵されているため、太陽熱集熱ユニット20の制御装置(図示せず)により切替弁40を制御することができる。
このようにして、第2実施形態に係る太陽熱利用給湯システム2によれば、第1実施形態と同様に、湯切れを起こしてしまう可能性を低減することができる。
さらに、第2実施形態によれば、切替弁40は、各個別出湯配管24上にそれぞれ設けられているため、それぞれの切替弁40には比較的小さいものを使用することができ、比較的小さな力で各弁40を切り替えることができる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る太陽熱利用給湯システムは第2実施形態のものと同様であるが、構成が一部異なっている。以下、第2実施形態との相違点について説明する。
図7は、第3実施形態に係る太陽熱利用給湯システム3を示す構成図である。図7に示すように、給湯設備10は、給湯温度センサ15を備えている。さらに、太陽熱集熱ユニット20は、各種センサ25a〜25dと、制御基板26とを備えると共に、切替弁40に代えて、混合弁41を備えている。
混合弁41は、第2実施形態に係る切替弁40と同じ位置に設けられている。すなわち、各太陽熱集熱ユニット20の個別出湯配管24上に設けられている。この混合弁41は、貯湯槽22からの湯水と冷水管32からの冷水とを混合する機能を有しており、給湯設備10の貯湯タンク12に混合水を供給するためのものである。なお、混合弁41は、混合割合について一方を100%とし他方を0%とすることにより、第2実施形態にて示した切替弁40と同様に、貯湯槽22からの湯水と冷水管32からの冷水とのいずれか一方を貯湯タンク12に供給することもできる。
給湯温度センサ15は、給湯行き配管13c上のうち、貯湯タンク12から第2ポンプ14bまでの間に設けられており、貯湯タンク12から出湯される温水温度に応じた信号を制御基板26に出力するものである。
給水温度センサ25aは、冷水導入配管23上に設置され、水道配管50からの冷水の温度に応じた信号を制御基板26に出力するものである。出口温度センサ25bは、個別出湯配管24のうち、貯湯槽22から混合弁41までの間に設けられており、貯湯槽22から出湯される湯水温度に応じた信号を制御基板26に出力するものである。
混合温度センサ25cは、個別出湯配管24のうち、混合弁41の下流側に設けられており、混合弁41による混合によって得られる混合水の温度に応じた信号を制御基板26に出力するものである。流量センサ25dは、個別出湯配管24のうち、混合弁41の下流側に設けられており、混合弁41から流れてくる混合水の流量に応じた信号を制御基板26に送信するものである。
制御基板26は、太陽熱集熱ユニット20間で接続されており、そのうちの1つが親制御基板26aとなり、他が子制御基板26bとなる。上記の給湯温度センサ15は、親制御基板26aのみと接続されており、温度信号を親制御基板26aに送信するようになっている。他のセンサ25a〜25dは、それぞれが設けられる太陽熱集熱ユニット20の制御基板26に対して信号を送信する。
制御基板26は、以下の機能を有する。まず、第1に制御基板26は、給水温度センサ25aの信号から検出される温度に基づいて湯切れの可能性を判断する。ここで、湯切れは、水道配管50からの冷水の温度がより一層低くなる冬季に発生し易く、他の季節においては発生し難い。よって、給水温度センサ25aにより検出される温度に基づいて、湯切れの可能性を判断する。そして、検出温度が所定温度以上であれば、湯切れの可能性がないと判断し、後述する図8や図10に示す運転を行わず、図9に示す運転のみを行う。一方、検出温度が所定温度未満であれば、湯切れの可能性があると判断し、図9に示す運転のみならず、後述する図8や図10に示す運転を行う。
第2に制御基板26(親制御基板26a)は、給湯温度センサ15の信号から検出される温度に基づいて湯切れが発生したかを判断する。ここで、湯切れ発生時には、給湯温度が低下してしまう。よって、親制御基板26aは、給湯温度センサ15の信号から検出される温度が特定温度以下となれば、湯切れが発生したと判断する。湯切れが発生したと判断した場合、親制御基板26aは、今後湯切れが発生しないように、例えば図8に示す運転をより長時間行うように制御内容を変更し、より多くの量且つより高温の温水を貯湯槽22内に蓄えるようにする。
第3に制御基板26は、各センサ25a〜25dからの信号のうち、必要となる信号に基づいて、混合弁41の開度を調整したり、補助金申請等に用いる削減熱量や削減燃料等のデータを算出したりする。
次に、第3実施形態に係る太陽熱利用給湯システム1の動作を説明する。図8〜図10は、第3実施形態に係る太陽熱利用給湯システム3の動作を示す図であって、図8は大量の温水が使用される前の時間帯における湯水の流れを示している。また、図9及び図10は大量の温水が使用される時間帯における湯水の流れの第1及び第2の例を示している。なお、図8〜図10において太線で示す配管部分には湯水が流れていることを示し、細線で示す配管部分には湯水が流れていないことを示している。
まず、図8に示すように、大量の温水が使用される前の時間帯(例えば前日の日中)においては、混合弁41が操作されて水道配管50から冷水のみが貯湯タンク12に供給される状態となっている。このため、太陽熱集熱ユニット20の個別出湯配管24から湯水が出湯されることがなく、水道配管50の冷水が太陽熱集熱ユニット20の貯湯槽22に供給されることがない。
一方、この状態においても集熱パネル21aにおいて集熱が行われており、貯湯槽22内の湯水は加熱されている。よって、貯湯槽22内には、比較的多くの量の高温の温水が確保されることとなる。なお、この場合において、需要側にて温水を使用することがあっても、その量は熱源機11の加熱で賄える程度の量(貯湯タンク12内の湯量で充分賄える量)であり、湯切れは発生しないこととなる。
その後、大量に温水が使用される時間帯(例えば午前9時から10時であって入浴介護が行われる時間帯)においては、混合弁41が操作されて図9及び図10に示す運転のいずれか一方又は双方が行われる。
図9に示す運転は、図3及び図6を参照して説明した運転と同様であって、太陽熱集熱ユニット20の貯湯槽22に貯湯されている比較的多くの量且つ高温の温水を貯湯タンク12に供給する運転である。これにより、大量に温水が使用される時間帯において、大量且つ高温の温水を貯湯タンク12に供給して湯切れの可能性を低減するようにしている。
さらに、図10に示す運転は、太陽熱集熱ユニット20の貯湯槽22に貯湯されている温水を必要量だけ貯湯タンク12に供給する運転である。この際、混合弁41の開度が調整されて貯湯槽22内の温水と水道配管50からの冷水が混合されて貯湯タンク12に供給される。このようにすることで、必要な分だけ太陽熱集熱ユニット20から給湯設備10に湯水を供給することが可能となり、太陽熱集熱ユニット20の貯湯槽22から過剰に熱量を奪うことなく、一層湯切れの可能性を低減するようにしている。
なお、上記の混合弁41の開度は、熱源機11の加熱能力を加味して、混合水が予め定められた温度(例えば重要者側が望む給湯温度)となるように調整するなど、種々の制御方法が可能である。
このようにして、第3実施形態に係る太陽熱利用給湯システム3によれば、第2実施形態と同様に、湯切れを起こしてしまう可能性を低減することができ、比較的小さな力で各弁40を切り替えることができる。
更に、第3実施形態によれば、湯水と冷水とを混合して給湯設備10の貯湯タンク12に供給させる機能を有した混合弁41を備えるため、熱源機11による加熱が間に合わない状況において、必要となる温度と水量とからなる混合水を給湯設備10の貯湯タンク12に供給でき、必要な分だけ太陽熱集熱ユニット20から湯水を供給することが可能となり、貯湯槽22から過剰に熱量を奪うことなく、一層湯切れの可能性を低減することができる。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態に係る太陽熱利用給湯システム3は第3実施形態のものと同様であるが、構成が一部異なっている。以下、第3実施形態との相違点について説明する。
図11は、第4実施形態に係る太陽熱利用給湯システム3において、制御部260の構成例を示す図である。図11に示すように、制御部260は、親制御基板26aと、子制御基板26bとを備え、給湯温度センサ15及び各種センサ25a〜25dの検出結果に基づいて、混合弁41を制御する。制御部260は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)により実現されるものであり、親制御基板26a及び子制御基板26bのそれぞれがユニットとして構成され、バックプレーンを介して接続される。
なお、図11に示すように、子制御基板26bは、複数構成させることが可能である。また、親制御基板26aと、それぞれの子制御基板26bとの各種データは、いわゆるバケツリレー方式で順番に転送されることが可能なものである。
具体的には、制御部260は、給水温度センサ25aにより検出される水道配管50からの冷水の給水温度と、給湯温度センサ15により検出される貯湯タンク12の湯水の給湯温度と、に基づき、混合弁41の開度を制御する。
水道配管50からの冷水の給水温度は、給水温度センサ25aにより検出可能である。貯湯タンク12の湯水の給湯温度は、給湯温度センサ15により検出可能である。
混合弁41の開度は、例えば、0〜180度の範囲で制御可能であり、180度の開度のときが全開となり、0度の開度のときが全閉となる。よって、混合弁41は、開度が制御されることにより、貯湯タンク12に水道配管50からの冷水だけを供給する機能、貯湯タンク12に貯湯槽22に貯湯されている湯水を供給する機能、又は貯湯タンク12に水道配管50からの冷水と貯湯槽22に貯湯されている湯水とを混合した混合水を供給する機能とを切り替えることが可能となり、さらに、混合水における冷水と湯水との混合割合を制御する機能を有することとなる。
次に、太陽熱利用給湯システム3の運用時に使用される各種設定値について図12を用いて説明する。図12は、第4実施形態に係る太陽熱利用給湯システム3において、各設定値の一例を示す図である。給水温度は、熱源機11等の設備に依存せず、安定した値であって、設定が容易なものである。給水設定値Aは、前期間の湯切れの可能性を判断する際に使用される閾値である。すなわち、今回期間に湯切れ解消が必要か否かを判断する際に使用される閾値である。湯切れは、第3実施形態で説明したように、水道配管50からの冷水の温度がより一層低くなる冬季に発生し易いため、給水設定値Aは、冬季とみなせる温度が設定されればよい。
前期間給湯設定値Bは、前期間に湯切れが発生したかを判断する際に使用される閾値である。すなわち、前期間給湯設定値Bは、今回期間に実際に湯切れ解消が必要か否かを判断する際に使用される閾値である。前期間給湯設定値Bは、ボイラ設定温度、すなわち、熱源機11の設定温度と、湯切れ発生温度との間に設定されるものである。熱源機11の設定温度は、熱源機11、貯湯タンク12、ボイラ行き配管13a、ボイラ戻り配管13b及び第1ポンプ14aを考慮して予め設定されるものである。湯切れ発生温度は、近い将来、例えば今回期間のうちに、貯湯タンク12からの湯水が所定の温度を維持できなくなると予想される温度として予め設定されるものである。
今回期間給湯設定値Cは、今回期間に湯切れしているか否かを判断する際に使用される閾値である。今回期間給湯設定値Cは、熱源機11の設定温度と、貯湯タンク12からの湯水が切れる湯切れ発生温度との間のうち、前期間給湯設定値Bより小さい値が設定されるものである。つまり、今回期間給湯設定値Cは、今回期間に湯切れしそうな場合、緊急的に給水温度を上げるか否かを判断する際に使用される温度として予め設定されるものである。
なお、上記各種設定値は、運用中、適宜変更が可能である。
次に、制御部260が上記で説明した設定値を用いて混合弁41を制御する一例について図13を用いて具体的に説明する。図13は、第4実施形態に係る太陽熱利用給湯システム3の制御例を説明するフローチャートである。
図13の処理を要約すれば、図13の処理は、制御部260が、水道配管50からの冷水の給水温度の前期間平均値が給水設定値A以下であるか否か、貯湯タンク12に貯湯される湯水の給湯温度の前期間最低値が前期間給湯設定値B以下であるか否か、又は今回期間に給湯温度が今回期間給湯設定値C以下であるか否か、に基づき、混合弁41の開度を制御するものである。なお、以降の説明において、前期間が例えば前日であって、今回期間が例えば当日であり、休業設定期間が例えば日曜日である場合について説明する。つまり、1日単位による運用例について説明する。
ステップS11において、異常又は故障があるか否かが判定される。異常又は故障があると判定された場合、ステップS27,S28の処理が実行され、処理は終了する。具体的には、混合弁41が全開にされ、エラー信号が制御部260に発信される。
一方、異常又は故障がないと判定された場合、ステップS12に進む。ここで、異常又は故障があるか否かの判定処理は、制御部260がイニシャライズ処理を実行する際に行われるものである。
具体的には、制御部260は、混合弁41からゼロ点補正の信号が到来するか否かを判定する。また、制御部260は、各種センサ25a〜25d及び給湯温度センサ15の検出結果が許容可能範囲内であるか否かを判定する。この際、制御部260は、給水温度センサ25a、出口温度センサ25b、混合温度センサ25c、及び給湯温度センサ15が、例えば−20〜120℃の範囲内の値を検出しているか否かを判定する。また、制御部260は、流量センサ25dが、例えば0〜50l/minの範囲内の値を検出しているか否かを判定する。また、制御部260は、例えば1週間以上、流量センサ25dが予め設定された流量値以上であるか否かを判定する。
ステップS12において、湯切れ解消運転が開始されたか否かが判定される。湯切れ解消運転が開始された場合、ステップS13に進む。一方、湯切れ解消運転が開始されない場合、ステップS24に進む。なお、ここでの湯切れ解消運転は、手動により開始される強制運転であってもよい。手動により強制的に湯切れ解消運転が操作された場合、湯切れ解消運転が開始される。具体的には、手動により強制的に湯切れ解消運転が操作された場合、制御部260にその旨の指令が到来し、湯切れ解消運転が開始される。よって、制御部260は、湯切れ解消運転が開始されたか否かを判定することにより、手動により強制的に湯切れ解消運転が操作されたか否かを判定することができる。
ステップS13において、0:00であるか否かが判定される。0:00である場合、ステップS14に進む。一方、0:00でない場合、ステップS15に進む。
ステップS14において、データ収集が開始され、ステップS15に進む。つまり、1日単位での運用が想定され、運用の際のログ情報等が収集される。ログ情報としては、給湯温度センサ15、給水温度センサ25a、出口温度センサ25b、混合温度センサ25c、及び流量センサ25d等の各種センサの検出結果が蓄積される。
ステップS15において、給水温度の前期間平均値が給水設定値A以下であるか否かが判定される。つまり、まず第1に、湯切れ解消が必要か否かが判定される。
給水温度の前期間平均値が給水設定値A以下である場合、ステップS16に進む。一方
、給水温度の前期間平均値が給水設定値Aより大きい場合、ステップS21に進む。つまり、給水温度の前期間平均値が給水設定値A以下であれば、湯切れの可能性がある、例えば冬期であると判断される。この場合、湯切れ解消運転が必要であるため、湯切れ解消運転に関する処理が実行される。
ステップS16において、給湯温度の前期間最低値が前期間給湯設定値B以下であるか否かが判定される。給湯温度は、上記で説明したように、貯湯タンク12の湯水の温度であって、給湯温度センサ15により検出されるものである。つまり、貯湯タンク12の湯水が前期間給湯設定値B以下であるか否かが判定されることにより、前期間に湯切れしていたか否かが判定される。
給湯温度の前期間最低値が前期間給湯設定値B以下である場合、ステップS18に進む。一方、給湯温度の前期間最低値が前期間給湯設定値Bより大きい場合、ステップS17に進む。
ステップS17において、前期間が休業設定期間であるか否かが判定される。つまり、ステップS16において、給湯温度の前期間最低値が前期間給湯設定値B以下であれば、前期間に湯切れしていたと判定され、ステップS18以降の処理が実施されるが、給湯温度の前期間最低値が前期間給湯設定値Bより大きければ、前期間に湯切れしていないと判定される。よって、ステップS17では、前期間に湯切れしていない理由が、休業設定期間に起因するか否かが判定される。もし、前期間が休業設定期間であれば、湯切れ解消運転が必要になると判定される。
ステップS17において、前期間が休業設定期間である場合、ステップS18に進む。一方、前期間が休業設定期間でない場合、ステップS21に進む。
ステップS18において、今回期間に給湯温度(特に現在の給湯温度)が今回期間給湯設定値C以下であるか否かが判定される。ここでは、今回期間に、すなわち、現在湯切れする可能性があるか否かが判定される。現在湯切れする可能性があると判定されれば、後述するように、混合水を貯湯タンク12に供給する。また、現在湯切れする可能性がないと判定されれば、後述するように、集熱ユニット21による蓄熱を継続する。
ステップS18において、今回期間に給湯温度が今回期間給湯設定値C以下であると判定された場合、ステップS23に進む。一方、今回期間に給湯温度が今回期間給湯設定値Cより大きいと判定された場合、ステップS19に進む。
つまり、現在の給湯温度が今回期間給湯設定値Cより大きければ、現在湯切れする可能性がないため、集熱ユニット21による蓄熱を継続させ、水道配管50からの冷水を貯湯タンク12に供給し、ステップS20に進む。このときの湯水の流れは上記で説明した図8と同様である。
一方、現在の給湯温度が今回期間給湯設定値C以下であれば、現在湯切れする可能性があるため、ステップS23において混合水を貯湯タンク12に供給し、ステップS20に進む。このときの湯水の流れは上記で説明した図10と同様である。
次に、ステップS15において、給水温度の前期間平均値が給水設定値Aより大きい場合、すなわち、湯切れ解消運転が必要でない場合について説明する。
ステップS21において、今回期間に給湯温度(特に現在の給湯温度)が今回期間給湯設定値C以下であるか否かが判定される。ここでは、今回期間に、すなわち、現在湯切れする可能性があるか否かが判定される。現在湯切れする可能性があると判定されれば、後述するように、給水設定値Aを上げる。また、現在湯切れする可能性がないと判定されれば、後述するように、給水負荷に応じ、温水を貯湯タンク12に供給する。
ステップS21において、今回期間に給湯温度が今回期間給湯設定値C以下であると判定された場合、ステップS22に進む。一方、今回期間に給湯温度が今回期間給湯設定値Cより大きいと判定された場合、ステップS24に進む。
つまり、現在の給湯温度が今回期間給湯設定値Cより大きければ、現在湯切れする可能性がない。そこで、給水負荷に応じて温水を貯湯タンク12に供給するため、ステップS24に進む。このときの湯水の流れは上記で説明した図9と同様である。
ここで、ステップS22における給水設定値Aを上げる処理について説明する。給水設定値Aを上げる場合、給水設定値Aを例えばプラス1℃上げる。これにより、湯切れ解消運転の開始条件が成立していないにもかかわらず、給湯温度が低下した場合、その時点の給水設定値Aを上げることができる。
より具体的には、湯切れ解消運転の開始条件である第1条件(ステップS15;YES)が成立していないにもかかわらず、給湯温度が低下する要因は、湯切れ解消運転の開始条件である第1条件の判定閾値として使用される給水設定値Aが使用環境に適したものではないことが想定される。よって、予め設定されている給水設定値Aは誤り値である可能性がある。そこで、このような場合には、ステップS15の処理の判定閾値である給水設定値Aを上げ、給水設定値Aを訂正する。これにより、第1条件(ステップS15;YES)と判定される可能性が上がるため、湯切れ解消運転の開始条件を緩和することができる。
次に、ステップS15でYESとなり、ステップS21でYESとなり、ステップS22を経て、ステップS23で混合水を供給する処理を行う理由について説明する。ステップS15YES、ステップS21YES、ステップS22、及びステップS23と処理が進んだ場合、現在湯切れする可能性があるにもかかわらず、混合水が貯湯タンク12に供給される。よって、瞬間的にはさらに湯切れに向かう恐れがある。
しかし、現在湯切れする可能性がある状況下において、混合水を供給すれば、貯湯槽22に貯湯されている湯水をそのまま貯湯タンク12に供給することはなく、貯湯槽22に貯湯されている湯水に水道配管50からの冷水を混合した混合水が貯湯タンク12に供給される。よって、太陽熱集熱ユニット20は、集熱ユニット21を利用して貯湯槽22に湯水を貯湯しつつ、給湯設備10に混合水を供給することができる。したがって、例えば、翌日又は翌々日以降には貯湯槽22に大量且つ高温の湯水を貯湯することに寄与できる。この結果、翌日又は翌々日以降には貯湯槽22の大量且つ高温の湯水を貯湯タンク12に供給することができる。
また、水道配管50からの冷水が冷たくないにもかかわらず湯切れが生じる場合とは、そもそも貯湯槽22に貯湯されている湯水が不足している場合とも言える。この場合、貯湯槽22から供給できる湯水の量は限定されるため、混合水を貯湯タンク12に供給しても、貯湯槽22の湯水を貯湯タンク12に供給する場合と比べ、それほどの差異は生じない。
次に、ステップS20、S25、及びS26の処理について説明する。ステップS20の処理は、ステップS10、S23、又はS24の処理が実行された場合に行われる。ステップS20においては、23:59になったか否かが判定される。これにより、1日単位の運用が可能となる。23:59となった場合、ステップS25、S26の処理が実行される。具体的には、データ収集が終了され、今回期間データが前期間データとして格納される。一方、23:59となっていない場合、まだ1日が終了していないため、ステップS11に戻り、上記各ステップの処理が繰り返し実行される。
なお、上記で説明したステップS15による第1条件(ステップS15;YES)が成立する場合、給水設定値Aを上げる更新処理を行い、次回以降は上げた給水設定値Aで第1条件を判断することが好ましい。すなわち、給水設定値A+α(ただし、αは0より大きい数値)を新たな給水設定値Aに設定することにより、水道配管50からの冷水の給水温度の前期間平均値が給水設定値A以下となり、湯切れ解消運転の開始条件である第1条件(ステップS15;YES)が成立し、湯切れ解消運転が開始された後、湯切れ解消運転の停止条件は厳しくなる。具体的には、水道配管50からの冷水の給水温度の前期間平均値が給水設定値A以下となり、湯切れ解消運転の開始条件である第1条件(ステップS15;YES)が成立した後、湯切れ解消運転が開始された場合、更新前の第1条件(ステップS15;YES)が成立しても更新後の第1条件(ステップS15;YES)が成立しない場合、水道配管50からの冷水の給水温度の前期間平均値が給水設定値A以下となり、湯切れ解消運転を継続することができるため、湯切れの発生を確実に防ぐことができる。
また、上記で説明したステップS16による第2条件(ステップS16;YES)が成立する場合、前期間給湯設定値Bを上げる更新処理を行い、次回以降は上げた前期間給湯設定値Bで第2条件を判断することが好ましい。すなわち、前期間給湯設定値B+β(ただし、βは0より大きい数値)を新たな前期間給湯設定値Bに設定することにより、給湯温度の前期間最低値が前期間給湯設定値B以下となり、実際に湯切れ解消運転が必要と判定された後、実際に湯切れ解消運転が必要でないと判定される第2条件(ステップS16;YES)は厳しくなる。具体的には、実際に湯切れ解消運転が必要と判定された後、湯切れ解消運転が開始された場合、更新前の第2条件(ステップS16;YES)が成立しても更新後の第2条件(ステップS16;YES)が成立しない場合、給湯温度の前期間最低値が前期間給湯設定値B以下となり、湯切れ解消運転を継続することができるため、湯切れの発生を確実に防ぐことができる。
このようにして、第4実施形態に係る太陽熱利用給湯システム3によれば、第3実施形態と同様に、湯切れを起こしてしまう可能性を低減することができる。
また、第4実施形態によれば、1日単位で運転することにより、太陽熱利用給湯システム3の利用者が大量に湯水を使用する時間帯が異なる場合であっても、冷水の供給、湯水の供給、又は混合水の供給を動的に切り替えることができるため、湯切れを起こしてしまう可能性を確実に低減することができる。
また、第4実施形態のように、1日単位で運転することにより、検出データを平均化することができるので、ノイズによる誤作動を防止することができる。例えば、第2ポンプ14bが停止後に再び稼働し始めた場合、給湯温度センサ15は誤って外気温度を検出する恐れがあるが、一日単位でデータを平均化すれば、そのようなノイズを除去することができる。各種センサ25a〜25dについても同様である。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態に係る太陽熱利用給湯システム3のうち、第1〜4実施形態と同一の構成については同一の符号を付記し、その説明については省略する。
図14は、第5実施形態に係る太陽熱利用給湯システム3の制御例を説明するフローチャートである。図14において、ステップS41〜S44、S48〜S52、S57〜S59の処理は、図13のステップS11〜S14、S19、S20、S23〜S28の処理と同様であるので、その説明については省略する。なお、図14においては、図13のステップS22の処理である給水設定値Aが上がる処理は実行されない。
ステップS45において、日付が冬期の設定日であるか否かが判定される。日付が冬期の設定日であると判定される場合、ステップS46に進む。一方、日付が冬期の設定日でないと判定される場合、ステップS53に進む。ここで、冬期の設定日は、太陽熱利用給湯システム3が設置される地域が冬期に対応する期間の日付が設定される。
ステップS46において、一定期間に給湯温度が前期間給湯設定値B以下になったか否かが判定される。一定期間に給湯温度が前期間給湯設定値B以下になったと判定された場合、ステップS47に進む。一方、一定期間に給湯温度が前期間給湯設定値Bより大きかったと判定された場合、ステップS53に進む。ここで、一定期間とは例えば1週間であり、1週間に少なくとも1回、給湯温度が前期間給湯設定値B以下になったか否かが判定される。
ステップS47において、今回期間に給湯温度が前期間給湯設定値B以下となるか否かが判定される。今回期間に給湯温度が前期間給湯設定値B以下となると判定される場合、ステップS52に進み、混合水が貯湯タンク12に供給される。一方、今回期間に給湯温度が前期間給湯設定値Bより大きくなると判定される場合、ステップS48に進み、冷水が貯湯タンク12に供給される。
ステップS53において、今回期間に給湯温度が今回期間給湯設定値C以下となるか否かが判定される。今回期間に給湯温度が今回期間給湯設定値C以下となると判定された場合、ステップS54に進む。一方、今回期間に給湯温度が今回期間給湯設定値Cより大きくなると判定された場合、ステップS56に進む。
ステップS54において、湯水供給停止期間をカウント中であるか否かが判定される。湯水供給停止期間をカウント中であると判定される場合、ステップS47に進む。一方、湯水供給停止期間をカウント中でないと判定される場合、ステップS55に進む。ここで、湯水供給停止期間とは、ステップS57における湯水を貯湯タンク12に供給させる処理を停止させる期間であって、例えば3日間が設定される。
ステップS55において、湯水供給停止期間のカウントが開始される。これにより、今回期間に、少なくとも1回、給湯温度が今回期間給湯設定値C以下となると判定された場合、湯水供給停止期間のカウントが開始される。
ステップS56において、湯水供給停止期間がカウント中であるか否かが判定される。湯水供給停止期間がカウント中であると判定される場合、ステップS47に進む。一方、湯水供給停止期間がカウント中でないと判定される場合、ステップS57に進み、貯湯槽22に貯湯されている湯水が貯湯タンク12に供給される。これにより、一度でも給湯温度が今回期間給湯設定値C以下となれば、湯水供給停止期間、貯湯槽22に貯湯されている湯水が貯湯タンク12に供給されることはない。
このようにして、第5実施形態に係る太陽熱利用給湯システム3によれば、第3,4実施形態と同様に、湯切れを起こしてしまう可能性を低減することができる。
また、第5実施形態によれば、冬期であるか否かの判定が、給水温度を検知することなく行うことができるため、より簡易で低コストに太陽熱利用給湯システム3を実現することができる。
また、第5実施形態によれば、給湯温度の前期間最低値と、前期間給湯設定値Bとを比較するのではなく、一定期間、給湯温度と、前期間給湯設定値Bとを比較するため、一定期間にわたる給湯温度の変動に基づく制御を行うことができる。特に、過去1週間のうち1回でも前期間給湯設定値B以下となったか否かを判定することにより、現在において、より確実に湯切れの発生を防ぐことができる。
また、第5実施形態によれば、今回期間に給湯温度が今回期間給湯設定値C以下となる場合、湯水供給停止期間、湯水のみを供給させる運転は行わないため、この間、貯湯槽22に湯水を優先的に貯湯することができる。特に、今回期間に給湯温度が今回期間給湯設定値C以下となる場合、3日間、湯水を供給させる運転は行わせないことにより、貯湯槽22に湯水を貯湯することを優先させるため、それ以後、特に顕著に湯切れの発生を防ぐことができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で各実施形態に記載の技術を組み合わせてもよい。
例えば、第1及び第2実施形態に係る太陽熱利用給湯システム1,2は、切替弁40を備えているが、これに限らず、混合弁41を備えていてもよい。また、第3実施形態では混合弁41を各太陽熱集熱ユニット20内に備えているが、第1実施形態と同様に、集合配管31の集合部31b上に1つだけ備え、複数の太陽熱集熱ユニット20の制御基板26のうち、いずれか1つによって混合弁41の開度が調整されるようになっていてもよい。
また、本実施形態において太陽熱集熱ユニット20は、熱媒を循環させる方式のものに限らず、湯水を循環させる方式のものであってもよい。
また、第3実施形態においては、大量に温水が使用される時間帯に図10に示す運転のみが行われ、図9に示す運転については冬季以外など湯切れが発生しない季節の全時間帯において燃料費削減を目的として行われるようになっていてもよい。
さらに、第1及び第2実施形態においても、冬季以外など湯切れが発生しない季節においては、図3及び図6に示す運転が行われることなく、常時、図2及び図5に示す運転が行われるようになっていてもよい。
加えて、第3実施形態においては、湯切れの可能性の判断をカレンダー情報や外気温度などにより行ってもよい。すなわち、カレンダー情報や外気温度などにより湯切れが発生し易い冬季を判断することで、湯切れの可能性を判断するようにしてもよい。
また、第4,5実施形態においては、1日単位で運用する一例について説明したが運転する運用単位は限定されるものではない。例えば、特定日の特定の時間帯だけ大量に湯水が使用されることが予めわかっていれば、その特定日の特定の時間帯に上記制御が実施されることにより、効率よくシステムを運用することができる。具体的には、ステップS13における時間条件と、ステップS20における時間条件とを適宜変更すればよい。より具体的には、ステップS13における時間条件を例えば2月1日の14:00に設定し、ステップS20における時間条件を例えば2月1日の20:00に設定すれば、2月1日の14:00〜20:00の間、上記制御が実行される。これにより、特定日の特定の時間帯だけ上記制御を実行することができる。
さらに、上記の場合には、前期間を前日の14:00〜前日の20:00に設定し、今回期間を当日の14:00〜20:00に設定すればよい。また、午前中が休業であり、午後から営業を開始する場合、休業設定期間を午前中に設定すればよい。このように、前期間、今回期間、及び休業設定期間は、任意に設定可能な期間である。
また、上記において、出口温度センサ25bは、貯湯槽22の出口側に設定されているが、これに限定されず、例えば、貯湯槽22の筐体上側に設置されてもよい。このように、出口温度センサ25bは、貯湯槽22の湯水の温度を検出できる箇所であれば特にその設置場所は限定されない。
なお、上記で説明したステップS15の処理では、給水温度による判定処理が最初に行われる一例を説明したが特にこれに限定せず、ステップS16における給湯温度による判定処理が最初に行われてもよく、ステップS21における給湯温度による判定処理が最初に行われてもよい。つまり、ステップS15における給水温度の前期間平均値の判定処理、ステップS16における給湯温度の前期間最低値の判定処理、及びステップS21における今回期間の給湯温度の判定処理において、その判定処理の順番は特に限定されない。
また、上記で説明したステップS15の処理では、給水温度による判定処理について説明したが、予めスケジューリングされた日付による判定処理であってもよい。
また、上記で説明したステップS22の処理では給水設定値Aをプラス1℃上げる一例について説明したが、上げる温度は上記に限定されない。例えば、使用環境に応じて上げる温度を変更してもよい。具体的には、通常上げる温度をデフォルト値とすると、冬期のうち、最低気温が例年より低い時期には給水設定値Aをデフォルト値よりも2℃上げ、冬期のうち、最低気温が例年通りの時期には給水設定値Aをデフォルト値に上げてもよい。また、寒冷地では給水設定値Aをデフォルト値よりも4℃上げ、寒冷地以外ではデフォルト値に上げてもよく、給水設定値Aに加算される数値は限定されない。