JP2016164004A - 液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置 - Google Patents

液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】圧力発生室等の圧力変動の吸収効率のよい、コストを低減した、小型の液体噴射ヘッドを得ること。【解決手段】リザーバー部32が貫通孔33上にも形成されているので、コンプライアンス基板40の封止膜41の面積を大きく取ることができ、圧力変動の吸収効率がよくできる。また、流路形成基板10、保護基板30、リザーバー形成基板35の積み重ねられた方向の貫通孔33の上にもリザーバー部32の一部が形成されているので、貫通孔33を避けて、これらの基板を広げてリザーバー部32を形成した場合と比較して、コストを抑えた、小型のインクジェット式記録ヘッド1を得ることができる。【選択図】図7

Description

本発明は、圧力吸収部材を有する液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置に関する。
液体噴射ヘッドとして、例えば、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室内のインクを加圧して、ノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド等がある。
また、圧電素子が形成された流路形成基板上に保護基板が接合されたヘッド本体が知られている。圧電素子の電極と駆動回路が実装された配線基板であるCOF(Chip On Film)基板とを接続するために、保護基板に貫通孔が形成され、圧電素子からリード電極が貫通孔へ引き出され、リード電極にCOF基板が貫通孔内で接続されている。さらに、リザーバー部の一面が圧力吸収部材である封止膜で封止され、圧力発生室等内の圧力変動が吸収されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−228265号公報
リザーバー部を封止する圧力吸収部材の面積が大きいほど、圧力発生室等の圧力変動の吸収効率がよくなる。圧力吸収部材の面積を大きくするためには、リザーバー部を広げる必要がある。
保護基板に貫通孔を形成し、圧電素子からリード電極を貫通孔へ引き出し、リード電極とCOF基板とを貫通孔内で接続する構造においては、貫通孔を避けてリザーバー部を広げる必要がある。したがって、流路形成基板、保護基板、振動板等を、貫通孔を避ける方向に広げてリザーバー部を形成する必要があり、コストを抑えた、小型の液体噴射ヘッドを得るのが困難である。
本発明は、上述の課題の少なくとも一つを解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
液体を噴射する複数のノズル開口が並んで配置された液体噴射ヘッドであって、前記ノズル開口に連通した圧力発生室に前記液体を供給する液体供給路を有する流路形成基板と、前記流路形成基板上に形成され、前記圧力発生室の圧力を変化させる圧電素子と、前記圧電素子を保護する圧電素子保持部および前記圧電素子から引き出されたリード電極を露出させる貫通孔を有する保護基板と、前記貫通孔に収められ、前記リード電極と接続された駆動回路と、前記貫通孔を覆うリザーバー形成基板と、前記貫通孔上の前記保護基板および前記リザーバー形成基板に一部が形成されたリザーバー部と、前記リザーバー部を封止し、圧力吸収部材によって前記リザーバー部の圧力変動を吸収するコンプライアンス基板とを備えたことを特徴とする液体噴射ヘッド。
この適用例によれば、リザーバー部が貫通孔上にも形成されているので、コンプライアンス基板の圧力吸収部材の面積を大きく取れ、圧力変動の吸収効率がよくなる。また、流路形成基板、保護基板、リザーバー形成基板の積み重ねられた方向の貫通孔の上にもリザーバー部の一部が形成されているので、貫通孔を避けて、これらの基板を広げてリザーバー部を形成した場合と比較して、コストを抑えた、小型の液体噴射ヘッドが得られる。
[適用例2]
上記液体噴射ヘッドであって、前記駆動回路に接続された配線基板が、前記リード電極が接続された方向とは異なる方向で接続されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
この適用例では、圧電素子から引き出されたリード電極が駆動回路に接続される方向とは異なる方向で、配線基板が駆動回路に接続されているので、圧電素子から引き出されるリード電極の方向に対し、より小型の液体噴射ヘッドが得られる。
[適用例3]
上記液体噴射ヘッドであって、前記駆動回路と前記リザーバー形成基板とに接触する熱伝導部材を備えたことを特徴とする液体噴射ヘッド。
この適用例では、駆動回路で発生した熱がリザーバー形成基板を介して逃げ、駆動回路で発生した熱による圧電素子の特性の変化、圧力発生室および液体供給路の容量の変動、流路形成基板、保護基板、リザーバー形成基板およびコンプライアンス基板の熱膨張差による各基板間の剥離が抑えられる。したがって、液体の噴射状態の変動が少なく、基板間からの液体の漏れが抑えられた耐久性の向上した液体噴射ヘッドが得られる。
[適用例4]
上記に記載の液体噴射ヘッドを備えたことを特徴とする液体噴射装置。
この適用例によれば、前述の効果を達成できる液体噴射装置が得られる。
インクジェット式記録装置の一例を示す概略斜視図。 インクジェット式記録ヘッドの概略斜視図。 インクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図。 インクジェット式記録ヘッドの図2におけるA−A断面斜視図。 インクジェット式記録ヘッドの図2におけるA−AおよびB−B断面斜視図。 インクジェット式記録ヘッドの構成を示す分解部分斜視図。 (a)はインクジェット式記録ヘッドの部分平面図、(b)は(a)におけるC−C断面図、(c)は(a)におけるD−D部分断面図。
以下、実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度は実際とは異なっている。
図1は、液体噴射装置としてのインクジェット式記録装置1000の一例を示す概略斜視図である。インクジェット式記録装置1000は、液体噴射ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド1を備えている。
図1において、インクジェット式記録装置1000は、記録ヘッドユニット1Aおよび1Bを備えている。記録ヘッドユニット1Aおよび1Bには、インク供給手段を構成するカートリッジ2Aおよび2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1Aおよび1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。
記録ヘッドユニット1Aおよび1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物およびカラーインク組成物を吐出する。そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1Aおよび1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動する。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上を搬送されるようになっている。図1中において、搬送方向を白抜き矢印で示した。
記録ヘッドユニット1Aおよび1Bは、インクジェット式記録ヘッド1を記録シートSに対向する位置に備えている。図では、インクジェット式記録ヘッド1は、記録ヘッドユニット1Aおよび1Bの記録シートS側に位置しており、直接図示されていない。
図2に、実施形態にかかるインクジェット式記録ヘッド1を示す概略斜視図を示した。
インクジェット式記録ヘッド1の形状は略直方体である。直方体の最も広い面の一面の長手方向の両端に設けられた開口220から配線基板としてのフレキシブル基板210が挿入されている。長手方向は、図2中において白抜き矢印で示した。図1に示した記録シートSの搬送方向とインクジェット式記録ヘッド1の長手方向は、一致している。ここで、一致しているとは、製造上生じる寸法誤差や搬送時に生じる搬送方向のずれによる誤差を含むものである。
2つのフレキシブル基板210が挿入された面の長手方向の中ほどには、2つのインク導入口230が設けられ、図1に示したカートリッジ2Aおよび2Bからインクが供給される。
図3は、インクジェット式記録ヘッド1の概略構成を示す分解斜視図、図4は、インクジェット式記録ヘッド1の図2におけるA−A断面斜視図、図5は、インクジェット式記録ヘッド1の図2におけるA−AおよびB−B断面斜視図である。
図2〜図5において、インクジェット式記録ヘッド1は、流路形成基板10とノズルプレート20と保護基板30とリザーバー形成基板35とコンプライアンス基板40と駆動回路200とフレキシブル基板210とを備えている。
流路形成基板10とノズルプレート20と保護基板30とは、流路形成基板10をノズルプレート20と保護基板30とで挟むように積み重ねられ、保護基板30上には、リザーバー形成基板35が積み重ねられ、さらにリザーバー形成基板35上にコンプライアンス基板40が積み重ねられている。
駆動回路200は、流路形成基板10とリザーバー形成基板35との間で、保護基板30に形成された貫通孔33の中に配置されている。
図6は、インクジェット式記録ヘッド1のより詳しい構成を示す分解部分斜視図であり、リザーバー形成基板35およびコンプライアンス基板40が省略されている。図7(a)はインクジェット式記録ヘッド1の部分平面図であり、リザーバー形成基板35およびコンプライアンス基板40が省略されている。図7(b)は図7(a)におけるインクジェット式記録ヘッド1のC−C断面図、図7(c)は図7(a)におけるインクジェット式記録ヘッド1のD−D部分断面図である。
流路形成基板10は、例えば、面方位(110)のシリコン単結晶板からなる。流路形成基板10には、異方性エッチングによって、複数の圧力発生室12が2つの列13をなすように形成されている。ここで、列13は、インクジェット式記録ヘッド1の幅方向(長手方向に直交する方向)に並設されている。圧力発生室12のインクジェット式記録ヘッド1の幅方向の断面形状は台形状で、圧力発生室12は、インクジェット式記録ヘッド1の幅方向に長く形成されている。
また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には液体供給路としての連通部14が形成され、さらに、連通部14と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12に設けられた液体供給路としてのインク供給路15を介して連通されている。インク供給路15は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部14から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
ノズルプレート20には、各圧力発生室12のインク供給路15とは反対側の端部近傍に、外部と連通するノズル開口21が穿設されている。
なお、ノズルプレート20は、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板または不錆鋼などからなる。
流路形成基板10とノズルプレート20とは、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。
流路形成基板10のノズルプレート20が固着された面と対向する面には、振動板を構成する弾性膜50が形成されている。例えば、弾性膜50は、流路形成基板10を約1100℃の拡散炉で熱酸化して得られる二酸化シリコンからなる。
流路形成基板10の弾性膜50上には、酸化膜からなる絶縁体膜55が形成されている。例えば、絶縁体膜55は、酸化ジルコニウムからなり、スパッタリング法等によりジルコニウム膜を形成したのち、ジルコニウム膜を500℃〜1200℃の拡散炉で熱酸化することにより得られる。ここで、弾性膜50と絶縁体膜55とで振動板が構成される。
さらに、この絶縁体膜55上には、白金(Pt)などの金属やルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO)などの金属酸化物からなる下電極60と、ペロブスカイト構造の圧電体層70と、金(Au)、イリジウム(Ir)などの金属からなる上電極80とが形成され、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極60、圧電体層70および上電極80を含む部分をいう。
例えば、下電極60は、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO)などの金属酸化物等からなる下電極膜を絶縁体膜55の全面に形成後、所定形状にパターニングして得られる。
例えば、圧電体層70および上電極80は以下の方法で形成することができる。
先ず、下電極60および絶縁体膜55上に、圧電材料からなる圧電体層膜を形成する。圧電材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電体層膜を用いることができる。
圧電体層膜の製造方法としては、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層膜を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いることができる。
なお、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal−Organic Decomposition)法等を用いてもよい。さらに、これらの液相法による圧電体層膜の製造方法に限定されず、スパッタリングなどの気相成長を用いた圧電体層膜の製造方法であってもよい。
ゾル−ゲル法を詳しく説明すると、まず金属有機化合物を含むゾル(溶液)を塗布する。次いで、塗布により得られる圧電体前駆体膜を、所定温度に加熱して一定時間乾燥させ、ゾルの溶媒を蒸発させることで圧電体前駆体膜を乾燥させる。さらに、大気雰囲気下において一定の温度で一定時間、圧電体前駆体膜を脱脂する。
なお、ここで言う脱脂とは、ゾル膜の有機成分を、例えば、NO2、CO2、H2O等として離脱させることである。
このような塗布・乾燥・脱脂の工程を、所定回数、例えば、2回繰り返すことで、圧電体前駆体膜を所定厚に形成し、この圧電体前駆体膜を拡散炉等で加熱処理することによって結晶化させて圧電体膜を形成する。すなわち、圧電体前駆体膜を焼成することで結晶が成長して圧電体膜が形成される。
焼成温度は、650℃〜850℃程度であることが好ましく、例えば、約700℃で30分間、圧電体前駆体膜を焼成して圧電体膜を形成する。このような条件で形成した圧電体膜の結晶は(100)面に優先配向する。
上述した塗布・乾燥・脱脂・焼成の工程を、複数回繰り返すことにより、多層の圧電体膜からなる所定厚さの圧電体層膜を形成する。
圧電体層膜の材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛等の強誘電性圧電性材料に、ニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマスまたはイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等を用いてもよい。また、鉛を圧電材料に含まない、いわゆる非鉛の圧電材料からなる圧電素子を用いてもよい。
圧電体層膜形成した後は、例えば、金(Au)、イリジウム(Ir)などからなる上電極膜を圧電体層膜の全面に形成する。上電極膜は、スパッタリング法、例えば、DCまたはRFスパッタリング法によって形成することができる。
圧電体層膜および上電極膜を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして、下電極60、圧電体層70および上電極80を備えた圧電素子300を形成する。
一般的には、圧電素子300のいずれか一方の電極を共通電極とし、他方の電極および圧電体層70を各圧力発生室12にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされたいずれか一方の電極および圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。
なお、実施形態では、下電極60を圧電素子300の共通電極とし、上電極80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路200や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。いずれの場合においても、圧力発生室12毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる弾性膜50および絶縁体膜55(振動板)とを合わせて圧電アクチュエーターと称する。
また、このような各圧電素子300を構成する上電極80には、例えば、金(Au)等からなる引き出し電極としてのリード電極90が接続されており、このリード電極90は、圧力発生室12の列13の間の領域まで引き出されている。
リード電極90は、流路形成基板10の全面に亘って、例えば、金(Au)等からなる金属層を形成し、その後、例えば、レジスト等からなる図示しないマスクパターンを介して金属層を圧電素子300毎にパターニングすることによってリード電極90を形成することによって得られる。
保護基板30は、圧電素子300に対向する領域に、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を確保した状態の圧電素子保持部31を有する。圧電素子保持部31は、各圧力発生室12の2つの列13に対応して2つ設けられている。
圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、保護基板30が接着剤56によって接着されている。
接着は、保護基板30とは別に用意した圧電素子300が形成された流路形成基板10と保護基板30とを、圧電素子300が圧電素子保持部31に収まるように向かい合わせ、接着剤56によって接着する。
接着は、接着面をプライマーで処理後、接着剤56を保護基板30の接着面に転写後、流路形成基板10と保護基板30とを貼り合せ、仮接着し硬化することで行なう。
なお、実施形態では、各圧電素子保持部31は、各圧力発生室12の列13に対応する領域に一体的に設けられているが、圧電素子300毎に独立して設けられていてもよい。
保護基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることがより好ましく、実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成する。
また、保護基板30には、流路形成基板10の連通部14に対応する領域から圧電素子保持部31上にわたってリザーバー部32が設けられている。このリザーバー部32は、実施形態では、圧力発生室12の列13に沿って設けられており、流路形成基板10の連通部14と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド100を構成している。
さらに、保護基板30の長手方向(図中の白抜き矢印方向)に直交する方向の略中央部、すなわち、圧力発生室12の列13間の対向する領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。
貫通孔33は、例えば、ドライエッチングによって形成できる。ドライエッチングとしては、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)を用いることができる。例えば、深堀RIEを用いることができる。深堀RIEとは、アスペクト比の高い(狭く深い)反応性イオンエッチングをいう。深く掘る手法は通常高密度プラズマを使い、サンプルを低温に冷やす方法とボッシュプロセスと呼ばれるエッチング技術を用いる方法、またはその両方を用いる。
ボッシュプロセスは、エッチングとエッチング側壁保護を繰り返しながら行うエッチング手法でアスペクト比の高いエッチングが可能である。
プロセスは以下の2つの処理を繰り返す。場合によってはさらにステップが増えることもある。
エッチングステップ:主に六フッ化硫黄(SF6)を用いて等方エッチングを行う。エッチング穴底面に保護膜が付いている場合があるので底面の保護膜を除去する働きもある。
保護ステップ:テフロン(登録商標)系のガス(C4F8など)を用いて側壁を保護する。側壁を保護することで横方向のエッチングを抑制する。
保護膜により横方向のエッチングが抑制されるため細く深い(高アスペクト比)穴を掘ることができる。側壁の角度はほぼ垂直にすることができ、また、プロセス条件を変えることで他の角度にもできる。
高密度プラズマを発生する方法は主に、ICP(誘導結合プラズマ)RIE、ECR(Electron Cyclotron Resonance)RIEと呼ばれるマイクロ波を用いた方法等が用いられる。
圧電素子300から引き出されたリード電極90は、少なくともその先端部が貫通孔33の底部に露出している。
駆動回路200は貫通孔33内に収められている。貫通孔33に露出したリード電極90の先端部に駆動回路200は載せられ、リード電極90の先端部と駆動回路200の図示しない端子とが接続されている。
駆動信号は、例えば、駆動電源信号等の駆動ICを駆動させるための駆動系信号のほか、シリアル信号(SI)等の各種制御系信号を含み、配線は、それぞれの信号が供給される複数の配線で構成される。
保護基板30上には、リザーバー形成基板35が積み重ねられ、貫通孔33上にリザーバー部32の一部を形成している。また、リザーバー形成基板35には、長手方向(図中の白抜き矢印方向)に直交する方向の略中央部に貫通孔33に蓋をするように長手方向にわたって桁36が形成されている。ここで、桁36と駆動回路200との間には、熱伝導部材400が挟まれ、桁36と駆動回路200とに接触している。
熱伝導部材400としては、接着剤等の樹脂、シリコングリース、セラミックフィラーをシリコンに高充填したグリース、放熱シートを用いることができる。
リザーバー形成基板35の上には、圧力吸収部材としての封止膜41および固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバー部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成されている。この固定板42のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
インクジェット式記録ヘッド1では、カートリッジ2Aおよび2Bからインクを取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路200からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極60と上電極80との間に電圧が印加される。電圧の印加によって、弾性膜50および圧電体層70がたわみ変形し、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
インクジェット式記録ヘッド1は、インク供給手段であるインクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置1000に搭載される。
このような実施形態によれば、以下の効果がある。
(1)リザーバー部32が貫通孔33上にも形成されているので、コンプライアンス基板40の封止膜41の面積を大きく取ることができ、圧力変動の吸収効率がよくできる。
特に、カートリッジ2Aおよび2Bを、インクジェット式記録ヘッド1と繋げる際にリザーバー部32、圧力発生室12、連通部14およびインク供給路15内に発生する大きな圧力変動を吸収することができる。
また、流路形成基板10、保護基板30、リザーバー形成基板35の積み重ねられた方向の貫通孔33の上にもリザーバー部32の一部が形成されているので、貫通孔33を避けて、これらの基板を広げてリザーバー部32を形成した場合と比較して、コストを抑えた、小型のインクジェット式記録ヘッド1を得ることができる。
(2)圧電素子300から引き出されたリード電極90が駆動回路200に接続される方向とは異なる方向で、フレキシブル基板210が駆動回路200に接続されているので、圧電素子300から引き出されるリード電極90の方向に対し、より小型のインクジェット式記録ヘッド1を得ることができる。
(3)駆動回路200で発生した熱がリザーバー形成基板35を介して逃げ、駆動回路200で発生した熱による圧電素子300の特性の変化、圧力発生室12、連通部14およびインク供給路15の容量の変動、流路形成基板10、保護基板30、リザーバー形成基板35およびコンプライアンス基板40の熱膨張差による各基板間の剥離を抑えることができる。したがって、インクの吐出状態の変動が少なく、基板間からのインクの漏れが抑えられた耐久性の向上したインクジェット式記録ヘッド1を得ることができる。
(4)前述の効果を達成できるインクジェット式記録装置1000を得ることができる。
上述した実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。
その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
1…液体噴射ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド、1A,1B…記録ヘッドユニット、2A,2B…カートリッジ、3…キャリッジ、4…装置本体、5…キャリッジ軸、6…駆動モーター、7…タイミングベルト、8…プラテン、10…流路形成基板、12…圧力発生室、13…列、14…液体供給路としての連通部、15…液体供給路としてのインク供給路、20…ノズルプレート、21…ノズル開口、30…保護基板、31…圧電素子保持部、32…リザーバー部、33…貫通孔、35…リザーバー形成基板、36…桁、40…コンプライアンス基板、41…圧力吸収部材としての封止膜、42…固定板、43…開口部、50…弾性膜、55…絶縁体膜、56…接着剤、60…下電極、70…圧電体層、80…上電極、90…リード電極、100…マニホールド、200…駆動回路、210…配線基板としてのフレキシブル基板、220…開口、230…インク導入口、300…圧電素子、400…熱伝導部材、1000…インクジェット式記録装置。

Claims (4)

  1. 液体を噴射する複数のノズル開口が並んで配置された液体噴射ヘッドであって、
    前記ノズル開口に連通した圧力発生室に前記液体を供給する液体供給路を有する流路形成基板と、
    前記流路形成基板上に形成され、前記圧力発生室の圧力を変化させる圧電素子と、
    前記圧電素子を保護する圧電素子保持部および前記圧電素子から引き出されたリード電極を露出させる貫通孔を有する保護基板と、
    前記貫通孔に収められ、前記リード電極と接続された駆動回路と、
    前記貫通孔を覆うリザーバー形成基板と、
    前記貫通孔上の前記保護基板および前記リザーバー形成基板に一部が形成されたリザーバー部と、
    前記リザーバー部を封止し、圧力吸収部材によって前記リザーバー部の圧力変動を吸収するコンプライアンス基板とを備えた
    ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 請求項1に記載の液体噴射ヘッドにおいて、
    前記駆動回路に接続された配線基板が、前記リード電極が接続された方向とは異なる方向で接続されている
    ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
  3. 請求項1または請求項2に記載の液体噴射ヘッドにおいて、
    前記駆動回路と前記リザーバー形成基板とに接触する熱伝導部材を備えた
    ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドを備えた
    ことを特徴とする液体噴射装置。
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