ところで、特許文献1に開示されているような一列構成の熱交換器を複数重ね合わせることによって、引用文献2及び3に開示されているような二列構成の熱交換器を構成することも考えられる。しかし、その場合に各列の二つの熱交換領域を冷媒の流通経路においてどのように配置するかは、これまで充分に検討されていなかった。特に、この種の熱交換器が蒸発器と凝縮器に切り換えて使用される場合は、蒸発器として機能するときと凝縮器として機能するときの両方において充分な性能が得られるように、熱交換器における冷媒の流通経路を適切に設定する必要がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、各列が二つの熱交換領域に区分された熱交換器において、その熱交換器における冷媒の流通経路を適切に設定し、蒸発器として機能するときと凝縮器として機能するときの両方で熱交換器の性能を充分に発揮させることにある。
第1の発明は、互いに平行に配置された複数の扁平管(31,41,51)と、該扁平管(31,41,51)に接合されたフィン(32,42,52)とを備え、上記扁平管(31,41,51)に形成された流体通路(100)を流れる冷媒を空気と熱交換させる熱交換器を対象とする。そして、空気の通過方向に並んだ複数の列部(30,40)に区分され、上記各列部(30,40)は、上記扁平管(31,41,51)の配列方向に並んだ主熱交換領域(35,45)と補助熱交換領域(37,47)に区分され、上記補助熱交換領域(37,47)を構成する扁平管(31,41,51)は、上記主熱交換領域(35,45)を構成する扁平管(31,41,51)よりも少数であり、冷媒の流通経路において、上記各列部(30,40)の主熱交換領域(35,45)が互いに直列に配置され、且つ上記各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)が互いに並列に配置され、蒸発器として機能する場合には、上記各補助熱交換領域(37,47)を通過した冷媒が合流した後に最も風下に位置する上記列部(40)の主熱交換領域(45)から最も風上に位置する上記列部(30)の主熱交換領域(35)へ向かって順に流れ、凝縮器として機能する場合は、冷媒が最も風上に位置する上記列部(30)の主熱交換領域(35)から最も風下に位置する上記列部(40)の主熱交換領域(45)へ向かって順に流れた後に上記各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)へ分岐して流入するものである。
第1の発明では、熱交換器(23)が複数の列部(30,40)に区分される。熱交換器(23)へ流入した空気は、空気の通過方向に並んだ複数の列部(30,40)を順に通過し、その間に扁平管(31,41,51)の流体通路(100)を流れる冷媒と熱交換する。
第1の発明の熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合は、扁平管(31,41,51)の流体通路(100)を流れる冷媒が空気から吸熱して蒸発する。この場合、熱交換器(23)へ流入する冷媒は、各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)に分配され、各補助熱交換領域(37,47)を構成する扁平管(31,41,51)の流体通路(100)を通過する。各補助熱交換領域(37,47)を通過した冷媒は、一旦合流し、その後に各列部(30,40)の主熱交換領域(35,45)を構成する扁平管(31,41,51)の流体通路(100)を通過する。その際、冷媒は、複数の主熱交換領域(35,45)を、最も風下に位置する列部(40)の主熱交換領域(45)から最も風上に位置する列部(30)の主熱交換領域(35)へ向かって順に通過する。
第1の発明の熱交換器(23)において、補助熱交換領域(37,47)を構成する扁平管(31,41,51)の本数は、主熱交換領域(35,45)を構成する扁平管(31,41,51)の本数よりも少ない。このため、冷媒の流通経路において各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)が直列に配置されている場合は、冷媒が補助熱交換領域(37,47)を通過する間における冷媒の圧力損失が非常に大きくなるおそれがある。この間における冷媒の圧力損失が大きくなると、最上流の補助熱交換領域(37)へ流入する冷媒の圧力が高くなり、この補助熱交換領域(37)における冷媒の蒸発温度(飽和温度)が高くなる。その結果、最上流の補助熱交換領域(37)における冷媒と空気の温度差を充分に確保できなくなり、熱交換器(23)の蒸発器としての性能が充分に発揮されないおそれがある。
これに対し、第1の発明の熱交換器(23)では、冷媒の流通経路において各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)が並列に配置される。このため、冷媒の流通経路において各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)が直列に配置されている場合に比べ、冷媒が補助熱交換領域(37,47)を通過する間における冷媒の圧力損失が低くなる。その結果、各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)における冷媒の蒸発温度が低く抑えられ、各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)における冷媒と空気の温度差が確保され、熱交換器(23)の蒸発器としての性能が充分に発揮される。
また、第1の発明の熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合、冷媒は、最も風下に位置する列部(40)の主熱交換領域(45)から最も風上に位置する列部(30)の主熱交換領域(35)へ向かって順に流れる。この場合、冷媒の流通経路の最も下流に位置する主熱交換領域(35)へは、冷媒によって冷却される前の空気が流入する。このため、最も風上に位置する列部(30)の主熱交換領域(35)から流出する冷媒(即ち、蒸発器として機能する熱交換器(23)から流出する冷媒)は、確実に過熱状態(即ち、ガス単相状態)となる。
第1の発明の熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合は、扁平管(31,41,51)の流体通路(100)を流れる冷媒が空気へ放熱して凝縮する。この場合、熱交換器(23)へ流入する冷媒は、各列部(30,40)の主熱交換領域(35,45)を構成する扁平管(31,41,51)の流体通路(100)を通過する。その際、冷媒は、複数の主熱交換領域(35,45)を、最も風上に位置する列部(30)の主熱交換領域(35)から最も風下に位置する列部(40)の主熱交換領域(45)へ向かって順に通過する。最も風下に位置する列部(40)の主熱交換領域(45)を通過した冷媒は、各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)に分配され、各補助熱交換領域(37,47)を構成する扁平管(31,41,51)の流体通路(100)を通過する。
ここで、冷媒の流通経路において各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)が直列に配置され、熱交換器(23)が凝縮器として機能する際に冷媒が最も風下に位置する列部(40)の補助熱交換領域(47)から最も風上に位置する列部(30)の補助熱交換領域(37)へ向かって順に流れる場合を、比較例とする。この比較例において、冷媒の流通経路の最も下流に位置する補助熱交換領域(37)へは、冷媒によって加熱される前の空気が流入する。このため、最も風上に位置する列部(30)の補助熱交換領域(37)から流出する冷媒(即ち、凝縮器として機能する熱交換器(23)から流出する冷媒)は、確実に過冷却状態(即ち、液単相状態)となる。
一方、第1の発明の熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合、冷媒は、各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)に分かれて流入する。風下側に位置する列部(40)の補助熱交換領域(47)へは、風上側の列部(30)を通過する際に加熱された空気が流入するため、この補助熱交換領域(47)から流出する冷媒の過冷却度は、比較例において熱交換器(23)から流出する冷媒の過冷却度よりも小さくなる。ところが、風上側に位置する列部(30)の補助熱交換領域(37)へは、冷媒によって加熱される前の空気が流入する。この補助熱交換領域(37)を通過する冷媒の流量は、比較例の最も風上側の列部(30)の補助熱交換領域(37)を通過する冷媒の流量よりも少ない。このため、風上側に位置する列部(30)の補助熱交換領域(37)から流出する冷媒の過冷却度は、比較例において熱交換器(23)から流出する冷媒の過冷却度よりも大きくなる。
第1の発明の熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合は、各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)を通過した冷媒が合流する。つまり、風下側に位置する列部(40)の補助熱交換領域(47)から流出した過冷却度の比較的小さい冷媒と、風上側に位置する列部(30)の補助熱交換領域(37)から流出した過冷却度の比較的大きい冷媒とが合流する。このため、冷媒の流通経路において各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)が並列に配置されている第1の発明の熱交換器(23)において、凝縮器として機能する場合に熱交換器(23)から流出した冷媒の過冷却度は、比較例の熱交換器(23)から流出する冷媒の過冷却度と同等となる。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記各列部(30,40)では、上記主熱交換領域(35,45)が上記扁平管(31,41,51)の配列方向に並んだ複数の主熱交換部(36a〜36f,46a〜46f)に区分され、且つ上記補助熱交換領域(37,47)が上記扁平管(31,41,51)の配列方向に並んだ補助熱交換部(38a〜38f,48a〜48f)に区分され、上記各列部(30,40)の主熱交換部(36a〜36f,46a〜46f)は、互いに同数であり且つ一つずつが対応し、対応する上記各列部(30,40)の主熱交換部(36a〜36f,46a〜46f)が冷媒の流通経路において互いに直列に配置されて主熱交換部群(56a〜56f)を構成し、上記各列部(30,40)の補助熱交換部(38a〜38f,48a〜48f)は、互いに同数であり且つ一つずつが対応し、対応した上記各列部(30,40)の補助熱交換部(38a〜38f,48a〜48f)が冷媒の流通経路において互いに並列に配置されて補助熱交換部群(58a〜58f)を構成するものである。
第2の発明の熱交換器(23)では、一つの列部(30,40)における主熱交換部(36a〜36f,46a〜46f)と同数の主熱交換部群(56a〜56f)が構成され、一つの列部(30,40)における補助熱交換部(38a〜38f,48a〜48f)と同数の補助熱交換部群(58a〜58f)が構成される。熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合、熱交換器(23)へ流入する冷媒は、複数の補助熱交換部群(58a〜58f)へ分配され、補助熱交換部群(58a〜58f)と主熱交換部群(56a〜56f)を順に通過する。一方、熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合、熱交換器(23)へ流入する冷媒は、複数の主熱交換部群(56a〜56f)へ分配され、主熱交換部群(56a〜56f)と補助熱交換部群(58a〜58f)を順に通過する。
第3の発明は、上記第2の発明において、上記各列部(30,40)では、上記主熱交換部(36a〜36f,46a〜46f)と上記補助熱交換部(38a〜38f,48a〜48f)が同数となっており、互いに同数の上記主熱交換部群(56a〜56f)と上記補助熱交換部群(58a〜58f)は、一つずつが対応し、対応する上記主熱交換部群(56a〜56f)と上記補助熱交換部群(58a〜58f)が冷媒の流通経路において直列に配置されるものである。
第3の発明の熱交換器(23)では、各列部(30,40)において、主熱交換部(36a〜36f,46a〜46f)の数と補助熱交換部(38a〜38f,48a〜48f)の数が等しくなっている。このため、熱交換器(23)では、主熱交換部群(56a〜56f)の数と補助熱交換部群(58a〜58f)の数が一致し、一つずつの主熱交換部群(56a〜56f)と補助熱交換部群(58a〜58f)が対応する。蒸発器として機能する熱交換器(23)を流れる冷媒は、対応する補助熱交換部群(58a〜58f)から主熱交換部群(56a〜56f)へ向かって流れる。凝縮器として機能する熱交換器(23)を流れる冷媒は、対応する主熱交換部群(56a〜56f)から補助熱交換部群(58a〜58f)へ向かって流れる。
第4の発明は、上記第2又は第3の発明において、上記主熱交換部群(56a〜56f)を形成する上記主熱交換部(36a〜36f,46a〜46f)は、それぞれを構成する上記扁平管(31,41,51)が同数であり、上記補助熱交換部群(58a〜58f)を形成する上記補助熱交換部(38a〜38f,48a〜48f)は、それぞれを構成する上記扁平管(31,41,51)が同数であるものである。
第4の発明において、各主熱交換部群(56a〜56f)において直列に配置された複数の主熱交換部(36a〜36f,46a〜46f)は、それぞれを構成する扁平管の数が等しい。また、各補助熱交換部群(58a〜58f)において並列に配置された複数の補助熱交換部(38a〜38f,48a〜48f)は、それぞれを構成する扁平管の数が等しい。
第5の発明は、上記第1〜第4のいずれか一つの発明において、上記各列部(30,40)の主熱交換領域(35,45)は、隣り合う二つの列部(30,40)の主熱交換領域(35,45)における冷媒の流通方向が互いに逆向きとなっているものである。
第5の発明において、例えば、ある列部(40)の主熱交換領域(45)を構成する扁平管(41,51)の左端から右端へ向かって冷媒が流れる場合、その列部(40)の隣の列部(30)では、その主熱交換領域(35)を構成する扁平管(31,51)の右端から左端へ向かって冷媒が流れる。
第6の発明は、空気調和機を対象とし、上記第1〜第5のいずれか一つの熱交換器(23)が設けられて冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)を備え、上記熱交換器(23)が蒸発器として機能する運転と、上記熱交換器(23)が凝縮器として機能する運転とを実行可能に構成されるものである。
第6の発明では、第1〜第5のいずれか一つの発明の熱交換器(23)が、空気調和機(10)の冷媒回路(20)に設けられる。熱交換器(23)において、冷媒回路(20)を循環する冷媒は、空気から吸熱して蒸発し、又は空気へ放熱して凝縮する。
本発明では、熱交換器(23)が複数の列部(30,40)に区分され、各列部(30,40)が主熱交換領域(35,45)と補助熱交換領域(37,47)に区分される。そして、この発明の熱交換器(23)では、冷媒の流通経路において、各列部(30,40)の主熱交換領域(35,45)が互いに直列に配置され、各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)が互いに並列に配置される。
本発明の熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合は、熱交換器(23)へ流入する冷媒が各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)へ分配される。このため、冷媒が補助熱交換領域(37,47)を通過する間における圧力損失を低く抑えることによって、補助熱交換領域(37,47)における冷媒と空気の温度差を確保でき、その結果、補助熱交換領域(37,47)における冷媒の吸熱量を確保できる。また、本発明の熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合は、最も風上に位置する列部(30)の主熱交換領域(35)が、冷媒の流通経路における最も下流に位置する。このため、この主熱交換領域(35)において冷媒を完全に蒸発させることができ、熱交換器(23)から流出する冷媒を確実に過熱状態とすることができる。従って、本発明によれば、蒸発器として機能する際の熱交換器(23)の性能を充分に発揮させることができる。
本発明の熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合、最も風下に位置する列部(40)の主熱交換領域(45)を通過した冷媒は、各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)へ分配され、各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)を通過後に合流する。このため、凝縮器として機能する熱交換器(23)から流出した冷媒の過冷却度を、上述した比較例において熱交換器(23)から流出した冷媒の過冷却度と同等に保つことができる。従って、本発明によれば、凝縮器として機能する際の熱交換器(23)の性能を充分に発揮させることができる。
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本実施形態の熱交換器は、空気調和機(10)に設けられた室外熱交換器(23)である。以下では、先ず空気調和機(10)について説明し、その後に室外熱交換器(23)について詳細に説明する。
−空気調和機−
空気調和機(10)について、図1を参照しながら説明する。
〈空気調和機の構成〉
空気調和機(10)は、室外ユニット(11)および室内ユニット(12)を備えている。室外ユニット(11)と室内ユニット(12)は、液側連絡配管(13)およびガス側連絡配管(14)を介して互いに接続されている。空気調和機(10)では、室外ユニット(11)、室内ユニット(12)、液側連絡配管(13)およびガス側連絡配管(14)によって、冷媒回路(20)が形成されている。
冷媒回路(20)には、圧縮機(21)と、四方切換弁(22)と、室外熱交換器(23)と、膨張弁(24)と、室内熱交換器(25)とが設けられている。圧縮機(21)、四方切換弁(22)、室外熱交換器(23)、および膨張弁(24)は、室外ユニット(11)に収容されている。室外ユニット(11)には、室外熱交換器(23)へ室外空気を供給するための室外ファン(15)が設けられている。一方、室内熱交換器(25)は、室内ユニット(12)に収容されている。室内ユニット(12)には、室内熱交換器(25)へ室内空気を供給するための室内ファン(16)が設けられている。
冷媒回路(20)は、冷媒が充填された閉回路である。冷媒回路(20)において、圧縮機(21)は、その吐出管が四方切換弁(22)の第1のポートに、その吸入管が四方切換弁(22)の第2のポートに、それぞれ接続されている。また、冷媒回路(20)では、四方切換弁(22)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に、室外熱交換器(23)と、膨張弁(24)と、室内熱交換器(25)とが配置されている。この冷媒回路(20)において、室外熱交換器(23)は、配管(17)を介して膨張弁(24)に接続され、配管(18)を介して四方切換弁(22)の第3のポートに接続される。
圧縮機(21)は、スクロール型またはロータリ型の全密閉型圧縮機である。四方切換弁(22)は、第1のポートが第3のポートと連通し且つ第2のポートが第4のポートと連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートが第4のポートと連通し且つ第2のポートが第3のポートと連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わる。膨張弁(24)は、いわゆる電子膨張弁である。
室外熱交換器(23)は、室外空気を冷媒と熱交換させる。室外熱交換器(23)については後述する。一方、室内熱交換器(25)は、室内空気を冷媒と熱交換させる。室内熱交換器(25)は、円管である伝熱管を備えたいわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。
〈空気調和機の運転動作〉
空気調和機(10)は、冷房運転と暖房運転を選択的に行う。
冷房運転中の冷媒回路(20)では、四方切換弁(22)を第1状態に設定した状態で、冷凍サイクルが行われる。この状態では、室外熱交換器(23)、膨張弁(24)、室内熱交換器(25)の順に冷媒が循環し、室外熱交換器(23)が凝縮器として機能し、室内熱交換器(25)が蒸発器として機能する。室外熱交換器(23)では、圧縮機(21)から流入したガス冷媒が室外空気へ放熱して凝縮し、凝縮後の冷媒が膨張弁(24)へ向けて流出してゆく。
暖房運転中の冷媒回路(20)では、四方切換弁(22)を第2状態に設定した状態で、冷凍サイクルが行われる。この状態では、室内熱交換器(25)、膨張弁(24)、室外熱交換器(23)の順に冷媒が循環し、室内熱交換器(25)が凝縮器として機能し、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する。室外熱交換器(23)には、膨張弁(24)を通過する際に膨張して気液二相状態となった冷媒が流入する。室外熱交換器(23)へ流入した冷媒は、室外空気から吸熱して蒸発し、その後に圧縮機(21)へ向けて流出してゆく。
−室外熱交換器−
室外熱交換器(23)について、図2〜9を適宜参照しながら説明する。なお、以下の説明に示す扁平管(31,41)の本数は、単なる一例である。
図2〜図4に示すように、室外熱交換器(23)は、扁平管(31,41)とフィン(32,42)とを備えた二列構造の空気熱交換器であり、風上列部(30)と風下列部(40)に区分されている。また、室外熱交換器(23)は、第1ヘッダ集合管(60)と、第2ヘッダ集合管(70)と、第3ヘッダ集合管(80)と、分流ユニット(66)とを備えている。扁平管(31,41)、フィン(32,42)、第1ヘッダ集合管(60)、第2ヘッダ集合管(70)、第3ヘッダ集合管(80)、及び分流ユニット(66)は、何れもアルミニウム合金製の部材であって、互いにロウ付けによって接合されている。
風上列部(30)と風下列部(40)は、互いに重なり合うように配置され、室外熱交換器(23)を通過する空気流の方向(即ち、室外熱交換器(23)の厚さ方向)に並んでいる。室外熱交換器(23)を通過する空気の流れ方向において、風上列部(30)は、風下列部(40)の上流側に配置されている。
第1ヘッダ集合管(60)、第2ヘッダ集合管(70)、及び第3ヘッダ集合管(80)のそれぞれは、風上列部(30)及び風下列部(40)と高さが概ね等しい管状(あるいは筒状)に形成された部材である。第1ヘッダ集合管(60)は、図2における室外熱交換器(23)の左端側に配置される。一方、第2ヘッダ集合管(70)及び第3ヘッダ集合管(80)は、図2における室外熱交換器(23)の右端側に配置される。
〈風上列部〉
図6及び図8に示すように、風上列部(30)は、多数の扁平管(31)と、多数のフィン(32)とを備えている。
扁平管(31)は、その断面形状が扁平な長円形となった伝熱管である(図8を参照)。風上列部(30)において、複数の扁平管(31)は、それぞれの軸方向が左右方向となり、それぞれの側面のうち平坦な部分が対向する状態で配置されている。また、複数の扁平管(31)は、互いに一定の間隔をおいて上下に並んで配置され、互いの軸方向が実質的に平行となっている。各扁平管(31)は、その一端が第1ヘッダ集合管(60)に挿入され、その他端が第2ヘッダ集合管(70)に挿入されている(図6を参照)。
図8に示すように、各扁平管(31)には、複数の流体通路(100)が形成されている。各流体通路(100)は、扁平管(31)の軸方向に延びる通路であって、扁平管(31)の幅方向に一列に並んでいる。各流体通路(100)は、扁平管(31)の両端面に開口している。風上列部(30)へ供給された冷媒は、扁平管(31)の流体通路(100)を流れる間に空気と熱交換する。
図8に示すように、フィン(32)は、金属板をプレス加工することによって形成された縦長の板状フィンである。フィン(32)には、フィン(32)の前縁(即ち、風上側の縁部)からフィン(32)の幅方向に延びる細長い切り欠き部(116)が、多数形成されている。フィン(32)では、多数の切り欠き部(116)が、フィン(32)の長手方向(上下方向)に一定の間隔で形成されている。切り欠き部(116)の風下寄りの部分は、管挿入部(117)を構成している。扁平管(31)は、フィン(32)の管挿入部(117)に挿入され、管挿入部(117)の周縁部とロウ付けによって接合される。また、フィン(32)には、伝熱を促進するためのルーバー(185)が形成されている。そして、複数のフィン(32)は、扁平管(31)の軸方向に一定の間隔をおいて配列されている。
図3、図4、及び図6に示すように、風上列部(30)は、上下に二つの熱交換領域(35,37)に区分されている。風上列部(30)において、上側の熱交換領域は風上主熱交換領域(35)であり、下側の熱交換領域は風上補助熱交換領域(37)である。風上列部(30)を構成する扁平管(31)は、その一部が風上補助熱交換領域(37)を構成し、残りが風上主熱交換領域(35)を構成する。後述するように、風上補助熱交換領域(37)を構成する扁平管(31)の本数は、風上主熱交換領域(35)を構成する扁平管(31)の本数よりも少ない。
風上主熱交換領域(35)は、上下に六つの風上主熱交換部(36a〜36f)に区分されている。また、風上補助熱交換領域(37)は、上下に六つの風上補助熱交換部(38a〜38f)に区分されている。つまり、風上主熱交換領域(35)と風上補助熱交換領域(37)は、それぞれ同数の熱交換部に区分されている。なお、ここに示した風上主熱交換部(36a〜36f)及び風上補助熱交換部(38a〜38f)の数は、単なる一例である。
風上主熱交換領域(35)では、下から上に向かって順に、第1風上主熱交換部(36a)と、第2風上主熱交換部(36b)と、第3風上主熱交換部(36c)と、第4風上主熱交換部(36d)と、第5風上主熱交換部(36e)と、第6風上主熱交換部(36f)とが配置されている。各風上主熱交換部(36a〜36f)には、同数(本実施形態では、十二本)の扁平管(31)が設けられている。
風上補助熱交換領域(37)では、下から上に向かって順に、第1風上補助熱交換部(38a)と、第2風上補助熱交換部(38b)と、第3風上補助熱交換部(38c)と、第4風上補助熱交換部(38d)と、第5風上補助熱交換部(38e)と、第6風上補助熱交換部(38f)とが配置されている。各風上補助熱交換部(38a〜38f)には、同数(本実施形態では、二本)の扁平管(31)が設けられている。
〈風下列部〉
図7及び図8に示すように、風下列部(40)は、多数の扁平管(41)と、多数のフィン(42)とを備えている。
風下列部(40)の扁平管(41)は、風上列部(30)の扁平管(31)と同じ形状のものであり、風上列部(30)の扁平管(31)と同様に配置されている。つまり、風下列部(40)の扁平管(41)は、互いに一定の間隔をおいて上下に並んで配置され、互いの軸方向が実質的に平行となっている。各扁平管(41)は、その一端が第1ヘッダ集合管(60)に挿入され、その他端が第3ヘッダ集合管(80)に挿入されている(図7を参照)。
図8に示すように、風下列部(40)のフィン(42)は、風上列部(30)のフィン(32)と同じ形状のものであり、風上列部(30)のフィン(32)と同様に配置されている。つまり、風下列部(40)のフィン(42)は、扁平管(41)の軸方向に一定の間隔をおいて配列され、切り欠き部(116)の管挿入部(117)に挿入された扁平管(41)とロウ付けによって接合される。
図3、図4、及び図7に示すように、風下列部(40)は、上下に二つの熱交換領域(45,47)に区分されている。風下列部(40)において、上側の熱交換領域は風下主熱交換領域(45)であり、下側の熱交換領域は風下補助熱交換領域(47)である。風上列部(30)を構成する扁平管(41)は、その一部が風下補助熱交換領域(47)を構成し、残りが風下主熱交換領域(45)を構成する。後述するように、風下補助熱交換領域(47)を構成する扁平管(41)の本数は、風下主熱交換領域(45)を構成する扁平管(41)の本数よりも少ない。
風下主熱交換領域(45)は、上下に六つの風下主熱交換部(46a〜46f)に区分されている。また、風下補助熱交換領域(47)は、上下に六つの風下補助熱交換部(48a〜48f)に区分されている。つまり、風下主熱交換領域(45)と風下補助熱交換領域(47)は、それぞれ同数の熱交換部に区分されている。なお、ここに示した風下主熱交換部(46a〜46f)及び風下補助熱交換部(48a〜48f)の数は、単なる一例である。
風下主熱交換領域(45)では、下から上に向かって順に、第1風下主熱交換部(46a)と、第2風下主熱交換部(46b)と、第3風下主熱交換部(46c)と、第4風下主熱交換部(46d)と、第5風下主熱交換部(46e)と、第6風下主熱交換部(46f)とが配置されている。各風下主熱交換部(46a〜46f)には、同数(本実施形態では、十二本)の扁平管(41)が設けられている。
風下補助熱交換領域(47)では、下から上に向かって順に、第1風下補助熱交換部(48a)と、第2風下補助熱交換部(48b)と、第3風下補助熱交換部(48c)と、第4風下補助熱交換部(48d)と、第5風下補助熱交換部(48e)と、第6風下補助熱交換部(48f)とが配置されている。各風下補助熱交換部(48a〜48f)には、同数(本実施形態では、二本)の扁平管(41)が設けられている。
〈第1ヘッダ集合管〉
図2及び図3に示すように、第1ヘッダ集合管(60)は、両端が閉塞された矩形管状の部材である。第1ヘッダ集合管(60)の長さ(高さ)は、風上列部(30)及び風下列部(40)の高さと概ね一致している。第1ヘッダ集合管(60)は、図2における室外熱交換器(23)の左端側に起立した姿勢で配置されている。また、第1ヘッダ集合管(60)は、風上列部(30)と風下列部(40)の両方に隣接している。
後述するように、第1ヘッダ集合管(60)には、風上列部(30)の扁平管(31)と風下列部(40)の扁平管(41)とが接続されている。これら扁平管(31,41)の流体通路(100)は、第1ヘッダ集合管(60)の内部空間に連通している。
図6、図7、及び図9に示すように、第1ヘッダ集合管(60)の内部空間は、仕切板(61a)によって上下に仕切られている。仕切板(61a)の上側の空間は、風上主熱交換領域(35)及び風下主熱交換領域(45)に対応する上側空間(62)である。仕切板(61a)の下側の空間は、風上補助熱交換領域(37)及び風下補助熱交換領域(47)に対応する下側空間(63)である。
上側空間(62)は、上側空間(62)を横断する仕切板(61c)によって、風上主熱交換領域(35)を構成する扁平管(31)の本数、及び風下主熱交換領域(45)を構成する扁平管(41)の本数と同数(本実施形態では、七十二個)の主連結空間(64)に仕切られている。各主連結空間(64)には、風上主熱交換領域(35)を構成する扁平管(31)と、風下主熱交換領域(45)を構成する扁平管(41)とが、一本ずつ接続されている(図9を参照)。
下側空間(63)は、下側空間(63)を横断する仕切板(61b)によって、風上補助熱交換部(38a〜38f)及び風下補助熱交換部(48a〜48f)と同数(本実施形態では、六個)の補助連結空間(65a〜65f)に仕切られている。下側空間(63)では、下から上に向かって順に、第1補助連結空間(65a)と、第2補助連結空間(65b)と、第3補助連結空間(65c)と、第4補助連結空間(65d)と、第5補助連結空間(65e)と、第6補助連結空間(65f)とが配置されている。
各補助連結空間(65a〜65f)には、それに対応する風上補助熱交換部(38a〜38f)と風下補助熱交換部(48a〜48f)の扁平管(31,41)が接続されている。具体的に、第1補助連結空間(65a)には、第1風上補助熱交換部(38a)を構成する扁平管(31)と、第1風下補助熱交換部(48a)を構成する扁平管(41)とが接続されている。第2補助連結空間(65b)には、第2風上補助熱交換部(38b)を構成する扁平管(31)と、第2風下補助熱交換部(48b)を構成する扁平管(41)とが接続されている。第3補助連結空間(65c)には、第3風上補助熱交換部(38c)を構成する扁平管(31)と、第3風下補助熱交換部(48c)を構成する扁平管(41)とが接続されている。第4補助連結空間(65d)には、第4風上補助熱交換部(38d)を構成する扁平管(31)と、第4風下補助熱交換部(48d)を構成する扁平管(41)とが接続されている。第5補助連結空間(65e)には、第5風上補助熱交換部(38e)を構成する扁平管(31)と、第5風下補助熱交換部(48e)を構成する扁平管(41)とが接続されている。第6補助連結空間(65f)には、第6風上補助熱交換部(38f)を構成する扁平管(31)と、第6風下補助熱交換部(48f)を構成する扁平管(41)とが接続されている。
第1ヘッダ集合管(60)には、分流ユニット(66)が取り付けられている。分流ユニット(66)は、短い円筒状に形成され、第1ヘッダ集合管(60)の下部に沿って起立した姿勢で配置される(図2を参照)。この分流ユニット(66)は、補助連結空間(65a〜65f)と同数(本実施形態では、六本)の液側接続管(67a〜67f)を介して第1ヘッダ集合管(60)に接続される。また、分流ユニット(66)は、配管(17)を介して膨張弁(24)に接続され、この配管(17)を六本の液側接続管(67a〜67f)と連通させる。
分流ユニット(66)と第1ヘッダ集合管(60)を接続する液側接続管(67a〜67f)は、それぞれが対応する補助連結空間(65a〜65f)と連通する。つまり、第1液側接続管(67a)は第1補助連結空間(65a)に、第2液側接続管(67b)は第2補助連結空間(65b)に、第3液側接続管(67c)は第3補助連結空間(65c)に、第4液側接続管(67d)は第4補助連結空間(65d)に、第5液側接続管(67e)は第5補助連結空間(65e)に、第6液側接続管(67f)は第6補助連結空間(65f)に、それぞれ連通する。
〈第2ヘッダ集合管〉
図2及び図3に示すように、第2ヘッダ集合管(70)は、両端が閉塞された円管状の部材である。第2ヘッダ集合管(70)の長さ(高さ)は、風上列部(30)の高さと概ね一致している。第2ヘッダ集合管(70)は、図2における室外熱交換器(23)の右端側に起立した姿勢で配置されている。また、第2ヘッダ集合管(70)は、風上列部(30)に隣接している。
後述するように、第2ヘッダ集合管(70)には、風上列部(30)の扁平管(31)が接続されている。これら扁平管(31)の流体通路(100)は、第2ヘッダ集合管(70)の内部空間に連通している。また、第2ヘッダ集合管(70)には、ガス側接続管(76)が設けられている。ガス側接続管(76)は、配管(18)を介して四方切換弁(22)に接続される。
図6に示すように、第2ヘッダ集合管(70)の内部空間は、仕切板(71a)によって上下に仕切られている。仕切板(71a)の上側の空間は、風上主熱交換領域(35)に対応する上側空間(72)である。仕切板(71a)の下側の空間は、風上補助熱交換領域(37)に対応する下側空間(73)である。
上側空間(72)は、一つの連続した空間であって、風上主熱交換領域(35)を構成する全ての扁平管(31)と連通する。また、上側空間(72)には、ガス側接続管(76)が連通する。ガス側接続管(76)は、上側空間(72)の上下方向の概ね中央に接続している。
下側空間(73)は、下側空間(73)を横断する仕切板(71b)によって、風上補助熱交換部(38a〜38f)と同数(本実施形態では、六個)の風上補助空間(75a〜75f)に仕切られている。下側空間(73)では、下から上に向かって順に、第1風上補助空間(75a)と、第2風上補助空間(75b)と、第3風上補助空間(75c)と、第4風上補助空間(75d)と、第5風上補助空間(75e)と、第6風上補助空間(75f)とが配置されている。
各風上補助空間(75a〜75f)には、それに対応する風上補助熱交換部(38a〜38f)の扁平管(31)が接続されている。具体的に、第1風上補助空間(75a)には、第1風上補助熱交換部(38a)を構成する扁平管(31)が接続されている。第2風上補助空間(75b)には、第2風上補助熱交換部(38b)を構成する扁平管(31)が接続されている。第3風上補助空間(75c)には、第3風上補助熱交換部(38c)を構成する扁平管(31)が接続されている。第4風上補助空間(75d)には、第4風上補助熱交換部(38d)を構成する扁平管(31)が接続されている。第5風上補助空間(75e)には、第5風上補助熱交換部(38e)を構成する扁平管(31)が接続されている。第6風上補助空間(75f)には、第6風上補助熱交換部(38f)を構成する扁平管(31)が接続されている。
第2ヘッダ集合管(70)には、風上補助熱交換部(38a〜38f)と同数(本実施形態では、六本)の接続用配管(91〜96)が取り付けられている。詳しくは後述するが、第1接続用配管(91)は第6風上補助空間(75f)に、第2接続用配管(92)は第5風上補助空間(75e)に、第3接続用配管(93)は第4風上補助空間(75d)に、第4接続用配管(94)は第3風上補助空間(75c)に、第5接続用配管(95)は第2風上補助空間(75b)に、第6接続用配管(96)は第1風上補助空間(75a)に、それぞれ接続されている。
〈第3ヘッダ集合管〉
図2及び図3に示すように、第3ヘッダ集合管(80)は、両端が閉塞された円管状の部材である。第3ヘッダ集合管(80)の長さ(高さ)は、風下列部(40)の高さと概ね一致している。第3ヘッダ集合管(80)は、図2における室外熱交換器(23)の右端側に起立した姿勢で配置されている。また、第3ヘッダ集合管(80)は、風下列部(40)に隣接している。
後述するように、第3ヘッダ集合管(80)には、風下列部(40)の扁平管(41)が接続されている。これら扁平管(41)の流体通路(100)は、第3ヘッダ集合管(80)の内部空間に連通している。
図7に示すように、第3ヘッダ集合管(80)の内部空間は、仕切板(81a)によって上下に仕切られている。仕切板(81a)の上側の空間は、風下主熱交換領域(45)に対応する上側空間(82)である。仕切板(81a)の下側の空間は、風下補助熱交換領域(47)に対応する下側空間(83)である。
上側空間(82)は、上側空間(82)を横断する仕切板(81c)によって、風下主熱交換部(46a〜46f)と同数(本実施形態では、六個)の風下主空間(84a〜84f)に仕切られている。上側空間(82)では、下から上に向かって順に、第1風下主空間(84a)と、第2風下主空間(84b)と、第3風下主空間(84c)と、第4風下主空間(84d)と、第5風下主空間(84e)と、第6風下主空間(84f)とが配置されている。
各風下主空間(84a〜84f)には、それに対応する風下主熱交換部(46a〜46f)の扁平管(41)が接続されている。具体的に、第1風下主空間(84a)には、第1風下主熱交換部(46a)を構成する扁平管(41)が接続されている。第2風下主空間(84b)には、第2風下主熱交換部(46b)を構成する扁平管(41)が接続されている。第3風下主空間(84c)には、第3風下主熱交換部(46c)を構成する扁平管(41)が接続されている。第4風下主空間(84d)には、第4風下主熱交換部(46d)を構成する扁平管(41)が接続されている。第5風下主空間(84e)には、第5風下主熱交換部(46e)を構成する扁平管(41)が接続されている。第6風下主空間(84f)には、第6風下主熱交換部(46f)を構成する扁平管(41)が接続されている。
下側空間(83)は、下側空間(83)を横断する仕切板(81b)によって、風下補助熱交換部(48a〜48f)と同数(本実施形態では、六個)の風下補助空間(85a〜85f)に仕切られている。下側空間(83)では、下から上に向かって順に、第1風下補助空間(85a)と、第2風下補助空間(85b)と、第3風下補助空間(85c)と、第4風下補助空間(85d)と、第5風下補助空間(85e)と、第6風下補助空間(85f)とが配置されている。
各風下補助空間(85a〜85f)には、それに対応する風下補助熱交換部(48a〜48f)の扁平管(41)が接続されている。具体的に、第1風下補助空間(85a)には、第1風下補助熱交換部(48a)を構成する扁平管(41)が接続されている。第2風下補助空間(85b)には、第2風下補助熱交換部(48b)を構成する扁平管(41)が接続されている。第3風下補助空間(85c)には、第3風下補助熱交換部(48c)を構成する扁平管(41)が接続されている。第4風下補助空間(85d)には、第4風下補助熱交換部(48d)を構成する扁平管(41)が接続されている。第5風下補助空間(85e)には、第5風下補助熱交換部(48e)を構成する扁平管(41)が接続されている。第6風下補助空間(85f)には、第6風下補助熱交換部(48f)を構成する扁平管(41)接続されている。
第3ヘッダ集合管(80)には、風下主熱交換部(46a〜46f)及び風下補助熱交換部(48a〜48f)と同数(本実施形態では、六本)の接続用配管(91〜96)が取り付けられている。上述したように、接続用配管(91〜96)は、第2ヘッダ集合管(70)にも接続されている。各接続用配管(91〜96)は、対応する風上補助空間(75a〜75f)と風下補助空間(85a〜85f)を互いに連通させると共に、対応する風下補助空間(85a〜85f)と風下主空間(84a〜84f)を互いに連通させる。
各接続用配管(91〜96)は、主管部(91a〜96a)と分岐管部(91b〜96b)とを備えている。第1接続用配管(91)は、主管部(91a)の一端が第6風下補助空間(85f)に、主管部(91a)の他端が第1風下主空間(84a)にそれぞれ接続し、分岐管部(91b)の一端が第6風上補助空間(75f)に、分岐管部(91b)の他端が主管部(91a)にそれぞれ接続する。第2接続用配管(92)は、主管部(92a)の一端が第5風下補助空間(85e)に、主管部(92a)の他端が第2風下主空間(84b)にそれぞれ接続し、分岐管部(92b)の一端が第5風上補助空間(75e)に、分岐管部(92b)の他端が主管部(92a)にそれぞれ接続する。第3接続用配管(93)は、主管部(93a)の一端が第4風下補助空間(85d)に、主管部(93a)の他端が第3風下主空間(84c)にそれぞれ接続し、分岐管部(93b)の一端が第4風上補助空間(75d)に、分岐管部(93b)の他端が主管部(93a)にそれぞれ接続する。第4接続用配管(94)は、主管部(94a)の一端が第3風下補助空間(85c)に、主管部(94a)の他端が第4風下主空間(84d)にそれぞれ接続し、分岐管部(94b)の一端が第3風上補助空間(75c)に、分岐管部(94b)の他端が主管部(94a)にそれぞれ接続する。第5接続用配管(95)は、主管部(95a)の一端が第2風下補助空間(85b)に、主管部(95a)の他端が第5風下主空間(84e)にそれぞれ接続し、分岐管部(95b)の一端が第2風上補助空間(75b)に、分岐管部(95b)の他端が主管部(95a)にそれぞれ接続する。第6接続用配管(96)は、主管部(96a)の一端が第1風下補助空間(85a)に、主管部(96a)の他端が第6風下主空間(84f)にそれぞれ接続し、分岐管部(96b)の一端が第1風上補助空間(75a)に、分岐管部(96b)の他端が主管部(96a)にそれぞれ接続する。
〈熱交換部の配置〉
室外熱交換器(23)において、風上主熱交換領域(35)の各扁平管(31)は、第1ヘッダ集合管(60)に形成された主連通空間(64)を介して、空気の通過方向に隣接する風下主熱交換領域(45)の扁平管(41)と個別に連通している。従って、室外熱交換器(23)では、空気の通過方向に隣り合った風上主熱交換部(36a〜36f)と風下主熱交換部(46a〜46f)が対応し、対応する風上主熱交換部(36a〜36f)と風下主熱交換部(46a〜46f)が冷媒の流通経路において直列に配置される。
具体的に、室外熱交換器(23)における冷媒の流通経路では、対応する第1風上主熱交換部(36a)と第1風下主熱交換部(46a)が直列に配置され、対応する第2風上主熱交換部(36b)と第2風下主熱交換部(46b)が直列に配置され、対応する第3風上主熱交換部(36c)と第3風下主熱交換部(46c)が直列に配置され、対応する第4風上主熱交換部(36d)と第4風下主熱交換部(46d)が直列に配置され、対応する第5風上主熱交換部(36e)と第5風下主熱交換部(46e)が直列に配置され、対応する第6風上主熱交換部(36f)と第6風下主熱交換部(46f)が直列に配置される。
第1風上主熱交換部(36a)と第1風下主熱交換部(46a)は、第1主熱交換部群(56a)を構成する。第2風上主熱交換部(36b)と第2風下主熱交換部(46b)は、第2主熱交換部群(56b)を構成する。第3風上主熱交換部(36c)と第3風下主熱交換部(46c)は、第3主熱交換部群(56c)を構成する。第4風上主熱交換部(36d)と第4風下主熱交換部(46d)は、第4主熱交換部群(56d)を構成する。第5風上主熱交換部(36e)と第5風下主熱交換部(46e)は、第5主熱交換部群(56e)を構成する。第6風上主熱交換部(36f)と第6風下主熱交換部(46f)は、第6主熱交換部群(56f)を構成する。
室外熱交換器(23)において、各風上補助熱交換部(38a〜38f)の扁平管(31)の一端は、第1ヘッダ集合管(60)に形成された補助連結空間(65a〜65f)を介して、空気の通過方向に隣接する風下補助熱交換部(48a〜48f)の扁平管(41)の一端と連通している。また、各風上補助熱交換部(38a〜38f)の扁平管(31)の他端は、接続用配管(91〜96)を介して、空気の通過方向に隣接する風下補助熱交換部(48a〜48f)の扁平管(41)の他端と連通している。従って、室外熱交換器(23)では、空気の通過方向に隣り合った風上補助熱交換部(38a〜38f)と風下補助熱交換部(48a〜48f)が対応し、対応する風上補助熱交換部(38a〜38f)と風下補助熱交換部(48a〜48f)が冷媒の流通経路において並列に配置される。
具体的に、室外熱交換器(23)における冷媒の流通経路では、対応する第1風上補助熱交換部(38a)と第1風下補助熱交換部(48a)が並列に配置され、対応する第2風上補助熱交換部(38b)と第2風下補助熱交換部(48b)が並列に配置され、対応する第3風上補助熱交換部(38c)と第3風下補助熱交換部(48c)が並列に配置され、対応する第4風上補助熱交換部(38d)と第4風下補助熱交換部(48d)が並列に配置され、対応する第5風上補助熱交換部(38e)と第5風下補助熱交換部(48e)が並列に配置され、対応する第6風上補助熱交換部(38f)と第6風下補助熱交換部(48f)が並列に配置される。
第1風上補助熱交換部(38a)と第1風下補助熱交換部(48a)は、第1補助熱交換部群(58a)を構成する。第2風上補助熱交換部(38b)と第2風下補助熱交換部(48b)は、第2補助熱交換部群(58b)を構成する。第3風上補助熱交換部(38c)と第3風下補助熱交換部(48c)は、第3補助熱交換部群(58c)を構成する。第4風上補助熱交換部(38d)と第4風下補助熱交換部(48d)は、第4補助熱交換部群(58d)を構成する。第5風上補助熱交換部(38e)と第5風下補助熱交換部(48e)は、第5補助熱交換部群(58e)を構成する。第6風上補助熱交換部(38f)と第6風下補助熱交換部(48f)は、第6補助熱交換部群(58f)を構成する。
室外熱交換器(23)において、対応する風上補助空間(75a〜75f)と風下補助空間(85a〜85f)と風下主空間(84a〜84f)とは、接続用配管(91〜96)を介して互いに連通している。従って、室外熱交換器(23)では、対応する主熱交換部群(56a〜56f)と補助熱交換部群(58a〜58f)が、冷媒の流通経路において直列に配置される。
具体的に、室外熱交換器(23)における冷媒の流通経路では、対応する第1主熱交換部群(56a)と第6補助熱交換部群(58f)が直列に配置され、対応する第2主熱交換部群(56b)と第5補助熱交換部群(58e)が直列に配置され、対応する第3主熱交換部群(56c)と第4補助熱交換部群(58d)が直列に配置され、対応する第4主熱交換部群(56d)と第3補助熱交換部群(58c)が直列に配置され、対応する第5主熱交換部群(56e)と第2補助熱交換部群(58b)が直列に配置され、対応する第6主熱交換部群(56f)と第1補助熱交換部群(58a)が直列に配置される。
〈室外熱交換器における冷媒の流れ/蒸発器の場合〉
空気調和機(10)の暖房運転中には、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する。ここでは、暖房運転中における室外熱交換器(23)での冷媒の流れを説明する。なお、以下の説明に示す冷媒と空気の温度は、いずれも単なる一例である。
室外熱交換器(23)には、膨張弁(24)を通過する際に膨張して気液二相状態となった冷媒が、配管(17)を通じて供給される。図3及び図4に示すように、配管(17)から室外熱交換器(23)へ供給された気液二相状態の冷媒は、六つの補助熱交換部群(58a〜58f)に対して分配される。その後、冷媒は、対応する補助熱交換部群(58a〜58f)と主熱交換部群(56a〜56f)を順に通過する間に空気から吸熱して蒸発し、過熱状態(即ち、ガス単相状態)となってガス側接続管(76)から配管(18)へ流出してゆく。
具体的に、配管(17)から室外熱交換器(23)へ供給された冷媒は、分流ユニット(66)へ流入し、六つの液側接続管(67a〜67f)に対して概ね均等に分配される。液側接続管(67a〜67f)を通って第1ヘッダ集合管(60)の補助連結空間(65a〜65f)へ流入した冷媒は、各補助連結空間(65a〜65f)に連通する風上補助熱交換部(38a〜38f)の扁平管(31)と風下補助熱交換部(48a〜48f)の扁平管(41)とに対して、概ね均等に分配される。
風上補助熱交換部(38a〜38f)の扁平管(31)を通過した冷媒は、第2ヘッダ集合管(70)の風上補助空間(75a〜75f)へ流入する。風下補助熱交換部(48a〜48f)の扁平管(41)を通過した冷媒は、第3ヘッダ集合管(80)の風下補助空間(85a〜85f)へ流入する。風上補助空間(75a〜75f)の冷媒と風下補助空間(85a〜85f)の冷媒は、接続用配管(91〜96)へ流入して合流し、その後に第3ヘッダ集合管(80)の風下主空間(84a〜84f)へ流入する。
風下主空間(84a〜84f)の冷媒は、風下主空間(84a〜84f)に接続する風下主熱交換部(46a〜46f)の扁平管(41)に対して概ね均等に分配される。風下主熱交換部(46a〜46f)の扁平管(41)を通過した冷媒は、第1ヘッダ集合管(60)の主連結空間(64)を通って風上主熱交換部(36a〜36f)の扁平管(31)へ流入する。風上主熱交換部(36a〜36f)の扁平管(31)では、風下主熱交換部(46a〜46f)の扁平管(41)とは逆向きに冷媒が流れる。風上主熱交換部(36a〜36f)の扁平管(31)を通過した冷媒は、第2ヘッダ集合管(70)の上側空間(72)へ流入し、ガス側接続管(76)を通って室外熱交換器(23)から流出してゆく。
〈室外熱交換器における冷媒と空気の温度変化/蒸発器の場合〉
蒸発器として機能する室外熱交換器(23)における空気と冷媒の温度変化の一例を、図10に示す。
図10に示すように、風上補助熱交換領域(37)の扁平管(31)と、風下補助熱交換領域(47)の扁平管(41)とには、飽和温度1.5℃の気液二相状態の冷媒が流入する。風上補助熱交換領域(37)と風下補助熱交換領域(47)のそれぞれでは、冷媒が扁平管(31,41)を通過する際の圧力損失に起因して、冷媒の飽和温度が0.5℃にまで次第に低下する。
風上補助熱交換領域(37)と風下補助熱交換領域(47)から流出した気液二相状態(飽和温度0.5℃)の冷媒は、合流した後に風下主熱交換領域(45)の扁平管(41)と風上主熱交換領域(35)の扁平管(31)を順に通過する。冷媒の飽和温度は、冷媒が扁平管(41,31)を通過する際の圧力損失に起因して、0℃にまで次第に低下する。そして、冷媒は、風上主熱交換領域(35)の扁平管(31)の途中でガス単相状態となり、その温度が1℃にまで上昇した後に、風上主熱交換領域(35)の扁平管(31)から流出する。
一方、風上補助熱交換領域(37)と風上主熱交換領域(35)とには、7℃の空気が流入する。また、風下補助熱交換領域(47)には、風上補助熱交換領域(37)を通過する際に冷却された4℃の空気が流入し、風下主熱交換領域(45)には、風上主熱交換領域(35)を通過する際に冷却された3℃の空気が流入する。
このように、本実施形態の室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合は、室外熱交換器(23)の全体において冷媒の温度が空気の温度よりも低くなり、冷媒が空気から吸収する熱量(即ち、冷媒の吸熱量)が確保される。
ここで、風上補助熱交換領域(37)と風下補助熱交換領域(47)が冷媒の流通経路において直列に配置された熱交換器を比較例1とする。
この比較例1において、風上補助熱交換領域(37)及び風下補助熱交換領域(47)の扁平管(31,41)を流れる冷媒の流速は、本実施形態の2倍となり、冷媒が風上補助熱交換領域(37)及び風下補助熱交換領域(47)を通過する間の流通経路の長さも、本実施形態の2倍となる。流体が管路を通過する際の圧力損失は、流速の2乗に比例し、管路長に比例する。従って、この比較例1において、冷媒が風上補助熱交換領域(37)及び風下補助熱交換領域(47)を通過する間における圧力損失は、本実施形態の概ね8倍(=2×22)となる。
このため、風上補助熱交換領域(37)及び風下補助熱交換領域(47)を通過した冷媒の飽和温度を0.5℃にするためには、熱交換器へ流入する冷媒の飽和温度を1.5℃よりも大幅に引き上げる必要がある。その結果、この比較例1では、風上補助熱交換領域(37)及び風下補助熱交換領域(47)における冷媒と空気の温度差が本実施形態の室外熱交換器(23)に比べて小さくなり、風上補助熱交換領域(37)及び風下補助熱交換領域(47)における冷媒の吸熱量が本実施形態の室外熱交換器(23)に比べて少なくなる。
従って、本実施形態では、風上補助熱交換領域(37)及び風下補助熱交換領域(47)における冷媒の吸熱量が充分に確保され、室外熱交換器(23)の蒸発器としての性能が充分に発揮される。
また、本実施形態の室外熱交換器(23)では、冷媒の流通経路における最も下流に風上主熱交換領域(35)が配置されている。この風上主熱交換領域(35)は、室外熱交換器(23)における空気の通過方向における最上流に位置している。このため、風上主熱交換領域(35)へは、冷媒と熱交換する前の空気(図10に示す例では7℃の空気)が流入する。従って、本実施形態の室外熱交換器(23)では、風上主熱交換領域(35)を通過した冷媒(即ち、ガス側接続管(76)を通って室外熱交換器(23)から流出してゆく冷媒)が、確実に過熱状態(即ち、ガス単相状態)となる。
〈室外熱交換器における冷媒の流れ/凝縮器の場合〉
空気調和機(10)の冷房運転中には、室外熱交換器(23)が凝縮器として機能する。ここでは、冷房運転中における室外熱交換器(23)での冷媒の流れを説明する。なお、以下の説明に示す冷媒と空気の温度は、いずれも単なる一例である。
室外熱交換器(23)には、圧縮機(21)から吐出されたガス冷媒が、配管(18)を通じて供給される。図5に示すように、配管(18)からガス側接続管(76)へ供給された冷媒は、六つの主熱交換部群(56a〜56f)に対して分配される。その後、冷媒は、対応する主熱交換部群(56a〜56f)と補助熱交換部群(58a〜58f)を順に通過する間に空気へ放熱して凝縮し、過冷却状態(即ち、液単相状態)となって分流ユニット(66)から配管(17)へ流出してゆく。
具体的に、配管(18)から室外熱交換器(23)へ供給された冷媒は、第2ヘッダ集合管(70)の上側空間(72)へ流入し、六つの風上主熱交換部(36a〜36f)に対して概ね均等に分配される。風上主熱交換部(36a〜36f)の扁平管(31)を通過した冷媒は、第1ヘッダ集合管(60)の主連結空間(64)を通って風下主熱交換部(46a〜46f)の扁平管(41)へ流入する。風下主熱交換部(46a〜46f)の扁平管(41)では、風上主熱交換部(36a〜36f)の扁平管(31)とは逆向きに冷媒が流れる。風下主熱交換部(46a〜46f)の扁平管(41)を通過した冷媒は、第3ヘッダ集合管(80)の風下主空間(84a〜84f)から接続用配管(91〜96)へ流入し、第2ヘッダ集合管(70)の風上補助空間(75a〜75f)と第3ヘッダ集合管(80)の風下補助空間(85a〜85f)とに対して概ね均等に分配される。
第2ヘッダ集合管(70)の風上補助空間(75a〜75f)へ流入した冷媒は、風上補助熱交換部(38a〜38f)の扁平管(31)へ流入する。第3ヘッダ集合管(80)の風下補助空間(85a〜85f)へ流入した冷媒は、風下補助熱交換部(48a〜48f)の扁平管(41)へ流入する。風上補助熱交換部(38a〜38f)の扁平管(31)を通過した冷媒と、風下補助熱交換部(48a〜48f)の扁平管(41)を通過した冷媒とは、第1ヘッダ集合管(60)の補助連結空間(65a〜65f)へ流入して合流し、その後に分流ユニット(66)を通過して配管(17)へと流出してゆく。
〈室外熱交換器における冷媒と空気の温度変化/凝縮器の場合〉
凝縮器として機能する室外熱交換器(23)における空気と冷媒の温度変化の一例を、図11に示す。
図11に示すように、風上主熱交換領域(35)の扁平管(31)には、55℃の過熱状態のガス冷媒が流入する。この冷媒は、風上主熱交換領域(35)の扁平管(31)の途中で50℃の飽和状態のガス冷媒となり、その後に次第に凝縮してゆく。風上主熱交換領域(35)及び風下主熱交換領域(45)では、冷媒が扁平管(31,41)を通過する際の圧力損失に起因して、冷媒の飽和温度が次第に低下する。
風下主熱交換領域(45)から流出した冷媒は、その概ね半分が風上補助熱交換領域(37)へ流入し、残りが風下補助熱交換領域(47)へ流入する。風下補助熱交換領域(47)の扁平管(41)を流れる冷媒は、液単相状態の飽和冷媒(飽和温度49.5℃)となり、その後、更に放熱して過冷却状態となり、温度が46℃の液冷媒となって風下補助熱交換領域(47)から流出する。一方、風上補助熱交換領域(37)の扁平管(31)を流れる冷媒は、液単相状態の飽和冷媒(飽和温度49.5℃)となり、その後、更に放熱して過冷却状態となり、温度が40℃の液冷媒となって風上補助熱交換領域(37)から流出する。風下補助熱交換領域(47)から流出した冷媒と、風上補助熱交換領域(37)から流出した冷媒とは、合流した後に室外熱交換器(23)から流出してゆく。
一方、風上主熱交換領域(35)と風上補助熱交換領域(37)には、35℃の空気が流入する。また、風下主熱交換領域(45)には、風上主熱交換領域(35)を通過する際に加熱された45℃の空気が流入し、風下補助熱交換領域(47)には、風上補助熱交換領域(37)を通過する際に加熱された40℃の空気が流入する。
このように、本実施形態の室外熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合は、室外熱交換器(23)の全体において冷媒の温度が空気の温度よりも高くなり、冷媒が空気へ放出する熱量(即ち、冷媒の放熱量)が確保される。
ここで、冷媒の流通経路において風上補助熱交換領域(37)が風下補助熱交換領域(47)の下流に配置された熱交換器を比較例2とする。
この比較例2では、風下補助熱交換領域(47)において放熱した後に風上補助熱交換領域(37)へ流入した冷媒が、冷媒によって加熱される前の空気(図11の例では35℃の空気)と熱交換する。従って、比較例2の熱交換器では、風上補助熱交換領域(37)から流出する冷媒の過冷却度が充分に確保される。
上述したように、本実施形態の室外熱交換器(23)では、風上補助熱交換領域(37)と風下補助熱交換領域(47)が冷媒の流通経路において並列に配置されており、風上補助熱交換領域(37)と風下補助熱交換領域(47)のそれぞれにおける冷媒の流量は、比較例2の場合の概ね半分となる。このため、風上補助熱交換領域(37)から流出する冷媒の温度は、比較例2において風上補助熱交換領域(37)から流出する冷媒の温度よりも低くなる。
上述したように、本実施形態の室外熱交換器(23)では、風下補助熱交換領域(47)から流出した冷媒(即ち、比較例2の熱交換器から流出する冷媒よりも高温の冷媒)と、風上補助熱交換領域(37)から流出した冷媒(即ち、比較例2の熱交換器から流出する冷媒よりも低温の冷媒)とが合流した後に室外熱交換器(23)から流出してゆく。従って、凝縮器として機能する本実施形態の室外熱交換器(23)から流出する冷媒の温度(即ち、過冷却度)は、比較例2の熱交換器と同程度となる。
−実施形態の効果−
本実施形態では、室外熱交換器(23)が風上列部(30)と風下列部(40)に区分され、各列部(30,40)が主熱交換領域(35,45)と補助熱交換領域(37,47)に区分される。そして、この実施形態の室外熱交換器(23)では、冷媒の流通経路において、各列部(30,40)の主熱交換領域(35,45)が互いに直列に配置され、各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)が互いに並列に配置される。
本実施形態の室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合は、室外熱交換器(23)へ流入する冷媒が風上補助熱交換領域(37)と風下補助熱交換領域(47)へ分配される。このため、冷媒が補助熱交換領域(37,47)を通過する間における圧力損失を低く抑えることによって、補助熱交換領域(37,47)における冷媒と空気の温度差を確保でき、その結果、補助熱交換領域(37,47)における冷媒の吸熱量を確保できる。また、本実施形態の室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合は、最も風上に位置する風上列部(30)の風上主熱交換領域(35)が、冷媒の流通経路における最も下流に位置する。このため、風上主熱交換領域(35)において冷媒を完全に蒸発させることができ、室外熱交換器(23)から流出する冷媒を確実に過熱状態とすることができる。従って、本実施形態によれば、蒸発器として機能する際の室外熱交換器(23)の性能を充分に発揮させることができる。
本実施形態の室外熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合、最も風下に位置する風下列部(40)の風下主熱交換領域(45)を通過した冷媒は、各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)へ分配され、各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)を通過後に合流する。このため、凝縮器として機能する室外熱交換器(23)から流出した冷媒の過冷却度を、上述した比較例2の熱交換器から流出した冷媒の過冷却度と同等に保つことができる。従って、本実施形態によれば、凝縮器として機能する際の室外熱交換器(23)の性能を充分に発揮させることができる。
−実施形態の変形例1−
本実施形態の室外熱交換器(23)では、風上列部(30)がフィン(32)を備えて風下列部(40)がフィン(42)を備えているが、風上列部(30)と風下列部(40)が一つのフィン(52)を共有していてもよい。ここでは、本変形例の室外熱交換器(23)について図2〜図9に示す上記実施形態の室外熱交換器(23)と異なる点を説明する。
図12に示すように、本変形例の室外熱交換器(23)では、扁平管(31,41)の軸方向に多数のフィン(52)が一定の間隔で配置され、風上列部(30)の扁平管(31)と風下列部(40)の扁平管(41)の両方が、各フィン(52)の管挿入部(117)に差し込まれる。風上列部(30)の扁平管(31)と風下列部(40)の扁平管(41)の間には、僅かな隙間が形成される。そして、本変形例の室外熱交換器(23)では、フィン(52)のうち風上寄りに位置する部分(図12における二点鎖線よりも右側の部分)と扁平管(31)とが風上列部(30)を構成し、フィン(52)のうち風下寄りに位置する部分(図12における二点鎖線よりも左側の部分)と扁平管(41)とが風下列部(40)を構成する。
更に、本変形例の室外熱交換器(23)では、図13に示すように、風上列部(30)と風下列部(40)が一つの扁平管(51)を共有していてもよい。この場合は、各フィン(52)の管挿入部(117)に扁平管(51)が差し込まれる。そして、フィン(52)及び扁平管(51)のうち風上寄りに部分(図13における二点鎖線よりも右側の部分)が風上列部(30)を構成し、フィン(52)及び扁平管(51)のうち風下寄りに位置する部分(図13における二点鎖線よりも左側の部分)が風下列部(40)を構成する。
−実施形態の変形例2−
本実施形態の室外熱交換器(23)では、各列部(30,40)の主熱交換領域(35,45)に形成された主熱交換部の数が、各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)に形成された補助熱交換部の数と異なっていてもよい。ここでは、本変形例の室外熱交換器(23)について図2〜図9に示す上記実施形態の室外熱交換器(23)と異なる点を説明する。
図14に示す本変形例の室外熱交換器(23)では、各列部(30,40)の主熱交換領域(35,45)が六つの主熱交換部(36a〜36f, 46a〜46f)に区分され、各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)が三つの補助熱交換部(38a〜38f, 48a〜48f)に区分されている。
それに伴い、第1ヘッダ集合管(60)では、下側空間(63)が三つの補助連結空間(65a,65b,65c)に区分され、第2ヘッダ集合管(70)では、下側空間(73)が三つの風上補助空間(75a,75b,75c)に区分され、第3ヘッダ集合管(80)では、下側空間(83)が三つの風下補助空間(85a,85b,85c)に区分される。また、本変形例の室外熱交換器(23)では、第4〜第6接続用配管(94,95,96)が省略されている。
第1接続用配管(91)の主管部(91a)は、他端側の部分が二つに分岐しており、分岐した一方が第1風下主熱交換部(46a)に対応する第1風下主空間(84a)に、他方が第2風下主熱交換部(46b)に対応する第2風下主空間(84b)にそれぞれ接続される。第2接続用配管(92)の主管部(92a)は、他端側の部分が二つに分岐しており、分岐した一方が第3風下主熱交換部(46c)に対応する第3風下主空間(84c)に、他方が第4風下主熱交換部(46d)に対応する第4風下主空間(84d)にそれぞれ接続される。第3接続用配管(93)の主管部(93a)は、他端側の部分が二つに分岐しており、分岐した一方が第5風下主熱交換部(46e)に対応する第5風下主空間(84e)に、他方が第6風下主熱交換部(46f)に対応する第6風下主空間(84f)にそれぞれ接続される。
このように、図14に示す本変形例の室外熱交換器(23)における冷媒の流通経路では、第1補助熱交換部群(58a)が第1主熱交換部群(56a)と第2主熱交換部群(56b)の両方に接続され、第2補助熱交換部群(58b)が第3主熱交換部群(56c)と第4主熱交換部群(56d)の両方に接続され、第3補助熱交換部群(58c)が第5主熱交換部群(56e)と第6主熱交換部群(56f)の両方に接続される。
−実施形態の変形例3−
本実施形態の室外熱交換器(23)は、三つ以上の列部に区分されていてもよい。ここでは、本変形例の室外熱交換器(23)について図2〜図9に示す上記実施形態の室外熱交換器(23)と異なる点を説明する。
図15に示す本変形例の室外熱交換器(23)は、風上列部(30)と中間列部(120)と風下列部(40)とに区分されている。風上列部(30)と中間列部(120)と風下列部(40)とは、空気の通過方向における上流側から下流側へ向かって順に配置されている。
図示しないが、中間列部(120)は、風上列部(30)及び風下列部(40)と同様に、フィンと扁平管とを備えている。風上列部(30)及び風下列部(40)と同様に、この中間列部(120)は、上側に位置する中間主熱交換領域(125)と、下側に位置する中間補助熱交換領域(127)とに区分されている。風上主熱交換領域(35)及び風下主熱交換領域(45)と同様に、中間主熱交換領域(125)は、六つの中間主熱交換部(126a〜126f)に区分されている。風上補助熱交換領域(37)及び風下補助熱交換領域(47)と同様に、中間補助熱交換領域(127)は、六つの中間補助熱交換部(128a〜128f)に区分されている。
本変形例の室外熱交換器(23)では、各列部(30,40,120)の主熱交換部(36a〜36f,46a〜46f,126a〜126f)が一つずつ対応し、対応する主熱交換部(36a〜36f,46a〜46f,126a〜126f)が冷媒の流通経路において直列に配置されて主熱交換部群(56a〜56f)を構成する。また、この室外熱交換器(23)では、各列部(30,40,120)の補助熱交換部(38a〜38f,48a〜48f,128a〜128f)が一つずつ対応し、対応する補助熱交換部(38a〜38f,48a〜48f,128a〜128f)が冷媒の流通経路において並列に配置されて補助熱交換部群(58a〜58c)を構成する。
本変形例の室外熱交換器(23)では、風上主熱交換領域(35)における冷媒の流通方向が中間主熱交換領域(125)における冷媒の流通方向と逆向きとなり、中間主熱交換領域(125)における冷媒の流通方向が風下主熱交換領域(45)における冷媒の流通方向と逆向きとなる。なお、図15に示す矢印は、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能している場合の冷媒の流通方向を示す。室外熱交換器(23)が凝縮器として機能している場合の冷媒の流通方向は、図15に示す矢印とは反対方向となる。
−実施形態の変形例4−
本実施形態の室外熱交換器(23)は、横幅方向における一箇所または複数箇所で曲がった形状となっていてもよい。図16に示す室外熱交換器(23)は、上から見てL字状となるように、横幅方向における一箇所で概ね90°曲がった形状となっている。
−実施形態の変形例5−
本実施形態の室外熱交換器(23)は、板状のフィン(32,42,52)に代えて波形のフィンが設けられていてもよい。このフィンは、いわゆるコルゲートフィンであって、上下に蛇行する波形に形成されている。そして、この波形のフィンは、上下に隣り合った扁平管(31,41,51)の間に一つずつ配置される。
−実施形態の変形例6−
上記の実施形態は、本発明の熱交換器によって構成された空気調和機(10)の室外熱交換器(23)であるが、本発明の熱交換器の用途は室外熱交換器(23)に限定されない。つまり、例えば、空気調和機(10)の室内熱交換器(25)を本発明の熱交換器によって構成してもよい。
例えば、四方へ空気を吹き出す天井設置形の室内ユニットでは、通常、平面視でロ字状に曲げられた熱交換器がファンの周囲を囲むように配置される。このため、この種の室内ユニットの室内熱交換器として扁平管とフィンを備えた熱交換器を用いる場合には、扁平管の長さが長くなるため、冷媒が熱交換器を通過する際の圧力損失を抑えるための工夫が必要になる可能性が高い。
これに対し、本発明の熱交換器では、各列部の補助熱交換領域が互いに並列に配置されているため、各列部の補助熱交換領域が直列に配置されている場合に比べ、冷媒が補助熱交換領域を通過する間における圧力損失を低く抑えることができる。従って、本発明の熱交換器は、空気調和機(10)の室内熱交換器(25)にも適している。