JP2016159766A - 電子制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両に搭載される電子制御装置であって、使用環境に応じて正確に寿命を判定するための指標を算出することができる電子制御装置を提供する。
【解決手段】温度センサ22は、複数のサンプリング時刻においてマイクロコンピュータ20の温度を検出し、CPU21は、所定期間毎に温度センサ22が検出する温度の変化量に基づいて、マイクロコンピュータ20の寿命及びマイクロコンピュータ20と基板11との間の接続部における寿命の少なくとも一方に影響を与えるストレス量Sを算出するとともに、ストレス量Sを合計した合計ストレス量Sallを算出する。メモリ23は、合計ストレス量Sallを記憶する。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両に搭載される電子制御装置に関する。
車両に搭載されるセンサやアクチュエータといった機器の多くが、電子制御装置によって電気的に制御されている。近年の車両の複雑化に伴い、車両に搭載される機器の数は増加する傾向にある。このため、電子制御装置を搭載可能なスペースも制約され、電子制御装置がエンジンルーム内に配置されることも少なくない。電子制御装置がエンジンECU(Electronic Control Unit)である場合、当該電子制御装置をエンジンルーム内に配置することでエンジンまでの距離が短くなるため、それらを電気的に接続するためのハーネス類を少なくする上で有利となる。
しかしながら、エンジンルーム内の温度は時間とともに大きく変化するため、電子制御装置のような精密機器の配置に適した空間とは言い難い。すなわち、エンジンルーム内の温度変化に伴い、電子制御装置が備えているマイクロコンピュータや、マイクロコンピュータと基板との間の接合部分などに熱応力が繰り返し発生し、それらの劣化が促進されて損傷に至るおそれがある。近年は基板の高密度化が進んでおり、電子部品の端子の間隔も小さくなる傾向にある。このため、基板に対して電子部品の端子を接合できる範囲も限られ、熱応力による破損の懸念がますます増大しているのが現状である。
下記特許文献1には、このような熱応力の影響を受ける電子部品等の寿命を判定する装置が記載されている。当該装置は、電力の供給開始時から動作時までの温度変化に基づいて電子部品等に発生する熱応力を検出するとともに、これを用いて電子部品等の寿命を判定するものである。
特開2002−122640号公報
上記特許文献1記載の装置は、電力の供給開始に起因する熱応力に基づいて寿命の判定を行っている。しかしながら、実際に電子部品等が使用される環境は多種多様であり、前述したエンジンECUなどでは、高温のエンジンから受ける熱に起因する熱応力も存在する。
このように、上記特許文献1記載に記載された手法では、マイクロコンピュータ等の寿命の判定が困難な場合があり、実際の使用環境に応じて適切に寿命の判定を行うことができる電子制御装置が待望されていた。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両に搭載される電子制御装置であって、使用環境に応じて正確に寿命を判定するための指標を算出することができる電子制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る電子制御装置は、車両(100)に搭載される電子制御装置(10,10A,10B)であって、電子部品が接続される基板(11)と、前記基板に接続されたマイクロコンピュータ(20)であって、演算を行う演算部(21,21A,21B)と、前記マイクロコンピュータの温度を検出する温度検出部(22)と、情報を記憶する記憶部(23)と、を有する前記マイクロコンピュータと、を備え、前記温度検出部は、複数のサンプリング時刻において温度を検出し、前記演算部は、所定期間毎に前記温度検出部が検出する温度の変化量に基づいて、前記マイクロコンピュータの寿命及び前記マイクロコンピュータと前記基板との間の接続部における寿命の少なくとも一方に影響を与えるストレス量(S)を算出するとともに、前記ストレス量を合計した合計ストレス量(Sall)を算出し、前記記憶部は、前記合計ストレス量を記憶する。
本発明では、所定期間毎のマイクロコンピュータの温度の変化量に基づいて、ストレス量を算出する。当該ストレス量は、マイクロコンピュータの寿命及びマイクロコンピュータと基板との間の接続部における寿命の少なくとも一方に影響を与える指標である。更に、本発明は、このストレス量を合計した指標である合計ストレス量を算出し、記憶部に記憶する。
したがって、本発明によれば、この記憶部に記憶された合計ストレス量を用いることで、マイクロコンピュータの寿命及びマイクロコンピュータと基板との間の接続部における寿命の少なくとも一方の判定を、実際にマイクロコンピュータに生じた温度変化に基づいて正確に行うことができる。例えば、電子制御装置の内部において、この合計ストレス量が予め定められた閾値に達した場合に外部への報知を行い、車両の使用者に点検等の対応を促すことが可能となる。また、外部ツールによってこの合計ストレス量を記憶部から読み出し、当該外部ツールや他の解析ツールによって、マイクロコンピュータ等の寿命を判定することが可能となる。
本発明によれば、車両に搭載される電子制御装置であって、使用環境に応じて正確に寿命を判定するための指標を算出することができる電子制御装置を提供することが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る電子制御装置が搭載された車両を示すブロック図である。 図1に示される温度センサによって検出される温度の変化を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係る電子制御装置の温度センサによって検出される温度の変化を示すグラフである。 本発明の第3実施形態に係る電子制御装置の温度センサによって検出される温度の変化を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の第1実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1を参照しながら本発明の第1実施形態で係るECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)10について説明する。ECU10は、車両100に搭載され、内燃機関であるエンジン200を制御する電子部品である。
ECU10は、車両100のエンジンルーム内に、エンジン200とともに配置されている。ECU10は、基板11と、マイクロコンピュータ20と、を有している。
また、ECU10は、回転センサ12と、エアフロセンサ13と、水温センサ14と、スロットルセンサ15と、O2センサ16と、の各種センサと接続されている。回転センサ12は、エンジン200の回転数を検出する。エアフロセンサ13は、吸気管(不図示)によってエンジン200に取り込まれる空気の量を検出する。水温センサ14は、エンジン200を冷却する冷却水の温度を検出する。スロットルセンサ15は、吸気管に設けられるスロットルバルブ(不図示)の開度を検出する。O2センサ16は、エンジン200から排出される排出ガス中の酸素濃度を検出する。各種センサは、その検出値に対応する信号をECU10に送信する。
また、ECU10は、イグニションスイッチ17と電気的に接続されている。イグニションスイッチ17は、車両100の使用者によるオン動作及びオフ動作に基づいて、ECU10に信号を送信する。
さらに、ECU10は、MIL(Malfunction Indication Lamp)18と電気的に接続されている。MIL18は、車両100のインストルメンタルパネル等に設けられており、車両100に搭載された機器に異常が発生している場合に点灯する。
基板11は、その表面に電子部品を実装するプリント基板である。基板11は複数の電子部品を実装しているが、説明の簡便のため、図1ではマイクロコンピュータ20のみを図示し、他の電子部品の図示を省略している。基板11は、全体として平板状に形成され、その表面に複数の配線(不図示)がプリントされている。各電子部品は、その複数の端子(不図示)が各配線に対してはんだによって接合されている。
マイクロコンピュータ20は、基板11の表面にはんだによって接合された電子部品である。マイクロコンピュータ20は、CPU21と、温度センサ22と、メモリ23と、を有している。
CPU21は、メモリ23に記憶された制御プログラムに従って演算を行う演算処理装置である。CPU21は、車両100に搭載された回転センサ12等の各種センサが検出する値や、イグニションスイッチ17のオン状態又はオフ状態への切り替えに関する情報に基づいて演算を行う。当該演算は、エンジン200への燃料の供給量や、その燃料の点火タイミング等に関するものである。エンジン200は、このCPU21の演算結果に基づいて制御される。
温度センサ22は、所定のサンプリング周期でマイクロコンピュータ20の温度の検出を行う。温度センサ22は、出力する電力の電圧が温度依存性を有しており、マイクロコンピュータ20の温度が高くなるほど、電圧値も高くなる。
メモリ23は、情報の書き込み及び読み出しが可能な記憶装置である。メモリ23は、温度センサ22による検出温度24を記憶する。また、メモリ23は、後述するように、CPU21が検出温度24に基づいて算出したストレス量Sや合計ストレス量Sallを記憶する。
次に、ストレス量S及び合計ストレス量Sallについて説明する。
ある製品において、時間の変化とともにΔT1の温度変化が生じる場合、当該製品の寿命(破損に至るまでの温度サイクル数)N1は、次式f1のように表すことができる。尚、「温度サイクル」とは、製品の温度がある値からΔT1だけ上昇又は下降し、その後、元の温度程度に戻るまでの期間を1サイクルとする温度変化の繰り返しをいう。
Figure 2016159766
これに対して、本願におけるストレス量Sとは、温度の変化量がΔT1である1つ温度サイクルが、この寿命N1に与える影響の度合をいう。この温度サイクルによるストレス量Sは、次式f2のように表すことができる。
Figure 2016159766
本願における合計ストレス量Sallとは、全ての温度サイクルにおけるストレス量Sを合計することで得られる値をいう。この合計ストレス量Sallについて次式f3が成立した場合に、製品が寿命に至ることになる。
Figure 2016159766
次に、図2を参照しながら、ECU10によるストレス量S及び合計ストレス量Sallの算出方法について具体的に説明する。図2は、温度センサ22によって検出されたマイクロコンピュータ20の温度の時間変化を示している。
前述したように、温度センサ22は、所定のサンプリング周期でマイクロコンピュータ20の温度の検出を行う。すなわち、温度センサ22は、図2で時刻t1から時刻t6に示されているように、一定の時間間隔でマイクロコンピュータ20の温度を検出し、当該検出温度24をメモリ23に記憶させている。
時刻t1よりも前であって、車両100が駐車している状態、すなわち、エンジン200が駆動していない状態では、マイクロコンピュータ20の温度はT1である。
時刻t1は、車両100の使用者によってイグニションスイッチ17がオフ状態からオン状態に切り替えられた時刻である。これにより、ECU10等の機器への電力供給が開始され、ECU10がエンジン200の駆動を開始させる。駆動を開始したエンジン200は、燃料の燃焼熱によって時間とともに昇温する。また、この時刻t1において、温度センサ22はマイクロコンピュータ20の温度T1を検出し、メモリ23に記憶させる。すなわち、時刻t1がイグニションスイッチ17の切り替え後の最初のサンプリング時刻となる。
その後、エンジン200の昇温に伴い、エンジンルーム内に配置されたマイクロコンピュータ20の温度も上昇する。また、車両100が走行を開始し、車両100が登坂する際などに燃料の供給量が増加され燃焼が活発に行われることで、エンジン200及びマイクロコンピュータ20の温度は更に上昇する。温度センサ22は、上昇するマイクロコンピュータ20の温度を時刻t2,t3において検出し、その温度T2,T4をメモリ23に記憶させる。
このようにして上昇したマイクロコンピュータ20の温度は、その後、エンジン200の温度の変化に追従するようにして、概ね所定範囲内で変化する。図2に示される例では、マイクロコンピュータ20の温度は、時刻t4において最高値である温度T6となった後、時刻t5,t6において温度T5,T3と下降している。
時刻t7は、車両100の使用者によってイグニションスイッチ17がオン状態からオフ状態に切り替えられた時刻である。これにより、ECU10等の機器への電力供給が停止され、ECU10がエンジン200を停止させる。停止したエンジン200の温度は、停止後もしばらく行われる冷却水による冷却や、自然放熱によって、時間とともに下降する。
時刻t8は、車両100の使用者によってイグニションスイッチ17がオフ状態からオン状態に切り替えられた時刻である。これにより、ECU10等の機器への電力供給が開始され、ECU10がエンジン200の駆動を開始させる。すなわち、時刻t8は、時刻t1後に最初にECU10に電力の供給を開始した時刻である。また、この時刻t8において、温度センサ22はマイクロコンピュータ20の温度T2を検出し、メモリ23に記憶させる。
尚、ここで、時刻t8におけるマイクロコンピュータ20の温度T2は、時刻t8と同様にイグニションスイッチ17がオフ状態からオン状態に切り替えられた時刻t1における温度T1と異なっている。これは、イグニションスイッチ17がオフ状態からオン状態に切り替えられた時刻におけるマイクロコンピュータ20の温度は、その際の外気温や、前回エンジン200を停止させた時点からの経過時間など、種々の要因に影響されるからである。
時刻t8の後、マイクロコンピュータ20の温度は、前述したようにエンジン200の昇温に伴って上昇する。そして、温度センサ22は、上昇するマイクロコンピュータ20の温度を時刻t9,t10において検出し、その温度T3,T4をメモリ23に記憶させる。
マイクロコンピュータ20において、時間の変化とともに以上のような温度変化が生じる場合、マイクロコンピュータ20のCPU21は、まず、イグニションスイッチ17がオフ状態からオン状態に切り替えられた時刻t1を第1基準時刻taとして選択する。また、第1基準時刻taよりも後のサンプリング時刻であって、第1基準時刻ta後に最初にイグニションスイッチ17がオフ状態からオン状態に切り替えられた時刻t8を第2基準時刻tbとして選択する。
次に、CPU21は、第1基準時刻taと第2基準時刻tbとの間で、マイクロコンピュータ20の最も高い温度を基準最高温度とし、最も低い温度である基準最低温度とする。図2に示される例では、時刻t4における温度T6が基準最高温度となり、時刻t1における温度T2が基準最低温度となる。そして、基準最高温度又は基準最低温度と、第1基準時刻ta及び第2基準時刻tbのそれぞれのマイクロコンピュータ20の温度との差を算出する。すなわち、第1基準時刻taから第2基準時刻tbの間において、マイクロコンピュータ20の温度が、時刻t1から時刻t4にかけて上昇する際の変化量(T6−T1)と、時刻t4から時刻t8にかけて下降する際の変化量(T6−T2)を算出する。
このようにして算出される変化量(T6−T1)及び変化量(T6−T2)は、マイクロコンピュータ20や、マイクロコンピュータ20と基板11との間の接続部に熱応力を発生させる。この熱応力は、マイクロコンピュータ20の寿命や、接続部における寿命に影響を与えるものである。
そこで、CPU21は、算出した変化量(T6−T1)及び変化量(T6−T2)を、前述した式f2に適用し、それぞれの変化量に基づくストレス量Sを算出する。すなわち、変化量(T6−T1)及び変化量(T6−T2)のそれぞれを、式f2のΔT1として2つのストレス量Sを算出し、それらを合計したものが第1基準時刻taと第2基準時刻tbとの間の温度サイクルにおけるストレス量Sとなる。
CPU21は、時刻t8以降の温度サイクルにおいても、同様の手法によってストレス量Sを計算する。すなわち、CPU21は、まず、時刻t8を新たな第1基準時刻taとして選択する。また、CPU21は、時刻t8よりも後のサンプリング時刻であって、時刻t8後に最初にイグニションスイッチ17がオフ状態からオン状態に切り替えられた時刻を新たな第2基準時刻tbとして選択する。そして、CPU21は、この新たな第1基準時刻taと新たな第2基準時刻tbとの間の温度サイクルにおける温度の変化量に基づいて、前述した手法でストレス量Sを算出する。
CPU21は、このようにして各温度サイクルにおいて算出されたストレス量Sを合計し、合計ストレス量Sallとしてメモリ23に記憶させる。CPU21は、この合計ストレス量Sallが所定の閾値を超えた場合にMIL18を点灯させる。
以上のように、ECU10によれば、所定期間毎のマイクロコンピュータ20の温度の変化量に基づいて、ストレス量Sを算出する。当該ストレス量Sは、マイクロコンピュータ20の寿命及びマイクロコンピュータ20と基板11との間の接続部における寿命の少なくとも一方に影響を与える指標である。更に、ECU10は、このストレス量Sを合計した指標である合計ストレス量Sallを算出し、メモリ23に記憶する。
したがって、ECU10によれば、このメモリ23に記憶された合計ストレス量Sallを用いることで、マイクロコンピュータ20の寿命及びマイクロコンピュータ20と基板11との間の接続部における寿命の少なくとも一方の判定を、実際にマイクロコンピュータ20に生じた温度変化に基づいて正確に行うことができる。例えば、ECU10の内部において、この合計ストレス量Sallが予め定められた閾値に達した場合にMIL18を点灯させて外部への報知を行い、車両100の使用者に点検等の対応を促すことが可能となる。
また、外部ツールによってこの合計ストレス量Sallをメモリ23から読み出し、当該外部ツールや他の解析ツールによって、マイクロコンピュータ20等の寿命を判定することが可能となる。
また、ECU10によれば、CPU21は、複数のサンプリング時刻のうち、一のサンプリング時刻を第1基準時刻taとして選択するとともに、第1基準時刻taよりも後の一のサンプリング時刻を第2基準時刻tbとして選択する。さらに、第1基準時刻taから第2基準時刻tbの間に温度センサ22が検出する温度のうち、最も高い温度である基準最高温度又は最も低い温度である基準最低温度と、第1基準時刻ta及び第2基準時刻tbのそれぞれで温度センサ22が検出する温度と、の差に基づいてストレス量Sを算出する。
したがって、ECU10によれば、第1基準時刻taと第2基準時刻tbとの間の温度サイクル全体におけるマイクロコンピュータ20の温度の変化量に基づいて、ストレス量Sを算出することができる。
また、ECU10では、CPU21は、ECU10に電力の供給を開始した時刻t1をサンプリング時刻とするとともに第1基準時刻taとして選択する。また、CPU21は、第1基準時刻ta後に最初にECU10に電力の供給を開始した時刻t8をサンプリング時刻とするとともに第2基準時刻tbとして選択する。
したがって、CPU21は、ECU10への電力の供給を開始してエンジン200が駆動を開始した時刻t1,t8をそれぞれ第1基準時刻ta,第2基準時刻tbとすることで、マイクロコンピュータ20の温度が最も低い時刻をサンプリング時刻とし、当該温度に基づいてストレス量Sを算出することが容易となる。すなわち、各温度サイクルにおいてマイクロコンピュータ20の最も低い温度を検出し易くすることで、マイクロコンピュータ20の温度の変化量を正確に把握することが可能となる。
次に、図3を参照しながら、本発明の第2実施形態に係るECU10A(図1参照)について説明する。この第2実施形態は、ハードウェアの構成は前述した第1実施形態と同一であるが、そのCPU21Aによるストレス量Sや合計ストレス量Sallの算出方法がCPU21と異なる。
第1実施形態に係るECU10は、第1基準時刻taと第2基準時刻tbとの間の温度サイクルにおいて、マイクロコンピュータ20の温度が上に凸又は下に凸となる単純な変化を示す場合であれば、高い精度でマイクロコンピュータ20等の寿命の判定を行うことができる。しかしながら、マイクロコンピュータ20の温度が複雑に変化する場合は、その判定の精度が低下するおそれがある。
そこで、第2実施形態に係るECU10Aでは、マイクロコンピュータ20の温度変化を細かく区分することで、ストレス量S及び合計ストレス量Sallの算出の精度を向上させている。以下、このECU10Aによるストレス量S及び合計ストレス量Sallの算出方法について説明する。第1実施形態に係るECU10と共通する部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
このECU10Aでは、マイクロコンピュータ20のCPU21Aが、イグニションスイッチ17がオフ状態からオン状態に切り替えられた時刻t11を第1基準時刻taとして選択する。また、ECU10Aは、第1基準時刻taよりも後のサンプリング時刻であって、第1基準時刻ta後に最初にイグニションスイッチ17がオフ状態からオン状態に切り替えられた時刻t22を第2基準時刻tbとして選択する。
第1基準時刻taと第2基準時刻tbとの間の温度サイクルにおいて検出されたマイクロコンピュータ20の最高温度は、時刻t17における温度T6である。したがって、前述した第1実施形態に係るECU10と同様の手法によれば、第1基準時刻taから第2基準時刻tbの間において、時刻t11から時刻t17にかけて上昇する際の変化量(T6−T1)と、時刻t17から時刻t22にかけて下降する際の変化量(T6−T2)に基づいて、ストレス量S及び合計ストレス量Sallを算出することになる。しかし、この場合、時刻t12から時刻t16までの期間Aや、時刻t18から時刻t20までの期間Bにおける温度変化は考慮されないため、マイクロコンピュータ20等の寿命の判定の精度が低下するおそれがある。
そこで、ECU10Aでは、CPU21Aは、この期間Aや期間Bにおける温度変化も考慮してストレス量S及び合計ストレス量Sallを算出する。具体的には、CPU21Aは、期間Bにおいて、温度が下降から上昇に転じた時刻t18と、温度が上昇から下降に転じた時刻t19と、を第3基準時刻tcとして選択する。そして、両第3基準時刻tc間における温度の変化量を算出する。この場合、変化量は(T5−T4)となる。また、時刻t19から時刻t20の間における温度の変化量も、同様に(T5−T4)となる。
ECU10Aは、この期間Bにおける変化量(T5−T4)の2度の温度変化を、前述した式f2のΔT1として2つのストレス量Sを算出する。そうして算出した2つのストレス量Sを、第1実施形態に係るECU10と同様の手法によって算出される合計ストレス量Sallと合計することで、当該合計ストレス量Sallは期間Bにおける温度変化も考慮したものとなる。
また、CPU21Aは、期間Aにおいて温度が上昇から下降又は下降から上昇に転じた時刻t12,t13,t14,t15を第3基準時刻tcとして選択する。そして、期間Aにおいて温度が最高となった時刻t12と、温度が最低となった時刻t13,t15との間における温度の変化量を算出する。この場合、変化量は(T4−T2)となる。この変化量(T4−T2)のみによるストレス量Sの算出では、時刻t13から事項t15の間の温度変化を考慮できていないことになる。
そこで、CPU21Aは、期間Cにおいて、温度が最高となった時刻t14と、温度が最低となった時刻t13との間における温度の変化量を算出する。この場合、変化量は(T3−T2)となる。また、期間Cにおいて、時刻t14から時刻t15の間における温度の変化量も(T3−T2)となる。
ECU10Aは、この期間Aにおける変化量(T4−T2)の2回の温度変化と、変化量(T3−T2)の2回の温度変化とを、前述した式f2のΔT1として4つのストレス量Sを算出する。そうして算出した4つのストレス量Sを、第1実施形態に係るECU10と同様の手法によって算出される合計ストレス量Sallと合計することで、当該合計ストレス量Sallは期間Aにおける温度変化も考慮したものとなる。
以上のように、ECU10Aによれば、CPU21Aは、基準最高温度T6が検出された時刻t17と、第1基準時刻ta及び第2基準時刻tbのそれぞれの時刻との間で、温度センサ22によって検出された温度がその上昇から下降又は下降から上昇に転じたサンプリング時刻を第3基準時刻tcとして選択する。また、第3基準時刻tcにおいて温度センサ22が検出した温度と、他の第3基準時刻tcにおいて温度センサ22が検出した温度との差に基づいてストレス量Sを算出する。
したがって、本発明の第2実施形態に係るECU10Aによれば、第1基準時刻taと第2基準時刻tbとの間の温度サイクルにおいて、マイクロコンピュータ20の温度が複雑に変化する場合であっても、その変化を細分化してストレス量Sを算出する。このようにして得られた各温度サイクルのストレス量Sに基づいて、合計ストレス量Sallを算出することで、マイクロコンピュータ20等の寿命の判定をより高精度で行うことが可能となる。
次に、図4を参照しながら、本発明の第3実施形態に係るECU10B(図1参照)について説明する。この第3実施形態は、ハードウェアの構成は前述した第1実施形態と同一であるが、そのCPU21Bによるストレス量Sや合計ストレス量Sallの算出方法がCPU21と異なる。
第3実施形態に係るECU10Bによれば、より簡便にストレス量S及び合計ストレス量Sallを算出することができる。このECU10Bでは、前述した実施形態と異なり、第1基準時刻ta及び第2基準時刻tbを選択することなく、ストレス量S及び合計ストレス量Sallを算出する。以下、このECU10Bによるストレス量S及び合計ストレス量Sallの算出方法について説明する。第1実施形態に係るECU10と共通する部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
このECU10Bでは、CPU21Bが、各サンプリング時刻におけるマイクロコンピュータ20の温度の上昇及び下降に関する情報をメモリ23に記憶させるものである。具体的には、CPU21Bは、各サンプリング時刻における温度が、前回のサンプリング時刻における温度から上昇したか、下降したか、又は、変化していないか、のいずれに該当するかを判定し、これに関する情報をメモリ23に記憶させるものである。
そして、CPU21Bは、マイクロコンピュータ20の温度が上昇から下降、又は、下降から上昇に転じたサンプリング時刻を転換基準時刻tdとして選択する。そして、CPU21Bは、この転換基準時刻td間におけるマイクロコンピュータ20の温度の変化量を算出し、その変化量に基づいてストレス量S及び合計ストレス量Sallを算出する。
マイクロコンピュータ20の温度が、図4に示されるように変化した場合、CPU21Bは、温度が下降から上昇に転じた時刻t32,t37を転換基準時刻tdとして選択する。また、CPU21Bは、温度が上昇から下降に転じた時刻t34も、転換基準時刻tdとして選択する。すなわち、時刻t32から時刻t34までの期間Dでは、マイクロコンピュータ20の温度は単調に上昇したと判定することができる。また、時刻t34から時刻t37までの期間Eでは、マイクロコンピュータ20の温度は単調に下降したと判定することができる。
CPU21Bは、期間Dにおけるマイクロコンピュータ20の温度の変化量(T5−T1)と、期間Eにおけるマイクロコンピュータ20の温度の変化量(T5−T2)に基づいて、各期間におけるストレス量Sを算出する。すなわち、期間D,Eにおける温度の変化量(T5−T1),(T5−T2)を、それぞれ前述した式f2のΔT1として、2つのストレス量Sを算出し、それらを合計したものが期間D,Eからなる温度サイクルにおけるストレス量Sとなる。
CPU21Bは、時刻t37以降の温度サイクルにおいても、同様の手法によってストレス量Sを計算する。CPU21Bは、このようにして各温度サイクルにおいて算出されたストレス量Sを合計し、合計ストレス量Sallとしてメモリ23に記憶させる。
以上のように、ECU10Bでは、メモリ23は、温度センサ22によって検出された温度が、前回のサンプリング時刻において温度センサ22によって検出された温度から上昇又は下降したことを記憶する。そして、CPU21Bは、温度センサ22によって検出された温度が下降又は上昇に転じることなく上昇又は下降を継続した期間において最も高い温度と最も低い温度との差に基づいて、ストレス量Sを算出する。
したがって、ECU10Bによれば、前回のサンプリング時刻からのマイクロコンピュータ20の温度変化に基づいて、ストレス量Sと、その合計である合計ストレス量Sallとを算出し、マイクロコンピュータ20等の寿命を判定することが可能となる。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
前述した実施形態では、ストレス量Sは式f2によって算出されるものとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ストレス量Sをアイリングモデルに基づいて算出することも可能である。
ある製品において、温度サイクル試験を実施し、当該試験における温度の変化量がΔT2である場合における寿命(破損に至るまでの温度サイクル数)をN2とする。この場合、前述したΔT1及びN1との関係は、アイリングモデルによれば次式f4のように表される。αは温度サイクル試験によって同定される定数である。
Figure 2016159766
そうすると、ストレス量Sは、次式f5のように表される。
Figure 2016159766
この場合も、全ての温度サイクルにおけるストレス量Sを合計した合計ストレス量Sallが1となった場合に、製品が寿命に至ることになる。
10:ECU(電子制御装置)
11:基板
20:マイクロコンピュータ
21:CPU(演算部)
22:温度センサ(温度検出部)
23:メモリ(記憶部)
100:車両
200:エンジン
S:ストレス量
all:合計ストレス量
ta:第1基準時刻
tb:第2基準時刻
tc:第3基準時刻

Claims (5)

  1. 車両(100)に搭載される電子制御装置(10,10A,10B)であって、
    電子部品が接続される基板(11)と、
    前記基板に接続されたマイクロコンピュータ(20)であって、演算を行う演算部(21,21A,21B)と、前記マイクロコンピュータの温度を検出する温度検出部(22)と、情報を記憶する記憶部(23)と、を有する前記マイクロコンピュータと、を備え、
    前記温度検出部は、複数のサンプリング時刻において温度を検出し、
    前記演算部は、所定期間毎に前記温度検出部が検出する温度の変化量に基づいて、前記マイクロコンピュータの寿命及び前記マイクロコンピュータと前記基板との間の接続部における寿命の少なくとも一方に影響を与えるストレス量(S)を算出するとともに、前記ストレス量を合計した合計ストレス量(Sall)を算出し、
    前記記憶部は、前記合計ストレス量を記憶することを特徴とする電子制御装置。
  2. 前記演算部は、
    前記複数のサンプリング時刻のうち、一の前記サンプリング時刻を第1基準時刻(ta)として選択するとともに、前記第1基準時刻よりも後の一の前記サンプリング時刻を第2基準時刻(tb)として選択し、
    前記第1基準時刻から前記第2基準時刻の間に前記温度検出部が検出する温度のうち、最も高い温度である基準最高温度又は最も低い温度である基準最低温度と、前記第1基準時刻及び前記第2基準時刻のそれぞれで前記温度検出部が検出する温度と、の差に基づいて前記ストレス量を算出することを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
  3. 前記演算部は、
    前記基準最高温度が検出された前記サンプリング時刻又は前記基準最低温度が検出された前記サンプリング時刻と、前記第1基準時刻及び前記第2基準時刻のぞれぞれの時刻との間で、前記温度検出部によって検出された温度がその前後で上昇から下降又は下降から上昇に転じた前記サンプリング時刻を第3基準時刻(tc)として選択し、
    一の前記第3基準時刻において前記温度検出部が検出した温度と、他の前記第3基準時刻において前記温度検出部が検出した温度との差に基づいて前記ストレス量を算出することを特徴とする請求項2に記載の電子制御装置。
  4. 前記演算部は、
    前記電子制御装置に電力の供給を開始した時刻を前記サンプリング時刻とするとともに前記第1基準時刻として選択し、
    前記第1基準時刻後に最初に前記電子制御装置に電力の供給を開始した時刻を前記サンプリング時刻とするとともに前記第2基準時刻として選択することを特徴とする請求項2又は3に記載の電子制御装置。
  5. 前記記憶部は、前記温度検出部によって検出された温度が、前回の前記サンプリング時刻において前記温度検出部によって検出された温度から上昇又は下降したことを記憶し、
    前記演算部は、前記温度検出部によって検出された温度が下降又は上昇に転じることなく上昇又は下降を継続した期間において最も高い温度と最も低い温度との差に基づいて、前記ストレス量を算出することを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
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