以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.本実施形態の手法
まず本実施形態の手法について説明する。上述したように、回路装置に対して電源を供給する電荷蓄積部(電池)には多くの種類のものが知られている。特定の(狭義には単一の種類の)電荷蓄積部のみが接続可能な回路装置を作成してもよいが、その場合、回路装置を利用する際の電荷蓄積部の選択の自由度が無くなってしまう。例えば、回路装置と電化蓄積部(及び必要に応じて他の装置等)を含む電子機器を実現しようとした場合に、回路装置が対応している電荷蓄積部を利用することが必須となってしまう。そのため、複数種類の電荷蓄積部を利用したいのであれば、各電荷蓄積部に対応した複数の回路装置をそれぞれ用意する必要等が生じる。例えば、回路装置を購入し、当該回路装置を組み込んだ電子機器を実現するメーカー等を想定した場合、当該メーカーは電子機器に組み込む電荷蓄積部に対応するだけの種類の回路装置を購入する必要が生じ、コストや効率の面で不利となる。
これに対して、複数の電荷蓄積部を接続可能な回路装置を実現すれば、上記課題は解決可能である。上記メーカーの例であれば、電荷蓄積部の種類が異なる複数の電子機器を実現しようとした場合であっても、一種類の回路装置を購入すればよいことになる。なお、上記メーカーは複数の電荷蓄積部を接続可能な回路装置と、所与の種類の電荷蓄積部とを組み合わせて電子機器を製造する。つまり、電子機器が製造された段階において、典型的には電荷蓄積部の種類は1つに限定されており、当該電子機器を購入、使用するユーザー(エンドユーザー)が種々の電荷蓄積部を自由に利用可能であるというわけではない。本実施形態に係る回路装置の例であれば、電子機器の製造時に、外部接続端子の設定は後述する図2(B)〜図2(E)のいずれかで確定していることが想定され、当該設定のエンドユーザーによる変更は、必ずしも否定されるものではないが、一般的な使用形態ではない。また、後述するように本実施形態に係る回路装置では、接続される駆動対象(共振回路)の選択の自由度を高めることも可能であるが、当該駆動対象の選択(及びそれに伴う種々の設定)についても、電子機器メーカーが行うことが一般的であり、電子機器を利用するエンドユーザーが行うという実施形態は典型的なものではない。
しかしそのような回路装置の実現を考慮した場合、当該回路装置では、電池に応じた制御が必要になる。具体的には、電池に応じて過放電を検出するための電圧等が異なるため、電池に応じた放電制御を行う必要がある。また、一次電池か二次電池かで充電可能か否かが異なるし、二次電池の種類によって充電可能な電圧が異なるため、電池に応じた充電制御も必要である。
例えば、回路装置に不揮発性メモリーを設けておき、当該不揮発性メモリーに、使用する電荷蓄積部の種類を書き込む手法が考えられる。回路装置の充電系回路及び回路部(放電系回路)は、それぞれ不揮発性メモリーのデータを読み取ることで電池種類を判別し、対応する制御を行えばよい。しかし、電荷蓄積部の残量が十分でない場合(電池電圧が所定値よりも低い場合)、不揮発性メモリーを動作させることができず、電荷蓄積部の種類を読み取ることができないおそれがある。
そこで本出願人は、電荷蓄積部の残量が十分でない場合等にも対応可能な手法を提案する。具体的には、本実施形態に係る回路装置は、図1において後述するように、充電器からの電源(充電電圧VIN)に基づいて、電荷蓄積部400への充電を制御する充電制御回路210と、電荷蓄積部400の蓄積電荷に基づく電源(電池電圧VCC)に基づいて、動作する回路部100と、不揮発性メモリー220と、情報を設定するための外部接続端子(図1等のSEL0,SEL1に対応)を含む。そして、充電制御回路210は、不揮発性メモリー220から読み出した情報に基づいて、電荷蓄積部400の種類に応じた充電制御を行い、回路部100は、外部接続端子によって設定された情報に基づいて、電荷蓄積部400の種類に応じた回路動作を行う。
ここで、電荷蓄積部400とは回路装置に接続され、回路装置に対して電力を供給するものであり、一次電池であってもよいし、二次電池であってもよい。電荷蓄積部400としては、図2(A)等を用いて後述するように、単6一次電池、2.5Vのリチウムイオン電池、4.2Vのリチウムイオン電池、スーパーキャパシター(電気二重層コンデンサー、電気二重層キャパシター)等を用いることが可能である。
外部接続端子とは、回路装置に設けられ、当該回路装置と外部機器(外部回路)との接続に用いられる端子であり、広義には図3を用いて後述するような種々の端子を含む。ここでの外部接続端子は、狭義には図1のSEL0,SEL1に対応するものである。
このようにすれば、回路部100については、外部接続端子により設定された情報を用いて電荷蓄積部400の種類を判別し、種類に応じた動作を行うことが可能になる。外部接続端子を用いる場合、当該端子にどのような情報が入力されるか、例えば、各端子にハイレベル(例えばVCC)が入力されるかローレベル(例えば後述するVSSやグラウンド電圧)が入力されるかに応じて電荷蓄積部400の種類を判別できる。そのため、仮に電荷蓄積部400の電圧(電池電圧)が不揮発性メモリーを動作させることができない程度に低い電圧である場合にも、当該電圧値に関係なく電荷蓄積部400の種類を判別できる。
これにより、不揮発性メモリーの情報が読み取れないような状況でも、例えば電荷蓄積部400の過放電検出を行うこと等が可能になる。過放電となってしまった電荷蓄積部400は使用不能となることから、電圧低下時には十分な余裕を持って放電を停止する必要がある。その際、放電停止の基準となる電圧値、すなわち過放電検出閾値は電池に応じて異なる。つまり外部接続端子を用いることで、電荷蓄積部400の過放電検出を適切に実行すること等が可能になる。その他、電荷蓄積部400の種類に応じた放電制御の詳細については後述する。
また、本実施形態では充電制御回路210については不揮発性メモリー220から読み出した情報で電荷蓄積部400の種類を判別する。外部接続端子を用いる場合、不揮発性メモリーを動作させなくてもよいというメリットがある一方、端子及び当該端子を利用するための配線等のハードウェア的な構成を実装しなくてはならないという点が問題となる。回路部100は電荷蓄積部400により動作する以上、電池電圧VCCの大きさによらない信頼度の高い種類判別という観点から外部接続端子を用いていた。それに対して、充電制御回路210は電荷蓄積部400への充電制御を行う回路である以上、充電用の電圧(VIN)が供給されていることが前提となる。つまり、当該充電電圧VINを利用すれば、不揮発性メモリー220を適切に動作させることが可能な以上、充電制御回路210の動作時には、不揮発性メモリー220が動作しないという状況を想定する必要性が低い。
つまり本実施形態では、電源の状況を考慮し、回路部100と充電制御回路210とで電荷蓄積部400の種類判別の手法を分けることで、信頼度と実装効率の両方を高めることを可能としている。
また、いずれの電荷蓄積部400を用いるにせよ、放電系回路(回路部100)の起動時に、電荷蓄積部400の残量が十分でない場合(電池電圧VCCが所定値よりも低い場合)があり得る。その場合、回路部100(狭義には回路部100に含まれる制御回路110)が動作することができない。
正常な動作が開始されている後であれば、VCCの値を監視しつつ、適切な電圧変換(狭義には昇圧)を行うことで、制御回路110等に対して回路動作用の電圧を供給すればよい。なお、昇圧等の電圧変換自体は、特定の文献を例示するまでもない公知の事項である。しかし、起動時にはそもそも制御回路110が動作していないため、電荷蓄積部400の電圧VCCを検出したり、電圧変換の倍率を決定する制御を行うことができず、結果として所望の動作を行えないおそれがある。
よって本出願人は、起動期間に確実に制御回路110等を動作できるような電圧変換処理を提案する。具体的には、本実施形態に係る回路装置は、図8(A)を用いて後述するように、電荷蓄積部400からの電源電圧(以下、電池電圧と記載)VCCの電圧変換を行い、変換電圧VC2を生成するDC−DC変換回路120と、DC−DC変換回路120により生成された変換電圧VC2に基づいて動作する制御回路110を含む。そして、起動期間においては、DC−DC変換回路120は、電圧変換として所定倍率の昇圧を行って、変換電圧VC2を生成し、制御回路110は、所定倍率で昇圧された変換電圧VC2に基づいて動作する。一方、起動期間の経過後においては、DC−DC変換回路120は、電荷蓄積部400からの電源電圧(電池電圧)VCCの検出結果に応じた電圧変換を行って、変換電圧VC2を生成する。
ここで起動期間とは、回路装置に含まれる回路部100が起動する期間を表すものである。一例としては、回路装置に接続されていた充電用の電源が外されたタイミングや、回路装置に対して一次電池が接続されたタイミング等を基準に設定される期間であり、後述する図15であれば、D4〜D22等の期間である。
このようにすれば、回路部100の起動期間には、電池電圧VCCに対してある程度の倍率(例えば2倍)で昇圧が行われるため、制御回路110を適切に動作させることができ、当該制御回路110の制御に従った動作を実行することが可能になる。なお、電池電圧VCCが過剰に低い場合には、2倍昇圧しても制御回路110を動作させられる電圧に達しない場合もあるが、そのような状況で制御回路110が動作しないことについては許容する。例えば、後述する図13の構成であれば、変換電圧VC2に基づき生成される電圧VD1が、制御回路110の動作可能電圧(例えば1.2V)を超えているか否かをVD1レベル検出回路153で判定しており、当該条件が満たされなければリセットが解除されないことになる。
また、起動期間の経過後には電池電圧VCCに応じた電圧変換を行うため、駆動対象(例えば後述する共振回路)を確実に動作させることや、変換効率等を考慮した電圧変換を実現することが可能である。なお、電圧変換の詳細については、図8(A)等を用いて後述する。
また、回路装置に対して種々の電荷蓄積部400を接続可能なように、回路装置に対して種々の駆動対象を接続する実施形態も考えられる。例えば、図11を用いて後述するように、回路装置には共振ドライバーを設けておき、当該共振ドライバーにより駆動される共振回路300(狭義にはLC共振回路と2次側コイルから構成されるトランスを含む回路)を回路装置に接続することが考えられる。この場合、駆動対象は回路装置の外部の構成となるため、電荷蓄積部400と同様に、回路装置を利用するユーザーによる自由な選択が可能なことが望ましい。
その際、駆動対象を駆動するための駆動用電源電圧は、当該駆動対象の種類が異なれば異なるものになる。そのため、例えば上記の起動期間の経過後、電池電圧VCCに応じた電圧変換を行う場合にも、単純にVCCのみを参照するのではなく、駆動対象、駆動用電源電圧を考慮した制御が必要になる。そのようにしなければ、そもそも駆動用電源電圧を適切に生成できなかったり、駆動用電源電圧は生成できても電力の損失が大きく非効率的となるおそれがあるためである。
よって本実施形態に係る回路装置は、電池電圧VCCの電圧変換を行い、変換電圧VC2を生成するDC−DC変換回路120と、変換電圧VC2に基づいて駆動用電源電圧VD2を生成するレギュレーター(図4の第2のレギュレーター127に対応)と、駆動用電源電圧VD2に基づいて駆動対象を駆動する駆動回路140を含む。そして、レギュレーターは、駆動対象に応じた、駆動用電源電圧VD2を駆動回路に供給し、DC−DC変換回路120は、駆動用電源電圧VD2に応じて、電圧変換における電圧変換倍率の切り替えポイントを変更する。
ここで電圧変換倍率の切り替えポイントとは、電圧変換倍率として複数の倍率が設定されている状況で、所与の倍率から他の倍率へ電圧変換倍率を切り替えるポイントを表し、具体的には当該切り替えが行われる電源電圧VCCの値であってもよい。また、本明細書では上記切り替えポイントを検出電圧とも表記する。
このようにすれば、回路装置の駆動回路140により駆動される駆動対象として、複数の駆動対象が想定される場合であっても、駆動用電源電圧に応じた適切な電圧変換倍率の制御が可能になるため、効率的且つ確実な駆動用電源電圧の生成等が可能になる。具体的な切り替えポイント変更については、図8(A)〜図8(D)等を用いて後述する。
以下、本実施形態に係る回路装置の全体構成を説明し、その後、充電系回路200(充電制御回路210)の詳細について説明する。また、回路部100については、電池電圧VCCに基づく制御として、過放電検出と、電圧変換について詳細に説明する。さらに、図15のタイミングチャートを用いて、起動期間における回路部100の動作、特にDC−DC変換回路120で行われる所定倍率での電圧変換についても詳細に説明する。最後に、駆動回路140として共振ドライバーを用いる場合や、本実施形態の手法を電子機器に適用する場合の具体例を説明する。
2.全体構成
図1に本実施形態に係る回路装置の概略的な構成例を示す。本実施形態の回路装置は、回路部(放電系回路)100と、充電系回路200を含む。また、図1のTVCC,TVIN,TGND,SEL0,SEL1は回路装置に設けられる外部接続端子(パッド)を表し、TVCCは電荷蓄積部400の電源電圧VCCが供給され、TVINは充電用の電源電圧VINが供給され、TGNDはグラウンドに接続される。
回路部100は、パワーオンリセット回路150と、DC−DC変換回路120と、電池電圧レベル検出回路190と、過放電検出回路130を含む。ただし、回路部100の構成は図1のものに限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。また、変形実施が可能な点は、図1の充電系回路200や、他の図面においても同様である。
充電系回路200は、充電制御回路210と、不揮発性メモリー220を含む。上述したように、不揮発性メモリー220には回路装置に接続される電荷蓄積部400の種類に関する情報(識別情報)が書き込まれており、充電制御回路210は、不揮発性メモリー220から読み出された情報に基づいて、電荷蓄積部400の種類に応じた充電制御を行う。
また、上述したように、SEL0,SEL1は情報を設定するための外部接続端子であり、DC−DC変換回路120は、外部接続端子SEL0,SEL1によって設定された情報に基づく電荷蓄積部400の種類の判定結果に基づいて、電荷蓄積部400の種類に応じた電圧変換を行う。
本実施形態では、充電用の電源電圧(以下、充電電圧とも記載)VINが供給されている場合、例えば回路装置を含む電子機器が充電器に接続されている場合には、充電系回路200が動作し、回路部100は非動作となることを想定している。例えば、充電電圧VINが供給されている場合には、当該電圧に基づいて充電系回路200が動作するとともに、充電制御回路210はスイッチSWをオンにして、端子TVCCに接続される電荷蓄積部400の充電を実行する。一方、充電電圧VINが供給されていない場合には、充電系回路200は非動作となり、回路部100は、端子TVCCから供給される電池電圧VCCに基づいて動作を行う。
外部接続端子SEL0,SEL1を用いた電荷蓄積部400の種類判別手法について図2(A)〜図2(E)を用いて説明する。ここでは、最大4種類の電荷蓄積部400を接続することを想定している。そのため、SEL0,SEL1のそれぞれに対して、1(ハイレベル)又は0(ローレベル)を入力することで、2ビットの信号を入力し、当該2ビットのデータ内容を電荷蓄積部400の種類に応じて変化させるものとする。具体的には、SEL0及びSEL1からの信号をインターフェース10により取得し、取得した信号をデコーダーDECに対して入力する。デコーダー20では2つの信号の組み合わせに応じて、Bat−A〜Bat−Dの4つの出力のうち、電荷蓄積部400の種類に応じた適切な出力をオンにすればよい。
2ビット信号と電荷蓄積部400の種類の対応関係の一例を示したものが図2(A)である。ここでは、電荷蓄積部400としてスーパーキャパシターを用いる場合に、SEL0とSEL1の両方をローレベルに設定する。同様に、2.5Vの二次電池を用いる場合にSEL0をハイレベル、SEL1をローレベルに設定し、4.2Vの二次電池を用いる場合にSEL0をローレベル、SEL1をハイレベルに設定する。また、単6の一次電池を用いる場合には、SEL0とSEL1の両方をハイレベルに設定する。
それぞれの場合の具体的な接続例が図2(B)〜図2(E)である。図2(B)〜図2(E)では、ハイレベルに設定する端子に対しては、端子TVCCと同様に、電荷蓄積部400を接続し、ローレベルに設定する端子はGNDに接続している。そのため、スーパーキャパシターを用いる場合であれば、図2(B)に示したようにSEL0とSEL1の両方がGNDに接続されるし、2.5Vの二次電池を用いるのであれば、図2(C)に示したようにSEL0は二次電池に、SEL1はGNDに接続される。図2(D)、図2(E)については説明を省略するが考え方は同様である。
以上では4種類の電荷蓄積部400を想定したために、外部接続端子をSEL0とSEL1の2つとしたが、この点は種々の変形実施が可能である。外部接続端子をn個とすることで、nビットの信号を取得可能であるため、2n種類までの電荷蓄積部400を判別可能となる。よって、利用が想定される電荷蓄積部400の種類数に応じて、回路装置に設ける外部接続端子の数を変更してもよい。
図3に回路装置に設けられる外部接続端子の例を示す。なお、なお、TVCC,TVIN,SEL0,SEL1については図1と同様であるため説明を省略する。TVC2はDC−DC変換回路120での電圧変換処理後の電圧(変換電圧VC2)を出力する端子である。TVD1は、VC2を第1のレギュレーター125によりレギュレートすることで生成された電圧(制御回路用電源電圧VD1)を出力する端子である。VD1は例えば1.5Vであり、制御回路(ロジック回路)110の動作に用いられる電圧である。TVD2は、VC2を第2のレギュレーター127によりレギュレートすることで生成された電圧(駆動用電源電圧VD2)を出力する端子である。VD2は例えば1.8Vであり、駆動対象(共振回路)の動作に用いられる電圧である。
TVSSはVCC或いはVINとは異なる基準電圧VSSを印加するための端子である。VSSに対応する基準電圧はグラウンド電圧(GND)であってもよく、その場合、図1の端子TGNDと図3の端子TVSSは同一のものとすればよい。
IND0は共振回路の出力(トランスの1次側出力)を受け取る端子であり、例えば共振振幅が所望の大きさとなっているかの判定等に用いられる。AINはトランスの2次側出力を受け取る端子である。AOUTは、AINから受け取ったトランスの2次側出力に対して、何らかの処理を行った結果を出力する。例えば、AINで受信した波形(所定振幅、所定周波数の正弦波)を用いて変調(例えばASK)を行った結果をAOUTから出力する。
図4に本実施形態に係る回路装置の詳細な構成例を示す。回路部100は、DC−DC変換回路120、過放電検出回路130、駆動回路(共振ドライバー)140、パワーオンリセット回路150、第2の発振回路160、第3の発振回路170、不揮発性メモリー180を含む。
過放電検出回路130は、電荷蓄積部400の過放電検出を行う。過放電とは、電荷蓄積部400の電荷が、過剰に放電されてしまった状態を表し、一般的に過放電となった電荷蓄積部400は再使用ができなくなる。過放電検出回路130では、電荷蓄積部400が過放電となる前に、低電圧となったことを検出する回路である。具体的には、電圧値の下限である過放電検出閾値Vthを設定しておき、電池電圧VCCがVthを下回ったか否かを検出する。ここで過放電検出閾値Vthを再使用が不能になる程度の低電圧よりも大きく設定しておけば、回路装置では電荷蓄積部400が使用不能となる前にその放電を停止すること等が可能になる。
なお、以下本明細書では過放電検出回路130において「過放電が検出された」或いは「過放電状態となった」といった記述を行うが、それは、電池電圧VCCが、電荷蓄積部400の破損可能性を十分抑止できる電圧の下限値(Vth)に近づいたことを表すものであり、電荷蓄積部400が使用不能になるほどの放電状態になったことを表すものではない。
DC−DC変換回路120は、電池電圧VCCに対して電圧変換を行い、所望の電圧を生成、出力する。DC−DC変換回路120は、DC−DC変換部121と、第1のレギュレーター125と、第2のレギュレーター127と、発振回路123を含んでもよい。
DC−DC変換部121では、電池電圧VCCに対して電圧変換を行って変換電圧VC2を生成する。第1のレギュレーター125は、VC2をレギュレートして、制御回路110の動作等に用いられる電圧(制御回路用電源電圧)VD1を出力する。第2のレギュレーター127は、VC2をレギュレートして、駆動対象の駆動等に用いられる電圧(駆動用電源電圧)VD2を出力する。VD1及びVD2を出力する必要があるため、VC2は少なくともVD1とVD2のいずれよりも高い電圧値となる必要がある。VCCからVC2を生成する際には、電圧変換倍率情報に基づく電圧変換倍率を用いればよい。詳細については図8(A)を用いて後述する。
発振回路123は主として回路部100の起動期間で動作する発振回路であり、所定倍率での昇圧に用いられるクロックや、図14を用いて後述するディレイのカウント用のクロックを供給する。発振回路123の動作の詳細については、図13等を用いて後述する。
第2の発振回路160及び第3の発振回路170は、制御回路110の動作クロックを生成する発振回路である。第2の発振回路160は制御回路110の通常動作時に用いられる発振回路であり、クロックの周波数は例えば133.3kHzである。また、第3の発振回路170は制御回路110のスリープ動作時に用いられる発振回路であり、クロックの周波数は例えば32kHzである。
不揮発性メモリー180は、回路部100の動作時に用いられる種々の情報を記憶するメモリーである。不揮発性メモリー180は、例えば回路装置に接続される駆動対象に応じた駆動用電源電圧の値等を記憶してもよい。
パワーオンリセット回路150は、回路部100のパワーオンリセットを実行する。具体的な処理シーケンスについては図13等を用いて後述する。駆動回路140は、回路装置に接続される駆動対象を駆動する回路である。駆動回路140の詳細については、図11を用いて後述する。
3.充電系回路
次に充電系回路200の詳細、特に充電制御回路210の詳細について説明する。図5に充電制御回路210の構成例を示す。図5の例では、充電制御回路210は、抵抗値調整用の12個のトランジスターTr1〜Tr12と、逆流防止用のトランジスターTr13と、充電のオン/オフを制御するスイッチとして機能するトランジスターTr14を含む。
上述したように、VINは充電用の電源が接続され、VCCに電荷蓄積部400が接続される。そのため、Tr14がオンとなることでTr13がオンとなれば、VINからVCCに対して充電電流が流れ、電荷蓄積部400の充電が行われることになる。
ここで、12個のトランジスターTr1〜Tr12は、それぞれオン抵抗値の異なるトランジスターを用いる。具体的には、Tr1〜Tr12は互いにサイズ(W/L)の異なるトランジスターを用いればよい。一例としては、Tr1のオン抵抗値を基準とした場合に、Tr2のオン抵抗値を1/2、Tr3のオン抵抗値を1/4といったように、Trk(k=1〜12)のオン抵抗値をTr1のオン抵抗値の1/2k−1にすればよい。これは、Trkのkが大きくなるほど、トランジスターのサイズを大きくすることで実現できる。
図5に示した構成において、12個のトランジスターTr1〜Tr12のうち、いずれか1つをオンにして、その他の11個をオフとするものとすれば、VINとノードAとの間の抵抗値を12通りに変化させることが可能になる。VINとノードAとの間の抵抗値が変化すれば、当然電荷蓄積部400に供給される電流値が変化するため、充電の速度(電池電圧VCCの変化量)を調整することが可能になる。
なお、12個のトランジスターTr1〜Tr12はいずれか1つのみをオンとするものには限定されない。例えば、2以上のトランジスターを同時にオンにしてもよく、その場合、VINとノードAとの間の抵抗値は、オンとなったトランジスターのオン抵抗を並列接続した場合の抵抗値となる。この場合、各トランジスターをオンにするかオフにするかの212通りの設定が可能であるため、VINとノードAとの間の抵抗値を12ビットに対応する分解能で変更することができる。
本実施形態では、充電系回路200の不揮発性メモリー220は、充電判定用の閾値電圧情報及び充電電流設定情報の少なくとも一方を記憶してもよい。そして、充電制御回路210は、電荷蓄積部400の種類に応じて異なる閾値電圧情報、及び電荷蓄積部400の種類に応じて異なる充電電流設定情報の少なくとも一方に基づいて充電制御を行う。
ここで、充電電流設定情報とは、例えば定電流充電において用いる電流値(定電流値I_CC)、或いは定電圧充電の終了判定に用いる電流値(I_END)、或いはその両方を規定する情報である。また、閾値電圧情報とは、定電流充電と定電圧充電の切り替えを行う際の閾値電圧(CV_VOL)を規定する情報である。なお、図6(B)を用いて後述するように、本実施形態では充電の完了(定電圧充電の完了)を電流値I_ENDを用いて判定しているが、定電流充電のみを行い定電圧充電を行わない場合等には、閾値電圧情報として充電完了の判定に用いる閾値電圧を記憶してもよい。なお、その場合の値は上記CV_VOLと同様の値を用いればよい。
このようにすれば、不揮発性メモリー220に、充電において用いる電流或いは電圧、或いはその両方の情報を記憶しておくことができるため、当該情報を読み出すことで、適切な充電制御を実現することが可能である。そして上述したように、充電時には充電電圧VINが供給されるため、不揮発性メモリー220から情報を読み出せないという状況を考慮する必要性は非常に低い。
定電流充電とは、一定の電流値が流れるような充電制御である。定電流充電では、理想的には電流値がI_CCに固定されるため、電池電圧VCCは、直線的な増加をすることになる。一方、定電圧充電とは電荷蓄積部400の電圧値を一定に保つような(例えば自然放電による電圧低下を抑止するような)充電制御である。
つまり典型的には、不揮発性メモリー220は、充電電流設定情報として、定電流値設定情報を記憶し、充電制御回路210は、定電流充電において、定電流値設定情報により表される定電流値(I_CC)を用いた充電制御を行う。そして、不揮発性メモリー220は、閾値電圧情報として、切り替え判定用閾値電圧CV_VOLを記憶し、充電制御回路210は、充電中の電荷蓄積部400の電圧(電池電圧VCC)が切り替え判定用閾値電圧CV_VOL以下の場合に定電流充電を行い、電池電圧VCCが切り替え判定用閾値電圧CV_VOLを超えた場合に、定電圧充電に切り替えればよい。
このようにすれば、まず定電流充電により電池電圧VCCを直線的に増加させて、満充電の状態に短時間で到達させ、さらに定電圧充電を行うことで適切な充電状態を維持することが可能になる。この場合の電池電圧VCCの時間変化、及び充電電流の時間変化を図6(A)、図6(B)に示す。
図6(A)がVCCの時間変化であり、上述したように定電流充電においては一定の電流値I_CCが流れるため、VCCは直線的に増加する。そして、VCCが所定値(CV_VOL)を超えた場合に、充電制御回路210は、定電圧充電への切り替えを行う。定電圧充電では、理想的には図6(A)に示したように、VCCは一定値に保たれることになる。
また、図6(B)は充電電流の時間変化を表す。上述したように定電流充電においては充電電流はI_CCに保たれる。一方、定電圧充電では、充電制御回路210は、充電電流の値を徐々に下げていき、ある程度まで(I_ENDとなるまで)充電電流が下がったところで、充電動作を完了する。定電流充電の充電電流I_CCからいきなり充電電流を0とする(定電流充電のみを行う)場合に比べて、徐々に充電電流値を小さくしていくことになるため、安定した充電制御を実現することが可能である。なお、図6(B)では充電電流が直線的に低下する例を示したが、図7のフローチャート(特にS104〜S105)を参照すればわかるように、電流値の変化は図6(B)のようになるとは限らない。
以下、具体的な充電制御の流れを図7のフローチャートを用いて説明する。本実施形態の充電制御では、まず定電流充電で用いる電流値であるI_CCと、充電の完了を検出するための電流値I_ENDの情報を設定する(S101)。これは、回路装置を使用するユーザーがI_CC及びI_ENDの値を不揮発性メモリー220に書き込んでおき、当該情報を読み出すことで実現できる。なお、I_CCやI_ENDのような充電電流設定情報は、ユーザーが書き込むものに限定されず、回路装置の製造時に不揮発性メモリー220に書き込まれていた情報(初期値、既定値)を用いてもよい。また、図7には不図示であるが、S101ではCV_VOLのような閾値電圧情報の設定を合わせて行ってもよい。
そして、充電制御ではまず定電流充電を行う。充電電流として一定値I_CCを流し続けることが望まれるが、VINは充電用電源電圧であるため一定値であることが期待される一方、電池電圧VCCは充電とともにその値が増加していく。つまり、電位差が充電とともに小さくなっていくため、定電流を流すためには電位差の変化に合わせて充電制御回路210内の抵抗値も変化させていく必要がある。
具体的には、上述した12個のトランジスターTr1〜Tr12のいずれかをオンとすることで、所望の抵抗値を実現すればよい。電位差がVIN−VCCであり、流したい電流値がI_CCなのであるから、トランジスターのオン抵抗値により実現すべき抵抗値Trは、下式(1)により求めることができる。
Tr=(VIN−VCC)/I_CC・・・・・(1)
各トランジスターのオン抵抗値は回路装置の設計段階で既知となる情報であるため、12個のトランジスターTr1〜Tr12のうち、上式(1)を満たす、或いは上式(1)で求められるTrに最も近いオン抵抗値のトランジスターを選択する(S102)。
S102で選択されたトランジスターをオンとすることで、充電電流としてI_CCに対応する電流が流れ、定電流充電が実行されることになる。充電制御回路210では、次に電池電圧VCCが、定電圧充電へと切り替える電圧に達しているか否かを判定する。具体的には、現在の電池電圧VCCが、閾値電圧情報として設定されたCV_VOLを超えているかを判定すればよい(S103)。
S103でNoの場合には、定電流充電を継続する。その際、電荷蓄積部400の充電が進めばVCCの値が大きくなることで、電位差(VIN−VCC)が小さくなるため、定電流I_CCを実現するために必要な抵抗値も変化する。よって、S103でNoの場合にはS102に戻り、適切なトランジスターの選択を再度行う。
S103でYesの場合には、定電圧充電に移行する。定電圧充電では、まず電池電圧VCCが所望の値を満たしているか、すなわちVCC>CV_VOLが満たされているかを判定する(S104)。当該条件はS103の時点では満たされているが、その後の自然放電等によっては満たされなくなる可能性もある。よって、S104でNoの場合には、VCCが所望の値となるまで、その状態での充電を継続する。具体的には、充電を継続しながら、所与の間隔でS104の判定を繰り返せばよい。
一方、S104でYesの場合には、電池電圧VCCは所望の条件を満たしていることになるため、充電の完了に向けて充電電流を絞っていく。具体的には、12個のトランジスターTr1〜Tr12のうち、選択する(オンにする)トランジスターを、現在選択しているものより1つサイズが小さい(オン抵抗が大きい)ものに変更する(S105)。ここではVCCを一定以上の水準に保とうとしている以上、電位差(VIN−VCC)は一定以下の水準に保たれることが期待される。よってオン抵抗を大きくすることで、流れる充電電流を小さくすることが可能である。
なお、ここでは選択するトランジスターを段階的に変更している。具体的には、オン抵抗値がTr1>Tr2>Tr3>・・・>Tr12である場合に、Tr4からTr3、Tr3からTr2といったように、隣り合うトランジスターへ切り替えていく。これは、オン抵抗値の変化幅を小さくすることで、充電電流の急激な変化が生じないようにするためである。よって、充電電流の変化が問題とならないケースであれば、Tr4からTr2といったような、間を飛ばしたトランジスターの切り替えを行ってもよい。
そして、充電電流が充電完了を表す電流値I_ENDを下回ったかを判定する(S106)。S106でNoの場合には、充電電流が十分下がっていないものとして、S104に戻って処理を継続する。その場合、S104の条件が満たされていれば、再度S105の処理を行うことで、トランジスターのオン抵抗値はさらに大きくなるため、充電電流の低下が期待できる。
一方、S106でYesの場合には、所望の条件が満たされたものとして、定電圧充電を完了して充電制御を終了する。
なお、ここでは充電電流の値と、I_ENDを用いて終了判定を行ったがこれには限定されない。充電完了時には、図6(A)からわかるようにVCCはほぼ満充電時の電圧となっていることが期待されるため、その際の電位差(VIN−VCC)は既知といえる。よって、所望の充電電流I_ENDとなるためには、回路の抵抗値は(VIN−VCC)/I_ENDとなる。つまり、充電電流の値を直接監視せずとも、回路の抵抗値がどうなっているか、すなわち12個のトランジスターTr1〜Tr12のうち、いずれが選択されているかを判定することで、充電完了判定を行ってもよい。例えば、Trkのオン抵抗値を用いれば充電電流がI_ENDとなることが期待されるという状況であれば、トランジスターがTrkに切り替えられたか否かを、S106で判定すればよい。
なお、上述したように本実施形態では種々の電荷蓄積部400の使用を想定している。その場合、全ての電荷蓄積部に対して同様の充電制御を行うことはできない。よって、不揮発性メモリー220は、電荷蓄積部400の種類の識別情報を記憶し、充電制御回路210は、識別情報に基づいて、電荷蓄積部の種類に応じて異なる充電シーケンスで充電制御を行うとよい。
ここで、識別情報とは電荷蓄積部400の種類を識別できるだけの情報であり、例えば4種類までの電荷蓄積部400の識別を行うのであれば、2ビットのデータであってもよい。ただし、識別情報は電荷蓄積部400の種類が識別できればよく、他の形式のデータであることは妨げられない。
電荷蓄積部400の種類に応じて異なる充電シーケンスとは、具体的にはトランジスターの選択シーケンスである。図5では12個のトランジスターを含む充電制御回路210を示したが、これより多い数のトランジスターを含み、そのうちの所与の数(例えば上述したように12個)を選択して充電制御に用いてもよい。
極端な例としては、n(例えば4)種類の電荷蓄積部400を充電可能な回路装置であって、1つの電荷蓄積部の充電制御にm(例えば12)個のトランジスターを用いる場合であれば、充電制御回路210はn×m個のトランジスターを有してもよい。そして、充電制御回路210は、識別情報に基づいて、n×m個のトランジスターの中から、電荷蓄積部の種類に応じたm個のトランジスターを選択するシーケンスを実行してもよい。そして、図7のS102やS105でオンにされるトランジスターは、当該m個のトランジスターのうちのいずれかとする。
電荷蓄積部400の種類が異なれば、適切なI_CCやI_END、CV_VOLが異なるし、I_CCからI_ENDに移行させる際の電流値の傾きも異なってくる。上述したように、トランジスターの選択は、定電流値I_CCの実現や、定電圧充電における充電電流の制御に関係することから、充電制御に用いるm個のトランジスターの組を、電荷蓄積部の種類に応じて変更することで、当該電荷蓄積部に適した充電制御を実現可能となる。
例えば、電荷蓄積部400の種類が決定されれば、VCCの変化する範囲を決定することができる。具体的には過放電状態を検出する下限電圧(過放電検出閾値)に近い値から、満充電時の電圧に近い値の範囲でVCCが変化することになり、その値はそれぞれ電荷蓄積部の種類に応じて決まっている。そのため、電位差(VIN−VCC)の範囲も既知となり、さらに電荷蓄積部ごとに実現すべきI_CCも既知であるから、充電電流をI_CCとするために必要なオン抵抗値の範囲も既知となる。よって、電荷蓄積部400の種類ごとに実現すべきオン抵抗値の範囲が決定されるため、例えば当該範囲を満たすようなオン抵抗値となるトランジスターの組を、上記m個のトランジスターとして選択すればよい。
なお、充電制御回路210に含まれるトランジスターの総数の一例としてn×m個(例えば4×12=48)との説明を行ったが、これには限定されない。例えば、上述したように、電荷蓄積部400の種類に応じてオン抵抗値の取るべき範囲が決定される場合に、第1の電荷蓄積部のオン抵抗値の範囲と、第2の電荷蓄積部のオン抵抗値の範囲が重複することも多い。その場合、当該重複範囲では、第1の電荷蓄積部用のトランジスターと第2の電荷蓄積部用のトランジスターを別途設けるのではなく、1つのトランジスターを共有することが可能である。
つまり、複数の電荷蓄積部400において、用いるトランジスターの重複を許すものとすれば、充電制御回路210に含まれるトランジスターの総数はn×mよりも少なくてよい。
例えば、充電制御回路210に含まれるトランジスターの総数は16個であってもよい。この場合、不揮発性メモリー220から読み出された識別情報に基づいて、16個のトランジスターのうち、充電制御に用いる12個のトランジスターを選択する処理を行えばよい。
4.電池電圧VCCに応じた制御
次に、電池電圧VCCのレベルを検出し、検出結果に基づいて実行される制御の詳細について説明する。具体的には、過放電検出と、電圧変換の2つの制御が行われる。
4.1 過放電検出
まず、過放電検出について説明する。過放電検出は上述したように、電荷蓄積部400が使用不能とならないように、低電圧となった際に電荷蓄積部400の使用を停止するための検出制御である。どの程度で過放電となるかは電荷蓄積部400の種類によるため、過放電検出は電池電圧VCCと、電荷蓄積部400の種類に応じた制御となる。
つまり本実施形態では、回路部100は、電荷蓄積部400の放電状態を検出する放電検出回路を有し、放電検出回路は電荷蓄積部400の種類に応じた放電検出を行う。具体的には、放電検出回路とは図1や図4に示した過放電検出回路130であり、放電検出回路は、電荷蓄積部400の種類に応じた過放電検出を行うものであってもよい。
具体的な構成は種々考えられるが、放電検出回路は、電荷蓄積部400の種類に応じて異なる過放電検出閾値を用いて放電検出(過放電検出)を行えばよい。具体的には、そのときの電池電圧VCCと、電荷蓄積部400の種類によって決定される過放電検出閾値との比較処理を行えばよく、例えば図13に示したようなコンパレーターを用いた構成が考えられる。この際、過放電検出閾値が電荷蓄積部400の種類に応じて異なる。よって、過放電検出回路130は、電荷蓄積部400の種類に応じた比較処理が可能なように構成される。例えば、コンパレーターの非反転入力端子に電池電圧VCCを抵抗分割して入力し、反転入力端子に参照電圧Vrefを入力する構成とした上で、抵抗分割比として、電荷蓄積部400の種類数に対応する数だけの値をとりうるように構成する。さらに具体的には、過放電検出回路130は複数の電圧分割タップを有し、電荷蓄積部400の種類に応じて、タップの選択を変更すればよい。
なお、所与の電荷蓄積部の過放電検出閾値と、他の電荷蓄積部の過放電検出閾値が同じ(或いは十分近い)値となることもある。例えば、図8(A)を用いて後述するように一次電池(単6一次電池)の過放電検出閾値は、スーパーキャパシターと同じ0.85Vである。このような場合、スーパーキャパシターと単6一次電池の両方で、共通の電圧分割タップを利用してもよい。
過放電検出閾値が3.0Vである4.2Vのリチウムイオン電池と、上記2.5Vのリチウムイオン電池、スーパーキャパシター、単6一次電池の4つを用いる例の場合、過放電検出回路130ではVCCと3.0V、VCCと1.5V、VCCと0.85Vの3通りの比較を行えればよく、一例としては3つのコンパレーターを含む回路とすればよい。
4.2 倍率変換情報を用いた電圧変換
また、電池電圧VCCは、回路部100に含まれる回路や、回路部に接続される外部回路等の動作に用いられる。しかし動作の電圧は、動作対象である回路に応じてその値が決まっている。例えば、制御回路(ロジック回路)110であれば1.5V、共振回路であれば1.8Vといった値となる。それに対して、VCCは電力の消費(電荷の放出)によりその値が減少していくものであるため、電荷蓄積部400そのものは、規定の電圧値を一貫して供給するものではない。
そこで回路部100は、電荷蓄積部400からの電源電圧の電圧変換を行うDC−DC変換回路120を有し、DC−DC変換回路120は、電池電圧VCCの電圧変換を行う。
具体的には、回路部100は、回路装置の制御を行う制御回路110を含み、DC−DC変換回路120は、電圧変換により生成された第1のDC電圧VD1(制御回路用電源電圧)を制御回路110に供給する。さらに具体的には、DC−DC変換回路120は、変換電圧VC2をレギュレートする第1のレギュレーター125を含み、制御回路110は、第1のレギュレーター125により調整された第1の電源電圧VD1に基づいて動作する。
この際、VD1を制御回路110の動作のための電圧値(上述の例であれば1.5V)とするためには、まずVCCに対して電圧変換(昇圧或いは降圧)を行って変換電圧VC2を生成する際に、VC2≧1.5Vとなるような電圧変換を行う。一例としては、マージンを持たせてVC2≧1.55となるような電圧変換を行えばよく、この電圧変換は図1や図4のDC−DC変換部121により行われる。上記条件が満たされていれば、第1のレギュレーター125により電圧値を1.5Vにレギュレート(調整)することが可能になる。
また、共振ドライバーに対しては一般的に制御回路110とは異なる電圧を供給する必要がある。具体的には、回路部100は、共振回路の駆動制御を行う共振ドライバーを含み、DC−DC変換回路120は、電圧変換により生成された第2のDC電圧VD2(駆動用電源電圧)を共振ドライバーに供給する。さらに具体的には、DC−DC変換回路120は、変換電圧VC2をレギュレートする第2のレギュレーター127を含み、共振ドライバーは、第2のレギュレーター127により調整された第2の電源電圧VD2に基づいて動作し、共振回路を駆動する。
この際、VD1を共振ドライバーの動作のための電圧値(上述の例であれば1.8V)とするためには、VC2≧1.8Vとなるような電圧変換を行う。一例としては、マージンを持たせてVC2≧1.85となるような電圧変換を行えばよく、この電圧変換は図1や図4のDC−DC変換部121により行われる。
なお、この例では制御回路の動作電圧1.5Vは、共振ドライバーの動作電圧1.8Vよりも小さいため、VC2≧1.85VとするようにDC−DC変換部121で変換電圧VC2を生成しておけば、自然とVC2≧1.5V(或いはマージンを持たせてVC2≧1.55V)を満たすことになる。
ただし、電池電圧VCCは電荷蓄積部の充電、或いは放電に伴いその値が変化する。そのため、例えばVC2≧1.85を満たし続けるためには、VCCからVC2への電圧変換を適切に行う、具体的にはVCCに対する電圧変換倍率を適切に設定する必要がある。
例えば、VCCが1.9Vや2.0Vといった値の場合、電圧変換倍率を1倍としておけばVC2≧1.85Vが満たされる。一方、VCCが1.5Vといった値となった場合、VCCに対して昇圧を行わなければVC2≧1.85Vが満たされないため、例えば電圧変換倍率を3/2倍とする。このようにすれば昇圧後の変換電圧VC2は1.5×3/2=2.25Vとなるため、VC2≧1.85Vが満たされる。
さらに、スーパーキャパシター等は過放電検出閾値が低いため、VCCが1.0Vといった低い値でも動作する。その場合、3/2倍の昇圧でも不十分であるため、電圧変換倍率はさらに大きな値、例えば2倍等に設定する。このようにすれば昇圧後の変換電圧VC2は1.0×2=2.0Vとなるため、VC2≧1.85Vが満たされる。
以上からわかるように、DC−DC変換回路120は、電荷蓄積部400からの電源電圧(電池電圧)VCCの検出結果に基づいて、電圧変換倍率を切り替える。具体的な切り替えの例が図8(A)である。図8(A)は共振ドライバーに対して1.8Vを供給する場合の例であり、電圧変換倍率を用いた変換電圧VC2は、少なくとも1.85V以上となるように設定されている。
具体的には、図8(A)のB4とB5の列を参照すればよい。B4の列は上下方向が電池電圧VCCの大きさを表し、B5の列は対応するVCCに対して適用される電圧変換倍率の値を表す。VCCが2.70V〜1.85Vの範囲では、そのままでもVC2≧1.85Vが満たされるため、B5に示したように当該範囲での電圧変換倍率は1倍となる。なお、B6に示した5列はB4のVCCに対して、B5の電圧変換倍率を適用した場合に生成される変換電圧VC2の大きさを表す。上記範囲では当然であるがVC2=VCCである。
一方、VCCが1.80Vとなった場合、電圧変換倍率を1倍としてしまうとB6に示したようにVC2=1.800Vとなり、VC2≧1.85Vが満たされない。よって1.80Vより低い範囲、図8(A)の例では1.80〜1.25Vでは対応するB5の列に示したように、電圧変換倍率を3/2倍とする。この場合、変換電圧VC2は2.700V〜1.875Vとなるため、VC2≧1.85Vが満たされる。
また、VCCが1.20Vとなった場合、電圧変換倍率を3/2倍としてしまうとB6に示したようにVC2=1.80Vとなり、VC2≧1.85Vが満たされない。よって、1.20V以下の範囲、ここでは1.20V〜0.95Vでは、対応するB5の列に示したように、電圧変換倍率を2倍とする。この場合、変換電圧VC2は2.400V〜1.900Vとなるため、VC2≧1.85Vが満たされる。
また、VCCが0.90Vとなった場合、電圧変換倍率を2倍としてしまうとB6に示したようにVC2=1.800Vとなり、VC2≧1.85Vが満たされない。よって、0.90V以下の範囲、ここでは0.90V〜0.85Vでは、対応するB5の列に示したように、電圧変換倍率を3倍とする。この場合、変換電圧VC2は2.700V〜2.550Vとなるため、VC2≧1.85Vが満たされる。
また、ここでは過放電検出閾値の最低値が0.85Vである例を考えているため、VCCが0.80V以下の状況での動作を考慮していない。図8(A)に示したような、VCCに応じた電圧変換倍率を規定する情報を、本実施形態では電圧変換倍率情報と呼ぶ。
図8(A)のような制御を実現するためには、電池電圧VCCのレベルを監視しておき、電圧変換倍率の切り替えポイント(上記例では1.85V、1.25V、0.95V)を超えるか否かの判定を行えばよい。具体的には、回路部100は、電池電圧VCCのレベルの検出を行う電池電圧レベル検出回路190を含んでもよい。なお、電池電圧VCCのレベルとは、電荷蓄積部400の放電状態に対応するものであるから、本実施形態の電池電圧レベル検出回路190も広義には上記放電検出回路に含まれる。
仮に、図9(A)のような回路を構成し各コンパレーターの出力(Out1〜Out4)を判定することができれば、電池電圧VCCのレベルを判定可能である。図9(A)では4つのコンパレーターを用意し、マイナス端子には全て1.85Vを入力し、プラス端子には上から2×VCC、3/2×VCC、1×VCC、2/3×VCCを入力する。
4つの出力の組み合わせと電圧変換倍率の対応関係を図9(B)に示す。全てのコンパレーターの出力がハイレベルであれば、VCCを2/3倍に降圧しても1.85V以上となることから、電圧変換倍率を2/3倍とすればよい。一方、上3つの出力がハイレベルであり、一番下がLOWの場合、VCCを2/3倍に降圧しては1.85Vに届かないが、1倍とすれば1.85V以上となることがわかる。よって、電圧変換倍率を1倍とする。以下、同様であり、図9(B)に示したようにコンパレーターの出力の組を用いることで、VCCのレベルを検出し適切な電圧変換倍率を決定できる。
しかし、図9(A)では2×VCCといった電圧を入力する必要があり、電池電圧レベル検出のために昇圧を行わなくてはならず、現実的な回路構成とは言えない。よって、電池電圧レベル検出回路190を図10(A)のように構成するとよい。図10(A)では、電池電圧VCCとグラウンドGNDとの間に直列に5個の抵抗R0〜R4とスイッチとして機能するトランジスターSW2が設けられている。ノードENにイネーブル信号が入力された場合、トランジスターSW2がオンとなるため、各抵抗の間のノードには、VCCがR0〜R4により分圧された電圧が出力される。この各ノードの出力を、それぞれコンパレーターのプラス端子に対する入力とすればよい。つまり、V12の電圧値を基準とした場合に、V01=2/3×V12、V23=3/2×V12、V34=2×V12となるように、R0〜R4の抵抗値を設定すればよい。
図9(A)と図10(A)を比較した場合、図9(A)では下から2番目のコンパレーターの入力がVCCであるのに対して、図10(A)のV12はV12=VCC×(R0+R1)/(R0+R1+R2+R3+R4)となりこの点で相違する。よって、図10(A)の構成により図9(A)と同様の判定を行うには、マイナス端子に対する入力についても、VD2に基づく1.85V等の電圧値に対して同様の比率((R0+R1)/(R0+R1+R2+R3+R4))を乗じた電圧値を用いればよい。
具体的な電池電圧レベル検出回路190の回路構成を図10(B)に示す。各コンパレーターCO1〜CO4のマイナス端子には参照電圧Vrefが入力される。ここでの参照電圧Vrefは上記条件を満たすような電圧とすればよい。
以上で説明したように、図10(B)の電池電圧レベル検出回路190を用いることで、VCCと切り替えポイント(検出電圧)との比較を実現することが可能になり、図8(A)に示した倍率変換を行うことができる。なお、本実施形態では、もともとある程度のマージンを設定して処理を行っていることから、各抵抗値は上記条件を厳密に満たす必要はなく、ある程度幅を持たせた設計が可能である。
以上の制御は、言い換えれば、電圧変換倍率として第1の倍率α1と、第1の倍率α1よりも大きい第2の倍率α2が設定され、電池電圧VCCとし、駆動用電源電圧に基づいて設定される切り替えポイントに対応する電圧をVPとし、VCCが、VCC×α1≧VPを満たす状態から、VCC×α1<VP且つVCC×α2≧VPを満たす状態へ変化した場合に、DC−DC変換回路120は、電圧変換倍率を第1の倍率α1から第2の倍率α2へ切り替える制御となる。よって、電池電圧VCCが低下していく状況では、それまでの電圧変換倍率では不十分であると判定された場合に、より大きい電圧変換倍率への変更が実行される。なお、駆動用電源電圧VD2が1.8Vの場合、切り替えポイントの電圧VPは例えば上述したように1.85V、1.25V、0.95V等である。
また、上記制御は、第1の検出電圧(切り替えポイント)を下限境界電圧とする検出電圧範囲を第1の検出電圧範囲とし、第1の検出電圧を上限境界電圧とする検出電圧範囲を第2の検出電圧範囲とした場合に、DC−DC変換回路120は、電圧検出回路(放電検出回路、電池電圧レベル検出回路190)で検出された電源電圧(電池電圧VCC)が第1の検出電圧範囲にある場合には、電圧変換倍率を第1の倍率に設定し、電源電圧が第2の検出電圧範囲にある場合には、電圧変換倍率を第2の倍率に設定する制御である、と言うことも可能である。
以上の説明では、1.80V(及びマージンを持たせた1.85V)という具体的な電圧値を用いた。しかしこの値は、共振ドライバーの駆動対象である共振回路がそのような電圧で動作することから決定された値である。つまり、上述したように駆動回路(共振ドライバー)の駆動対象(共振回路)として複数の種類の駆動対象を考慮する必要がある場合、電圧変換は駆動対象に応じた制御、より正確には駆動対象を駆動するための駆動電源電圧に応じた制御としなくてはならない。
つまり本実施形態では、第1のトランスを有する第1の共振回路を駆動する場合は、レギュレーター(第2のレギュレーター127)は、第1の駆動用電源電圧を共振ドライバーに供給し、共振ドライバーは、第1の駆動用電源電圧が供給されて第1の共振回路を駆動する。一方、第2のトランスを有する第2の共振回路を駆動する場合は、レギュレーター(第2のレギュレーター127)は、第1の駆動用電源電圧とは異なる第2の駆動用電源電圧を共振ドライバーに供給し、共振ドライバーは、第2の駆動用電源電圧が供給されて第2の共振回路を駆動する。
このようにすれば、駆動用電源電圧に応じた制御が可能になるため、種々の駆動対象(共振回路)が回路装置に接続される場合であっても、接続対象に応じた適切な電圧変換を実行することが可能になる。
ここで共振回路300は、例えば図11に示した構成であってもよい。共振回路300は並列のLC共振回路(LC発振回路)であり、当該LC共振回路のインダクターL1(コイル)は、トランスの1次側コイルである。上述したように、LC共振回路に対しては駆動用電源電圧VD2が供給される。また、LC共振回路の出力(トランスの1次側出力)は端子IND0から回路装置に戻される。また、トランスの2次側コイルL2の出力は端子AINから回路装置に戻される。なお、AINからの信号は種々の利用が可能である。具体例については図17を用いて後述する。
図11のように共振回路300がトランスを含み、当該トランスの2次側出力を利用することが想定される場合、例えば2次側出力の電圧値を規定値とする必要性が生じることがある。具体的には、AINに戻される正弦波を9.0Vを中心とした電圧としなくてはならないといった状況があり得る。
その場合、2次側出力を9.0Vにするための1次側の入力電圧(すなわち駆動用電源電圧VD2)を何Vにするかは、トランスの構成によって変化する。例えば、第1のトランスと第2のトランスは、一次側と二次側の巻き線比(広義にはトランスの変倍率)が異なるものであり、その結果、駆動用電源電圧VD2が異なるものとなる。
例えば、巻き線比が5である、すなわち2次側の電圧が1次側の5倍となる場合、1次側の電圧は9.0Vの1/5倍である1.80Vとすればよい。また、巻き線比が6であれば、1次側の電圧が1.50Vあれば、2次側の電圧を9.0Vとすることが可能である。
なおこの場合、共振ドライバーは、第1の共振回路を駆動する場合には、周波数が第1の周波数で、振幅が第1の駆動用電源電圧に対応する第1の振幅である駆動信号で駆動し、第2の共振回路を駆動する場合には、周波数が前記第1の周波数で、振幅が第2の駆動用電源電圧に対応する第2の振幅である前記駆動信号で駆動することになる。
すなわち、共振回路を駆動する駆動用電源電圧VD2がトランスによって異なる以上、LC共振回路の出力である正弦波(IND0に対する入力)の振幅値は異なるものになるが、周波数は共通の周波数を用いることが可能である。例えば、複数のトランスで、巻き線比は異なるが1次側のLC共振回路を共通とする(2次側のコイルを変更する)実施形態であれば、共振周波数が変化しない以上、正弦波の周波数は共通となる。
なお、共振回路300の出力である正弦波の振幅は、例えば図12に示した状態となるように制御すればよい。上述したように、正弦波の中心が駆動用電源電圧VD2となるが、正弦波の電圧が最も下がった状態で、値がVSS(狭義にはグラウンド)に等しくなった場合に、十分な振幅に達したと判定する。言い換えれば、共振ドライバーによる共振回路の駆動は、図12の状態が満たされるように制御されることになる。図12の状態が満たされる場合、正弦波の振幅は2×(VD2−VSS)となり、VSSが一定値であるとすれば、当該振幅値はVD2に依存することになる。
そして、駆動用電源電圧VD2が駆動対象によって異なるのであれば、DC−DC変換回路120における電圧変換の制御も変化する。なぜなら、駆動用電源電圧VD2が1.50Vである場合、変換電圧VC2は多少のマージンを持たせたとしても、例えばVC2≧1.55Vを満たせばよい。そのような場合に、VC2≧1.85Vを満たさなくてはならないという条件で回路を動作させてしまうと、不必要に変換電圧VC2を大きくしてしまうおそれがある。つまり、駆動用電源電圧VD2が1.50Vの場合、第2のレギュレーター127でのレギュレートにより、最終的な出力は1.50Vに調整するにもかかわらず、VC2がそれに対して過剰に大きくなり、電力変換におけるロスにつながる。
そもそも、VD2が1.80Vである場合に、VC2≧1.85Vを満たすことだけを考えるのであれば、想定される最も大きい電圧変換倍率(図8(A)の例では3倍)を常に使い続ければよい。それをせずに、図8(A)等を用いて上述したような、複数の切り替えポイント(検出電圧)を用いた細かい電圧変換倍率を行っているのも、電力変換のロスを抑えるためのものである。
具体的には、駆動用電源電圧VD2が1.50Vであれば、変換電圧VC2がVC2≧1.55Vを満たし、且つ1.55Vに対して過剰に大きくならないような電圧変換倍率を設定するとよい。そのためには、1.85Vを基準として設定していた検出電圧(上記例では1.85V、1.25V、0.95V)を、1.55Vを基準としたものに変更すればよい。
具体例を図8(D)に示す。図8(D)は図8(A)と同様の図であり、上下方向がVCCの変化を表し、VCCに対応する電圧変換倍率と、各電圧倍率を用いた場合の変換電圧VC2の大きさを表す。この場合、1倍から3/2倍に切り替える切り替えポイントが1.55Vとなり、3/2倍から2倍へと切り替える切り替えポイントが1.05Vとなる。また、変換電圧VC2が小さくてもよいため、0.85V以上の範囲では電圧変換倍率を3倍とする必要はない。一方、2.35V以上では1倍でもVC2が過剰に大きくなってしまう、言い換えればより小さい電圧変換倍率でもVC2≧1.55Vを満たしうるため、2.35Vを切り替えポイントとして、電圧変換倍率を1倍から2/3倍(降圧)に切り替えている。
図8(B)は駆動用電源電圧VD2が1.70Vである場合、図8(C)は駆動用電源電圧VD2が1.60Vである場合の例である。考え方は図8(A)、図8(D)と同様であるため詳細な説明は省略するが、図8(B)では切り替えポイントが1.75Vを基準として設定され、図8(C)では切り替えポイントが1.65Vを基準として設定されるため、図8(A)や図8(D)とは倍率変換情報が異なるものとなっている。
以上で説明したように、DC−DC変換回路120において適切な電圧変換を行うためには、駆動用電源電圧VD2としてどのような電圧を用いればよいかという情報が必要となる。本実施形態では、回路装置は(狭義には回路部100は)不揮発性メモリー180を有し、不揮発性メモリー180の情報に基づいて、駆動用電源電圧VD2が設定されてもよい。
ここで、駆動用電源電圧VD2の情報は電荷蓄積部400の電池電圧VCCを用いた動作で利用されることを考慮すれば、ここでの不揮発性メモリーは充電系回路200に含まれる不揮発性メモリー220とは異なるメモリーであってもよい。具体的には、ここでの不揮発性メモリーは、図4に示した回路部100の不揮発性メモリー180であってもよい。なお、不揮発性メモリー180の情報とは、駆動用電源電圧VD2の値そのものの情報であってもよく、その場合、例えば駆動対象を接続するユーザーが、当該駆動対象を駆動するための電圧値を不揮発性メモリー180に書き込めばよい。
不揮発性メモリー180の情報はこれに限定されず、駆動対象の種類と、種類ごとの駆動用電源電圧VD2の値の組み合わせであってもよい。その場合、例えば駆動対象を接続するユーザーは接続が想定される複数の駆動対象について、駆動用電源電圧VD2の値を入力するとともに、実際に接続する駆動対象の種類を識別する情報を不揮発性メモリー180に書き込めばよい。この場合、制御回路110において識別情報から駆動対象を特定し、特定された駆動対象に対応する駆動用電源電圧VD2の値をDC−DC変換回路120に対して送信すればよい。
なお、DC−DC変換回路120において電圧変換を行う状況下では、電池電圧VCC、或いは変換電圧VC2はある程度の大きさを有していることが想定される。つまり、駆動用電源電圧VD2の設定値を読み取る段階では、不揮発性メモリー180を動作させられないという可能性は低い。そのため、電荷蓄積部400の種類の設定の場合とは異なり、駆動用電源電圧VD2の情報は不揮発性メモリー180を用いて設定しても大きな問題とならない。
また、以上では電池電圧VCCの変化に応じた電圧変換倍率の変更、或いは駆動用電源電圧VD2に応じた電圧変換倍率の変更について説明したが、電圧変換倍率の制御はこれに限定されない。
DC−DC変換回路120は、電荷蓄積部400の種類に応じた電圧変換を行うことも必要となる。なぜなら、電荷蓄積部400の種類が異なれば、電池電圧VCCの最大値(例えば満充電時の電圧)も、最小値(例えば過放電検出閾値)も異なるためである。
この点を説明するのが図8(A)のB1〜B3の列である。B1が単6一次電池、B2が2.5Vのリチウムイオン電池、B3がスーパーキャパシターに対応する。上述したように、駆動用電源電圧VD2が1.80Vであれば、切り替えポイントは1.80V、1.25V、0.95Vとなり、当該電圧を境界として電圧変換倍率の変更を行う。
しかし、各電荷蓄積部は上述したようにVCCの変化できる範囲が限定されていることから、上記切り替えポイントの全てを対象とする制御を行うとは限らない。例えば、B1に示したように単6一次電池であればVCCは1.80V〜0.85Vの範囲での変化を考慮すればよいため、実際には1.25Vと0.95Vでの切り替えを行えばよく、使用される電圧変換倍率も3/2倍、2倍、3倍の3通りである。
また、B2に示したように2.5Vのリチウムイオン電池であればVCCは2.50V〜1.50Vの範囲での変化を考慮すればよいため、実際には1.85Vでの切り替えを行えばよく、使用される電圧変換倍率も1倍と3/2倍の2通りである。同様に、スーパーキャパシターであればVCCは2.70V〜0.85Vの範囲での変化を考慮するため、1.85Vと1.25Vと0.95Vでの切り替えを行うことになり、使用される電圧変換倍率は1倍、3/2倍、2倍、3倍の4通りである。
以上の点は駆動用電源電圧VD2が異なる場合でも同様であり、図8(B)〜図8(D)に示したように、電荷蓄積部400の種類に応じて実際に使用する切り替えポイント、電圧変換倍率を異ならせる必要がある。
以上の制御を実現するには、DC−DC変換回路120は、電荷蓄積部400の種類に応じて異なる電圧変換倍率情報を用いて電圧変換を行えばよい。具体的には、駆動用電源電圧VD2が1.80Vである場合、図8(A)の全体ではなく、電荷蓄積部400の種類に応じた範囲の行だけ利用することになる。例えば単6一次電池であればVCCが1.8V〜0.85Vの範囲の情報を用いればよいし、2.5Vのリチウムイオン電池であれば、2.50V〜1.50Vの範囲の情報を用いればよい。
5.回路部の起動期間等のタイミングチャート
次に、回路部100の起動期間における信号の時間変化を、図13〜図15を用いて説明する。
図13に回路装置の詳細な構成例を示す。なお、図13は起動期間等におけるタイミングチャートに関係する構成を記載したものであり、回路装置の一部の構成は省略されている。また、図13に示したように回路装置は充電制御回路210と、パワーオンリセット回路150と、過放電検出回路130と、DC−DC変換回路120と、第2の発振回路160と、第3の発振回路170と、制御回路110と、ディレイ回路Deと、フリップフロップFFを含む。図4等を用いて上述した構成については適宜説明を省略する。
まず充電制御回路210は、トランジスターTrを有し、Trは充電時はオンになり、非充電時はオフとなる。つまり、ノードN1での信号は、充電時にはハイレベルとなり、充電器が取り外されたら徐々に電圧値が下がりローレベルに変化する。
また、パワーオンリセット回路150はNAND回路NA1を含む。NA1にはN1の信号を反転させた信号と、リセット回路151の出力の2つの信号が入力される。そのため、NA1に対する入力(N2,N3)が全てハイレベルの時にNA1の出力がローレベルとなり、当該出力が反転されることでノードN4,N5がハイレベルとなって、DC−DC変換回路120のリセットが解除される。
よって、DC−DC変換回路120が動作を開始する条件は、N2がハイレベルであること、及びN3がハイレベルであることとなる。N2がハイレベルとなるのはN1がローレベルとなる場合であるため、充電器が取り外されることが1つの条件である。一方、N3は電池の付け替えを考慮した回路であり、電池が取り付けられた場合にハイレベルとなる。つまり回路部100の動作開始時にN5がハイレベルとなり、DC−DC変換回路120が動作を開始する。
DC−DC変換回路120の動作開始時には制御回路110は動作していないため、AND回路ANの出力がハイレベルとなり、DC−DC変換回路120に含まれる発振回路123が動作を開始する。発振回路123は動作周波数が例えば32kHzのCR発振回路である。
また、制御回路110が動作していないことから、第2の発振回路160や第3の発振回路170からのクロック信号も入力されておらず、セレクターSEでは発振回路123からのクロック信号を選択して昇圧調整回路129に入力する。ここでは図面を簡略化したが、昇圧調整回路129とは、実際にはDC−DC変換部121と、第1のレギュレーター125と、第2のレギュレーター127により実現される回路である。
DC−DC変換回路120は、パワーオンリセット回路150からの第1のパワーオンリセット信号がアクティブになった場合に、所定倍率の昇圧を行って、変換電圧VC2を生成する。ここで、第1のパワーオンリセット信号とは、ノードN5に入力される信号であり、第1のパワーオンリセット信号がアクティブになった場合とは具体的にはノードN5がハイレベルとなった状態を表す。図13からわかるように、第1のパワーオンリセット信号とは、DC−DC変換回路120のリセットを解除するための信号である。具体的には上述したように、パワーオンリセット回路150は、充電制御回路210の充電動作がオフとなったことを条件に、第1のパワーオンリセット信号をアクティブにする。
ここで、昇圧には上記発振回路123を用いればよい。具体的には、DC−DC変換回路120は、上述したように電荷蓄積部400からの電源電圧VCCに基づいて発振動作を行う発振回路123を有し、DC−DC変換回路120は、発振回路123により生成された発振クロック信号を昇圧クロック信号として、所定倍率の昇圧を行って、変換電圧VC2を生成する。例えば、図13には不図示だが、DC−DC変換回路120は、4つの端子を有し、2つの端子の間に1つのキャパシターを接続することで、2つのチャージポンプ用のキャパシターが接続される構成であってもよい。
これにより、VC2としてVCCを2倍昇圧した電圧が生成されるとともに、第1のレギュレーター125を用いて制御回路110の動作用電圧VD1が生成される。VD1が生成されたら、それを用いて制御回路110を動作させればよいが、この段階ではVD1が制御回路110の動作を可能にするだけの電圧レベルであるかが保証されていない。
よって本実施形態では、パワーオンリセット回路150は、所定倍率の昇圧による変換電圧VC2により生成された制御回路用電源電圧VD1の電圧レベルを検出し、制御回路用電源電圧VD1が所与の閾値電圧を越えたことを条件に、制御回路110への第2のパワーオンリセット信号をアクティブにする。
ここで述べているように、第2のパワーオンリセット信号は制御回路110のリセットを解除するための信号である。よって、DC−DC変換回路120のリセット解除に用いられる第1のパワーオンリセット信号とは異なる信号となる。
具体的には、図13に示したように、パワーオンリセット回路150は、VD1レベル検出回路153を含んでもよい。VD1レベル検出回路153は、変換電圧VC2により動作し、現在の制御回路用電源電圧VD2と、所与の閾値電圧の比較処理を行う。そして、VD1が上記所与の閾値電圧を超えた場合に、ノードN6がハイレベルとなる。NAND回路NA2の入力は、N4に出力される信号と、VD1レベル検出回路153の出力の2つであるため、NA2の出力は、VD1が上記所与の閾値電圧を超え、且つ充電が再開されていない場合にローレベルとなり、ノードN7がハイレベルとなる。なお、ここでの閾値電圧は、制御回路110の正常動作時の電圧(例えば1.5V)でもよいが、制御回路110が動作可能であればそれよりも低い電圧であってもよく、例えば1.2Vといった値でもよい。
なお、発振回路123は、電池電圧VCCの昇圧前にも動作する(具体的には電源電圧VCCで動作する)必要があることからもわかるように、VD2の閾値電圧(1.2V)よりも低い電圧で発振可能な回路である。そのようにしなければ、もしVCCが低い場合、例えば過放電検出閾値よりは大きいが1.2V未満である場合に、そもそも昇圧自体が行えなくなってしまうため、回路装置の動作を開始できなくなってしまう。
ノードN7の信号をそのまま第2のパワーオンリセット信号としてもよいが、それでは問題が生じる場合があり得る。なぜなら、充電器が外された後も、充電用の電源VINに起因する電荷が回路装置内に残留する可能性があるためである。例えば、ノードN1の信号は、理想的には充電器が外されたタイミングで瞬間的にローレベル(グラウンド、VSS)に下がることが期待される。しかし実際には、図14に示したようにVINからGNDへある程度の時間をかけて変化していくことになる。図14のC1で示した期間にみられる電圧は、上述したVINに起因する電荷によるものである。
本実施形態では、回路部100(特に制御回路110)は、電荷蓄積部400からの電圧により動作し、充電用の電源電圧VINでの動作を想定していない。よって、C1に示した期間に制御回路110が動作してしまうと、予期せぬ不具合が生じるおそれがある。仮に、N1がローレベルであると判定される閾値電圧をC2とすれば、C2に対応するタイミングC3を起点として第1のパワーオンリセット信号が出力される。そのため、上述した発振回路123の動作、VCCを定倍昇圧することによるVC2の生成、VC2をレギュレートすることによるVD2の生成が行われ、ノードN7がハイレベルになり、C4に示した期間内に、制御回路110のリセットが解除されてしまう。
本実施形態ではこの点も考慮し、ノードN7がハイレベルになっても即座に制御回路110のリセットを解除するのではなく、ある程度のディレイをかける。具体的には、VINに起因する電荷による影響が少なくなる程度、すなわちノードN1の電圧が十分小さくなる程度の期間のディレイをかければよく、一例としてはC4の期間が経過する程度のディレイとなる。
つまり、パワーオンリセット回路150は、制御回路用電源電圧VD1の電圧レベルが所与の閾値電圧を越えてから、所与のディレイ期間経過後に、上記第2のパワーオンリセット信号をアクティブにする。このようにすることで、制御回路110において予期せぬ不具合が発生する可能性を抑止できる。
なお、ディレイのカウント手法は種々考えられるが、図13ではDC−DC変換回路120の発振回路123の出力をディレイ回路Deに入力している。すなわち、パワーオンリセット回路150は、発振回路123により生成された発振クロック信号に基づいて、所与のディレイ期間をカウントしてもよい。例えば、発振回路123のクロック信号のtクロック分(tは正の整数)をディレイ期間としてカウントすればよい。
また、電荷蓄積部400は過放電検出閾値を下回っていても、動作自体は可能な場合があり、結果として、上述してきたパワーオンリセット動作が実行されてしまうことがある。そのような小さい電圧で回路部100を動作させることは好ましくないため、第2のパワーオンリセット信号により制御回路110のリセットを解除する際には、過放電検出も併せて行うとよい。
つまり本実施形態の回路装置は、上述したように過放電検出回路130を含み、パワーオンリセット回路150は、過放電検出回路130において過放電状態が非検出であることを条件に、制御回路110への第2のパワーオンリセット信号をアクティブにする。具体的な回路構成は種々考えられるが、例えば図13に示したように、過放電検出回路130において過放電状態が非検出である場合に、フリップフロップFFのリセットを解除すればよい。ディレイ回路Deの出力がフリップフロップFFに入力されるため、結果として、VD1レベルが閾値電圧(1.2V)より高く、且つ過放電状態が非検出である場合に、第2のパワーオンリセット信号がアクティブとなる。これにより、適切に制御回路110の動作を開始することが可能になる。
以上の処理を説明するタイミングチャートが図15である。まず回路装置が充電器に接続されると、VINがハイレベルになる(D1)。これにより充電制御回路210がオンになり(D2)、充電が開始される。D3に電池電圧VCC、充電電流の変化を示しているが、詳細については図6(A)、図6(B)を用いて上述したので詳細な説明は省略する。
そして、充電器が外されるとVINがローレベルに落ち(D4)、上述したようにノードN4,N5がハイレベルとなる、すなわち第1のパワーオンリセット信号がアクティブとなる。これにより、発振回路123が発振を開始し(D5)、発振回路123のクロック信号をチャージクロック信号として、VCCの所定倍率での昇圧が行われ、変換電圧VC2が生成される(D6)。
変換電圧VC2が生成されたら、第1のレギュレーター125のレギュレートにより制御回路用電源電圧VD1を生成し(D7)、第2のレギュレーター127のレギュレートにより駆動用電源電圧VD2を生成する(D8)。また、このタイミングに合わせて、発振回路123のイネーブル信号(D9)、電池電圧レベル検出回路190のイネーブル信号(D10)、DC−DC変換回路120に対する制御信号(D11)も動作を開始する。
なお、発振回路123のイネーブル信号は、DC−DC変換回路120の発振回路123の動作を停止する際に用いられる信号であり、上述してきたように、このイネーブル信号がローレベルの状態でも発振回路123は動作を開始している。また、電池電圧レベル検出回路190のイネーブル信号は、図10(B)の端子ENに対する入力である。また、DC−DC変換回路120に対する制御信号は、例えば電圧変換倍率の変更指示等に用いられる信号である。
そして、制御回路用電源電圧VD1が閾値電圧を超えた後、図15の例では発振回路123の2クロック目の立ち上がりのタイミングまでディレイがかけられ、D12のタイミングで第2のパワーオンリセット信号がアクティブとなる。このタイミングで制御回路110が動作を開始し、通常動作用の発振回路である第2の発振回路160のイネーブル信号をハイレベルにし(D13)、第2の発振回路160が動作を開始する(D14)。
また、図15の例では、第2の発振回路160からのクロック信号を制御回路110で分周し、昇圧用クロックとしてDC−DC変換回路120に対して出力する(D15)。D15のタイミング以降は、当該信号を昇圧用クロックとすればよいため、DC−DC変換回路120の発振回路123を用いる必要がなくなる。よって、発振回路123のイネーブル信号をローレベルとして(D16)、発振回路123の動作を停止する(D17)。
また、電池電圧レベル検出回路190のイネーブル信号は、D18等に示すように所定間隔でハイレベルとなる。つまり、電池電圧VCCのレベルは所定期間ごとに検出され、必要に応じてDC−DC変換回路120に対する制御信号を用いて倍率変換を行う(D19)。図15の例では、D18,D19のタイミングで、倍率を小さくする指示が行われており、結果としてVC2の値が下がっている(D20)。
また、駆動回路140(共振ドライバー)も、イネーブル信号がハイレベルとなることで動作を開始し(D21)、駆動対象の駆動が開始される。図15の例では、共振回路(CR発振回路)による発振が開始される(D22)。
なお、本実施形態の回路装置では、電力消費を低減するためにスリープ状態を設定してもよい。スリープ状態では、一部の回路が動作を停止することで、通常動作状態に比べて低消費電力が実現される。図15を用いて通常動作状態からスリープ状態への遷移、及びスリープ状態から通常動作状態への復帰の際のタイミングチャートを説明する。
まず、スリープ状態へ移行すると、駆動回路140のイネーブル信号がローレベルとなり(E1)、駆動対象の動作を停止する(E2)。また、スリープ状態用の発振回路である第3の発振回路170のイネーブル信号をハイレベルとし(E3)、第3の発振回路170が動作を開始する(E4)。図からわかるように、第3の発振回路170は第2の発振回路160に比べて周波数が低い。
第3の発振回路170が動作を開始したら、第2の発振回路160のイネーブル信号をローレベルとすることで(E5)、第2の発振回路160の動作を停止する(E6)。これにより、動作周波数の相対的に低い発振回路を動作させることになるため、通常動作状態に比べて消費電力を低減できる。なお、DC−DC変換回路120への昇圧用クロックの供給は継続しており、これは第3の発振回路170の信号を用いればよい。図15の例では、第3の発振回路170のクロック信号を分周することなく、DC−DC変換回路120に対して出力している。また、電池電圧レベル検出回路190のイネーブル信号は、E7に示すように所定間隔でハイレベルとなる。つまり、電池電圧VCCのレベルの検出は継続してもよい。
スリープ状態から通常動作状態への復帰は、この手順の逆を行えばよい。具体的には、第2の発振回路160のイネーブル信号をハイレベルとすることで(F1)、第2の発振回路160の動作を開始する(F2)。第2の発振回路160が動作を開始したら、DC−DC変換回路120への出力は、第2の発振回路160のクロック信号を分周した信号に切り替えればよい。
そして、第3の発振回路170のイネーブル信号をローレベルとすることで(F3)、第3の発振回路170の動作を停止する(F4)。さらに、駆動回路140(共振ドライバー)のイネーブル信号をハイレベルとし(F5)、駆動対象の動作を開始する(F6)。所定間隔で電池電圧レベル検出回路190のイネーブル信号がハイレベルとなる点も同様である(F7)。
上述したように、本実施形態の回路装置は動作状態とスリープ状態の少なくとも2つの状態を取り得るものであり、図15では当該2つの状態間での遷移について説明した。ここでは図16(A)、図16(B)の状態遷移図を用いて、回路装置の他の状態についても簡単に説明する。
図16(A)がスーパーキャパシターや、リチウムイオン電池等の充電可能な電荷蓄積部を用いる場合の状態遷移図である。この場合、状態としては、起動状態、動作状態、スリープ状態、過放電状態、充電状態、満充電状態を取り得る。
起動状態とは回路装置の起動を行っている状態であり、具体的には図15のD22までの期間である。起動期間のシーケンスが充電器の取り外しから(D4)から開始されたことからもわかるように、充電状態或いは満充電状態において、VINがオフとなったことが検出された場合に起動状態に遷移する。
そして、起動状態において回路装置の各部が正常に起動した場合には動作状態に移行する。動作状態では、スリープ検出を行っており、スリープが検出された場合にスリープ状態へ移行する。スリープ検出は、具体的にはユーザーによる明示のスリープ移行指示操作を検出するものであってもよいし、ユーザーの操作が一定期間行われていないことを検出するものであってもよい。スリープ状態へ移行する際の具体的なシーケンスは上述したとおりである。
またスリープ状態は、駆動回路140や第2の発振回路160等の動作を停止している状態である。スリープ状態では、スリープ解除条件が満たされた場合に、動作状態へ遷移する。具体的には、ユーザーによる何らかの操作が検出された場合に、動作状態に移行すればよい。
また、起動状態、動作状態、スリープ状態では過放電検出回路130による過放電検出が行われている。そして、過放電が検出された(VCCが過放電検出閾値を下回った)場合に、過放電状態へ移行する。過放電状態では、充電制御回路210、過放電検出回路130、DC−DC変換回路120、第2の発振回路160、駆動回路140、制御回路110等、種々の回路が動作を停止する。
また、起動状態、動作状態、スリープ状態のいずれかにおいてVINの入力が検出された場合であって、電池電圧VCCが満充電時の電圧(充電電圧規格)に満たない場合、或いは過放電状態においてVINの入力が検出された場合には、充電状態に移行する。
充電状態では、図5〜図7を用いて説明した充電制御を行って電荷蓄積部400の充電を実行する。図7のS106で述べたとおり、充電電流がI_ENDとなったことが検出された場合に、充電状態から満充電状態へ移行する。満充電状態とは、電荷蓄積部400の充電が完了している状態である。上述したように、充電状態或いは満充電状態において、VINがオフとなったことが検出された場合に起動状態に遷移する。
なお、図16(A)には不図示であるし、充電制御の説明において上述しなかったことであるが、本実施形態の回路装置は、充電状態と満充電状態の他に、再充電状態という状態を有してもよい。再充電状態は充電電流がI_ENDとなった後、所定期間(例えば5分)だけ取り得る状態であり、自然放電により低下する電池電圧VCCを再び増加させる充電制御を行う。つまり本実施形態では、充電状態で充電電流がI_ENDとなったら再充電状態に移行し、その後所定期間経過したことを条件に満充電状態に移行してもよい。
一方、図16(B)が単6一次電池等の一次電池を電荷蓄積部400として用いる場合の状態遷移図である。この場合、状態としては、起動状態、動作状態、スリープ状態、過放電状態を取り得る。
起動状態、動作状態、スリープ状態は図16(A)と同様であり、その間での遷移についても図16(A)と同様である。ただし、一次電池では充電を行うことがないため、各状態から充電状態への遷移を考慮する必要がない。
また、各状態において過放電が検出された(VCCが過放電検出閾値を下回った)場合に、過放電状態へ移行する。ただし、一次電池の場合、過放電状態においても過放電検出回路130による過放電検出が継続される。なぜなら、二次電池であれば、過放電状態への移行後、VINの入力により充電状態に遷移し、VINのオフにより起動状態に遷移するという手順を経るのに対して、一次電池ではVINに関する検出が行われない。つまり、二次電池であれば、電池電圧VCCとは関係なく充電電圧VINの検出を行えば過放電状態から復帰できるのに対して、一次電池は過放電状態から電池の入れ替えを検出して起動状態へ遷移しなくてはならず、そのためには電池電圧VCCの検出を継続している必要がある。
そのため、一次電池を用いる場合、過放電状態においても過放電検出を継続し、過放電が非検出となった場合に、起動状態に遷移させるという手順を取る。なお、図2(A)〜図2(E)を用いて上述したように、回路部100においては、電荷蓄積部400の種類は外部接続端子SEL0,SEL1からの情報に基づいて判定すればよい。
以上で説明したように、放電検出回路(具体的には過放電検出回路130)は、電荷蓄積部400の種類に応じて異なる過放電検出シーケンスを用いて放電検出を行う。具体的には、放電検出回路は、外部接続端子(SEL0.SEL1)によって設定された情報に基づいて、電荷蓄積部が二次電池であると判定された場合に、動作状態及びスリープ状態において放電検出をアクティブとし、放電検出の結果に基づいて動作状態又はスリープ状態から過放電状態に移行した後には、放電検出を非アクティブとする第1の過放電検出シーケンスを用いる。一方、放電検出回路は、外部接続端子によって設定された情報に基づいて、電荷蓄積部400が一次電池であると判定された場合に、動作状態及びスリープ状態において放電検出をアクティブとし、放電検出の結果に基づいて動作状態又はスリープ状態から過放電状態に移行した後にも、放電検出をアクティブとする第2の過放電検出シーケンスを用いる。
このようにすれば、電荷蓄積部400の種類に応じた適切な放電検出(狭義には過放電検出)を実行することが可能になる。
6.共振ドライバー
上述してきたように、回路部100に含まれる駆動回路140は、共振回路の駆動制御を行う共振ドライバーであってもよい。ここでは、共振回路及び共振ドライバーの具体的な構成例について説明する。
図11に示したように、共振回路300は、キャパシター(コンデンサー)C1と、インダクター(コイル)L1を有するLC発振回路と、2次側インダクターL2とを含む。LC発振回路のインダクターL1と2次側インダクターL2とでトランスが構成される。共振ドライバーは、振幅電圧設定部141と、駆動電流設定部143と、変調部145とを含む。
振幅電圧設定部141はLC発振回路に対して駆動用電源電圧VD2を供給する。駆動電流設定部143は、端子IND0から入力されるLC共振回路の出力(トランスの1次側出力)と、基準電圧VSSとを用いて、LC共振回路での共振に必要な駆動電流の設定を行う。具体的には、図12に示した振幅となる正弦波が出力されるように、電流値の制御を行えばよい。
そして、変調部145は端子AINを介してトランスの2次側出力を取得し、当該2次側出力に対して所与の変調を行ってAOUTから出力する。一例としては、変調部145は、別途通信対象であるデータ信号を取得し、当該データ信号とAINからの信号とを用いた変調を行ってもよい。
変調方式としてASK(Amplitude Shift Keying)を用いる場合の例を図17に示す。図17のように、0又は1のデータ信号と、正弦波である2次側出力を取得した場合に、変調部145は例えば図17に示したASK変調波形を生成し、AOUTから出力する。変調部145は、例えばデータ信号が1の時のみにオンとなるスイッチにより実現されてもよいし、データ信号とAINからの信号を乗算する乗算器により実現されてもよい。
また、変調部145はASK変調波形として図17とは異なる波形を用いてもよい。或いは、変調方式としてFKS(Frequency Shift Keying)やPSK(Phase Shift Keying)を用いてもよく、変調部145における処理は種々の変形実施が可能である。
また、ここでは所与のデータ信号の出力を考えたためデータ信号による変調を行ったが、回路装置の使用形態によってはAINから入力される正弦波をそのままAOUTから出力してもよい。
7.電子機器
以上では回路装置について説明を行ったが、本実施形態の手法は回路装置に限定されるものではなく、上記の回路装置を含む電子機器に適用することも可能である。本実施形態に係る電子機器は種々の形態が考えられる。例えば、図17を用いて上述したように、データ信号(ベースバンド信号)と、共振回路300からの信号(搬送波)とを用いて生成した変調信号(変調波形)を他の機器に対して送信する電子機器であってもよい。特に、本実施形態の回路装置が電荷蓄積部400により動作可能であることを考慮すれば、本実施形態に係る電子機器全体としても電荷蓄積部400により動作可能な小型軽量な機器を実現することが想定される。
例えば、上記データ信号として、ユーザーによる操作に基づく信号を用いるものとすれば、本実施形態に係る電子機器としてリモートコントローラー等の機器を実現することが可能である。具体的には、自動車等で広く用いられているキーレスエントリーモジュール等であってもよい。キーレスエントリーモジュールは、アンテナを用いた無線通信により移動体(車体)と通信を行い、移動体側ではキーレスエントリーモジュールからの信号に基づいて、ドアやトランクの解錠施錠、ライトの点灯消灯等を制御する。キーレスエントリーモジュールには、一般的にボタン等の操作部が設けられており、ユーザーが当該操作部を操作すると、その操作情報が無線通信によって車体側に通知される。つまり、本実施形態の回路装置を含む電子機器としてキーレスエントリーモジュールを実現する場合、回路装置はユーザーの操作情報をデータ信号として取得し、共振ドライバーにより共振回路を駆動して搬送波を生成し、データ信号と搬送波により生成した変調信号をアンテナを介して車体に対して送信すればよい。
或いは、本実施形態に係る電子機器は電子ペンのような機器であってもよい。電子ペンは例えばPC等のコンピューターにおける入力機器として用いられるものであり、例えばタブレット(位置検出装置)と組にして用いられる。
具体的には、電子ペンを用いてタブレットの所与の位置を指示する(タブレットの所与の位置をペン先等でタッチする、或いは所与の位置にペン先等を近づける等の操作を行う)と、タブレットは指示位置を検出し、その座標をコンピューターに対して出力する。タブレットの構成は種々考えられるが、例えば縦方向(X軸)及び横方向(Y軸)の長さに対して、厚み方向(Z軸)の長さが短い、薄い板状のデバイスであってもよい。そしてタブレットは、X方向に並ぶ複数のループコイルと、Y方向に並ぶ複数のループコイルを含む。すなわち、タブレットはXY平面に沿った方向においてアレイ状に配置されたループコイル群を有する。
電子ペンでは、例えばペン先に対して、図17に示した変調信号を出力する。そのため、ペン先をタブレットに近づけた場合、タブレット側ではペン先に近い位置のループコイルでの出力信号が、ペン先から相対的に遠い位置のループコイルの出力信号に比べて大きくなる。そのため、例えばタブレット側の検出回路において、複数のループコイルの各コイルの出力信号レベルを走査する処理を行い、最も出力信号の大きいループコイルを特定すれば、特定されたループコイルに対応する位置が電子ペンにより指示されたことを特定できる。すなわち、タブレットを位置検出装置として利用することが可能になる。
この場合、本実施形態に係る電子機器である電子ペンでは、端子AOUTから出力される変調信号が、タブレットのループコイルに対して送信されるような構成を取ればよい。一例としては、電子ペンはペン先に相当する位置に送信用コイルを含み、端子AOUTからの変調信号は当該送信用コイルに対して出力されてもよい。この場合、電子ペンのペン先と、タブレットのうちの所与のループコイルの距離がある程度近くなれば、送信用コイルが1次側コイル、ループコイルが2次側コイルとして機能し、電磁誘導により変調信号がタブレット側に送信されることになる。すなわち電磁誘導方式の位置検出装置を実現可能となる。
この際、単純な位置だけではなく筆圧等の情報を電子ペンからタブレットに対して送信してもよい。例えば電子ペンはペン先(芯)に可変容量コンデンサーを含んでもよい。この可変容量コンデンサーは芯に対する押圧の大きさに応じてその容量が変化するものである。そのため、ここでの容量変化を検出することで、電子ペンは筆圧の情報を検出可能となる。
そして、当該筆圧等の情報は、上記データ信号の値として変調信号を用いてタブレットに対して送信され、さらにPC等のコンピューターに送信され、線の描画等の際に用いられる。位置検出、情報送信のシーケンスは種々考えられるが、例えば一定期間を単位として、まず位置検出処理を行い、その後筆圧等の情報を送信するという2つのフェーズを有してもよい。一例としては、まず位置検出フェーズでは、一定期間、変調を行わずに、共振回路300の2次側出力をそのままペン先から送信する。これは、上記一定期間の相当するビット数分だけ、値が1となるデータ信号を送信することと同義である。そして、その後、筆圧の検出精度に応じたビット数分だけのデータ信号を変調して送信する。例えば、256段階での筆圧検知を行う場合であれば、少なくとも8ビットのデータ信号を変調して送信すればよい。なお、ここで送信される情報は筆圧だけに限定されず、電子ペンの充電状況(電荷蓄積部400の放電状態)の情報等、他の情報を含んでもよい。
或いは、電子ペンの先端に導電体の芯(導電芯)を設けて、当該導電芯に対して端子AOUTから出力される変調信号を印加してもよい。当該導電芯をタブレット表面に接触させることで、変調信号をタブレットに対して送信する。なお、この場合の位置検出は広く知られた静電容量結合方式を用いることができる。
また、ここでは本実施形態に係る電子機器の例としてキーレスエントリーモジュール及び電子ペンについて説明したが、本実施形態の手法は上述してきた回路装置を含む種々の電子機器に適用することが可能である。
なお、以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また回路装置、電子機器の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。