JP2016156317A - エンジンの燃圧制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃圧の過剰低下を抑えつつ、エンジン負荷低下時の燃圧の速やかな低下を実現することのできるエンジンの燃圧制御装置を提供する。【解決手段】エンジン負荷が将来低下すると予測したときに(S106:YES)、高圧燃料ポンプの加圧動作を停止する先読減圧制御を開始するとともに(S107)、その先読減圧制御の実行中に(XDPMPSTP=ON)、実燃圧PRが、下限ガード値PRGD以下、且つ目標燃圧PRRQよりも低い値となったときには(S102:YES)、実燃圧PRを下限ガード値PRGDに保持するように高圧燃料ポンプの燃料吐出量を制御する下限ガード処理を行うようにした(S103)。【選択図】図3

Description

本発明は、エンジンに供給される燃料の圧力を制御するエンジンの燃圧制御装置に関する。
エンジンにおいて燃焼される燃料を噴射するインジェクターは、一度の噴射当たりの噴射時間に下限があり、インジェクターに供給される燃料の圧力(燃圧)が高いときには、噴射可能な燃料の最小量(最小噴射量)が多くなる。そのため、燃料噴射量が少ない低負荷運転時に、燃圧が高い状態にあると、燃料噴射量が要求よりも多くなってしまう。特に、筒内噴射式ガソリンエンジンのように、燃圧の高いエンジンでは、燃圧がインジェクターの最小噴射量に与える影響が大きくなる。そのため、そうしたエンジンでは、エンジン回転速度やエンジン負荷に基づき目標燃圧を設定し、実際の燃圧(実燃圧)がその目標燃圧に近づくように燃料ポンプの燃料吐出量を制御することで、エンジンの運転状態に応じた適度な値となるように燃圧を制御している。
従来、そうした燃圧制御装置として、特許文献1に記載の装置が知られている。同文献に記載の燃圧制御装置では、通常は、燃料ポンプの燃料吐出量を、実燃圧と目標燃圧との偏差に応じてフィードバック制御するようにしている。ただし、そうしたフィードバック制御を最適化しても、減速運転時には、エンジン負荷の低下に応じて燃料消費量が減少して、燃圧が下がり難くなるため、燃圧が目標に対して追従しきれないことがある。そこで、上記文献に記載の燃圧制御装置では、アクセルペダルの操作状況から減速運転であると判定されたときには、フィードバック制御を一時停止して、エンジン回転数とアクセルペダル操作量から設定された減量指令値に燃料ポンプの燃料吐出量を制限することで、速やかな減圧を可能としている。
特開2009−209829号公報
ところで、エンジン負荷が低下すると、燃料噴射量が少なくなって燃料消費が減少するため、燃料ポンプの燃料吐出量を制限しても、燃圧の速やかな低下が困難となる。そのため、減速運転時における燃圧の低下を確実に行うには、エンジン負荷が将来低下することをより早い時期に予測して、燃料吐出量の制限をより早い時期から開始することが望ましい。しかしながら、エンジンの運転状況によっては、エンジン負荷の低下が予測よりも遅くなることがある。そうした場合、燃料吐出量の制限が、エンジン負荷が高く、燃料消費量が多い状態で行われることになり、燃圧が下がり過ぎてしまう虞がある。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、燃圧の過剰低下を抑えつつ、エンジン負荷低下時の燃圧の速やかな低下を実現することのできるエンジンの燃圧制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するエンジンの燃圧制御装置は、インジェクターに供給される燃料の圧力の現在値である実燃圧を、エンジン負荷に基づき設定された目標燃圧とすべく燃料ポンプの燃料吐出量を制御するとともに、エンジン負荷が将来低下すると予測したときに、燃料ポンプの燃料吐出量を前記目標燃圧の現在値に応じた値よりも少なくする先読減圧制御を行うポンプ制御部を備える。そして、そのポンプ制御部は、先読減圧制御の実行中に実燃圧が、規定の下限ガード値以下、且つ目標燃圧よりも低い値となったときに、実燃圧を下限ガード値に保持するように燃料吐出量を制御する下限ガード処理を行うようにしている。
上記燃圧制御装置では、エンジン負荷が将来低下すると予測されるときには、先読減圧制御が実行されて、実際にエンジン負荷が低下して燃料消費量が減少する前から燃料ポンプの燃料吐出量が減量される。そのため、エンジン負荷の低下時に実燃圧を速やかに低下させることが可能となる。このときの先読減圧制御の開始後に、エンジン負荷が予測通りに低下したときには、そのエンジン負荷の低下に応じて目標燃圧も低下する。一方、先読減圧制御の開始後に、エンジン負荷が予測通りに低下せず、高い値のままとなっていれば、目標燃圧も高い値に保たれる。よって、先読減圧制御の実行中に実燃圧が低下したにも拘らず、目標燃圧が低下しない状態となったときには、エンジン負荷が予測通りに低下しておらず、実燃圧の過剰低下が生じる虞がある。
その点、上記エンジンの燃圧制御装置では、先読減圧制御の実行中に実燃圧が規定の下限ガード値以下に低下し、且つ実燃圧が目標燃圧よりも低い値となったときには、下限ガード処理が行われる。そして、その下限ガード処理により、実燃圧を下限ガード値に保持すべく燃料吐出量の制御が行われ、それ以上の実燃圧の低下が抑えられる。したがって、上記エンジンの燃圧制御装置によれば、燃圧の過剰低下を抑えつつ、エンジン負荷低下時の燃圧の速やかな低下を実現することができる。
上記エンジンの燃圧制御装置において、ポンプ制御部は、先読減圧制御の開始からの継続時間が規定値以上であり、且つ実燃圧から目標燃圧を減算した値が規定値以下のときには、先読減圧制御を終了して、実燃圧を目標燃圧とするための燃料吐出量の制御を再開することが望ましい。こうした場合、先読減圧制御が不必要に継続されて実燃圧が過剰に低下されてしまうことが抑えられる。
上記エンジンの燃圧制御装置において、先読減圧制御での燃料吐出量の制限は、例えば燃料ポンプの加圧動作を停止することで行うことができる。こうした場合、先読減圧制御の実行中に、燃料ポンプの燃料吐出量を「0」として、より速やかに実燃圧を低下できるようになる。
上記エンジンの燃圧制御装置において、ポンプ制御部は、下限ガード処理の実行中に、目標燃圧が下限ガード値以下となったとき、先読減圧制御の開始からの経過時間が規定の時間以上となったとき、及び将来のエンジン負荷の増加率が規定値以上となると予測されたときのいずれかとなったときに、同下限ガード処理を終了することが望ましい。こうした場合、下限ガード処理を適切な時期に終了して、通常の目標燃圧に応じた燃料吐出量制御を再開することができる。
なお、ポンプ制御部によるエンジン負荷の低下の予測は、例えばエンジントルクの要求値である要求トルクに基づき行うことが可能である。
エンジンの燃圧制御装置の一実施形態が適用されるエンジンの燃料系の構成を模式的に示す略図。 同実施形態の燃圧制御装置において演算される目標燃圧PRRQとエンジン回転数NE及びエンジン負荷KLとの関係を示すグラフ。 同実施形態の燃圧制御装置において実行される先読減圧/下限ガード実行判定ルーチンのフローチャート。 同実施形態の燃圧制御装置において実行される燃料吐出量制御ルーチンのフローチャート。 エンジン負荷の低下に遅れが生じたときに下限ガード処理を実行しなかった場合の先読減圧制御の実行態様の一例を示すタイムチャート。 エンジン負荷の低下に遅れが生じたときに下限ガード処理を実行しなかった場合の先読減圧制御の実行態様の一例を示すタイムチャート。
以下、エンジンの燃圧制御装置の一実施形態を、図1〜図6を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態の燃圧制御装置は、車載用の筒内噴射式ガソリンエンジンに適用されるものとなっている。
図1に示すように、本実施形態の燃圧制御装置が適用されるエンジンの燃料系は、燃料を貯留する燃料タンク10を備える。燃料タンク10の内部には、燃料を濾過するフィルター11と、そのフィルター11を介して燃料タンク10内の燃料を汲み上げるフィードポンプ12とが設けられている。フィードポンプ12は、逆止弁25が設けられた低圧燃料配管13を介して高圧燃料ポンプ14に接続されている。
高圧燃料ポンプ14は、シリンダー15とそのシリンダー15に配設されたプランジャー16とを備える。プランジャー16は、エンジンのカムシャフト17に設けられたカム18により、シリンダー15に沿って往復摺動されるようになっている。シリンダー15内には、プランジャー16の先端により加圧室19が区画形成されており、その加圧室19には、通電に応じて閉弁する常開式の電磁弁である吐出弁20を介して低圧燃料配管13が接続されている。更に、加圧室19には、逆止弁21を介して高圧燃料配管22が接続されている。そして、高圧燃料ポンプ14は、その高圧燃料配管22を介してデリバリーパイプ23に接続されている。そして、そのデリバリーパイプ23には、エンジンの各気筒の燃焼室に設置された筒内インジェクター24が接続されている。また、デリバリーパイプ23には、その内部に蓄えられて各気筒の筒内インジェクター24に供給される燃料の圧力(実燃圧PR)を検出する燃圧センサー26が設けられている。
こうした高圧燃料ポンプ14では、吐出弁20への通電を停止して同吐出弁20を開弁させた状態でプランジャー16が下降すると、加圧室19の容積拡大に応じて、低圧燃料配管13から加圧室19内に燃料が吸引される。吐出弁20の開弁を保持したまま、プランジャー16が上昇すると、加圧室19内に吸引された燃料が同加圧室19の容積縮小に応じて低圧燃料配管13に戻される。一方、プランジャー16の上昇中に通電を開始して吐出弁20を閉弁すると、加圧室19内に密封された燃料は、同加圧室19の容積縮小に応じて加圧される。そして、加圧室19内の燃料の圧力が逆止弁21の開弁圧まで高まると、同逆止弁21が開弁して、加圧された加圧室19内の燃料が高圧燃料配管22に吐出される。こうした高圧燃料ポンプ14では、プランジャー16の昇降周期における吐出弁20の通電期間の比である通電デューティー比DUTYを変更することで、燃料吐出量を調整可能となっている。
こうした燃料系を備えるエンジンは、電子制御ユニット27により制御されている。電子制御ユニット27は、エンジン制御に係る各種演算処理を行う中央演算処理装置、エンジン制御用のプログラムやデータが記憶された読出専用メモリー、中央演算処理装置の演算結果やセンサーの検出結果などを一時的に記憶する読書可能メモリーを備える。そして、電子制御ユニット27には、上記燃圧センサー26に加え、クランク角センサー28、エアフローメーター29、アクセルペダルセンサー30などの検出信号が入力されている。なお、クランク角センサー28は、エンジンのクランクシャフトの回転位相(クランク角)を検出し、エアフローメーター29は、エンジンの吸入空気量GAを検出する。更にアクセルペダルセンサー30は、アクセルペダルの踏み込み量(アクセルペダル開度ACCP)を検出する。
電子制御ユニット27は、クランク角センサー28からエンジン回転数NEを、そのエンジン回転数NE及びエアフローメーター29の検出結果からエンジン負荷KLを演算する。更に電子制御ユニット27は、アクセルペダルセンサー30の検出結果などに基づき、エンジントルクの要求値である要求トルクTQを演算するとともに、吸入空気量GAが応答可能な範囲で要求トルクTQを実現するときのエンジントルクの予測値である将来トルクTQRQを演算する。そして、電子制御ユニット27は、上記吐出弁20の開閉駆動を通じて、高圧燃料ポンプ14の燃料吐出量を制御する。すなわち、本実施形態では、電子制御ユニット27がポンプ制御部に相当する構成となっている。
高圧燃料ポンプ14の燃料吐出量の制御は、基本的には以下の態様で行われる。すなわち、電子制御ユニット27はまず、エンジン回転数NE、エンジン負荷KL等に基づき、目標燃圧PRRQを演算する。そして、電子制御ユニット27は、燃圧センサー26により検出された実燃圧PRとその目標燃圧PRRQとの偏差に基づき、実燃圧PRを目標燃圧PRRQとすべく、高圧燃料ポンプ14の燃料吐出量をフィードバック制御する。
図2に示すように、目標燃圧PRRQは、エンジン回転数NEが高いほど、或いはエンジン負荷KLが高いほど、大きい値に設定される。こうした目標燃圧PRRQの設定は、次の目的でなされている。筒内インジェクター24の燃料噴射率(単位時間当たりに噴射される燃料の量)は、実燃圧PRが高いほど多くなる。そこで、燃料噴射量の多い高負荷/高回転運転時には、必要な量の燃料をより短い時間で噴射可能とするため、目標燃圧PRRQを高くしている。一方、筒内インジェクター24のノズル開弁時間には下限があり、実燃圧PRが高いと、筒内インジェクター24の最小噴射量が多くなる。そこで、燃料噴射量の少ない低負荷/低回転運転時には、高精度の少量燃料噴射を可能とするため、目標燃圧PRRQを低くしている。
ところで、車両の減速時にエンジン負荷KLが低下すると、筒内インジェクター24の燃料噴射量も減少する。一方、実燃圧PRは、筒内インジェクター24の燃料噴射に応じたデリバリーパイプ23の燃料消費量と、高圧燃料ポンプ14の燃料吐出量との偏差に応じて昇降する。そのため、車両の減速によりエンジン負荷KLが急低下した場合には、高圧燃料ポンプ14の燃料吐出量を減少しても、燃料消費量も減少するため、エンジン負荷KLの低下に応じた目標燃圧PRRQの低下に実燃圧PRが追従できないことがある。そしてその結果、筒内インジェクター24の最小噴射量が過多となり、要求通りに燃料噴射量を制御できなくなる虞がある。
そこで、本実施形態では、電子制御ユニット27は、エンジン負荷KLの将来の推移を将来トルクTQRQに基づき予測する。そして、電子制御ユニット27は、エンジン負荷KLが将来低下すると予測したときには、目標燃圧PRRQに応じて設定される値よりも小さくなるように高圧燃料ポンプ14の燃料吐出量を制限する先読減圧制御を行うようにしている。より具体的には、先読減圧制御に際して電子制御ユニット27は、吐出弁20を開弁した状態に保持して高圧燃料ポンプ14の加圧動作を停止することで、その燃料吐出量を「0」としている。更に、電子制御ユニット27は、先読減圧制御の実行中に所定の条件が満たされたときに、実燃圧PRを規定の下限ガード値PRGDに保持するように高圧燃料ポンプ14の燃料吐出量を制御する下限ガード処理を行う。
図3は、こうした先読減圧制御及び下限ガード処理の実行判定にかかる先読減圧/下限ガード実行判定ルーチンのフローチャートを示している。本ルーチンの処理は、エンジンの運転中、規定の制御周期毎に電子制御ユニット27により実行される。
本ルーチンの処理が開始されると、まずステップS100において、下限ガード処理の終了条件が満たされているか否かが判定される。下限ガード処理の終了条件は、下記(a1)〜(a3)のいずれかが成立したときに満たされる。
(a1)目標燃圧PRRQが下限ガード値PRGD以下であること。なお、下限ガード値PRGDの値には、安定した燃焼を維持可能な最小燃圧よりも若干高い圧力が設定されている。
(a2)先読減圧制御の開始からの経過時間である先読減圧実行時間CPRGDが規定の終了判定時間TPRGD以上となっていること。なお、終了判定時間TPRGDの値には、目標燃圧PRRQの下限値まで実燃圧PRを確実に低下可能な先読減圧制御の実行時間が設定されている。
(a3)将来のエンジン負荷KLの増加率が規定値以上となるとの予測がなされていること。具体的には、将来トルクTQRQの増加率ΔTQが規定の上昇判定値DTQAを上回っていること。なお、増加率ΔTQは、現在とその規定時間後の時点との間の期間における将来トルクTQRQの増加量を表している。すなわち、増加率ΔTQは、将来トルクTQRQから予測される、将来のエンジントルクの増加率を表し、その値は、将来のエンジン負荷KLの増加率の予測値の指標値となっている。また、上昇判定値DTQAの値には、エンジン負荷KLの低下がその後に止まる可能性が高いと判断されるときの将来トルクTQRQの増加率ΔTQの値が設定されている。
ここで、上記(a1)〜(a3)のいずれか一つ以上が成立し、下限ガード処理の終了条件が満たされていれば(S100:YES)、ステップS101に処理が進められる。そして、そのステップS101において、下限ガード実行フラグXPRGDがクリア(OFF)された後、ステップS104に処理が進められる。一方、上記(a1)〜(a3)のいずれも成立しておらず、下限ガード処理の終了条件が満たされていなければ(S100:NO)、ステップS102に処理が進められる。
ステップS102に処理が進められると、そのステップS102において、下限ガード処理の開始条件が満たされているか否かが判定される。下限ガード処理の開始条件は、下記(b1)〜(b3)のすべてが成立したときに満たされる。
(b1)先読減圧実行フラグXDPMPSTPがセット(ON)されていること。
(b2)実燃圧PRが下限ガード値PRGD以下であること。
(b3)実燃圧PRが目標燃圧PRRQよりも低いこと。
ここで、上記(b1)〜(b3)のいずれか一つ以上が不成立であり、下限ガード処理の開始条件が満たされていなければ(S102:NO)、そのままステップS104に処理が進められる。一方、上記(b1)〜(b3)のすべてが成立し、下限ガード処理の開始条件が満たされていれば(S102:YES)、ステップS103に処理が進められる。そして、そのステップS103において、下限ガード実行フラグXPRGDがセット(ON)された後、ステップS104に処理が進められる。
ステップS104に処理が進められると、そのステップS104において、先読減圧制御の終了条件が満たされているか否かが判定される。先読減圧制御の終了条件は、下記(c1)〜(c4)のいずれかが成立したときに満たされる。
(c1)先読減圧制御の開始からの経過時間である先読減圧実行時間CPRGDが規定の終了判定時間TPRGD以上であり、且つ実燃圧PRと目標燃圧PRRQの偏差ΔPRが、すなわち実燃圧PRから目標燃圧PRRQを減算した値が、規定の終了判定値DPPL以下であること。
(c2)将来のエンジン負荷KLの増加率が規定値以上となるとの予測がなされること。具体的には、将来トルクTQRQの増加率ΔTQが上昇判定値DTQAを上回っていること。
(c3)エンジン始動時であること。なお、本条件は、エンジン始動時に先読減圧実行フラグXDPMPSTPをクリアした状態に初期化するために設けられている。
(c4)下限ガード実行フラグXPRGDがセット(ON)されていること。
ここで、上記(c1)〜(c4)のいずれか一つ以上が成立し、先読減圧制御の終了条件が満たされていれば(S104:YES)、ステップS105に処理が進められる。そして、そのステップS105において、先読減圧実行フラグXDPMPSTPがクリア(OFF)された後、今回の本ルーチンの処理が終了される。一方、上記(c1)〜(c4)のすべてが成立しておらず、先読減圧制御の終了条件が満たされていなければ(S104:NO)、ステップS106に処理が進められる。
ステップS106に処理が進められると、そのステップS106において、先読減圧制御の開始条件が満たされているか否かが判定される。先読減圧制御の開始条件は、下記(d1)〜(d3)のすべてが成立したときに満たされる。
(d1)将来トルクTQRQが先読減圧実行上限値TQ0以下であること。
(d2)エンジン負荷KLが将来低下すると予測されていること。具体的には、将来トルクTQRQの増加率ΔTQが低下判定値DTQD以下となっていること。なお、低下判定値DTQDには、上昇判定値DTQAよりも小さい、規定の負の値が設定されている。
(d3)実燃圧PRが先読減圧実行下限燃圧PRH以上であること。
ここで、上記(d1)〜(d3)のいずれか一つ以上が不成立であり、先読減圧制御の開始条件が満たされていなければ(S106:NO)、そのまま今回の処理が終了される。一方、上記(d1)〜(d3)のすべてが成立し、先読減圧制御の開始条件が満たされていれば(S106:YES)、ステップS107に処理が進められる。そして、そのステップS107において、先読減圧実行フラグXDPMPSTPがセット(ON)された後、今回の本ルーチンの処理が終了される。
図4は、こうした先読減圧/下限ガード実行判定ルーチンの結果に応じて高圧燃料ポンプ14の燃料吐出量を制御する吐出量制御ルーチンのフローチャートである。本ルーチンの処理は、電子制御ユニット27により、先読減圧/下限ガード実行判定ルーチンの処理に続けて実行される。
本ルーチンの処理が開始されると、まずステップS200において、上述の態様で、エンジン回転数NE、エンジン負荷KL等に基づき目標燃圧PRRQが演算される。
続いて、ステップS201において、先読減圧実行フラグXDPMPSTPがセット(ON)されているか否かが判定される。ここで、先読減圧実行フラグXDPMPSTPがセットされていれば(YES)、ステップS202に処理が進められ、そのステップS202において、高圧燃料ポンプ14の加圧動作を停止すべく吐出弁20の開弁保持を指令した後、今回の本ルーチンの処理が終了される。すなわち、このときの吐出弁20の通電デューティー比DUTYは、「0」に設定される。
一方、先読減圧実行フラグXDPMPSTPがクリア(OFF)されていれば(S201:NO)、ステップS203に処理が進められ、そのステップS203において、下限ガード実行フラグXPRGDがセット(ON)されているか否かが判定される。ここで、下限ガード実行フラグXPRGDがセットされていれば(YES)、ステップS204に処理が進められ、そのステップS204において、実燃圧PRが下限ガード値PRGDに保持するように高圧燃料ポンプ14の燃料吐出量をフィードバック制御した後、今回の本ルーチンの処理が終了される。すなわち、このときの吐出弁20の通電デューティー比DUTYは、実燃圧PRと下限ガード値PRGDとの偏差ΔPRGDに応じて設定される。
また、下限ガード実行フラグXPRGDがクリアされていれば(S203:NO)、ステップS205に処理が進められ、そのステップS205において、実燃圧PRと目標燃圧PRRQとの偏差に基づき高圧燃料ポンプ14の燃料吐出量をフィードバック制御した後、今回の本ルーチンの処理が終了される。すなわち、このときの吐出弁20の通電デューティー比DUTYは、実燃圧PRと目標燃圧PRRQとの偏差ΔPRに応じて設定される。
続いて、こうした本実施形態の作用を説明する。
図5は、エンジン負荷KLの低下に遅れが生じたときに下限ガード処理を実行しなかった場合の先読減圧制御の実行態様の一例を示している。
同図の時刻t1からの要求トルクTQの低下に対して、同図に一点鎖線で示すように将来トルクTQRQが演算される。ここでは、その後、先読減圧制御が開始されて、高圧燃料ポンプ14の燃料吐出量が「0」とされている。
ただし、同図の例では、将来トルクTQRQの低下に対して、実際のエンジントルク(実トルク)の低下に遅れが生じている。エンジン負荷KLは、実トルクに準じた態様で推移するため、このときにはエンジン負荷KLが高く、燃料消費量が多い状態で先読減圧制御が実行される。そのため、実燃圧PRの低下が早まってしまい、目標燃圧PRRQに対して実燃圧PRが大幅にアンダーシュートしてしまうようになる。
図6は、エンジン負荷KLの低下に遅れが生じたときに下限ガード処理を実行する場合の、すなわち本実施形態の燃圧制御装置の先読減圧制御の実行態様の一例を示している。
ここでは、時刻t1における先読減圧制御の開始後の時刻t2において、実燃圧PRが下限ガード値PRGDまで低下すると、下限ガード処理が開始されて、高圧燃料ポンプ14の加圧動作が再開される。そして、実燃圧PRが下限ガード値PRGDを保つように高圧燃料ポンプ14の燃料吐出量が制御される。そのため、実燃圧PRの過剰低下が抑えられる。
なお、このときの下限ガード処理は、目標燃圧PRRQが下限ガード値PRGDまで低下したとき、先読減圧制御の開始からの経過時間(先読減圧実行時間CPRGD)が終了判定時間TPRGDに達したとき、将来のエンジン負荷KLの増加率が規定値以上となると予測されたとき、のいずれかまで継続される。そして、下限ガード処理が終了すると、目標燃圧PRRQに応じた通常の燃料吐出量のフィードバック制御が再開される。
以上の本実施形態のエンジンの燃圧制御装置によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、エンジン負荷KLが将来低下すると予測されるときには、先読減圧制御が実行されて、実際にエンジン負荷KLが低下して燃料消費量が減少する前から高圧燃料ポンプ14の燃料吐出量が「0」に制限される。そのため、燃料消費量が減少して、低下し難くなる前に、実燃圧PRを低下させることができ、車両減速時のエンジン負荷KLの低下に際して、実燃圧PRを速やかに低下することができる。
(2)先読減圧制御の実行中に実燃圧PRが、下限ガード値PRGD以下、且つ目標燃圧PRRQよりも低い値となったときに、実燃圧PRを下限ガード値PRGDに保持するように燃料吐出量を制御する下限ガード処理を行っている。そのため、エンジン負荷KLの低下が予測よりも遅れても、実燃圧PRの低下が下限ガード値PRGD付近で止まるようになる。したがって、実燃圧PRの過剰低下を抑えつつ、エンジン負荷KLの低下時における実燃圧PRの速やかな低下を実現することができる。
(3)先読減圧制御の実行中に、その開始からの継続時間(先読減圧実行時間CPRGD)が終了判定時間TPRGD以上であり、且つ実燃圧PRから目標燃圧PRRQを減算した値(偏差ΔPR)終了判定値DPPL以下であれば、その時点で先読減圧制御を終了している。そして、その先読減圧制御の終了後、目標燃圧PRRQに基づく燃料吐出量のフィードバック制御を再開するようにしている。そのため、先読減圧制御が不必要に継続されて実燃圧PRが過剰に低下されてしまうことが抑えられる。
(4)先読減圧制御での燃料吐出量の制限を、高圧燃料ポンプ14の加圧動作を停止することで行っているため、先読減圧制御の実行中により速やかに実燃圧PRを低下できる。
(5)下限ガード処理の実行中に、目標燃圧PRRQが下限ガード値PRGDまで低下したとき、先読減圧制御の開始からの経過時間(先読減圧実行時間CPRGD)が終了判定時間TPRGDに達したとき、将来のエンジン負荷KLの増加率が規定値以上となると予測されたとき、のいずれかに、下限ガード処理を終了するようにしている。そのため、下限ガード処理を適切な時期に終了して、通常の目標燃圧PRRQに応じた燃料吐出量のフィードバック制御を再開することができる。
(6)エンジントルクの要求値である要求トルクTQに応じて演算された将来トルクTQRQに基づきエンジン負荷KLの低下を予測している。そのため、エンジン負荷の将来の低下をより正確に予測することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、エンジン回転数NEとエンジン負荷KLとに基づき、目標燃圧PRRQを設定していた。なお、エンジンによっては、実燃圧PRをエンジン回転数NEに応じて変化させなくても、燃焼状態に大きな影響が生じないものがある。そうしたエンジンに適用する場合には、エンジン負荷KLのみに基づいて目標燃圧PRRQを設定するようにしてもよい。
・上記実施形態では、先読減圧制御の実行中に、先読減圧実行時間CPRGDが終了判定時間TPRGD以上、且つ実燃圧PRから目標燃圧PRRQを減算した値が終了判定値DPPL以下のときに先読減圧制御を終了するようにしていたが、こうした終了の要件(c1)を割愛してもよい。すなわち、エンジン負荷KLが上昇に転じると予測されたときにのみ、先読減圧制御を終了するようにしてもよい。
・先読減圧制御の開始条件を変更してもよい。例えばアクセルペダル開度ACCPの減少量が規定値以上となったときに、先読減圧制御の開始するようにしても、エンジン負荷KLの将来の低下を予測して、先読減圧制御を開始することができる。
・例えば上記(a1)〜(a3)のうちの一つ又は2つを割愛するなど、下限ガード処理の終了条件を変更してもよい。
・上記実施形態では、先読減圧制御の実行中、高圧燃料ポンプ14の加圧動作を停止していたが、その加圧動作を維持しつつ、燃料吐出量を制限することで先読減圧制御を行うようにしてもよい。いずれにせよ、先読減圧制御の実行中に、目標燃圧PRRQに応じて設定される値よりも小さくなるように高圧燃料ポンプ14の燃料吐出量を制限すれば、エンジン負荷KLの低下時のより速やかな実燃圧PRの低下を実願することができる。
・上記実施形態では、実燃圧PRと目標燃圧PRRQとの偏差ΔPRに基づく高圧燃料ポンプ14の燃料吐出量のフィードバック制御により、実燃圧PRを目標燃圧PRRQとするための燃料吐出量の制御を行っていた。フィードバック制御ではなく、目標燃圧PRRQに基づく燃料吐出量のフィードフォワード制御により、これを行うようにしてもよい。
・上記実施形態では、先読減圧制御において高圧燃料ポンプ14の加圧動作を停止、すなわち高圧燃料ポンプ14の燃料吐出量を「0」とするようにしていた。尤も、高圧燃料ポンプ14の加圧動作を停止しなくても、燃料吐出量を目標燃圧PRRQの現在値に応じて設定される値よりも少なくすれば、実燃圧PRの低下を早めることは可能である。先読減圧制御は、高圧燃料ポンプ14の燃料吐出量を、目標燃圧PRRQの現在値に応じて設定される値よりも少なくするように行えばよい。例えば、高圧燃料ポンプ14の吐出弁20の通電デューティー比DUTYを、実燃圧PRと目標燃圧PRRQとの偏差ΔPRに応じて設定された値よりも小さくなるように補正することで先読減圧制御を行っても、エンジン負荷KLの低下時の実燃圧PRの低下を早められる。
10…燃料タンク、11…フィルター、12…フィードポンプ、13…低圧燃料配管、14…高圧燃料ポンプ(燃料ポンプ)、15…シリンダー、16…プランジャー、17…カムシャフト、18…カム、19…加圧室、20…吐出弁、21…逆止弁、22…高圧燃料配管、23…デリバリーパイプ、24…筒内インジェクター(インジェクター)、25…逆止弁、26…燃圧センサー、27…電子制御ユニット(ポンプ制御部)、28…クランク角センサー、29…エアフローメーター、30…アクセルペダルセンサー。

Claims (5)

  1. インジェクターに供給される燃料の圧力の現在値である実燃圧を、エンジン負荷に基づき設定された目標燃圧とすべく燃料ポンプの燃料吐出量を制御するとともに、エンジン負荷が将来低下すると予測したときに、前記燃料ポンプの燃料吐出量を前記目標燃圧の現在値に応じて設定される値よりも少なくする先読減圧制御を行うポンプ制御部を備えるエンジンの燃圧制御装置において、
    前記ポンプ制御部は、前記先読減圧制御の実行中に前記実燃圧が、規定の下限ガード値以下、且つ前記目標燃圧よりも低い値となったときに、前記実燃圧を前記下限ガード値に保持するように前記燃料吐出量を制御する下限ガード処理を行う、
    ことを特徴とするエンジンの燃圧制御装置。
  2. 前記ポンプ制御部は、前記先読減圧制御の開始からの継続時間が規定値以上であり、且つ前記実燃圧から前記目標燃圧を減算した値が規定値以下のときには、同先読減圧制御を終了して、前記実燃圧を前記目標燃圧に近づける燃料吐出量の制御を再開する、
    請求項1に記載のエンジンの燃圧制御装置。
  3. 前記先読減圧制御での前記燃料吐出量の制限は、前記燃料ポンプの加圧動作を停止することで行われる、
    請求項1又は2に記載のエンジンの燃圧制御装置。
  4. 前記ポンプ制御部は、前記下限ガード処理の実行中に、前記目標燃圧が前記下限ガード値以下となったとき、前記先読減圧制御の開始からの経過時間が規定の時間以上となったとき、及び将来のエンジン負荷の増加率が規定値を超えると予測されたときのいずれかとなったときに、同下限ガード処理を終了する、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンジンの燃圧制御装置。
  5. 前記ポンプ制御部は、前記エンジン負荷の低下の予測を、エンジントルクの要求値である要求トルクに基づき行う、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のエンジンの燃圧制御装置。
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