JP2016156078A - Cu−Ti系銅合金板材および製造方法並びに通電部品およびばね材 - Google Patents

Cu−Ti系銅合金板材および製造方法並びに通電部品およびばね材 Download PDF

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Abstract

【課題】製造上の制約が少なくて済む新たな手法により、Cu−Ti系銅合金板材の曲げ加工性と耐疲労特性を改善する。【解決手段】質量%で、Ti含有量:2.0〜5.0%、B、Caの合計含有量:0.001〜0.020%、Al、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si、V、Zrの合計含有量:0%以上0.020%未満、残部Cuおよび不可避的不純物からなる化学組成を有する銅合金板材であって、圧延方向の0.2%耐力が800MPa以上であり、板面(圧延面)に平行な観察面における面積0.1mm2以上の矩形測定領域についてのTOF−SIMSによる二次イオン質量分析によって検出されるB、Caの合計存在密度が10.0×103個/mm2以上であるCu−Ti系銅合金板材。【選択図】図1

Description

本発明は、コネクタ、リレー、スイッチ等の通電部品やばね材に適した耐疲労特性に優れるCu−Ti系銅合金板材、およびその製造方法に関する。また、その銅合金板材を材料に用いた通電部品およびばね材に関する。
Cu−Ti系銅合金は、銅合金中でCu−Be系銅合金に次ぐ高強度を有し、耐応力緩和特性にも優れることから、高価なCu−Be系銅合金に替わる材料として有用であり、すでに種々の用途で使用されている。しかし、Cu−Ti系銅合金は、板材の製造過程で粗大な粒状析出物や粒界反応相が生成しやすい。これら粗大な第二相の生成は曲げ加工性や耐疲労特性を低下させる要因となり、しばしば問題となる。
Cu−Ti系銅合金の強度と加工性を同時に改善する方法として、Fe、Co、Niなどの第三元素添加によりCu−Ti−X(Xは第三添加元素)系の第二相粒子を形成させ、安定相であるCu3Tiの生成を抑制する手法が知られている(特許文献1〜3)。しかし、Cu−Ti−X系第二相粒子の形成は高負荷の繰り返し応力が付与されたときにクラック源となりやすいので、耐疲労特性を重視する場合には望ましくない。また、安定相を抑制するためには複数回の溶体化が必要になるなど工程上の制約が大きく、生産性の面での改善も望まれる。
溶体化処理後、時効処理の前に、予備的な時効処理と冷間圧延を施すことによって粒状析出物や粒界反応相の生成を抑制する手法も知られている(特許文献4)。その手法に従えば、強度、曲げ加工性、耐応力緩和性に加え、耐疲労特性にも優れるCu−Ti系銅合金板材を得ることができる。しかし、複雑な熱処理が必要であり、工程も増えることから、生産性の面で改善の余地がある。
一方、非特許文献1には、Cu−Ti合金に少量のBを添加したときの時効挙動が報告されている。それによると、B添加量0.2mol%で時効ピーク硬さの上昇が認められるという。また、不連続析出物β−Cu4Tiを含むセルの増加も抑制されるという。しかし、B含有量が0.2mol%と少量であってもTiB2が形成される。発明者らの試験によれば、B含有量0.2mol%(約0.035質量%)においてTiB2を主体とする粗大な粒状析出物の形成を回避することが難しく、曲げ加工性や疲労特性の低下要因となる。
特開2004−231985号公報 特開2004−176163号公報 特開2006−183142号公報 特開2014−185370号公報
古田遼ら、銅と銅合金、日本銅学会、2014年、第53巻1号、p.55−61
コネクタ向けばね材に用いられる銅合金は180°U字曲げを施されて使用されることが多く、特に民生向けでは繰り返し抜き差しすることから、強度、加工性とともに耐久性が強く求められる。特に近年は104〜105回で疲労限に到達する厳しい耐疲労特性が要求される。Cu−Ti系銅合金は本来的に高い強度レベルが得られ、耐応力緩和特性にも優れることから、板材における曲げ加工性と耐疲労特性を十分に改善することができれば、上記の厳しい要求に対応するための有用な材料となる。しかし上述のように、そのような特性をすべて具備するCu−Ti系銅合金板材を得るには、製造面での制約が大きいのが現状である。
本発明は、製造上の制約が少なくて済む新たな手法により、Cu−Ti系銅合金板材の曲げ加工性と耐疲労特性を改善することを目的とする。
発明者らの研究によれば、Cu−Ti系銅合金にB、Caの1種または2種を非常に微量な量だけ添加した場合に、時効処理時に粗大な粒界反応相の生成が抑制され、その結果、曲げ加工性および耐疲労特性が改善されることがわかった。この微量B、Caの存在形態は明確にできていないが、FE−SEM観察では明瞭に観察されない状態でその効果を発揮していることから、それらの元素が第二相的な明確な界面を形成しない形態で結晶粒界に濃化(偏析)した組織状態を実現しているものと推測される。そして、そのような組織状態の板材では、時効処理時に粗大な粒界反応相の生成が抑制され、その結果、曲げ加工性および耐疲労特性が改善されることがわかった。本明細書では、明確な界面を形成しない上記のBあるいはCaの濃化形態を「単体濃化」と呼ぶ。単体濃化しているBやCaは、第二相(化合物や、B単相、Ca単相)を形成して存在しているB、Caとは異なり、TOF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析法;Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)によって検出できることが確認された。本発明はこのような知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明では、質量%で、Ti含有量:2.0〜5.0%、B、Caの合計含有量:0.001〜0.020%、Al、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si、V、Zrの合計含有量:0%以上0.020%未満、残部Cuおよび不可避的不純物からなる化学組成を有する銅合金板材であって、圧延方向の0.2%耐力が800MPa以上であり、板面(圧延面)に平行な観察面における面積0.1mm2以上の矩形測定領域についてのTOF−SIMSによる二次イオン質量分析によって検出されるB、Caの合計存在密度が10.0×103個/mm2以上であるCu−Ti系銅合金板材が提供される。
上記元素のうち、B、Caについてはそれらの1種または2種の含有が必須である。Al、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si、V、Zrは任意含有元素である。下限の「0%」はこれらいずれの元素も含有しない場合を意味する。これらの任意含有元素は意図的に添加される場合がある他、原料等から不可避的に混入する場合もあるが、いずれの場合であっても、これらの元素の合計含有量は0.02質量%未満に厳しく制限される。残部の「不可避的不純物」は、Cu、Ti、B、Ca、Al、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si、V、Zr以外の元素である。
金属組織観察において、結晶粒界の1つの交点からその隣の交点までの粒界部分を1つの「粒界セグメント」と定義するとき、前記TOF−SIMSによる二次イオン質量分析でB、Caの1種または2種の存在が認められる粒界セグメントの個数割合は10.0%以上であることが好ましい。
〔粒界セグメントの個数割合の特定方法〕
EBSD(電子後方散乱回折法;Electron Backscatter Diffraction Pattern)により5°以上の方位差を有して隣り合う結晶の境界(双晶境界は除く)を結晶粒界とみなす。上記の矩形測定領域について、TOF−SIMSによるB、Ca検出マッピング像と、EBSDによる結晶粒界マッピング像を重ね合わせることによって、粒界セグメント上にB、Caの1種または2種の存在が認められる粒界セグメントと、いずれの存在も認められない粒界セグメントを判別する。結晶粒界の交点にB、Caの1種または2種が存在する場合は、その交点を端部に持つ全ての粒界セグメントはB、Caの1種または2種の存在が認められる粒界セグメントに該当する。前記矩形測定領域内に存在する全粒界セグメント数に占める、B、Caの1種または2種の存在が認められる粒界セグメント数の割合を、「B、Caの1種または2種の存在が認められる粒界セグメントの個数割合」とする。ただし、矩形測定領域の外に一部がはみ出している粒界セグメントもカウント対象とし、そのようなセグメントについては矩形測定領域内のセグメント部分にB、Caの1種または2種の存在が認められるかどうかによって判別する。
圧延方向に垂直な断面に観察される粒界反応相の面積率が2.5%以下であるものが好適な対象となる。粒界反応相は、結晶粒界から結晶粒内へと成長するCu−Ti系化合物からなる層状の析出相である。
〔粒界反応相の面積率の特定方法〕
圧延方向に垂直な断面のSEM観察において1000μm2の矩形領域が設定できる観察視野をランダムに12視野選択する。各観察視野毎に、その観察視野中に存在する粒界反応相が占める面積を求め、それらを12視野について合計し、その合計面積を全12視野の測定面積(12000μm2)で除することにより粒界反応相の面積率を定める。粒界反応相のラメラ間の部分も粒界反応相の面積に含める。
粒状析出物の最大粒子径が5.0μm以下であり、粒子径0.5〜5.0μmの粒状析出物の個数密度が10.0×103個/mm2以下であることが好ましい。
〔粒状析出物の個数密度の特定方法〕
圧延方向に垂直な断面のSEM観察において1000μm2の矩形領域が設定できる観察視野をランダムに12視野選択する。1つの観察視野において、設定した矩形領域内(境界を含む)に全部または一部が存在する粒状析出物のうち、当該粒子を取り囲む最小円の直径が0.5μm以上5.0μm以下である粒子の数をカウントする。また、粒子を取り囲む最小円の直径が5.0μmを超える粒子が存在するかどうかを調べる。この作業を上記12視野について行い、取り囲む最小円の直径が0.5μm以上5.0μm以下である粒子の総数N(個)を求め、N/0.012で表される値を「粒子径0.5〜5.0μmの粒状析出物の個数密度(個/mm2)」とする。また、12視野中に最小円の直径が5.0μmを超える粒子が認められなかった場合、「粒状析出物の最大粒子径が5.0μm以下である」と判定する。
なお、上記N/0.012における分母の0.012は、12視野における矩形領域のトータル面積1000μm2×12=12000μm2を、mm2に換算した数値である。
上記銅合金板材の製造方法として、前記化学組成を有する銅合金の溶解・鋳造して鋳片を得る工程(溶解・鋳造工程)、
前記鋳片を850〜960℃で10h以上加熱する工程(均質化熱処理工程)、
冷間圧延する工程(冷間圧延工程)
825〜950℃で溶体化処理した後、350〜500℃で時効処理する工程(溶体化・時効処理工程)、
時効処理後の板材を冷間圧延する工程(仕上冷間圧延工程)、
を上記の順で有するCu−Ti系銅合金板材の製造方法が提供される。
更に必要に応じて、
仕上冷間圧延後の板材を、375〜475℃で1〜60sec加熱するか、または350〜450℃で1〜24h加熱する工程(低温焼鈍工程)、
を行うことができる。
上記均質化熱処理工程に代えて、
前記鋳片を875〜960℃で1h以上加熱したのち、850℃以上の温度域での圧延率を85%以上とする条件で熱間圧延し、700℃以上の温度から水冷して熱延板を得る工程(鋳片加熱・熱間圧延工程)、
を採用してもよい。
また、本発明では、前記Cu−Ti系銅合金板材を素材に用いた通電部品やばね材が提供される。
本発明に従うCu−Ti系銅合金板材は、180°U字曲げ部を有する試料を用いた厳しい評価手法で判定される耐久性を具備する。この板材は従来よりも工程上の制約が少ない手法で安定して生産することができる。本発明は、特にコネクタ、スイッチ、リレー等の可動部分を有する通電部品やばね材の耐久性向上に寄与するものである。
耐久性を評価するための試験片の形状を例示した図。
《合金元素》
本発明ではCu−Tiの2元系を基本成分とする銅合金を対象としている。以下、合金組成に関する「%」は特に断らない限り「質量%」を意味する。
Tiは、強度上昇および耐応力緩和性向上に寄与する元素であり、ここではTi含有量2.0%以上の合金を対象とする。2.5%以上であることがより好ましい。過剰なTi含有は、熱間加工性や冷間加工性を低下させる要因となる他、溶体化処理の適正温度域を狭める要因ともなるので、Ti含有量は5.0%以下とする。4.5%以下に管理してもよい。
B、Caは、本発明において重要な添加元素である。発明者らの研究によれば、Cu−Ti系銅合金にB、Caの1種または2種を非常に微量な量だけ含有させたとき、粒界反応相の析出が顕著に抑制されることがわかった。そのメカニズムの解明には今後詳細な研究が必要であるが、これまでの調査によれば、Cu−Ti系銅合金に添加されたB、Caは、その添加量が極微量であるときには、時効処理の加熱時に、界面を持つ単相を形成しない形態で結晶粒界に濃化(偏析)するものと考えられる。この濃化形態を本明細書では「単体濃化」と呼んでいる。種々の組織観察を行ったところ、結晶粒界へのB、Caの濃化は、初期段階で特定の粒界部分に生じ、その後、その部分での濃化が増大していく。本来、粒界反応相が優先的に析出する粒界部分は、粒界エネルギーなどの状態が他の粒界部分とは異なる「特異な部位」であると考えられる。B、Caは、そうした粒界析出が生じやすい「特異な部位」に単体濃化の状態を速やかに形成し、その後の粒界反応相の生成を妨害する作用を発揮するものと推察される。このように、極微量だけ添加されたB、Caは、本来、粒界反応相が生成しやすい部位に優先的に集積するために、「B、Caの1種または2種の存在が認められる粒界セグメントの個数割合」が10.0%程度と少なくても、粒界反応相の生成が顕著に抑制されるものと考えられる。すなわち、極微量のB、Caは効果的に偏在していると言うことができる。
また、B、Caの単体濃化は、曲げ加工性の低下要因とならないことも確認された。
B、Caの添加量が多くなると、粗大な析出粒子を形成し、曲げ加工性や耐疲労特性を阻害する。そのため、B、Caの含有量は厳密にコントロールすることが重要である。種々検討の結果、B、Caの合計含有量が0.020%以下となるようにB、Caの1種または2種を添加する必要がある。一方、B、Caの含有量が不足すると上述の単体濃化による効果が十分に得られない。検討の結果、B、Caの合計含有量を0.001%以上確保する。
B、Caは鋳造時の凝固組織に粗大な第二相として存在しやすいので、B、Caの含有量が適正であっても、鋳片の加熱や、溶体化処理での加熱が不十分であると、所望の単体濃化が実現できない場合がある。
B、Caが十分に単体濃化しているかどうかの判定は、TOF−SIMSによる二次イオン質量分析(後述のマッピング像)によって把握できることがわかった。種々検討の結果、板面(圧延面)に平行な観察面における面積0.1mm2以上の矩形測定領域についてのTOF−SIMSによる二次イオン質量分析によって検出される単体濃化して存在しているB、Caの合計存在密度が10.0×103個/mm2以上である場合に、粒界反応相の生成を妨害する作用が十分に発揮される。この値を下回ると粒界反応相の生成抑制効果が不十分となる。B、Caの合計存在密度は15.0×103個/mm2以上であることがより好ましい。
その他の合金元素として、Al、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si、V、Zrの1種以上を含有することができる。ただし、これらの元素はB、Caと高融点化合物を形成したり、B、Caとの反応により上記単体濃化に必要な有効B、Caを消費したりして、悪影響を及ぼしやすい。特に、上記の高融点化合物は、粗大化しやすくかつ強固であるため、クラック源となって曲げ加工性や耐疲労特性を低下させる。詳細な検討の結果、極微量のB、Caの1種以上を含有させる本発明においては、Al、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si、V、Zrの合計含有量を0.020%未満に厳しく制限する必要がある。なお、例えばTiとの金属間化合物を形成させて、より一層の強度向上を図るなどの、特段の意図がない場合は、Al、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si、V、Zrを含有させる必要はなく、これらの合計含有量を0%とすることが好ましい。
《金属組織》
〔B、Caの1種または2種の存在が確認される粒界セグメントの個数割合〕
前記TOF−SIMSによる二次イオン質量分析でB、Caの1種または2種の存在が確認される粒界セグメントの個数割合は、極微量のB、Caが効果的に偏在していること(前述)を示す指標である。この粒界セグメントの個数割合は10.0%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましい。
〔粒界反応相の面積率〕
粒界反応相は脆弱な部分であり、疲労破壊や曲げ割れの起点となる。粒界反応相の面積率が増大すると、曲げ加工性や耐疲労特性の低下が著しくなる。種々検討の結果、上述の方法で測定した粒界反応相の面積率は2.5%以下であることが好ましく、2.0%以下であることがより好ましい。
〔粒状析出物〕
Cu−Ti系銅合金の母相(マトリックス)中に観察される粒状析出物の大部分はCu−Ti系金属間化合物である。粒状析出物の粒径が例えば数nm〜数十nmと小さい場合、硬化作用を発現し、特に害を及ぼさない。ただし、Cu−Ti系銅合金での強化機構は主として変調構造(スピノーダル構造)によるものであるため、微細析出物による強化への寄与は相対的に少ない。一方、粗大な粒状析出物は、板材の耐久性に悪影響を及ぼす。そのため、本発明では粗大な粒状析出物の存在量を制限する必要がある。発明者らの検討によれば、後述の180°U字曲げ部を有する試料を用いた厳しい評価手法で判定される耐久性を向上させるためには、圧延方向に垂直な断面の観察において、粒状析出物の最大粒子径が5.0μm以下であり、かつ粒子径0.5〜5.0μmの粒状析出物の個数密度が10.0×103個/mm2以下であることが極めて有効である。粒子径0.5〜5.0μmの粒状析出物の個数密度は7.0×103個/mm2以下であることがより好ましい。測定方法は上述した通りである。なお、本発明で規定する個数密度の測定対象となる粒状析出物はCu−Ti系金属間化合物に限定されるものでなく、粒状析出物の組成・種類は問わない。
〔平均結晶粒径〕
結晶粒の微細化は曲げ加工性や耐疲労特性に有利となる反面、耐応力緩和特性に不利となる。種々検討の結果、平均結晶粒径は5〜35μmの範囲に調整することが望ましく、5〜25μmに管理してもよい。平均結晶粒径のコントロールは主として溶体化処理によって行うことができる。ここで、平均結晶粒径は、圧延方向に垂直な断面の金属組織観察において、300μm×300μm以上の視野で100個以上の結晶粒の粒径をJIS H0501の切断法で測定することによって求めることができる。
《特性》
〔導電率〕
高強度通電部品のニーズを考慮すると、10%IACS以上の導電率を有することが望ましい。上述の化学組成および組織によって前記導電率を満たすことができる。
〔強度〕
圧延方向(LD)の0.2%耐力は800MPa以上であることが望ましい。830MPa以上であることがより好ましく、850MPa以上であることが一層好ましい。耐久性を向上させる観点からは強度は高い方が望ましいが、過度に強度を高めると曲げ加工性が低下し、180°U字曲げ部でのクラック発生を招きやすくなる。曲げ加工性を重視する場合、LDの0.2%耐力は1000MPa以下の範囲で調整することが好ましい。970MPa以下あるいは950MPa以下の範囲に管理してもよい。
〔曲げ加工性〕
JIS H3130に従う90°W曲げ試験において割れが発生しない最小曲げ半径MBRと板厚tとの比MBR/tの値が圧延方向(LD)、圧延直角方向(TD)とも1.5以下となる曲げ加工性を具備していることが望ましい。「LDの曲げ加工性」は長手方向がLDの試験片により評価される曲げ加工性であり、曲げ軸はTDである。「TDの曲げ加工性」は長手方向がTDの試験片により評価される曲げ加工性であり、曲げ軸はLDである。通常、TDの曲げ加工性がMBR/t値1.5以下であれば、LDの曲げ加工性もMBR/t値1.5以下となる。
〔耐疲労特性〕
耐疲労特性は一般に平板状試験片によって評価されるが、より実装状態に近い耐久性を把握するためには、180°U字曲げ加工部を有する試験片を用いて評価することが望ましい。具体的には、例えば後述の実施例に示す方法が適用できる。
《製造方法》
上述のCu−Ti系銅合金板材は、特殊な製造工程を必要とすることなく、一般的な銅合金板材の製造設備を用いて製造することができる。より具体的には、例えば下記の工程を例示することができる。
「溶解・鋳造→均質化処理または鋳片加熱・熱間圧延→冷間圧延→溶体化・時効処理→仕上冷間圧延→(低温焼鈍)」
なお、上記工程中には記載していないが、熱間圧延後には必要に応じて面削が行われ、熱処理後には必要に応じて酸洗、研磨、あるいは更に脱脂が行われる。以下、各工程について説明する。
〔溶解・鋳造〕
微量のB、Caの添加量を厳密にコントロールするためには、B、Caの酸化によるロスができるだけ小さくなるように、100Pa以下の真空度で溶解することが有利である。連続鋳造、半連続鋳造等により鋳片を製造すればよい。B、Caの添加は、例えば予め用意しておいたCu−B母合金、Cu−Ca母合金を溶湯中に投入する方法で行うことができる。
〔均質化処理または鋳片加熱・熱間圧延〕
B、Caは鋳造時に偏析するので、それを均質化するためには、鋳片を十分に加熱する手法、あるいは熱間圧延時にできるだけ高温で圧延率を稼ぐ手法が有効である。具体的には、以下のいずれかの手法により、良好な結果が得られる。
(i)鋳片を850〜960℃で10h以上加熱することにより均質化処理する手法。
(ii)鋳片を875〜960℃で1h以上加熱したのち、850℃以上の温度域での熱間圧延率を85%以上とする手法。
いずれの場合も、鋳片の加熱温度が960℃を超えると融点が低くなっている部分で溶融が生じる恐れがある。また、上記(ii)では熱間圧延後の冷却過程でB、Caの析出を防ぐために、700℃以上の温度で熱間圧延の最終パスを終え、700℃以上の温度から水冷して熱延板を得ることが望ましい。なお、上記(i)において鋳片加熱後にそのまま熱間圧延を行わず、一旦冷却する場合は、鋳片加熱後の冷却も水冷とすることが望ましい。
ある板厚t0(mm)からある板厚t1(mm)までの圧延率は、下記(1)式により求まる(以下の工程での冷間圧延においても同様)。
圧延率(%)=(t0−t1)/t0×100 …(1)
〔冷間圧延〕
最終製品の板厚を考慮して、溶体化処理前の段階で冷間圧延を実施する。中間焼鈍を挟んだ複数回の冷間圧延を実施してもよい。溶体化処理に供する板材の冷間圧延率(中間焼鈍を経た場合は最後の中間焼鈍後の冷間圧延率)は、95.0%以上とすることが効果的である。冷間圧延率の上限は特に限定されないが、通常は圧延機の能力などに応じて例えば99.0%以下の範囲で設定すればよい。
〔溶体化・時効処理〕
溶体化処理の加熱保持温度は825〜950℃の範囲とする。温度が825℃を下回るとTi−B系あるいはTi−Ca系の粗大な析出物の形成を招きやすい。950℃を超えると結晶粒が粗大化しやすい。上記加熱保持温度での保持時間は、温度に応じて30sec〜2hの範囲で適正時間を設定することができる。溶体化処理後には水冷等、通常の急冷操作を行えばよい。
時効処理は350〜500℃の範囲で行うことができる。時効温度が500℃を超えると曲げ加工性、耐疲労特性を低下する場合がある。その原因については現時点で明確でないが、結晶粒界に偏在したB、Caが、界面を持つ「単相」として存在するようになり、それがクラック源となるのではないかと推測される。時効時間は1〜24hの範囲で選択すればよい。予備実験により組成に応じた適切な時効条件把握しておくことができる。
〔仕上冷間圧延〕
時効処理後には、板厚調整や強度レベル調整などを目的として、必要に応じて仕上冷間圧延を行うことができる。仕上冷間圧延率は、例えば5〜40%の範囲で調整すればよい。
〔低温焼鈍〕
仕上冷間圧延後には、板材の残留応力の低減や曲げ加工性の向上、空孔やすべり面上の転位の低減による耐応力緩和特性向上を目的として、低温焼鈍を施すことができる。連続ラインの場合は例えば375〜475℃で1〜60sec加熱する条件を適用すればよい。バッチ焼鈍の場合は例えば350〜450℃で1〜24h加熱する条件を適用すればよい。加熱温度150〜430℃、加熱時間5〜3600secの範囲で条件設定すればよい。
表1に示す銅合金を溶解し、縦型半連続鋳造機を用いて鋳造した。Bの添加は予め用意しておいたCu−2質量%B母合金を溶湯中に投入する方法で行った。また、Caの添加は予め用意しておいたCu−5質量%Ca母合金を溶湯中に投入する方法で行った。得られた鋳片を「均質化処理」あるいは「鋳片加熱・熱間圧延」のいずれかの工程に供した。その後、冷間圧延、溶体化処理、時効処理、仕上冷間圧延の工程により板厚0.2mmのCu−Ti系銅合金板材(供試材)を得た。表2に主な製造条件を示す。鋳片加熱時間を10h以上確保したものについては、その鋳片加熱過程が均質化処理に相当し、熱間圧延を行っていない。均質化処理における鋳片加熱後の冷却、あるいは熱間圧延最終パス後の冷却は、いずれも水冷とした。
各供試材について以下の調査を行った。
〔平均結晶粒径〕
圧延方向に垂直な断面を研磨したのちエッチングし、その面を光学顕微鏡で観察し、300μm×300μmの視野で100個以上の結晶粒の粒径をJIS H0501の切断法で測定することによって求めた。
〔TOF−SIMSによるB、Caの合計存在密度〕
供試材の板面(圧延面)をアルミナ系研磨紙で番手#2000(JIS R6001:1998)まで湿式研磨したのち、下記条件にて電解研磨することにより、TOF−SIMS測定用試料の観察面を調製した。
(電解研磨条件)
電解研磨液は、体積比で、蒸留水:10、濃度85質量%のリン酸:5、エタノール:5、2−プロパノール:1の混合液とした。電解研磨は、BUEHLER社製、ElectroMet4を用い、φ10mmの領域に電圧15Vで20秒間の電解研磨を施す方法で行った。
TOF−SIMS分析装置(ION−TOF GmbH社製、TOF−SIMS V)のチャンバー内に、上記観察面が測定できるように試料をセットし、測定面内の500μm×500μmの領域にスパッタ用一次イオンを照射して表面のコンタミを除去したのち、その領域内に設けた400μm×400μmの矩形測定領域について一次イオンを照射し、表面から放出される二次イオンのスペクトルを得た。一次イオンにはBi(Bi3 ++)を用い、加速電圧25keV、一次イオン電流0.2pA、ビーム径5μmとした。真空度は微量B、Caの同定を精度良く行なうために、酸素分圧が2.0×10-4Paとなるように雰囲気を制御した。これにより、微量元素を質量の大きい酸化物イオン(例えばBの場合BO2 -、Caの場合CaO-)として検出できるので、測定精度が高まる。その基本原理については、Shigeru SUZUKI et al., ISIJ International, Vol.54 (2014), No.4, pp. 885-892、の記載が参考になる。ここでは、ビーム径5μmにて同じ観察視野で256回スキャンすることによりBO2 -のスペクトルおよびCaO-のスペクトルを測定し、それぞれのスペクトルからB、Caのマッピング像を作成した。質量数の近い各元素のスペクトルとの分解能を上げるため、高質量分解モード(Bunching Mode)にて分析を行った。得られたB、Caのマッピング像からBとCaの合計数を求め、それを面積1mm2あたりの数値に換算し、B、Caの合計存在密度(個/mm2)とした。
〔B、Ca存在粒界の割合〕
上記のTOF−SIMSによる矩形測定領域が含まれる領域について、EBSDにより結晶粒界のマッピングを行った。測定条件は以下の通りである。
・装置:JEOL JSM−5100A
・測定領域:450μm×450μm
・ステップサイズ:256×256ピクセル(1.7μm/ピクセル)
・5°以上の角度差を粒界として解析
前記TOF−SIMSによるB、Ca検出マッピング像と、EBSDによる結晶粒界マッピング像を重ね合わせることによって、B、Caの1種または2種の存在が認められる粒界セグメントと、いずれの存在も認められない粒界セグメントを判別した。具体的な判別方法は上掲「粒界セグメントの個数割合の特定方法」に記載してある。なお、両マッピング像の重ね合わせは、事前にマイクロビッカース硬度計にて形成しておいた圧痕を±0.5μmの精度で重ね合わせることによって行った。
〔粒界反応相の面積率〕
圧延方向に垂直な断面をFE−SEM(JEOL社製、JSM-7001F)にて倍率3000倍、加速電圧15kVにて観察し、上掲「粒界反応相の面積率の特定方法」の記載に従って求めた。
〔粒状析出物の個数密度〕
上掲「粒状析出物の個数密度の特定方法」の記載に従って求めた。なお、観察面を調製するための電解研磨条件は上記TOF−SIMSの場合と同様とした。
〔0.2%耐力〕
各供試材からLDの引張試験片(JIS 5号)を採取し、n=3でJIS Z2241の引張試験行い、n=3の平均値によって0.2%耐力を定めた。
〔導電率〕
JIS H0505に従って各供試材の導電率を測定した。
〔曲げ加工性〕
供試材の板材から長手方向がTDの曲げ試験片(幅10mm)を採取し、JIS H3130の90°W曲げ試験を行った。試験後の試験片について曲げ加工部の表面および断面を光学顕微鏡にて100倍の倍率で観察することにより、割れが発生しない最小曲げ半径MBRを求め、これを供試材の板厚tで除することによりMBR/t値を求めた。各供試材ともn=3で実施し、n=3のうちの最も悪い結果を当該供試材の成績としてMBR/t値を表示した。
〔耐疲労特性〕
供試材をプレス加工して実際の通電部品に近い形状の試験片を作製して疲労試験に供した。その試験片の形状を図1に示す。この試験片は、板厚t=0.2mmの板からTD(圧延直角方向)を長手方向とする幅1.4mmの材料を打抜き、これに180°U字曲げを含む曲げ加工を施したものに相当する。図1中の矢印で示す位置に、一定の押込み量にて繰り返し荷重Pを負荷した。押込み量は、初期荷重20Nを付与したときの変位量に設定した。この押込み量にて繰り返し荷重を付与し、1000回毎に荷重を測定し、初期荷重の50%以下となった回数を耐久回数とした。初期荷重の50%を基準とする理由は、SEMにて試験片表面を観察したとき、初期荷重の50%以下となった試験片にクラックが観測されるからである。試験数n=5とし、それらの中で最も悪い耐久回数を当該板材の成績値として採用した。この試験において耐久回数が10000回以上となるものは、従来一般的なCu−Ti系銅合金と比べ、電子機器に実装された通電部品としての繰り返しの抜き挿しやスイッチング動作について、耐久性が顕著に改善されていると判断できる。
以上の結果を表3に示す。
Figure 2016156078
Figure 2016156078
Figure 2016156078
本発明に従う銅合金板材はいずれもTOF−SIMSによる二次イオン質量分析によって検出されるB、Caの合計存在密度が10.0×103個/mm2以上であり、粗大な粒状析出物の生成も十分に抑えられていた。その結果、上記の疲労試験による耐久回数が10000回以上という、優れた耐疲労特性を呈した。0.2%耐力、導電率、曲げ加工性についても良好であった。
これに対し、比較例No.9、10はBまたはCaの含有量が高いのでB化合物またはCa化合物が形成され、粗大な粒状析出物が多くなった。その結果、曲げ加工性および耐疲労特性に劣った。なお、No.9の組成をmol%に換算すると、Cu−4.2mol%Ti−0.2mol%Bに相当する。
No.11はB、Caの合計含有量が少ないので結晶粒界に十分な量のB、Ca単体濃化が生成されず、粒界反応相の生成を抑制する効果が不十分であった。その結果、曲げ加工性および耐疲労特性に劣った。
No.12〜14は、「Al、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si、V、Zrの合計含有量」が多いのでB化合物またはCa化合物が形成され、粗大な粒状析出物が多くなった。その結果、曲げ加工性および耐疲労特性に劣った。
No.15、16は鋳片加熱温度を2hと短くしたものであり、前者は熱間圧延を行わなかった例、後者は熱間圧延を行ったが850℃以上での熱間圧延率を十分に確保しなかった例である。これらはいずれも鋳造時に生成した粗大なB相がそのまま残存し、適切な分散状態が得られなかった。その結果、粒界反応相の生成が十分に抑制できず、曲げ加工性および耐疲労特性に劣った。
No.17は溶体化処理温度が低かったので時効処理で結晶粒径へのB、Caの単体濃化が不十分となった。その結果、粒界反応相の生成が十分に抑制できず、曲げ加工性および耐疲労特性に劣った。
No.18はTi含有量が不足するため0.2%耐力が低かった。
No.19はTi含有量が過剰であるため冷間圧延で割れが生じ、後工程へ進めることができなかった。
No.20はB、Caとも無添加の例である。粒界反応相の生成量が多く、曲げ加工性および耐疲労特性に劣った。

Claims (9)

  1. 質量%で、Ti含有量:2.0〜5.0%、B、Caの合計含有量:0.001〜0.020%、Al、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si、V、Zrの合計含有量:0%以上0.020%未満、残部Cuおよび不可避的不純物からなる化学組成を有する銅合金板材であって、圧延方向の0.2%耐力が800MPa以上であり、板面(圧延面)に平行な観察面における面積0.1mm2以上の矩形測定領域についてのTOF−SIMSによる二次イオン質量分析によって検出されるB、Caの合計存在密度が10.0×103個/mm2以上であるCu−Ti系銅合金板材。
  2. 金属組織観察において、結晶粒界の1つの交点からその隣の交点までの粒界部分を1つの「粒界セグメント」と定義するとき、前記TOF−SIMSによる二次イオン質量分析でB、Caの1種または2種の存在が認められる粒界セグメントの個数割合が10.0%以上である請求項1に記載のCu−Ti系銅合金板材。
  3. 圧延方向に垂直な断面に観察される粒界反応相の面積率が2.5%以下である請求項1または2に記載のCu−Ti系銅合金板材。
  4. 粒状析出物の最大粒子径が5.0μm以下であり、粒子径0.5〜5.0μmの粒状析出物の個数密度が10.0×103個/mm2以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のCu−Ti系銅合金板材。
  5. 質量%で、Ti含有量:2.0〜5.0%、B、Caの合計含有量:0.001〜0.020%、Al、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si、V、Zrの合計含有量:0%以上0.02%未満、残部Cuおよび不可避的不純物からなる化学組成を有する銅合金の溶解・鋳造して鋳片を得る工程(溶解・鋳造工程)、
    前記鋳片を850〜960℃で10h以上加熱する工程(均質化熱処理工程)、
    冷間圧延する工程(冷間圧延工程)、
    825〜950℃で溶体化処理した後、350〜500℃で時効処理する工程(溶体化・時効処理工程)、
    時効処理後の板材を冷間圧延する工程(仕上冷間圧延工程)、
    を上記の順で有するCu−Ti系銅合金板材の製造方法。
  6. 請求項5に記載の製造方法において、その均質化熱処理工程に代えて、
    前記鋳片を875〜960℃で1h以上加熱したのち、850℃以上の温度域での圧延率を85%以上とする条件で熱間圧延し、700℃以上の温度から水冷して熱延板を得る工程(鋳片加熱・熱間圧延工程)、
    を採用するCu−Ti系銅合金板材の製造方法。
  7. 仕上冷間圧延後の板材を、375〜475℃で1〜60sec加熱するか、または350〜450℃で1〜24h加熱する工程(低温焼鈍工程)、
    を更に有する請求項5または6に記載のCu−Ti系銅合金板材の製造方法。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のCu−Ti系銅合金板材を用いた通電部品。
  9. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のCu−Ti系銅合金板材を用いたばね材。
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