JP2016156067A - ベイナイト鋼レール - Google Patents

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Abstract

【課題】ベイナイト鋼レールにおいて、高硬度を有するレールを安定的に提供する。
【解決手段】化学組成が、質量%で、C:0.15〜0.45%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.10〜2.00%、Cr:0.10〜2.00%、Nb:0.0005〜0.0050%を含有し、P:0.025%以下、S:0.025%以下に制限し、残部Feおよび不可避的不純物であり、下記式(1)で計算されるBm値が下記式(2)を満足し、レールの頭部コーナー部および頭頂部表面を起点として少なくとも深さ20mmの範囲において、面積%で、95%以上がベイナイト組織であり、前記範囲の平均硬度が300〜500Hvの範囲であることを特徴とするベイナイト鋼レール。
Bm=(0.06+0.5×C)×(1+1.1×Si)×(1+3.5×Mn)×(1+6.4×Cr) ・・・(1)
85≧Bm≧1 ・・・(2)
【選択図】なし

Description

本発明は、ベイナイト鋼レールに関し、特に、レール頭部の強度を上げ、耐疲労損傷性を向上させることが可能なベイナイト鋼レールに関するものである。
近年、鉄道輸送では、輸送効率の向上を目的として、列車の高速化および車両走行の過密化が進められている。これに伴い、主に高速運転が行われる直線区間のレールにおいては、レールの接線力の増加、過密化に伴う列車通過数の増加によりレールの使用環境は一層苛酷化しており、その結果、レールと車輪の繰り返し接触によるダークスポット損傷と呼ばれるレール頭表面のころがり疲労損傷の発生が増加している。
このダークスポット損傷は旅客鉄道や貨物鉄道の高速運転区間のレールで発生しやすいが、従来からのパーライト組織を呈したレールではダークスポット損傷の発生の抑制が困難であることが分かった。
そこで、近年では、ダークスポット損傷の原因であるレールと車輪の繰り返し接触によって生成する疲労層(疲労ダメージ層、集合組織)の形成と金属組織の関係の研究がなされてきた。
その結果、フェライト相とセメンタイト相の層状構造を成しているパーライト組織では、疲労ダメージ層が蓄積し易いのに対して、柔らかなフェライト相を母相とし、粒状の硬い炭化物が分散したベイナイト組織は、疲労ダメージ層が蓄積し難いことが明らかとなった。
このような背景から、ダークスポット損傷の発生を抑制し、耐ころがり疲労損傷性を向上させるべく、下記に示すようなレールが開発された。
これらのレールの主な特徴は、耐ころがり疲労損傷性に優れたベイナイト組織を安定に生成させるため、従来の普通炭素鋼レールと比較して炭素量を低減させると同時に、Mn、Cr、Moなどの合金元素を多く添加し、さらに、強度を確保するため適切な熱処理を施したものである(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1の開示技術では、低炭素成分のベース鋼にMn、Cr、Moなどの合金元素を多量に添加し、圧延のままでベイナイト組織を得ることにより、耐ころがり疲労損傷性に優れたレールを提供することができる。
特許文献2の開示技術では、低炭素成分のベース鋼にMn、Cr、Moなどの合金元素を添加し、熱間圧延後の高温度の熱を保有するレール、あるいは高温に加熱されたレールの頭部を加速冷却することにより、耐ころがり疲労損傷性に優れたレールを提供することができる。
特開平5−271871号公報 特開平6−316727号公報 特開平6−336613号公報
金材技研疲れデータシート資料I(1981)、金属材料技術研究所 改訂4版 金属データブック、丸善株式会社
上記のようなベイナイト組織を呈するレール(ベイナイト鋼レール)が発明されたことにより、レールの耐ころがり疲労損傷性は向上し、レールの使用寿命において一定の向上が図られた。
しかし、近年では、列車の高速化、車両走行の過密化がさらに加速しており、上記のようなベイナイト鋼レールにおいても、レール頭部や底部からの疲労損傷の発生が健在化するようになった。その結果、特許文献1、2に記載されたようなレールでは、レール使用寿命が大きく低下するといった問題があった。
このような背景から、ベイナイト組織を呈した鋼レールにおいて、レール頭部からの耐疲労損傷性をさらに向上させることが望まれるようになった。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み案出されたものであり、その目的とするところは、レールの耐疲労損傷性を向上させることを目的としたベイナイト鋼レールを提供するものである。
(1)化学組成が、質量%で、C:0.15〜0.45%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.10〜2.00%、Cr:0.10〜2.00%、Nb:0.0005〜0.0050%を含有し、P:0.025%以下、S:0.025%以下に制限し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、下記式(1)で計算されるBm値が下記式(2)を満足する鋼組成を有し、レールの頭部コーナー部および頭頂部表面を起点として少なくとも深さ20mmの範囲において、面積%で、95%以上がベイナイト組織であり、かつ前記範囲の平均硬度が300〜500Hvの範囲であることを特徴とするベイナイト鋼レール。
Bm=(0.06+0.5×C)×(1+1.1×Si)×(1+3.5×Mn)×(1+6.4×Cr) ・・・(1)
85≧Bm≧1 ・・・(2)
(2)また、上記(1)のレールには、質量%でさらに、下記a群〜d群の成分の1群または2群以上を選択的に含有させることができる。
a群: Ti:0.0005〜0.0050%、V:0.0005〜0.0050%、N:0.010%以下の1種または2種以上。
b群: Mo:0.01〜1.00%、Ni:0.05〜1.00%、B:0.0001〜0.0050%の1種または2種以上。
c群: Cu:0.05〜1.00%、Co:0.01〜1.00%の1種または2種。
d群: Mg:0.0005〜0.0200%、Ca:0.0005〜0.0200%、Al:0.0040〜0.0300%の1種または2種以上。
本発明によれば、ベイナイト組織を呈する鋼レールの成分を制御することで、ベイナイト組織の硬度を向上させ、耐疲労損傷性を向上させうるレールを提供できる。特に、国内の旅客鉄道や海外の貨物鉄道等で使用される直線区間のレールの耐疲労損傷性を向上させることができ、レールの使用寿命を大きく向上させることが可能となる。
本発明のレールの断面模式図である。 C量と頭頂部表面下2mm位置の硬度の関係を示したグラフである。 C量と頭頂部表面下20mm位置の硬度の関係を示したグラフである。
以下に本発明を実施する形態として、耐疲労損傷性に優れたベイナイト鋼レール(以下、単にレールとも称する。)につき、詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、以下にて説明する組成における質量%は、単に%と記載する。
本実施形態に係るベイナイト鋼レールは、化学組成が、質量%で、C:0.15〜0.45%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.10〜2.00%、Cr:0.10〜2.00%、Nb:0.0005〜0.0050%を含有し、P:0.025%以下、S:0.025%以下に制限し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、下記式(1)で計算されるBm値が下記式(2)を満足する鋼組成を有し、レールの頭部コーナー部および頭頂部表面を起点として少なくとも深さ20mmの範囲において、面積%で、95%以上がベイナイト組織であり、かつ前記範囲の平均硬度が300〜500Hvの範囲であることを特徴とする。
Bm=(0.06+0.5×C)×(1+1.1×Si)×(1+3.5×Mn)×(1+6.4×Cr) ・・・(1)
85≧Bm≧1 ・・・(2)
まず、本発明を完成するに至った本発明者らの新たな知見について説明する。
金属材料の母材においては、非特許文献1に例示するように、疲労限度(耐疲労特性)は材料の静的強度と相関関係があり、静的強度は硬度と相関関係がある。したがって、疲労限度は硬さと相関があるため、レールの耐疲労特性を向上させるには、母材の硬度を向上させればよい。そこで、本発明者らはまず、鋼の強化機構に基づいた硬度の向上方法について検討した。
鋼の硬度を上げ、鋼の強化を図る方法として、「転位(加工)強化」、「固溶強化」、「析出強化」、「結晶粒の微細化による強化」が挙げられる。
しかしながら、転位(加工)強化はレールに歪を与え、疲労き裂の起点となりえるため、適用は困難である。
固溶強化に関しては、鋼の固溶強化元素であり本発明のベース成分であるSi、C以外で、固溶強化元素として効果が高い元素はPであるが、Pは不純物元素であり、本発明の範囲以上の添加量では鋼を脆化させる作用が大きいため、適用できない。
また、炭化物の析出強化により強化する場合は、再加熱工程で一旦オーステナイト相中に炭化物を固溶させ、オーステナイト相中では析出させずに、ベイナイト組織中に析出させる必要がある。つまり、圧延温度、圧延時の冷却速度、ベイナイト組織を作りこむ際の冷却速度の最適化が必須となり、容易ではない。更に、過剰な析出強化は、ベイナイト組織を脆化させる。
一方、上述の析出強化と比較して、結晶粒の微細化強化は特に強化源となる硬質第二相を生成させることなくベイナイト組織の強化を図ることが可能である。つまり、結晶粒の微細化、即ちベイナイト組織の微細化は、変態前の組織であるオーステナイト相の結晶粒径を微細化することで容易に達成できる。
そこで、本発明者らはオーステナイト相の微細化方法を詳細に検討した。
オーステナイト相の結晶粒の微細化方法には大きく分けて二つある。
一つ目は、制御圧延に代表されるような低温での大圧下圧延による再結晶粒の微細化である。しかし、レールは厳格な寸法精度が求められるため、成形が困難な傾向となる低温大圧下圧延は製造上の課題が多く、生産性の問題が大きい。
二つ目は、再結晶後のオーステナイト相の粒成長の抑制である。
粒成長を抑制する方法には二つの方法が考えられる。
第一の粒成長抑制方法は、再結晶後に粒成長速度が著しく低くなる温度まで急冷する方法である。しかし、この方法は、製造ライン上で再結晶が終わるタイミングの判断が困難な上、急冷の際に停止温度制御が不完全であると、マルテンサイト組織まで急冷されてしまう製造上の課題がある。
第二の粒成長方法抑制方法として、析出物のピンニングによる微細化がある。
一般的に、析出物を用いて母相(本発明の場合はオーステナイト相)の結晶粒の成長を阻害(ピン止め)する場合、析出物には次の2つの特徴を備えることが望ましい。
一つは「個々の析出物のサイズが小さいこと」、もう一つは「析出物の個数密度(体積分率)が大きいこと」である。これらを満たす程、結晶粒の成長を阻害する力が強くなる。
発明者らは、レール鋼において、ベイナイト組織を微細化するために、析出物のピンニングによるオーステナイト結晶粒の微細化を検討した。まず、Ti、Nb、V等の炭化物生成元素に着目し、ラボ実験を行った。その結果、Nbはオーステナイト相中での溶解度が低く、容易に析出し易く、オーステナイト相中においてピンニングに必要な微細析出物(炭化物、窒化物、炭窒化物)を多量に生成し、ベイナイト組織が微細化して、硬度が上昇することが確認された。
Nbの具体的な添加量については後述の限定理由において詳細に説明する。
尚、オーステナイト相を微細化するとベイナイト変態が促進される。このため、熱間圧延後にベイナイト組織を作りこむ冷却工程(熱処理工程)において、オーステナイト相から早期にベイナイト組織にできるため、生産効率が上がる経済的効果もある。
次に、本発明の一実施形態に係るレールの構成要件、限定理由について詳細に説明する。
(1)化学成分の限定理由
本実施形態のレールにおける化学成分(鋼成分)を限定した理由について詳細に説明する。
Cは、ベイナイト組織の硬度と耐摩耗性を確保するための必須元素である。しかし、C量が0.15%未満では、ベイナイト組織中に初析フェライト相が生成し、ベイナイト鋼レールに必要とされる強度や耐摩耗性を確保することが困難となり、塑性変形起因の損傷が発生する。また、C量が0.45%を超えると、ベイナイト組織中にパーライト組織が多く生成し、ころがり疲労損傷の一種であるダークスポット損傷が発生することや、ベイナイト変態速度が著しく低下し、レールの靭性に有害なマルテンサイト組織が生成しやすくなる。このため、C添加量を0.15〜0.45%に限定した。強度や耐摩耗性を十分に確保するためには、C量を0.20%以上とすることが好ましく、0.25%以上とすることがさらに好ましい。また、パーライト組織やマルテンサイト組織の生成を抑制するためには、C量を0.40%以下とすることが好ましく、0.35%以下とすることがさらに好ましい。
Siは、ベイナイト組織中の素地のフェライト相に固溶することによって強度を向上させる元素である。さらに、製鋼段階で脱酸元素として機能する。しかし、Si量が0.05%未満では強度の向上が殆ど期待できないばかりか、脱酸不足に起因する粗大な酸化物がベイナイト組織中に生成してしまい、レールの疲労特性を著しく損なう。また、Si量が2.00%を超えると、焼入性が著しく増加し、ベイナイト組織中に耐疲労損傷特性に有害なマルテンサイト組織が生成し易くなる。このため、Si添加量を0.05〜2.00%に限定した。また、マルテンサイト組織の生成を抑制するためには、Si量を1.50%以下とすることが好ましく、1.00%以下とすることがさらに好ましい。
Mnは、C同様に鋼の焼入性を高め、ベイナイト組織を安定的に生成させるためには欠かせない元素である。しかし、Mn量が0.10%未満ではその効果が微弱であり、添加元素の組み合わせによっては、ベイナイト組織を安定的に得ることが困難となる。また、Mn量が2.00%を超えると、ベイナイト組織中に耐疲労損傷特性に有害なマルテンサイト組織が生成し易くなる。このため、Mn添加量を0.10〜2.00%に限定した。ベイナイト組織をより安定的に生成させるためには、Mn量を0.30%以上とすることが好ましく、0.60%以上とすることがさらに好ましい。また、マルテンサイト組織の生成を抑制するためには、Mn量を1.50%以下とすることが好ましく、1.20%以下とすることがさらに好ましい。
Crは、Mnと同様に、ベイナイト組織を安定的に生成させ、かつベイナイト組織中の炭化物を微細に分散させ、強度を確保するために重要な元素である。しかし、Cr量が0.10%未満ではその効果が微弱であり、添加元素の組み合わせによっては、ベイナイト組織を安定的に得ることが困難となる。また、Cr量が2.00%を超えると、ベイナイト組織中に耐疲労損傷特性に有害なマルテンサイト組織が生成し易くなる。このため、Cr添加量を0.10〜2.00%に限定した。ベイナイト組織をより安定的に生成させて強度を確保するためには、Cr量を0.30%以上とすることが好ましく、0.60%以上とすることがさらに好ましい。また、マルテンサイト組織の生成を抑制するためには、Cr量を1.50%以下とすることが好ましく、1.20%以下とすることがさらに好ましい。
なお、C、Si、Mn、Crはベイナイト変態に重要な元素であり、鋼の化学成分においてこれらの元素が本発明の範囲内にあっても、各々の含有量が少なすぎると、ベイナイト変態が安定せず、ベイナイト組織が得られない。また、各々の含有量が多すぎると、ベイナイトが得られたとしても、硬度が高すぎでしまい、ベイナイト組織が脆化し、疲労き裂に対する抵抗力が低下し、耐疲労損傷特性が劣化する。
そこで、本発明者らは、C、Si、Mn、Cr含有量を種々変化させた鋼を実験室的に溶解し、C量や合金量とベイナイト組織の関係を調査した。実験の結果、下記式(1)に示すC量、Si量、Mn量、Cr量から計算されるBmの値が、下記式(2)に示す範囲内にあれば、所望の硬度のベイナイト組織が安定的に得られることが分かった。なお、具体的な硬度範囲については後述する。
Bm=(0.06+0.5×C)×(1+1.1×Si)×(1+3.5×Mn)×(1+6.4×Cr) ・・・(1)
85≧Bm≧1 ・・・(2)
Pは、鋼中に不可避的に含有される不純物元素である。転炉での精錬を行うことにより、P量を制御することが可能である。P量が0.025%を超えると、レール鋼の延性が低下(ベイナイト組織が脆化)する。そのためP量は0.025%以下と制限する。好ましくは0.020%以下である。なお、P添加量の下限は限定しないが、精錬工程での脱燐能力を考慮すると、P含有量は0.0080%程度が実際に製造する際の限界になると考えられる。そのため、本実施形態では、P含有量の下限値を0.0080%以上とすることが好ましく、0.0050%以上とすることがさらに好ましい。
Sは、鋼中に不不可避的に含有される純物元素である。溶銑鍋での脱硫を行うことにより、S量を制御することが可能である。S量が0.025%を超えると、介在物としての粗大なMnS等の硫化物が生成し易くなる。この場合、介在物周辺の応力集中により、き裂が生成しやすくなるため、レールの耐疲労損傷特性が低下する。このため、S量は0.025%以下とするのが望ましい。好ましくは0.020%以下である。なお、S添加量の下限は限定しないが、精錬工程での脱硫能力を考慮すると、S含有量は0.010%程度が実際に製造する際の限界になると考えられる。そのため、本実施形態では、S含有量の下限値を0.010%以上とすることが好ましく、0.0080%以上とすることがさらに好ましい。
Nbは、鋼中に微量添加することで、熱間圧延工程におけるオーステナイト相中に微細なNb系析出物(たとえばNbC、NbN、Nb(C,N))として微細に析出、あるいはその他の元素(Ti、V等)と複合析出する。これにより、再結晶後のオーステナイト粒の粒成長を抑制し、オーステナイト粒の微細化を図り、レール鋼の延性を向上させ、かつ硬度を向上させることができる。ただし、Nb量が0.0005%未満では、前述の微細析出物の数が不足し、オーステナイト粒微細化効果が十分に期待できず、ベイナイト組織の微細化による硬度向上が達成できない。また、Nb量が0.0050%を超えると、粗大なNb系析出物が生成しやすくなり、オーステナイト相の粒成長を抑制効果が小さくなるため、ベイナイト組織の微細化による硬度向上が達成できない。さらに、溶鋼からレール圧延用鋼片に凝固させる際に、凝固偏析部で粗大な晶出物を生成しやすくなり、レールの使用特性上、破壊の起点となる懸念がある。このためNb量は0.0005〜0.0050%に限定した。微細析出物の数を十分に確保してベイナイト組織をより微細化させ、硬度の向上を図るためには、Nb量を0.0007%以上とすることが好ましい。また、粗大なNb系析出物の生成を抑制するためには、Nb量を0.0040%以下とすることが好ましく、0.0030%以下とすることがさらに好ましく、0.0020%以下とすることが更に好ましい。
また、上記の成分組成で製造されるレールは、ベイナイト組織の硬度(強度)の向上、すなわち耐疲労損傷性の向上、さらには、耐摩耗性の向上、靭性の向上、溶接熱影響部の軟化の防止、レール頭部内部の断面硬度分布の制御を図る目的で、Ti、V、N、Mo、Ni、B、Cu、Co、Mg、Ca、Alの元素を必要に応じて添加してもよい。
以下に、目的、作用、効果別に、これら元素群をa群〜d群と分け、詳細に説明する。
<a群>
Ti、V、Nは鋼中に微量添加することで、熱間圧延工程中におけるオーステナイト相中に炭化物、窒化物、炭窒化物として析出し(同時に添加するとNbとの複合析出もある)、析出物がオーステナイト相の結晶粒成長を阻害する効果を有する。その結果、オーステナイト結晶粒が微細化するため、ベイナイト組織が微細になり硬度が向上する。ベイナイト鋼レールの硬度向上を目的にこれら元素の1種または2種以上を選択的に添加することが好ましい。それぞれの成分限定理由は以下の通りである。
Tiは、鋼中に微量添加することで、熱間圧延工程におけるオーステナイト相中に微細なTi系析出物(たとえばTiC、TiN、Ti(C,N))として析出、あるいはその他の元素(V、Nb等)と複合析出する。Ti量が0.0005%未満では、微細析出物の数が不足し、オーステナイト粒微細化効果が十分に期待できず、ベイナイト組織の微細化による硬度向上が達成できない。また、0.0050%を超えると、粗大なTi系析出物が生成しやすくなり、オーステナイト相の粒成長を抑制効果が小さくなるため、ベイナイト組織の微細化による硬度向上が達成できない。また、溶鋼からレール圧延用鋼片に凝固させる際に、凝固偏析部で粗大な晶出物を生成しやすく、レールの使用特性上、破壊の起点となる懸念がある。このためTi量は0.0005〜0.0050%が望ましい。
Vは、鋼中に微量添加することで、熱間圧延工程におけるオーステナイト相中に微細なV系析出物(たとえばVC、VN、V(C,N))として析出、あるいはその他の元素(Ti、Nb等)と複合析出する。V量が0.0005%未満では、微細析出物の数が不足し、オーステナイト相の微細化効果が十分に期待できず、ベイナイト組織の微細化による硬度向上が達成できない。また、0.0050%を超えると、単独あるいは他のTiやNbと粗大な複合析出物が生成し、オーステナイト相の粒成長を抑制効果が小さくなるため、ベイナイト組織の微細化による硬度向上が達成できない。このため、V量は0.0005〜0.0050%が望ましい。
以上、本発明において、Ti、Nb、Vを説明したが、添加量が上記範囲内であれば、同様の大きさ、個数の析出物が生成する。そのため、Nb添加に加え、TiおよびVを1方または両方添加すると、析出物の数を増やすことができ、オーステナイト相の一層の微細化が達成できる。
Nは、熱間圧延や高温度に加熱する熱処理が行われる場合に、Nb、V、Tiと窒化物や炭窒化物を形成し、オーステナイト相の粒成長を抑制し、ベイナイト組織の微細化により硬度を向上させる元素である。ベイナイト組織の高硬度化を目的にNを選択的に添加する。Nの成分限定理由は以下の通りである。
Nは添加する分だけ窒化物、炭窒化物の形成能が強まるため、下限については限定しない。しかし、N量が0.010%を超えると、析出物が粗大化し、オーステナイト相の粒成長の抑制効果が弱くなり、ベイナイト組織の微細化による高硬度化を達成できない。このため、N量は0.010%以下が望ましい。
<b群>
Mo、Ni、Bは、鋼の焼入れ性を変化させ、ベイナイト組織の高硬度化またはベイナイト組織の生成を安定化させる元素である。ベイナイト組織の硬度向上、ベイナイト組織安定化を目的にこれらの元素の1種または2種以上を選択的に添加することが好ましい。これら元素の成分限定理由は以下の通りである。
Moは安定的にベイナイト組織を生成させ、ベイナイト変態温度を低下させることによりベイナイト組織の硬度を確保する。しかし、Mo量が0.01%未満ではベイナイト組織の生成や強度への寄与は少なく、添加元素の組み合わせによっては、ベイナイト組織を安定的に得ることが困難となる。また、Mo量が1.00%を超えると、焼入れ性の増加により、ベイナイト組織中に耐疲労損傷特性に有害なマルテンサイト組織が生成し易くなる。さらに、鋼片において偏析を助長し、偏析部に耐疲労損傷特性に有害なマルテンサイト組織を生成する。このため、Mo含有量は0.01〜1.00%が望ましい。
Niはオーステナイト相を安定化させる元素であり、ベイナイト変態温度を下げ、硬度を向上させる。しかし、Ni量が0.05%未満ではその効果が著しく小さく、硬度が向上しない。また、Ni量が1.00%を超えると、ベイナイト変態速度が大きく低下し、ベイナイト組織中に耐疲労損傷特性に有害なマルテンサイト組織が生成し易くなる。このため、Ni含有量は0.05〜1.00%が望ましい。
Bは、旧オーステナイト粒界から生成する初析フェライトやパーライト組織の生成を抑制し、ベイナイト組織を安定的に生成させる元素である。ベイナイト組織を安定的に得ることを目的に選択的に添加する。Bの成分限定理由は以下の通りである。
Bは0.0001%未満では、旧オーステナイト粒界からの初析フェライト、パーライト組織の生成を抑制することができず、ベイナイト組織を安定的に得られない。また、B量が0.0050%を超えても、それ以上の効果が期待できない。このため、Bは0.0001〜0.0050%が望ましい。
<c群>
Cu、Coは、ベイナイト組織の基地の固溶強化(Cu)や微細化(Co)により硬度を向上させる元素である。ベイナイト組織の硬度向上を目的にこれら元素の1種または2種を選択的に添加することが好ましい。これら元素の成分限定理由は以下の通りである。
Cu量が0.05%未満では、固溶強化が発現せず、ベイナイト組織の硬度が向上しない。また、Cu量が1.00%を超えると、著しい焼入れ性向上により、ベイナイト組織中にレールの耐疲労損傷特性に有害なマルテンサイト組織が生成し易くなる。このため、Cu量は0.05〜1.00%が望ましい。
Co量が0.01%未満では、ベイナイト組織の微細化が図れず、ベイナイト組織の硬度が向上しない。また、Co量が1.00%を超えると、上記の効果が飽和し、添加量に応じた組織の微細化が図れない。また、合金添加コストの増大により経済性が低下する。このため、Co量は0.01〜1.00%が望ましい。
<d群>
Mg、Ca、Alは鋼中で酸化物や硫化物、窒化物を形成し、レール圧延時の再加熱中や、圧延中の再結晶後のオーステナイト相の粒成長を阻害する元素である。オーステナイト相の粒成長の阻害により、熱間圧延終了後のオーステナイト相が微細化し、最終的にベイナイト組織が微細となり、ベイナイト組織の硬度が向上する。ベイナイト組織の高硬度化を目的にこれら元素の1種または2種以上を選択的に添加することが好ましい。これら元素の成分限定理由は以下の通りである。
Mgは、O、または、SやAl等と結合して微細な酸化物や硫化物を形成する。しかし、Mg含有量が0.0005%未満では、本発明のNb、Ti、Vの析出物による粒成長の阻害効果を強化するに十分な量の微細な酸化物や硫化物が得られず、ベイナイト組織の高硬度化が達成できない。また、Mg量が0.0200%を超えると、Mgの粗大酸化物が生成し、オーステナイト相の粒成長抑制効果が弱くなるだけでなく、粗大な酸化物から疲労損傷が発生し、レールの耐疲労損傷性が低下する。このため、Mg量は0.0005〜0.0200%が望ましい。
Caは、O、またはS等と結合して微細な酸化物や硫化物を形成する。しかし、Ca量が0.0005%未満では、本願のNb、Ti、Vの析出物による粒成長の阻害効果を強化するに十分な量の微細な酸化物や硫化物が得られず、ベイナイト組織の高硬度化が達成できない。また、Ca量が0.0200%を超えると、Caの粗大酸化物が生成し、オーステナイト相の粒成長抑制効果が弱くなるだけでなく、粗大な酸化物から疲労損傷が発生し、レールの耐疲労損傷性が低下する。このため、Ca量は0.0005〜0.0200%が望ましい。
Alは、熱間圧延や高温度に加熱する熱処理が行われる場合に、微細なAl窒化物を形成する元素である。しかし、Al量が0.0040%未満では、本願のNb、Ti、Vの析出物による粒成長の阻害効果を強化するに十分な量の微細な酸化物や硫化物が得られず、ベイナイト組織の高硬度化が達成できない。また、Al量が0.0300%を超えると、鋼中に固溶させることが困難となり、粗大なアルミナ系介在物が生成し、オーステナイト相の粒成長抑制効果が弱くなるだけでなく、この粗大な析出物から疲労損傷が発生し、レールの耐疲労損傷性が低下する。さらに、溶接時に酸化物が生成し、溶接性が著しく低下する。このため、Al量は0.0040〜0.0300%が望ましい。
本実施形態に係るレールの鋼成分組成は以上の通りであり、残部はFe及び不可避的不純物である。なお、原料、資材、製造設備等の状況によっては、不可避的不純物が鋼中に混入するが、本発明の優れた特性を阻害しない範囲であれば許容される。
また、上記のような成分組成で構成されるレールは、転炉、電気炉などの通常使用される溶解炉で溶製を行い、この溶鋼を造塊・分塊法あるいは連続鋳造法により鋳造され、さらにレール形状に熱間圧延を経て製造される。さらに、必要に応じてレール頭部の金属組織や硬さを制御する目的から熱処理が行われる。
(2)金属組織の限定理由
次に、レールの頭部コーナー部および頭頂部表面を起点として少なくとも深さ20mmの範囲における金属組織において、95面積%以上のベイナイト組織に限定した理由を説明する。
ベイナイト組織中に初析フェライト、マルテンサイト組織が混在すると、硬度の低い組織に歪みが集中し、疲労き裂の発生を誘発する。また、靭性の低いマルテンサイト組織では、微小な脆性的な割れが発生し、疲労き裂の発生を誘発する。また、特に高速運転が行われるような直線区間におけるレールにおいて、車輪と接触する頭頂部表面や頭部コーナー部では耐転がり疲労損傷性が重要である。そこで金属組織とこれらの特性の関係を調査した結果、ベイナイト組織が最も適していることが確認された。そこで、耐転がり疲労損傷性を確保する目的からベイナイト組織に限定した。
ここで、図1を用いて本発明のレールでベイナイト組織が必要な部位の範囲を説明する。図1はレールの断面模式図を示す。
レール頭部3は、頭頂部1と、頭頂部1の両端に位置する頭部コーナー部2と、側頭部12とを有する。頭頂部1は、レール延伸方向に沿ってレール頭部の頂部に延在する略平坦な領域である。側頭部12は、レール延伸方向に沿ってレール頭部の側部に延在する略平坦な領域である。頭部コーナー部2は、頭頂部1と側頭部12の間に延在する丸められた角部と、側頭部12の上半分(側頭部12の、鉛直方向に沿った1/2部より上側)とを併せた領域である。
頭頂部1の表面と頭部コーナー部2の表面は、レールの中で、車輪に接触する頻度が最も高い領域である。頭部コーナー部2および頭頂部1の表面を起点として深さ20mmまでの範囲を頭表部3aと呼ぶ。
本発明では、少なくともこの頭表部3a(図中で示した網掛け部)が、面積率で95%以上のベイナイト組織であることが重要である。なお、頭部コーナー部2の一方は、車輪と主に接触するゲージコーナー(G.C.)部である。
図1に示すように、頭頂部1および頭部コーナー部2の表面を起点として深さ20mmまでにベイナイト組織が存在すれば、レール頭表部3aにおいて、高硬度化による耐摩耗性や耐疲労特性の向上が図れる。つまり、レールの中でも車輪に接触する頻度が高く、耐疲労損傷特性が要求される頭表部3aにベイナイト組織が存在していれば本発明の効果は享受でき、頭表部3a以外の、これらの特性が必要とされない部分はベイナイト組織以外の金属組織であってもよい。
次に、本発明のレールの頭部の金属組織の生成状況について説明する。
前記の頭表部3aの金属組織は全て、直線区間において車輪との接触により生じる転がり疲労損傷に対し、優れた耐性を有するベイナイト組織であることが望ましい。しかし、レールの成分系、更には、熱処理工程時の加速冷却条件の選択によっては、微量な初析フェライト、パーライト組織、マルテンサイト組織が混入することがある。これらの組織が微量に混入しても、レールの特性には悪影響を及ぼさないため、前記の頭表部3a(図1の3aに示す網掛け部分参照)においては、面積率で合計5%までは初析フェライト、パーライト組織、マルテンサイト組織を含んでもかまわない。換言すれば、本発明に係るレールの頭表部3aのベイナイト組織の面積率を95%以上とし、ベイナイト組織以外の上記のような組織が混住する場合は、その組織は面積率で合計5%以下に制限する。したがって、レールの頭表部3aのベイナイト組織の面積率の上限は100%である。なお、本発明における「ベイナイト組織」とはベイナイト組織の面積率が95%以上の状態である。
なお、耐表面損傷性を十分に向上させるには、レール頭表部3aの組織は面積率で98%以上をベイナイト組織とすることが好ましい。
次に、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として深さ20mmまでの範囲(領域)をベイナイト組織とした理由について説明する。
レール頭部において、ベイナイト組織を生成させる範囲(必要範囲)が頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として深さ20mm未満の場合、当該範囲はレール頭部に要求される耐疲労損傷性を確保するためには不十分であり、十分なレール使用寿命の向上が困難となる。また、摩耗によるレールの交換を考慮すると、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として深さ20mmを超える深さでは、ベイナイト以外の組織が生成してもレールの使用特性には影響しない。
ベイナイト組織の面積率は、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として少なくとも20mm深さの範囲の観察において、例えば200倍の光学顕微鏡の視野で金属組織を観察し、ベイナイト組織の面積を合計することで、当該範囲内のベイナイト組織の面積率を求めることができる。また前述の各金属組織の面積についても同様の方法により測定することができる。また、前記した光学顕微鏡の観察は複数視野(複数箇所)行い、面積率の平均値をベイナイト組織の面積率として採用することができる。
また、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として2mm程度の深さ位置と、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として20mm深さ位置の、双方のベイナイト組織の面積率が95面積%以上であれば、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として少なくとも20mm深さの範囲のベイナイト組織の面積率が95面積%以上である、と称することができる。
なお、初析フェライト、パーライト組織、初析セメンタイト、マルテンサイト組織の生成比率については、前記した、ベイナイト組織の面積率の算定と同様な方法で算定することができる。つまり、具体的には、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点とした少なくとも20mm深さの範囲の組織観察において、200倍の光学顕微鏡の視野で各金属組織を観察し、各視野において、初析フェライト、パーライト組織、初析セメンタイト、マルテンサイト組織の面積を測定し、ベイナイト組織以外の面積率を求める。この光学顕微鏡での観察を複数視野(複数箇所)行い、初析フェライト、パーライト組織、初析セメンタイト、マルテンサイト組織の面積率として用いることができる。
また、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として2mm程度の深さ位置と、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として20mm深さ位置の、双方の初析フェライト、パーライト組織、初析セメンタイト、マルテンサイト組織の面積率の合計が5%未満であれば、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として少なくとも20mm深さの範囲の金属組織の95%以上がベイナイト組織であると称することができる。
ここで、本発明レールにおいて、鋼中のNb系析出物(炭化物、窒化物、炭窒化物)について、好ましい生成形態を記述する。
析出物のサイズは以下の方法により測定され、後述する方法で観察した析出物の平均粒子径を測定することで求める。なお析出物が真円に近い場合は、析出物と等しい面積の直径を平均粒子径とする。形状が真球状ではなく、楕円体、直方体の析出物の平均粒子径は、長径(長辺)と短径(短辺)の平均値とする。
平均粒子径が10nm未満の析出物は、オーステナイトの粒成長のピン止め効果があるが観察時に個数を計測し難いため、サイズの限定から除外する。一方、析出物の平均粒子径が100nmを超えると、ピン止め力が不足し、オーステナイトの粒成長を十分に抑制できず、ベイナイト組織の微細化が図れない。このため、測定対象とする析出物のサイズを10〜100nmに限定する。
本発明者らが調査した結果、鋼中において、この10〜100nmの析出物の数が1mmあたり40,000〜1,000,000個存在する範囲においてオーステナイト組織の微細化が認められ、結果ベイナイト組織のより十分な微細化が可能となる。
平均粒径10〜100nmの析出物が生成していても、その生成数が1mmあたり40,000個未満の場合には、オーステナイト粒成長抑制効果が弱く、ベイナイト組織の微細化が不十分となるおそれがある。一方、1mmあたり1,000,000個を上回る場合は、ベイナイト組織の変形が拘束され、延性等の機械的特性が低下し、安全性が損なわれるおそれがある。このため、鋼中の析出物は1mmあたり40,000〜1,000,000個の範囲が好ましい。
ここで、析出物の密度とサイズの測定方法を説明する。頭部断面の任意の場所の腐食面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察、あるいは抽出レプリカ試料、薄膜試料を作製して透過電子顕微鏡(TEM)を用いて観察する。このとき、直径が10nm以上100nm以下の析出物の個数を、少なくとも1000μm以上の面積につき測定する。この測定結果を単位面積当たりの個数に換算する。例えば、2万倍の倍率にて、1視野あたりの観察面積を20μmとし、ランダムに少なくとも50視野観察する。この場合、10〜100nm以下の析出物個数が50視野(1000μm)で100個であれば、析出物密度は1mmあたり100,000個と換算できる。
(3)硬度の限定理由
また、レールとしての耐摩耗性の観点から、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として深さ20mmの範囲の平均硬度は300〜500Hvである必要がある。
頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として深さ20mmの範囲の平均硬度が300Hv未満では、耐疲労損傷特性が向上しない。一方、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として深さ20mmの範囲の平均硬度が500Hvを越えるものは、強化が過剰であり、疲労き裂の進展に対する抵抗力が低下(脆化)してしまう。このため、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として深さ20mmの範囲の平均硬度の範囲を300〜500Hvに限定する。耐疲労損傷特性の安定向上のためには、平均硬度を320〜480Hvの範囲とすることが好ましい。
また、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として2mm程度の深さ位置(頭部表面)と、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として20mm深さ位置(頭部内部)の、双方の平均硬度が300〜500Hvであれば、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として少なくとも20mm深さの範囲の平均硬度が300〜500Hvと称することができる。
なお、前述の平均硬度の測定は、測定場所(例えば、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として深さ2mmの位置や20mmの位置等)において、複数視野(複数箇所)測定し、それらの平均値を平均硬度として採用することが望ましい。具体的に、平均硬度の測定は下記に示す要領で実施することができる。
<平均硬度の測定方法・測定条件>
測定器 :ビッカース硬度計(荷重98N)
測定用試験片採取:レール頭部の横断面からサンプル切り出し。
事前処理 :前記横断面を研磨。
測定方法 :JIS Z 2244に準じて測定。
平均硬度の算定:
・2mm深さ位置(頭部表面):頭部外郭表面から深さ2mmの任意位置において5点以上の測定を行い、平均値を頭部表面の平均硬度とする。
・20mm深さ位置(頭部内部):頭部外郭表面から深さ20mmの任意位置において5点以上の測定を行い、平均値を頭部内部の平均硬度とする。
なお、本発明において「横断面」とは、レール長手方向に垂直な断面である。
本発明に係るレールの製造方法は特に限定せず、上述したような成分組成となるよう、転炉、電気炉などの通常使用される溶解炉で溶製を行い、この溶鋼を造塊・分塊法あるいは連続鋳造法により鋳造され、さらにレール形状に熱間圧延を施すことで製造される。 なお、熱間圧延後の熱処理についても特に限定しないが、頭頂部および頭部コーナー部の表面を起点として少なくとも深さ20mmの範囲の平均硬度が300〜500Hvのベイナイト組織をより安定して得るため、熱間圧延後に自然冷却、または、熱間圧延後または必要に応じて再加熱後のオーステナイト相領域のある高温のレール頭部表面や底部表面に対し加速冷却を行うことが望ましい。加速冷却の方法としては、例えば、特許文献2、特許文献3に記載されているような方法で加速冷却を行うことにより、本発明にて限定する所定の組織と硬度を得ることができる。
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
表1に本発明レール(発明例A01〜A19)の化学成分と諸特性を示す。表1、2には、化学成分、頭表部(頭頂部表面下2mm位置、20mm位置、頭部コーナー部表面下2mm位置、20mm位置)の金属組織および硬度、直径10〜100nmの析出物の個数(析出物の個数密度)を示す。
表3、4に本発明の範囲外のレール(比較例B01〜B14)の化学成分と諸特性を示す。表2には、化学成分、頭表部(頭頂部表面下2mm位置、20mm位置、頭部コーナー部表面下2mm位置、20mm位置)の金属組織および硬度、直径10〜100nmの析出物の個数(析出物の個数密度)を示す。
尚、表2、4に示す頭表部の金属組織において、面積率の合計で5%超の初析フェライト、パーライト組織、マルテンサイト組織が混入している比較例については、頭表部金属組織の欄に初析フェライト、パーライト組織、マルテンサイト組織も記載した。また、表2、4に記載の頭表部の金属組織において、「ベイナイト」と表記の場合、面積率で合計5%以下の微量な初析フェライト、パーライト組織、初析セメンタイトやマルテンサイト組織が混入しているものも含んでいる。
なお、表1〜4に示した本発明例のレールおよび比較例のレールの製造条件は下記に示すとおりである。
製鋼工程において転炉および二次精錬(脱ガス)で成分調整を行い、連続鋳造にてレール熱間圧延用の鋼片(ブルーム)に鋳造した。鋼片は熱間圧延工程において、加熱炉にて1260℃で60分間加熱し、加熱炉抽出後は粗圧延工程、中間圧延工程を経て、粗造形圧延を行い、仕上圧延工程にて最終圧延温度940℃でレール形状に圧延した。熱間圧延後は熱処理工程に搬送し、レールの頭頂部の表面が800℃のオーステナイト状態から、冷却速度3℃/secで400℃まで加速冷却を施し、その後は40℃/minで冷却した。
表2、表4に示した本発明レールおよび比較レールにおいて、頭頂部表面下2mm位置、20mm位置、頭部コーナー部表面下2mm位置、20mm位置の金属組織および硬度、ならびに析出物・介在物の観察方法・判定方法は、以下の方法で測定した。
<硬度の測定方法>
(1)事前処理:レール切断⇒横断面研摩。
(2)測定方法:JIS Z 2244に準じて測定。
(3)測定器:ビッカース硬度計(荷重98N)
(4)測定箇所:レール頭頂部表面から2mm、20mm深さの位置
レール頭部コーナー部表面から2mm、20mm深さの位置
(5)測定数:5点以上測定し、平均値を鋼レールの代表値とした。
<金属組織観察方法>
(1)観察試料: レール長手方向に対し垂直に切出したレール頭部を研磨したもの
(2)腐食方法: ナイタールに10sec浸漬(非特許文献2参照)。
(3)観察方法: 光学顕微鏡、200倍
(4)測定数:10視野観察し、平均値を各組織の代表値とした。
<析出物、介在物(酸化物、硫化物等)判定方法>
(1)観察試料:レール長手方向に対し垂直に切出したレール頭部を研磨したもの
(鏡面状態で観察)
(2)観察方法:走査型電子顕微鏡 倍率:1000〜50000倍
(3)測定位置:頭表部の表面を起点として深さ2〜20mmの任意の点
(4)測定方法:観察により、介在物、析出物の分析を行い、その中から硫化物生成元素や炭化物生成元素からなる硫化物、炭化物、窒化物のみ選択し、その面積を求め、面積に相当する円の直径で粒径を算定。生成物が矩形の場合は長辺と短辺の平均値とする。生成物が正方形の場合は直行する二辺の平均値とする。平均粒径が5μmを超えるものを粗大析出物、介在物と定義。
なお、本実施例では疲労強度については調査していないが、前述したように、硬度と疲労強度には相関関係が認められるため、硬度上昇が達成されたレールは疲労強度が上昇しているとみなすことができる。
表1〜4に示した本発明例および比較例のレールの詳細は下記に示すとおりである。
(1)本発明レール(19本)
符号A01〜A19:化学成分値、頭表部の金属組織が本発明範囲内のレール。
(2)比較レール(14本)
符号B01〜B14:C、Si、Cr、Mn、P、S、Nbの添加量が本発明範囲外、およびC量、Si量、Cr量、Mn量から計算されるBm値が1未満、85超のレール。
Figure 2016156067
Figure 2016156067
Figure 2016156067
Figure 2016156067
表1〜4に示すように、本発明レール(符号A01〜A19)は、比較レール(符号B01〜B14)と比べて、鋼のC、Si、Mn、P、S、Nbの添加量を限定範囲内に収めることにより、初析フェライト、パーライト組織、マルテンサイト組織の生成を抑制し、頭表部表面から少なくとも20mm位置において高硬度ベイナイト組織を得ることができた。
一方、符号B01はC量が規定範囲よりも低かったため、耐摩耗性や耐疲労損傷特性に有害な軟質な初析フェライトが大量に生成し、硬度が低下した。符号B02はC量が規定範囲よりも高かったため、レールの寿命を低下させる、ころがり疲労損傷の一種であるダークスポット損傷が発生しやすい、ベイナイト組織中にパーライト組織が多く生成した組織となった。
符号B03はSi量が規定範囲よりも低かったため、耐摩耗性が低い軟質なベイナイト組織となり硬度が低下したばかりか、脱酸不足により、レールの耐疲労損傷特性を低下させる粗大な酸化物が生成した。符号B04は過剰なSiの添加により焼入れ性が著しく向上し、耐摩耗性や耐疲労損傷特性を劣化させるマルテンサイト組織が生成した。
符号B05はMn量が規定範囲よりも低かったため、焼入れ性の向上が図れず、耐摩耗性や耐疲労損傷特性を低下させる初析フェライトが大量に生成し、硬度が低下した。符号B06はMn量が規定範囲よりも高かったため、レール頭部表面に耐摩耗性や耐疲労損傷特性に有害なマルテンサイト組織が多量に生成した。
符号B07はCr量が規定範囲よりも低かったため、軟質なベイナイト組織となり、本発明の目的であるベイナイト組織の高硬度化が達成できなかった。符号B08はCr量が規定範囲よりも高かったため、焼入れ性が著しく向上し、耐摩耗性や耐疲労損傷特性を劣化させるマルテンサイト組織が大量に生成した。
符号B09はP量が規定範囲よりも高かったため、ベイナイト組織が脆化した(延性が低下した)。
符号B10はS量が規定範囲よりも多かったため、耐疲労損傷特性を低下させる粗大な介在物が生成した。
符号B11はNb量が規定範囲よりも低かったため、オーステナイト相の微細化が達成できず、硬度が上昇しなかった。
図2にC量と頭頂部表面より2mm下の硬度の関係、図3にC量と頭頂部表面下20mm位置の硬度の関係を示したグラフを示す。
符号B11はNb量が規定範囲よりも低かったため、ベイナイト組織の微細化が図れず、硬度が上昇しなかった。なお、発明例は同一C量で比較して硬度が増加している。C量増加に伴う硬度上昇はベイナイト組織中のセメンタイトの増加によるものである。
符号B12はNb量が規定範囲よりも多かったため、耐疲労損傷特性に有害な粗大なNb系析出物が生成した。
符号B13はC量、Si量、Mn量、Cr量は上記規定の範囲内であったが、これらの含有量から計算されるBm値が1未満であり、式(2)の関係を満足することができず、ベイナイト組織を安定的に生成できず、耐疲労損傷特性を悪化させ、レール頭部表面において、ダークスポットが発生しやすいパーライト組織が大量に生成してしまった。
符号B14はC量、Si量、Mn量、Cr量は上記規定の範囲内であったが、これらの含有量から計算されるBm値が85超であり、式(2)の関係を満足することができず、硬度が500Hvを越え、疲労き裂に対する抵抗力のない脆いベイナイト組織となった。
1:頭頂部
2:頭部コーナー部
3:レール頭部
3a:頭表部(頭部コーナー部および頭頂部の表面を起点として深さ20mmまでの範囲、斜線部)
12:側頭部

Claims (2)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C:0.15〜0.45%、
    Si:0.05〜2.00%、
    Mn:0.10〜2.00%、
    Cr:0.10〜2.00%、
    Nb:0.0005〜0.0050%
    を含有し、
    P:0.025%以下、
    S:0.025%以下、
    に制限し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、
    下記式(1)で計算されるBm値が下記式(2)を満足する鋼組成を有し、
    レールの頭部コーナー部および頭頂部表面を起点として少なくとも深さ20mmの範囲において、面積%で、95%以上がベイナイト組織であり、かつ前記範囲の平均硬度が300〜500Hvの範囲であることを特徴とするベイナイト鋼レール。
    Bm=(0.06+0.5×C)×(1+1.1×Si)×(1+3.5×Mn)×(1+6.4×Cr) ・・・(1)
    85≧Bm≧1 ・・・(2)
  2. 質量%で、さらに、下記a群〜d群の成分の1群または2群以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のベイナイト鋼レール。
    a群: Ti:0.0005〜0.0050%、V:0.0005〜0.0050%、N:0.010%以下の1種または2種以上。
    b群: Mo:0.01〜1.00%、Ni:0.05〜1.00%、B:0.0001〜0.0050%の1種または2種以上。
    c群: Cu:0.05〜1.00%、Co:0.01〜1.00%の1種または2種。
    d群: Mg:0.0005〜0.0200%、Ca:0.0005〜0.0200%、Al:0.0040〜0.0300%の1種または2種以上。
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