JP2016156011A - タイヤビードフィラー用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】ビードフィラーは高温時に硬度が低下しないこと、低発熱性であること、耐クラック成長性に優れることが求められている。そのため、大粒径のカーボンブラックを使用したり、オイルの配合量を減少する手法があるが、耐クラック成長性の悪化を招いていた。また、熱硬化性樹脂を配合する手法もあるが、高硬度は得られるものの、硬度の温度依存性、発熱性および耐クラック成長性が悪化するという問題点がある。【解決手段】NRを50〜80質量部およびSBRを20〜50質量部含むジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(N2SA)が25〜85m2/gのカーボンブラックを60〜90質量部、および例えばアントラキノンスルホン酸ナトリウムを0.1〜5質量部配合してなるタイヤビードフィラー用ゴム組成物によって上記課題を解決した。【選択図】なし
Description
本発明は、タイヤビードフィラー用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものであり、詳しくは、硬度の温度依存性、発熱性、耐クラック成長性を高次にバランスし得るタイヤビードフィラー用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものである。
近年の空気入りタイヤには、さらなる高速操縦安定性と低転がり抵抗性が求められ、これらの点を満たすためにビードフィラーに関しては高温時に硬度が低下しないこと、すなわち硬度の温度依存性を抑制すること、低発熱性であること、耐クラック成長性に優れること等が求められている。そのため、大粒径のカーボンブラックを使用したり、オイルの配合量を減少する手法があるが、耐クラック成長性の悪化を招いていた。また、熱硬化性樹脂を配合する手法もあるが、高硬度は得られるものの、硬度の温度依存性、発熱性および耐クラック成長性が悪化するという問題点がある。
このように、硬度の温度依存性、発熱性、耐クラック成長性を高次にバランスすることは当業界において困難な事項とされている。
このように、硬度の温度依存性、発熱性、耐クラック成長性を高次にバランスすることは当業界において困難な事項とされている。
なお下記特許文献1には、(i)ゴム100重量部、(ii)π電子芳香環を有する化合物を酸化縮合させた酸化縮合物とカーボンブラックとからなる複合体10〜180重量部並びに(iii)分子中に水酸基及びエーテル結合の少なくとも一方を有するC4 〜C20の有機化合物を分散剤として含んでなるゴム組成物が開示されている。しかし特許文献1には本発明における特定化合物を用い、ゴムとカーボンブラックとの相互作用を高め、硬度の温度依存性、発熱性、耐クラック成長性を高次にバランスさせ、これをタイヤビードフィラーに用いようとする技術思想は何ら開示されていない。
本発明の目的は、硬度の温度依存性、発熱性、耐クラック成長性を高次にバランスし得るタイヤビードフィラー用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の組成のジエン系ゴムに対し、特定の特性を有するカーボンブラックおよび特定の構造を有する化合物を特定量で配合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明は以下のとおりである。
1.天然ゴムおよび/または合成イソプレンゴムを50〜80質量部およびスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを20〜50質量部含むジエン系ゴム100質量部に対し、
窒素吸着比表面積(N2SA)が25〜85m2/gのカーボンブラックを60〜90質量部、および
一分子内にキノン類の構造とスルホン酸またはその塩類の構造とを有する化合物、および/または、一分子内にキノン類の構造とチオ硫酸またはその塩類の構造とを有する化合物を0.1〜5質量部配合してなることを特徴とするタイヤビードフィラー用ゴム組成物。
2.前記キノン類が、ベンゾキノン、ナフトキノンまたはアントラキノンのいずれかであることを特徴とする前記1に記載のタイヤビードフィラー用ゴム組成物。
3.ジエン系ゴム100質量部に対し、さらに熱硬化性樹脂を5〜20質量部および硬化剤を前記熱硬化性樹脂に対し5〜15質量%配合してなることを特徴とする前記1または2に記載のタイヤビードフィラー用ゴム組成物。
4.前記化合物として、前記化合物100質量部と前記ゴム用プロセスオイル1〜100質量部とからなる混合物を使用する前記1〜3のいずれかに記載のタイヤビードフィラー用ゴム組成物。
5.前記1〜4のいずれかに記載のゴム組成物をビードフィラーに使用した空気入りタイヤ。
すなわち本発明は以下のとおりである。
1.天然ゴムおよび/または合成イソプレンゴムを50〜80質量部およびスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを20〜50質量部含むジエン系ゴム100質量部に対し、
窒素吸着比表面積(N2SA)が25〜85m2/gのカーボンブラックを60〜90質量部、および
一分子内にキノン類の構造とスルホン酸またはその塩類の構造とを有する化合物、および/または、一分子内にキノン類の構造とチオ硫酸またはその塩類の構造とを有する化合物を0.1〜5質量部配合してなることを特徴とするタイヤビードフィラー用ゴム組成物。
2.前記キノン類が、ベンゾキノン、ナフトキノンまたはアントラキノンのいずれかであることを特徴とする前記1に記載のタイヤビードフィラー用ゴム組成物。
3.ジエン系ゴム100質量部に対し、さらに熱硬化性樹脂を5〜20質量部および硬化剤を前記熱硬化性樹脂に対し5〜15質量%配合してなることを特徴とする前記1または2に記載のタイヤビードフィラー用ゴム組成物。
4.前記化合物として、前記化合物100質量部と前記ゴム用プロセスオイル1〜100質量部とからなる混合物を使用する前記1〜3のいずれかに記載のタイヤビードフィラー用ゴム組成物。
5.前記1〜4のいずれかに記載のゴム組成物をビードフィラーに使用した空気入りタイヤ。
本発明によれば、特定の組成のジエン系ゴムに、特定の特性を有するカーボンブラックを特定量;および一分子内にキノン類の構造とスルホン酸またはその塩類の構造とを有する化合物、および/または、一分子内にキノン類の構造とチオ硫酸またはその塩類の構造とを有する化合物を特定量配合したので、硬度の温度依存性、発熱性、耐クラック成長性を高次にバランスし得るタイヤビードフィラー用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明で使用されるジエン系ゴムは、天然ゴム(NR)および/または合成イソプレンゴム(IR)とスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)とを必須成分とする。NRおよび/またはIRの配合量は、ジエン系ゴム全体を100質量部としたときに50〜80質量部であることが必要であり、60〜75質量部であることが好ましい。またSBRの配合量は、ジエン系ゴム全体を100質量部としたときに20〜50質量部であることが必要であり、25〜40質量部であることが好ましい。NRおよび/またはIRと、SBRの配合量が上記範囲を外れると本発明の効果を奏し難い。なお、上記以外の他のジエン系ゴムを用いることができ、例えばブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
本発明で使用されるジエン系ゴムは、天然ゴム(NR)および/または合成イソプレンゴム(IR)とスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)とを必須成分とする。NRおよび/またはIRの配合量は、ジエン系ゴム全体を100質量部としたときに50〜80質量部であることが必要であり、60〜75質量部であることが好ましい。またSBRの配合量は、ジエン系ゴム全体を100質量部としたときに20〜50質量部であることが必要であり、25〜40質量部であることが好ましい。NRおよび/またはIRと、SBRの配合量が上記範囲を外れると本発明の効果を奏し難い。なお、上記以外の他のジエン系ゴムを用いることができ、例えばブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
本発明で使用するカーボンブラックは、窒素吸着比表面積(N2SA)が25〜85m2/gであることが必要である。窒素吸着比表面積(N2SA)が25m2/g未満では耐クラック成長性が悪化する。逆に85m2/gを超えると、発熱性が悪化する。本発明の効果が向上するという観点から、窒素吸着比表面積(N2SA)は35〜75m2/gであることがさらに好ましい。なお、窒素吸着比表面積(N2SA)はJIS K6217−2に準拠して求めた値である。
本発明は、一分子内にキノン類の構造とスルホン酸またはその塩類の構造とを有する化合物、および/または、一分子内にキノン類の構造とチオ硫酸またはその塩類の構造とを有する化合物(以下、特定化合物と言うことがある)を特定量配合することを特徴とする。
下記化1は、特定化合物を形成する各構造を示している。
上記式(1)〜(3)で示されるように、キノン類としては、本発明の効果向上の観点から、(1)ベンゾキノン、(2)ナフトキノン、(3)アントラキノンが好ましいものとして挙げられる。上記式(4)はスルホン酸、(5)はスルホン酸塩、(6)はチオ硫酸、(7)はチオ硫酸塩の各構造を示している。
Mは一価のカチオンであり、その種類に制限はないが、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン等が挙げられる。
上記式(4)〜(7)における符号「*」は、キノン類の構造への結合手を表す。
上記式(4)〜(7)に示される各構造は、キノン類の構造のどこに結合していてもよい(ただしキノイド構造(=O)には結合しない)。また上記式(4)〜(7)に示される各構造は、特定化合物の一分子内に1つまたはそれ以上存在することができ、例えば一分子内に1〜4個存在することができる。
また、上記式(4)〜(7)に示される各構造は特定化合物の一分子内に複数種類存在していてもよい。
Mは一価のカチオンであり、その種類に制限はないが、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン等が挙げられる。
上記式(4)〜(7)における符号「*」は、キノン類の構造への結合手を表す。
上記式(4)〜(7)に示される各構造は、キノン類の構造のどこに結合していてもよい(ただしキノイド構造(=O)には結合しない)。また上記式(4)〜(7)に示される各構造は、特定化合物の一分子内に1つまたはそれ以上存在することができ、例えば一分子内に1〜4個存在することができる。
また、上記式(4)〜(7)に示される各構造は特定化合物の一分子内に複数種類存在していてもよい。
本発明における特定化合物は、公知の手法により合成することができ、また市販されているものを利用することもできる。
本発明における特定化合物は、キノン類の構造がカーボンブラックと、スルホン酸またはその塩類の構造、および/または、チオ硫酸またはその塩類の構造がジエン系ゴムと相互作用し、ジエン系ゴムとカーボンブラックとを分散性よくカップリングすることができ、本発明の効果が奏されるものと推測される。
本発明では、特定化合物として、前記化合物100質量部と前記ゴム用プロセスオイル1〜100質量部とからなる混合物を使用するのが好ましい。この形態によれば、硬度の温度依存性、発熱性、耐クラック成長性をさらに改善することができる。
ゴム用プロセスオイルとしては、当業界でゴム組成物に通常配合されているオイルをすべて使用することができ、とくに制限されない。
一般的に、ゴム用プロセスオイルとしては、高沸点の石油留分が用いられ、炭化水素の化学構造によって、鎖状飽和炭化水素であるパラフィン系炭化水素と、環状飽和炭化水素であるナフテン系炭化水素と、芳香族炭化水素であるアロマ系炭化水素に分類される。これらの炭化水素は、一般的に、粘度比重定数(以下、「VGC」とよぶ)として知られている数値により区別され、アロマ系炭化水素は0.900以上のVGCを有し、パラフィン系炭化水素は0.790〜0.849のVGCを有し、ナフテン系炭化水素は0.850〜0.899のVGCを有する。ASTM D2140などの環分析法として知られている分析法に従って、試料のVGCと屈折率、比重、動粘度などの値から、その試料についてのパラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素およびアロマ系炭化水素を構成する炭素の割合(重量%)を求めることができる。
本発明では、アロマ系炭化水素を使用するのがとくに好ましく、例えば、原油を減圧蒸留して得られた重質留分を溶剤抽出した時の不溶分を水添処理して得られる、TDAE(Treated Distillate Aromatic Extract)オイル等を使用することができる。
ゴム用プロセスオイルとしては、当業界でゴム組成物に通常配合されているオイルをすべて使用することができ、とくに制限されない。
一般的に、ゴム用プロセスオイルとしては、高沸点の石油留分が用いられ、炭化水素の化学構造によって、鎖状飽和炭化水素であるパラフィン系炭化水素と、環状飽和炭化水素であるナフテン系炭化水素と、芳香族炭化水素であるアロマ系炭化水素に分類される。これらの炭化水素は、一般的に、粘度比重定数(以下、「VGC」とよぶ)として知られている数値により区別され、アロマ系炭化水素は0.900以上のVGCを有し、パラフィン系炭化水素は0.790〜0.849のVGCを有し、ナフテン系炭化水素は0.850〜0.899のVGCを有する。ASTM D2140などの環分析法として知られている分析法に従って、試料のVGCと屈折率、比重、動粘度などの値から、その試料についてのパラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素およびアロマ系炭化水素を構成する炭素の割合(重量%)を求めることができる。
本発明では、アロマ系炭化水素を使用するのがとくに好ましく、例えば、原油を減圧蒸留して得られた重質留分を溶剤抽出した時の不溶分を水添処理して得られる、TDAE(Treated Distillate Aromatic Extract)オイル等を使用することができる。
また本発明において、前記混合物は、ゴム用プロセスオイルによって特定化合物を処理することにより調製される。処理方法としては、公知のミキサーを使用すればよく、例えば、愛工舎製作所社製の卓上型ミキサーに特定化合物とゴム用プロセスオイルを計量して仕込み、5〜30分間攪拌すればよい。
なお、さらに好ましいゴム用プロセスオイルの使用量は、特定化合物100質量部に対し、3〜50質量部である。
なお、さらに好ましいゴム用プロセスオイルの使用量は、特定化合物100質量部に対し、3〜50質量部である。
(タイヤビードフィラー用ゴム組成物の配合割合)
本発明のタイヤビードフィラー用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(N2SA)が25〜85m2/gのカーボンブラックを60〜90質量部、および特定化合物を0.1〜5質量部配合してなることを特徴とする。
カーボンブラックの配合量が60質量部未満であると硬度が低下し、逆に90質量部を超えると耐クラック性が悪化する。
特定化合物の配合量が0.1質量部未満であると、添加量が少なすぎて本発明の効果を奏することができない。逆に5質量部を超えると耐クラック成長性が悪化する。
本発明のタイヤビードフィラー用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(N2SA)が25〜85m2/gのカーボンブラックを60〜90質量部、および特定化合物を0.1〜5質量部配合してなることを特徴とする。
カーボンブラックの配合量が60質量部未満であると硬度が低下し、逆に90質量部を超えると耐クラック性が悪化する。
特定化合物の配合量が0.1質量部未満であると、添加量が少なすぎて本発明の効果を奏することができない。逆に5質量部を超えると耐クラック成長性が悪化する。
さらに好ましい前記カーボンブラックの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、60〜75質量部である。
さらに好ましい前記特定化合物の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、0.5〜2質量部である。
さらに好ましい前記特定化合物の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、0.5〜2質量部である。
また本発明のタイヤビードフィラー用ゴム組成物には、効果をさらに高めるという観点から、熱硬化性樹脂および硬化剤をさらに配合するのが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、ノボラック型フェノール系樹脂が好適であり、具体的には、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型クレゾール樹脂、ノボラック型レゾルシン樹脂、オイル変性フェノール樹脂のいずれかあるいはそれらの混合物が挙げられる。
また本発明で使用するノボラック型フェノール系樹脂は、市販されているものを利用することができ、例えば田岡化学工業(株)製スミカノール610、620、インドスペック社製ペナコライトレジンB−18−S、住友ベークライト(株)製スミライトレジンPR−YR−170等が挙げられる。
また硬化剤としてはとくに制限されないが、例えばヘキサメチレンテトラミン、HMMM(ヘキサメトキシメチロールメラミンの部分縮合物)、PMMM(ヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテルの部分縮合物)、ヘキサエトキシメチルメラミン、パラ−ホルムアルデヒドのポリマー、メラミンのN−メチロール誘導体等が挙げられ、本発明の効果の観点から、ヘキサメチレンテトラミン、HMMMおよびPMMMからなる群から選択された1種以上が好ましい。
熱硬化性樹脂の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、例えば5〜20質量部であり、5〜15質量部が好ましい。硬化剤の配合量は、前記熱硬化性樹脂に対し、例えば5〜15質量%であり、8〜12質量%が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、ノボラック型フェノール系樹脂が好適であり、具体的には、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型クレゾール樹脂、ノボラック型レゾルシン樹脂、オイル変性フェノール樹脂のいずれかあるいはそれらの混合物が挙げられる。
また本発明で使用するノボラック型フェノール系樹脂は、市販されているものを利用することができ、例えば田岡化学工業(株)製スミカノール610、620、インドスペック社製ペナコライトレジンB−18−S、住友ベークライト(株)製スミライトレジンPR−YR−170等が挙げられる。
また硬化剤としてはとくに制限されないが、例えばヘキサメチレンテトラミン、HMMM(ヘキサメトキシメチロールメラミンの部分縮合物)、PMMM(ヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテルの部分縮合物)、ヘキサエトキシメチルメラミン、パラ−ホルムアルデヒドのポリマー、メラミンのN−メチロール誘導体等が挙げられ、本発明の効果の観点から、ヘキサメチレンテトラミン、HMMMおよびPMMMからなる群から選択された1種以上が好ましい。
熱硬化性樹脂の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、例えば5〜20質量部であり、5〜15質量部が好ましい。硬化剤の配合量は、前記熱硬化性樹脂に対し、例えば5〜15質量%であり、8〜12質量%が好ましい。
本発明のタイヤビードフィラー用ゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、各種充填剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのタイヤビードフィラー用ゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
なお、本発明の効果向上の観点から、タイヤビードフィラー用ゴム組成物にはシリカを除く無機充填剤を配合しないことが好ましい。ここでいう無機充填剤としては、クレー、タルク、炭酸カルシウム、マイカ等を挙げることができる。
なお、本発明の効果向上の観点から、タイヤビードフィラー用ゴム組成物にはシリカを除く無機充填剤を配合しないことが好ましい。ここでいう無機充填剤としては、クレー、タルク、炭酸カルシウム、マイカ等を挙げることができる。
また本発明のタイヤビードフィラー用ゴム組成物は従来の空気入りタイヤの製造方法に従って空気入りタイヤを製造することができ、硬度の温度依存性、発熱性、耐クラック成長性を高次にバランスし得ることから、ビードフィラーに用いることがとくに好ましい。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
実施例1〜6および比較例1〜7
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、タイヤビードフィラー用ゴム組成物を得た。次に得られたタイヤビードフィラー用ゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で加硫ゴム試験片の物性を測定した。
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、タイヤビードフィラー用ゴム組成物を得た。次に得られたタイヤビードフィラー用ゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で加硫ゴム試験片の物性を測定した。
硬度:JIS K6253に準拠して20℃または100℃にて測定した。結果は、比較例1の値を100として指数表示した。指数が大きいほど硬度が高いことを示す。
耐クラック成長性:JIS K6260によって測定した。結果は、比較例1の値を100として指数表示した。指数が大きいほどクラックが成長せず、クラック成長性に優れることを示す。
tanδ(60℃):(株)東洋精機製作所製、粘弾性スペクトロメーターを用い、初期歪10%、振幅±2%、周波数20Hz、温度60℃の条件で、tanδ(60℃)を測定した。結果は、比較例1の値を100として指数表示した。指数が小さいほど低発熱であることを示す。
結果を表1に併せて示す。
耐クラック成長性:JIS K6260によって測定した。結果は、比較例1の値を100として指数表示した。指数が大きいほどクラックが成長せず、クラック成長性に優れることを示す。
tanδ(60℃):(株)東洋精機製作所製、粘弾性スペクトロメーターを用い、初期歪10%、振幅±2%、周波数20Hz、温度60℃の条件で、tanδ(60℃)を測定した。結果は、比較例1の値を100として指数表示した。指数が小さいほど低発熱であることを示す。
結果を表1に併せて示す。
*1:NR(STR20)
*2:SBR(日本ゼオン(株)製Nipol 1502、非油展品)
*3:カーボンブラック−1(東海カーボン(株)製シーストN、N2SA=70m2/g)
*4:カーボンブラック−2(東海カーボン(株)製シーストV、N2SA=27m2/g)
*5:プロセスオイル(昭和シェル石油(株)製エキストラクト4号S)
*6:老化防止剤(住友化学(株)製アンチゲン6C)
*7:2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム(富山薬品工業(株)製)
*8:2−アントラキノンスルホン酸ナトリウム(富山薬品工業(株)製)
*9:熱硬化性樹脂(住友ベークライト(株)製スミライトレジンPR−YR−170)
*10:硬化剤(大内新興化学工業(株)製ヘキサメチレンテトラミン)
*11:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*12:ステアリン酸(日油(株)製ビーズステアリン酸)
*13:硫黄(鶴見化学工業(株)製金華印油入微粉硫黄(硫黄の含有量95.24質量%))
*14:1,5−アントラキノンジスルホン酸ジナトリウム油処理品(1,5−アントラキノンジスルホン酸ジナトリウム(富山薬品工業(株)製)を、乳棒と乳鉢を用いて、TDAEと混合したことにより得られた油処理品。該油処理品は特定化合物の質量に対して5%の質量のTDAEを用いて処理した。)
*2:SBR(日本ゼオン(株)製Nipol 1502、非油展品)
*3:カーボンブラック−1(東海カーボン(株)製シーストN、N2SA=70m2/g)
*4:カーボンブラック−2(東海カーボン(株)製シーストV、N2SA=27m2/g)
*5:プロセスオイル(昭和シェル石油(株)製エキストラクト4号S)
*6:老化防止剤(住友化学(株)製アンチゲン6C)
*7:2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム(富山薬品工業(株)製)
*8:2−アントラキノンスルホン酸ナトリウム(富山薬品工業(株)製)
*9:熱硬化性樹脂(住友ベークライト(株)製スミライトレジンPR−YR−170)
*10:硬化剤(大内新興化学工業(株)製ヘキサメチレンテトラミン)
*11:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*12:ステアリン酸(日油(株)製ビーズステアリン酸)
*13:硫黄(鶴見化学工業(株)製金華印油入微粉硫黄(硫黄の含有量95.24質量%))
*14:1,5−アントラキノンジスルホン酸ジナトリウム油処理品(1,5−アントラキノンジスルホン酸ジナトリウム(富山薬品工業(株)製)を、乳棒と乳鉢を用いて、TDAEと混合したことにより得られた油処理品。該油処理品は特定化合物の質量に対して5%の質量のTDAEを用いて処理した。)
上記の表1から明らかなように、実施例1〜6で調製されたタイヤビードフィラー用ゴム組成物は、特定の組成のジエン系ゴムに、特定の特性を有するカーボンブラックを特定量;および特定化合物を特定量配合したので、硬度の温度依存性、発熱性、耐クラック成長性が高次にバランスしている(それぞれの特性がいずれも損なわれず、かつほぼすべての特性が向上している)ことが分かる。また実施例5、6は、特定化合物をゴム用プロセスオイルで処理しているため、本発明の効果がさらに高まることが分かる。
比較例1と実施例1とを比較すると、本発明における特定化合物を配合した実施例1は、硬度(20℃)、硬度(100℃)、耐クラック成長性および発熱性が比較例1に対してすべて向上している。
比較例2は、比較例1の組成物に対してカーボンブラックのN2SAを低下させた例であり、耐クラック成長性が悪化した。
比較例3は、比較例1の組成物に対してオイルを配合しない例であり、耐クラック成長性が悪化した。
比較例4は、比較例1の組成物に対して熱硬化性樹脂および硬化剤を配合した例であり、硬度は高くなるものの、耐クラック成長性および発熱性が悪化した。この比較例4と実施例2とを比較すると、本発明における特定化合物を配合した実施例2は、硬度(20℃)、硬度(100℃)、耐クラック成長性および発熱性が比較例4に対してすべて向上している。
比較例5は、本発明の範囲外の2−ナフタレンスルホン酸ナトリウムを配合した例であるので、発熱性が悪化した。
比較例6、7は、特定化合物の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、耐クラック成長性が悪化した。
比較例1と実施例1とを比較すると、本発明における特定化合物を配合した実施例1は、硬度(20℃)、硬度(100℃)、耐クラック成長性および発熱性が比較例1に対してすべて向上している。
比較例2は、比較例1の組成物に対してカーボンブラックのN2SAを低下させた例であり、耐クラック成長性が悪化した。
比較例3は、比較例1の組成物に対してオイルを配合しない例であり、耐クラック成長性が悪化した。
比較例4は、比較例1の組成物に対して熱硬化性樹脂および硬化剤を配合した例であり、硬度は高くなるものの、耐クラック成長性および発熱性が悪化した。この比較例4と実施例2とを比較すると、本発明における特定化合物を配合した実施例2は、硬度(20℃)、硬度(100℃)、耐クラック成長性および発熱性が比較例4に対してすべて向上している。
比較例5は、本発明の範囲外の2−ナフタレンスルホン酸ナトリウムを配合した例であるので、発熱性が悪化した。
比較例6、7は、特定化合物の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、耐クラック成長性が悪化した。
Claims (5)
- 天然ゴムおよび/または合成イソプレンゴムを50〜80質量部およびスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを20〜50質量部含むジエン系ゴム100質量部に対し、
窒素吸着比表面積(N2SA)が25〜85m2/gのカーボンブラックを60〜90質量部、および
一分子内にキノン類の構造とスルホン酸またはその塩類の構造とを有する化合物、および/または、一分子内にキノン類の構造とチオ硫酸またはその塩類の構造とを有する化合物を0.1〜5質量部配合してなることを特徴とするタイヤビードフィラー用ゴム組成物。 - 前記キノン類が、ベンゾキノン、ナフトキノンまたはアントラキノンのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のタイヤビードフィラー用ゴム組成物。
- ジエン系ゴム100質量部に対し、さらに熱硬化性樹脂を5〜20質量部および硬化剤を前記熱硬化性樹脂に対し5〜15質量%配合してなることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤビードフィラー用ゴム組成物。
- 前記化合物として、前記化合物100質量部と前記ゴム用プロセスオイル1〜100質量部とからなる混合物を使用する請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤビードフィラー用ゴム組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物をビードフィラーに使用した空気入りタイヤ。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015032751 | 2015-02-23 | ||
JP2015032751 | 2015-02-23 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016156011A true JP2016156011A (ja) | 2016-09-01 |
Family
ID=56825197
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016026834A Pending JP2016156011A (ja) | 2015-02-23 | 2016-02-16 | タイヤビードフィラー用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016156011A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109535503A (zh) * | 2018-11-27 | 2019-03-29 | 常熟市海虞橡胶有限公司 | 一种高硬度橡胶及其混炼工艺 |
-
2016
- 2016-02-16 JP JP2016026834A patent/JP2016156011A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN109535503A (zh) * | 2018-11-27 | 2019-03-29 | 常熟市海虞橡胶有限公司 | 一种高硬度橡胶及其混炼工艺 |
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