JP2016155914A - 熱可塑性プリプレグの製造方法 - Google Patents

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理沙 手塚
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理 奥中
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Hajime Okutsu
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Abstract

【課題】機械的物性の高い成形品を得ることができる高品質の熱可塑性プリプレグを、低い製造コストで、かつ安定して製造することができる方法を提供する。【解決手段】(a)強化繊維束10の両面を溶融状態の熱可塑性樹脂によって被覆して、樹脂被覆強化繊維束12とするステップと、(b)加圧手段(ニップロール24)で圧力を加える直前の樹脂被覆強化繊維束12における熱可塑性樹脂の温度T1、樹脂被覆強化繊維束12と接する加圧手段の接触面の温度T2、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgまたは結晶化温度Tcが特定の関係を満足する条件の下で、樹脂被覆強化繊維束12に加圧手段によって圧力を加えて、強化繊維束10に熱可塑性樹脂が含浸した熱可塑性プリプレグ14とするステップとを有する、熱可塑性プリプレグの製造方法。【選択図】図6

Description

本発明は、熱可塑性プリプレグの製造方法に関する。
繊維強化複合材料は、軽量かつ高強度であることから、様々な用途に用いられている。特に、長繊維強化複合材料は、軽量、高強度かつ高剛性であることから、金属材料に代わるものとして、スポーツ・レジャー用途(ゴルフクラブ、テニスラケット等)から輸送機器(航空機、船舶、鉄道車両、自動車等)等の産業用途まで幅広く用いられている。近年では、エネルギー枯渇の懸念による燃費向上のニーズ、電気自動車やハイブリッド自動車の台頭等を背景に、自動車の軽量化が要望されている。繊維強化複合材料は、自動車の軽量化に大きく貢献し得る材料として、自動車分野において需要が爆発的に伸びると期待されている。
しかし、自動車用部材に繊維強化複合材料を用いるためには、様々な課題がある。例えば、強化繊維束に熱硬化性樹脂を含浸させた従来のプリプレグを積層した繊維強化複合材料は、自動車用部材への成形加工性が著しく悪い。そのため、従来の繊維強化複合材料では、自動車用部材の製造で必須となる高い生産性と低い加工コストを達成できない。
そこで、熱硬化性樹脂の代わりに後成形が容易な熱可塑性樹脂を用いた繊維強化複合材料、すなわち強化繊維束に熱可塑性樹脂を含浸させた熱可塑性プリプレグが要望されている。
熱可塑性プリプレグの製造方法としては、例えば、下記の方法が知られている。
(1)強化繊維束の両面に熱可塑性樹脂フィルムを重ねた積層体を、一対の離型シートで挟んだ状態で、一対のロールからなるプレスロールの複数に通しながら、プレスロールの上方および下方に配置された加熱ヒータによって加熱することによって、熱可塑性樹脂を強化繊維束間に含浸させ、熱可塑性プリプレグを製造する方法(特許文献1の段落[0006])。
(2)含浸槽中にて強化繊維束に溶融状態の熱可塑性樹脂を含浸させて樹脂含浸強化繊維束とした後、熱可塑性樹脂が固化する前に一対のエンドレスベルトからなるダブルベルトプレスに樹脂含浸強化繊維束を通して冷却賦形することによって熱可塑性プリプレグを製造する方法(特許文献2)。
しかし、(1)の方法では、離型シートを用いているため、下記の問題がある。
・離型シートを用いる分だけ熱可塑性プリプレグの製造コストが高くなる。
・積層体とともに離型シートも加熱する必要があるため、熱効率が悪くなる。
・プレスロールに積層体を通す際の温度が、離型シートの耐熱性によって制限されてしまう。
(2)の方法では、含浸槽中に溶融状態の熱可塑性樹脂が長時間にわたって滞留するため、熱可塑性樹脂が熱によって劣化する。強化繊維束に劣化した熱可塑性樹脂が含浸した熱可塑性プリプレグを用いた場合、最終的に得られる成形品の機械的物性が低下するおそれがある。
特開2003−181832号公報 特開平10−305490号公報
そこで、本発明者は、離型シートを用いることなく熱可塑性プリプレグを製造する方法を検討した。しかし、離型シートを用いることなく、強化繊維束の両面に熱可塑性樹脂フィルムを重ねた積層体を、加熱しながらプレスロールに直接通すと、強化繊維の乱れが発生したり、熱可塑性樹脂がロールに付着してロールからの熱可塑性プリプレグの剥離が不安定になったりした。そのため、熱可塑性プリプレグを安定して製造することが困難であった。
本発明は、機械的物性の高い成形品を得ることができる高品質の熱可塑性プリプレグを、低い製造コストで、かつ安定して製造することができる方法を提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
[1](a)強化繊維束の両面を溶融状態の熱可塑性樹脂によって被覆して、樹脂被覆強化繊維束とするステップと、(b)前記熱可塑性樹脂が結晶性樹脂の場合は下記条件1の下で、前記熱可塑性樹脂が非晶性樹脂の場合は下記条件2の下で、前記樹脂被覆強化繊維束に加圧手段によって圧力を加えて、前記強化繊維束に前記熱可塑性樹脂が含浸した熱可塑性プリプレグとするステップとを有する、熱可塑性プリプレグの製造方法。
(条件1)前記加圧手段によって圧力を加える直前の前記樹脂被覆強化繊維束における前記熱可塑性樹脂の温度T1(℃)、前記樹脂被覆強化繊維束と接する前記加圧手段の接触面の温度T2(℃)、および前記熱可塑性樹脂の結晶化温度Tc(℃)が、下記式(1−1)の関係および下記式(1−2)の関係を満足する温度条件。
Tc<T1 ・・・(1−1)
Tc−120≦T2≦Tc+22 ・・・(1−2)
(条件2)前記加圧手段によって圧力を加える直前の前記樹脂被覆強化繊維束における前記熱可塑性樹脂の温度T1(℃)、前記樹脂被覆強化繊維束と接する前記加圧手段の接触面の温度T2(℃)、および前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg(℃)が、下記式(2−1)の関係および下記式(2−2)の関係を満足する温度条件。
Tg<T1 ・・・(2−1)
Tg−150≦T2<Tg ・・・(2−2)
[2]前記樹脂被覆強化繊維束を0.1〜25m/minの速度で移動させながら、前記樹脂被覆強化繊維束に前記加圧手段によって圧力を加える、[1]の熱可塑性プリプレグの製造方法。
[3]前記ステップ(b)を、2〜10回繰り返す、[1]または[2]の熱可塑性プリプレグの製造方法。
[4]前記加圧手段が、一対のロールからなるニップロール、またはキャストロールとスリーブベルトとを組み合わせた加圧手段である、[1]〜[3]のいずれかの熱可塑性プリプレグの製造方法。
[5]前記ステップ(b)において、前記加圧手段によって圧力を加える前に、前記樹脂被覆強化繊維束を加熱手段によって加熱する、[1]〜[4]のいずれかの熱可塑性プリプレグの製造方法。
[6]前記加熱手段が、非接触方式の加熱手段である、[5]の熱可塑性プリプレグの製造方法。
[7]前記強化繊維束が、ウェブ状に開繊した強化繊維束である、[1]〜[6]のいずれかの熱可塑性プリプレグの製造方法。
[8]前記強化繊維が、炭素繊維である、[1]〜[7]のいずれかの熱可塑性プリプレグの製造方法。
本発明の熱可塑性プリプレグの製造方法によれば、機械的物性の高い成形品を得ることができる高品質の熱可塑性プリプレグを、低い製造コストで、かつ安定して製造することができる。
加圧手段の一例を示す概略構成図である。 加圧手段の他の例を示す概略構成図である。 加圧手段の他の例を示す概略構成図である。 加圧手段の他の例を示す概略構成図である。 加圧手段の他の例を示す概略構成図である。 熱可塑性プリプレグの製造装置の一例を示す概略構成図である。 熱可塑性プリプレグの製造装置の他の例を示す概略構成図である。 熱可塑性プリプレグの製造装置の他の例を示す概略構成図である。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「結晶性樹脂」とは、示差走査熱量測定(以下、DSCと記す。)において融点が現れる熱可塑性樹脂を意味する。
「非晶性樹脂」とは、DSCにおいて融点が現れない熱可塑性樹脂を意味する。
「加圧手段によって圧力を加える直前の樹脂被覆強化繊維束における熱可塑性樹脂の温度T1」とは、放射温度計等の非接触温度計で測定した熱可塑性樹脂の表面温度を意味する。
「融点」は、JIS K 7121:1987に準じ、DSCで求めた融解ピーク温度である。
「ガラス転移温度」は、JIS K 7121:1987に準じ、DSCで求めた中間点ガラス転移温度である。
「結晶化温度」は、JIS K 7121:1987に準じ、DSCで求めた結晶化ピーク温度である。
<熱可塑性プリプレグ>
本発明の熱可塑性プリプレグの製造方法で得られる熱可塑性プリプレグは、シート状の強化繊維束に熱可塑性樹脂が含浸したものである。
(強化繊維束)
シート状の強化繊維束としては、例えば、強化繊維が一方向に引き揃えられた強化繊維束;該強化繊維束の2束から数十束を平行に並べたもの;強化繊維が一方向に引き揃えられた強化繊維束の1束から数十束を開繊してウェブ状に拡げたもの;強化繊維の織物等が挙げられる。
強化繊維束としては、繊維目付の均一性を確保しやすい点から、ウェブ状に開繊した強化繊維束が好ましい。
強化繊維としては、無機繊維、有機繊維、金属繊維、またはこれらを組み合わせたハイブリッド構成の強化繊維等が挙げられる。
無機繊維としては、例えば、炭素繊維、黒鉛繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、タングステンカーバイド繊維、ボロン繊維、ガラス繊維等が挙げられる。
有機繊維としては、例えば、アラミド繊維、高密度ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等が挙げられる。
金属繊維としては、例えば、ステンレスの繊維、鉄の繊維、金属を被覆した炭素繊維等が挙げられる。
強化繊維としては、最終的に得られる成形品の機械的物性および軽量化の点から、炭素繊維が好ましい。
強化繊維の平均繊維直径は、1〜50μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。
本発明の熱可塑性プリプレグに含まれる強化繊維の体積割合は、20〜55体積%が好ましく、30〜50体積%がより好ましい。強化繊維の体積割合が高いほど、成形品の機械的物性が高くなる。ただし、強化繊維の体積割合が高すぎる場合には、強化繊維束への熱可塑性樹脂の含浸が困難になり、生産性が悪化する恐れがある。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、変性ポリオレフィン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリカーボネイト、ポリアミドイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ABS、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリエステル、アクリロニトリル−スチレン共重合体等が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ナイロン6とナイロン66との共重合体ナイロンのように共重合したものであってもよい。
熱可塑性樹脂としては、熱可塑性プリプレグの物性等をより良好にすることができる点から、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、およびこれら樹脂の変性樹脂からなる群から選ばれる1種以上の熱可塑性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂には、成形品の要求物性に応じて、各種添加剤(難燃剤、耐候性改良剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、相溶化剤、導電性フィラー等)を添加してもよい。
<熱可塑性プリプレグの製造方法>
本発明の熱可塑性プリプレグの製造方法は、下記のステップ(a)およびステップ(b)を有する方法である。
(a)強化繊維束の両面を溶融状態の熱可塑性樹脂によって被覆して、樹脂被覆強化繊維束とするステップ。
(b)前記ステップ(a)に続いて、特定の温度条件の下で、樹脂被覆強化繊維束に加圧手段によって圧力を加えて、強化繊維束に熱可塑性樹脂が含浸した熱可塑性プリプレグとするステップ。
(ステップ(a))
強化繊維束の表面を溶融状態の熱可塑性樹脂によって被覆する方法(以下、被覆方法と記す。)としては、溶融状態の熱可塑性樹脂を強化繊維束の表面に塗布する方法;パウダー状の熱可塑性樹脂を強化繊維束の表面に配置した状態で熱可塑性樹脂を溶融させる方法;フィルム状の熱可塑性樹脂を強化繊維束の表面に配置した状態で熱可塑性樹脂を溶融させる方法等が挙げられる。
被覆方法としては、製造コストを低く抑える点からは、溶融状態の熱可塑性樹脂を強化繊維束の表面に塗布する方法が好ましい。パウダー状やフィルム状の熱可塑性樹脂を用いる方法では、熱可塑性樹脂をパウダー状やフィルム状に加工する必要があり、製造コストが高くなる。
溶融状態の熱可塑性樹脂を強化繊維束の表面に塗布する方法としては、押出機等のダイから溶融状態の熱可塑性樹脂を強化繊維束の表面に押し出す方法;押出機等のクロスダイから溶融状態の熱可塑性樹脂をクロスダイを通過する強化繊維束の表面に押し出す方法;カレンダー法によって熱可塑性樹脂を強化繊維束の表面に塗布する方法等が挙げられる。
ダイから溶融状態の熱可塑性樹脂を押し出す場合、ダイから押し出される溶融状態の熱可塑性樹脂の粘度(溶融粘度)は、70〜300Pa・sが好ましい。熱可塑性樹脂の溶融粘度が前記範囲内であれば、溶融状態の熱可塑性樹脂が強化繊維束に対して良好に濡れ拡がり、開繊されていない強化繊維束であっても、その表面に溶融状態の熱可塑性樹脂を確実に塗布できる。
本発明においては、強化繊維束の両面を溶融状態の熱可塑性樹脂によって被覆する。強化繊維束の片面のみを溶融状態の熱可塑性樹脂によって被覆した場合、強化繊維束への熱可塑性樹脂の含浸の度合い(以下、含浸性とも記す。)が不十分となり、強化繊維の乱れが発生し、熱可塑性プリプレグを安定して製造することができない。また、熱可塑性プリプレグの表面に強化繊維が露出するため、熱可塑性プリプレグが不良品となる。一方、強化繊維束の両面を溶融状態の熱可塑性樹脂によって被覆した場合、強化繊維束への熱可塑性樹脂の含浸長さが半分となり、また、熱可塑性樹脂で挟まれた強化繊維束の内部が保温されるため、後述するステップ(b)における強化繊維束への熱可塑性樹脂の含浸性がよくなる。そのため、良質な熱可塑性プリプレグを安定して製造することができる。
(ステップ(b))
加圧手段としては、例えば、下記のものが挙げられる。
図1に示すような、一対のロール102からなるニップロール104(プレスロール)。ニップロール104においては、一対のロール102の間にシート状の樹脂被覆強化繊維束100を通し、熱可塑性プリプレグ200とする。
図2に示すような、2本のロール間にベルトが架け渡されたエンドレスベルト106の一対からなるダブルベルトプレス108。
図3に示すような、エンドレスベルトからなる搬送ベルト110のベルトを挟むように一対のロール112からなるプレスロール114の複数が配置された加圧手段116。
図4に示すような、キャストロール118と、キャストロール118の表面にベルトが沿うように配置されたエンドレスベルトからなるスリーブベルト120とを有する加圧手段122。加圧手段122においては、キャストロール118とスリーブベルト120のベルトとの間に樹脂被覆強化繊維束100を通し、熱可塑性プリプレグ200とする。
図5に示すような、エンドレスベルトからなる搬送ベルト124のベルトを挟むように一対の面板126からなる面板プレス128の複数が配置された加圧手段130。
加圧手段としては、装置の初期投資と熱効率の点から、一対のロール102からなるニップロール104、またはキャストロール118とスリーブベルト120とを組み合わせた加圧手段122が好ましい。
加圧手段において、樹脂被覆強化繊維束に加わる圧力を制御する方法としては、圧力制御手段を用いる方法;加圧手段(ロール等)の自重による方法;一対のロール間、一対のエンドレスベルト間、またはロールとエンドレスベルトとの間のクリアランスを調整する方法等が挙げられる。
圧力制御手段としては、エアシリンダ、バネ、油圧シリンダ等が挙げられる。
加圧手段によって樹脂被覆強化繊維束に加わる圧力は、0.1〜100kg/cmが好ましく、0.5〜30kg/cmがより好ましい。樹脂被覆強化繊維束に加わる圧力が前記範囲の下限値以上であれば、強化繊維束への熱可塑性樹脂の含浸性がさらによくなる。また、熱可塑性樹脂の固化がさらに十分となり、熱可塑性プリプレグの加圧手段からの離型性がさらによくなる。樹脂被覆強化繊維束に加わる圧力が前記範囲の上限値以下であれば、強化繊維の乱れが十分に抑えられ、熱可塑性プリプレグをさらに安定して製造することができる。また、熱可塑性樹脂の加圧手段への付着がさらに抑えられ、熱可塑性プリプレグの加圧手段からの離型性がさらによくなる。
ステップ(b)においては、樹脂被覆強化繊維束を0.1〜25m/minの速度(以下、ライン速度とも記す。)で移動させながら、樹脂被覆強化繊維束に加圧手段によって圧力を加えることが好ましい。ライン速度は、5〜20m/minがより好ましい。ライン速度が前記範囲の下限値以上であれば、熱可塑性プリプレグの生産性が向上する。ライン速度が前記範囲の上限値以下であれば、強化繊維束への熱可塑性樹脂の含浸性がさらによくなる。また、熱可塑性樹脂の固化がさらに十分となり、熱可塑性プリプレグの加圧手段からの離型性がさらによくなる。
ステップ(b)における温度条件は、熱可塑性樹脂が結晶性樹脂の場合は下記条件1とする。
(条件1)加圧手段によって圧力を加える直前の樹脂被覆強化繊維束における熱可塑性樹脂の温度T1(℃)、樹脂被覆強化繊維束と接する加圧手段の接触面の温度T2(℃)、および熱可塑性樹脂の結晶化温度Tc(℃)が、下記式(1−1)の関係および下記式(1−2)の関係を満足する温度条件。
Tc<T1 ・・・(1−1)
Tc−120≦T2≦Tc+22 ・・・(1−2)
T1がTcよりも高ければ、熱可塑性樹脂の固化が始まっていないため、強化繊維束への熱可塑性樹脂の含浸性がよくなる。
T2が(Tc−120)℃以上であれば、熱可塑性樹脂が急速に固化することがないため、強化繊維束への熱可塑性樹脂の含浸性がよくなる。
T2が(Tc+22)℃以下であれば、熱可塑性樹脂が十分に冷却されるため、熱可塑性樹脂の固化が十分となり、熱可塑性プリプレグの加圧手段からの離型性がよくなる。また、強化繊維の乱れが発生しにくい。
ステップ(b)における温度条件は、熱可塑性樹脂が非晶性樹脂の場合は下記条件2とする。
(条件2)加圧手段によって圧力を加える直前の樹脂被覆強化繊維束における熱可塑性樹脂の温度T1(℃)、樹脂被覆強化繊維束と接する加圧手段の接触面の温度T2(℃)、および熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg(℃)が、下記式(2−1)の関係および下記式(2−2)の関係を満足する温度条件。
Tg<T1 ・・・(2−1)
Tg−150≦T2<Tg ・・・(2−2)
T1がTgよりも高ければ、熱可塑性樹脂の固化が始まっていないため、強化繊維束への熱可塑性樹脂の含浸性がよくなる。
T2が(Tg−150)℃以上であれば、熱可塑性樹脂が急速に固化することがないため、強化繊維束への熱可塑性樹脂の含浸性がよくなる。
T2がTgよりも低ければ、熱可塑性樹脂が十分に冷却されるため、熱可塑性樹脂の固化が十分となり、熱可塑性プリプレグの加圧手段からの離型性がよくなる。また、強化繊維の乱れが発生しにくい。
ステップ(b)においては、加圧手段によって圧力を加える前に、樹脂被覆強化繊維束を加熱手段によって加熱することが好ましい。樹脂被覆強化繊維束を加熱手段によって加熱することによって、加圧手段によって圧力を加える直前の樹脂被覆強化繊維束における熱可塑性樹脂の温度T1を前記範囲内に調整しやすい。また、強化繊維束の両面を溶融状態の熱可塑性樹脂によって被覆してから、樹脂被覆強化繊維束に加圧手段によって圧力を加えるまでの時間や距離を、自由に設定しやすい。
加熱手段としては、樹脂被覆強化繊維束を安定して移動させる点から、非接触方式の加熱手段が好ましい。
非接触方式の加熱手段としては、遠赤外線ヒータ、遠赤外線パネルヒータ、近赤外線ヒータ、ハロゲンヒータ、熱風ヒータ等が挙げられる。強化繊維が炭素繊維の場合、炭素繊維は輻射熱の吸収率が高いため、対流伝熱によって加熱する熱風ヒータに比べ、伝熱効率の高い輻射伝熱によって加熱する遠赤外線ヒータ、遠赤外線パネルヒータ、近赤外線ヒータ、ハロゲンヒータが好ましい。また、強化繊維を急速加熱できる点では、近赤外線ヒータ、ハロゲンヒータが好ましいが、近赤外線ヒータ、ハロゲンヒータは高価である。
本発明においては、ステップ(b)を2〜10回繰り返すことが好ましく、2〜5回繰り返すことがより好ましい。ステップ(b)の繰り返し回数が前記範囲の下限値以上であれば、強化繊維束への熱可塑性樹脂の含浸性がさらによくなる。ステップ(b)の繰り返し回数が前記範囲の上限値以下であれば、設備投資およびランニングコストを抑えることができる。
以下、本発明の熱可塑性プリプレグの製造方法の実施形態の例を図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図6は、熱可塑性プリプレグの製造装置の一例を示す概略構成図である。
製造装置1は、押出機(図示略)から供給された溶融状態の熱可塑性樹脂を、内部を通過する強化繊維束10の表面に押し出すクロスダイ20と;クロスダイ20の出口の近くに、クロスダイ20を通過した樹脂被覆強化繊維束12を挟むように配置された一対のロール22からなるニップロール24とを備える。
製造装置1を用いた熱可塑性プリプレグの製造は、下記のように行われる。
巻出ロール(図示略)から連続的に巻き出された強化繊維束10は、クロスダイ20およびニップロール24を連続的に通過し、熱可塑性プリプレグ14となって巻取ロール(図示略)に連続的に巻き取られる。
強化繊維束10がクロスダイ20を通過する際、強化繊維束10の両面が、押出機(図示略)から供給された溶融状態の熱可塑性樹脂によって同時に被覆され、樹脂被覆強化繊維束12となる。
上述した温度条件の下、クロスダイ20を通過した樹脂被覆強化繊維束12がニップロール24を通過することによって、樹脂被覆強化繊維束12にニップロール24によって圧力が加わり、強化繊維束10に熱可塑性樹脂が含浸して熱可塑性プリプレグ14となる。
(第2実施形態)
図7は、熱可塑性プリプレグの製造装置の他の例を示す概略構成図である。
製造装置2は、強化繊維束10を挟むように配置され、押出機(図示略)から供給された溶融状態の熱可塑性樹脂を強化繊維束10の表面に押し出す一対のダイ26と;一対のダイ26の間を通過した樹脂被覆強化繊維束12から離間して、かつ平行に配置され、樹脂被覆強化繊維束12を加熱するヒータ28と;ヒータ28の前を通過した樹脂被覆強化繊維束12を挟むように配置された一対のロール30からなるニップロール32と;ニップロール32を通過した樹脂被覆強化繊維束12から離間して、かつ平行に配置され、樹脂被覆強化繊維束12を加熱するヒータ34と;ヒータ34の前を通過した樹脂被覆強化繊維束12を挟むように配置された一対のロール36からなるニップロール38とを備える。
製造装置2を用いた熱可塑性プリプレグの製造は、下記のように行われる。
巻出ロール(図示略)から連続的に巻き出された強化繊維束10は、一対のダイ26の間、ヒータ28の前、ニップロール32、ヒータ34の前およびニップロール38を連続的に通過し、熱可塑性プリプレグ14となって巻取ロール(図示略)に連続的に巻き取られる。
強化繊維束10が一対のダイ26の間を通過する際、強化繊維束10の両面が、押出機(図示略)から供給された溶融状態の熱可塑性樹脂によって同時に被覆され、樹脂被覆強化繊維束12となる。
一対のダイ26の間を通過した樹脂被覆強化繊維束12が上述した温度条件を満たすようにヒータ28で加熱された後、上述した温度条件の下、ヒータ28の前を通過した樹脂被覆強化繊維束12がニップロール32を通過することによって、樹脂被覆強化繊維束12にニップロール32によって圧力が加わり、強化繊維束10に熱可塑性樹脂の一部が含浸する。
ニップロール32を通過した樹脂被覆強化繊維束12が上述した温度条件を満たすようにヒータ34で再度加熱された後、上述した温度条件の下、ヒータ34の前を通過した樹脂被覆強化繊維束12がニップロール38を通過することによって、樹脂被覆強化繊維束12にニップロール38によって圧力が加わり、強化繊維束10に熱可塑性樹脂がさらに含浸して熱可塑性プリプレグ14となる。
(第3実施形態)
図8は、熱可塑性プリプレグの製造装置の他の例を示す概略構成図である。
製造装置3は、押出機(図示略)から供給された溶融状態の熱可塑性樹脂を、強化繊維束10の第1面に押し出すダイ40と;ダイ40の下を通過した片面被覆強化繊維束11を挟むように配置された一対のロール42からなるニップロール44と;折り返されるようにニップロール44を通過した片面被覆強化繊維束11から離間して、かつ平行に配置され、片面被覆強化繊維束11を加熱するヒータ46と;ヒータ46の前を通過した片面被覆強化繊維束11の第2面に、押出機(図示略)から供給された溶融状態の熱可塑性樹脂を押し出すダイ48と;片面被覆強化繊維束11および樹脂被覆強化繊維束12から離間して、かつ平行に、片面被覆強化繊維束11および樹脂被覆強化繊維束12を挟むようにダイ48に対向配置され、片面被覆強化繊維束11および樹脂被覆強化繊維束12を加熱するヒータ50と;ダイ48とヒータ50の間を通過した樹脂被覆強化繊維束12を挟むように配置された一対のロール52からなるニップロール54とを備える。
製造装置3を用いた熱可塑性プリプレグの製造は、下記のように行われる。
巻出ロール(図示略)から連続的に巻き出された強化繊維束10は、ダイ40の下、ニップロール44、ヒータ46の前、ダイ48とヒータ50の間およびニップロール54を連続的に通過し、熱可塑性プリプレグ14となって巻取ロール(図示略)に連続的に巻き取られる。
強化繊維束10がダイ40の下を通過する際、強化繊維束10の第1面が、押出機(図示略)から供給された溶融状態の熱可塑性樹脂によって被覆され、片面被覆強化繊維束11となる。
上述した温度条件の下、ダイ40の下を通過した片面被覆強化繊維束11がニップロール44を通過することによって、片面被覆強化繊維束11にニップロール44によって圧力が加わり、強化繊維束10の第1面に熱可塑性樹脂の一部が含浸する。
ニップロール44を通過した片面被覆強化繊維束11が上述した温度条件を満たすようにヒータ46で加熱された後、さらに、片面被覆強化繊維束11が上述した温度条件を満たすようにヒータ50で加熱されつつ、ダイ48の下を通過する際、片面被覆強化繊維束11の第2面が、押出機(図示略)から供給された溶融状態の熱可塑性樹脂によって被覆され、樹脂被覆強化繊維束12となる。
上述した温度条件の下、ダイ48とヒータ50の間を通過した樹脂被覆強化繊維束12がニップロール54を通過することによって、樹脂被覆強化繊維束12にニップロール54によって圧力が加わり、強化繊維束10に熱可塑性樹脂がさらに含浸して熱可塑性プリプレグ14となる。
(他の実施形態)
なお、本発明の熱可塑性プリプレグの製造方法は、(a)強化繊維束の両面を溶融状態の熱可塑性樹脂によって被覆して、樹脂被覆強化繊維束とするステップと、(b)前記ステップ(a)に続いて、特定の温度条件の下で、樹脂被覆強化繊維束に加圧手段によって圧力を加えて、強化繊維束に熱可塑性樹脂が含浸した熱可塑性プリプレグとするステップとを有する方法であればよく、図示例の製造装置を用いた第1実施形態〜第3実施形態に限定はされない。
(作用機序)
以上説明した本発明の熱可塑性プリプレグの製造方法にあっては、ステップ(a)において強化繊維束の両面を溶融状態の熱可塑性樹脂によって被覆しているため、ステップ(b)における強化繊維束への熱可塑性樹脂の含浸性がよくなる。
また、強化繊維束の表面を溶融状態の熱可塑性樹脂によって被覆する際に、溶融状態の熱可塑性樹脂が長時間にわたって滞留するような場所を設ける必要がないため、熱可塑性樹脂が熱や酸化によって劣化しにくい。
また、ステップ(b)において特定の温度条件の下、樹脂被覆強化繊維束に加圧手段によって圧力を加えているため、強化繊維束への熱可塑性樹脂の含浸性がよくなるとともに、熱可塑性プリプレグの加圧手段からの離型性がよくなる。また、強化繊維の乱れが発生しにくい。
また、ステップ(b)において離型シートを用いる必要がない。
以上のことから、本発明の熱可塑性プリプレグの製造方法によれば、機械的物性の高い成形品を得ることができる高品質の熱可塑性プリプレグを、低い製造コストで、かつ安定して製造することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本実施例における評価は以下の方法により行った。
(離型性)
熱可塑性プリプレグをニップロールから取り出す際の熱可塑性プリプレグを観察し、下記の基準で評価した。
○:熱可塑性樹脂がロールの表面に付着せず、熱可塑性プリプレグをニップロールから離型できる。
△:熱可塑性樹脂が柔らかく熱可塑性プリプレグをニップロールから剥がすことができたものの、熱可塑性プリプレグをニップロールから離型しづらい。
×:熱可塑性樹脂がロールの表面に付着し、残ったままである。
(外観)
得られた熱可塑性プリプレグを観察し、下記の基準で評価した。
○:熱可塑性プリプレグの表面の全体が熱可塑性樹脂に被覆され、炭素繊維が露出した部分がない。
×:熱可塑性プリプレグの表面に熱可塑性樹脂で被覆されていない、炭素繊維が露出した部分がある。
(実施例1)
強化繊維束として、炭素繊維束(三菱レイヨン社製、TR50S15L、フィラメント数:15000本、目付:1000mg/m、引張強度:4.90GPa、引張弾性率:240GPa)の5束を用意した。これら炭素繊維束を10mmピッチで平行に並べ、炭素繊維シートとした。
ステップ(a):
炭素繊維シートを、2枚の熱可塑性樹脂フィルム(ポリアミド6、宇部興産社製、1013B、融点Tm:225℃、結晶化温度Tc:168℃)で挟み、積層体を得た。
2本の遠赤外線ヒータを上下に配置した閉空間を準備した。遠赤外線ヒータの電源を入れて30秒間予熱した後、積層体を2本の遠赤外線ヒータの間に供給し、20秒間加熱した。このとき、閉空間の温度は210℃であり、炭素繊維の温度は10秒ほどで200℃まで昇温し、さらに10秒で240℃まで達する。熱可塑性樹脂が溶融状態であることを確認し、樹脂被覆強化繊維束を取り出した。
ステップ(b):
ニップロールの手前20cmにおける表面温度が210℃の樹脂被覆強化繊維束を、表面温度が165℃の一対のロールからなるニップロール(クリアランス:130μm)の間に供給し、ニップロールを回して樹脂被覆強化繊維束を約10m/minの速度で通過させた。供給時に溶融状態である熱可塑性樹脂は、ニップロール通過時に固化し、熱可塑性プリプレグとなった。ロールの表面に熱可塑性樹脂が付着することはなかった。
得られた熱可塑性プリプレグの断面写真を観察したところ、中央部に空隙部は残っていたが、炭素繊維束の表面は熱可塑性樹脂で被覆されており、ドライ状態の炭素繊維が表面に露出することはなかった。結果を表1に示す。
(比較例1)
2枚の熱可塑性樹脂フィルムを、炭素繊維シートの片面のみに配置した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性プリプレグを得た。
得られた熱可塑性プリプレグの断面写真を観察したところ、熱可塑性樹脂を配置した側の炭素繊維束の表面のみが熱可塑性樹脂で固定されているものの、炭素繊維束の内部への熱可塑性樹脂の含浸は確認できず、熱可塑性樹脂を配置していない側は炭素繊維がばらけた状態で存在した。ドライ状態の炭素繊維が表面にある熱可塑性プリプレグは、プリプレグとはいえず、また取扱性が悪いため商品にはならない。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1と同様にして熱可塑性プリプレグを得た。熱可塑性プリプレグを2本の遠赤外線ヒータの間に再度供給し、20秒加熱した後、ニップロールに再度供給して通過させた。
得られた熱可塑性プリプレグの断面写真を観察したところ、実施例1に比べて、内部の空隙部は少なくなった。熱可塑性樹脂が炭素繊維束に含浸した状態である厚みを示す「含浸厚み」は厚くなった。加熱、加圧を繰り返すことによって、炭素繊維束への熱可塑性樹脂の含浸性が向上することが確認できた。結果を表1に示す。
(比較例2)
比較例1と同様にして熱可塑性プリプレグを得た。熱可塑性プリプレグを2本の遠赤外線ヒータの間に再度供給し、20秒加熱した後、ニップロールに再度供給して通過させた。
得られた熱可塑性プリプレグの断面写真を観察したところ、比較例1とほとんどかわらなかった。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例2と同様にして熱可塑性プリプレグを得た。熱可塑性プリプレグを2本の遠赤外線ヒータの間に再度供給し、20秒加熱した後、ニップロールに再度供給して通過させた。
得られた熱可塑性プリプレグの断面写真を観察したところ、実施例1、2に比べて、内部の空隙部はさらに少なくなった。加熱、加圧を繰り返すことによって、炭素繊維束への熱可塑性樹脂の含浸性が向上することが確認できた。結果を表1に示す。
(実施例4)
ニップロールの表面温度を155℃にした以外は、実施例1と同様にして熱可塑性プリプレグを得た。ロールの表面に熱可塑性樹脂が付着することはなかった。
得られた熱可塑性プリプレグの断面写真を観察したところ、内部に空隙部は残っていたが、炭素繊維束の表面は熱可塑性樹脂で被覆されており、取扱性に問題のないプリプレグが得られた。結果を表1に示す。
(実施例5)
ニップロールの表面温度を190℃にした以外は、実施例1と同様にして熱可塑性プリプレグを得た。樹脂被覆強化繊維束がニップロールを通過する際、熱可塑性樹脂が柔らかく、粘弾性で熱可塑性プリプレグをニップロールから剥がすことができたものの、熱可塑性プリプレグをニップロールから離型しづらかった。結果を表1に示す。
(比較例3)
ニップロールの表面温度を200℃にした以外は、実施例1と同様にして熱可塑性プリプレグを得た。樹脂被覆強化繊維束がニップロールを通過する際、ロールに熱可塑性樹脂が残り、完全な離型はできなかった。結果を表1に示す。
Figure 2016155914
本発明の熱可塑性プリプレグの製造方法で得られた熱可塑性プリプレグは、自動車用部材等の成形品に用いる繊維強化複合材料として有用である。
1 製造装置、2 製造装置、3 製造装置、10 強化繊維束、11 片面被覆強化繊維束、12 樹脂被覆強化繊維束、14 熱可塑性プリプレグ、20 クロスダイ、22 ロール、24 ニップロール、26 ダイ、28 ヒータ、30 ロール、32 ニップロール、34 ヒータ、36 ロール、38 ニップロール、40 ダイ、42 ロール、44 ニップロール、46 ヒータ、48 ダイ、50 ヒータ、52 ロール、54 ニップロール、100 樹脂被覆強化繊維束、102 ロール、104 ニップロール、106 エンドレスベルト、108 ダブルベルトプレス、110 搬送ベルト、112 ロール、114 プレスロール、116 加圧手段、118 キャストロール、120 スリーブベルト、122 加圧手段、124 搬送ベルト、126 面板、128 面板プレス、130 加圧手段、132 非回転バー、134 引抜機、136 しごきバー、138 加圧手段、200 熱可塑性プリプレグ

Claims (8)

  1. (a)強化繊維束の両面を溶融状態の熱可塑性樹脂によって被覆して、樹脂被覆強化繊維束とするステップと、
    (b)前記熱可塑性樹脂が結晶性樹脂の場合は下記条件1の下で、前記熱可塑性樹脂が非晶性樹脂の場合は下記条件2の下で、前記樹脂被覆強化繊維束に加圧手段によって圧力を加えて、前記強化繊維束に前記熱可塑性樹脂が含浸した熱可塑性プリプレグとするステップと
    を有する、熱可塑性プリプレグの製造方法。
    (条件1)前記加圧手段によって圧力を加える直前の前記樹脂被覆強化繊維束における前記熱可塑性樹脂の温度T1(℃)、前記樹脂被覆強化繊維束と接する前記加圧手段の接触面の温度T2(℃)、および前記熱可塑性樹脂の結晶化温度Tc(℃)が、下記式(1−1)の関係および下記式(1−2)の関係を満足する温度条件。
    Tc<T1 ・・・(1−1)
    Tc−120≦T2≦Tc+22 ・・・(1−2)
    (条件2)前記加圧手段によって圧力を加える直前の前記樹脂被覆強化繊維束における前記熱可塑性樹脂の温度T1(℃)、前記樹脂被覆強化繊維束と接する前記加圧手段の接触面の温度T2(℃)、および前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg(℃)が、下記式(2−1)の関係および下記式(2−2)の関係を満足する温度条件。
    Tg<T1 ・・・(2−1)
    Tg−150≦T2<Tg ・・・(2−2)
  2. 前記樹脂被覆強化繊維束を0.1〜25m/minの速度で移動させながら、前記樹脂被覆強化繊維束に前記加圧手段によって圧力を加える、請求項1に記載の熱可塑性プリプレグの製造方法。
  3. 前記ステップ(b)を、2〜10回繰り返す、請求項1または2に記載の熱可塑性プリプレグの製造方法。
  4. 前記加圧手段が、一対のロールからなるニップロール、またはキャストロールとスリーブベルトとを組み合わせた加圧手段である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性プリプレグの製造方法。
  5. 前記ステップ(b)において、前記加圧手段によって圧力を加える前に、前記樹脂被覆強化繊維束を加熱手段によって加熱する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性プリプレグの製造方法。
  6. 前記加熱手段が、非接触方式の加熱手段である、請求項5に記載の熱可塑性プリプレグの製造方法。
  7. 前記強化繊維束が、ウェブ状に開繊した強化繊維束である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性プリプレグの製造方法。
  8. 前記強化繊維が、炭素繊維である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱可塑性プリプレグの製造方法。
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