JP2016155784A - ジアミン化合物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、工業的に有用なスルホン酸エステル基を含むジアミン化合物及びその製造方法に関するものである。
ジアミン化合物は、有機化学分野及び高分子化学分野で広く用いられている化合物であり、ファインケミカル、医農薬原料および樹脂原料、さらには電子情報材料や光学材料など、工業用途として多岐にわたる分野で有用な化合物である。近年、エステル基を有するジアミン化合物を原料とした材料の研究が盛んで、例えば、溶媒への溶解度が向上するポリイミド共重合体が得られる(特許文献1参照)、耐熱性等の諸特性に優れ、機械的強度が高く、かつ低い線膨張係数を有して熱的寸法安定性に優れたポリイミド共重合体が得られる(特許文献2参照)、低熱膨張、低吸湿膨張性の耐熱絶縁材料が得られる(非特許文献1参照)等の報告がなされている。そのため、これらジアミン化合物に要求される性能も益々多様化、高度化してきており、透明性に優れた材料、例えば、白色で、且つ、着色しにくいスルホン酸エステル基を含有したジアミン化合物が望まれている。
スルホン酸エステル基を含有したジアミン化合物については、報告例がほとんどなく、更に原料が入手困難であるために、工業的な製造方法としては適していなかった(特許文献3参照)。
本発明は、白色で、且つ、着色しにくいスルホン酸エステル基を含有したジアミン化合物、および、その原料が入手容易な工業的製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の現状に鑑み、鋭意検討の結果、白色、且つ着色しにくい新規ジアミン化合物と、その工業的な製造方法を見出した。
すなわち、本発明のジアミン化合物とは、下記一般式(1)
(式中、R1は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基を示す。R2、R3は、互いに独立して、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、トリフルオロメチル基を示す。)
で示されるジアミン化合物である。
で示されるジアミン化合物である。
本発明のジアミン化合物の製造方法は、下記式(2)で示される4−アセトアミドベンゼンスルホン酸クロリドと、
下記一般式(3)で示される化合物を、塩基存在下で反応させて得られた、
(式中、R1は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基を示す。R2、R3は、互いに独立して、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、トリフルオロメチル基を示す。)
下記一般式(4)で示される化合物を、脱アセチル化することにより得られる、
下記一般式(4)で示される化合物を、脱アセチル化することにより得られる、
(式中、R1は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基を示す。R2、R3は、互いに独立して、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、トリフルオロメチル基を示す。)
下記一般式(1)で示されるジアミン化合物の製造方法である。
下記一般式(1)で示されるジアミン化合物の製造方法である。
(式中、R1は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基を示す。R2、R3は、互いに独立して、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、トリフルオロメチル基を示す。)
本発明の新規ジアミン化合物は、入手容易な原料で製造できるジアミン化合物であるにもかかわらず、化合物内に剛直なスルホン酸エステル基を導入したことで白色の化合物となり、且つ、空気による酸化を受けにくくなり、製造時の着色もないことから、透明性が求められるポリイミド、ポリアミド、エポキシ樹脂等の原料として有望である。また、本化合物は、エステル基を含有していることから、溶媒への溶解度の向上、耐熱性の向上、高い機械的強度、低線膨張性、低熱膨張性、低吸湿膨張性等の優れた機能性を有するポリイミドの原料、例えば、フレキシブル回路基板用ベースフィルム材料、感光性耐熱性ポリマー、液晶配向膜等の原料として有望である。
以下に、本発明のジアミン化合物およびそのジアミン化合物の工業的な製造方法について詳細に記載する。
本発明におけるジアミン化合物は、下記一般式(1)で示される、ジアミン化合物である。
(式中、R1は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基を示す。R2、R3は、互いに独立して、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、トリフルオロメチル基を示す。)
なかでも、R1は水素原子、R2、R3は水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基が好ましい。
なかでも、R1は水素原子、R2、R3は水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基が好ましい。
上記一般式(1)で示される化合物としては、以下のものが例示される。
なかでも、原料の入手しやすさから、(A−1)、(A−2)、(A−6)、(A−9)が好ましい。
上記一般式(1)で示されるジアミン化合物は、白色であると共に、着色しにくい化合物である。例えば、空気雰囲気下、50℃で14日間保管しても、色目にほとんど変化は無く着色は認められない。
上記一般式(1)で示される化合物を製造するとき、まず、下記式(2)
で示される4−アセトアミドベンゼンスルホン酸クロリドと、下記一般式(3)
(式中、R1は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基を示す。R2、R3は、互いに独立して、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、トリフルオロメチル基を示す。)
で示される化合物を塩基存在下でエステル化させることにより、下記一般式(4)で示される中間体化合物を製造することが出来る。
で示される化合物を塩基存在下でエステル化させることにより、下記一般式(4)で示される中間体化合物を製造することが出来る。
(式中、R1は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基を示す。R2、R3は、互いに独立して、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、トリフルオロメチル基を示す。)
上記一般式(3)で示される化合物としては、以下のものが例示される。
上記一般式(3)で示される化合物としては、以下のものが例示される。
なかでも、入手しやすさから、(B−1)、(B−2)、(B−6)、(B−9)が好ましい。
上記一般式(4)で示される化合物としては、以下のものが例示される。
なかでも、原料の入手しやすさから、(C−1)、(C−2)、(C−6)、(C−9)が好ましい。
エステル化反応は、塩基の存在下で、式(2)で示される化合物と、一般式(3)で示される化合物とを反応させる。
式(2)で示される化合物と、一般式(3)で示される化合物との反応割合は、一般式(3)で示される化合物に対して、式(2)で示される化合物を2.0〜4.0モル倍使用することが好ましく、より好ましくは、2.0〜3.0モル倍使用する。式(2)で示される化合物の使用量を2.0モル倍以上とすることで、反応未達による収率低下を防止でき、また3.0モル倍以下とすることで、反応物から式(2)で示される化合物を除去するエネルギーが少なくなり、廃棄物も少なくなるため経済的であるので好ましい。
エステル化反応に好ましく使用される塩基としては、例えば、アルカリ金属水素化物、アルカリ土類金属水素化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシド、アルカリ金属フッ化物、アミン等が挙げられる。
アルカリ金属水素化物としては、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属水素化物としては、水素化ベリリウム、水素化マグネシウム、水素化カルシウム等が挙げられる。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属炭酸塩としては、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
アルカリ金属炭酸水素塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム等が挙げられる。
アルカリ金属アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等が挙げられる。
アルカリ土類金属アルコキシドとしては、マグネシウムジエトキシド、マグネシウムジメトキシド等が挙げられる。
アルカリ金属フッ化物としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウムなどが挙げられる。
アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N、N−ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,8−ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の環状アミン等が挙げられる。
これらの塩基は単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。これらの塩基のうち、トリエチルアミン、ピリジンが液体で取り扱いが容易であり、沸点が低いため除去が容易であることから特に好ましい。
塩基の使用量は、式(2)で示される化合物に対して、1.0〜3.0モル倍が好ましく、より好ましくは1.0〜1.5モル倍にすると良い。塩基を1.0モル倍以上とすることで、反応未達による収率低下を防止でき、1.5モル倍以下とすることで、塩基除去に必要なエネルギーが少なくなり、廃棄物も少なくなるので好ましい。
エステル化反応で好ましく用いる溶媒としては、例えばスルホキシド化合物、スルホラン化合物、アミド化合物、ニトリル化合物、エーテル化合物、炭化水素化合物、ケトン化合物、エステル化合物等を好適に用いることができる。
スルホキシド化合物としては、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等が挙げられる。
スルホラン化合物としては、スルホラン、メチルスルホラン等が挙げられる。
アミド化合物としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
ニトリル化合物としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられる。
エーテル化合物としては、モノグライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、アニソール、モルホリン等が挙げられる。
炭化水素化合物としては、トルエン、キシレン、メシチレン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等が挙げられる。
ケトン化合物としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。
エステル化合物としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられる、
これらの中でもアセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトン、酢酸エチルが、沸点が低いため除去が容易であることから好ましい。
これらの中でもアセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトン、酢酸エチルが、沸点が低いため除去が容易であることから好ましい。
エステル化溶媒は、単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。
エステル化溶媒の使用量は、通常、式(2)で示される化合物に対して0.1〜20重量倍の範囲である。
エステル化反応は、窒素雰囲気下で実施することが好ましい。窒素雰囲気下で実施することにより、系内に酸素が混入することを防ぎ、純度低下を抑制することができる。
エステル化反応の反応温度は、通常、0〜150℃が好ましく、より好ましくは、0〜70℃である。0℃以上とすることで反応が速やかに進行し、70℃以下とすることで副反応を抑制し、収率低下を防ぐことができる。
エステル化反応の反応時間は、通常、0.5〜72時間の範囲である。
エステル化反応終了後は、反応混合物に晶析溶媒を添加することで結晶が析出する。あるいは、溶媒を濃縮してから晶析溶媒を添加しても良い。析出した結晶を単離することで一般式(4)で示される中間体化合物が得られる。得られた中間体化合物は、再結晶を行っても良い。
エステル化反応に好ましく使用される晶析溶媒としては、例えば、水、アルコール化合物等を好適に用いることができる。
アルコール化合物としては、メタノ−ル、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等が挙げられる。
これらの晶析溶媒は単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。これらの晶析溶媒のうち、水、メタノール、エタノール、2−プロパノールが安価に入手できることから特に好ましい。
また、エステル化反応終了後に中間体を単離することなく次工程に用いても良い。
次に、上記で得られた一般式(4)の中間体化合物を、脱アセチル化することにより下記一般式(1)で示されるジアミン化合物を製造することができる。
(式中、R1は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基を示す。R2、R3は、互いに独立して、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、トリフルオロメチル基を示す。)
脱アセチル化方法としては酸を用いた脱アセチル化が最も好ましい。酸を用いることにより、スルホン酸エステル基の加水分解が抑制され、収率よく目的物が得られる。
脱アセチル化方法としては酸を用いた脱アセチル化が最も好ましい。酸を用いることにより、スルホン酸エステル基の加水分解が抑制され、収率よく目的物が得られる。
脱アセチル化反応に好ましく使用される酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ酸、フッ化ホウ素酸等の無機酸が挙げられる。
これらの酸は単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。これらの酸のうち、塩酸、硫酸が後処理の容易な点から特に好ましい。
一度の脱アセチル化で使用する酸の量は、一般式(4)で示される化合物に対して、1.0〜20.0モル倍が好ましく、より好ましくは2.0〜10.0モル倍にすると良い。酸を2.0モル倍以上とすることで、反応未達による収率低下を防止でき、10.0モル倍以下とすることで、酸除去に必要なエネルギーが少なくなり、廃棄物も少なくなるので好ましい。
脱アセチル化反応に好ましく使用される溶媒としては、例えば、アルコール化合物、エーテル化合物、炭化水素化合物、ニトリル化合物等を好適に用いることができる。
アルコール化合物としては、メタノ−ル、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等が挙げられる。
エーテル化合物としては、グライム、ジグライム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
炭化水素化合物としては、トルエン、キシレン、メシチレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン等が挙げられる。
ニトリル化合物としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられる。
これらの中でもテトラヒドロフラン、2−プロパノール、トルエン、アセトニトリルが、沸点が低いため除去が容易であることから好ましい。
脱アセチル化反応の溶媒は、単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。
溶媒の使用量は、通常、一般式(4)で示される化合物に対して0.1〜20重量倍の範囲である。
脱アセチル化反応は、窒素雰囲気下で実施することが好ましい。窒素雰囲気下で実施することにより、系内に酸素が混入することを防ぎ、純度低下を抑制することができる。
脱アセチル化の反応温度は、通常、0〜150℃が好ましく、より好ましくは、50〜120℃である。50℃以上とすることで反応が速やかに進行し、120℃以下とすることで副反応を抑制し、収率低下を防ぐことができる。
脱アセチル化反応の反応時間は、通常、0.5〜24時間の範囲である。
脱アセチル化反応後は、反応液を中和した後、中和液に晶析溶媒を添加することで結晶が析出する。あるいは、反応液を中和した後、溶媒を濃縮してから晶析溶媒を添加しても良い。析出した結晶を単離することで一般式(1)で示されるジアミン化合物が得られる。得られたジアミン化合物は、再結晶を行っても良い。
脱アセチル化反応に好ましく使用される晶析溶媒としては、例えば、水、アルコール化合物、炭化水素化合物等を好適に用いることができる。
アルコール化合物としては、例えばメタノ−ル、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等が挙げられる。
炭化水素化合物としては、トルエン、キシレン、メシチレン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等が挙げられる。
これらの晶析溶媒は単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。これらの晶析溶媒のうち、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、トルエンが本化合物の純度を向上させるのに特に好ましい。
上記により得られた、一般式(1)で示されるジアミン化合物は、分子内に剛直なスルホン酸エステル基を導入したことにより、ジアミン化合物であるにもかかわらず白色の化合物であり、且つ、空気による酸化を受けにくく、製造時の着色もない。また、保管時における着色を抑制することが出来る。
このジアミン化合物は、透明性が求められるポリイミド、ポリアミド、エポキシ樹脂等の原料として有望である。また、エステル基を含有していることから、溶媒への溶解度の向上、耐熱性の向上、高い機械的強度、低線膨張性、低熱膨張性、低吸湿膨張性等の優れた機能性を有するポリイミドの原料、例えばフレキシブル回路基板用ベースフィルム材料、感光性耐熱性ポリマー、液晶配向膜等の原料として有望である。
以下、実施例により具体的に説明する。
実施例中のジアミン化合物及び中間体の化学純度(面積%)は以下に示す条件の高速液体クロマトグラフ(島津社製Prominence)により測定した。
分析装置: 高速液体クロマトグラフ(HPLC)
カラム: COSMOSIL 5C18−MS−II(4.6mmID×250mm)
ガードカラム: COSMOSIL 5C18−MS−II(4.6mmID×10mm)
恒温槽温度: 40℃
検出器: UV(254nm)
移動相: A:リン酸緩衝液(20mmol/L、pH=2.5)
B:アセトニトリル
(グラジエント) 0分 A:B=60:40
30分 A:B=10:90
45分 A:B=10:90
流量: 0.8mL/min
注入量: 3.0μL
分析時間: 45分
サンプル調製: サンプル0.01gを秤量し、アセトニトリル20mLに溶解させた。
カラム: COSMOSIL 5C18−MS−II(4.6mmID×250mm)
ガードカラム: COSMOSIL 5C18−MS−II(4.6mmID×10mm)
恒温槽温度: 40℃
検出器: UV(254nm)
移動相: A:リン酸緩衝液(20mmol/L、pH=2.5)
B:アセトニトリル
(グラジエント) 0分 A:B=60:40
30分 A:B=10:90
45分 A:B=10:90
流量: 0.8mL/min
注入量: 3.0μL
分析時間: 45分
サンプル調製: サンプル0.01gを秤量し、アセトニトリル20mLに溶解させた。
<実施例1>
[化合物(C−6)の合成]
[化合物(C−6)の合成]
温度計、冷却管および撹拌機を取り付けた300mL四つ口フラスコに、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス(2−フェニルフェノール)10.6g(0.028mol)、4−アセトアミドベンゼンスルホン酸クロリド14.3g(0.061mol)、テトラヒドロフラン71.5gを仕込み、系内を窒素置換した。これにトリエチルアミン8.0g(0.079mol)を55〜60℃で滴下した。この混合液を55〜60℃で8時間撹拌しエステル化反応を行った。反応が終了した後、テトラヒドロフラン21.4と水42.8を加え、抽出、分液した。得られた有機層を濃縮し、メタノール14.3gと水57.0gを滴下し、5℃まで冷却した後、析出した結晶を濾過、乾燥することで白色結晶の中間体化合物20.6gを得た。得られた中間体化合物の化学純度は99.7%、収率96.4%であった。
[ジアミン化合物(A−6)の合成]
温度計、冷却管および撹拌機を取り付けた300mL四つ口フラスコに、得られた中間体化合物20.6g(0.027mol)、テトラヒドロフラン61.8gを仕込み、系内を窒素置換した。これに35%塩酸22.2g(0.213mol)を65℃で滴下した。この混合液を65℃で9時間撹拌し脱アセチル化反応を行った。反応が終了した後、28%アンモニア水15.5g(0.255mol)を加え中和した後、抽出、分液した。得られた有機層中のジアミン化合物の化学純度は96.8%であった。また、脱アセチル化時のスルホン酸エステル基の加水分解は0.1%未満であった。
得られた有機層にテトラヒドロフラン20.6g、35%塩酸16.6g(0.159mol)を加え、65℃で8時間撹拌し、追加の脱アセチル化反応を行った。反応が終了した後、28%アンモニア水11.7g(0.192mol)を加え中和した後、水20.6gを加え、抽出、分液した。得られた有機層中のジアミン化合物の化学純度は98.6%であった。また、脱アセチル化時のスルホン酸エステル基の加水分解は0.1%未満であった。得られた有機層を濃縮し、アセトニトリル30.9gを加えた後、水61.8gを滴下し、10℃まで冷却した後、析出した結晶を濾過、乾燥することで白色結晶のジアミン化合物17.3gを得た。得られたジアミン化合物の化学純度は99.3%、収率92.6%であった。
図1に、実施例1で得られたジアミン化合物のプロトンNMRスペクトル、図2に赤外吸収スペクトルを示す。なおプロトンNMRの測定は図中に記載の測定条件で行った。
以上の結果をもって、得られたジアミン化合物が式(A−6)であることを同定した。
<参考例1>
実施例1において、脱アセチル化反応時に、35%塩酸の代わりに48%水酸化ナトリウム水溶液17.8g(0.214mol)を使用し、65℃で9時間反応させた以外は、実施例1と同様に実施したところ、脱アセチル化時のスルホン酸エステル基の加水分解は99%以上で、目的物の化学純度は1%以下となり、目的物はほとんど得られなかった。
実施例1において、脱アセチル化反応時に、35%塩酸の代わりに48%水酸化ナトリウム水溶液17.8g(0.214mol)を使用し、65℃で9時間反応させた以外は、実施例1と同様に実施したところ、脱アセチル化時のスルホン酸エステル基の加水分解は99%以上で、目的物の化学純度は1%以下となり、目的物はほとんど得られなかった。
<参考例2>
実施例1で得られたジアミン化合物を、空気雰囲気下、50℃で14日間保管したところ、色目にほとんど変化は無く着色は認められなかった。また、比較として4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを同条件で保管したところ、色目が初期の黄土色から14日間保管後に薄茶色に変化しており着色が認められた。
実施例1で得られたジアミン化合物を、空気雰囲気下、50℃で14日間保管したところ、色目にほとんど変化は無く着色は認められなかった。また、比較として4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを同条件で保管したところ、色目が初期の黄土色から14日間保管後に薄茶色に変化しており着色が認められた。
Claims (3)
- 下記式(2)で示される4−アセトアミドベンゼンスルホン酸クロリドと、
下記一般式(4)で示される化合物を、脱アセチル化することにより得られる、
下記一般式(1)で示されるジアミン化合物の製造方法。
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